JP2007073211A - 荷電粒子線エネルギーフィルタのエネルギー選択スリット - Google Patents

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Abstract

【課題】 高強度のゼロロス電子を効率よく遮蔽できて且つエネルギー分散スリット開口部の散乱電子やコンタミネーションによる影響を軽減するエネルギー選択スリットを提供する。
【解決手段】 スリット開口部33を挟んで、スリット部材31のスリット構成辺34とスリット部材32のスリット構成辺35が対面するように配置する。スリット部材32をスリット部材31よりも薄くし、スリット構成辺34の側壁下部をテーパー部36のように、上方から下方に向かって広くする。高強度のゼロロス電子側がスリット部材31で遮蔽されるようにエネルギー選択スリット30を配置する。
【選択図】図5

Description

本発明は、電子顕微鏡等の荷電粒子線装置に装着されるエネルギーフィルタに関わり、特にエネルギー分散された荷電粒子線の特定のエネルギー範囲を選択するために用いられるエネルギー選択スリットに関わる。
半導体、新素材など原子レベルでの材料特性の解析を必要とする場合があり、そのために電子光学系の中にオメガフィルタやキャスタンヘンリー型フィルタ等のインコラム型と呼ばれるエネルギーフィルタを備えた透過電子顕微鏡が使用されている。
エネルギーフィルタは、試料を透過した電子エネルギーロスを測定する電子エネルギー損失分光法(EELS:Electron Energy Loss Spectroscopy)やエネルギーロスした電子を除いたゼロロス電子(弾性散乱電子)だけ又は逆にエネルギーロスした電子だけで透過電子像を作るエネルギーフィルタ電子顕微鏡(EF−TEM:Energy−Filtering Transmission Electron Microscope)としての利用と、試料に照射される電子線を走査して試料を透過した電子線を検出することにより試料の内部構造を観察する走査透過電子顕微鏡(STEM:Scanning Electron Microscope)でEELSを行うSTEM+EELSとしての利用などがある(例えば、特許文献1の特開2000−133195号広報、特許文献2の特開2004−31126号広報等参照)。
図1はエネルギーフィルタを備えた透過電子顕微鏡の構成例を示す図である。図1において、鏡体100中の電子線EBの通路は図示しない真空排気系により高真空に保たれている。電子銃1から放出された電子線EBは集束レンズ2を通して試料4に照射し、対物レンズ3、中間レンズ5、入射絞り6を通ってエネルギーフィルタ7に入射する。エネルギーフィルタ7でエネルギー分散されたスペクトルがエネルギー選択スリット8の位置に現れるので、これを投影レンズ9を通して蛍光板10に投影し、エネルギー分散スペクトルを観察できる。エネルギー分散スペクトルを記録するときは、蛍光板10を上げて二次元検出器11に投影させる。なお、実際の透過電子顕微鏡は多くの電子レンズ、偏向コイル、絞りを備えており、それらを駆動・制御する電源等が接続されているが図示を省略している。
図2はこのようにして得られたエネルギー分散スペクトルの例を示している。図2(b)は例えばCCDカメラ等の二次元検出器11に記録されたエネルギー分散スペクトルの画像である。図2(a)中のゼロロス電子(以下、ゼロロスと略記)は、試料を透過した際の弾性散乱電子であり、スペクトル中で他のエネルギー領域に比べて桁違いに強度の高いピークを形成している。低エネルギー損失を受けたプラズモンロス電子(以下、プラズモンロスと略記)はプラズマ振動(電子の集団励起状態)によりエネルギーを失った電子である。A-K、B-KはA元素、B元素の内殻電子励起のためにエネルギーを失った電子によるロススペクトルでコアロス電子(以下、コアロスと略記)と呼ばれる。コアロスのスペクトル解析を行うことで、原子レベルの微小領域の元素分析が行えるため、EELSにおける重要な情報の一つであるが、上記のプラズモンロスに比べてもその強度とS/N比は極めて低い。そのため、図2(a)においては、コアロスのあらわれるエネルギー範囲の縦軸スケールを変えて拡大表示している。
なお、図2の例では、ゼロロスのピークがプラズモンロスに比べて一桁程度高い強度となっているが、この強度比は試料や測定条件によって大きく変化する。例えば、試料の厚さがより薄いときはゼロロスの強度はより高くなるが、反対に試料が電子線をあまり透過しないほど厚い場合、ゼロロスのピークは極めて小さくなりプラズモンロスの方が大きくなることもある。
ところで、エネルギー分散された所望のエネルギー範囲を選択するためのスリットには多くの種類が考案されているが、大きく分けて二つのタイプがある。図3に示すような一枚の板にスリット開口部を設けたタイプと、図4に示すように2枚の板のそれぞれ一辺が対向するように配置されたタイプである。図3と図4中の各スリットの図は上が上視図、下が横断面図である。なお、スリットの位置移動、幅変更を行う駆動機構は図示していない。
図3(a)のスリットが最も基本的であるが、スリット幅を変えることができないので、図3(b)〜(d)のようなバリエーションが考案されている。図3(b)のスリットは、1枚の板に幅の異なる開口部を加工しておき、図中の矢印方向(紙面の横方向)に板を動かしてスリット幅を選択できるようにしている。また、図3(c)は楔形の開口部を、図3(d)は階段状の開口部を加工し、それぞれ図中の矢印方向(紙面の縦方向)に板を動かしてスリット幅を選択できるようにしている。図3(c)は開口部周辺のみを薄く加工した厚板タイプのスリットで、取り扱いや固定が簡便である。
図4の各スリットは全て2枚の板によって開口部を形成するタイプである。開口部の幅を固定又は半固定とするものもあるが、両方の板又は少なくとも片方の板を図中の矢印方向(紙面の横方向)に移動可能として所望のスリット幅が得られるようにすることが多い。2枚の板によって開口部を形成するスリットとしては、図4(a)が最も基本的であるが、図4(b)のように、厚板を使用して開口部に面する辺をテーパー面とするもの、図4(c)のように、2枚の薄板を同一平面に配置して使用するもの、図4(d)のように、2枚の薄板の高さ位置を少しずらして配置し、スリット幅調整時に2枚の板同士が当接して破損することが無いようにしたものがある。電子顕微鏡に搭載されるエネルギーフィルタに用いられるエネルギー選択スリット幅の設定に関する技術は、例えば特許文献3の特開2001−76666号広報などがある。
特開2000−133195号広報 特開2004−31126号広報 特開2001−76666号広報 特開平4−355038号広報 特公昭62−4818号広報
上述したように、エネルギー分散スペクトルにおいて、ゼロロス、プラズモンロス、コアロスの強度の違いは、試料の構成元素、構造、厚さや電子線のエネルギーなどに大きく依存するので、例えば試料が厚い場合はプラズモンロスの方がゼロロスより高くなることもある。しかし、透過電子顕微鏡においては比較的薄い試料を観察する場合が多いので、特にゼロロスの強度が際立って高くなる場合の問題が大きい。いずれの場合にもコアロスの観察されるエネルギー領域は強度が低いため、コアロスのスペクトルを用いて元素分析、状態分析などを行う場合は、試料への照射電子線強度を高くして、コアロスの近辺でも明瞭なスペクトルが得られるようにする必要がある。しかし、照射電子線強度を高くすると、ゼロロスのように高い電子強度のエネルギー範囲を遮蔽するためには充分に厚いスリット部材を使う必要があり、その厚さは電子線の加速電圧が60kV〜100kV程度で少なくとも1〜2mm位は必要であるとされている。そのため、従来のエネルギー選択スリットは全てmmオーダーの厚みを持つスリット部材を使用している。
一方、電子線などの一部を遮蔽するスリットや絞り(アパーチャ)に共通の問題として、電子線が通過する開口部の側壁面で散乱を起こして、電子線径が拡がったりバックグランドが増加することがある。この問題を軽減する方法として、例えば図4(b)に示されるように、開口部の側壁面をテーパー面に加工する技術が、特許文献4の特開平4−355038号広報に開示されている。
さらに、図1において、エネルギー選択スリット8が配置される場所は電子線の通路なので高真空に保たれているが、電子線がスリットにあたり続けると、開口部の近傍には多くの汚染物質(コンタミネーションとも呼ばれる)が付着する。この汚染物質の殆どは炭素系の有機物であり、電子線などの荷電粒子線があたると帯電(チャージアップとも呼ばれる)する。帯電により生じる電場の影響でスリットを通過する電子線の軌道が曲げられてしまう。また、帯電と放電を繰り返すことにより、電子エネルギー分散スペクトルがドリフトを起こして正確な測定の妨げになることもある。帯電の影響は、電子線の通路に近接する開口部の側壁面に付着するコンタミネーションによるものが大きいとされる。従って、コンタミネーションによる帯電の影響を軽減しようとする場合にも、例えば図3(e)、図4(c)に示すように、開口部の側壁面ができるだけ小さくなるように薄いスリットを使用することが望ましい。
しかし、ここで問題となるのが、上述した電子エネルギー分散スペクトルの特殊性である。上記のように、開口部の側壁による電子線の散乱とコンタミネーションによる帯電を軽減するためには、少なくとも開口部の近辺の部材を薄くすれば良いことが分かっている。しかし、こうしたスリットを用いると、スペクトルの高強度側を遮蔽する部材では充分に電子線を遮蔽できず、部材を透過した電子がエネルギー選択スリット8の下方に散乱されてバックグランドとなってしまうという問題が生じる。電子顕微鏡の電子レンズの開き角を決めるために用いられる一般の絞りの場合は、例えば、特許文献5の特公昭62−4818号広報に開示されているように、使用条件により複数の厚みを持つ絞り板を切り換えることで解決できる。しかし、エネルギーフィルタの出射部に設けられるエネルギー選択スリットは、スリット幅を可変にする必要があるためこうした方法を採ることは困難である。
本発明は、上述の問題を解決するためになされたものであって、その目的は、高強度の電子線を試料に照射して高感度の電子エネルギー分光を行うときにも、
エネルギー選択スリットによる電子線の散乱、コンタミネーションによる帯電の影響を効果的に低減し、良質のエネルギー分散スペクトルを取得して高精度の測定が行えるようにすることにある。
上記の問題を解決するために、本発明は、
電子顕微鏡等の荷電粒子線装置に装着されるエネルギーフィルタの出射側に設けられ、前記エネルギーフィルタによってエネルギー分散した荷電粒子線の所望のエネルギー範囲を規定するために開口部を挟む対向した位置に二つのスリット部材を配置するエネルギー選択スリットにおいて、
前記二つのスリット部材の厚さが異なるようにしたことを特徴とする。
また本発明は、前記厚さの異なる二つのスリット部材の厚い方のスリット部材を、前記エネルギー分散した荷電粒子線の弾性散乱粒子を主成分とするゼロロス荷電粒子が現れる側のエネルギー境界を規定するスリット部材となるように配置したことを特徴とする。
また本発明は、前記ゼロロス荷電粒子があらわれる側のエネルギー境界を規定するスリット部材と前記開口部を挟んで対向するスリット部材の厚さを、前記ゼロロス荷電粒子があらわれる側のエネルギー境界を規定するスリット部材の厚さの半分以下に設定したことを特徴とする。
また本発明は、少なくとも前記ゼロロス荷電粒子があらわれる側のエネルギー範囲を規定するスリット部材側の開口部側壁下部が、前記荷電粒子ビームの照射側から反対側に向かって広くなるテーパー面となっていることを特徴とする。
第1の発明によれば、電子顕微鏡等の荷電粒子線装置に装着されるエネルギーフィルタの出射側に設けられ、前記エネルギーフィルタによってエネルギー分散した荷電粒子線の所望のエネルギー範囲を規定するために開口部を挟む対向した位置に二つのスリット部材を配置するエネルギー選択スリットにおいて、
前記二つのスリット部材の厚さが異なるようにしたので、
前記開口部に対向して配置される二つのスリット部材によって遮蔽される荷電粒子線の強度がそれぞれのスリット部材で著しく異なっても、荷電粒子線強度の高い側を厚い方のスリット部材によって遮蔽し、荷電粒子線強度の低い側を薄い方のスリット部材で遮蔽することができる。そのため、前記エネルギーフィルタに入射する荷電粒子線の強度を上げても、荷電粒子線強度が高い側のスリット部材を荷電粒子線が透過してバックグランドを発生させることを防止することができる。また、荷電粒子線強度が低い側のスリット部材を薄くできるので、スリット開口部の側壁で荷電粒子線が散乱される減少を軽減し、さらにスリット開口部の側壁に汚染物質が付着するのを軽減できるので、スリットを通過する荷電粒子線の軌道が曲がる現象、ドリフト等を防止することができる。
また第2の発明によれば、前記厚さの異なる二つのスリット部材の厚い方のスリット部材を、前記エネルギー分散した荷電粒子線の弾性散乱粒子を主成分とするゼロロス荷電粒子が現れる側のエネルギー境界を規定するスリット部材となるように配置したので、
前記エネルギー選択スリットを通過する前記荷電粒子線のエネルギー範囲中で桁違いに高強度のエネルギー範囲があっても効果的に遮蔽することができる。そのため、非弾性散乱粒子を主成分とするプラズモンロス及び/又はコアロスのエネルギー領域の強度が低い場合にも、エネルギー分散スペクトルの測定感度を上げることができて、解析を正確に行うことができる。
また第3の発明によれば、前記ゼロロス荷電粒子があらわれる側のエネルギー境界を規定するスリット部材と前記開口部を挟んで対向するスリット部材の厚さを、前記ゼロロス荷電粒子があらわれる側のエネルギー境界を規定するスリット部材の厚さの半分以下に設定したので、
前記エネルギー選択スリットの開口部に対向して配置される二つのスリット部材の厚さを、測定の目的に合わせて適切に決めることができる。
また第4の発明によれば、少なくとも前記ゼロロス荷電粒子があらわれる側のエネルギー範囲を規定するスリット部材側の開口部側壁下部が、前記荷電粒子ビームの照射側から反対側に向かって広くなるテーパー面となっているようにしたので、
厚い方のスリット部材でも、スリット開口部の側壁で荷電粒子線が散乱される現象を軽減し、さらにスリット開口部の側壁へのコンタミネーションの付着を軽減できる。
以下図面を参照しながら、本発明の実施の形態について説明する。
図5に、本発明のエネルギー選択スリット30の概略構成例を示す。図5において、上が上視図、下が横断面図である。スリット開口部33を挟んで、スリット部材31のスリット構成辺34とスリット部材32のスリット構成辺35が対面するように配置されている。なお、スリットの位置移動、幅変更を行う駆動機構は図示していない。また、図中の矢印はスリット部材の移動方向を示しているが、必ずしも両方のスリット部材が移動できるようになっている必要はなく、少なくとも一方のスリット部材が矢印方向に移動可能とされていれば良い。
図5の横断面図に示すように、スリット部材32はスリット部材31よりも薄く作られている。また、スリット構成辺34の側壁下部は、上方から下方に向かって拡がるテーパー部36となっている。図5に示す例ではスリット部材31の側のみテーパー部36を設けているが、必ずしも片側のみに限定する必要は無く両側に設けても良い。但し、薄い方のスリット部材32の厚さが充分に薄ければ、テーパー部36のような加工を施す必要性は低い。
図6は、本発明のエネルギー選択スリットの動作を説明するための図である。図6(a)は、スリット開口部の近くを全て薄いスリット部材で構成した従来タイプのスリットを用いて、エネルギー分散スペクトル中のプラズモンロスを主とするエネルギー範囲の電子を通過させる場合を示している。図2(a)のエネルギー分散スペクトルの場合、コアロス部分の電子を完全に遮蔽できる程度に薄いスリットでゼロロスの電子を遮蔽しようとしても、ゼロロスのピークはプラズモンロスに比べて桁違いに高強度のため、ゼロロスピークの一部がスリット部材を透過してしまう。
これに対し、本発明のスリットを用いる図6(b)の場合、ゼロロスを充分に遮蔽できる程度に厚いスリット部材31はエネルギー分散スペクトルのゼロロス側に配置され、スリット部材31よりも薄く作られているスリット部材32は開口部を挟んだ対向する位置に配置されている。スリット部材32は薄く作られているが、コアロス部分の電子を遮蔽するのには充分である。また、スリット部材31は厚く作られているため、ゼロロスピーク側の境界を規定する場合でも、充分に高強度のゼロロスピークを遮蔽することができる。
このように、それぞれ厚さの異なるスリット部材を用いてエネルギー分散スペクトルの所望の範囲を規定するようにすれば、従来のスリットに比較してスリット開口部の側壁で荷電粒子線が散乱される現象を軽減し、さらにスリット開口部の側壁に汚染物質が付着するのを軽減する効果を奏することができる。
発明が解決しようとする課題の中で述べたように、ゼロロス、プラズモンロス、コアロスの強度の違いは、試料の構成元素、構造、厚さや電子線のエネルギーなどに大きく依存する。そのため、薄くする方のスリット部材の厚さは、スリット部材にどのような物質を用いるか、どのような試料を多く測定するか、どのような測定条件で測定を行うかを考慮して決める必要がある。しかしいかなる試料、測定条件においても、薄くする方のスリット部材の厚さを厚い方のスリット部材の厚さに対して、少なくとも半分以下の厚さに設定できることが実験的に確かめられている。
以上、本発明の説明を図5及び図6に基づいて説明したが、本発明はこれに限定されるわけではなく、種々の変形が可能である。
例えば、図5に示すスリット部材32は全てを薄い材料で構成するようになっているが、必ずしも全てを薄くする必要は無く、例えば図3(e)に示すスリットの横断面図のように、スリット構成辺35に近い部分のみを薄くし、スリット構成辺35と反対側の部分を厚くするようになっていても良い。これにより、スリット構成辺を薄くすることによって、スリット開口部の側壁で荷電粒子線が散乱される現象を軽減し、さらにスリット開口部の側壁に汚染物質が付着するのを軽減する効果を維持したまま、スリットの取り扱いや固定が簡便になるという利点がある。
また、例えば、スリット部材31とスリット部材32の上面の高さが同じである必要は無く、例えば図4(d)に示すスリットのように、スリット部材32の高さをスリット31の上面より上にしても良い。これにより、スリット開口部33の幅調整を行う時、スリット部材同士の当接による破損を防止することができる。
以上述べたように、エネルギー分散スペクトルの所望のエネルギー範囲を規定するためのエネルギー選択スリットにおいて、高強度側の境界を規定するスリット部材は厚いままで、低強度側の境界を規定するスリット部材を薄くするようにしたので、バックグランドの影響を受けずにエネルギー分散スペクトルの測定が行えるスリットを用いても、スリット開口部の側壁で荷電粒子線が散乱される現象を軽減し、さらにスリット開口部の側壁に汚染物質が付着するのを軽減することができるようになった。

エネルギーフィルタを備えた透過電子顕微鏡の構成例を示す図。 エネルギーフィルタによる電子エネルギー分散スペクトルの例を示す図。 一枚の板にスリット開口部を設けたタイプのスリットの例を示す図。 対向する2枚の板によって開口部を形成するタイプのスリットの例を示す図。 本発明のエネルギー選択スリットの概略構成例を示す図。 本発明のエネルギー選択スリットの効果を説明するための図。
符号の説明
(同一または類似の動作を行うものには共通の符号を付す。)
EB 電子線(荷電粒子線)
1 電子銃 2 集束レンズ
3 対物レンズ 4 試料
5 中間レンズ 6 入射絞り
7 エネルギーフィルタ 8、30 エネルギー選択スリット
9 投影レンズ 10 蛍光板
11 二次元検出器
31、32 スリット部材 33 スリット開口部
34、35 スリット構成辺 36 テーパー部

Claims (4)

  1. 電子顕微鏡等の荷電粒子線装置に装着されるエネルギーフィルタの出射側に設けられ、前記エネルギーフィルタによってエネルギー分散した荷電粒子線の所望のエネルギー範囲を規定するために開口部を挟む対向した位置に二つのスリット部材を配置するエネルギー選択スリットにおいて、
    前記二つのスリット部材の厚さが異なるようにしたことを特徴とするエネルギー選択スリット。
  2. 前記厚さの異なる二つのスリット部材の厚い方のスリット部材を、前記エネルギー分散した荷電粒子線の弾性散乱粒子を主成分とするゼロロス荷電粒子が現れる側のエネルギー境界を規定するスリット部材となるように配置したことを特徴とする請求項1に記載のエネルギー選択スリット。
  3. 前記ゼロロス荷電粒子があらわれる側のエネルギー境界を規定するスリット部材と前記開口部を挟んで対向するスリット部材の厚さを、前記ゼロロス荷電粒子があらわれる側のエネルギー境界を規定するスリット部材の厚さの半分以下に設定したことを特徴とする請求項1乃至2に記載のエネルギー選択スリット。
  4. 少なくとも前記ゼロロス荷電粒子があらわれる側のエネルギー境界を規定するスリット部材側の開口部側壁下部が、前記荷電粒子ビームの照射側から反対側に向かって広くなるテーパー面となっていることを特徴とする請求項1乃至3に記載のエネルギー選択スリット。
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