JP2007023941A - 作業機械のエンジン制御装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】エンジン1を冷却する冷却ファン2を備えた建設機械において、エンジン1のトルクカーブ選択手段及び冷却水温度検出手段23を備え、トルクカーブ選択手段は定格トルクカーブ51と定格トルクに達する時の回転数が定格回転数より低い別トルクカーブ52・53とを選択可能とし、エンジン1は、前記冷却水温度検出手段23の検出温度が所定温度以下であれば定格トルクカーブ51で稼動し、前記温度検出手段の検出温度が所定温度以上であれば別トルクカーブ52・53で稼動する。
【選択図】図2
Description
図4は、通常のガバナ装置を用いたエンジンのトルクカーブを示している。トルクカーブは、エンジンの回転数を横軸に、エンジンの出力トルクを縦軸に表したグラフである。ガバナ装置は、定格回転数と定格トルクを通過する定格トルクカーブ61を、同トルク出力にて回転数を低減した別トルクカーブ62・63に制御できる。
あるエンジンの定格トルクをT20とした場合、作業時(エンジン運転時)に冷却水温度が所定値よりも上昇すると、速度操作装置を操作してガバナ装置によりトルクカーブを定格トルクカーブ61から定格トルクに達する回転数を下げた別のトルクカーブ62又は63に変更してオーバーヒートとなることを防止している。
しかし、建設機械は、通常、負荷変動が大きく、高負荷と低負荷が連続して発生する特徴を持つ。前記トルクカーブが62または63としたときであって、高負荷と軽負荷が連続しているときに、軽負荷トルクT10になると、ガバナ装置は回転数を上昇させるが、定格トルクカーブ61の回転数よりも低いため、冷却ファンの回転数も低く、冷却能力が確保できずオーバーヒート防止策とはならない。
図1は本発明の実施例1を示した制御系統図、図2は本発明のエンジンのトルクカーブを示した図、図3は本発明の実施例2を示した制御系統図である。図4は従来のエンジンのトルクカーブを示した図である。
エンジン1は、水冷式エンジンであり、該エンジン1の出力軸に油圧ポンプ11の駆動軸を連結して、該エンジンの駆動力により油圧ポンプ11を駆動する構成としている。この油圧ポンプ11は、本実施例では定吐出量形ポンプとしたが、可変容量形としてもよい。
ラジエター3は、エンジン1の冷却装置であり、エンジン1のウオータージャケット内に冷却水を送り熱交換してシリンダブロック等を冷却し、冷却後の冷却水はラジエター3に戻され、冷却ファン2の冷却風によって冷却水は外気と熱交換する。この冷却ファン2は、エンジン1の出力軸に直接固定され、または、プーリーやベルト等を介して連動連結され、エンジンの動力により冷却ファン2が回転駆動される。但し、駆動の伝達方式については本実施例では特に限定しない。
チェックバルブ12は、緊急停止時の油圧ポンプ11への逆流を防止するため、油圧ポンプ11の吐出側に最初に設けられている。リリーフバルブ13は、圧力計16にて油圧回路内の圧力を確認し、適正圧力にて作業するように圧力調整している。フローコントロールバルブ17は、油圧回路作動油の流量を制御する流量制御弁である。
一方、ストレーナ14は、作動油中のごみをとる装置であり、タンク15内に設置される。
このような構成において、コントローラ21は、ラジエター3に設置された冷却水温度検出手段23にて検出された冷却水温度が、設定器22によって設定された所定置を越えると、エンジン1のトルクカーブを選択できるトルクカーブ選択手段を備えている。このトルクカーブについては、詳細は後述する。このトルクカーブは複数有しておりマップとしてROMに記憶されている。
また、コントローラ21は、エンジン廃熱や作動油温度に影響されない位置に設置された外気温度検出手段25に検出された外気温度によって、トルクカーブ選択手段にてエンジン1のトルクカーブを選択できる。
トルクカーブは、横軸にエンジンの回転数を、縦軸にエンジントルクを、表したエンジンの特性を示すカーブである。定格トルクカーブ51は、定格回転数N1と定格トルクT2を通過する、通常のトルクカーブである。
ここで、第一トルクカーブ52と第二トルクカーブ53(以下は、双方をまとめて別トルクカーブとする)は、定格トルクT2において、回転数が、第一トルクカーブ52はN2、第二トルクカーブ53はN3を通過する(N3<N2<N1)。
一方、別トルクカーブ52・53は、中負荷トルクT1における回転数を、定格トルクカーブ51と同じとする。言い換えれば、電子ガバナを有しないエンジンにおける定格トルク及び定格回転数を通過するトルクカーブにおける中負荷トルクT1における回転数をN4とすると、後述する冷却水温度が上昇して、回転数がN2またはN3の時に定格トルクT2となるような場合でも、負荷が減少して中負荷トルクT1に減少した場合には、ECUにより、いずれも回転数は上昇させて回転数N4を通るように制御するのである。
このように、コントローラ21は、定格トルクカーブ51とは異なった特性のトルクカーブを選択できるものとする。また、選択できるトルクカーブの本数は、本実施例の3本に限らないとする。
設定器22は、エンジンオーバーヒートの危険領域となる冷却水温度を第一設定温度に、エンジンオーバーヒートの警告領域となる冷却水温度を第二設定温度に設定できる(第一設定温度<第二設定温度)。コントローラ21は、前記冷却水温度検出手段23にて検出された水温が前記第一設定温度を越えた場合、前記第一トルクカーブ52を選択する。さらに、水温が第二設定温度を越えた場合、前記第二トルクカーブ53を選択する。
例えば、第一設定温度を90℃、第二設定温度を95℃とすれば、コントローラ21は、前記冷却水温度検出手段23にて検出された水温が90℃を越えた場合、前記第一トルクカーブ52を選択し、さらに水温が95℃を越えた場合、前記第二トルクカーブ53を選択する。
例えば、コントローラ21は、外気温度検出手段25にて検出された外気温度が所定値以下であれば、別トルクカーブ52・53を選択する。また、例えば、コントローラ21は、エンジン始動時に設定器22にて設定された所定時間は、別トルクカーブ52・53を選択する。
但し、どのような状況でも、上述したエンジンオーバーヒート防止制御を優先させるとする。
つまり、エンジン1の冷却能力をそれほど必要としない寒冷地での運転や暖機運転では、別トルクカーブ52・53を選択することで、冷却ファン2の回転数を低減し、消費エネルギーを低減している。
例えば、建設機械が、高負荷にて運転しており、冷却水温度が90℃を越えた場合、コントローラ21は第二トルクカーブ52を選択し、回転数はN1からN2に低減するのでエンジン出力も下がりオーバーヒートを防止する。このとき、高負荷から低負荷に変動した場合は、第二トルクカーブ52は中負荷以下では回転数が低減せず、エンジンの冷却能力は低下しない。
つまり、エンジン1は、高負荷では高トルク及び低回転数にて、低負荷では低トルク及び高回転数にて、駆動することによりオーバーヒートを防止するためにエンジン出力を低減するだけでなく、冷却能力を可能な限り大きくしているのである。
また、作業者は、選択できるトルクカーブを2本としたことで、エンジンの回転数変化の違和感を少なく感じる。
コントローラ21は、作動油タンク15に設置された作動油温度検出手段24にて検出された作動油温度が、設定器22によって設定された所定置を越えると、エンジン1のトルクカーブを選択できるトルクカーブ選択手段を備えている。このトルクカーブについては、詳細は実施例1同等とする。
設定器22は、適正油温の危険領域となる作動油温度を第一設定温度に、適正油温の警告領域となる作動油温度を第二設定温度に設定できる(第一設定温度<第二設定温度)。コントローラ21は、前記作動油温度検出手段23にて検出された油温が前記第一設定温度を越えた場合、前記第一トルクカーブ52を選択する。さらに、油温が第二設定温度を越えた場合、前記第二トルクカーブ53を選択する。
例えば、第一設定温度を55℃、第二設定温度を65℃とすれば、コントローラ21は、前記作動油温度検出手段23にて検出された油温が55℃を越えた場合、前記第一トルクカーブ52を選択し、さらに油温が65℃を越えた場合、前記第二トルクカーブ53を選択する。
トルクカーブは、本実施例では2本を選択できることとしたが、エンジン回転数の変化に違和感がないように、さらに多くのトルクカーブを選択できるようにすればよい。
2 冷却ファン
23 冷却水温度検出手段
51 定格トルクカーブ
52 第一トルクカーブ
53 第二トルクカーブ
Claims (5)
- 電子制御式のエンジンと、エンジンを冷却する冷却ファンを備えた作業機械において、
エンジンのトルクカーブ選択手段と温度検出手段とこれらと接続して制御する制御装置を備え、前記トルクカーブ選択手段は、定格トルクが定格回転数と一致する定格点を通る定格トルクカーブと定格トルクに達する時の回転数が定格回転数より低い別トルクカーブとを選択可能とし、前記制御装置は、前記温度検出手段の検出温度が所定温度以下であれば定格トルクカーブでエンジンを稼動し、前記温度検出手段の検出温度が所定温度以上であれば別トルクカーブでエンジンを稼動するように制御することを特徴とする作業機械のエンジン制御装置。 - 前記別トルクカーブは複数あることを特徴とする請求項1記載の作業機械のエンジン制御装置。
- 前記定格トルクカーブに比べ、前記別トルクカーブの回転数が減じる位置を中負荷位置としたことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の作業機械のエンジン制御装置。
- 前記温度検出手段の検出対象をラジエターの冷却水温度としたことを特徴とする請求項1記載の作業機械のエンジン制御装置。
- 前記温度検出手段の検出対象を油圧作動油としたことを特徴とする請求項1記載の作業機械のエンジン制御装置。
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