JP2007032647A - 高角固定式等速自在継手 - Google Patents

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Abstract

【課題】ボール溝をテーパ形状にして高角化を容易にしつつ、それに伴って増大するポケット荷重にケージがよく耐えるようにする。
【解決手段】内球面に、軸方向に延びた複数のボール溝14を形成した外側継手部材10と、外球面に、複数のボール溝24を形成した内側継手部材20と、対をなすボール溝14とボール溝24との間に介在してトルクを伝達する複数のボール30と、ボール30を一つずつ収容する矩形状ポケット46を円周方向に複数配設したケージ40とを備えた高角固定式等速自在継手において、ケージ40の外球面中心O3と内球面中心O4を継手中心に対して軸方向に等距離だけ反対側にオフセットさせることによりケージ40の肉厚を継手開口側で厚くするとともに継手奥側で薄くし、かつ、各矩形状ポケット46の四隅R部のうち継手奥側の2つのR部46aが継手開口側の2つのR部46bに比べて大きな曲率半径となるようにする。
【選択図】図4

Description

本発明は高角固定式等速自在継手に関する。等速自在継手は、自動車や各種産業機械の動力伝達系において、駆動側の回転軸と従動側の回転軸を連結して等角速度でトルクを伝達するもので、固定式と摺動式があり、摺動式が角度変位と軸方向変位を許容するのに対して固定式は角度変位のみを許容するタイプである。
一般に、固定式等速自在継手は、駆動側または従動側の軸とトルク伝達可能に結合する外側継手部材と、従動側または駆動側の軸とトルク伝達可能に結合する内側継手部材と、外側継手部材と内側継手部材との間に介在してトルクを伝達する複数のトルク伝達要素と、複数のトルク伝達要素を駆動軸と従動軸とがなす角度の二等分面内に保持するケージとを備えている。
近年、自動車の乗車空間拡大の観点からホイールベースを長くすることがあるが、それに伴って車両回転半径が大きくならないようにするため、前輪の操舵角の増大すなわち自動車のドライブシャフト等の連結用継手として使用される固定式等速自在継手の高角化が求められている。
高角化のニーズに対する固定式等速自在継手としては、トルク伝達要素が転動するトラックを構成する外側継手部材のボール溝と内側継手部材のボール溝の底をテーパ状にすることが提案されている(例えば、特許文献1〜3参照)。
特開2001−153149号公報 特開2001−304282号公報 特開2001−349332号公報
特許文献1〜3に開示された固定式等速自在継手では、外側継手部材および内側継手部材のボール溝をテーパ形状にすることで高角化を容易にしている。しかしながら、図11に示すように、ボールと接するケージのポケット側壁が受ける荷重(以下、ポケット荷重という。)は、テーパ角度に比例して大きくなるという問題がある。
すなわち、固定型等速自在継手の外・内側継手部材に許容レベルを超えるトルクが動的捩りモードで負荷されると、それぞれのボール溝が変形し、ボール溝エッジ部が隆起する。この隆起部の高さは受圧面積との関係でボール溝が浅いほど高くなる傾向がある。ボール溝の深さが浅い方の端部における溝深さは、ボール溝のテーパ角度が大きいほど浅い。このため前記隆起部高さはボール溝のテーパ角度が大きいほど高くなる。一方、ケージの肉厚は、一般にボール溝の深さが浅い方の端部に対応する側で薄肉となっている。したがって、隆起部(主に内側継手部材の隆起部)がケージ球面に干渉するとケージの動きを拘束することは勿論のこと、ケージ薄肉側の内径側ポケット隅R部に応力が集中し、その部位を起点として亀裂が発生するのである。従来のケージは、図4(B)に示すように、各ポケット46の四隅R部46a、46bの曲率半径がすべて共通のR1であって、ケージ薄肉側(継手奥側)の内径側ポケット隅R部の応力集中に対して特に考慮が払われてなかった。
本発明は上記問題点に鑑み提案されたもので、その目的とするところは、ケージポケットの薄肉側隅R部の応力集中を緩和し、入口側との応力バランスを最適化することでケージ強度を確保し、作動角の高角化を容易に達成し得る固定型等速自在継手を提供することにある。
前記課題を解決するため、請求項1の発明は、内球面に、開口端まで軸方向に延びた複数のボール溝を円周方向等間隔に形成した外側継手部材と、外球面に、軸方向に延びた複数のボール溝を円周方向等間隔に形成した内側継手部材と、対をなす外側継手部材のボール溝と内側継手部材のボール溝との間に介在してトルクを伝達する複数のボールと、外側継手部材の内球面と内側継手部材の外球面との間に介在し、ボールを一つずつ収容する矩形状ポケットを円周方向に複数配設したケージとを備え、前記ケージの外球面中心と内球面中心を継手中心に対して軸方向に等距離だけ反対側にオフセットさせることにより前記ケージの肉厚を継手開口側で厚くするとともに継手奥側で薄くし、かつ、各矩形状ポケットの四隅R部のうち継手奥側の2つのR部が継手開口側の2つのR部に比べて大きな曲率半径となるように形成したことを特徴とする。
このように、矩形状ポケットの四隅R部のうち継手開口側に比べて肉厚が薄い継手奥側の2つのR部の曲率半径を反対側のR部の曲率半径に比べて相対的に大きくすることで、高角化に伴ってケージが早期破損するのを防止することができる。すなわち、従来の等速自在継手では、前述したように内側継手部材のボール溝エッジ部が隆起することでケージが拘束される結果、ケージ薄肉側の内径側ポケット隅R部に応力が集中し、その部位を起点として亀裂が発生してケージが早期破損するおそれがあったが、矩形状ポケットの隅R部を以上のように大きくすることでケージの早期破損を防止することができる。
請求項2の発明は、請求項1の発明において、ポケットの継手奥側の2つのR部の曲率半径を、ボールの直径の二分の一未満にしたことを特徴とする。
これは、継手奥側の2つのR部の曲率半径がボールの直径の二分の一以上になると、ボールの周方向移動を阻害するため、そのような事態を回避するためである。
請求項3の発明は、請求項1の発明において、外側継手部材のボール溝の開口端側溝底を、前記開口端に向かって直線的に拡径したテーパ状とし、内側継手部材のボール溝の、外側継手部材の反開口端側溝底を、前記反開口端側に向かって直線的に拡径したテーパ状とし、かつ、外側継手部材および内側継手部材の各ボール溝のテーパ角度を、12°以下にしたことを特徴とする。
従来必要な基本性能である強度や耐久性を確保しながら、内部力解析、有限要素法(FEM)解析を用いて検討を進め、テーパ角度の範囲を絞り込んで最適設定した。そして、テーパ角度を変えたサンプルの評価結果と解析結果との整合性を確認した。ボール溝をテーパ状とすることにより、外側継手部材の外径を大きくすることなく、作動角の高角化を容易に実現する上で、外側継手部材の肉厚を薄くしてもその外側継手部材の強度および加工性を低下させないように、この高角固定式等速自在継手の内部諸元の中で、ボール溝をテーパ状にすることによる影響および傾向を検証し、テーパ角度の最適値としてその上限値を12°に規定した。
請求項4の発明は、請求項1から3の発明において、ケージの外球面中心と内球面中心を継手中心に対して軸方向に等距離だけ反対側にオフセットさせ、前記オフセットの量fの、作動角0°での外側継手部材のボール溝の曲率中心または内側継手部材のボール溝の曲率中心とボールの中心とを結ぶ線分の長さPCRとの比の値f/PCRを、0以上0.12以下の範囲としたことを特徴とする。
ケージオフセット量fはケージの縦断面における肉厚差に影響を及ぼすため、この点を考慮に入れてケージオフセット量fを設定するのが望ましい。たとえば、ケージオフセット量fを大きく設定することにより、外側継手部材の開口端側のケージの肉厚を増大させて強度向上を図ることができるという利点がある。また、外側継手部材の開口端側のケージの肉厚を増大させることによって、作動角をとった時、外側継手部材の開口端から飛び出そうとするボールをケージで拘束することができる。
ただし、ケージオフセット量fが大きすぎると、高作動角化によるボールの組込み角増大との関係でケージのポケット内におけるボールの周方向移動量が大きくなり、ボールの適正な運動を確保するため、ケージのポケットの周方向寸法を大きくする必要が生じるので、ケージの柱部が細くなり、強度面が問題となる。また、ケージの、外側継手部材の奥側つまり開口端とは反対側の肉厚が小さくなり、強度面が問題となる。
このように、ケージオフセット量fが過大であるのは好ましくなく、ケージオフセット量fを設ける意義と前述の強度面との均衡を図り得る最適範囲が存在する。ただ、ケージオフセット量fの最適範囲は継手の大きさによって変わるので、継手の大きさを表わす基本寸法との関係において求める必要がある。そこで、作動角0°での外側継手部材のボール溝の曲率中心または内側継手部材のボール溝の曲率中心とボールの中心とを結ぶ線分の長さPCRに対するケージオフセット量fの比の値f/PCRを用いるならば、ケージオフセット量fは、f/PCRが0以上0.12以下の範囲内となるように設定することが望ましい。
f/PCRが0.12より大きいと前述の強度面での問題が生じる。逆に、f/PCRが0ではケージないしボールの位置が定まらず等速自在継手の機能が失われる。したがって、ケージ強度の確保、耐久性の確保の点から、f/PCRが0以上0.12以下となる範囲が、ケージオフセット量fの最適範囲である。
なお、ケージ外径Doのボール径dに対する比の値Do/dは、従来の固定式等速自在継手では3.7≦Do/d≦3.8であったところ、本発明では、必要ならば、3.9≦Do/d≦4.1にする。すなわち、作動角が大きくなるとボールがポケット内の径方向に移動する量が増える(図5参照。図5において、符号mはボールとケージが接触する最外径位置を示し、符号nはボールとケージが接触する最内径位置を示す)。最大作動角時でもボールの接触点がケージから外れてはならないことから、ケージ外径の下限値は必然的に決まる。また、ケージ外径が過大であると外側継手部材のボール溝深さが不十分となり耐久性が悪化する。したがって、耐久性を最小限確保することのできる外径寸法をケージ外径の上限値としたものである。
ケージ肉厚tのボール径dに対する比の値は、従来の固定式等速自在継手では0.24≦t/d≦0.27であったところ、本発明では、必要ならば、0.31≦t/d≦0.34とする。ケージ肉厚tは上記のDo/dより決まる外径と後述する内径とで規定することができる。その内径寸法の規定の考え方はDo/dの場合と同様で、上限値はボールの接触点を確保するという観点から決まり、下限値は内側継手部材のボール溝深さ、すなわち耐久性を確保するという観点から決まる。
ケージ幅wのボール径dに対する比の値w/dは、従来の固定式等速自在継手では1.7≦w/d≦1.9であったところ、本発明では、必要ならば、1.8≦w/d≦2.0とする。ケージの、増大したポケット荷重を受けるポケット側壁の応力値を、従来の高角固定式等速自在継手(UJ)並み以下に設定するため、ポケット側壁の断面係数を確保する必要があるが、外径、内径は上記Do/d、t/dによって決まるため、幅寸法にて調整する。このとき、応力値が従来の固定式等速自在継手(UJ)並みとなる幅寸法を下限値とすることで、従来の高角固定式等速自在継手(UJ)と同等以上の強度が確保できることになる。また、幅寸法を過大に設定すると重量および材料費が増加するため、上限値は、下限値からの範囲(規格規定範囲)を従来の高角固定式等速自在継手と同等に設定したものである。
本発明によれば、矩形状ポケットの四隅R部のうち継手開口側に比べて肉厚が薄い継手奥側の2つのR部の曲率半径を反対側のR部の曲率半径に比べて相対的に大きくしたので、高角化に伴って増大するポケット荷重にもケージがよく耐え、早期破損を防止することができるため、固定式等速自在継手のボール溝をテーパ形状にして高角化を容易に達成することができる。
以下、図面に従って本発明の実施の形態を説明する。
図1に示す固定式等速自在継手は、外側継手部材10と、内側継手部材20と、ボール30と、ケージ40を主要な構成要素とする。ここで、固定式等速自在継手によって連結すべき二軸を第一の回転軸と第二の回転軸とし、第一の回転軸を外側継手部材10と結合し、第二の回転軸を内側継手部材20と結合する。固定式等速自在継手によって、第一の回転軸と第二の回転軸が角度をなした状態でも等速でトルクを伝達することができる。図1では作動角θが0°の状態を示してある。なお、図2に図1の主要部を拡大して示す。また、図5に外側継手部材10の回転軸Xと内側継手部材20の回転軸Yとがなす角すなわち作動角θが最大(例えば52°以上)の状態を示す。
外側継手部材としての外側継手部材10は、マウス部16とステム部(図示せず)とからなる。外側継手部材10はそのステム部によって第一の回転軸とトルク伝達可能に結合する。マウス部16は一端が開口したベル型であって、その凹球面状内周面(以下、内球面という。)12に、軸方向に延びた複数のボール溝14が円周方向等間隔に形成してある。ボール溝14はマウス部16の開口端18まで延びている。
内側継手部材としての内側継手部材20は、凸球面状外周面(以下、外球面という。)22を有し、その外球面22には軸方向に延びた複数のボール溝24が円周方向等間隔に形成してある。ボール溝24は内側継手部材20の軸方向に切り通してある。内側継手部材20は第二の回転軸とトルク伝達可能に結合するためのスプライン(またはセレーション)孔26を有する。
外側継手部材10のボール溝14と内側継手部材20のボール溝24とは対をなし、各対のボール溝14,24で構成されるトラックに1個ずつ、トルク伝達要素としてのボール30が転動可能に組み込んである。ボール30は外側継手部材10のボール溝14と内側継手部材20のボール溝24との間に介在してトルクを伝達する。各ボール30は図3のようにケージ40の円周方向に配設した矩形状のポケット46内に収容されている。ボール30ないしボール溝14,24の数は任意であるが、例を挙げるならば6あるいは8である。
ケージ40は外側継手部材10と内側継手部材20との間に摺動可能に介在し、外球面42にて外側継手部材10の内球面12と接し、内球面44にて内側継手部材20の外球面22と接する。外側継手部材10の内球面12の曲率中心とケージ40の外球面42の曲率中心とは一致し、図2に符号O3で示してある。同様に、内側継手部材20の外球面22の曲率中心とケージ40の内球面44の曲率中心とは一致し、図2に符号O4で示してある。なお、図面では、外側継手部材10の内球面12とケージ40の外球面42との間、内側継手部材20の外球面22とケージ40の内球面44との間の隙間を見やすくするためにやや誇張して示してある。
外側継手部材10のボール溝14は円弧部分14aと直線部分14bとからなり、円弧部分14aはマウス部16の奥側つまり反開口端側に位置し、直線部分14bは開口端18側に位置する。そして、ボール溝14は、開口端18側の溝底を、開口端18に向かって直線的に拡径するテーパ角度αのテーパ状としてある。
内側継手部材20のボール溝24は円弧部分24aと直線部分24bとからなり、円弧部分24aは外側継手部材10の開口端18側に位置し、直線部分24bは反開口端側に位置する。そして、ボール溝24は、外側継手部材10の奥側つまり反端面側の溝底を、反端面側に向かって直線的に拡径するテーパ角度αのテーパ状としてある。
この実施の形態では、大きな作動角θを取り得る構造とするため、図2に示すように、外側継手部材10のボール溝14の曲率中心O1は内球面12の中心O3に対して、内側継手部材20のボール溝24の曲率中心O2は外球面22の中心O4に対して、等距離Fだけ軸方向に互いに逆向きにオフセットさせてある(トラックオフセット)。
同様に、ケージ40の外球面42の曲率中心O3と内球面44の曲率中心O4は、継手中心Oに対して等距離fだけ、軸方向に互いに逆向きにオフセットさせてある(ケージオフセット)。
図5に示すように、外側継手部材10の回転軸Xと内側継手部材20の回転軸Yが0°以外のある作動角θをとったとき、両回転軸X,Yのなす角度θの二等分線に垂直な平面すなわち継手中心面P内にすべてのボール30があれば、ボール中心から両回転軸X,Yまでの距離が相等しく、したがって、両回転軸X,Y間で等角速度で回転運動の伝達が行われる。継手中心面Pと回転軸X,Yとの交点を継手中心Oと称する。固定式等速自在継手では、作動角θに関わりなく継手中心Oは固定される。
対をなす外側継手部材10のボール溝14と内側継手部材20のボール溝24とで構成されるトラックは、外側継手部材10のマウス部16の奥側から開口端18側に向かって徐々に拡大する楔状を呈する。このため、継手が作動角θをとった状態でトルクを伝達するとき、図2に白抜き矢印で示すように、楔状のトラックの狭い方から広い方へボール30を押し出そうとする力が作用する。この力によってボール30からケージ40のポケット46の壁面に作用する荷重をポケット荷重と呼ぶ。
最大作動角(例えば52°以上)をとったとき、外側継手部材10のマウス部16の開口端18から飛び出そうとするボール30をケージ40で確実に拘束できるように、ケージオフセット量fを従来のものよりも大きく設定する。作動角0°でのボール30の中心軌跡半径値すなわち、外側継手部材10のボール溝14の曲率中心O1または内側継手部材20のボール溝24の曲率中心O2とボール30の中心O5とを結ぶ線分の長さをPCRとしたとき、ケージオフセット量fのPCRに対する比の値f/PCRが0.12以下となるように設定する。
継手の縦断面において、外側継手部材10のボール溝14および内側継手部材20のボール溝24の溝底をテーパ状とすることにより、最大作動角の高角化に加えて、外側継手部材10のボール溝14におけるボール30との接触長さを確保することができるので、外側継手部材10と内側継手部材20との間における安定したトルク伝達が達成される。また、作動角θをとった時にボール30が最も飛び出そうとする位相(位相角φ=0°)(図5および図6参照)のトラック荷重およびポケット荷重が低減されるので、高角域において有利である。ここでトラック荷重は、接触するボール30とボール溝14,24の壁面とが受ける荷重を意味する。
また、ケージ40の外球面42は外側継手部材10の内球面12に接触案内され、ケージ40の内球面44は内側継手部材20の外球面22に接触案内されることから、トルク伝達時にケージ40と外側継手部材10または内側継手部材20との間で球面力(球面同士で押し合う力)が作用するが、その球面力の最大値が低減するので、継手内部での発熱の抑制につながる。さらに、鍛造型が抜きやすい形状であるため冷間鍛造による加工性がよく、製造コストの低減も図れる。
外側継手部材10および内側継手部材20のボール溝14,24の溝底をテーパ状とすることによって、前述のトラック荷重、ポケット荷重および球面力からなる内部力に及ぼす影響およびその傾向を検証し、有限要素法(FEM)による解析を行い、テーパ角度αの範囲を絞り込んで最適設定した。まず、テーパ角度αを大きくすることによって内部力に表1に示すような傾向が認められる。なお、表1において、ボール30が最も飛び出そうとする位相(位相角φ=0°)と、内部力が最大値となるボール30の位相(例えばボール30が最も奥に入る位相近辺(位相角φ=180°))について検証した。また、球面力について変動幅とは、球面力の最大値と最小値との差を意味する。
Figure 2007032647
表1から明らかなように、テーパ角度αを大きくすると、ポケット荷重の最大値が大きくなるが、ボール30が外側継手部材10の最も奥に入る位相近辺(位相角φ=180°)で外側継手部材10の肉厚を大きくし、また、ケージオフセット量fを大きくしてケージ40の肉厚を大きくすることによって、外側継手部材10やケージ40の強度を確保することができるので、問題にはならない。
次に、テーパ角度αの上限値を決定するために有限要素法(FEM)解析を行った。テーパ角度αが大きくなれば、ボール30が最も飛び出そうとする位相(位相角φ=0°)では内部力(トラック荷重およびポケット荷重)が小さくなり、強度的に有利になるが、外側継手部材10の開口端18の肉厚が薄くなるため、ボール溝14に発生する応力値を継手強度に換算して傾向を確認した。その結果は図7に示すとおりである。テーパ角度α(°)に対する継手強度の関係を示す同図から明らかなように、テーパ角度αが12.9°で継手強度が必要強度を下回ることから、テーパ角度αの最適範囲としてその上限値を12°として規定した。
なお、上述の実施の形態はトラックオフセットを設けた場合を例示したが、トラックオフセットを設けなくてもよい。つまり、トラックオフセットを設けると、外側継手部材10のボール溝14のうち、マウス部16の奥側に位置する円弧部分14aが奥側にゆくほど浅くなることから、作動角をとった時にボール溝14の最奥部でボール30の乗り上げが生じる可能性がある。そこで、このトラックオフセット量を0とすることにより、外側継手部材10のボール溝14のうちマウス部16の奥側に位置する円弧部分14aが均一な深さとなることから、作動角をとった時に外側継手部材10のボール溝14の最も奥に位置するボール30の乗り上げを抑制することができる。
トラックオフセット量F、ケージオフセット量f、テーパ角度αの各因子を変動させて内部力解析を行った結果を次に述べる。ここで、トラックオフセットについては、高角域に入っても許容負荷トルクが落ちない超高角固定式等速自在継手の特性を考慮してトラックオフセット量F=0すなわち「トラックオフセットなし」とした。ケージオフセットについては、内部力の観点からはできるだけ小さい方がよいが、継手の機能確保のためにはある程度ケージオフセットをつけなくてはならないことから、0≦f/PCR≦0.150で変動させた。テーパ角度αについては、0°から12°までの範囲で変動させた。
f=0(f/PCR=0)ならば、テーパ角度αが1.1°以上のとき0°位相のトラック荷重およびポケット荷重はゼロになる。
一方、テーパ角度α=12°ならば、f=3.94(f/PCR=0.114)以下のとき0°位相のトラック荷重およびポケット荷重はゼロになる。
つまり、ケージオフセット量fとテーパ角度αとの関係が図8の斜線領域内に設定されていれば、0°位相のトラック荷重およびポケット荷重はゼロになる。ここで、図8は内部力解析により算出したデータに基づいて作図したもので、横軸がテーパ角度α(°)、縦軸がf/PCRを表している。
これより、0°位相に負荷される荷重を極力小さくし、より高角作動域において有利となる内部仕様は次のようになる。
トラックオフセット:なし
ケージオフセット量f:f/PCR≦0.12(ただし、作動角は0°とする)
テーパ角度α:1°≦α≦12°
また、この実施の形態では、0°位相における荷重が低減する一方、ピークの荷重は従来の等速自在継手と比較して大きくなることから、強度を確保するため、ケージ40の肉厚部を外側継手部材10の開口端18側に向けた配置とするのが好ましい。
上記の内部仕様で寸法を設定した本発明による固定式等速自在継手(実施例)と従来のUJタイプ高角固定式等速自在継手(比較例)について、0°位相におけるポケット荷重の最大値を負荷した時の、ケージ40の側壁48の応力値を解析したところ、結果は図9のとおりであった。なお、作動角は実施例(56°)の方が比較例(50°)よりも高角設定である。百分率表示は比較例の応力値を100としたときのものである。このように、実施例は比較例よりも低応力であるため、上記寸法仕様のケージは比較例よりも大きな作動角時に同等以上のケージ強度を発揮すると判断できる。
次に、比較例と実施例とについて、ボール溝のテーパ化による内部力(特にポケット荷重)の影響および傾向を検証し、比較を行ったところ、最大作動角時においてボールが最も飛び出す位相(位相角0°)のポケット荷重は大幅に低減できたが、その他のすべての位相のポケット荷重を確認したところ、ポケット荷重の最大値は比較例よりも実施例の方が約30%程度増大する(図10参照)。このときの負荷トルクは同一であるが、最大作動角は異なり、比較例(50°)よりも実施例(56°)の方が高角設定である。表2に上記比較例および実施例における仕様を示す。
Figure 2007032647
ポケット荷重の最大値が増大したのは、ボール溝のテーパ化と、最大作動角アップによる影響である。この増大したポケット荷重に耐え、早期破損を防止するため、各ポケット46の四隅R部のうち、図3および図4のように、継手奥側の2つのR部46a、46aが、継手開口側の2つのR部46b、46bに比べて大きな曲率半径となるように形成する。すなわち、継手開口側の2つのR部46bの曲率半径をR1、継手奥側の2つのR部46aの曲率半径をR2とすると、R1<R2の関係にある。R部46aの曲率半径の最大値は、図4(A)のようにボール30の周方向の移動を阻害しないように、ボール30の直径2R2の二分の一のR2とする。R部46aの曲率半径をR2以下の具体的にどの程度とするかは、R部46aにおけるケージ40の肉厚等に基づき決定する。
ケージのその他の仕様としては、例えば次のような設定を採用する。カッコ内は従来の固定式等速自在継手(BJ)や高角固定式等速自在継手(UJ)における値である。なお、ケージの外径Do、内径Di、幅wについては図2に示すとおりであるが、ケージの肉厚tは軸方向中央部の肉厚である。
ケージの外径Doのボール径dに対する比の値Do/d:
3.9≦Do/d≦4.1(3.7≦Do/d≦3.8)
ケージの肉厚tのボール径dに対する比の値t/d:
0.31≦t/d≦0.34(0.24≦t/d≦0.27)
ケージ幅wのボール径dに対する比の値w/d:
1.8≦w/d≦2.0(1.8≦w/d≦1.9)
ケージ内径Diのボール径dに対する比の値Di/dは、ケージ外径および肉厚で決まるが、参考までに示すならば次のとおりである:
3.25≦Di/d≦3.45(3.10≦Di/d≦3.25)
このとき、ポケット荷重の作用する方向は、外側継手部材のマウス部奥側から開口端に向かう方向となるため、開口端側にケージの厚肉側を配置する。なお、ケージのマウス部奥側は薄肉となる。これは、内側継手部材組み込み用のインロー径を設ける必要があるためである。外側継手部材の開口端側からマウス部奥側に向かう方向のポケット荷重は比較的微小であるため、特に不具合は生じない。
本発明の実施の形態を示す固定式等速自在継手の縦断面図である。 図1の要部拡大図である。 ケージの縦断面図である。 (A)は本発明の継手におけるケージのポケット形状図、(B)は従来の継手におけるケージのポケット形状図である。 図1の継手が最大作動角をとった状態を示す縦断面図である。 ボールを収容したケージの横断面図である。 ボール溝のテーパ角度と継手強度の関係を示す線図である。 テーパ角度とf/PCRとの関係を示す線図である。 最大ポケット荷重を負荷したときのポケット側壁の応力値を比較例と実施例とで対比して示すグラフ図である。 ポケット荷重(最大値)を比較例と実施例とで対比して示すグラフ図である。 テーパ角度とポケット荷重の関係を示す線図である。
符号の説明
10 外側継手部材
12 内球面
14 ボール溝
16 マウス部
18 開口端
20 内側継手部材
22 外球面
24 ボール溝
26 スプライン(またはセレーション)孔
30 ボール
40 ケージ
42 外球面
44 内球面
46 ポケット
46a、46b ポケットの四隅R部
α テーパ角度

Claims (4)

  1. 内球面に、開口端まで軸方向に延びた複数のボール溝を円周方向等間隔に形成した外側継手部材と、外球面に、軸方向に延びた複数のボール溝を円周方向等間隔に形成した内側継手部材と、対をなす外側継手部材のボール溝と内側継手部材のボール溝との間に介在してトルクを伝達する複数のボールと、外側継手部材の内球面と内側継手部材の外球面との間に介在し、ボールを一つずつ収容する矩形状ポケットを円周方向に複数配設したケージとを備え、前記ケージの外球面中心と内球面中心を継手中心に対して軸方向に等距離だけ反対側にオフセットさせることにより前記ケージの肉厚を継手開口側で厚くするとともに継手奥側で薄くし、かつ、各矩形状ポケットの四隅R部のうち継手奥側の2つのR部が継手開口側の2つのR部に比べて大きな曲率半径となるように形成したことを特徴とする高角固定式等速自在継手。
  2. ポケットの継手奥側の2つのR部の曲率半径を、ボールの直径の二分の一未満にしたことを特徴とする請求項1の高角固定式等速自在継手。
  3. 外側継手部材のボール溝の開口端側溝底を、前記開口端に向かって直線的に拡径したテーパ状とし、内側継手部材のボール溝の、外側継手部材の反開口端側溝底を、前記反開口端側に向かって直線的に拡径したテーパ状とし、かつ、外側継手部材および内側継手部材の各ボール溝のテーパ角度を、12°以下にしたことを特徴とする請求項1または2の高角固定式等速自在継手。
  4. 請求項1の前記オフセットの量fの、作動角0°での外側継手部材のボール溝の曲率中心または内側継手部材のボール溝の曲率中心とボールの中心とを結ぶ線分の長さPCRとの比の値f/PCRを、0以上0.12以下の範囲としたことを特徴とする請求項1から3のいずれかの高角固定式等速自在継手。
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