JP2007070243A - 植物鮮度保持剤および植物鮮度保持材料 - Google Patents
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Abstract
【課題】植物、特に切花の鮮度保持剤に関し、更に詳しくは切花の花弁や葉の萎凋、ベントネックの防止等に優れ、花弁を美しく開花させる、切花の鮮度保持剤および鮮度保持材料を提供する。
【解決手段】2−アミノイソ酪酸またはその塩(A)と、塩化ナトリウムや塩化カリウムなどのアルカリ金属塩化物(B)とを含有する植物鮮度保持剤、および該植物鮮度保持剤を吸水性ポリマーに含浸させることを特徴とする切花等の植物鮮度保持材料。
【解決手段】2−アミノイソ酪酸またはその塩(A)と、塩化ナトリウムや塩化カリウムなどのアルカリ金属塩化物(B)とを含有する植物鮮度保持剤、および該植物鮮度保持剤を吸水性ポリマーに含浸させることを特徴とする切花等の植物鮮度保持材料。
Description
本発明は植物、特に切花の鮮度保持剤に関し、更に詳しくは切花の花弁や葉の萎凋、ベントネックの防止等に優れ、花弁を美しく開花させる、切花の鮮度保持剤および鮮度保持材料に関するものである。
日本での切花生産量は50億本を超え、切花を扱う切花生産者、花き市場、切花小売店、一般消費者といった流通過程で切花の鮮度を如何に保つかが重要な課題である。切花の鮮度が低下する原因としては水の腐敗による水揚げの低下、植物ホルモンであるエチレンの作用、植物体内の栄養分不足等が挙げられる。水の腐敗については8−ヒドロキシキノリン等の殺菌剤、水揚げを良くするには界面活性剤等が用いられている。
エチレンの作用を抑制するものとしてはチオ硫酸銀が一般に知られているが、チオ硫酸銀は有効成分として重金属である銀を含んでいるため、環境汚染が懸念されている。エチレン抑制作用を有するもので重金属を含まない鮮度保持剤としてはAIB(2−アミノイソ酪酸)、AOA(アミノオキシ酢酸)、AVG(アミノエトキシビニルグリシン)等が一般に知られているが、これら単独及びこれらエチレン生合成阻害剤類を2種類以上併用するだけでは効果が不十分で使用量が増えること、高価である等により使用が制限されている。
例えばAVG(アミノエトキシビニルグリシン)とAIB(α−アミノイソ酪酸)とを有効成分として含有する切花鮮度保持剤組成物(特許文献1参照)、(1)α−アミノイソ酪酸またはその塩、(2)アミノオキシ酢酸またはその塩、(3)チオ硫酸銀から選ばれる少なくとも2種の物質を有効成分とする切花鮮度保持剤(特許文献2参照)等がある。
また、使用量の低減を目的とし、AIBに少量のカルシウム塩を添加すると、切り花へのAIB吸収が促進され、AIB添加量を低減できることが報告されているが、水の腐敗による水揚げの低下を防止することが出来ず、観賞期間後半での切り花の鮮度を維持できない(特許文献3参照)。
特開平5−238901号公報
特開平7−223902号公報
カーネーションの萎ちょう細菌病抵抗性育種と薬剤および交雑育種による花持ち性の向上(小野崎 隆 花き研究所研究報告 第1号 2002年3月)
本発明の目的は、従来技術における上記したような課題を解決し、安全性、経済性に優れ、切花に対して優れた鮮度保持効果を有する植物鮮度保持剤及び鮮度保持材料を提供することにある。
本発明者らは切花の鮮度を保持する鮮度保持剤組成および鮮度保持材料を鋭意研究した結果、2−アミノイソ酪酸またはその塩(A)とアルカリ金属塩化物(B)を含有することを特徴とし、また必要に応じて水腐敗を防止する目的で殺菌作用または静菌作用を有する殺菌剤、静菌剤(C)を含有することを特徴とした組成物が植物、特にカーネーション、バラ、スイートピー、カスミソウ、ガーベラ、ハイブリッドスターチス、キク、ユリ、アジサイ、ストック、リンドウ、グラジオラス、トルコキキョウ、チューリップ、洋ランといった切花を長期間に渡ってその鮮度を保持できることを見出し、本発明に到達した。すなわち、本発明は2−アミノイソ酪酸(A)とアルカリ金属塩化物(B)を含有することを特徴とする植物鮮度保持剤及び鮮度保持材料に関するものである。
本発明によれば、安全性、経済性に優れ、植物、特に種々の切花に対して優れた鮮度保持効果を有する植物鮮度保持剤及び鮮度保持材料が得られる。
次に本発明の方法を具体的に説明する。本発明による切花鮮度保持剤における2−アミノイソ酪酸(AIB)およびその塩(A)としては、エチレンの生成を阻害する働きを持ち、植物の老化を防止する成分であり、これ以外にもSTS(チオ硫酸銀)、AVG(アミノエトキシビニルグリシン)またはその塩、AOA(アミノオキシ酢酸)またはその塩、PACME(イソプロピリデン−アミノオキシ酢酸−2−メトキシ−2−オキソエチルエステル)、アロコロナミン酸、DPSS(1、1−ジメチル−4−フェニルスルホニルセミカルバジド)、AITC(アリルイソチオシアネート)、PPOH(シスプロペニルホスホン酸)、STB(四ホウ酸ナトリウム)、アミノトリアゾール、DACP(ジアゾシクロペンタジエン)、NBD(2、5−ノルボルナジエン)、MCP(1−メチルシクロプロペン)からなる群から選ばれる1種以上を使用しても良いが、好ましくは2−アミノイソ酪酸またはその塩が使用される。AIBまたはその塩は粉末固体状、液状どちらで使用しても良く、また水等で希釈して使用しても良い。
また、植物、特に切花の微量栄養源であり、AIBの吸収効率を高める成分であるアルカリ金属塩化物(B)を上記2−アミノイソ酪酸およびその塩(A)と併用させることにより、植物の鮮度保持効果を更に向上し、かつAIBの使用量を低減させることが可能となる。アルカリ金属塩化物としては塩化ナトリウム、塩化カリウムから選ばれる少なくとも一種以上が使用し得る。これらのアルカリ金属塩化物はそのまま使用しても良く、また水等で希釈して使用しても良い。
また、(A)成分と(B)成分の重量比は(A):(B)=1:0.0001〜10の範囲であり、好ましくは1:0.002〜5、更に好ましくは1:0.01〜1の範囲である。
本発明の鮮度保持剤は2−アミノイソ酪酸またはその塩(A)と塩化ナトリウム、塩化カリウムから選ばれる少なくとも一種以上(B)でも十分に植物の鮮度を維持することが可能であるが、観賞期間後半では水の腐敗による水揚げの低下が発生し、観賞期間が短縮される可能性がある。これを防止する目的で殺菌作用または静菌作用を有する殺菌剤、静菌剤を併用添加することにより、(A)成分と(B)成分の相乗効果をより長期間にわたって維持することが可能となり、植物鮮度保持効果は更に向上する。
殺菌作用または静菌作用を有する殺菌剤、静菌剤(C)としては、ベンザルコニウムクロライドやベンゼトニウムクロライドといった第4級アンモニウム塩、8−ヒドロキノリン硫酸塩、クエン酸塩、ピリジン−2−チオール−1−オキシドナトリウム塩、2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、1、2−ベンズイソチアゾリン−3−オン、2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオール、次亜塩素酸ナトリウム、ジクロロイソシアヌル酸ナトリウム、過酸化水素や過炭酸ナトリウムといった過酸化物からなる群から選ばれる1種以上が使用し得るが、好ましくは第4級アンモニウム塩、2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、1、2−ベンズイソチアゾリン−3−オン、ピリジン−2−チオール−1−オキシドナトリウム塩、過酸化水素、過炭酸ナトリウムである。
また(A)成分、(B)成分、(C)成分の重量比は、(A):(B):(C)=1:0.0001〜10:0.00001〜10の範囲であり、好ましくは
1:0.002〜5:0.0001〜5が好ましく、より好ましくは1:0.01〜1:0.001〜1である。
1:0.002〜5:0.0001〜5が好ましく、より好ましくは1:0.01〜1:0.001〜1である。
本発明の鮮度保持剤は2−アミノイソ酪酸またはその塩(A)とアルカリ金属塩化物(B)を、また必要に応じて水腐敗を防止する目的で殺菌作用または静菌作用を有する殺菌剤、静菌剤(C)を併用添加するだけでも植物の鮮度を十分に保持することが可能であるが、A成分およびB成分に併用添加する殺菌剤、静菌剤(C)に植物栄養剤となる糖類(D)、植物の適正pHに調整するpH調整剤(E)、水揚げ促進を目的とした界面活性剤(F)、植物からの漏出物やバクテリアの発生による代謝物等を凝集沈殿させることを目的としたコロイド凝集沈殿剤(G)を併用もしくは混合することにより、A成分、B成分、C成分の植物鮮度保持相乗効果を更に向上させることができる。
植物栄養剤となる糖類(D)としてはグルコース、フルクトース、キシロース、アラビノース、リボース、ガラクトース、マンノース、ラムノース、マンニトール、キシリトール、トリオース、ソルビット、エリスリトール、グルコサミン、ガラクトサミン、スクロース、トレハロース、マルトース、セロビオース、ラクトース等の単糖類、二糖類からなる群から選ばれる1種以上が使用し得る。
植物の適正pHに調整するpH調整剤(E)としては塩酸、硝酸、リン酸、硫酸、ギ酸、酢酸、クエン酸、リンゴ酸、プロピオン酸、乳酸、しゅう酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、フマル酸、メチルリンゴ酸、イソクエン酸、酒石酸、グルコン酸、マレイン酸、メチルマレイン酸、メチルフマル酸、イタコン酸、アセチレン酸、ラウリン酸、リノール酸、オレイン酸、アクリル酸、ポリアクリル酸、ヒドロキシ酢酸、ソルビン酸、アルギン酸、アスパラギン酸、安息香酸、没食子酸、アビエチン酸、ケイ皮酸、フタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸からなる群から選ばれる1種以上が使用し得る。
水揚げ促進を目的とした界面活性剤(F)としてはアルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキル硫酸エステル塩、高級アルコール硫酸エステル塩、アルキルアリールスルホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテルリン酸エステル塩等の陰イオン界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックコポリマー、ソルビタン脂肪酸エステル、蔗糖脂肪酸エステル等の非イオン界面活性剤等が挙げられる。
コロイド凝集沈殿剤(G)としては硫酸アルミニウム、ポリ塩化アルミニウム、アンモニウムミョウバン等が挙げられる。
本発明の植物鮮度保持剤の形態は液剤、粒剤、粉剤、錠剤、水和剤、ペースト等いずれでも良いし、本発明の鮮度保持剤を吸水性ポリマーに含浸させて使用することもできる。本発明の植物鮮度保持剤を上記形態に製剤化する方法は、特に限定されるものではなく、固体担体、液体担体および分散剤の1種以上を上記(A)〜(G)成分と混合し、粉砕して形態化するなど、通常公知の方法を用いることができる。例えば、上記(A)〜(G)成分を水などの液体担体に溶解させ分散させることにより液剤とすることができる。また、上記(A)〜(G)成分を、珪藻土、クレー、炭酸カルシウム、タルクなどの固体担体と混合し、粉砕し、形態化することにより、粒剤、粉剤、錠剤とすることもできる。さらに、必要に応じて、増粘補助剤または界面活性剤を加えて混合することにより水和剤やペースト状にすることもできる。
液剤の使用方法としては、(A)、(B)、(C)、(D)、(E)、(F)、(G)の各成分について、植物を水溶液に浸す直前に各々の成分をその水溶液に添加しても良いし、予め混合してから使用しても良い。予め混合する場合は、粉末固体状、粒状、液状のどの形態でも混合することは可能であり、使用する濃度に希釈して使用しても良いが、予めこの混合物を高濃度に調整しておき、実際の使用時にこれを水で2〜1000倍に希釈して使用するのが好都合である。
本発明の植物鮮度保持剤は、上記(A)及び(B)成分を必須成分として含有し、必要に応じて(C)成分を含有する。本発明の植物鮮度保持剤中の上記成分の合計含有量は、植物の種類、施用形態、施用方法、施用時期などに応じて適宜選択することができる。例えば、液剤、水和剤、粒剤、粉剤、錠剤、ペーストの場合、(A)及び(B)成分は、その合計量として、例えば0.0001〜100重量%配合することができる。
本発明の鮮度保持剤の使用方法としては、切り花の切断部を本鮮度保持剤を含む溶液に浸漬させる方法があげられる。この時、本鮮度保持剤に浸漬させたままにしておいても良いし、本鮮度保持剤に一度浸漬させた後、水などに活け替えても良い。後者の場合、浸漬時間は1〜168時間程度が好ましい。
本発明の鮮度保持剤を吸水性ポリマーに含浸させた鮮度保持材料としても切花の鮮度を維持することができる。切花の切断部を吸水性ポリマーに直接接触させたり、あるいは吸水性ポリマーを浸漬させた水の中に切花の切断部を浸すことによって、吸水性ポリマーに含浸された鮮度保持成分が植物体内に取り込まれ、植物の鮮度を維持することが可能となる。
本発明の鮮度保持剤を含浸させる吸水性ポリマーとしては、鮮度保持剤に浸漬することにより鮮度保持成分を含浸できるものであれば特に限定されるものではなく、天然または合成の通常公知の吸水性ポリマーを使用できる。これらの中でも、1分子中に2個以上のエポキシ基を有する親水性のエポキシ樹脂(a)と1分子中に2個以上の1級または2級アミノ基を有するアミン化合物(b)を必須成分として含有する組成物を硬化した硬貨物が好ましい。
本発明に使用されるエポキシ樹脂(a)とは、一分子中に少なくとも2個以上のエポキシ基を有する親水性の化合物であれば、特に限定されるものではない。
具体例としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレンポリプロピレングリコールなどとエピクロルヒドリンとの反応から得られるポリエーテル型エポキシ樹脂;グリセリン、ポリグリセロール、トリメチロールプロパン、ソルビトールなどとエピクロルヒドリンとの反応から得られる多価アルコール型エポキシ樹脂などが挙げられ、1種もしくは2種以上を適宜混合して使用することも可能である。
好適なものとしては、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル及びそれらの混合物が挙げられる。
具体例としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレンポリプロピレングリコールなどとエピクロルヒドリンとの反応から得られるポリエーテル型エポキシ樹脂;グリセリン、ポリグリセロール、トリメチロールプロパン、ソルビトールなどとエピクロルヒドリンとの反応から得られる多価アルコール型エポキシ樹脂などが挙げられ、1種もしくは2種以上を適宜混合して使用することも可能である。
好適なものとしては、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル及びそれらの混合物が挙げられる。
本発明に使用されるアミン化合物(b)とは、一分子中に少なくとも2個以上の1級または2級アミノ基を有する化合物であれば、特に限定されるものではない。
具体例としては、エチレンジアミン、ポリエチレンジアミン、ポリエーテルジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、キシリレンジアミンなどの脂肪族第一級アミン類;ビスアミノメチルシクロヘキサン、イソホロンジアミンなどの脂環族第一級アミン類;メタフェニレンジアミン、ジアミノジフェニルメタンなどの芳香族第一級アミン類;エチレンジアミン、ポリエチレンジアミン、ポリエーテルジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、キシリレンジアミンなどのエチレンオキサイド附加物などの脂肪族第ニ級アミン類;ビスアミノメチルシクロヘキサン、イソホロンジアミンなどのエチレンオキサイド附加物などの脂環族第ニ級アミン類;ピペラジン、ジシアンジアミドなどが挙げられ、1種もしくは2種以上を適宜混合して使用することも可能である。
好適なものとしては、ポリエチレンジアミン、ポリエーテルジアミン、キシリレンジアミン、ビスアミノメチルシクロヘキサン、イソホロンジアミンおよびそれらの混合物が挙げられる。
具体例としては、エチレンジアミン、ポリエチレンジアミン、ポリエーテルジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、キシリレンジアミンなどの脂肪族第一級アミン類;ビスアミノメチルシクロヘキサン、イソホロンジアミンなどの脂環族第一級アミン類;メタフェニレンジアミン、ジアミノジフェニルメタンなどの芳香族第一級アミン類;エチレンジアミン、ポリエチレンジアミン、ポリエーテルジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、キシリレンジアミンなどのエチレンオキサイド附加物などの脂肪族第ニ級アミン類;ビスアミノメチルシクロヘキサン、イソホロンジアミンなどのエチレンオキサイド附加物などの脂環族第ニ級アミン類;ピペラジン、ジシアンジアミドなどが挙げられ、1種もしくは2種以上を適宜混合して使用することも可能である。
好適なものとしては、ポリエチレンジアミン、ポリエーテルジアミン、キシリレンジアミン、ビスアミノメチルシクロヘキサン、イソホロンジアミンおよびそれらの混合物が挙げられる。
本発明において使用されるアミン化合物の量は、エポキシ樹脂(a)1.0エポキシ当量に対してアミン当量0.3〜3.0当量の範囲が好ましく、特にアミン当量0.6〜1.2当量の範囲がより好適である。
本発明のエポキシ樹脂(a)とアミン化合物(b)を必須成分として含有する組成物を0〜150℃で、1〜48時間、好ましくは、40〜120℃で、2〜10時間処理することにより硬化させて、樹脂硬化物からなる吸水性ポリマーが得られる。
本発明では、エポキシ樹脂(a)とアミン化合物(b)を必須成分として含有する組成物に、本発明の鮮度保持剤を含む水溶液を配合させ、含水状態で硬化させることにより、本発明の鮮度保持剤を吸水性ポリマーに含浸させることも可能となる。本発明の鮮度保持剤を含む水溶液の量はエポキシ樹脂100重量部に対して1〜500重量部、好ましくは20〜300重量部である。
また、エポキシ樹脂(a)とアミン化合物(b)を必須成分として含有する組成物を硬化させ吸水性ポリマーを得た後、本発明の鮮度保持剤を含む水溶液と混合することによっても、本発明の鮮度保持剤を吸水性ポリマーに含浸させることが可能となる。吸水性ポリマーに、本発明の鮮度保持剤を含む水溶液を含ませる手法としては、特に制限はないが、前記樹脂硬化物や含水樹脂硬化物を、必要に応じて、所望のサイズに粉砕並びに洗浄処理後、適量の鮮度保持剤を含む水溶液と混合し、20〜150℃で、常圧または加圧状態で、1〜96時間処理する方法などが例示され、これらにより鮮度保持剤が含浸された吸水性ポリマーが得られる。
本発明の鮮度保持剤を含浸させた吸水性ポリマーの使用方法としては、特に限定されないが、吸水性ポリマー及び水をガラスやプラスチックの器、花瓶、袋等の容器に入れ、ここに切花を活けることにより切花の鮮度を保持する使用方法や、吸水性ポリマーをガラスやプラスチックの器、花瓶、袋等の容器に入れ、必要に応じて水も入れ、ここに切花の切断部を直接吸水性ポリマーに接触させることによって、切花の輸送中での鮮度を保持する使用方法等が挙げられる。これらの使用方法により、切花は吸水性ポリマーに含浸された鮮度保持剤成分を切花切断部から吸収し、鮮度を長期間保持することが可能となる。
本発明の鮮度保持剤および鮮度保持材料が適用できる植物としてはカーネーション、バラ、ガーベラ、アジサイ、スイートピー、カスミソウ、キク、ユリ、ストック、スターチス、リンドウ、グラジオラス、トルコキキョウ、チューリップ、洋ランなどの切り花が好ましい。
次に本発明の方法を実施例により更に具体的に説明する。但し、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
実施例1
生花市場から入手したカーネーション(品種ピンクフランシスコ)を用いて鮮度保持試験を行なった。切り花は、できるだけ成長状態および鮮度状態が同じものを選び、茎を鋭利な刃物で40cmに切断し、茎の下部20cm部分の着生葉を切断して使用した。2−アミノイソ酪酸0.5g、塩化カリウム0.1gを水道水に溶解し全量を1000gとした鮮度保持剤にカーネーション5本を差し、気温23℃、湿度60%、蛍光灯連続照射の条件下で、切花の鮮度保持評価を行なった。鮮度保持評価は、目視により行い、花弁の枯れ具合、茎葉の枯れ具合等から観賞に耐えられる日数の平均値を平均日持ち日数とした。その結果を表1に示す。
生花市場から入手したカーネーション(品種ピンクフランシスコ)を用いて鮮度保持試験を行なった。切り花は、できるだけ成長状態および鮮度状態が同じものを選び、茎を鋭利な刃物で40cmに切断し、茎の下部20cm部分の着生葉を切断して使用した。2−アミノイソ酪酸0.5g、塩化カリウム0.1gを水道水に溶解し全量を1000gとした鮮度保持剤にカーネーション5本を差し、気温23℃、湿度60%、蛍光灯連続照射の条件下で、切花の鮮度保持評価を行なった。鮮度保持評価は、目視により行い、花弁の枯れ具合、茎葉の枯れ具合等から観賞に耐えられる日数の平均値を平均日持ち日数とした。その結果を表1に示す。
実施例2
2−アミノイソ酪酸0.5g、塩化ナトリウム0.1gを水道水に溶解し全量を1000gとした以外は、実施例1と同様に行った。その結果を表1に示す。
2−アミノイソ酪酸0.5g、塩化ナトリウム0.1gを水道水に溶解し全量を1000gとした以外は、実施例1と同様に行った。その結果を表1に示す。
比較例1
鮮度保持剤の代わりに水道水1000gとした以外は、実施例1と同様に行った。その結果を表1に示す。
鮮度保持剤の代わりに水道水1000gとした以外は、実施例1と同様に行った。その結果を表1に示す。
比較例2
塩化カリウムを用いなかった以外は、実施例1と同様に行った。その結果を表1に示す。
塩化カリウムを用いなかった以外は、実施例1と同様に行った。その結果を表1に示す。
比較例3
2−アミノイソ酪酸を1.0gとし、塩化カリウムを用いなかった以外は、実施例1と同様に行った。その結果を表1に示す。
2−アミノイソ酪酸を1.0gとし、塩化カリウムを用いなかった以外は、実施例1と同様に行った。その結果を表1に示す。
比較例4
2−アミノイソ酪酸を用いなかった以外は、実施例1と同様に行った。その結果を表1に示す。
2−アミノイソ酪酸を用いなかった以外は、実施例1と同様に行った。その結果を表1に示す。
比較例5
2−アミノイソ酪酸および塩化カリウムの代わりに、塩化ナトリウム0.1gを用いた以外は、実施例1と同様に行った。その結果を表1に示す。
2−アミノイソ酪酸および塩化カリウムの代わりに、塩化ナトリウム0.1gを用いた以外は、実施例1と同様に行った。その結果を表1に示す。
表1から明らかなごとく、0.05重量%の2−アミノイソ酪酸及び0.01重量%塩化カリウムを組み合わせた時の日持ち延長日数(6.6日)は0.05重量%の2−アミノイソ酪酸単独使用の日持ち延長日数(5.2日)と0.01重量%塩化カリウム単独使用の日持ち延長日数(0.8日)の相加(6.0日)以上の効果であった。また、0.05重量%の2−アミノイソ酪酸及び0.01重量%塩化ナトリウムを組み合わせた時の日持ち延長日数(7.1日)は0.05重量%の2−アミノイソ酪酸単独使用の日持ち延長日数(5.2日)と0.01重量%塩化ナトリウム単独使用の日持ち延長日数(0.0日)の相加(5.2日)以上の効果であった。
実施例3
切り花にカーネーション(品種ノラ)を用いた以外は実施例1と同様の処理を行なった。結果を表2に示す。
切り花にカーネーション(品種ノラ)を用いた以外は実施例1と同様の処理を行なった。結果を表2に示す。
比較例6
鮮度保持剤の代わりに水道水1000gとした以外は、実施例3と同様に行った。その結果を表2に示す。
鮮度保持剤の代わりに水道水1000gとした以外は、実施例3と同様に行った。その結果を表2に示す。
比較例7
塩化カリウムを用いなかった以外は、実施例3と同様に行った。その結果を表2に示す。
塩化カリウムを用いなかった以外は、実施例3と同様に行った。その結果を表2に示す。
比較例8
塩化カリウムの代わりに、塩化マグネシウム6水和物0.213gを用いた以外は、実施例3と同様に行った。その結果を表2に示す。
塩化カリウムの代わりに、塩化マグネシウム6水和物0.213gを用いた以外は、実施例3と同様に行った。その結果を表2に示す。
比較例9
塩化カリウムの代わりに、塩化カルシウム0.1gを用いた以外は、実施例3と同様に行なった。その結果を表2に示す。
塩化カリウムの代わりに、塩化カルシウム0.1gを用いた以外は、実施例3と同様に行なった。その結果を表2に示す。
実施例4
塩化カリウムの代わりに、塩化ナトリウム0.1gを用いた以外は実施例1と同様の処理を行なった。鮮度保持評価は、試験開始後の生体重(切花5本の生体重量の合計値)を測定し、試験開始時の生体重を100とする指数として測定した結果を図1に示す。
塩化カリウムの代わりに、塩化ナトリウム0.1gを用いた以外は実施例1と同様の処理を行なった。鮮度保持評価は、試験開始後の生体重(切花5本の生体重量の合計値)を測定し、試験開始時の生体重を100とする指数として測定した結果を図1に示す。
実施例5
さらに、ピリジン−2−チオール−1−オキシドナトリウム塩0.01gを用いた以外は、実施例4と同様に行った。その結果を図1に示す。
さらに、ピリジン−2−チオール−1−オキシドナトリウム塩0.01gを用いた以外は、実施例4と同様に行った。その結果を図1に示す。
比較例10
鮮度保持剤の代わりに、水道水1000gを用いた以外は、実施例4と同様に行った。その結果を図1に示す。
鮮度保持剤の代わりに、水道水1000gを用いた以外は、実施例4と同様に行った。その結果を図1に示す。
比較例11
塩化ナトリウムを用いなかった以外は、実施例4と同様に行なった。その結果を図1に示す。
塩化ナトリウムを用いなかった以外は、実施例4と同様に行なった。その結果を図1に示す。
比較例12
2−アミノイソ酪酸1.0gを用い、塩化ナトリウムを用いなかった以外は、実施例4と同様に行なった。その結果を図1に示す。
2−アミノイソ酪酸1.0gを用い、塩化ナトリウムを用いなかった以外は、実施例4と同様に行なった。その結果を図1に示す。
比較例13
2−アミノイソ酪酸および塩化ナトリウムの代わりに、ピリジン−2−チオール−1−オキシドナトリウム塩0.01gを用いた以外は、実施例4と同様に行なった。その結果を図1に示す。
2−アミノイソ酪酸および塩化ナトリウムの代わりに、ピリジン−2−チオール−1−オキシドナトリウム塩0.01gを用いた以外は、実施例4と同様に行なった。その結果を図1に示す。
調製例1
ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル(デナコールEX−861、エポキシ当量:550g/eq、ナガセ化成(株)製)95重量部とメタキシリレンジアミン(MXDA、活性水素当量:34g/eq、三菱ガス化学(株)製)5重量部を、イオン交換水100重量部に混合溶解させた後、乾燥機中で80℃、2時間加熱して、含水樹脂硬化物(吸水性ポリマー)を得た。その後、得られた樹脂硬化物を乳鉢で粉砕し、イオン交換水中に24hr浸漬し、完全に吸水した粒状の吸水性ポリマーを得た。
ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル(デナコールEX−861、エポキシ当量:550g/eq、ナガセ化成(株)製)95重量部とメタキシリレンジアミン(MXDA、活性水素当量:34g/eq、三菱ガス化学(株)製)5重量部を、イオン交換水100重量部に混合溶解させた後、乾燥機中で80℃、2時間加熱して、含水樹脂硬化物(吸水性ポリマー)を得た。その後、得られた樹脂硬化物を乳鉢で粉砕し、イオン交換水中に24hr浸漬し、完全に吸水した粒状の吸水性ポリマーを得た。
調製例2
2−アミノイソ酪酸5.0g、塩化カリウム0.5gをイオン交換水に溶解し全量を1000gとした。この鮮度保持剤1000gに、調製例1にて得られた吸水性ポリマー400gを浸漬処理し、24時間常温にて放置した後、この吸水性ポリマーをろ過分離して、鮮度保持剤を含浸させた吸水性ポリマーからなる鮮度保持材料を得た。
2−アミノイソ酪酸5.0g、塩化カリウム0.5gをイオン交換水に溶解し全量を1000gとした。この鮮度保持剤1000gに、調製例1にて得られた吸水性ポリマー400gを浸漬処理し、24時間常温にて放置した後、この吸水性ポリマーをろ過分離して、鮮度保持剤を含浸させた吸水性ポリマーからなる鮮度保持材料を得た。
実施例6
調製例2にて得られた鮮度保持剤を含浸させた吸水性ポリマー100gを水道水900g中に入れ、全量を1000gとし、この鮮度保持材料が混入した水道水に、市販のカーネーション(品種ノラ)5本を活けて、実施例1と同様の切花鮮度保持試験を行なった。平均日持ち日数を測定した結果を表3に示す。
調製例2にて得られた鮮度保持剤を含浸させた吸水性ポリマー100gを水道水900g中に入れ、全量を1000gとし、この鮮度保持材料が混入した水道水に、市販のカーネーション(品種ノラ)5本を活けて、実施例1と同様の切花鮮度保持試験を行なった。平均日持ち日数を測定した結果を表3に示す。
実施例7
調製例2にて得られた鮮度保持剤を含浸させた吸水性ポリマー300gを水道水700g中に入れ、全量を1000gとした以外は実施例6と同様の処理を行った。平均日持ち日数を測定した結果を表3に示す。
調製例2にて得られた鮮度保持剤を含浸させた吸水性ポリマー300gを水道水700g中に入れ、全量を1000gとした以外は実施例6と同様の処理を行った。平均日持ち日数を測定した結果を表3に示す。
比較例14
調製例1にて得られた吸水性ポリマー300gを水道水700g中に入れ、全量を1000gとした以外は施例6と同様の処理を行なった。平均日持ち日数を測定した結果を表3に示す。
調製例1にて得られた吸水性ポリマー300gを水道水700g中に入れ、全量を1000gとした以外は施例6と同様の処理を行なった。平均日持ち日数を測定した結果を表3に示す。
比較例15
吸水性ポリマーは使用せず、水道水を1000gとした以外は実施例6と同様の処理を行なった。平均日持ち日数を測定した結果を表3に示す。
吸水性ポリマーは使用せず、水道水を1000gとした以外は実施例6と同様の処理を行なった。平均日持ち日数を測定した結果を表3に示す。
Claims (7)
- 2−アミノイソ酪酸またはその塩(A)と、アルカリ金属塩化物(B)とを含有する植物鮮度保持剤。
- アルカリ金属塩化物(B)が塩化ナトリウム、塩化カリウムから選ばれる少なくとも一種以上である請求項1記載の植物鮮度保持剤。
- 更に、少なくとも一種以上の殺菌作用または静菌作用を有する殺菌剤、静菌剤(C)を含有する請求項1、2何れか1項記載の植物鮮度保持剤。
- 請求項1〜3何れか1項記載の植物鮮度保持剤を吸水性ポリマーに含浸させることを特徴とする植物鮮度保持材料。
- 吸水性ポリマーが、1分子中に2個以上のエポキシ基を有する親水性のエポキシ樹脂(a)と1分子中に2個以上の1級または2級アミノ基を有するアミン化合物(b)を必須成分として含有する組成物を硬化してなる、請求項4記載の植物鮮度保持材料。
- 植物が切花である請求項1〜3何れか1項記載の植物鮮度保持剤。
- 植物が切花である請求項4、5何れか1項記載の植物鮮度保持材料。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2005256172A JP2007070243A (ja) | 2005-09-05 | 2005-09-05 | 植物鮮度保持剤および植物鮮度保持材料 |
Applications Claiming Priority (1)
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Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JP2007070243A true JP2007070243A (ja) | 2007-03-22 |
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ID=37932010
Family Applications (1)
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JP2005256172A Pending JP2007070243A (ja) | 2005-09-05 | 2005-09-05 | 植物鮮度保持剤および植物鮮度保持材料 |
Country Status (1)
Country | Link |
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-
2005
- 2005-09-05 JP JP2005256172A patent/JP2007070243A/ja active Pending
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