JP2007023808A - バルブタイミング調整装置 - Google Patents

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憲 堀
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Abstract

【課題】 作動不良を防止するバルブタイミング調整装置を提供する。
【解決手段】 バルブタイミング調整装置は、内部へ供給された潤滑流体を外部へ排出する排出孔90を有し、内燃機関のクランク軸と連動して回転する第一回転体11と、内燃機関のカム軸と連動して回転する第二回転体16と、第一回転体11の内部に収容されており、リンク作動によって第一回転体11と第二回転体16との間の相対回転位相を変化させるリンク機構50とを備え、リンク機構50は、リンク作動に伴って第一回転体11の内壁面24に摺接する摺接面80並びに摺接面80に隣接し内壁面24に隙間82を挟んで対向する対向面81とが設けられてなる摺接リンク51を有し、排出孔90は、内壁面24において、摺接リンク51の所定の作動位置で対向面81に対向する部分に開口する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、クランク軸からのトルク伝達によりカム軸が開閉する吸気弁及び排気弁のうち少なくとも一方の開閉タイミング(以下、バルブタイミングという)を調整する内燃機関のバルブタイミング調整装置に関する。
従来、クランク軸と連動して回転する回転体と、カム軸と連動して回転する回転体との間の相対回転位相を変化させることにより、バルブタイミングを調整するバルブタイミング調整装置が知られている。例えば特許文献1には、電動モータを備えた制御系によりリンク機構のリンク作動を制御して二つの回転体の相対回転位相変化を発生するバルブタイミング調整装置が開示されている。このバルブタイミング調整装置では、カム軸側から受けるトルクの変動がリンク作動の制御に及ぼす影響を小さくすることができる。
さて、特許文献1に開示のバルブタイミング調整装置では、クランク軸との連動回転体(以下、単に連動回転体という)の内部にリンク機構等の機構を収容し、機構構成要素同士や機構構成要素と連動回転体とを密接させている。これにより、機構構成要素の位置ずれを規制して装置全体としての作動不良を防止している。
特開2005−98142号公報
しかし、特許文献1に開示のように機構構成要素同士や機構構成要素と連動回転体とを密接させた場合、そうした密接要素間の相対摺動によって磨耗が生じる。
そこで磨耗を抑制するには、連動回転体の内部に潤滑流体を供給する方法が考えられる。ところが、低温時等において潤滑流体が高粘度化すると、潤滑流体の流動性が低下することから、連動回転体に潤滑流体の排出孔を設けたとしても、連動回転体の内部に潤滑流体が滞留し易くなる。また、磨耗粉等の異物が潤滑流体に含まれる場合にも、同様の理由によって潤滑流体が連動回転体の内部に滞留し易くなる。このように、高粘度化した潤滑流体や異物を含んだ潤滑流体が連動回転体の内部に滞留した場合、密接要素間の摺動抵抗が増大し、その結果、装置の作動不良を招来するおそれがあるので、望ましくない。
本発明は、上述の問題に鑑みてなされたものであって、その目的は、作動不良を防止するバルブタイミング調整装置を提供することにある。
請求項1〜11に記載の発明では、クランク軸及びカム軸の一方と連動して回転する第一回転体と、クランク軸及びカム軸の他方と連動して回転する第二回転体との間の相対回転位相がリンク機構のリンク作動によって変化する。したがって、リンク作動を制御することによりバルブタイミングを調整できる。
そして請求項1に記載の発明によると、リンク機構の摺接リンクには、リンク作動に伴って第一回転体の内壁面に摺接する摺接面と、当該摺接面に隣接し第一回転体の内壁面に隙間を挟んで対向する対向面とが設けられる。それ故、摺接リンクの対向面と第一回転体の内壁面とに挟まれる隙間には、第一回転体の内部に供給された潤滑流体がその表面張力によって捕捉され易くなる。
さらに請求項1に記載の発明によると、第一回転体の内部から外部へ潤滑流体を排出する排出孔は、第一回転体の内壁面において、摺接リンクの所定の作動位置で当該摺接リンクの対向面に対向する部分に開口する。この所定の作動位置では、摺接リンクの対向面と第一回転体の内壁面との間の隙間の内圧よりも排出孔の内圧が低くなることで、その隙間に捕捉されている潤滑流体が排出孔の内部へ流出し易くなる。
このような請求項1に記載の発明によれば、低温時等に高粘度化した潤滑流体や磨耗粉等の異物を含んだ潤滑流体を、摺接リンクの対向面と第一回転体の内壁面との間の隙間に一旦捕捉した後、排出孔を通じて排出できる。これにより第一回転体の内部には、高粘度流体や異物含有流体が滞留し難くなるので、摺接リンクの摺接面と第一回転体の内壁面との間等、第一回転体内部の密接要素間において摺動抵抗の増大を抑制できる。したがって、バルブタイミング調整装置の作動不良が防止される。
請求項2に記載の発明によると、摺接リンクにおいて対向面は、摺接面よりも凹む段差面であるので、当該段差面と第一回転体の内壁面との間に確実に隙間を形成できる。
請求項3に記載の発明によると、第一回転体の内壁面は、摺接リンクの摺接面と摺接する部分よりも凹む段差部を有し、摺接リンクの対向面は、当該段差部に対向する面であるので、それら段差部と対向面との間に確実に隙間を形成できる。
通常、内燃機関の始動時において潤滑流体は低温であるため、高粘度化している蓋然性が高い。
請求項4に記載の発明によると、排出孔は、内燃機関の始動時に摺接リンクが作動する範囲において摺接リンクの対向面に対向する。故に機関始動時には、摺接リンクの対向面と第一回転体の内壁面との間の隙間が排出孔に連通した形となるので、潤滑流体が高粘度化していたとしても当該潤滑流体を速やかに排出できる。したがって、機関始動時における摺動抵抗の抑制効果、ひいては作動不良の防止効果が向上する。
請求項5に記載の発明によると、回転径方向及び回転軸方向が第一回転体と略一致した第二回転体から回転径方向の外側へ突出する摺接リンクについて、その回転軸方向の一面が形成する摺接面は、回転径方向において対向面よりも内側に位置する。それ故、摺接リンクの対向面と第一回転体の内壁面との間の潤滑流体は、第一回転体に働く遠心力によって回転径方向内側への移動を抑えられるため、回転径方向内側となる摺接リンクの摺接面と第一回転体の内壁面との摺動界面へ入り込み難くなる。したがって、高粘度流体や異物含有流体が摺接リンクと第一回転体との摺動界面に入り込んだが故に摺動抵抗が増大する事態を、不可避的に生じる遠心力の利用によって容易に防止できる。
請求項6に記載の発明によると、回転径方向及び回転軸方向が第二回転体と略一致する第一回転体の内壁面と外壁面との間を第二回転体が回転軸方向に嵌通する。これにより、第一回転体と第二回転体との嵌合界面は、摺接リンクの摺接面と対向面との境界よりも回転径方向内側に位置した形となる。故に摺接リンクの対向面と第一回転体の内壁面との間の潤滑油は、摺接リンクの摺接面と第一回転体の内壁面との摺動界面を回転径方向内側へと抜けて第一及び第二回転体の嵌合界面に達することが困難となる。したがって、高粘度流体や異物含有流体が第一及び第二回転体の嵌合界面に入り込んだが故にそれら回転体の相対回転不良や損傷が生じる事態を回避できる。
請求項7に記載の発明によると、排出孔は、第一及び第二回転体の回転周方向へ延伸する形状に形成されるので、摺接リンクの連続する作動範囲において潤滑流体の排出作用を得ることができる。
請求項8に記載の発明によると、排出孔は、第一及び第二回転体の回転周方向に複数設けられるので、第一回転体の強度低下を抑えつつ、摺接リンクの複数の作動位置で潤滑流体の排出作用を得ることができる。
請求項9に記載の発明によると、回転径方向において排出孔の全体が摺接リンクの摺接面と対向面との境界よりも外側に位置するので、排出孔が摺接面によって覆われることがない。したがって、排出孔による潤滑流体の排出効率が高くなる。
尚、回転径方向において、排出孔の一部が摺接面と対向面との境界よりも外側に位置し、且つ排出孔の残部が摺接面と対向面との境界よりも内側に位置していてもよい。
請求項10に記載の発明によると、リンク機構において連繋リンクが摺接リンクと回り対偶により連繋し、当該回り対偶を実現するための軸体が摺接リンクの対偶素を嵌通する。このような構成によると、摺接リンクの対偶素と軸体との間では回転摺動による磨耗粉が発生し易く、またそうした磨耗粉は、リンク作動に伴って摺接リンクと第一回転体との間へと入り込み易い傾向がある。しかし、請求項10に記載の発明によると、摺接リンクの対偶素において摺接面と対向面との境界上を軸体が嵌通するので、対向面と第一回転体の内壁面との間の隙間には、対偶素と軸体との嵌合界面の縁部が露出した形となる。これにより、対偶素と軸体との間に発生した磨耗粉は、それら要素間の相対回転に伴って対向面及び内壁面間の隙間へと導出され易くなり、またその導出後には、摺接リンクの上記所定の作動位置で排出孔から排出されることとなる。したがって、対偶素と軸体との間から摺接面と第一回転体との間へと磨耗粉が移動して摺動抵抗が増大することを抑制できるのみならず、対偶素と軸体との間の相対回転が円滑となるので、リンク機構の作動不良を防止できる。
請求項11に記載の発明によると、リンク機構のリンク作動を制御するための制御トルクを電動モータによって発生するので、制御トルクの調整、ひいてはバルブタイミングの調整を高精度に行うことができる。
摺接リンクの摺接面と第一回転体の内壁面との間等、第一回転体内部の密接要素間において摺動抵抗が増大する場合、制御ユニットが発生する制御トルクによってリンク機構を迅速に作動させるには、当該制御トルクを増大する必要性が生じる。しかし、請求項1〜10に記載の発明では、そうした摺動抵抗の増大を抑制できるので、請求項11に記載の発明のように電動モータによって制御トルクを発生させるようにしても、電動モータの発生トルクを小さく抑えることができる。したがって、省電力且つ小型の電動モータを使用することが可能になる。
尚、制御トルクの発生手段としては、電動モータ以外にも、例えば油圧モータや電磁ブレーキ装置等の公知のトルク発生手段を用いることができる。
以下、本発明の複数の実施形態を図面に基づいて説明する。
(第一実施形態)
図2は、本発明の第一実施形態によるバルブタイミング調整装置1を示している。バルブタイミング調整装置1は、内燃機関のクランク軸からカム軸2へ機関トルクを伝達する伝達系に設けられる。バルブタイミング調整装置1は、クランク軸とカム軸2との間の相対回転位相を変化させることにより、内燃機関の吸気弁についてバルブタイミングを調整する。
バルブタイミング調整装置1は、スプロケット11、出力軸16、電動モータ30、遊星歯車機構40及びリンク機構50を備えている。
スプロケット11は全体として中空形状であり、遊星歯車機構40、リンク機構50等を収容している。このスプロケット11は、入力筒部13、入力筒部13よりも小径筒状の軸部12、入力筒部13と軸部12との間を階段状に接続する接続部14、入力筒部13の接続部14とは反対側に固定されたカバー部15を有している。入力筒部13の外周壁には、複数の歯17を有する入力巻掛部18が設けられており、この入力巻掛部18の複数の歯17とクランク軸の複数の歯との間で環状のタイミングチェーン19が巻き掛けられる。これにより、クランク軸から出力された機関トルクがタイミングチェーン19を通じて入力巻掛部18へ入力されるときには、スプロケット11がクランク軸との間の相対回転位相を保ちつつ、図3の時計方向へ回転軸線O周りに回転する。
図2に示すように軸部12は、出力軸16の外周側に同軸嵌合している。軸部12の外周部には、複数の歯20を有する同期巻掛部21が設けられており、この同期巻掛部21の複数の歯20と、排気弁用バルブタイミング調整装置のスプロケットが備える複数の歯との間で環状のタイミングチェーン22が巻き掛けられる。これにより、スプロケット11と排気弁用バルブタイミング調整装置のスプロケットとが連動して回転し、吸気弁用バルブタイミング調整装置1と排気弁用バルブタイミング調整装置との間で同期が取られることとなる。
接続部14は、回転軸線Oに対して垂直な平板状に形成されている。カバー部15は有底筒状に形成されており、回転軸線Oに対して底壁が垂直となる形態で周壁によって入力筒部13に嵌合固定されている。
出力軸16はカム軸2に同軸固定されており、スプロケット11において接続部14の内壁面24と軸部12の外壁端面25との間を回転軸方向に嵌通している。これにより出力軸16は、カム軸2に対する相対回転位相を保ちつつ回転軸線O周りに回転可能となっており、またスプロケット11に対して相対回転可能となっている。尚、以下の説明では、図3に示すスプロケット11に対して出力軸16が進角する相対回転方向を進角方向Xといい、スプロケット11に対して出力軸16が遅角する相対回転方向を遅角方向Yという。
以上、スプロケット11が、クランク軸と連動して回転する第一回転体に相当し、軸部12の外壁端面25が第一回転体の外壁面に相当し、出力軸16が、カム軸2と連動して回転する第二回転体に相当する。
図2,4に示すように電動モータ30は、ハウジング31、軸受32、モータ軸33、ステータ34、図示しない制御回路等から構成されている。
ハウジング31はステー35を介して内燃機関に固定されている。ハウジング31には、二つの軸受32及びステータ34が収容固定されている。モータ軸33はスプロケット11及び出力軸16と同軸に配置され、各軸受32によって回転軸方向の二箇所を支持されている。モータ軸33は、遊星歯車機構40の入力軸42に軸継手36を介して連結固定されており、回転軸線O周りに入力軸42と共に回転可能となっている。モータ軸33は、その軸本体33aから回転径方向外側へ突出する平板状のロータ部33bを有している。ロータ部33bには、その回転軸線O周りの回転周方向に等間隔に並ぶ形態で複数の永久磁石37が埋設されている。
ステータ34はモータ軸33の外周側に同軸配置されており、コア38及びコイル39を有している。コア38は複数枚の鉄片を積層して形成され、回転軸線O周りに等間隔に並ぶ形態で複数設けられている。各コア38には、制御回路に接続されたコイル39が巻装されている。制御回路は、各永久磁石37へ作用する回転磁界を各コイル39の所定順序での励磁によって形成するように、各コイル39への通電状態を切替制御する。したがって、各コイル39への通電が切替制御されるときには、回転磁界の方向に応じた方向X,Yの制御トルクがモータ軸33へ付与されることとなる。尚、制御回路については、ハウジング31の内部に収容させてもよいし、ハウジング31の外部に配置してもよい。
図2,5に示すように遊星歯車機構40は、太陽歯車41、入力軸42、遊星歯車43、ベアリング44、減速回転体45を組み合わせて構成されている。
太陽歯車41は、歯先曲面が歯底曲面の内周側にある内歯車で構成され、入力筒部13の内周壁に同軸固定されている。これにより太陽歯車41は、回転軸線O周りにスプロケット11と共に回転可能となっている。電動モータ30のモータ軸33に連結固定されている入力軸42の外周壁面は、回転軸線Oに対して偏心している。
遊星歯車43は、歯先曲面が歯底曲面の外周側にある外歯車で構成され、自転軸方向においてスプロケット11のカバー部15に隣接している。遊星歯車43の歯先曲面の曲率半径は太陽歯車41の歯底曲面の曲率半径よりも小さく、遊星歯車43の歯数は太陽歯車41の歯数よりも一つ少ない。これにより遊星歯車43は、太陽歯車41の内周側に遊星運動可能に噛み合っている。回転軸線Oに対して自転軸線Pが偏心する遊星歯車43の中心孔には、入力軸42がベアリング44を介して嵌合している。これにより、入力軸42及びモータ軸33がスプロケット11に対して相対回転可能となっている。
減速回転体45は回転軸線Oに対して垂直な平板状に形成され、回転軸方向において遊星歯車43のカバー部15とは反対側に隣接している。減速回転体45の複数箇所には、円筒孔状の係合孔部46が設けられている。各係合孔部46は減速回転体45の回転軸線O周りに等間隔に設けられ、減速回転体45をその回転軸方向へ貫通している。遊星歯車43においてそれら係合孔部46と向き合う複数箇所には、円柱状の係合突部47が設けられている。各係合突部47は遊星歯車43の自転軸線P周りに等間隔に設けられており、それぞれ向き合う係合孔部46の内部に突入している。減速回転体45は、後述の案内回転体54に固定されることによって回転軸線O周りに回転可能となっており、またスプロケット11に対して相対回転可能となっている。
このような遊星歯車機構40の減速作動としては、スプロケット11に対してモータ軸33が相対回転しないときには、スプロケット11の回転に伴い遊星歯車43が太陽歯車41との噛合位置を保ちつつスプロケット11及び入力軸42と共に回転する。すると、係合突部47が係合孔部46を回転側へ押圧するため、減速回転体45がスプロケット11に対する相対回転位相を保ちつつ回転軸線O周りに図5の時計方向へ回転する。一方、制御トルクの増大等によりモータ軸33がスプロケット11に対して遅角方向Yへ相対回転するときには、遊星運動によって遊星歯車43が入力軸42に対して図5の時計方向へ相対回転する。すると、係合突部47が係合孔部46を回転側へ押圧する力が増大するため、減速回転体45がスプロケット11に対して進角方向Xへ相対回転する。また一方、制御トルクの増大等によりモータ軸33がスプロケット11に対して進角方向Xへ相対回転するときには、遊星運動によって遊星歯車43が入力軸42に対して図5の反時計方向へ相対回転する。すると、係合突部47が反回転側へ係合孔部46を押圧するようになるため、減速回転体45がスプロケット11に対して遅角方向Yへ相対回転する。
図2,3,6に示すようにリンク機構50は、リンク51〜53、案内回転体54及び可動軸体55等から構成されている。尚、図3,6では、断面を表すハッチングを省略している。
第一リンク51は、出力軸16の回転軸線Oを挟む二箇所から相反方向へ突出する形態で二つ設けられている。各第一リンク51は、回転軸線Oに対して垂直な平板状に形成されている。第二リンク52は、スプロケット11の接続部14において回転軸線Oを挟む二箇所に回り対偶により連繋する形態で二つ設けられている。各第二リンク52は、回転軸線Oに対して垂直な平板状に形成されている。第三リンク53は、二つの第一リンク51のうち対応するものと、二つの第二リンク52のうち対応するものとに回り対偶によって連繋する形態で二つ設けられている。各第三リンク53は、回転軸線Oに対して垂直な平板状に形成されている。以上より、スプロケット11の回転軸方向においては、接続部14と第一及び第二リンク51,52とが隣接していると共に、第一及び第二リンク51,52と第三リンク53とが隣接している。
案内回転体54は回転軸線Oに対して垂直な平板状に形成されており、出力軸16の外周側に同軸嵌合している。案内回転体54は、その回転軸方向において第三リンク53と減速回転体45との間に挟持される形態で減速回転体45の遊星歯車43とは反対側に嵌合固定されている。したがって、案内回転体54は、回転軸線O周りに減速回転体45と共に回転可能となっており、またスプロケット11に対して減速回転体45と共に相対回転可能となっている。案内回転体54の回転軸線Oを挟む二箇所には、案内回転体54を軸方向へ貫通する案内通路56が設けられている。各案内通路56は、回転軸線Oを対称軸とした180°の回転対称形状、より具体的には案内回転体54の回転径方向の軸線に対し傾斜して直線状に延伸し且つ当該延伸方向で回転軸線Oからの径方向距離が変化する長孔状に形成されている。
円柱状の可動軸体55は二つ設けられており、それぞれ回転軸線Oに対して偏心する形態でスプロケット11の接続部14と減速回転体45との間に挟持されている。各可動軸体55の軸方向の一端部は、それぞれ対応する案内通路56に嵌合することで案内回転体54に滑り回り対偶によって連繋している。また、各可動軸体55の軸方向他端部側は、それぞれ対応する第二及び第三リンク52,53に回り対偶によって連繋している。
このようなリンク機構50のリンク作動としては、スプロケット11に対して減速回転体45が相対回転しないときには、可動軸体55が案内通路56に対して相対滑りせず、案内回転体54と共に回転する。このとき、回り対偶をなす第二及び第三リンク52,53の対偶素と回転軸線Oとの相対位置関係が変化しないため、第一リンク51と出力軸16とはスプロケット11に対して相対回転しない。一方、スプロケット11に対して減速回転体45が進角方向Xへ相対回転するときには、案内通路56に対して可動軸体55が回転軸線Oからの離間方向へ相対滑りする。このとき、第二及び第三リンク52,53の対偶素が回転軸線Oからの離間方向へずれるため、第一リンク51と出力軸16とがスプロケット11に対して遅角方向Yへ相対回転する。また一方、スプロケット11に対して減速回転体45が遅角方向Yへ相対回転するときには、案内通路56に対して可動軸体55が回転軸線Oへの接近方向へ相対滑りする。このとき、第二及び第三リンク52,53の対偶素が回転軸線Oへの接近方向へずれるため、第一リンク51と出力軸16とがスプロケット11に対して進角方向Xへ相対回転する。
次に、第一実施形態によるスプロケット11、出力軸16及び第一リンク51の特徴部分について説明する。
図1,3に示すようにスプロケット11及び出力軸16には、潤滑流体である内燃機関用潤滑油をスプロケット11の内部へ供給するための供給流路60〜64が設けられている。具体的に供給流路60は、スプロケット11の回転周方向へ連続して延伸する環状に形成されており、スプロケット11の接続部14の内壁面24に開口してスプロケット11の内部に連通している。スプロケット11の軸部12をその回転軸方向へ延伸する供給流路61は、延伸方向の一端部において供給流路60に連通していると共に、出力軸16と嵌合する軸部12の内周面に開口している。軸部12と嵌合する出力軸16の外周面に開口する供給流路62は、出力軸16の回転周方向へ連続して延伸する環状に形成されており、スプロケット11の供給流路61に常時連通可能となっている。出力軸16をその回転軸方向へ貫通する供給流路63は、出力軸16に固定のカム軸2において潤滑油が導入される導入流路6と連通している。出力軸16を回転径方向へ貫通する供給流路64は、供給流路62,63間を連通している。
スプロケット11の接続部14は、回転軸線Oに垂直な平坦面状の内壁面24から島状に突出する部分によって、遅角側ストッパ71と進角側ストッパ72とを形成している。ここで、遅角側ストッパ71において進角方向Xを向くストッパ面73は、出力軸16から突出する一方の第一リンク51において遅角方向Yを向く側面75に当接可能に設けられている。また、進角側ストッパ72において遅角方向Yを向くストッパ面76は、第一リンク51において進角方向Xを向く側面77に当接可能に設けられている。したがって、スプロケット11及び出力軸16の回転周方向において第一リンク51の側面75,77が図7の如くストッパ71,72のストッパ面73,76から離間するときには、スプロケット11と出力軸16との間の相対回転位相変化が許容される。一方、図3の如く第一リンク51の側面75が遅角側ストッパ71のストッパ面73に当接して係止されるときには、出力軸16がスプロケット11に対する最遅角位置に保持されるため、位相変化が規制される。また一方、図8の如く第一リンク51の側面77が進角側ストッパ72のストッパ面76に当接して係止されるときには、出力軸16がスプロケット11に対する最進角位置に保持されるため、位相変化が規制される。
尚、吸気弁用のバルブタイミング調整装置1では、内燃機関の停止時に出力軸16がスプロケット11に対する最遅角位置に保持され、内燃機関の始動時に出力軸16が当該最遅角位置からスプロケット11に対する相対回転を開始することとなる。
図1,9に示すように各第一リンク51は、その回転軸方向の一面で形成されて接続部14の内壁面24に摺接する摺接面80と、摺接面80よりも回転軸方向に凹む段差面81とを形成している。ここで各面80,81は回転軸線Oに垂直な平坦面状であり、第一リンク51の回転径方向において摺接面80が段差面81よりも内側に位置する形で互いに隣接している。これにより、摺接面80と内壁面24との摺動界面よりも回転径方向外側には隙間82が形成されており、当該隙間82を挟んで段差面81と内壁面24とが対向している。そして、図1,3に示すように摺接面80と段差面81との境界83上には、第一リンク51と第三リンク53との回り対偶を実現するために第一リンク51の対偶素84を嵌通する軸体85が位置している。即ち軸体85は、対偶素84において境界83上を嵌通している。尚、軸体85について本実施形態では、第三リンク53に嵌合されているが、第三リンク53に固定されていてもよいし、第三リンク53と一体に形成されていてもよい。
以上、各第一リンク51が摺接リンクに相当し、第三リンク53が連繋リンクに相当し、段差面81が対向面に相当する。
接続部14の回転軸線Oを挟む二箇所においては、排出孔90が回転軸方向に貫通している。各排出孔90は、二つの第一リンク51のうち対応するものに形成された各面80,81の境界83よりも回転径方向の外側に孔全体が位置する形態で設けられている。それと共に各排出孔90は、接続部14の回転周方向へ連続して延伸する断面円弧形の長孔状に形成されており、図3,7,8からも判るように当該延伸方向の長さは、対応第一リンク51を嵌通する軸体85の可動範囲の略全域に亘る長さとされている。以上の配置形態並びに形状設定により各排出孔90の入口側は、接続部14の内壁面24において、対応第一リンク51の可動範囲内の任意作動位置で当該リンク51の段差面81に対向する部分に開口している。また、各排出孔90の出口側は、接続部14の外壁面91において軸部12の同期巻掛部21と向き合う部分に開口している。
こうした特徴的な構成下、カム軸2の導入流路6へ導入される潤滑油は、出力軸16の供給流路63,64,62及びスプロケット11の供給流路61,60を順次経由して、スプロケット11の内部へと供給される。かくして供給された潤滑油は、スプロケット11の内部の遊星歯車機構40、リンク機構50等を潤滑することにより磨耗粉等の異物を含んだ状態となる。しかし、潤滑油は、リンク機構50の構成要素によって押圧されたり、スプロケット11の内部へ逐次供給される潤滑油の油圧を受けたりすること等により、排出孔90から同期巻掛部21へ向かって排出されることとなる。このように第一実施形態では、潤滑油の交換が可能となっている。尚、同期巻掛部21へ向かって排出された潤滑油は、当該同期巻掛部21とタイミングチェーン22との潤滑機能も果たすことができる。
ここまで説明した第一実施形態によると、第一リンク51の段差面81とスプロケット11の内壁面24との間には隙間82が形成されるので、スプロケット11内に供給された潤滑油はその表面張力によって当該隙間82に捕捉され易い。さらに第一実施形態によると、第一リンク51の可動範囲内の任意作動位置で段差面81に対向するスプロケット11の内壁面部分に排出孔90が開口するので、機関始動時の作動位置を含む全作動位置で隙間82が排出孔90に連通する。かかる連通状態では、隙間82の内圧よりも排出孔90の内圧が低くなることで、隙間82に捕捉された潤滑油が排出孔90の内部へと流出し易くなる。また特に第一実施形態では、第一リンク51における各面80,81の境界83よりも回転径方向の外側に排出孔90の全体が位置しているので、第一リンク51の全作動位置において排出孔90は摺接面80によって覆われることなく、完全開放される。したがって、隙間82から排出孔90への潤滑油の流出効率が高くなる。
このような第一実施形態によれば、低温時等に高粘度化した潤滑油や磨耗粉等の異物を含んだ潤滑油を、段差面81と内壁面24との間の隙間82に一旦捕捉した後、第一リンク51の任意の作動位置で排出孔90を通じて速やかに排出できる。これにより、スプロケット11の内部には高粘度油や異物含有油が滞留し難くなるので、摺接面80と内壁面24との間等、スプロケット11内部の隣接要素間において摺動抵抗の増大を抑制できる。したがって、各機構40,50の作動不良、ひいてはバルブタイミング調整装置1の作動不良が防止される。
さらに第一実施形態によると、段差面81と内壁面24との間の隙間82に捕捉された潤滑油は、スプロケット11に働く遠心力によって回転径方向内側への移動を抑えられる。故に、第一リンク51の回転径方向において段差面81よりも内側に摺接面80が設けられた第一実施形態では、段差面81と内壁面24との間の潤滑油が摺接面80と内壁面24との摺動界面へ入り込み難くなる。したがって、高粘度油や異物含有油が摺接面80と内壁面24との摺動界面に入り込むことで摺動抵抗が増大する事態を、不可避的に生じる遠心力の利用によって容易に防止できる。また、回転径方向及び回転軸方向が出力軸16と略一致したスプロケット11を出力軸16が同軸嵌通する第一実施形態では、スプロケット11と出力軸16との嵌合界面が第一リンク51における各面80,81の境界83よりも回転径方向内側に位置する。故に段差面81と内壁面24との間の潤滑油は、摺接面80と内壁面24との摺動界面を回転径方向内側へと抜けてスプロケット11と出力軸16との嵌合界面に到達することが困難となる。したがって、高粘度油や異物含有油がスプロケット11と出力軸16との嵌合界面に入り込むことに起因して、それら要素11,16の相対回転不良や損傷を招く事態を回避できる。
またさらに第一実施形態によると、第一リンク51の対偶素84において各面80,81の境界83上を軸体85が嵌通しているので、図1に示すように段差面81と内壁面24との間の隙間82には、対偶素84と軸体85との嵌合界面の縁部92が露出する。故に、対偶素84と軸体85との間に発生した磨耗粉は、それら要素84,85間の相対回転に伴って隙間82へと導出され易く、またその導出後には、第一リンク51の任意の作動位置で排出孔90から排出されることとなる。したがって、対偶素84と軸体85との間から摺接面80と内壁面24との間へと磨耗粉が移動して摺動抵抗が増大することを抑制できるのみならず、対偶素84と軸体85との間の相対回転が円滑となるので、それらによってもリンク機構50の作動不良を防止できる。
加えて第一実施形態によると、上述したようにスプロケット11内部の隣接要素間で摺動抵抗が低く抑えられるので、各機構40,50を迅速に作動させるべく電動モータ30の発生トルクを増大させる必要はない。したがって、省電力且つ小型の電動モータ30を使用することが可能になる。
(第二実施形態)
図10に示すように、本発明の第二実施形態は第一実施形態の変形例であり、第一実施形態と実質的に同一の構成部分には同一の符号を付すことで説明を省略する。
第二実施形態では、スプロケット100の接続部101における排出孔110と、それに対応した第一リンク120における各面80,81の境界121との相対位置関係が第一実施形態とは異なっている。具体的には排出孔110の一部は、対応第一リンク120における境界121よりも回転径方向の外側に位置し、また排出孔110の残部は、境界121よりも回転径方向の内側に位置して対応第一リンク51の摺接面80に覆われている。
このような第二実施形態によっても、第一リンク120の段差面81とスプロケット100の内壁面24との間の隙間82に捕捉した潤滑油を第一リンク120の任意の作動位置で排出孔110から排出できる。
以上、スプロケット100が、クランク軸と連動して回転する第一回転体に相当し、第一リンク120が摺接リンクに相当する。
(第三実施形態)
図11に示すように、本発明の第三実施形態は第一実施形態の変形例であり、第一実施形態と実質的に同一の構成部分には同一の符号を付すことで説明を省略する。
第三実施形態のスプロケット150は、第一実施形態の各排出孔90の延伸方向両端部に当たる位置に排出孔160,161を有している。即ち排出孔160は、スプロケット150の接続部151において回転軸線Oを挟む二箇所に設けられ、また排出孔161は、接続部151において回転軸線Oを挟む二箇所であって直近の排出孔160とは接続部151の回転周方向へずれた箇所に設けられている。そして、いずれの排出孔160,161も接続部151を回転軸方向に貫通しており、接続部151の回転周方向に長い断面小判形の長孔状に形成されている。したがって、接続部151の内壁面24において各排出孔160の入口側が開口する部分は、スプロケット150に対して出力軸16が最遅角位置とそれよりも所定角度進角側の第一中間位置との間で相対回転するとき第一リンク51の段差面81に対向する部分となっている。また、内壁面24において各排出孔161の入口側が開口する部分は、スプロケット150に対して出力軸16が最進角位置とそれよりも所定角度遅角側の第二中間位置との間で相対回転するとき第一リンク51の段差面81に対向する部分となっている。尚、各排出孔160,161の出口側は、第一実施形態の排出孔90と同様に、接続部151の外壁面91において同期巻掛部21と向き合う部分に開口している。
このような第三実施形態によると、機関始動時等、スプロケット150に対して出力軸16が最遅角位置と第一中間位置との間で相対回転するときには、第一リンク51の段差面81とスプロケット150の内壁面24との間の隙間82に排出孔160が連通する。また、スプロケット150に対して出力軸16が最進角位置と第二中間位置との間で相対回転するときには、段差面81と内壁面24との間の隙間82に排出孔161が連通する。したがって、第三実施形態によれば、隙間82に捕捉された高粘度油や異物含有油を、第一リンク51の二種類の作動位置で排出孔160又は排出孔161から速やかに排出できる。そして第三実施形態においても、排出孔160,161の全体が第一リンク51における各面80,81の境界83よりも回転径方向外側に位置した形となるので、排出孔160,161への潤滑油の流出効率、ひいては潤滑油の排出効率が高くなる。
以上、スプロケット150が、クランク軸と連動して回転する第一回転体に相当する。
(第四実施形態)
図12,13に示すように、本発明の第四実施形態は第一実施形態の変形例であり、第一実施形態と実質的に同一の構成部分には同一の符号を付すことで説明を省略する。
第四実施形態のスプロケット200において接続部201の内壁面202は、各第一リンク210に摺接する摺接部204と、摺接部204よりも回転軸方向に凹む段差部205とを形成している。ここで各部204,205は回転軸線Oに垂直な平坦面状であり、摺接部204が段差部205及び排出孔90よりも回転径方向の内側に位置する形で互いに隣接している。即ち第四実施形態では、排出孔90の全体が段差部205に開口している。
各第一リンク210において回転軸方向の一面211は、回転軸線Oに垂直な平坦面状に形成されており、段差面81を持たず、その一部において摺接部204に接している。したがって、各第一リンク210の面211には、段差部205に隙間82を挟んで対向する対向面213と、対向面213の回転径方向内側に隣接して摺接部204に摺接する摺接面214とができている。そして、これら対向面213と摺接面214との境界215上で軸体85が第一リンク210の対偶素84を嵌通しており、また当該境界215よりも回転径方向の外側に排出孔90の全体が位置している。
このような第四実施形態によっても、第一リンク210の対向面213とスプロケット内壁面202の段差部205との間の隙間82に捕捉した潤滑油を第一リンク210の任意の作動位置で排出孔90から排出できる。
以上、スプロケット200が、クランク軸と連動して回転する第一回転体に相当し、第一リンク210が摺接リンクに相当する。
(第五実施形態)
図14,15に示すように、本発明の第五実施形態は第一実施形態の変形例であり、第一実施形態と実質的に同一の構成部分には同一の符号を付すことで説明を省略する。
第五実施形態では、リンク機構300に第二リンク52が設けられず、その代わりにスライド通路310がスプロケット320の接続部321に設けられている。このスライド通路310は、接続部321において回転軸線Oを挟む二箇所に設けられている。各スライド通路310は、接続部321の内壁面24から回転軸方向へ突出する二条の突条311の間に形成されており、接続部321の回転径方向へ連続して延伸する有底長孔状を呈している。各スライド通路310には、二つの第三リンク53に連繋する二つの可動軸体55のうち対応するものが滑り回り対偶によって連繋している。
リンク機構300のリンク作動としては、可動軸体55が案内通路56に対して相対滑りしないときには、可動軸体55がスライド通路310に対しても相対滑りしないため、出力軸16はスプロケット320に対して相対回転しない。一方、案内通路56に対して可動軸体55が回転軸線Oからの離間方向へ相対滑りするときには、可動軸体55がスライド通路310に対しても回転軸線Oからの離間方向へ相対滑りすることとなるため、出力軸16がスプロケット320に対して遅角方向Yへ相対回転する。また一方、案内通路56に対して可動軸体55が回転軸線Oへの接近方向へ相対滑りするときには、可動軸体55がスライド通路310に対しても回転軸線Oへの接近方向へ相対滑りすることとなるため、出力軸16がスプロケット320に対して進角方向Xへ相対回転する。
このような第五実施形態においても、摺接面80及び段差面81が第一リンク51に設けられると共に、排出孔90がスプロケット320に設けられるので、第一実施形態と同様な作用効果を得ることができる。
以上、スプロケット320が、クランク軸と連動して回転する第一回転体に相当する。
ここまで本発明の複数の実施形態について説明してきたが、本発明はそれらの実施形態に限定して解釈されるものではない。
例えば第一〜第五実施形態では、スプロケット11,100,150,200,320がクランク軸と連動回転すると共に出力軸16がカム軸2と連動回転するするバルブタイミング調整装置1に本発明を適用した例を説明した。これに対し、スプロケット11,100,150,200,320がカム軸2と連動回転すると共に出力軸16がクランク軸と連動回転するするバルブタイミング調整装置に本発明を適用してもよい。また、第一〜第五実施形態では、吸気弁についてバルブタイミングを調整するバルブタイミング調整装置1に本発明を適用した例を説明した。これに対し、排気弁についてバルブタイミングを調整するバルブタイミング調整装置や、吸気弁及び排気弁の双方についてバルブタイミングを調整するバルブタイミング調整装置に本発明を適用してもよい。
さらに第一〜第五実施形態では、遊星歯車機構40を設けないで、モータ軸33を案内回転体54に直接に連結する又はモータ軸33と案内回転体54とを一体に形成してもよい。また、第一〜第五実施形態では、ストッパ71,72のうち一方又は双方を形成しないようにしてもよい。さらにまた、第一〜第五実施形態では、スプロケット11,100,150,200,320及びタイミングチェーン19,22の代わりにプーリ及びタイミングベルトを用い、プーリとクランク軸との間、並びにプーリと他の装置のプーリとの間でタイミングベルトを掛け渡すようにしてもよい。尚、この場合、プーリを中空形状に形成し、スプロケット11,100,150,200,320の収容要素を当該プーリの内部に収容させる。
またさらに第一、第二、第四及び第五実施形態では、排出孔90,110の延伸方向の長さを図3,12,14に示したものよりも短く又は長く設定してもよいし、排出孔90,110をその延伸方向において複数に分割してもよい。また、第三〜第五実施形態では、排出孔90と境界83との相対位置関係を、第二実施形態の排出孔110と境界121との相対位置関係に変更してもよい。さらにまた、第四及び第五実施形態では、排出孔90の代わりに、第三実施形態の排出孔160,161をスプロケット200,320に設けてもよい。
加えて第三実施形態では、排出孔160,161の長手方向の長さを図に示したものよりも短く又は長く設定してもよいし、横断面が小判形の排出孔160,161を設ける代わりに、横断面が真円形、楕円形、多角形等の排出孔を設けてもよい。また、第三実施形態では、排出孔160,161の間において、接続部151を内外に貫通する別の排出孔を一つ以上設けてもよいし、排出孔160,161のうち一方を設けないようにしてもよい。
また加えて第四実施形態では、回転軸方向の一面211の全体が平坦面状の第一リンク210を用いる代わりに、回転軸方向の一面が形成する摺接面80とそれよりも凹む段差面81とを有する第一実施形態の第一リンク51を用いてもよい。この場合、第一リンク51の段差面81を、スプロケット200の内壁面202の段差部205に隙間82を挟んで対向する対向面とすることで、隙間82に捕捉された潤滑油を第一リンク51の任意の作動位置で排出孔90から排出できる。
さらに加えて第五実施形態では、第四実施形態の摺接部204及び段差部205をスプロケット320の内壁面24によって形成すると共に、第一リンク51に代えて第四実施形態の第一リンク210を用いるようにしてもよい。
第一実施形態のバルブタイミング調整装置を拡大して示す図であって、図3のI−I線断面図である。 第一実施形態のバルブタイミング調整装置を示す図であって、図3のII−II線断面図である。 図2のIII−III線断面図である。 図2のIV−IV線断面図である。 図2のV−V線断面図である。 図2のVI−VI線断面図である。 第一実施形態のリンク機構の作動を説明するための図である。 第一実施形態のリンク機構の作動を説明するための図である。 第一実施形態のリンク機構の第一リンクを示す斜視図である。 第二実施形態のバルブタイミング調整装置を拡大して示す断面図である。 第三実施形態のバルブタイミング調整装置を示す断面図である。 第四実施形態のバルブタイミング調整装置を示す断面図である。 第四実施形態のバルブタイミング調整装置を拡大して示す図であって、図12のXIII−XIII線断面図である。 第五実施形態のバルブタイミング調整装置を示す断面図である。 第五実施形態のバルブタイミング調整装置を拡大して示す図であって、図14のXV−XV線断面図である。
符号の説明
1 バルブタイミング調整装置、2 カム軸、6 導入流路、11,100,150,200,320 スプロケット(第一回転体)、12 軸部、14,101,151,201,321 接続部、16 出力軸(第二回転体)、22 タイミングチェーン、24,202 内壁面、25 外壁端面(外壁面)、30 電動モータ、40 遊星歯車機構、50,300 リンク機構、51,120,210 第一リンク(摺接リンク)、52 第二リンク、53 第三リンク(連繋リンク)、55 可動軸体、62,63,64 供給流路、71 遅角側ストッパ、72 進角側ストッパ、80,214 摺接面、81 段差面(対向面)、82 隙間、83,121,215 境界、84 対偶素、85 軸体、90,110,160,161 排出孔、91 外壁面、92 縁部、204 摺接部、205 段差部、211 一面、213 対向面、310 スライド通路

Claims (11)

  1. クランク軸からのトルク伝達によりカム軸が開閉する吸気弁及び排気弁のうち少なくとも一方の開閉タイミングを調整する内燃機関のバルブタイミング調整装置であって、
    内部へ供給された潤滑流体を外部へ排出する排出孔を有し、前記クランク軸及び前記カム軸の一方と連動して回転する第一回転体と、
    前記クランク軸及び前記カム軸の他方と連動して回転する第二回転体と、
    前記第一回転体の内部に収容されており、リンク作動によって前記第一回転体と前記第二回転体との間の相対回転位相を変化させるリンク機構と、
    を備え、
    前記リンク機構は、前記リンク作動に伴って前記第一回転体の内壁面に摺接する摺接面並びに前記摺接面に隣接し前記内壁面に隙間を挟んで対向する対向面とが設けられてなる摺接リンクを有し、
    前記排出孔は、前記内壁面において、前記摺接リンクの所定の作動位置で前記対向面に対向する部分に開口することを特徴とするバルブタイミング調整装置。
  2. 前記対向面は、前記摺接面よりも凹む段差面であることを特徴とする請求項1に記載のバルブタイミング調整装置。
  3. 前記内壁面は、前記摺接面と摺接する部分よりも凹む段差部を有し、
    前記対向面は、前記段差部に対向する面であることを特徴とする請求項1又は2に記載のバルブタイミング調整装置。
  4. 前記排出孔は、前記内燃機関の始動時に前記摺接リンクが作動する範囲において前記対向面に対向することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のバルブタイミング調整装置。
  5. 前記摺接リンクは、回転径方向及び回転軸方向が前記第一回転体と略一致する前記第二回転体から前記回転径方向の外側へ突出し、当該摺接リンクの前記回転軸方向の一面が形成する前記摺接面は、前記回転径方向において前記対向面よりも内側に位置することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のバルブタイミング調整装置。
  6. 前記第二回転体は、前記第一回転体の前記内壁面と外壁面との間を前記回転軸方向に嵌通することを特徴とする請求項5に記載のバルブタイミング調整装置。
  7. 前記排出孔は、前記第一回転体及び前記第二回転体の回転周方向へ延伸する形状に形成されることを特徴とする請求項5又は6に記載のバルブタイミング調整装置。
  8. 前記排出孔は、前記第一回転体及び前記第二回転体の回転周方向に複数設けられることを特徴とする請求項5〜7のいずれか一項に記載のバルブタイミング調整装置。
  9. 前記排出孔の全体は、前記回転径方向において前記摺接面と前記対向面との境界よりも外側に位置することを特徴とする請求項5〜8のいずれか一項に記載のバルブタイミング調整装置。
  10. 前記リンク機構は、前記摺接リンクと回り対偶により連繋する連繋リンクを有し、当該回り対偶を実現するための軸体が前記摺接リンクの対偶素において前記摺接面と前記対向面との境界上を嵌通することを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項に記載のバルブタイミング調整装置。
  11. 前記リンク作動を制御するための制御トルクを発生する電動モータを備えることを特徴とする請求項1〜10のいずれか一項に記載のバルブタイミング調整装置。
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