JP2007031541A - 高分子材料設計方法および装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 所望の物性値条件を満たす適合度の高い高分子材料を、短い時間であるいは労力を省いて効率的に見つけることができる高分子材料設計方法を提供する。
【解決手段】 この高分子材料設計方法は、計算機を用いて所望の物性値条件を満たす高分子の構造を求めるものであって、高分子モデルの作成条件および物性値条件を入力するステップと、この作成条件の下でモノマーに基づく構成単位を高分子の設計単位とし、この設計単位を遺伝子として遺伝的アルゴリズムの個体となる高分子モデルを作成するステップと、作成された高分子モデルについて物性値を計算し、前記物性値条件に対する適合度を計算するステップとを有する。そして、遺伝的アルゴリズムを用いて、次世代以降の個体の作成および適合度計算のステップを繰り返し、適合度の大きい高分子の構造を探索することを特徴とする。
【選択図】 図1

Description

本発明は高分子材料設計方法に関し、特に、遺伝的アルゴリズムを用いて高分子の構造を設計する高分子材料設計方法および装置に関する。
高分子材料は、多種のものが、多種の用途に使用されている。従来、その物性値は、実際に製造したものに試験を行って求めていた。近年、計算機を用いた分子シミュレーションによって高分子材料の物性値を予測する技術が進んでいる。これにより、例えば特許文献1,2に示すように、高分子材料を実際に製造したり、材料試験を行ったりすることなく、高分子材料の評価を行うことができるようになり、設計・製造のコストや時間を低減させることができる。
そこで、このように精度が向上した分子シミュレーションを用いて、所定の要求性能を満たすような高分子材料を発見する、あるいは高分子材料を設計することが試みられている。これは、例えば、蓄積された過去のデータ等を基に、人間が試行錯誤的に高分子の構造を変えて選択した高分子モデルについて分子シミュレーションを用いて物性値を予測し、最も良いものを選ぶ、というような方法である。
しかしながら、このような方法では、高分子モデルを作成し、選択するプロセスに多くの手間や時間が掛かる。そして、この選択するプロセスにバイアスが有れば、算出される結果も適性が小さいものとなってしまう。つまり、最適の物性値をもつ高分子材料を見逃してしまう危険性もある。
特開平9−127030号公報 特開平11−281642号公報
そこで、本発明の目的は、所望の物性値条件を満たす適合度の高い高分子材料を、短い時間であるいは労力を省いて効率的に見つけることができる高分子材料設計方法および装置を提供することである。
上記課題を解決するために、請求項1に記載の高分子材料設計方法は、計算機を用いて所望の物性値条件を満たす高分子の構造を求める高分子材料設計方法であって、高分子モデルの作成条件および物性値条件を入力するステップと、前記作成条件の下でモノマーに基づく構成単位を高分子の設計単位とし、該設計単位を遺伝子として遺伝的アルゴリズムの個体となる高分子モデルを作成するステップと、作成された高分子モデルについて物性値を計算し、前記物性値条件に対する適合度を計算するステップとを有し、遺伝的アルゴリズムを用いて、次世代以降の個体の作成および適合度計算のステップを繰り返し、適合度の大きい高分子の構造を探索することを特徴とする。
この発明においては、入力された高分子モデルの作成条件の範囲内において、遺伝的アルゴリズムを用いて個体の作成および適合度計算のステップが繰り返し実行され、その結果、適合度の大きい高分子の構造が探索される。遺伝的アルゴリズムという、客観的で効率的な手法を用いることにより、少なくとも入力された高分子モデルの作成条件の範囲内において、最適な高分子構造が算出される。なお、ここで、「高分子モデル」とは、複数の設計単位が特定の配列をなしたもので、それに基づいて分子シミュレーションで物性値を算出することができるものを指す。
この発明において、「入力される高分子モデルの作成条件」は、解の最適度とそれを得るために要する時間やコストを左右する重要な因子である。「入力される高分子モデルの作成条件」が厳密であれば、解の最適度は高いが、それに要する計算量、つまりコンピュータを占有する時間やそのコストは大きくなる。このような問題は、分子シミュレーションという技術自体に既にあるものであるが、この発明においても引き継がれるものである。将来的には、コンピュータ技術のさらなる進歩によって時間やコストはより小さくなり、この問題の比重も小さくなる。
請求項2に記載の高分子材料設計方法は、請求項1に記載の発明において、前記高分子モデルの作成条件に、高分子モデルの原型の構造、高分子モデル当たりに配列される設計単位の数、高分子モデルを構成する設計単位の種類、の少なくとも1つを含むことを特徴とする。
高分子モデルを作成することは、上述したように、分子シミュレーションの手法自体の前提であるが、特に本発明においては、高分子モデルの作成条件を適当に設定して効率的に近似解を求めることが必要である。遺伝的アルゴリズムの機能は、基本的に同じ分岐構造・サイズの型の中で行われる。同じ分岐構造・サイズとは、高分子鎖の分岐構造が同じであり、高分子鎖1本当たりの全設計単位数および分岐している部分鎖それぞれの設計単位数が同じことを指す。分岐構造・サイズが異なれば、別途に遺伝的アルゴリズムを用いてその分岐構造・サイズにおける解を求め、それを比較することになる。
図3に示すように、原型として種々の骨組みが考えられ、(a)に示す1次元だけでなく、(b)、(c)のような2〜3次元的な構造も考えられる。しかしながら、多次元構造の高分子についても、分岐構造・サイズを規定することで、1次元構造の高分子と同じに扱うことができるので、高分子モデルの型は1次元つまり直線構造で考えれば充分である。
実際の高分子材料は、設計単位数が数千〜数万におよぶ長さであり、そのような高分子鎖が多数、相互に絡み合ってできている。一方、分子シミュレーションでは、従来より、計算時間の都合上、数を減らすことが必要である。高分子鎖1本あたりの設計単位数が少なすぎると、高分子鎖としての特徴が表現されないので、設計単位数は多い方が計算の精度上好ましいが、設計単位数が多すぎると、計算時間が長くなり、好ましくない。また、高分子鎖数が少ないと、高分子鎖同士の影響が表現されないので、高分子鎖数は多い方が計算の精度上好ましいが、高分子鎖数が多すぎると、計算時間が長くなり、好ましくない。そこで、高分子モデルとして数十〜数百の設計単位数から成る高分子鎖を数本ほど作成し、これを計算することが一般的に行われている。
本発明においても、これらの考え方はそのまま適用でき、原型のサイズ、すなわち、設計単位が配置されるサイトの数は50〜500程度、高分子鎖数mとしては2〜10程度が好ましい。設計単位数と高分子鎖数の具体的な決定方法に、特に制限はない。決定方法としては、論文や学会等で発表されている計算事例を参照して決定する方法、設計単位数と高分子鎖数をそれぞれ変えて作成した高分子モデルについて実際に計算し、計算結果の各物性値を比較して決定する方法、および物性値の測定結果があれば、計算結果と測定結果を比較して決定する方法等が挙げられる。
高分子モデルを構成する設計単位は、予め採用可能なものを設計単位データベースに登録しておき、適宜に選択すればよい。設計単位の種類は、多くのものを選択すれば多種類の構造を作成することができるので、多種類の高分子モデルを探索することができる。その結果、他の条件と同様に、最適解に近づけるのに時間が掛かる、という相反関係にある。
請求項3に記載の高分子材料設計方法は、請求項1または請求項2に記載の発明において、立体配置上の異性体を有する構成単位を、該異性体毎に異なる設計単位として高分子モデルを作成することを特徴とする。
立体配置上の異性体とは、置換基の立体配置が異なる構成単位、配列の向きが異なる構成単位等、配列した際に立体配置が異なる高分子鎖が生成する構成単位である。モノマーに基づく構成単位には、分子式に加えて、置換基の立体配置、配列の向き等の立体配置の情報を持たせ、これらの情報が異なれば異なる設計単位として定義する。例えば、プロピレンに基づく構成単位ならば、構成単位を配置する際の向きを示す情報を、「Front」および「Back」と記すとして、図4に示すように4個の異なる設計単位として定義し、プロピレン−(1)、プロピレン−(2)、プロピレン−(3)、プロピレン−(4)と名付ける。そして、これらの定義した設計単位を設計単位データベースに登録する。設計単位データベースは、図4のように設計単位名と設計単位の定義をデータとして保有する。設計単位データベースに登録される設計単位としては、エチレン−(1)、プロピレン−(1)、プロピレン−(2)、プロピレン−(3)、プロピレン−(4)、1−ブテン−(1)、1−ブテン−(2)、1−ブテン−(3)、1−ブテン−(4)、1−ペンテン−(1)、1−ペンテン−(2)、1−ペンテン−(3)、1−ペンテン−(4)、1−ヘキセン−(1)、1−ヘキセン−(2)、1−ヘキセン−(3)、1−ヘキセン−(4)、1−オクテン−(1)、1−オクテン−(2)、1−オクテン−(3)、1−オクテン−(4)、スチレン−(1)、スチレン−(2)、スチレン−(3)、およびスチレン−(4)等が挙げられる。なお、上記のプロピレン−(1)等の「−(1)」という表現は、高分子化学で使われている表現ではなく、異なる設計単位として定義するために、本明細書で独自に用いている表現である。
請求項4に記載の高分子材料設計方法は、請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の発明において、前記遺伝的アルゴリズムにおける適合度は、所望の物性値条件を満たすほど大きな値を示す評価関数として定義されることを特徴とする。最適化の過程において、評価関数の最大となるような解を探索させるためである。
請求項5に記載の高分子材料設計装置は、請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の発明において、前記物性値は、前記高分子モデルについて、分子動力学計算、あるいは分子動力学計算に分子力学計算、分子軌道計算、モンテカルロ計算およびバンド計算のうち少なくとも1つを組み合わせて求められることを特徴とする。
請求項6に記載の高分子材料設計方法は、計算機を用いて所望の物性値条件を満たす高分子の構造を求める高分子材料設計装置において、高分子モデルの作成条件や物性値条件等を入力する装置と、高分子モデルを作成する装置と、高分子モデルについて物性値を計算する装置と、物性値から適合度を計算し、遺伝的アルゴリズムを用いて適合度の大きい高分子の構造を探索する装置と、探索結果を表示する装置とを備えることを特徴とする。
請求項1ないし請求項6に記載の発明によれば、所望の物性値条件を満たす適合度の高い高分子材料を、短い時間であるいは労力を省いて効率的に見つけることができる。
以下に、この発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
まず、以下に、高分子材料設計装置について図1を用いて説明する。
高分子材料設計装置は、高分子モデルの作成条件や物性値条件等を入力する入力装置10と、入力された高分子モデルの作成条件に基づいて、設計単位を構成単位とする高分子モデルを作成する高分子モデル作成装置20と、高分子モデルについて物性値を計算する物性値計算装置30と、物性値から適合度を計算し、遺伝的アルゴリズムを用いて適合度の大きい高分子の構造を探索する高分子構造探索装置40と、および高分子構造探索装置で探索した結果を表示する表示装置50から構成されている。
高分子モデル作成装置20は、高分子モデル作成部21、入力部22、乱数発生部23、および設計単位データベース24を有する。また、物性値計算装置30は、データ変換部31、物性値計算部32を有する。高分子構造探索装置40は、適合度計算部41、高分子モデル選択部42、交叉発生部43を有する。
なお、これらの各装置やそれを構成する各部は、コンピュータがこれらの機能を行なう部分を仮想的に表すものであって、ハードウエアとしての具体的な構成が限定されるものではない。
次に、1つの実施の形態の高分子材料設計方法について、図2のフロー図を用いて説明する。
まず、ステップ(1a)において、高分子モデルの作成条件を入力する。高分子モデルの作成条件としては、この実施の形態では、高分子モデルの原型、高分子モデル当たりに配列される設計単位の数、遺伝子として用いる設計単位の種類が挙げられる。
高分子モデルは、設計単位を構成単位として作成され、設計単位を複数個つなげることで高分子鎖を作成する。図3に示すように、原型として種々の骨組みが考えられるが、ここでは、2次元以上とする実益が無いので、1次元つまり直線構造を採用した。
次に、高分子鎖1本あたりの設計単位数nと、高分子鎖数mを入力する。設計単位数nに、特に制限はないが、高分子鎖1本あたりの設計単位数が少なすぎると、高分子鎖としての特徴が表現されないので、設計単位数は多い方が計算の精度上好ましい。従って、使用するコンピュータの性能や、許容される計算時間等を考慮して、可能な限り大きく設定する。高分子鎖数mに、特に制限はない。ただし、高分子鎖数が少ないと、高分子鎖同士の影響が表現されないので、高分子鎖数は多い方が計算の精度上好ましい。従って、使用するコンピュータの性能や、許容される計算時間等を考慮して、可能な限り大きく設定する。現状のコンピュータの性能では、設計単位数nとしては50〜500程度、高分子鎖数mとしては2〜10程度が好ましい。
次に、ステップ(1b)において、物性値条件を入力する。
高分子材料に求められる物性値を選択し、物性値条件を表現する適合度評価関数を定義し、入力する。物性値としては、密度、凝集エネルギー密度、溶解度パラメータ、ガラス転移温度、融点、体積弾性率、体積膨張率、定圧比熱、定積比熱、屈折率、固有複屈折率、配向複屈折率等が挙げられる。通常、これらの中から目的に応じた1つの物性値(X)を選択するが、場合によっては、複数の物性値(X,Y,・・)を選択する。そして、選択した物性値条件を表現する適合度評価関数F=f(X)を定義し、入力する。
適合度評価関数Fは、物性値が、高分子材料に求められる条件を満たすほど大きくなるように定義する。例えば、探索する高分子材料の条件として、或る物性値Xが大きい程良いのであれば、
F=X
と定義する。物性値Xが特定の値Aに近い程良いのであれば、
F=1/(X−A)
と定義する。
物性値が複数の場合には、適合度評価関数Fもより複雑になる。例えば、
F=X
F=1/{a(X−A)+b(Y−B)
等となる。これらの式で、a,bは、複数の物性値X、Yに重み付けを与えるための定数である。
次に、ステップ(2a)において、高分子モデルを構成する設計単位を、設計単位データベースに登録されたものの中から選択する。登録された設計単位は、立体規則性高分子や、Head to Tail型構造、Head to Head型構造も表現するため、置換基の立体配置、配列の向き等の立体配置の情報をそれぞれ持ち、これらの情報が異なれば異なる設計単位として定義する。例えば、プロピレンに基づく構成単位ならば、図4に示すように4個の異なる設計単位として定義し、プロピレン−(1)、プロピレン−(2)、プロピレン−(3)、プロピレン−(4)と名付ける。そして、これら定義した設計単位を設計単位データベースに登録しておく。
ここでは、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、および1−ヘキセンを共重合体した共重合体高分子を考える。このとき求められている或る物性値条件を満たす高分子材料として、エチレンに基づく構成単位、プロピレンに基づく構成単位、1−ブテンに基づく構成単位、1−ペンテンに基づく構成単位、および1−ヘキセンに基づく構成単位をそれぞれどれだけの比率で含有し、どのような順番に並んでいる構造がよいかを知りたいとする。その場合、選択する設計単位としては、エチレン−(1)、プロピレン−(1)、1−ブテン−(1)、1−ペンテン−(1)、および1−ヘキセン−(1)の5種類の設計単位が必要である。
あるいは、プロピレン−(1)の換わりにプロピレン−(2)、プロピレン−(3)、プロピレン−(4)のいずれかでもよく、1−ブテン−(1)の換わりに1−ブテン−(2)、1−ブテン−(3)、1−ブテン−(4)のいずれかでもよく、1−ペンテン−(1)の換わりに1−ペンテン−(2)、1−ペンテン−(3)、1−ペンテン−(4)のいずれかでもよく、1−ヘキセン−(1)の換わりに1−ヘキセン−(2)、1−ヘキセン−(3)、1−ヘキセン−(4)のいずれかでもよい。
さらに、立体規則性(タクティシティー)が違う構造も考えるならば、選択する設計単位としては、エチレン−(1)、プロピレン−(1)、1−ブテン−(1)、1−ペンテン(1)、1−ヘキセン−(1)、プロピレン−(2)、1−ブテン−(2)、1−ペンテン(2)、および1−ヘキセン−(2)の9種類の設計単位が必要である。
さらに、Head to Tail型構造やHead to Head型構造も考えるならば、選択する設計単位としては、エチレン、プロピレン−(1)、1−ブテン−(1)、1−ペンテン(1)、1−ヘキセン−(1)、プロピレン−(2)、1−ブテン−(2)、1−ペンテン(2)、1−ヘキセン−(2)、プロピレン−(3)、1−ブテン−(3)、1−ペンテン(3)、1−ヘキセン−(3)、プロピレン−(4)、1−ブテン−(4)、1−ペンテン(4)、および1−ヘキセン−(4)の17種類の設計単位が必要である。
次に、ステップ(2b)において、遺伝的アルゴリズムにおける第1世代の個体集合となるN種類の高分子モデルを作成する。
高分子モデルの作成方法として、配列を使う。配列S(i)が高分子鎖であり、配列要素iが設計単位である。
図3にあるような直鎖型の高分子鎖ならば、1次元配列S(i)を使い、ステップ(2a)で選択した設計単位を1次元配列S(1),S(2),…,S(i),…,S(n)に入れる。これをN回繰り返し、図5のように、高分子モデルをN種類作成する。
配列への設計単位の入力方法としては、各番号の配列に入れる設計単位を、入力部22を使ってユーザーが決めて入力する方法と、各番号の配列に入れる設計単位を、乱数発生部23を使って乱数発生によって決めて入力する方法が挙げられる。ユーザーが決めて入力する方法では、既存の高分子材料や想定されている高分子材料の高分子モデルを作成することができ、乱数発生によって決めて入力する方法は、多様な高分子モデルを作成することに適している。
「Front」および「Back」を接続点として、配列に入った設計単位を順次つなげる。n(i=1,2,…,n)個のうちのi番目の設計単位の「Back」と、i+1番目の設計単位の「Front」を順次接続する。接続した時点で、これら「Back」と「Front」は削除される。1番目の設計単位の「Front」を水素原子「H」に置き換え、n番目の設計単位の「Back」も同様に水素原子「H」に置き換える。以上の作業により、図6のように高分子鎖1本(m=1)の高分子モデルが作成される。
次に、ステップ(3a)において、高分子モデルの構造ファイルを作成する。
ステップ(2b)で作成した高分子モデルを記述した構造ファイルを作成する。構造ファイルは、高分子モデルを構成する各原子の元素名、各原子の位置を表す3次元座標、および原子の結合のデータ等を有する。構造ファイルのフォーマットとして、図7に示したようなMDL−Mol形式をはじめとする汎用のフォーマットが挙げられる。構造ファイルのフォーマットの選び方としては、ステップ(3b)で使用する各汎用ログラムで読み込めるフォーマットでなければならない。
次に、ステップ(3b)において、N種類の高分子モデルについて、物性値Xをそれぞれ計算する。
物性値としては、密度、凝集エネルギー密度、溶解度パラメータ、ガラス転移温度、融点、体積弾性率、体積膨張率、定圧比熱、定積比熱、屈折率、固有複屈折率、配向複屈折率等が挙げられる。これら物性値は、分子動力学計算、あるいは分子動力学計算に分子力学計算、分子軌道計算、モンテカルロ計算およびバンド計算のうち少なくとも1つを組み合わせて求められる。これらの計算は、例えば、財団法人化学技術戦略推進機構のOCTA、株式会社日本総合研究所のJ−OCTA、Accelrys Inc.のMS Modeling products等(いずれも商品名)の汎用プログラムを使って行うことができる。
このような汎用プログラムを起動させ、ステップ(3a)において作成した高分子モデルの構造ファイルを読み込む。読み込んだ高分子鎖1本の高分子モデルを図示させると、図8のようになる。高分子鎖m本のアモルファス(非晶)状態を作成し、図示させると、図9のようになる。高分子モデルのアモルファス状態の安定構造を計算し、物性値Xを求める。以上の作業および計算は、汎用プログラムの機能を使って実施する。
次に、ステップ(4a)において、N種類の高分子モデルについて、適合度評価関数Fをそれぞれ計算する。適合度評価関数Fは、ステップ(1b)で定義した関数式F=f(X)によって物性値Xに基づいて計算される。
次に、ステップ(4b)おいて、N種類の高分子モデルから、適合度評価関数が大きいM種類の高分子モデルを選択し、M種類の高分子モデルを残す。このときN≧Mである。選択方式としては、ルーレット選択方式、トーナメント選択方式、エリート選択方式、およびこれらの組み合わせを使う。選択方式の組み合わせ方法に、特に制限はない。
ルーレット選択方式は、適合度評価関数の大きさに比例した割合で高分子モデルを選択する方式である。適合度評価関数の大きさに比例した面積でN個の領域に分割されているルーレットを作り、投げた玉の入った領域の高分子モデルを選択するという過程をM回繰り返して、M種類の高分子モデルを選択する方式である。
トーナメント選択方式は、高分子モデルをある数(トーナメントサイズ)だけランダムに選び出し、その中で適合度評価関数が最大の高分子モデルを選択するという過程をM回繰り返して、M種類の高分子モデルを選択する方式である。
エリート選択方式は、適合度評価関数が大きい高分子モデルを上位からM種類選択する方式である。
次に、ステップ(4c)において、M種類の高分子モデルについて交叉を起こし、合計でN種類の高分子モデルを作成する。例えば、図10に示したように高分子モデルを構成する設計単位(遺伝的アルゴリズムにおける遺伝子)の組み替えを行い、合計でN種類の高分子モデルを作成する。これが次世代の高分子となる。交叉のやり方として、特に制限はない。交叉数(1点交叉、2点交叉、さらに複数点の交叉をするのか)、交叉の位置に特に制限はない。
図9に例を示す。
次に、ステップ(4d)において、ステップ(3a)からステップ(4c)を第2世代から第G世代まで繰り返す。そして、最後に、ステップ(5)において、第1世代から第G世代までの(N×G)種類の高分子モデルのうち、適合度評価関数Fの値が大きい高分子モデルを複数表示する。これにより、所望の物性値条件を満たす適合度の高い高分子材料を、短い時間であるいは労力を省いて効率的に見つけることができる。
本発明の高分子材料設計装置の構成を示す図である。 本発明の高分子材料設計方法のフローチャートである。 本発明の高分子材料設計方法によって設計する高分子構造を概念的に示す図である。 本発明の高分子材料設計装置が備える設計単位データベースの記録内容を概念的に示す図である。 高分子モデルを配列で表現した図である。 高分子モデルを分子構造で表現した図である。 高分子モデルのMDL−Mol形式ファイルの一部を示す図である。 高分子鎖1本の高分子モデルの図である。 高分子鎖m本の高分子モデルのアモルファス(非晶)状態の図である。 交叉の図である。
符号の説明
10 入力装置
20 高分子モデル作成装置
21 高分子モデル作成部
22 入力部
23 乱数発生部
24 設計単位データベース
30 物性値計算装置
31 データ変換部
32 物性値計算部
40 高分子構造探索装置
41 適合度計算部
42 高分子モデル選択部
43 交叉発生部
50 表示装置

Claims (6)

  1. 計算機を用いて、所望の物性値条件を満たす高分子の構造を求める高分子材料設計方法であって、
    高分子モデルの作成条件および物性値条件を入力するステップと、
    前記作成条件の下でモノマーに基づく構成単位を高分子の設計単位とし、該設計単位を遺伝子として遺伝的アルゴリズムの個体となる高分子モデルを作成するステップと、
    作成された高分子モデルについて物性値を計算し、前記物性値条件に対する適合度を計算するステップとを有し、
    遺伝的アルゴリズムを用いて、次世代以降の個体の作成および適合度計算のステップを繰り返し、適合度の大きい高分子の構造を探索することを特徴とする高分子材料設計方法。
  2. 前記高分子モデルの作成条件に、高分子モデルの原型の構造、高分子モデル当たりに配列される設計単位の数、高分子モデルを構成する設計単位の種類、の少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項1に記載の高分子材料設計方法。
  3. 立体配置上の異性体を有する構成単位を、該異性体毎に異なる設計単位として高分子モデルを作成することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の高分子材料設計方法。
  4. 前記遺伝的アルゴリズムにおける適合度は、所望の物性値条件を満たすほど大きな値を示す評価関数として定義されることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の高分子材料設計方法。
  5. 前記物性値は、前記高分子モデルについて、分子動力学計算、あるいは分子動力学計算に分子力学計算、分子軌道計算、モンテカルロ計算およびバンド計算のうち少なくとも1つまたは複数を用いて求められることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の高分子材料設計方法。
  6. 計算機を用いて、所望の物性値条件を満たす高分子の構造を求める高分子材料設計装置において、
    高分子モデルの作成条件および物性値条件等を入力する装置と、
    前記作成条件の下で設計単位を遺伝子として遺伝的アルゴリズムの個体となる高分子モデルを作成する装置と、
    作成された高分子モデルについて物性値を計算する装置と、
    物性値から適合度を計算し、遺伝的アルゴリズムを用いて適合度の大きい高分子の構造を探索する装置と、
    探索結果を表示する装置と
    を備えることを特徴とする高分子材料設計装置。
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