JP2007038575A - 合成樹脂製気泡シート - Google Patents

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彩香 杉山
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Abstract

【課題】 凹凸状シートと平坦状シートとの間に形成される気泡部に香り成分を封入する。
【解決手段】 凹凸状の第1の合成樹脂シート11と平坦状の第2の合成樹脂シート12とが接合され、気体が密閉された多数の気泡部13が形成されている合成樹脂製気泡シートにおいて、香り成分が封入されたマイクロカプセル14を気泡部13の内部に封入する。マイクロカプセル14を第1の合成樹脂シート11における第2の合成樹脂製シート12が接合された面の反対側の表面に配置する。マイクロカプセル14を第2の合成樹脂シート12における第1の合成樹脂製シート11が接合された面の反対側の表面に配置する。
【選択図】 図2

Description

本発明は、多数の凹凸部が形成された凹凸状シートと平坦状シートとが接合され、ガスが密閉された多数の気泡部が形成されている合成樹脂製気泡シートに関する。
従来より、多数の凹凸状突起部が形成された凹凸状シートに平坦状シートを接合した合成樹脂製気泡シートが知られている。合成樹脂製気泡シートには、ガスが密閉された多数の気泡部が形成され緩衝効果に優れているため、主に梱包材として用いられている。
このような合成樹脂製気泡シートの気泡部に香り成分(芳香成分)を含む気体を充填させ、気泡部を破裂させた際に気泡部の香り成分を外部に拡散させて、香りを漂わせることが考えられる。
しかしながら、香り成分を気体の状態で気泡部に封入しようとする場合には、凹凸状シートと平坦状シートとを接合する際に気体成分が漏れてしまい、香り成分を気泡部に封入することが困難である。さらに、香り成分を固体の状態で気泡部に封入しようとする場合には、固体状の香り成分が凹凸状シートと平坦状シートとの融着を妨げ、凹凸状シートと平坦状シートとの接合が困難であるという問題がある。
また、合成樹脂製シートは、通常ガス透過性を有しており、内部に封入されたガスが徐々に外部に漏れる。このため、気泡部の内部に香り成分を封入する場合には、気泡部内の香り成分が徐々に外部に漏れてしまうという問題がある。
本発明は上記点に鑑み、凹凸状シートと平坦状シートとの間に形成される気泡部に香り成分を封入することを目的とする。また、本発明は、気泡部内に封入した香り成分が外部に漏れることを防止することを他の目的とする。
上記目的を達成するため、本発明は、気体が密閉された多数の気泡部(13)が形成されている合成樹脂製気泡シートにおいて、香り成分が封入されたマイクロカプセル(14)を気泡部(13)の内部に封入したことを第1の特徴としている。
このように、香り成分をマイクロカプセル(14)に封入することで、香り成分を固体として扱うことができ、香り成分を容易に気泡部(13)内に封入することができる。
そして、例えば指で気泡部(13)を押し潰すことでマイクロカプセル(14)が破壊される。これにより、マイクロカプセル(14)に封入された香り成分がマイクロカプセル(14)から放出され、香りが気泡部(13)の破れた部分を介して外部に拡散する。
マイクロカプセル(14)は破壊されるまで、香りの発散を抑えて長時間香りを保持することができるので、ガス透過性を有する合成樹脂製シートを用いた場合でも、香り成分が気泡部(13)から外部に漏れることを防止できる。
マイクロカプセル(14)は、気泡部(13)の内部を自由に移動可能としてもよく、気泡部(13)の内部における第2の合成樹脂製シート(12)の表面に配置してもよく、さらに気泡部(13)の内部における第1の合成樹脂製シート(11)の表面に配置してもよい。
また、本発明は、気体が密閉された多数の気泡部(13)が形成されている合成樹脂製気泡シートにおいて、香り成分が封入されたマイクロカプセル(14)が第1の合成樹脂シート(11)における第2の合成樹脂製シート(12)が接合された面の反対側の表面に配置されていることを第2の特徴としている。
これにより、例えば指で気泡部(13)を押し潰すことでマイクロカプセル(14)が破壊され、マイクロカプセル(14)に封入された香り成分がマイクロカプセル(14)から外部に放出される。
また、本発明は、気体が密閉された多数の気泡部(13)が形成されている合成樹脂製気泡シートにおいて、香り成分が封入されたマイクロカプセル(14)が第2の合成樹脂シート(12)における第1の合成樹脂製シート(11)が接合された面の反対側の表面に配置されていることを第3の特徴としている。
これにより、例えば指で気泡部(13)を押し潰すことでマイクロカプセル(14)が破壊され、マイクロカプセル(14)に封入された香り成分がマイクロカプセル(14)から外部に放出される。
なお、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
以下、本発明の一実施形態について図1〜図3に基づいて説明する。図1は本発明の実施形態を示す合成樹脂製気泡シート10の斜視図である。
図1に示すように、本実施形態の気泡シート10は、多数の凹凸状突起部が形成された凹凸状シート(キャップフィルム)11と、平坦状の平坦状シート(バックフィルム)12とから構成される2層構造となっている。本実施形態の凹凸状シート10には、多数の円柱状突起部がエンボス加工されており、凹凸状シート11の突起部開口側に平坦状シート12が接合されている。これにより、凹凸状シート11と平坦状シート12との間には、空気が密閉された気泡部(密閉突起部)13が形成される。なお、凹凸状シート11が本発明の第1の合成樹脂製シートに相当し、平坦状シート12が本発明の第2の合成樹脂製シートに相当している。
本実施形態では、気泡シート10を構成する合成樹脂として、ポリエチレンやポリプロピレンといったポリオレフィン系樹脂を用いている。また、合成樹脂製気泡シート10は、本実施形態のように柔軟性が必要とされる場合には単位面積当り重量(目付重量)を35〜200グラム/m2とすることが望ましい。
図2は気泡シート10の断面図であり、(a)は通常状態を示し、(b)は気泡部13を潰した状態を示している。
図2(a)に示すように、気泡部13には、多数のマイクロカプセル14が封入されている。マイクロカプセル14は、直径が数ミクロンから1ミリメートル程度の微小球体からなる容器であり、メラミンやウレタン等から構成することができる。本実施形態では、マイクロカプセル14は気泡部13内で固定されておらず、気泡部13内を自由に移動できるようになっている。
本実施形態では、マイクロカプセル14に内部に封入する芯物質として、香りを発生させる香り成分を用いている。香り成分をマイクロカプセル14に封入することで、香り成分を固体として扱うことができる。このため、香り成分として液体や粉体を用いることができる。本実施形態では、香り成分としてバニラの香りを発生させるバニリン(C883)を用いている。
マイクロカプセル14は、衝撃が加わることで破壊され、内部の香り成分が外部に放出され、香りが発散する。つまり、マイクロカプセル14は、衝撃が加わわって破壊されるまで、香りの発散を抑えて長時間香りを保持することができる。このため、本実施形態の気泡シート10は、ガス透過性を有する合成樹脂製シートを用いた場合でも、マイクロカプセル14が破壊されない限り、気泡部13から香り成分が漏れることがない。したがって、気泡部13から香り成分が漏れることを防ぐためにガスバリア性フィルムのような多層フィルムを用いる必要がない。
図2(b)に示すように、例えば指で気泡部13を押し潰すことでマイクロカプセル14に衝撃が加わって破壊される。本実施形態のマイクロカプセル14は、指で気泡部13を押しつぶす程度の圧力を加えることで破壊される。これにより、マイクロカプセル14に封入された香り成分がマイクロカプセル14から放出され、香りが気泡部13の破れた部分を介して外部に拡散する。これにより、気泡シート10の周囲にバニラの香りが漂うことになる。
図3は、本実施形態の気泡シート10を製造する気泡シート製造装置の主要構成部を示している。図3に示すように、凹凸状シート11を供給する凹凸状シート供給部20、平坦状シート12を供給する平坦状シート供給部21が設けられている。これらのシート供給部20、21はそれぞれ、押出機(図示せず)に連結したフラットダイから構成されている。さらに、本実施形態の気泡シート製造装置には、凹凸状シート11と平坦状シート12との間にマイクロカプセル14を供給するマイクロカプセル供給部22が設けられている。
また、気泡シート製造装置には、2つの加熱ロール23、24、成形ロール25、加圧ロール26、剥離ロール27が設けられている。成形ロール23の外周表面には、気泡シート10の気泡部13に対応した多数の凹部が形成されている。成形ロール23の凹部の底は図示しない真空ポンプに接続されており、凹部で真空吸引が可能となっている。
次に、気泡シート製造装置による気泡シート10の製造方法について説明する。凹凸状シート供給部20より供給された凹凸形成前のシート11は、加熱ロール23、24で加熱されて成形ロール25に供給される。シート11は、成形ロール25上で真空吸引されることにより、気泡部13を構成する凹凸パターンが形成される。
平坦状シート供給部21より供給された平坦状シート12とマイクロカプセル供給部22より供給されたマイクロカプセル14は、成形ロール25と加圧ロール26との間に供給される。これにより、凹凸状シート11と平坦状シート12と平坦状シート12とが融着により接合して気泡部13が形成される際に、気泡部13内にマイクロカプセル14が空気とともに封入される。
(他の実施形態)
なお、上記実施形態では、香り発生成分としてバニリンを用いたが、本発明の香り成分はこれに限定されるものではなく、マイクロカプセル14に封入できるものであればよい。例えば、ダイエット効果、リラクゼーション効果、ストレス軽減効果、血行促進効果等を有する香り成分を用いた場合には、これらのアロマテラピー効果を得ることができる。
また、上記実施形態では、香り成分を封入したマイクロカプセル14を気泡部13内の空間に固定しないで封入するように構成したが、マイクロカプセル14をシート11、12の表面に固定して設けてもよい。マイクロカプセル14をシート11、12の表面に固定する方法としては、種々の方法を用いることができるが、例えばマイクロカプセル14を塗料や粘着剤に混入したものをシート11、12の表面に塗布すればよい。塗料や粘着剤にマイクロカプセル14を混入する場合は、マイクロカプセル14の比率を20〜30%程度とすることが望ましい。
図4、図5は、マイクロカプセル14を気泡部13内でシート11、12の表面に配置した例を示している。図4はマイクロカプセル14を気泡部13内における平坦状シート12の表面に配置した例を示し、図5はマイクロカプセル14を気泡部13内における凹凸状シート11の表面に配置した例を示している。
また、上記実施形態では、マイクロカプセル14を気泡部13内に配置したが、マイクロカプセル14を気泡部13の外部におけるシート11、12の表面に固定してもよい。この場合は、マイクロカプセル14が気泡シート10の外表面に配置されることになるが、香り成分はマイクロカプセル14に封入されているので、指で気泡部13が押しつぶされる程度の圧力が加えられマイクロカプセル14が破壊されるまで香り成分が外部に放出されることはない。
図6、図7は、マイクロカプセル14を気泡部13の外部におけるシート11、12の表面に配置した例を示している。図6はマイクロカプセル14を凹凸状シート11の表面に固定した例を示し、図4はマイクロカプセル14を平坦状シート12の表面に固定した例を示している。
また、図2、図4〜図7に示したマイクロカプセル14の配置方法は、任意に組み合わせて用いることができる。
また、上記実施形態では、1枚の凹凸状シート11と1枚の平坦状シート12からなる2層品の気泡シート10について説明したが、本発明は2枚の平坦状シートで1枚の凹凸状シートを挟み込んで形成する3層品の気泡シートにも適用可能である。
上記実施形態の気泡シートの斜視図である。 上記実施形態の気泡シートの断面図である。 上記実施形態の気泡シート製造装置の主要構成部を示す概念図である。 上記実施形態の気泡シートの変形例を示す断面図である。 上記実施形態の気泡シートの変形例を示す断面図である。 上記実施形態の気泡シートの変形例を示す断面図である。 上記実施形態の気泡シートの変形例を示す断面図である。
符号の説明
10…気泡シート、11…凹凸状シート、12…平坦状シート、13…気泡部、14…マイクロカプセル。

Claims (7)

  1. 凹凸状の第1の合成樹脂シート(11)と平坦状の第2の合成樹脂シート(12)とが接合され、気体が密閉された多数の気泡部(13)が形成されている合成樹脂製気泡シートであって、
    香り成分が封入されたマイクロカプセル(14)が前記気泡部(13)の内部に封入されていることを特徴とする合成樹脂製気泡シート。
  2. 前記マイクロカプセル(14)は、前記気泡部(13)の内部における前記第2の合成樹脂製シート(12)の表面に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の合成樹脂製気泡シート。
  3. 前記マイクロカプセル(14)は、前記気泡部(13)の内部における前記第1の合成樹脂製シート(11)の表面に配置されていることを特徴とする請求項1または2に記載の合成樹脂製気泡シート。
  4. 凹凸状の第1の合成樹脂シート(11)と平坦状の第2の合成樹脂シート(12)とが接合され、気体が密閉された多数の気泡部(13)が形成されている合成樹脂製気泡シートであって、
    香り成分が封入されたマイクロカプセル(14)が前記第1の合成樹脂シート(11)における前記第2の合成樹脂製シート(12)が接合された面の反対側の表面に配置されていることを特徴とする合成樹脂製気泡シート。
  5. 前記マイクロカプセル(14)が前記第1の合成樹脂シート(11)における前記第2の合成樹脂製シート(12)が接合された面の反対側の表面に配置されていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1つに記載の合成樹脂製気泡シート。
  6. 凹凸状の第1の合成樹脂シート(11)と平坦状の第2の合成樹脂シート(12)とが接合され、気体が密閉された多数の気泡部(13)が形成されている合成樹脂製気泡シートであって、
    香り成分が封入されたマイクロカプセル(14)が前記第2の合成樹脂シート(12)における前記第1の合成樹脂製シート(11)が接合された面の反対側の表面に配置されていることを特徴とする合成樹脂製気泡シート。
  7. 前記マイクロカプセル(14)が前記第2の合成樹脂シート(12)における前記第1の合成樹脂製シート(11)が接合された面の反対側の表面に配置されていることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1つに記載の合成樹脂製気泡シート。
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