JP2007057291A - マイクロリアクタ、マイクロリアクタシステム、および該マイクロリアクタシステムを用いた分析方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 試料溶液を流す流路と該流路中に設けられた圧電振動子とを有し、該圧電振動子の共振周波数を測定することにより前記試料溶液に含まれる化学物質の化学分析を行なうマイクロリアクタにおいて、前記圧電振動子は、前記試料溶液に含まれる前記化学物質を捕獲する捕獲物質が形成された検出用圧電振動子と、前記試料溶液に混入した気泡の影響による前記共振周波数の誤差成分を補正するために、所定の距離で離隔して前記流路を挟むように前記検出用圧電振動子と対向配置した補正用圧電振動子とからなることを特徴とするマイクロリアクタを提供する。
【選択図】 図1
Description
QCM型バイオセンサは、圧電振動子(特に水晶振動子)の振動を利用し、圧電振動子表面に付着した試料の微少な質量を測定できるセンサである。以下、水晶振動子(ATカット)をQCM型バイオセンサとして用いる場合について詳細に説明する。この場合、水晶基板の両側面に形成された一対の電極において、電極の一側面の表面に分析対象となる特定の化学物質のみを捕獲する捕獲物質を固定化しておく。両電極に交流電圧を印加すると、逆圧電効果により一定の周波数の振動が励起されるが、分析対象が捕獲物質により捕獲されると、質量増加Δmを伴い、その結果として水晶振動子の共振周波数がΔfだけ変動する。このような分析は、DNAのハイブリダイゼーション反応、抗原‐抗体反応、たんぱく質の結合、酵素反応など、ガス中、液中を含め様々なバイオ反応に利用することができる。
また、本発明に係わるマイクロリアクタの前記検出用圧電振動子と前記補正用圧電振動子は、それぞれ、圧電基板と、前記流路の側壁部を形成する第1の面に設けられた第1の電極と、前記第1の面と反対側の第2の面に前記第1の電極と対向して設けられた第2の電極とからなることを特徴とする。
また、本発明に係わるマイクロリアクタの前記圧電振動子は、水晶振動子であることを特徴とする。
[実施例1]
マイクロリアクタ100について、図1、図2、および図3を参照して以下に説明する。
マイクロリアクタシステム400は、マイクロリアクタ100と、マイクロリアクタ100に供給するための試料溶液が溜められる供給カップ401と、試料溶液を吸引することによってマイクロリアクタ100内に試料溶液を送液するポンプ402と、マイクロリアクタ100から排出されて廃液となった試料溶液が蓄積される廃液タンク403と、マイクロリアクタ100に実装された検出用水晶振動子200を発振させる第1の発振回路404と、第1の発振回路404を介して検出用水晶振動子200の共振周波数を測定する第1の周波数カウンタ405と、マイクロリアクタ100に実装された補正用水晶振動子300を発振させる第2の発振回路406と、第2の発振回路406を介して補正用水晶振動子300の共振周波数を測定する第2の周波数カウンタ407と、各周波数カウンタ405、407で測定された共振周波数の変化量の結果に基づいて試料溶液に混入した気泡の影響による誤差成分を除いた試料溶液に含まれる化学物質の正味の捕獲量を算出する分析部408と、で構成されている。
図5は、本発明の第1の実施例のマイクロリアクタシステム400を用いた分析方法を示したフローチャートである。図6は、抗原‐抗体反応の過程を表した反応槽105の拡大図である。図7は、マイクロリアクタシステム400から取得された共振周波数データ(Δf1、Δf2)とその分析結果(Δf3)をプロットしたグラフである。
[実施例2]
マイクロリアクタにQCMセンサとして搭載される各水晶振動子800、900について、図8を参照して以下に説明する。
図8は、本発明の第2の実施例の各水晶振動子800、900の構造を表した斜視図である。図8(a)は、試料溶液に含まれる特定の化学物質が捕獲される捕獲量を検出するための検出用水晶振動子800の斜視図であり、図8(b)は、試料溶液に混入している気泡の影響による誤差成分を補正するための補正用水晶振動子900の斜視図である。
検出用水晶振動子800は、試料溶液に含まれる酵素、抗体、たんぱく質、ホルモンなどの化学物質が捕獲されたときの微少質量の変化を測定するためのQCMセンサであり、水晶基板801の両側面に複数の検出用電極802〜807および配線808が設けられて構成されている。さらに、一側面の検出用電極802〜804の表面には、試料溶液に含まれる特定の化学物質のみを捕獲する捕獲物質809が固定化されている。捕獲物質809の一例として、検出用水晶振動子800を抗原‐抗体反応のバイオセンサとして応用する場合、検出用電極802〜804上に、SAMを形成した後、特定の抗原のみを捕獲する抗体をSAMに固定化させる。このバイオセンサの応用例には、抗原‐抗体反応のほか、様々な生化学反応に応用できるが、検出用電極802〜804上に固定化する捕獲物質809には、試料溶液に含まれる分析対象となる特定の化学物質のみを捕獲することができる物質を用いる。一方、補正用水晶振動子900は、検出用水晶振動子800で化学物質の捕獲量を測定する際に、試料溶液に混入している気泡の影響によって生じるノイズとなる誤差成分を測定するためのQCMセンサであり、水晶基板901の両側面に複数の補正用電極902〜907および配線908が設けられて構成されている。なお、補正用水晶振動子900は、検出用水晶振動子800のような捕獲物質809を固定化させないで用いる。
101 第1の水晶実装基板
102 第2の水晶実装基板
103 流路形成基板
104 流路
105 反応槽
106 流入口
107 流出口
108 第1の実装部
109 第2の実装部
200 検出用水晶振動子
201 水晶基板
202 検出用電極
203 検出用電極
204 配線
205 捕獲物質
300 補正用水晶振動子
301 水晶基板
302 補正用電極
303 補正用電極
304 配線
400 マイクロリアクタシステム
401 供給カップ
402 ポンプ
403 廃液タンク
404 第1の発振回路
405 第1の周波数カウンタ
406 第2の発振回路
407 第2の周波数カウンタ
408 分析部
601 SAM(自己組織化膜)
602 抗体
603 抗原
604 気泡
701 スパイクノイズ
702 ドリフト
800 検出用水晶振動子
801 水晶基板
802 検出用電極
803 検出用電極
804 検出用電極
805 検出用電極
806 検出用電極
807 検出用電極
808 配線
809 捕獲物質
900 補正用水晶振動子
901 水晶基板
902 補正用電極
903 補正用電極
904 補正用電極
905 補正用電極
906 補正用電極
907 補正用電極
908 配線
Claims (9)
- 試料溶液を流す流路と該流路中に設けられた圧電振動子とを有し、該圧電振動子の共振周波数を測定することにより前記試料溶液に含まれる化学物質の化学分析を行なうマイクロリアクタにおいて、
前記圧電振動子は、前記試料溶液に含まれる前記化学物質を捕獲する捕獲物質が形成された検出用圧電振動子と、前記試料溶液に混入した気泡の影響による前記共振周波数の誤差成分を補正するために、所定の距離で離隔して前記流路を挟むように前記検出用圧電振動子と対向配置した補正用圧電振動子とからなることを特徴とするマイクロリアクタ。 - 前記流路は、前記試料溶液を前記流路に供給する流入口と前記試料溶液を前記流路から排出する流出口とを有することを特徴とする請求項1に記載のマイクロリアクタ。
- 前記検出用圧電振動子と前記補正用圧電振動子は、それぞれ、圧電基板と、前記流路の側壁部を形成する第1の面に設けられた第1の電極と、前記第1の面と反対側の第2の面に前記第1の電極と対向して設けられた第2の電極と、からなることを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載のマイクロリアクタ。
- 前記検出用圧電振動子は、前記第1の電極上に前記捕獲物質が固定化されていることを特徴とする請求項3に記載のマイクロリアクタ。
- 前記圧電振動子は、複数の前記第1の電極と複数の前記第2の電極とを有することを特徴とする請求項3または4のいずれかに記載のマイクロリアクタ。
- 前記圧電振動子は、水晶振動子であることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載のマイクロリアクタ。
- 請求項1から6のいずれかに記載のマイクロリアクタと、
前記流路を流れる前記試料溶液の送液を行なうポンプと、
前記検出用圧電振動子および前記補正用圧電振動子の共振周波数を測定する測定手段と、
測定された前記検出用圧電振動子と前記補正用圧電振動子の前記共振周波数から前記試料溶液に混入した気泡の影響による誤差成分を補正して前記化学物質が前記捕獲物質に捕獲される正味の捕獲量を算出する分析部と、
を具備することを特徴とするマイクロリアクタシステム。 - 前記測定手段は、前記検出用圧電振動子および前記補正用圧電振動子に接続されてそれぞれの該圧電振動子を発振させる発振回路と、前記発振回路に接続されてそれぞれの前記圧電振動子の前記共振周波数を測定する周波数カウンタと、からなることを特徴とする請求項7に記載のマイクロリアクタシステム。
- 請求項7または8のいずれかに記載のマイクロリアクタシステムを用いた分析方法であって、
前記試料溶液を前記流路に流すステップと、
前記検出用圧電振動子と前記補正用圧電振動子の前記共振周波数をそれぞれ測定するステップと、
測定された前記検出用圧電振動子の前記共振周波数と前記補正用圧電振動子の前記共振周波数を用いて、前記試料溶液に混入した気泡の影響による誤差成分を補正して前記化学物質が前記捕獲物質に捕獲される正味の捕獲量を算出するステップと、
からなることを特徴とする分析方法。
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- 2005-08-23 JP JP2005240728A patent/JP4616124B2/ja not_active Expired - Fee Related
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