JP2007064832A - 蛍光基準部材、および蛍光検査装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】この発明は、信頼性の高い検出基準を与えることができる蛍光基準部材、およびこの蛍光基準部材を備えた蛍光検査装置を提供することを課題とする。
【解決手段】蛍光検査装置1は、検査対称となる媒体Mを搬送路3を介して矢印T方向に搬送する搬送ローラ対2、搬送路3の一側に配置された紫外光源4、搬送路3を挟んで紫外光源4に対向して配置された蛍光基準部材9、および搬送路3を搬送される媒体Mからの蛍光を受光するとともに媒体Mが搬送されていない状態で蛍光基準部材9からの蛍光を受光する読み取りセンサ5を有する。蛍光基準部材9は、励起光が照射される面を有する蛍光発光体、蛍光発光体の上記面以外の表面をカバーするように収容したケース、およびケースの開口、すなわち蛍光発光体の面を露出する開口を塞ぐように設けられたメッシュ板を有する。
【選択図】 図1
【解決手段】蛍光検査装置1は、検査対称となる媒体Mを搬送路3を介して矢印T方向に搬送する搬送ローラ対2、搬送路3の一側に配置された紫外光源4、搬送路3を挟んで紫外光源4に対向して配置された蛍光基準部材9、および搬送路3を搬送される媒体Mからの蛍光を受光するとともに媒体Mが搬送されていない状態で蛍光基準部材9からの蛍光を受光する読み取りセンサ5を有する。蛍光基準部材9は、励起光が照射される面を有する蛍光発光体、蛍光発光体の上記面以外の表面をカバーするように収容したケース、およびケースの開口、すなわち蛍光発光体の面を露出する開口を塞ぐように設けられたメッシュ板を有する。
【選択図】 図1
Description
この発明は、例えば検査対称となる蛍光物質を含む媒体に励起光を照射して媒体から発光される蛍光を検出する蛍光検査装置、およびこの蛍光検査装置に組み込まれる蛍光基準部材に関する。
従来、蛍光検査装置として、搬送路を介して搬送される紙幣に紫外線を照射して紙幣表面から放出される蛍光を検出することで紙幣の真偽を判別する紙幣検査装置が知られている(例えば、特許文献1参照。)。この装置は、搬送路の一側に、発光素子と受光素子を収容配置した蛍光センサを有し、搬送路の他側に、検出基準を与えるための蛍光ガラスを有する。そして、紙幣を検査するとき、紙幣を搬送していない状態で蛍光ガラスの蛍光量を検出し、その検出値に基づいて発光素子の発光量を補正する。
しかし、蛍光センサの受光素子には、波長に応じた感度特性があり、検査対象としての紙幣からの蛍光の波長と蛍光ガラスからの蛍光の波長が大きく異なる場合、ノイズの影響が大きくなり、正確な検出基準を与えることができなくなってしまう。
また、紙幣からの蛍光の発光量と蛍光ガラスからの蛍光の発光量が大きく異なると、発光量の小さい方の検出信号のS/N比が低下する問題が生じる。例えば、発光量の大きい方の出力をA/D変換する際にはA/D変換レンジの上限近くまで使用して変換できるが、発光量の小さい方の出力をA/D変換する際にはA/D変換レンジの一部を使用して変換することになり、S/N比が低下してしまう。
このため、同一の光源に対して、紙幣からの蛍光と近似した発光スペクトルおよび発光量を有する蛍光ガラスを使用することが望ましいが、このような発光特性を有する蛍光ガラスを用意することは困難であり、発光特性の近い蛍光ガラスを用意したとしても、発光特性の異なる他の媒体を検査する際には蛍光ガラスを別のものと交換する必要があり、汎用性に欠ける問題がある。
特開2004−265104号公報(要約、図2)
この発明の目的は、信頼性の高い検出基準を与えることができる蛍光基準部材、およびこの蛍光基準部材を備えた蛍光検査装置を提供することにある。
上記目的を達成するため、本発明の蛍光基準部材は、励起光が照射される照射面、および蛍光を発光する発光面を有するとともに、上記照射面を介して照射される上記励起光により励起されて上記蛍光を発光する蛍光物質を含み、この蛍光物質から発光される上記蛍光を上記蛍光面を介して発光させる本体と、この本体の上記照射面および発光面の少なくとも一方に設けられる光学フィルタと、を有する。
また、本発明の蛍光検査装置は、検査対称となる媒体に励起光を照射する光源と、この光源からの励起光が照射される照射面、およびこの照射面を介して照射された上記励起光に基づいて励起発光される蛍光を発光する発光面を有する本体と、この本体の上記照射面および発光面の少なくとも一方に設けられる光学フィルタとを具備した蛍光基準部材と、上記光源から照射された励起光に基づいて、上記媒体に含まれる蛍光物質から励起発光される第1の蛍光、および上記蛍光基準部材から発光される第2の蛍光を選択的に受光する受光部と、この受光部で受光した第2の蛍光に基づいて該受光部の出力を補正する補正部と、この補正部で補正した上記第1の蛍光を検査する検査部と、を有する。
また、本発明の蛍光検査装置は、検査対称となる媒体に励起光を照射する光源と、この光源から照射された励起光に基づいて上記媒体に含まれる蛍光物質から励起発光される第1の蛍光を受光する第1受光部と、上記光源からの励起光が照射される照射面、およびこの照射面を介して照射された上記励起光に基づいて励起発光される第2の蛍光を発光する発光面を有する本体と、この本体の上記照射面および発光面の少なくとも一方に設けられる光学フィルタとを具備した蛍光基準部材と、この蛍光基準部材の上記発光面を介して発光される上記第2の蛍光を受光する第2受光部と、この第2受光部で受光した第2の蛍光に基づいて上記第1受光部の出力を補正する補正部と、この補正部で補正した上記第1の蛍光を検査する検査部と、を有する。
また、本発明の蛍光検査装置は、検査対称となる媒体に励起光を照射する光源と、この光源からの励起光が照射される照射面、およびこの照射面を介して照射された上記励起光に基づいて励起発光される蛍光を発光する発光面を有する本体と、この本体の上記照射面および発光面の少なくとも一方に設けられる光学フィルタとを具備した蛍光基準部材と、上記光源から照射された励起光に基づいて、上記媒体に含まれる蛍光物質から励起発光される第1の蛍光、および上記蛍光基準部材から発光される第2の蛍光を選択的に受光する受光部と、この受光部で受光した上記第1の蛍光を検査する検査部と、上記受光部で受光した第2の蛍光に基づいて上記光源の発光量を補正する補正部と、を有する。
さらに、本発明の蛍光検査装置は、検査対称となる媒体に励起光を照射する光源と、この光源から照射された励起光に基づいて上記媒体に含まれる蛍光物質から励起発光される第1の蛍光を受光する第1受光部と、この第1受光部で受光した上記第1の蛍光を検査する検査部と、上記光源からの励起光が照射される照射面、およびこの照射面を介して照射された上記励起光に基づいて励起発光される第2の蛍光を発光する発光面を有する本体と、この本体の上記照射面および発光面の少なくとも一方に設けられる光学フィルタとを具備した蛍光基準部材と、この蛍光基準部材の上記発光面を介して発光される上記第2の蛍光を受光する第2受光部と、この第2受光部で受光した第2の蛍光に基づいて上記光源の発光量を補正する補正部と、を有する。
上記発明によると、励起光が照射される蛍光基準部材の照射面および蛍光を発光する発光面の少なくとも一方に光学フィルタを設けたため、発光面を介して発光される蛍光の発光スペクトルや発光量などの光学特性を所望する特性に近づけることができ、検査対象となる媒体から発光される蛍光の発光特性に近似させることができる。
この発明によれば、信頼性の高い検出基準を与えることができる蛍光基準部材、およびこの蛍光基準部材を備えた蛍光検査装置を提供することができる。
以下、図面を参照しながらこの発明の実施の形態について詳細に説明する。
図1には、この発明の第1の実施の形態に係る蛍光検査装置1の要部の構成を概略的に示してある。また、図2にはこの蛍光検査装置1の平面図を示してあり、図3にはこの蛍光検査装置1を媒体Mの搬送方向(図中矢印T方向)下流側から見た側面図を示してある。
図1には、この発明の第1の実施の形態に係る蛍光検査装置1の要部の構成を概略的に示してある。また、図2にはこの蛍光検査装置1の平面図を示してあり、図3にはこの蛍光検査装置1を媒体Mの搬送方向(図中矢印T方向)下流側から見た側面図を示してある。
蛍光検査装置1は、検査対称となる媒体Mを図中矢印T方向に搬送する複数組の搬送ローラ対2を有する。例えば、媒体Mが紙幣である場合、紙幣に印刷されるインクに検出対称となる蛍光物質が含まれており、蛍光検査装置1は、この蛍光物質に紫外光を照射して蛍光物質から励起発光される蛍光を検出して紙幣の真偽を判別する。蛍光物質は、特定の波長帯域を有する紫外光によって励起され、特定の波長帯域を有する蛍光を発光する特性を有する。
複数組の搬送ローラ対2によって規定される搬送路3の一側(図1で手前側)には、搬送路3に沿って搬送される媒体Mに紫外光(励起光)を照射するための2つの紫外光源4(光源)が搬送方向Tに沿って併設されている。紫外光源4として、媒体Mの全面を照明可能なように、媒体Mの搬送方向Tと交差する方向に延びた管軸を有する細長いブラックライトやUVランプなどが用いられる。
搬送路3に対して紫外光源4と同じ側には、紫外光の照射によって媒体Mに含まれる蛍光物質から励起発光された蛍光(第1の蛍光)を受光するための読み取りセンサ5(受光部、第1受光部)が設けられている。また、搬送路3を挟んで読み取りセンサ5に対向する位置には、検出基準を与えるための後に詳述する蛍光基準部材9が設けられている。蛍光基準部材9は、媒体Mの搬送方向と略直交する方向に延設されている。
しかして、媒体Mが搬送路3を介して搬送されると、紫外光源4からの紫外光が媒体Mに照射され、媒体Mに含まれる蛍光物質が励起されて蛍光が発光される。そして、この蛍光が読み取りセンサ5を介して検出される。また、搬送路3を介して媒体Mが搬送されていない状態で、紫外光源4からの紫外光が蛍光基準部材9に照射され、紫外光によって蛍光基準部材9の本体6(後述する)に含まれる蛍光物質が励起され、その蛍光(第2の蛍光)が図示しないレンズ等の光学系を介して読み取りセンサ5に集光されるようになっている。つまり、本実施の形態の読み取りセンサ5は、この発明の第2受光部としても機能する。
図4に示すように、本実施の形態の蛍光基準部材9は、矩形ブロック状の蛍光発光体6(本体)、この蛍光発光体6の面6a以外の全ての面をカバーするように該蛍光発光体6を収容した矩形箱状のケース8、およびこのケース8の開口、すなわち蛍光発光体6の面6aを露出した開口を塞ぐように脱着可能に設けられたメッシュ板7を有する。この蛍光基準部材9は、蛍光発光体6の面6a、すなわちメッシュ板7が搬送路3に対向する姿勢で取り付けられる。
蛍光発光体6は、例えば、蛍光物質を均一に分散した蛍光ガラスによって形成され、面6aを介して紫外光源4からの紫外光が照射され、この紫外光によって蛍光物質が励起され、蛍光物質からの蛍光が面6aを介して発光されるようになっている。つまり、本実施の形態において、蛍光発光体6の面6aは、本発明の照射面として機能するとともに発光面として機能する。蛍光ガラスとして、例えば、(株)住田光学ガラス製のルミラス(商品名)が知られている。
ケース8は、例えば鉄などの不透明な金属材料を加工して形成されており、蛍光発光体6の面6a以外から光が入ることを防止している。メッシュ板7は、ケース8の開口と略同じサイズを有し、その全面に多数の孔(図示せず)が均一に形成されている。メッシュ板7の孔の形状はいかなる形状であっても良いが、透過光量を所望する値に制限することができる数およびサイズに設定される。つまり、このメッシュ板7は、本発明の光学フィルタとして機能し、透過光量を制限する機能を有する。この他に、透過光量を制限可能な光学フィルタとして、ND(Neutral Density)フィルタがある。
このように、蛍光発光体6の面6aをカバーするようにメッシュ板7を設けることで、紫外光源4から蛍光基準部材9に照射される紫外光の透過光量が制限され、且つ蛍光発光体6から読み取りセンサ5に向けて発光される蛍光の透過光量が制限される。つまり、本実施の形態の蛍光基準部材9のように、紫外光の照射面と蛍光の発光面が同一の面(6a)である場合、1つの光学フィルタで2度透過光量の制限を受けることになる。よって、本実施の形態の蛍光基準部材9によると、メッシュ板7の孔の数およびサイズ、すなわち開口率を調整することで、透過光量を任意に変更でき、読み取りセンサ5に集光される蛍光基準部材9からの蛍光の量を媒体Mからの蛍光の量と略等しくできる。
図5には、上述した蛍光検査装置1による処理動作を制御するための制御系のブロック図を示してある。
蛍光検査装置1の制御系は、媒体M(検査対象物)からの第1の蛍光を受光するとともに蛍光基準部材9からの第2の蛍光を受光する読み取りセンサ5、これら受光した蛍光に基づいて読み取りセンサ5から出力されるセンサ信号を増幅するアンプ11、上記第2の蛍光に基づくセンサ信号に基づいて上記第1の蛍光に基づくセンサ信号の増幅率を変更して補正するゲイン可変アンプ12(補正部)、補正された第1の蛍光に基づくセンサ信号をA/D変換するA/D変換器13、およびA/D変換されたセンサ信号を判定基準メモリ14に予め用意された判定基準に照合して検査し、当該媒体Mの真偽を判定する判定処理回路10(検査部)を有する。
蛍光検査装置1の制御系は、媒体M(検査対象物)からの第1の蛍光を受光するとともに蛍光基準部材9からの第2の蛍光を受光する読み取りセンサ5、これら受光した蛍光に基づいて読み取りセンサ5から出力されるセンサ信号を増幅するアンプ11、上記第2の蛍光に基づくセンサ信号に基づいて上記第1の蛍光に基づくセンサ信号の増幅率を変更して補正するゲイン可変アンプ12(補正部)、補正された第1の蛍光に基づくセンサ信号をA/D変換するA/D変換器13、およびA/D変換されたセンサ信号を判定基準メモリ14に予め用意された判定基準に照合して検査し、当該媒体Mの真偽を判定する判定処理回路10(検査部)を有する。
上記構成によると、蛍光基準部材9からの第2の蛍光に基づくセンサ信号に基づいて、読み取りセンサ5の出力、すなわち媒体Mからの第1の蛍光に基づくセンサ信号を補正するようにしたため、紫外光源4の経時的な劣化に基づくセンサ出力の変動を正確に補正できる。つまり、本実施の形態の蛍光基準部材9を用いることで、紫外光源4から蛍光基準部材9に照射される紫外光に基づく蛍光の量を、紫外光源4から媒体Mに照射される紫外光に基づく蛍光の量と略同じにすることができ、両者のセンサ信号を比較する際のノイズ成分を少なくでき、信頼性の高い検出基準を与えることができる。
なお、上述した第1の実施の形態では、蛍光基準部材9を用いて信頼性の高い検出基準を与えてセンサ出力を補正する場合について説明したが、例えば、図6に示すように、読み取りセンサ5のセンサ信号を増幅するアンプ11の出力側に発光量補正回路18を接続して、センサ信号を補正基準メモリ19に予め用意した補正基準に照合し、紫外光源4の発光量を補正することもできる。
以上のように、本実施の形態によると、蛍光発光体6の面6aにメッシュ板7を設けた蛍光基準部材9を用いたため、読み取りセンサ5で検出する媒体Mからの蛍光の量と蛍光基準部材9からの蛍光の量を略等しくでき、検出信号のS/N比を高めることができ、信頼性の高い検出基準を与えることができる。特に、光学フィルタとして、上述したメッシュ板7やNDフィルタを用いることで高価なフィルタを用いることなく高い効果を期待できる。また、蛍光発光体6の面6aにスリット状の開口を設ける方法と比較して、面6a全面に亘って孔が配置されるメッシュ板7を用いることで、比較的広い検出範囲を提供でき、蛍光基準部材9の部分的な汚れや損傷に対して有利となる。
また、本実施の形態の蛍光基準部材9によると、メッシュ板7をケース8に対して脱着可能に取り付けできるため、検査対象となる媒体Mに含まれる蛍光物質の特性に合った開口率を有するメッシュ板を交換可能に取り付けでき、媒体Mの種類によらず蛍光発光体6を兼用できる。言い換えると、媒体Mの種類に応じてメッシュ板7を交換するだけで蛍光基準部材9を兼用でき、汎用性を高めることができる。
次に、図7および図8を参照して、上述した蛍光基準部材9の変形例について説明する。なお、ここでは、上述した蛍光基準部材9と同様に機能する構成要素については同一符号を付してその詳細な説明を省略する。
図7に示すように、この蛍光基準部材15は、上述したメッシュ板7の代わりにケース8の開口を塞ぐ透明な蓋体16(カバー部材)を有し、この蓋体16の内側(蛍光発光体6の面6aに対向する側)に、特定波長域の光だけを選択的に透過させることのできる帯域制限フィルタ17(光学フィルタ)を有する。つまり、この変形例に係る蛍光基準部材15は、特定波長帯域の光だけを選択的に透過させることで、読み取りセンサ5に集光される蛍光の波長を媒体Mからの蛍光の波長と近似させることに特徴を有する。
蓋体16は、透明なガラス板などにより形成され、好ましくは、石英ガラスによって形成される。蓋体16を石英ガラスによって形成することで、紫外領域の光、すなわち短波長帯域の光の透過特性を安定に確保でき、同時に耐摩耗性も向上できる。また、このような蓋体16の内側に帯域制限フィルタ17を設けることで、フィルタに汚れが付くことを防止でき、フィルタ面の損傷も防止できる。
帯域制限フィルタ17は、TiO2、Al、Ag、SiO2などの金属、或いはイオンを蓋体16の内側に蒸着して形成される。帯域制限フィルタ17の種類を変えることで、透過可能な波長帯域を任意に変更できる。つまり、検査対象となる媒体Mの種類に応じて帯域制限フィルタ17(実際には蓋体16ごと)を交換することで、蛍光基準部材15の汎用性を高めることができる。
図8には、この蛍光基準部材15に照射される励起光の特性(a)とこの蛍光基準部材15から発光される蛍光の特性(b)をグラフにして示してある。なお、図8には、上述した帯域制限フィルタ17によって制限される励起光および蛍光の特性(c)を破線で示してあり、実際に蛍光基準板15から発光される蛍光の発光特性(d)を太線で示してある。
これによると、帯域制限フィルタ17を設けることで、励起光については殆どの波長帯域の光を透過させている反面、透過光量が半分くらいに制限されていることが分かる。また、蛍光については、帯域制限フィルタ17を透過することで、特定の波長帯域の光だけが選択的に透過されていることが分かる。つまり、実際にこの蛍光基準部材15を介して発光される蛍光の発光特性を見てみると、特定の波長帯域の蛍光が発光量を制限されて発光されているのが分かる。
より詳細には、帯域制限フィルタ17を有する蓋体16を励起光が通過するときおよび蛍光が通過するとき、一定のエネルギー損失があるものと考えられ、これにより、蛍光の発光量が制限される。一方、蛍光基準部材15から発光される蛍光の波長帯域は、帯域制限フィルタ17の特性によって選択され、帯域制限フィルタ17を適当に選択することで、所望する波長の蛍光を発光させることができる。
以上のように、上述した変形例によると、蛍光の発光波長帯域を任意に変更可能な蛍光基準部材15を提供でき、媒体Mからの蛍光の波長に容易に近似させることができる。これにより、読み取りセンサ5の波長に対する感度特性に依存するノイズの影響を少なくでき、信頼性の高い検出基準を与えることができる。
なお、上述した第1の実施の形態では、蛍光発光体6の面6aにメッシュ板7(或いはNDフィルタ)、或いは帯域制限フィルタ17を有する蓋体16を設けた場合について説明したが、メッシュ板7と蓋体16を重ねて面6aに対向させて取り付けることもできる。この場合、蛍光の発光量および発光スペクトルを同時に所望する値に調整でき、より信頼性の高い検出基準を与えることができる。
次に、図9乃至図12を参照して、この発明の第2の実施の形態に係る蛍光検査装置20について説明する。なお、ここでは、上述した第1の実施の形態の蛍光検査装置1と同様に機能する構成要素については同一符号を付してその詳細な説明を省略する。
図9乃至図11に示すように、蛍光検査装置20は、紫外光源4に対して搬送路3の反対側で媒体Mの搬送経路から外れた位置(図11で図中上方に外れた位置)に透過型の蛍光基準部材21を備えている。また、蛍光検査装置20は、この蛍光基準部材21に組み込まれた蛍光発光体6から励起発光された蛍光(第2の蛍光)を受光する、読み取りセンサ5とは別の紫外線モニタ用センサ22を有する。この紫外線モニタ用センサ22は、紫外光源4との間に蛍光基準部材21を挟む位置に配置される。
図12に示すように、本実施の形態の蛍光基準部材21は、紫外光源4からの紫外光が照射される照射面6aおよび紫外光の励起により蛍光を発光する発光面6bを互いに対向する関係で有する矩形ブロック状の蛍光ガラス6(本体)、この蛍光ガラス6の照射面6aおよび発光面6bを除く4つの面をカバーするように蛍光ガラス6を収容した矩形筒状のケース23、このケース23の開口、すなわち蛍光発光体6の照射面6aを露出した開口を塞ぐように脱着可能に設けられたメッシュ板7、およびケース23のもう一方の開口、すなわち蛍光発光体6の発光面6bを露出した開口を塞ぐように脱着可能に設けられた蓋体16を有する。蓋体16が蛍光発光体6の発光面6bに対向する内側には、帯域制限フィルタ17が蒸着されている。
この蛍光基準部材21は、紫外光源4に蛍光発光体6の照射面6aが対向する姿勢で蛍光検査装置20に取り付けられ、反対側の発光面6bに紫外線モニタ用センサ22が対向するように取り付けられる。しかして、紫外光源4からの紫外光は、搬送路3を介して搬送される媒体Mに照射されるとともに搬送路3から外れた位置にある蛍光基準部材21に照射され、蛍光基準部材21の蛍光ガラス6から励起発光される蛍光が紫外線モニタ用センサ22によって受光される。
このようにして紫外線モニタ用センサ22で受光した第2の蛍光は、センサ信号としてアンプ16(図13)に出力され、ここでセンサ出力が増幅されてゲイン可変アンプ12へ出力される。そして、媒体Mからの蛍光に基づくセンサ信号が第1の実施の形態と同様に補正され、A/D変換器13を介して判別処理回路10へ出力され、判定基準に照合して検査される。
以上、第2の実施の形態においても、上述した第1の実施の形態と同様の効果を奏することができる。特に、蛍光の発光量を制限するメッシュ板7を励起光の照射側に設け且つ蛍光の発光側に透過波長を制限する蓋体16を設けたため、この蛍光基準部材21から発光される蛍光の発光スペクトルおよび発光量を同時に所望する値に調整でき、より信頼性の高い検出基準を与えることができる。また、第2の実施の形態では、媒体Mを搬送中にいつでもセンサ信号を補正でき、より信頼性を高めることができる。さらに、図14に示すように、紫外線モニタ用センサ22のセンサ信号を増幅するアンプ16の出力側に上述した発光量補正回路18を接続して、センサ信号を補正基準メモリ19に予め用意した補正基準に照合し、紫外光源4の発光量を補正することもできる。
なお、上述した第2の実施の形態では蛍光発光体6の照射面6aにメッシュ板7を対向配置し且つ発光面6bに蓋体16を対向配置した場合について説明したが、少なくとも一方の面をカバーするよう光学フィルタを設ければ良く、一方の面に2種類の光学フィルタを重ねて取り付けても良い。
図15には、この発明の第3の実施の形態に係る蛍光検査装置30の要部の構成を概略的に示してある。ここでも、上述した第1および第2の実施の形態の蛍光検査装置と同様に機能する構成要素について同一符号を付してその詳細な説明を省略する。
この蛍光検査装置30は、媒体Mの搬送方向Tと略直交する方向に延びた細長い蛍光基準部材32を有し、読み取りセンサとして例えばCCDラインセンサ34を配置した。蛍光基準部材32の搬送路3に対向した面32aには、上述した2つのタイプの光学フィルタ7、16(17)のうち少なくとも一方の光学フィルタを取り付けた。
本実施の形態によると、媒体Mの幅方向に沿った蛍光の強度分布を検査する際、媒体Mの全幅に亘って信頼性の高い検出基準を与えることができる。
なお、この発明は、上述した実施の形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上述した実施の形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより種々の発明を形成できる。例えば、上述した実施の形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除しても良い。更に、異なる実施の形態に亘る構成要素を適宜組み合わせても良い。
例えば、紙幣に含まれる蛍光物質を検査する場合について説明したが、これに限らず、検査対象となる媒体Mはいかなるものであっても良い。また、上述した実施の形態では、励起光として紫外光を用いた場合について説明したが、これに限らず、他の波長帯域を有する光を励起光として用いることも可能である。さらに、上述した実施の形態では、主に蛍光発光体6の照射面6aおよび発光面6bの両方に光学フィルタを取り付けた場合について説明したが、光学フィルタは必ずしも両面に取り付ける必要はなく、少なくとも一方に取り付けることで一定の効果を奏し得る。
1、20、30…蛍光検査装置、2…搬送ローラ対、3…搬送路、4…紫外光源、5…読み取りセンサ、6…蛍光発光体、6a…照射面、6b…発光面、7…メッシュ板、9、21…蛍光基準部材、16…蓋体、17…帯域制限フィルタ、M…媒体。
Claims (17)
- 励起光が照射される照射面、および蛍光を発光する発光面を有するとともに、上記照射面を介して照射される上記励起光により励起されて上記蛍光を発光する蛍光物質を含み、この蛍光物質から発光される上記蛍光を上記蛍光面を介して発光させる本体と、
この本体の上記照射面および発光面の少なくとも一方に設けられる光学フィルタと、
を有することを特徴とする蛍光基準部材。 - 上記光学フィルタは、上記本体の照射面および発光面の少なくとも一方に、交換可能に取り付けられることを特徴とする請求項1に記載の蛍光基準部材。
- 上記光学フィルタが設けられる上記照射面および発光面の少なくとも一方をカバーする透明なカバー部材をさらに有し、上記光学フィルタはこのカバー部材の内側に設けられることを特徴とする請求項1に記載の蛍光基準部材。
- 上記カバー部材は、石英ガラスにより形成されていることを特徴とする請求項3に記載の蛍光基準部材。
- 上記本体の照射面および発光面は同じ面を構成していることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の蛍光基準部材。
- 上記光学フィルタは、透過光量を制限するメッシュ板またはNDフィルタであることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の蛍光基準部材。
- 上記光学フィルタは、特定波長域の光を選択的に透過させる帯域制限フィルタであることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の蛍光基準部材。
- 上記光学フィルタは、透過光量を制限するメッシュ板またはNDフィルタと、特定波長域の光を選択的に透過させる帯域制限フィルタと、を重ねて構成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の蛍光基準部材。
- 検査対称となる媒体に励起光を照射する光源と、
この光源からの励起光が照射される照射面、およびこの照射面を介して照射された上記励起光に基づいて励起発光される蛍光を発光する発光面を有する本体と、この本体の上記照射面および発光面の少なくとも一方に設けられる光学フィルタとを具備した蛍光基準部材と、
上記光源から照射された励起光に基づいて、上記媒体に含まれる蛍光物質から励起発光される第1の蛍光、および上記蛍光基準部材から発光される第2の蛍光を選択的に受光する受光部と、
この受光部で受光した第2の蛍光に基づいて該受光部の出力を補正する補正部と、
この補正部で補正した上記第1の蛍光を検査する検査部と、
を有することを特徴とする蛍光検査装置。 - 検査対称となる媒体に励起光を照射する光源と、
この光源から照射された励起光に基づいて上記媒体に含まれる蛍光物質から励起発光される第1の蛍光を受光する第1受光部と、
上記光源からの励起光が照射される照射面、およびこの照射面を介して照射された上記励起光に基づいて励起発光される第2の蛍光を発光する発光面を有する本体と、この本体の上記照射面および発光面の少なくとも一方に設けられる光学フィルタとを具備した蛍光基準部材と、
この蛍光基準部材の上記発光面を介して発光される上記第2の蛍光を受光する第2受光部と、
この第2受光部で受光した第2の蛍光に基づいて上記第1受光部の出力を補正する補正部と、
この補正部で補正した上記第1の蛍光を検査する検査部と、
を有することを特徴とする蛍光検査装置。 - 検査対称となる媒体に励起光を照射する光源と、
この光源からの励起光が照射される照射面、およびこの照射面を介して照射された上記励起光に基づいて励起発光される蛍光を発光する発光面を有する本体と、この本体の上記照射面および発光面の少なくとも一方に設けられる光学フィルタとを具備した蛍光基準部材と、
上記光源から照射された励起光に基づいて、上記媒体に含まれる蛍光物質から励起発光される第1の蛍光、および上記蛍光基準部材から発光される第2の蛍光を選択的に受光する受光部と、
この受光部で受光した上記第1の蛍光を検査する検査部と、
上記受光部で受光した第2の蛍光に基づいて上記光源の発光量を補正する補正部と、
を有することを特徴とする蛍光検査装置。 - 検査対称となる媒体に励起光を照射する光源と、
この光源から照射された励起光に基づいて上記媒体に含まれる蛍光物質から励起発光される第1の蛍光を受光する第1受光部と、
この第1受光部で受光した上記第1の蛍光を検査する検査部と、
上記光源からの励起光が照射される照射面、およびこの照射面を介して照射された上記励起光に基づいて励起発光される第2の蛍光を発光する発光面を有する本体と、この本体の上記照射面および発光面の少なくとも一方に設けられる光学フィルタとを具備した蛍光基準部材と、
この蛍光基準部材の上記発光面を介して発光される上記第2の蛍光を受光する第2受光部と、
この第2受光部で受光した第2の蛍光に基づいて上記光源の発光量を補正する補正部と、
を有することを特徴とする蛍光検査装置。 - 上記光学フィルタは、上記本体の照射面および発光面の少なくとも一方に、交換可能に取り付けられることを特徴とする請求項9乃至請求項12のいずれか1項に記載の蛍光基準部材。
- 上記光学フィルタが設けられる上記照射面および発光面の少なくとも一方をカバーする透明なカバー部材をさらに有し、上記光学フィルタはこのカバー部材の内側に設けられることを特徴とする請求項9乃至請求項12のいずれか1項に記載の蛍光基準部材。
- 上記光学フィルタは、透過光量を制限するメッシュ板またはNDフィルタであることを特徴とする請求項9乃至請求項12のいずれか1項に記載の蛍光基準部材。
- 上記光学フィルタは、特定波長域の光を選択的に透過させる帯域制限フィルタであることを特徴とする請求項9乃至請求項12のいずれか1項に記載の蛍光基準部材。
- 上記光学フィルタは、透過光量を制限するメッシュ板またはNDフィルタと、特定波長域の光を選択的に透過させる帯域制限フィルタと、を重ねて構成されていることを特徴とする請求項9乃至請求項12のいずれか1項に記載の蛍光基準部材。
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JP2010101835A (ja) * | 2008-10-27 | 2010-05-06 | Toshiba Corp | 蛍光基準部材、及び蛍光基準部材を備える蛍光検知装置 |
EP3531379A3 (en) * | 2018-02-05 | 2019-10-30 | Innovative Technology Limited | A banknote validator |
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2005
- 2005-08-31 JP JP2005252228A patent/JP2007064832A/ja active Pending
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