JP2007023843A - Vgsタイプターボチャージャにおける可変翼の軸端部の処理方法並びにこの方法によって処理された可変翼 - Google Patents

Vgsタイプターボチャージャにおける可変翼の軸端部の処理方法並びにこの方法によって処理された可変翼 Download PDF

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Abstract

【課題】 VGSタイプターボチャージャにおける可変翼をプログレッシブ加工するにあたり、金属板材から切り離す軸端部を能率的に所望形状に加工するようにした新規な処理手法を提供する。
【解決手段】 本発明は、可変翼1の原形となる素形材Wをブランク取りする素形材の準備工程と、素形材Wを対向型で挟み、所望の形状に形成する造形工程と、造形工程において製品部位からはみ出した非製品部位を切除するトリム工程と、トリミング後、ニヤネットシェイプ状態の素形材Wの軸部12を主に切削する切削工程とを具え、トリム工程においては可変翼1の軸端部のダレ変形を見込み、実際の軸長に、このダレ寸法を加えた長さで、素形材Wをストリップ材Sから切り離すとともに、軸端部に形成されたダレ変形については、後の切削工程において軸端面をカットして取り除くようにしたことを特徴とする。
【選択図】図7

Description

本発明は、自動車用エンジン等に用いられるターボチャージャに関するものであって、特に、このものに組み込まれる両軸タイプの可変翼を製造するにあたり、このような可変翼の軸端部の処理手法に特化した新規な技術事項に係るものである。
自動車用エンジンの高出力化、高性能化の一手段として用いられる過給機としてターボチャージャが知られており、このものはエンジンの排気エネルギによってタービンを駆動し、このタービンの出力によってコンプレッサを回転させ、エンジンに自然吸気以上の過給状態をもたらす装置である。ところで、このターボチャージャは、エンジンが低速回転しているときには、排気流量の低下により排気タービンがほとんど働かず、従って高回転域まで回るエンジンにあってはタービンが効率的に回るまでのもたつき感と、その後の一挙に吹き上がるまでの所要時間いわゆるターボラグ等が生ずることを免れないものであった。また、もともとエンジン回転が低いディーゼルエンジンでは、ターボ効果を得にくいという欠点があった。
このため低回転域からでも効率的に作動するVGSタイプのターボチャージャ(VGSユニット)が開発されてきている。このものは、少ない排気流量を可変翼(羽)で絞り込み、排気の速度を増し、排気タービンの仕事量を大きくすることで、低速回転時でも高出力を発揮できるようにしたものである。このためVGSユニットにあっては、別途可変翼の可変機構等を必要とし、周辺の構成部品も従来のものに比べて形状等をより複雑化させなければならなかった。
このようなことから本出願人も、可変翼やその可変機構等に関し、鋭意研究開発を重ね、多くの特許出願に至っている(例えば特許文献1〜8参照)。この特許文献では、可変翼は、例えば一定厚さの金属板材から打ち抜いたブランク材を、型鍛造によりプレス成形して所望の形状に造形する製造手法が開示されている。また、この特許文献では、可変翼は、主に翼部の一方の端部のみに軸部が形成された、いわゆる片持ち構造が主流となっている。しかしながら、可変翼は、翼部を適宜回動させて排気ガスの流量を調節するものであり、しかも高温・排気ガス雰囲気下で開閉作動が繰り返されるため、強度及び作動安定性等を向上させ、且つVGSユニット自体の軽量・小型化を図る点では両持ち、つまり翼部の両側に軸部が形成されたタイプが望ましい。このため現在では、可変翼は、このような両軸タイプのものも重用されつつあり、このような形状等の変容に伴い、その製造手法も見直されてきている。なかでも、本発明は、ブランク材が金属板材の一部につながれたまま順送りされて加工される、いわゆるプログレッシブ加工の際、ニヤネットシェイプ状態の素形材を金属板材から切り離す際の技術的工夫に着眼したものである。
加えて、この種の可変翼は、一基のターボチャージャにおいて10〜15個程度用いられることが多く、例えば実際に自動車が月産3万台程度、量産された場合には、可変翼は月に30万〜45万個製造する必要があり、現実に量産できることを大前提とした製造手法が求められている。
また近年、特にディーゼル車においては、環境保護等の観点から大気中に放出される排気ガスが強く規制される現状にあり、元来エンジン回転が低いディーゼルエンジンにおいては、NOX や粒子状物質(PM)等を低減するためにも低回転域からエンジンの効率化が図れるVGSユニットの量産化が、切望されるものであった。
特開2003−49655号公報 特開2003−49663号公報 特開2003−49656号公報 特開2003−49657号公報 特開2003−49658号公報 特開2003−49659号公報 特開2003−48033号公報 特開2003−49660号公報
本発明は、このような背景を認識してなされたものであって、金属板材につながれたまま順送りされて打ち抜き、造形(型鍛造)、トリミングを受ける、いわゆるプログレッシブ加工において、ニヤネットシェイプ状態まで形成された素形材を、金属板材から切り離す際、切り離しに伴うダレ変形を考慮しながら、軸端部を能率的に所望形状に加工できるようにした新規な処理手法の開発を試みたものである。
すなわち請求項1記載のVGSタイプターボチャージャにおける可変翼の軸端部の処理方法は、回動中心となる軸部と、実質的に排気ガスの流量を調節する翼部とを具え、
エンジンから排出された比較的少ない排気ガスを適宜絞り込み、排気ガスの速度を増幅させ、排気ガスのエネルギで排気タービンを回し、この排気タービンに直結されたコンプレッサで自然吸気以上の空気をエンジンに送り込み、低速回転時であってもエンジンが高出力を発揮できるようにしたVGSタイプのターボチャージャに組み込まれる可変翼を製造するにあたり、その工程は、
ほぼ一定の板厚を有した金属材から、目的の可変翼を実現し得るボリュームを有するように打ち抜かれたブランク材を、可変翼の原形である素形材とする、素形材の準備工程と、
上記素形材を一対の対向型によって挟み込み、翼部や軸部等を所望の形状に形成する造形工程と、
上記造形工程において製品部位からはみ出した素形材の非製品部位をトリミングするトリム工程と、
トリミング終了後、ほぼ最終製品に近い形状となったニヤネットシェイプ状態の素形材の軸部を主に切削し、所望の寸法精度に仕上げる切削工程とを具えて成るものであり、
また前記素形材は、金属板材の一部につながれたまま順送りされ、素形材の準備工程、造形工程、トリム工程までを受けるプログレッシブ加工であり、
トリム工程においては同時に素形材を金属板材から切り離すものであり、この際、可変翼の軸端部については、ダレ変形を見込み、実際の軸長に、このダレ寸法を加えた長さで、素形材を金属板材から切り離すとともに、軸端部に形成されたダレ変形については、後の切削工程において軸端面をカットして取り除くようにしたことを特徴として成るものである。
また請求項2記載のVGSタイプターボチャージャにおける可変翼の軸端部の処理方法は、前記請求項1記載の要件に加え、前記トリム工程において金属板材から切り離される素形材には、可変翼の実際の軸長端部位置に、嵌合部材への嵌め込み挿入をガイドするテーパ状の誘い込みが形成されることを特徴として成るものである。
更にまた請求項3記載のVGSタイプターボチャージャにおける可変翼は、回動中心となる軸部と、実質的に排気ガスの流量を調節する翼部とを具え、エンジンから排出された比較的少ない排気ガスを適宜絞り込み、排気ガスの速度を増幅させ、この排気ガスのエネルギで排気タービンを回し、排気タービンに直結されたコンプレッサで自然吸気以上の空気をエンジンに送り込み、低速回転時であってもエンジンが高出力を発揮できるようにしたVGSタイプのターボチャージャに組み込まれる可変翼であり、このものは前記請求項1または2記載の処理方法によって処理されたことを特徴として成るものである。
これら各請求項記載の発明の構成を手段として前記課題の解決が図られる。
すなわち請求項1記載の発明によれば、実製品としての軸端部にダレ変形が生じることを防止できる。また、ダレ変形は後の切削工程において除去するので、通常、このようなダレ変形を除去するために行われるシェービング加工を特に必要としない。なお、本発明は、トリム工程後に切削工程を行うことを前提としているため、プレスによって不可避的に生じるダレ変形については、特にシェービング加工を行わず、この切削工程において併せて除去するという着眼に基づいた技術思想である。
また請求項2記載の発明によれば、長軸部の先端に誘い込みを形成するため、可変翼を嵌合部材(受動要素)に圧入する作業が確実且つ円滑に行え、可変翼の組み付け性を向上させ得る。
また請求項3記載の発明によれば、プログレッシブ加工を前提とした可変翼を、常に安定した高い品質レベルで能率的に量産できる。
本発明の最良の形態は、以下の実施例に述べる通りである。なお、説明にあたっては、まず本発明に係る可変翼1を適用したVGSタイプのターボチャージャ(VGSユニット)における排気ガイドアッセンブリAについて説明しながら、併せて可変翼1について説明し、その後、本発明の可変翼1の軸端部の処理方法について説明する。
排気ガイドアッセンブリAは、特にエンジンの低速回転時において排気ガスGを適宜絞り込んで排気流量を調節するものであり、一例として図1に示すように、排気タービンTの外周に設けられ実質的に排気流量を設定する複数の可変翼1と、可変翼1を回動自在に保持するタービンフレーム2と、排気ガスGの流量を適宜設定すべく可変翼1を一定角度回動させる可変機構3とを具えて成るものである。以下各構成部について説明する。
まず可変翼1について説明する。このものは一例として図1に示すように、排気タービンTの外周に沿って円弧状に複数(一基の排気ガイドアッセンブリAに対して概ね10〜15個程度)配設され、そのそれぞれが、ほぼ同程度ずつ回動して排気流量を調節するものである。可変翼1は、翼部11と、軸部12とを具えて成り、以下、これらについて説明する。
まず翼部11は、主に排気タービンTの幅寸法に応じて一定幅を有するように形成されるものであり、その幅方向における断面が翼形に形成され、排気ガスGが効果的に排気タービンTに向かうように構成されている。なお、ここで図1(b)に示すように、翼部11の幅寸法を便宜上、翼幅hとする。また図2に示すように、翼部11の翼形断面において肉厚となる端縁を前縁11a、肉薄となる端縁を後縁11bとし、前縁11aから後縁11bまでの長さを翼弦長Lとする。更にまた、翼部11には、軸部12との境界部(接続部)に、軸部12より幾分大径の鍔部13が形成される。なお鍔部13の底面(座面)は、翼部11の端面と、ほぼ同一平面上に形成され、この平面が可変翼1をタービンフレーム2に取り付けた際の座面となり、排気タービンTにおける幅方向(翼幅h方向)の位置規制を図る作用を担っている。
一方、軸部12は、翼部11と一体的に連続形成されるものであり、翼部11を動かす際の回動軸となる。なお、本実施例では、翼部11の両側に軸部12が形成される、いわゆる両持ちタイプの可変翼1であり、これら両軸部12を区別して示す場合には、その軸長に因み、長軸部12aと短軸部12bとして便宜上区別する。因みに、このような両持ちタイプの可変翼1は、翼部11の一方のみに軸部12が形成される、いわゆる片持ちタイプのものに比べ、可変翼1の作動安定性(回動安定性)や強度等を向上させ得る点で有効である。
また長軸部12aと短軸部12bとには、軸径よりも幾分大径となる摺動段差14が部分的に形成される。これは、可変翼1を回動させる際に、タービンフレーム2側の軸受部(後述するタービンフレーム2の受入孔25)と接触する面であり、これにより可変翼1を回動させる際の摺動抵抗(摩擦抵抗)が抑制され、可変翼1の安定した作動(回動)を図るものである。なお可変翼1は、高温・排ガス雰囲気という過酷な環境下で繰り返し使用されるため、摺動段差14による摺動抵抗の抑制は、このような厳しい環境下での開閉作動をより安定化させるものである。
更に長軸部12aの先端側には、可変翼1の取付状態の基準となる基準面15が形成される。この基準面15は、後述する可変機構3に対しカシメ等によって固定される部位であり、一例として図1、2に示すように、軸部12を対向的に切り欠いた二平面として形成される。また基準面15の先端部には、ほとんど目立たないが、一例として図8、9に示すように、対向二面をテーパ状に傾斜させた誘い込み16が形成されるものであり、ここは長軸部12aを後述する受動要素32Bに圧入する際の案内ガイドとなる部位である。
なお可変翼1は、一例として翼部11の前縁11aの厚さが約2.711mm、翼幅hが約7.4±0.03mm、翼弦長Lが約17.44mm、鍔部13の座面が直径約6mmである。また軸部12の直径が約4.5mm、基準面15の対向幅が約2.45mmである。
次に、タービンフレーム2について説明する。このものは、複数の可変翼1を回動自在に保持するフレーム部材として構成されるものであって、一例として図1に示すように、フレームセグメント21と保持部材22とによって可変翼1を挟み込むように構成される。フレームセグメント21は、可変翼1の長軸部12aを受け入れるフランジ部23と、後述する可変機構3を外嵌めするボス部24とを具えて成る。なお、このような構造からフランジ部23の周縁部分には、可変翼1と同数の受入孔25が等間隔で形成されるものである。
また保持部材22は、図1に示すように中央部分が開口された円板状に形成されており、本実施例では可変翼1が両軸タイプであるため、この保持部材22にも可変翼1の短軸部12bを受け入れる受入孔25が等配される。
そしてこれらフレームセグメント21と保持部材22とによって挟み込まれた可変翼1(翼部11)を、常に円滑に回動させ得るように、両部材間の寸法が、ほぼ一定(概ね可変翼1の翼幅h程度)に維持されるものであり、一例として受入孔25の外周部分に、四カ所設けられたカシメピン26によって両部材間の寸法が維持されている。ここで、このカシメピン26を受け入れるためにフレームセグメント21及び保持部材22に開口される孔をピン孔27とする。
なお、本実施例では、フレームセグメント21のフランジ部23は、保持部材22とほぼ同径のフランジ部23Aと、保持部材22より幾分大きい径のフランジ部23Bとの二つのフランジ部分から成り、これらを同一部材で形成するものであるが、同一部材での形成が難しい場合等にあっては、径の異なる二つのフランジ部を別体で形成しておき、後にカシメ加工やブレージング加工等によって接合することも可能である。
次に可変機構3について説明する。このものはタービンフレーム2のボス部24の外周側に設けられ、排気流量を調節するために可変翼1を回動させるものであり、一例として図1に示すように、アッセンブリ内において実質的に可変翼1の回動を生起する回動部材31と、この回動を可変翼1に伝える伝達部材32とを具えて成るものである。回動部材31は、図示するように中央部分が開口された略円板状に形成され、その周縁部分に可変翼1と同数の伝達部材32を等配して成るものである。また、この伝達部材32は、回動部材31に回転自在に取り付けられる駆動要素32Aと、可変翼1の基準面15にカシメ等によって固定状態に取り付けられる受動要素32Bとを具えて成るものであり、これら駆動要素32Aと受動要素32Bとが接続された状態で、回動が伝達される。具体的には四角片状の駆動要素32Aを、回動部材31に対して回転自在にピン止めするとともに、可変翼1の基準面15を受動要素32Bに圧入し、かしめるものである。ここで受動要素32Bには、予め駆動要素32Aを受け入れ得る略U字状部が形成されており、この部位に四角片状の駆動要素32Aを嵌め込むことにより、双方の係合を図りながら、回動部材31をボス部24に取り付けるものである。
なお複数の可変翼1を取り付けた初期状態において、これらを周状に整列させるにあたっては、各可変翼1と受動要素32Bとが、ほぼ一定の角度で取り付けられる必要があり、本実施例においては、主に可変翼1の基準面15がこの作用を担っている。また回動部材31を単にボス部24に嵌め込むだけでは、回動部材31がタービンフレーム2から僅かに離反した際、伝達部材32の係合が解除されてしまうことが懸念される。このため、これを防止すべくタービンフレーム2の対向側から回動部材31を挟むようにリング33等を設け、回動部材31に対してタービンフレーム2側への押圧傾向を付与するものである。
このような構成によって、エンジンが低速回転を行った際には、可変機構3の回動部材31を適宜回動させ、伝達部材32を介して軸部12に伝達するものであり、これにより、可変翼1を図1(a)に示すように回動させ、排気ガスGを適宜絞り込んで、排気流量を調節するものである。
本発明に係る可変翼1を適用した排気ガイドアッセンブリAの一例は、以上のように構成されて成り、以下、この可変翼1の軸端部の処理方法について説明する。
なお、本実施例では、鍔部13の直径寸法(6mm)よりも薄く、且つ軸部12の直径寸法(4.5mm)よりも厚い板厚(一例として5.2mm)の金属板材(以下、ストリップ材Sとする)から可変翼1の原形となる金属素材(以下、素形材Wとする)をブランク取りするものである。その理由は次の通りである。すなわち鍔部13を形成するだけならば、その直径と等厚素材が最適であるが、翼部圧造時に鍔部13に材料流れによる盛り上がりが生じるので、若干鍔直径よりも薄めにする必要があると同時に、軸部12の直径よりも厚くなければ軸部12の成形が当然不可能となり、更に不等厚の翼部11の圧縮加工抵抗が極めて大きいために、鍔直径を若干マイナスした値と、軸直径寸法との間に相当する板厚のうち、薄め側にするのが望ましいからである。
また、ブランク取りの際には、ストリップ材Sから個々の素形材Wを一つひとつ切り離すように打ち抜くのではなく、ストリップ材Sの一部に加工対象となる素形材Wをつなげたままブランク取りするものである。すなわち、本発明では、ストリップ材Sの一部につなげたままのブランク材(素形材W)を、順次その後の加工工程に送り、ニヤネットシェイプ状態(最終製品形状に極めて近い状態)までに成形する、いわゆるプログレッシブ加工〔progressive 〕(順送り加工)の形態を採るものである。
具体的には、以下に示す(1) 〜(7) の工程によって、素形材Wを最終製品の可変翼1に加工するものであり、このうち(1) 〜(5) までの工程が、プログレッシブ加工によって行われる。
(1) 素形材の準備工程P1として「形状ブランク工程」
(2) 事前造形工程P2として「第一造形工程」
(3) 中間トリム工程P3として「トリム工程」
(4) 最終造形工程P4として「リストライク工程」
(5) 最終トリム工程P5として「トリム/セパレート工程」
(6) 切削工程P6
(7) バレル研磨工程
すなわち、本発明のプログレッシブ加工は、一例として図3に示すように、上記(1) 〜(5) までの対向型(プレス金型)を順次連続的に配置して加工ラインを構成し、このような加工ラインに対して、ストリップ材Sにつながれたままの素形材Wを順送りし、ニヤネットシェイプ状態まで成形するものである。なお、図中符号D1〜D5は、プログレッシブ加工の各工程に対応した対向型を示すものである。また図中符号UCは、巻回状態のコイル材(ストリップ材S)を解きほぐすアンコイラーであり、更に図中符号LVは、ほぐされたコイル材の巻き癖やひずみを除去するレベラーである。
因みに、上述したプログレッシブ加工は、一般に加工上の制限、例えば半製品(本実施例では素形材W)の外周の加工が困難であったり、加工ラインの途中で半製品を反転できない等の制限があり、プレス金型としては極めて高度な技術が要求されるが、比較的小さい部品を高速で送れるため、極めて量産性に優れた加工方法である。
また、このような加工形態に因み、プログレッシブ加工では、各工程を実行するにあたり半製品の位置を正しく決定する必要があり、このため位置決め用の基準孔(パイロット孔PH)が加工の初期段階で開口されるものであり、例えばブランク取りに先立ち、もしくはブランク取りに併せて行われる(図4参照)。
更に、プログレッシブ加工では、前後の加工工程との関係により、半製品に何も加工を施さず、ただ送りのみを行う、いわゆるアイドルステージを組み込むことが可能である。例えば本実施例では、図3に併せて示すように、一つの加工エリアの約1/3範囲において実際の加工を行い、残りの約2/3範囲をアイドルステージとしている。なお、このようなアイドルステージを加工ラインに組み込むことにより、金型の接近によって生じ得る金型部品の強度不足を防止し、また加工の際に金型に掛かる負荷を軽減できるものである。また、加工途中の素形材Wの傾きや加工タイミングの微調整を行ったり、ライン構築後の不測の設計変更などにも備えることができる。以下、各工程について更に説明する。
(1)素形材の準備工程P1(形状ブランク工程)
この工程は、翼部11と軸部12とを一体に有した素形材W(可変翼1の原形)を準備する工程であり、ここでは上述したようにプログレッシブ加工を行うことから、一例として板厚5.2mmのストリップ材Sから不要部(これをスクラップSCとする)を打ち抜き、ストリップ材Sに一部をつなげたまま素形材Wを得るものである(図4参照)。もちろんブランク取りにおいては、素形材Wが目的の可変翼1を実現し得るボリューム(体積)を有するように考慮されて、ブランク取りがなされる。
また素形材Wのブランク取りにあたっては、一対の対向型D1を用い、精密打ち抜き手法として知られるファインブラキング加工(以下、FB加工と略す)によってなされることが好ましい。このFB加工は、被加工材(ストリップ材S)の剪断輪郭部に高い圧縮力を作用させながら、工具のクリアランスを極めて小さくした、いわゆるゼロクリアランス状態で打ち抜く手法であって、切口面が、板厚全体にわたって極めて平滑で良好な状態に得られる手法である。なお、通常、「ファインブランキング」という用語は、「精密打ち抜き」を示すものであるが、本明細書において「ファインブランキング加工機(FB加工機)」といった場合には、「精密打ち抜き」以外にも、ファインブランキング装置(FB装置)を使用した種々の加工、例えばコイニングや型鍛造あるいはトリミング等も含むものとする。
またストリップ材S(素形材W)の材質としては、可変翼1の使用環境からSUS、SUH規格などの耐熱ステンレス鋼または耐熱鋼、例えばSUS310S、SUS304、SUS316L等のステンレス鋼が適用されるが、一般にこのような高Ni含有ステンレス鋼素材は、塑性加工が行い難い素材であり、従って本実施例における加工も必然的に困難性の高い加工となる。
以下、本実施例におけるブランク取り態様について、より具体的に説明する。本実施例では一例として図4に示すように、ストリップ材Sの中央部分に、素形材Wをつなぐ背骨状の桟部分B(骨格部)を形成し、この桟部分Bに対して素形材Wを対向的につなぎ、ブランク取りを行っている。また、本発明ではプログレッシブ加工を採用することから、桟部分Bに相当する位置に、予めパイロット孔PHが開孔されるものである。
ここで本実施例では、ブランク取りの形状において、以後の工程、主に事前造形工程P2を考慮した、格別な技術的工夫を施しているので、これについて説明するが、これに付随して、まず本明細書に記載する『造形』について説明する。本明細書では、主として素形材Wを全体的に適宜の形状に賦形する加工を鍛造加工(型鍛造)とし、主として素形材Wの表面に適宜の形状や模様を付与する加工を圧印加工(コイニング)としており、これらの加工つまり素形材Wに対する全体的及び表面的な加工を総称して『造形』としている。なお、本実施例では、このような造形加工として型鍛造を例に挙げている。
そして、一般的な打ち抜き(ブランク取り)では、例えば図5(b)に示すように、概ね翼部11と軸部12とを平面投影した形状で、そのまま打ち抜くことが多いが、本実施例におけるブランク形状、特に翼部11は、一例として図4、5(a)に示すように、肉厚となる前縁11aについては、平面視ほぼ中央部に肉寄せ凹部17aを形成し、その後の造形加工の際に、前縁両端部から肉が寄ってきて、この肉寄せ凹部17aが最終的に埋まるように考慮している。また、肉薄となる後縁11bについては、平面から視て後縁両端側に肉流し用の凹み17bを形成するとともに、後縁先端側が翼幅hよりも充分狭いテーパ状になるように形成し、その後の造形加工の際に、肉が全体的に延展し、後縁先端側が所望の翼幅hを形成するように考慮している。このように、本実施例では、以後の造形工程の際に、材料が流れ易いブランク形状を解析し、ブランク取りに活かしている。
ここで、本実施例における造形工程時の材料流れを、その前段のブランク取りにおいて予め考慮した作用・効果について説明する。
一般に型鍛造では、金属素材(素形材W)を対向型で圧縮することにより、対向型に形成されているキャビティ内に肉(材料)を満たして所望形状に鍛造するものであり、キャビティ内の材料流れ(方向)としては特に規制されないものである。しかしながら、本実施例では翼部11の両側に大径の鍔部13を形成し、しかも、この鍔部13は、ストリップ材Sの板厚よりも大径であるため、軸部12の長手方向には極力材料を流さないように規制し、鍔部13を形成する部位については肉を膨出させる(盛り上げる)ように鍛造しなければならない。逆に言えば、本実施例において、一般の鍛造のように軸方向への材料流れも許容してしまうと、鍔部13の膨出形成が極めて困難となる。このため本実施例では、通常の型鍛造よりも、材料流れを充分に考慮したブランク取りを行っている。もちろん適用素材そのものが、極めて塑性加工が行い難い耐熱素材であることも、鍛造時の材料流れを予め考慮する要因となっている。
また本発明では、素形材Wをストリップ材S(桟部分B)に、対向的につないだまま順送りするプログレッシブ加工であることに因み、桟部分Bに対向的に取り付けられる素形材Wについては、一例として図4、5(a)に併せ示すように、肉厚の前縁11a側と、肉薄の後縁11b側とを点対称状態に配置し、送り方向に対して互いに異なる端縁を向けるようにブランク取りしている。
これは、その後の造形加工の際に、対向型の圧縮によって素形材Wに作用する逃げ(あばれ)を相殺するためである。すなわち、翼部11は、前縁11aが肉厚、後縁11bが肉薄であるため、全体的に表面が傾斜しており(翼形)、例えば桟部分Bに取り付けられる素形材Wを、送り方向に対して同じ端縁を向けるように設定すると、素形材Wは、対向型で挟み込まれた際に、どうしても翼形表面に沿って逃げ易くなる(肉厚の前縁11a方向に逃げ易くなる)。このため、場合によっては対向型に対する素形材Wの加工位置が安定せず、所望の造形加工が行い難くなることも考えられ、従って、本実施例では、送り方向に対して素形材Wの端縁を互い違い状態に配し、このような素形材Wのあばれを防止し、所望の造形加工が確実に行えるようにしている。
また本実施例では、ブランク取りの際、桟部材Bに取り付けられる素形材WのピッチL1(図4、5(a)参照)を、最終製品形状における翼弦長Lに極力近づけるものである。具体的には、ストリップ材S(軸部12の径)の厚さによっても異なるが、翼弦長Lが17.44mmの場合、ピッチL1を約20mm程度に設定している。これを比率で示すとピッチL1は翼弦長Lのほぼ1.15倍程度となるが、商業的に意義のある生産を考慮すると、概ね1.2倍程度が望ましい。これは、FB加工機及びFB加工用金型を用いる順送加工ゆえに可能な数値であって、通常、順送加工では、該比率は1.5倍程度であるから、材料歩留りの向上と生産性の向上とを同時に実現できる点で、極めて有効である。なお、ピッチL1は、このように翼弦長Lよりも大きく設定されるものであり(L1>L)、これは仮にピッチL1を翼弦長Lと同じに設定すると(L1=L)、例えば最終造形工程P4において、加工後、隣り合う素形材W同士が接触してしまうためである。また、本実施例では、翼部11の両側に鍔部13を形成するため、造形時の材料の流れを主にピッチL1方向に設定するものであり、この点では、ピッチL1を極力大きくとった方が、造形加工も行い易くなる。しかしながら、ピッチL1を大きくとれば、ストリップ材Sの材料利用率(歩留り)としては低下するため、本実施例では、あえてピッチL1をできる限り翼弦長Lに近づけ、歩留りの向上を図っている。なお、素形材WのピッチL1は、プログレッシブ加工においてストリップ材Sを送る一回の移送量(移動量)に相当する。
(2)事前造形工程P2(第一造形工程)
造形工程は、例えばFB装置による一対の対向型によって素形材Wを挟み込み、素形材Wを所望の形状に形作る工程である。特に、本実施例では二回の型鍛造によって素形材Wを、打ち抜き状態(ほぼ四角状断面)からニヤネットシェイプ状態に形成するものであり、この二回の型鍛造のうち、最初の工程を事前造形工程P2(第一造形工程)、二回目の型鍛造を最終造形工程P4(リストライク)とするものである。ここで、本明細書に記載する『造形』とは、上述したように、素形材Wをニヤネットシェイプ状態に形成するために、このものに表面的に施すコイニング加工や全体的に施す鍛造加工を総称するものである。
なお、事前造形工程P2では、前縁11aから後縁11bまでの羽根形状(翼形)については、最終製品形状に比べて一例として片側僅か0.05mm厚い状態を狙って鍛造するものであり、これは事前造形工程P2において、ある程度の羽根形状を成形しなければ、最終造形工程P4において最終製品形状を成形しきれないためである。
また、この事前造形工程P2においては、軸径(一例として直径4.5mm)と鍔径(一例として直径6mm)については、この段階から最終製品形状の寸法を狙って鍛造するものであり、これは特に鍔部13が、ブランク取りするストリップ材Sの板厚よりも大きい寸法であるため、事前造形工程P2において確実に膨出させておかないと、その後、いかに対向型で強固に素形材Wを挟み込んでも、周囲に延展するだけで、肉盛り状に突出させることが難しいためである。
因みに、この種の型鍛造においては、通常、キャビティ容積以上の材料(素形材W)を対向型で強固に圧縮して鍛造するものであり、この際、材料をキャビティ内に充填させながら、余剰の材料を敢えて型の分割面に流出させることにより、素形材Wを精緻に所望形状(キャビティ形状)に形成するものである。しかしながら、キャビティ内は、言わば密閉された閉鎖空間であるため、キャビティの形状や寸法等によっては、材料がキャビティ内に充分入り込まないうちに、分割面に流出してしまうことも考えられる。このような場合、分割面付近では、材料は流れ易いが、キャビティ内では材料が流れ難い状況となり、材料が入り込み難いキャビティ内を、材料が流れ易い分割面に対して袋状部位41とする(図6参照)。
また、ストリップ材Sをプログレッシブ加工の各工程にスムーズに送るために、ストリップ材Sの表面や対向型の内面等には、摩擦抵抗を減らすための油(潤滑剤O)が塗布されることが多く、例えば図6(c)に示すように、軸部12や鍔部13等の袋状部位41では、この潤滑剤Oが溜まることがあり、キャビティ内での材料の流れを、より阻害する要因となる。
このため本実施例では、例えば図6(a)に示すように、対向型D2の袋状部位41に、一例として直径約2mm程度のストレート状の油抜孔42を形成し、これによりキャビティ内の材料流れを促進するものである。すなわち、軸部12や鍔部13等を形成する対向型D2の袋状部位41に潤滑剤Oが溜まっても、ここに入り込んだ潤滑剤Oを、対向型D2の圧縮作動によって、油抜孔42から外部に放出するようにし、材料がキャビティ内にスムーズに入り込むようにしている。
なお、油抜孔42によって対向型D2の強度低下が懸念される場合には、例えば図6(b)に示すように、油抜孔42の途中部位に球形孔43を設け、対向型D2に掛かる応力を分散させることが可能である。また、油抜孔42の両側で対向型D2を分け、別部材として形成することも可能である。
なお、本実施例では、上述したように二回の造形工程を経て、素形材Wをニヤネットシェイプ状態に形成するが、必ずしもこれに限定されるものではなく、最終製品の形状やストリップ材Sとして適用する金属素材の種類あるいはプレス型の型構造等によっては、三回以上の複数の造形工程を経ることも可能である。その場合、最後の造形工程(最終造形工程P4)以外は全て事前造形工程P2となる。
(3)中間トリム工程P3(トリム工程)
この工程は、例えば事前造形工程P2において素形材Wの周囲(輪郭部)に生じたフラッシュやバリ等、最終造形工程P4を行うにあたり不必要となる不要部aを切除する工程である。具体的なトリミング手法としては、例えば一対の対向型D3によって素形材Wを挟み込み、FB加工機によって不要部aをトリミングするものである。そして、このようなトリムにより最終造形工程P4における材料流れを促進し、ニヤネットシェイプ状態をより実現し易くするものである。逆に言えば、事前造形工程P2において発生したバリ等を切除しないで、そのまま素形材Wを最終造形工程P4に供した場合には、バリ等が材料流れを阻害することがあり、また素材そのものの塑性変形性(塑性流動性)が低いために、素形材Wをニヤネットシェイプ状態に形成し難いことが考えられる。
なお本実施例では、最終造形後にもトリミングを行っており、これら二回のトリム作業を区別して示す場合に、最終造形の直前に行うトリミングを中間トリム工程P3とし、最終造形後に行うトリミングを最終トリム工程P5としている。
このように本実施例においては、最終造形工程P4の前にトリミング(中間トリム)を行っている。因みに通常、複数回の鍛造を行う場合には、最後の鍛造加工が終わった段階で、一回のみトリミングを行い、ニヤネットシェイプ状態の半製品(素形材W)を得ることが多い。
なお中間トリムでは、事前造形工程P2においてピッチL1方向に拡がったバリ等を切除するため、これが結果的に最終造形工程P4における材料のピッチL1方向への拡がりを抑えることになり、素形材WのピッチL1を狭めることにも寄与している。
(4)最終造形工程P4(リストライク工程)
この工程は、造形工程における最終的な形状仕上げ(リストライク)であり、本実施例では一対の対向型D4を適用し、FB加工機によって素形材Wを型鍛造(造形)するものである。具体的には、事前造形工程P2において成形した片側0.05mm程度厚い羽根形状を、最終製品形状の設定にて成形するものであり、また鍔部13と軸部12の成形も行い、軸部12と羽根形状との位置度を確保(矯正)するものである。
(5)最終トリム工程P5(トリム/セパレート工程)
この工程は、例えば図4に示すように、最終造形工程P4によって製品部位(最終製品形状)からはみ出たバリ等の非製品部位bを切除する工程である。具体的な加工手法としては、ここでも例えば一対の対向型D5によって素形材Wを挟み込み、FB加工機によって非製品部位bをトリミングするものである。なお、本実施例では、図4、7に示すように、この最終トリム工程P5において、ストリップ材S(桟部材B)からの素形材Wの切り離し(セパレート)も行っているため、本工程は実質的にトリム/セパレート工程となる。
また通常、このような切り離し等をプレス加工により行うと、剪断面(ここでは長軸部12aの端部)には、図7の拡大図に示すように、ポンチ(切刃)の食い込み、もしくは切り込みによって幾らかのダレ変形(プレスによるダレ)が生じる。このため、本発明では、この最終トリム工程P5におけるダレ変形が、最終製品としての可変翼1に出現しないように、予め実際の軸長(長軸部12a)に、ダレ寸法を加えた長さ寸法で軸端部を切り離すようにしている。すなわち、このようなダレ変形はプレス加工において不可避的なものであるため、本発明では実際の長軸部12aを越えた非製品部分にあえてダレ変形を生じさせるようにし、この後の切削工程P6において、このダレ変形を除去するものである(図8参照)。もちろん、この場合、当初のブランク取りから、予め長軸部12aの長さを延長させた形状としてブランク取りを行うものである。
また、このようなことに加え、本実施例では、上述したように実際の長軸部12aの端部位置に、基準面15を対向的に括れさせた誘い込み16を形成しておき、可変翼1の嵌合部材(上述した受動要素32B)への嵌め込みを行い易くし、組み付け性の向上を図るものである。なお、誘い込み16は、長軸部12aのみに形成すればよく、これは、長軸部12aが上記受動要素32Bに対し圧入されるためである。すなわち、可変翼1を受動要素32Bに嵌め込むあたっては、力を加えながら長軸部12aの先端(基準面15)を受動要素32Bの孔部に嵌め込むため、この嵌め込みをガイドするための誘い込み16を設けることは、組み付け性向上において極めて有効となる。しかしながら、もう一方の短軸部12bは、保持部材22の受入孔25に遊嵌状態に嵌め込むだけなので、嵌め込み用のガイドは、特に無くても組み付け性向上にそれ程寄与しないものである。
また、本工程においてトリミングされた軸部12の断面は、図7に併せ示すように長円形となる。これは、トリムによる破断面(切断面)がストレート状になるためである。すなわち、長円形断面の長軸は、最終トリム工程P5等における対向型D5の挟み込み方向であり、長円形断面の短軸は、この方向(対向型D5の挟み込み方向)に直交した方向となる。なお、長円形断面の短軸の長さ(軸部12のトリミング幅)は、完成品状態での軸径寸法を狙ってトリミングすることが可能である。
またトリミングされた長円形断面の軸部12は、その後の切削工程P6において円形に加工されるものであり、つまり厳密には、軸部12断面における長軸方向と短軸方向とにおいて切削代が異なるものである。
(6)切削工程P6
この工程は、上述したプログレッシブ加工が終了した後、素形材Wの主に軸部12を切削する工程である。なお、この切削工程P6においては、(i) 軸端面カット、(ii)軸センター加工、(iii) 軸/翼加工の段階を経るものであり、以下各段階について説明する。
(i)軸端面カット
この段階は、軸部12の両端部を切削して、長軸部12aと短軸部12bの長さ(最終製品長さ)を確保する段階であり、一例として図8に示すように、回転している一対のエンドミルEMの間に、最終トリミング終了後の素形材Wを通過させ、両軸部12の端面をカットするものである。この際、長軸部12aと短軸部12bとの長さの基準は、翼部11端面(鍔部13の座面)となる。そして、この軸端面カットの段階で、上述したように長軸部12aのダレ変形が除去されるとともに、基準面15の最狭部が切削され、誘い込み16が軸端部に形成される。
なお、本実施例では長軸部12aと短軸部12bとを同時に切削するように図示したが、端面カットは、片方ずつ順番に行っても構わない。
(ii) 軸センター加工
この段階は、両軸端面が所定長さにカットされた素形材Wの両軸部12のセンターを加工する段階であり、具体的には両軸部12の芯出しと、この芯位置にドリリング(もみ付け)がなされる。これには、例えば図9に示すように、V字状の挟持部を有する一対のチャッキング45が適用され、このチャッキング45によって、両軸部12の円弧面(非トリム面)を各々挟み付け、チャッキング45(挟持部)の中心位置を軸部12のセンター位置として検出し、また、この位置にドリリングを行うものである。なお、チャッキング45によって軸部12の円弧面(非トリム面)を挟み込むのは、平面状のトリム面を挟持した場合、正確なセンター位置が検出できないことがあり得るためである。
(iii)軸/翼加工
この段階は、例えば図10に示すように、ドリリングされた両軸部12(センター位置)を芯押え46で保持しながら、素形材W(可変翼1)を回転させて、バイトCTにより軸部12と翼部11の切削を行う段階である。この際、軸部12は、一例として半径約0.15mm、つまり軸径としては約0.3mm切削されるものである。なお、ここでの切削により、素形材Wは、可変翼1としての翼幅h、軸径、両軸部の同軸度等が仕上げられる。
因みに本実施例では翼部11の両側に軸部12が形成されるため、厳密には長軸部12aと短軸部12bとの軸芯がずれていると、可変翼1をアッセンブリとして組み付けた状態で、円滑な回動状態は得られない。しかしながら、現実には、上述したように軸部12は切削されて、最終製品寸法に仕上げられるため、最終造形工程P4までにおける両軸部12の軸芯のズレが、この切削代内に収まれば、切削によって両軸部12の軸芯を合致させることができる。言い換えれば、最終造形工程P4までにおける軸芯のズレを切削寸法内に収めれば、この軸芯のズレを最終的な切削によって補正することができるものである。
また、この段階の切削において、両軸部12に摺動段差14が確保され、これが摩擦抵抗を抑制した摺動面となり、可変翼1をアッセンブリとして組み付けた際、円滑な回動状態を実現する。
(7)バレル研磨工程
この工程は、切削工程P6を終了した可変翼1(素形材W)を全体的に表面研磨する工程であり、例えば可変翼1とメディアと呼ばれる添加剤とをバレル容器に入れ、バレル容器を回転もしくは振動させることによって、可変翼1とメディアとを衝突させて、可変翼1の表面を仕上げるものである。
本発明に係る可変翼を組み込んだVGSタイプのターボチャージャの一例を示す斜視図(a)、並びに排気ガイドアッセンブリの一例を示す分解斜視図(b)である。 本発明に係る可変翼の正面図、左側面図、右側面図である。 連続的に設けた各工程の対向型に対し、ストリップ材を供給し、プログレッシブ加工を行う様子を骨格的に示す説明図である。 プログレッシブ加工が行われたストリップ材を平面視状態で段階的に示す説明図である。 可変翼の原形となる素形材をストリップ材からブランク取りする様子を示す斜視図(a)、並びに一般的なブランク手法を示す斜視図(b)である。 対向型の袋状部位に油抜孔を形成したプレス金型を示す説明図(a)、(b)、並びに油抜孔を形成しない場合、袋状部位での成形の様子を示す説明図(c)である。 ストリップ材から切り離された素形材の各部の様子を示す斜視図である。 ストリップ材から切り離された素形材の長軸部と短軸部とを切削する様子を示す斜視図である。 両軸部の端部を切削した後、各軸部の軸芯を検出する様子を示す説明図である。 両軸部のセンター位置にドリリングを行った後、この位置を保持しながら、バイトによる切削を行い、軸径、摺動段差、翼幅を仕上げる様子を示す説明図である。
符号の説明
1 可変翼
2 タービンフレーム
3 可変機構
11 翼部
11a 前縁
11b 後縁
12 軸部
12a 長軸部
12b 短軸部
13 鍔部
14 摺動段差
15 基準面
16 誘い込み
17a 肉寄せ凹部
17b 凹み
21 フレームセグメント
22 保持部材
23 フランジ部
23A フランジ部(小)
23B フランジ部(大)
24 ボス部
25 受入孔
26 カシメピン
27 ピン孔
31 回動部材
32 伝達部材
32A 駆動要素
32B 受動要素
33 リング
41 袋状部位
42 油抜孔
43 球径孔
45 チャッキング
46 芯押え
a 不要部
b 非製品部位
h 翼幅
A 排気ガイドアッセンブリ
B 桟部分
D1 対向型(ブランク取り)
D2 対向型(事前造形)
D3 対向型(中間トリム)
D4 対向型(最終造形)
D5 対向型(最終トリム)
G 排気ガス
L 翼弦長
L1 ピッチ
O 潤滑剤
P1 素形材の準備工程
P2 事前造形工程
P3 中間トリム工程
P4 最終造形工程
P5 最終トリム工程
P6 切削工程
S ストリップ材
T 排気タービン
W 素形材
CT バイト
EM エンドミル
UC アンコイラー
LV レベラー
PH パイロット孔
SC スクラップ

Claims (3)

  1. 回動中心となる軸部と、実質的に排気ガスの流量を調節する翼部とを具え、
    エンジンから排出された比較的少ない排気ガスを適宜絞り込み、排気ガスの速度を増幅させ、排気ガスのエネルギで排気タービンを回し、この排気タービンに直結されたコンプレッサで自然吸気以上の空気をエンジンに送り込み、低速回転時であってもエンジンが高出力を発揮できるようにしたVGSタイプのターボチャージャに組み込まれる可変翼を製造するにあたり、その工程は、
    ほぼ一定の板厚を有した金属材から、目的の可変翼を実現し得るボリュームを有するように打ち抜かれたブランク材を、可変翼の原形である素形材とする、素形材の準備工程と、
    上記素形材を一対の対向型によって挟み込み、翼部や軸部等を所望の形状に形成する造形工程と、
    上記造形工程において製品部位からはみ出した素形材の非製品部位をトリミングするトリム工程と、
    トリミング終了後、ほぼ最終製品に近い形状となったニヤネットシェイプ状態の素形材の軸部を主に切削し、所望の寸法精度に仕上げる切削工程とを具えて成るものであり、
    また前記素形材は、金属板材の一部につながれたまま順送りされ、素形材の準備工程、造形工程、トリム工程までを受けるプログレッシブ加工であり、
    トリム工程においては同時に素形材を金属板材から切り離すものであり、この際、可変翼の軸端部については、ダレ変形を見込み、実際の軸長に、このダレ寸法を加えた長さで、素形材を金属板材から切り離すとともに、軸端部に形成されたダレ変形については、後の切削工程において軸端面をカットして取り除くようにしたことを特徴とするVGSタイプターボチャージャにおける可変翼の軸端部の処理方法。
  2. 前記トリム工程において金属板材から切り離される素形材には、可変翼の実際の軸長端部位置に、嵌合部材への嵌め込み挿入をガイドするテーパ状の誘い込みが形成されることを特徴とする請求項1記載のVGSタイプターボチャージャにおける可変翼の軸端部の処理方法。
  3. 回動中心となる軸部と、実質的に排気ガスの流量を調節する翼部とを具え、エンジンから排出された比較的少ない排気ガスを適宜絞り込み、排気ガスの速度を増幅させ、この排気ガスのエネルギで排気タービンを回し、排気タービンに直結されたコンプレッサで自然吸気以上の空気をエンジンに送り込み、低速回転時であってもエンジンが高出力を発揮できるようにしたVGSタイプのターボチャージャに組み込まれる可変翼であり、このものは前記請求項1または2記載の処理方法によって処理されたことを特徴とする可変翼。
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