JP2007064912A - 光源装置および光コヒーレンストモグラフィ計測装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】物体への照射時あるいは光検出器の検出時における光源のスペクトル分布がガウシアン分布となる光源装置およびこれを用いた光コヒーレンストモグラフィ計測装置を提供する。
【解決手段】光コヒーレンストモグラフィ計測装置200は、ガウシアン光源201を備えている。ガウシアン光源201は、非ガウシアン分布の発光スペクトルを有するSLD光源202と、その出力光を整形するガウシアン整形用光フィルタ203から構成されている。ガウシアン分布に整形された透過光215は計測用光学系204を通過し、光検出器205で検出される。サイドローブの強度が抑圧された良好な高精彩画像が得られる。
【選択図】図1
【解決手段】光コヒーレンストモグラフィ計測装置200は、ガウシアン光源201を備えている。ガウシアン光源201は、非ガウシアン分布の発光スペクトルを有するSLD光源202と、その出力光を整形するガウシアン整形用光フィルタ203から構成されている。ガウシアン分布に整形された透過光215は計測用光学系204を通過し、光検出器205で検出される。サイドローブの強度が抑圧された良好な高精彩画像が得られる。
【選択図】図1
Description
本発明は、任意スペクトル分布をもつ光源をガウシアン分布に整形する光源装置およびこの光源装置を使用する光コヒーレンストモグラフィ計測装置に関する。
光コヒーレンストモグラフィ(Optical Coherence Tomography:OCT)技術は、光のコヒーレンス(可干渉性)を利用した技術であり、非破壊の観測手法として注目を集めている。光コヒーレンストモグラフィ技術を使用した光コヒーレンストモグラフィ計測装置は、現時点で、数μmの分解能で物体の深部の情報を可視化することができる。これは、従来のX線写真像と超音波診断画像との間の空間分解能を有する。したがって、特に眼科等の医療や生物学の分野あるいは半導体産業の分野での効果が期待されている。
図27は、マイケルソン干渉計を使用した光コヒーレンストモグラフィ計測装置の原理を表わしたものである。光コヒーレンストモグラフィ計測装置では、たとえばスーパルミネッセントダイオード(Super Luminescent Diode:SLD)等の低コヒーレンス光源を光源101として使用する(たとえば特許文献1および特許文献2参照)。光源101から出力された光ビーム102はビームスプリッタ103に入射し、透過して直進する光ビーム104と反射して90度方向を変える光ビーム105に分岐される。
このうち、直進した光ビーム104は、オブジェクトレンズ106を経て人体の生体組織(たとえば目)107に到達する。人体の目等の生体組織では、構成する細胞の種類が異なると、これらの化学的な組成が異なる結果としてこれらの屈折率が異なっている。したがって、生体試料は3次元の屈折率分布を有している。光ビーム104が生体組織107に到達すると、この屈折率分布に応じて屈折や反射が生じる。この結果として前方および後方多重散乱光が発生する。このうちの後方多重散乱光108がオブジェクトレンズ106によって集光されて光ビーム104と逆方向に進行して、その一部がビームスプリッタ103によって反射して光検出器109に入射する。
一方、ビームスプリッタ103によって反射された光ビーム105の方は、参照ミラー111に到達して、ここで反射されて光ビーム105の進行方向と逆方向に反射光112として進行する。この反射光112は、ビームスプリッタ103に到達し、その一部がこれを透過して光検出器109に入射する。光検出器109は、ビームスプリッタ103と生体組織107までの距離と、ビームスプリッタ103と参照ミラー111までの距離とが等しい位置での後方多重散乱光108を干渉信号として検出する。したがって、ビームスプリッタ103と参照ミラー111までの距離を変えることと、この距離が等しい場合での参照ミラー111自身の位置を変える(画像を走査する)ことで、生体組織107の各測定点に対応した画像情報を光検出器109の出力として得ることができる。
このような光コヒーレンストモグラフィ計測装置では、早期癌の発見や診断、あるいは初期の網膜剥離の診断を可能にするために、より高分解能を求める要請が高まっている。光コヒーレンストモグラフィ技術を使用した診断装置では、光軸方向の空間分解能は光源のコヒーレンス長で制限される。すなわち、空間分解能は光源のコヒーレンス長の半分で与えられるので、広いスペクトル幅を有する光源が高い空間分解能の測定に必要となる。現時点では空間分解能を最低限満足するための光源のスペクトル幅(半値全幅)は、最低で20nm(ナノメートル:10-9m)必要とされている。
今、光源が理想的なガウシアン分布(正規分布)のスペクトルで構成されているものとする。この光源の中心波長をλCとし、スペクトル幅をΔλとする。光源の全光パワーをP0とすると、この光源のスペクトルS(λ)は次の(1)式で与えられる。
S(λ)=(2P0/πΔλ2)exp[−2(λ−λC)2/Δλ2]……(1)
S(λ)=(2P0/πΔλ2)exp[−2(λ−λC)2/Δλ2]……(1)
また、屈折率がほぼ“1”に等しい空気中での光源のコヒーレンス長lC(半値全幅)は、次の(2)式で与えられる。
lC=(2ln2/π)・λC 2/Δλ……(2)
lC=(2ln2/π)・λC 2/Δλ……(2)
したがって、光源のスペクトル幅を増加することでコヒーレンス長を短くすることができる。以上は光検出器が波長に対する感度特性としての波長感度特性が一様であることを前提としている。しかしながら、光源のスペクトル幅が大きくなると、波長感度特性を無視することができない。光検出器の波長感度特性をη(λ)とすると、光電流スペクトル分布IP(λ)は次の(3)式で与えられる。
IP(λ)=η(λ)・S(λ)……(3)
IP(λ)=η(λ)・S(λ)……(3)
このように光電流スペクトル分布IP(λ)は、単一でない複数の連続光スペクトル信号に対して、その光電流の波長スペクトル成分を表わしたものとなる。したがって、一般には、(3)式に示す光電流スペクトル分布IP(λ)がガウシアン分布になる場合は、メインローブに対して副次的に発生するサイドローブが存在しないか実質的に無視できる理想的なコヒーレンス関数となる。この場合には、(2)式で与えられるコヒーレンス長lCが得られる。ここでコヒーレンス関数とは、系の入力と出力の因果関係の度合を示している。コヒーレンス関数が“1”の場合には、系の出力がすべて測定入力に起因していることを示し、“0”の場合には、系の出力は、入力に全く関係しない。
ところで、次のスーパルミネッセントダイオードを使用した光源(以下、SLD光源という。)でも、高分解能化を図るためにスペクトル幅を拡大する努力が従来から行われている。SLD光源のスペクトル幅は従来では20nm以下であった。スーパルミネッセントダイオードの半導体構造の改良等によって、50nm程度の広帯域SLD光源や、それらを複数波長合成した150nm程度の広帯域SLD光源なども出現している。
ところが、広帯域特性を含むこのようなSLD光源は、スペクトル形状が理想的なガウシアンスペクトルとは大きく異なっている。更に、このようなSLD光源は、光検出器の波長感度特性を考慮した光源スペクトル分布となっていない。このため、このような従来のSLD光源を用いて光源のコヒーレンス関数特性を測定すると、コヒーレンス長よりも大きな空間位置で第2、第3のサイドローブが存在することが確認できる。これらのサイドローブは、実サンプル計測時の診断像のコントラストと分解能を低下させる要因となる。
図28は、非ガウシアン分布のSLD光源の一例を表わしたものである。このSLD光源の中心波長は840nmであり、スペクトル幅は40nmとなっている。発光帯域内に大きなディップ(dip)すなわち凹みがあり、非ガウシアン分布の発光スペクトルであることが分かる。光出力は最大25mW(ミリワット)である。
一方、図29は、図28に示したSLD光源のコヒーレンス関数を示したものである。メインローブ121のコヒーレンス長は7.8μmである。メインローブ121の両側にサイドローブ122、123が発生している。これらのサイドローブ122、123は、OCT画像診断時のコントラストを低下させる要因となる。ただし、この例ではサイドローブの強度124は最大で18%であるので、画像診断時のコントラストは、最大強度をサイドローブ強度で割った値として、高々5程度でしかない。
このようにSLD光源では、スペクトル幅が広い広帯域光源が望まれるだけでなく、そのスペクトル特性がガウシアン分布(正規分布)に近い光源である必要がある。更に、スペクトル幅を広くとる場合には、適用される光検出器の波長感度特性をも考慮する必要がある。また、光源のコヒーレンス関数特性については、サイドローブの強度が抑圧され、良好な高精彩画像での診断を可能とする必要がある。
ところで、一般に光源のスペクトル特性が好ましくない場合にこれをフィルタで補正することが行われている。たとえば、レーザ装置のレーザビーム強度分布整形用の出力ミラーとして光学薄膜を形成したフィルタを使用して、ガウシアン分布のレーザビームを外部に出力することが提案されている(たとえば特許文献3参照)。
特許第3539726号(第0004段落、図2)
特許第3660185号(第0015段落、図1)
特開平06−3511号公報(第0038、第0039段落、図1、図2)
この特許文献3の出力ミラーは、中心から周縁に至る反射率分布がガウシアン関数で表わされる分布を有し、ピーク反射率が94%、ガウシアン分布の裾野の部分における最小反射率が26%、膜厚分布の半径が1.5mmである光学薄膜であり、レーザ装置の出力ミラーとして用いる円形のガウシアンミラーである。その光学薄膜の膜構成は、基板の上に第1〜第9の膜を積層した構成となっているが、このうちの第5の膜が中心部から周縁に向かって光学的膜厚分布を有するようになっている。
ところが、この提案の技術では、ミラーの中心から周縁に至る反射率分布がガウシアン関数で表わされる分布構成となっており、光軸と直交する平面における光の強度分布がガウシアン分布になっているに過ぎない。従来から光コヒーレンストモグラフィ計測装置の光源として要求されるものは、光電流スペクトル分布IP(λ)がガウシアン分布になることであり、これとは相違する。
そこで本発明の目的は、物体への照射時あるいは光検出器の検出時における光源のスペクトル分布がガウシアン分布となる光源装置を提供することにある。
本発明の他の目的は、ガウシアン分布の光源装置を用いて、光の干渉コヒーレンスを応用した非破壊の観察計測手法の光コヒーレンストモグラフィ計測装置を提供することにある。
本発明では、(イ)所定の波長域に亘って連続的に発光する光源と、(ロ)この光源から出力される光を入射してガウシアン分布(正規分布)のスペクトル特性を有する透過光に整形する光フィルタとを光源装置に具備させる。
すなわち本発明では、所定の波長域に亘って連続的に発光する光源を用意し、この光源から出力される光を光フィルタを通過させることで、ガウシアン分布のスペクトル特性を有する透過光に整形する。光フィルタにたとえば誘電体多層膜技術を用いると、任意の発光スペクトルを有する光源に対して、波長150nmから10μm以上に渡る紫外域から赤外域において、柔軟なフィルタ膜設計が可能で、安価に効率の良いガウシアン光源を提供することが可能となる。
また、本発明では、(イ)所定の波長域に亘って連続的に発光する光源と、(ロ)所定の波長感度特性を有する光検出器と、(ハ)光源から出力される光をこの光検出器に入射させたときの検出光のスペクトル分布がガウシアン分布となるように各波長に対する光の透過率を整形する光フィルタとを光源装置に具備させる。
すなわち本発明では、所定の波長域に亘って連続的に発光する光源を用意し、この光源から出力される光を、光検出器側の波長感度特性を考慮して、検出光のスペクトル分布がガウシアン分布となるように光フィルタで各波長に対する光の透過率を整形するようにしている。
また、本発明では、(イ)請求項2〜請求項17いずれかに記載の光源装置と、(ロ)光フィルタの出力側に配置された計測用の光学系とを光コヒーレンストモグラフィ計測装置に具備させる。
すなわち本発明では、請求項2〜請求項17いずれかに記載の光源装置を計測用の光学系に対して使用することで、高分解能特性を得るために画像診断像のコントラストを犠牲にすることなく、サイドローブの強度が抑圧され、良好な高精彩画像を得ることができる。たとえばOCT診断計測装置の光源として、連続発振光のほかに、変調光、パルス光などを用いることが可能であり、信号対雑音比や計測スピードなどの向上などに効果がある。
ところで広帯域に亘ってガウシアン分布を有する光源を得るためにガウシアン整形用光フィルタを採用する場合、たとえば誘電体干渉薄膜フィルタの使用が効果的である。誘電体干渉薄膜フィルタをガウシアン整形用光フィルタとして使用すると、SLD光源をはじめとする任意のスペクトル分布をもつ光源をガウシアン分布に整形あるいは補償することが可能である。
このためのガウシアン整形用光フィルタの強度スペクトルをT(λ)とすると、光電流スペクトル分布IP(λ)は、次の(4)式で与えられる。
IP(λ)= T(λ)・η(λ)・S(λ)……(4)
IP(λ)= T(λ)・η(λ)・S(λ)……(4)
したがって、光源のスペクトルS(λ)や光検出器の波長感度特性η(λ)、あるいは両者の積η(λ)・S(λ)等の発光スペクトル、あるいは光電流スペクトル分布IP(λ)に対して、光電流スペクトル分布IP(λ)がガウシアン分布となるようにガウシアン整形用光フィルタの強度スペクトルT(λ)を用いてガウシアン整形あるいはガウシアン補償を行えばよい。ここで、強度スペクトルは、光フィルタの透過スペクトル、あるいは反射スペクトル、または複数からなる光フィルタのスペクトルの積であってもよい。
また、スペクトル幅が100nm以上になると、一般的なSi(シリコン)やInGaAs(インジウムガリウム砒素)系の光検出器(フォトダイオード)の波長感度特性が無視できず、光源スペクトル内での光信号強度が一様でなくなる。これは光源のスペクトル特性が(1)式で与えられる理想的なガウシアン分布であっても、その光信号を受ける光検出器の波長感度特性η(λ)のために、光電流スペクトル分布IP(λ)がガウシアン分布に一致しないことを意味している。この場合にはコヒーレンス関数特性の劣化を引き起こすことになる。上記の光検出器では、波長感度特性が大きく変化する波長帯がある。たとえばSi光検出器では波長1000nmから1100nmで変化が著しく、InGaAs光検出器では波長1600nmから1700nmで変化が著しい。したがって、光源として使用する波長域によってはスペクトル幅が100nm以下であっても光検出器の波長感度特性を無視できない場合がある。そこで、本発明では光検出器の波長感度特性が無視できないようなものである場合、これをガウシアン整形用光フィルタで補償することにしている。
なお、SLD光源以外にも、特別な光学材料を用いることで、高効率かつ広帯域なガウシアン光源を形成することができる。
以上説明したように本発明によれば、光源それ自体がガウシアン光源でなくても、所定の波長域に亘って連続的に発光する光源であれば、これを光フィルタを用いて波形を整形してガウシアン分布(正規分布)のスペクトル特性を持たせることにしたので、安価に効率の良いガウシアン光源を得ることができる。また、光検出器の波長感度特性が一様でない場合には、光検出器の検出光のスペクトル分布がガウシアン分布となるように補正することも可能である。
これにより、本発明の光源装置を光コヒーレンストモグラフィ計測装置に使用することにより、サイドローブの強度が抑圧され、高分解能特性を得るために画像診断像のコントラストを犠牲にすることなく、良好な高精彩画像を得ることができる。
以下実施例につき本発明を詳細に説明する。
図1は、本発明の第1の実施例における光源装置とこれを使用した光コヒーレンストモグラフィ計測装置の概要を表わしたものである。この光コヒーレンストモグラフィ計測装置200は、ガウシアン光源201を備えている。ガウシアン光源201は、図28に示したと同一の非ガウシアン分布の発光スペクトルを有するSLD(Super luminescent Diode)光源202と、その出力側に設けたガウシアン整形用光フィルタ203から構成されている。ガウシアン光源201の出力側には、波長依存性の存在しない計測用光学系204が配置されており、これを通過した光は波長依存性の存在する光検出器205で検出されるようになっている。この光検出器205の検出出力206は、図示しない信号処理系に送られるようになっている。なお、計測用光学系204および光検出器205は、たとえば図27に示したマイケルソン干渉計を構成しており、これを簡略化した形で図示したものである。
図2は、図1に示したガウシアン整形用光フィルタの構成原理を表わしたものである。ガウシアン整形用光フィルタ203は、図1に示したSLD光源202から出力される入射光211を順に入射する第1〜第nのガウシアン整形用光フィルタ構成部2121〜212nの直列配置によって構成されている。これら第1〜第nのガウシアン整形用光フィルタ構成部2121〜212nは、それぞれ基板213に誘電体多層膜214を形成したものとなる。誘電体多層膜214は、基板213に対して入射光211が入射される側にそれぞれ配置されており、入射光に対してそれぞれ垂直な面を構成している。最終段の第nのガウシアン整形用光フィルタ構成部212nからガウシアン整形された透過光215が出力されることになる。ただし、この第1の実施例では、「n」を「1」としており、第1のガウシアン整形用光フィルタ構成部2121のみを使用してガウシアン整形用光フィルタ203を構成している。
ところで、この第1の実施例では、SLD光源202として従来から用いられている図28に示したスペクトル分布の光源を使用している。これは、非ガウシアン分布のSLD光源である。本実施例でガウシアン整形用光フィルタ203は、入射光211を理想的なガウシアン波形に整形するために使用される。本実施例では、光検出器205の波長依存性は軽微なものとして補正の対象としていない。
図3は、ガウシアン整形用光フィルタによる整形前のSLD光源のスペクトル分布と、整形後のスペクトル分布を対比して示したものである。整形前のSLD光源のスペクトル分布を表わした曲線221は、図28と同一である。整形後のスペクトル分布を表わした曲線222は、理想的なガウシアン波形となっている。整形後の光源スペクトルは中心波長840nm、スペクトル幅30nmとなっている。
図4は、このような整形を可能とするガウシアン整形用光フィルタの透過スペクトルを表わしたものである。ガウシアン整形用光フィルタ203の透過スペクトルは、図3における曲線221と曲線222の差分にほぼ相当する波形となっている。
以下に示す表1は、本実施例で使用されるガウシアン整形用光フィルタの膜構成表を表わしたものである。ここでは、層の数nは“37”である。表1から奇数番目の層は、屈折率が2.10のTa2O5(五酸化タンタル)によって構成されており、偶数番目の層は、屈折率が1.45のSiO2(二酸化珪素)によって構成されている。基板はガラス素材が使用されている。
なお、この第1の実施例では後に説明する他の実施例と同様に、Ta2O5とSiO2を膜材料として交互に積層することでガウシアン整形用光フィルタ203を構成しているが、これらの膜材料に限る必要はない。本実施例でTa2O5とSiO2を膜材料として使用していることによる利点は、使用波長帯域でこれらの膜材料が共に透明であり、整形による光の損失を最小限に抑えることができるという点と、対環境性にも優れている点である。
また、表1ではガウシアン整形用光フィルタ203を第1のガウシアン整形用光フィルタ構成部2121の1段構成として、層材料を37層に積層することにしたが、2段以上の構成として積層する数を減少させることも可能である。一般に、ある形状の波形をガウシアン波形に整形を行っていく場合、着目している波形箇所の大まかな傾きがガウシアン波形の該当箇所に一致するようになっていても、その箇所が滑らかな波形となっておらず比較的大きなリップルを含んでいるような場合がある。このような場合でそのリップルを無視できないような場合には、更に層材料を重ねることでガウシアン整形用光フィルタ203を理想的なガウシアン波形に近づけることになる。
実際には、ガウシアン整形用光フィルタ203を構成する各層の厚さをコンピュータで演算処理するソフトウェアが光通信用フィルタの設計用のソフトウェアとして市販されている。したがって、表1に示した本実施例のガウシアン整形用光フィルタの膜構成は一例としてのものである。光コヒーレンストモグラフィ計測装置200として要求されるガウシアン波形の完成度によって層の数や層の構成が大きく異なってくることは当然である。
なお、本実施例ではガウシアン整形用光フィルタ203を第1のガウシアン整形用光フィルタ構成部2121の1段構成としているが、ガウシアン整形用光フィルタ構成部212を複数段で構成する場合との得失は次の通りである。まず、1段で構成した場合には、ガウシアン整形用光フィルタ構成部212を複数段にする場合と比べて干渉効果の発生を防止することができる。たとえば、第1のガウシアン整形用光フィルタ構成部2121と第2のガウシアン整形用光フィルタ構成部2122が高反射ミラー特性を有する波長帯では、これらの間でエタロンと呼ばれる高い透過特性を持った狭帯域波長フィルタを構成する。この場合、鋭い透過ピークが反射波長帯域に発生して、光源装置の出力に悪影響を及ぼす場合がある。
これに対して、ガウシアン整形用光フィルタ203を第1〜第nのガウシアン整形用光フィルタ構成部2121〜212nに分けて構成しておけば、それぞれをローパスフィルタやバンドパスフィルタといった機能別に設計し製造することができる。この結果として、中心波長が異なる光源装置を作製するような場合には、たとえばバンドパスフィルタとしての機能を有する特定のガウシアン整形用光フィルタ構成部212Xを中心波長の異なる他のガウシアン整形用光フィルタ構成部212Yに交換することが可能になり、多くの種類の光源装置を製造する場合のコストダウンに寄与するといった利点が生じる。
図5は、本実施例のガウシアン光源から出力されるガウシアン整形用光フィルタの透過光についてのコヒーレンス関数を表わしたものである。この図に示すようにコヒーレンス長は10μmとなっており、従来よりも若干大きくなっている。また図示しないサイドローブの強度のピーク231は、メインローブのピークに対して5%以下に抑圧され、良好な干渉特性が実現している。これにより、コントラストが20以上での高精彩画像での診断が可能になる。したがって、OCT診断計測装置でこの波長帯の光源は眼底検査(特に、網膜剥離など)に利用することができる。
図6は、本発明の第2の実施例における光源装置とこれを使用した光コヒーレンストモグラフィ計測装置の概要を表わしたものである。この図で第1の実施例の図1と同一部分には同一の符号を付しており、これらの説明を適宜省略する。本実施例の光コヒーレンストモグラフィ計測装置300を構成する光源301は、半導体レーザの励起光源302と、この励起光源302から出力される励起光303を集光する集光用レンズ304と、集光用レンズ304の後段に配置されて励起光303を注入して発振するASE(Amplified Spountaneous Emission)光源305とによって構成されている。ASE光源305からは、広帯域のASE光306が出力される。このASE光306は、ガウシアン整形用光フィルタ307を通過した後、高分解能を実現するガウシアン光源として医療用等の用途に使用されることになる。
励起光源302は、励起用半導体レーザコントロール回路311と、これに接続された励起用半導体レーザ312によって構成されている。励起用半導体レーザ312は波長670nmの波長のレーザビームを出力する。ASE光源305は、直径が2mmで長さが7mmの円柱状のCr:LiSAF結晶313の両端面にダイクロイックミラーコーティング314、315を施したもので、その中心軸を集光用レンズ304の光軸と一致させている。Cr:LiSAF結晶313は、ASE光源305から入射する波長670nmの赤色半導体レーザビームで励起され、波長850nmのレーザ光を出力する。励起パワーは結晶入射端で400mWである。ここで、Cr:LiSAF結晶313は、遷移金属活性イオンとしてのCr3価イオンを1wt.%(重量%)ドープしたLiSrAlF6結晶である。
また、ダイクロイックミラーコーティング314、315は、共に670nmの波長でHT(High Transmission)となり、850nmの波長でHR(High Reflection)となるコーティング材料を使用した。
一方、広帯域のASE光306を入射するガウシアン整形用光フィルタ307は、全14層からなり、入射したASE光306を、スペクトル分布がガウシアンとなる光源に補正する。ガウシアン整形用光フィルタ307については、層の数は異なるが、第1の実施例のガウシアン整形用光フィルタ203と同様の構造となっている。
以下に示す表2は、本実施例で使用されるガウシアン整形用光フィルタの膜構成表を表わしたものである。ここでは、層の数nは“14”である。表2でも奇数番目の層は、屈折率が2.10のTa2O5(五酸化タンタル)によって構成されており、偶数番目の層は、屈折率が1.45のSiO2(二酸化珪素)によって構成されている。基板はガラス素材が使用されている。
図7は、この第2の実施例でガウシアン整形用光フィルタを通過した光源のスペクトル分布を示したものである。図6に示したガウシアン整形用光フィルタ307により整形された結果として理想的なガウシアン分布が得られている。ガウシアン分布スペクトルの中心波長は850nmであり、スペクトル幅(半値全幅)は180nmである。出力光パワーは10mWであった。
図8は、本実施例のガウシアン整形用光フィルタの透過光についてのコヒーレンス関数を表わしたものである。この図に示すようにコヒーレンス長は1.8μmという高分解能特性を得ることができる。また図示しないがサイドローブは、5%以下と十分抑圧され、良好な高精彩画像での診断が可能になる。したがって、OCT診断計測装置でこの波長帯の光源を眼底検査(特に、網膜剥離など)に利用することができる。
図9は、本発明の第3の実施例における光源装置とこれを使用した光コヒーレンストモグラフィ計測装置の概要を表わしたものである。この図9で図6と同一部分には同一の符号を付しており、これらの説明を適宜省略する。本実施例の光コヒーレンストモグラフィ計測装置300Aを構成する光源301Aは、半導体レーザの励起光源302Aと、この励起光源302Aから出力される励起光303Aを集光する集光用レンズ304と、集光用レンズ304の後段に配置されて励起光303Aを注入して発振するASE光源305Aとによって構成されている。ASE光源305Aからは、広帯域のASE光306Aが出力される。このASE光306Aは、ガウシアン整形用光フィルタ307Aを通過した後、高分解能を実現するガウシアン光源として医療用等の用途に使用されることになる。
このように図9に示した光コヒーレンストモグラフィ計測装置300Aの全体的な構成は図6に示した第2の実施例の光コヒーレンストモグラフィ計測装置300と同様であるが、それぞれを構成する部品が相違している。まず、励起用半導体レーザコントロール回路311Aによって駆動制御される励起用半導体レーザ312Aは、波長532nmの緑色レーザを出力するようになっている。この励起光303Aを入力するASE光源305Aには、遷移金属活性イオンとしてのTi3価イオンを3wt.%(重量%)ドープしたA2O3結晶(以下、にTi:Al2O3結晶という。)313Aを使用している。Ti:Al2O3結晶313Aの両端面には、ダイクロイックミラーコーティング314A、315Aが施されている。
図10は、Ti:Al2O3結晶を光源に使用した場合の発光スペクトルを示したものである。この図10で曲線351は、Ti:Al2O3結晶313Aを用いた連続発振光ガウシアン光源の発光スペクトルを示している。その出力パワーは20mWである。
ところで図11は、第3の実施例で使用する光検出器の波長感度特性を示したものである。光検出器205は、検出素子としてSi(シリコン)フォトダイオードを使用している。このSiフォトダイオードを使用した光検出器205は、第1および第2の実施例で利用した850nmの波長帯で波長感度特性がほぼフラットな特性となっている。また、波長1000nmから1100nmの波長帯では波長感度特性が急激に変化している。第3の実施例で用いられる広帯域のASE光306Aの中心波長は、この急激な変化を示す1000nm付近となっている。このため、この光検出器205を使用して、図10で曲線351で示した連続発振光ガウシアン光源の発光スペクトルを検出したとすると、曲線352で示したように発光スペクトルの長波長側の光電流スペクトルが大きく減少してしまう。この結果、そのペクトル形状は理想的なガウシアン分布とはならない。
本実施例のガウシアン整形用光フィルタ307Aは、このような波形の歪みを補正して光検出器205の検出出力の段階で光電流スペクトルがガウシアン分布となるようにするために使用される。ガウシアン整形用光フィルタ307Aを使用すると、図10で曲線353で示すように光電流スペクトルがガウシアン分布となる。曲線353で示したガウシアン分布スペクトルは、中心波長1000nmで、スペクトル幅が100nmである。
図12は、本実施例のガウシアン整形用光フィルタの透過スペクトルを示したものである。また、次の表3はこのガウシアン整形用光フィルタの膜構成を示したものである。2種類の誘電体薄膜材料であるTa2O5(屈折率2.10)とSiO2(屈折率1.45)をガラス基板上に交互に積層している。膜層数は13層である。
図13は、本実施例におけるコヒーレンス関数を示したものである。ここで曲線361はガウシアン整形用光フィルタ307Aが存在しない場合を示し、曲線362はガウシアン整形用光フィルタ307Aが存在する場合をそれぞれ示している。コヒーレンス長は3.2μmである。曲線361で示す場合では、サイドローブ強度363が6%程度発生している。これに対して曲線362で示す場合、サイドローブ強度は6%以下に抑圧されている。したがって、ガウシアン整形用光フィルタ307Aを用いることで、コントラストが16以上での高精彩画像での診断が可能になる。したがって、OCT診断計測装置でこの波長帯の光源は前眼部検査などに利用することができる。
図14は、本発明の第4の実施例における光源装置とこれを使用した光コヒーレンストモグラフィ計測装置の概要を表わしたものである。この図14で図6と同一部分には同一の符号を付しており、これらの説明を適宜省略する。本実施例の光コヒーレンストモグラフィ計測装置300Bを構成する光源301Bは、半導体レーザの励起光源302Bと、この励起光源302Bから出力される励起光303Bを集光する集光用レンズ304と、集光用レンズ304の後段に配置されて励起光303Bを注入して発振するASE光源305Bとによって構成されている。ASE光源305Bからは、広帯域のASE光306Bが出力される。このASE光306Bは、ガウシアン整形用光フィルタ307Bを通過した後、高分解能を実現するガウシアン光源として医療用等の用途に使用されることになる。
本実施例で励起光源302Bは、励起用の半導体レーザコントロール回路311Bと、これに接続された励起用半導体レーザ312Bによって構成されている。励起用半導体レーザ312Bは波長980nmの波長のレーザビームを出力する。ASE光源305Bは、遷移金属活性イオンとしてのCr4価イオンを3wt.%(重量%)ドープした直径が2mmで長さが7mmの円柱状のCr:Mg2SiO4結晶313Bの両端面にダイクロイックミラーコーティング314B、315Bを施したもので、その中心軸を集光用レンズ304の光軸と一致させている。Cr:Mg2SiO4結晶313Bは、ASE光源305Bから入射する波長980nmの半導体レーザビームで励起され、波長1200nmのレーザ光を出力する。励起パワーは結晶入射端で500mWである。
図15は、光検出器の波長感度特性を示したものである。光検出器205は、InGaAsフォトダイオードを使用している。
一方、図16は本実施例のASE光源と、ガウシアン整形用光フィルタを通過後の光源のスペクトル分布を表わしたものである。曲線381はCr:Mg2SiO4結晶を用いた連続発振光ガウシアン光源の発光スペクトルを示している。全発光パワーは15mWであった。
これに対して、曲線382はガウシアン整形用光フィルタ307Bを通過した後の光源のスペクトルを示している。この透過スペクトルの中心波長1200nmであり、スペクトル幅は150nmである。
以下に示す表4は、本実施例で使用されるガウシアン整形用光フィルタの膜構成表を表わしたものである。ここでは、層の数nは“15”である。表4でも奇数番目の層は、屈折率が2.10のTa2O5(五酸化タンタル)によって構成されており、偶数番目の層は、屈折率が1.45のSiO2(二酸化珪素)によって構成されている。基板はガラス素材が使用されている。
図17は、本実施例のガウシアン整形用光フィルタの透過スペクトルを表わしたものである。ガウシアン整形用光フィルタ307Bのフィルタ特性は、必要とされる1100nmから1600nmの波長域でほぼ山形となっている。
図18は、本実施例のガウシアン整形用光フィルタの透過光についてのコヒーレンス関数を表わしたものである。この図に示すようにコヒーレンス長は4.2μmである。また図示しないサイドローブの強度のピーク391は、5%以下と十分抑圧され、良好な高精彩画像での診断が可能になる。したがって、OCT診断計測装置でこの波長帯の光源を前眼部検査に利用することができる。このように本実施例の光コヒーレンストモグラフィ計測装置300Bから、光源301BがCr4+(クロムイオン)をドープしたY3Al5O12結晶でも同様の波長帯においてガウシアン光源を実現することができる。
図19は、本発明の第5の実施例における光源装置とこれを使用した光コヒーレンストモグラフィ計測装置の概要を表わしたものである。図19で図6と同一部分には同一の符号を付しており、これらの説明を適宜省略する。本実施例の光コヒーレンストモグラフィ計測装置300Cは、パルス動作するガウシアン光源となっている。この光コヒーレンストモグラフィ計測装置300Cの光源301Cは、波長1550nmの励起用パルスを出力する励起用パルス光源401と、これを駆動する励起用パルス光源コントローラ402から構成される励起光源403を備えている。励起用パルス光源401の出力端に一端を接続された光源出力用光ファイバ404の他端は、高非線形光ファイバ406の一端と融着点407で融着されている。高非線形光ファイバ406は60mの長さとなっており、その他端は出力用光ファイバ408の一端と他の融着点409で融着されている。出力用光ファイバ408の他端からは、スーパコンティニューム光(SC光)が出力光411として出力されるようになっている。スーパコンティニューム光とは、パルスレーザなどからの高強度パルスを高非線形ファイバなどの非線形媒質に入射することで、非線形効果によりスペクトルが超広帯域に広げられた光をいう。
ところで本実施例では、励起光源403として波長1550nmのモード同期パルス光源を用いている。これにより、パルスエネルギ1nJ(ナノジュール:10-9J)、パルス幅20ps(ピコ秒:10-12秒)、繰返し周波数6MHzのパルス光が、Er(エルビウム)ドープ光ファイバとしての高非線形光ファイバ406に入射する。このモード同期パルス光源が高非線形光ファイバ406に入射すると、その内部で非線形効果(自己位相変調、誘導ラマン散乱、四光波混合等)が生じる。そして、光の位相スペクトルがコヒーレントに広帯域に拡大するスーパコンティニューム光が出力光411として発生する。本実施例のスーパコンティニューム光は、波長1200nmから1700nm以上に亘り広帯域に光信号スペクトルを形成する。もちろん、使用する励起用パルス光源の波長とフォトニック結晶光ファイバなどの高非線形光ファイバを適時使用することで、スーパコンティニューム光を紫外域から赤外域に渡る広帯域な波長領域において発生させることができる。
この出力光411は、ガウシアン整形用光フィルタ307Cを通過した後、計測用光学系204に入射し、光検出器205によって受光されて、光検出器205の検出出力206として出力されることになる。光検出器205にはInGaAsフォトダイオードを使用している。
図20は、本実施例の光源の特性を表わしたものである。このうち、曲線421は光源301Cの出力光411の光電流スペクトルを表わしており、他の曲線422はガウシアン整形用光フィルタ307Cを通過した後の光電流スペクトルを表わしている。共に、InGaAsフォトダイオードによる光検出器205の波長感度特性を考慮したものである。このようにガウシアン整形用光フィルタ307Cを使用することで、波長1300nmのスーパコンティニューム光用いたガウシアン光源が得られる。このガウシアン光源の全光パワーとして1mWが得られた。
図21は、本実施例で使用したガウシアン整形用光フィルタの各波長に対する透過特性を表わしたものである。波長1300nmで透過率が最大となっている。このガウシアン整形用光フィルタ307Cは、第1および第2のガウシアン整形用光フィルタ構成部2121、2122(図2参照)の2段構成となっている。次の表5は、第1のガウシアン整形用光フィルタ構成部2121の膜構成を表わしており、表6は第2のガウシアン整形用光フィルタ構成部2122の膜構成を表わしている。本実施例では、3種類の誘電体薄膜材料としてTa2O5(屈折率2.10)、SiO2(屈折率1.45)およびNb2O5(屈折率2.23)を使用している。第1のガウシアン整形用光フィルタ構成部2121は全28層からなり、第2のガウシアン整形用光フィルタ構成部2122は全26層からなっている。
ところで、光検出器205を構成するInGaAsフォトダイオードの波長感度特性は1300nm波長帯で緩やかな変化を示す。したがって、光検出器205の波長感度特性がコヒーレンス関数に与える劣化は軽微である。しかし100〜1000以上の極めて高いコントラスト比を要求する場合には、波長感度特性を考慮したガウシアン整形用光フィルタを適用することが望ましい。
本実施例のような波長1200nmから1700nmにわたる広帯域用のガウシアン整形用光フィルタ307Cを1つのガウシアン整形用光フィルタ構成部212で実現するのは困難である。また、それぞれの膜材料の波長特性も異なる。このため、本実施例では第1のガウシアン整形用光フィルタ構成部2121が波長1200nmから1600nmに亘る波長域を担当した。また、第2のガウシアン整形用光フィルタ構成部2122は波長1600nm以下の光スペクトルを透過する特性を有し、1600nm以上の光スペクトルを阻止する特性を有するように光フィルタの設計を行った。
図22は、本実施例のガウシアン整形用光フィルタの透過光についてのコヒーレンス関数を表わしたものである。コヒーレンス長は7.5μmとなっている。また図示しないサイドローブの強度のピーク431は、メインローブのピークに対して5%以下に抑圧され、良好な干渉特性が実現している。これにより、コントラストが20以上での高精彩画像での診断が可能になる。したがって、OCT診断計測装置でこの波長帯の光源は、たとえば前眼部検査に利用することができる。
図23は、本発明の第6の実施例における光源装置とこれを使用した光コヒーレンストモグラフィ計測装置の概要を表わしたものである。図23で図6と同一部分には同一の符号を付しており、これらの説明を適宜省略する。本実施例の光コヒーレンストモグラフィ計測装置300Dの光源301Dは、遷移金属活性イオンとしてのCrイオンを添加した光ファイバとしてCr添加シリカ光ファイバ501を使用している。励起用レーザダイオード502から出力されるレーザビーム503は、レンズ504によってCr添加シリカ光ファイバ501のコア511に入射するようになっている。Cr添加シリカ光ファイバ501からは広帯域ASE光505が出力される。この広帯域ASE光505は、ガウシアン整形用光フィルタ307Dを通過して、波長1000nmのガウシアン光506となる。このガウシアン光506は、計測用光学系204に入射し、光検出器205によって受光されて、光検出器205の検出出力206として出力されることになる。
本実施例のCr添加シリカ光ファイバ501は、化学気相成長法(Chemical-vapor deposition)法により形成されている。コア511の直径は5μmである。シリカベースのコア511には、Al2O3とMgOとCrをそれぞれ8mol.%、3mol.%、2mol.%が添加されている。Al2O3の添加により、クラッド512に対するコア511の相対屈折率比(Δn)を1.0%高めることができる。本実施例の場合、コア511の屈折率は1.46が得られた。MgOの添加は、組成の化学的安定性を高める利点がある。
Cr添加シリカ光ファイバ501は、シリカガラスから構成され、波長400nmから900nmにかけて広帯域な吸収スペクトルを有している。吸収係数は波長650nmで50dB/mであった。
図24は、光源から出力される広帯域ASE光とガウシアン整形用光フィルタで整形された後の発光スペクトルを表わしたものである。曲線521が図23に示した広帯域ASE光505を表わしており、曲線522がガウシアン光506を表わしている。この図で縦軸は光検出器205で検出される光電流強度IP(λ)を表わしている。図23におけるCr添加シリカ光ファイバ501に励起波長650nmの励起用レーザーダイオードにて光パワー1Wで励起したとき、図24に示すように中心波長850nm、スペクトル幅230nmの広帯域発光スペクトルが得られた。また、ガウシアン整形用光フィルタ307Dで波形を補正することによって、曲線522に示すように中心波長1000nm、スペクトル幅200nmのガウシアン光源が得られた。光出力は3mWであった。
図25は、本実施例で使用されたガウシアン整形用光フィルタの各波長に対する透過特性を表わしたものである。また、次の表7は、この第6の実施例におけるガウシアン整形用光フィルタの膜構成を示したものである。ガウシアン整形用光フィルタ307Dは、2種類の誘電体薄膜材料であるTa2O5(屈折率2.10)とSiO2(屈折率1.45)から構成されている。膜層数は25層である。
図26は、本実施例のガウシアン整形用光フィルタの透過光についてのコヒーレンス関数を表わしたものである。この図に示すようにコヒーレンス長は2.2μmである。また、図示しないがサイドローブの強度のピーク531は、5%以下と十分抑圧され、良好な高精彩画像での診断が可能となる。したがって、OCT診断計測装置でこの波長帯の光源を内視鏡用生体観察などに利用することができる。
なお、各実施例では光源のコヒーレンス関数において、サイドローブ強度が5%あるいは6%以下となっている各場合を示したが、これらに限定されるものではない。たとえば光源の具体的な用途にもよるが、サイドローブ強度が15%程度あるいはそれ以下であればその光源を十分使用できる場合もある。サイドローブ強度の制限をこのように緩和することによって要求される画像の緻密さ等の性能が満足される場合には、コストダウンの観点からもそのような光源を使用することは好ましい。
また、実施例では光源から連続的に発振させて光を出力させる場合と、図示しないスイッチング手段によって断続させてパルス光を出力させる場合の2通りを示した。このうちパルス光は、連続発振光と比較して同一の光パワーでもそのピーク値が高い。したがって、SNR(信号対雑音比)が大幅に改善されるというメリットがある。
もちろん、本発明で使用する光源は、これら連続発振光とパルス光に限定されるものではない。たとえば、光源自体が変調された変調光を光源装置として光コヒーレンストモグラフィ計測装置に使用することは可能である。一般に生体は微細な振動を行っている。このため、たとえば検査の対象が目のような場合にはこの振動によって画像のイメージがぶれるおそれがある。このようなときにこの微細な振動よりも高い周波数で光源を変調することによって、ぶれの影響を除いた画像イメージを取得することができる。
200、300、301A、300B、300C、300D 光コヒーレンストモグラフィ計測装置
201 ガウシアン光源
202 SLD(Super luminescent Diode)光源
203、307、307A、307B、307C、307D ガウシアン整形用光フィルタ
204 計測用光学系
205 光検出器
206 検出出力
211 入射光
212 ガウシアン整形用光フィルタ構成部
213 基板
214 誘電体多層膜
215 透過光
301、301A、301B、301C、301D 光源
302、302A、302B、403 励起光源
303、303A、303B 励起光
305、305A、305B ASE光源
306、306A、306B ASE光
311、311A、311B 半導体レーザコントロール回路
312、312A、312B 励起用半導体レーザ
313 Cr:LiSAF結晶
313A A2O3結晶(Ti:Al2O3結晶)
313B Cr:Mg2SiO4結晶
314、314A、314B、315、315A、315B ダイクロイックミラーコーティング
401 励起用パルス光源
402 励起用パルス光源コントローラ
406 高非線形光ファイバ
501 Cr添加シリカ光ファイバ
502 励起用レーザダイオード
201 ガウシアン光源
202 SLD(Super luminescent Diode)光源
203、307、307A、307B、307C、307D ガウシアン整形用光フィルタ
204 計測用光学系
205 光検出器
206 検出出力
211 入射光
212 ガウシアン整形用光フィルタ構成部
213 基板
214 誘電体多層膜
215 透過光
301、301A、301B、301C、301D 光源
302、302A、302B、403 励起光源
303、303A、303B 励起光
305、305A、305B ASE光源
306、306A、306B ASE光
311、311A、311B 半導体レーザコントロール回路
312、312A、312B 励起用半導体レーザ
313 Cr:LiSAF結晶
313A A2O3結晶(Ti:Al2O3結晶)
313B Cr:Mg2SiO4結晶
314、314A、314B、315、315A、315B ダイクロイックミラーコーティング
401 励起用パルス光源
402 励起用パルス光源コントローラ
406 高非線形光ファイバ
501 Cr添加シリカ光ファイバ
502 励起用レーザダイオード
Claims (18)
- 所定の波長域に亘って連続的に発光する光源と、
この光源から出力される光を入射してガウシアン分布のスペクトル特性を有する透過光に整形する光フィルタ
とを具備することを特徴とする光源装置。 - 所定の波長域に亘って連続的に発光する光源と、
所定の波長感度特性を有する光検出器と、
前記光源から出力される光をこの光検出器に入射させたときの検出光のスペクトル分布がガウシアン分布となるように各波長に対する光の透過率を整形する光フィルタ
とを具備することを特徴とする光源装置。 - 前記ガウシアン分布の発光スペクトルのスペクトル幅は20nm以上であり、光源のコヒーレンス関数でメインローブに対するサイドローブの強度の比は15%以下となっていることを特徴とする請求項1または請求項2記載の光源装置。
- 前記光フィルタは、1または複数の誘電体多層膜フィルタで構成されていることを特徴とする請求項1または請求項2記載の光源装置。
- 前記光源は、半導体、結晶、ガラス、光ファイバのいずれか少なくとも1つ以上からなることを特徴とする請求項1または請求項2記載の光源装置。
- 前記光源から出力される光は、連続発振光、変調光、あるいはパルス光であることを特徴とする請求項1または請求項2記載の光源装置。
- 前記光源から出力される光は、ASE(Amplified Spontaneous Emission)光であることを特徴とする請求項1または請求項2記載の光源装置。
- 前記光源は、SLD(スーパルミネッセントダイオード)であることを特徴とする請求項1または請求項2記載の光源装置。
- 前記光源から出力される光は、スーパコンティニューム光であることを特徴とする請求項1または請求項2記載の光源装置。
- 前記光源が遷移金属活性イオンを添加したカルコライト(colquirite)構造を有するフッ化物結晶であることを特徴とする請求項5記載の光源装置。
- 前記光源が遷移金属活性イオンを添加したコランダム(corundum)構造を有するフッ化物結晶であることを特徴とする請求項5記載の光源装置。
- 前記光源が遷移金属活性イオンを添加したフォルステライト(forsterite)構造を有する酸化物結晶であることを特徴とする請求項5記載の光源装置。
- 前記光源が遷移金属活性イオンを添加したガーネット(garnet)構造を有する酸化物結晶であることを特徴とする請求項5記載の光源装置。
- 前記光源がCr3+をドープしたLiABF6結晶(A=Sr、Ca、B=Al、Ga)であることを特徴とする請求項10記載の光源装置。
- 前記光源がTi3+をドープしたAl2O3結晶であることを特徴とする請求項11記載の光源装置。
- 前記光源がCr4+をドープしたMg2SiO4であることを特徴とする請求項12記載の光源装置。
- 前記光源がCr4+をドープしたY3Al5O12結晶であることを特徴とする請求項13記載の光源装置。
- 請求項2〜請求項17いずれかに記載の光源装置と、
前記光フィルタの出力側に配置された計測用の光学系
とを具備することを特徴とする光コヒーレンストモグラフィ計測装置。
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