JP2007028292A - 赤外線撮像装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 赤外線撮像装置においてより高い精度で欠陥画素判定を行うことを可能とする。
【解決手段】 感度補正基準110が3つ以上の均一な基準温度の赤外線を放射し、多画素赤外線検知器130が赤外線を検知して光電変換を行い、感度補正処理部140が3つ以上の電気信号を用いて感度補正および欠陥画素判定を行う。また、欠陥画素置換処理部150が感度補正処理部140によって欠陥画素と判定された画素からの出力信号を欠陥画素の近傍にある画素の出力信号に置換する。
【選択図】 図1
【解決手段】 感度補正基準110が3つ以上の均一な基準温度の赤外線を放射し、多画素赤外線検知器130が赤外線を検知して光電変換を行い、感度補正処理部140が3つ以上の電気信号を用いて感度補正および欠陥画素判定を行う。また、欠陥画素置換処理部150が感度補正処理部140によって欠陥画素と判定された画素からの出力信号を欠陥画素の近傍にある画素の出力信号に置換する。
【選択図】 図1
Description
本発明は、赤外線撮像装置に関し、特に多数の赤外線検知画素を用いて赤外線を検知することによって撮像を行う赤外線撮像装置に関する。
一般に、赤外線撮像装置の赤外線検知器の多数の赤外線検知画素のうち一部に欠陥が生じることがある。たとえば「死に画素」と呼ばれる入射赤外線にまったく応答しない画素や、はじめから飽和レベルに達したままの画素がある。このような欠陥画素は、製品調整中に目視で判定され、欠陥画素と判定された画素の近辺の正常な画素と置換することによって補正をしていた。
また、一般的に入射赤外線変化に対する出力電圧変化が小さい画素は、ノイズ自体は小さいわけではないのでS/N比が小さくなり所要感度が取れなかったり、品質が経時劣化したりすることが多い。他方、入射赤外線変化に対する出力電圧変化があまりに大きな画素は、早く飽和して所要のダイナミック・レンジが取れなかったりノイズが過大で所要のS/N比が取れなかったり、品質が経時劣化することが多い。したがって、入出力応答特性が平均的な画素の特性からかけ離れた画素も欠陥画素に含める例が多くなってきた。
図11は、従来の赤外線撮像装置の欠陥画素判定時における機能を示すブロック図である。図11に示す従来の赤外線撮像装置10は、感度補正基準11、光学系12、多画素赤外線検知器13、感度補正処理部14、欠陥画素置換処理部15、および画像情報処理部16を具備している。
感度補正基準11は、ペルチェ素子などの温度制御可能な素子からなり、均一な基準温度の赤外線を放射する。また、感度補正基準11は、感度補正基準11aから低輝度の赤外線を放射し、感度補正基準11bから高輝度の赤外線を放射する。つまり、輝度の異なる2種類の赤外線を放射する。光学系12は、複数枚のレンズとズーム/視野切換え式の場合はその移動機構を含むレンズ機構部から構成されており焦点面を形成する。
多画素赤外線検知器13は、赤外線を検知するための赤外線検知画素が多数配列されて構成されている赤外線検知アレイと赤外線検知画素が検知した赤外線を光電変換して出力する各画素からの生出力信号を読み出す読出回路とがインジウムバンプを介して接続されている。感度補正処理部14は、多画素赤外線検知器13から受けた出力信号に基づいて感度補正を行い、感度補正後信号を出力する。欠陥画素置換処理部15は、感度補正後信号と感度補正を行っていない出力信号である生出力信号などを用いて欠陥画素か否かを判定する。そして、欠陥画素と判定した画素を欠陥画素の近辺の正常画素と置換し、欠陥画素置換処理後信号を出力する。
感度補正基準11は、光学系12の手前もしくは光学系12内の複数のレンズの間に挿入され、感度補正基準11から放射された赤外線が光学系12を通して多画素赤外線検知器13の赤外線検知画素に対して一様に照射される。多画素赤外線検知器13は、照射された一様な赤外線を光電変換し、電気信号として出力する。
感度補正処理部14は、多画素赤外線検知器13の赤外線検知画素ごとにゲイン補正、オフセット補正などを行うことにより感度を補正する。また、入出力応答特性が平均的な画素の特性からかけ離れた画素は、欠陥画素と判定して感度補正を行わない。欠陥画素置換処理部15は、欠陥画素と判定された画素からの出力信号を欠陥画素と判定された画素の近辺の画素から出力された信号と置換する。画像情報処理部16は、AGC(Automatic Gain Control)/ALC(Automatic Level Control)処理などの画像表示処理を施す。
図12は、赤外線検知画素の入出力応答特性を示すグラフである。図12に示す入出力応答特性グラフ20は、多画素赤外線検知器13の赤外線検知画素ごとの入出力応答特性を示している。放射輝度線L111は、感度補正基準11の低輝度側である感度補正基準11aが放射する赤外線の放射輝度を示している。また、放射輝度線L112は、感度補正基準11の高輝度側である感度補正基準11bが放射する赤外線の放射輝度を示している。
入出力応答特性曲線L121は、入射赤外線にまったく応答しない欠陥画素である通称黒傷と呼ばれる画素の入出力応答特性を示している。入出力応答特性曲線L122は、はじめから飽和レベルに達したままの欠陥画素である通称白傷と呼ばれる画素の入出力応答特性を示している。入出力応答特性曲線L123は、多数の赤外線検知画素で構成される焦点面を考えたときのその上のある一点である(Xi,Yi)画素の入出力応答特性を示している。入出力応答特性曲線L124は、(Xj,Yj)画素の入出力応答特性を示している。入出力応答特性曲線L125は、(Xk,Yk)画素の入出力応答特性を示している。入出力応答特性曲線L126は、(Xl,Yl)画素の入出力応答特性を示している。入出力応答特性曲線L127は、赤外線検知アレイを構成する全赤外線検知画素の平均入出力応答特性を示している。
各入出力応答特性曲線において、放射輝度線L111との交点と放射輝度線L112との交点から各画素のゲインを算出し、全赤外線検知画素のゲインの平均値との比較を行う。たとえば、入出力応答特性曲線L125が示すように、(Xk,Yk)画素のゲインは、全画素のゲインの平均値よりゲインが過大なので、(Xk,Yk)画素が欠陥画素と判定する。また、入出力応答特性曲線L123、124が示すように、(Xi,Yi)画素と(Xj,Yj)画素のゲインは、全画素のゲインの平均値と大きくかけ離れているわけではないので、(Xi,Yi)画素と(Xj,Yj)画素が正常な画素であると判定する。また、入出力応答特性曲線L126が示すように、(Xl,Yl)画素のゲインは、全画素のゲインの平均値よりゲインが過小なので、(Xl,Yl)画素が欠陥画素と判定する。
ゲインを比較することによる欠陥画素判定の具体的な判定基準としては、全画素のゲインの平均値と比較して欠陥画素判定の判定対象となっている画素のゲインがたとえば2倍を超えている場合、もしくはたとえば1/2未満であった場合に欠陥画素と判定する。
また、高温と低温の基準温度に対する各対象素子の高温データと低温データとの差を求め、全素子についての差の平均値と比較し、平均値と上限設定値との和が差の値より大きいか、平均値と下限設定値との和が差の値より小さいとき、その対象素子を欠陥画素と判定する方法が提案されている(たとえば、特許文献1参照)。
特開平9−163228号公報(段落番号〔0027〕〜〔0031〕、図1)
しかし、焦点面上の像の大きさが1〜2画素しかないような微小目標に対して精密な放射計測を行う場合、有効としている全画素について感度補正後の入出力応答特性が所要精度で保証されなければならない。ところが、画素によっては入出力応答の立ち上がりが鈍かったり、入射赤外線がかなり低いレベルから出力が飽和傾向を示すものがある。
こうした画素は感度補正基準信号を取得するために低放射輝度基準面と高放射輝度基準面の少なくとも一方に対する出力がすでに線形領域を外れていて、感度補正後も所要精度の放射計測ができない。特に赤外線検知器出力のオフセットは起動ごとに若干変化するので、感度補正基準放射手段を撮像したときはその出力が線形領域にあって所要の放射計測精度が得られたが、運用時にはオフセットが高く、出力が飽和して所要の放射計測精度が得られないといった問題があった。
本発明はこのような点に鑑みてなされたものであり、より精度の高い欠陥画素判定が可能な赤外線撮像装置を提供することを目的とする。
本発明では上記課題を解決するために、図1に示すような、温度制御が可能で、3つ以上の均一な基準温度の赤外線を放射する感度補正基準110と、光学系120を介して赤外線を検知し、光電変換を行う多画素赤外線検知器130と、多画素赤外線検知器130が光電変換して出力した3つ以上の電気信号を用いて多画素赤外線検知器130の感度補正および欠陥画素判定を行う感度補正処理部140と、感度補正処理部140によって欠陥画素と判定された画素からの出力信号を欠陥画素の近傍にある画素の出力信号に置換する欠陥画素置換処理部150とを有することを特徴とする赤外線撮像装置が提供される。
このような赤外線撮像装置100によれば、感度補正基準110が3つ以上の均一な基準温度の赤外線を放射し、多画素赤外線検知器130が赤外線を検知して光電変換を行い、感度補正処理部140が3つ以上の電気信号を用いて感度補正および欠陥画素判定を行うことができる。また、欠陥画素置換処理部150が感度補正処理部140によって欠陥画素と判定された画素からの出力信号を欠陥画素の近傍にある画素の出力信号に置換することができる。
本発明の赤外線撮像装置によれば、3つ以上の電気信号を用いて欠陥画素判定を行うので、より精度の高い欠陥画素判定を行うことができる。
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して詳細に説明する。
〔第1の実施の形態〕
図1は、本実施の形態に適用される発明の概念図である。図1に示す赤外線撮像装置100は、感度補正基準110、光学系120、多画素赤外線検知器130、感度補正処理部140、欠陥画素置換処理部150、および画像情報処理部160を具備している。
〔第1の実施の形態〕
図1は、本実施の形態に適用される発明の概念図である。図1に示す赤外線撮像装置100は、感度補正基準110、光学系120、多画素赤外線検知器130、感度補正処理部140、欠陥画素置換処理部150、および画像情報処理部160を具備している。
感度補正基準110は、ペルチェ素子などの温度制御可能な素子からなり、均一な基準温度の赤外線を放射する。また、最低輝度の赤外線を放射する感度補正基準111、最高輝度の赤外線を放射する感度補正基準112、および感度補正基準111と感度補正基準112の中間輝度の赤外線を放射する感度補正基準113から3種類の赤外線を放射する。光学系120は、複数枚のレンズとズーム/視野切換え式の場合はその移動機構を含むレンズ機構部から構成されており焦点面を形成する。
多画素赤外線検知器130は、赤外線を検知するための赤外線検知画素が多数配列されて構成されている赤外線検知アレイと赤外線検知画素が検知した赤外線を光電変換して出力する各画素からの生出力信号を読み出す読出回路とがインジウムバンプを介して接続されている。たとえば、赤外線検知アレイは、M×N個の画素が配列されているものとする。
感度補正処理部140は、多画素赤外線検知器130から受けた出力信号を用いて感度補正を行い、感度補正後信号を出力する。また、感度補正後信号および感度補正を行っていない出力信号である生出力信号などを用いて欠陥画素が否かを判定する。欠陥画素置換処理部150は、欠陥画素と判定された画素の出力信号を欠陥画素の近辺の正常画素の出力信号に置換し、欠陥画素置換処理後信号として出力する。
感度補正基準110は、感度補正処理を行うときには、光学系120の手前もしくは光学系120内の複数のレンズの間に挿入され、感度補正基準110から放射された赤外線が光学系120を通して多画素赤外線検知器130の赤外線検知画素に対して一様に照射される。多画素赤外線検知器130は、照射された一様な赤外線を光電変換し、電気信号として出力する。
感度補正処理部140は、多画素赤外線検知器130の赤外線検知画素ごとにゲイン補正、オフセット補正などを行うことにより感度を補正する。また、入出力応答特性が平均的な画素の特性からかけ離れた画素は、欠陥画素と判定して感度補正を行わない。欠陥画素置換処理部150は、欠陥画素と判定された画素からの出力信号を欠陥画素と判定された画素の近辺の画素から出力された信号と置換する。画像情報処理部160は、AGC(Automatic Gain Control)/ALC(Automatic Level Control)処理などの画像表示処理を施す。
図2は、本実施の形態に係る入出力応答特性グラフである。図2に示す入出力応答特性グラフ200は、本実施の形態に係る赤外線撮像装置100が備える多数の赤外線検知画素のうちの一部の画素についての入出力応答特性を示している。
放射輝度線L11は、感度補正基準111が放射する感度補正基準110の中で最低輝度の赤外線の放射輝度Nminを示している。放射輝度線L12は、感度補正基準112が放射する感度補正基準110の中で最高輝度の赤外線の放射輝度Nmaxを示している。放射輝度線L13は、感度補正基準113が放射する感度補正基準111と感度補正基準112の中間輝度の赤外線の放射輝度Nmidを示している。
放射輝度線L11、L12を両端とする範囲は、放射計測精度を要する輝度範囲であり、入出力応答特性グラフ200においては、精度保証輝度範囲とする。また、精度保証輝度範囲内に設けられた放射輝度線L13により区切られた2つの区間を放射輝度が低い方(L11−L13間)を区間Lとし、放射輝度が高い方(L13−L12間)を区間Hとする。
入出力応答特性曲線L21は、多数の赤外線検知画素で構成される赤外線検知アレイを考えたときのある一点である(Xk,Yk)画素の入出力応答特性を示している。入出力応答特性曲線L22は、(Xj,Yj)画素の入出力応答特性を示している。入出力応答特性曲線L23は、(Xi,Yi)画素の入出力応答特性を示している。
入出力応答特性曲線L21の放射輝度Nmax、Nmin、Nmidにおける出力電圧をそれぞれVk(Nmax)、Vk(Nmin)、Vk(Nmid)とする。また、入出力応答特性曲線L22の放射輝度Nmax、Nmin、Nmidにおける出力電圧をそれぞれVj(Nmax)、Vj(Nmin)、Vj(Nmid)とする。また、入出力応答特性曲線L23の放射輝度Nmax、Nmin、Nmidにおける出力電圧をそれぞれVi(Nmax)、Vi(Nmin)、Vi(Nmid)とする。
出力電圧Vk(Nmax)は、感度補正処理部140が感度補正処理を行うときに感度補正基準112が赤外線撮像装置100内の光路に挿入されて、放射輝度Nmaxの赤外線が光学系120を介して多画素赤外線検知器130に照射され、光電変換されることによって出力される生出力信号の出力電圧である。以下同様に、出力電圧Vk(Nmid)は、感度補正基準113が光路に挿入されたときに多画素赤外線検知器130から出力される生出力信号の出力電圧であり、出力電圧Vk(Nmin)は、感度補正基準111が光路に挿入されたときに多画素赤外線検知器130から出力される生出力信号の出力電圧である。
つまり、感度補正処理部140による感度補正処理が行われるときには、入出力応答特性曲線の3点の出力電圧を知ることができる。この入出力応答特性曲線の3点の出力電圧を用いて区間Lと区間Hにおけるゲインを算出し、比較することによって精度保証輝度範囲に非線形領域を含むか否かを判断する。そして、非線形領域が含まれていると判断した場合には、その画素を欠陥画素と判定する。
入出力応答特性曲線L21の区間L(Vk(Nmin)−Vk(Nmid)間)の傾きをゲインGkL、区間H(Vk(Nmid)−Vk(Nmax)間)の傾きをゲインGkHとし、入出力応答特性曲線L22の区間L(Vj(Nmin)−Vj(Nmid)間)の傾きをゲインGjL、区間H(Vj(Nmid)−Vj(Nmax)間)の傾きをゲインGjHとし、入出力応答特性曲線L23の区間L(Vi(Nmin)−Vi(Nmid)間)の傾きをゲインGiL、区間H(Vi(Nmid)−Vi(Nmax)間)の傾きをゲインGiHとする。
また、疑似入出力応答特性曲線L31は、Vj(Nmin)とVj(Nmid)とを結ぶ線であり、疑似入出力応答特性曲線L32は、Vi(Nmid)とVi(Nmax)とを結ぶ線である。つまり、ゲインGjLは、疑似入出力応答特性曲線L31の傾きであり、ゲインGiHは、疑似入出力応答特性曲線L32の傾きである。つまり、各ゲインを導くための式は以下のようになる。
GkL={Vk(Nmid)−Vk(Nmin)}/{Nmid−Nmin} ・・・(1)
GkH={Vk(Nmax)−Vk(Nmid)}/{Nmax−Nmid} ・・・(2)
GjL={Vj(Nmid)−Vj(Nmin)}/{Nmid−Nmin} ・・・(3)
GjH={Vj(Nmax)−Vj(Nmid)}/{Nmax−Nmid} ・・・(4)
GiL={Vi(Nmid)−Vi(Nmin)}/{Nmid−Nmin} ・・・(5)
GiH={Vi(Nmax)−Vi(Nmid)}/{Nmax−Nmid} ・・・(6)
上記のとおり式(1)は、ゲインGkLを導くための式であり、式(2)は、ゲインGkHを導くための式である。また、式(3)は、ゲインGjLを導くための式であり、式(4)は、ゲインGjHを導くための式である。また、式(5)は、ゲインGiLを導くための式であり、式(6)は、ゲインGiHを導くための式である。
GkH={Vk(Nmax)−Vk(Nmid)}/{Nmax−Nmid} ・・・(2)
GjL={Vj(Nmid)−Vj(Nmin)}/{Nmid−Nmin} ・・・(3)
GjH={Vj(Nmax)−Vj(Nmid)}/{Nmax−Nmid} ・・・(4)
GiL={Vi(Nmid)−Vi(Nmin)}/{Nmid−Nmin} ・・・(5)
GiH={Vi(Nmax)−Vi(Nmid)}/{Nmax−Nmid} ・・・(6)
上記のとおり式(1)は、ゲインGkLを導くための式であり、式(2)は、ゲインGkHを導くための式である。また、式(3)は、ゲインGjLを導くための式であり、式(4)は、ゲインGjHを導くための式である。また、式(5)は、ゲインGiLを導くための式であり、式(6)は、ゲインGiHを導くための式である。
上記各ゲインを求めた後、同一の入出力応答特性曲線のゲインを比較する。同一の入出力応答特性曲線のゲインを比較するための式は以下のようになる。
GkH:GkL・(1±x) ・・・(7)
GjH:GjL・(1±x) ・・・(8)
GiH:GiL・(1±x) ・・・(9)
式(7)は、入出力応答特性曲線L21の区間LのゲインGkLと区間HのゲインGkHを比較するための式である。式(7)の右辺にあるxはゲインの許容範囲を入れるための変数である。たとえば、ゲインの差が5%以内であれば精度保証輝度範囲で線形性を保っていると判断する場合には、xの値が0.05となる。以下同様に、式(8)は、入出力応答特性曲線L22の区間LのゲインGjLと区間HのゲインGjHを比較するための式であり、式(9)は、入出力応答特性曲線L23の区間LのゲインGiLと区間HのゲインGiHを比較するための式である。
GkH:GkL・(1±x) ・・・(7)
GjH:GjL・(1±x) ・・・(8)
GiH:GiL・(1±x) ・・・(9)
式(7)は、入出力応答特性曲線L21の区間LのゲインGkLと区間HのゲインGkHを比較するための式である。式(7)の右辺にあるxはゲインの許容範囲を入れるための変数である。たとえば、ゲインの差が5%以内であれば精度保証輝度範囲で線形性を保っていると判断する場合には、xの値が0.05となる。以下同様に、式(8)は、入出力応答特性曲線L22の区間LのゲインGjLと区間HのゲインGjHを比較するための式であり、式(9)は、入出力応答特性曲線L23の区間LのゲインGiLと区間HのゲインGiHを比較するための式である。
図3は、本実施の形態に係る感度補正処理部が行う感度補正・欠陥判定処理系統図である。図3に示す感度補正処理部140は、スイッチSW11が投入されると、光学系120の前に感度補正基準111を挿入し、低放射輝度基準応答取得指令を出力する。感度補正基準111から放射される放射輝度Nminの最低輝度の赤外線は、光学系120を介して多画素赤外線検知器130に照射される。多画素赤外線検知器130は、感度補正基準111から出力された赤外線を受けると光電変換を行い、感度補正処理部140に対して各画素の生出力信号を送信する。感度補正処理部140は、放射輝度Nminに対する各画素の生出力信号をフレームメモリ141aに保存する。
また、感度補正処理部140は、スイッチSW12が投入されると、光学系120の前に感度補正基準113を挿入し、中放射輝度基準応答取得指令を出力する。感度補正基準113から放射される放射輝度Nmidの中間輝度の赤外線は、光学系120を介して多画素赤外線検知器130に照射される。多画素赤外線検知器130は、感度補正基準113から出力された赤外線を受けると光電変換を行い、感度補正処理部140に対して各画素の生出力信号を送信する。感度補正処理部140は、放射輝度Nmidに対する各画素の生出力信号をフレームメモリ141bに保存する。
また、感度補正処理部140は、スイッチSW13が投入されると、光学系120の前に感度補正基準112を挿入し、高放射輝度基準応答取得指令を出力する。感度補正基準112から放射される放射輝度Nmaxの最高輝度の赤外線は、光学系120を介して多画素赤外線検知器130に照射される。多画素赤外線検知器130は、感度補正基準112から出力された赤外線を受けると光電変換を行い、感度補正処理部140に対して各画素の生出力信号を送信する。感度補正処理部140は、放射輝度Nmaxに対する各画素の生出力信号をフレームメモリ141cに保存する。
感度補正処理部140は、フレームメモリ141aに保存されている放射輝度Nminに対する各画素の生出力信号の出力電圧を各画素の個別オフセットとする。また、全画素平均値算出部142aは、フレームメモリ141aに保存されている放射輝度Nminに対する各画素の生出力信号の出力電圧を読み取り、全画素平均出力を算出する。この全画素平均出力が共通オフセットとなる。
感度補正処理部140は、フレームメモリ141bに保存されている放射輝度Nmidに対する各画素の生出力信号の出力電圧からフレームメモリ141aに保存されている放射輝度Nminに対する各画素の生出力信号の出力電圧を引いて各画素の低輝度ゲインを算出する。また、全画素平均値算出部142bは、各画素の低輝度ゲインを受け、全画素平均ゲインを算出する。各画素ゲイン補正係数算出部143は、各画素の低輝度ゲインと全画素平均ゲインからゲイン補正係数を算出する。
感度補正処理部140は、フレームメモリ141cに保存されている放射輝度Nmaxに対する各画素の生出力信号の出力電圧からフレームメモリ141bに保存されている放射輝度Nmidに対する各画素の生出力信号の出力電圧を引いて各画素の高輝度ゲインを算出する。そして、ゲイン比較部144は、各画素の低輝度ゲインと高輝度ゲインを比較することにより、対象画素が欠陥画素か否かを判定する。変換マップデータ生成部145は、欠陥画素と判定された画素のアドレスデータを受け取ると、当該欠陥画素の近辺の正常画素を探索し、欠陥画素のアドレスデータと当該正常画素のアドレスデータの関係を示すアドレス変換マップを生成する。欠陥画素の近辺の正常画素を探索する方法としては、具体的には、欠陥画素と判定された画素の左隣、右隣、上隣、下隣の順に正常画素を探索し、最初に正常画素と判断された画素を欠陥画素の置換元の画素とする。
そして、感度補正処理部140は、算出した各画素の個別オフセット、ゲイン補正係数、および共通オフセットを用いて感度補正処理を行い、感度補正処理を行った電気信号を感度補正後信号として出力する。
図4は、本実施の形態に係る欠陥画素置換処理部が行う欠陥画素置換処理系統図である。図4に示す欠陥画素置換処理部150は、フレームメモリ151、書込アドレス発生部152、順次アドレス発生部153、およびアドレス変換部154を備えている。
フレームメモリ151は、感度補正後の出力信号である感度補正後信号をいったん記憶する。そして、欠陥画素と判定された画素を含む場合には、欠陥画素置換処理が行われて欠陥置換処理後信号として読み出される。書込アドレス発生部152は、フレーム同期、走査線同期、画素クロックの3つの同期信号を用いて書込アドレスを生成する。また、順次アドレス発生部153は、書込アドレス発生部152と同様に、入力される3つの同期信号によって順次アドレスを生成する。アドレス変換部154は、順次アドレスの欠陥画素と判定された画素アドレスを、アドレス変換マップを用いて欠陥画素と置換する正常画素の画素アドレスに変換し、読出アドレスとして出力する。
アドレス変換部154がアドレス変換を行ったときの書込アドレスと読出アドレスを図5に示す。
図5は、アドレス変換を行ったときのアドレスデータのデータ構造を示す図である。図5に示すアドレスデータ300は、上から書込アドレス、欠陥画素の左隣の正常画素と置換する場合の読出アドレス、欠陥画素の右隣の正常画素と置換する場合の読出アドレス、欠陥画素の上隣の正常画素と置換する場合の読出アドレス、欠陥画素の下隣の正常画素と置換する場合の読出アドレスである。欠陥画素の画素アドレスは(i,j)であるとする。
図5は、アドレス変換を行ったときのアドレスデータのデータ構造を示す図である。図5に示すアドレスデータ300は、上から書込アドレス、欠陥画素の左隣の正常画素と置換する場合の読出アドレス、欠陥画素の右隣の正常画素と置換する場合の読出アドレス、欠陥画素の上隣の正常画素と置換する場合の読出アドレス、欠陥画素の下隣の正常画素と置換する場合の読出アドレスである。欠陥画素の画素アドレスは(i,j)であるとする。
書込アドレスは、書込アドレス発生部152によって撮像素子の走査方向と同様に、左から右へ、上から下へ順にアドレスが生成されている。そして、フレームメモリ151から各画素の出力信号が読み出されるとき、読出アドレスを変化させることによって置換処理を行う。
欠陥画素を左隣の正常画素と置換するときには、アドレスデータ300の2段目に記載されているとおり、欠陥画素の画素アドレスである(i,j)に対応する画素アドレスが欠陥画素の左隣の画素アドレスである(i−1,j)に変更される。以下同様に、右隣の正常画素と置換するときには、欠陥画素の右隣の画素アドレスである(i+1,j)に、上隣の正常画素と置換するときには、欠陥画素の上隣の画素アドレスである(i,j−1)に、下隣の正常画素と置換するときには、欠陥画素の下隣の画素アドレスである(i,j+1)に変更される。
図6は、本実施の形態に係る赤外線撮像装置が行う感度補正・欠陥判定処理の処理手順を示すフローチャートである。以下、図6に示す処理をステップ番号に沿って説明する。
〔ステップS11〕赤外線撮像装置100は、低放射輝度応答取得指令信号を受信すると、赤外線撮像装置100における光路の光学系120の前もしくは光学系120の複数のレンズの間に感度補正基準111を挿入する。すると、感度補正基準111が放射する放射輝度Nminの赤外線が光学系120を介して多画素赤外線検知器130が備える多数の赤外線検知画素に一様に照射される。そして、多画素赤外線検知器130は、照射された放射輝度Nminの赤外線を光電変換し、各画素の生出力信号として出力する。
〔ステップS11〕赤外線撮像装置100は、低放射輝度応答取得指令信号を受信すると、赤外線撮像装置100における光路の光学系120の前もしくは光学系120の複数のレンズの間に感度補正基準111を挿入する。すると、感度補正基準111が放射する放射輝度Nminの赤外線が光学系120を介して多画素赤外線検知器130が備える多数の赤外線検知画素に一様に照射される。そして、多画素赤外線検知器130は、照射された放射輝度Nminの赤外線を光電変換し、各画素の生出力信号として出力する。
〔ステップS12〕フレームメモリ141aは、放射輝度Nminの赤外線が光電変換されることによって出力された生出力信号を保存する。
〔ステップS13〕赤外線撮像装置100は、中放射輝度応答取得指令信号を受信すると、赤外線撮像装置100における光路の光学系120の前もしくは光学系120の複数のレンズの間に感度補正基準113を挿入する。すると、感度補正基準113が放射する放射輝度Nmidの赤外線が光学系120を介して多画素赤外線検知器130が備える多数の赤外線検知画素に一様に照射される。そして、多画素赤外線検知器130は、照射された放射輝度Nmidの赤外線を光電変換し、各画素の生出力信号として出力する。
〔ステップS13〕赤外線撮像装置100は、中放射輝度応答取得指令信号を受信すると、赤外線撮像装置100における光路の光学系120の前もしくは光学系120の複数のレンズの間に感度補正基準113を挿入する。すると、感度補正基準113が放射する放射輝度Nmidの赤外線が光学系120を介して多画素赤外線検知器130が備える多数の赤外線検知画素に一様に照射される。そして、多画素赤外線検知器130は、照射された放射輝度Nmidの赤外線を光電変換し、各画素の生出力信号として出力する。
〔ステップS14〕フレームメモリ141bは、放射輝度Nmidの赤外線が光電変換されることによって出力された生出力信号を保存する。
〔ステップS15〕赤外線撮像装置100は、高放射輝度応答取得指令信号を受信すると、赤外線撮像装置100における光路の光学系120の前もしくは光学系120の複数のレンズの間に感度補正基準112を挿入する。すると、感度補正基準112が放射する放射輝度Nmaxの赤外線が光学系120を介して多画素赤外線検知器130が備える多数の赤外線検知画素に一様に照射される。そして、多画素赤外線検知器130は、照射された放射輝度Nmaxの赤外線を光電変換し、各画素の生出力信号として出力する。
〔ステップS15〕赤外線撮像装置100は、高放射輝度応答取得指令信号を受信すると、赤外線撮像装置100における光路の光学系120の前もしくは光学系120の複数のレンズの間に感度補正基準112を挿入する。すると、感度補正基準112が放射する放射輝度Nmaxの赤外線が光学系120を介して多画素赤外線検知器130が備える多数の赤外線検知画素に一様に照射される。そして、多画素赤外線検知器130は、照射された放射輝度Nmaxの赤外線を光電変換し、各画素の生出力信号として出力する。
〔ステップS16〕フレームメモリ141cは、放射輝度Nmaxの赤外線が光電変換されることによって出力された生出力信号を保存する。
〔ステップS17〕感度補正処理部140は、フレームメモリ141aに保存されている放射輝度Nminの赤外線が光電変換されることによって出力された生出力信号の各画素の出力電圧を各画素のオフセットである個別オフセットとする。また、全画素平均値算出部142aは、放射輝度Nminの赤外線が光電変換されることによって出力された生出力信号の全画素の出力電圧の平均値を算出し、算出した平均出力電圧を共通オフセットとする。
〔ステップS17〕感度補正処理部140は、フレームメモリ141aに保存されている放射輝度Nminの赤外線が光電変換されることによって出力された生出力信号の各画素の出力電圧を各画素のオフセットである個別オフセットとする。また、全画素平均値算出部142aは、放射輝度Nminの赤外線が光電変換されることによって出力された生出力信号の全画素の出力電圧の平均値を算出し、算出した平均出力電圧を共通オフセットとする。
〔ステップS18〕感度補正処理部140は、フレームメモリ141bに保存されている放射輝度Nmidの赤外線が光電変換されることによって出力された生出力信号の各画素の出力電圧からフレームメモリ141aに保存されている放射輝度Nminの赤外線が光電変換されることによって出力された生出力信号の各画素の出力電圧を引くことによって各画素の低輝度ゲインを算出し、各画素ゲイン補正係数算出部143、全画素平均値算出部142b、およびゲイン比較部144へ出力する。また、全画素平均値算出部142bは、各画素の低輝度ゲインを受け取ると、全画素の低輝度ゲインの平均値を算出し、各画素ゲイン補正係数算出部143へ出力する。各画素ゲイン補正係数算出部143は、各画素の低輝度ゲインと全画素の低輝度ゲインの平均値を受け取ると、ゲイン補正係数を算出する。
〔ステップS19〕感度補正処理部140は、フレームメモリ141cに保存されている放射輝度Nmaxの赤外線が光電変換されることによって出力された生出力信号の各画素の出力電圧からフレームメモリ141bに保存されている放射輝度Nmidの赤外線が光電変換されることによって出力された生出力信号の各画素の出力電圧を引くことによって各画素の高輝度ゲインを算出し、ゲイン比較部144へ出力する。
〔ステップS20〕ゲイン比較部144は、各画素の低輝度ゲインと高輝度ゲインを比較する。そして、低輝度ゲインと高輝度ゲインの差異が大きい画素を欠陥画素と判定する。
〔ステップS21〕ゲイン比較部144は、欠陥画素と判定した画素の画素アドレスを抽出し、記録する。
〔ステップS22〕ゲイン比較部144は、欠陥画素と判定した画素の左隣、右隣、上隣、下隣の順に正常画素を探索する。そして、最初に見つかった正常画素を欠陥画素に対する置換元の画素とするために、当該正常画素の画素アドレスを記録する。
〔ステップS22〕ゲイン比較部144は、欠陥画素と判定した画素の左隣、右隣、上隣、下隣の順に正常画素を探索する。そして、最初に見つかった正常画素を欠陥画素に対する置換元の画素とするために、当該正常画素の画素アドレスを記録する。
〔ステップS23〕変換マップデータ生成部145は、欠陥画素の画素アドレスと、置換元の正常画素の画素アドレスの関係を示すアドレス変換マップを生成する。
〔ステップS24〕感度補正処理部140は、個別オフセット、ゲイン補正係数、および共通オフセットを各パラメータレジスタにセットする。また、アドレス変換マップを欠陥画素置換処理部150に対して出力する。欠陥画素置換処理部150のアドレス変換部154は、アドレス変換マップを受け取ると、パラメータレジスタにセットする。
〔ステップS24〕感度補正処理部140は、個別オフセット、ゲイン補正係数、および共通オフセットを各パラメータレジスタにセットする。また、アドレス変換マップを欠陥画素置換処理部150に対して出力する。欠陥画素置換処理部150のアドレス変換部154は、アドレス変換マップを受け取ると、パラメータレジスタにセットする。
〔ステップS25〕赤外線撮像装置100は、感度補正基準110を収納する。つまり、感度補正基準110が赤外線撮像装置100内の光路から外されることによって撮像が可能な状態にする。そして、赤外線撮像装置100は、撮像開始指令を受けると感度補正処理および欠陥画素置換処理を行いながら撮像を行う。
以上のような処理を行うことにより、精度の高い欠陥画素判定を行うことができる。したがって、焦点面における像のサイズが1〜2画素しかない微小目標に対しても精密な放射計測を行うことができる。
〔第2の実施の形態〕
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。本実施の形態の赤外線撮像装置は、4点の放射輝度を用いて欠陥画素判定を行うことが異なる以外は、第1の実施の形態で示した構成と同様である。このため、上記第1の実施の形態とほぼ同様の構成部分については同一の符号を付すなどして適宜その説明は省略する。
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。本実施の形態の赤外線撮像装置は、4点の放射輝度を用いて欠陥画素判定を行うことが異なる以外は、第1の実施の形態で示した構成と同様である。このため、上記第1の実施の形態とほぼ同様の構成部分については同一の符号を付すなどして適宜その説明は省略する。
図7は、本実施の形態に適用される発明の概念図である。図7に示す赤外線撮像装置2100は、感度補正基準2110、光学系120、多画素赤外線検知器130、感度補正処理部2140、欠陥画素置換処理部150、および画像情報処理部160を具備している。
感度補正基準2110は、ペルチェ素子などの温度制御可能な素子からなり、均一な基準温度の赤外線を放射する。また、最低輝度の赤外線を放射する感度補正基準2111、最高輝度の赤外線を放射する感度補正基準2112、感度補正基準2111と感度補正基準2112の中間輝度1の赤外線を放射する感度補正基準2113、および中間輝度2の赤外線を放射する感度補正基準2114から4種類の赤外線を放射する。
感度補正処理部2140は、多画素赤外線検知器130から受けた出力信号を用いて感度補正を行い、感度補正後信号を出力する。また、感度補正後信号および感度補正を行っていない出力信号である生出力信号などを用いて欠陥画素か否かを判定する。欠陥画素置換処理部150は、欠陥画素と判定された画素の出力信号を欠陥画素の近辺の正常画素の出力信号に置換し、欠陥画素置換処理後信号として出力する。
感度補正基準2110は、感度補正処理を行うときには、光学系120の手前もしくは光学系120内の複数のレンズの間に挿入され、感度補正基準2110から放射された赤外線が光学系120を通して多画素赤外線検知器130の赤外線検知画素に対して一様に照射される。多画素赤外線検知器130は、照射された一様な赤外線を光電変換し、電気信号として出力する。
感度補正処理部2140は、多画素赤外線検知器130の赤外線検知画素ごとにゲイン補正、オフセット補正などを行うことにより感度を補正する。また、入出力応答特性が平均的な画素の特性からかけ離れた画素は、欠陥画素と判定して感度補正を行わない。欠陥画素置換処理部150は、欠陥画素と判定された画素からの出力信号を欠陥画素と判定された画素の近辺の画素から出力された信号と置換する。画像情報処理部160は、AGC(Automatic Gain Control)/ALC(Automatic Level Control)処理などの画像表示処理を施す。
図8は、本実施の形態に係る入出力応答特性グラフである。図8に示す入出力応答特性グラフ2200は、本実施の形態に係る赤外線撮像装置2100が備える多数の赤外線検知画素のうちの一部の画素についての入出力応答特性を示している。
放射輝度線L211は、感度補正基準2111が放射する感度補正基準2110の中で最低輝度の赤外線の放射輝度Nminを示している。放射輝度線L212は、感度補正基準2112が放射する感度補正基準2110の中で最高輝度の赤外線の放射輝度Nmaxを示している。放射輝度線L213は、感度補正基準2113が放射する感度補正基準2111と感度補正基準2112の中間輝度1の赤外線の放射輝度Nm1を示している。放射輝度線L214は、感度補正基準2114が放射する感度補正基準2111と感度補正基準2112の中間輝度2の赤外線の放射輝度Nm2を示している。
放射輝度線L211、L212を両端とする範囲は、放射計測精度を要する輝度範囲であり、入出力応答特性グラフ2200においては、精度保証輝度範囲とする。また、精度保証輝度範囲内に設けられた放射輝度線L213、L214により区切られた3つの区間を放射輝度が低い方(L211−L213間)を区間Lとし、放射輝度が高い方(L214−L212間)を区間Hとし、区間Lと区間Hに挟まれた区間(L213−L214間)を区間Mとする。
入出力応答特性曲線L221は、多数の赤外線検知画素で構成される赤外線検知アレイを考えたときのある一点である(Xk,Yk)画素の入出力応答特性を示している。入出力応答特性曲線L222は、(Xj,Yj)画素の入出力応答特性を示している。入出力応答特性曲線L223は、(Xi,Yi)画素の入出力応答特性を示している。
入出力応答特性曲線L221の放射輝度Nmax、Nmin、Nm1、Nm2における出力電圧をそれぞれVk(Nmax)、Vk(Nmin)、Vk(Nm1)、Vk(Nm2)とする。また、入出力応答特性曲線L222の放射輝度Nmax、Nmin、Nm1、Nm2における出力電圧をそれぞれVj(Nmax)、Vj(Nmin)、Vj(Nm1)、Vj(Nm2)とする。また、入出力応答特性曲線L223の放射輝度Nmax、Nmin、Nm1、Nm2における出力電圧をそれぞれVi(Nmax)、Vi(Nmin)、Vi(Nm1)、Vi(Nm2)とする。
出力電圧Vk(Nmax)は、感度補正処理部2140が感度補正処理を行うときに感度補正基準2112が赤外線撮像装置100内の光路に挿入されて、放射輝度Nmaxの赤外線が光学系120を介して多画素赤外線検知器130に照射され、光電変換されることによって出力される生出力信号の出力電圧である。以下同様に、出力電圧Vk(Nm1)は、感度補正基準2113が光路に挿入されたときに多画素赤外線検知器130から出力される生出力信号の出力電圧であり、出力電圧Vk(Nm2)は、感度補正基準2114が光路に挿入されたときに多画素赤外線検知器130から出力される生出力信号の出力電圧であり、出力電圧Vk(Nmin)は、感度補正基準2111が光路に挿入されたときに多画素赤外線検知器130から出力される生出力信号の出力電圧である。
つまり、感度補正処理部2140による感度補正処理が行われるときには、入出力応答特性曲線の4点の出力電圧を知ることができる。この入出力応答特性曲線の4点の出力電圧を用いて区間L、区間M、および区間Hにおけるゲインを算出し、比較することによって精度保証輝度範囲に非線形領域を含むか否かを判断する。そして、非線形領域が含まれていると判断した場合には、その画素を欠陥画素と判定する。
入出力応答特性曲線L221の区間L(Vk(Nmin)−Vk(Nm1)間)の傾きをゲインGkL、区間M(Vk(Nm1)−Vk(Nm2)間)の傾きをゲインGkM、区間H(Vk(Nm2)−Vk(Nmax)間)の傾きをゲインGkHとし、入出力応答特性曲線L222の区間L(Vj(Nmin)−Vj(Nm1)間)の傾きをゲインGjL、区間M(Vj(Nm1)−Vj(Nm2)間)の傾きをゲインGjM、区間H(Vj(Nm2)−Vj(Nmax)間)の傾きをゲインGjHとし、入出力応答特性曲線L223の区間L(Vi(Nmin)−Vi(Nm1)間)の傾きをゲインGiL、区間M(Vi(Nm1)−Vi(Nm2)間)の傾きをゲインGiM、区間H(Vi(Nm2)−Vi(Nmax)間)の傾きをゲインGiHとする。
また、疑似入出力応答特性曲線L231は、Vj(Nmin)とVj(Nm1)とを結ぶ線であり、疑似入出力応答特性曲線L232は、Vj(Nm1)とVj(Nm2)とを結ぶ線であり、疑似入出力応答特性曲線L233は、Vi(Nm2)とVi(Nmax)とを結ぶ線である。つまり、ゲインGjLは、疑似入出力応答特性曲線L231の傾きであり、ゲインGjMは、疑似入出力応答特性曲線L232の傾きであり、ゲインGiHは、疑似入出力応答特性曲線L233の傾きである。つまり、各ゲインを導くための式は以下のようになる。
GkL={Vk(Nm1)−Vk(Nmin)}/{Nm1−Nmin} ・・・(10)
GkM={Vk(Nm2)−Vk(Nm1)}/{Nm2−Nm1} ・・・(11)
GkH={Vk(Nmax)−Vk(Nm2)}/{Nmax−Nm2} ・・・(12)
GjL={Vj(Nm1)−Vj(Nmin)}/{Nm1−Nmin} ・・・(13)
GjM={Vj(Nm2)−Vj(Nm1)}/{Nm2−Nm1} ・・・(14)
GjH={Vj(Nmax)−Vj(Nm2)}/{Nmax−Nm2} ・・・(15)
GiL={Vi(Nm1)−Vi(Nmin)}/{Nm1−Nmin} ・・・(16)
GiM={Vi(Nm2)−Vi(Nm1)}/{Nm2−Nm1} ・・・(17)
GiH={Vi(Nmax)−Vi(Nm2)}/{Nmax−Nm2} ・・・(18)
上記のとおり式(10)は、ゲインGkLを導くための式であり、式(11)は、ゲインGkMを導くための式であり、式(12)は、ゲインGkHを導くための式である。また、式(13)は、ゲインGjLを導くための式であり、式(14)は、ゲインGjMを導くための式であり、式(15)は、ゲインGjHを導くための式である。また、式(16)は、ゲインGiLを導くための式であり、式(17)は、ゲインGiMを導くための式であり、式(18)は、ゲインGiHを導くための式である。
GkM={Vk(Nm2)−Vk(Nm1)}/{Nm2−Nm1} ・・・(11)
GkH={Vk(Nmax)−Vk(Nm2)}/{Nmax−Nm2} ・・・(12)
GjL={Vj(Nm1)−Vj(Nmin)}/{Nm1−Nmin} ・・・(13)
GjM={Vj(Nm2)−Vj(Nm1)}/{Nm2−Nm1} ・・・(14)
GjH={Vj(Nmax)−Vj(Nm2)}/{Nmax−Nm2} ・・・(15)
GiL={Vi(Nm1)−Vi(Nmin)}/{Nm1−Nmin} ・・・(16)
GiM={Vi(Nm2)−Vi(Nm1)}/{Nm2−Nm1} ・・・(17)
GiH={Vi(Nmax)−Vi(Nm2)}/{Nmax−Nm2} ・・・(18)
上記のとおり式(10)は、ゲインGkLを導くための式であり、式(11)は、ゲインGkMを導くための式であり、式(12)は、ゲインGkHを導くための式である。また、式(13)は、ゲインGjLを導くための式であり、式(14)は、ゲインGjMを導くための式であり、式(15)は、ゲインGjHを導くための式である。また、式(16)は、ゲインGiLを導くための式であり、式(17)は、ゲインGiMを導くための式であり、式(18)は、ゲインGiHを導くための式である。
上記各ゲインを求めた後、同一の入出力応答特性曲線の区間Lのゲインと区間Mのゲイン、および区間Mのゲインと区間Hのゲインを比較する。同一の入出力応答特性曲線の各ゲインを比較するための式は以下のようになる。
GkL:GkM・(1±x) ・・・(19)
GkH:GkM・(1±x) ・・・(20)
GjL:GjM・(1±x) ・・・(21)
GjH:GjM・(1±x) ・・・(22)
GiL:GiM・(1±x) ・・・(23)
GiH:GiM・(1±x) ・・・(24)
式(19)は、入出力応答特性曲線L221の区間LのゲインGkLと区間MのゲインGkMを比較するための式であり、式(20)は、入出力応答特性曲線L221の区間HのゲインGkHと区間MのゲインGkMを比較するための式である。式(19)および式(20)の右辺にあるxはゲインの許容範囲を入れるための変数である。たとえば、ゲインの差が5%以内であれば精度保証輝度範囲で線形性を保っていると判断する場合には、xの値が0.5となる。また、入出力応答特性曲線L221において、式(19)と式(20)の両方を満たしたときに正常画素と判断する。
GkH:GkM・(1±x) ・・・(20)
GjL:GjM・(1±x) ・・・(21)
GjH:GjM・(1±x) ・・・(22)
GiL:GiM・(1±x) ・・・(23)
GiH:GiM・(1±x) ・・・(24)
式(19)は、入出力応答特性曲線L221の区間LのゲインGkLと区間MのゲインGkMを比較するための式であり、式(20)は、入出力応答特性曲線L221の区間HのゲインGkHと区間MのゲインGkMを比較するための式である。式(19)および式(20)の右辺にあるxはゲインの許容範囲を入れるための変数である。たとえば、ゲインの差が5%以内であれば精度保証輝度範囲で線形性を保っていると判断する場合には、xの値が0.5となる。また、入出力応答特性曲線L221において、式(19)と式(20)の両方を満たしたときに正常画素と判断する。
以下同様に、式(21)は、入出力応答特性曲線L222の区間LのゲインGjLと区間MのゲインGjMを比較するための式であり、式(22)は、入出力応答特性曲線L222の区間HのゲインGjHと区間MのゲインGjMを比較するための式である。また、式(23)は、入出力応答特性曲線L223の区間LのゲインGiLと区間MのゲインGiMを比較するための式であり、式(24)は、入出力応答特性曲線L223の区間HのゲインGiHと区間MのゲインGiMを比較するための式である。
図9は、本実施の形態に係る感度補正処理部が行う感度補正・欠陥判定処理系統図である。図9に示す感度補正処理部2140は、スイッチSW211が投入されると、光学系120の前に感度補正基準2111を挿入し、低放射輝度基準応答取得指令を出力する。感度補正基準2111から放射される放射輝度Nminの最低輝度の赤外線は、光学系120を介して多画素赤外線検知器130に照射される。多画素赤外線検知器130は、感度補正基準2111から出力された赤外線を受けると光電変換を行い、感度補正処理部2140に対して各画素の生出力信号を送信する。感度補正処理部2140は、放射輝度Nminに対する各画素の生出力信号をフレームメモリ2141aに保存する。
また、感度補正処理部2140は、スイッチSW212が投入されると、光学系120の前に感度補正基準2113を挿入し、中放射輝度1基準応答取得指令を出力する。感度補正基準2113から放射される放射輝度Nm1の中間輝度1の赤外線は、光学系120を介して多画素赤外線検知器130に照射される。多画素赤外線検知器130は、感度補正基準2113から出力された赤外線を受けると光電変換を行い、感度補正処理部2140に対して各画素の生出力信号を送信する。感度補正処理部2140は、放射輝度Nm1に対する各画素の生出力信号をフレームメモリ2141bに保存する。
また、感度補正処理部2140は、スイッチSW213が投入されると、光学系120の前に感度補正基準2114を挿入し、中放射輝度2基準応答取得指令を出力する。感度補正基準2114から放射される放射輝度Nm2の中間輝度2の赤外線は、光学系120を介して多画素赤外線検知器130に照射される。多画素赤外線検知器130は、感度補正基準113から出力された赤外線を受けると光電変換を行い、感度補正処理部2140に対して各画素の生出力信号を送信する。感度補正処理部2140は、放射輝度Nm2に対する各画素の生出力信号をフレームメモリ2141cに保存する。
また、感度補正処理部2140は、スイッチSW214が投入されると、光学系120の前に感度補正基準2112を挿入し、高放射輝度基準応答取得指令を出力する。感度補正基準2112から放射される放射輝度Nmaxの最高輝度の赤外線は、光学系120を介して多画素赤外線検知器130に照射される。多画素赤外線検知器130は、感度補正基準2112から出力された赤外線を受けると光電変換を行い、感度補正処理部2140に対して各画素の生出力信号を送信する。感度補正処理部2140は、放射輝度Nmaxに対する各画素の生出力信号をフレームメモリ2141dに保存する。
感度補正処理部2140は、フレームメモリ2141bに保存されている放射輝度Nm1に対する各画素の生出力信号の出力電圧を各画素の個別オフセットとする。また、全画素平均値算出部2142aは、フレームメモリ2141bに保存されている放射輝度Nm1に対する各画素の生出力信号の出力電圧を読み取り、全画素平均出力を算出する。この全画素平均出力が共通オフセットとなる。
感度補正処理部2140は、フレームメモリ2141cに保存されている放射輝度Nm2に対する各画素の生出力信号の出力電圧からフレームメモリ2141bに保存されている放射輝度Nm1に対する各画素の生出力信号の出力電圧を引いて各画素の中輝度ゲインを算出する。また、全画素平均値算出部2142bは、各画素の中輝度ゲインを受け、全画素平均ゲインを算出する。各画素ゲイン補正係数算出部2143は、各画素の中輝度ゲインと全画素平均ゲインからゲイン補正係数を算出する。
感度補正処理部2140は、フレームメモリ2141bに保存されている放射輝度Nm1に対する各画素の生出力信号の出力電圧からフレームメモリ2141aに保存されている放射輝度Nminに対する各画素の生出力信号の出力電圧を引いて各画素の低輝度ゲインを算出する。また、感度補正処理部2140は、フレームメモリ2141dに保存されている放射輝度Nmaxに対する各画素の生出力信号の出力電圧からフレームメモリ2141cに保存されている放射輝度Nm2に対する各画素の生出力信号の出力電圧を引いて各画素の高輝度ゲインを算出する。
ゲイン比較部2144aは、各画素の低輝度ゲインと中輝度ゲインを比較する。また、ゲイン比較部2144bは、各画素の中輝度ゲインと高輝度ゲインを比較する。そして、ゲイン直線性判定部2144cは、ゲイン比較部2144aとゲイン比較部2144bの比較結果を受け、対象画素が欠陥画素か否かを判定する。
変換マップデータ生成部2145は、欠陥画素と判定された画素のアドレスデータを受け取ると、当該欠陥画素の近辺の正常画素を探索し、欠陥画素のアドレスデータと当該正常画素のアドレスデータの関係を示すアドレス変換マップを生成する。欠陥画素の近辺の正常画素を探索する方法としては、具体的には、欠陥画素と判定された画素の左隣、右隣、上隣、下隣の順に正常画素を探索し、最初に正常画素と判断された画素を欠陥画素の置換元の画素とする。
そして、感度補正処理部2140は、算出した各画素の個別オフセット、ゲイン補正係数、および共通オフセットを用いて感度補正処理を行い、感度補正処理を行った電気信号を感度補正後信号として出力する。
図10は、本実施の形態に係る赤外線撮像装置が行う感度補正・欠陥判定処理の処理手順を示すフローチャートである。以下、図10に示す処理をステップ番号に沿って説明する。
〔ステップS31〕赤外線撮像装置2100は、低放射輝度応答取得指令信号を受信すると、赤外線撮像装置2100における光路の光学系120の前もしくは光学系120の複数のレンズの間に感度補正基準2111を挿入する。すると、感度補正基準2111が放射する放射輝度Nminの赤外線が光学系120を介して多画素赤外線検知器130が備える多数の赤外線検知画素に一様に照射される。そして、多画素赤外線検知器130は、照射された放射輝度Nminの赤外線を光電変換し、各画素の生出力信号として出力する。
〔ステップS32〕フレームメモリ2141aは、放射輝度Nminの赤外線が光電変換されることによって出力された生出力信号を保存する。
〔ステップS33〕赤外線撮像装置2100は、中放射輝度1応答取得指令信号を受信すると、赤外線撮像装置2100における光路の光学系120の前もしくは光学系120の複数のレンズの間に感度補正基準2113を挿入する。すると、感度補正基準2113が放射する放射輝度Nm1の赤外線が光学系120を介して多画素赤外線検知器130が備える多数の赤外線検知画素に一様に照射される。そして、多画素赤外線検知器130は、照射された放射輝度Nm1の赤外線を光電変換し、各画素の生出力信号として出力する。
〔ステップS33〕赤外線撮像装置2100は、中放射輝度1応答取得指令信号を受信すると、赤外線撮像装置2100における光路の光学系120の前もしくは光学系120の複数のレンズの間に感度補正基準2113を挿入する。すると、感度補正基準2113が放射する放射輝度Nm1の赤外線が光学系120を介して多画素赤外線検知器130が備える多数の赤外線検知画素に一様に照射される。そして、多画素赤外線検知器130は、照射された放射輝度Nm1の赤外線を光電変換し、各画素の生出力信号として出力する。
〔ステップS34〕フレームメモリ2141bは、放射輝度Nm1の赤外線が光電変換されることによって出力された生出力信号を保存する。
〔ステップS35〕赤外線撮像装置2100は、中放射輝度2応答取得指令信号を受信すると、赤外線撮像装置2100における光路の光学系120の前もしくは光学系120の複数のレンズの間に感度補正基準2114を挿入する。すると、感度補正基準2114が放射する放射輝度Nm2の赤外線が光学系120を介して多画素赤外線検知器130が備える多数の赤外線検知画素に一様に照射される。そして、多画素赤外線検知器130は、照射された放射輝度Nm2の赤外線を光電変換し、各画素の生出力信号として出力する。
〔ステップS35〕赤外線撮像装置2100は、中放射輝度2応答取得指令信号を受信すると、赤外線撮像装置2100における光路の光学系120の前もしくは光学系120の複数のレンズの間に感度補正基準2114を挿入する。すると、感度補正基準2114が放射する放射輝度Nm2の赤外線が光学系120を介して多画素赤外線検知器130が備える多数の赤外線検知画素に一様に照射される。そして、多画素赤外線検知器130は、照射された放射輝度Nm2の赤外線を光電変換し、各画素の生出力信号として出力する。
〔ステップS36〕フレームメモリ2141cは、放射輝度Nm2の赤外線が光電変換されることによって出力された生出力信号を保存する。
〔ステップS37〕赤外線撮像装置2100は、高放射輝度応答取得指令信号を受信すると、赤外線撮像装置2100における光路の光学系120の前もしくは光学系120の複数のレンズの間に感度補正基準2112を挿入する。すると、感度補正基準2112が放射する放射輝度Nmaxの赤外線が光学系120を介して多画素赤外線検知器130が備える多数の赤外線検知画素に一様に照射される。そして、多画素赤外線検知器130は、照射された放射輝度Nmaxの赤外線を光電変換し、各画素の生出力信号として出力する。
〔ステップS37〕赤外線撮像装置2100は、高放射輝度応答取得指令信号を受信すると、赤外線撮像装置2100における光路の光学系120の前もしくは光学系120の複数のレンズの間に感度補正基準2112を挿入する。すると、感度補正基準2112が放射する放射輝度Nmaxの赤外線が光学系120を介して多画素赤外線検知器130が備える多数の赤外線検知画素に一様に照射される。そして、多画素赤外線検知器130は、照射された放射輝度Nmaxの赤外線を光電変換し、各画素の生出力信号として出力する。
〔ステップS38〕フレームメモリ2141dは、放射輝度Nmaxの赤外線が光電変換されることによって出力された生出力信号を保存する。
〔ステップS39〕感度補正処理部2140は、フレームメモリ2141bに保存されている放射輝度Nm1の赤外線が光電変換されることによって出力された生出力信号の各画素の出力電圧を各画素のオフセットである個別オフセットとする。また、全画素平均値算出部2142aは、放射輝度Nm1の赤外線が光電変換されることによって出力された生出力信号の全画素の出力電圧の平均値を算出し、算出した平均出力電圧を共通オフセットとする。
〔ステップS39〕感度補正処理部2140は、フレームメモリ2141bに保存されている放射輝度Nm1の赤外線が光電変換されることによって出力された生出力信号の各画素の出力電圧を各画素のオフセットである個別オフセットとする。また、全画素平均値算出部2142aは、放射輝度Nm1の赤外線が光電変換されることによって出力された生出力信号の全画素の出力電圧の平均値を算出し、算出した平均出力電圧を共通オフセットとする。
〔ステップS40〕感度補正処理部2140は、フレームメモリ2141cに保存されている放射輝度Nm2の赤外線が光電変換されることによって出力された生出力信号の各画素の出力電圧からフレームメモリ2141bに保存されている放射輝度Nm1の赤外線が光電変換されることによって出力された生出力信号の各画素の出力電圧を引くことによって各画素の中輝度ゲインを算出し、各画素ゲイン補正係数算出部2143、全画素平均値算出部2142b、およびゲイン比較部2144a、2144bへ出力する。また、全画素平均値算出部2142bは、各画素の中輝度ゲインを受け取ると、全画素の中輝度ゲインの平均値を算出し、各画素ゲイン補正係数算出部2143へ出力する。各画素ゲイン補正係数算出部2143は、各画素の中輝度ゲインと全画素の中輝度ゲインの平均値を受け取ると、ゲイン補正係数を算出する。
〔ステップS41〕感度補正処理部2140は、フレームメモリ2141bに保存されている放射輝度Nm1の赤外線が光電変換されることによって出力された生出力信号の各画素の出力電圧からフレームメモリ2141aに保存されている放射輝度Nminの赤外線が光電変換されることによって出力された生出力信号の各画素の出力電圧を引くことによって各画素の低輝度ゲインを算出し、ゲイン比較部2144aへ出力する。
〔ステップS42〕感度補正処理部2140は、フレームメモリ2141dに保存されている放射輝度Nmaxの赤外線が光電変換されることによって出力された生出力信号の各画素の出力電圧からフレームメモリ2141cに保存されている放射輝度Nm2の赤外線が光電変換されることによって出力された生出力信号の各画素の出力電圧を引くことによって各画素の高輝度ゲインを算出し、ゲイン比較部2144bへ出力する。
〔ステップS43〕ゲイン比較部2144aは、各画素の低輝度ゲインと中輝度ゲインを比較し、比較結果をゲイン直線性判定部2144cに出力する。また、ゲイン比較部2144bは、各画素の中輝度ゲインと高輝度ゲインを比較し、比較結果をゲイン直線性判定部2144cに出力する。そして、ゲイン直線性判定部2144cは、低輝度ゲインと中輝度ゲインの差異もしくは中輝度ゲインと高輝度ゲインの差異が大きい画素を欠陥画素と判定する。
〔ステップS44〕ゲイン直線性判定部2144cは、欠陥画素と判定した画素の画素アドレスを抽出し、記録する。
〔ステップS45〕ゲイン直線性判定部2144cは、欠陥画素と判定した画素の左隣、右隣、上隣、下隣の順に正常画素を探索する。そして、最初に見つかった正常画素を欠陥画素に対する置換元の画素とするために、当該正常画素の画素アドレスを記録する。
〔ステップS45〕ゲイン直線性判定部2144cは、欠陥画素と判定した画素の左隣、右隣、上隣、下隣の順に正常画素を探索する。そして、最初に見つかった正常画素を欠陥画素に対する置換元の画素とするために、当該正常画素の画素アドレスを記録する。
〔ステップS46〕変換マップデータ生成部2145は、欠陥画素の画素アドレスと、置換元の正常画素の画素アドレスの関係を示すアドレス変換マップを生成する。
〔ステップS47〕感度補正処理部2140は、個別オフセット、ゲイン補正係数、および共通オフセットを各パラメータレジスタにセットする。また、アドレス変換マップを欠陥画素置換処理部150に対して出力する。欠陥画素置換処理部150のアドレス変換部154は、アドレス変換マップを受け取ると、パラメータレジスタにセットする。
〔ステップS47〕感度補正処理部2140は、個別オフセット、ゲイン補正係数、および共通オフセットを各パラメータレジスタにセットする。また、アドレス変換マップを欠陥画素置換処理部150に対して出力する。欠陥画素置換処理部150のアドレス変換部154は、アドレス変換マップを受け取ると、パラメータレジスタにセットする。
〔ステップS48〕赤外線撮像装置2100は、感度補正基準2110を収納する。つまり、感度補正基準2110が赤外線撮像装置2100内の光路から外されることによって撮像が可能な状態にする。そして、赤外線撮像装置2100は、撮像開始指令を受けると感度補正処理および欠陥画素置換処理を行いながら撮像を行う。
以上のような処理を行うことにより、より精度の高い欠陥画素判定を行うことができる。したがって、焦点面における像のサイズが1〜2画素しかないような微小目標に対してもより精密な放射計測を行うことができる。
なお、上記感度補正基準の放射する赤外線の放射輝度を4点設定して欠陥画素判定を行う場合、精度保証輝度範囲内に4点すべてを設定せず、精度保証輝度範囲内に2点、精度保証輝度範囲外に2点を設定することにより欠陥画素判定を行ってもよい。
また、赤外線撮像装置の光路にチョッパミラーなどを挿入することによって感度補正基準から放射される赤外線が多画素赤外線検知器の赤外線検知画素に照射されるようにしてもよい。
また、欠陥画素置換処理部150において、読出アドレスの欠陥画素の画素アドレスを正常画素の画素アドレスに置換する代わりに、書込アドレスの欠陥画素の画素アドレスを置換し、フレームメモリ151への書き込み時点で欠陥画素のセルに置換元の正常画素の出力を書き込む方式をとってもよい。たとえば、フレームメモリ151に偶数フレームと奇数フレームの2つのバンクを設け、交互に一方は書込動作を行い、他方は読出動作を行う。しかし、この方式は1フレームの遅延を引き起こす。そこで、遅延を短縮するために、置換対象領域となる走査線分の遅延を持たせた遅延線に出力信号を通す構成として、欠陥画素の出力が読み出されるタイミングで保持した置換に用いる画素の出力、もしくは遅延線入力にある置換に用いる画素の出力に切り替えれば、数走査線時間の遅延に収まる。また、フレームメモリ151にマルチポートメモリを採用して、置換対象領域の画素出力がすべてそろう時間だけ遅らせて読み出しても同じ効果を得ることができる。また、5点以上の放射輝度を設定して欠陥画素判定を行ってもよい。
(付記1) 多数の赤外線検知画素を用いて赤外線を検知することによって撮像を行う赤外線撮像装置において、
温度制御が可能で、3つ以上の均一な基準温度の赤外線を放射する感度補正基準と、
光学系を介して前記赤外線を検知し、光電変換を行う多画素赤外線検知器と、
前記多画素赤外線検知器が光電変換して出力した3つ以上の電気信号を用いて前記多画素赤外線検知器の感度補正および欠陥画素判定を行う感度補正処理部と、
前記感度補正処理部によって欠陥画素と判定された画素からの出力信号を前記欠陥画素の近傍にある画素の出力信号に置換する欠陥画素置換処理部と、
を有することを特徴とする赤外線撮像装置。
温度制御が可能で、3つ以上の均一な基準温度の赤外線を放射する感度補正基準と、
光学系を介して前記赤外線を検知し、光電変換を行う多画素赤外線検知器と、
前記多画素赤外線検知器が光電変換して出力した3つ以上の電気信号を用いて前記多画素赤外線検知器の感度補正および欠陥画素判定を行う感度補正処理部と、
前記感度補正処理部によって欠陥画素と判定された画素からの出力信号を前記欠陥画素の近傍にある画素の出力信号に置換する欠陥画素置換処理部と、
を有することを特徴とする赤外線撮像装置。
(付記2) 前記感度補正基準が放射する赤外線の放射輝度は、放射計測精度を要する輝度範囲である精度保証輝度範囲内に少なくとも2つ設定されていることを特徴とする付記1記載の赤外線撮像装置。
(付記3) 前記感度補正基準が放射する赤外線の放射輝度は、前記精度保証輝度範囲内にすべて設定されていることを特徴とする付記2記載の赤外線撮像装置。
(付記4) 前記感度補正基準が放射する赤外線の放射輝度は、前記精度保証輝度範囲内に2つ、前記精度保証輝度範囲外に1つ以上設定されることを特徴とする付記2記載の赤外線撮像装置。
(付記4) 前記感度補正基準が放射する赤外線の放射輝度は、前記精度保証輝度範囲内に2つ、前記精度保証輝度範囲外に1つ以上設定されることを特徴とする付記2記載の赤外線撮像装置。
(付記5) 前記精度保証輝度範囲外に設定されている前記感度補正基準が放射する赤外線の放射輝度は2つであることを特徴とする付記4記載の赤外線撮像装置。
(付記6) 前記感度補正処理部は、前記感度補正基準が放射する赤外線の放射輝度間のゲインを算出し、比較することにより欠陥画素判定を行うことを特徴とする付記1記載の赤外線撮像装置。
(付記6) 前記感度補正処理部は、前記感度補正基準が放射する赤外線の放射輝度間のゲインを算出し、比較することにより欠陥画素判定を行うことを特徴とする付記1記載の赤外線撮像装置。
(付記7) 多数の赤外線検知画素を用いて赤外線を検知することによって撮像を行う赤外線撮像方法において、
感度補正基準は、温度制御が可能で、3つ以上の均一な基準温度の赤外線を放射するステップと、
多画素赤外線検知器は、光学系を介して前記赤外線を検知し、光電変換を行うステップと、
感度補正処理部は、前記多画素赤外線検知器が光電変換して出力した3つ以上の電気信号を用いて前記多画素赤外線検知器の感度補正および欠陥画素判定を行うステップと、
欠陥画素置換処理部は、前記感度補正処理部によって欠陥画素と判定された画素からの出力信号を前記欠陥画素の近傍にある画素の出力信号に置換するステップと、
を含むことを特徴とする赤外線撮像方法。
感度補正基準は、温度制御が可能で、3つ以上の均一な基準温度の赤外線を放射するステップと、
多画素赤外線検知器は、光学系を介して前記赤外線を検知し、光電変換を行うステップと、
感度補正処理部は、前記多画素赤外線検知器が光電変換して出力した3つ以上の電気信号を用いて前記多画素赤外線検知器の感度補正および欠陥画素判定を行うステップと、
欠陥画素置換処理部は、前記感度補正処理部によって欠陥画素と判定された画素からの出力信号を前記欠陥画素の近傍にある画素の出力信号に置換するステップと、
を含むことを特徴とする赤外線撮像方法。
100 赤外線撮像装置
110、111、112、113 感度補正基準
120 光学系
130 多画素赤外線検知器
140 感度補正処理部
150 欠陥画素置換処理部
160 画像情報処理部
110、111、112、113 感度補正基準
120 光学系
130 多画素赤外線検知器
140 感度補正処理部
150 欠陥画素置換処理部
160 画像情報処理部
Claims (3)
- 多数の赤外線検知画素を用いて赤外線を検知することによって撮像を行う赤外線撮像装置において、
温度制御が可能で、3つ以上の均一な基準温度の赤外線を放射する感度補正基準と、
光学系を介して前記赤外線を検知し、光電変換を行う多画素赤外線検知器と、
前記多画素赤外線検知器が光電変換して出力した3つ以上の電気信号を用いて前記多画素赤外線検知器の感度補正および欠陥画素判定を行う感度補正処理部と、
前記感度補正処理部によって欠陥画素と判定された画素からの出力信号を前記欠陥画素の近傍にある画素の出力信号に置換する欠陥画素置換処理部と、
を有することを特徴とする赤外線撮像装置。 - 前記感度補正基準が放射する赤外線の放射輝度は、放射計測精度を要する輝度範囲である精度保証輝度範囲内に少なくとも2つ設定されていることを特徴とする請求項1記載の赤外線撮像装置。
- 前記感度補正処理部は、前記感度補正基準が放射する赤外線の放射輝度間のゲインを算出し、比較することにより欠陥画素判定を行うことを特徴とする請求項1記載の赤外線撮像装置。
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