JP2007067260A - 導電性回路の形成方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 高温多湿の環境下においても高周波信号に対して誘電正接が低い特性を有し、残存するマスキング材と基体との密着性に優れる導電性回路を、簡易かつ低コストで形成できる。
【解決手段】 軟質重合体と触媒とを混合分散したノルボルネン系樹脂を射出成形して一次基体1を形成し、その表面上にノルボルネン系樹脂を射出成形してマスキング層2を形成する。エッチング液に浸漬すると、ノルボルネン系樹脂は耐薬品性に優れるためマスキング層2の表面は粗化されず、一方このマスキング層で覆われていない一次基体1の表面、すなわち導電性回路を形成すべき部分1aは、混合分散した軟質重合体が溶解して粗化される。次いで無電解めっき液に浸漬すると、マスキング層2で覆われていない一次基体1の導電性回路を形成すべき部分1aにのみ、選択的に導電層4が形成できる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、熱可塑性樹脂を射出成形した基体の表面を、熱可塑性樹脂を射出成形したマスキング層で覆い、このマスキング層で覆われていない部分に導電性回路を形成する方法に関し、特に熱可塑性樹脂としてノルボンネン系樹脂を使用する導電性回路の形成方法に関する。
携帯電話機等の電子機器に使用する電気回路を形成するため、無電解めっきによって、絶縁性樹脂の表面に、銅等の導電性物質の層からなる所定の回路パターンを形成する方法が各種提案されている。これらの方法の一つに、高周波信号に対して誘電正接が低く、かつ耐薬品性に優れるノルボルネン系樹脂を射出成形した基体の表面に、無電解めっきによって導電性物質の層からなる所定の回路パターンを形成する方法がある(例えば特許文献1参照。)。
この導電性物質の層からなる所定の回路パターンを形成する方法は、次のとおりである。すなわち、まずゴム弾性体である軟質重合体を含有させた非結晶性樹脂であるノルボルネン系樹脂を、射出成形して基板を形成する。次いでこの基板の表面に、熱可塑性のポリエステル系エラストマを射出成形等して、導電性回路を形成すべき部分を残してマスキングする。そしてこのようにマスキングした基板をエッチング液に浸漬して、ゴム弾性体である軟質重合体を含有する基板と、マスキング材との表面を粗化し、この粗化した基板とマスキング材との表面に、無電解メッキの触媒核となる触媒を付与する。なおノルボルネン系樹脂自体は、耐エッチング性を有するが、このノルボルネン系樹脂に含有させたゴム弾性体である軟質重合が、エッチング液によって溶解するため、マスキングで覆われていない基板の表面が粗化される。
次に基板の表面を覆うマスキング材を除去すると、この基板の表面には、表面が粗化され、かつ触媒が付与された導電性回路を形成すべき部分が形成されるので、この基板全体を無電解めっき液に浸漬すれば、この導電性回路を形成すべき部分に導電性回路を形成することができる。なおマスキング材を除去した部分は、無電解めっきに必要な表面粗化と触媒付与とがなされていないため、めっき層は形成されず、導電性回路の絶縁性が確保される。
また従来から、パラジウム等の触媒を混合したポリエステル等の絶縁性樹脂によって基体を形成し、この基体の表面を、導電性回路を形成すべき部分を残して、パラジウム等の触媒を混合しないポリエステル等の絶縁性樹脂でマスキングして、全体をエッチング液に浸漬して表面を粗化し、この導電性回路を形成すべき部分に、無電解めっきを行なう手段が提案されている(例えば特許文献2参照。)。
特開2003−115645号公報(1〜7頁) 特開昭61−239694号公報(1〜6頁)
上述した特許文献1に記載の手段は、導電性回路を形成する基板として、高周波信号に対して誘電正接が低く、かつ耐薬品性、耐熱性、及び耐水性等を有するノルボルネン系樹脂を使用することによって、高周波領域における誘電損が低く、耐久性に優れた回路基板を提供するものである。しかるにこの手段では、基板にマスキングを行なった後で、無電解めっきの金属を析出させるために必要な触媒を付与している。さらに基板及びマスキングの全体に触媒を付与した後で、マスキングを除去している。このため回路の形成途中で、触媒を付与する工程と、マスキングを除去する工程とを、それぞれ別個単独で設ける必要があり、その分手間とコストが掛かるという問題がある。
そこでこのような問題を解決するため、特許文献2に記載してある手段を適用することが考えられる。すなわちノルボルネン系樹脂に、ゴム弾性体である軟質重合体の他に、パラジウム等の触媒を混合したものを射出成形して、基板を形成する手段が考えられる。このように形成した基板は、軟質重合体を含有しているため、特許文献1に記載されているように、エッチングによって表面を粗化することができる。またこの粗化された基体の表面には触媒が存在する。したがって基体の粗化された表面には、無電解めっき層を形成することができる。一方マスキングは触媒を混合していないため、このマスキングの表面には無電解めっき層が形成されない。
したがって、基板のマスキングで覆われていない部分、すなわち導電性回路を形成すべき部分だけに無電解めっき層が形成され、マスキングの表面には無電解めっき層が存在しないため、マスキングを除去する必要がなくなる。そこでこのような手段を用いれば、特許文献1の手段のように、導電性回路の形成途中で、触媒を付与する工程と、マスキングを除去する工程とを、それぞれ別個単独で設ける必要がなくなると考えられる。
しかるに上述した特許文献1と2とを組み合わせた手段でも、なお次のような改良すべき問題がある。すなわち触媒を混合していないマスキングの表面には、無電解めっき層が形成されないため、めっき後にマスキングを除去する必要がないが、無電解めっき前の工程において、基板とマスキングとを共にエッチング液に浸漬すると、このマスキングの材質によっては、基体と共に表面が粗化される。そしてマスキングの表面は、粗化されると親水性となり、梅雨時や夏場等の高温多湿の環境下では、導電性回路を相互に隔てるマスキングの絶縁抵抗が低下してしまうという問題が生じる。
次に基板とマスキングとが、互いに異なる材質の場合には、双方の相溶性が低く、基板の表面との密着性が不十分で、境界面にエッチング液が侵入したり、マスキングが剥がれたりするという問題がある。さらに基体はノルボルネン系樹脂であるため、高周波信号に対して誘電正接が低い特性を有するが、基板の表面に残したマスキングが高周波信号に対して誘電正接が低い特性を有するか否かが問題となる。
そこで本発明の目的は、上述した課題、すなわち途中工程において触媒付与とマスキング除去との工程を、別途単独で設ける必要がなく、マスキングの表面が粗化されず、マスキングと基体との密着性に優れ、さらに基体とマスキングとの両方について、高周波信号に対して誘電正接が低い特性を有する導電性回路の形成方法を提供することにある。
本願発明者は、鋭意研究を重ねた結果、基体と、この基体の表面であって導電性回路を形成すべき部分以外を覆うマスキングとの双方にノルボルネン系樹脂を使用し、さらにこの基体を形成するノルボルネン系樹脂に、軟質重合体と無電解めっき用の触媒とを混合することにより、上述した全ての課題を、一挙に解決できることを見出した。
すなわちノルボルネン系樹脂は、上述したように高周波信号に対して誘電正接が低く、かつ耐薬品性、耐熱性、及び耐水性等を有するため、これを基体だけでなく、基体とマスキングとの双方に使用することによって、基体だけにノルボルネン系樹脂を使用する場合に比べて、より高周波領域における誘電損が低く、耐久性に優れた回路基板を形成できる。次にノルボルネン系樹脂は、優れた耐エッチング性を有するため、基体の表面であって導電性回路を形成すべき部分を粗化する際に、マスキングの表面は粗化されず疎水性を維持できる。したがって梅雨時や夏場等の高温多湿の環境下でも、導電性回路を相互に隔てるマスキングの絶縁抵抗が低下してしまうという問題が生じない。さらに基体とマスキングとは、共にノルボルネン系樹脂を使用しているため、相溶性が極めて高く、マスキングが基体から剥がれるという問題が生じない。
また基体には、軟質重合体と無電解めっき用の触媒とが混合してあるため、マスキングで覆われていない部分は、エッチング液でこの軟質重合体を溶解することによって、表面を容易に粗化することができ、この粗化した表面には触媒が存在するため、容易に無電解めっき層を形成することができる。一方マスキングは、表面が粗化されず、かつ触媒を含有していないため、無電解めっき層が形成されない。したがって導電性回路の形成の途中工程において、触媒付与とマスキング除去の工程を別途単独で設ける必要がなく、工程の簡易化と低コスト化を図ることができる。
すなわち本発明による導電性回路の形成方法の特徴は、軟質重合体と無電解めっき用の触媒とを混合したノルボルネン系樹脂を射出成形して、一次基体を形成する第1の工程と、軟質重合体と無電解めっき用の触媒とを混合しないノルボルネン系樹脂を用いて、上記一次基体の表面であって、所定の回路パターンからなる導電層を形成すべき部分以外を覆うマスキング層を射出成形して、二次基体を形成する第2の工程と、この一次基体の表面であって、このマスキング層に覆われていない導電層を形成すべき部分を粗化する第3の工程と、この一次基体の表面であって、この粗化した導電層を形成すべき部分に無電解めっきによって導電層を形成する第4の工程とを備えることにある。
また上述した手段とは逆に、基体をノルボルネン系樹脂で形成し、この基体の表面上に、軟質重合体と無電解めっき用の触媒とを混合したノルボルネン系樹脂を射出成形して被めっき層を形成すれば、この被めっき層の表面だけに、選択的に無電解めっき層を形成することができ、上述した特性と同等の特性を備えることができる。すなわちこの導電性回路の形成方法の特徴は、軟質重合体と無電解めっき用の触媒とを混合しないノルボルネン系樹脂を射出成形して一次基体を形成する第1の工程と、軟質重合体と無電解めっき用の触媒とを混合したノルボルネン系樹脂を用いて、この一次基体の表面上であって所定の回路パターンからなる導電層を形成すべき部分に、被めっき層を射出成形して二次基体を形成する第2の工程と、この被めっき層の表面を粗化する第3の工程と、この粗化した被めっき層の表面に無電解めっきによって導電層を形成する第4の工程とを備えることにある。
なお上記一次基体は貫通孔を有し、上記被めっき層の一部は、この貫通孔を通じてこの一次基体の一方の表面と他方の表面との両表面に射出成形してあることが望ましい。このように構成することによって、例えば一次基体の表と裏との両面を被めっき層で覆う場合には、一次基体の一方の面側からノルボルネン系樹脂を金型に充填すれば足りるため、金型形状の簡易化等を図ることができる。
ここで「軟質重合体」とは、エッチング液に溶解する素材を意味し、例えば天然ゴム、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリイソブチレン、ネオプレン、ポリスルフィドゴム、チオコールゴム、アクリルゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴム、エピクロロヒドリンゴム、スチレン−ブタジエンブロック共重合体、水素添加スチレン−ブタジエンブロック共重合体(SEB)、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SBS)、水素添加スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SEBS)、スチレン−イソプレンブロック共重合体、水素添加スチレン−イソプレンブロック共重合体(SEP)、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(SIS)、水素添加スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(SEPS)、またはエチレンプロピレンゴム(EPM)、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)、エチレン−ブテン共重合体、エチレン−オクテン共重合体、直鎖状低密度ポリエチレン系エラストマー等のオレフィン系ゴム、あるいはブタジエン−アクリロニトリル−スチレン−コアシェルゴム(ABS)、メチルメタクリレート−ブタジエン−スチレン−コアシェルゴム(MBS)、メチルメタクリレート−ブチルアクリレート−スチレン−コアシェルゴム(MAS)、オクチルアクリレート−ブタジエン−スチレン−コアシェルゴム(MABS)、アルキルアクリレート−ブタジエン−アクリロニトリル−スチレン−コアシェルゴム(AABS)、ブタジエン−スチレン−コアシェルゴム、メチルメタクリレート−ブチルアクリレート−シロキサンのようなシロキサン含有コアシェルゴム等のコアシェルタイプの粒子状弾性体、またはこれらを変性したゴム等が該当する。
また「無電解めっき用の触媒」とは、無電解めっき用の金属が、最初に析出する触媒核を形成する貴金属を意味し、プラチナ、金、銀、あるいはパラジウム等が該当する。「ノルボルネン系樹脂」とは、例えばノルボルネン系単量体とオレフィンとの付加重合体、ノルボルネン系単量体の付加重合体、ノルボルネン系単量体の開環重合体及びその水素化物、芳香族ビニル単量体の重合体の芳香環部分を水素化したもの、芳香族ビニル単量体と共役ジエン単量体とのランダムまたはブロック共重合体の芳香環部分を水素化したもの、及び脂環式ビニル単量体の重合体等の非晶性樹脂が挙げられる。なおここで、ノルボルネン系単量体とは、シクロペンタジエンとオレフィンとの付加反応等によって得られるノルボルネン、ジシクロペンタジエン、及びテトラシクロドデセン等の多環不飽和炭化水素、並びにそれらのアルキル置換体、カルボキシル基、酸無水物基、エポキシ基、アミド基、及びエステル基等の極性基置換体である多環不飽和炭化水素誘導体を意味する。
「一次基体」とは、その表面に後述する「マスキング層」あるいは「被めっき層」を射出成形することができる部品また部品の部分を意味し、その形状は問わない。また平面的なものに限らず、立体的な回路を形成するものも含む。「所定の回路パターン」とは、後述する無電解めっきによって導電性回路を形成すべき部分を意味し、2次元的なものに限らず、3次元的なものも含む。また一次基体の表面に開口する内部空間の表面に設ける場合も含む。「導電層」とは、後述する無電解めっきによって形成する金属層を意味する。
「マスキング層」とは、一次基体の表面上であって、所定の部分を除いた部分を覆う被覆層を意味し、最終的には一次基体の表面上に形成した各々の導電性回路を、相互に電気的に絶縁するものを意味する。また「二次基体」とは、一次基体と、この一次基体の表面上に射出成形した「マスキング層」、あるいは「被めっき層」との両方を含む全体を意味する。「粗化」とは、上述した「軟質重合体」を混合して射出成形した一次基体または被めっき層を、エッチング液に浸漬等した場合に、この一次基体または被めっき層の表層に混合分散する「軟質重合体」が選択的に溶解し、溶解除去された欠落部分によって、表面の粗さを増すことを意味する。「無電解めっき」とは、公知の技術であって、めっき液中の還元剤の酸化分解によって電子が放出され、この遊離電子による還元作用によって、めっき液中の溶解金属を被めっき面に析出するものを意味し、無電解めっきによって導電層を形成する金属としては、銅、ニッケル、コバルト、これらの合金、及び錫等が該当する。
一次基体と、マスキング層との双方にノルボルネン系樹脂を使用し、この一次基体にのみ、軟質重合体と無電解めっき用の触媒とを混合分散させることにより、上述したように、途中工程において触媒付与とマスキング層除去の工程を別途単独で設ける必要がなく、マスキング層が粗化されずに疎水性を発揮でき、マスキング層と基体との密着性に優れ、さらに一次基体とマスキング層との両方について高周波信号に対して誘電正接が低い特性を有する導電性回路を、簡易かつ低コストに形成することができる。また上述した構成とは逆に、軟質重合体と無電解めっき用の触媒とを混合分散させた被めっき層を、これらを混合しない一次基体の表面上に射出成形することにより、この被めっき層の表面だけに、選択的に無電解めっき層を形成することができ、上述した特性と同等の特性を備えることができる。
また上述した基体に貫通孔を設けることによって、一次基体の一方の面側から被めっき層用の樹脂を金型に充填するだけで、この貫通孔を通じて一次基体の一方の表面と他方の表面との両表面に被めっき層を射出成形できるため、金型形状の簡易化等を図ることができる。
図1を参照しつつ、本発明による導電性回路の形成方法の具体例を説明する。まず図1(A)に示すように、ノルボルネン系樹脂の1であるノルボルネン環状オレフィンとエチレンとの共重合体に、軟質重合体の1であるスチレン―エチレン―プロピレン―スチレンブロック共重合体エラストマー(以下「SEPS」という。)(20重量%)と、触媒であるパラジウムイオンを粉末珪酸アルミニウム表面に付着させたもの(0.1重量%)とを混合拡散した材料を射出成形して、ブロック状の一次基体1を形成する。
次に一次基体1を洗浄脱脂して、汚れや油成分を除去して乾燥した上で、図1(B)に示すように、軟質重合体と触媒とを混合しないノルボルネン環状オレフィンとエチレンからなるノルボルネン系樹脂を用いて、この一次基体の表面上であって所定の回路パターンからなる導電層を形成すべき部分1a以外の部分1bを覆うマスキング層2を射出成形して、二次基体3を形成する。
次に二次基体3を洗浄脱脂して乾燥した上でエッチング液に浸漬し、図1(C)に示すように、一次基体1のマスキング層2で覆われていない導電層を形成すべき部分1aについて、混合分散させたSEPSを溶解し、この部分の表面を粗化する。なおマスキング層2自体は耐エッチング性を有するため、エッチング液に浸漬しても粗化されず、疎水性が維持される。ここでエッチング液には、例えば重クロム酸溶液(CrO3:430g/L、H2PO4(89%):220g/L、K2Cr27:40g/L)を使用し、温度65℃の溶液に30分間浸漬する。
最後に一次基体1の、マスキング層2で覆われていない導電層を形成すべき部分1aについて表面を粗化した二次基体3を、洗浄乾燥した上で、必要に応じて粗化表面を活性化処理し、無電解銅めっき液に浸漬する。なお無電解銅めっき液としては、プラスチック材へ適用できる一般的なものを使用すればよく、例えば金属塩として硫酸銅を5〜15g/L、還元剤としてホルマリンの37容量%の溶液を8〜12mL/L、錯化材としてロッシェル塩を20〜25g/L、そしてアルカリ剤として水酸化ナトリウムを5〜12g/L混合した、温度20℃の溶液を使用することができる。
上述したように無電解銅めっき液に浸漬すると、図1の(D)に示すように、マスキング層2で覆われていない導電層を形成すべき部分1aは、混合分散した粉末珪酸アルミニウムの表面にパラジウムイオンが存在しているので、無電解めっきプロセスにおける還元作用によって、銅めっきが析出して導電層4が形成され、かつエッチングによって表面が粗化されているため、アンカー効果によって、この導電層が強固に密着する。一方マスキング層2は、上述したように触媒が混合されていないため、このマスキング層の表面には銅めっきが析出しない。したがって一次基体1の表面であって、マスキング層2で覆われていない導電層を形成すべき部分1aにのみ、導電性回路を選択的に形成することができる。
またマスキング層2は、上述したようにエッチング液によって、表面が粗化されずに疎水性を有しているために、高温多湿の環境下でも、絶縁抵抗が低下しない。また一次基体1とマスキング層2とは、共にノルボルネン系樹脂を使用しているために相溶性が高く、境界面にエッチング液が浸透したり、このマスキング層が剥がれたりすることがない。したがってマスキング層2を一次基体1の表面に残存させたままでも、優れた絶縁性や耐久性を備える導電性回路を形成することができる。
なお図1に示す構成とは逆に、一次基体には軟質重合体及び触媒を混合しないで、この一次基体の表面上に、軟質重合体及び触媒を混合した、所定の回路パターンを有する被めっき層を射出成形して、二次基体を形成してもよい。この場合には、無電解銅めっきによって、被めっき層の表面にのみ銅めっきが析出し、一次基体の表面であって、この被めっき層に覆われていない部分には、銅めっきが析出しない。したがって被めっき層の表面にのみ、選択的に導電性回路が形成される。
図2を参照しつつ、他の実施の形態を説明する。なお図1に示す部品や部分に相当するものについては、便宜上、図1に示す部品番号に一律10を加えた番号にしてある。さて図2の(A)に示す一次基体10は、図1の(A)に示す基体1とは逆に、軟質重合体と触媒とを混合しない、ノルボルネン系樹脂の1であるノルボルネン環状オレフィンとエチレンとの共重合体を射出成形して成形する。なお一次基体10の上面と下面とには、浅い溝10d、10d、10dが設けてあり、この上面の1の溝と下面の溝とに開口する貫通孔10cが形成してある。また一次基体10の上面と下面とに設けた浅い溝10d、10d、10dは、それぞれ導電層を形成すべき所定の回路パターンを形成している。
次に一次基体10を洗浄脱脂して、汚れや油成分を除去して乾燥した上で、この一次基体の上面に設けた溝10d、10dに、ノルボルネン系樹脂の1であるノルボルネン環状オレフィンとエチレンとの共重合体に、軟質重合体の1であるSEPS(20重量%)と、触媒であるパラジウムイオンを粉末珪酸アルミニウム表面に付着させたもの(0.1重量%)とを混合分散した材料を用いて、これらの溝が埋まるように被めっき層20、20を射出成形して、二次基体30を形成する。なお一次基体10の下面に設けた溝10dには、貫通孔10cを介して被めっき層20が充填される。
次に一次基体10の表面の溝10d、10d、10dにそれぞれ被めっき層20を充填した二次基体30を、洗浄脱脂して乾燥した上でエッチング液に浸漬し、図2(C)に示すように、この被めっき層の表面、すなわち導電層を形成すべき部分20a、20a、20aについて、混合分散させたSEPSを溶解し、この表面を粗化する。なお一次基体10の被めっき層20で覆われていない表面10b、10bは、耐エッチング性を有するため、エッチング液に浸漬しても粗化されず、疎水性が維持される。ここでエッチングは、上述した工程と同じである。
最後に二次基体30を洗浄乾燥した上で、必要に応じて被めっき層20の粗化した表面、すなわち導電層を形成すべき部分20a、20a、20aを活性化処理し、無電解銅めっき液に浸漬する。なお無電解銅めっき工程は、上述した工程と同じである。さて無電解銅めっき液に浸漬すると、図2の(D)に示すように、被めっき層20の粗化した表面、すなわち導電層を形成すべき部分20a、20a、20aは、混合分散した粉末珪酸アルミニウムの表面にパラジウムイオンが存在しているので、無電解めっきプロセスにおける還元作用によって銅めっきが析出して、それぞれ導電層40、40、40が形成され、かつエッチングによって表面が粗化されているため、アンカー効果によって、これらの導電層が一次基体10に強固に密着する。一方一次基体10は、上述したように触媒が混合されていないため、この基体の表面10b、10bには銅めっきが析出しない。したがって被めっき層20の表面、すなわち導電層を形成すべき部分20a、20a、20aにのみ、導電性回路を選択的に形成することができる。
また一次基体10は、上述したようにエッチング液によって、表面10b、10bが粗化されずに疎水性を有しているために、高温多湿の環境下でも、絶縁抵抗が低下しない。また一次基体10と被めっき層20とは、共にノルボルネン系樹脂を使用しているため相溶性が高く、境界にエッチング液が侵入したり、この被めっき層が剥がれたりすることがない。
なお上述した一次基体1、10、並びにマスキング層2及び被めっき層20には、ガラス繊維、炭素繊維等の充填材を混合することによって、強度や耐久性等を向上させることができる。またアンチブロッキング剤、酸化防止剤、核剤、帯電防止剤、プロセスオイル、可塑剤、離型剤、相溶化剤,難燃剤、難燃助剤、あるいは顔料等の添加剤を混合することによって、それぞれの添加剤の機能効果を発揮させることもできる。
図1に示す工程を実施して、次のとおり本発明の作用効果を確認した。
ノルボルネン環状オレフィンとエチレンとの共重合体(ポリプラスチック株式会社の製品 TOPAS)に、SEPS(20重量%)と、パラジウムイオンを粉末珪酸アルミニウム表面に付着させたもの(0.1重量%)とを混合拡散した材料を射出成形して、ブロック状の一次基体を形成した。次にこの一次基体を洗浄脱脂して、汚れや油成分を除去して乾燥した上で、この一次基体と同じノルボルネン環状オレフィンとエチレンを用いて、この一次基体の表面上であって所定の回路パターンからなる導電層を形成すべき部分を除いてマスキング層を射出成形して、二次基体を形成した。
次に二次基体を、洗浄脱脂して乾燥した上でエッチング液に浸漬したところ、マスキング層で覆われていない一次基体の表面が粗化されて親水性になり、一方マスキング層の表面は、エッチング液で粗化されず、疎水性が維持されることが確認できた。ここでエッチング液には、重クロム酸溶液(CrO3:430g/L、H2PO4(89%):220g/L、K2Cr27:40g/L)を使用し、温度65℃の溶液に30分間浸漬した。
次に二次基体を洗浄乾燥した上で、無電解銅めっき液に浸漬した。なお無電解銅めっき液は、一般的に使用されているものであって、金属塩として硫酸銅を5〜15g/L、還元剤としてホルマリン(37容量%)の溶液を8〜12mL/L、錯化材としてロッシェル塩を20〜25g/L、そしてアルカリ剤として水酸化ナトリウムを5〜12g/L混合した、温度20℃の溶液を使用した。
無電解銅めっきの結果、一次基体のマスキング層で覆われていない部分についてのみ、導電層が形成され、マスキング層の表面には導電層が形成されないことが確認できた。この導電層のピーリング強度は、9〜9.8N/cmであり、一次基体に対して十分なめっき密着強度を有することが確認できた。また一次基体とマスキング層との相溶性が高く、境界面にエッチング液の浸み込みが生じないことが確認できた。
本発明による導電性回路の形成方法は、高温多湿の環境下においても高周波信号に対して誘電正接が低い特性を有し、残存するマスキング層と基体との密着性に優れる導電性回路を、簡易かつ低コストで形成できるため、電子機器等に関する産業に広く利用可能である。
導電性回路の形成手順を示す工程図である。 導電性回路の他の形成手順を示す工程図である。
符号の説明
1 一次基体
1a 導電層を形成すべき部分
1b マスキング層で覆われた部分
2 マスキング層
3 二次基体
4 導電層
10 一次基体
10c 貫通孔
10d 溝
20 被めっき層
20a 導電層を形成すべき部分
30 二次基体
40 導電層

Claims (3)

  1. 軟質重合体と無電解めっき用の触媒とを混合したノルボルネン系樹脂を射出成形して一次基体を形成する第1の工程と、
    軟質重合体と無電解めっき用の触媒とを混合しないノルボルネン系樹脂を用いて、上記一次基体の表面であって所定の回路パターンからなる導電層を形成すべき部分以外を覆うマスキング層を射出成形して二次基体を形成する第2の工程と、
    上記マスキング層に覆われていない導電層を形成すべき部分を粗化する第3の工程と、
    上記粗化した導電層を形成すべき部分に無電解めっきによって導電層を形成する第4の工程とを備える
    ことを特徴とする導電性回路の形成方法。
  2. 軟質重合体と無電解めっき用の触媒とを混合しないノルボルネン系樹脂を射出成形して一次基体を形成する第1の工程と、
    軟質重合体と無電解めっき用の触媒とを混合したノルボルネン系樹脂を用いて、上記一次基体の表面上であって所定の回路パターンからなる導電層を形成すべき部分に被めっき層を射出成形して二次基体を形成する第2の工程と、
    上記被めっき層の表面を粗化する第3の工程と、
    上記粗化した被めっき層の表面に無電解めっきによって導電層を形成する第4の工程とを備える
    ことを特徴とする導電性回路の形成方法。
  3. 請求項2において、上記一次基体は貫通孔を有し、
    上記被めっき層の一部は、上記貫通孔を通じて上記一次基体の一方の表面と他方の表面との両表面に射出成形してある
    ことを特徴とする導電性回路の形成方法。
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