JP2007062451A - 自律型車両 - Google Patents

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Abstract

【課題】 優れた運動性能を得ることができるとともに、操縦者の体力的および精神的な負担を軽減することができる自律型車両を提供する。
【解決手段】 駐車モードにおいて、補助輪6が最下位置に移動することにより自動二輸車1が起立状態で支持される。第1および第2の起立静止モードにおいて、補助輪6が上昇し、検出されたロール角に基づいてスイングアーム7の揺動角および後輪9の操舵角が制御される。それにより、自動二輸車1が起立状態で静止する。低速走行モードおよび高速走行モードにおいては、検出されたロール角、ロールレート、ヨー角、ヨーレート、指令ヨーレートおよび速度vに基づいてスイングアーム7の揺動角および後輪9の操舵角が制御される。それにより、自動二輸車100が指令ヨーレートで自律的に旋回する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、自律的に姿勢制御を行う自律型車両に関する。
従来より、自動二輪車の安定性を向上させるための種々の技術が提案されている。たとえば、特許文献1には、旋回性能および自立性能を発揮させるために単一の前輪および特殊な構造の一対の後輪を備えた走行車両が提案されている(特許文献1参照)。
また、左折または右折時に垂直ジャイロからなる車体姿勢制御手段により加速度に対応するジャイロモーメントを発生することにより車体の姿勢を制御する自立型自動車両が提案されている(特許文献2参照)。
一方、自律安定制御システムを用いて静止起立および走行を可能にする不安定車両の走行制御装置(特許文献3参照)および個人移動車両(特許文献4参照)が提案されている。
特許第3214719号 特開2004−82903号 特許第3070015号 特表2003−502002号
しかしながら、特許文献1の走行車両では、一対の後輪を備える構造を有するため、前輪および後輪を有する一般の二輪車が本来持つ運動性能を得ることができない。それにより、一般の二輪車のような乗り心地を得ることができない。
また、特許文献2の自立型自動車両では、停止時に起立静止状態を維持することができない。したがって、操縦者の体力的および精神的な負担が大きい。
さらに、特許文献3の不安定車両では、同軸二輪の構造を有するため、前輪および後輪を有する一般の二輪車と同様の運動性能を得ることができない。それにより、一般の二輪車のような乗り心地を得ることができない。
また、特許文献4の個人移動車両では、操縦者の乗車姿勢が車両の運動状態に大きく支配される。そのため、操縦者の体力的および精神的な負担が大きい。
本発明の目的は、優れた運動性能を得ることができるとともに、操縦者の体力的および精神的な負担を軽減することができる自律型車両を提供することである。
(1)本発明に係る自律型車両は、車体と、車体の進行方向に沿って前後に配置される第1および第2の車輪と、第1の車輪を回転可能に車体に支持する支持手段と、車体の後部で車体に対して上下方向の軸の周りで両側方に揺動可能に設けられ、車体の後方で第2の車輪を回転可能かつ上下方向の軸の周りで操舵可能に支持する揺動部材と、揺動部材を揺動させる第1の駆動装置と、第2の車輪を操舵する第2の駆動装置と、車体のロール角を検出するロール角検出手段と、ロール角検出手段により検出されたロール角に基づいて第1の駆動装置による揺動部材の揺動角および第2の駆動装置による第2の車輪の操舵角を制御することにより車体を起立状態で静止させる制御手段とを備えたものである。
その自律型車両においては、第1および第2の車輪が車体の進行方向に沿って前後に配置される。第1の車輪は、支持手段により回転可能に車体に支持される。揺動部材は、車体の後部で車体に対して上下方向の軸の周りで両側方に揺動可能に設けられる。第2の車輪は、車体の後方で回転可能かつ上下方向の軸の周りで操舵可能に揺動部材に支持される。揺動部材は第1の駆動装置により揺動され、第2の車輪は第2の駆動装置により操舵される。
ロール角検出手段により車体のロール角が検出され、検出されたロール角に基づいて第1および第2の駆動装置を用いて制御手段により揺動部材の揺動角および第2の車輪の操舵角が制御される。
ここで、自律型車両の停止時には、車体は前後に位置する第1の車輪および第2の車輪により支持されるため、倒立振子のように本来的に不安定な状態にある。
この自律型車両においては、揺動部材の揺動により第2の車輪の左右の位置が調整される。それにより、自律型車両の重心と第2の車輪が路面から受ける反力の作用点との位置関係が調整され、自律型車両に働く転倒モーメントが制御される。また、第2の車輪の左右位置の調整に伴って第2の車輪の操舵角が調整される。その結果、倒立振子のように不安定な車体が自律的に起立静止状態を維持することが可能となる。
このようにして、車体が起立静止状態を自律的に維持することができるので、停止時に操縦者の体力的および精神的な負担が軽減される。
また、第1の車輪が車体の前部に配置され、かつ第2の車輪が揺動部材を用いて車体の後方に配置され、揺動部材の揺動および第2の車輪の操舵により自律型車両が旋回運動を行うことができる。したがって、前輪および後輪を有する一般の二輪車と同様の運動性能が得られる。それにより、一般の二輪車と同様の乗り心地を得ることができる。
(2)自律型車両は、車体に昇降可能に設けられ、下降位置で車体を起立状態に支持する補助具をさらに備え、制御手段は、補助具により車体を起立状態で支持した後に、補助具を上昇させ、揺動部材の揺動角および第2の車輪の操舵角の制御により車体を起立状態で静止させてもよい。
この場合、補助具が下降位置に移動することにより車体が起立状態で支持される。その後、補助具が上昇し、揺動部材の揺動角および第2の車輪の操舵角の制御により車体が起立状態で静止する。それにより、揺動部材の揺動および第2の車輪の操舵により車体を起立静止状態に維持することが可能となる。
(3)ロール角は鉛直方向に関して定められ、制御手段は、ロール角検出手段により検出されたロール角が0になるように第1の駆動装置による揺動部材の揺動角を制御するとともに、第2の駆動装置による第2の車輪の操舵角を、第1の駆動装置による揺動部材の揺動角と等しい大きさで反対方向に設定してもよい。
この場合、鉛直方向に関するロール角が検出され、検出されたロール角が0になるように揺動部材の揺動角が制御される。それにより、車体が鉛直方向に起立静止状態に維持される。
また、第2の車輪の操舵角が揺動部材の揺動角と等しい大きさで反対方向に設定される。それにより、起立静止状態において、操舵角の制御の負荷が軽減される。
(4)制御手段は、ロール角検出手段により検出されたロール角に関する比例積分微分制御を用いて第1の駆動装置による揺動部材の揺動角を制御してもよい。
この場合、不安定状態にある自律型車両を比例積分微分(PID)制御を用いて静止起立状態に安定に維持することができる。
(5)ロール角検出手段は、車体のロールレートをさらに検出し、車体のヨー角およびヨーレートを検出するヨー角検出手段と、車体の走行速度を取得する速度取得手段と、旋回角速度を指令ヨーレートとして入力するための旋回指令手段とをさらに備え、制御手段は、ロール角検出手段により検出されたロール角およびロールレート、ヨー角検出手段により検出されたヨー角およびヨーレートおよび速度取得手段により取得された走行速度、ならびに旋回指令手段により入力された指令ヨーレートに基づいて、第1の駆動装置による揺動部材の揺動角および第2の駆動装置による第2の車輪の操舵角を制御することにより、車体を指令ヨーレートで旋回させてもよい。
この場合、ロール角検出手段により車体のロール角およびロールレートが検出され、ヨー角検出手段により車体のヨー角およびヨーレートが検出され、速度取得手段により車体の走行速度が取得される。また、操縦者により旋回指令手段を用いて旋回角速度が指令ヨーレートとして入力される。
検出されたロール角、検出されたロールレート、検出されたヨー角、検出されたヨーレート、取得された走行速度、および入力された指令ヨーレートに基づいて揺動部材の揺動角および第2の車輪の操舵角が制御される。
ここで、自律型車両は、走行時においても停止時と同様に倒立振子のように本来的に不安定な状態にあり、かつ旋回運動による遠心力、自然風および車体の運動に伴って発生する空気力、ならびに操縦者の乗車姿勢を含む外乱要因による影響を受ける。
この自律型車両においては、走行時においても、揺動部材の揺動により第2の車輪の左右の位置が調整される。それにより、自律型車両の重心と第2の車輪が路面から受ける反力の作用点との位置関係が調整され、自律型車両に働く転倒モーメントが制御される。また、第2の車輪の左右位置の調整に伴って第2の車輪の操舵角が調整される。その結果、車体が指令ヨーレートで自律的に旋回する。
このように、操縦者により入力される指令ヨーレートで車体が旋回することができる。したがって、自律型車両の停止時および走行時の広範な運転状況下で操縦者の体力的および精神的な負担が軽減される。
また、操縦者により指令されたヨーレートで自律型車両が旋回することができるので、走行環境に適合する運転状態を安定に保つことができる。
(6)制御手段は、目標ロール角および目標ヨー角を算出し、算出された目標ロール角とロール角検出手段により検出されたロール角との誤差および旋回指令手段により入力された指令ヨーレートとヨー角検出手段により検出されたヨーレートとの誤差に基づいて、第1の駆動装置による揺動部材の揺動角を制御し、揺動部材の揺動角および揺動運動による第2の車輪の見かけの舵角を相殺するように、かつ算出された目標ヨー角とヨー角検出手段により検出されたヨー角との誤差および旋回指令手段により入力された指令ヨーレートとヨー角検出手段により検出されたヨーレートとの誤差に基づいて、第2の駆動装置による第2の車輪の操舵角を制御してもよい。
この場合、目標ロール角および目標ヨー角が算出される。算出された目標ロール角と検出されたロール角との誤差および入力された指令ヨーレートと検出されたヨーレートとの誤差に基づいて揺動部材の揺動角が制御される。また、揺動部材の揺動角および揺動運動による第2の車輪の見かけの舵角を相殺するように、かつ算出された目標ヨー角と検出されたヨー角との誤差および入力された指令ヨーレートと検出されたヨーレートとの誤差に基づいて第2の車輪の操舵角が制御される。
それにより、揺動部材の揺動に伴って第2の車輪が路面から受ける横力によるロール運動およびヨー運動が低減されつつ、自律型車両が指令ヨーレートで自律的に旋回する。したがって、自律型車両の旋回時に操縦者の体力的および精神的な負担がより軽減される。
(7)制御手段は、算出された目標ロール角とロール角検出手段により検出されたロール角との誤差に関する比例積分微分制御および旋回指令手段により入力された指令ヨーレートとヨー角検出手段により検出されたヨーレートとの誤差に関する比例積分微分制御を用いて、第1の駆動装置による揺動部材の揺動角を制御し、揺動部材の揺動角および揺動運動による第2の車輪の見かけの舵角を相殺するように、かつ算出された目標ヨー角とヨー角検出手段により検出されたヨー角との誤差に関する比例積分微分制御および旋回指令手段により入力された指令ヨーレートとヨー角検出手段により検出されたヨーレートとの誤差に関する比例積分微分制御を用いて、第2の駆動装置による第2の車輪の操舵角を制御してもよい。
この場合、不安定状態にある自律型車両を比例積分微分(PID)制御を用いて安定して旋回させることができる。
(8)制御手段は、車体に作用する重力および旋回により車体に作用する遠心力に基づいて目標ロール角を算出し、車体が旋回半径を維持するように目標ヨー角を算出してもよい。
これにより、車体が倒れることなく指令ヨーレートに対応する旋回半径を維持しつつ安定した状態で車両が自律的に旋回することができる。
(9)自律型車両は、車体を起立静止状態に維持する起立静止モードおよび車体を走行させる走行モードのいずれかを選択する選択手段をさらに備え、制御手段は、選択手段により走行モードが選択された場合に起立静止モードを実行した後に走行モードに移行してもよい。
この場合、操縦者により選択手段を用いて走行モードが選択された場合に、自律型車両は起立静止モードを実行した後に走行モードに移行する。それにより、自律型車両は安定した起立静止状態から走行を開始するので、操縦者の体力的および精神的な負担が十分に軽減される。
本発明によれば、揺動部材の揺動により第2の車輪の左右の位置が調整される。それにより、自律型車両の重心と第2の車輪が路面から受ける反力の作用点との位置関係が調整され、自律型車両に働く転倒モーメントが制御される。また、第2の車輪の左右位置の調整に伴って第2の車輪の操舵角が調整される。その結果、倒立振子のように不安定な車体が自律的に起立静止状態を維持することが可能となる。
このようにして、車体が起立静止状態を自律的に維持することができるので、停止時に操縦者の体力的および精神的な負担が軽減される。
また、第1の車輪が車体の前部に配置され、かつ第2の車輪が揺動部材を用いて車体の後方に配置され、揺動部材の揺動および第2の車輪の操舵により自律型車両が旋回運動を行うことができる。したがって、前輪および後輪を有する一般の二輪車と同様の運動性能が得られる。それにより、一般の二輪車と同様の乗り心地を得ることができる。
以下、本発明の実施の形態に係る自律型車両の一例として自律走行型自動二輪車について説明する。
(1)自動二輪車の概略構造
図1は本発明の一実施の形態に係る自律走行型自動二輪車の主要部の分解斜視図である。
図1の自律走行型自動二輪車1は、車体を構成するメインフレーム2を備える。メインフレーム2の前部には、前輪サスペンション3が取り付けられている。前輪サスペンション3の先端部には、前輪駆動用モータ4および前輪5が回転可能に取り付けられている。前輪5は、前輪駆動用モータ4により駆動される。すなわち、前輪5が駆動輪となる。
メインフレーム2の後部には、路面に垂直な揺動軸SAの周りで水平面内で揺動可能にスイングアーム7が取り付けられている。スイングアーム7の後端部には、後輪サスペンション8により回転可能に後輪9が取り付けられている。また、後輪サスペンション8は、後輪9をスイングアーム7に対して路面に垂直な操舵軸SBの周りで回動可能に保持する。すなわち、後輪9が操舵輪となる。なお、操舵軸SBを路面に垂直な方向から後方に傾斜するように設定してもよい。
メインフレーム2の後部には、スイングアーム7を揺動させるための揺動用アクチュエータ10が取り付けられている。揺動用アクチュエータ10は、揺動用モータおよび揺動用シリンダからなる。また、スイングアーム7の後端部には、後輪9をスイングアーム7に対して回動させるための操舵用アクチュエータ11が設けられている。操舵用アクチュエータ11は、操舵用モータおよび操舵用シリンダからなる。
メインフレーム2の前部の両側には、一対の補助輪6が軸6aを中心に矢印で示すように回動可能に取り付けられている。それにより、補助輪6は接地位置(最下位置)および2段階の上昇位置(第1の位置および第2の位置)に移動可能となっている。
メインフレーム2の上部には、シート12が配置される。シート12の前方には、操作パネル13が配置される。操作パネル13には、ハンドル14、モード選択スイッチ15およびモニタ16が設けられる。
(2)スイングアーム7および後輪9の動作
図2は図1の自律走行型自動二輪車1の主要部の平面図である。
図2において、自動二輪車1の重心Gを含み、自動二輪車1の前後方向および上下方向に延びる面を中心面CFと呼ぶ。また、中心面CF上の水平線を中心線と呼ぶ。
中心面CFは、自動二輪車1の起立静止状態で水平な路面に対して垂直になる。この場合、前輪5および後輪9が路面から受ける接地反力も中心面CF上に存在するので、重心Gに働く重力と接地反力とは釣り合いを保っている。
スイングアーム7は、揺動軸SAの周りで左右に揺動可能にメインフレーム2に取り付けられている。中心面CFからのスイングアーム7の揺動角をξとする。起立静止状態では、前輪5と後輪9とを結ぶ線分は中心面CF上にある。すなわち、揺動角ξは0である。
上方から見てスイングアーム7がメインフレーム1に対して時計回りに揺動すると、前輪5と後輪9とを結ぶ線分が線分LLに移動する。それにより、前輪5および後輪9が受ける接地反力が線分LLに移動する。このとき、重心Gの位置は、スイングアーム7が揺動してもほとんど変化しない。このため、接地反力が位置する線分LLに対して重心Gが右側になり、自動二輪車1は右に傾く。
逆に、上方から見てスイングアーム7がメインフレーム1に対して反時計回りに揺動すると、前輪5と後輪9とを結ぶ線分が線分LRに移動する。それにより、前輪5および後輪9が受ける接地反力が線分LRに移動する。このとき、重心Gの位置は、スイングアーム7が揺動してもほとんど変化しない。このため、接地反力が位置する線分LRに対して重心Gが左側になり、自動二輪車1は左に傾く。
このように、スイングアーム7が揺動することにより、前輪5および後輪9が地面から受ける接地反力に対する自動二輪車1の重心Gの位置が左右に変化する。それにより、自動二輪車1のロール角を制御することが可能になる。ここで、ロール角とは、鉛直方向に対する自動二輪車1の中心面CFの角度をいう。
以下の説明では、自動二輪車1が右に傾斜する場合のロール角を正の値で表し、自動二輪車1が左に傾斜する場合のロール角を負の値で表す。また、スイングアーム7が上方から見て時計回りに揺動する場合の揺動角ξを正の値で表し、スイングアーム7が上方から見て反時計回りに揺動する場合の揺動角ξを負の値で表す。
上記の場合、スイングアーム7が揺動することにより、後輪9に横力が作用する。それにより、スイングアーム7の揺動時に自動二輪車1に所望しないロール運動およびヨー運動が発生する場合がある。
そこで、本実施の形態では、スイングアーム7が時計回りに揺動する場合には後輪9が反時計回りに回動し、スイングアーム7が反時計回りに揺動する場合には後輪9が時計回りに回動するように後輪9が操舵される。それにより、スイングアーム7の揺動による所望しないロール運動およびヨー運動を低減することができる。
スイングアーム7に対する後輪9の操舵角をζとする。スイングアーム7の揺動角ξが0のときには、後輪9の操舵角ζも0である。
(3)制御系の構成
図3は図1の自律走行型自動二輪車の制御系の構成を示すブロック図である。
コントローラ100は、CPU(中央演算処理装置)およびメモリ等により構成される。このコントローラ100は、主として駆動力制御部100aおよび姿勢制御部100bを含む。この駆動力制御部100aおよび姿勢制御部100bはプログラムにより機能的に実現される。
コントローラ100には、揺動角検出用センサ111、操舵角検出用センサ112、ロール角検出用センサ113、ヨー角検出用センサ114および車速センサ115の出力信号が与えられる。
揺動角検出用センサ111は、図1のメインフレーム2とスイングアーム7との連結部に内蔵され、スイングアーム7の揺動角ξを検出する。操舵角検出用センサ112は、図1の操舵用アクチュエータ11に設けられ、後輪9の操舵角ζを検出する。
ロール角検出用センサ113は、図1のメインフレーム2に設けられ、自動二輪車1のロール角θおよびロールレート(ロール角速度)θdを検出する。ヨー角検出用センサ114は、図1のメインフレーム2に設けられ、自動二輪車1のヨー角ψおよびヨーレート(ヨー角速度)ψdを検出する。
なお、ロール角検出用センサ113は、例えはジャイロセンサからなり、自動二輪車1のロールレートθdを検出し、そのロールレートθdを積分することによりロール角θを算出する。同様に、ヨー角検出用センサ114は、自動二輪車1のヨーレートψdを検出し、そのヨーレートψdを積分することによりヨー角ψを算出する。
車速センサ115は、図1の前輪駆動用モータ4の回転数を検出し、その回転数に基づいて自動二輪車1の速度vを算出する。
また、コントローラ100には、アクセル121、ブレーキ122、ハンドル14およびモード選択スイッチ15の出力信号が与えられる。アクセル121およびブレーキ122は、図1のメインフレーム2に設けられる。ハンドル14およびモード選択スイッチ15は、上記のように操作パネル13に設けられている。
コントローラ100は、前輪駆動用モータ4、揺動用アクチュエータ10、操舵用アクチュエータ11、補助輪駆動用アクチュエータ131およびブレーキ用アクチュエータ132を制御する。
特に、コントローラ100の駆動力制御部100aは、前輪駆動用モータ4およびブレーキ用アクチュエータ132を制御する。また、コントローラ100の姿勢制御部100bは、揺動用アクチュエータ10のモータ、操舵用アクチュエータ11のモータおよび補助輪駆動用アクチュエータ131のモータを制御する。ブレーキ用アクチュエータ132は、コントローラ100の駆動力制御部100aの制御によりブレーキ122を作動させる。
パワーシステム150は、バッテリを含み、コントローラ100に電力を供給するとともに、コントローラ100を介して前輪駆動用モータ4、揺動用アクチュエータ10のモータ、操舵用アクチュエータ11のモータ、補助輪駆動用アクチュエータ131のモータおよびブレーキ用アクチュエータ132のモータに電力を供給する。
さらに、コントローラ100は、図1の操作パネル13のモニタ16の表示を制御する。モニタ16は、図3に示すように、速度表示部161、方位表示部162およびパワーソースレベル表示部163を有する。速度表示部161は、車速センサ115により算出された自動二輪車1の速度を表示する。方位表示部162は、ヨー角検出用センサ114により算出されたヨー角ψを表示する。パワーソースレベル表示部163は、パワーシステム150のバッテリの電圧レベルを表示する。
(4)自動二輪車1の動作モード
図4は図1の自動二輪車1の動作モードの遷移を示す図である。
本実施の形態に係る自動二輪車1は、動作モードとして、駐車モード、第1の起立静止モード、第2の起立静止モード、低速走行モードおよび高速走行モードを有する。
操縦者が操作パネル13の電源スイッチをオンにすると(ステップS1)、図2のパワーシステム150から各部に電力が供給される。コントローラ100は、各種異常チェックを行う(ステップS2)。その後、操縦者は、モード選択スイッチ15を用いて動作モードを選択することができる。
駐車モードが選択されると、コントローラ100は、駐車モードに移行する(ステップS3)。駐車モードでは、コントローラ100は、補助輪駆動用アクチュエータ131により1対の補助輪6を最下位置に移動させる。それにより、自動二輪車1は、補助輪6により路面に対して垂直に起立するように支持される。
なお、ステップS3で駐車モードに移行する前に1対の補助輪6が既に最下位置にある場合には、その状態が維持される。
駐車モードで第1の起立静止モードが選択されると、コントローラ100は、第1の起立静止モードに移行する(ステップS4)。第1の起立静止モードでは、コントローラ100は、補助輪駆動用アクチュエータ131により1対の補助輪6を第1の位置に上昇させるとともに、起立静止状態を維持するように自動二輪車1の姿勢を制御する。第1の起立静止モードの詳細については後述する。
第1の起立静止モードで低速走行モードが選択されると、コントローラ100は、低速走行モードに移行する(ステップS5)。低速走行モードでは、コントローラ100は、1対の補助輪6が第1の位置にある状態で、操縦者のアクセル121およびハンドル14の操作に従って自動二輪車1を走行させつつ姿勢を制御する。低速走行モードの詳細については後述する。低速走行モードで自動二輪車1の速度が低下して停止すると、コントローラ100は第1の起立静止モードに移行する(ステップS4)。
第1の起立静止モードで第2の起立静止モードが選択されると、コントローラ100は、第2の起立静止モードに移行する(ステップS6)。第2の起立静止モードでは、コントローラ100は、補助輪駆動用アクチュエータ131により1対の補助輪6を第1の位置よりも高い第2の位置に上昇させるとともに、起立静止状態を維持するように自動二輪車1の姿勢を制御する。第2の起立静止モードの詳細については後述する。
第2の起立静止モードで高速走行モードが選択されると、コントローラ100は、高速走行モードに移行する(ステップS7)。高速走行モードでは、コントローラ100は、1対の補助輪6が第2の位置にある状態で、操縦者のアクセル121およびハンドル14の操作に従って自動二輪車1を走行させつつ姿勢を制御する。高速走行モードの詳細については後述する。高速走行モードで自動二輪車1の速度が低下して停止すると、コントローラ100は第2の起立静止モードに移行する(ステップS6)。
なお、第1の起立静止モードで高速走行モードが選択されると、コントローラ100は、第2の起立静止モードを経由して高速走行モードに移行する。
第2の起立静止モードで第1の起立静止モードが選択されると、コントローラ100は、第1の起立静止モードに移行する(ステップS4)。それにより、コントローラ100は、補助輪駆動用アクチュエータ131により1対の補助輪6を第1の位置に下降させるとともに、起立静止状態を維持するように自動二輪車1の姿勢を制御する。
第1の起立静止モードで駐車モードが選択されると、コントローラ100は、駐車モードに移行する(ステップS8)。それにより、コントローラ100は、補助輪駆動用アクチュエータ131により1対の補助輪6を最下位置に移動させる。その結果、自動二輪車1は、補助輪6により路面に対して垂直に起立するように支持される。その後、コントローラ100は、各種異常チェックを行う(ステップS9)。この状態で、操縦者が操作パネル13の電源スイッチをオフにすると(ステップS10)、図2のパワーシステム150から各部への電力の供給が遮断される。
(5)起立静止状態の制御メカニズム
図5は起立静止状態の制御メカニズムを説明するための図である。図5の(a)は自動二輪車1を後方から見た場合の自動二輪車1の傾斜状態の変化を示し、(b)は自動二輪車1のロール角θの変化を示し、(c)はスイングアーム7の揺動角ξの変化を示し、(d)は自動二輪車1のヨー角ψおよびヨーレートψdの変化をそれぞれ実線および破線で示す。図5の横軸は時間である。
図5(a)において、ロール角θは自動二輪車1の重心Gを通る中心面CFと鉛直方向とのなす角度で定義される。ここでは、自動二輪車1が水平な路面上にあるものとする。
時刻t0において、自動二輪車1は路面に対して垂直に起立している。このとき、自動二輪車1のロール角θは0である。また、スイングアーム7の揺動角ξも0であり、自動二輪車1のヨー角ψも0である。自動二輪車1が右に傾斜し始めると、ロール角θが正の方向に増加する。そこで、後述するPID(比例積分微分)制御によりスイングアーム7の揺動角ξを負の方向に徐々に増加させる。それにより、横力が発生し、ヨー角ψが正の方向に徐々に増加する。
また、後輪9が中心面CFに対して右方向にオフセットすることにより、重心Gに関するモーメントが発生する。その結果、時刻t1の後、ロール角θの変化率であるロールレートが減少し始める。時刻t2でロールレートが0となる。一方、PID制御によりスイングアーム7の揺動角ξを徐々に減少させる。
その後、ロール角θが減少し、自動二輪車1の姿勢が回復する。時刻t3で自動二輪車1は路面に対して垂直な状態になる。
次に、自動二輪車1は、慣性により左に傾斜し始める。それにより、ロール角θが負の方向に増加する。そこで、PID制御によりスイングアーム7の揺動角ξを正の方向に徐々に増加させる。それにより、横力が発生し、ヨー角ψが負の方向に徐々に増加する。
また、後輪9が中心面CFに対して左方向にオフセットすることにより、重心Gに関するモーメントが発生する。その結果、ロール角θの変化率であるローレートが減少し始める。ほぼ時刻t4でロールレートが0となる。一方、PID制御によりスイングアーム7の揺動角ξを徐々に減少させる。時刻t5でロール角θが小さくなり、自動二輪車1の姿勢が回復する。時刻t6で自動二輪車1は路面に対して垂直な状態となる。
上記のように、スイングアーム7の揺動角ξを制御することにより、倒立振り子のように不安定な自動二輪車1のロール角θを制御することができる。
図5の(d)に示されるヨー角ψの位相は図5(a)に示されるロール角θの位相よりも徐々に進み、図6に示す定常状態に移行する。
(6)自動二輪車1の姿勢制御の定常状態
図6は自動二輪車1の定常状態でのロール角θとヨー角ψとの関係を示す図である。図6の(a)は起立静止時のロール角θとヨー角ψとの関係を示し、図6の(b)は走行時のロール角θとヨー角ψとの関係を示す。
図6(a),(b)に示すように、本実施の形態に係る自動二輪車1では、起立静止時および走行時の両方において、ヨー角ψの位相がロール角θの位相よりも約π/3(=60°)〜約π/2(=90°)進むようにロール角θおよびヨー角ψが制御される。
それにより、自動二輪車1がより安定して起立静止状態および自律走行状態を維持することが可能となる。
(7)第1および第2の起立静止モードの姿勢制御
次に、第1および第2の起立静止モードの姿勢制御について説明する。自動二輪車1の目標ロール角をθ0とし、自動二輪車1の実際のロール角をθとする。
また、目標ロール角θ0と実際のロール角θとの誤差を△θ(=θ0−θ)とする。この誤差△θに比例する項GP1△θ、誤差△θの微分値(変化率)に比例する項GD1(△θ/dt)および誤差△θの積分値(積算値)に比例する項Gl1∫△θdtを用いて次式により揺動角ξ0を決定する。それにより、PID制御により実際のロール角θを目標ロール角θ0 に制御することができる。
ξ0=GP1△θ+GD1(△θ/dt)+Gl1∫△θdt …(1)
上式(1)において、GP1、GD1およびGl1は所定の比例定数である。
第1および第2の起立静止モードでは、目標ロール角θ0 は0°である。
スイングアーム7の揺動により後輪9は路面から横力を受ける。この横力によって自動二輪車1にヨー運動が発生し、ロール角θを制御するための重心Gの位置の調整がもたらされる。
第1および第2の起立静止モードでは、後輪9の操舵角ζをスイングアーム7の揺動角ξとほぼ等しくかつ反対方向に制御する。すなわち、後輪9の操舵角ζは次式の操舵角ζ0に制御される。
ζ0=−ξ0 …(2)
それにより、後輪9は、前輪5と同じ方向を向く。
上式(1)によりスイングアーム7の揺動角ξを揺動角ξ0に制御するとともに、操舵角ζを操舵角ζ0に制御することにより、ロール運動およびヨー運動により自動二輪車1が転倒しないようにバランスをとるとともに、地面に対する後輪9の回転を減少させ、揺動用アクチュエータ10の負荷を軽減する。それにより、自動二輪車1の第1および第2の起立静止モードを実現することができる。
(8)自動二輪車1の旋回動作
図7は自動二輪車1の旋回運動を示す模式的斜視図である。また、図8(a)は図7の旋回運動におけるロール角を示す背面図、図8(b)は図7の旋回運動における揺動角および操舵角を示す平面図である。
図7では、自動二輪車1が点P0を中心として半径Rの旋回運動を行っているものとする。図7および図8(a)に示すように、自動二輪車1は、垂直線V1に対してロール角θ傾斜している。
図7および図8(b)に示すように、スイングアーム7の揺動角はξであり、後輪9の操舵角はζである。
また、スイングアーム7の長さはΓ、前輪5と後輪9との間のホイールベースはLである。
点P0から自動二輪車1を見た場合における自動二輪車1の方位角の変化量を旋回角φと呼び、旋回角φの角速度を旋回角速度φdと呼ぶ。垂直線V1は図2の中心面CFに含まれ、傾斜線V2は自動二輪車1の傾斜後の中心面(以下、傾斜中心面CFθと呼ぶ)に含まれている。なお、傾斜中心面CFθは図示されていない。ヨー角ψは、中心面CFに含まれる垂直線V1の周りでの揺動角、または、傾斜中心面CFθに含まれる傾斜線V2の周りでの揺動角として定義される。ヨー角ψが0のとき、中心面CFまたは傾斜中心面CFθに含まれる水平線は点P0を中心とする旋回円に接している。
したがって、自動二輪車1の軌跡Eが旋回円と正確に一致する場合にはヨー角ψは0である。しかしながら、自動二輪車1は、左右に揺らぎながら旋回するため、ヨー角ψは正負の値に変化する。
図9は旋回角速度φdおよびヨーレートψdの時間的変化を示す図である。図9の縦軸は旋回角速度φdおよびヨーレートψdの値を示し、縦軸は時間を示す。ヨー角検出用センサ114による検出結果には、自動二輪車1の旋回運動による旋回角速度φdおよびヨー運動によるヨーレートψdの成分が含まれている。通常の走行状態では、旋回角速度φdの周波数が小さい。
このために、図9に示すように、ヨーレートψdは旋回角速度φdを中心としてある周波数で変動する。したがって、ヨー角検出用センサ114により検出されたヨーレートψdに対してある周波数成分を除去するフィルタ処理を行うことにより平均ヨーレートψadを算出する。この平均ヨーレートψadは旋回角速度φdに近似している。そこで、旋回角速度φdの測定が困難な場合には、平均ヨーレートψadを用いる。
(9)低速走行モードおよび高速走行モードの姿勢制御
次に、低速走行モードおよび高速走行モードの姿勢制御について説明する。
(9−1)揺動角ξの制御
上記のように、自動二輪車1の目標ロール角をθ0とし、自動二輪車1の実際のロール角をθとする。まず、ロール角θに応じて揺動角ξを制御する。
目標ロール角θ0 と実際のロール角θとの誤差を△θ(=θ0−θ)とする。この誤差△θに比例する項GP1△θ、誤差△θの微分値に比例する項GD1(△θ/dt)および誤差△θの積分値に比例する項Gl1∫△θdtを用いて次式により揺動角ξ01を決定する。
ξ01=GP1△θ+GD1(△θ/dt)+Gl1∫△θdt …(3)
上式(3)において、GP1、GD1およびGl1は所定の比例定数である。
ここで、目標ロール角θ0 は次式で表される。
θ0 =arctan(vφd /g) …(4)
上式(4)において、vは自動二輪車1の速度、φdは自動二輪車1の旋回角速度、gは重力加速度である。上式(4)の導出方法については後述する。なお、旋回角速度φdの代わりに上記の平均ヨーレートψadを用いてもよい。
このように、PID制御により実際のロール角θを目標ロール角θ0 に制御することができる。それにより、自動二輪車1が倒れることなく安定した傾斜状態を維持する。
次に、操縦者が図1のハンドル14の操作により指令するヨーレート(以下、指令ヨーレートμgと呼ぶ)に応じて揺動角ξを制御する。
指令ヨーレートμgと実際の旋回角速度φdとの誤差を△μ(=μg−φd)とする。この誤差△μに比例する項GP3△μ、誤差△μの微分値に比例する項GD3(△μ/dt)および誤差△μの積分値に比例する項Gl3∫△μdtを用いて次式により揺動角ξ02を決定する。
ξ02=GP3△μ+GD3(△μ/dt)+Gl3∫△μdt …(5)
上式(5)において、GP3、GD3およびGl3は所定の比例定数である。
実際の旋回角速度φdの測定が困難な場合には、旋回角速度φdの代わりに上記の平均ヨーレートψadを用いる。この場合、指令ヨーレートμgと平均ヨーレートψadとの誤差を△μ(=μg−ψad)とする。
このように、上式(5)のPID制御を用いてスイングアーム7の揺動角ξを揺動角ξ02に制御することにより、実際の旋回角速度φdを指令ヨーレートμgに制御することができる。それにより、自動二輪車1の旋回方位を操縦者が指令する方位に維持することができる。
上式(3)および(5)より、スイングアーム7の揺動角ξを次式のように制御する。
ξ=ξ01+Aξ02 …(6)
上式において、Aは係数である。上式(6)に基づいてスイングアーム7の揺動角ξを制御することにより、自動二輪車1の動的および静的な安定を実現しつつ指令された方位への旋回運動を行うことができる。
(9−2)操舵角ζの制御
また、スイングアーム7の揺動に連動して後輪9の操舵角ζを制御することにより、後輪9が路面から受ける横力によるロール運動およびヨー運動を抑制する。
まず、スイングアーム7の揺動角ξおよび揺動運動による後輪9の見かけの舵角を相殺するように後輪9の操舵角ζ’を次式のように設定する。
ζ’=−(ξ+kΓξd/rω) …(7)
上式において、Γはスイングアーム7の長さ、ξdは揺動角ξの変化率(スイングアーム7の角速度)、rは後輪9の半径、ωは後輪9の回転角速度である。また、kは所定の係数であり、例えばほぼ1である。
次に、自動二輪車1のヨー角ψが目標ヨー角ψ0 となるように後輪9の操舵角ζ01を制御する。
目標ヨー角ψ0 と実際のヨー角ψとの誤差を△ψ(=ψ0−ψ)とする。この誤差△ψに比例する項GP2△ψ、誤差△ψの微分値に比例する項GD2(△ψ/dt)および誤差△ψの積分値に比例する項Gl2∫△ψdtを用いて次式により操舵角ζ01を決定する。
ζ01=ζ’+GP2△ψ+GD2(△ψ/dt)+Gl2∫△ψdt …(8)
上式(8)において、GP2、GD2およびGl2は所定の比例定数である。
目標ヨー角ψ0は次式のようになる。
ψ0=−(L/r)(Cfr+Qr/r)φd/{CfMg+(Qf+Qr)/r}ω …(9)
上式において、Lは前輪5と後輪9との間のホイールベース、rは前輪5および後輪9の半径、Cfは前輪5および後輪9に用いられるタイヤの横滑り係数、Rrは後輪9の荷重、Qfは前輪5の駆動トルク、Qrは後輪9の駆動トルク、Mは自動二輪車1の重量、gは重力加速度、ωは後輪9の回転角速度である。φd は旋回角速度である。上記のように、旋回角速度φdの代わりに平均ヨーレートψadを用いることができる。また、旋回角速度φdの代わりに指令ヨーレートμg を用いてもよい。上式(9)の導出方法については後述する。
このように、上式(8)のPID制御を用いて実際のヨー角ψを目標ヨー角ψ0 に制御することにより、自動二輪車1の旋回方位を一定に保つことができる。
また、上記のように、指令ヨーレートμgと旋回角速度φdとの誤差を△μ(=μg−φd)とする。この誤差△μに比例する項GP3△μ、誤差△μの微分値に比例する項GD3(△μ/dt)および誤差△μの積分値に比例する項Gl3∫△μdtを用いて次式により操舵角ζ02を決定する。
ζ02=GP3△μ+GD3(△μ/dt)+Gl3∫△μdt …(10)
実際の旋回角速度φdの測定が困難な場合には、旋回角速度φdの代わりに上記の平均ヨーレートψadを用いる。この場合、指令ヨーレートμgと平均ヨーレートψadとの誤差を△μ(=μg−ψad)とする。
上式(10)のPID制御を用いて後輪9の操舵角ζを操舵角ζ02に制御することにより、実際の旋回角速度φdを指令ヨーレートμgに維持することができる。それにより、自動二輪車1の旋回方位を操縦者が指令する方位に制御することができる。
上式(8),(10)より、後輪9の操舵角ζを次式のように制御することが好ましい。
ζ0=ζ01+Bζ02 …(11)
上式(11)において、Bは所定の係数である。上式(11)に基づいて後輪9の操舵角ζを操舵角ζ0に制御することにより、スイングアーム7の揺動時の横力によるロール運動およびヨー運動を抑制しつつ指令された方位への旋回運動を行うことができる。
(10)コントローラ100による動作モードの制御
(10−1)全体の動作
次に、図3のコントローラ100による自動二輪車1の全体の制御動作について説明する。
図10はコントローラ100による自動二輪車1の全体の制御動作を示すフローチャートである。
まず、図3のパワーシステム150の電源がオンにされると(ステップS21)、コントローラ100は所定の異常チェックを行った後(ステップS22)、モード判定処理を行う(ステップS23)。
コントローラ100は、モード選択スイッチ15により駐車モードが選択されているか否かを判別する(ステップS24)。駐車モードが選択されている場合、コントローラ100は駐車モードに移行する(ステップM1)。駐車モードにおける動作については後述する。その後、ステップS23に戻る。
ステップS24において駐車モードが選択されていない場合には、コントローラ100は、電源がオフにされたか否かを判別する(ステップS25)。
ステップS25において電源がオフにされていない場合には、コントローラ100は、モード選択スイッチ15により第1の起立静止モードが選択されているか否かを判別する(ステップS26)。第1の起立静止モードが選択されている場合には、コントローラ100は第1の起立静止モードに移行する(ステップM2)。第1の起立静止モードにおける動作については後述する。その後、ステップS23に戻る。
ステップS26において第1の起立静止モードが選択されていない場合には、コントローラ100は、モード選択スイッチ15により第2の起立静止モードが選択されているか否かを判別する(ステップS27)。第2の起立静止モードが選択されている場合には、コントローラ100は第2の起立静止モードに移行する(ステップM3)。第2の起立静止モードにおける動作については後述する。その後、ステップS23に戻る。
ステップS27において第2の起立静止モードが選択されていない場合には、コントローラ100は、モード選択スイッチ15により低速走行モードが選択されているか否かを判別する(ステップS28)。低速走行モードが選択されている場合には、コントローラ100は低速走行モードに移行する(ステップM4)。低速走行モードにおける動作については後述する。その後、ステップS23に戻る。
ステップS28において低速走行モードが選択されていない場合には、コントローラ100は、モード選択スイッチ15により高速走行モードが選択されているか否かを判別する(ステップS29)。高速走行モードが選択されている場合には、コントローラ100は高速走行モードに移行する(ステップM5)。高速走行モードにおける動作については後述する。その後、ステップS23に戻る。
ステップS25において電源がオフにされた場合には、コントローラ100は処理を終了する。
(10−2)駐車モード
図11はコントローラ100による駐車モードにおける制御動作を示すフローチャートである。
まず、コントローラ100は、図3の車速センサ115から出力される自動二輪車1の速度vを読み込む(ステップS31)。次に、コントローラ100は、自動二輪車1の速度vが0となっているか否かを判別する(ステップS32)。すなわち、自動二輪車1が完全に停止しているか否かを判別する。
自動二輪車1の速度vが0となっていない場合には、コントローラ100は、ブレーキ用アクチュエータ132によりブレーキ122をオンにし(ステップS33)、ステップS31に戻る。
ステップS32で自動二輪車1の速度vが0になっている場合には、コントローラ100は、ロール角検出用センサ113から出力される自動二輪車1のロール角θおよびロールレートθdを読み込む(ステップS34)。
次に、コントローラ100は、ロール角θが所定のしきい値θth以下であるか否かを判別する(ステップS35)。
ロール角θがしきい値θth以下の場合には、コントローラ100はロールレートθdが所定のしきい値θthd以下であるか否かを判別する(ステップS37)。
ステップS35においてロール角θがしきい値θthよりも大きい場合またはステップS36においてロールレートθdがしきい値θthdよりも大きい場合には、コントローラ100は補助輪駆動用アクチュエータ131により補助輪6の位置を調整し(ステップS36)、ステップS34に戻る。
ステップS37においてロールレートθdがしきい値θthd以下である場合には、図10のステップS23に戻る。
このようにして、駐車モードでは、自動二輪車1は1対の補助輪6により路面に対してほぼ垂直に起立する。
(10−3)第1の起立静止モード
図12はコントローラ100による第1の起立静止モードにおける制御動作を示すフローチャートである。
図12のステップS41〜S47の動作は、図11のステップS31〜S37の動作と同様である。これにより、自動二輪車1は1対の補助輪6により路面に対してほぼ垂直に起立する。
次に、コントローラ100は、図3の揺動角検出用センサ111から出力されるスイングアーム7の揺動角ξを読み込み(ステップS48)、揺動角ξが所定のしきい値ξth以下であるか否かを判別する(ステップS49)。
揺動角ξがしきい値ξthよりも大きい場合には、コントローラ100は、揺動用アクチュエータ10によりスイングアーム7の揺動角ξを0にリセットし(ステップS50)、ステップS48に戻る。
ステップS49において揺動角ξがしきい値ξth以下の場合には、コントローラ100は、操舵角検出用センサ112から出力される後輪9の操舵角ζを読み込み(ステップS51)、操舵角ζが所定のしきい値ζth以下であるか否かを判別する(ステップS52)。
操舵角ζがしきい値ζthよりも大きい場合には、コントローラ100は、操舵用アクチュエータ11により後輪9の操舵角ζを0にリセットし(ステップS53)、ステップS51に戻る。
ステップS52において操舵角ζがしきい値ζth以下の場合には、コントローラ100は、補助輪6が第1の位置にあるか否かを判別する(ステップS54)。補助輪6が第1の位置にない場合には、コントローラ100は、補助輪駆動用アクチュエータ131により補助輪6を第1の位置に上昇させ(ステップS55)、ステップS54に戻る。
補助輪6が第1の位置にある場合には、コントローラ100は後述する起立静止用PID制御に移行する(ステップS56)。その後、図10のステップS23に戻る。
このようにして、第1の起立静止モードでは、1対の補助輪6が第1の位置に上昇した状態で自動二輪車1が路面に対してほぼ垂直に起立した状態を維持する。
(10−4)第2の起立静止モード
図13はコントローラ100による第2の起立静止モードにおける制御動作を示すフローチャートである。
図13のステップS61〜S73の動作は、図12のステップS41〜S53の動作と同様である。
ステップS74において、コントローラ100は、補助輪6が第2の位置にあるか否かを判別する。補助輪6が第2の位置にない場合には、コントローラ100は、補助輪駆動用アクチュエータ131により補助輪6を第2の位置に上昇させ(ステップS75)、ステップS74に戻る。
補助輪6が第2の位置にある場合には、コントローラ100は、後述する起立静止用PID制御に移行する(ステップS76)。その後、図10のステップS23に戻る。
このようにして、第2の起立静止モードでは、1対の補助輪6が第2の位置に上昇した状態で自動二輪車1が路面に対してほぼ垂直に起立した状態を維持する。
(10−5)低速走行モード
図14はコントローラ100による低速走行モードにおける制御動作を示すフローチャートである。
まず、コントローラ100は、図3のブレーキ用アクチュエータ132によりブレーキ122をオフにする(ステップS81)。
次に、コントローラ100は、ロール角検出用センサ113から出力される自動二輪車1のロール角θおよびロールレートθdを読み込む(ステップS82)。
次に、コントローラ100は、ロール角θが所定のしきい値θth以下であるか否かを判別する(ステップS83)。
ロール角θがしきい値θth以下の場合には、コントローラ100はロールレートθdが所定のしきい値θthd以下であるか否かを判別する(ステップS84)。
ステップS83においてロール角θがしきい値θthよりも大きい場合またはステップS84においてロールレートθdがしきい値θthdよりも大きい場合には、上記の駐車モードに移行し(ステップM1)、ステップS82に戻る。
ステップS84においてロールレートθdがしきい値θthd以下である場合には、コントローラ100は、揺動角検出用センサ111から出力されるスイングアーム7の揺動角ξを読み込み(ステップS85)、揺動角ξが所定のしきい値ξth以下であるか否かを判別する(ステップS86)。
揺動角ξがしきい値ξthよりも大きい場合には、コントローラ100は、揺動用アクチュエータ10によりスイングアーム7の揺動角ξを0にリセットし(ステップS87)、ステップS85に戻る。
ステップS86において揺動角ξがしきい値ξth以下の場合には、コントローラ100は、操舵角検出用センサ112から出力される後輪9の操舵角ζを読み込み(ステップS88)、操舵角ζが所定のしきい値ζth以下であるか否かを判別する(ステップS89)。
操舵角ζがしきい値ζthよりも大きい場合には、コントローラ100は、操舵用アクチュエータ11により後輪9の操舵角ζを0にリセットし(ステップS90)、ステップS88に戻る。
ステップS89において操舵角ζがしきい値ζth以下の場合には、コントローラ100は、ヨー角検出用センサ114から出力されるヨー角ψを読み込み(ステップS91)、ヨー角ψが所定のしきい値ψth以下であるか否かを判別する(ステップS92)。
ヨー角ψがしきい値ψthよりも大きい場合には、コントローラ100は、ヨー角ψを0にリセットし(ステップS93)、ステップS91に戻る。
ヨー角ψがしきい値ψth以下の場合には、コントローラ100は、補助輪6が第1の位置にあるか否かを判別する(ステップS94)。補助輪6が第1の位置にない場合には、コントローラ100は、補助輪駆動用アクチュエータ131により補助輪6を第1の位置に上昇させ(ステップS95)、ステップS94に戻る。
補助輪6が第1の位置にある場合には、コントローラ100は後述する走行用PID制御に移行する(ステップS96)。その後、図10のステップS23に戻る。
このようにして、低速走行モードでは、1対の補助輪6が第1の位置に上昇した状態で自動二輪車1が低速で自律走行する。
(10−6)高速走行モード
図15はコントローラ100による高速走行モードにおける制御動作を示すフローチャートである。
図15のステップS101〜S113の動作は、図14のステップS81〜S93の動作と同様である。
ステップS114において、コントローラ100は、補助輪6が第2の位置にあるか否かを判別する。補助輪6が第2の位置にない場合には、コントローラ100は、補助輪駆動用アクチュエータ131により補助輪6を第2の位置に上昇させ(ステップS115)、ステップS114に戻る。
補助輪6が第2の位置にある場合には、コントローラ100は、後述する走行用PID制御に移行する(ステップS116)。その後、図10のステップS23に戻る。
このようにして、高速走行モードでは、1対の補助輪6が第2の位置に上昇した状態で自動二輪車1が高速で自律走行する。
(10−7)起立静止用PID制御
図16および図17は第1の起立静止モードおよび第2の起立静止モードにおける起立静止用PID制御を示すフローチャートである。
まず、コントローラ100は、図3のロール角検出用センサ113から出力されるロール角θ、揺動角検出用センサ111から出力される揺動角ξおよび操舵角検出用センサ112から出力される操舵角ζを読み込む(図16のステップS201)。
次に、コントローラ100は、目標ロール角θ0と読み込んだロール角θとの誤差を△θ(=θ0−θ)を算出する(ステップS202)。ここで、目標ロール角θ0は0である。そして、コントローラ100は、誤差△θが所定のしきい値△θth以上であるか否かを判別する(ステップS203)。
誤差△θがしきい値△θthよりも小さい場合には、ステップS201に戻る。誤差△θがしきい値△θth以上の場合には、コントローラ100は上式(1)より揺動角ξ0を算出する(ステップS204)。
次に、コントローラ100は、算出した揺動角ξ0と読み込んだ揺動角ξとの誤差△ξ(=ξ0−ξ)を算出する(ステップS205)。コントローラ100は、誤差△ξが所定のしきい値△ξth以下であるか否かを判別する(ステップS206)。
誤差△ξがしきい値△ξth以下の場合には、ステップS201に戻る。誤差△ξがしきい値△ξthよりも大きい場合には、誤差△ξに基づいて揺動用アクチュエータ10のモータの駆動トルクを算出し、揺動用アクチュエータ10に動作指示を与える(ステップS207)。それにより、揺動用アクチュエータ10のモータは指示された駆動トルクでスイングアーム7を駆動する。その結果、揺動角ξが揺動角ξ0に近づく。
次に、コントローラ100は、上式(2)より操舵角ζ0を算出する(図17のステップS210)。
次に、コントローラ100は、算出した操舵角ζ0と読み込んだ操舵角ζとの誤差△ζ(=ζ0−ζ)を算出する(ステップS211)。コントローラ100は、誤差△ζが所定のしきい値△ζth以下であるか否かを判別する(ステップS212)。
誤差△ζがしきい値△ζth以下の場合には、ステップS201に戻る。誤差△ζがしきい値△ζthよりも大きい場合には、誤差△ζに基づいて操舵用アクチュエータ11のモータの駆動トルクを算出し、操舵用アクチュエータ11に動作指示を与える(ステップS213)。それにより、操舵用アクチュエータ11のモータは指示された駆動トルクで後輪9を駆動する。その結果、操舵角ζが操舵角ζ0に近づく。
次に、コントローラ100は、モード選択スイッチ15により動作モードが切り替えられたか否かを判別する(ステップS214)。動作モードが切り替えられていない場合には、ステップS201に戻り、ステップS201〜S214の動作を繰り返す。動作モードが切り替えられた場合には、図10のステップS23に戻る。
(10−8)走行用PID制御
図18〜図21は低速走行モードおよび高速走行モードにおける走行用PID制御を示すフローチャートである。
まず、コントローラ100は、図3の車速センサ115から出力される速度v、ロール角検出用センサ113から出力されるロール角θ、ハンドル14から出力される指令ヨーレートμg、ならびにヨー角検出用センサ114から出力されるヨー角ψおよびヨーレートψdを読み込む(図18のステップS221)。
次に、コントローラ100は、ヨーレートψdにフィルタ処理を行うことにより平均ヨーレートψadを算出する(ステップS222)。
さらに、コントローラ100は、上式(4)より目標ロール角θ0を算出する(ステップS223)。コントローラ100は、目標ロール角θ0と読み込んだロール角θとの誤差を△θ(=θ0−θ)を算出する(ステップS224)。そして、コントローラ100は、誤差△θが所定のしきい値△θth以上であるか否かを判別する(ステップS225)。
誤差△θがしきい値△θthよりも小さい場合には、ステップS221に戻る。誤差△θがしきい値△θth以上の場合には、コントローラ100は、揺動角検出用センサ111から出力される揺動角ξを読み込み(ステップS226)、上式(3)より揺動角ξ01を算出する(ステップS227)。
次に、コントローラ100は、算出した揺動角ξ01と読み込んだ揺動角ξとの誤差△ξ1(=ξ01−ξ)を算出する(ステップS228)。コントローラ100は、誤差△ξ1が所定のしきい値△ξth1以下であるか否かを判別する(ステップS229)。
誤差△ξ1がしきい値△ξth1以下の場合には、ステップS221に戻る。誤差△ξ1がしきい値△ξth1よりも大きい場合には、誤差△ξ1に基づいて揺動用アクチュエータ10のモータの駆動トルクを算出し、揺動用アクチュエータ10に動作指示を与える(ステップS230)。それにより、揺動用アクチュエータ10のモータは指示された駆動トルクでスイングアーム7を駆動する。その結果、揺動角ξが揺動角ξ01に近づく。
次に、コントローラ100は、ヨー角検出用センサ114から出力されるヨーレートψdを読み込み(図19のステップS231)、ヨーレートψdにフィルタ処理を行うことにより平均ヨーレートψadを算出する(ステップS232)。
コントローラ100は、指令ヨーレートμgと平均ヨーレートψadとの誤差△μ(=μg−ψad)を算出する(ステップS233)。
コントローラ100は、揺動角検出用センサ111から出力される揺動角ξを読み込み(ステップS234)、上式(5)より揺動角ξ02を算出する(ステップS235)。
次に、コントローラ100は、揺動角ξ02と読み込んだ揺動角ξとの誤差△ξ2(=ξ02−ξ)を算出する(ステップS236)。コントローラ100は、誤差△ξ2が所定のしきい値△ξth2以下であるか否かを判別する(ステップS237)。
誤差△ξ2がしきい値△ξth2以下の場合には、ステップS221に戻る。誤差△ξ2がしきい値△ξth2よりも大きい場合には、誤差△ξ2に基づいて揺動用アクチュエータ10のモータの駆動トルクを算出し、揺動用アクチュエータ10に動作指示を与える(ステップS238)。それにより、揺動用アクチュエータ10のモータは指示された駆動トルクでスイングアーム7を駆動する。その結果、揺動角ξが揺動角ξ02に近づく。
次に、コントローラ100は、ヨー角検出用センサ114から出力されるヨー角ψを読み込み(図20のステップS239)、上式(9)より目標ヨー角ψ0を算出する(ステップS240)。
コントローラ100は、算出した目標ヨー角ψ0と読み込んだヨー角ψとの誤差を△ψ(=ψ0−ψ)を算出する(ステップS241)。
コントローラ100は、操舵角検出用センサ112から出力される揺動角ζを読み込み(ステップS242)、上式(7),(8)より操舵角ζ01を算出する(ステップS243)。
次に、コントローラ100は、算出した操舵角ζ01と読み込んだ操舵角ζとの誤差△ζ1(=ζ01−ζ)を算出する(ステップS244)。コントローラ100は、誤差△ζ1が所定のしきい値△ζth1以下であるか否かを判別する(ステップS245)。
誤差△ζ1がしきい値△ζth1以下の場合には、ステップS221に戻る。誤差△ζ1がしきい値△ξth1よりも大きい場合には、誤差△ζ1に基づいて操舵用アクチュエータ11のモータの駆動トルクを算出し、操舵用アクチュエータ11に動作指示を与える(ステップS246)。それにより、操舵用アクチュエータ11のモータは指示された駆動トルクで後輪9を駆動する。その結果、操舵角ζが操舵角ζ01に近づく。
次に、コントローラ100は、ヨー角検出用センサ114から出力されるヨーレートψdを読み込み(図21のステップS247)、ヨーレートψdにフィルタ処理を行うことにより平均ヨーレートψadを算出する(ステップS248)。
コントローラ100は、指令ヨーレートμgと平均ヨーレートψadとの誤差△μ(=μg−ψad)を算出する(ステップS249)。コントローラ100は、誤差△μが所定のしきい値△μth以上であるか否かを判別する(ステップS250)。
誤差△μがしきい値△μthよりも小さい場合には、ステップS221に戻る。誤差△μがしきい値△μth以上の場合には、コントローラ100は、操舵角検出用センサ112から出力される揺動角ζを読み込み(ステップS251)、上式(10)より操舵角ζ02を算出する(ステップS252)。
次に、コントローラ100は、算出した操舵角ζ02と読み込んだ操舵角ζとの誤差△ζ2(=ζ02−ζ)を算出する(ステップS253)。コントローラ100は、誤差△ζ2が所定のしきい値△ζth2以下であるか否かを判別する(ステップS254)。
誤差△ζ2がしきい値△ζth2以下の場合には、ステップS221に戻る。誤差△ζ2がしきい値△ξth2よりも大きい場合には、誤差△ζ2に基づいて操舵用アクチュエータ11のモータの駆動トルクを算出し、操舵用アクチュエータ11に動作指示を与える(ステップS255)。それにより、操舵用アクチュエータ11のモータは指示された駆動トルクで後輪9を駆動する。その結果、操舵角ζが操舵角ζ02に近づく。
次に、コントローラ100は、モード選択スイッチ15により動作モードが切り替えられたか否かを判別する(ステップS250)。動作モードが切り替えられていない場合には、ステップS221に戻り、ステップS221〜S256の動作を繰り返す。動作モードが切り替えられた場合には、図10のステップS23に戻る。
(11)実施の形態の効果
本実施の形態に係る自動二輸車1においては、第1および第2の起立静止モードにおいて、スイングアーム7の揺動により後輪9の左右の位置が調整される。それにより、自動二輸車1の重心Gと後輪9が路面から受ける反力の作用点との位置関係が調整され、自動二輸車1に働く転倒モーメントが制御される。また、後輪9の左右位置の調整に伴って後輪9の操舵角ζが調整される。
ここで、自動二輸車1の停止時には、自動二輸車1は前後に位置する前輪5および後輪9により支持されるため、倒立振子のように本来的に不安定な状態にある。本実施の形態に係る自動二輸車1では、上記の動作により、後輪9の接地点がほぼ固定された状態で倒立振子のように不安定な自動二輸車1が自律的に起立静止状態を維持することが可能となる。
このようにして、自動二輸車1が起立静止状態を自律的に維持することができるので、停止時に操縦者の体力的および精神的負担が軽減される。
また、前輪5がメインフレーム2の前部に配置され、かつ後輪9がスイングアーム7を用いてメインフレーム2の後方に配置され、スイングアーム7の揺動および後輪9の操舵により自動二輸車1が旋回運動を行うことができる。したがって、前輪および後輪を有する一般の二輪車と同様の運動性能が得られる。それにより、一般の二輪車のような乗り心地を得ることができる。
また、駐車モードにおいて、補助輪6が最下位置に移動することにより自動二輸車1が起立状態で支持される。その後、第1および第2の起立静止モードにおいて、補助輪6が上昇し、スイングアーム7の揺動角ξおよび後輪9の操舵角ζの制御により自動二輸車1が起立状態で静止する。それにより、スイングアーム7の揺動および後輪9の操舵により自動二輸車1を起立静止状態に維持することが可能となる。
また、検出されるロール角θが0になるようにスイングアーム7の揺動角ξが制御される。それにより、自動二輸車1が鉛直方向の起立静止状態に維持される。
この場合、後輪9の操舵角はスイングアーム7の揺動角と大きさが等しく方向が反対に設定される。それにより、スイングアーム7の揺動に伴う揺動用アクチュエータ10の負荷が軽減される。
ここで、自動二輸車1は、走行時においても停止時と同様に倒立振子のように本来的に不安定な状態にあり、かつ旋回運動による遠心力、自然風および自動二輸車1の運動に伴って発生する空気力、ならびに操縦者の乗車姿勢を含む外乱要因による影響を受ける。
本実施の形態に係る自動二輸車1においては、低速走行モードおよび高速走行モード時に、スイングアーム7の揺動により後輪9の左右の位置が調整される。それにより、自動二輸車1の重心Gと後輪9が路面から受ける反力の作用点との位置関係が調整され、自動二輸車1に働く転倒モーメントが制御される。また、後輪9の左右位置の調整に伴って後輪9の操舵角ζが調整される。その結果、自動二輸車1が指令ヨーレートμgで自律的に旋回する。
このように、操縦者により与えられる指令ヨーレートμgで自動二輸車1が旋回することができる。したがって、自動二輸車1の停止時および走行時の広範な運転状況下で操縦者の体力的および精神的な負担が軽減される。
また、操縦者により与えられる指令ヨーレートμgで自動二輸車1が旋回することができるので、道路の交通状況等の走行環境に適合する運転状態を安定に保つことができる。
さらに、自動二輸車1に作用する重力および旋回により自動二輸車1に作用する遠心力に基づいて目標ロール角θ0が算出され、自動二輸車1が旋回半径を維持するように目標ヨー角ψ0が算出されるので、自動二輸車1が倒れることなく指令ヨーレートμdに対応する旋回半径を維持しつつ安定した状態で自動二輸車1が自律的に旋回することができる。
また、操縦者によりモード選択スイッチ15を用いて低速走行モードまたは高速走行モードが選択された場合に、自動二輸車1は第1または第2の起立静止モードを実行した後に低速走行モードまたは高速走行モードに移行する。それにより、自動二輸車1は安定した起立静止状態から走行を開始するので、操縦者の体力的および精神的負担が十分に軽減される。
(12)制御式の導出方法
(12−1)目標ロール角θ0の導出
図22は自動二輪車1の旋回運動時の目標ロール角の算出方法を示す図である。
自動二輪車1が速度vおよび旋回角速度φd の旋回運動を行っているとする。自動二輪車1の質量をmとし、重力加速度をgとする。
このとき、図22に示すように、重心Gには、鉛直下向き方向に重力mgが働き、かつ水平方向に旋回による遠心力mvφd が働く。それにより、自動二輪車1には、重力mgおよび遠心力mvφd の合成ベクトルWが働く。
この合成ベクトルWが自動二輪車1の中心面CF内にある場合には、自動二輪車1は転倒せずに走行することができる。
よって、図22より目標ロール角θ0は次式で与えられる。
θ0 =arctan(mvφd /mg)
=arctan(vφd /g) …(4)
したがって、自動二輪車1のロール角θを目標ロール角θ0に制御することにより自動二輪車1が転倒せずに旋回することができる。なお、旋回角速度φdの代わりに上記の平均ヨーレートψadを用いてもよい。
(12−2)操舵角ζ’の導出
スイングアーム7の揺動は、路面に対する後輪9の横滑りを誘起し、ロール運動およびヨー運動を発生させる。このため、スイングアーム7の揺動に連動して後輪9の操舵角ζを制御することにより、ロール運動およびヨー運動を補正する。
まず、スイングアーム7の揺動により中心線CLの方向に対して後輪9の舵角が発生する。そこで、後輪9の操舵角ζをスイングアーム7の揺動角ξと等しくかつ反対方向に制御する。それにより、後輪9は、前輪5と同じ方向を向く。
また、揺動角ξが変化するときにスイングアーム7の揺動による横方向速度が発生する。それにより、後輪9の見かけの舵角が発生する。
図23はスイングアーム7の揺動による見かけ舵角を説明するための図である。
ここで、後輪9の半径をrとし、後輪9の回転角速度をωとする。また、スイングアーム7の長さをΓとし、揺動角ξの変化率をξdとする。
図23に示すように、後輪9の回転により路面には後輪9の進行方向と逆方向の速度rωが発生する。また、スイングアーム7の揺動により路面にはスイングアーム7の揺動方向と逆方向の速度Γξdが発生する。それにより、スイングアーム7の揺動による後輪9の見かけの舵角βが発生する。速度rωおよび速度Γξdの合成ベクトルをUとする。見かけの舵角βは、合成ベクトルUとスイングアーム7とのなす角度で表される。よって、スイングアーム7の揺動による後輪9の見かけの舵角βは次式のようになる。
β≒tanβ=Γξd/rω …(7a)
したがって、スイングアーム7の揺動角ξおよび揺動による後輪9の見かけの舵角βを相殺するように後輪9の操舵角ζ’を設定する。この場合、操舵角ζ’は、次式のように表される。
ζ’=−(ξ+kΓξd/rω) …(7)
上式(7)において、kは所定の係数であり、例えばほぼ1である。
(12−3)目標ヨー角ψ0の導出
自動二輪車1が旋回運動を行う場合には、操舵角ζの制御にヨー角およびヨーレートを考慮する必要がある。図24および図25は旋回運動を行うための操舵角ζの制御を説明するための図である。
ここで、自動二輪車1が旋回運動を行っている場合を考える。旋回中心をP0とし、旋回半径をRとし、旋回角速度をφdとする。図24では、前輪5が旋回円と接線との接点に位置する。この場合、後輪9は、旋回円と接線との接点の位置からずれている。
そのため、図24に示すように、旋回方向と後輪9との間に余分な舵角αが生じる。前輪5と後輪9との間のホイールベースをLとすると、余分な舵角αはL/Rで近似される。そこで、図25に示すように、自動二輪車1が旋回半径Rを保って走行するように目標ヨー角ψ0を算出する。
自動二輪車1の重量Mのうち前輪5に作用する重量をMfとし、後輪9に作用する重量をMrとすると、次式が成り立つ。
M=Mf+Mr …(9a)
また、前輪5の駆動トルクをQfとし、後輪9の駆動トルクをQrとする。さらに、前輪5および後輪9の半径をrとし、前輪5および後輪9に用いられるタイヤの横滑り係数をCfとする。重力加速度をgとする。
前輪5の荷重はMfgとなり、前輪5に加わる横力Ffは次式のようになる。
f=ψ0(Cffg+Qf/r) …(9b)
また、後輪9の荷重はMrgとなり、後輪9に加わる横力Frは次式のようになる。
r=(ψ0+L/R)Cfrg+(ψ0+L/R)Qr/r …(9c)
自動二輪車1が旋回半径Rを保って走行するためには、Ff=Frとなることが必要である。
したがって、次式の関係を満足する必要がある。
ψ0(Cffg+Qf/r)+(ψ0+L/R)Cfrg+(ψ0+L/R)Qr/r=0 …(9d)
上式(9a)から上式(9d)は次式のようになる。
ψ0{CfMg+(Qf+Qr)/r}+(L/R)(Cfrg+Qr/r)=0 …(9e)
さらに、上式(9e)は次式のようになる。
ψ0=−(L/R)(Cfrg+Qr/r)/{CfMg+(Qf+Qr)/r} …(9f)
ここで、旋回半径Rは次式のように表される。
R=v/φd=rω/φd …(9g)
また、後輪9の荷重Rrは次式のように表される。
r=Mrg …(9h)
したがって、上式(9f),(9g),(9h)より目標ヨー角ψ0は次式のようになる。
ψ0=−(L/r)(Cfr+Qr/r)φd /{CfMg+(Qf+Qr)/r}ω …(9)
上記のように、Lは前輪5と後輪9との間のホイールベース、rは前輪5および後輪9の半径、Cfは前輪5および後輪9の横滑り係数、Rrは後輪9の荷重、Qfは前輪5の駆動トルク、Qrは後輪9の駆動トルク、Mは自動二輪車1の重量、gは重力加速度、ωは後輪9の回転角速度である。φd は旋回角速度である。上記のように、旋回角速度φdの代わりに平均ヨーレートψadを用いることができる。また、旋回角速度φdの代わりに指令ヨーレートμg を用いてもよい。
(13)請求項の各構成要素と実施の形態の各部との対応
本実施の形態では、メインフレーム2が車体に相当し、前輪5が第1の車輪に相当し、後輪9が第2の車輪に相当し、補助輪6が補助具に相当する。また、前輪サスペンション3が支持手段に相当し、スイングアーム7が揺動部材に相当し、揺動用アクチュエータ10が第1の駆動装置に相当し、操舵用アクチュエータ11が第2の駆動装置に相当し、コントローラ100が制御手段に相当する。さらに、ロール角検出用センサ113がロール角検出手段に相当し、ヨー角検出用センサ114がヨー角検出手段に相当し、車速センサ116が速度取得手段に相当し、ハンドル14が旋回指令手段に相当し、モード選択スイッチ15が選択手段に相当する。
(14)他の実施の形態
(14−1)ロール角θの制御方法の他の例
上記実施の形態では、式(1)および式(3)において誤差Δθとして実際のロール角θと目標ロール角θ0との差を用いて揺動角ξを制御しているが、これに限定されず、例えば、以下に示すように、実際のロール角θと目標ロール角θ0との差が大きくなるにつれて誤差Δθが強調されるように実際のロール角θと目標ロール角θ0との差を補正してもよい。
図26はロール角θの制御方法の他の例を示す図である。図26の横軸はロール角θを表し、縦軸は実際のロール角θと目標ロール角θ0との差の補正量を示す。
本例では、上式(1)および上式(3)の揺動角の制御式において、実際のロール角θと目標ロール角θ0との差に補正量δθを加算することにより誤差Δθを算出する。具体的には、誤差Δθを次式のように算出する。
Δθ=θ−θ0+δθ …(10)
図26の(a)の例では、差(θ−θ0)がある範囲内にある場合には補正量δθは0であり、差(θ−θ0)がある範囲から外れると、補正量δθが段階的に増加する。それにより、差(θ−θ0)がある範囲から外れると、誤差Δθが段階的に強調される。
図26の(b)の例では、差(θ−θ0)が大きくなるにつれて、補正量δθが連続的に増加する。それにより、差(θ−θ0)が大きくなるにつれて、誤差Δθが連続的に強調される。
図26の(c)の例では、図26(a)の補正量δθと図26(b)の補正量δθとが合成される。それにより、差(θ−θ0)がある範囲内にある場合には補正量δθは0であり、差(θ−θ0)がある範囲から外れると、補正量δθが所定値増加し、差(θ−θ0)が大きくなるにつれて、補正量δθが連続的に増加する。それにより、差(θ−θ0)がある範囲から外れると、誤差Δθが連続的に強調される。
上記の例では、差(θ−θ0)が大きくなるほど揺動角ξを強く制御することができる。
(14−2)
上記実施の形態に係る自動二輪車1においては、前輪5が駆動輪となっているが、後輪9が駆動輪であってもよい。
(14−3)
上記実施の形態に係る自動二輪車1においては、コントローラ100の駆動力制御部100aおよび姿勢制御部100bがコントローラ100のプログラムにより実現されているが、駆動力制御部100aおよび姿勢制御部100bが電子回路等のハードウエアにより実現されてもよい。
(14−4)
上記実施の形態に係る自動二輪車1においては、速度取得手段が車速センサ116により構成されているが、速度取得手段がコントローラ100により構成されてもよい。この場合、コントローラ100は、前輪駆動用モータ4に指令した速度を自動二輪車1の速度として取得する。
本発明は、前後に第1および第2の車輪を有する自律走行が可能な自動二輪車等の車両に利用可能である。
本発明の一実施の形態に係る自律走行型自動二輪車の主要部の分解斜視図である。 図1の自律走行型自動二輪車の主要部の平面図である。 図1の自律走行型自動二輪車の制御系の構成を示すブロック図である。 図1の自動二輪車の動作モードの遷移を示す図である。 起立静止状態の制御メカニズムを説明するための図である。 自動二輪車の定常状態でのロール角とヨー角との関係を示す図である。 自動二輪車の旋回運動を示す模式的斜視図である。 (a)は図7の旋回運動におけるロール角を示す背面図、(b)は図7の旋回運動における揺動角および操舵角を示す平面図である。 旋回角速度およびヨーレートの時間的変化を示す図である。 コントローラによる自動二輪車の全体の制御動作を示すフローチャートである。 コントローラによる駐車モードにおける制御動作を示すフローチャートである。 コントローラによる第1の起立静止モードにおける制御動作を示すフローチャートである。 コントローラによる第2の起立静止モードにおける制御動作を示すフローチャートである。 コントローラによる低速走行モードにおける制御動作を示すフローチャートである。 コントローラによる高速走行モードにおける制御動作を示すフローチャートである。 第1の起立静止モードおよび第2の起立静止モードにおける起立静止用PID制御を示すフローチャートである。 第1の起立静止モードおよび第2の起立静止モードにおける起立静止用PID制御を示すフローチャートである。 低速走行モードおよび高速走行モードにおける走行用PID制御を示すフローチャートである。 低速走行モードおよび高速走行モードにおける走行用PID制御を示すフローチャートである。 低速走行モードおよび高速走行モードにおける走行用PID制御を示すフローチャートである。 低速走行モードおよび高速走行モードにおける走行用PID制御を示すフローチャートである。 自動二輪車の旋回運動時の目標ロール角の算出方法を示す図である。 スイングアームの揺動による見かけ舵角を説明するための図である。 旋回運動を行うための操舵角の制御を説明するための図である。 旋回運動を行うための操舵角の制御を説明するための図である。 ロール角の制御方法の他の例を示す図である。
符号の説明
1 自律走行型自動二輪車
2 メインフレーム
3 前輪サスペンション
4 前輪駆動用モータ
5 前輪
6 補助輪
6a 軸
7 スイングアーム
8 後輪サスペンション
9 後輪
10 揺動用アクチュエータ
11 操舵用アクチュエータ
12 シート
13 操作パネル
14 ハンドル
15 モード選択スイッチ
16 モニタ
100 コントローラ
100a 駆動力制御部
100b 姿勢制御部
111 揺動角検出用センサ
112 操舵角検出用センサ
113 ロール角検出用センサ
114 ヨー角検出用センサ
115 車速センサ
121 アクセル
122 ブレーキ
131 補助輪駆動用アクチュエータ
132 ブレーキ用アクチュエータ
150 パワーシステム
161 速度表示部
162 方位表示部
163 パワーソースレベル表示部
CF 中心面
CL 中心線
G 重心
LL,LR 線分
SA 揺動軸
SB 操舵軸
v 速度
θ ロール角
θ0 目標ロール角
θd ロールレート
ψ ヨー角
ψ0 目標ヨー角
ψd ヨーレート
μg 指令ヨーレート
ξ,ξ0,ξ01,ξ02 揺動角
ζ,ζ’,ζ0,ζ01,ζ02 操舵角
φ 旋回角
φd 旋回角速度

Claims (9)

  1. 車体と、
    前記車体の進行方向に沿って前後に配置される第1および第2の車輪と、
    前記第1の車輪を回転可能に前記車体に支持する支持手段と、
    前記車体の後部で前記車体に対して上下方向の軸の周りで両側方に揺動可能に設けられ、前記車体の後方で前記第2の車輪を回転可能かつ上下方向の軸の周りで操舵可能に支持する揺動部材と、
    前記揺動部材を揺動させる第1の駆動装置と、
    前記第2の車輪を操舵する第2の駆動装置と、
    前記車体のロール角を検出するロール角検出手段と、
    前記ロール角検出手段により検出されたロール角に基づいて前記第1の駆動装置による前記揺動部材の揺動角および前記第2の駆動装置による前記第2の車輪の操舵角を制御することにより前記車体を起立状態で静止させる制御手段とを備えたことを特徴とする請求項1記載の自律型車両。
  2. 前記車体に昇降可能に設けられ、下降位置で前記車体を起立状態に支持する補助具をさらに備え、
    前記制御手段は、前記補助具により前記車体を起立状態で支持した後に、前記補助具を上昇させ、前記揺動部材の揺動角および前記第2の車輪の操舵角の制御により前記車体を起立状態で静止させることを特徴とする請求項1記載の自律型車両。
  3. 前記ロール角は鉛直方向に関して定められ、前記制御手段は、前記ロール角検出手段により検出されたロール角が0になるように前記第1の駆動装置による前記揺動部材の揺動角を制御するとともに、前記第2の駆動装置による前記第2の車輪の操舵角を、前記第1の駆動装置による前記揺動部材の揺動角と等しい大きさで反対方向に設定することを特徴とする請求項1または2記載の自律型車両。
  4. 前記制御手段は、前記ロール角検出手段により検出されたロール角に関する比例積分微分制御を用いて前記第1の駆動装置による前記揺動部材の揺動角を制御することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の自律型車両。
  5. 前記ロール角検出手段は、前記車体のロールレートをさらに検出し、
    前記車体のヨー角およびヨーレートを検出するヨー角検出手段と、
    前記車体の走行速度を取得する速度取得手段と、
    旋回角速度を指令ヨーレートとして入力するための旋回指令手段とをさらに備え、
    前記制御手段は、前記ロール角検出手段により検出されたロール角およびロールレート、前記ヨー角検出手段により検出されたヨー角およびヨーレートおよび前記速度取得手段により取得された走行速度、ならびに前記旋回指令手段により入力された指令ヨーレートに基づいて、前記第1の駆動装置による前記揺動部材の揺動角および前記第2の駆動装置による前記第2の車輪の操舵角を制御することにより、前記車体を前記指令ヨーレートで旋回させることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の自律型車両。
  6. 前記制御手段は、
    目標ロール角および目標ヨー角を算出し、
    算出された目標ロール角と前記ロール角検出手段により検出されたロール角との誤差および前記旋回指令手段により入力された指令ヨーレートと前記ヨー角検出手段により検出されたヨーレートとの誤差に基づいて、前記第1の駆動装置による前記揺動部材の揺動角を制御し、
    前記揺動部材の揺動角および揺動運動による前記第2の車輪の見かけの舵角を相殺するように、かつ算出された目標ヨー角と前記ヨー角検出手段により検出されたヨー角との誤差および前記旋回指令手段により入力された指令ヨーレートと前記ヨー角検出手段により検出されたヨーレートとの誤差に基づいて、前記第2の駆動装置による前記第2の車輪の操舵角を制御することを特徴とする請求項5記載の自律型車両。
  7. 前記制御手段は、
    算出された目標ロール角と前記ロール角検出手段により検出されたロール角との誤差に関する比例積分微分制御および前記旋回指令手段により入力された指令ヨーレートと前記ヨー角検出手段により検出されたヨーレートとの誤差に関する比例積分微分制御を用いて、前記第1の駆動装置による前記揺動部材の揺動角を制御し、
    前記揺動部材の揺動角および揺動運動による前記第2の車輪の見かけの舵角を相殺するように、かつ算出された目標ヨー角と前記ヨー角検出手段により検出されたヨー角との誤差に関する比例積分微分制御および前記旋回指令手段により入力された指令ヨーレートと前記ヨー角検出手段により検出されたヨーレートとの誤差に関する比例積分微分制御を用いて、前記第2の駆動装置による前記第2の車輪の操舵角を制御することを特徴とする請求項6記載の自律型車両。
  8. 前記制御手段は、前記車体に作用する重力および旋回により前記車体に作用する遠心力に基づいて前記目標ロール角を算出し、前記車体が旋回半径を維持するように前記目標ヨー角を算出することを特徴とする請求項6または7記載の自律型車両。
  9. 前記車体を前記起立静止状態に維持する起立静止モードおよび前記車体を走行させる走行モードのいずれかを選択する選択手段をさらに備え、
    前記制御手段は、前記選択手段により前記走行モードが選択された場合に前記起立静止モードを実行した後に前記走行モードに移行することを特徴とする請求項5〜8のいずれかに記載の自律型車両。
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