JP2008130335A - 蛍光ランプ用エミッタ及びそれを用いた蛍光ランプ - Google Patents

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Abstract

【課題】放電ランプの点灯中におけるエミッタの損失・消耗が少ない蛍光ランプ用エミッタを提供する。
【解決手段】本発明の蛍光ランプ用エミッタは、酸化マグネシウムを含み、前記酸化マグネシウムの一次粒子は、単結晶体から形成され、前記酸化マグネシウムの単結晶体の平均粒径は、1μm以下であることを特徴とする。また、前記酸化マグネシウムの単結晶体は、金属マグネシウムの蒸気と酸素との気相酸化反応で生成された立方体の単結晶構造を有する。
【選択図】図1

Description

本発明は、蛍光ランプ用エミッタ及びそれを用いた蛍光ランプ、特に冷陰極蛍光ランプに関するものである。
冷陰極蛍光ランプの電極には、始動性及びランプ効率を向上させるために、バリウム、カルシウム、ストロンチウム等のアルカリ土類金属の酸化物からなるエミッタ(電子放射性物質)を被着させる場合がある(例えば、特許文献1参照)。このようなエミッタの被着形成プロセスの一例を挙げると、これらのエミッタ成分は、原料段階ではアルカリ土類金属の炭酸塩として準備され、そのアルカリ土類金属の炭酸塩を有機溶媒中に分散させた懸濁液の状態で電極に塗布される。懸濁液中には、エミッタ成分であるアルカリ土類金属の炭酸塩が電極に付着しやすいように、有機バインダが混合されている。その後、エミッタ成分を加熱し、アルカリ土類金属の炭酸塩から酸化物に加熱分解させ、アルカリ土類金属の酸化物からなるエミッタを形成している。上記加熱の際には、有機バインダも一緒に酸化・分解されて除去される。
特開2000−331643号公報
冷陰極蛍光ランプは、エミッタを用いない場合には輝度低下が寿命を決めるが、上記のように蛍光ランプの始動性や効率を重視する場合には、エミッタを使用するため、エミッタの飛散も寿命を決める要因となる。そのため、エミッタを使用した冷陰極蛍光ランプの長寿命化を図るには、エミッタの飛散をいかに抑制するかが重要である。しかし、蛍光ランプの長寿命化の要求レベルは年々上昇し、従来のアルカリ土類金属の酸化物からなるエミッタではこの長寿命化の要求には十分に対処することができなくなってきた。
本発明は、上記課題を解決したもので、蛍光ランプの使用中における飛散の少ない蛍光ランプ用エミッタ及びそれを用いた高効率且つ長寿命の蛍光ランプを提供するものである。
本発明の蛍光ランプ用エミッタは、酸化マグネシウムを含む蛍光ランプ用エミッタであって、前記酸化マグネシウムの一次粒子は、単結晶体から形成され、前記酸化マグネシウムの単結晶体の平均粒径は、1μm以下であることを特徴とする。
また、本発明の蛍光ランプは、上記本発明の蛍光ランプ用エミッタを用いたことを特徴とする。
本発明の蛍光ランプ用エミッタは、蛍光ランプの点灯中における飛散が少ない。また、本発明の蛍光ランプは、本発明の蛍光ランプ用エミッタを用いることにより、高効率で且つ長寿命化を図ることができる。
本発明の蛍光ランプ用エミッタは、酸化マグネシウムからなり、その酸化マグネシウムの一次粒子は単結晶体から形成され、且つその酸化マグネシウムの単結晶体の平均粒径は1μm以下であることを特徴とする。
上記酸化マグネシウムの一次粒子は単結晶体で形成されているので、空気中での化学的安定性が高く、MgO粒子として直接電極に塗布できる。このため、従来のようにアルカリ土類金属の炭酸塩を加熱分解する必要がなく、低温処理が可能となり、電極の製造を合理的に行える。
また、上記酸化マグネシウムの単結晶体の平均粒径は1μm以下であるので、MgO粒子の表面積が大きくなり、電子放出等のエミッタの作用を増大できる。また、電極に対する物理吸着力が大きくなり、エミッタの脱落等が防止できる。特に、本発明の蛍光ランプ用エミッタを冷陰極蛍光ランプに用いると、ランプ電圧を低減でき、冷陰極動作に起因するイオン衝撃によるエミッタの飛散(スパッタリング)を減少させることができる。また、本発明の蛍光ランプ用エミッタは、イオン衝撃そのものに対する耐久性も大きく、蛍光ランプの長寿命化を図ることができる。本発明において単結晶体の平均粒径は、レーザ回折・散乱法で測定するものとする。
上記酸化マグネシウムの単結晶体は、金属マグネシウムの蒸気と酸素との気相酸化反応で生成されている。これにより、上記酸化マグネシウムは、高純度で、超微粒子で、さらに一次粒子が単結晶体である特徴を有することができる。
上記気相酸化反応で生成された酸化マグネシウムの単結晶体は、例えば、立方体の単結晶構造を有している。但し、上記酸化マグネシウムの単結晶構造は完全な立法体に限らず、いくつかの立方体が一体となった多重結晶構造であってもよい。
上記酸化マグネシウムのBET比表面積は、6m2/g以上40m2/g以下であることが好ましい。6m2/g未満ではエミッタの作用を増大させる効果が得られず、40m2/gを超えると、製造プロセスにおいて酸化マグネシウムの凝集が顕著になり、結果として比表面積が減少してしまう。
また、本発明の蛍光ランプは、上記本発明の蛍光ランプ用エミッタを用いたことを特徴とする。これにより、ランプ電圧が低く、スパッタリングが少ない、高効率且つ長寿命の蛍光ランプを提供できる。
次に、本発明の蛍光ランプの実施形態を図面に基づき説明する。下記の実施形態では、冷陰極蛍光ランプの例を示したが、本発明の蛍光ランプ用エミッタは、熱陰極蛍光ランプ、外部電極型蛍光ランプ等についても適用可能である。
図1は、本発明の蛍光ランプの一例を示す一部拡大断面図である。なお、図1は、蛍光ランプの一端を示したものであり、他端は、図1に示す一端と同様であるため、図示を省略する。
図1を参照して、蛍光ランプ10は、ガラスバルブ11と、ガラスバルブ11の内部に配置された一対の電極12とを備える。
ガラスバルブ11は、ホウ珪酸ガラス等からなり、その内面には、蛍光体13が塗布されている。ガラスバルブ11の両端は、ガラスビード14によって封止されている。ガラスビード14によって封止されたガラスバルブ11の内部には、水銀及び希ガス(図示せず)が封入されている。
蛍光体13は、例えば、青色蛍光体がユーロピウム付活アルミン酸バリウム・マグネシウム〔BaMg2Al1627:Eu2+〕(略号:BAM−B)、緑色蛍光体がセリウム・テルビウム共付活リン酸ランタン〔LaPO4:Ce3+,Tb3+〕(略号:LAP)及び赤色蛍光体がユーロピウム付活酸化イットリウム〔Y23:Eu3+〕(略号:YOX)を含む3波長型の蛍光体を用いると需要の高いRGB表色系のランプ、特に白色ランプとなるので好ましい。但し、蛍光体13は、上記蛍光体に限定されない。
なお、蛍光ランプ10を液晶表示装置のバックライトに用いる場合の蛍光体について説明する。
(1)紫外線吸収について
例えば、近年、液晶カラーテレビの大型化に伴って、バックライトユニットの開口を塞ぐ拡散板に寸法安定性の良いポリカーボネートが使用されるようになっている。このポリカーボネートは、水銀が発する313(nm)の波長の紫外線により劣化しやすい。このような場合には、波長313(nm)の紫外線を吸収する蛍光体を利用すると良い。なお、313(nm)の紫外線を吸収する蛍光体としては、以下のものがある。
(a)青色
ユーロピウム・マンガン共付活アルミン酸バリウム・ストロンチウム・マグネシウム〔Ba1-x-ySrxEuyMg1-zMnzAl1017〕又は〔Ba1-x-ySrxEuyMg2-zMnzAl1627
ここで、x,y,zはそれぞれ0≦x≦0.4、 0.07≦y≦0.25、 0≦z<0.1なる条件を満たす数であることが好ましい。
このような蛍光体としては、例えば、ユーロピウム付活アルミン酸バリウム・マグネシウム〔BaMg2Al1627:Eu2+〕、〔BaMgAl1017:Eu2+〕(略号:BAM−B)や、ユーロピウム付活アルミン酸バリウム・ストロンチウム・マグネシウム〔(Ba,Sr)Mg2Al1627:Eu2+〕、〔(Ba,Sr)MgAl1017:Eu2+〕(略号:SBAM−B)等がある。
(b)緑色
・マンガン不活マグネシウムガレート〔MgGa24:Mn2+〕(略号:MGM)
・マンガン付活アルミン酸セリウム・マグネシウム・亜鉛〔Ce(Mg,Zn)Al1119:Mn2+〕(略号:CMZ)
・テルビウム付活アルミン酸セリウム・マグネシウム〔CeMgAl1119:Tb3+〕(略号:CAT)
・ユーロピウム・マンガン共付活アルミン酸バリウム・ストロンチウム・マグネシウム〔Ba1-x-ySrxEuyMg1-zMnzAl1017〕又は〔Ba1-x-ySrxEuyMg2-zMnzAl1627
ここで、x,y,zはそれぞれ0≦x≦0.4、 0.07≦y≦0.25、 0.1≦z≦0.6なる条件を満たす数であり、zは0.4≦x≦0.5であることが好ましい。
このような蛍光体としては、例えば、ユーロピウム・マンガン共付活アルミン酸バリウム・マグネシウム〔BaMg2Al1627:Eu2+,Mn2+〕、〔BaMgAl1017:Eu2+,Mn2+〕(略号:BAM−G)や、ユーロピウム・マンガン共付活アルミン酸バリウム・ストロンチウム・マグネシウム〔(Ba,Sr)Mg2Al1627:Eu2+,Mn2+〕、〔(Ba,Sr)MgAl1017:Eu2+,Mn2+〕(略号:SBAM−G)等がある。
(c)赤色
・ユーロピウム付活リン・バナジン酸イットリウム〔Y(P,V)O4:Eu3+〕(略号:YPV)
・ユーロピウム付活バナジン酸イットリウム〔YVO4:Eu3+〕(略号:YVO)
・ユーロピウム付活イットリウムオキシサルファイド〔Y22S:Eu3+〕(略号:YOS)
・マンガン付活フッ化ゲルマン酸マグネシウム〔3.5MgO・0.5MgF2・GeO2:Mn4+〕(略号:MFG)
・ジスプロシウム付活バナジン酸イットリウム〔YVO4:Dy3+〕(赤と緑の2成分発光蛍光体であり、略号:YDS)
なお、一種類の発光色に対して、異なる化合物の蛍光体を混合して用いても良い。例えば、青色にBAM−B(313nmを吸収する。)のみ、緑色にLAP(313nmを吸収しない。)とBAM−G(313nmを吸収する。)、赤色にYOX(313nmを吸収しない。)とYVO(313nmを吸収する。)の蛍光体を用いても良い。このような場合は、前述のように波長313(nm)を吸収する蛍光体が、総重量組成比率で50%より大きくなるように調整することで、紫外線がガラス管外に漏れ出ることをほとんど防止できる。したがって、313nmの紫外線を吸収する蛍光体を含む場合には、上記のバックライトユニットの開口を塞ぐポリカーボネート(PC)からなる拡散板等の紫外線による劣化が抑制され、バックライトユニットとしての特性を長時間維持することができる。
ここで、「313(nm)の紫外線を吸収する」とは、254(nm)付近の励起波長スペクトル(励起波長スペクトルとは、蛍光体を波長変化させながら励起発光させ、励起波長と発光ピーク強度をプロットしたものである。)の強度を100(%)としたときに、313(nm)の励起波長スペクトルの強度が80(%)以上のものと定義する。すなわち、313(nm)の紫外線を吸収する蛍光体とは、313(nm)の紫外線を吸収して可視光に変換できる蛍光体である。
(2)高色再現について
液晶カラーテレビで代表される液晶表示装置では、近年における高画質化の一環としてなされる高色再現化に伴い、当該液晶表示装置のバックライトユニットの光源として用いられる冷陰極蛍光ランプや外部電極蛍光ランプにおいて、再現可能な色度範囲の拡大化の要請がある。
このような要請に対して、例えば、以下の蛍光体を用いることで、色度範囲の拡大を図ることができる。具体的には、CIE1931色度図において、高色再現用の当該蛍光体の色度座標値が、通常の3つの蛍光体の色度座標値を結んでできる三角形を含んで色再現範囲を広げる座標に位置する。
(a)青色
・ユーロピウム付活ストロンチウム・クロロアパタイト〔Sr10(PO46Cl2:Eu2+〕(略号:SCA)、色度座標:x=0.151、y=0.065
上記以外に、ユーロピウム付活ストロンチウム・カルシウム・バリウム・クロロアパタイト〔(Sr,Ca,Ba)10(PO46Cl2:Eu2+〕(略号:SBCA)も使用でき、上記波長313(nm)の紫外線も吸収できるSBAM−Bも高色再現用に使用できる。
(b)緑色
・BAM−G、色度座標:x=0.139、y=0.574
・CMZ、色度座標:x=0.164、y=0.722
・CAT、色度座標:x=0.267、y=0.663
なお、これらは上述したように、波長313(nm)の紫外線も吸収でき、また、ここで説明した3つの蛍光体粒子以外にも、MGMも高色再現用に使用することもできる。
(c)赤色
・YOS、色度座標:x=0.651、y=0.344
・YPV、色度座標:x=0.658、y=0.333
・MFG、色度座標:x=0.711、y=0.287
なお、これらは上述したように、波長313(nm)の紫外線も吸収でき、また、ここで説明した3つの蛍光体粒子以外にも、YVO、YDSも高色再現用に使用することもできる。
また、上記で示した色度座標値は各々の蛍光体の粉体のみで測定した代表値であり、測定方法(測定原理)等に起因して、各蛍光体の粉体が示す色度座標値は、上掲した値と若干異なる場合があり得る。
さらに、赤、緑、青の各色を発光させるために用いる蛍光体は各波長につき1種類に限らず、複数種類を組み合わせて用いることとしても良い。
ここで、上記の高色再現用の蛍光体粒子を用いた場合について説明する。ここでの評価は、CIE1931色度図内においてNTSC規格の3原色の色度座標値を結ぶNTSC三角形(NTSCトライアングル)の面積を基準とした、高色再現用の蛍光体を用いた場合の3つの色度座標値を結んできる三角形の面積の比(以下、NTSC比という。)で行う。
例えば、青色としてBAM−B、緑色としてBAM−G、赤色としてYVOを用いると(例1)NTSC比が92(%)となり、また、青色としてSCA、緑色としてBAM−G、赤色としてYVOを用いると(例2)NTSC比が100(%)となり、また、青色としてSCA、緑色としてBAM−G、赤色としてYOXを用いると(例3)、NTSC比が95(%)となり、例1及び2に比べて輝度を10(%)向上させることができる。
なお、ここでの評価に用いた色度座標値は、ランプ等が組み込まれた液晶表示装置とした状態で測定したものである。
次に、電極12について説明する。電極12は、金属スリーブ12aと、金属スリーブ12aの少なくとも一部に設けられたエミッタ12bとを備える。金属スリーブ12aの外径S1と内径S2との差、即ち金属スリーブ12aの厚さは、通常0.1〜0.2mmに設定され、また、金属スリーブ12aのカップ長L1は、その基部長L2の約3倍の長さに設定されるが、これらに限定はされない。
なお、図1には、金属スリーブ12aの内面にエミッタ12bが形成されている一例を示しているが、金属スリーブ12aの一部にエミッタ12bが形成されているものであれば、エミッタ12bの形成位置について制限はない。但し、エミッタ12bを金属スリーブ12aの少なくとも内面に設けることによって、冷陰極動作に起因するイオン衝撃によるエミッタ12bのスパッタリングを防止でき、エミッタ効果を長期間持続させることができる。
また、上記スパッタリングと封入ガス圧とは相関関係があり、封入ガス圧が低圧の場合には、金属スリーブ12aの比較的底部でスパッタリングが発生しやすくなり、封入ガス圧が高圧の場合には、金属スリーブ12aの口開部付近でスパッタリングが発生しやすくなる。そこで、封入ガス圧が1Torr以下の低圧では、図2に示すように、エミッタ12bを、金属スリーブ12aの低面部と、金属スリーブ12aの底面部から上方に1/3の高さまでの内側面部とに形成することが好ましい。また、封入ガス圧が10Torr以上の高圧では、図3に示すように、エミッタ12bを、金属スリーブ12aの開口部から下方に1/3の深さまでの内側面部に形成することが好ましい。さらに、封入ガス圧が1Torrを超え、10Torr未満の中圧では、少なくともエミッタ12bを、金属スリーブ12aの低面部及び開口部から上下それぞれ1/3までの内側面部に形成することが好ましい。エミッタ12bは、スパッタリングそのものに対する耐久性が大きいため、封入ガス圧に応じてエミッタ12bの形成位置を変更することにより、イオン衝撃による金属スリーブ12a自体の飛散(スパッタリング)も防止できる。
なお、図1では、カップ状電極を用いた例を示したが、棒状電極を用いることもできる。その場合には、上記スパッタリングと封入ガス圧との関係は、封入ガス圧が高圧(10Torr以上)の場合には、棒状電極の先端部及びその先端部から下方に1/3までの側面部にスパッタリングが発生しやすくなり、封入ガス圧が中低圧(10Torr未満)の場合には、棒状電極の先端部及びその先端部から下方に2/3までの側面部にスパッタリングが発生しやすくなる。従って、上記カップ状電極の場合と同様に、棒状電極の場合でも封入ガス圧に応じて、スパッタリングが発生しやすい棒状電極の位置にスパッタリングそのものに対する耐久性が大きいエミッタを配置することが好ましい。
金属スリーブ12aは、エミッタの焼成温度(例えば、550℃)以上の耐熱性がある金属からなる。金属スリーブ12aの材料としては、例えば、ニッケル、ステンレス鋼、コバルト、鉄等を用いることができる。金属スリーブ12aの一端は、タングステン等からなる内部リード線15に挿入されて溶接されており、内部リード線15はガラスビード14を通って外部リード線16に接続されている。
なお、図1では、電極12として、金属スリーブ12aの基部を内部リード線15に挿入して溶接により接合した例を示したが、図4に示すように、電極12として、金属スリーブ12aと内部リード線15とが一体化されたものを使用することもできる。
また、金属スリーブ12aの表面の中心線平均粗さ(Ra)は、1〜10μmが好ましい。この範囲内であれば、エミッタ12bの脱落の抑制効果が大きくなるからである。
エミッタ12bは、一次粒子が単結晶体からなり、且つその単結晶体の平均粒径が1μm以下である単結晶酸化マグネシウム微粒子から形成されている。この単結晶酸化マグネシウム微粒子は、金属マグネシウムの蒸気と酸素との気相酸化反応で生成でき、例えば、図9の電子顕微鏡写真に示すような立方体の単結晶構造を有している。
エミッタ12bは、上記単結晶酸化マグネシウム微粒子とバインダと溶媒とを混合したエミッタ塗布液を、金属スリーブ12aに塗布した後に熱処理することによって形成できる。上記バインダとしては、例えば、ニトロセルロース、エチルセルロース、ポリエチレンオキシド等が使用できる。また、上記溶媒としては、例えば、酢酸ブチル、化学式Cn2n+1OH(n=1〜4)で表されるアルコール等が使用できる。
なお、ガラスバルブ11の材質はホウ珪酸ガラスに限らず、鉛ガラス、鉛フリーガラス、ソーダガラス等を用いてもよい。この場合に、暗黒始動性が改善できる。即ち、上記したようなガラスは、酸化ナトリウム(Na2O)に代表されるアルカリ金属酸化物を多く含み、例えば、酸化ナトリウムの場合はナトリウム(Na)成分が時間の経過とともにガラスバルブ11の内面に溶出する。ナトリウムは電気陰性度が低いため、ガラスバルブ11の内側端部に溶出したナトリウムが、暗黒始動性の向上に寄与するものと思われる。また、自然環境保護を考慮した場合、鉛フリーガラスを用いるのが好ましい。但し、鉛フリーガラスは、製造過程で不純物として鉛を含んでしまう場合がある。そこで、0.1重量%以下といった不純物レベルで鉛を含有するガラスも鉛フリーガラスと定義することとする。
また、図1では、直管状の蛍光ランプ10について説明したが、本発明の蛍光ランプは直管状に限らず、「U」字状又は「コ」の字状等の屈曲管であってもよい。また、蛍光ランプ10は、その断面が円形である円筒型ランプに限らす。例えば、図5に示すような断面が楕円形を有する偏平型ランプであってもよい。なお、図6は、図5のI−I線の断面図である。
次に、本発明の蛍光ランプを用いた表示装置について説明する。図7は、本発明の蛍光ランプを用いた表示装置101、例えば液晶テレビの概要を示している。
図7に示す表示装置101は、例えば、32インチの液晶テレビであり、液晶画面ユニット103と蛍光ランプユニット102とを備える。液晶画面ユニット103は、例えば、カラーフィルタ基板、液晶、TFT基板、駆動モジュール等(図示せず)を備え、外部からの画像信号に基づいてカラー画像を形成する。液晶画面ユニット103の下端部には、高周波電子安定器104が配されており、この高周波電子安定器104によって、蛍光ランプユニット102に備えられた複数本の冷陰極蛍光ランプ20(図1の蛍光ランプ10に相当)の全ての点灯が行われる。なお、図7において、105は操作ボタン、106はリモコンである。
図8は、直下方式の蛍光ランプユニット102の構成を示す概略斜視図である。図8では、内部構造が分かるように前面パネル26の一部が切り欠かれた状態で示されている。蛍光ランプユニット102は、複数の冷陰極蛍光ランプ20と、一方の主面が開口した箱型形状の筐体21と、この筐体21を覆う前面パネル26とを備えている。冷陰極蛍光ランプ20は、直管形状を有し、その軸芯が水平に延伸する状態で、筐体21の短手方向に複数本並設されている。なお、これらの冷陰極蛍光ランプ20は、駆動回路(不図示)に接続されており、この駆動回路によって点灯される。
筐体21は、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂製であって、その内面に銀などの金属が蒸着されて反射面が形成されている。筐体21の開口部は、透光性の前面パネル26で覆われており、内部に埃などの異物が入らないように密閉されている。なお、筐体21は樹脂以外の材料、例えばアルミニウム等の金属材料で構成されていても構わない。前面パネル26は、拡散板23、拡散シート24及びレンズシート25が積層されてなる。
拡散板23及び拡散シート24は、冷陰極蛍光ランプ20から発せられた光を散乱・拡散させるものであり、レンズシート25は、当該シート25の法線方向へ光を揃えるものである。これらによって、冷陰極蛍光ランプ20から発せられた光が、前面パネル26の全体に均一に前方方向に照射される。
拡散板23の材料は、ポリカーボネート(PC)樹脂製である。PC樹脂は、耐湿性、機械強度、耐熱性及び光透過性に優れており、PC樹脂製の板は吸湿によって反りを生じることがほとんど無いため、画面サイズが大型(例えば、17インチ以上)な液晶テレビ用の拡散板などの利用にも有益である。
以下、本発明の蛍光ランプの一例である冷陰極蛍光ランプについて、実施例を用いて詳細に説明する。
(実施例1)
実施例1では、前述の実施形態で説明した蛍光ランプ10の一例について説明する。図1を参照して、蛍光ランプ10は、ニッケルからなる外径(S1)1.7mm、内径(S2)1.5mm、カップ長(L1)5.5mm、基部長(L2)1.5mmの金属スリーブ12aの一端にタングステンからなる外径0.6mmの内部リード線15が挿入され、金属スリーブ12aの一端が圧潰溶接されて両者が接続されている。
ガラスバルブ11は外径2.4mm、内径2.0mmのホウ珪酸ガラスからなり、ガラスバルブ11の両端部に電極12が配置されている。電極12は、一次粒子が単結晶体からなり、且つその単結晶体の平均粒径が1μm以下である単結晶酸化マグネシウム微粒子からなるエミッタ12bを備える。
また、ガラスバルブ11の両端部は、ホウ珪酸ガラスからなるガラスビード14で封止されており、内部リード線15は、ガラスビード14を通ってステンレス鋼製の外部リード線16に接続されている。一対の電極12の先端間の距離は330mmとした。また、ガラスバルブ11の内面には蛍光体13を塗布し、その内部には水銀とともにアルゴンとネオンとの混合ガスを8kPaの圧力になるように封入した。
蛍光体13としては、青色蛍光体がユーロピウム付活アルミン酸バリウム・マグネシウム〔BaMg2Al1627:Eu2+〕(略号:BAM−B)、緑色蛍光体がセリウム・テルビウム共付活リン酸ランタン〔LaPO4:Ce3+,Tb3+〕(略号:LAP)及び赤色蛍光体がユーロピウム付活酸化イットリウム〔Y23:Eu3+〕(略号:YOX)を、BAM−B:LAP:YOX=4:3:3の重量比で混合した3波長型の蛍光体を用いた。
実施例1の蛍光ランプは、以下に示す方法で作製した。
最初に、金属スリーブ12aの内面に、エミッタ12bを以下の方法で形成した。先ず、一次粒子が単結晶体からなり、且つその単結晶体の平均粒径が1μm以下である単結晶酸化マグネシウム微粒子を準備した。その後、上記単結晶酸化マグネシウム微粒子10kgを、ニトロセルロース(バインダ)と酢酸ブチル(溶媒)との混合溶液(ニトロセルロース1.5重量%の酢酸ブチル溶液)20リットルに分散させることによって、エミッタ塗布液を調製した。次に、金属スリーブ12aの内面にこのエミッタ塗布液をスプレー法により塗布し、これを空気中で自然乾燥させた。
その後、エミッタ塗布液を塗布した金属スリーブ12aを、アルゴン雰囲気の還元炉で約550℃に加熱することによって、単結晶酸化マグネシウム微粒子を金属スリーブ12へ固着するとともに、バインダ及び溶媒の除去を行い、エミッタ12bを備える電極12を形成した。
続いて、電極12を、蛍光体13が塗布されたガラスバルブ11の両端に配置し、一方の電極12のみを先にアルゴン雰囲気中でガラスビード14を介して加熱封着した。続いて、ガラスバルブ11の内部に水銀及びアルゴンとネオンの混合ガスを8kPaになるように導入し、最後に他方の電極12とガラスバルブ11とをガラスビード14を介して加熱封着して、実施例1の蛍光ランプを作製した。
(比較例1)
エミッタ12bを全く形成しなかった金属スリーブ12aからなる電極12を用いた以外は、実施例1と同様にして比較例1の蛍光ランプを作製した。
(比較例2)
実施例1で用いた単結晶酸化マグネシウム微粒子に代えて、平均粒径18μmの酸化マグネシウム粒子を用いた以外は、実施例1と同様にして比較例2の蛍光ランプを作製した。
<ランプ電圧の測定>
実施例1、比較例1及び比較例2の蛍光ランプを用いて、周囲温度25℃、ランプ電流4mArms(実効値)、点灯周波数60kHzの条件で高周波点灯回路を用いて点灯させ、ランプ電圧(実効値:Vrms)を測定した。また、同様にしてランプ電流を6mArms、8mArms、10mArmsにそれぞれ変更してランプ電圧を測定した。その結果を図10に示す。
図10から、実施例1のランプ電圧は、比較例1及び比較例2のランプ電圧に比べて、32Vrms〜43Vrms程度低減できた。
<スパッタリング量の測定>
実施例1、比較例1及び比較例2の蛍光ランプを用いて、周囲温度25℃、ランプ電流6mArms、点灯周波数60kHzの条件で高周波点灯回路を用いて6000時間点灯させ、スパッタリング量を測定した。ここで、スパッタリング量とは、冷陰極動作に起因するイオン衝撃によるエミッタ12b及び金属スリーブ12aの成分が飛散し、飛散した成分がガラスバルブ11の内壁に堆積付着した総量をいう。飛散物の採取は、両端の電極12の周辺のガラスバルブ11を酸に浸漬して、飛散物を酸に溶解して行った。スパッタリング量は、飛散物を溶解した溶液をICP質量分析法で分析して求めた。
Figure 2008130335
表1から、実際例1は、比較例1及び比較例2に比べて、スパッタリング量が少なく、蛍光ランプの長寿命化を図ることができる。なお、実施例1及び比較例2のスパッタリング量には、エミッタ12bの飛散によるMgO成分と、金属スリーブ12aの飛散によるNi成分とが含まれ、比較例1のスパッタリング量には、金属スリーブ12aの飛散によるNi成分のみが含まれると考えられる。
本発明の蛍光ランプ用エミッタを用いることにより、各種蛍光ランプの長寿命化を図ることができ、その産業上の価値は大である。
本発明の蛍光ランプの一例を示す一部拡大断面図である。 図1の電極12のエミッタ12bの他の形成状態を示す断面図である。 図1の電極12のエミッタ12bのさらに他の形成状態を示す断面図である。 図1の電極12の他の例を示す断面図である。 本発明の蛍光ランプの他の例を示す断面図である。 図5のI−I線の断面図である。 本発明の蛍光ランプを用いた表示装置の一例を示す一部切断斜視図である。 直下方式の蛍光ランプユニットの一例を示す概略斜視図である。 本発明に用いる単結晶酸化マグネシウム微粒子の一例を示す電子顕微鏡写真である。 実施例1、比較例1及び比較例2の各蛍光ランプのランプ電流とランプ電圧との関係を示す図である。
符号の説明
10 蛍光ランプ
11 ガラスバルブ
12 電極
12a 金属スリーブ
12b エミッタ
13 蛍光体
14 ガラスビード
15 内部リード線
16 外部リード線

Claims (5)

  1. 酸化マグネシウムを含む蛍光ランプ用エミッタであって、
    前記酸化マグネシウムの一次粒子は、単結晶体から形成され、
    前記酸化マグネシウムの単結晶体の平均粒径は、1μm以下であることを特徴とする蛍光ランプ用エミッタ。
  2. 前記酸化マグネシウムの単結晶体は、立方体の単結晶構造を有する請求項1に記載の蛍光ランプ用エミッタ。
  3. 前記酸化マグネシウムの単結晶体は、金属マグネシウムの蒸気と酸素との気相酸化反応で生成されている請求項1に記載の蛍光ランプ用エミッタ。
  4. 前記酸化マグネシウムのBET比表面積は、6m2/g以上40m2/g以下である請求項1に記載の蛍光ランプ用エミッタ。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の蛍光ランプ用エミッタを用いたことを特徴とする蛍光ランプ。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010097903A (ja) * 2008-10-20 2010-04-30 Stanley Electric Co Ltd 電子放出用電極及び冷陰極蛍光ランプ

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