JP2007039283A - 保護膜を塗布した反射型光スイッチ - Google Patents

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Abstract

【課題】保護膜を塗布した反射型光スイッチを提供する。
【解決手段】水素を含む雰囲気に晒すことにより透明化し、酸素を含む雰囲気に晒すことにより金属状態になる反射型光スイッチであって、透明な基材の上に反射調光層、その上に触媒層が形成されており、更にその上に保護膜が形成されていることを特徴とする反射型光スイッチ薄膜材料、反射調光層が、希土類金属、希土類金属とマグネシウムの合金、マグネシウムと遷移金属の合金、マグネシウムのいずれかの薄膜である上記の材料、及び上記の反射型光スイッチ薄膜材料を構成要素として含むことを特徴とする高耐久性調光部材。
【選択図】図5

Description

本発明は、透明な状態と鏡の状態にスイッチングすることのできる調光ミラーに関するものであり、更に詳しくは、本発明は、窓ガラスから入射する太陽光をブラインドやカーテンなしで自動的にコントロールする調光ガラスに用いる新規反射型光スイッチ薄膜材料に関するものである。本発明は、建物や乗り物における太陽光の透過率を制御するための窓材料技術として有用である。
一般に、建物において、窓(開口部)は大きな熱の出入り場所になっている。例えば、冬の暖房時の熱が窓から流失する割合は48%程度であり、夏の冷房時に窓から熱が入る割合は71%程度にも達する。したがって、窓における光・熱をうまくコントロールすることにより、膨大な省エネルギー効果を得ることができる。調光ガラスは、このような目的で開発されたものであり、光・熱の流入・流出をコントロールする機能を有している。
このような調光ガラスの調光を行う方式には、いくつかの種類がある。それらの調光方式のうち、1)電流・電圧の印加により可逆的に透過率が変化する材料をエレクトロクロミック材料といい、2)温度により透過率が変化する材料をサーモクロミック材料といい、また、3)雰囲気ガスの制御により透過率が変化する材料をガスクロミック(ガソクロミック)材料という。この中でも、調光層に酸化タングステン薄膜を用いたエレクトロクロミック調光ガラスの研究が最も進んでおり、現在、ほぼ実用化段階に達しており、市販品も出されている。
この酸化タングステンを初めとして、これまで知られているエレクトロクロミック調光ガラスは、すべて調光層で光を吸収することにより調光を行うことをその原理としている。この場合、この種の調光ガラスは、調光層が光を吸収することにより熱を持ち、それがまた室内に再放射されるため、省エネルギー効果が低くなってしまうという欠点を持っていた。これをなくすためには、光を吸収することにより調光を行うのではなく、光を反射することにより調光を行う必要がある。つまり、鏡の状態と透明な状態が可逆的に変化するような特性を有する材料が望まれていた。
このような、鏡の状態と透明な状態で変化する材料は長らく見つかっていなかったが、1996年に、オランダのグループにより、イットリウムやランタンなどの希土類の水素化物が、水素により鏡の状態と透明な状態に変化することが発見され、このような材料が「調光ミラー」と命名された(非特許文献1)。これらの希土類水素化物は、透過率の変化が大きく、反射型光スイッチ特性に優れている。しかし、この反射型光スイッチは、材料として希土類元素を用いるため、窓のコーティングなどに用いる場合、資源やコストの点に問題があった。
その後、希土類金属とマグネシウムの合金薄膜の水素化物(非特許文献2)や、マグネシウム・ニッケル合金の水素化物(非特許文献3)も、反射型の光スイッチ特性を持つことが発見された。また、本発明者らのグループでは、マグネシウム・ニッケル合金の中でも、マグネシウム成分の多い、MgNix(0.1<x<0.3)が優れた光学特性を示すことを見出した(非特許文献4)。
このように、これまで報告されている反射型光スイッチ材料としては、イットリウムやランタン等の希土類金属の水素化物(特許文献1)、希土類金属とマグネシウム合金薄膜の水素化物(特許文献2)、マグネシウム・ニッケル合金の水素化物等マグネシウムと遷移金属の合金薄膜の水素化物(特許文献3,4)、及びマグネシウム薄膜の水素化物(特許文献5)があるが、この中で、資源やコストの観点から、窓ガラスのコーティングに適しているのは、マグネシウム・ニッケル合金を用いたものである。
これらの反射型光スイッチ薄膜材料は、いずれも水素を含む雰囲気に晒すと水素化によって透明化し、酸素を含む雰囲気に晒すと脱水素化によって金属状態に戻る。ただ、いずれの材料についても、はじめのうちは良好なスイッチング特性を示すものの、そのスイッチングの繰り返しに伴い、だんだんスイッチングしなくなり、劣化を示す。この反射型光スイッチ材料の劣化は早く、どの材料を用いても、100回程度で劣化してしまうものがほとんどである。この反射型光スイッチ材料は、どのような応用に用いるにしてもスイッチングの繰り返しに対する耐久性が不十分であり、このことが、実用化を阻む最大の障害になっていた。
特表平10―503858号公報 特表平11―514759号公報 米国特許2002/0044717 A1 特開2003−335553号公報 特開2003−261356号公報 J.N.Huiberts,R.Griessen,J.H.Rector,R.J.Wijngaarden,J.P.Dekker,D.G.de Groot,N.J.Koeman,Nature 380(1996)231 Nagengast D.G,van Gogh A.T.M,Kooij E.S,Dam B,Griessen R.Appl.Phys.Lett.,75(1999)2050 T.J.Richardson,J.L.Slack,R.D.Armitage,R.Kostecki,B.Farangis,and M.D.Rubin,Appl.Phys.Lett.,78(2001)3047 K.Yoshimura,Y.Yamada and M.Okada:Appl.Phys.Lett.,81(2002)4709.
このような状況の中で、本発明者らは、上記従来技術に鑑みて、上記反射型光スイッチ材料の耐久性の向上を可能とする新しい技術の開発に取り組み、種々研究を重ねた結果、反射型光スイッチ薄膜の表面に、水素は透過するが酸素や水は透過しない保護膜を塗布することで、スイッチングの繰り返しに対する耐久性を飛躍的に高めることができることを見出し、更に、この保護膜の塗布により、透明状態における可視光の透過率を向上させることができることも見出し、本発明を完成させるに至った。
本発明は、反射型光スイッチ薄膜材料の表面に簡便な方法により保護膜を塗布することでスイッチングの繰り返しに対する耐久性を向上させることを可能とする新規反射型光スイッチを提供することを目的とするものである。また、この保護膜の塗布により、透明化した状態での可視光の透過率を高めることを可能とする新規反射型光スイッチ薄膜材料を提供することを目的とするものである。
上記課題を解決するための本発明は、以下の技術的手段から構成される。
(1)水素を含む雰囲気に晒すことにより透明化し、酸素を含む雰囲気に晒すことにより金属状態になる反射型光スイッチであって、透明な基材の上に反射調光層、その上に触媒層が形成されており、更にその上に保護膜が形成されていることを特徴とする反射型光スイッチ薄膜材料。
(2)反射調光層が、希土類金属、希土類金属とマグネシウムの合金、マグネシウムと遷移金属の合金、マグネシウムのいずれかの薄膜である前記(1)に記載の材料。
(3)反射調光層が、マグネシウム・ニッケル合金の薄膜であり、マグネシウム・ニッケルの合金組成がMgNix(0<x<0.5)である前記(2)に記載の材料。
(4)触媒層が、0.5nm−100nmのパラジウムもしくは白金のコーティングである前記(1)に記載の材料。
(5)保護膜が、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、酢酸セルロース、エチルセルロースのいずれかからなる前記(1)に記載の材料。
(6)保護膜の形成により、スイッチング特性と透明状態における透過率を向上させた前記(1)に記載の材料。
(7)前記(1)から(6)のいずれかに記載の反射型光スイッチ薄膜材料を構成要素として含むことを特徴とする高耐久性調光部材。
(8)調光部材が、調光特性を付与した窓、遮蔽物、装飾物、又は玩具である前記(7)に記載の部材。
次に、本発明について更に詳細に説明する。
本発明は、水素を含む雰囲気に晒すことにより透明化し、酸素を含む雰囲気に晒すことにより金属状態になる反射型光スイッチであって、透明な基材の上に反射調光層、その上に触媒層が形成されており、更にその上に保護膜が塗布されていることを特徴とするものである。即ち、本発明は、反射型光スイッチ(「調光ミラー」、”Switchable Mirror”と呼ばれることもある。)に保護膜をコーティングすることを特徴とするものである。
反射型光スイッチは、透明な状態と鏡の状態(金属状態)、もしくはその中間状態に、スイッチングすることのできる材料であって、透明な基材の上に、調光薄膜層として、例えば、イットリウムやランタン等の希土類薄膜、希土類金属とマグネシウム合金薄膜、マグネシウムと遷移金属の合金薄膜、もしくはマグネシウム薄膜を蒸着したものである。これらの材料の中でも、材料コストの安さや、優れた光学特性などから、MgNi(0.1<x<0.3)が反射型光スイッチに適した材料として例示される。
これらの調光薄膜層は、スパッタリング法、真空蒸着法、電子ビーム蒸着法、化学気相蒸着法(CVD)、めっき法等により作製することができる。しかし、これらの方法に制限されるものではない。調光薄膜層の厚さは10nmから300nmである。
本発明では、この調光薄膜層の上に触媒層が形成される。上記触媒層としては、好適には、パラジウムもしくは白金が用いられる。しかし、これらに限定されるものではなく、これらと同効のものであれば同様に使用することができる。この触媒層は、好適には、上記マグネシウム薄膜の表面に0.5nm−10nmのパラジウムもしくは白金をコートして形成される。しかし、触媒層の形成方法及びその形態は特に制限されるものではない。上記触媒層は、例えば、スパッタリング法、真空蒸着法、電子ビーム蒸着法、化学気相蒸着法(CVD)、めっき法等により作製することができる。しかし、これらの方法に制限されるものではなく、適宜の方法を用いることができる。
上記反射型光スイッチ材料からなる調光層を、基板の透明部材ないしガラス表面に形成することにより反射型光スイッチ部材ないし反射型光スイッチガラス(調光ミラーガラス)が得られる。この場合、基板としては、好適には、アクリル、プラスチック、透明シート、ガラスが例示される。しかし、これらに限らず、これらと同効のものであれば同様に使用することができる
この反射型光スイッチは、水素を含んだ雰囲気に晒すことで水素化が起こり、金属状態から透明状態に変化する。また、水素を含まず酸素を含む雰囲気に晒すことで脱水素化が起こり、透明状態から金属状態に変化する。いずれの反射型光スイッチ薄膜材料を用いた場合も、最初の内は、良好なスイッチングを示し、大きな透過率変化を示すが、これを繰り返していくと劣化が起こり、だんだんと変化しなくなってしまう。これは、主として、調光層の酸化が進行していくことが原因と考えられる。そこで、本発明者らは、水素は通すが、酸素は遮断する材料で反射型光スイッチ材料の表面を覆えば、この酸化が抑制され、劣化が抑えられるのではないかと考え、この考えに基づき、このような性質を持つ材料の探索を行い、本発明に至った。
反射型光スイッチの触媒層の上に、保護膜としてポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、酢酸セルロース、エチルセルロースのいずれかを塗布すると、劣化を大幅に抑え、スイッチングに対する繰り返し寿命を延ばすことができる。これは、保護膜の塗布は、好適には、スピンコーティング法やディップコーティング法を用いて行うが、特に手法には制約されない。スピンコーティング法を用いる場合、塗布する膜の厚さは溶液の濃度及び回転数で自由に調節することができる。
反射型光スイッチは、水素化することで透明状態になるが、無色透明ではなく、いずれも少し着色している。例えば、調光層にイットリウムを用いた場合は、透明状態で黄色、マグネシウム・ニッケル合金を用いた場合は、茶色を呈する。窓ガラス等へ応用する場合、透明状態における可視光の透過率は高い方が望ましいが、比較的可視光透過率の高いMgNiを用いた場合でも、可視光の透過率は50%程度である。
これに対して、調光薄膜に保護膜としてポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、酢酸セルロース、エチルセルロースのいずれかを塗布すると、透明状態における可視光の透過率が10%程度向上することが分かった。これは、多層薄膜の干渉効果により可視光領域における透過率が向上したものと考えられる。従って、これらの保護膜の塗布により、耐久性が向上すると共に、透明状態における透過率が向上するという、二重のメリットが得られることになる。
反射型光スイッチを調光するには、水素を含むガスと酸素を含むガスを用いる。例えば、窓ガラスを構成する2重ガラスの内側に保護膜をつけた反射型光スイッチ薄膜をコーティングしてシールする。そして、例えば、窓ガラスの二箇所に穴を開け、一方には蓋付の排気孔、もう一方には、この間隙の空間に水を電気分解して水素を発生して送り込んだり、空気もしくは水の電気分解で得られる酸素を送り込んだりするユニット(雰囲気制御器)を取り付ける。この雰囲気制御器から水素を送りこむことで、自由にコントロールして透明状態にすることができる。もしくは、2重ガラスの内側にアルゴンガスを封入し、そのアルゴン雰囲気中に少量の水素ガスと酸素ガスを導入してスイッチングを行う。
更に、本発明の反射型光スイッチガラスは、上記窓材料だけでなく、あらゆる種類の物品にも広く用いることができる。それにより、例えば、プライバシー保護を目的とした遮蔽物や、鏡状態と透明状態に変わることを利用した装飾物及び玩具等に反射型光スイッチ機能を付加することができる。本発明において、反射型光スイッチ機能を有する物品とは、上記反射型光スイッチガラスを装着したあらゆる種類の物品を包含するものとして定義される。
従来の反射型光スイッチ材料では、当初は良好なスイッチング特性を示すが、スイッチングの繰り返しに伴い、良好なスイッチング特性が持続せず、徐々に劣化する傾向を示し、そのことが、反射型光スイッチング材料の実用化を阻む最大の要因となっていた。これに対し、本発明の反射型光スイッチ材料では、その表面に水素は通すが、酸素は遮断する材料からなる保護膜を形成したことで、調光層の酸化の進行が抑制され、それにより、スイッチング特性の劣化が防止された高耐久性の反射型光スイッチ薄膜材料の提供を実現することができる。
本発明により、(1)調光ガラスに用いることができる新規反射型光スイッチ薄膜材料を提供できる、(2)反射型光スイッチ薄膜材料に保護膜を形成することで、スイッチングの繰り返しに対する耐久性を向上させた高性能の反射型光スイッチ薄膜材料を提供できる、(3)また、本発明では、保護膜を形成することにより、透明化した状態での可視光の透過率を高めることができる、(4)スイッチングに対する耐久性の向上と透明状態における透過率の向上の2重の利点を有する反射型光スイッチ薄膜の新規構造とその製品を提供できる、という効果が奏される。
次に、本発明を実施例に基づいて具休的に説明するが、本発明は、以下の実施例によって何ら限定されるものではない。
まず、ガラス基板上にマグネシウム・ニッケル合金薄膜とパラジウム薄膜をつけた試料を作製した。これらの成膜は、ターゲットとして、それぞれ、金属マグネシウム、金属ニッケル、それに金属パラジウムをセットした3連のマグネトロンスパッタ装置で行った。基板としては、大きさ30mm×30mm、厚さ1mmのガラス板を用い、これを洗浄後、真空装置の中にセットして真空排気を行った。
成膜にあたっては、まず、マグネシウム・ニッケルをスパッタしてマグネシウム薄膜を作製した。スパッタ中のアルゴンガス圧は、0.8Paであり、直流スパッタ法によりマグネシウムに30W、ニッケルに11Wのパワーを加えてスパッタを行い、ほぼMgNiに近い組成を持つ合金薄膜を作製した。その後、同じ真空条件で、6Wのパワーを加えてパラジウム薄膜の蒸着を行った。MgNi層の膜厚は約40nm、パラジウム層の厚さは約4nmであった。
この試料のスイッチング特性を、図1(a)に示したような装置で評価した。ガラス上に作製したPd/MgNi薄膜が内側になるように、もう一枚のガラスとシリコンゴムのスペーサーを用いて張り合わせ、その間の空間にアルゴンで4%に希釈した水素ガスを流したり、止めたりすることによりスイッチングを行った。
蒸着直後のPd/MgNi薄膜(保護膜無し)は、金属光沢を用い鏡の状態になっているが、水素ガスを流すと、数秒で透明な状態に変わる。水素ガスを止めると端面から空気が入ってきて2−3分で鏡の状態に戻る。このときの波長670nmにおける透過率の変化を、半導体レーザーとシリコンフォトダイオードを用いて測定した。図1(b)に測定装置の写真を示す。
図2に、この評価装置で測定したPd/MgNi薄膜のスイッチング特性を示す。30秒間4%の水素ガスを流すと、金属状態から透明状態に変化し、透過率が上がった。次に、300秒間水素ガスを止めると、上部から空気により脱水素化が起こり透明状態から金属状態に戻り、透過率が下がった。最初のうちは大きな透過率変化を示しているが、これを繰り返すと、段々変化幅が小さくなっていった。120回を越えると、この減少の割合が大きくなり、170回を越えると、ほとんど変化しなくなった。これらは、スイッチングの繰り返しによる劣化によるものである。
実施例1と同様にガラス基板上に作製したPd/MgNi薄膜に、保護膜として、ポリ酢酸ビニルを塗布した。ポリビニルアセテート液0.4gを30mlのテトラハイドロフランで希釈し、その溶液をスピンコーターによりPd/MgNi薄膜上に塗布した。
図3に、シリコン基板上に作製したPd/MgNi薄膜にポリ酢酸ビニルを塗布した試料の高分解能電子顕微鏡断面写真を示す。シリコン基板の上に形成された約膜厚40nmのMgNi薄膜層と黒い線のようにみえる膜厚約4nmのパラジウム層がはっきり認識できる。また、その上の白く見える部分が塗布されたポリ酢酸ビニルで、パラジウムの上にすきまなく密着していることが分かる。なお、保護膜層の上に黒く見える部分は、電子顕微鏡観察用にコーティングした金層である。
ガラス基板上に作製したPd/MgNi薄膜に、ポリ酢酸ビニルを塗布した試料のスイッチング特性の測定を行った。塗布する保護膜の厚さは、スピンコーターの回転数で制御し、本実施例では、回転数2000rpmで約150nmの膜圧のポリ酢酸ビニル層を塗布した。この試料について、実施例1と同様に、図1の評価装置で評価を行った。
図4は、このスイッチングを繰り返した場合の透過率の変化をプロットしたもので、上のグラフは実施例1同じ保護膜の無いPd/MgNi薄膜でスイッチングを繰り返した場合、下のグラフはPd/MgNi薄膜に厚さ150nmのポリ酢酸ビニルを保護膜として塗布した試料でスイッチングを繰り返した場合を比較したものである。保護膜の無い場合に比べて、保護膜を塗布した試料では、透過率の変化は小さくなっていくものの、保護膜の無い場合に比べて劣化は遅く、1000回を過ぎても変化しており、劣化が大幅に抑えられていることが分かる。
ポリ酢酸ビニル以外にも、酢酸セルロース、エチルセルロース、ポリスチレン、ポリ塩化ビニルも同様に、以下の条件の溶液を調製し、スピンコートを用いてPd/MgNi薄膜に塗布してスイッチング特性の変化を測定し。そのた結果、いずれも保護膜の塗布により耐久性が大幅に改善されることが分かった。
1.酢酸セルロース0.4gの粉末を30mlのテトラハイドロフランに溶解
2.エチルセルロース0.4gの粉末を30mlのテトラハイドロフランに溶解
3.ポリスチレン0.4gの粉末を30mlのベンゼンに溶解
4.ポリ塩化ビニル0.4gの粉末を30mlのテトラハイドロフランに溶解
図5は、Pd/MgNi薄膜にポリ酢酸ビニル、酢酸セルロース、エチルセルロース、ポリスチレン、ポリ塩化ビニルを塗布した試料、及び保護膜無しの試料について、アルゴンで希釈した4%の水素ガスを通した場合と、止めた場合の透過率変化を示したグラフである。いずれの保護膜についても、保護膜無しの場合に比べて、水素に晒した場合の透過率が向上していることが分かる。また、この水素化の速度は、若干遅くなっているが、それほど大きな変化は無く、これらの保護膜が劣化を押さえる作用があるにもかかわらす、水素は透過していることが分かる。
脱水素化による透明状態から金属状態への変化については、保護膜によっては、かなり遅くなる場合も見られた。反射型光スイッチの光学特性については、水素化した場合の透過率は、高ければ高い程良く、この保護膜の塗布により、耐久性が向上する上に、透過率が良くなるという2重のメリットがあることが分かった。
以上詳述したように、本発明は、保護膜を塗付した反射型光スイッチに係るものであり、本発明は、反射型光スイッチに保護膜を塗布することで、その耐久性を大幅に改善すると共に、透明状態における透過率を向上させた新規反射型光スイッチ及び調光部材を提供することができる。本発明は、反射型光スイッチのスイッチング特性を大幅に改善させることで実用化可能な調光材料を提供するものとして有用である。
図1は、反射型光スイッチ特性評価装置の概略図を示す。(a)は模式図、(b)は写真である。 図2は、保護膜の無い試料のスイッチング特性を示す。 図3は、保護膜として酢酸セルロースを塗布したPd/MgNi薄膜の断面の電子顕微鏡写真を示す。 図4は、保護膜の無い試料(上)と、保護膜としてポリ酢酸ビニルを塗布した試料(下)のスイッチング特性を示す。 図5は、保護膜をつけた試料の調光の様子を示す。

Claims (8)

  1. 水素を含む雰囲気に晒すことにより透明化し、酸素を含む雰囲気に晒すことにより金属状態になる反射型光スイッチであって、透明な基材の上に反射調光層、その上に触媒層が形成されており、更にその上に保護膜が形成されていることを特徴とする反射型光スイッチ薄膜材料。
  2. 反射調光層が、希土類金属、希土類金属とマグネシウムの合金、マグネシウムと遷移金属の合金、マグネシウムのいずれかの薄膜である請求項1に記載の材料。
  3. 反射調光層が、マグネシウム・ニッケル合金の薄膜であり、マグネシウム・ニッケルの合金組成がMgNix(0<x<0.5)である請求項2に記載の材料。
  4. 触媒層が、0.5nm−100nmのパラジウムもしくは白金のコーティングである請求項1に記載の材料。
  5. 保護膜が、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、酢酸セルロース、エチルセルロースのいずれかからなる請求項1に記載の材料。
  6. 保護膜の形成により、スイッチング特性と透明状態における透過率を向上させた請求項1に記載の材料。
  7. 請求項1から6のいずれかに記載の反射型光スイッチ薄膜材料を構成要素として含むことを特徴とする高耐久性調光部材。
  8. 調光部材が、調光特性を付与した窓、遮蔽物、装飾物、又は玩具である請求項7に記載の部材。
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