JP2007038248A - 鋳造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】耐熱性,耐酸化性,耐腐食性を有する改質層を鋳造品の表面に極めて容易に、かつ低コストに、さらには、あらゆる形状の製品であっても形成することができる鋳造方法を提供する。
【解決手段】回収砂と、平均粒径が回収砂よりも大きい酸化鉄粒子とを混合した配合砂で鋳型の少なくとも表面を形成する第一の工程と、鋳型に溶融金属を鋳込んで鋳造品を作製する第二の工程とを含む鋳造方法。
【選択図】図1

Description

本発明は、鋳造品の表面に耐熱性を有する改質層を形成する鋳造方法に関する。
近年、アルミニウムやアルミニウム合金は軽量で加工性・耐食性・機械的性質に優れることから、航空機・鉄道車両・自動車の部品やサッシなどの家庭用品に広く用いられている。アルミニウムは多様な方法によって成形可能であるが、中でも、寸法精度が高く強度にも優れ機械加工も少なくて済むダイキャスト法が最も大量生産に適している。
ここで、ダイキャスト法に用いるダイキャストマシンは、メルティングポット内の溶融金属を射出部から熱間工具鋼で作られた金型へ圧入して成形する鋳造装置である。この装置は、コールドチャンバー型とホットチャンバー型とに分類される。
コールドチャンバー型ダイキャストマシンは、射出部とメルティングポットとが別に設けられており、鋳造サイクルごとに注湯する必要があるので、溶湯と空気との接触によって酸化皮膜が生じ、この生じた酸化皮膜を射出の際に巻き込んで製品不良となる確率が高く、溶湯温度低下による形状欠損等が発生する確率が高い。一方、ホットチャンバー型ダイキャストマシンは射出部のグースネックが加熱されたメルティングポット内に配設されており、連続注湯が可能で鋳造サイクルが早いとともに、前述したような酸化皮膜の巻き込みや溶湯温度低下による形状欠損等が発生する確率が非常に低い。
このように、ホットチャンバー型のダイキャストマシンは優れた性質を有しているが、加熱された部分が熱により劣化するという難点がある。特に、アルミニウムの融点は660℃と高いためメルティングポットやグースネック等の部品は常時600〜700℃程度の温度に曝されて早期に劣化してしまうので、一般的にアルミニウムの成形にはコールドチャンバー型のダイキャストマシンが用いられている。
そこで、ホットチェンバー型ダイキャストマシンをアルミニウムの成形に用いる際の問題点を解決するために、メルティングポット等の高い耐熱性を要求される部品の構造部材の表面に、耐熱性の優れた被覆層を形成することが検討されている。このような被覆層を形成する方法として、例えば、母材となる金属の表面に耐熱性の優れた被覆材を溶射したり、溶接肉盛することで被覆層を形成する方法、鋳型に鋳肌表面に耐熱性の優れた金属粉末からなる塗型材を塗付して鋳造することで被覆層を形成する方法などが提案されている。しかしながら、前者の方法で用いる溶射や溶接肉盛などは工数が多く掛かりコストが嵩むため、後者の方法である塗型材による鋳造が広く行なわれていた。
特許文献1(図4)には、耐熱性、耐摩耗性、耐食性などの高機能の物性を有する金属粉末A、金属粉末Aよりも融点が低い金属粉末B、および有機系結合剤を混合した被覆材からなる添着層31を鋳型32の鋳肌表面に設置し溶融金属(母材)を湯口33より鋳込むことで、溶融金属の熱で金属粉末Bが溶融し、金属粉末Aを抱き込んで溶融金属を溶着させ、鋳造品の表面に高機能性の被覆層を形成する技術が開示されている。
特許文献1で開示される塗型材による鋳造品の被覆層形成方法の改良技術は、被覆材と溶融金属との界面で一種の液相焼結状態(粉末状の高融点金属−溶融した低融点金属−溶融した母材合金)を発生させて、被覆層を母材合金に強固に溶着させるというものである。その目的としているのは、高機能の物性を有する、すなわち、高融点の金属粉末を限られた熱量の中で母材合金とより強固に結合させることにあるといえる。
特許文献2(図5)は、特許文献1をさらに改良したものであり、砂型43と塗型44とからなる鋳型42の塗型44の表面に設けられた被覆材41の表面に凹凸を形成することで、溶融金属と被覆材との接触面積を増加させ被覆材の吸熱量を多くし、被覆材と母材合金との溶着をより強固に行なわせるというものである。
特公平5−20187号公報 特開2004−74202号公報
ところで、これら従来の技術においては、低融点の金属粉末を配合することで被覆材と母材合金との溶着を強固にすることを目指しているが、溶融した母材合金の熱を利用することには変わりなく、被覆材と母材合金との強固な溶着のためには大きな熱量を必要とする。したがって、鋳造品の製品形状が塊状の場合は充分な熱源が確保できるが、薄板状である場合は充分な熱量が確保できないため溶着不良を起こす確率が高く、製品形状に制約を受けるという問題がある。
本発明は、従来技術の上記問題を解決するものであり、耐熱性,耐酸化性,耐腐食性を有する改質層を鋳造品の表面に極めて容易に、かつ低コストに、さらには、あらゆる形状の製品であっても形成することができる鋳造方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明の鋳造方法は、回収砂と、平均粒径が回収砂よりも大きい酸化鉄粒子とを混合した配合砂で鋳型の少なくとも表面を形成する第一の工程と、
前記鋳型に溶融金属を鋳込んで鋳造品を作製する第二の工程とを含むものである。
本発明の鋳造方法によれば、第一の工程で造型される鋳型に通常の方法で溶融金属を鋳込むだけで、第二の工程では鋳型と溶融金属との界面にて回収砂と、回収砂の間に酸化鉄粒子が入り込んで固着した鉄酸化物とからなる改質層が形成されるため、得られる鋳造品の表面に改質層を容易に形成することができる。ここで、改質層では、回収砂が耐熱性を向上させ、一方、鉄酸化物がバインダの役割を果たし回収砂と母材合金との結合を強固にするとともに、回収砂を使用することによる靭性不足を補って機械的強度を向上させる。
また、第一の工程で作製される鋳型、すなわち配合砂で造型された砂型自体が、前述の従来技術における被覆材の役割を担っているので、第一の工程では通常の造型工程と同様に鋳型を造型すればよく、全体として通常の鋳造方法と変わりなく工数が特段増加することがない。
また、配合砂への添加物として、一般の鋳造工程において廃棄物として発生する酸化スケール等の酸化鉄を利用できるので、原料コストが嵩むことはなくなる。さらに、従来においては処理費用を要した廃棄物を、本発明においてはリサイクルできるためにトータルの生産コストの削減にもつながる。
また、前記鋳造方法において、溶融金属が、耐熱性フェライト合金であってもよい。
溶融金属として、耐熱性フェライト合金を用いた場合、母材合金の高耐熱性と相まって鋳造品全体の耐熱性をより向上させることができる。
また、前記鋳造方法において、回収砂が、表面がポーラス形状を呈した人工セラミックスであってもよい。
回収砂として、表面がポーラス状を呈した人工セラミックスを用いた場合、改質層と母材合金との間の結着状態をより強固にすることができる。
また、前記鋳造方法において、第一の工程では、表面改質の必要な箇所にのみ配合砂を配置し、その他の箇所は通常の鋳砂で鋳型を造型してもよい。
このような鋳型を造型することにより、製品の表面で改質が必要な箇所に相当する鋳型の表面にのみ改質層を形成することができる。一般に、鋳砂に酸化鉄粒子を混合することは鋳砂の劣化につながる可能性があるところ、鋳型の中の必要部分にのみ酸化鉄粒子を配合させることにより、鋳砂の劣化の可能性を最小限に留めることができ、鋳砂の再生処理の負担を低減することができる。
本発明の鋳造方法では、耐熱性,耐酸化性,耐腐食性を有する改質層を鋳造品の表面に極めて容易に、かつ低コストに、さらには、あらゆる形状の製品であっても形成することができる鋳造方法を提供することが可能となる。
以下に本発明の実施の形態を詳細に説明する。
本実施形態に係る鋳造方法は、回収砂と、平均粒径が回収砂よりも大きい酸化鉄粒子とを混合した配合砂で鋳型の少なくとも表面を形成する第一の工程と、鋳型に溶融金属を鋳込んで鋳造品を作製する第二の工程とを含むものである。
本発明の鋳造方法によれば、第一の工程で造型される鋳型に通常の方法で溶融金属を鋳込むだけで、第二の工程では鋳型と溶融金属との界面にて回収砂と、回収砂の間に酸化鉄粒子が入り込んで固着した鉄酸化物とからなる改質層が形成されるため、得られる鋳造品の表面に改質層を容易に形成することができる。ここで、改質層では、回収砂が耐熱性を向上させ、一方、鉄酸化物がバインダの役割を果たし回収砂と母材合金との結合を強固にするとともに、回収砂を使用することによる靭性不足を補って機械的強度を向上させる。
この改質層が形成される際には、配合砂中の回収砂と酸化鉄との間で次のような反応が行なわれていると推測される。
2FeO+SiO→2FeO・SiO・・・(1)
又は、
2Fe+2SiO→2FeSiO+O・・・(2)
前述の鉄酸化物は、2FeO・SiO(又はFeSiO)で表されるものであると考えられる。この鉄酸化物は、ファヤライト(fayalite)と呼ばれ、非常に大きな強度を有するものであり、このファヤライトの形成により回収砂と母材合金との間の結合が非常に強固に行なわれるものと考えられる。また、この鉄酸化物の膜を鋳造品の表面に形成するより、鋳造品の耐酸化性が向上し、さらには耐腐食性が向上するようになる。
さらに、本実施形態では、耐火度の劣化した回収砂を用いることで、後述するように、この化学反応に使用されるSiO2を供給することができる。また、酸化鉄粒子の平均粒径を回収砂の平均粒径より大きくすることで、回収砂同士の間隙を確保し、鋳型表面から鋳造品の内部へ(例えば図1では左方向)と、ファヤライト形成に係る化学反応が進行することを容易にしている。
また、本実施形態では、改質層形成に際して、酸化鉄粒子の一部が溶融すれば上記(1)または(2)の化学反応が起こるので、大きな熱量は必要としない。このため、従来において問題となっていた、鋳造品の製品形状によっては改質層形成のために十分な熱量が確保できないといった製品形状に依存した性質については考慮する必要がなくなり、多種多様な製品形状に対応可能になる。
図1は、この本実施形態の鋳造方法における改質層形成のメカニズム、すなわち鋳込み直後から溶融した溶融金属11が冷却・凝固して鋳造品となる過程で、配合砂5において鋳造品の表面に改質層14が形成されていくメカニズムを説明した模式図であり、図1(a)は注湯直後を示し、図1(b)は改質層形成過程を示し、図1(c)は凝固後を示し、図1(d)は型ばらし後の状態を示す。なお、図中、回収砂5aおよび酸化鉄粒子5bにより配合砂5が構成される。
図1(a)〜(d)において、回収砂5aとしては、二酸化珪素(SiO2)を含有するものを好適に用いることができる。中でも、線膨張率が小さい鋳型を用いることが鋳造中に鋳型の熱膨張を低減することができるという観点から、さらにアルミナを含有する回収砂を用いることが好ましい。
このような二酸化珪素およびアルミナを含有する回収砂として、例えば鋳物砂のセラビーズ(登録商標)を使用することができる。セラビーズ(登録商標)は、アルミナ(Al)62%、二酸化珪素(SiO)38%からなる人工セラミックスであって、粒形は丸型で粒径も揃っており、熱膨張率が非常に低いことを特徴とする鋳物砂である。ここでは、このセラビーズ(登録商標)を造型−注湯−型ばらし−粉砕−冷却−研掃という再生サイクルを経て平均粒径を100〜150μmに調整した状態で用いている。
セラビーズ(登録商標)の粒形は本来丸型であるが、図1(a)に示したように、回収砂5aでは表面の一部が破壊されポーラス形状を呈している。この回収砂のポーラス部分の中に入り込んだレジンや硬化剤などに含まれるアルカリ金属により、回収砂の熱膨張率が上昇し、すなわち耐火度が低下する。また、図1(a)に示したように、回収砂5aには耐火度のさらに低下した細かい粒子も多数混在している。
一方、酸化鉄粒子5bとしては、例えば型ばらし後や高温大気熱処理後の鋳造品の表面に付着した酸化スケール等を粉砕・篩分したものを使用することができる。この酸化スケールは、元来鋳造工場や鍛造工場では大量に発生するが、通常は廃棄物として処理している。この酸化スケールは、酸化第二鉄(Fe)が主体的に存在しており、一部、酸化第一鉄(FeO)が含まれることもある。なお、本実施形態では、回収砂よりも大きい平均粒径、例えば200〜300μmに調整したものを使用している。
このように、配合砂5の中に含まれる、回収砂5aの平均粒径を100〜150μmとして、かつ、酸化鉄粒子5bの平均粒径を200〜300μmとすることで、前述したようなファヤライトなどの鉄酸化物の形成を優位に行うことができるようになる。
このような回収砂5aと、この回収砂5aに対して酸化鉄粒子5bを5〜90重量%の割合で混合して配合砂5として、さらにレジンおよび硬化剤を含む自硬性砂を添加して鋳型(砂型)を造型する。このとき、粒子間に適度な空隙が残るように配合砂を突き固め過ぎないよう注意する必要がある。
ここで、従来の技術においては、造型の際に鋳造品の表面となる鋳型の鋳肌を形成し、その上に塗型材(一般的な)を塗付し、さらにその上に所定の厚みで被覆材を形成しなければいけないので工数が多く、また、被覆材を構成する金属粉末は希土類元素を含有した高価なものであることから、コストが嵩むという問題がある。特に、特許文献2の場合は被覆材の表面に凹凸を形成することから余計にコスト高となる。
本実施形態では、第一の工程で作製される鋳型、すなわち配合砂で造型された砂型自体が、前述の従来技術における被覆材の役割を担っているので、第一の工程では通常の造型工程と同様に鋳型を造型すればよく、後述する第二の工程と併せて全体として通常の鋳造方法と変わりなく工数が特段増加することがない。このため、作業が容易になる上に、コストも抑えることができる。さらに、第一の工程で作製される鋳型が、従来技術における被覆材の役割を担うことから、あらゆる形状の鋳造品であっても表面に改質層を形成することができる。
図1(a)では、配合砂5は回収砂5aと酸化鉄粒子5bとを混合したものであるが、各粒子間は適度な空隙を残して硬化させており、そこに1600℃程度の溶融金属11を鋳込む。
図1(b)では、溶融金属11が鋳込まれると、溶融金属11と接触する酸化鉄粒子5bが溶融されるとともに耐火度の低下した回収砂5aも溶融して溶融帯12が形成される。溶融帯12は溶融金属11の圧力によって鋳型の内部(配合砂側)へと入り込む。
図1(c)では、溶融帯12において、回収砂5aと酸化鉄粒子5bとの間で前述した式(1)または式(2)の反応によってファヤライト13が生成される。ファヤライト13は、その凝固の過程で回収砂5aのなかでも耐火度の高い粒子を取込んで前記溶融金属11から形成される母材合金と回収砂5aとを強固に結合させ、鋳造品の表面に回収砂5aおよびファヤライト13からなる改質層14が形成される。
図1(d)では、型ばらしをして鋳造品を得て、この鋳造品の表面を清掃すると、ファヤライト13に抱込まれるようにして固着した回収砂5aが母材合金の表面に形成された改質層14が露出する。
図2は、本実施形態の適用例として、ホットチャンバー型アルミダイキャストマシンの溶湯ポンプ本体として用いられるグースネックを鋳造する際の段取りを説明するための図であり、図2(a)は透視的に表した平面図を示し、図2(b)は図2(a)におけるX−X’線断面図である。
図2の段取りにおいて、金枠0内に自硬性砂10を充填し、木型本体2で鋳型、すなわち砂型が造型される。鋳型には方案、すなわち鋳型設計に基づいて、湯口1、中子3、押湯4、冷金6、掛堰9を配置し、上下の金枠0を締付金具7で締付け、吊具8で吊上げて注湯(鋳込)姿勢に設定する。このようにして形成されるグースネックは、例えばホットチャンバー式鋳造装置のアルミニウムの溶湯ポット内に浸けられて溶湯アルミニウムのポンプとして使用されるので、この溶湯アルミニウムとの接触箇所はアルミニウムによって侵食されるおそれがある。そこで、本実施形態では、アルミニウムとの接触箇所(外表面と内面)に、前記回収砂5aと酸化鉄5bとを混合した配合砂5を配している。特に、図2(b)に示したように、グースネックの内部では木型本体2および押湯4の間の空間がアルミニウムと接触するため、内部の壁面および中子3の表面に配合砂5を配している。
この配合砂の部分の型厚さは、製品(グースネック)の肉厚、耐熱温度、寿命などにより適宜設定される。また、この配合砂を配置するために、専用木型を用いてもよいが、製品表面全体の表面に改質層を設ける場合には不要である。
また、表面改質の必要な箇所にのみ配合砂を配置し、その他の箇所は通常の鋳砂で鋳型を造型してもよい。このような鋳型を造型することにより、製品の表面で改質が必要な箇所に相当する鋳型の表面にのみ改質層を形成することができる。例えば、図1では、中子3の製品表面に改質層を設けるようになっているため、配合砂5が配されているが、改質層が不要な場合にはこの部分の配合砂5は不要であり、通常の鋳砂を用いることができる。
一般に、鋳砂に酸化鉄粒子を混合することは鋳砂の劣化につながる可能性があるところ、鋳型の中の必要部分にのみ酸化鉄粒子を配合させることにより、鋳砂の劣化の可能性を最小限に留めることができ、鋳砂の再生処理の負担を低減することができる。
この鋳型に鋳込む溶融金属(母材合金)11としては、JIS規格のSCS−1、SCS−2、AHS−1、AHS−2、AHS−3等の耐熱性フェライト合金を使用することが可能であり、これらはアルミニウムに対する耐熱性が高い合金である。また、これらの合金はニッケル(Ni)の含有量が低いため、アルミニウムに対して濡れ性が悪く侵食されにくいという性質がある。
また、一般に、鋳込み温度は1600℃程度であるが、酸化鉄5bの融点は1600℃以下なので、鋳肌付近の酸化鉄5bも溶融金属11の熱により溶融されるため、鉄酸化物の形成のためには、大きな熱量は必要としない。このため、前述したとおり、多種多様な製品形状に対応可能になる。
(実施例1)
本発明の表面改質鋳造方法を用いて直径21mm、長さ270mm、重量1200gのテストピースを作成した。
(第一の工程)
配合砂は、再生リサイクル済みのセラビーズ(登録商標)を平均粒径100〜150μmの範囲内に調整したものと、鋳造工場で発生した酸化スケールを平均粒径200〜300μmの範囲内に調整したものを混合して得た。砂型を構成する自硬性砂の適所に、得られた配合砂を配置し、造型した。
(第二の工程)
母材合金としては、JIS規格のAHS−1相当の耐熱性フェライト合金を使用し、1600℃に昇温し溶融状態として、自硬性砂および配合砂で形成した砂型に鋳込んだ。
冷却後に型ばらしを行い鋳造品表面を清掃すると、鋳造品表面には図3に示すようにセラビーズ(登録商標)とファヤライトからなる改質層が形成されていた。
ここで、図3(a)は改質層の顕微鏡写真(倍率50倍)の模式図であり、図3(b)は改質層の顕微鏡写真(倍率400倍)の模式図である。
(比較例1)
造型工程(第一の工程)において、配合砂を用いない以外は、実施例1と同じ工程で直径21.5mm、長さ270mm、重量1210gのテストピースを作成した。
冷却後に型ばらしを行い鋳造品表面を清掃すると、鋳造品表面は通常の鋳肌であった。
(比較例2)
第二の工程において、母材合金をJIS規格のSKD61相当品とした以外は、比較例1と同じ工程で直径20mm、長さ250mm、重量1010gのテストピースを作成した。
冷却後に型ばらしを行い鋳造品表面を清掃すると、鋳造品表面は通常の鋳肌であった。
(侵食試験)
各テストピースをアルミニウムダイキャストマシンの溶湯ポットに浸して、侵食試験を行った。溶湯アルミニウムの温度は650〜700℃で、操業に伴い20cm程度の液面変化があった。テストピースを約1時間30分置きに引き上げて目視によって表面の溶損状態を観察し、再度溶湯ポットに浸すという作業を繰り返した。試験開始から12時間経過した時点で試験を終了し、テストピースを冷却した後で表面にこびりついたアルミニウムを希塩酸で落として重量を測定した。
以上のように、本発明の表面改質鋳造方法によって改質層を形成したテストピースは殆ど溶損がなく極めて耐熱性が高いことが判った。
本発明の実施の形態である表面改質鋳造方法の改質層形成のメカニズムを説明した模式図で、(a)注湯直後、(b)改質層形成過程、(c)凝固後、(d)型ばらし後を表している。 本発明の実施の形態である表面改質鋳造方法の段取り図で、(a)が透視的に表した平面図であり、(b)が(a)のX−X’線断面図である。 (a)改質層の顕微鏡写真(倍率50倍)の模式図であり、(b)改質層の顕微鏡写真(倍率400倍)の模式図である。 従来の鋳造方法における表面被覆層形成方法の段取りを説明するための図である。 従来の鋳造方法における表面被覆層形成方法の段取りを説明するための図である。
符号の説明
0 金枠
1 湯口
2 木型本体
3 中子
4 押湯
5 配合砂
5a 回収砂
5b 酸化鉄
6 冷金
7 締付金具
8 吊り金具
9 掛堰
10 自硬性砂
11 溶融金属(母材合金)
12 溶融帯(酸化鉄、回収砂)
13 ファヤライト
14 改質層

Claims (6)

  1. 回収砂と、平均粒径が回収砂よりも大きい酸化鉄粒子とを混合した配合砂で鋳型の少なくとも表面を形成する第一の工程と、
    前記鋳型に溶融金属を鋳込んで鋳造品を作製する第二の工程とを含む鋳造方法。
  2. 請求項1に記載の鋳造方法において、
    前記溶融金属が、耐熱性フェライト合金であることを特徴とする鋳造方法。
  3. 請求項1に記載の鋳造方法において、
    前記回収砂が、表面がポーラス形状を呈した人工セラミックスであることを特徴とする鋳造方法。
  4. 請求項1に記載の鋳造方法において、
    前記配合砂は、回収砂に対して酸化鉄粒子を5〜90重量%の割合で混合してなることを特徴とする鋳造方法。
  5. 請求項1に記載の鋳造方法において、
    前記配合砂中に含まれる、前記回収砂の平均粒径が100〜150μmであり、かつ、前記酸化鉄粒子の平均粒径が200〜300μmであることを特徴とする鋳造方法。
  6. 請求項1〜5のいずれか一つに記載の鋳造方法において、
    前記第一の工程では、表面改質の必要な箇所にのみ配合砂を配置し、その他の箇所は通常の鋳砂で鋳型を造型することを特徴とする鋳造方法。
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