JP2007018737A - 蛍光ランプ及びバックライト装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 光束維持率の改善された蛍光ランプを提供する。
【解決手段】 蛍光ランプの1種である冷陰極型蛍光ランプ20は、ガラスバルブ30と、ガラスバルブ30の両端に設けられた電極22とを有する。ガラスバルブ30の内面には蛍光体粒子からなる蛍光体層34を備える。この蛍光体層34に含まれる蛍光体粒子は、赤色蛍光体粒子にY2O3:Eu3+が、緑色蛍光体粒子にLaPO4:Tb3+が、青色蛍光体粒子に(SrCaBa)11(PO4)6Cl2:Eu2+がそれぞれ使用され、これらには、アルミナを含んでいない。
【選択図】 図2
【解決手段】 蛍光ランプの1種である冷陰極型蛍光ランプ20は、ガラスバルブ30と、ガラスバルブ30の両端に設けられた電極22とを有する。ガラスバルブ30の内面には蛍光体粒子からなる蛍光体層34を備える。この蛍光体層34に含まれる蛍光体粒子は、赤色蛍光体粒子にY2O3:Eu3+が、緑色蛍光体粒子にLaPO4:Tb3+が、青色蛍光体粒子に(SrCaBa)11(PO4)6Cl2:Eu2+がそれぞれ使用され、これらには、アルミナを含んでいない。
【選択図】 図2
Description
本発明は、ガラスバルブの内面に蛍光体層が形成されている蛍光ランプに関し、特に光束維持率の低下を改善する技術に関する。
蛍光ランプには、例えば、電極がガラスバルブの外側にある外部電極型蛍光ランプや冷陰極型の電極がガラスバルブの内側にある冷陰極型蛍光ランプがある(特許文献1、2)。
これらの蛍光ランプは、フィラメント電極を用いた熱陰極型の蛍光ランプよりもガラスバルブの細径化が可能であり、例えば、薄型化の要望の強い液晶ディスプレイのバックライト装置や、小型化の要望の強いFAXやスキャナー等の装置の光源として利用されている。なお、ガラスバルブの細径化ができる理由は、冷陰極型蛍光ランプでは電極の構造が簡単であること、外部電極型蛍光ランプではガラスバルブ内に電極がないこと等に因る。
特開2004−207068号公報
特開2004−95378号公報
これらの蛍光ランプは、フィラメント電極を用いた熱陰極型の蛍光ランプよりもガラスバルブの細径化が可能であり、例えば、薄型化の要望の強い液晶ディスプレイのバックライト装置や、小型化の要望の強いFAXやスキャナー等の装置の光源として利用されている。なお、ガラスバルブの細径化ができる理由は、冷陰極型蛍光ランプでは電極の構造が簡単であること、外部電極型蛍光ランプではガラスバルブ内に電極がないこと等に因る。
ところで、蛍光ランプは、一般的に、点灯時間の経過と共に光束が低下する傾向にあり、光束低下を抑える検討がなされている。特に、バックライト装置等に組み込まれて利用されることのある冷陰極型蛍光ランプや外部電極型蛍光ランプは、一般照明装置に組み込まれた蛍光ランプと違ってランプ交換が難しく、光束低下に対する改善要求が強い。
本発明は、光束低下の少ない蛍光ランプ及びバックライト装置を提供することを目的としている。
本発明は、光束低下の少ない蛍光ランプ及びバックライト装置を提供することを目的としている。
上記目的を達成するために、本発明に係る蛍光ランプは、ガラスバルブ内に水銀が封入され、当該水銀から発せられた光を所定の色の光に変換する蛍光体粒子を含んだ蛍光体層が前記ガラスバルブの内面に形成されているランプであって、前記蛍光体層は、アルミナを実質的に含まない蛍光体粒子で構成されていることを特徴としている。なお、ここでいう蛍光ランプは、外部電極型蛍光ランプ、冷陰極型蛍光ランプを含む概念である。
本発明者らは、鋭意研究の結果、光束低下の主要因が、ガラスバルブ内の水銀が蛍光体粒子に付着することにより、放電空間内の、光を発することができる有効な水銀から発せられた光(励起光や可視光)が前記蛍光体粒子に付着した水銀により遮蔽されると共に、蛍光体粒子の発光が阻止され、ランプから放射される光が減少したと考えられ、また、水銀の付着は蛍光体粒子にアルミナが含まれている場合に生じやすいことが分かった。なお、これらの詳細は後述する。
従って、上記構成によると、水銀が付着しやすい蛍光体粒子を蛍光体層に含まないので、水銀の蛍光体粒子への付着を抑制できる。
また、前記蛍光体粒子は、ハロりん酸塩系、りん酸塩系、けい酸塩系、タングステン酸塩系の少なくとも一つを含んでいることを特徴とし、或いは、前記蛍光体層は、前記水銀から発せられた光を、赤色光に変換する赤色蛍光体粒子と、緑色光に変換する緑色蛍光体粒子と、青色光に変換する青色蛍光体粒子とを含み、前記青色蛍光体粒子は、(SrCaBa)11(PO4)6Cl2:Eu2+を含むことを特徴としている。さらに、前記蛍光体層には、各色蛍光体粒子を結着させる結着剤を含み、当該結着材は、アルミナを実質的に含まない粒子で構成されていることを特徴としている。
また、前記蛍光体粒子は、ハロりん酸塩系、りん酸塩系、けい酸塩系、タングステン酸塩系の少なくとも一つを含んでいることを特徴とし、或いは、前記蛍光体層は、前記水銀から発せられた光を、赤色光に変換する赤色蛍光体粒子と、緑色光に変換する緑色蛍光体粒子と、青色光に変換する青色蛍光体粒子とを含み、前記青色蛍光体粒子は、(SrCaBa)11(PO4)6Cl2:Eu2+を含むことを特徴としている。さらに、前記蛍光体層には、各色蛍光体粒子を結着させる結着剤を含み、当該結着材は、アルミナを実質的に含まない粒子で構成されていることを特徴としている。
一方、上記目的を達成するために、本発明に係るバックライト装置は、上記構成のの蛍光ランプを光源として備えることを特徴としている。
本発明に係る蛍光ランプは、ガラスバルブ内に封入されている水銀の蛍光体粒子への付着を抑制できる。これにより、水銀から発せられた光(励起光や可視光)が前記蛍光体粒子に付着した水銀により遮蔽されることがなくなり、光束低下を少なくできる。
さらに、本発明に係るバックライト装置は、上記記載の蛍光ランプを光源として備えている。このため、光束低下が少ないバックライト装置を提供することができる。
さらに、本発明に係るバックライト装置は、上記記載の蛍光ランプを光源として備えている。このため、光束低下が少ないバックライト装置を提供することができる。
<第1の実施の形態>
以下、図面を参照しながら、本発明に係る第1の実施の形態である冷陰極型蛍光ランプ及び当該冷陰極型蛍光ランプを用いたバックライト装置について説明する。
1.バックライト装置の構成
図1を参照しながら本実施の形態に係るバックライト装置の構成について説明する。図1は、本実施の形態に係る、例えば、アスペクト比16:9の液晶ディスプレイ用バックライト装置1の構成を示す概略斜視図である。同図において内部の構造を示すために前面パネル16の一部を切り欠いて示している。
以下、図面を参照しながら、本発明に係る第1の実施の形態である冷陰極型蛍光ランプ及び当該冷陰極型蛍光ランプを用いたバックライト装置について説明する。
1.バックライト装置の構成
図1を参照しながら本実施の形態に係るバックライト装置の構成について説明する。図1は、本実施の形態に係る、例えば、アスペクト比16:9の液晶ディスプレイ用バックライト装置1の構成を示す概略斜視図である。同図において内部の構造を示すために前面パネル16の一部を切り欠いて示している。
ここで説明するバックライト装置1は、図1に示すように、直下方式型であり、複数の冷陰極型蛍光ランプ20と、開口部を有しこれらの冷陰極型蛍光ランプ20を収納する筐体10と、この筐体10の開口部を覆う前面パネル16とを備える。
筐体10は、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂製であって、その内面11に銀などの金属が蒸着されて反射面が形成されている。なお、筐体は、樹脂以外の材料、例えば、アルミニウム等の金属材料により構成しても良い。
筐体10は、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂製であって、その内面11に銀などの金属が蒸着されて反射面が形成されている。なお、筐体は、樹脂以外の材料、例えば、アルミニウム等の金属材料により構成しても良い。
冷陰極型蛍光ランプ20は直管状をしており、本実施の形態では、14本の冷陰極型蛍光ランプ20が、その軸心が水平に延伸する状態で、筐体10の短手方向に並列配置されている。なお、これらの冷陰極型蛍光ランプ20は、図外の駆動回路により点灯される。
筐体10の開口部は、透光性の前面パネル16で覆われており、内部にちりや埃などの異物が入り込まないように密閉されている。前面パネル16は、拡散板13、拡散シート14およびレンズシート15を積層してなる。
筐体10の開口部は、透光性の前面パネル16で覆われており、内部にちりや埃などの異物が入り込まないように密閉されている。前面パネル16は、拡散板13、拡散シート14およびレンズシート15を積層してなる。
拡散板13及び拡散シート14は、冷陰極型蛍光ランプ20から発せられた光を散乱・拡散させるものであり、レンズシート15は、当該シート15の法線方向へ光をそろえるものであって、これらにより冷陰極型蛍光ランプ20から発せられた光が前面パネル16の表面(発光面)の全体に亘り均一に前方を照射するように構成されている。
2.冷陰極型蛍光ランプの構成
つぎに、図2を参照しながら第1の実施の形態に係る冷陰極型蛍光ランプ20の構成について説明する。図2は、冷陰極型蛍光ランプ20の概略構成を示す一部切欠図であり、蛍光体層の一部拡大図である。
2.冷陰極型蛍光ランプの構成
つぎに、図2を参照しながら第1の実施の形態に係る冷陰極型蛍光ランプ20の構成について説明する。図2は、冷陰極型蛍光ランプ20の概略構成を示す一部切欠図であり、蛍光体層の一部拡大図である。
冷陰極型蛍光ランプ20は、略円形横断面で直管状をしたガラスバルブ30を有する。このガラスバルブ30は、例えば、ホウケイ酸ガラスからなる。なお、ガラスバルブ30のサイズは、長さ720mm、外径4.0mm、内径3.0mmである。
ガラスバルブ30の端部には、ビードガラス23を介してリード線21が封着されている。このリード線21は、例えば、タングステンからなる内部リード線と、ニッケルからなる外部リード線とからなる継線であり、内部リード線の先端部には冷陰極型の電極22が固着されている。
ガラスバルブ30の端部には、ビードガラス23を介してリード線21が封着されている。このリード線21は、例えば、タングステンからなる内部リード線と、ニッケルからなる外部リード線とからなる継線であり、内部リード線の先端部には冷陰極型の電極22が固着されている。
なお、ビードガラス23とガラスバルブ30とは、例えば、融着され、ビードガラス23とリード線21とは、例えば、フリットガラスによって固着され、ガラスバルブ30の内部を気密状としている。また、電極22とリード線21とは、例えば、レーザ溶接等を利用して固着されている。
電極22は、有底筒状をしたいわゆるホロー型電極である。ここで、ホロー型の電極を採用した理由は、ランプ点灯時の放電によって生じる電極におけるスパッタリングの抑制に有効だからである。
電極22は、有底筒状をしたいわゆるホロー型電極である。ここで、ホロー型の電極を採用した理由は、ランプ点灯時の放電によって生じる電極におけるスパッタリングの抑制に有効だからである。
ガラスバルブ30の内部には、水銀が、ガラスバルブ30の容積に対して所定の比率、例えば、0.6(mg/cc)で封入され、また、アルゴン、ネオン等の希ガスが所定の封入圧、例えば、60(Torr)で封入されている。
なお、ここでは、希ガスは、アルゴンとネオンの混合ガスが用いられ、これらの比率は、Arが5%、Neが95%である。
なお、ここでは、希ガスは、アルゴンとネオンの混合ガスが用いられ、これらの比率は、Arが5%、Neが95%である。
また、ガラスバルブ30の内面には、保護層32が形成されており、さらに、この保護層32の表面(ガラスバルブの内面と反対側)に蛍光体層34が形成されている。保護層32は、例えば、酸化イットリウム(Y2O3)等の金属酸化物からなり、ガラスバルブ30内に封入されている水銀とガラスバルブ30とが反応するのを抑制する機能を有している。
蛍光体層34は、水銀から発せられた励起光を白色(本発明の「所定の色」に相当する。)に変換する。ここでは、水銀からの光を、赤色の光に変換する赤色蛍光体粒子、青色の光に変換する青色蛍光体粒子、緑色の光に変換する緑色蛍光体粒子の3種類を含む。
これらの蛍光体粒子は、アルミナを含まない希土類のものが使用され、具体例として、赤色蛍光体粒子にはY2O3:Eu3+が、緑色蛍光体粒子にはLaPO4:Tb3+が、青色蛍光体粒子には(SrCaBa)11(PO4)6Cl2:Eu2+が、それぞれ使用されている。なお、アルミナを含まない蛍光体粒子を用いる理由については次で説明する。
これらの蛍光体粒子は、アルミナを含まない希土類のものが使用され、具体例として、赤色蛍光体粒子にはY2O3:Eu3+が、緑色蛍光体粒子にはLaPO4:Tb3+が、青色蛍光体粒子には(SrCaBa)11(PO4)6Cl2:Eu2+が、それぞれ使用されている。なお、アルミナを含まない蛍光体粒子を用いる理由については次で説明する。
3.検討内容について
以下、アルミナを含まない蛍光体粒子を用いて蛍光体層を形成する理由について説明する。
(1)白色の光束維持率低下について
はじめに、従来の冷陰極型蛍光ランプに利用されていた蛍光体粒子は、赤色蛍光体粒子がY2O3:Eu3+、緑色蛍光体粒子がLaPO4:Tb3+、青色蛍光体粒子がBaMg2Al16O27:Eu2+であり、これらが混色されて冷陰極型蛍光ランプから白色光を発する。なお、この構成の従来の冷陰極型蛍光ランプを、単に、「従来の冷陰極型蛍光ランプ」とし、本実施の形態に係る冷陰極型蛍光ランプを、単に、「本実施の冷陰極型蛍光ランプ」とし、両者を区別する。
以下、アルミナを含まない蛍光体粒子を用いて蛍光体層を形成する理由について説明する。
(1)白色の光束維持率低下について
はじめに、従来の冷陰極型蛍光ランプに利用されていた蛍光体粒子は、赤色蛍光体粒子がY2O3:Eu3+、緑色蛍光体粒子がLaPO4:Tb3+、青色蛍光体粒子がBaMg2Al16O27:Eu2+であり、これらが混色されて冷陰極型蛍光ランプから白色光を発する。なお、この構成の従来の冷陰極型蛍光ランプを、単に、「従来の冷陰極型蛍光ランプ」とし、本実施の形態に係る冷陰極型蛍光ランプを、単に、「本実施の冷陰極型蛍光ランプ」とし、両者を区別する。
これらの蛍光体粒子を用いた従来及び本実施の冷陰極型蛍光ランプについて、点灯時間に対する光束維持率(光束)の低下についての実験を行った。なお、従来の冷陰極型蛍光ランプの構成・寸法等は、上記「2.冷陰極型蛍光ランプの構成」の欄で説明した通りであり、蛍光体層を構成する青色蛍光体粒子の組成が異なるだけである。
図3は、従来の冷陰極型蛍光ランプの光束維持率及び各色蛍光体粒子で変換された主要波長の輝度低下の測定結果を示している。図の縦軸は光束維持率(%)であり、横軸は累積の点灯時間(h)である。なお、各色蛍光体粒子が発する主要波長は、赤色蛍光体粒子(Y2O3:Eu3+)が613nm、緑色蛍光体粒子(LaPO4:Tb3+)が545nm、青色蛍光体粒子(BaMg2Al16O27:Eu2+)が450nmである。
図3は、従来の冷陰極型蛍光ランプの光束維持率及び各色蛍光体粒子で変換された主要波長の輝度低下の測定結果を示している。図の縦軸は光束維持率(%)であり、横軸は累積の点灯時間(h)である。なお、各色蛍光体粒子が発する主要波長は、赤色蛍光体粒子(Y2O3:Eu3+)が613nm、緑色蛍光体粒子(LaPO4:Tb3+)が545nm、青色蛍光体粒子(BaMg2Al16O27:Eu2+)が450nmである。
図3より、青、赤、緑の3色の蛍光体層を用いたランプの光束維持率(この3色用いた光束維持率を「全体の光束維持率」といい、図中の「全体」で「●」で示す。)は、累積の点灯時間の経過に従って低下していることが分かる。また、緑色(図中の「G」であり、「▼」で示す。)、赤色(図中の「R」であり「▲」で示す。)、青色(図中の「B」であり、「■」で示す。)の各色についても、ランプの光束維持率と同様に、光束維持率が低下しているが、青色の波長の光束維持率が、赤色・緑色の波長の光束維持率よりも低下率が大きいことが分かる。
(2)各色の光束維持率低下について
つづいて、本発明者らは、従来の冷陰極型蛍光ランプに使用されていた、蛍光赤色蛍光体粒子(Y2O3:Eu3+)、緑色蛍光体粒子(LaPO4:Tb3+)、青色蛍光体粒子(BaMg2Al16O27:Eu2+)のそれぞれ単一種を用いて蛍光体層を形成した、赤、緑、青の単一色を発する3種の冷陰極型蛍光ランプを試作して、これらの単色冷陰極型蛍光ランプについて、光束維持率を測定した。
つづいて、本発明者らは、従来の冷陰極型蛍光ランプに使用されていた、蛍光赤色蛍光体粒子(Y2O3:Eu3+)、緑色蛍光体粒子(LaPO4:Tb3+)、青色蛍光体粒子(BaMg2Al16O27:Eu2+)のそれぞれ単一種を用いて蛍光体層を形成した、赤、緑、青の単一色を発する3種の冷陰極型蛍光ランプを試作して、これらの単色冷陰極型蛍光ランプについて、光束維持率を測定した。
図4は、各単一色の冷陰極型蛍光ランプの光束維持率の測定結果を示している。図の縦軸は光束維持率(%)であり、横軸は累積の点灯時間(h)である。
図4より、赤色(図中の「R」である。)及び緑色(図中の「G」である。)の冷陰極型蛍光ランプでは光束維持率が比較的高く、これらに比べて、青色(図中の「B」である。)の冷陰極型蛍光ランプの光束維持率が著しく低いことがわかる。
図4より、赤色(図中の「R」である。)及び緑色(図中の「G」である。)の冷陰極型蛍光ランプでは光束維持率が比較的高く、これらに比べて、青色(図中の「B」である。)の冷陰極型蛍光ランプの光束維持率が著しく低いことがわかる。
(3)図3及び図4の考察
発明者らが、上記試験等を行うことにより結果で以下の点に注目した。
つまり、図4に示すように、青色の単一色の冷陰極型蛍光ランプにおける光束維持率の低下が大きく、赤・緑の単一色の各冷陰極型蛍光ランプの光束維持率の低下が大きくない。しかしながら、各色の蛍光体粒子を混合させた場合、つまり、赤・青・緑の3色を混ぜて白色光にした場合、図3に示すように、赤色・緑色の波長での光束維持率が、図4に示す赤・緑の単一色のランプの光束維持率よりも低下することである。
発明者らが、上記試験等を行うことにより結果で以下の点に注目した。
つまり、図4に示すように、青色の単一色の冷陰極型蛍光ランプにおける光束維持率の低下が大きく、赤・緑の単一色の各冷陰極型蛍光ランプの光束維持率の低下が大きくない。しかしながら、各色の蛍光体粒子を混合させた場合、つまり、赤・青・緑の3色を混ぜて白色光にした場合、図3に示すように、赤色・緑色の波長での光束維持率が、図4に示す赤・緑の単一色のランプの光束維持率よりも低下することである。
(4)光束維持率の低下について
さらに、本発明者らは、従来の冷陰極型蛍光ランプにおける光束維持率が低下する原因を調査する各種の試験を重ねた。その中で、寿命末期のランプを加熱する試験により、光束維持率が低下する要因を推定することができた。以下、この試験について説明する。
具体的には、本発明者らは、寿命末期の従来の冷陰極型蛍光ランプを電気炉の中に設置し、電気炉の温度を上昇させることによって、点灯中のランプを徐々に加熱する試験を実施した。
さらに、本発明者らは、従来の冷陰極型蛍光ランプにおける光束維持率が低下する原因を調査する各種の試験を重ねた。その中で、寿命末期のランプを加熱する試験により、光束維持率が低下する要因を推定することができた。以下、この試験について説明する。
具体的には、本発明者らは、寿命末期の従来の冷陰極型蛍光ランプを電気炉の中に設置し、電気炉の温度を上昇させることによって、点灯中のランプを徐々に加熱する試験を実施した。
図5は、寿命末期の従来の冷陰極型蛍光ランプを加熱したときの輝度及び色度の変化を示している。図の縦軸が輝度(cd/m2)及び色度であり、横軸が加熱温度(℃)である。
図5より、加熱温度が高くなるのにともなって、次第に輝度が回復すると共に色度が変化していることがわかる。
図5より、加熱温度が高くなるのにともなって、次第に輝度が回復すると共に色度が変化していることがわかる。
詳しく説明すると、加熱温度が0℃のときには、冷陰極型蛍光ランプの発する光は、xy軸が直交する色度図(いわゆる、xy色度図)上において、色度x≒0.310、色度y≒0.309であり、加熱温度の上昇とともに、色度x及び色度yが減少していることがわかる。
これは、色度図上において、加熱温度の上昇に伴って、左下の方に向かって色が変化し、光色が、緑赤色系の白色(色温度7,800(K)より低い低色温度の白色である。)から青色系の白色(色温度7,800(K)より高い高色温度の白色である。)に変化したことを意味する。この現象は、青色の光束が増大した場合に生じ、各蛍光体粒子が加熱されることにより、青色蛍光体粒子の変換効率が向上したものと考えられる。
これは、色度図上において、加熱温度の上昇に伴って、左下の方に向かって色が変化し、光色が、緑赤色系の白色(色温度7,800(K)より低い低色温度の白色である。)から青色系の白色(色温度7,800(K)より高い高色温度の白色である。)に変化したことを意味する。この現象は、青色の光束が増大した場合に生じ、各蛍光体粒子が加熱されることにより、青色蛍光体粒子の変換効率が向上したものと考えられる。
輝度についても、加熱温度が200(℃)以上になると、輝度が回復し始めているのが分かる。この現象は、加熱により、ガラスバルブ内に封入している水銀の量が増えた場合に生じることが多く、また、蛍光体粒子の変換効率が向上した場合にも生じると考えられる。
一方、さらに、発明者らは、上記以外に、寿命末期の従来の冷陰極型蛍光ランプの蛍光体層を電子顕微鏡で観察した結果、蛍光体層に水銀の付着が見られた。
一方、さらに、発明者らは、上記以外に、寿命末期の従来の冷陰極型蛍光ランプの蛍光体層を電子顕微鏡で観察した結果、蛍光体層に水銀の付着が見られた。
(5)まとめ
発明者らは、上記の試験等から、従来の冷陰極型蛍光ランプの光束が低下する原因を以下のように推測した。
まず、ランプを点灯することで、青色蛍光体粒子に水銀が付着する共に、当該水銀が付着しやすい青色蛍光体粒子と一緒に蛍光体層を構成している他の緑色蛍光体粒子及び赤色蛍光体粒子にも水銀が付着しやすくなる。これにより、水銀から発せられる光(励起光や可視光)が蛍光体粒子に付着する水銀により遮蔽され、図3に示すように、ランプから放射される全体の光についてその光束(維持率)が低下する。水銀が青色蛍光体粒子の表面に優先的に付着(蛍光体粒子に付着する水銀のうち、青色蛍光体粒子に付着する水銀の比率が大である)しているので、青色蛍光体粒子は、水銀からの励起光を十分に青色光に変換できなくなり、赤・緑色の光束維持率に比べて、青色の光束維持率の低下が大きくなる。
発明者らは、上記の試験等から、従来の冷陰極型蛍光ランプの光束が低下する原因を以下のように推測した。
まず、ランプを点灯することで、青色蛍光体粒子に水銀が付着する共に、当該水銀が付着しやすい青色蛍光体粒子と一緒に蛍光体層を構成している他の緑色蛍光体粒子及び赤色蛍光体粒子にも水銀が付着しやすくなる。これにより、水銀から発せられる光(励起光や可視光)が蛍光体粒子に付着する水銀により遮蔽され、図3に示すように、ランプから放射される全体の光についてその光束(維持率)が低下する。水銀が青色蛍光体粒子の表面に優先的に付着(蛍光体粒子に付着する水銀のうち、青色蛍光体粒子に付着する水銀の比率が大である)しているので、青色蛍光体粒子は、水銀からの励起光を十分に青色光に変換できなくなり、赤・緑色の光束維持率に比べて、青色の光束維持率の低下が大きくなる。
そして、寿命末期の従来の冷陰極型蛍光ランプを加熱することにより、青色蛍光体粒子等に付着していた水銀が蒸発する。これにより、赤色、青色、緑色の各発光体粒子からの発光が増え、また、青色蛍光体粒子の表面の付着物がなくなるため、水銀からの励起光を青色に変換でき、色が青色(色温度の高い青色系の白色)に戻ると考えられる。
(6)確認試験
(6−1)水銀のアルミナへの付着
図6は、懸濁液内の結着材としてアルミナを使用した場合とCBBPを使用した場合での光束維持率を示す図である。
(6)確認試験
(6−1)水銀のアルミナへの付着
図6は、懸濁液内の結着材としてアルミナを使用した場合とCBBPを使用した場合での光束維持率を示す図である。
懸濁液は、蛍光体層をガラスバルブの内面に形成する際に使用する液であり、各色の蛍光体粒子、各色の蛍光体粒子を結着させる結着材等が含まれている。本試験では、この結着材として、アルミナを用いたものと、アルミナ以外のCBBP(CaO、B2O3、BaO、Ca2P2O7)を用いたものの2種類で蛍光体層を形成し、この2種類の蛍光体層が形成されているランプを用いて輝度試験を行った。なお、このときの青色蛍光体粒子はBAMであり、光束維持率は、点灯開始から500時間を経過した時に測定されたものである。
光束維持率は、同図に示すように、結着材としてアルミナとCBBPを使用した場合を比較すると、CBBPを使用した場合の方がアルミナを使用した場合よりも光束維持率が高くなっている。これは、CBBPには水銀が付着し難く、逆に、アルミナに水銀が付着し、このため、ガラスバルブ内に封入され且つ発光に寄与する有効な水銀量が、結着剤にアルミナを使用した場合にCBBPを使用した場合に比べて減少したためと考えられ、上述した考えと一致する。
(6−2)蛍光体層内のアルミナの有無による光束維持率について
上記検討により、水銀が青色蛍光体粒子に付着すると推測できる。そこで、発明者らは、水銀が付着しやすいアルミナを含むBAMを青色蛍光体粒子として、アルミナを含まないSCAを青色蛍光体としてそれぞれ用いた単一色のランプを製作して、これらのランプの光束維持率と加熱による回復率について測定する実験を行った。
上記検討により、水銀が青色蛍光体粒子に付着すると推測できる。そこで、発明者らは、水銀が付着しやすいアルミナを含むBAMを青色蛍光体粒子として、アルミナを含まないSCAを青色蛍光体としてそれぞれ用いた単一色のランプを製作して、これらのランプの光束維持率と加熱による回復率について測定する実験を行った。
ランプは、青色蛍光体粒子がBAMかSCAかの違いだけであり、蛍光体層を形成するための懸濁液等の条件は同じで製造されている。また、回復率は、青色蛍光体粒子としてBAMとSCAとのみを使用したそれぞれの1色光のランプを1,500時間点灯させた後に、ランプを加熱した後に再度測定した輝度により、加熱する前の初期輝度と、加熱後の輝度との比率により求めている。
図7は、BAM及びSCAを用いたランプの光束維持率を示す図であり、図8は、BAM及びSCAを用いたランプを加熱したときの回復率を示す図である。
図7では、BAMを使用したランプの方が、SCAを使用したランプよりも光束維持率が高い。両ランプの光束低下はBAMが水銀の付着により、また、SCAの光束低下は紫外線による蛍光体粒子の劣化等によりそれぞれ生じていると考えられる。この図では、SCAを用いたランプにおいても、一部水銀が蛍光体粒子に付着している可能性もある。
図7では、BAMを使用したランプの方が、SCAを使用したランプよりも光束維持率が高い。両ランプの光束低下はBAMが水銀の付着により、また、SCAの光束低下は紫外線による蛍光体粒子の劣化等によりそれぞれ生じていると考えられる。この図では、SCAを用いたランプにおいても、一部水銀が蛍光体粒子に付着している可能性もある。
次に、回復率を示す図8を見ると、BAMを使用したランプの回復率が99.9(%)と略初期輝度に回復している。これは、光束の低下は、水銀がBAMのアルミナに付着するために生じ、また、ランプを加熱することで、上記(5)のまとめで説明したように、アルミナに付着していた水銀が蒸発して、発光に寄与する有効水銀に回復したためと推測できる。
一方、SCAを用いたランプでは、加熱により輝度の回復は、BAMを使用しているランプより低くなっている。これは、SCAを用いたランプの光束低下は、有効水銀の減少によるものではなく、他の原因により発生しているためと考えられる。
次に、上記のBAMとSCAの夫々を青色蛍光体粒子として、他の赤色蛍光体粒子、緑色蛍光体粒子と混合した3波長型の蛍光体層が形成されたランプについて、その光束維持率を測定した。
次に、上記のBAMとSCAの夫々を青色蛍光体粒子として、他の赤色蛍光体粒子、緑色蛍光体粒子と混合した3波長型の蛍光体層が形成されたランプについて、その光束維持率を測定した。
図9は、BAMを含むランプと、SCAを含むランプとについての光束維持率の試験結果である。
同図に示すように、SCAを含むランプの方がBAMを含むランプよりも光束維持率が高くなっている。これは、SCAを含むランプでは、その光束低下の主原因が水銀の蛍光体粒子への付着によるものでないからと考えられる。
同図に示すように、SCAを含むランプの方がBAMを含むランプよりも光束維持率が高くなっている。これは、SCAを含むランプでは、その光束低下の主原因が水銀の蛍光体粒子への付着によるものでないからと考えられる。
つまり、BAMを含むランプでは、ガラスバルブ内に封入された水銀が、アルミナに付着することから、点灯時間の経過と共に、水銀が蛍光体粒子に付着するため、蛍光体粒子の変換効率が下がり、結果的にランプの光束が低下している。
これに対し、SCAを含むランプでは、青色蛍光体粒子の単色で見ると、BAMよりも光束維持率が低かったが、水銀が蛍光体粒子に付着していないため、他の赤・青の光束は低下せず、ランプ全体としてみた場合に、光束維持率がBAMを含むランプよりも高くなったと考えられる。
これに対し、SCAを含むランプでは、青色蛍光体粒子の単色で見ると、BAMよりも光束維持率が低かったが、水銀が蛍光体粒子に付着していないため、他の赤・青の光束は低下せず、ランプ全体としてみた場合に、光束維持率がBAMを含むランプよりも高くなったと考えられる。
よって、蛍光ランプにおいて、水銀が付着し難い蛍光体粒子を使用することで、例えば、SCAを含んだ蛍光体層を用いた場合には、光束維持率を改善できることが上述の種々の実験により分かった。なお、青色蛍光体粒子に、上述のSCAを用いると、BAMを用いた場合と略同等の輝度を得ることができる。
<第2の実施の形態>
第1の実施の形態では、バックライト装置の光源に冷陰極型蛍光ランプを利用したが、本第2の実施の形態では、バックライト装置の光源に外部電極型蛍光ランプを用いたものである。以下、図10を用いて外部電極型蛍光ランプについて説明する。
<第2の実施の形態>
第1の実施の形態では、バックライト装置の光源に冷陰極型蛍光ランプを利用したが、本第2の実施の形態では、バックライト装置の光源に外部電極型蛍光ランプを用いたものである。以下、図10を用いて外部電極型蛍光ランプについて説明する。
1.外部電極型蛍光ランプの構成
図10を参照しながら、第2の実施の形態に係るランプ50である外部電極型蛍光ランプについて説明する。
図10は、第2の実施の形態に係る外部電極型蛍光ランプ50の構成を示す図であって、図10(a)は外部電極型蛍光ランプの概略図であり、図10(b)は、外部電極型蛍光ランプ50の端部を、管軸を含む平面で切断したときの拡大断面図である。
図10を参照しながら、第2の実施の形態に係るランプ50である外部電極型蛍光ランプについて説明する。
図10は、第2の実施の形態に係る外部電極型蛍光ランプ50の構成を示す図であって、図10(a)は外部電極型蛍光ランプの概略図であり、図10(b)は、外部電極型蛍光ランプ50の端部を、管軸を含む平面で切断したときの拡大断面図である。
図10(a)に示すように、外部電極型蛍光ランプ50は、直管円筒状のガラス管の両端が封止されてなるガラスバルブ60と、このガラスバルブ60の両端部外周に形成された外部電極51,52とを備える。
ガラスバルブ60は、例えば、ホウ珪酸ガラスからなり、その横断面形状は、略円状をしている。外部電極51,52は、アルミニウムの金属箔からなり、例えば、シリコン樹脂に金属粉体を混合した導電性粘着剤によって、ガラスバルブ60の外周を覆うように貼着されている。導電性粘着剤としては、シリコン樹脂の代わりにフッ素樹脂、ポリイミド樹脂又はエポキシ樹脂等を用いてもよい。
ガラスバルブ60は、例えば、ホウ珪酸ガラスからなり、その横断面形状は、略円状をしている。外部電極51,52は、アルミニウムの金属箔からなり、例えば、シリコン樹脂に金属粉体を混合した導電性粘着剤によって、ガラスバルブ60の外周を覆うように貼着されている。導電性粘着剤としては、シリコン樹脂の代わりにフッ素樹脂、ポリイミド樹脂又はエポキシ樹脂等を用いてもよい。
また、金属箔を導電性粘着剤でガラスバルブ60に貼着する代わりに、銀ペーストをガラスバルブ60の電極形成部分の全周に塗布することによって外部電極51,52を形成してもよい。さらに、外部電極51,52の形状は、円筒状をしていてもよいし、また、ガラスバルブ60の端部を覆ったキャップ状をしていてもよい。
図10(b)に示すように、ガラスバルブ60の内面には、第1の実施の形態の冷陰極型蛍光ランプと同様に、例えば、酸化イットリウム(Y2O3)からなる保護層62が形成されている。保護層62は、ガラスバルブ60内に封入された水銀と、ガラスバルブ60とが反応するのを抑制する機能を有している。
図10(b)に示すように、ガラスバルブ60の内面には、第1の実施の形態の冷陰極型蛍光ランプと同様に、例えば、酸化イットリウム(Y2O3)からなる保護層62が形成されている。保護層62は、ガラスバルブ60内に封入された水銀と、ガラスバルブ60とが反応するのを抑制する機能を有している。
保護層62には、蛍光体層64が被着されている。この蛍光体層64は、図10(a)に示すように、外部電極51,52のランプ中央側の端部の位置をBとすると、ガラスバルブ60内においてB−B間に相当する領域に形成されている。
蛍光体層64には、励起されることにより、赤色、緑色、青色の各色の光を発する、赤色蛍光体粒子(Y2O3:Eu3+)、緑色蛍光体粒子(LaPO4:Tb3+)及び青色蛍光体粒子((SrCaBa)11(PO4)6Cl2:Eu2+)を混合した希土類蛍光体粒子が含まれている。この青色蛍光体粒子には、(SrCaBa)11(PO4)6Cl2:Eu2+が用いられ、アルミナを含んでいない。
蛍光体層64には、励起されることにより、赤色、緑色、青色の各色の光を発する、赤色蛍光体粒子(Y2O3:Eu3+)、緑色蛍光体粒子(LaPO4:Tb3+)及び青色蛍光体粒子((SrCaBa)11(PO4)6Cl2:Eu2+)を混合した希土類蛍光体粒子が含まれている。この青色蛍光体粒子には、(SrCaBa)11(PO4)6Cl2:Eu2+が用いられ、アルミナを含んでいない。
2.効果
上記外部電極型蛍光ランプ50の蛍光体層64に、ガラスバルブ内に封入されている水銀が付着しやすいアルミナを含まない蛍光体粒子を使用しているので、第1の実施の形態で説明したように、ランプ点灯により、水銀が蛍光体層64に付着するようなことを少なくできる。このため、発光に寄与する有効な水銀の減少を抑えることができ、結果として、従来の外部電極型蛍光ランプよりも、光束維持率の低下を抑えることができ、寿命時間の長期に亘って輝度の高いランプを得ることができる。
上記外部電極型蛍光ランプ50の蛍光体層64に、ガラスバルブ内に封入されている水銀が付着しやすいアルミナを含まない蛍光体粒子を使用しているので、第1の実施の形態で説明したように、ランプ点灯により、水銀が蛍光体層64に付着するようなことを少なくできる。このため、発光に寄与する有効な水銀の減少を抑えることができ、結果として、従来の外部電極型蛍光ランプよりも、光束維持率の低下を抑えることができ、寿命時間の長期に亘って輝度の高いランプを得ることができる。
また、発明者らの検討により外部電極型の蛍光ランプにおける特有の効果が得られることも判明した。
つまり、従来の外部電極型の蛍光ランプ(蛍光体層としてBAMを含んでいる)は、累計の点灯時間が長くなると、ガラスバルブの端部(電極が設けられている部分)の内面にピンホールが発生するという問題があった。このピンホールは、今回の発明者らの検討により、蛍光体層にBAMを使用することで、ガラスバルブにおける電極が設けられている端部内面に形成されているBAMのアルミナに水銀が付着し、この付着した水銀に電界が集中することで発生すると考えられる。
つまり、従来の外部電極型の蛍光ランプ(蛍光体層としてBAMを含んでいる)は、累計の点灯時間が長くなると、ガラスバルブの端部(電極が設けられている部分)の内面にピンホールが発生するという問題があった。このピンホールは、今回の発明者らの検討により、蛍光体層にBAMを使用することで、ガラスバルブにおける電極が設けられている端部内面に形成されているBAMのアルミナに水銀が付着し、この付着した水銀に電界が集中することで発生すると考えられる。
特に、外部電極型のランプの場合、電極が設けられている端部の内面に形成されている蛍光体層に付着する水銀量が多く(この現象を「水銀消耗」ともいう。)なり、発光光束の低下が著しい。
従って、第2の実施の形態における外部電極型蛍光ランプでは、電極が設けられている端部の内面に蛍光体層を形成しても、この蛍光体層には水銀が蛍光体層に付着する原因でもあるアルミナを含んでいないため、水銀消耗を抑えることができる他、電極が設けられている端部の内面の蛍光体層に水銀が付着するのを抑制でき、ガラスバルブの端部内面に発生するピンホールを少なくできる。
従って、第2の実施の形態における外部電極型蛍光ランプでは、電極が設けられている端部の内面に蛍光体層を形成しても、この蛍光体層には水銀が蛍光体層に付着する原因でもあるアルミナを含んでいないため、水銀消耗を抑えることができる他、電極が設けられている端部の内面の蛍光体層に水銀が付着するのを抑制でき、ガラスバルブの端部内面に発生するピンホールを少なくできる。
このため、従来、ガラスバルブ内面の領域Rで蛍光体層がなるべく存在しないように、蛍光体層を形成した後で、領域Rでは蛍光体層を取り除いた後に再度保護層を形成していたが、本発明にかかる外部電極型蛍光ランプでは、領域Rの蛍光体層を取り除かなくても、ピンホールの発生を抑制できる。
<変形例>
以上、本発明を実施の形態に基づいて説明してきたが、本発明の内容が、上記実施の形態に示された具体例に限定されないことは勿論であり、例えば、以下のような変形例を考えることができる。
<変形例>
以上、本発明を実施の形態に基づいて説明してきたが、本発明の内容が、上記実施の形態に示された具体例に限定されないことは勿論であり、例えば、以下のような変形例を考えることができる。
1.青色蛍光体粒子について
上記においては、従来の青色蛍光体粒子にBAM系が使用され、本発明では、BAM系の代替品として、(SrCaBa)11(PO4)6Cl2:Eu2+を用いたが、アルミナを含まない、他の青色蛍光体粒子を用いても良い。
このような青色蛍光体粒子としては、Sr2P2O7:Eu2+、CaWO4、SrMgP2O7:Eu2+等がある。
上記においては、従来の青色蛍光体粒子にBAM系が使用され、本発明では、BAM系の代替品として、(SrCaBa)11(PO4)6Cl2:Eu2+を用いたが、アルミナを含まない、他の青色蛍光体粒子を用いても良い。
このような青色蛍光体粒子としては、Sr2P2O7:Eu2+、CaWO4、SrMgP2O7:Eu2+等がある。
なお、アルミナを含む青色蛍光体粒子としては、例えば、BaAl8O13:Eu2+、BaMg2Al16O27:Eu2+,Mn2+、Sr4Al14O25:Eu2+、又は、(SrMgAl)10O17:Eu2+がある。
2.蛍光体粒子について
発明者らは、青色蛍光体粒子にBAM系を用いた場合に、光束維持率が低くなることから、各種の検討を行った結果、BAM系の蛍光体粒子を構成するアルミナに水銀が付着して、ガラスバルブ内の水銀が消耗したり、青色蛍光体粒子が水銀に覆われて水銀からの励起光を青色光に変換できなかったりすることが分かった。
2.蛍光体粒子について
発明者らは、青色蛍光体粒子にBAM系を用いた場合に、光束維持率が低くなることから、各種の検討を行った結果、BAM系の蛍光体粒子を構成するアルミナに水銀が付着して、ガラスバルブ内の水銀が消耗したり、青色蛍光体粒子が水銀に覆われて水銀からの励起光を青色光に変換できなかったりすることが分かった。
このことは、他の蛍光体粒子、具体的には、赤色蛍光体粒子、緑色蛍光体粒子にも同様にアルミナが含まれている場合にも、アルミナに水銀が付着すると考えられる。従って、光束低下を抑えるためには、アルミナが蛍光体層に含まれていないことが好ましく、例えば、各蛍光体粒子を結着する結着材にも、アルミナを含まないものを使用する方が良い(図6参照)と考えられる。
3.保護層について
上記においては、保護層の材料として、酸化イットリウム(Y2O3)を用いた例について説明したが、酸化イットリウムの代わりに、酸化チタン(TiO2)、酸化セリウム(CeO2)、酸化マグネシウム(MgO)、酸化ランタン(La2O3)又は酸化ケイ素(SiO2)のいずれか、或いはこれらの2種以上の混合物を用いてもよい。
上記においては、保護層の材料として、酸化イットリウム(Y2O3)を用いた例について説明したが、酸化イットリウムの代わりに、酸化チタン(TiO2)、酸化セリウム(CeO2)、酸化マグネシウム(MgO)、酸化ランタン(La2O3)又は酸化ケイ素(SiO2)のいずれか、或いはこれらの2種以上の混合物を用いてもよい。
本発明は、冷陰極型蛍光ランプや外部電極型蛍光ランプの光束低下を抑えるのに広く適用することができる。また、本発明は、光束維持率の高い蛍光ランプ及びバックライト装置を提供することができるので、その産業的利用価値は極めて高い。
1 バックライト装置
20 冷陰極型蛍光ランプ
30、40 ガラスバルブ
32、42 保護層
34、44 蛍光体層
50 外部電極型蛍光ランプ
51、52 外部電極
20 冷陰極型蛍光ランプ
30、40 ガラスバルブ
32、42 保護層
34、44 蛍光体層
50 外部電極型蛍光ランプ
51、52 外部電極
Claims (5)
- ガラスバルブ内に水銀が封入され、当該水銀から発せられた光を所定の色の光に変換する蛍光体粒子を含んだ蛍光体層が前記ガラスバルブの内面に形成されている蛍光ランプであって、
前記蛍光体層は、アルミナを実質的に含まない蛍光体粒子で構成されていることを特徴とする蛍光ランプ。 - 前記蛍光体粒子は、ハロりん酸塩系、りん酸塩系、けい酸塩系、タングステン酸塩系の少なくとも一つを含んでいることを特徴とする請求項1に記載の蛍光ランプ。
- 前記蛍光体層は、前記水銀から発せられた光を、赤色光に変換する赤色蛍光体粒子と、緑色光に変換する緑色蛍光体粒子と、青色光に変換する青色蛍光体粒子とを含み、前記青色蛍光体粒子は、(SrCaBa)11(PO4)6Cl2:Eu2+を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の蛍光ランプ。
- 前記蛍光体層には、各色蛍光体粒子を結着させる結着剤を含み、当該結着材は、アルミナを実質的に含まない粒子で構成されていることを特徴とする請求項3に記載の蛍光ランプ。
- 請求項1〜4の何れか1項に記載の蛍光ランプを光源として備えることを特徴とするバックライト装置。
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JP2005195730A JP2007018737A (ja) | 2005-07-05 | 2005-07-05 | 蛍光ランプ及びバックライト装置 |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2008013029A1 (fr) * | 2006-07-25 | 2008-01-31 | Sony Corporation | Lampe fluorescente, dispositif de source lumineuse, et affichage |
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JPH04270783A (ja) * | 1991-02-27 | 1992-09-28 | Toshiba Corp | 青色発光蛍光体および蛍光ランプ |
JPH05320636A (ja) * | 1992-05-20 | 1993-12-03 | Nichia Chem Ind Ltd | 蛍光ランプ用蛍光体 |
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JP2003091007A (ja) * | 2001-09-18 | 2003-03-28 | Hitachi Ltd | 液晶表示装置 |
-
2005
- 2005-07-05 JP JP2005195730A patent/JP2007018737A/ja active Pending
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