JP2007041870A - ガス流量制御方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 限られた占有スペース内で必要なコンダクタンスを精度よく求めて、所定のガス流量を安定よく、かつ、再現性よく設定することができるガス流量制御方法を提供する。
【解決手段】 ガス配管2の途中に設けられる流量制限部材8に、予め設定された径及び長さで、かつ、角部のない切り溝15を機械加工することによってコンダクタンスを所定の公式に基いて算出可能な単一の制限流路16を形成し、その単一制限流路16によるコンダクタンスCと圧力差(P1−P2)とにより、プロセスチャンバー1へ供給されるガス流量Qを設定する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、例えば半導体製造プロセスや液晶製造プロセスなどのような各種の製造プロセスにおいて必要とされる種々ガスの供給量を設定するためのガス流量制御方法に関する。
各種製造プロセスへ供給されるガス流量Qは、ガス配管の途中に設けられたリストリクタと呼ばれる流量制限部材よりも上流側の一次圧力をP1、下流側の二次圧力をP2、前記流量制限部材の制限流路によるコンダクタンスをCとすると、
Q=C・(P1−P2) ……(1)
なる式で設定される。なお、P1:P2=100:1の場合は、P2を無視して、
Q=C・P1 ……(2)
なる式で設定可能である。
これら(1),(2)式におけるP1やP2は、汎用の圧力計を用いて正確に計測可能である一方、Cはガス配管の途中に設けられる流量制限部材の制限流路の形態によって左右され、このCが確定しない限り、ガス流量Qを安定よく設定することができない。
ところで、従来のガス流量制御方法では、前記流量制限部材として、薄い円板に細径の孔や流路断面積の非常に小さいスリットを形成してなるオリフィスあるいは多孔質な焼結体または複数本の細管を集束化したものが使用されていた。
しかしながら、オリフィスを流量制限部材として使用する場合は、配管内のガスの流れが粘性流となり、流れやすいところから流れるという粘性流の性質と圧力が要因となって必要なコンダクタンスを得ることができない。また、多孔質焼結体や複数本の細管を集束化したものを流量制限部材として使用する場合は、複数のガス制限流路のうちのいずれかに詰まり等を生じやすくて実際にガスが通過する制限流路が不確定であるために、ガス流量を決定する上で必要不可欠なコンダクタンスを精度よく求めることができず、したがって、ガス流量の安定化及び再現性の確保が困難で、製造プロセスへのガス供給量のばらつきによって製造品質の低下は避けられないという問題があった。
本発明は上述の実情に鑑みてなされたもので、その目的は、限られた占有スペース内に必要なコンダクタンスを精度よく求めることが可能で、所定のガス流量を安定よく、かつ、再現性よく設定することができるガス流量制御方法を提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明に係るガス流量制御方法は、ガス配管の途中に流量制限部材を設け、この流量制限部材よりも上流側の一次圧力及び下流側の二次圧力の差と前記流量制限部材の制限流路によるコンダクタンスとにより、二次側へ供給されるガス流量を設定するガス流量制御方法であって、
前記流量制限部材に、予め設定された径及び長さで、かつ、角部のない切り溝を機械加工することによって前記コンダクタンスを所定の公式に基いて算出可能な単一の制限流路を形成し、この流量制限部材の単一制限流路によるコンダクタンスと前記圧力差とにより二次側への供給ガス流量を設定することを特徴とするものである。
上記のような特徴を有する本発明によれば、予め設定された径及び長さで、かつ、角部のない切り溝を機械加工することによって流量制限部材に単一の制限流路を形成しているので、その制限流路のコンダクタンスCは、機械加工時に設定された既知値である切り溝の径d及び長さlから、
C=1349×d4 /l×(P1−P2)/2 ……(3)
なる簡易な公式に基いて正確に算出することができる。また、制限流路の単一化によって、流量が極端に低下するデッドボリウムや、詰まり、滞留等の流れの不確定要素を最大限に抑制することが可能であり、上記コンダクタンスの再現性を確保することができる。したがって、限られた占有スペース内にガス流量を決定する上で必要不可欠なコンダクタンスを容易かつ正確に算出することができ、この正確なコンダクタンスを既述(1)式または(2)式に代入することでガス流量を安定よく、かつ、再現性よく設定し、製造プロセスへのガス供給量のばらつきをなくして製造品質の安定化に大きく寄与できるという効果を奏する。
本発明に係るガス流量制御方法において、前記流量制限部材の単一制限流路としては、請求項2に記載のように、ガス配管に同心接続可能なガス導入口を中心部に有する円板のガス流線方向に垂直な面に、前記ガス導入口を起点として渦巻き形状に機械加工された切り溝によって形成されたもの、あるいは、請求項3に記載のように、ガス配管に同心接続可能な円筒体内に嵌合保持された円柱体の外周面に、ガス流線方向に沿って螺旋状に機械加工された切り溝によって形成されたもののいずれであってもよい。このうち、特に、前者のものは、ガス流線方向での占有スペースを小さくしつつ、全長の長い制限流路を形成することが可能で、一次圧力を可変してワイドレンジで用いる場合も、上記公式(3)を用いてコンダクタンスを確実に再現することができる。
また、本発明に係るガス流量制御方法において、請求項4に記載のように、前記ガス配管に同心接続可能な円筒体内に嵌合保持された円柱体の外周面でその軸線方向に間隔を隔てた複数個所に、ガス流線方向に沿って螺旋状に機械加工された径及び/または長さの異なる複数の切り溝によってガス流線方向に複数の単一制限流路を形成し、この流量制限部材における前記円柱体と前記円筒体との軸線方向相対移動により、複数の単一制限流路のいずれか一つを選択使用して二次側への供給ガス流量を設定変更可能としてもよい。
この場合は、流量制限部材における円柱体と円筒体とを軸線方向に相対移動させて複数の制限流路の一つを選択使用することにより、コンダクタンスを複数段に変化させて供給ガス流量を広範囲に亘って設定変更することが可能となり、これによって、同一のガス配管を通して製造プロセスに異なる複数のガスをプロセス内容に見合った量で供給するといったマルチガス化、ワイドレンジ化を容易に実現でき、ガス流量制御方法を実現するために用いられるマスフローコントローラの製造及び保管コストの削減効果をも達成することができる。
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照しながら説明する。
図1は半導体プロセス等の各種製造プロセスにおいて必要な種々のガスを供給するためのガス配送システムの概要図であって、プロセスチャンバー1に接続されたガス配管2に、第1のガス圧力調整機構3と第1開閉バルブ4とガス流量制御機構5と第2のガス圧力調整機構6と第2開閉バルブ7とが上流側から下流側にかけて順番に配設されている。
前記第1のガス圧力調整機構3は、ガス配管2内のガス元圧力P0を計測する圧力計3Aとこの圧力計3Aの計測圧力を受けて配管2内のガス元圧力P0が設定圧力になるように流路開度がフィードバック制御される可変バルブ3Bとからなる。また、第2のガス圧力調整機構6は、ガス流量制御機構5により流量設定された後のガス圧力P3が設定圧力になるように調整するもので、上記した第1のガス圧力調整機構3と同様に、圧力計6Aと可変バルブ6Bとからなり、ここで調整された圧力のガスが開閉バルブ7を経てプロセスチャンバー1に供給される。
前記ガス流量制御機構5は、本発明に係るガス流量制御方法を実現するためのものであって、前記ガス配管2中に介在された流量制限部材8とこの流量制限部材8よりも上流側に配置されて一次圧力P1を測定する一次圧力計9と前記流量制限部材8よりも下流側の二次圧力P2を測定する二次圧力計10とから構成されている。
前記ガス流量制御機構5における流量制限部材8は、図2〜図4に明示するように、前記ガス配管2に同心接続可能なガス導入口11を中心部に有する直径Dが20mm程度、厚さtが2.5mm程度の円板12と前記ガス配管2に接続可能なガス放出口13を外周面に有する直径Dが20mm程度、厚さtが2.5mm程度の円板14とからなり、そのうち一方の円板14側のガス配管2内でのガス流線方向に垂直な面で他方の円板12に密着される側の面には、切り溝15が機械加工されている。
前記切り溝15は、予め設定された直径d及び100mm程度の距離(長さ)lを有するとともに、全長に亘って角部が生じないように、前記ガス導入口11を起点としガス放出口13を終点として渦巻き形状(蝸牛形状)にフライス盤で一筆書き状に加工されている。この渦巻き形状の切り溝15を有する円板14と他方の円板12とをシール(図示省略する)を介して気密状態に密着することにより、流量制限部材8に、既述(3)式、即ち、
C=1349×d4 /l×(P1−P2)/2 ……(3)
なる所定の公式に基いてコンダクタンスCを算出可能な単一の制限流路16が形成されている。
上記のような構成の流量制限部材8を用いたガス流量制御機構5によれば、その流量制限部材8における制限流路16のコンダクタンスCを、切り溝15の機械加工時に予め設定されて既知の径d及び長さ(距離)lを用いて簡易な公式(3)に基いて正確に算出することが可能であり、その算出されたコンダクタンスCと一次圧力計9により測定された一次圧力P1及び二次圧力計10で測定された二次圧力P2を既述(1)式または(2)式に代入することにより、プロセスチャンバー1へ供給されるガス流量を容易かつ正確に設定することが可能である。
因みに、図5は、切り溝15の形態(径dと距離l)と差圧ΔP(P1−P2)による流量(sccm)変化の理論値を例示するグラフであって、該グラフ中に括弧書きして示した例からも明らかなように、流量制限部材8における制限流路16を予め設定された直径d及び距離(長さ)lのもとで機械加工された切り溝15から形成することによって、ガス流量(sccm)を安定よく、かつ、再現性よく設定することができ、これによって、プロセスチャンバー1に対して設定量のガスをばらつきなく供給して半導体等の製造品質の安定化が図れることは明らかである。
図6は前記ガス流量制御機構5における流量制限部材8の他の例を示す要部の概略断面構造であり、この流量制限部材8は、ガス配管2に同心接続可能な円筒体17とこの円筒体17内に同心状に嵌合保持させた円柱体(コンダクタンスビレット)18とから構成されている。そして、前記コンダクタンスビレット18の軸線方向に間隔を隔てた複数個所(図面上では3箇所で示すが、2箇所でも4箇所以上であってもよい)には、ガス流線方向に沿って螺旋状で互いに径d及び長さlの異なる切り溝19a,19b,19cが機械加工されており、これら切り溝19a,19b,19cによって、既述の(3)式示す公式に基いて3つのコンダクタンスC1、C2,C3を算出可能な単一制限流路20a,20b,20cがガス流線方向に3つ形成されている。
前記円筒体17内部の軸線方向の中央部分には、前記コンダクタンスビレット18における3つの単一制限流路20a,20b,20cの外周面に密接可能な小径部17Aが形成されているとともに、その両側部分には、各単一制限流路20a,20b,20cの外周面から離間して環状の直線ガス通路21を形成可能な大径部17Bが形成されている。また、前記コンダクタンスビレット18の軸線方向一端側には、該コンダクタンスビレット18をボールねじ等により軸線方向に駆動移動可能とするモータ22がブラケット23を介して円筒体17に支持される状態に設けられている。
上記のような構成の流量制限部材8を用いたガス流量制御機構5によれば、前記モータ22を駆動しコンタクタンスビレット18を軸線方向に移動させて図6の(A),(B),(C)に示すように、3つの単一制限流路20a,20b,20cを択一的に前記小径部17A内に位置変更することにより、流量制限部材8によるコンダクタンスをC1〜C3の間で段階的に変化させて、そのコンダクタンスC1〜C3と一次圧力計9により測定された一次圧力P1及び二次圧力計10で測定された二次圧力P2を既述(1)式または(2)式に代入することにより、プロセスチャンバー1へ供給されるガス流量を容易かつ連続的に設定変更することが可能である。
因みに、図7は、差圧40Torr時における3つの単一制限流路20a,20b,20cのコンダクタンスC1,C2,C3と流量(sccm)変化の理論値を例示するグラフであって、該グラフからも明らかなとおり、コンダクタンスをC1→C2→C3といつた具合に段階的に変化させることにより、ガス流量(scmm)を広範囲に亘って設定変更することが可能であり、これによって、同一ガス配管1を通してプロセスチャンバー1に異なる複数のガスを製造プロセスの内容に見合った量で供給するといったマルチガス化、ワイドレンジ化を容易に実現することができ、ひいては、ガス流量制御方法を実現するために用いられるマスフローコントローラの製造及び保管コストの削減効果をも達成することができる。
なお、図6の例では、モータ等を用いてコンダクタンスを連続的に複数段に変化させ得るように、一つのコンダクタンスビレット18に切り溝19a,19b,19cによる3つの制限流路20a,20b,20cを形成した構造の流量制限部材8について説明したが、機械加工された螺旋状の切り溝によって一つの制限流路を形成した構造の流量制限部材8を、図2〜図4に示すような構造の流量制限部材に代えて用いる場合においても、ガス流量を決定する上で必要不可欠なコンダクタンスを容易かつ正確に算出することが可能で、再現性のよい流量設定を行うことができるものである。
半導体プロセス等の各種製造プロセスにおいて必要な種々のガスを供給するためのガス配送システムの概要図である。 本発明に係るガス流量制御方法を実現するために用いられるガス流量制御機構における流量制限部材の構造を示す要部の側面図である。 図2のX−X矢視正面図である。 図2のY−Y矢視正面図である。 流量制限部材における制限流路を形成する切り溝の形態と差圧による流量変化の理論値を例示するグラフである。 流量制限部材の他の例を示す要部の概略断面構造である。 図6に示す流量制限部材を用いた場合の差圧40Torr時におけるコンダクタンスと流量変化の理論値を例示するグラフである。
符号の説明
2 ガス配管
8 流量制限部材
11 ガス導入口
12,14 円板
15,19a〜19c 切り溝
16,20a〜20c 制限流路
17 円筒体
18 コンダクタンスビレット(円柱体)
P1 一次圧力
P2 二次圧力
C,C1〜C3 コンダクタンス

Claims (4)

  1. ガス配管の途中に流量制限部材を設け、この流量制限部材よりも上流側の一次圧力及び下流側の二次圧力の差と前記流量制限部材の制限流路によるコンダクタンスとにより、二次側へ供給されるガス流量を設定するガス流量制御方法であって、
    前記流量制限部材に、予め設定された径及び長さで、かつ、角部のない切り溝を機械加工することにより前記コンダクタンスを所定の公式に基いて算出可能な単一の制限流路を形成し、この流量制限部材の単一制限流路によるコンダクタンスと前記圧力差とにより二次側への供給ガス流量を設定することを特徴とするガス流量制御方法。
  2. 前記流量制限部材の単一制限流路が、ガス配管に同心接続可能なガス導入口を中心部に有する円板のガス流線方向に垂直な面に、前記ガス導入口を起点として渦巻き形状に機械加工された切り溝によって形成されたものである請求項1に記載のガス流量制御方法。
  3. 前記流量制限部材の単一制限流路が、ガス配管に同心接続可能な円筒体内に嵌合保持された円柱体の外周面に、ガス流線方向に沿って螺旋状に機械加工された切り溝によって形成されたものである請求項1に記載のガス流量制御方法。
  4. 前記ガス配管に同心接続可能な円筒体内に嵌合保持された円柱体の外周面でその軸線方向に間隔を隔てた複数個所に、ガス流線方向に沿って螺旋状に機械加工された径及び/または長さの異なる複数の切り溝によってガス流線方向に複数の単一制限流路を形成し、この流量制限部材における前記円柱体と前記円筒体との軸線方向相対移動により、複数の単一制限流路のいずれか一つを選択使用して二次側への供給ガス流量を設定変更可能としている請求項3に記載のガス流量制御方法。


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