JP2007061853A - セラミック鋳型の迅速造型法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】バインダーと骨材とを含むセラミックスラリーにワックスを浸漬して表面にセラミックスラリーをコーティングした後、耐火砂を振りかけてその後乾燥処理する作業を繰り返し行った後、脱ワックス及び焼成を行ってセラミック鋳型を造型するセラミック鋳型の造型法において、バインダーとしてのジルコニウム化合物溶液及び骨材としてジルコニアを含んだセラミックスラリーを少なくとも初層用のセラミックスラリーとして用い、且つコーティング後の乾燥処理に際してオゾンを作用させ、バインダーを硬化せしめる。
【選択図】 なし
Description
またこれと同時にSiOガスが発生してチタン鋳造製品中に入り込み、多くのガス欠陥を生ぜしめてしまう。
具体的には、ワックス表面に第1層目にコーティングされるセラミックスラリーとして、炭酸ジルコニウムアンモニウム,酢酸ジルコニウム等のジルコニウム化合物溶液をバインダーとして、そこにジルコニア骨材を加えたものが従来用いられている。
詳しくは、セラミックスラリーとしてこのようなジルコニウム化合物溶液から成るバインダー及びジルコニア骨材を含んだものを用いた場合、従来にあってはワックスをセラミックスラリーに浸漬した後、自然乾燥によってこれを硬化させていた。
その際のバインダーの硬化のプロセスは必ずしも明確ではないが、一応次のような反応によるものと考えられる。
この場合、式(3)の反応が進む程炭酸ジルコニウムアンモニウムからアンモニア及び炭酸根が抜け易くなり、反応が促進される。
このようにして成長した多核錯体は、後の加熱によりOHが脱水離脱して最終的にZrO2(ジルコニア)となる。
例えば上記の炭酸ジルコニウムアンモニウムの場合、これを十分に硬化させるためには50時間の長時間をかけて乾燥硬化を行わせることが必要となる。
バインダーとしてのジルコニウム化合物溶液としては、他に酢酸ジルコニウム水溶液も用いられており、この場合には十分な硬化のために更に長い時間を要してしまう。
而してこのようにジルコニウム化合物溶液から成るバインダーの乾燥硬化のために極めて長時間を要することが、鋳型の生産性を大きく阻害する要因となっていた。
例えば上記の自然乾燥を50時間かけて行った場合、鋳型の第2層目を形成すべくワックスを第2層用のセラミックスラリー中に浸漬したとき、これを10分間浸漬しても上記の鋳型崩壊を生ずることはない。
ただし第2層目のセラミックスラリーのコーティング処理を4分以内で終えるならば、乾燥時間を20〜30時間としても良いということになる。
そこで現実には乾燥20〜30時間程度行って、2層目の浸漬処理を4分以内で迅速に済ませるようにしている。
即ち乾燥時間をこのように完全硬化に必要な時間よりも短い時間とした場合、鋳型崩壊の危険を伴うことになる。
そこで作業室内に多量のアンモニアが発生,充満するのを防ぐべく、室内の空気をダクトで引いて、これを水に通し再び室内に戻すようにしているが、そのようにすると作業室内の空調が乱れ、またダクトで引いた空気を水に通して再び作業室内に戻すことによって室内の湿度が高くなり、そこで除湿を行うといったことが必要となって来る。
一方ダクトで引いた空気を通した水は、その後中和処理を行って処分することとなるが、その処理処分にも多大な費用がかかる問題が生ずる。
尚、本願発明に対する先行技術として下記特許文献1に開示されたものがある。
この特許文献1には、ポリイミド樹脂を結合剤として骨材粒子を結合し、多孔質材料を形成すること、その際に予め骨材粒子をオゾン処理しておくことでポリイミドとの接合性を向上させ得る点が開示されているが、オゾン処理の目的、対象が本発明とは全く異なっており、本発明とは別異のものである。
従って本発明によれば、乾燥処理を極めて短時間で終了することができ、セラミック鋳型の生産性を飛躍的に高めることができる。
即ち、炭酸ジルコニウムアンモニウムから離脱したアンモニアもまたオゾンの作用にて速やかに分解することができ、作業室にアンモニアが充満するのを防止することができる。
従ってまた、従来のように室内の空気をダクトで引いて水に通した上、室内に戻したり、更にはアンモニアを吸収した水の処理を行ったり、そのために多大なコストを要したりする問題を解決することができる。
加えて室内の空気をダクトで多量に引くことによって室内の空調が乱れたり、或いは水に通した空気を再び室内に戻すことによって室内の湿度が高まり、室内の除湿を別途に必要とするといった問題も併せて解決することができる。
[I]比較例1:減水率の測定
炭酸ジルコニウムアンモニウム,酢酸ジルコニウムの各水溶液をそれぞれ500ccビーカーに採り、そこに325メッシュアンダーのジルコニア粉を骨材として添加し、それらを混合してセラミックスラリーを作成した。
その際、セラミックスラリーの粘度が3000cpsとなるようにジルコニア粉の添加量を調整した。
その後湿度50%,温度22℃の室内で自然乾燥し、そして経過時間ごとに水分蒸発量を測定して、乾燥時間と減水率との関係を求めた。
その結果が表1及び図2に示してある。
比較例1と同様に試験片を上記のセラミックスラリーに浸漬し、表面にセラミックスラリーをコーティングした。
そしてコーティングした試験片を自然乾燥し、そして各乾燥時間ごとに再び試験片をジルコニア粉を混合していないバインダー純液に浸漬し、先に形成したコーティング層の剥落即ち鋳型の崩壊状況を観察した。
その結果が表2に示してある。
上記と同様のワックス片を上記の炭酸ジルコニウムアンモニウム水溶液をバインダーとして用いたセラミックスラリー中に浸漬した。
そしてこれを500×500×500mmのプラスチック容器に入れて、プラスチック容器内に設けたオゾン発生装置からのオゾンを作用させ上記バインダーの硬化処理を実施した。
尚、オゾン発生装置は市販の空冷式オゾン発生装置を用い、大きさは190mm×250mm×260mm(高さ)で、オゾン最大発生量は1000mg/Hrである。そしてプラスチック容器内のオゾン濃度が20ppmとなるようにオゾンを発生させた。
また湿度,温度管理のためにプラスチック容器には直径φ30mmの通気孔を4箇所に設け、更にプラスチック容器内のオゾン濃度をガス濃度検知管で測定し、内部のオゾン濃度を20ppmに維持した。
その結果が表3に示してある。
即ち事前の7時間の自然乾燥を加えても、本実施例によれば13時間の短時間でセラミックスラリー、即ちバインダーを硬化させることができる。
この実施例ではまた、自然乾燥の場合に比べてアンモニア濃度が大きく低下していた。
これはアンモニアに対してもオゾンが作用して、そのアンモニアがオゾンの作用の下に分解することによるものと考えられる。
本実施例に従って乾燥硬化処理した鋳型、具体的には金属溶湯と直接接する第1層は強度的にもムラがなく安定したものであった。
また乾燥処理を短時間で行うことができることから、鋳型の生産コストを低減することができる。
更にバインダーとして炭酸ジルコニウムアンモニウムを用いた場合において、オゾンを作用させることで炭酸ジルコニウムアンモニウムから離脱したアンモニアをも速やかに分解でき、作業室内へのアンモニアの充満を防止することができる。
Claims (1)
- バインダーと骨材とを含むセラミックスラリーに、鋳造製品に対応した形状のワックスを浸漬してワックス表面にセラミックスラリーをコーティングした後、該コーティング層の表面に耐火砂を振りかけて、その後乾燥処理する作業を繰り返し行った後、脱ワックス及び焼成を行ってセラミック鋳型を造型するセラミック鋳型の造型法において、
前記バインダーとしてジルコニウム化合物溶液を、前記骨材としてジルコニアを用い、少なくとも第1回の前記セラミックスラリーのコーティング後における前記乾燥処理に際して、前記コーティング層に対しオゾンを作用させて前記バインダーを硬化せしめることを特徴とするセラミック鋳型の迅速造型法。
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