JP2007067734A - 弾性表面波素子の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】歩留まりの向上を図りつつ、所望の周波数特性を有する弾性表面波素子を得ることができる弾性表面波素子の製造方法を提供すること。
【解決手段】圧電材料を主材料として構成された圧電体層4上に、電気信号の入力用および出力用の1対のIDT5、6と、1対のIDT5、6を保護する保護膜7とを順次積層する弾性表面波素子1の製造方法であって、圧電体層4上に1対のIDT5、6を形成して、基体1aを得る工程と、基体1aに弾性表面波を励振させ、その伝播速度を測定する工程と、測定された伝播速度に基づいて、得られる弾性表面波素子1の弾性表面波の伝播速度が目的とする設定伝播速度となるように、保護膜7の設定膜厚を決定する工程と、決定された設定膜厚となるように保護膜7を形成する工程とを有する。
【選択図】図4

Description

本発明は、弾性表面波素子の製造方法に関するものである。
弾性表面波(Surface Acoustic Wave:SAW)は、伝搬媒体の表面付近に、エネルギーを集中させて伝搬する波である。
このような弾性表面波を利用する弾性表面波素子は、携帯電話等の通信機器用のバンドパスフィルター、基準クロックとしての共振子、信号処理用遅延素子(特に、フーリエ変換機能素子)、圧力センサーや温度センサーのような各種センサー、光偏向器等へ応用されている。
例えば、フィルターや共振子として使用する弾性表面波素子は、弾性表面波の伝搬媒体としての圧電体層と、この圧電体層上に配置され、電気信号の入力用および出力用との一対の櫛歯状電極(Inter Digital Transducer:IDT)とを備えている(例えば、特許文献1参照。)。
このような弾性表面波素子では、入力用のIDTに交流電力(電気信号)が供給されると、この交流電力による電場によって圧電体層にひずみが生じる。このとき、この電場を生じる電極が櫛歯形状であることにより圧電体層に疎密が生じ、これにより弾性表面波が発生する。そして、この弾性表面波は出力用IDTに伝搬し、この弾性表面波のエネルギーは出力用IDTによって電気的エネルギーに変換・出力される。
また、特許文献1にかかる弾性表面波素子は、入力用および出力用のIDTを保護する保護膜を備えている。
この保護膜の膜厚は弾性表面波素子の弾性表面波の伝播速度に影響するため、弾性表面波素子の製造に際して、例えば、特許文献1では、圧電体上にIDTを形成したものに対し、保護膜の膜厚を測定しながら、保護膜を設定膜厚となるように形成する。その際、特許文献1では、設定膜厚として、実際の圧電体層の厚さや膜質などの状態にかかわらず圧電体層の設計膜厚などに基づいて予め設定されたものを用いている。
しかし、特許文献1にかかる弾性表面波素子の製造方法では、設定膜厚が実際の圧電体層の厚さや状態にかかわらず予め設定されたものであるため、例えば、圧電体層の厚さが設計値からずれたり、圧電体層の膜質(例えば密度)が所望のものとならなかったりした場合に、得られる弾性表面波素子の周波数特性を所望のものとすることができない。その結果、弾性表面波素子の製造時の歩留まりの低下を招いてしまう。
特開平8−162878号公報
本発明の目的は、歩留まりの向上を図りつつ、所望の周波数特性を有する弾性表面波素子を得ることができる弾性表面波素子の製造方法を提供することにある。
このような目的は、下記の本発明により達成される。
本発明の弾性表面波素子の製造方法は、圧電材料を主材料として構成された圧電体層上に、電気信号の入力用および出力用の1対の櫛歯状電極と、該1対の櫛歯状電極を保護する保護膜とを順次積層する弾性表面波素子の製造方法であって、
前記圧電体層上に前記1対の櫛歯状電極を形成して、基体を得る工程と、
前記基体に弾性表面波を励振させ、その伝播速度を測定する工程と、
測定された前記伝播速度に基づいて、得られる弾性表面波素子の弾性表面波の伝播速度が目的とする設定伝播速度となるように、前記保護膜の設定膜厚を決定する工程と、
決定された前記設定膜厚となるように前記保護膜を形成する工程とを有することを特徴とする。
これにより、保護膜の設定膜厚を実際の圧電体層の厚さや膜質(例えば密度)などの状態に応じたものとし、所望の周波数特性を有する弾性表面波素子を得ることができる。また、製造工程時に圧電体層の厚さや膜質(例えば密度)などの状態が変動しても、その変動に対応して、所望の周波数特性を有する弾性表面波素子を得ることができるので、弾性表面波素子の製造時の歩留まりの向上を図ることができる。
本発明の弾性表面波素子の製造方法では、前記伝播速度を測定する工程において、前記入力用の櫛歯状電極に通電して、前記基体に弾性表面波を励振させ、前記出力用の櫛歯状電極から出力された電気信号の共振周波数に基づいて、前記伝播速度を測定することが好ましい。
これにより、比較的簡単に、基体に弾性表面波を生じさせ、その伝播速度を測定することができる。
本発明の弾性表面波素子の製造方法では、前記圧電体層と前記保護膜とは、互いの温度特性を相殺または緩和するような材料で構成されていることが好ましい。
これにより、幅広い温度領域で所望の周波数特性を発揮する弾性表面波素子を得ることができる。
本発明の弾性表面波素子の製造方法では、前記基体は、前記圧電体層の前記櫛歯状電極と反対側に下地層を有することが好ましい。
これにより、下地層の構成材料を適宜設定することにより、弾性表面波の特性を所望のものに設定することができる。
本発明の弾性表面波素子の製造方法では、前記下地層は、前記圧電材料よりも硬質な材料で構成されていることが好ましい。
これにより、圧電体層での弾性表面波の伝播特性に優れた弾性表面波素子を得ることができる。特に、弾性表面波の高周波化を容易に図ることができる。
本発明の弾性表面波素子の製造方法では、前記伝播速度を測定する工程において、前記基体の弾性表面波の0次モードの伝播速度を測定し、前記設定膜厚を決定する工程において、測定された前記0次モードの伝播速度と、得られる弾性表面波素子の2次モードの弾性表面波の設定伝播速度との相関関係を用いて、前記設定膜厚を決定することが好ましい。
これにより、正確に保護膜の設定膜厚を決定することができる。
本発明の弾性表面波素子の製造方法では、前記設定膜厚を決定する工程において、測定された前記0次モードの伝播速度をV0とし、得られる弾性表面波素子の2次モードの弾性表面波の設定伝播速度をV2とし、得られる弾性表面波素子の2次モードの弾性表面波の設定周波数をkとし、前記保護膜の前記設定膜厚をhとし、前記下地層の構成材料、前記電極の構成材料、前記圧電材料、および前記保護膜の構成材料により定まる定数をA、Bとしたときに、h=((V2/V0)−B)/A・kの関係を用いて、前記設定膜厚を決定することが好ましい。
これにより、簡単かつ正確に保護膜の設定膜厚を決定することができる。
本発明の弾性表面波素子の製造方法では、前記下地層はダイヤモンドで構成され、前記電極はAlを主材料として構成され、前記圧電材料は酸化亜鉛であり、前記保護膜は酸化シリコンを主材料として構成されており、定数Aは−0.7〜−0.5であり、定数Bは1.8〜1.9であることが好ましい。
このような材料で弾性表面波素子を構成し、前述したような関係を用いて保護膜の設定膜厚を決定することにより、簡単かつ正確に保護膜の設定膜厚を決定するとともに、得られる弾性表面波素子の特性を特に優れたものとすることができる。
以下、本発明の弾性表面波素子の製造方法の好適な実施形態について説明する。
<弾性表面波素子>
まず、本実施形態の弾性表面波素子の製造方法によって得られる弾性表面波素子の一例を図1または図2に基づいて説明する。
図1は、本実施形態の弾性表面波素子を模式的に示す斜視図、図2は、図1に示す弾性表面波素子のA−A線断面図である。なお、以下の説明では、図2中の上側を「上」、下側を「下」と言う。
図1および図2に示す弾性表面波素子1は、トランスバーサル型構造の弾性表面波素子である。このような弾性表面波素子1は、図1および図2に示すように、基板2と、基板2上に設けられた下地層3と、下地層3上に設けられた圧電体層4と、圧電体層4上に設けられた入力用のIDT(櫛歯状電極)5および出力用のIDT(櫛歯状電極)6と、IDT5、6を保護する保護膜(絶縁膜)7とを有している。
基板2は、圧電体層4を支持または補強する機能を有する。なお、圧電体層4の厚さや強度などにより圧電体層4を支持または補強する必要がない場合には、基板2を省略することができる。
基板2の構成材料としては、例えば、Si、GaSi、SiGe、GaAs、STC、InPのような各種半導体材料、水晶、各種ガラス材料、各種セラミックス材料、ポリイミド、ポリカーボネートのような各種樹脂材料等が挙げられる。
基板2の厚さ(平均)は、特に限定されないが、0.05〜1mm程度であるのが好ましく、0.1〜0.8mm程度であるのがより好ましい。
また、基板2は、単層で構成されたもののみならず、複数の層の積層体で構成されたものでもよく、この場合、各層は、前述したような材料を任意に組み合わせて用いることができる。
このような基板2の上面には、下地層3が接合されている。
下地層3は、圧電体層4において励振される弾性表面波の特性(条件)を設定する機能を有するものである。この特性としては、例えば、発振周波数、振幅、伝搬速度等が挙げられる。
このように圧電体層4のIDT5、6と反対側に下地層3を有していると、下地層3の構成材料を適宜設定することにより、弾性表面波の特性を所望のものに設定することが可能となる。
このような下地層3の構成材料としては、例えば、ダイヤモンド、シリコン、サファイヤ、ガラス、水晶、タンタル酸リチウム、ニオブ酸カリウム、ニオブ酸リチウム等が挙げられ、これらのうちの1種を単独でまたは2種以上を組み合わせたものを主材料とするものが好ましい。特に、下地層3は、圧電体層4を構成する圧電材料よりも硬質な材料で構成されているのが好ましい。より具体的には、下地層3の構成材料としては、ダイヤモンド、サファイヤ、タンタル酸リチウム、ニオブ酸カリウムのうちの1種を単独でまたは2種以上を組み合わせたものを主材料とするものが好適である。これにより、圧電体層4での弾性表面波の伝播特性に優れた弾性表面波素子1を得ることができる。特に、弾性表面波の高周波化を容易に図ることができる。その結果、無線LANや光通信などの高速通信分野への適用を目的として要求される弾性表面波の高周波化に寄与することができる。
下地層3の厚さ(平均)は、特に限定されないが、1〜20μm程度であるのが好ましく、3〜10μm程度であるのがより好ましく、3〜5μm程度であるのがさらに好ましい。
また、下地層3は、単層で構成されたもののみならず、目的とする弾性表面波の特性に応じて、複数の層の積層体で構成することもできる。なお、下地層3は、必要に応じて設けられるものであり、省略することもできる。
このような下地層3の上面には、圧電体層4が接合されている。
圧電体層4は、弾性表面波の伝搬媒体として機能するものである。
この圧電体層4の構成材料としては、例えば、酸化亜鉛、窒化アルミニウム、タンタル酸リチウム、ニオブ酸リチウム、ニオブ酸カリウム等が挙げられ、これらのうちの1種を単独でまたは2種以上を組み合わせたものを主材料とするものが好ましい。このような材料で圧電体層4を構成することにより、高周波であり、なおかつ温度特性に優れた弾性表面波素子を作成できるという効果が得られる。
また、圧電体層4の厚さ(平均)は、特に限定されないが、例えば、0.01〜5μm程度であるのが好ましく、0.1〜2μm程度であるのがより好ましい。
IDT(入力用の櫛歯状電極)5は、電気信号を受け(電圧が印加され)、これにより、圧電体層4に弾性表面波を励振させる機能を有するものである。一方、IDT(出力用の櫛歯状電極)6は、圧電体層4を伝搬する弾性表面波を受け、これを電気信号に変換する機能を有するものである。すなわち、弾性表面波素子1は、電気信号の入力用および出力用の1対のIDT(櫛歯状電極)5、6を有している。
したがって、IDT5に駆動電圧(電気信号)が入力されると、圧電体層4において弾性表面波が励振され、フィルタリング機能による特定の周波数帯域の電気信号が、IDT6から出力される。
IDT5は、1対の電極5a、5bで構成され、互いに間隔を隔てて並設された複数の電極指51を有している。これと同様に、IDT6は、1対の電極6a、6bで構成され、互いに間隔を隔てて並設された複数の電極指61を有している。このようなIDT5、6の電極指の幅、間隔、厚さ等を調整することにより、弾性表面波の発振周波数の特性を所望のものに設定することができる。
IDT5、6の構成材料としては、それぞれ、例えば、Al、Cu、W、Mo、Ti、Au、Y、Pb、Scまたはこれらを含む合金等が挙げられ、これらのうちの1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
このようなIDT5、6を覆うように、保護膜7が設けられている。
保護膜7は、IDT5、6を保護する機能を有する。これにより、IDT5、6の表面に異物が付着して電極指51間、電極指61間でショートが生じるのを防止することができる。
また、保護膜7は、弾性表面波素子1の温度特性を低減(改善)させる機能をも有するものである。ここで、温度特性(周波数温度特性)とは、温度変化に伴って、発振周波数が変動する特性(現象)のことを言う。
この保護膜7は、好ましくは圧電体層4と異符号の温度特性を有するもの、すなわち、例えば、圧電体層4が負の温度特性を有するものであれば、正の温度特性を有するものとされる。これにより、弾性表面波素子1の温度特性の顕著な低減効果が得られる。
この保護膜7の構成材料としては、特に限定されないが、圧電体層4を前述したような材料で構成する場合には、例えば、SiO(酸化ケイ素)あるいはSiO、Al、CuO、Ta、TiOのような酸化物、Si、AlNのような窒化物、TiC、SiCのような炭化物等が挙げられ、これらのうちの1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
これらの中でも、保護膜7の構成材料としては、特に、酸化シリコン、五酸化タンタル、窒化シリコン、窒化チタンのうちの1種を単独でまたは2種以上を組み合わせたものを主材料とするものが好ましい。このような材料で保護膜7を構成することにより、弾性表面波素子1の温度特性をより確実に低減させることができる。また、圧電体層4との密着性の向上を図ることもできる。さらに、これらの材料は、絶縁性にも優れ、IDT5、6におけるマイグレーションの発生等を好適に防止することができ、弾性表面波素子1の経時的劣化を抑制する観点からも好ましい。
ここで、図3に、下地層3をダイヤモンドで構成し、圧電体層4を酸化亜鉛で構成し、IDT5、6をアルミニウムで構成し、保護膜7を酸化シリコンで構成した場合の弾性表面波素子1の温度特性(図3中X)を模式的に示す。
また、図3には、保護膜7を設けない場合、すなわち、圧電体層4自体の温度特性(図3中Y)および酸化シリコン、すなわち、保護膜7自体の温度特性(図3中Z)についても示した。
この図に示すように、負の温度特性を有する圧電体層4上に、これとは異符号である正の温度特性を有する保護膜7を設けることにより、互いの温度特性が相殺され、弾性表面波素子1の温度特性が低減する(発振周波数の温度依存性が緩和される)。
<弾性表面波素子の製造方法>
このような弾性表面波素子1は、次のようにして製造することができる。
図4は、図1および図2に示す弾性表面波素子の製造方法を説明するための図(断面図)、図5は、かかる製造方法における基体の弾性表面波の伝播速度の測定を説明するための図、図6は、弾性表面波素子1の製造工程途中の基体1aの弾性表面波の伝播速度と、弾性表面波素子1の弾性表面波の伝播速度との関係を説明するためのグラフである。なお、図4では、図1に示すA−A線断面図に対応する断面図を示している。
弾性表面波素子1の製造方法にあっては、[1]圧電体層4上に1対のIDT5、6を形成して、基体1aを得る第1の工程と、[2]基体1aに弾性表面波を励振させ、その伝播速度を測定する第2の工程と、[3]測定された伝播速度に基づいて、保護膜7の設定膜厚を決定する第3の工程と、[4]決定された設定膜厚となるように保護膜7を形成する第4の工程とを有する。
このような弾性表面波素子1の製造方法によれば、保護膜7の設定膜厚を実際の圧電体層4の厚さや膜質(例えば密度)などの状態に応じたものとし、所望の周波数特性を有する弾性表面波素子1を得ることができる。また、製造工程時に圧電体層4の厚さや膜質(例えば密度)などの状態が変動しても、その変動に対応して、所望の周波数特性を有する弾性表面波素子1を得ることができるので、歩留まりの向上を図ることができる。以下、本実施形態の弾性表面波素子1の製造方法の各工程を順次詳細に説明する。
[1] 第1の工程
まず、図4(a)に示すように、基板2上に下地層3を形成する。
下地層3の形成には、例えば、プラズマCVD、熱CVD、レーザーCVDのような化学蒸着法(CVD)、真空蒸着、スパッタリング、イオンプレーティング等の乾式メッキ法、電解メッキ、浸漬メッキ、無電解メッキ等の湿式メッキ法、溶射、シート状部材の接合等を用いることができる。
次に、図4(b)に示すように、下地層3上に圧電体層4を形成する。なお、基板2、下地層3を省略することができ、下地層3のみを省略する場合には、基板2上に圧電体層4を形成し、基板2および下地層3の両方を省略する場合には、板状または膜状などの圧電体層4を用意する。
圧電体層4は、下地層3の形成と同様にして行うことができる。
次に、例えば、圧電体層4上に、導電性材料層を形成した後、この導電性材料層に、IDT5、6に対応する形状のマスクを用いて、エッチングを施すことにより、図4(c)に示すように、IDT5、6を形成して、基体1aを得る。
導電性材料層の形成には、例えば、ディッピング法、印刷法、電解メッキ、浸漬メッキ、無電解メッキ等の湿式メッキ法、プラズマCVD、熱CVD、レーザーCVDのような化学蒸着法(CVD)、真空蒸着、スパッタリング、イオンプレーティング等の乾式メッキ法、溶射、金属箔の接合等を用いることができる。
また、エッチングには、例えば、リアクティブイオンエッチング(RIE)、プラズマエッチング、ビームエッチング、光アシストエッチングのようなドライエッチング、ウェットエッチング等を用いることができる。
[2] 第2の工程
次に、図5に示すように、通電回路8により基体1aに弾性表面波を励振させ、その伝播速度を測定装置9により測定する。ここで、基体1aは、弾性表面波素子1から保護膜7を除いたもの、すなわち、保護膜7を形成する直前の状態のものである。なお、基板2のみを省略した場合には、下地層3上に圧電体層4、IDT5、6を順次形成したものを基体とし、下地層3のみを省略した場合には、基板2上に圧電体層4、IDT5、6を順次形成したものを基体とし、基板2および下地層3の両方を省略する場合には、圧電体層4上にIDT5、6を形成したものを基体とし、弾性表面波の伝播速度を測定する。
基体1aの弾性表面波の伝播速度の測定方法としては、基体1aの弾性表面波の伝播速度を測定することができるものであれば、特に限定されないが、入力用のIDT5に通電して、基体1aに弾性表面波を励振させ、出力用のIDT6から出力された電気信号の共振周波数に基づいて、伝播速度を測定する方法を用いるのが好ましい。
より具体的には、入力用のIDT5に通電回路8を接続するとともに、出力用のIDT6に測定装置9を接続する。
そして、通電回路8により入力用のIDT5に通電して、基体1aに弾性表面波を励振させ、測定装置9により、出力用のIDT6から出力された電気信号の共振周波数に基づいて、前記伝播速度を測定する。
このような方法を用いることにより、比較的簡単に、基体1aに弾性表面波を生じさせ、その伝播速度を測定することができる。
[3] 第3の工程
次に、測定された伝播速度に基づいて、得られる弾性表面波素子1の弾性表面波の伝播速度が目的とする設定伝播速度となるように、保護膜7の設定膜厚を決定する。
保護膜7の設定膜厚の決定方法としては、圧電体層4の膜厚や膜質などの状態、その他基体1aの状態に応じて最適な保護膜7の設定膜厚を決定することができるものであれば、特に限定されないが、本実施形態のように弾性表面波素子が多層構造をなしている場合、前述した伝播速度を測定する工程(第2の工程)において、基体1aの弾性表面波の0次モードの伝播速度を測定し、本工程(第3の工程)において、測定された0次モードの伝播速度と、得られる弾性表面波素子1の2次モードの弾性表面波の設定伝播速度との相関関係を用いて、設定膜厚を決定するのが好ましい。これにより、正確に保護膜7の設定膜厚を決定することができる。
なお、本実施形態の基体1aや弾性表面波素子1のように多層構造をなしている場合に、基体1aや弾性表面波素子1を駆動すると、伝播速度の異なる複数の弾性表面波が励起される。この場合、励振モードとして、伝播速度の小さいほうから高いほうへ、0次モード、1次モード、2次モード・・・・というように規定される。
より具体的には、設定膜厚を決定する工程(第3の工程)において、測定された0次モードの伝播速度をV0とし、得られる弾性表面波素子1の2次モードの弾性表面波の設定伝播速度をV2とし、得られる弾性表面波素子1の2次モードの弾性表面波の設定周波数をkとし、保護膜7の設定膜厚をhとし、下地層3の構成材料、IDT5,6の構成材料、圧電体層4の圧電材料、および保護膜7の構成材料により定まる定数をA、Bとしたときに、h=((V2/V0)−B)/A・kの関係を用いて、設定膜厚を決定するのが好ましい。これにより、簡単かつ正確に保護膜の設定膜厚を決定することができる。
この関係を図6を用いて説明すると、基体1aにおいて、圧電体層4の膜厚h1と波数kとの積kh1と、0次モードの弾性表面波の伝播速度V0の関係は、図6(a)に示すようなものとなる。
一方、得られる弾性表面波素子1において、保護膜7の膜厚hと波数kとの積kh2と、2次モードの弾性表面波の伝播速度V2との関係は、図6(b)に示すようなものとなる。
そして、V2/V2と、保護膜7の膜厚hとの関係は、図6(c)に示すように1次関数的なものとなる。すなわち、伝播速度V0、設定伝播速度V2、設定周波数k、保護膜7の設定膜厚h、定数をA、Bは、V2/V0=A×kh+Bなる関係を満たす。
例えば、下地層3がダイヤモンドで構成され、IDT5、6がAlを主材料として構成され、圧電材料が酸化亜鉛であり、保護膜7が酸化シリコンを主材料として構成されている場合、前述した定数Aは−0.7〜−0.5であり、定数Bは1.8〜1.9である。このような材料で弾性表面波素子1を構成し、前記関係を用いて保護膜7の設定膜厚を決定することにより、簡単かつ正確に保護膜7の設定膜厚を決定するとともに、得られる弾性表面波素子1の特性を特に優れたものとすることができる。
[4] 第4の工程
次に、決定された設定膜厚となるように、圧電体層4上に保護膜7形成する(図4中(d))。
保護膜7の形成は、前述した下地層3の形成と同様にして行うことができるが、その中でも、特に、プラズマCVDを用いるのが好ましい。プラズマCVDによれば、成膜条件を調整することで、保護膜7の膜厚を正確かつ簡単に設定膜厚とすることができる。この成膜条件としては、高周波電力の供給量、装置内圧力、サンプル温度、ガス流量、ガス組成比等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせることができる。
保護膜7の構成材料としては、前述したような各種材料を用いることができるが、特に、図3を用いて先に説明したように圧電体層4の温度特性を相殺または緩和するような材料を用いるのが好ましい。すなわち、圧電体層4と保護膜7とは、互いの温度特性を相殺または緩和するような材料で構成されているのが好ましい。これにより、幅広い温度領域で所望の周波数特性を発揮する弾性表面波素子1を得ることができる。
以上のような工程を経て、本発明の弾性表面波素子1が製造される。この弾性表面波素子1の電気的特性および温度特性は、例えば、ネットワークアナライザ等を用いることにより確認することができる。
このような弾性表面波素子1は、温度特性の変動が好適に抑制され、かつ、発振周波数の調整が良好になされており、周波数精度および温度特性精度が高いものとなる。
上述したような弾性表面波素子1は、各種の電子機器に適用することができ、得られる電子機器は、信頼性の高いものとなる。
電子機器としては、特に限定されないが、例えば、パーソナルコンピュータ(モバイル型パーソナルコンピュータ)、携帯電話機、ディジタルスチルカメラ、インクジェット式吐出装置(例えばインクジェットプリンタ)、ラップトップ型パーソナルコンピュータ、テレビ、ビデオカメラ、ビデオテープレコーダ、カーナビゲーション装置、ページャ、電子手帳(通信機能付も含む)、電子辞書、電卓、電子ゲーム機器、ワードプロセッサ、ワークステーション、テレビ電話、防犯用テレビモニタ、電子双眼鏡、POS端末、医療機器(例えば電子体温計、血圧計、血糖計、心電図計測装置、超音波診断装置、電子内視鏡)、魚群探知機、各種測定機器、計器類(例えば、車両、航空機、船舶の計器類)、フライトシュミレータ等に適用することができる。
以上、本発明の弾性表面波素子の製造方法について、図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明は、これらに限定されるものではない。
例えば、本発明を適用可能な弾性表面波素子は、前述した実施形態のものに限定されず、各部の構成は、同様の機能を有する任意の構成のものに置換することができる。また、本発明に、他の任意の構成物が付加されていてもよい。
よリ具体的には、いわゆる1ポート型と呼ばれるタイプの弾性表面波素子に本発明を適用することもできる。この場合、電気信号の入力用の櫛歯状電極が出力用の櫛歯状電極を兼ねるようにし、その両側に、弾性表面波を反射する反射器を設ける。
本発明の弾性表面波素子の実施形態を模式的に示す平面図である。 図1に示す弾性表面波素子のA−A線断面図である。 温度変化に伴う発振周波数の変動を示す模式図である。 図1および図2に示す弾性表面波素子の製造方法を説明するための図(断面図)である。 本実施形態にかかる弾性表面波素子の製造方法における基体の弾性表面波の伝播速度の測定を説明するための図である。 弾性表面波素子の製造工程途中の基体の弾性表面波の伝播速度と、弾性表面波素子の弾性表面波の伝播速度との関係を説明するためのグラフである。
符号の説明
1‥‥弾性表面波素子 1a‥‥基体 2‥‥基板 3‥‥下地層 4‥‥圧電体層 5‥‥IDT(入力用の櫛歯状電極) 6‥‥IDT(出力用の櫛歯状電極) 5a、5b、6a、6b‥‥電極 51、61‥‥電極指 7‥‥保護膜 8‥‥通電回路 9‥‥測定装置

Claims (8)

  1. 圧電材料を主材料として構成された圧電体層上に、電気信号の入力用および出力用の1対の櫛歯状電極と、該1対の櫛歯状電極を保護する保護膜とを順次積層する弾性表面波素子の製造方法であって、
    前記圧電体層上に前記1対の櫛歯状電極を形成して、基体を得る工程と、
    前記基体に弾性表面波を励振させ、その伝播速度を測定する工程と、
    測定された前記伝播速度に基づいて、得られる弾性表面波素子の弾性表面波の伝播速度が目的とする設定伝播速度となるように、前記保護膜の設定膜厚を決定する工程と、
    決定された前記設定膜厚となるように前記保護膜を形成する工程とを有することを特徴とする弾性表面波素子の製造方法。
  2. 前記伝播速度を測定する工程において、前記入力用の櫛歯状電極に通電して、前記基体に弾性表面波を励振させ、前記出力用の櫛歯状電極から出力された電気信号の共振周波数に基づいて、前記伝播速度を測定する請求項1に記載の弾性表面波素子の製造方法。
  3. 前記圧電体層と前記保護膜とは、互いの温度特性を相殺または緩和するような材料で構成されている請求項1または2に記載の弾性表面波素子の製造方法。
  4. 前記基体は、前記圧電体層の前記櫛歯状電極と反対側に下地層を有する請求項1ないし3のいずれかに記載の弾性表面波素子の製造方法。
  5. 前記下地層は、前記圧電材料よりも硬質な材料で構成されている請求項4に記載の弾性表面波素子の製造方法。
  6. 前記伝播速度を測定する工程において、前記基体の弾性表面波の0次モードの伝播速度を測定し、前記設定膜厚を決定する工程において、測定された前記0次モードの伝播速度と、得られる弾性表面波素子の2次モードの弾性表面波の設定伝播速度との相関関係を用いて、前記設定膜厚を決定する請求項4または5に記載の弾性表面波素子の製造方法。
  7. 前記設定膜厚を決定する工程において、測定された前記0次モードの伝播速度をV0とし、得られる弾性表面波素子の2次モードの弾性表面波の設定伝播速度をV2とし、得られる弾性表面波素子の2次モードの弾性表面波の設定周波数をkとし、前記保護膜の前記設定膜厚をhとし、前記下地層の構成材料、前記電極の構成材料、前記圧電材料、および前記保護膜の構成材料により定まる定数をA、Bとしたときに、h=((V2/V0)−B)/A・kの関係を用いて、前記設定膜厚を決定する請求項6に記載の弾性表面波素子の製造方法。
  8. 前記下地層はダイヤモンドで構成され、前記電極はAlを主材料として構成され、前記圧電材料は酸化亜鉛であり、前記保護膜は酸化シリコンを主材料として構成されており、定数Aは−0.7〜−0.5であり、定数Bは1.8〜1.9である請求項7に記載の弾性表面波素子の製造方法。
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JP2009284474A (ja) * 2008-04-24 2009-12-03 Panasonic Corp 弾性波素子
US8004148B2 (en) 2008-08-13 2011-08-23 Seiko Epson Corporation Surface acoustic wave element
JP2016096378A (ja) * 2014-11-12 2016-05-26 株式会社デンソー 弾性表面波素子

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