JP2007057291A - マイクロリアクタ、マイクロリアクタシステム、および該マイクロリアクタシステムを用いた分析方法 - Google Patents

マイクロリアクタ、マイクロリアクタシステム、および該マイクロリアクタシステムを用いた分析方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 試料溶液に混入している気泡の影響による誤差成分を補正して、試料溶液中の特定の化学物質がQCM型バイオセンサ上に吸着・結合する質量を高精度に検出できるようにすること。
【解決手段】 試料溶液を流す流路と該流路中に設けられた圧電振動子とを有し、該圧電振動子の共振周波数を測定することにより前記試料溶液に含まれる化学物質の化学分析を行なうマイクロリアクタにおいて、前記圧電振動子は、前記試料溶液に含まれる前記化学物質を捕獲する捕獲物質が形成された検出用圧電振動子と、前記試料溶液に混入した気泡の影響による前記共振周波数の誤差成分を補正するために、所定の距離で離隔して前記流路を挟むように前記検出用圧電振動子と対向配置した補正用圧電振動子とからなることを特徴とするマイクロリアクタを提供する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、水晶等の圧電材料を用いた振動子の電極表面に生化学物質を固定化し、それに特異的に吸着・結合する酵素、抗体、たんぱく質、ホルモンなどの化学物質の質量を測定するQCM(Quartz Crystal Microbalance)型バイオセンサを用いたマイクロリアクタ、マイクロリアクタシステム、およびマイクロリアクタシステムを用いた分析方法に関し、特に、試料溶液に混入している気泡の影響を補正して試料溶液中の特定の化学物質が吸着・結合する質量の検出を高精度に行なう技術に関する。
近年、Lab−on−a−chip、μTAS、バイオチップ、あるいはマイクロリアクタなどと称される、微量の液体を扱う小型分析システムの開発が盛んに行なわれている。これは、流路、反応槽、ポンプ、バルブ、およびセンサなどの要素構造を数mmから数cm四方のチップに集積した構成であり、このチップ内部で液体の移動、反応、分析を行なうものである。この小型分析システムの構成要素の一つであるセンサには、様々な原理を利用したセンサが提案されているが、特に、小型で板状の構成が可能であり、小型分析システムへの搭載が容易と想定されるQCM型バイオセンサの利用が期待されている。
QCM型バイオセンサは、圧電振動子(特に水晶振動子)の振動を利用し、圧電振動子表面に付着した試料の微少な質量を測定できるセンサである。以下、水晶振動子(ATカット)をQCM型バイオセンサとして用いる場合について詳細に説明する。この場合、水晶基板の両側面に形成された一対の電極において、電極の一側面の表面に分析対象となる特定の化学物質のみを捕獲する捕獲物質を固定化しておく。両電極に交流電圧を印加すると、逆圧電効果により一定の周波数の振動が励起されるが、分析対象が捕獲物質により捕獲されると、質量増加Δmを伴い、その結果として水晶振動子の共振周波数がΔfだけ変動する。このような分析は、DNAのハイブリダイゼーション反応、抗原‐抗体反応、たんぱく質の結合、酵素反応など、ガス中、液中を含め様々なバイオ反応に利用することができる。
上述の質量増加量Δmおよび共振周波数の変化量Δfの関係は、Sauerbreyにより導かれており、次式で表わすことができる(例えば、非特許文献1参照。)。
Figure 2007057291
ここで、fは水晶振動子の基本共振周波数、Aは電極の面積、μは水晶のせん断弾性係数、ρは水晶の密度である。
このようなQCM型バイオセンサに関する従来技術としては、例えば、特許文献1に記載の「マルチチャネルバイオセンサ」がある。この技術は、圧電振動子を基板上に複数個並べてマルチチャネル化したQCM型バイオセンサを構成することによって、試料溶液の粘度や密度の変化による共振周波数の誤差成分を軽減でき、試料溶液に含まれる分析対象である特定の化学物質がQCM型バイオセンサ上に吸着・結合する質量を高精度に測定するものである。さらに、このQCM型バイオセンサをLab−on−a−chipタイプの小型分析システムに組み込むと、多種類の分析対象を同時に検出できるとしている。
特開2003−307481号公報 G.Sauerbrey,Z. Phys.155,1959,206
しかしながら、上述した従来の「マルチチャネルバイオセンサ」のように、QCM型バイオセンサをLab−on−a−chipタイプの小型分析システムに組み込んだ場合、試料溶液をQCM型バイオセンサ上に送液しながらセンサの共振周波数を測定すると、試料溶液の粘度や密度の変化による共振周波数の誤差成分を軽減することはできるが、試料溶液に混入している気泡の影響を受けて共振周波数が変化してしまう。この共振周波数の変化は、送液している試料溶液に混入した気泡が、QCM型バイオセンサ上を通過したり、QCM型バイオセンサ上に付着したりするために生じる。したがって、測定した共振周波数にはこの気泡の影響による誤差成分が重畳するため、試料溶液に含まれる特定の化学物質がQCM型バイオセンサ上に吸着・結合する質量を正確に検出することができないという問題があった。
そこで、本発明の目的は、試料溶液に混入している気泡の影響による誤差成分を補正して、試料溶液中の特定の化学物質が吸着・結合する質量を高精度に検出できるようにすることである。
前記目的を達成するために、本発明に係わるマイクロリアクタは、試料溶液を流す流路と該流路中に設けられた圧電振動子とを有し、該圧電振動子の共振周波数を測定することにより前記試料溶液に含まれる化学物質の化学分析を行なうマイクロリアクタにおいて、前記圧電振動子は、前記試料溶液に含まれる前記化学物質を捕獲する捕獲物質が形成された検出用圧電振動子と、前記試料溶液に混入した気泡の影響による前記共振周波数の誤差成分を補正するために、所定の距離で離隔して前記流路を挟むように前記検出用圧電振動子と対向配置した補正用圧電振動子とからなることを特徴とする。
また、本発明に係わるマイクロリアクタの前記流路は、前記試料溶液を前記流路に供給する流入口と前記試料溶液を前記流路から排出する流出口とを有することを特徴とする。
また、本発明に係わるマイクロリアクタの前記検出用圧電振動子と前記補正用圧電振動子は、それぞれ、圧電基板と、前記流路の側壁部を形成する第1の面に設けられた第1の電極と、前記第1の面と反対側の第2の面に前記第1の電極と対向して設けられた第2の電極とからなることを特徴とする。
また、本発明に係わるマイクロリアクタの前記検出用圧電振動子は、前記第1の電極上に前記捕獲物質が固定化されていることを特徴とする。
また、本発明に係わるマイクロリアクタの前記圧電振動子は、複数の前記第1の電極と複数の前記第2の電極とを有することを特徴とする。
また、本発明に係わるマイクロリアクタの前記圧電振動子は、水晶振動子であることを特徴とする。
また、本発明に係わるマイクロリアクタシステムは、上記に記載のマイクロリアクタと、前記流路を流れる前記試料溶液の送液を行なうポンプと、前記検出用圧電振動子および前記補正用圧電振動子の共振周波数を測定する測定手段と、測定された前記検出用圧電振動子と前記補正用圧電振動子の前記共振周波数から前記試料溶液に混入した気泡の影響による誤差成分を補正して前記化学物質が前記捕獲物質に捕獲される正味の捕獲量を算出する分析部とを具備することを特徴とする。
また、本発明に係わるマイクロリアクタシステムの前記測定手段は、前記検出用圧電振動子および前記補正用圧電振動子に接続されてそれぞれの該圧電振動子を発振させる発振回路と、前記発振回路に接続されてそれぞれの前記圧電振動子の前記共振周波数を測定する周波数カウンタとからなることを特徴とする。
また、本発明に係わる分析方法は、上記に記載のマイクロリアクタシステムを用いた分析方法であって、前記試料溶液を前記流路に流すステップと、前記検出用圧電振動子と前記補正用圧電振動子の前記共振周波数をそれぞれ測定するステップと、測定された前記検出用圧電振動子の前記共振周波数と前記補正用圧電振動子の前記共振周波数を用いて、前記試料溶液に混入した気泡の影響による誤差成分を補正して前記化学物質が前記捕獲物質に捕獲される正味の捕獲量を算出するステップとからなることを特徴とする。
本発明によると、試料溶液に混入している気泡の影響による誤差成分を補正して、試料溶液中の特定の化学物質がQCM型バイオセンサ上に吸着・結合する質量を高精度に検出することができる。
以下、本発明を実施するための最良の形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下の実施の形態により本発明が限定されるものではない。
[実施例1]
マイクロリアクタ100について、図1、図2、および図3を参照して以下に説明する。
図1および図2は、本発明の第1の実施例のマイクロリアクタ100を示した図である。図1(a)は、マイクロリアクタ100の構造を表した斜視図であり、図1(b)は、マイクロリアクタ100の構造を表した分解斜視図である。図2(a)は、マイクロリアクタ100の構造を模式的に表した上面図であり、図2(b)は、図2(a)のA−A´線における断面図である。また、図3は、マイクロリアクタ100にQCMセンサとして搭載される各水晶振動子200、300の構造を表した斜視図である。図3(a)は、試料溶液に含まれる特定の化学物質が捕獲される捕獲量を検出するための検出用水晶振動子200の斜視図であり、図3(b)は、試料溶液に混入している気泡の影響による誤差成分を補正するための補正用水晶振動子300の斜視図である。
まず、マイクロリアクタ100に搭載される各水晶振動子200、300について、図3を参照して説明する。検出用水晶振動子200は、試料溶液に含まれる酵素、抗体、たんぱく質、ホルモンなどの化学物質が捕獲されたときの微少質量の変化を測定するためのQCMセンサであり、水晶基板201の両側面に検出用電極202、203、および配線204が設けられて構成されている。さらに、一側面の検出用電極202の表面には、試料溶液に含まれる特定の化学物質のみを捕獲する捕獲物質205が固定化されている。捕獲物質205の一例として、検出用水晶振動子200を抗原‐抗体反応のバイオセンサとして応用する場合、検出用電極202上に、自己組織化膜(Self−assembled monolayer、以下SAMと記す。)を形成した後、特定の抗原のみを捕獲する抗体をSAMに固定化させる。このバイオセンサの応用例には、抗原‐抗体反応のほか、様々な生化学反応に応用できるが、検出用電極202上に固定化する捕獲物質205には、試料溶液に含まれる分析対象となる特定の化学物質のみを捕獲することができる物質を用いる。一方、補正用水晶振動子300は、検出用水晶振動子200で化学物質の捕獲量を測定する際に、試料溶液に混入している気泡の影響によって生じるノイズとなる誤差成分を測定するためのQCMセンサであり、水晶基板301の両側面に補正用電極302、303、および配線304が設けられて構成されている。なお、補正用水晶振動子300は、検出用水晶振動子200のような捕獲物質205を固定化させないで用いる。
上記の各水晶振動子200、300が搭載されたマイクロリアクタ100について、図1および図2を参照して説明する。マイクロリアクタ100は、簡単に説明すると、補正用水晶振動子300が実装された第1の水晶実装基板101と、検出用水晶振動子200が実装された第2の水晶実装基板102との間に、流路104および反応槽105が形成された流路形成基板103が積層された構造となっている。以下、マイクロリアクタ100の構造について詳細に説明する。マイクロリアクタ100の外形寸法は、長さ(流路104の方向)が50〜100[mm]程度、幅が10〜20[mm]程度、厚さが数[mm]程度である。第1の水晶実装基板101、第2の水晶実装基板102および流路形成基板103は、ポリジメチルシロキサン(PDMS)などの樹脂を使用して作製する。また、それぞれの基板101、102、103は、Oプラズマ処理または接着剤を用いて、互いに位置を合わせて接合することによって積層構造を形成する。各々の基板101、102、103について説明すると、第1の水晶実装基板101には、貫通穴を形成することによって、試料溶液を流路104に供給する流入口106と、試料溶液を流路104から排出する流出口107と、補正用水晶振動子300を実装する第1の実装部108と、が設けられている。第2の水晶実装基板102には、貫通穴を形成することによって、補正用水晶振動子300を実装する第2の実装部109が設けられている。流路形成基板103には、貫通溝を形成することによって、流入口106および流出口106に連通して試料溶液が流れる流路104と、流路104の途上に配置されて各水晶振動子200、300による測定が行なわれる領域となる反応槽105と、が設けられている。 また、各実装部108、109は、反応槽105の天井と底面にそれぞれ位置するように形成されて、検出用電極202と補正用電極302とが対向するように、検出用水晶振動子200と補正用水晶振動子300とがそれぞれ実装されている。
ここで、反応槽105の高さは、試料溶液に混入している気泡が反応槽105内に入ってきた際に、その気泡が反応槽105の天井から底面まで接触するくらい十分薄くする必要がある。具体的には、反応槽105の高さが100μm以下であることが望ましい。これにより、気泡が検出用電極202と補正用電極302のどちらの電極上にも接触しながら通過したり付着したりするため、後述するように、検出用電極202上に捕獲された特定の化学物質の正味の捕獲量を検出することができる。
なお、各水晶振動子200、300は、接着剤などを用いてそれぞれの実装部108、109のエッジ部分に接合して実装する。接着剤を使用する場合、硬化硬度が比較的小さなシリコーン系などの接着剤が望ましい。また、本実施例では、試料溶液を分析するためのセンサとして水晶振動子200、300を用いたQCMセンサを例として説明したが、このQCMセンサの代わりに公知のSAW(Surface Acoustic Wave)デバイスやカンチレバーを利用したセンサを用いて構成することも容易に可能である。
次に、上記のマイクロリアクタ100を含むマイクロリアクタシステム400について、図4を参照して以下に説明する。
図4は、本発明の第1の実施例のマイクロリアクタシステム400を示した構成図である。
マイクロリアクタシステム400は、マイクロリアクタ100と、マイクロリアクタ100に供給するための試料溶液が溜められる供給カップ401と、試料溶液を吸引することによってマイクロリアクタ100内に試料溶液を送液するポンプ402と、マイクロリアクタ100から排出されて廃液となった試料溶液が蓄積される廃液タンク403と、マイクロリアクタ100に実装された検出用水晶振動子200を発振させる第1の発振回路404と、第1の発振回路404を介して検出用水晶振動子200の共振周波数を測定する第1の周波数カウンタ405と、マイクロリアクタ100に実装された補正用水晶振動子300を発振させる第2の発振回路406と、第2の発振回路406を介して補正用水晶振動子300の共振周波数を測定する第2の周波数カウンタ407と、各周波数カウンタ405、407で測定された共振周波数の変化量の結果に基づいて試料溶液に混入した気泡の影響による誤差成分を除いた試料溶液に含まれる化学物質の正味の捕獲量を算出する分析部408と、で構成されている。
マイクロリアクタ100の流入口106には供給カップ401が接続され、マイクロリアクタ100の流出口107には廃液タンク403を経てポンプ402が接続されている。第1の発振回路404は、検出用水晶振動子200の配線204と電気的に接続され、第2の発振回路406は、補正用水晶振動子300の配線304と電気的に接続されている。第1の周波数カウンタ405は第1の発振回路404と電気的に接続され、第2の周波数カウンタ407は第2の発振回路406と電気的に接続されている。また、分析部408は、各周波数カウンタ405、407と電気的に接続されている。
ポンプ402は、ロータリーポンプやダイヤフラムポンプなどの機械的なものや、電気浸透流ポンプなどの電気的なものなどが広く用いられる。第1の発振回路404および第2の発振回路406は、それぞれ同一の回路構成からなり、例えばコルピッツ型発振回路などが利用される。分析部408は、各周波数カウンタ405、407から出力される共振周波数データを取得して、取得した共振周波数データから試料溶液に含まれる化学物質の正味の捕獲量を計算することができる機能などを備えたコンピュータが用いられる。
次に、上記のマイクロリアクタシステム400を用いた分析方法の一例として、抗原‐抗体反応を分析する場合について、図5、図6および図7を参照して以下に説明する。
図5は、本発明の第1の実施例のマイクロリアクタシステム400を用いた分析方法を示したフローチャートである。図6は、抗原‐抗体反応の過程を表した反応槽105の拡大図である。図7は、マイクロリアクタシステム400から取得された共振周波数データ(Δf1、Δf2)とその分析結果(Δf3)をプロットしたグラフである。
まず、検出用水晶振動子200には、図6(a)に示すように、捕獲物質205として、検出用電極202上にSAM601を修飾した後、修飾したSAM601上に特定の抗原603のみを捕獲する抗体602をあらかじめ固定化させておく(ステップ501)。次に、抗原603を含む試料溶液を供給カップ401にピペットを用いて滴下し、ポンプ402を動作させると、流路104および反応槽105は負圧となり、供給カップ401に滴下した抗原603を含む試料溶液は流路104を通り反応槽105へ送られる(ステップ502)。試料溶液を送液すると、図6(b)に示すように、試料溶液に含まれる抗原603は検出用電極202上に固定化されている抗体602と結合反応(抗原‐抗体反応)を生じて、検出用電極202上のみに抗原603が捕獲されるが、同時に、試料溶液に混入している気泡604が、検出用電極202と補正用電極302のどちらの電極上にも接触しながら通過したり付着したりする。このとき、図7に示すように、検出用水晶振動子200の共振周波数の変化量Δf1と補正用水晶振動子300の共振周波数の変化量Δf2とを各周波数カウンタ405、407により測定して、分析部408でこれらの値Δf1、Δf2を取得する(ステップ503)。ここで、気泡604が電極202、302上に接触しながら通過したり付着したりすると、取得した共振周波数の変化量であるΔf1およびΔf2には、図7に示すように、どちらも同程度の大きさでスパイクノイズ701やドリフト702が重畳される。すなわち、Δf1には、検出用電極202上の抗体602に捕獲された抗原603の質量変化と、試料溶液に混入している気泡604の影響と、さらには、試料溶液の粘度・密度変化や温度変化などと、による成分が含まれる。一方、Δf2には、試料溶液に混入している気泡604の影響と、試料溶液の粘度・密度変化や温度変化などと、による成分のみが含まれる。したがって、分析部408でΔf1からΔf2の差分をとると、図7に示すように、検出用電極202上の抗体602に捕獲された抗原603の正味の質量変化による共振周波数の変化量Δf3(=Δf1−Δf2)を算出することができる(ステップ504)。算出された値Δf3には、試料溶液に混入している気泡604の影響による誤差成分のみならず、試料溶液の粘度・密度変化や温度変化などの誤差成分も全て除かれている。なお、検出用電極202上の抗体602に捕獲された抗原603の質量変化量(捕獲量)Δmは、背景技術に記述した数式1にΔf3を代入することによって得ることが可能である。
なお、本実施例では、抗原‐抗体反応の分析に関して述べたが、上記と同様の分析方法により、例えばDNAのハイブリダイゼーション反応、蛋白質の結合、酵素反応など様々な生化学反応に応用することもできる。
以上、本実施の形態によれば、試料溶液に混入している気泡の影響による誤差成分を補正して、検出用水晶振動子200の検出用電極202上に捕獲された特定の化学物質の正味の捕獲量を検出することが可能である。さらに、試料溶液の粘度・密度変化や温度変化などによる誤差成分も補正することができる。
[実施例2]
マイクロリアクタにQCMセンサとして搭載される各水晶振動子800、900について、図8を参照して以下に説明する。
図8は、本発明の第2の実施例の各水晶振動子800、900の構造を表した斜視図である。図8(a)は、試料溶液に含まれる特定の化学物質が捕獲される捕獲量を検出するための検出用水晶振動子800の斜視図であり、図8(b)は、試料溶液に混入している気泡の影響による誤差成分を補正するための補正用水晶振動子900の斜視図である。
本実施例の各水晶振動子800、900は、簡単に説明すると、実施例1の各水晶振動子200、300に比べて、多数の検出用電極と補正用電極とを設けたものであり、QCMセンサをマルチチャネル化させた構造である。
以下、各水晶振動子800、900ついて詳細に説明する。
検出用水晶振動子800は、試料溶液に含まれる酵素、抗体、たんぱく質、ホルモンなどの化学物質が捕獲されたときの微少質量の変化を測定するためのQCMセンサであり、水晶基板801の両側面に複数の検出用電極802〜807および配線808が設けられて構成されている。さらに、一側面の検出用電極802〜804の表面には、試料溶液に含まれる特定の化学物質のみを捕獲する捕獲物質809が固定化されている。捕獲物質809の一例として、検出用水晶振動子800を抗原‐抗体反応のバイオセンサとして応用する場合、検出用電極802〜804上に、SAMを形成した後、特定の抗原のみを捕獲する抗体をSAMに固定化させる。このバイオセンサの応用例には、抗原‐抗体反応のほか、様々な生化学反応に応用できるが、検出用電極802〜804上に固定化する捕獲物質809には、試料溶液に含まれる分析対象となる特定の化学物質のみを捕獲することができる物質を用いる。一方、補正用水晶振動子900は、検出用水晶振動子800で化学物質の捕獲量を測定する際に、試料溶液に混入している気泡の影響によって生じるノイズとなる誤差成分を測定するためのQCMセンサであり、水晶基板901の両側面に複数の補正用電極902〜907および配線908が設けられて構成されている。なお、補正用水晶振動子900は、検出用水晶振動子800のような捕獲物質809を固定化させないで用いる。
これらの水晶振動子800、900は、実施例1における水晶振動子200、300とそれぞれ置き換えて用いることができる。この場合、検出用水晶振動子800の一側面に設けられた検出用電極802〜804と補正用水晶振動子900の一側面に設けられた補正用電極902〜904とがそれぞれ対向するように、検出用水晶振動子800と補正用水晶振動子900とを実施例1におけるマイクロリアクタ100の反応槽105にそれぞれ実装すると、マルチチャネル化により、単一のマイクロリアクタを用いて多種類の分析対象を同時に検出することが可能となり、スループットを向上することができる。
なお、本実施例の各水晶振動子800、900を使用したマイクロリアクタシステムの実施形態は、水晶振動子の構成以外、実施例1におけるマイクロリアクタシステム400と実質的に同一の構成であるため、その説明を省略する。また、本実施例のマイクロリアクタシステムを用いた分析方法の実施形態についても、同様の理由により、実施例1における分析方法と実質的に同一であるため、その説明を省略する。
本発明の実施例1のマイクロリアクタの構造を示す構造図である。図1(a)は斜視図であり、図1(b)は分解斜視図である。 本発明の実施例1のマイクロリアクタの構造を模式的に説明する説明図である。図2(a)は上面図であり、図2(b)は、図2(a)のA−A´線における断面図である。 本発明の実施例1のマイクロリアクタに搭載される水晶振動子の構造を示す斜視図である。図3(a)は、検出用水晶振動子の斜視図であり、図3(b)は、補正用水晶振動子の斜視図である。 本発明の実施例1のマイクロリアクタシステムの構成を示す構成図である。 本発明の実施例1のマイクロリアクタシステムを用いた分析方法を示すフローチャートである。 本発明の実施例1の分析方法における抗原‐抗体反応の過程を説明する説明図である。 本発明の実施例1の分析方法において得られる共振周波数データとその分析結果の関係を説明する説明図である。 本発明の実施例2の水晶振動子の構造を示す斜視図である。図8(a)は、検出用水晶振動子の斜視図であり、図8(b)は、補正用水晶振動子の斜視図である。
符号の説明
100 マイクロリアクタ
101 第1の水晶実装基板
102 第2の水晶実装基板
103 流路形成基板
104 流路
105 反応槽
106 流入口
107 流出口
108 第1の実装部
109 第2の実装部
200 検出用水晶振動子
201 水晶基板
202 検出用電極
203 検出用電極
204 配線
205 捕獲物質
300 補正用水晶振動子
301 水晶基板
302 補正用電極
303 補正用電極
304 配線
400 マイクロリアクタシステム
401 供給カップ
402 ポンプ
403 廃液タンク
404 第1の発振回路
405 第1の周波数カウンタ
406 第2の発振回路
407 第2の周波数カウンタ
408 分析部
601 SAM(自己組織化膜)
602 抗体
603 抗原
604 気泡
701 スパイクノイズ
702 ドリフト
800 検出用水晶振動子
801 水晶基板
802 検出用電極
803 検出用電極
804 検出用電極
805 検出用電極
806 検出用電極
807 検出用電極
808 配線
809 捕獲物質
900 補正用水晶振動子
901 水晶基板
902 補正用電極
903 補正用電極
904 補正用電極
905 補正用電極
906 補正用電極
907 補正用電極
908 配線

Claims (9)

  1. 試料溶液を流す流路と該流路中に設けられた圧電振動子とを有し、該圧電振動子の共振周波数を測定することにより前記試料溶液に含まれる化学物質の化学分析を行なうマイクロリアクタにおいて、
    前記圧電振動子は、前記試料溶液に含まれる前記化学物質を捕獲する捕獲物質が形成された検出用圧電振動子と、前記試料溶液に混入した気泡の影響による前記共振周波数の誤差成分を補正するために、所定の距離で離隔して前記流路を挟むように前記検出用圧電振動子と対向配置した補正用圧電振動子とからなることを特徴とするマイクロリアクタ。
  2. 前記流路は、前記試料溶液を前記流路に供給する流入口と前記試料溶液を前記流路から排出する流出口とを有することを特徴とする請求項1に記載のマイクロリアクタ。
  3. 前記検出用圧電振動子と前記補正用圧電振動子は、それぞれ、圧電基板と、前記流路の側壁部を形成する第1の面に設けられた第1の電極と、前記第1の面と反対側の第2の面に前記第1の電極と対向して設けられた第2の電極と、からなることを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載のマイクロリアクタ。
  4. 前記検出用圧電振動子は、前記第1の電極上に前記捕獲物質が固定化されていることを特徴とする請求項3に記載のマイクロリアクタ。
  5. 前記圧電振動子は、複数の前記第1の電極と複数の前記第2の電極とを有することを特徴とする請求項3または4のいずれかに記載のマイクロリアクタ。
  6. 前記圧電振動子は、水晶振動子であることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載のマイクロリアクタ。
  7. 請求項1から6のいずれかに記載のマイクロリアクタと、
    前記流路を流れる前記試料溶液の送液を行なうポンプと、
    前記検出用圧電振動子および前記補正用圧電振動子の共振周波数を測定する測定手段と、
    測定された前記検出用圧電振動子と前記補正用圧電振動子の前記共振周波数から前記試料溶液に混入した気泡の影響による誤差成分を補正して前記化学物質が前記捕獲物質に捕獲される正味の捕獲量を算出する分析部と、
    を具備することを特徴とするマイクロリアクタシステム。
  8. 前記測定手段は、前記検出用圧電振動子および前記補正用圧電振動子に接続されてそれぞれの該圧電振動子を発振させる発振回路と、前記発振回路に接続されてそれぞれの前記圧電振動子の前記共振周波数を測定する周波数カウンタと、からなることを特徴とする請求項7に記載のマイクロリアクタシステム。
  9. 請求項7または8のいずれかに記載のマイクロリアクタシステムを用いた分析方法であって、
    前記試料溶液を前記流路に流すステップと、
    前記検出用圧電振動子と前記補正用圧電振動子の前記共振周波数をそれぞれ測定するステップと、
    測定された前記検出用圧電振動子の前記共振周波数と前記補正用圧電振動子の前記共振周波数を用いて、前記試料溶液に混入した気泡の影響による誤差成分を補正して前記化学物質が前記捕獲物質に捕獲される正味の捕獲量を算出するステップと、
    からなることを特徴とする分析方法。
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