JP2007064249A - クサビ式ディスクブレーキ装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 小さなブレーキ作動入力で大きなブレーキ力を得ることが可能であり、ブレーキ作動入力を出力するアクチュエータの小型化を図ることが可能なディスクブレーキ装置を提供する。
【解決手段】 ディスクブレーキ装置では、電動アクチュエータ20の作動によって得られる直線的なブレーキ作動入力がクサビ伝達機構30にてピストン14の軸方向のブレーキ作動出力に変換され、キャリパ15のシリンダ部15bに軸方向へ摺動可能に嵌合したピストン14がブレーキ作動出力によりその軸方向に駆動されて、パッド12をディスクロータ11に向けて押動する。パッド12とディスクロータ11のロータ周方向での摩擦力は、アンカー機構としての油圧シリンダA1,A2にてアンカー荷重として取り出される。このアンカー荷重はアンカー荷重伝達機構としての油圧シリンダBからクサビ伝達機構30のクサビ部材31に伝達されてブレーキ作動出力が助勢される。
【選択図】 図1
【解決手段】 ディスクブレーキ装置では、電動アクチュエータ20の作動によって得られる直線的なブレーキ作動入力がクサビ伝達機構30にてピストン14の軸方向のブレーキ作動出力に変換され、キャリパ15のシリンダ部15bに軸方向へ摺動可能に嵌合したピストン14がブレーキ作動出力によりその軸方向に駆動されて、パッド12をディスクロータ11に向けて押動する。パッド12とディスクロータ11のロータ周方向での摩擦力は、アンカー機構としての油圧シリンダA1,A2にてアンカー荷重として取り出される。このアンカー荷重はアンカー荷重伝達機構としての油圧シリンダBからクサビ伝達機構30のクサビ部材31に伝達されてブレーキ作動出力が助勢される。
【選択図】 図1
Description
本発明は、ディスクブレーキ装置に係り、特に、アクチュエータの作動によって得られる直線的なブレーキ作動入力がクサビ伝達機構にてピストン軸方向のブレーキ作動出力に変換されるように構成されているクサビ式ディスクブレーキ装置に関する。
この種のディスクブレーキ装置は、例えば、下記特許文献1に示されていて、このディスクブレーキ装置においては、上述したブレーキ作動出力により、キャリパのシリンダ部に軸方向へ摺動可能に嵌合したピストンがその軸方向に駆動されて、パッドをディスクロータに向けて押動するように構成されている。
特開昭62−127533号公報
上記した特許文献1に記載されているディスクブレーキ装置においては、アクチュエータの作動によって得られる直線的なブレーキ作動入力がクサビ伝達機構にてピストン軸方向のブレーキ作動出力に変換される際に、ブレーキ作動出力がブレーキ作動入力に比して増大されるものの、ブレーキ作動出力が必要十分な力とならない場合には、アクチュエータを大型化してその出力を増大させる必要がある。
本発明は、上記した課題を解消すべくなされたものであり、アクチュエータの作動によって得られる直線的なブレーキ作動入力がクサビ伝達機構にてピストン軸方向のブレーキ作動出力に変換されるように構成されていて、キャリパのシリンダ部に軸方向へ摺動可能に嵌合したピストンがブレーキ作動出力によりその軸方向に駆動されて、パッドをディスクロータに向けて押動するように構成したクサビ式ディスクブレーキ装置において、前記パッドと前記ディスクロータのロータ周方向での摩擦力をアンカー荷重として取り出すアンカー機構を設けるとともに、このアンカー機構にて取り出される前記アンカー荷重を前記クサビ伝達機構に伝達して前記ブレーキ作動出力を助勢するアンカー荷重伝達機構を設けたことに特徴がある。
このディスクブレーキ装置においては、アンカー機構とアンカー荷重伝達機構を設けたため、パッドとディスクロータのロータ周方向での摩擦力をアンカー荷重として取り出すことができるとともに、このアンカー荷重をクサビ伝達機構に伝達してブレーキ作動出力を助勢することができる。しかも、アンカー荷重をクサビ伝達機構に伝達してブレーキ作動出力を助勢するものであるため、クサビ伝達機構にて得られるクサビ作用を有効に活用して、小さなアンカー荷重でもピストンに必要十分なサーボ力を加えることが可能である。したがって、小さなブレーキ作動入力で大きなブレーキ力を得ることが可能であり、ブレーキ作動入力を出力するアクチュエータの小型化を図ることが可能である。
上記した本発明の実施に際して、前記アンカー機構は、前記パッドにおける裏金のロータ周方向端部に係合して同裏金によってロータ周方向に押動されるアンカーピストンと、このアンカーピストンが前記裏金によってロータ周方向に押動されることにより内部に前記アンカー荷重に応じた圧力を発生するアンカーシリンダを有する油圧シリンダを備えており、前記アンカー荷重伝達機構は、前記アンカーシリンダに油圧回路を介して接続されて前記アンカー荷重に応じた圧力を内部に付与されるサーボシリンダと、このサーボシリンダに組付けられ前記アンカー荷重に応じた圧力によって押動されて前記クサビ伝達機構のクサビ部材を押動するサーボピストンを有する油圧シリンダを備えていることも可能である。この場合には、アンカーシリンダとサーボシリンダを油圧回路で容易に接続することが可能であるため、クサビ伝達機構がパッドに対して如何なる配置で設けられていても、アンカー機構とアンカー荷重伝達機構をそれぞれ的確に配置することが可能である。
この場合において、前記アンカーピストンと前記アンカーシリンダを有する油圧シリンダは単動形油圧シリンダであり、この単動形油圧シリンダは前記パッドにおける裏金のロータ周方向両側にそれぞれ設けられていることも可能である。この場合には、各単動形油圧シリンダの油室とサーボシリンダの油室を単に接続することで実施することが可能であり、当該装置にて採用する油圧回路の簡素化が可能である。
また、この場合において、前記アンカーピストンと前記アンカーシリンダを有する油圧シリンダは複動形油圧シリンダであり、この複動形油圧シリンダは前記パッドにおける裏金のロータ周方向一側に設けられていることも可能である。この場合には、パッドにおける裏金のロータ周方向端部に配設する油圧シリンダを単一として、アンカー機構の簡素化を図ることが可能である。
また、本発明の実施に際して、前記アンカー機構は、前記パッドにおける裏金のロータ周方向端部に係合して同裏金によってロータ周方向に押動されるアンカーロッドを備えており、前記アンカー荷重伝達機構は、前記アンカーロッドに一端にて係合して前記アンカーロッドから受けるアンカー荷重を入力として揺動するレバーと、このレバーの他端に係合して前記レバーの揺動に応じて前記クサビ伝達機構のクサビ部材を押動するサーボロッドを備えていることも可能である。この場合には、アンカー機構とアンカー荷重伝達機構をシンプルかつ安価に構成することが可能である。
また、本発明の実施に際して、前記アクチュエータは電動アクチュエータであることも可能である。この場合には、電動アクチュエータでの省電力化が可能であり、電力消費量の少ない電動クサビ式ディスクブレーキ装置を構成することが可能である。
以下に、本発明の各実施形態を図面に基づいて説明する。図1は本発明を車両用のディスクブレーキ装置に実施した第1実施形態を概略的に示していて、この第1実施形態のディスクブレーキ装置は、車輪(図示省略)と一体的に回転するディスクロータ11を挟持可能な一対のインナパッド12およびアウタパッド13と、これら各パッド12,13をそれぞれディスクロータ11の各制動面に向けてロータ軸方向(図1の左右方向)に押動可能なピストン14および可動型のキャリパ15を備えている。
インナパッド12は、その裏金12aにてピストン14によってディスクロータ11に向けて押動・押圧される構成であり、アウタパッド13は、その裏金13aにてキャリパ15の反力アーム部15aによってディスクロータ11に向けて押動・押圧される構成である。また、各パッド12,13は、車体(図示省略)に組付けられるマウンティング16にロータ軸方向へ移動可能に組付けられていて、制動時の制動トルクはマウンティング16に設けた受承部16a,16bと一対の単動形油圧シリンダA1,A2にて受け止められるようになっている。
ピストン14は、キャリパ15のシリンダ部15bにシリンダ軸方向へ摺動可能かつ回転可能に組付けられた第1ピストン14aと、この第1ピストン14aに対して同軸で進退可能に螺合されインナパッド12の裏金12aに一体的に固定(回転不能に固定)された第2ピストン14bからなり、各パッド12,13のライニング12b,13b摩耗に応じて軸方向長さ(第1ピストン14aと第2ピストン14bの螺合量)が自動的に調整されるように構成されている。
キャリパ15は、上記した反力アーム部15aとシリンダ部15bを有するとともに、これらを連結する連結アーム部15cを有していて、各連結アーム部15cにてマウンティング16に周知のようにしてロータ軸方向へ移動可能に組付けられている。また、このキャリパ15には、電動アクチュエータ20とクサビ伝達機構30を収容するハウジング17が一体的に組付けられている。
電動アクチュエータ20は、ブレーキペダル(図示省略)等による制動操作に応じて正方向に回転駆動され制動解除操作に応じて逆方向に回転駆動される電気モータ(図示省略)と、この電気モータの回転駆動力をナット21に減速して伝達する歯車伝達機構(ナット21に一体的に形成したギヤ21aを備えている)と、ナット21の回転駆動力をネジ軸22の軸方向駆動力に変換して連結ピン23と連結スリーブ24を介してクサビ伝達機構30のクサビ部材31に伝達するネジ送り機構を備えている。
ナット21は、ハウジング17に一対の軸受18,19を介して回転可能かつ軸方向移動不能に組付けられている。ネジ軸22は、ナット21に螺合されていて、ナット21の回転に伴ってネジ軸方向に移動可能である。連結ピン23は、ネジ軸22と連結スリーブ24を連結している。連結スリーブ24は、図示省略のピンによりクサビ部材31の一端部に連結されていて、ネジ軸22に対して連結ピン23回りに傾動可能である。
クサビ伝達機構30は、ネジ軸22の軸方向駆動力(電動アクチュエータ20の作動によって得られる直線的なブレーキ作動入力)をピストン14の軸方向駆動力(ブレーキ作動出力)に変換してピストン14に伝達するものであり、ネジ軸22と一体的にネジ軸方向に移動するクサビ部材31と、このクサビ部材31のピストン側に配置されてピストン14の端部に組付けられたピストン側プレート32と、クサビ部材31の反ピストン側に配置されてハウジング17に一体的に組付けられピストン側プレート32に対向配置された反ピストン側プレート33と、これら両プレート32,33間にクサビ部材31とともに配置されてクサビ部材31と各プレート32,33間にて転動可能な二対4個のローラ34を備えている。
クサビ部材31は、ピストン側をネジ軸方向に対して傾斜した傾斜面とし反ピストン側をネジ軸方向に対して略平行な平行面とするクサビ面を有していて、クサビ面には各ローラ34が転動可能に係合している。ピストン側プレート32は、ピストン14における第1ピストン14aの端部に、ピストン軸方向には一体的に移動可能に、かつピストン軸周りには回転可能に組付けられている。また、ピストン側プレート32は、クサビ部材34のピストン側クサビ面(傾斜面)に対して平行な係合斜面を有していて、この係合斜面にはピストン側の各ローラ34が転動可能に係合している。
一方、反ピストン側プレート33は、クサビ部材31の反ピストン側クサビ面(平行面)に対して平行な係合面を有していて、この係合面には反ピストン側の各ローラ34が転動可能に係合している。反ピストン側プレート33の係合面は、ネジ軸22の軸線に対して略平行であり、クサビ部材31の移動方向とネジ軸22の移動方向は略一致している。
ところで、この第1実施形態においては、制動時におけるインナパッド12とディスクロータ11のロータ周方向での摩擦力をアンカー荷重として取り出すアンカー機構として一対の単動形油圧シリンダA1,A2が採用されるとともに、このアンカー機構にて取り出されるアンカー荷重をクサビ伝達機構30のクサビ部材31に伝達してブレーキ作動出力を助勢するアンカー荷重伝達機構として単動形油圧シリンダBが採用されている。
一方の単動形油圧シリンダA1は、前進制動時にアンカー荷重を取り出すものであり、インナパッド12における裏金12aのロータ周方向一側に設けられていて、アンカーピストン41とアンカーシリンダ42を備えている。アンカーピストン41は、アンカーシリンダ42に組付けられていて、油室43を形成しており、前進制動時にインナパッド12の裏金12aによってロータ周方向一側に押動されるように構成されている。なお、アンカーピストン41とアンカーシリンダ42間は、アンカーピストン41に組付けたシール部材44により大気圧側とは隔離されている。
アンカーシリンダ42は、マウンティング16に一体的に設けられていて、アンカーピストン41がインナパッド12の裏金12aによってロータ周方向一側に押動されることにより油室43にアンカー荷重に応じた圧力を発生するように構成されている。なお、アンカーシリンダ42は、キャリパ15に一体的に設けられるようにして実施することも可能である。
他方の単動形油圧シリンダA2は、後進制動時にアンカー荷重を取り出すものであり、インナパッド12における裏金12aのロータ周方向他側に設けられていて、アンカーピストン51とアンカーシリンダ52を備えている。アンカーピストン51は、アンカーシリンダ52に組付けられていて、油室53を形成しており、後進制動時にインナパッド12の裏金12aによってロータ周方向他側に押動されるように構成されている。なお、アンカーピストン51とアンカーシリンダ52間は、アンカーピストン51に組付けたシール部材54により大気圧側とは隔離されている。
アンカーシリンダ52は、マウンティング16に一体的に設けられていて、アンカーピストン51がインナパッド12の裏金12aによってロータ周方向他側に押動されることにより油室53にアンカー荷重に応じた圧力を発生するように構成されている。なお、アンカーシリンダ52は、キャリパ15に一体的に設けられるようにして実施することも可能である。
単動形油圧シリンダBは、サーボピストン61とサーボシリンダ62を備えている。サーボピストン61は、サーボシリンダ62に組付けられていて、油室63を形成しており、油室63内の圧力によって押動されてクサビ伝達機構30のクサビ部材31を押動するように構成されている。なお、サーボピストン61とサーボシリンダ62間は、サーボピストン61に組付けたシール部材64により大気圧側とは隔離されている。
サーボシリンダ62は、ハウジング17に一体的に設けられている。油室63は、油圧管路P1を通して単動形油圧シリンダA1の油室43に連通するとともに、油圧管路P2を通して単動形油圧シリンダA2の油室53に連通していて、アンカー荷重に応じた圧力が内部に付与されるように構成されている。
上記のように構成したこの第1実施形態のディスクブレーキ装置においては、ブレーキペダル(図示省略)等による制動操作により電気モータが正方向(制動方向)に回転駆動されると、電気モータの回転駆動力がネジ軸22の軸方向駆動力(図示下方への駆動力)に変換される。また、ネジ軸22の軸方向駆動力は、クサビ伝達機構30にてピストン14の軸方向駆動力(図示左方への駆動力)に変換されて、ピストン14に伝達される。
このため、ピストン14がその軸方向に駆動されてインナパッド12をディスクロータ11に向けて押動・押圧するとともに、その反力によりキャリパ15の反力アーム部15aがアウタパッド13をディスクロータ11に向けて押動・押圧し、インナパッド12とアウタパッド13がディスクロータ11を挟持する。これにより、各パッド12,13とディスクロータ11間に制動力(各パッド12,13におけるライニング12b,13bとディスクロータ11のロータ周方向での摩擦力)が発生して、ディスクロータ11が制動される。
また、この第1実施形態のディスクブレーキ装置においては、制動操作を解除すると、キャリパ15の剛性と図示しないリターンスプリングとにより、ピストン14、クサビ部材31、ネジ軸22等が初期位置(制動前の位置)に戻り、ブレーキ作動入力およびブレーキ作動出力が無くなって、ピストン14によるインナパッド12のディスクロータ11への押動・押圧およびキャリパ15の反力アーム部15aによるアウタパッド13のディスクロータ11への押動・押圧が無くなる。このため、両パッド12,13によるディスクロータ11の制動が解除される。
ところで、このディスクブレーキ装置においては、インナパッド12における裏金12aのロータ周方向両側にアンカー機構としての単動形油圧シリンダA1とA2がそれぞれ設けられるとともに、クサビ伝達機構30のクサビ部材31にアンカー荷重を伝達可能なアンカー荷重伝達機構としての単動形油圧シリンダBがハウジング17に設けられている。このため、インナパッド12とディスクロータ11のロータ周方向での摩擦力をアンカー荷重として取り出すことができるとともに、このアンカー荷重をクサビ伝達機構30のクサビ部材31に伝達してブレーキ作動出力を助勢することができる。
しかも、アンカー荷重をクサビ伝達機構30のクサビ部材31に伝達してブレーキ作動出力を助勢するものであるため、クサビ伝達機構30にて得られるクサビ作用を有効に活用して、小さなアンカー荷重でもピストン14に必要十分なサーボ力を加えることが可能である。したがって、小さなブレーキ作動入力で大きなブレーキ力を得ることが可能であり、ブレーキ作動入力を出力する電動アクチュエータ20の小型化を図ることが可能である。また、電動アクチュエータ20での省電力化が可能であり、電力消費量の少ない電動クサビ式ディスクブレーキ装置を構成することが可能である。
また、このディスクブレーキ装置においては、制動時におけるインナパッド12とディスクロータ11のロータ周方向での摩擦力をアンカー荷重として取り出すアンカー機構として一対の単動形油圧シリンダA1,A2が採用されるとともに、このアンカー機構にて取り出されるアンカー荷重をクサビ伝達機構30のクサビ部材31に伝達してブレーキ作動出力を助勢するアンカー荷重伝達機構として単動形油圧シリンダBが採用されている。
このため、各単動形油圧シリンダA1,A2の油室43,53と単動形油圧シリンダBの油室63、すなわち、各アンカーシリンダ42,52とサーボシリンダ62を、油圧管路P1,P2で容易に接続することが可能であり、クサビ伝達機構30がインナパッド12に対して如何なる配置で設けられていても、アンカー機構としての単動形油圧シリンダA1,A2とアンカー荷重伝達機構としての単動形油圧シリンダBをそれぞれ的確に配置することが可能である。
また、このディスクブレーキ装置においては、アンカー機構として一対の単動形油圧シリンダA1,A2が採用されていて、各単動形油圧シリンダA1,A2はインナパッド12における裏金12aのロータ周方向両側にそれぞれ設けられている。このため、例えば、前進制動時には、単動形油圧シリンダA1のアンカーピストン41がアンカー荷重で押動されることにより、油室43に生じた圧力が油圧管路P1,P2を通して単動形油圧シリンダA2の油室53と単動形油圧シリンダBの油室63に伝達される。このとき、単動形油圧シリンダA2のアンカーピストン51は、アンカーシリンダ52の底部に当接していて移動不能である。
したがって、このときには、単動形油圧シリンダA1の油室43に生じた圧力が、単動形油圧シリンダBのサーボピストン61のみを押動することになり、所期の作動が得られる。これにより、各単動形油圧シリンダA1,A2の油室43,53と単動形油圧シリンダBの油室63を油圧管路P1,P2にて単に接続することで上記した第1実施形態を実施することが可能であり、当該装置にて採用する油圧回路の簡素化が可能である。
上記した第1実施形態においては、アンカー機構として一対の単動形油圧シリンダA1,A2を採用した実施形態について説明したが、図2および図3に示した第2実施形態のように、アンカー機構として一つの複動形油圧シリンダAoを採用して本発明を実施することも可能である。図2および図3に示した複動形油圧シリンダAoは、インナパッド12における裏金12aのロータ周方向一側に設けられていて、アンカーピストン71とアンカーシリンダ72を備えるとともに、一対のスプリング73,74を備えている。
アンカーピストン71は、アンカーシリンダ72に組付けられるとともに、一端部71aにてインナパッド12の裏金12aに形成した係合溝12a1にロータ軸方向に移動可能かつロータ周方向に一体的に移動可能に組付けられていて、一対の油室75,76を形成しており、前進制動時および後進制動時にインナパッド12の裏金12aによってロータ周方向に押動されるように構成されている。なお、アンカーピストン71の一端部71aにおいて、インナパッド12の裏金12aと係合する部分は、球状(円弧状)とされていて、インナパッド12が傾いても、インナパッド12の裏金12aからアンカー荷重がアンカーピストン71に的確に伝達されるようになっている。また、アンカーピストン71には、大気圧側と油室75間をシールするシール部材77が組付けられるとともに、油室75,76間をシールするシール部材78が組付けられている。
アンカーシリンダ72は、マウンティング16に一体的に設けられていて、アンカーピストン71がインナパッド12の裏金12aによってスプリング73または74のばね力に抗してロータ周方向に押動されることにより油室75または76にアンカー荷重に応じた圧力を発生するように構成されており、大気圧側と油室76間をシールするシール部材79が組付けられている。各スプリング73,74は、各油室75,76にそれぞれ収容されていて、アンカーピストン71を中立位置(初期位置)に向けて付勢している。なお、アンカーシリンダ72は、キャリパ15に一体的に設けられるようにして実施することも可能である。
各油室75,76は、油圧回路80を介して単動形油圧シリンダBの油室63に接続されている。油圧回路80は、4個のチェック弁81,82,83,84と、1個のリザーバ85と、1個の電磁開閉弁86を備えている。なお、リザーバ85は、その油溜内に組付けたスプリング85aと、これにより油溜を大きくする方向に付勢されたピストン85bを備えていて、このピストン85bには大気圧側と油溜間をシールするシール部材85cが組付けられている。
チェック弁81〜84とリザーバ85は、一方の油室75が正圧となり他方の油室76が負圧となるとき、油室75の圧力が単動形油圧シリンダBの油室63に伝達されるとともに、リザーバ85のピストン85bがスプリング85aに抗して移動してリザーバ85の油溜から油室76に作動油が供給されるように機能し、他方の油室76が正圧となり一方の油室75が負圧となるとき、油室76の圧力が単動形油圧シリンダBの油室63に伝達されるとともに、リザーバ85のピストン85bがスプリング85aに抗して移動してリザーバ85の油溜から油室75に作動油が供給されるように機能する。電磁開閉弁86は、常閉弁であり、制動操作が解除されたとき、所定時間だけ開作動してリザーバ85内の油量を元の状態に戻すように機能する。
この第2実施形態のディスクブレーキ装置においては、アンカー機構として一つの複動形油圧シリンダAoが採用されていて、インナパッド12における裏金12aのロータ周方向一側に設けられている。このため、インナパッド12における裏金12aのロータ周方向端部に配設する油圧シリンダを単一として、アンカー機構の簡素化を図ることが可能である。なお、この第2実施形態のディスクブレーキ装置においては、複動形油圧シリンダAoと油圧回路80以外の構成が上記第1実施形態の構成と同じであるため、制動時と制動解除時には上記第1実施形態と同様の作動が得られる。
また、上記した各実施形態においては、アンカー機構として一対の単動形油圧シリンダA1,A2または一つの複動形油圧シリンダAoを採用するとともに、アンカー荷重伝達機構として単動形油圧シリンダBを採用して本発明を実施したが、図4に示した第3実施形態のように構成して、本発明を実施することも可能である。
図4に示した第3実施形態のアンカー機構は、マウンティング16(またはキャリパ15)に組付けられインナパッド12における裏金12aのロータ周方向一端部に係合して同裏金12aによってロータ周方向に押動されるアンカーロッド91を備えている。なお、この実施形態においては、インナパッド12における裏金12aのロータ周方向他端部に係合する受承部16cがマウンティング16に設けられている。
また、アンカー荷重伝達機構は、キャリパ15(またはマウンティング16)にピン92を介して組付けられてアンカーロッド91に一端にて係合してアンカーロッド91から受けるアンカー荷重を入力として揺動するレバー93と、このレバー93の他端に係合してレバー93の揺動に応じてクサビ伝達機構30のクサビ部材31を押動するサーボロッド94を備えている。
この第3実施形態のディスクブレーキ装置においては、アンカー荷重がアンカーロッド91からレバー93とサーボロッド94を介してクサビ伝達機構30のクサビ部材31に伝達され、油圧回路(第1実施形態の油圧管路P1,P2や第2実施形態の油圧回路80に相当するもの)が不要であるため、アンカー機構とアンカー荷重伝達機構をシンプルかつ安価に構成することが可能である。なお、この第2実施形態のディスクブレーキ装置においては、アンカーロッド91、レバー93、サーボロッド94以外の構成が上記第1実施形態の構成と同じであるため、制動時と制動解除時には上記第1実施形態と同様の作動が得られる。
上記した各実施形態においては、クサビ部材31に引っ張り力として作用する直線的なブレーキ作動入力が、電動アクチュエータ20にて得られる実施形態に本発明を実施したが、このアクチュエータに代えて、クサビ部材31に引っ張り力として作用する直線的なブレーキ作動入力が直接的に得られるようなアクチュエータ(例えば、米国特許明細書第4,235,312号に示されているエアーモータ)を採用して実施することも可能である。また、上記した各実施形態においては、可動キャリパ型のディスクブレーキ装置に本発明を実施したが、本発明は、他のタイプのディスクブレーキ装置にも、上記実施形態と同様にまたは適宜変更して実施することが可能である。
11…ディスクロータ、12…インナパッド、12a…インナパッドの裏金、13…アウタパッド、14…ピストン、15…キャリパ、15b…シリンダ部、16…マウンティング、20…電動アクチュエータ、30…クサビ伝達機構、31…クサビ部材、41,51…アンカーピストン、42,52…アンカーシリンダ、43,53…油室、61…サーボピストン、62…サーボシリンダ、63…油室、A1,A2…単動形油圧シリンダ(アンカー機構)、B…単動形油圧シリンダ(アンカー荷重伝達機構)、P1,P2…油圧管路
Claims (6)
- アクチュエータの作動によって得られる直線的なブレーキ作動入力がクサビ伝達機構にてピストン軸方向のブレーキ作動出力に変換されるように構成されていて、キャリパのシリンダ部に軸方向へ摺動可能に嵌合したピストンがブレーキ作動出力によりその軸方向に駆動されて、パッドをディスクロータに向けて押動するように構成したクサビ式ディスクブレーキ装置において、前記パッドと前記ディスクロータのロータ周方向での摩擦力をアンカー荷重として取り出すアンカー機構を設けるとともに、このアンカー機構にて取り出される前記アンカー荷重を前記クサビ伝達機構に伝達して前記ブレーキ作動出力を助勢するアンカー荷重伝達機構を設けたことを特徴とするクサビ式ディスクブレーキ装置。
- 前記アンカー機構は、前記パッドにおける裏金のロータ周方向端部に係合して同裏金によってロータ周方向に押動されるアンカーピストンと、このアンカーピストンが前記裏金によってロータ周方向に押動されることにより内部に前記アンカー荷重に応じた圧力を発生するアンカーシリンダを有する油圧シリンダを備えており、前記アンカー荷重伝達機構は、前記アンカーシリンダに油圧回路を介して接続されて前記アンカー荷重に応じた圧力を内部に付与されるサーボシリンダと、このサーボシリンダに組付けられ前記アンカー荷重に応じた圧力によって押動されて前記クサビ伝達機構のクサビ部材を押動するサーボピストンを有する油圧シリンダを備えていることを特徴とする請求項1に記載のクサビ式ディスクブレーキ装置。
- 前記アンカーピストンと前記アンカーシリンダを有する油圧シリンダは単動形油圧シリンダであり、この単動形油圧シリンダは前記パッドにおける裏金のロータ周方向両側にそれぞれ設けられていることを特徴とする請求項2に記載のクサビ式ディスクブレーキ装置。
- 前記アンカーピストンと前記アンカーシリンダを有する油圧シリンダは複動形油圧シリンダであり、この複動形油圧シリンダは前記パッドにおける裏金のロータ周方向一側に設けられていることを特徴とする請求項2に記載のクサビ式ディスクブレーキ装置。
- 前記アンカー機構は、前記パッドにおける裏金のロータ周方向端部に係合して同裏金によってロータ周方向に押動されるアンカーロッドを備えており、前記アンカー荷重伝達機構は、前記アンカーロッドに一端にて係合して前記アンカーロッドから受けるアンカー荷重を入力として揺動するレバーと、このレバーの他端に係合して前記レバーの揺動に応じて前記クサビ伝達機構のクサビ部材を押動するサーボロッドを備えていることを特徴とする請求項1に記載のクサビ式ディスクブレーキ装置。
- 前記アクチュエータは電動アクチュエータであることを特徴とする請求項1〜5の何れか一項に記載のクサビ式ディスクブレーキ装置。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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