JP2007063645A - 真空処理装置用の回転シール機構および真空処理装置 - Google Patents

真空処理装置用の回転シール機構および真空処理装置 Download PDF

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基 岡田
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Abstract

【課題】 冷却液体の流路への冷却液体の供給の有無に応じて、シール部材の液体シール状態を変更可能な真空処理装置用の回転シール機構およびこれを備えた真空処理装置を提供する。
【解決手段】回転シール機構101は、筒状の中空回転軸25と、筒状のケーシング部材23と、中空回転軸25を回転可能な駆動装置31と、ケーシング部材23の外部から中空回転軸25の中空部に亘るように形成された冷却液体の流路と、中空回転軸25とケーシング部材23との間に設けられた、冷却液体貯留部S1と、中空回転軸25とケーシング部材23との間に存在する隙間に、冷却液体貯留部S1を挟むように配設され、冷却液体貯留部S1をシールする一対の環状のシール部材50、51と、流路への冷却液体の供給の有無に応じて、中空回転軸25の回転の際の、シール部材50、51の液体シール状態を変更可能な調整手段と、備える。
【選択図】 図1

Description

本発明は、真空処理装置用の回転シール機構および真空処理装置に係り、更に詳しくは、シール部材の液体シール技術に関する。
半導体素子、光学素子等の用途に用いる基板への膜形成には、イオンプレーティング法やスパッタリング法等の真空成膜方法が多用されている。
こうした真空膜形成においては、例えば、蒸発源から基板にもたらされる輻射熱や基板に堆積した物質の基板への伝導熱によって基板の温度が過度に上昇する場合があり、プラスチック基板等の熱影響に対し脆弱な基板であれば、熱ダメージを受けることが懸念される。
このため、熱ダメージを受け易いプラスチック基板等を使用する真空成膜装置には、従来から基板を保持する基板ホルダに冷媒(例えば、冷却水)を循環して基板を冷却する機能が付与され、これにより基板ホルダを介して冷却水との熱交換により基板が、適切に冷却するように構成されている。
そして、こうした基板冷却技術との組合せにおいて、基板ホルダに配した多数の基板を基板ホルダと共に回転させ、これらの基板に堆積する膜の均一化を図る技術が、既に開発されている(例えば、特許文献1参照)。
詳しくは、特許文献1に記載の装置によれば、円盤状の基板ホルダの裏面から延在する円柱状の回転軸体の内部に、基板ホルダに循環させる冷却水(例えば約−5℃の不凍液)通流用のパイプが配置されている。そして、この様な回転軸体の内側構造には、回転軸体を回転させつつ冷却水を回転軸体の内外において案内するためのパイプリングと、回転軸体とハウジングとの間の摺動面の僅かな間隙を伝って回転軸体の中心軸の方向に漏洩する冷却水を封止する環状のシール部材(Oリング等のスクィーズパッキン)とが、設けられている。
斯かるシール部材は、回転体の摺動面との接触摩擦により磨耗劣化する消耗品である。このため、シール部材の磨耗劣化への適切な対処法の確立が、シール部材の長寿命化を図り、延いては、真空処理装置のシール部材交換時期を可能な限り延ばして真空処理装置の効率化を図る観点から望まれている。
このようなシール部材の磨耗劣化に対する一対処法として、真空処理装置への適用事例ではないものの、蒸気タービンやガスタービン等の高温高圧の作動流体をシールするブラシシールの磨耗劣化を、ブラシシール下流側の作動流体の圧力の多寡に応じて診断する診断技術と共に、この診断に異常があれば、上記作動流体の圧力に応じてブラシシールの押圧力を調整するというシール性能回復技術が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
特開2005−82837号公報 特開2004−68965号公報
ところで、真空処理装置(例えば、スパッタリング法やイオンプレーティング法を使った真空成膜装置)には、基板自体の材質や基板への堆積膜条件に依拠して、基板ホルダ内に冷却水を流すことを要するプロセスと、そうすることを要しないプロセスとを兼ねることがある。
そうすると、特許文献1記載の従来の真空成膜装置は、シール部材による冷却水シールの不要な成膜を実行する場合であっても、シール部材の磨耗劣化を進行させるといった不都合を内包していると、本件発明者等は考えた。
なお、特許文献2に記載のシール性能回復技術についても、その前提として、シール部材によって作動流体のシールを常時実行するという状況が念頭に置かれている。
本発明は、斯かる事情に鑑みてなされたものであり、冷却液体の流路への冷却液体の供給の有無に応じて、シール部材の液体シール状態を変更可能な真空処理装置用の回転シール機構およびこれを備えた真空処理装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明に係る真空処理装置用の回転シール機構は、筒状の中空回転軸と、前記中空回転軸の外側に位置して前記中空回転軸と同軸状に嵌合し、前記中空回転軸を回転可能に支持する筒状のケーシング部材と、前記中空回転軸を回転可能な駆動装置と、前記ケーシング部材の外部から前記中空回転軸の中空部に亘るように形成された冷却液体の流路と、前記流路の途中に位置して、前記中空回転軸と前記ケーシング部材との間に設けられた、環状かつ溝状の冷却液体貯留部と、前記中空回転軸と前記ケーシング部材との間に存在する隙間に前記冷却液体貯留部を挟むように配設され、前記冷却液体貯留部をシールする一対の環状のシール部材と、前記流路への冷却液体の供給の有無に応じて、前記中空回転軸の回転の際の、前記シール部材の液体シール状態を変更可能な調整手段と、を備えて構成される。
具体的には、前記シール部材は、前記隙間に浸入した冷却液体が、前記中空回転軸の中心軸の方向に前記隙間から漏れることを、前記中空回転軸との接触圧により抑制可能であり、前記調整手段を介して前記接触圧が変化するものである。
斯かる調整手段による接触圧調整例として、前記冷却液体が前記流路に供給される場合には、前記調整手段を介して前記接触圧を増してなり、前記冷却液体が前記流路に供給されない場合には、前記調整手段を介して前記接触圧を低下してなる。
そうすると、前記冷却液体が前記流路に供給される際に、シール部材と中空回転軸の外周面との間に適度の接触圧が保たれ、斯かるシール部材により冷却液体貯留部の冷却液体が適切にシールされる。その一方で、前記冷却液体が前記流路に供給されない場合には、中空回転軸を回転させても、シール部材と中空回転軸の外周面との間の接触摩擦によるシール部材の磨耗劣化の進行は適切に抑制される。
特に、前記冷却液体が前記流路に供給されない場合において、前記調整手段を介して前記接触圧を無くすことにより、シール部材の磨耗劣化の進行が根本的に解消され好適である。
ここで、前記調整手段の一例として、斯かる調整手段が、前記中空回転軸と前記ケーシング部材との間に設けられ、前記シール部材を保持してこれを前記中心軸の方向に移動してなる筒状可動体と、前記筒状可動体を前記中心軸の方向に移動する昇降手段と、を備え、前記筒状可動体は、前記シール部材との間の接触反力により、前記シール部材を前記中空回転軸に対して付勢可能に構成され、前記筒状可動体の前記中心軸の方向の移動位置に応じた前記接触反力の多寡により前記接触圧が変化するものである。
前記昇降手段は、前記筒状可動体に接続された棒状のロッドと、前記ロッドを駆動するアクチュエータと、を備え、前記アクチュエータによる前記ロッドの駆動に基づき、前記筒状可動体が前記中心軸の方向に移動しても良い。
前記ロッドは、例えば、前記中心軸の方向への移動を規制された状態において前記筒状可動体に螺着された螺子棒であり、この場合には、前記アクチュエータによる前記螺子棒の回転駆動に基づき、前記筒状可動体が前記中心軸の方向に移動することになる。
シール部材を保持する前記筒状可動体が前記中心軸の方向に移動することにより、シール部材と中空回転軸との間の接触圧を変える一構成例として、前記中空回転軸の外周面に、前記中心軸の方向において前記中空回転軸の軸径を違えた段差部が形成され、前記筒状可動体の移動により、前記シール部材が前記段差部を跨ぐ際に、前記接触圧を変化させても良い。
また、シール部材を保持する前記筒状可動体が前記中心軸の方向に移動することにより、シール部材と中空回転軸との間の接触圧を変える他の構成例として、前記中空回転軸の外周面に、前記中心軸の方向において前記中空回転軸の軸径を違えるようにテーパ面が形成され、前記筒状可動体の移動により、前記シール部材が前記テーパ面を前記中心軸の方向に摺動する際に、前記接触圧を変化させても良い。
なお、本発明に係る真空処理装置は、上記回転シール機構と、前記中空回転軸の中空部と連通した、減圧可能な空間を有する真空槽と、を備えて構成されても良く、この真空処理装置の一例として、イオンプレーティング装置やスパッタリング装置等の真空成膜装置がある。
本発明によれば、冷却液体の流路への冷却液体の供給の有無に応じて、シール部材の液体シール性能を変更可能な真空処理装置用の回転シール機構およびこれを備えた真空処理装置が得られる。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
図1および図2は、本実施の形態に係る回転シール機構を備えた真空処理装置の一構成例を示した断面図である。
後程詳しく述べるように、図1においては、冷却水循環ポンプPにより冷却水循環を実行する際の、回転シール機構101の状態が図示され、図2においては、冷却水循環ポンプPにより冷却水循環を停止する際の、回転シール機構101の状態が図示されている。
真空処理装置100は、略円筒状の回転シール機構101と、この回転シール機構101の中空部102と連通して減圧可能な内部空間12を有する箱型の真空槽10と、を備えて構成されている。
ここで、適温に冷やされた冷却水は、この回転シール機構101の中空回転軸25の内部に相当する中空部102に配置された第1の冷却水内配管57Aを流れる。第1の冷却水内配管57Aを流れた冷却水は、基板ホルダ40の冷却水通路41(詳細構造は省略。)の入口に導かれた後、基板(不図示)との熱交換により温められ冷却水通路41の出口を通って同じく中空部102に配置された第2の冷却水内配管57Bを流れ、回転シール機構101の外部に排出される。
要するに、基板ホルダ40に装着された状態で膜堆積プロセスにより加熱された多数の基板は、冷却水(冷媒)が冷却水通路41を流れる間に、この冷却水との熱交換により適正な温度に保たれている。
また、この回転シール機構101は、基板への膜堆積プロセス中に、この基板を保持する基板ホルダ40を回転させて、基板に堆積する膜の均一化を図るように構成されている。
次に、回転シール機構101の詳細な構成を、図1および図2を参照して説明する。
回転シール機構101は、主として図1および図2に示す如く、真空槽10の壁部11(上壁)に設けられた孔に気密に装着される円筒状のステンレス製のケーシング部材23およびこのケーシング部材23の内側に、ケーシング部材23の中心軸105と同軸状にケーシング部材23(および後記の筒状可動体113)に対して回転可能に配設された円筒状のステンレス製の中空回転軸25を備えてなる。
また、円筒状の内蓋120が、これらのケーシング部材23および中空回転軸25の上方に位置する鍔部120Sを有して中空回転軸25の中空部102に挿入されている。
また、円盤状の外蓋20は、この内蓋120の鍔部120Sに密接して、中空回転軸25の中空部102の上端開口を塞いで配置される。
更に、円環状の板部材122は、ケーシング部材23の上端と内蓋120の鍔部120Sとより挟まれて、適宜の固定手段(不図示)によりケーシング部材23に固定されている。
斯かる回転シール機構101の形態において、環状の上方軸受22は、ケーシング部材23に接続された板部材122の内周面に固定され、かつ環状の下方軸受27は、ケーシング部材23の内周面に固定されている。これにより、中空回転軸25が、上下軸受22、27を介してケーシング部材23に対し回転自在に支持されることになる。
また、環状のスプロケット33は、ケーシング部材23と中空回転軸25との間の空間112に、中空回転軸25の外周面に固定され配設されている。そして、中空回転軸25の駆動用のベルト32は、ケーシング部材23に設けられた開口(不図示)を通って回転モータ31の回転軸(不図示)およびスプロケット33に連結されている。要するに、この回転シール機構101は、スプロケット33に巻き掛けられたベルト32に回転駆動力を伝達する、中空回転軸25回転用のインバータ駆動定トルク回転モータ31により、ケーシング部材23に対し中空回転軸25を回転可能に構成されている。
こうして、回転シール機構101の中空回転軸25の壁部に接続された第1および第2の冷却水内配管57A、57Bを介して基板ホルダ40が中空回転軸25に保持され、これにより、基板ホルダ40は、中心軸105を中心にして約30rpmの回転速度で回転する。
なおここで、回転シール機構101のケーシング部材23の鍔部23Sの、真空槽10の上壁部との間の接触面には、環状溝が形成され、ここにOリング30(スクィーズパッキン)を配設することにより、適宜の固定手段(不図示)に基づき両者が固定され適切に真空シールされている。
同じく、内蓋120の鍔部120Sへの、外蓋20の接触面には、環状溝が形成され、ここにOリング29(スクィーズパッキン)を配設することにより、適宜の固定手段(不図示)に基づき両者が固定され適切に真空シールされている。
更に、回転可能な中空回転軸25と、固定の内蓋120の筒部との間には、環状の第1の真空シール部材24が配設され、かつ回転可能な中空回転軸25と、固定のケーシング部材23との間には、環状の第2の真空シール部材28が配設されている。これにより、中空回転軸25と内蓋120の筒部との間および中空回転軸25とケーシング部材23との間が、中空回転軸25の回転時において適切に真空シールされている。
また、ケーシング部材23の壁部には、冷却水循環ポンプP(供給装置)から延びて第1の冷却水外配管13Aに接続する第1の貫通孔H1が配設され、この第1の貫通孔H1と同一高さ位置の中空回転軸25の壁部には、第1の冷却水内配管57Aに接続する第2の貫通孔H2が配設されている。
同じく、ケーシング部材23には、冷水機(不図示)から延びて第2の冷却水外配管13Bに接続する第3の貫通孔H3が配設され、この第3の貫通孔H3と同一高さ位置の中空回転軸25には、第2の冷却水内配管57Bに接続する第4の貫通孔H4が配設されている。
ここで、円筒状のステンレス製の筒状可動体113が、ケーシング部材23および中空回転軸25の間の環状の空間112の略下半分に、ケーシング部材23の内周面および中空回転軸25の外周面に適宜のシール部材(後記)を介して当接するようにして設けられている。なおこの筒状可動体113は、後程説明するように、中空回転軸25の中心軸105の方向に沿って、この空間112の上方に移動可能に構成されている。
また、第1の貫通孔H1と第2の貫通孔H2との間の連通を可能にする第5の貫通孔H5が、筒状可動体113に肉厚部を貫通するように配設され、第3の貫通孔H3と第4の貫通孔H4との間の連通を可能にする第6の貫通孔H6が、筒状可動体113に肉厚部を貫通するように配設されている。
ここで、中空回転軸25は筒状可動体113に対し回転可能に構成されることから、第5の貫通孔H5と第2の貫通孔H2との間の、筒状可動体113の内周面に、冷却水をこの内周面に沿って周方向に回すための溝状の第1の環状水通路S1(冷却液体貯留部としての環状空間;環状凹部)が、第5の貫通孔H5の一部を切り欠くようにして設けられている。これにより、第1の冷却水外配管13Aを流れる冷却水が、中空回転軸25の回転時には約0.5MPaの水圧でもって第1の環状水通路S1を介してスムーズに第1の貫通孔H1から第5の貫通孔H5を経て第2の貫通孔H2に向けて通流可能であり、第2の貫通孔H2を通過した冷却水が、中空回転軸25の中空部102に存在する第1の冷却水内配管57Aを通ってその下流側の基板ホルダ40に送られる。
同じく、中空回転軸25は筒状可動体113に対し回転可能に構成されることから、第6の貫通孔H6と第4の貫通孔H4との間の、筒状可動体113の内周面に、冷却水をこの内周面に沿って周方向に回すための溝状の第2の環状水通路S2(冷却液体貯留部としての環状空間;環状凹部)が、第6の貫通孔H6の一部を切り欠くようにして設けられている。これにより、第2の冷却水内配管57Bを流れる冷却水が、中空回転軸25の回転時には約0.5MPaの水圧でもって第2の環状水通路S2を介してスムーズに第4の貫通孔H4から第6の貫通孔H6を経て第3の貫通孔H3に向けて通流可能であり、第3の貫通孔H3を通過した冷却水が、第2の冷却水外配管13Bを通ってその下流側の冷水機に送られる。そして、冷水機により適温に冷却された冷却水が、再び冷却水循環ポンプPにより第1の冷却水外配管13Aに還流される。
なお、図1および図2に示す如く、第1の環状水通路S1の高さ位置と第2の環状水通路S2の高さ位置とを違えて、これらの通路S1、S2が形成され、これにより、第1の環状水通路S1を流れる冷却水と、第2の環状水通路S2を流れる冷却水と、が互いに干渉しないように設計されている。
もっとも、筒状可動体113の中心軸105の方向の移動距離を見越して、図1および図2に示す如く、第5の貫通孔H5の高さ位置は、冷却水を通流可能な範囲内において第1および第2の貫通孔H1、H2の高さ位置に対し中心軸105の方向に偏倚して構成され、第6の貫通孔H6の高さ位置は、冷却水を通流可能な範囲内において第3および第4の貫通孔H3、H4の高さ位置に対し中心軸105の方向に偏倚して構成されている。
なおここでは、第1および第2の環状水通路S1、S2を筒状可動体113の内周面に形成した設計例を述べたが、同じ類の環状水通路を中空回転軸25の外周面に形成しても良く、筒状可動体113の内周面と中空回転軸25の外周面の両方に跨って形成しても良い。
次に、回転シール機構101の回転シール部材50、51、52の構成について図面を参照して述べる。
中空回転軸25の中心軸105の方向に所定の間隔を隔て、第1の環状水通路S1を上下に挟んで区画するように上下の環状溝が、筒状可動体113の内周面に形成されている。そして、これらの環状溝の各々には、一対の環状の回転シール部材51、52が、中空回転軸25の外周面および筒状可動体113の内周面の両方に当接して配置されている。
要するに、この様な回転シール部材51、52は、中空回転軸25と筒状可動体113の間の隙間に、第1の環状水通路S1を挟むように配設され、筒状可動体113と回転シール部材51、52との間の接触反力の多寡により、中空回転軸25の外周面と回転シール部材51、52との間の接触圧が制御され、この接触圧により、第1の環状水通路S1から筒状可動体113および中空回転軸25の間の僅かな隙間(不図示)に浸入した冷却水が中心軸105の方向にこの隙間から漏れることを抑制するように構成されている。
同様に、中空回転軸25の中心軸方向に所定の間隔を隔て、第2の環状水通路S2を上下に挟んで区画するように上下の環状溝が、筒状可動体113の内周面に形成されている。そして、これらの環状溝の各々には、一対の環状の回転シール部材50、51が、中空回転軸25の外周面および筒状可動体113の内周面の両方に当接して配置されている。
そして、この様な回転シール部材50、51は、中空回転軸25と筒状可動体113との間の隙間に、第2の環状水通路S2を挟むように配設され、筒状可動体113とこれらの回転シール部材50、51との間の接触反力の多寡により、中空回転軸25の外周面と回転シール部材51、50の間の接触圧が制御され、この接触圧により、第2の環状水通路S2から筒状可動体113および中空回転軸25の間の僅かな隙間に浸入した冷却水が中心軸105の方向にこの隙間から漏れることを抑制するように構成されている。
なお、3つの回転シール部材50、51、52のうちの中心軸105の上下方向の中央に位置する回転シール部材51は、第1の環状水通路S1の冷却水と第2の環状水通路S2の冷却水との混合を防止することから設けられており、冷却水の漏れ防止の観点から必須の部品では無い。
次に、各回転シール部材50、51、52の詳細な構造を述べる。
各回転シール部材50、51、52は、フッ素樹脂からなる環状かつ剛性の内リング50A、51A、52Aを有してなり、この内リング50A、51A、52Aの外面に当接して、所定の弾性力により内リング50A、51A、52Aを内側に付勢可能な、Oリングに代表されるスクィーズパッキンのゴム製の弾性部材としての環状の外リング50B、51B、52Bが設けられている。
この様な回転シール部材50、51、52によれば、外リング50B、51B、52Bの弾性変形に基づく内リング50A、51A、52Aの外面への付勢力により、内リング50A、51A、52Aの内面が、中空回転軸25の外周面に所定の接触圧のもとに押し付けられることになる。
こうして内リング50A、51A、52Aの内面と中空回転軸25の外周面との間の適正な接触圧の確保により、回転シール部材50、51、52の冷却水シール性能が有効に発揮される。
ここでは、内リング50A、51A、52Aと、外リング50B、51B、52Bと、を回転シール部材50、51、52の構成部品として扱うが、正確には、外リング50B、51B、52Bは、回転シール部材としての内リング50A、51A、52Aを中空回転軸25に対して付勢する弾性部材として機能するものである。
なお、ケーシング部材23の内周面と接触する面の筒状可動体113の外周面には、3つの環状溝が形成され、ここにOリング114(スクィーズパッキン)を配設することにより、適切に真空および冷却水シールされている。
次に、中空回転軸25の外周面の詳細な構成を説明する。
中空回転軸25の壁部の肉厚量(言い換えると、中空回転軸25の軸径)が、中空回転軸25の中心軸105の方向において変化するように、中空回転軸25の外周面には、以下に述べる処理が行われている。
このため、回転シール部材50、51、52は、筒状可動体113に保持され、その中心軸105の方向の移動する際に、筒状可動体113との間の接触反力の多寡により、中空回転軸25の外周面に付勢する付勢力(回転シール部材50、51、52と中空回転軸25の外周面との間の接触圧)を可変可能に構成されている。
中空回転軸25の軸径を変化させる設計例として、中空回転軸25の外周面に、図1および図2のA部拡大図(a)に示したように、中空回転軸25の中心軸105の方向において、筒状可動体113の内周面との間の距離を違えるようにステップ状の段差部201が、この外周面の一部を切り欠いて形成されている。そして、筒状可動体113の移動により、シール部材50が段差部201を跨ぐ際に、回転シール部材50と中空回転軸25の外周面との間の接触圧が変化する。
中空回転軸25の軸径を変化させる他の設計例として、中空回転軸25の外周面に、図1および図2のA部拡大図(b)に示したように、中空回転軸の中心軸105の方向において、筒状可動体113の内周面との間の距離を下方に向かって開くようにしたテーパ面202(斜面面)が、この外周面の一部を切り欠いて形成されている。そして、筒状可動体113の移動により、シール部材50がテーパ面202を摺動する際に、回転シール部材50と中空回転軸25の外周面との間の接触圧が変化する。
なおここでは、代表して、回転シール部材50の近傍の中空回転軸25の外周面の詳細構成を述べたが、勿論、回転シール51および回転シール部材52の近傍の中空回転軸25の外周面もこれと同じように構成されている。
次に、筒状可動体113を中心軸105の方向に移動させる、筒状可動体113の昇降手段としての移動機構例を、図面を参照して説明する。
図1および図2から理解されるとおり、円盤状の外蓋20から更に径方向外側に延在してなる円筒状の内蓋120の円環状の鍔部120Sの延在部分の適所(例えば、鍔部120Sの平面視における周方向90°間隔毎の4ヶ所)には、第1のボルト124(棒状のロッド;螺子棒)の頭よりも大径の第1のボルト孔121が設けられている。
そして、板部材122には、第1のボルト124の螺子部より大径かつ第1のボルト124の頭よりも小径の第2のボルト孔123が、第1のボルト孔121と同じ位置に設けられている。
更に、第1のボルト124の頭が板部材122に当接した状態において、第1のボルト124の螺子部が、第1および第2のボルト孔121、123を通って空間112の上半分の領域に至り、その結果、第1のボルト124の螺子部の先端が、筒状可動体113の中心軸105の方向上面に設けられた螺子孔125に螺着されている。
なお、この螺子孔125は、第1のボルト124の充分な進入を許すようにより深く螺刻されている。
筒状可動体113は、ケーシング部材23および中空回転軸25および第1のボルト124により中心軸105の方向への移動を除きその動きを規制され、第1のボルト124は、板部材122により、中心軸105の下方への移動を規制されている。
この様な第1のボルト124の螺子部(雄ねじ)と筒状可動体113の螺子孔125(雌ねじ)との間のねじ嵌合によれば、第1のボルト124による螺子の締め付け力が、筒状可動体113の中心軸105の方向への移動作用力に変換される。仮に、図2において、第1のボルト124を螺子孔125に更に深く螺着させようとすれば、この第1のボルト124による螺着進行分、この第1のボルト124と噛み合った筒状可動体113は、中心軸105に沿って上方に移動せしめられる。
また、図1および図2に二点鎖線で記したように、筒状可動体113の中心軸105の方向の移動の際に、筒状可動体113の確実な位置決めを可能にするために、第1のボルト124と貫通位置を違えた箇所(例えば、鍔部120Sの平面視における第1のボルト124の貫通位置から45°ずれた箇所)に、鍔部120Sおよび板部材122を通してなる第2のボルト126(螺子棒)を設けて、この第2のボルト126の先端を筒状可動体113の上面に当接させても良い。
こうすると、筒状可動体113の上面との当接による第2のボルト126の圧縮力とこの圧縮力に抗する第1のボルト124による筒状可動体113の引張力とによって、筒状可動体113の中心軸105の方向の動きが確実に規制され好適である。
なおここで、回転シール機構101の制御装置80は、例えば、CPU(中央演算装置;不図示)と、真空処理装置100の各ユニットの制御プログラム等を予め格納したROM(リードオンリーメモリ;不図示)と、各種データの一時的な記憶部としてのRAM(ランダムアクセスメモリ;不図示)と、を備えて構成されている。
制御装置80への入力センサ例として、電流センサ82と、流量センサ78と、がある。
回転シール機構101の電流センサ82は、回転モータ31の負荷電流を検出するセンサであり、この負荷電流は、回転シール部材50、51、52を中空回転軸25の外周面に押し付けてこの中空回転軸25を回転させた際の、中空回転軸25に作用する回転トルクに対応している。そしてこの回転トルクは、回転シール部材50、51、52と中空回転軸25との間の冷却水シール性能(密着度合)に直接に対応している。
このことから、回転モータ31の負荷電流データは、回転シール部材50、51、52の内側のフッ素樹脂製の内リング50A、51A、52Aの磨耗劣化に関連して、中空回転軸25の外周面との接触圧の状態に対応する状態信号であって、これは回転シール部材50、51、52の冷却水シール性能評価の有効な指標になる。
ここで、真空処理装置100の回転シール機構101による回転シール部材50、51、52の冷却水シール性能の判定内容を詳しく述べる。
制御装置80のCPUは、電流センサ82により検出された電流データを取得して、この電流データをRAMに記憶させ、当該電流データに基づいて、予め設定された基準データとの比較により回転シール部材50、51、52の冷却水シール性能を適正に判定する。
図4は、横軸に一定時間(例えば、1時間当たり)当たりに回転シール部材から漏洩する冷却水の漏れ容積量(ΔLm)の相対数値(無負荷状態の最大漏れ容積量を「1」、最大負荷電流の最小漏れ容積量を「0」として、漏れ容積量の数値を表示)をとり、縦軸に回転モータの負荷電流の測定値(Am)の相対数値(最大負荷電流(αE;例えば3.7A程度)を「100%」、無負荷電流(αS;例えば2.4A程度)を「0%」として、負荷電流の測定値の数値を表示)をとって、これらの数値の相関を示した図である。
図4に示した通報漏れ容積量(L1)は、冷却水漏れ検知を作業者に通報する第1の基準負荷電流(α1)に対応し、この値は、回転シール部材50、51、52の冷却水シール性能の劣化が進行中であることを意味する。
また、ここに述べた通報漏れ容積量(L1)は、適宜のドレン孔(不図示)による水抜き機能が有効に発揮される程度の量に相当し、この状態においては真空処理装置100に対し真空槽10の内部空間12への冷却水浸入等の深刻な不具合を招く可能性は低い。
また、この通報漏れ容積量(L1)より漏れ量の多い許容限界漏れ容積量(L2)は、真空処理装置100を止め、回転シール交換を作業者に促す第2の基準負荷電流(α2)に対応し、この値は、回転シール部材50、51、52の冷却水シール性能の劣化が、最小限の冷却水シール性能さえ発揮し得ない深刻な状態に達したことを意味する。
即ち、ここに述べた許容限界漏れ容積量(L2)は、上記第1および第2のドレン孔73、74による水抜き機能の排水能力を超えた量に相当し、真空処理装置100に対し真空槽10の水汚染を招く可能性がある。
なお、第1および第2の基準負荷電流(α1)、(α2)および最大負荷電流(αE)並びに無負荷電流(αS)並びに通報漏れ容積量(L1)並びに許容限界漏れ容積量(L2)の各データは、予め設定された基準データとして制御装置80のROMに記憶され、適宜、CPUに読み込まれる。
一方、回転シール機構101の流量センサ78は、第1および第2の環状水通路S1、S2を流れる冷却水の流量を検出可能なセンサであり、例えば第2の冷却水外配管13Bの途中に配設されている。この流量センサ78は、基板ホルダ40に供給する冷却水のトータル水量のモニター用として真空処理装置100に標準的に装備されるセンサである。
制御装置80により制御される制御対象例として、モータ駆動回路81により駆動される回転モータ31と、ボルト駆動装置127により回転駆動される第1および第2のボルト124、126と、冷却水循環ポンプPと、がある。
すなわち、制御装置80によって、回転モータ31の回転数、第1および第2のボルト124、126のボルト位置、および冷却水循環ポンプPの冷却水供給量が制御されることになる。
なお本明細書中の制御装置とは、複数の制御装置が協働して真空処理装置の各ユニットの動作を制御する制御装置群およびこれらの制御装置を統合した単一の制御装置の何れをも意味するものである。
次に、以上の如く構成された真空処理装置100の動作を述べる。
図3は、制御装置のROMに格納された制御プログラムにより実行される真空処理装置100の動作ルーチンの一例を示したフローチャートである。
本ルーチンの開始タイミングは、作業者の手動によるルーチンスタート指令に基づいても良く、制御装置80による所定の期間毎の自動スタートに基づいても良い。
最初に、制御装置80のCPUは、流量センサ78により検知された、冷却水の流量データLmを読み込む(ステップS301)。
ここで、このCPUは、流量データLmの値がゼロであるか否かを判定する(ステップS302)。もっとも、CPUが、冷却水循環ポンプPへの制御信号の有無に基づく、同じ類の判定動作を実行しても良い。
この流量データLmの値がゼロで無ければ(ステップS302において「No」)、冷却水循環ポンプPにより第1および第2の環状溝通路S1、S2中を冷却水が循環している状態にあるため、制御装置80のCPUは、ボルト駆動装置127を介して、第1のボルト124により筒状可動体113に保持された回転シール部材50、51、52を図1に示した位置(中空回転軸25の軸径の大きな位置)に移動させる。これにより、回転シール部材50、51、52と中空回転軸25の外周面との間の、接触状態(回転シール部材50、51、52による第1および第2の環状溝通路S1、S2のシール状態)が実現される(ステップS303)。
続いて、制御装置80のCPUは、電流センサ82により検出されRAMに記憶された回転モータ31の負荷電流の測定値(Am)を読み込む(ステップS304)。なお、この負荷電流の測定値(Am)は、電流センサ82から得られた実測値の生データでは無く、図4に示した縦軸の値に対応可能なように規格化された数値である。
続いて、CPUは、この負荷電流の測定値(Am)が第1の基準負荷電流(α1)以下であるか否かを判定する(ステップS305)。
ここで、この負荷電流の測定値(Am)が第1の基準負荷電流(α1)以下であれば(ステップS305において「Yes」)、次の判定ステップに進み、CPUは、この負荷電流の測定値(Am)が第2の基準負荷電流(α2)以下であるか否かを判定する(ステップS306)。
そして、この負荷電流の測定値(Am)が第2の基準負荷電流(α2)以下であれば(ステップS306において「Yes」)、CPUは、真空処理装置100の停止および回転シール部材50、51、52の交換を、作業者に促すメッセージを適宜の表示部(不図示)に表示して(ステップS307)、本ルーチンを終える。
その一方で、この負荷電流の測定値(Am)が第2の基準負荷電流(α2)を超える値であれば(但し、第1の基準負荷電流(α1)以下;ステップS306において「No」)、CPUは、冷却水漏れ検知を作業者に通報するメッセージを表示部に表示して(ステップS308)、本ルーチンを終える。
また、この負荷電流の測定値(Am)が第1の基準負荷電流(α1)を超える値であれば(ステップS305において「No」)、回転シール部材50、51、52の冷却水シール性能に何等の劣化も見られないため、CPUは、何らのメッセージも表示部に表示すること無く、本ルーチンを終える。
ここで、上記ステップS302において、この流量データLmの値がゼロであれば(ステップS302において「Yes」)、冷却水循環ポンプPにより第1および第2の環状溝通路S1、S2中を冷却水が循環してない状態にある。このため、第1〜第5の貫通孔H1、H2、H3、H4、H5と、第1および第2の環状水通路S1、S2に内在する冷却水を適宜の水抜き手段(不図示)により排水した上で、制御装置80のCPUは、ボルト駆動装置127を介して、第1のボルト124の回転動作により筒状可動体113の回転シール部材50、51、52を図2に示した位置(中空回転軸25の軸径の小さな位置)に移動させる。これにより、回転シール部材50、51、52と中空回転軸25の外周面との間の、非接触状態(回転シール部材50、51、52による第1および第2の環状溝通路S1、S2の未シール状態)が実現される(ステップS309)。続いて、CPUは、ステップS301に戻って既に述べた処理内容を再び実行する。
以上に述べた筒状可動体113によれば、筒状可動体113の中心軸105の方向(中空回転軸25の中心軸105の方向)への移動により、冷却水循環ポンプPから第1および第2の環状水通路S1、S2に供給される冷却水の供給の有無に応じて、回転シール部材50、51、52と中空回転軸25との間の接触圧が適宜変更可能になる。
要するに、第1および第2の環状水通路S1、S2への冷却水の供給中(圧送供給中)であれば、回転シール部材50、51、52と中空回転軸25の外周面との間の当接部が、両者間の接触圧の増加域(例えば、図1における、段差部201を境にして中空回転軸25の軸径の大きい領域)に位置付けられる。
これにより、回転シール部材50、51、52と中空回転軸25の外周面との間に適度の接触圧が保たれ、回転シール部材50、51、52により第1および第2の環状水通路の冷却水が適切にシールされる。
その一方、第1および第2の環状水通路S1、S2への冷却水の未供給中であれば、回転シール部材50、51、52と中空回転軸25の外周面との間の当接部が、両者間の接触圧の低下域(例えば、図2における、段差部201を境にして中空回転軸25の軸径の小さい領域)に位置付けられる。
これにより、中空回転軸25を回転させても、回転シール部材50、51、52と中空回転軸25の外周面との間の接触摩擦による回転シール部材50、51、52(正確には回転シール部材50、51、52のうちの内側にあるフッ素樹脂製の内リング50A、51A、52A)の磨耗劣化の進行が適切に抑制される。特にこの場合に、回転シール部材50、51、52と中空回転軸25の外周面との間に僅かな間隙を形成させれば、両者間の接触圧が無くなり、回転シール部材50、51、52の磨耗劣化の進行が根本的に解消され好適である。
この様にして本実施の形態による真空処理装置100は、回転シール部材50、51、52の磨耗劣化による寿命(部品交換サイクル期間)を延ばすことを可能にする。
また、以上に述べた真空処理装置100の回転シール機構101によれば、回転シール部材50、51、52を中空回転軸25の外周面に押し付けてこの中空回転軸25を回転させた際の、回転シール部材50、51、52(正確には内リング50A、51A、52A)の磨耗劣化に関連する回転シール部材50、51、52の冷却水シール性能評価の有効な指標が得られ、回転シール機構101の制御装置80が、この指標データに基づいて、予め設定された基準データとの比較により回転シール部材50、51、52の冷却水シール性能を適正に判定できる。
また、電流センサ82(冷却水シール性能判定)と筒状可動体113(回転シール部材50、51、52の中心軸105の方向への移動)とを組み合わせることにより、回転シール部材50、51、52における冷却水シール性能の磨耗劣化をきたした際の、この回転シール部材50、51、52の冷却水シール性能を復帰させる冷却水シール性能回復機能も構築され得る。
すなわち、回転シール部材50、51、52を中空回転軸25の外周面に押し付けてこの中空回転軸25を回転させた際の、回転シール部材50、51、52(正確には内リング50A、51A、52A)の磨耗劣化に関連する、電流センサ82による回転シール部材50、51、52の冷却水シール性能の判定結果に基づき、回転シール部材50、51、52が磨耗劣化しても、回転シール部材50、51、52と中空回転軸25との間の接触圧が、筒状可動体113の移動により回復される。
なお本実施の形態では、中心軸105の上下方向の回転シール部材51、52により第1の環状水通路S1を挟み、中心軸105の上下方向の回転シール部材50、51により第2の環状水通路S2を挟むような回転シール部材50、51、52の配置構成例を述べたが、これに限らず、冷却水シール性能を向上させる観点から、例えば、同じ類の回転シール部材を多数段に亘って設けても良い。
またここでは、筒状可動体113をその中心軸105の方向に移動させる例を説明したが、これに替えて中空回転軸25をその中心軸105の方向に移動させても良い。
〔変形例〕
図3に示したフローチャートのステップS305においては、CPUが、電流センサ82により検出されRAMに記憶された、電流データAmを読み込む処理例を説明した。
ここでは、その変形例として、CPUが、流量センサ78により検出されRAMに記憶された、冷却水の流出流量を順次読み込み、一定時間中に変動したトータル流量(即ち、前回読み込んだ流量との差分)を演算し、この変動量を漏れ容積量(ΔLm)として採用しても良い。
流量センサ78により得られる流量データの一定時間当たりの流量の変動量(差分量)は、第1および第2の環状水通路S1、S2から漏洩する漏れ冷却水容積量(ΔLm)に対応するものである。
このことから、この差分データは、回転シール部材50、51、52の内側のフッ素樹脂製の内リング50A、51A、52Aの磨耗劣化に関連して、中空回転軸25の外周面との接触圧の状態に対応する状態信号であって、これは回転シール部材50、51、52の冷却水シール性能評価の有効な指標になる。
なお、この漏れ容積量(ΔLm)は、流量センサ78から得られた実測値の生データでは無く、図4に示した横軸の値に対応可能なように規格化された数値である。
すなわち、流量センサ78により得られた漏れ容積量(ΔLm)としての通報漏れ容積量(L1)は、冷却水漏れ検知を作業者に通報する値に相当し、回転シール部材50、51、52の冷却水シール性能の劣化が進行中であることを意味する。要するに、ここに述べた通報漏れ容積量(L1)は、適宜のドレン孔による水抜き機能が有効に発揮される程度の量であり、この状態においては真空処理装置100に対し真空槽10の内部空間12への冷却水浸入等の深刻な不具合を招く可能性は低い。
また、この通報漏れ容積量(L1)より漏れ量の多い、流量センサ78により得られた漏れ容積量(ΔLm)としての許容限界漏れ容積量(L2)は、真空処理装置100を止め、回転シール交換を作業者に促す値に相当し、回転シール部材50、51、52の冷却水シール性能の劣化が、最小限の冷却水シール性能さえ発揮し得ない深刻な状態に達したことを意味する。要するに、ここに述べた許容限界漏れ容積量(L2)は、ドレン孔による水抜き機能の排水能力を超えた量であり、真空処理装置100に対し真空槽10の水汚染を招く可能性がある。
本変形例によれば、流量センサ78は、基板ホルダ40に供給する冷却水のトータル水量のモニター用として真空処理装置100に標準的に装備されたセンサであって、この流量センサ78を回転シール部材50、51、52の冷却水シール性能評価に使えば、真空処理装置100の部品数を増やさずに済む。
本発明による真空処理装置用の回転シール機構によれば、冷却液体の流路への冷却液体の供給の有無に基づき、シール部材の液体シール状態を適宜変更でき、例えば、真空処理用の基板を回転させつつ流動冷媒により冷却してなる真空処理装置の回転シール機構の用途に適用できる。
本実施の形態に係る回転シール機構を備えた真空処理装置の一構成例を示した断面図である。 本実施の形態に係る回転シール機構を備えた真空処理装置の一構成例を示した断面図である。 制御装置のROMに格納された制御プログラムにより実行される真空処理装置100の動作ルーチンの一例を示したフローチャートである。 一定時間当たりに回転シール部材から漏洩する冷却水の漏れ容積量(ΔLm)の相対数値と、回転モータの負荷電流の測定値(Am)の相対数値と、の相関を示した図である。
符号の説明
10 真空槽
11 壁部
12 内部空間
13A 第1の冷却水外配管
13B 第2の冷却水外配管
20 外蓋
22 上方軸受
23 ケーシング部材
23S ケーシング部材の鍔部
24 第1の真空シール部材
25 中空回転軸
27 下方軸受
28 第2の真空シール部材
29、30、114 Oリング
31 回転モータ
32 ベルト
33 スプロケット
40 基板ホルダ
41 冷却水通路
50、51、52 回転シール部材
50A、51A、52A 内リング
50B、51B、52B 外リング
57A 第1の冷却水内配管
57B 第2の冷却水内配管
78 流量センサ
80 制御装置
81 モータ駆動回路
82 電流センサ
100 真空処理装置
101 回転シール機構
102 中空部
105 中心軸
112 空間
113 筒状可動体
120 内蓋
120S 内蓋の鍔部
121 第1のボルト孔
122 板部材
123 第2のボルト孔
124 第1のボルト
125 螺子孔
126 第2のボルト
127 ボルト駆動装置
H1 第1の貫通孔
H2 第2の貫通孔
H3 第3の貫通孔
H4 第4の貫通孔
H5 第5の貫通孔
H6 第6の貫通孔
S1 第1の環状水通路
S2 第2の環状水通路
P 冷却水循環ポンプ

Claims (10)

  1. 筒状の中空回転軸と、
    前記中空回転軸の外側に位置して前記中空回転軸と同軸状に嵌合し、前記中空回転軸を回転可能に支持する筒状のケーシング部材と、
    前記中空回転軸を回転可能な駆動装置と、
    前記ケーシング部材の外部から前記中空回転軸の中空部に亘るように形成された冷却液体の流路と、
    前記流路の途中に位置して、前記中空回転軸と前記ケーシング部材との間に設けられた、環状かつ溝状の冷却液体貯留部と、
    前記中空回転軸と前記ケーシング部材との間に存在する隙間に、前記冷却液体貯留部を挟むように配設され、前記冷却液体貯留部をシールする一対の環状のシール部材と、
    前記流路への冷却液体の供給の有無に応じて、前記中空回転軸の回転の際の、前記シール部材の液体シール状態を変更可能な調整手段と、
    備えた真空処理装置用の回転シール機構。
  2. 前記シール部材は、前記隙間に浸入した冷却液体が、前記中空回転軸の中心軸の方向に前記隙間から漏れることを、前記中空回転軸との接触圧により抑制可能であり、
    前記調整手段を介して前記接触圧が変化する請求項1記載の回転シール機構。
  3. 前記冷却液体が前記流路に供給される場合には、前記調整手段を介して前記接触圧を増してなり、前記冷却液体が前記流路に供給されない場合には、前記調整手段を介して前記接触圧を低下してなる請求項2記載の回転シール機構。
  4. 前記冷却液体が前記流路に供給されない場合には、前記調整手段を介して前記接触圧を無くしてなる請求項3記載の回転シール機構。
  5. 前記調整手段は、前記中空回転軸と前記ケーシング部材との間に設けられ、前記シール部材を保持してこれを前記中心軸の方向に移動してなる筒状可動体と、前記筒状可動体を前記中心軸の方向に移動する昇降手段と、を備え、
    前記筒状可動体は、前記シール部材との間の接触反力により、前記シール部材を前記中空回転軸に対して付勢可能に構成され、前記筒状可動体の前記中心軸の方向の移動位置に応じた前記接触反力の多寡により前記接触圧が変化する請求項2記載の回転シール機構。
  6. 前記昇降手段は、前記筒状可動体に接続された棒状のロッドと、前記ロッドを駆動するアクチュエータと、を備え、
    前記アクチュエータによる前記ロッドの駆動に基づき、前記筒状可動体が前記中心軸の方向に移動する請求項5記載の回転シール機構。
  7. 前記ロッドは、前記中心軸の方向への移動を規制された状態において前記筒状可動体に螺着された螺子棒であり、前記アクチュエータによる前記螺子棒の回転駆動に基づき、前記筒状可動体が前記中心軸の方向に移動する請求項6記載の回転シール機構。
  8. 前記中空回転軸の外周面に、前記中心軸の方向において前記中空回転軸の軸径を違えた段差部が形成され、前記筒状可動体の移動により、前記シール部材が前記段差部を跨ぐ際に、前記接触圧が変化する請求項5記載の回転シール機構。
  9. 前記中空回転軸の外周面に、前記中心軸の方向において前記中空回転軸の軸径を違えるようにテーパ面が形成され、前記筒状可動体の移動により、前記シール部材が前記テーパ面を前記中心軸の方向に摺動する際に、前記接触圧が変化する請求項5記載の回転シール機構。
  10. 請求項1乃至9の何れかに記載の回転シール機構と、前記中空回転軸の中空部と連通した、減圧可能な空間を有する真空槽と、を備えた真空処理装置。
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