JP2007017722A - パターン形成方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 描画単位が2次元的に分布した露光ヘッドを備えるデジタル露光装置を用いた露光において、コストを抑えつつ、各描画単位の光量を均一化することにより、微細なパターンを高精度に形成可能なパターン形成方法を提供する。
【解決手段】 感光層に対し、光照射手段から出射した光ビームを、光分布補正手段を有する集光光学系を介して照射し、前記光変調手段により変調された光ビームを照射して露光を行うことを少なくとも含み、該露光が、前記光照射手段から前記光変調手段に照射される光ビームの照射領域内での光量に分布を持たせ、前記光変調手段により変調された光ビームの光量分布が、前記感光層の被露光面上において均一となるように補正されて行われることを特徴とするパターン形成方法である。
【選択図】図10

Description

本発明は、空間光変調素子等の光変調手段により変調された光を感光層上に結像させて、該感光層を露光するパターン形成方法に関する。
従来から、デジタル・マイクロミラー・デバイス(DMD)等の空間光変調素子(SLM)により、パターン情報(画像データ)に応じて変調された光で露光を行う露光装置が種々提案されている。
前記DMDは、制御信号に応じて反射面の角度が変化する多数のマイクロミラーが、シリコン等の半導体基板上に2次元状に配列されたミラーデバイスである。このDMDを用いた従来のデジタル露光方式の露光装置を用いた露光方法では、例えば、レーザ光を照射する光源、該光源から照射された前記レーザ光をコリメートするレンズ系、前記レンズ系の略焦点位置に配置された前記DMD、及び前記DMDで反射された前記レーザ光を走査面上に結像するレンズ系を備えた露光ヘッドを用い、パターン情報等に応じて生成した制御信号により前記DMDのマイクロミラーの各々をオンオフ制御して前記レーザ光を変調し、変調されたレーザ光(光ビーム)で、前記露光装置のステージ上にセットされ走査方向に沿って移動されるプリント配線板や液晶表示素子等の感光材料に対しパターンを走査露光している。
上記のような、描画単位が2次元的に分布した露光ヘッドを備えるデジタル露光装置を用いた露光方法においては、微細なパターンを高精度に形成するために、前記描画単位の光量が均一であることが重要である。
しかしながら、実際には、前記露光ヘッドから照射される光は、前記露光ヘッド内の各レンズ系の要因で、光軸の中心部に比べて周辺部の光強度が低下してしまうという問題があり、特に、各描画単位の光をマイクロレンズアレイを通して集光された光を照射する系において顕著である。
この問題に対し、前記露光ヘッドから照射された光の光強度分布(光量)を測定し、この光強度分布に応じて前記空間光変調素子の各描素部の駆動タイミングを変化させるよう駆動制御することにより、各描画単位の光量が均一になるよう補正するシェーディング技術を、既に本出願人が提案している(例えば、特許文献1及び2参照)。
しかしながら、上述した特許文献1及び2の技術では、前記空間光変調素子の駆動制御部に掛かる負荷が増加して処理速度に影響が及び、また、そのような露光装置は、電気的な回路構成や処理ソフトが複雑化してコストアップを招いてしまう場合がある。電気的な制御系システムのコストは、装置全体のコストにおいて大きな割合を占めるため、コストを抑えるために、制御系システムの負荷を軽減できる新たな技術が望まれる。
よって、描画単位が2次元的に分布した露光ヘッドを備えるデジタル露光装置を用いた露光において、コストを抑えつつ、2次元的に分布した各描画単位の光量を均一化することにより、微細なパターンを高精度に形成可能なパターン形成方法は未だ提供されておらず、更なる改良開発が望まれているのが現状である。
特開2005−22248号公報 特願2005−22249号公報
本発明は、かかる現状に鑑みてなされたものであり、従来における前記諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、描画単位が2次元的に分布した露光ヘッドを備えるデジタル露光装置を用いた露光において、コストを抑えつつ、2次元的に分布した各描画単位の光量を均一化することにより、微細なパターンを高精度に形成可能なパターン形成方法を提供することを目的とする。
前記課題を解決するための手段としては、以下の通りである。即ち、
<1> 支持体上に感光層を有するパターン形成材料における該感光層を、被処理基体上に積層した後、
該感光層に対し、n個(ただし、nは1以上の自然数)の2次元的に配列された描素部を有し、パターン情報に応じて前記描素部毎に光変調状態を変化させる光変調手段に、光照射手段から出射した光ビームを光分布補正手段を有する集光光学系を介して照射し、前記光変調手段により変調された光ビームを照射して露光を行うことを少なくとも含み、
該露光が、前記光照射手段から前記光変調手段に照射される光ビームの照射領域内での光量に分布を持たせ、前記光変調手段により変調された光ビームの光量分布が、前記感光層の被露光面上において均一となるように補正されて行われることを特徴とするパターン形成方法である。該<1>に記載のパターン形成方法においては、前記光量分布補正手段を有する前記集光光学系によって、前記光変調手段に照射される光ビームの照射領域内での光量に分布が持たせられ、前記光変調手段により変調された光ビームの露光面での光量分布が均一になるように補正されるため、前記描素部において、各描画単位の光量が均一になるよう補正され、高精度な露光が行われる。例えば、その後、前記感光層を現像することにより、高精細なパターンが形成される。
<2> 光照射手段から出射した光ビームを、集光光学系により、主光線の角度に分布を有する光ビームとして光変調手段に照射する前記<1>に記載のパターン形成方法である。該<2>に記載のパターン形成方法においては、前記光照射手段から出射した光ビームが、集光光学系により、主光線の角度に分布を有する光ビームとして光変調手段に照射されるため、前記光変調手段に照射される光ビームの照射領域内での光量に分布が持たせられるようになる。この結果、露光面での光量分布が均一化され、極めて高精度な露光が行われる。例えば、その後、前記感光層を現像することにより、極めて高精細なパターンが形成される。
<3> 光照射手段から出射された光ビームを、集光光学系により、テレセントリック光として光変調手段に照射する前記<1>に記載のパターン形成方法である。該<3>に記載のパターン形成方法においては、前記光照射手段から出射された光ビームが、前記集光光学系により、テレセントリック光として前記光変調手段に照射されるため、前記光変調手段に照射される光のテレセントリック性と、前記光変調手段により変調された光の露光面での光量分布の均一性との両立が図られ、極めて高精度な露光が行われる。例えば、その後、前記感光層を現像することにより、極めて高精細なパターンが形成される。
<4> 集光光学系が、光軸中心から離れるに従いレンズパワーが小さくなるような非球面形状を有する第一の光学レンズと、光軸中心から離れるに従いレンズパワーが大きくなるような非球面形状を有する第二の光学レンズとからなる光分布補正手段を有する前記<3>に記載のパターン形成方法である。該<4>に記載のパターン形成方法においては、前記集光光学系が、光軸中心から離れるに従いレンズパワーが小さくなるような(平行入射ビームを集光する凸レンズのような)非球面形状を有する第一の光学レンズと、光軸中心から離れるに従いレンズパワーが大きくなるような(平行入射ビームを発散させる凹レンズのような)非球面形状を有する第二の光学レンズとからなる光分布補正手段を有するため、前記第一の光学レンズの周辺部を通過した光に比べて中央付近を通過した光の方が、光軸から遠ざかる度合いを強める状況が実現され、また、光軸に沿ったレンズパワーの変化を第一の光学レンズと第二の光学レンズにて逆転させることにより、テレセントリック光学系が実現される。この結果、該テレセントリック光学系から出射された光ビームの光量分布は、光軸中心に対して周辺部の分布密度が高くなり、露光面での光量分布が均一化され、極めて高精度な露光が行われる。例えば、その後、前記感光層を現像することにより、極めて高精細なパターンが形成される。
<5> 集光光学系が、光照射手段から光変調手段に照射される光ビームの照射領域内において、中心部よりも周辺部の光量を増加させる前記<1>から<4>のいずれかに記載のパターン形成方法である。該<5>に記載のパターン形成方法においては、前記集光光学系が、前記光照射手段から前記光変調手段に照射される光ビームの照射領域内において、中心部よりも周辺部の光量を増加させるため、前記光変調手段に照射された光ビームの照射領域において、中心部よりも低下した周辺部の光量が前記集光光学系により増加され、露光における光利用効率が向上する。
<6> 光変調手段が、空間光変調素子である前記<1>から<5>のいずれかに記載のパターン形成方法である。
<7> 空間光変調素子が、デジタル・マイクロミラー・デバイス(DMD)である前記<6>に記載のパターン形成方法である。
<8> 露光が行われた後、感光層の現像を行う前記<1>から<7>のいずれかに記載のパターン形成方法である。
<9> 現像が行われた後、永久パターンの形成を行う前記<1>から<8>のいずれかに記載のパターン形成方法である。
<10> 永久パターンが配線パターンであり、該永久パターンの形成がエッチング処理及びメッキ処理の少なくともいずれかにより行われる前記<9>に記載のパターン形成方法である。
<11> 光照射手段が、2以上の光を合成して照射可能である前記<1>から<10>のいずれかに記載のパターン形成方法である。該<11>に記載のパターン形成材料においては、前記光照射手段が2以上の光を合成して照射可能であることにより、露光が焦点深度の深い露光光で行われる。この結果、前記パターン形成材料への露光が極めて高精細に行われる。例えば、その後、前記感光層を現像することにより、極めて高精細なパターンが形成される。
<12> 光照射手段が、複数のレーザと、マルチモード光ファイバと、該複数のレーザからそれぞれ照射されたレーザビームを平行光化して集光し、前記マルチモード光ファイバの入射端面に収束させる光源集光光学系とを有する前記<1>から<11>のいずれかに記載のパターン形成方法である。該<22>に記載のパターン形成方法においては、前記光照射手段により、前記複数のレーザからそれぞれ照射されたレーザビームが前記光源集光光学系により集光され、前記マルチモード光ファイバの入射端面に収束されることにより、高輝度かつ焦点深度の深い光ビームが得られる。この結果、前記パターン形成材料への露光が極めて高精細に行われる。例えば、その後、前記感光層を現像することにより、極めて高精細なパターンが形成される。
<13> 感光層が、バインダーと、重合性化合物と、光重合開始剤とを含む前記<1>から<12>のいずれかに記載のパターン形成方法である。
<14> バインダーが、酸性基を有する前記<13>に記載のパターン形成方法である。
<15> バインダーが、ビニル共重合体である前記<13>から<14>のいずれかに記載のパターン形成方法である。
<16> バインダーが、共重合体を含み、該共重合体がスチレン及びスチレン誘導体の少なくともいずれかに由来する構造単位を有する前記<13>から<15>のいずれかに記載のパターン形成材料である。
<17> バインダーのガラス転移温度(Tg)が、80℃以上である前記<13>から<16>のいずれかに記載のパターン形成材料である。
<18> バインダーの酸価が、70〜250mgKOH/gである前記<13>から<17>のいずれかに記載のパターン形成方法である。
<19> 重合性化合物が、ウレタン基及びアリール基の少なくともいずれかを有するモノマーを含む前記<13>から<18>のいずれかに記載のパターン形成方法である。
<20> 光重合開始剤が、ハロゲン化炭化水素誘導体、ヘキサアリールビイミダゾール、オキシム誘導体、有機過酸化物、チオ化合物、ケトン化合物、芳香族オニウム塩及びメタロセン類から選択される少なくとも1種を含む前記<13>から<18>のいずれかに記載のパターン形成方法である。
<21> 感光層が、バインダーを10〜90質量%含有し、重合性化合物を5〜90質量%含有する前記<1>から<20>のいずれかに記載のパターン形成方法である。
<22> 感光層の厚みが、1〜100μmである前記<1>から<21>のいずれかに記載のパターン形成方法である。
<23> 支持体が、合成樹脂を含み、かつ透明である前記<1>から<22>のいずれかに記載のパターン形成方法である。
<24> 支持体が、長尺状である前記<1>から<23>のいずれかに記載のパターン形成方法である。
<25> パターン形成材料が、長尺状であり、ロール状に巻かれてなる前記<1>から<24>のいずれかに記載のパターン形成方法である。
<26> パターン形成材料における感光層上に保護フィルムを形成する前記<1>から<25>のいずれかに記載のパターン形成方法である。
本発明によると、従来における問題を解決することができ、描画単位が2次元的に分布した露光ヘッドを備えるデジタル露光装置を用いた露光において、コストを抑えつつ、2次元的に分布した各描画単位の光量を均一化することにより、微細なパターンを高精度に形成可能なパターン形成方法を提供することができる。
(パターン形成方法)
本発明のパターン形成方法は、パターン形成材料における感光層を、被処理基体上に積層した後、該感光層に対し、露光を行う露光工程を少なくとも含み、適宜選択したその他の工程を含む。
前記露光工程は、n個(ただし、nは1以上の自然数)の2次元的に配列された描素部を有し、パターン情報に応じて前記描素部毎に光変調状態を変化させる光変調手段に、光照射手段から出射した光ビームを光分布補正手段を有する集光光学系を介して照射し、前記光変調手段により変調された光ビームを照射して露光を行うことを少なくとも含み、
該露光が、前記光照射手段から前記光変調手段に照射される光ビームの照射領域内での光量に分布を持たせ、前記光変調手段により変調された光ビームの光量分布が、前記感光層の被露光面上において均一となるように補正されて行われる。
前記記光照射手段から前記光変調手段に照射される光ビームの照射領域内での光量に分布を持たせる方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、前記光照射手段から出射した光ビームを、前記集光光学系により、主光線の角度に分布を有する光ビームとして前記光変調手段に照射する第1の実施形態、及び前記光照射手段から出射された光ビームを、前記集光光学系により、テレセントリック光として光変調手段に照射する第2の実施形態が挙げられる。
本発明のパターン形成方法の露光工程に係る露光装置の一例について、以下、図面を参照しながら説明する。前記露光工程における露光方法は、前記露光装置の説明を通じて明らかにする。
[第1の実施形態]
<露光装置の概略構成>
図1には、第1の実施形態に係る露光装置に設けられた露光ヘッド100の概略構成が示されている。
図1に示すように、露光ヘッド100は、入射された光ビームをパターン情報(以下、「画像データ」と表すことがある)に応じて描素部(以下、「画素」と表すことがある)毎に変調する光変調手段として、空間光変調素子のデジタル・マイクロミラー・デバイス(DMD)50を備えている。このDMD50は、データ処理部とミラー駆動制御部とを備えた図示しないコントローラに接続されている。
該コントローラのデータ処理部では、入力されたパターン情報(画像データ)に基づいて、描素部(画素)であるDMD50の各マイクロミラーを駆動制御する制御信号を生成する。また、ミラー駆動制御部では、画像データ処理部で生成した制御信号に基づいて、DMD50の各マイクロミラーの反射面の角度を制御する。
なお、反射面の角度の制御に付いては後述する。
DMD50の光入射側には、光ファイバの出射端部(発光点)が所定方向に沿って一列に配列されたレーザ出射部を備えたファイバアレイ光源112、ファイバアレイ光源112から出射されたレーザ光を補正してDMD上に集光させる集光光学系114、集光光学系114を透過したレーザ光をDMD50に向けて反射するミラー122、124がこの順に配置されている。
集光光学系114は、ファイバアレイ光源112から出射されたレーザ光を集光する1対の組合せレンズ116、集光されたレーザ光の光量分布が均一になるように補正するロッドインテグレータ118、及び光量分布が補正されたレーザ光をDMD上に集光する集光レンズ120で構成されている。
ロッドインテグレータ118は、インテグレータ内を光が全反射しながら導光して行くので、光量分布が均一となるようにレーザ光を補正することができる。
一方、DMD50の光反射側には投影光学系が設けられている。
前記投影光学系は、DMD50の光反射側の露光面にある感光材料(前記パターン形成材料における該感光層を、被処理基体上に積層してなる積層体)134上に、光源像を投影するために、DMD50側から感光材料134へ向って順に、レンズ系126、マイクロレンズアレイ128、対物レンズ系130の各露光用の光学部材が配置されて構成されている。
ここで、レンズ系126及び対物レンズ系130は、図1に示すように複数枚のレンズ(凸レンズや凹レンズ等)を組み合せた拡大光学系として構成されており、DMD50により反射される光ビーム(光線束)の断面積を拡大することで、DMD50により反射された光ビームによる感光材料134上の露光エリアの面積を、所定の大きさに拡大している。
なお、感光材料134は、対物レンズ系130の後方焦点位置に配置される。
マイクロレンズアレイ128は、図1に示すように、ファイバアレイ光源112から照射されたレーザ光を反射するDMD50の各マイクロミラー62(図2参照)に1対1で対応する複数のマイクロレンズ132が2次元状に配列され、一体的に成形されて矩形平板状に形成されたものであり、各マイクロレンズ132は、それぞれレンズ系126を透過した各レーザビームの光軸上にそれぞれ配置されている。
このマイクロレンズアレイ128は、例えば、樹脂又は光学ガラスをモールド成形することによって形成することができる。
−光変調手段−
前記光変調手段の一例としてのDMD50は、図2に示すように、SRAMセル(メモリセル)60上に、微小ミラー(マイクロミラー)62が支柱により支持されて配置されたものであり、描素部(「画素」、又は「ピクセル」ともいう)を構成する多数の(例えば、600個×800個)の微小ミラーを格子状に配列して構成されたミラーデバイスである。
各ピクセルには、最上部に支柱に支えられたマイクロミラー62が設けられており、マイクロミラー62の表面にはアルミニウム等の反射率の高い材料が蒸着されている。なお、マイクロミラー62の反射率は90%以上である。
また、マイクロミラー62の直下には、ヒンジ及びヨークを含む支柱を介して通常の半導体メモリの製造ラインで製造されるシリコンゲートのCMOSのSRAMセル60が配置されており、全体はモノリシック(一体型)に構成されている。
DMD50のSRAMセル60にデジタル信号が書き込まれると、支柱に支えられたマイクロミラー62が、対角線を中心としてDMD50が配置された基板側に対して±α度(例えば±10度)の範囲で傾けられる。図3Aは、マイクロミラー62がオン状態である+α度に傾いた状態を示し、図3Bは、マイクロミラー62がオフ状態である−α度に傾いた状態を示す。従って、画像信号に応じて、DMD50の各ピクセルにおけるマイクロミラー62の傾きを、図2に示すように制御することによって、DMD50に入射された光はそれぞれのマイクロミラー62の傾き方向へ反射される。
なお、図2には、DMD50の一部を拡大し、マイクロミラー62が+α度又は−α度に制御されている状態の一例を示す。それぞれのマイクロミラー62のオンオフ制御は、DMD50に接続された図示しないコントローラによって行われる。なお、オフ状態のマイクロミラー62により光ビームが反射される方向には、光吸収体(図示せず)が配置されている。
−光照射手段−
前記光照射手段の一例としてのファイバアレイ光源112は、図4Aに示すように、複数(図では25個)のレーザモジュール64を備えており、各レーザモジュール64には、マルチモード光ファイバ30の一端が結合されている。
マルチモード光ファイバ30の他端には、コア径がマルチモード光ファイバ30と同一で且つクラッド径がマルチモード光ファイバ30より小さい光ファイバ31が結合され、図4Bに示すように、光ファイバ31の出射端部(発光点)が所定方向に沿って複数列(図では3列)配列されてレーザ出射部68が構成されている。
マルチモード光ファイバ30及び光ファイバ31としては、ステップインデックス型光ファイバ、グレーテッドインデックス型光ファイバ、及び複合型光ファイバの何れでもよい。例えば、三菱電線工業株式会社製のステップインデックス型光ファイバを用いることができる。
本実施の形態では、マルチモード光ファイバ30及び光ファイバ31は、ステップインデックス型光ファイバであり、マルチモード光ファイバ30は、クラッド径=125μm、コア径=50μm、NA=0.2、入射端面コートの透過率=99.5%以上であり、光ファイバ31は、クラッド径=60μm、コア径=50μm、NA=0.2である。
但し、光ファイバ31のクラッド径は60μmには限定されない。従来のファイバ光源に使用されている光ファイバのクラッド径は125μmであるが、クラッド径が小さくなるほど焦点深度がより深くなるので、マルチモード光ファイバのクラッド径は80μm以下が好ましく、60μm以下がより好ましく、40μm以下が更に好ましい。
一方、コア径は少なくとも3〜4μm必要であることから、光ファイバ31のクラッド径は10μm以上が好ましい。
レーザモジュール64は、図5に示す合波レーザ光源(ファイバ光源)によって構成されている。この合波レーザ光源は、ヒートブロック10上に配列固定された複数(例えば、7個)のチップ状の横マルチモード又はシングルモードのGaN系半導体レーザLD1,LD2,LD3,LD4,LD5,LD6,及びLD7と、GaN系半導体レーザLD1〜LD7の各々に対応して設けられたコリメータレンズ11,12,13,14,15,16,及び17と、1つの集光レンズ20と、1本のマルチモード光ファイバ30と、から構成されている。
なお、半導体レーザの個数は7個には限定されない。例えば、クラッド径=60μm、コア径=50μm、NA=0.2のマルチモード光ファイバには、20個もの半導体レーザ光を入射することが可能であり、照射ヘッドの必要光量を実現して、且つ光ファイバ本数をより減らすことができる。
GaN系半導体レーザLD1〜LD7は、発振波長が総て共通(例えば、405nm)であり、最大出力も総て共通(例えば、マルチモードレーザでは100mW、シングルモードレーザでは30mW)である。なお、GaN系半導体レーザLD1〜LD7としては、350nm〜450nmの波長範囲で、上記の405nm以外の発振波長を備えるレーザを用いてもよい。
なお、好適な波長範囲については後述する。
上記の合波レーザ光源は、図6及び図7に示すように、他の光学要素と共に、上方が開口した箱状のパッケージ40内に収納されている。パッケージ40は、その開口を閉じるように作成されたパッケージ蓋41を備えており、脱気処理後に封止ガスを導入し、パッケージ40の開口をパッケージ蓋41で閉じることにより、パッケージ40とパッケージ蓋41とにより形成される閉空間(封止空間)内に上記合波レーザ光源が気密封止されている。
パッケージ40の底面にはベース板42が固定されており、このベース板42の上面には、前記ヒートブロック10と、光源集光レンズ20を保持する集光レンズホルダー45と、マルチモード光ファイバ30の入射端部を保持するファイバホルダー46とが取り付けられている。マルチモード光ファイバ30の出射端部は、パッケージ40の壁面に形成された開口からパッケージ外に引き出されている。
また、ヒートブロック10の側面にはコリメータレンズホルダー44が取り付けられており、コリメータレンズ11〜17が保持されている。パッケージ40の横壁面には開口が形成され、この開口を通してGaN系半導体レーザLD1〜LD7に駆動電流を供給する配線47がパッケージ外に引き出されている。
なお、図6においては、図の煩雑化を避けるために、複数のGaN系半導体レーザのうちGaN系半導体レーザLD7にのみ番号を付し、複数のコリメータレンズのうちコリメータレンズ17にのみ番号を付している。
図8は、前記コリメータレンズ11〜17の取り付け部分の正面形状を示すものである。
コリメータレンズ11〜17の各々は、非球面を備えた円形レンズの光軸を含む領域を平行な平面で細長く切り取った形状に形成されている。この細長形状のコリメータレンズは、例えば、樹脂又は光学ガラスをモールド成形することによって形成することができる。コリメータレンズ11〜17は、長さ方向がGaN系半導体レーザLD1〜LD7の発光点の配列方向(図8の左右方向)と直交するように、上記発光点の配列方向に密接配置されている。
一方、GaN系半導体レーザLD1〜LD7としては、発光幅が2μmの活性層を備え、活性層と平行な方向、直角な方向の拡がり角が各々例えば10°、30°の状態で各々レーザビームB1〜B7を発するレーザが用いられている。これらGaN系半導体レーザLD1〜LD7は、活性層と平行な方向に発光点が1列に並ぶように配設されている。
従って、各発光点から発せられたレーザビームB1〜B7は、上述のように細長形状の各コリメータレンズ11〜17に対して、拡がり角度が大きい方向が長さ方向と一致し、拡がり角度が小さい方向が幅方向(長さ方向と直交する方向)と一致する状態で入射することになる。つまり、各コリメータレンズ11〜17の幅が1.1mm、長さが4.6mmであり、それらに入射するレーザビームB1〜B7の水平方向、垂直方向のビーム径は各々0.9mm、2.6mmである。また、コリメータレンズ11〜17の各々は、焦点距離f1=3mm、NA=0.6、レンズ配置ピッチ=1.25mmである。
光源集光レンズ20は、非球面を備えた円形レンズの光軸を含む領域を平行な平面で細長く切り取って、コリメータレンズ11〜17の配列方向、つまり水平方向に長く、それと直角な方向に短い形状に形成されている。この光源集光レンズ20は、焦点距離f2=23mm、NA=0.2である。光源集光レンズ20も、前記コリメータレンズ同様、例えば、樹脂又は光学ガラスをモールド成形することにより形成される。
このように構成されたファイバアレイ光源112では、合波レーザ光源を構成するGaN系半導体レーザLD1〜LD7の各々から発散光状態で出射したレーザビームB1,B2,B3,B4,B5,B6,及びB7の各々は、対応するコリメータレンズ11〜17によって平行光化される。平行光化されたレーザビームB1〜B7は、光源集光レンズ20によって集光され、マルチモード光ファイバ30のコア30aの入射端面に収束する。
コリメータレンズ11〜17、及び光源集光レンズ20によって光源集光光学系が構成され、該光源集光光学系とマルチモード光ファイバ30とによって合波光学系が構成されている。
即ち、光源集光レンズ20によって上述のように集光されたレーザビームB1〜B7が、マルチモード光ファイバ30のコア30aに入射して光ファイバ内を伝搬し、1本のレーザビームBに合波されて、マルチモード光ファイバ30の出射端部に結合された光ファイバ31から出射する。
各レーザモジュールにおいて、レーザビームB1〜B7のマルチモード光ファイバ30への結合効率が0.85で、GaN系半導体レーザLD1〜LD7の各出力が30mWの場合(シングルモードレーザを使用する場合)には、アレイ状に配列された光ファイバ31の各々について、出力180mW(=30mW×0.85×7)の合波レーザビームBを得ることができる。従って、25本の光ファイバ31がアレイ状に配列されたレーザ出射部68での出力は約4.5W(=180mW×25)である。
ファイバアレイ光源112のレーザ出射部68には、この通り高輝度の発光点が主走査方向に沿って配列されている。単一の半導体レーザからのレーザ光を1本の光ファイバに結合させる従来のファイバ光源は低出力であるため、多数列配列しなければ所望の出力を得ることができなかったが、本実施の形態で使用する合波レーザ光源は高出力であるため、少数列、例えば1列でも所望の出力を得ることができる。
例えば、半導体レーザと光ファイバを1対1で結合させた従来のファイバ光源では、通常、半導体レーザとしては出力30mW(ミリワット)程度のレーザが使用され、光ファイバとしてはコア径50μm、クラッド径125μm、NA(開口数)0.2のマルチモード光ファイバが使用でき、約4.5W(ワット)の出力を得ようとすれば、マルチモード光ファイバを225本(15×15)束ねなければならず、発光領域の面積は3.6mm2(1.9mm×1.9mm)であるから、レーザ出射部68での輝度は1.25(W/mm2)、光ファイバ1本当りの輝度は10(W/mm2)である。
これに対し、本実施の形態では、上述した通り、マルチモード光ファイバ25本で約4.5Wの出力を得ることができ、レーザ出射部68での発光領域の面積は0.2mm2(0.18mm×1.13mm)であるから、レーザ出射部68での輝度は22.5(W/mm2)となり、従来に比べ約18倍の高輝度化を図ることができる。また、光ファイバ1本当りの輝度は90(W/mm2)であり、従来に比べ約9倍の高輝度化を図ることができる。
前記合波レーザ光源を構成する半導体レーザとしては、400nm近傍の発振波長を有する青色レーザが好適である。青色レーザを用いた方が、マイクロレンズアレイ128の各マイクロレンズ132の集光ビームを絞ることができる。
−光分布補正手段を有する集光光学系−
第1の実施形態である本実施形態の露光ヘッド100では、前述した集光光学系114は、ロッドインテグレータ118が備える光量分布補正機能とは別に、DMD50により変調された露光ビームの露光面での光量分布をより高い精度で均一に補正するため、DMD50に照射するレーザ光の照射領域内での光量に所定の分布を持たせる機能、詳細には、ファイバアレイ光源112から入射されるレーザ光に対し、主光線の角度に所定の分布を持たせたレーザ光を出射してDMD50に照射する機能を備えている。
ここで、この主光線の角度に分布を有するレーザ光をDMD50に照射する例を、図9を用いて説明する。なお、主光線(principal ray/chief ray)とは、光学系で物体空間での入射瞳(あるいは開口絞り)の中心を通過する光線(開口絞りを最小にしてもケラレなしに存在する光線)、広義には斜光線束の中心の光線であり、ここでは後者の意味で用いる。
図9Aは、DMD50上に照射されるレーザ光の主光線の傾きを模式的に示した図である。図9Aに示すように、DMD50上の特定の位置Pに照射されるレーザ光LBにおいて、レーザ光LBの主光線がマイナス(−)側に傾く場合には、矢印−PRで示すように主光線はレーザ光の光軸(光軸中心)Xに近づく方向へ傾き、プラス(+)側に傾く場合には、矢印+PRで示すようにレーザ光の光軸Xから遠ざかる方向へ傾く。
図9Bは、本実施形態の集光光学系114から出射されるレーザ光が、DMD50上の照明領域に、光軸中心からの距離に応じて主光線の角度に分布を持った状態で照射される例を示した図である。図9Bに示すように、DMD50上の照明領域(レーザ光照射領域)に照射されるレーザ光の主光線角度の分布は、レーザ光の光軸中心では主光線が傾かずに光軸と平行であり、光軸中心から照明領域の周辺部に行くに従って、主光線が+側に除々に傾くとともにその傾斜角度が除々に大きくなり、所定距離YAに達すると主光線の+側への傾斜角度が最大となり(最大傾斜角度A)、所定距離YAを過ぎると主光線の+側への傾斜角度が除々に小さくなり、照明領域の周辺端部に至ると、光軸中心と同じく主光線の傾きが無くなる分布となっている。
レーザ光の主光線の角度にこのような分布を持たせることにより、DMD50上の照明領域には、光軸中心に比べて周辺部の光密度が高められた、すなわち、光軸中心に比べて周辺部の光輝度が高められたレーザ光が照射される。
なお、レーザ光の主光線角度に上述した分布を持たせる場合には、主光線の最大傾斜角度Aによって決定される分布量の大きさは、周辺部での光量低下量以上で、且つ、露光面で要求される露光ビームのテレセントリック性(主光線と光軸との平行度)を満足する量以下にすることが好ましい。
本実施形態の露光ヘッド100の場合、露光面における露光ビームの周辺部の光量低下は、主に、DMD50の光反射側に配置された投影光学系のマイクロレンズアレイ128(図1参照)によって引き起こされるため、上記の分布量の大きさを、例えばこのマイクロレンズアレイ128によって生じる周辺部の光量低下量以上に設定することが望ましい。
また、所定距離YAについては、この周辺部の光量低下量及び光量低下領域(光量を補正する領域)に応じて適宜設定することができるが、図9Bに示した例では、光軸中心から照明領域の周辺端部(DMD50の外周端部)までの距離をYSとすると、YS>YA>YS/2に設定している。
<露光装置の動作>
前記露光装置の動作について説明する。
この露光装置では、図示しないコントローラに画像データが入力されると、コントローラは入力された画像データに基づいて、露光ヘッド100に設けられたDMD50の各マイクロミラー62を駆動制御する制御信号を生成し、生成した制御信号に基づいてDMD50の各マイクロミラー62の反射面の角度を制御する。
ファイバアレイ光源112から集光光学系114を介してDMD50に照射された照明光(レーザ光)は、各マイクロミラー62の反射面の角度に応じて所定方向に反射されて変調され、変調された光ビームがレンズ系126により拡大されてマイクロレンズアレイ128に設けられたマイクロレンズ132の各々に入射され集光される。そして、この集光された光ビームは、対物レンズ系130によって感光材料134の露光面上に結像され、このようにして、ファイバアレイ光源112から照射されたレーザ光が画素毎にオンオフ(変調)されて、感光材料134がDMD36の使用画素数と略同数の画素単位(露光エリア)で露光される。
通常は、この光ビームの光量(光強度)分布は、レンズ系の要因により光軸の中心部に比べて周辺部が低下してしまうが、本実施形態の露光ヘッド100には、ファイバアレイ光源112から出射されたレーザ光の光量分布を均一化してDMD50に照射するために、DMD50の光入射側の光路上に配置した集光光学系114にロッドインテグレータ118を設けている。
ただし、このロッドインテグレータ118によっても、本実施形態のように各描画単位をマイクロレンズアレイ128によって集光する系では、光軸中心部に対する周辺部の光強度低下が顕著となり、より高い精度で画像露光を行う場合に光量分布を要求精度まで補正することが難しい。この光量分布の補正精度を高めるために、ロッドインテグレータ118を長尺化することも考えられるが、ロッドインテグレータ118は非常に高価な光学部品であるため、装置コストが上昇し、また、露光ヘッド100が大型化してしまうというデメリットがある。
これに対し、本実施形態の露光ヘッド100では、前述したように、ファイバアレイ光源112から集光光学系114へ入射されたレーザ光が、図10中の(1)に示すように、主光線の角度に分布を持ち光軸中心に比べて周辺部の光輝度が高められたレーザ光とされて集光光学系114から出射され、DMD50に照射されるため、DMD50のレーザ光照射領域における光量分布は、図10中の(2)に示すように、光軸中心に比べて周辺部の光量が高められる。そのため、DMD50により画素毎に変調された光ビームが、図10中の(3)に示すように、光軸中心から周辺部に行くに従って光の透過量を低下させる特性を持つマイクロレンズアレイ128を透過して感光材料134の露光面に照射されると、図10中の(4)に示すように、露光面での光ビームの光量分布は均一になるよう補正される。
以上説明した通り、第1の実施形態の露光装置では、2次元的に分布した複数の画素部において、各描画単位の光量が均一になるよう補正され、高精度な画像露光を行うことができる。
また、光量分布に応じてDMD50の各マイクロミラー62の駆動タイミングを変化させるよう駆動制御する技術を組み合わせて用いる場合でも、各描画単位の光量が均一になるよう予め補正されているため、DMD50の駆動制御部に掛かる負荷が軽減されて処理速度への影響が低減され、また、電気的な回路構成や処理ソフトを簡素化することができて、コストを抑えることができる。
また、本実施形態で用いた光学系(集光光学系114)からなる光量分布補正手段であれば、上述した光量分布を補正する手段を簡素且つ安価な構成により実現できる。
[第2の実施形態]
第2の実施形態は、上述した第1の実施形態に係る露光装置の露光ヘッド100において、集光光学系114に、前記光分布補正手段として、非球面レンズを有するテレセントリック光学系を設けることで、第1の実施形態と同様に露光面での光ビームの光量分布を均一化する技術である。
該第2の実施形態に係る露光ヘッドでは、例えば、集光光学系114に前記光分布補正手段として、図11Aに示すような2枚で一組の平凸レンズ152、154により構成されたテレセントリック光学系150が設けられており、このテレセントリック光学系150は、例えば、ロッドインテグレータ118と集光レンズ120の間に配置されている。
平凸レンズ152、154は、凸面側が非球面状に形成された非球面レンズとされており、光軸中心から離れるに従いレンズパワーが小さくなるような(平行入射ビームを集光する凸レンズのような)非球面形状を有する第一の光学レンズ、及び光軸中心から離れるに従いレンズパワーが大きくなるような(平行入射ビームを発散させる凹レンズのような)非球面形状を有する第二の光学レンズの組合せである。
レーザ光の入射側(ファイバアレイ光源112側)に配置された平凸レンズ152は、入射面S2の面形状が、曲率半径が光軸(光軸中心)Xから離れるに従い大きくなる非球面、換言すれば、曲率が光軸Xから離れるに従い小さくなる非球面とされ、出射面S3が平面状とされている。
また、レーザ光の出射側(DMD50側)に配置された平凸レンズ154は、入射面S4が平面状とされ、出射面S5の面形状が、曲率半径が光軸Xから離れるに従い小さくなる非球面、換言すれば、曲率が光軸Xから離れるに従い大きくなる非球面とされている。
以下、表1に、本実施形態に係るテレセントリック光学系150のレンズデータの一例を示し、表2に、本実施形態に係る入射面S2及び出射面S5の非球面データの一例を示す。
また、上記の非球面データは、非球面形状を表す下記式(1)における係数で表される。
前記式(1)において各係数を以下の通り定義する。
Z:光軸から高さhの位置にある非球面上の点から、非球面の頂点の接平面(光軸に垂直な平面)に下ろした垂線の長さ(mm)
h:光軸からの距離(mm) (h2=x2+y2
R:曲率半径 (曲率:1/R)
A:非球面データ
以上の構成により、第2の実施形態の露光装置では、図11Aに示すように、平凸レンズ152から出射されたレーザ光LB2では、光軸Xから離れるに従い焦点距離が長くなる。よって、レーザ光LB2が平凸レンズ154の入射面S4に到達した際には、平凸レンズ152の周辺部を通過した光に比べて中央付近を通過した光の方が、光軸Xから離れる傾向が強くなる。これにより、レンズの中央付近よりも周辺部の方が光の輝度が高くなる。また、平凸レンズ154は、平凸レンズ152とは反対に、光軸Xから離れるに従い焦点距離が短くなるため、これらの2枚の平凸レンズ152、154を組み合わせると、テレセントリックな光学系を組むことができる。
これにより、この平凸レンズ152、154を有するテレセントリック光学系150から平行化されて出射されたレーザ光LB3の光量分布は、光軸中心に対して周辺部の分布密度が高くなり、このレーザ光LB3が照射されたDMD50では、レーザ光照射領域の中心部(光軸中心)よりも周辺部の光量が増加される。
図11Bには、非球面レンズ系とした本実施形態のテレセントリック光学系150のベースとなる、球面レンズ系のテレセントリック光学系160の光線図を示す。
このテレセントリック光学系160では、レーザ光(LB1)の入射側に配置された平凸レンズ162の入射面S2´が球面とされ、レーザ光(LB3´)の出射側に配置された平凸レンズ164の出射面S5´が球面とされており、したがって、このテレセントリック光学系160では、出射面S5´から出射されたレーザ光LB3´の光量分布は、図11Bに示すように、光軸中心から周辺部に掛けてほぼ均等な分布となる。
このように、第2の実施形態の非球面レンズ系(テレセントリック光学系150)では、上記の球面レンズ系(テレセントリック光学系160)を用いた場合の光量分布との比較からも分かるように、出射されたレーザ光の光量分布は光軸中心に対して周辺部の分布密度が高くなり、光軸中心よりも周辺部の光量が増加される。
したがって、第1の実施形態と同様に、DMD50によって変調された光ビームがマイクロレンズアレイ128を透過することで、光軸中心部に対する周辺部の光量低下を生じても、露光面には光量分布が均一になるよう補正された光ビームが照射され、このテレセントリック光学系150を備えた露光装置によっても高精度な画像露光を行うことができる。
また、上述したように、テレセントリック光学系150から出射されるレーザ光は、テレセントリック光として出射されてDMD50に照射されるため、DMD50に照射するレーザ光のテレセントリック性と、DMD50により変調された光ビームの露光面での光量分布の均一性との両立を図ることができる。
また、第1の実施形態と同様に、第2の実施形態も、2枚で一組の平凸レンズ152、154(テレセントリック光学系)を有する集光光学系からなる光量分布補正手段であれば、上述した光量分布を補正する手段を簡素な構成により実現できる。
また、第2の実施形態では、テレセントリック光学系150を用いてレーザ光の周辺部の光量を増加させていることにより、露光における光利用効率の低下が抑えられる。これによって、ファイバアレイ光源112から出射するレーザ光の出力を低化させることも可能になるため、ファイバアレイ光源112の長寿命化や、高輝度光による光学系の汚染/劣化の抑制を図ることもできる。さらに、ファイバアレイ光源112や光学系のメンテナンス回数を減少させることも可能となり、露光装置のメンテナンスコストを低減することもできる。
以上、第1及び第2の実施形態により露光工程を詳細に説明したが、本発明はそれらに限定されるものではなく、本発明の範囲内にて他の種々の形態が実施可能である。
例えば、前記露光装置では、前記光変調手段として、空間変調素子であるDMDを備えた露光ヘッドについて説明したが、このような反射型空間光変調素子の他に、透過型空間光変調素子(LCD)を使用することもできる。例えば、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)タイプの空間光変調素子(SLM;Special Light Modulator)や、電気光学効果により透過光を変調する光学素子(PLZT素子)や、液晶光シャッタ(FLC)等の液晶シャッターアレイなど、MEMSタイプ以外の空間光変調素子を用いることも可能である。なお、MEMSとは、IC製造プロセスを基盤としたマイクロマシニング技術によるマイクロサイズのセンサ、アクチュエータ、そして制御回路を集積化した微細システムの総称であり、MEMSタイプの空間光変調素子とは、静電気力を利用した電気機械動作により駆動される空間光変調素子を意味している。さらに、Grating Light Valve(GLV)を複数ならべて二次元状に構成したものを用いることもできる。
これらの反射型空間光変調素子(GLV)や透過型空間光変調素子(LCD)を使用する構成では、上記したレーザ光源の他に、ランプ等も光源として使用可能である。
また、前記光変調手段としては、合波レーザ光源を複数備えたファイバアレイ光源、1個の発光点を有する単一の半導体レーザから入射されたレーザ光を出射する1本の光ファイバを備えたファイバ光源をアレイ化したファイバアレイ光源、複数の発光点が二次元状に配列された光源(たとえば、LDアレイ、有機ELアレイ等)、等が適用可能である。
<積層体>
前記露光の対象としては、支持体上に感光層を有するパターン形成材料における該感光層を、被処理基体上に積層してなる積層体における感光層である限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。前記積層体としては、例えば、前記パターン形成材料における感光層以外の他の層が積層されてなるものであってもよい。
<パターン形成材料>
前記パターン形成材料としては、支持体上に感光層を有する限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記感光層としては、特に制限はなく、公知のパターン形成材料の中から適宜選択することができるが、例えば、バインダーと、重合性化合物と、光重合開始剤とを含み、適宜選択したその他の成分を含むものが好ましい。
また、感光層の積層数としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、1層であってもよく、2層以上であってもよい。
<<バインダー>>
前記バインダーとしては、例えば、アルカリ性水溶液に対して膨潤性であることが好ましく、アルカリ性水溶液に対して可溶性であることがより好ましい。
アルカリ性水溶液に対して膨潤性又は溶解性を示すバインダーとしては、例えば、酸性基を有するものが好適に挙げられる。
前記酸性基としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、カルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基などが挙げられ、これらの中でもカルボキシル基が好ましい。
カルボキシル基を有するバインダーとしては、例えば、カルボキシル基を有するビニル共重合体、ポリウレタン樹脂、ポリアミド酸樹脂、変性エポキシ樹脂などが挙げられ、これらの中でも、塗布溶媒への溶解性、アルカリ現像液への溶解性、合成適性、膜物性の調整の容易さ等の観点からカルボキシル基を有するビニル共重合体が好ましい。また、現像性の観点から、スチレン及びスチレン誘導体の少なくともいずれかの共重合体も好ましい。
前記カルボキシル基を有するビニル共重合体は、少なくとも(1)カルボキシル基を有するビニルモノマー、及び(2)これらと共重合可能なモノマーとの共重合により得ることができる。
前記カルボキシル基を有するビニルモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、ビニル安息香酸、マレイン酸、マレイン酸モノアルキルエステル、フマル酸、イタコン酸、クロトン酸、桂皮酸、アクリル酸ダイマー、水酸基を有する単量体(例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等)と環状無水物(例えば、無水マレイン酸や無水フタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸無水物)との付加反応物、ω−カルボキシ−ポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。これらの中でも、共重合性やコスト、溶解性などの観点から(メタ)アクリル酸が特に好ましい。
また、カルボキシル基の前駆体として無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸等の無水物を有するモノマーを用いてもよい。
前記その他の共重合可能なモノマーとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、(メタ)アクリル酸エステル類、クロトン酸エステル類、ビニルエステル類、マレイン酸ジエステル類、フマル酸ジエステル類、イタコン酸ジエステル類、(メタ)アクリルアミド類、ビニルエーテル類、ビニルアルコールのエステル類、スチレン類(例えば、スチレン、スチレン誘導体等)、(メタ)アクリロニトリル、ビニル基が置換した複素環式基(例えば、ビニルピリジン、ビニルピロリドン、ビニルカルバゾール等)、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド、N−ビニルイミダゾール、ビニルカプロラクトン、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、リン酸モノ(2―アクリロイルオキシエチルエステル)、リン酸モノ(1−メチル−2―アクリロイルオキシエチルエステル)、官能基(例えば、ウレタン基、ウレア基、スルホンアミド基、フェノール基、イミド基)を有するビニルモノマーなどが挙げられ、これらの中でも配線パターンなどの永久パターンを高精細に形成することができる点、及び前記パターンのテント性を向上させることができる点で、前記スチレン類(スチレン及びスチレン誘導体)が好ましい。
前記(メタ)アクリル酸エステル類としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、t−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、t−オクチル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、オクタデシル(メタ)アクリレート、アセトキシエチル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート、2−(2−メトキシエトキシ)エチル(メタ)アクリレート、3−フェノキシ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノエチルエーテル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノフェニルエーテル(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールモノエチルエーテル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノエチルエーテル(メタ)アクリレート、β−フェノキシエトキシエチルアクリレート、ノニルフェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、トリフロロエチル(メタ)アクリレート、オクタフロロペンチル(メタ)アクリレート、パーフロロオクチルエチル(メタ)アクリレート、トリブロモフェニル(メタ)アクリレート、トリブロモフェニルオキシエチル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
前記クロトン酸エステル類としては、例えば、クロトン酸ブチル、クロトン酸ヘキシルなどが挙げられる。
前記ビニルエステル類としては、例えば、ビニルアセテート、ビニルプロピオネート、ビニルブチレート、ビニルメトキシアセテート、安息香酸ビニルなどが挙げられる。
前記マレイン酸ジエステル類としては、例えば、マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジエチル、マレイン酸ジブチルなどが挙げられる。
前記フマル酸ジエステル類としては、例えば、フマル酸ジメチル、フマル酸ジエチル、フマル酸ジブチルなどが挙げられる。
前記イタコン酸ジエステル類としては、例えば、イタコン酸ジメチル、イタコン酸ジエチル、イタコン酸ジブチルなどが挙げられる。
前記(メタ)アクリルアミド類としては、例えば、(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N−プロピル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N−n−ブチルアクリル(メタ)アミド、N−t−ブチル(メタ)アクリルアミド、N−シクロヘキシル(メタ)アクリルアミド、N−(2−メトキシエチル)(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N−フェニル(メタ)アクリルアミド、N−ベンジル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロイルモルホリン、ジアセトンアクリルアミドなどが挙げられる。
前記スチレン類としては、例えば、スチレン、メチルスチレン、ジメチルスチレン、トリメチルスチレン、エチルスチレン、イソプロピルスチレン、ブチルスチレン、ヒドロキシスチレン、メトキシスチレン、ブトキシスチレン、アセトキシスチレン、クロロスチレン、ジクロロスチレン、ブロモスチレン、クロロメチルスチレン、酸性物質により脱保護可能な基(例えば、t−Boc等)で保護されたヒドロキシスチレン、ビニル安息香酸メチル、α−メチルスチレンなどが挙げられる。
前記ビニルエーテル類としては、例えば、メチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、ヘキシルビニルエーテル、メトキシエチルビニルエーテルなどが挙げられる。
前記官能基を有するビニルモノマーの合成方法としては、例えば、イソシアナート基と水酸基又はアミノ基の付加反応が挙げられ、具体的には、イソシアナート基を有するモノマーと、水酸基を1個含有する化合物又は1級若しくは2級アミノ基を1個有する化合物との付加反応、水酸基を有するモノマー又は1級若しくは2級アミノ基を有するモノマーと、モノイソシアネートとの付加反応が挙げられる。
前記イソシアナート基を有するモノマーとしては、例えば、下記構造式(1)〜(3)で表される化合物が挙げられる。
但し、前記構造式(1)〜(3)中、Rは水素原子又はメチル基を表す。
前記モノイソシアネートとしては、例えば、シクロヘキシルイソシアネート、n−ブチルイソシアネート、トルイルイソシアネート、ベンジルイソシアネート、フェニルイソシアネート等が挙げられる。
前記水酸基を有するモノマーとしては、例えば、下記構造式(4)〜(12)で表される化合物が挙げられる。
但し、前記構造式(4)〜(12)中、Rは水素原子又はメチル基を表し、nは1以上の整数を表す。
前記水酸基を1個含有する化合物としては、例えば、アルコール類(例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、i―プロパノール、n−ブタノール、sec−ブタノール、t−ブタノール、n−ヘキサノール、2−エチルヘキサノール、n−デカノール、n−ドデカノール、n−オクタデカノール、シクロペンタノール、シクロへキサノール、ベンジルアルコール、フェニルエチルアルコール等)、フェノール類(例えば、フェノール、クレゾール、ナフトール等)、更に置換基を含むものとして、フロロエタノール、トリフロロエタノール、メトキシエタノール、フェノキシエタノール、クロロフェノール、ジクロロフェノール、メトキシフェノール、アセトキシフェノール等が挙げられる。
前記1級又は2級アミノ基を有するモノマーとしては、例えば、ビニルベンジルアミンなどが挙げられる。
前記1級又は2級アミノ基を1個含有する化合物としては、例えば、アルキルアミン(メチルアミン、エチルアミン、n−プロピルアミン、i―プロピルアミン、n−ブチルアミン、sec−ブチルアミン、t−ブチルアミン、ヘキシルアミン、2−エチルヘキシルアミン、デシルアミン、ドデシルアミン、オクタデシルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジブチルアミン、ジオクチルアミン)、環状アルキルアミン(シクロペンチルアミン、シクロへキシルアミン等)、アラルキルアミン(ベンジルアミン、フェネチルアミン等)、アリールアミン(アニリン、トルイルアミン、キシリルアミン、ナフチルアミン等)、更にこれらの組合せ(N−メチル−N−ベンジルアミン等)、更に置換基を含むアミン(トリフロロエチルアミン、ヘキサフロロイソプロピルアミン、メトキシアニリン、メトキシプロピルアミン等)などが挙げられる。
また、上記以外の前記その他の共重合可能なモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、スチレン、クロルスチレン、ブロモスチレン、ヒドロキシスチレンなどが好適に挙げられる。
前記その他の共重合可能なモノマーは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
前記ビニル共重合体は、それぞれ相当するモノマーを公知の方法により常法に従って共重合させることで調製することができる。例えば、前記モノマーを適当な溶媒中に溶解し、ここにラジカル重合開始剤を添加して溶液中で重合させる方法(溶液重合法)を利用することにより調製することができる。また、水性媒体中に前記モノマーを分散させた状態でいわゆる乳化重合等で重合を利用することにより調製することができる。
前記溶液重合法で用いられる適当な溶媒としては、特に制限はなく、使用するモノマー、及び生成する共重合体の溶解性等に応じて適宜選択することができ、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、1−メトキシ−2−プロパノール、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メトキシプロピルアセテート、乳酸エチル、酢酸エチル、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド、クロロホルム、トルエンなどが挙げられる。これらの溶媒は、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
前記ラジカル重合開始剤としては、特に制限はなく、例えば、2,2′−アゾビス(イソブチロニトリル)(AIBN)、2,2′−アゾビス−(2,4′−ジメチルバレロニトリル)等のアゾ化合物、ベンゾイルパーオキシド等の過酸化物、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩などが挙げられる。
前記ビニル共重合体におけるカルボキシル基を有する重合性化合物の含有率としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、5〜50モル%が好ましく、10〜40モル%がより好ましく、15〜35モル%が特に好ましい。
前記含有率が、5モル%未満であると、アルカリ水への現像性が不足することがあり、50モル%を超えると、硬化部(画像部)の現像液耐性が不足することがある。
前記カルボキシル基を有するバインダーの分子量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、質量平均分子量として、2,000〜300,000が好ましく、4,000〜150,000がより好ましい。
前記質量平均分子量が、2,000未満であると、膜の強度が不足しやすく、また安定な製造が困難になることがあり、300,000を超えると、現像性が低下することがある。
前記カルボキシル基を有するバインダーは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。前記バインダーを2種以上併用する場合としては、例えば、異なる共重合成分からなる2種以上のバインダー、異なる質量平均分子量の2種以上のバインダー、及び異なる分散度の2種以上のバインダーなどの組合せが挙げられる。
前記カルボキシル基を有するバインダーは、そのカルボキシル基の一部又は全部が塩基性物質で中和されていてもよい。また、前記バインダーは、さらにポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリビニルアルコール、ゼラチン等の構造の異なる樹脂を併用してもよい。
また、前記バインダーとしては、特許2873889号等に記載のアルカリ水溶液に可溶な樹脂などを用いることができる。
前記感光層における前記バインダーの含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、10〜90質量%が好ましく、20〜80質量%がより好ましく、40〜80質量%が特に好ましい。
前記含有量が10質量%未満であると、アルカリ現像性やプリント配線板形成用基板(例えば、銅張積層板)との密着性が低下することがあり、90質量%を超えると、現像時間に対する安定性や、硬化膜(テント膜)の強度が低下することがある。なお、前記含有量は、前記バインダーと必要に応じて併用される高分子結合剤との合計の含有量であってもよい。
前記バインダーがガラス転移温度(Tg)を有する物質である場合、該ガラス転移温度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、前記パターン形成材料のタック及びエッジフュージョンの抑制、並びに前記支持体の剥離性向上の、少なくともいずれかの観点から、80℃以上が好ましく、100℃以上がより好ましく、120℃以上が特に好ましい。
前記ガラス転移温度が、80℃未満であると、前記パターン形成材料のタックやエッジフュージョンが増加したり、前記支持体の剥離性が悪化したりすることがある。
前記バインダーの酸価としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、70〜250(mgKOH/g)が好ましく、90〜200(mgKOH/g)がより好ましく、100〜180(mgKOH/g)が特に好ましい。
前記酸価が、70(mgKOH/g)未満であると、現像性が不足したり、解像性が劣り、配線パターン等の永久パターンを高精細に得ることができないことがあり、250(mgKOH/g)を超えると、パターンの耐現像液性及び密着性の少なくともいずれかが悪化し、配線パターン等の永久パターンを高精細に得ることができないことがある。
<<重合性化合物>>
前記重合性化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、ウレタン基及びアリール基の少なくともいずれかを有するモノマー又はオリゴマーが好適に挙げられる。また、これらは、重合性基を2種以上有することが好ましい。
前記重合性基としては、例えば、エチレン性不飽和結合(例えば、(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリルアミド基、スチリル基、ビニルエステルやビニルエーテル等のビニル基、アリルエーテルやアリルエステル等のアリル基など)、重合可能な環状エーテル基(例えば、エポキシ基、オキセタン基等)などが挙げられ、これらの中でもエチレン性不飽和結合が好ましい。
−ウレタン基を有するモノマー−
前記ウレタン基を有するモノマーとしては、ウレタン基を有する限り、特に制限は無く、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、特公昭48−41708、特開昭51−37193、特公平5−50737、特公平7−7208、特開2001−154346、特開2001−356476号公報等に記載されている化合物などが挙げられ、例えば、分子中に2個以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネート化合物と分子中に水酸基を有するビニルモノマーとの付加物などが挙げられる。
前記分子中に2個以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネート化合物としては、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、トルエンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、ノルボルネンジイソシアネート、ジフェニルジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、3,3′ジメチル−4,4′−ジフェニルジイソシアネート等のジイソシアネート;該ジイソシアネートを更に2官能アルコールとの重付加物(この場合も両末端はイソシアネート基);該ジイソシアネートのビュレット体やイソシアヌレート等の3量体;該ジイソシアネート若しくはジイソシアネート類と、トリメチロールプロパン、ペンタエリトリトール、グリセリン等の多官能アルコール、又はこれらのエチレンオキシド付加物等の得られる他官能アルコールとの付加体などが挙げられる。
前記分子中に水酸基を有するビニルモノマーとしては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、オクタエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、テトラプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、オクタプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ジブチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、トリブチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、テトラブチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、オクタブチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリブチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリトリトールトリ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。また、エチレンオキシドとプロピレンオキシドの共重合体(ランダム、ブロック等)などの異なるアルキレンオキシド部を有するジオール体の片末端(メタ)アクリレート体などが挙げられる。
また、前記ウレタン基を有するモノマーとしては、トリ((メタ)アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、ジ(メタ)アクリル化イソシアヌレート、エチレンオキシド変性イソシアヌル酸のトリ(メタ)アクリレート等のイソシアヌレート環を有する化合物が挙げられる。これらの中でも、下記構造式式(13)、又は構造式(14)で表される化合物が好ましく、テント性の観点から、前記構造式(14)で示される化合物を少なくとも含むことが特に好ましい。また、これらの化合物は、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
前記構造式(13)及び(14)中、R〜Rは、それぞれ水素原子又はメチル基を表す。X〜Xは、アルキレンオキサイドを表し、1種単独でもよく、2種以上を併用してもよい。
前記アルキレンオキサイド基としては、例えば、エチレンオキサイド基、プロピレンオキサイド基、ブチレンオキサイド基、ペンチレンオキサイド基、ヘキシレンオキサイド基、これらを組み合わせた基(ランダム、ブロックのいずれに組み合わされてもよい)などが好適に挙げられ、これらの中でも、エチレンオキサイド基、プロピレンオキサイド基、ブチレンオキサイド基、又はこれらの組み合わせた基が好ましく、エチレンオキサイド基、プロピレンオキサイド基がより好ましい。
前記構造式(13)及び(14)中、m1〜m3は、1〜60の整数を表し、2〜30が好ましく、4〜15がより好ましい。
前記構造式(13)及び(14)中、Y及びYは、炭素原子数2〜30の2価の有機基を表し、例えば、アルキレン基、アリーレン基、アルケニレン基、アルキニレン基、カルボニル基(−CO−)、酸素原子(−O−)、硫黄原子(−S−)、イミノ基(−NH−)、イミノ基の水素原子が1価の炭化水素基で置換された置換イミノ基、スルホニル基(−SO−)又はこれらを組み合わせた基などが好適に挙げられ、これらの中でも、アルキレン基、アリーレン基、又はこれらを組み合わせた基が好ましい。
前記アルキレン基は、分岐構造又は環状構造を有していてもよく、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、イソプロピレン基、ブチレン基、イソブチレン基、ペンチレン基、ネオペンチレン基、ヘキシレン基、トリメチルヘキシレン基、シクロへキシレン基、ヘプチレン基、オクチレン基、2−エチルヘキシレン基、ノニレン基、デシレン基、ドデシレン基、オクタデシレン基、又は下記に示すいずれかの基などが好適に挙げられる。
前記アリーレン基としては、炭化水素基で置換されていてもよく、例えば、フェニレン基、トリレン基、ジフェニレン基、ナフチレン基、又は下記に示す基などが好適に挙げられる。
前記これらを組み合わせた基としては、例えば、キシリレン基などが挙げられる。
前記アルキレン基、アリーレン基、又はこれらを組み合わせた基としては、更に置換基を有していてもよく、該置換基としては、例えば、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、アリール基、アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、2−エトキシエトキシ基)、アリールオキシ基(例えば、フェノキシ基)、アシル基(例えば、アセチル基、プロピオニル基)、アシルオキシ基(例えば、アセトキシ基、ブチリルオキシ基)、アルコキシカルボニル基(例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基)、アリールオキシカルボニル基(例えば、フェノキシカルボニル基)などが挙げられる。
前記構造式(13)及び(14)中、nは3〜6の整数を表し、重合性モノマーを合成するための原料供給性などの観点から、3、4又は6が好ましい。
前記構造式(13)及び(14)中、Zはn価(3価〜6価)の連結基を表し、例えば、下記に示すいずれかの基などが挙げられる。
但し、Xはアルキレンオキサイドを表す。m4は、1〜20の整数を表す。nは、3〜6の整数を表す。Aは、n価(3価〜6価)の有機基を表す。
前記Aとしては、例えば、n価の脂肪族基、n価の芳香族基、又はこれらとアルキレン基、アリーレン基、アルケニレン基、アルキニレン基、カルボニル基、酸素原子、硫黄原子、イミノ基、イミノ基の水素原子が1価の炭化水素基で置換された置換イミノ基、又はスルホニル基とを組み合わせた基が好ましく、n価の脂肪族基、n価の芳香族基、又はこれらとアルキレン基、アリーレン基、酸素原子とを組み合わせた基がより好ましく、n価の脂肪族基、n価の脂肪族基とアルキレン基、酸素原子とを組み合わせた基が特に好ましい。
前記Aの炭素原子数としては、例えば、1〜100の整数が好ましく、1〜50の整数がより好ましく、3〜30の整数が特に好ましい。
前記n価の脂肪族基としては、分岐構造又は環状構造を有していてもよい。
前記脂肪族基の炭素原子数としては、例えば、1〜30の整数が好ましく、1〜20の整数がより好ましく、3〜10の整数が特に好ましい。
前記芳香族基の炭素原子数としては、6〜100の整数が好ましく、6〜50の整数がより好ましく、6〜30の整数が特に好ましい。
前記n価の脂肪族基、又は芳香族基は、更に置換基を有していてもよく、該置換基としては、例えば、ヒドロキシル基、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、アリール基、アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、2−エトキシエトキシ基)、アリールオキシ基(例えば、フェノキシ基)、アシル基(例えば、アセチル基、プロピオニル基)、アシルオキシ基(例えば、アセトキシ基、ブチリルオキシ基)、アルコキシカルボニル基(例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基)、アリールオキシカルボニル基(例えば、フェノキシカルボニル基)などが挙げられる。
前記アルキレン基は、分岐構造又は環状構造を有していてもよい。
前記アルキレン基の炭素原子数としては、例えば、1〜18の整数が好ましく、1〜10の整数がより好ましい。
前記アリーレン基は、炭化水素基で更に置換されていてもよい。
前記アリーレン基の炭素原子数としては、6〜18の整数が好ましく、6〜10の整数がより好ましい。
前記置換イミノ基の1価の炭化水素基の炭素原子数としては、1〜18の整数が好ましく、1〜10の整数がより好ましい。
前記Aの好ましい例は以下の通りである。
前記構造式(13)及び(14)で表される化合物としては、例えば下記構造式(15)〜(34)で表される化合物などが挙げられる。
但し、前記構造式(15)〜(34)中、n、n1、n2及びmは、1〜60を意味し、lは、1〜20を意味し、Rは、水素原子又はメチル基を表す。
−−アリール基を有するモノマー−−
前記アリール基を有するモノマーとしては、アリール基を有する限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、アリール基を有する多価アルコール化合物、多価アミン化合物及び多価アミノアルコール化合物の少なくともいずれかと不飽和カルボン酸とのエステル又はアミドなどが挙げられる。
前記アリール基を有する多価アルコール化合物、多価アミン化合物又は多価アミノアルコール化合物としては、例えば、ポリスチレンオキサイド、キシリレンジオール、ジ−(β−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、1,5−ジヒドロキシ−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン、2、2−ジフェニル−1,3−プロパンジオール、ヒドロキシベンジルアルコール、ヒドロキシエチルレゾルシノール、1−フェニル−1,2−エタンジオール、2,3,5,6−テトラメチル−p−キシレン−α,α′−ジオール、1,1,4,4−テトラフェニル−1,4−ブタンジオール、1,1,4,4−テトラフェニル−2−ブチン−1,4−ジオール、1,1′−ビ−2−ナフトール、ジヒドロキシナフタレン、1,1′−メチレン−ジ−2−ナフトール、1,2,4−ベンゼントリオール、ビフェノール、2,2′−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、ビス(ヒドロキシフェニル)メタン、カテコール、4−クロルレゾルシノール、ハイドロキノン、ヒドロキシベンジルアルコール、メチルハイドロキノン、メチレン−2,4,6−トリヒドロキシベンゾエート、フロログリシノール、ピロガロール、レゾルシノール、α−(1−アミノエチル)−p−ヒドロキシベンジルアルコール、α−(1−アミノエチル)−p−ヒドロキシベンジルアルコール、3−アミノ−4−ヒドロキシフェニルスルホンなどが挙げられる。また、この他、キシリレンビス(メタ)アクリルアミド、ノボラック型エポキシ樹脂やビスフェノールAジグリシジルエーテル等のグリシジル化合物にα、β−不飽和カルボン酸を付加して得られる化合物、フタル酸やトリメリット酸などと分子中に水酸基を含有するビニルモノマーから得られるエステル化物、フタル酸ジアリル、トリメリット酸トリアリル、ベンゼンジスルホン酸ジアリル、重合性モノマーとしてカチオン重合性のジビニルエーテル類(例えば、ビスフェノールAジビニルエーテル)、エポキシ化合物(例えば、ノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールAジグリシジルエーテル等)、ビニルエステル類(例えば、ジビニルフタレート、ジビニルテレフタレート、ジビニルベンゼン−1,3−ジスルホネート等)、スチレン化合物(例えば、ジビニルベンゼン、p−アリルスチレン、p−イソプロペンスチレン等)が挙げられる。これらの中でも下記構造式(35)で表される化合物が好ましい。
前記構造式(35)中、R4、Rは、水素原子又はアルキル基を表す。
前記構造式(35)中、X及びXは、アルキレンオキサイド基を表し、1種単独でもよく、2種以上を併用してもよい。該アルキレンオキサイド基としては、例えば、エチレンオキサイド基、プロピレンオキサイド基、ブチレンオキサイド基、ペンチレンオキサイド基、ヘキシレンオキサイド基、これらを組み合わせた基(ランダム、ブロックのいずれに組み合わされてもよい)、などが好適に挙げられ、これらの中でも、エチレンオキサイド基、プロピレンオキサイド基、ブチレンオキサイド基、又はこれらを組み合わせた基が好ましく、エチレンオキサイド基、プロピレンオキサイド基がより好ましい。
前記構造式(35)中、m5、m6は、1〜60の整数が好ましく、2〜30の整数がより好ましく、4〜15の整数が特に好ましい。
前記構造式(35)中、Tは、2価の連結基を表し、例えば、メチレン、エチレン、MeCMe、CFCCF、CO、SOなどが挙げられる。
前記構造式(35)中、Ar、Arは、置換基を有していてもよいアリール基を表し、例えば、フェニレン、ナフチレンなどが挙げられる。前記置換基としては、例えば、アルキル基、アリール基、アラルキル基、ハロゲン基、アルコキシ基、又はこれらの組合せなどが挙げられる。
前記アリール基を有するモノマーの具体例としては、2,2−ビス〔4−(3−(メタ)アクリルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル〕プロパン、2,2−ビス〔4−((メタ)アクリルオキシエトキシ)フェニル〕プロパン、フェノール性のOH基1個に置換したエトキシ基の数が2から20である2,2−ビス(4−((メタ)アクリロイルオキシポリエトキシ)フェニル)プロパン(例えば、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロイルオキシジエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロイルオキシテトラエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロイルオキシペンタエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロイルオキシデカエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロイルオキシペンタデカエトキシ)フェニル)プロパン等)、2,2−ビス〔4−((メタ)アクリルオキシプロポキシ)フェニル〕プロパン、フェノール性のOH基1個に置換させたエトキシ基の数が2から20である2,2−ビス(4−((メタ)アクリロイルオキシポリプロポキシ)フェニル)プロパン(例えば、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロイルオキシジプロポキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロイルオキシテトラプロポキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロイルオキシペンタプロポキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロイルオキシデカプロポキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロイルオキシペンタデカプロポキシ)フェニル)プロパン等)、又はこれらの化合物のポリエーテル部位として同一分子中にポリエチレンオキシド骨格とポリプロピレンオキシド骨格の両方を含む化合物(例えば、WO01/98832号公報に記載の化合物等、又は、市販品として、新中村化学工業社製、BPE−200、BPE−500、BPE−1000)、ビスフェノール骨格とウレタン基とを有する重合性化合物などが挙げられる。なお、これらは、ビスフェノールA骨格に由来する部分をビスフェノールF又はビスフェノールS等に変更した化合物であってもよい。
前記ビスフェノール骨格とウレタン基とを有する重合性化合物としては、例えば、ビスフェノールとエチレンオキシド又はプロピレンオキシド等の付加物、重付加物として得られる末端に水酸基を有する化合物にイソシアネート基と重合性基とを有する化合物(例えば、2−イソシアネートエチル(メタ)アクリレート、α、α−ジメチル−ビニルベンジルイソシアネート等)などが挙げられる。
−その他の重合性モノマー−
本発明のパターン形成方法には、前記パターン形成材料としての特性を悪化させない範囲で、前記ウレタン基を含有するモノマー、アリール基を有するモノマー以外の重合性モノマーを併用してもよい。
前記ウレタン基を含有するモノマー、芳香環を含有するモノマー以外の重合性モノマーとしては、例えば、不飽和カルボン酸(例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸等)と脂肪族多価アルコール化合物とのエステル、不飽和カルボン酸と多価アミン化合物とのアミドなどが挙げられる。
前記不飽和カルボン酸と脂肪族多価アルコール化合物とのエステルのモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸エステルとして、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、エチレン基の数が2〜18であるポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート(例えば、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ノナエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ドデカエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラデカエチレングリコールジ(メタ)アクリレート等)、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレン基の数が2から18であるポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート(例えば、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ドデカプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート等)、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド変性ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ((メタ)アクリロイルオキシプロピル)エーテル、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、1,3−プロパンジオールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、テトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−シクロヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,2,4−ブタントリオールトリ(メタ)アクリレート、1,5−ベンタンジオール(メタ)アクリレート、ペンタエリトリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリトリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリトリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリトリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリトリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ソルビトールトリ(メタ)アクリレート、ソルビトールテトラ(メタ)アクリレート、ソルビトールペンタ(メタ)アクリレート、ソルビトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジメチロールジシクロペンタンジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコール変性トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、エチレングリコール鎖/プロピレングリコール鎖を少なくとも各々一つずつ有するアルキレングリコール鎖のジ(メタ)アクリレート(例えば、WO01/98832号公報に記載の化合物等)、エチレンオキサイド及びプロピレンオキサイドの少なくともいずれかを付加したトリメチロールプロパンのトリ(メタ)アクリル酸エステル、ポリブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、キシレノールジ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
前記(メタ)アクリル酸エステル類の中でも、その入手の容易さ等の観点から、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコール鎖/プロピレングリコール鎖を少なくとも各々一つずつ有するアルキレングリコール鎖のジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリトリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリトリトールトリアクリレート、ペンタエリトリトールジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリトリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリトリトールヘキサ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、ジグリセリンジ(メタ)アクリレート、1,3−プロパンジオールジ(メタ)アクリレート、1,2,4−ブタントリオールトリ(メタ)アクリレート、1,4−シクロヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,5−ペンタンジオール(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド付加したトリメチロールプロパンのトリ(メタ)アクリル酸エステルなどが好ましい。
前記イタコン酸と前記脂肪族多価アルコール化合物とのエステル(イタコン酸エステル)としては、例えば、エチレングリコールジイタコネート、プロピレングリコールジイタコネート、1,3−ブタンジオールジイタコネート、1,4ーブタンジオールジイタコネート、テトラメチレングリコールジイタコネート、ペンタエリトリトールジイタコネート、及びソルビトールテトライタコネートなどが挙げられる。
前記クロトン酸と前記脂肪族多価アルコール化合物とのエステル(クロトン酸エステル)としては、例えば、エチレングリコールジクロトネート、テトラメチレングリコールジクロトネート、ペンタエリトリトールジクロトネート、ソルビトールテトラジクロトネートなどが挙げられる。
前記イソクロトン酸と前記脂肪族多価アルコール化合物とのエステル(イソクロトン酸エステル)としては、例えば、エチレングリコールジイソクロトネート、ペンタエリトリトールジイソクロトネート、ソルビトールテトライソクロトネートなどが挙げられる。
前記マレイン酸と前記脂肪族多価アルコール化合物とのエステル(マレイン酸エステル)としては、例えば、エチレングリコールジマレート、トリエチレングリコールジマレート、ペンタエリトリトールジマレート、ソルビトールテトラマレートなどが挙げられる。
前記多価アミン化合物と前記不飽和カルボン酸類から誘導されるアミドとしては、例えば、メチレンビス(メタ)アクリルアミド、エチレンビス(メタ)アクリルアミド、1,6−ヘキサメチレンビス(メタ)アクリルアミド、オクタメチレンビス(メタ)アクリルアミド、ジエチレントリアミントリス(メタ)アクリルアミド、ジエチレントリアミンビス(メタ)アクリルアミド、などが挙げられる。
また、上記以外にも、前記重合性モノマーとして、例えば、ブタンジオール−1,4−ジグリシジルエーテル、シクロヘキサンジメタノールグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ジエチレングリコールジグリシジルエーテル、ジプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ペンタエリトリトールテトラグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル等のグリシジル基含有化合物にα,β−不飽和カルボン酸を付加して得られる化合物、特開昭48−64183号、特公昭49−43191号、特公昭52−30490号各公報に記載されているようなポリエステルアクリレートやポリエステル(メタ)アクリレートオリゴマー類、エポキシ化合物(例えば、ブタンジオール−1,4−ジグリシジルエーテル、シクロヘキサンジメタノールグリシジルエーテル、ジエチレングリコールジグリシジルエーテル、ジプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ペンタエリトリトールテトラグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテルなど)と(メタ)アクリル酸を反応させたエポキシアクリレート類等の多官能のアクリレートやメタクリレート、日本接着協会誌vol.20、No.7、300〜308ページ(1984年)に記載の光硬化性モノマー及びオリゴマー、アリルエステル(例えば、フタル酸ジアリル、アジピン酸ジアリル、マロン酸ジアリル、ジアリルアミド(例えば、ジアリルアセトアミド等)、カチオン重合性のジビニルエーテル類(例えば、ブタンジオール−1,4−ジビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、エチレングリコールジビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、ジプロピレングリコールジビニルエーテル、ヘキサンジオールジビニルエーテル、トリメチロールプロパントリビニルエーテル、ペンタエリトリトールテトラビニルエーテル、グリセリントリビニルエーテル等)、エポキシ化合物(例えば、ブタンジオール−1,4−ジグリシジルエーテル、シクロヘキサンジメタノールグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ジエチレングリコールジグリシジルエーテル、ジプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ペンタエリトリトールテトラグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル等)、オキセタン類(例えば、1,4−ビス〔(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル〕ベンゼン等)、エポキシ化合物、オキセタン類(例えば、WO01/22165号公報に記載の化合物)、N−β−ヒドロキシエチル−β−(メタクリルアミド)エチルアクリレート、N,N−ビス(β−メタクリロキシエチル)アクリルアミド、アリルメタクリレート等の異なったエチレン性不飽和二重結合を2個以上有する化合物などが挙げられる。
前記ビニルエステル類としては、例えば、ジビニルサクシネート、ジビニルアジペートなどが挙げられる。
これらの多官能モノマー又はオリゴマーは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
前記重合性モノマーは、必要に応じて、分子内に重合性基を1個含有する重合性化合物(単官能モノマー)を併用してもよい。
前記単官能モノマーとしては、例えば、前記バインダーの原料として例示した化合物、特開平6−236031号公報に記載されている2塩基のモノ((メタ)アクリロイルオキシアルキルエステル)モノ(ハロヒドロキシアルキルエステル)等の単官能モノマー(例えば、γ−クロロ−β−ヒドロキシプロピル−β′−メタクリロイルオキシエチル−o−フタレート等)、特許2744643号公報、WO00/52529号公報、特許2548016号公報等に記載の化合物が挙げられる。
前記感光層における重合性化合物の含有量としては、例えば、5〜90質量%が好ましく、15〜60質量%がより好ましく、20〜50質量%が特に好ましい。
前記含有量が、5質量%となると、テント膜の強度が低下することがあり、90質量%を超えると、保存時のエッジフュージョン(ロール端部からのしみだし故障)が悪化することがある。
また、重合性化合物中に前記重合性基を2個以上有する多官能モノマーの含有量としては、5〜100質量%が好ましく、20〜100質量%がより好ましく、40〜100質量%が特に好ましい。
<<光重合開始剤>>
前記光重合開始剤としては、前記重合性化合物の重合を開始する能力を有する限り、特に制限はなく、公知の光重合開始剤の中から適宜選択することができるが、例えば、紫外線領域から可視の光線に対して感光性を有するものが好ましく、光励起された増感剤と何らかの作用を生じ、活性ラジカルを生成する活性剤であってもよく、モノマーの種類に応じてカチオン重合を開始させるような開始剤であってもよい。
また、前記光重合開始剤は、約300〜800nm(より好ましくは330〜500nm)の範囲内に少なくとも約50の分子吸光係数を有する成分を少なくとも1種含有していることが好ましい。
前記光重合開始剤としては、例えば、ハロゲン化炭化水素誘導体(例えば、トリアジン骨格を有するもの、オキサジアゾール骨格を有するもの等)、ヘキサアリールビイミダゾール、オキシム誘導体、有機過酸化物、チオ化合物、ケトン化合物、芳香族オニウム塩、メタロセン類などが挙げられる。これらの中でも、感光層の感度、保存性、及び感光層とプリント配線板形成用基板との密着性等の観点から、トリアジン骨格を有するハロゲン化炭化水素、オキシム誘導体、ケトン化合物、ヘキサアリールビイミダゾール系化合物が好ましい。
前記ヘキサアリールビイミダゾールとしては、例えば、2,2′−ビス(2−クロロフェニル)−4,4′,5,5′−テトラフェニルビイミダゾール、2,2′−ビス(o−フロロフェニル)−4,4′,5,5′−テトラフェニルビイミダゾール、2,2′−ビス(2−ブロモフェニル)−4,4′,5,5′−テトラフェニルビイミダゾール、2,2′−ビス(2,4−ジクロロフェニル)−4,4′,5,5′−テトラフェニルビイミダゾール、2,2′−ビス(2−クロロフェニル)−4,4′,5,5′−テトラ(3−メトキシフェニル)ビイミダゾール、2,2′−ビス(2−クロロフェニル)−4,4′,5,5′−テトラ(4−メトキシフェニル)ビイミダゾール、2,2′−ビス(4−メトキシフェニル)−4,4′,5,5′−テトラフェニルビイミダゾール、2,2′−ビス(2,4−ジクロロフェニル)−4,4′,5,5′−テトラフェニルビイミダゾール、2,2′−ビス(2−ニトロフェニル)−4,4′,5,5′−テトラフェニルビイミダゾール、2,2′−ビス(2−メチルフェニル)−4,4′,5,5′−テトラフェニルビイミダゾール、2,2′−ビス(2−トリフルオロメチルフェニル)−4,4′,5,5′−テトラフェニルビイミダゾール、WO00/52529号公報に記載の化合物などが挙げられる。
前記ビイミダゾール類は、例えば、Bull.Chem.Soc.Japan,33,565(1960)、及びJ.Org.Chem,36(16)2262(1971)に開示されている方法により容易に合成することができる。
トリアジン骨格を有するハロゲン化炭化水素化合物としては、例えば、若林ら著、Bull.Chem.Soc.Japan,42、2924(1969)記載の化合物、英国特許1388492号明細書記載の化合物、特開昭53−133428号公報記載の化合物、独国特許3337024号明細書記載の化合物、F.C.Schaefer等によるJ.Org.Chem.;29、1527(1964)記載の化合物、特開昭62−58241号公報記載の化合物、特開平5−281728号公報記載の化合物、特開平5−34920号公報記載化合物、米国特許第4212976号明細書に記載されている化合物が挙げられる。
前記若林ら著、Bull.Chem.Soc.Japan,42、2924(1969)記載の化合物としては、例えば、2−フェニル−4,6−ビス(トリクロルメチル)−1,3,5−トリアジン、2−(4−クロルフェニル)−4,6−ビス(トリクロルメチル)−1,3,5−トリアジン、2−(4−トリル)−4,6−ビス(トリクロルメチル)−1,3,5−トリアジン、2−(4−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロルメチル)−1,3,5−トリアジン、2−(2,4−ジクロルフェニル)−4,6−ビス(トリクロルメチル)−1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリス(トリクロルメチル)−1,3,5−トリアジン、2−メチル−4,6−ビス(トリクロルメチル)−1,3,5−トリアジン、2−n−ノニル−4,6−ビス(トリクロルメチル)−1,3,5−トリアジン、及び2−(α,α,β−トリクロルエチル)−4,6−ビス(トリクロルメチル)−1,3,5−トリアジンなどが挙げられる。
前記英国特許1388492号明細書記載の化合物としては、例えば、2−スチリル−4,6−ビス(トリクロルメチル)−1,3,5−トリアジン、2−(4−メチルスチリル)−4,6−ビス(トリクロルメチル)−1,3,5−トリアジン、2−(4−メトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロルメチル)−1,3,5−トリアジン、2−(4−メトキシスチリル)−4−アミノ−6−トリクロルメチル−1,3,5−トリアジンなどが挙げられる。
前記特開昭53−133428号公報記載の化合物としては、例えば、2−(4−メトキシ−ナフト−1−イル)−4,6−ビス(トリクロルメチル)−1,3,5−トリアジン、2−(4−エトキシ−ナフト−1−イル)−4,6−ビス(トリクロルメチル)−1,3,5−トリアジン、2−〔4−(2−エトキシエチル)−ナフト−1−イル〕−4,6−ビス(トリクロルメチル)−1,3,5−トリアジン、2−(4,7−ジメトキシ−ナフト−1−イル)−4,6−ビス(トリクロルメチル)−1,3,5−トリアジン、及び2−(アセナフト−5−イル)−4,6−ビス(トリクロルメチル)−1,3,5−トリアジンなどが挙げられる。
前記独国特許3337024号明細書記載の化合物としては、例えば、2−(4−スチリルフェニル)−4、6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−(4−(4−メトキシスチリル)フェニル)−4、6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−(1−ナフチルビニレンフェニル)−4、6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−クロロスチリルフェニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−(4−チオフェン−2−ビニレンフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−(4−チオフェン−3−ビニレンフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−(4−フラン−2−ビニレンフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、及び2−(4−ベンゾフラン−2−ビニレンフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジンなどが挙げられる。
前記F.C.Schaefer等によるJ.Org.Chem.;29、1527(1964)記載の化合物としては、例えば、2−メチル−4,6−ビス(トリブロモメチル)−1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリス(トリブロモメチル)−1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリス(ジブロモメチル)−1,3,5−トリアジン、2−アミノ−4−メチル−6−トリ(ブロモメチル)−1,3,5−トリアジン、及び2−メトキシ−4−メチル−6−トリクロロメチル−1,3,5−トリアジンなどが挙げられる。
前記特開昭62−58241号公報記載の化合物としては、例えば、2−(4−フェニルエチニルフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−(4−ナフチル−1−エチニルフェニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−(4−(4−トリルエチニル)フェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−(4−(4−メトキシフェニル)エチニルフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−(4−(4−イソプロピルフェニルエチニル)フェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−(4−(4−エチルフェニルエチニル)フェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジンなどが挙げられる。
前記特開平5−281728号公報記載の化合物としては、例えば、2−(4−トリフルオロメチルフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−(2,6−ジフルオロフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−(2,6−ジクロロフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−(2,6−ジブロモフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジンなどが挙げられる。
前記特開平5−34920号公報記載化合物としては、例えば、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−[4−(N,N−ジエトキシカルボニルメチルアミノ)−3−ブロモフェニル]−1,3,5−トリアジン、米国特許第4239850号明細書に記載されているトリハロメチル−s−トリアジン化合物、更に2,4,6−トリス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−クロロフェニル)−4,6−ビス(トリブロモメチル)−s−トリアジンなどが挙げられる。
前記米国特許第4212976号明細書に記載されている化合物としては、例えば、オキサジアゾール骨格を有する化合物(例えば、2−トリクロロメチル−5−フェニル−1,3,4−オキサジアゾール、2−トリクロロメチル−5−(4−クロロフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール、2−トリクロロメチル−5−(1−ナフチル)−1,3,4−オキサジアゾール、2−トリクロロメチル−5−(2−ナフチル)−1,3,4−オキサジアゾール、2−トリブロモメチル−5−フェニル−1,3,4−オキサジアゾール、2−トリブロモメチル−5−(2−ナフチル)−1,3,4−オキサジアゾール;2−トリクロロメチル−5−スチリル−1,3,4−オキサジアゾール、2−トリクロロメチル−5−(4−クロルスチリル)−1,3,4−オキサジアゾール、2−トリクロロメチル−5−(4−メトキシスチリル)−1,3,4−オキサジアゾール、2−トリクロロメチル−5−(1−ナフチル)−1,3,4−オキサジアゾール、2−トリクロロメチル−5−(4−n−ブトキシスチリル)−1,3,4−オキサジアゾール、2−トリブロモメチル−5−スチリル−1,3,4−オキサジアゾール等)などが挙げられる。
本発明で好適に用いられるオキシム誘導体としては、例えば、下記構造式(36)〜(69)で表される化合物が挙げられる。
前記ケトン化合物としては、例えば、ベンゾフェノン、2−メチルベンゾフェノン、3−メチルベンゾフェノン、4−メチルベンゾフェノン、4−メトキシベンゾフェノン、2−クロロベンゾフェノン、4−クロロベンゾフェノン、4−ブロモベンゾフェノン、2−カルボキシベンゾフェノン、2−エトキシカルボニルベンゾルフェノン、ベンゾフェノンテトラカルボン酸又はそのテトラメチルエステル、4,4′−ビス(ジアルキルアミノ)ベンゾフェノン類(例えば、4,4′−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4′−ビスジシクロヘキシルアミノ)ベンゾフェノン、4,4′−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4′−ビス(ジヒドロキシエチルアミノ)ベンゾフェノン、4−メトキシ−4′−ジメチルアミノベンゾフェノン、4,4′−ジメトキシベンゾフェノン、4−ジメチルアミノベンゾフェノン、4−ジメチルアミノアセトフェノン、ベンジル、アントラキノン、2−t−ブチルアントラキノン、2−メチルアントラキノン、フェナントラキノン、キサントン、チオキサントン、2−クロル−チオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、フルオレノン、2−ベンジル−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−1−ブタノン、2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルホリノ−1−プロパノン、2−ヒドロキシー2−メチル−〔4−(1−メチルビニル)フェニル〕プロパノールオリゴマー、ベンゾイン、ベンゾインエーテル類(例えば、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインフェニルエーテル、ベンジルジメチルケタール)、アクリドン、クロロアクリドン、N−メチルアクリドン、N−ブチルアクリドン、N−ブチル−クロロアクリドンなどが挙げられる。
前記メタロセン類としては、例えば、ビス(η5−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)−ビス(2,6−ジフロロ−3−(1H−ピロール−1−イル)−フェニル)チタニウム、η5−シクロペンタジエニル−η6−クメニル−アイアン(1+)−ヘキサフロロホスフェート(1−)、特開昭53−133428号公報、特公昭57−1819号公報、同57−6096号公報、及び米国特許第3615455号明細書に記載された化合物などが挙げられる。
また、上記以外の光重合開始剤として、アクリジン誘導体(例えば、9−フェニルアクリジン、1,7−ビス(9、9′−アクリジニル)ヘプタン等)、N−フェニルグリシン等、ポリハロゲン化合物(例えば、四臭化炭素、フェニルトリブロモメチルスルホン、フェニルトリクロロメチルケトン等)、クマリン類(例えば、3−(2−ベンゾフロイル)−7−ジエチルアミノクマリン、3−(2−ベンゾフロイル)−7−(1−ピロリジニル)クマリン、3−ベンゾイル−7−ジエチルアミノクマリン、3−(2−メトキシベンゾイル)−7−ジエチルアミノクマリン、3−(4−ジメチルアミノベンゾイル)−7−ジエチルアミノクマリン、3,3′−カルボニルビス(5,7−ジ−n−プロポキシクマリン)、3,3′−カルボニルビス(7−ジエチルアミノクマリン)、3−ベンゾイル−7−メトキシクマリン、3−(2−フロイル)−7−ジエチルアミノクマリン、3−(4−ジエチルアミノシンナモイル)−7−ジエチルアミノクマリン、7−メトキシ−3−(3−ピリジルカルボニル)クマリン、3−ベンゾイル−5,7−ジプロポキシクマリン、7−ベンゾトリアゾール−2−イルクマリン、また、特開平5-19475号、特開平7-271028号、特開2002-363206号、特開2002-363207号、特開2002-363208号、特開2002-363209号公報等に記載のクマリン化合物など)、アミン類(例えば、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸n−ブチル、4−ジメチルアミノ安息香酸フェネチル、4−ジメチルアミノ安息香酸2−フタルイミドエチル、4−ジメチルアミノ安息香酸2−メタクリロイルオキシエチル、ペンタメチレンビス(4−ジメチルアミノベンゾエート)、3−ジメチルアミノ安息香酸のフェネチル、ペンタメチレンエステル、4−ジメチルアミノベンズアルデヒド、2−クロル−4−ジメチルアミノベンズアルデヒド、4−ジメチルアミノベンジルアルコール、エチル(4−ジメチルアミノベンゾイル)アセテート、4−ピペリジノアセトフェノン、4−ジメチルアミノベンゾイン、N,N−ジメチル−4−トルイジン、N,N−ジエチル−3−フェネチジン、トリベンジルアミン、ジベンジルフェニルアミン、N−メチル−N−フェニルベンジルアミン、4−ブロム−N,N−ジメチルアニリン、トリドデシルアミン、アミノフルオラン類(ODB,ODBII等)、クリスタルバイオレットラクトン、ロイコクリスタルバイオレット等)、アシルホスフィンオキシド類(例えば、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキシド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチル−ペンチルフェニルホスフィンオキシド、LucirinTPOなど)などが挙げられる。
更に、米国特許第2367660号明細書に記載されているビシナルポリケタルドニル化合物、米国特許第2448828号明細書に記載されているアシロインエーテル化合物、米国特許第2722512号明細書に記載されているα−炭化水素で置換された芳香族アシロイン化合物、米国特許第3046127号明細書及び同第2951758号明細書に記載の多核キノン化合物、特開2002−229194号公報に記載の有機ホウ素化合物、ラジカル発生剤、トリアリールスルホニウム塩(例えば、ヘキサフロロアンチモンやヘキサフロロホスフェートとの塩)、ホスホニウム塩化合物(例えば、(フェニルチオフェニル)ジフェニルスルホニウム塩等)(カチオン重合開始剤として有効)、WO01/71428号公報記載のオニウム塩化合物などが挙げられる。
前記光重合開始剤は、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。2種以上の組合せとしては、例えば、米国特許第3549367号明細書に記載のヘキサアリールビイミダゾールと4−アミノケトン類との組合せ、特公昭51−48516号公報に記載のベンゾチアゾール化合物とトリハロメチル−s−トリアジン化合物の組合せ、また、芳香族ケトン化合物(例えば、チオキサントン等)と水素供与体(例えば、ジアルキルアミノ含有化合物、フェノール化合物等)の組合せ、ヘキサアリールビイミダゾールとチタノセンとの組合せ、クマリン類とチタノセンとフェニルグリシン類との組合せなどが挙げられる。
前記感光層における光重合開始剤の含有量としては、0.1〜30質量%が好ましく、0.5〜20質量%がより好ましく、0.5〜15質量%が特に好ましい。
<<その他の成分>>
前記その他の成分としては、例えば、増感剤、熱重合禁止剤、可塑剤、発色剤、着色剤などが挙げられ、更に基体表面への密着促進剤及びその他の助剤類(例えば、顔料、導電性粒子、充填剤、消泡剤、難燃剤、レベリング剤、剥離促進剤、酸化防止剤、香料、熱架橋剤、表面張力調整剤、連鎖移動剤等)を併用してもよい。これらの成分を適宜含有させることにより、目的とするパターン形成材料の安定性、写真性、焼きだし性、膜物性等の性質を調整することができる。
−増感剤−
前記増感剤は、後述する光照射手段として可視光線や紫外光・可視光レーザなどにより適宜選択することができる。
前記増感剤は、活性エネルギー線により励起状態となり、他の物質(例えば、ラジカル発生剤、酸発生剤等)と相互作用(例えば、エネルギー移動、電子移動等)することにより、ラジカルや酸等の有用基を発生することが可能である。
前記増感剤としては、特に制限はなく、公知の増感剤の中から適宜選択することができるが、例えば、公知の多核芳香族類(例えば、ピレン、ペリレン、トリフェニレン)、キサンテン類(例えば、フルオレセイン、エオシン、エリスロシン、ローダミンB、ローズベンガル)、シアニン類(例えば、インドカルボシアニン、チアカルボシアニン、オキサカルボシアニン)、メロシアニン類(例えば、メロシアニン、カルボメロシアニン)、チアジン類(例えば、チオニン、メチレンブルー、トルイジンブルー)、アクリジン類(例えば、アクリジンオレンジ、クロロフラビン、アクリフラビン)、アントラキノン類(例えば、アントラキノン)、スクアリウム類(例えば、スクアリウム)、アクリドン類(例えば、アクリドン、クロロアクリドン、N−メチルアクリドン、N−ブチルアクリドン、N−ブチル−クロロアクリドン等)、クマリン類(例えば、3−(2−ベンゾフロイル)−7−ジエチルアミノクマリン、3−(2−ベンゾフロイル)−7−(1−ピロリジニル)クマリン、3−ベンゾイル−7−ジエチルアミノクマリン、3−(2−メトキシベンゾイル)−7−ジエチルアミノクマリン、3−(4−ジメチルアミノベンゾイル)−7−ジエチルアミノクマリン、3,3′−カルボニルビス(5,7−ジ−n−プロポキシクマリン)、3,3′−カルボニルビス(7−ジエチルアミノクマリン)、3−ベンゾイル−7−メトキシクマリン、3−(2−フロイル)−7−ジエチルアミノクマリン、3−(4−ジエチルアミノシンナモイル)−7−ジエチルアミノクマリン、7−メトキシ−3−(3−ピリジルカルボニル)クマリン、3−ベンゾイル−5,7−ジプロポキシクマリン等があげられ、他に特開平5−19475号、特開平7−271028号、特開2002−363206号、特開2002−363207号、特開2002−363208号、特開2002−363209号等の各公報に記載のクマリン化合物など)が挙げられる。
前記光重合開始剤と前記増感剤との組合せとしては、例えば、特開2001−305734号公報に記載の電子移動型開始系[(1)電子供与型開始剤及び増感色素、(2)電子受容型開始剤及び増感色素、(3)電子供与型開始剤、増感色素及び電子受容型開始剤(三元開始系)]などの組合せが挙げられる。
前記増感剤の含有量としては、感光性樹脂組成物の全成分に対し、0.05〜30質量%が好ましく、0.1〜20質量%がより好ましく、0.2〜10質量%が特に好ましい。
前記含有量が、0.05質量%未満となると、活性エネルギー線への感度が低下し、露光プロセスに時間がかかり、生産性が低下することがあり、30質量%を超えると、前記感光層から保存時に析出することがある。
−熱重合禁止剤−
前記熱重合禁止剤は、前記感光層における前記重合性化合物の熱的な重合又は経時的な重合を防止するために添加してもよい。
前記熱重合禁止剤としては、例えば、4−メトキシフェノール、ハイドロキノン、アルキルまたはアリール置換ハイドロキノン、t−ブチルカテコール、ピロガロール、2−ヒドロキシベンゾフェノン、4−メトキシ−2−ヒドロキシベンゾフェノン、塩化第一銅、フェノチアジン、クロラニル、ナフチルアミン、β−ナフトール、2,6−ジ−t−ブチル−4−クレゾール、2,2′−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、ピリジン、ニトロベンゼン、ジニトロベンゼン、ピクリン酸、4−トルイジン、メチレンブルー、銅と有機キレート剤反応物、サリチル酸メチル、及びフェノチアジン、ニトロソ化合物、ニトロソ化合物とAlとのキレート等が挙げられる。
前記熱重合禁止剤の含有量としては、前記感光層の前記重合性化合物に対して0.001〜5質量%が好ましく、0.005〜2質量%がより好ましく、0.01〜1質量%が特に好ましい。
前記含有量が、0.001質量%未満であると、保存時の安定性が低下することがあり、5質量%を超えると、活性エネルギー線に対する感度が低下することがある。
−可塑剤−
前記可塑剤は、前記感光層の膜物性(可撓性)をコントロールするために添加してもよい。
前記可塑剤としては、例えば、ジメチルフタレート、ジブチルフタレート、ジイソブチルフタレート、ジヘプチルフタレート、ジオクチルフタレート、ジシクロヘキシルフタレート、ジトリデシルフタレート、ブチルベンジルフタレート、ジイソデシルフタレート、ジフェニルフタレート、ジアリルフタレート、オクチルカプリールフタレート等のフタル酸エステル類;トリエチレングリコールジアセテート、テトラエチレングリコールジアセテート、ジメチルグリコースフタレート、エチルフタリールエチルグリコレート、メチルフタリールエチルグリコレート、ブチルフタリールブチルグリコレート、トリエチレングリコールジカブリル酸エステル等のグリコールエステル類;トリクレジルホスフェート、トリフェニルホスフェート等のリン酸エステル類;4−トルエンスルホンアミド、ベンゼンスルホンアミド、N−n−ブチルベンゼンスルホンアミド、N−n−ブチルアセトアミド等のアミド類;ジイソブチルアジペート、ジオクチルアジペート、ジメチルセバケート、ジブチルセパケート、ジオクチルセパケート、ジオクチルアゼレート、ジブチルマレート等の脂肪族二塩基酸エステル類;クエン酸トリエチル、クエン酸トリブチル、グリセリントリアセチルエステル、ラウリン酸ブチル、4,5−ジエポキシシクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸ジオクチル等、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のグリコール類が挙げられる。
前記可塑剤の含有量としては、前記感光層の全成分に対して0.1〜50質量%が好ましく、0.5〜40質量%がより好ましく、1〜30質量%が特に好ましい。
−発色剤−
前記発色剤は、露光後の前記感光層に可視像を与える(焼きだし機能)ために添加してもよい。
前記発色剤としては、例えば、トリス(4−ジメチルアミノフェニル)メタン(ロイコクリスタルバイオレット)、トリス(4−ジエチルアミノフェニル)メタン、トリス(4−ジメチルアミノ−2−メチルフェニル)メタン、トリス(4−ジエチルアミノ−2−メチルフェニル)メタン、ビス(4−ジブチルアミノフェニル)−〔4−(2−シアノエチル)メチルアミノフェニル〕メタン、ビス(4−ジメチルアミノフェニル)−2−キノリルメタン、トリス(4−ジプロピルアミノフェニル)メタン等のアミノトリアリールメタン類;3,6−ビス(ジメチルアミノ)−9−フェニルキサンチン、3−アミノ−6−ジメチルアミノ−2−メチル−9−(2−クロロフェニル)キサンチン等のアミノキサンチン類;3,6−ビス(ジエチルアミノ)−9−(2−エトキシカルボニルフェニル)チオキサンテン、3,6−ビス(ジメチルアミノ)チオキサンテン等のアミノチオキサンテン類;3,6−ビス(ジエチルアミノ)−9,10−ジヒドロ−9−フェニルアクリジン、3,6−ビス(ベンジルアミノ)−9,10−ジビドロ−9−メチルアクリジン等のアミノ−9,10−ジヒドロアクリジン類;3,7−ビス(ジエチルアミノ)フェノキサジン等のアミノフェノキサジン類;3,7−ビス(エチルアミノ)フェノチアゾン等のアミノフェノチアジン類;3,7−ビス(ジエチルアミノ)−5−ヘキシル−5,10−ジヒドロフェナジン等のアミノジヒドロフェナジン類;ビス(4−ジメチルアミノフェニル)アニリノメタン等のアミノフェニルメタン類;4−アミノ−4′−ジメチルアミノジフェニルアミン、4−アミノ−α、β−ジシアノヒドロケイ皮酸メチルエステル等のアミノヒドロケイ皮酸類;1−(2−ナフチル)−2−フェニルヒドラジン等のヒドラジン類;1,4−ビス(エチルアミノ)−2,3−ジヒドロアントラキノン類のアミノ−2,3−ジヒドロアントラキノン類;N,N−ジエチル−4−フェネチルアニリン等のフェネチルアニリン類;10−アセチル−3,7−ビス(ジメチルアミノ)フェノチアジン等の塩基性NHを含むロイコ色素のアシル誘導体;トリス(4−ジエチルアミノ−2−トリル)エトキシカルボニルメンタン等の酸化しうる水素を有していないが、発色化合物に酸化しうるロイコ様化合物;ロイコインジゴイド色素;米国特許3,042,515号及び同第3,042,517号に記載されているような発色形に酸化しうるような有機アミン類(例、4,4′−エチレンジアミン、ジフェニルアミン、N,N−ジメチルアニリン、4,4′−メチレンジアミントリフェニルアミン、N−ビニルカルバゾール)が挙げられ、これらの中でも、ロイコクリスタルバイオレット等のトリアリールメタン系化合物が好ましい。
更に、前記発色剤は、前記ロイコ体を発色させるためなどの目的で、ハロゲン化合物と組み合わせることが一般に知られている。
前記ハロゲン化合物としては、例えば、ハロゲン化炭化水素(例えば、四臭化炭素、ヨードホルム、臭化エチレン、臭化メチレン、臭化アミル、臭化イソアミル、ヨウ化アミル、臭化イソブチレン、ヨウ化ブチル、臭化ジフェニルメチル、ヘキサクロロエタン、1,2−ジブロモエタン、1,1,2,2−テトラブロモエタン、1,2−ジブロモ−1,1,2−トリクロロエタン、1,2,3−トリブロモプロパン、1−ブロモ−4−クロロブタン、1,2,3,4−テトラブロモブタン、テトラクロロシクロプロペン、ヘキサクロロシクロペンタジエン、ジブロモシキロヘキサン、1,1,1−トリクロロ−2,2−ビス(4−クロロフェニル)エタンなど);ハロゲン化アルコール化合物(例えば、2,2,2−トリクロロエタノール、トリブロモエタノール、1,3−ジクロロ−2−プロパノール、1,1,1−トリクロロ−2−プロパノール、ジ(ヨードヘキサメチレン)アミノイソプロパノール、トリブロモ−t−ブチルアルコール、2,2,3−トリクロロブタン−1,4−ジオールなど);ハロゲン化カルボニル化合物(例えば1,1−ジクロロアセトン、1,3−ジクロロアセトン、ヘキサクロロアセトン、ヘキサブロモアセトン、1,1,3,3−テトラクロロアセトン、1,1,1−トリクロロアセトン、3,4−ジブロモ−2−ブタノン、1,4−ジクロロ−2−ブタノン−ジブロモシクロヘキサノン等);ハロゲン化エーテル化合物(例えば2−ブロモエチルメチルエーテル、2−ブロモエチルエチルエーテル、ジ(2−ブロモエチル)エーテル、1,2−ジクロロエチルエチルエーテル等);ハロゲン化エステル化合物(例えば、酢酸ブロモエチル、トリクロロ酢酸エチル、トリクロロ酢酸トリクロロエチル、2,3−ジブロモプロピルアクリレートのホモポリマー及び共重合体、ジブロモプロピオン酸トリクロロエチル、α,β−ジグロロアクリル酸エチル等);ハロゲン化アミド化合物(例えば、クロロアセトアミド、ブロモアセトアミド、ジクロロアセトアミド、トリクロロアセトアミド、トリブロモアセトアミド、トリクロロエチルトリクロロアセトアミド、2−ブロモイソプロピオンアミド、2,2,2−トリクロロプロピオンアミド、N−クロロスクシンイミド、N−ブロモスクシンイミドなど);硫黄やリンを有する化合物(例えば、トリブロモメチルフェニルスルホン、4−ニトロフェニルトリブロモメチルスルホン、4−クロルフェニルトリブロモメチルスルホン、トリス(2,3−ジブロモプロピル)ホスフェート等)、2,4−ビス(トリクロロメチル)6−フェニルトリアゾールなどが挙げられる。有機ハロゲン化合物では、同一炭素原子に結合した2個以上のハロゲン原子を持つハロゲン化合物が好ましく、1個の炭素原子に3個のハロゲン原子を持つハロゲン化合物がより好ましい。前記有機ハロゲン化合物は、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、トリブロモメチルフェニルスルホン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−フェニルトリアゾールが好ましい。
前記発色剤の含有量としては、前記感光層の全成分に対して0.01〜20質量%が好ましく、0.05〜10質量%がより好ましく、0.1〜5質量%が特に好ましい。また、前記ハロゲン化合物の含有量としては、前記感光層の全成分に対し0.001〜5質量%が好ましく、0.005〜1質量%がより好ましい。
−染料−
前記感光層には、取り扱い性の向上のために感光性樹脂組成物を着色し、又は保存安定性を付与する目的に、染料を用いることができる。
前記染料としては、ブリリアントグリーン(例えば、その硫酸塩)、エオシン、エチルバイオレット、エリスロシンB、メチルグリーン、クリスタルバイオレット、ベイシックフクシン、フェノールフタレイン、1,3−ジフェニルトリアジン、アリザリンレッドS、チモールフタレイン、メチルバイオレット2B、キナルジンレッド、ローズベンガル、メタニル−イエロー、チモールスルホフタレイン、キシレノールブルー、メチルオレンジ、オレンジIV、ジフェニルチロカルバゾン、2,7−ジクロロフルオレセイン、パラメチルレッド、コンゴーレッド、ベンゾプルプリン4B、α−ナフチル−レッド、ナイルブルーA、フェナセタリン、メチルバイオレット、マラカイトグリーン、パラフクシン、オイルブルー#603(オリエント化学工業社製)、ローダミンB、ローダミン6G、ビクトリアピュアブルーBOHなどを挙げることができ、これらの中でもカチオン染料(例えば、マラカイトグリーンシュウ酸塩、マラカイトグリーン硫酸塩等)が好ましい。該カチオン染料の対アニオンとしては、有機酸又は無機酸の残基であればよく、例えば、臭素酸、ヨウ素酸、硫酸、リン酸、シュウ酸、メタンスルホン酸、トルエンスルホン酸等の残基(アニオン)などが挙げられる。
前記染料の含有量としては、前記感光層の全成分に対して0.001〜10質量%が好ましく、0.01〜5質量%がより好ましく、0.1〜2質量%が特に好ましい。
−密着促進剤−
各層間の密着性、又はパターン形成材料と基体との密着性を向上させるために、各層に公知のいわゆる密着促進剤を用いることができる。
前記密着促進剤としては、例えば、特開平5−11439号公報、特開平5−341532号公報、及び特開平6−43638号公報等に記載の密着促進剤が好適挙げられる。具体的には、ベンズイミダゾール、ベンズオキサゾール、ベンズチアゾール、2−メルカプトベンズイミダゾール、2−メルカプトベンズオキサゾール、2−メルカプトベンズチアゾール、3−モルホリノメチル−1−フェニル−トリアゾール−2−チオン、3−モルホリノメチル−5−フェニル−オキサジアゾール−2−チオン、5−アミノ−3−モルホリノメチル−チアジアゾール−2−チオン、及び2−メルカプト−5−メチルチオ−チアジアゾール、トリアゾール、テトラゾール、ベンゾトリアゾール、カルボキシベンゾトリアゾール、アミノ基含有ベンゾトリアゾール、シランカップリング剤などが挙げられる。
前記密着促進剤の含有量としては、前記感光層の全成分に対して0.001質量%〜20質量%が好ましく、0.01〜10質量%がより好ましく、0.1質量%〜5質量%が特に好ましい。
前記感光層は、例えば、J.コーサー著「ライトセンシテイブシステムズ」第5章に記載されているような有機硫黄化合物、過酸化物、レドックス系化合物、アゾ又はジアゾ化合物、光還元性色素、有機ハロゲン化合物などを含んでいてもよい。
前記有機硫黄化合物としては、例えば、ジ−n−ブチルジサルファイド、ジベンジルジサルファイド、2−メルカプトベンズチアゾール、2−メルカプトベンズオキサゾール、チオフェノール、エチルトリクロロメタンスルフェネート、2−メルカプトベンズイミダゾールなどが挙げられる。
前記過酸化物としては、例えば、ジ−t−ブチルパーオキサイド、過酸化ベンゾイル、メチルエチルケトンパーオキサイドを挙げることができる。
前記レドックス化合物は、過酸化物と還元剤の組合せからなるものであり、第一鉄イオンと過硫酸イオン、第二鉄イオンと過酸化物などを挙げることができる。
前記アゾ及びジアゾ化合物としては、例えば、α,α′−アゾビスイリブチロニトリル、2−アゾビス−2−メチルブチロニトリル、4−アミノジフェニルアミンのジアゾニウム類が挙げられる。
前記光還元性色素としては、例えば、ローズベンガル、エリスロシン、エオシン、アクリフラビン、リポフラビン、チオニンが挙げられる。
−界面活性剤−
本発明の前記パターン形成材料を製造する際に発生する面状ムラを改善させるために、公知の界面活性剤を添加することができる。
前記界面活性剤としては、例えば、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、両性界面活性剤、フッ素含有界面活性剤などから適宜選択できる。
前記界面活性剤の含有量としては、感光性樹脂組成物の固形分に対し、0.001〜10質量%が好ましい。
前記含有量が、0.001質量%未満になると、面状改良の効果が得られなくことがあり、10質量%を超えると、密着性が低下することがある。
前記界面活性剤としては、上述の界面活性剤の他、フッ素系の界面活性剤として、炭素鎖3〜20でフッ素原子を40質量%以上含み、かつ、非結合末端から数えて少なくとも3個の炭素原子に結合した水素原子がフッ素置換されているフルオロ脂肪族基を有するアクリレート又はメタクリレートを共重合成分として有する高分子界面活性剤も好適に挙げられる。
前記感光層の厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、1〜100μmが好ましく、2〜50μmがより好ましく、4〜30μmが特に好ましい。
[パターン形成材料の製造]
前記パターン形成材料は、例えば、次のようにして製造することができる。
まず、上述の各種材料を、水又は溶剤に溶解、乳化又は分散させて感光性樹脂組成物溶液を調製する。
前記感光性樹脂組成物溶液の溶剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、sec−ブタノール、n−ヘキサノール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、ジイソブチルケトンなどのケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸−n−アミル、硫酸メチル、プロピオン酸エチル、フタル酸ジメチル、安息香酸エチル、及びメトキシプロピルアセテートなどのエステル類;トルエン、キシレン、ベンゼン、エチルベンゼンなどの芳香族炭化水素類;四塩化炭素、トリクロロエチレン、クロロホルム、1,1,1−トリクロロエタン、塩化メチレン、モノクロロベンゼンなどのハロゲン化炭化水素類;テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、1−メトキシ−2−プロパノールなどのエーテル類;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホオキサイド、スルホランなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。また、公知の界面活性剤を添加してもよい。
次に、前記感光性樹脂組成物溶液を支持体上に塗布し、乾燥させることにより感光層を形成し、パターン形成材料を製造することができる。
前記感光性樹脂組成物溶液の塗布方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、スプレー法、ロールコート法、回転塗布法、スリットコート法、エクストルージョンコート法、カーテンコート法、ダイコート法、グラビアコート法、ワイヤーバーコート法、ナイフコート法等の各種の塗布方法が挙げられる。
前記乾燥の条件としては、各成分、溶媒の種類、使用割合等によっても異なるが、通常60〜110℃の温度で30秒間〜15分間程度である。
<<支持体>>
前記支持体としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記感光層を剥離可能であり、かつ光の透過性が良好であるものが好ましく、更に表面の平滑性が良好であることがより好ましい。
前記支持体は、合成樹脂製で、かつ透明であるものが好ましく、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリプロピレン、ポリエチレン、三酢酸セルロース、二酢酸セルロース、ポリ(メタ)アクリル酸アルキルエステル、ポリ(メタ)アクリル酸エステル共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアルコール、ポリカーボネート、ポリスチレン、セロファン、ポリ塩化ビニリデン共重合体、ポリアミド、ポリイミド、塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体、ポリテトラフロロエチレン、ポリトリフロロエチレン、セルロース系フィルム、ナイロンフィルム等の各種のプラスチックフィルムが挙げられ、これらの中でも、ポリエチレンテレフタレートが特に好ましい。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
前記支持体の厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、2〜150μmが好ましく、5〜100μmがより好ましく、8〜50μmが特に好ましい。
前記支持体の形状としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、長尺状が好ましい。前記長尺状の支持体の長さとしては、特に制限はなく、例えば、10m〜20000mの長さのものが挙げられる。
<<保護フィルム>>
前記パターン形成材料は、前記感光層上に保護フィルムを形成してもよい。
前記保護フィルムとしては、例えば、前記支持体に使用されるもの、紙、ポリエチレン、ポリプロピレンがラミネートされた紙、などが挙げられ、これらの中でも、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルムが好ましい。
前記保護フィルムの厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、5〜100μmが好ましく、8〜50μmがより好ましく、10〜30μmが特に好ましい。
前記保護フィルムを用いる場合、前記感光層及び前記支持体の接着力Aと、前記感光層及び保護フィルムの接着力Bとが、接着力A>接着力Bの関係であることが好ましい。
前記支持体と保護フィルムとの組合せ(支持体/保護フィルム)としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート/ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート/ポリエチレン、ポリ塩化ビニル/セロフアン、ポリイミド/ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート/ポリエチレンテレフタレートなどが挙げられる。また、支持体及び保護フィルムの少なくともいずれかを表面処理することにより、上述のような接着力の関係を満たすことができる。前記支持体の表面処理は、前記感光層との接着力を高めるために施されてもよく、例えば、下塗層の塗設、コロナ放電処理、火炎処理、紫外線照射処理、高周波照射処理、グロー放電照射処理、活性プラズマ照射処理、レーザ光線照射処理などを挙げることができる。
また、前記支持体と前記保護フィルムとの静摩擦係数としては、0.3〜1.4が好ましく、0.5〜1.2がより好ましい。
前記静摩擦係数が、0.3未満であると、滑り過ぎるため、ロール状にした場合に巻ズレが発生することがあり、1.4を超えると、良好なロール状に巻くことが困難となることがある。
前記パターン形成材料は、例えば、円筒状の巻芯に巻き取って、長尺状でロール状に巻かれて保管されることが好ましい。前記長尺状のパターン形成材料の長さとしては、特に制限はなく、例えば、10m〜20,000mの範囲から適宜選択することができる。また、ユーザーが使いやすいようにスリット加工し、100m〜1,000mの範囲の長尺体をロール状にしてもよい。なお、この場合には、前記支持体が一番外側になるように巻き取られることが好ましい。また、前記ロール状のパターン形成材料をシート状にスリットしてもよい。保管の際、端面の保護、エッジフュージョンを防止する観点から、端面にはセパレーター(特に防湿性のもの、乾燥剤入りのもの)を設置することが好ましく、また梱包も透湿性の低い素材を用いる事が好ましい。
前記保護フィルムは、前記保護フィルムと前記感光層との接着性を調整するために表面処理してもよい。前記表面処理は、例えば、前記保護フィルムの表面に、ポリオルガノシロキサン、弗素化ポリオレフィン、ポリフルオロエチレン、ポリビニルアルコール等のポリマーからなる下塗層を形成させる。該下塗層の形成は、前記ポリマーの塗布液を前記保護フィルムの表面に塗布した後、30〜150℃(特に50〜120℃)で1〜30分間乾燥させることにより形成させることができる。また、前記感光層、前記支持体、前記保護フィルムの他に、剥離層、接着層、光吸収層、表面保護層などの層を有してもよい。
<被処理基体>
前記被処理基体(以下、「基体」ということがある)としては、特に制限はなく、公知の材料の中から表面平滑性の高いものから凸凹のある表面を有するものまで適宜選択することができるが、板状の基体(基板)が好ましく、具体的には、公知のプリント配線板形成用基板(例えば、銅張積層板)、ガラス板(例えば、ソーダガラス板等)、合成樹脂性のフィルム、紙、金属板などが挙げられる。
前記基体は、該基体上に前記パターン形成材料における感光層が重なるようにして積層してなる積層体を形成して用いることができる。即ち、前記積層体におけるパターン形成材料の前記感光層に対して露光することにより、露光した領域を硬化させ、後述する現像工程によりパターンを形成することができる。
前記パターン形成材料は、プリント配線板、カラーフィルタや柱材、リブ材、スペーサー、隔壁などのディスプレイ用部材、ホログラム、マイクロマシン、プルーフなどのパターン形成用として広く用いることができ、特に本発明のパターン形成方法に好適に用いることができる。
[その他工程]
前記その他の工程としては、特に制限はなく、公知のパターン形成における工程の中から適宜選択することが挙げられるが、例えば、現像工程、エッチング工程、メッキ工程などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
前記現像工程は、前記露光工程により前記感光層を露光し、該感光層の露光した領域を硬化させた後、未硬化領域を除去することにより現像し、パターンを形成する工程である。
前記未硬化領域の除去方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、現像液を用いて除去する方法などが挙げられる。
前記現像液としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、アルカリ性水溶液、水系現像液、有機溶剤などが挙げられ、これらの中でも、弱アルカリ性の水溶液が好ましい。該弱アルカリ水溶液の塩基成分としては、例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素リチウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、ピロリン酸ナトリウム、ピロリン酸カリウム、硼砂などが挙げられる。
前記弱アルカリ性の水溶液のpHとしては、例えば、約8〜12が好ましく、約9〜11がより好ましい。前記弱アルカリ性の水溶液としては、例えば、0.1〜5質量%の炭酸ナトリウム水溶液又は炭酸カリウム水溶液などが挙げられる。
前記現像液の温度としては、前記感光層の現像性に合わせて適宜選択することができるが、例えば、約25℃〜40℃が好ましい。
前記現像液は、界面活性剤、消泡剤、有機塩基(例えば、エチレンジアミン、エタノールアミン、テトラメチルアンモニウムハイドロキサイド、ジエチレントリアミン、トリエチレンペンタミン、モルホリン、トリエタノールアミン等)や、現像を促進させるため有機溶剤(例えば、アルコール類、ケトン類、エステル類、エーテル類、アミド類、ラクトン類等)などと併用してもよい。また、前記現像液は、水又はアルカリ水溶液と有機溶剤を混合した水系現像液であってもよく、有機溶剤単独であってもよい。
前記エッチング工程としては、公知のエッチング処理方法の中から適宜選択した方法により行うことができる。
前記エッチング処理に用いられるエッチング液としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、前記金属層が銅で形成されている場合には、塩化第二銅溶液、塩化第二鉄溶液、アルカリエッチング溶液、過酸化水素系エッチング液などが挙げられ、これらの中でも、エッチングファクターの点から塩化第二鉄溶液が好ましい。
前記エッチング工程によりエッチング処理した後に前記パターンを除去することにより、前記基体の表面に永久パターンを形成することができる。
前記永久パターンとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、配線パターンなどが好適に挙げられる。
前記メッキ工程としては、公知のメッキ処理の中から適宜選択した適宜選択した方法により行うことができる。
前記メッキ処理としては、例えば、硫酸銅メッキ、ピロリン酸銅メッキ等の銅メッキ、ハイフローはんだメッキ等のはんだメッキ、ワット浴(硫酸ニッケル−塩化ニッケル)メッキ、スルファミン酸ニッケル等のニッケルメッキ、ハード金メッキ、ソフト金メッキ等の金メッキなど処理が挙げられる。
前記メッキ工程によりメッキ処理した後に前記パターンを除去することにより、また更に必要に応じて不要部をエッチング処理等で除去することにより、前記基体の表面に永久パターンを形成することができる。
本発明のパターン形成方法は、前記パターン形成材料の被露光面上に形成される前記パターンの解像度のばらつきや濃度のむらを軽減し、結像させる像の歪みを抑制することにより、パターンを高精細に、かつ、効率よく形成可能であるため、高精細な露光が必要とされる各種パターンの形成などに好適に使用することができ、特に高精細な配線パターンの形成に好適に使用することができる。
〔プリント配線板の製造方法〕
本発明のパターン形成方法は、プリント配線板の製造、特にスルーホール又はビアホールなどのホール部を有するプリント配線板の製造に好適に用いることができる。以下、本発明のパターン形成方法を利用したプリント配線板の製造方法について説明する。
特に、スルーホール又はビアホールなどのホール部を有するプリント配線板の製造方法としては、(1)前記基体としてホール部を有するプリント配線板形成用基板上に、前記パターン形成材料を、その感光層が前記基体側となる位置関係にて積層して積層体形成し、(2)前記積層体の前記基体とは反対の側から、配線パターン形成領域及びホール部形成領域に光照射行い感光層を硬化させ、(3)前記積層体から前記パターン形成材料における支持体を除去し、(4)前記積層体における感光層を現像して、該積層体中の未硬化部分を除去することによりパターンを形成することができる。
なお、前記(3)における前記支持体の除去は、前記(2)と前記(4)との間で行う代わりに、前記(1)と前記(2)との間で行ってもよい。
その後、プリント配線板を得るには、前記形成したパターンを用いて、前記プリント配線板形成用基板をエッチング処理又はメッキ処理する方法(例えば、公知のサブトラクティブ法又はアディティブ法(例えば、セミアディティブ法、フルアディティブ法))により処理すればよい。これらの中でも、工業的に有利なテンティングでプリント配線板を形成するためには、前記サブトラクティブ法が好ましい。前記処理後プリント配線板形成用基板に残存する硬化樹脂は剥離させ、また、前記セミアディティブ法の場合は、剥離後さらに銅薄膜部をエッチングすることにより、所望のプリント配線板を製造することができる。また、多層プリント配線板も、前記プリント配線板の製造法と同様に製造が可能である。
次に、前記パターン形成材料を用いたスルーホールを有するプリント配線板の製造方法について、更に説明する。
まずスルーホールを有し、表面が金属メッキ層で覆われたプリント配線板形成用基板を用意する。前記プリント配線板形成用基板としては、例えば、銅張積層基板及びガラス−エポキシなどの絶縁基材に銅メッキ層を形成した基板、又はこれらの基板に層間絶縁膜を積層し、銅メッキ層を形成した基板(積層基板)を用いることができる。
次に、前記パターン形成材料上に保護フィルムを有する場合には、該保護フィルムを剥離して、前記パターン形成材料における感光層が前記プリント配線板形成用基板の表面に接するようにして加圧ローラを用いて圧着する(積層工程)。これにより、前記プリント配線板形成用基板と前記積層体とをこの順に有する積層体が得られる。
前記パターン形成材料の積層温度としては、特に制限はなく、例えば、室温(15〜30℃)、又は加熱下(30〜180℃)が挙げられ、これらの中でも、加温下(60〜140℃)が好ましい。
前記圧着ロールのロール圧としては、特に制限はなく、例えば、0.1〜1MPaが好ましい。
前記圧着の速度としては、特に制限はなく、1〜3m/分が好ましい。
また、前記プリント配線板形成用基板を予備加熱しておいてもよく、また、減圧下で積層してもよい。
前記積層体の形成は、前記プリント配線板形成用基板上に前記パターン形成材料における前記感光層を積層して形成する方法以外に、前記パターン形成材料の感光層を製造するための感光性樹脂組成物溶液を、前記プリント配線板形成用基板の表面に直接塗布し、乾燥させることにより形成する方法であってもよい。
次に、前記積層体の基体とは反対側の面から、光を照射して感光層を硬化させる。なおこの際、必要に応じて(例えば、支持体の光透過性が不十分な場合など)支持体を剥離してから露光を行ってもよい。
この時点で、前記支持体を未だ剥離していない場合には、前記積層体から該支持体を剥がす(支持体剥離工程)。
次に、前記プリント配線板形成用基板上の感光層の未硬化領域を、適当な現像液にて溶解除去して、配線パターン形成用の硬化層とスルーホールの金属層保護用硬化層のパターンを形成し、前記プリント配線板形成用基板の表面に金属層を露出させる(現像工程)。
また、現像後に必要に応じて後加熱処理や後露光処理によって、硬化部の硬化反応を更に促進させる処理をおこなってもよい。現像は上記のようなウエット現像法であってもよく、ドライ現像法であってもよい。
次いで、前記プリント配線板形成用基板の表面に露出した金属層をエッチング液で溶解除去する(エッチング工程)。スルーホールの開口部は、硬化樹脂組成物(テント膜)で覆われているので、エッチング液がスルーホール内に入り込んでスルーホール内の金属メッキを腐食することなく、スルーホールの金属メッキは所定の形状で残ることになる。これより、前記プリント配線板形成用基板に配線パターンが形成される。
前記エッチング液としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、前記金属層が銅で形成されている場合には、塩化第二銅溶液、塩化第二鉄溶液、アルカリエッチング溶液、過酸化水素系エッチング液などが挙げられ、これらの中でも、エッチングファクターの点から塩化第二鉄溶液が好ましい。
次に、強アルカリ水溶液などにて前記硬化層を剥離片として、前記プリント配線板形成用基板から除去する(硬化物除去工程)。
前記強アルカリ水溶液における塩基成分としては、特に制限はなく、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどが挙げられる。
前記強アルカリ水溶液のpHとしては、例えば、約12〜14が好ましく、約13〜14がより好ましい。
前記強アルカリ水溶液としては、特に制限はなく、例えば、1〜10質量%の水酸化ナトリウム水溶液又は水酸化カリウム水溶液などが挙げられる。
また、プリント配線板は、多層構成のプリント配線板であってもよい。
なお、前記パターン形成材料は上記のエッチングプロセスのみでなく、メッキプロセスに使用してもよい。前記メッキ法としては、例えば、硫酸銅メッキ、ピロリン酸銅メッキ等の銅メッキ、ハイフローはんだメッキ等のはんだメッキ、ワット浴(硫酸ニッケル−塩化ニッケル)メッキ、スルファミン酸ニッケル等のニッケルメッキ、ハード金メッキ、ソフト金メッキ等の金メッキなどが挙げられる。
以下、実施例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(実施例1)
−パターン形成材料の製造−
前記支持体として20μm厚のポリエチレンテレフタレートフィルムに、下記の組成からなる感光性樹脂組成物溶液を塗布し乾燥させて、15μm厚の感光層を形成し、前記パターン形成材料を製造した。
[感光性樹脂組成物溶液の組成]
・メタクリル酸/メチルメタクリレート/スチレン共重合体(共重合体組成(質量比):
29/19/52、質量平均分子量:60,000、酸価189) 11.8質量部
・下記構造式(70)で表される重合性モノマー 5.6質量部
・ヘキサメチレンジイソシアネートとペンタエチレンオキシドモノメタアクリレートの
1/2モル比付加物 5.0質量部
・ドデカプロピレングリコールジアクリレート 0.56質量部
・N−メチルアクリドン 0.11質量部
・2,2−ビス(o−クロロフェニル)−4,4′,5,5′−テトラフェニルビイミ
ダゾール 2.17質量部
・2−メルカプトベンズイミダゾール 0.23質量部
・マラカイトグリーンシュウ酸塩 0.02質量部
・ロイコクリスタルバイオレット 0.26質量部
・メチルエチルケトン 40質量部
・1−メトキシ−2−プロパノール 20質量部
但し、構造式(70)中、m+nは、10を表す。なお、構造式(70)は、前記構造式(35)で表される化合物の一例である。
前記パターン形成材料の感光層の上に、前記保護フィルムとして20μm厚のポリエチレンフィルムを積層した。
次に、前記基体として、表面を研磨、水洗、乾燥した銅張積層板(スルーホールなし、銅厚み12μm)の表面に、前記パターン形成材料の保護フィルムを剥がしながら、該パターン形成材料の感光層が前記銅張積層板に接するようにしてラミネーター(MODEL8B−720−PH、大成ラミネーター(株)製)を用いて圧着させ、前記銅張積層板と、前記感光層と、前記ポリエチレンテレフタレートフィルム(支持体)とがこの順に積層された積層体を調製した。
圧着条件は、圧着ロール温度 105℃、圧着ロール圧力 0.3MPa、ラミネート速度 1m/分とした。
前記調製した積層体におけるパターン形成材料の感光層に対して下記装置を用いて露光を行い、(a)解像度、(b)エッジラフネス、及び(c)エッチング性を以下の方法により評価した。結果を表3に示す。
<(a)解像度>
(1)最短現像時間の測定方法
前記積層体から前記支持体を剥がし取り、銅張積層板上の前記感光層の全面に30℃の1質量%炭酸ナトリウム水溶液を0.15MPaの圧力にてスプレーし、炭酸ナトリウム水溶液のスプレー開始から銅張積層板上の感光層が溶解除去されるまでに要した時間を測定し、これを最短現像時間とした。
この結果、前記最短現像時間は、10秒であった。
(2)感度の測定
前記調製した積層体におけるパターン形成材料の感光層に対し、前記支持体側から、以下に説明する露光装置を用いて、0.1mJ/cmから21/2倍間隔で100mJ/cmまでの光エネルギー量の異なる光を照射し、前記感光層の一部の領域を硬化させた。室温にて10分間静置した後、前記積層体から前記支持体を剥がし取り、銅張積層板上の感光層の全面に、30℃の1質量%炭酸ナトリウム水溶液をスプレー圧0.15MPaにて前記(1)で求めた最短現像時間の2倍の時間スプレーし、未硬化の領域を溶解除去して、残った硬化領域の厚みを測定した。次いで、光の照射量と、硬化層の厚さとの関係をプロットして感度曲線を得た。該感度曲線から、硬化領域の厚みが露光前の感光層と同じ15μmとなった時の光エネルギー量を、感光層を硬化させるために必要な光エネルギー量とした。
この結果、前記感光層を硬化させるために必要な光エネルギー量は、3.5mJ/cmであった。
<<露光装置>>
前記光照射手段として図4A〜図8に示した合波レーザ光源と、前記光変調手段として図2に概略図を示したDMDであって、主走査方向にマイクロミラーが1024個配列されたマイクロミラー列が、副走査方向に768組配列された内、1024個×256列のみを駆動するように制御したDMDと、図1に示した光学系とを有する露光ヘッドを備えた露光装置を用いた。
前記露光ヘッドでは、集光光学系は、ロッドインテグレータ118が備える光量分布補正機能とは別に、ファイバアレイ光源から入射されるレーザ光に対し、主光線の角度に所定の分布を持たせたレーザ光を出射してDMDに照射する機能を備えている。
また、光量分布量の大きさは、マイクロレンズアレイによって生じる周辺部の光量低下量以上に設定し、図9Bに示す光軸中心からの所定距離YAについては、光軸中心から照明領域の周辺端部(DMDの外周端部)までの距離をYSとすると、YS>YA>YS/2に設定した。
(3)解像度の測定
前記(1)の最短現像時間の評価方法と同じ方法及び条件で前記積層体を作製し、室温(23℃、55%RH)にて10分間静置した。得られた積層体のポリエチレンテレフタレートフィルム(支持体)上から、前記露光装置を用いて、ライン/スペース=1/1でライン幅10μm〜50μmまで1μm刻みで各線幅の露光を行う。この際の露光量は、前記(2)で測定した前記パターン形成材料の感光層を硬化させるために必要な光エネルギー量である。室温にて10分間静置した後、前記積層体からポリエチレンテレフタレートフィルム(支持体)を剥がし取る。銅張積層板上の感光層の全面に30℃の1質量%炭酸ナトリウム水溶液をスプレー圧0.15MPaにて前記(1)で求めた最短現像時間の2倍の時間スプレーし、未硬化領域を溶解除去する。この様にして得られた硬化樹脂パターン付き銅張積層板の表面を光学顕微鏡で観察し、硬化樹脂パターンのラインにツマリ、ヨレ等の異常が無く、かつスペース形成可能な最小のライン幅を測定し、これを解像度とした。該解像度は数値が小さいほど良好である。
<(b)エッジラフネス>
前記積層体に、前記露光装置を用いて、前記露光ヘッドの走査方向と直交する方向の横線パターンが形成されるように照射して露光し、前記感光層の一部の領域を前記解像度の測定における(3)と同様にしてパターンを形成した。得られたパターンのうち、ライン幅30μmのラインの任意の5箇所について、レーザ顕微鏡(VK−9500、キーエンス(株)製;対物レンズ50倍)を用いて観察し、視野内のエッジ位置のうち、最も膨らんだ箇所(山頂部)と、最もくびれた箇所(谷底部)との差を絶対値として求め、観察した5箇所の平均値を算出し、これをエッジラフネスとした。該エッジラフネスは、値が小さい程、良好な性能を示すため好ましい。結果を表3に示す。
<(c)エッチング性>
前記解像度の測定において形成したパターンを有する前記積層体を用いて、該積層体における露出した銅張積層板の表面に、塩化鉄エッチャント(塩化第二鉄含有エッチング溶液、40°ボーメ、液温40℃)を0.25MPaで、36秒スプレーして、硬化層で覆われていない露出した領域の銅層を溶解除去することによりエッチング処理を行った。次いで、2質量%の水酸化ナトリウム水溶液をスプレーすることにより前記形成したパターンを除去して、表面に前記永久パターンとして銅層の配線パターンを備えたプリント配線板を作製した。該プリント配線基板上の配線パターンを光学顕微鏡で観察し、該配線パターンの最小のライン幅を測定した。この最小ライン幅が小さいほど高精細な配線パターンが得られ、エッチング性に優れていることを意味する。結果を表3に示す。
(実施例2)
実施例1において、露光装置を、下記に説明するものに代えた以外は、実施例1と同様にしてパターンを形成し、(a)解像度、(b)エッジラフネス、及び(c)エッチング性を評価した。結果を表3に示す。
<<露光装置>>
前記光照射手段として図4〜8に示した合波レーザ光源と、前記光変調手段として図2に概略図を示したDMDであって、主走査方向にマイクロミラーが1024個配列されたマイクロミラー列が、副走査方向に768組配列された内、1024個×256列のみを駆動するように制御したDMDと、図1に示した光学系とを有する露光ヘッドを備えた露光装置を用いた。図1に示す前記露光ヘッドのロッドインテグレータ118と集光レンズ120の間には、前記光分布補正手段として、図11Aに示すような2枚で一組の平凸レンズ152、154により構成されたテレセントリック光学系150が設けられている。
レーザ光の入射側(ファイバアレイ光源112側)に配置された平凸レンズ152は、入射面S2の面形状が、曲率半径が光軸(光軸中心)Xから離れるに従い大きくなる非球面、換言すれば、曲率が光軸Xから離れるに従い小さくなる非球面とされ、出射面S3が平面状とされている。
また、レーザ光の出射側(DMD50側)に配置された平凸レンズ154は、入射面S4が平面状とされ、出射面S5の面形状が、曲率半径が光軸Xから離れるに従い小さくなる非球面、換言すれば、曲率が光軸Xから離れるに従い大きくなる非球面とされている。
この露光装置を用いることにより、前記テレセントリック光学系150から平行化されて出射されたレーザビームの光量分布は、光軸中心に対して周辺部の分布密度が高くなり、このレーザビームが照射されたDMD50では、レーザ光照射領域の中心部(光軸中心)よりも周辺部の光量が増加される。その後、レーザビームがマイクロレンズアレイ128を透過することで、光軸中心部に対する周辺部の光量低下を生じ、露光面には光量分布が均一になるよう補正された光ビームが照射される。
(実施例3)
実施例1において、感光性樹脂組成物溶液のヘキサメチレンジイソシアネートとペンタエチレンオキシドモノメタアクリレートの1/2モル比付加物を、下記構造式(71)で表される化合物に代えた以外は実施例1と同様にしてパターン形成材料、及び積層体を調製し、パターンを形成し、(a)解像度、(b)エッジラフネス、及び(c)エッチング性を評価した。結果を表3に示す。
なお、最短現像時間は10秒であり、前記感光層を硬化させるために必要な光エネルギー量は3.5mJ/cmであった。また、前記構造式(71)で表される化合物は、前記構造式(24)で表される化合物の一例である。
(実施例4)
実施例1において、感光性樹脂組成物溶液のヘキサメチレンジイソシアネートとテトラエチレンオキシドモノメタアクリレートの1/2モル比付加物を、下記構造式(72)に示す化合物に代えた以外は実施例1と同様にしてパターン形成材料、及び積層体を調製し、パターンを形成し、(a)解像度、(b)エッジラフネス、及び(c)エッチング性を評価した。結果を表3に示す。
なお、最短現像時間は10秒であり、前記感光層を硬化させるために必要な光エネルギー量は3.5mJ/cmであった。また、前記構造式(72)で表される化合物は、前記構造式(22)で表される化合物の一例である。
(実施例5)
実施例1において、メタクリル酸/メチルメタクリレート/スチレン共重合体(共重合体組成(質量比):29/19/52、質量平均分子量:60,000、酸価189)を、メチルメタクリレート/スチレン/ベンジルメタクリレート/メタクリル酸共重合体(共重合体組成(質量比):8/30/37/25、質量平均分子量:60,000、酸価163)に代えたこと以外は実施例1と同様にしてパターン形成材料、及び積層体を調製し、パターンを形成し、(a)解像度、(b)エッジラフネス、及び(c)エッチング性を評価した。結果を表3に示す。
なお、最短現像時間は10秒であり、感光層を硬化させるために必要な光エネルギー量は4mJ/cmであった。
(比較例1)
実施例1の露光装置において、集光光学系に光分布補正手段を備えない構成の露光ヘッドを用いた以外は、実施例1と同様にしてパターン形成材料、及び積層体を調製し、パターンを形成し、(a)解像度、(b)エッジラフネス、及び(c)エッチング性を評価した。結果を表3に示す。
なお、感光層を硬化させるために必要な光エネルギー量は3.5mJ/cmであった。
(比較例2)
実施例2の露光装置において、集光光学系に光分布補正手段を備えない構成の露光ヘッドを用いた以外は、実施例2と同様にしてパターン形成材料、及び積層体を調製し、パターンを形成し、(a)解像度、(b)エッジラフネス、及び(c)エッチング性を評価した。結果を表3に示す。
なお、感光層を硬化させるために必要な光エネルギー量は3.5mJ/cmであった。
表3の結果から、比較例1及び2の配線パターンと比較して、光分布補正手段を備えた露光ヘッドを使用した実施例1〜5の配線パターンは高精細であり、エッジラフネスも小さく、また、エッチング性に優れることがわかった。さらに、光分布補正手段を備えた露光ヘッドを使用することにより、低コストで高精細な露光を実現することができ、また、効率の良い露光ができることがわかった。
本発明のパターン形成方法は、描画単位が2次元的に分布した露光ヘッドを備えるデジタル露光装置を用いた露光において、コストを抑えつつ、2次元的に分布した各描画単位の光量を均一化することにより、微細なパターンを高精度に形成可能なパターン形成方法を提供することができるため、高精細な露光が必要とされる各種パターンの形成などに好適に使用することができ、特に高精細な配線パターンの形成に好適に使用することができる。
図1は、本発明のカラーフィルタの製造方法に用いられる露光装置が備える露光ヘッドの光学系を示す概略構成図である。 図2は、デジタル・マイクロミラー・デバイス(DMD)の構成を示す部分拡大図の一例である。 図3Aは、図2に示したDMDの動作を説明するための説明図である。 図3Bは、図2に示したDMDの動作を説明するための説明図である。 図4Aは、ファイバアレイ光源の構成を示す斜視図である。 図4Bは、図4Aのレーザ出射部における発光点の配列を示す平面図である。 図5は、合波レーザ光源の構成を示す平面図である。 図6は、レーザモジュールの構成を示す平面図である。 図7は、図6に示すレーザモジュールの構成を示す側面図である。 図8は、図6に示すレーザモジュールの構成を示す部分側面図である。 図9Aは、DMD上に照射されるレーザ光の主光線の傾きを模式的に示す模式図である。 図9BはDMD上に照射されるレーザ光の主光線角度の分布を示すグラフ図である。 図10は、図9Bに示したDMD上に照射されるレーザ光の主光線角度の分布(1)に対応する、主光線角度の分布を有するレーザ光をDMD上に照射したときの光量分布を示すグラフ図(2)、DMD−マイクロレンズアレイ間の光透過特性を示すグラフ図(3)、前記グラフ図(3)のように調整したレーザ光で画像露光を行うことにより露光エリアでの光量分布が均一化されて補正された状態を示すグラフ図(4)である。 図11Aは、テレセントリック光学系を示す構成図であり、本発明の第2の実施形態に係る非球面レンズを有するテレセントリック光学系を示す構成図である。 図11Bは、テレセントリック光学系を示す構成図であり、図11Aのテレセントリック光学系のベースとなる球面レンズを有するテレセントリック光学系を示す構成図である。
符号の説明
50 DMD(空間変調素子)
62 マイクロミラー(描素部)
100 露光ヘッド
112 ファイバアレイ光源(光源)
114 集光光学系(光量分布補正手段)
134 感光材料
150 テレセントリック光学系
152 平凸レンズ(第1の光学レンズ)
154 平凸レンズ(第2の光学レンズ)
LB レーザ光(光ビーム)
S2 入射面
S3 出射面
S4 入射面
S5 出射面
X 光軸

Claims (23)

  1. 支持体上に感光層を有するパターン形成材料における該感光層を、被処理基体上に積層した後、
    該感光層に対し、n個(ただし、nは1以上の自然数)の2次元的に配列された描素部を有し、パターン情報に応じて前記描素部毎に光変調状態を変化させる光変調手段に、光照射手段から出射した光ビームを光分布補正手段を有する集光光学系を介して照射し、前記光変調手段により変調された光ビームを照射して露光を行うことを少なくとも含み、
    該露光が、前記光照射手段から前記光変調手段に照射される光ビームの照射領域内での光量に分布を持たせ、前記光変調手段により変調された光ビームの光量分布が、前記感光層の被露光面上において均一となるように補正されて行われることを特徴とするパターン形成方法。
  2. 光照射手段から出射した光ビームを、集光光学系により、主光線の角度に分布を有する光ビームとして光変調手段に照射する請求項1に記載のパターン形成方法。
  3. 光照射手段から出射された光ビームを、集光光学系により、テレセントリック光として光変調手段に照射する請求項1に記載のパターン形成方法。
  4. 集光光学系が、光軸中心から離れるに従いレンズパワーが小さくなるような非球面形状を有する第一の光学レンズと、光軸中心から離れるに従いレンズパワーが大きくなるような非球面形状を有する第二の光学レンズとからなる光分布補正手段を有する請求項3に記載のパターン形成方法。
  5. 集光光学系が、光照射手段から光変調手段に照射される光ビームの照射領域内において、中心部よりも周辺部の光量を増加させる請求項1から4のいずれかに記載のパターン形成方法。
  6. 光変調手段が、空間光変調素子である請求項1から5のいずれかに記載のパターン形成方法。
  7. 露光が行われた後、感光層の現像を行う請求項1から6のいずれかに記載のパターン形成方法。
  8. 現像が行われた後、永久パターンの形成を行う請求項1から7のいずれかに記載のパターン形成方法。
  9. 永久パターンが配線パターンであり、該永久パターンの形成がエッチング処理及びメッキ処理の少なくともいずれかにより行われる請求項8に記載のパターン形成方法。
  10. 光照射手段が、2以上の光を合成して照射可能である請求項1から9のいずれかに記載のパターン形成方法。
  11. 光照射手段が、複数のレーザと、マルチモード光ファイバと、該複数のレーザからそれぞれ照射されたレーザビームを平行光化して集光し、前記マルチモード光ファイバの入射端面に収束させる光源集光光学系とを有する請求項1から10のいずれかに記載のパターン形成方法。
  12. 感光層が、バインダーと、重合性化合物と、光重合開始剤とを含む請求項1から11のいずれかに記載のパターン形成方法。
  13. バインダーが、酸性基を有する請求項12に記載のパターン形成方法。
  14. バインダーが、ビニル共重合体である請求項12から13のいずれかに記載のパターン形成方法。
  15. バインダーの酸価が、70〜250mgKOH/gである請求項12から14のいずれかに記載のパターン形成方法。
  16. 重合性化合物が、ウレタン基及びアリール基の少なくともいずれかを有するモノマーを含む請求項12から15のいずれかに記載のパターン形成方法。
  17. 光重合開始剤が、ハロゲン化炭化水素誘導体、ヘキサアリールビイミダゾール、オキシム誘導体、有機過酸化物、チオ化合物、ケトン化合物、芳香族オニウム塩及びメタロセン類から選択される少なくとも1種を含む請求項12から16のいずれかに記載のパターン形成方法。
  18. 感光層が、バインダーを10〜90質量%含有し、重合性化合物を5〜90質量%含有する請求項1から17のいずれかに記載のパターン形成方法。
  19. 感光層の厚みが、1〜100μmである請求項1から18のいずれかに記載のパターン形成方法。
  20. 支持体が、合成樹脂を含み、かつ透明である請求項1から19のいずれかに記載のパターン形成方法。
  21. 支持体が、長尺状である請求項1から20のいずれかに記載のパターン形成方法。
  22. パターン形成材料が、長尺状であり、ロール状に巻かれてなる請求項1から21のいずれかに記載のパターン形成方法。
  23. パターン形成材料における感光層上に保護フィルムを形成する請求項1から22のいずれかに記載のパターン形成方法。
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