JP2007017382A - マイクロアレイの製造方法および製造装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 生体関連物質に対する特異的結合物質を含む溶液を、その濃度を確認しながら、規定された濃度範囲内で、正確に吐出することができるマイクロアレイの製造方法および製造装置を提供する。
【解決手段】 生体関連物質に対する複数の互いに異なる種類あるいは同一種類の既知の特異的結合物質を含む溶液をマイクロプレート3に分注し、該溶液の濃度を、分光光度計5で測定した該溶液の吸光度より、少なくとも1回確認し、濃度異常が認められた溶液に代わって正常な濃度の溶液を再調製するか、濃度異常が認められた溶液の濃度を正常な範囲内に調整してから、吐出部1により担体2の所定の位置に供給する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、DNAの解析や免疫学的解析に用いられるマイクロアレイの製造方法および製造装置に関する。
近年、ヒトゲノムの解析では、システマティックな塩基配列からシステマティックな機能解析へと焦点が移ってきている。遺伝情報の具体的内容は、生体内においていかなるタンパク質がいかなる条件で合成されるかという点につきるものであるが、前者すなわちいかなるタンパク質が合成されているかという点についての解析には、従来より、ウエスタン・ブロット法、ノーザン・ブロット法およびサザン・ブロット法等の解析方法が広く用いられている。しかしながらこれらの解析方法は、取り出された特定のタンパク質やDNA、RNAなどがいかなるものであるかという点については解析できても、細胞から抽出されたすべてのタンパク質やDNA、RNAを一度に解析するには必ずしも適したものではなかった。
一方、後者すなわちタンパク質がいかなる条件で合成されるかという点についての解析には、タンパク質合成が転写のレベルで制御されているために従来の解析方法では充分な解析ができず、その最大の原因は、DNAにおける制御配列と対応する制御内容の双方のデータが不足していたためであった。
しかしここにきて、DNAチップやDNAマイクロアレイと呼ばれる、1センチ四方程度の担体表面上に、高密度に任意のオリゴヌクレオチドを固定化する技術の進歩によって、遺伝子の発現情報の解析が飛躍的に進歩することが期待されている。
DNAチップは、シリコンチップをフォトリソグラフィー技術によって多くの区画に分割し、それぞれの区画上に特定の塩基配列を持った一本鎖DNAを直接合成したものである。また、DNAマイクロアレイは、従来、メンブレン上にプロットされたスポットサイズが約300μmあるいはそれ以上であったものが、スポットサイズが約200μmあるいはそれ以下のものをスライドグラス上にプロットしたものへと、高機能化されてきている。
これらDNAチップあるいはDNAマイクロアレイは、通常、信号読取装置とコンピュータシステムにつながれ、チップ上あるいはマイクロアレイ上に配置されたDNAがどのプローブとハイブリダイゼーションしたかを知ることができるようになっている。これらDNAチップやDNAマイクロアレイは、チップ上あるいはマイクロアレイ上に配置されるDNAの種類とその配置次第で、遺伝子DNAの変異解析、多型解析、塩基配列解析、発現解析などさまざまな用途に用いることが可能なものである。
しかしながら、DNAマイクロアレイを用いた解析に関しては、マイクロアレイの作製やその検出装置の詳細な検討がなされ始めたばかりであり、まだ多くの問題点を抱えている。例えば、マイクロアレイはスポッター装置と呼ばれるもので、オリゴDNA、またはcDNAをスライドグラス上にプロットして作製するが、その作製方法としては、スライドグラス上にピンを直接接触させてオリゴDNA、またはcDNAを配置する接触プリンティング法や、スライドグラス上にインクジェット技術を用いて、オリゴDNA、またはcDNAをプロットする非接触プリンティング法がある。
前記の遺伝子DNAの変異解析、多型解析、塩基配列解析、発現解析を行うには、複数の異なるDNAを、スライドグラス上のそれぞれ予め決められた所定の位置に正確にスポットしたマイクロアレイを作製しなければならない。
このようなマイクロアレイの作製法として、例えば、マイクロプレートに分注されたプローブ溶液を供給した後にこれを吐出し、吐出後は液体吐出装置内に残存したプローブ溶液を排出除去、洗浄の後に別のプローブ溶液を吸引してこれを吐出させることを繰り返すことにより、同じノズルから多種類のプローブ溶液を吐出する方法が開示されている(特許文献1参照)。
この方法によれば、多種類のプローブ溶液を吐出するに際して、多数のノズルあるいは吐出ヘッドを必要としないため、マイクロアレイ製造装置全体の大型化を招くことなく、マイクロアレイを製造することができる。
特開2002−286733号公報
しかし、特許文献1に記載の方法では、例えば、マイクロアレイ上に多数のスポットを作製する場合やマイクロアレイを大量生産する場合など、マイクロアレイの製造時間が長引くと、マイクロプレートに分注されたプローブ溶液は、大気中に長時間さらされることになる。プローブ溶液が大気中に長時間さらされると、プローブ溶液中の水を含む揮発成分の蒸発が起こり、濃度上昇が発生する場合がある。揮発成分の蒸発は、プローブ溶液の濃度変化をもたらすだけでなく、プローブ溶液の粘性、流動性にも変化をもたらし、吐出精度の低下を招くことがある。この場合の吐出精度とは、プローブ溶液の吐出量や吐出方向の精度を指すが、これらが不安定な状態になると、吐出が行われない吐出抜け、吐出方向の位置ズレ、吐出後のスポット形状不良、1回の吐出でメイン液滴とは別にサブ液滴が存在するサテライト等の吐出不良が発生する。サテライトが発生すると、担体上にレイアウト以外のスポットが多数存在し、メイン液滴とサブ液滴が重なり合って担体に供給されたマイクロアレイ、あるいは作製予定のレイアウトとはまったく異なる位置にプローブが供給されたマイクロアレイが作製されてしまう。
前記のように、所定の位置に所定量のプローブ溶液のスポットが行われなかったマイクロアレイや、規定外の濃度でプローブ溶液が吐出されて作製されたマイクロアレイは、製品としての機能を十分に満たしたものではなく、遺伝子DNAの解析結果の精度を低下させてしまう。よって、マイクロアレイの製造に際しては、吐出されているプローブ溶液の濃度等の状態を確認しながら、該プローブ溶液を規定された濃度範囲内で、正確に吐出することができるマイクロアレイ製造装置が必要である。
したがって、本発明の目的は、プローブ溶液を、その濃度を確認しながら、規定された濃度範囲内で、正確に吐出することができるマイクロアレイの製造方法および製造装置を提供することにある。
上記課題を解決するため、
請求項1に記載の発明は、生体関連物質に対する複数の互いに異なる種類あるいは同一種類の既知の特異的結合物質を含む溶液を、担体の所定の位置に供給するマイクロアレイの製造方法であって、該特異的結合物質を含む溶液の供給を、その溶液の濃度を少なくとも1回確認してから行うことを特徴とするマイクロアレイの製造方法である。
請求項2に記載の発明は、前記特異的結合物質を含む溶液を担体の所定の位置に供給する直前に、該溶液の濃度を確認することを特徴とする請求項1に記載のマイクロアレイの製造方法である。
請求項3に記載の発明は、前記特異的結合物質を含む溶液の濃度を、該特異的結合物質に特有の吸収波長の光を照射した時の吸光度を測定して確認することを特徴とする請求項1または2に記載のマイクロアレイの製造方法である。
請求項4に記載の発明は、前記特異的結合物質を含む溶液の濃度を、該溶液の光の透過度によって確認することを特徴とする請求項1または2に記載のマイクロアレイの製造方法である。
請求項5に記載の発明は、前記特異的結合物質を含む溶液の濃度を、該溶液の比重によって確認することを特徴とする請求項1または2に記載のマイクロアレイの製造方法である。
請求項6に記載の発明は、前記特異的結合物質を含む溶液の供給を、確認された溶液の濃度に基づいて制御して行うことを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載のマイクロアレイの製造方法である。
請求項7に記載の発明は、前記特異的結合物質を含む溶液の濃度の確認結果を表示することを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載のマイクロアレイの製造方法である。
請求項8に記載の発明は、前記特異的結合物質を含む溶液の濃度の確認結果を、情報として出力することを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載のマイクロアレイの製造方法である。
請求項9に記載の発明は、前記特異的結合物質を含む溶液の濃度の確認結果を、メモリーに格納することを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載のマイクロアレイの製造方法である。
請求項10に記載の発明は、前記特異的結合物質を含む溶液の濃度が許容範囲外の時に、該溶液の濃度を許容範囲内に再調整して担体に供給することを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項に記載のマイクロアレイの製造方法である。
請求項11に記載の発明は、前記特異的結合物質を含む溶液の濃度が許容範囲外の時に、新たな適正濃度の特異的結合物質を含む溶液を担体に供給することを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項に記載のマイクロアレイの製造方法である。
請求項12に記載の発明は、生体関連物質に対する複数の互いに異なる種類あるいは同一種類の既知の特異的結合物質を含む溶液を、担体の所定の位置に供給するマイクロアレイの製造装置であって、前記特異的結合物質を含む溶液の濃度を確認する手段を有することを特徴とするマイクロアレイの製造装置である。
請求項13に記載の発明は、前記特異的結合物質を含む溶液の濃度を確認する手段が、該溶液の吸光度を測定する手段であることを特徴とする請求項12に記載のマイクロアレイの製造装置である。
請求項14に記載の発明は、前記特異的結合物質を含む溶液の濃度を確認する手段が、該溶液の光の透過度を測定する手段であることを特徴とする請求項12に記載のマイクロアレイの製造装置である。
請求項15に記載の発明は、前記特異的結合物質を含む溶液の濃度を確認する手段が、該溶液の比重を確認する手段であることを特徴とする請求項12に記載のマイクロアレイの製造装置である。
請求項16に記載の発明は、前記特異的結合物質を含む溶液の濃度の確認結果を表示する手段を有することを特徴とする請求項12〜15のいずれか一項に記載のマイクロアレイの製造装置である。
請求項17に記載の発明は、前記特異的結合物質を含む溶液の濃度の確認結果を、情報として出力する手段を有することを特徴とする請求項12〜16のいずれか一項に記載のマイクロアレイの製造装置である。
請求項18に記載の発明は、前記特異的結合物質を含む溶液の濃度の確認結果を、メモリーに格納する手段を有することを特徴とする請求項12〜17のいずれか一項に記載のマイクロアレイの製造装置である。
請求項19に記載の発明は、前記特異的結合物質を含む溶液の濃度が許容範囲外の時に、該溶液の濃度を許容範囲内に再調整する手段を有することを特徴とする請求項12〜18のいずれか一項に記載のマイクロアレイの製造装置である。
請求項20に記載の発明は、前記特異的結合物質を含む溶液の濃度が許容範囲外の時に、新たな適正濃度の特異的結合物質を含む溶液を担体に供給する手段を有することを特徴とする請求項12〜18のいずれか一項に記載のマイクロアレイの製造装置である。
本発明によれば、特異的結合物質を含む溶液を担体上に供給する前に、該溶液の濃度を確認することで、許容範囲外の濃度の溶液が担体へ供給されることを防止すると同時に、担体へ供給される該溶液の濃度を常に許容範囲内に保つことで、吐出抜け、吐出位置ズレ、サテライト、スポット形状の不良等を防止でき、マイクロアレイの品質を向上させ、安定させることができる。
以下、本発明を詳しく説明する。
本発明のマイクロアレイの製造方法では、特異的結合物質を含む溶液を担体上に吐出する工程において、該溶液の吸光度、光の透過度および比重のいずれか一つ以上を測定あるいは確認し、該溶液の濃度を確認する。そして、この時得られた濃度の確認結果を表示、および/または情報として出力、および/またはメモリーに格納することが好ましい。
前記濃度の確認結果の表示は、例えば、溶液の濃度が許容範囲内で正常な場合には、吐出可能と表示すること等で行い、濃度が許容範囲外で異常が認められた場合には、濃度異常が発生した溶液があることおよびその溶液の名前と濃度等を表示することで行う。
そして、濃度が正常な場合には、引き続き溶液を担体へ吐出し、濃度が異常な場合には、溶液の担体への吐出を中止する。
濃度異常が発生し吐出が中止された溶液については、代わりに、正常な濃度の特異的結合物質を含む溶液を、設置されているマイクロプレートの未使用の別ウェル若しくは新しいマイクロプレートへ再分注して吐出工程を再開する吐出制御、または、あらかじめ分注してある適正濃度の溶液を用いて吐出工程を再開する吐出制御、あるいは、濃度異常が確認された溶液を最適な濃度に再調整して吐出工程を再開する吐出制御等を行う。
前記吐出制御として具体的には、例えば、別のマイクロプレート上に、または同じマイクロプレート上の未使用の分注ウェル内に、正常な濃度の溶液を再分注し、これを担体に供給する手法が好ましい。あるいは、濃度異常が確認された溶液について、最適な濃度に溶液を希釈するために必要な希釈水の添加量を算出した後に、希釈水をこの溶液に添加して、濃度を再調整する手法を採用してもよい。ここで希釈水とは、純水、超純水等の水を指し、マイクロアレイとしての性能に支障をきたすことなく濃度が調整できるものであれば特に限定されない。また、希釈水の添加は、マイクロアレイ製造装置の吐出部で希釈水を必要量吸引させて行ってもよく、希釈水と濃度異常が確認された溶液との混合は、該吐出部で混合溶液の吸引および吐出を繰り返すことで、または/および吐出部を混合溶液中で微振動させることで行ってもよい。さらに、希釈水の添加および希釈水と濃度異常が確認された溶液との混合を、作業者が手動で行ってもよい。
これらの吐出制御は、吐出工程内であればどのタイミングで行ってもよく、溶液の濃度に異常が確認された時点で行っても、濃度が正常である溶液の担体への吐出が全て終わった後に、濃度異常が確認された溶液の吐出をまとめて行ってもよい。
一方、メモリーに格納されたデータから、溶液の濃度異常が発生しやすい状況、例えば、マイクロプレートへの分注場所やマイクロプレートを設置してからの経過時間を確認し、その結果を踏まえて、溶液の濃度異常が発生しないように工程管理を行うこともできる。データを格納するメモリーは、マイクロアレイ製造装置と連結されたパーソナルコンピューター(以下、PCと略記)、および/または専用サーバー、および/またはマイクロアレイに設けられる。
なお、濃度に関する前記許容範囲とは、マイクロアレイとしての性能に支障のない量のプローブを、配置レイアウト情報通りに担体上に供給できる濃度の範囲のことである。具体的には、特異的結合物質を含む溶液の一部に、水を含む揮発成分の蒸発により、該溶液の濃度上昇が発生し、その結果、マイクロアレイ上の各スポット間にプローブ量のばらつきが発生すること、また、濃度上昇によりもたらされる該溶液の粘性、流動性の変化に起因する該溶液の吐出精度の低下、すなわち、吐出抜け、吐出方向の位置ズレ、吐出後のスポット形状不良、1回の吐出でメイン液滴とは別にサブ液滴が存在するサテライト等の吐出不良が発生すること、等が避けられる濃度の範囲のことであり、特異的結合物質の種類により異なる。
特異的結合物質を含む溶液の濃度の確認は、吐出工程の開始から吐出部で溶液を吸引する前までの間に行えばよいが、該溶液を担体の所定の位置に供給する直前、すなわち、吐出部で溶液を吸引する直前に行うことが好ましい。
また、溶液の濃度確認の回数は、1回でもよいし、複数回でもよい。
本発明のマイクロアレイの製造方法において、特異的結合物質を含む溶液の担体への供給は、例えば、図1に示すように、マイクロプレート設置台4上のマイクロプレート3に該溶液を分注して、この分注された溶液の濃度を分光光度計5で測定した吸光度の値に基づいて確認した後、吐出部1で溶液を吸引し、担体2に吐出することにより供給するという形態を採用することができる。
この時用いるマイクロプレートの一例を拡大したものを、図3に示すが、このようにマイクロプレートには、その表面上に多数の分注ウェル6が形成されており、これら分注ウェル6内に、担体に供給する特異的結合物質を含む溶液を分注する。
本発明で用いる担体とは、特異的結合物質を固定化するものであり、該特異的結合物質を安定に結合あるいは点着できるものであれば特に制限はなく、例えば、多孔質体、メンブレンフィルターあるいはスライドグラス板等を挙げることができる。また、これらの担体は、特異的結合物質を安定に結合あるいは点着するために、化学的な前処理がなされているものであってもよい。
本発明で用いる既知の特異的結合物質とは、生体関連物質と特異的に結合可能な物質のことであり、例えば、ホルモン類、腫瘍マーカー、酵素、抗体、抗原、アブザイム、その他のタンパク質、あるいはDNA、cDNA、RNA、その他の核酸等を挙げることができ、タンパク質であればそのアミノ酸組成等が判っているもの、核酸であればその塩基配列や塩基の長さ等が判っているものを指す。
また、これら特異的結合物質は、担体の所定の各位置ごとに1種類のみが固定化される。
また、ここで言う生体関連物質とは、生体から抽出、単離等された物質であり、担体上の所定の位置に固定化された既知の前記特異的結合物質と特異的に結合する物質のことであるが、生体から直接抽出されたものだけでなく、これらを化学処理あるいは化学修飾等したものも含まれる。例えば、ホルモン類、腫瘍マーカー、酵素、抗体、抗原、アブザイム、その他のタンパク質、あるいはDNA、cDNA、RNA、その他の核酸等の化学処理物あるいは化学修飾物等を挙げることができる。
さらに、前記特異的結合物質と前記生体関連物質との特異的な結合とは、例えば、DNAやRNAの相補的なヌクレオチド配列間の安定な二重鎖の形成(ハイブリダイゼーション)や、抗原と抗体あるいはビオチンとアビジン等のように、特定の物質間で選択的に形成される、特異性の高い分子間力に基づく結合を意味する。
特異的結合物質を含む溶液の濃度の測定は、該特異的結合物質に特有の吸収波長の光を照射した時の吸光度や光の透過度を、分光光度計等を用いて測定することで行うことができる。この時の吸光度および光の透過度の測定方法としては、例えば、マイクロプレートに溶液を分注した状態で、各ウェル毎に特定波長の光を照射して、溶液の吸光度または光の透過度を測定する方法を挙げることができる。
マイクロプレートに分注したプローブ溶液の情報、例えば、プローブ名や吸光係数、吸光度測定値を用いた濃度計算の方法等は、PCに入力しておき、該PCと前記分光光度計とを連結させておくことが好ましい。このようにすることで、分光光度計で得られた吸光度測定値および/または透過度測定値から、PCで溶液濃度を算出することができ、また、その結果をディスプレイ上に表示し、さらに/または情報として格納することにより、該特異的結合物質を含む溶液の濃度を精密に測定することができると同時に、工程を合理化でき、より質の高い品質保証を行うことができる。
特異的結合物質を含む溶液の濃度の確認は、該溶液の比重を確認することで行うこともできる。例えば、マイクロプレート上の分注ウェル内に分注された溶液中に浮ひょうを入れることで、溶液の比重を確認することができる。
すなわち、プローブ溶液の比重が許容範囲内の時には、浮ひょうが該溶液内で沈むように設定しておけば、プローブ溶液内の水を含む揮発成分が蒸発して溶液の比重が上がった場合に、浮ひょうは液面に浮き上がり、溶液の比重に変化があったことを確認できる。
浮ひょうの材質は特に制限されず、浮ひょうの上記機能および溶液中での浮き沈みが阻害されなければ、どのようなものを用いても良いが、水より比重の小さい樹脂、例えば、ポリエチレン、ポリエチレン共重合体、超高分子量ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、ポリアロマー、アイオノマー樹脂等の場合、これらの樹脂よりも比重の高い樹脂や、コバルト合金、鉄合金等の金属を分散させて、素材の比重を上げて用いることも可能である。
特異的結合物質を溶解する際に用いることもある緩衝液等(例えば、3X SSPEの25℃での密度は1.028)は、水(25℃での密度は0.997)より比重が大きいので、このような溶液を用いる場合には、水とほぼ同等の比重の樹脂、例えば、ポリスチレン、ABS樹脂、ポリブチレン、ポリアミド等の樹脂を、好ましく用いることができる。
また、水よりも比重が大きい材質、例えば、AS樹脂、塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、アクリル、ポリアセタール、ポリカーボネート、フェノール、エポキシ、ポリウレタン、ポリイミド、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルエーテルケトン、液晶ポリマー、フッ素樹脂などの各種樹脂、または銅、鉄、ニッケル、コバルト、カドミウム、鉛、亜鉛、砒素、錫、チタン、銀、金、バナジウム、白金、ロジウムなど単一金属、ニッケル−コバルト、ニッケル−コバルト−リン、ニッケル−鉄−リン、ニッケル−タングステン−リン、およびニッケル−リンのようなニッケル合金、コバルト−鉄−リン、コバルト−タングステン−リンおよびコバルト−ニッケル−マンガン−レニウム−リンのようなコバルト合金、鉄合金等の金属の場合は、中空状、あるいは、不連続孔または連続孔を有した発泡体とするか、比重が水と同等以下の前記樹脂等で表面をコーティングすることで密度を小さくすることにより、好ましく用いることができる。
さらに、ふっ素樹脂を、ポリエチレンなどの低比重のプラスチックに分散させて、比重を下げて用いることも可能である。
一方、比重が水よりも小さい、または水と同等の樹脂を用いる場合も、中空状、あるいは、不連続孔または連続孔を有した発泡体とすることが容易であるので、このような形状にして、好ましく用いることができる。
また、浮ひょうのサイズは、浮ひょうが分注ウェルに接触して浮き沈みが阻害されないように、分注ウェルのサイズを考慮して、決めることが必要である。例えば、分注ウェルのサイズが直径3mm、高さ5mmの円筒形状である場合、球型の浮ひょうを用いるのであれば、その直径は3mmよりも小さいことが必要である。また、溶液を吸引する際に、ヘッドがウェル内に入り込む位置も考慮することが必要であり、例えば、前記マイクロプレートで、ヘッドがウェルの底面から2mmの位置で溶液を吸引する場合には、球型の浮ひょうの直径は2mmよりも小さいことが必要である。同様に、円盤状の浮ひょうを用いる場合にも、その直径が円筒形状のウェルの直径よりも小さく、その厚みが、溶液吸引時におけるウェル底面からのヘッドの距離よりも小さいことが必要である。このような条件を満たせば、浮ひょうのサイズは特に限定されない。
分注ウェルおよび浮ひょうの形状は、図3においては、分注ウェルは円筒形状のもの、浮ひょうは円盤状のものを例示しているが、いずれもこれらの形状に限定されるものではない。しかし、用いられるウェルは円筒形状であることが多く、このようなウェルは製造も容易なので、浮ひょうの形状は球状あるいは円盤状であることが好ましい。
一方、浮ひょうを用いて特異的結合物質を含む溶液の比重を確認する場合、該溶液の組成は、浮ひょうを傷めるものでなければ特に限定されず、一般的に生体関連物質の解析に用いる溶液等をそのまま用いることができる。例えば、種々の緩衝液や水で特異的結合物質を数nM〜数百nMの濃度となるように溶解した溶液を、好ましいものとして挙げることができる。
このようなマイクロプレートおよび浮ひょうを用いることで、特異的結合物質を含む溶液中の揮発成分の蒸発により、該溶液の比重が大きくなって許容範囲を超えたものについては、前記の通り、浮ひょうが該溶液の液面上に浮上し、吐出部による該溶液の吸引が妨げられ、担体への該溶液の供給が停止される。
よって、作業者が常時浮ひょうの状態を監視する必要がなく、さらに、分注ウェル内に浮ひょうを入れるだけで溶液の比重が確認できるので、マイクロアレイ製造装置の大型化を防ぐことができる。
また、溶液が担体上に供給されておらず、かつ液面に浮ひょうが浮いている溶液は、比重が許容範囲外であると判断できるので、このようなものについては、担体への溶液の供給を再度行う。
具体的には、別のマイクロプレート上に、または同じマイクロプレート上の未使用の分注ウェル内に、正常な比重の溶液を再分注し、これを担体に供給する手法が好ましい。あるいは、比重の異常が確認された溶液について、最適な比重に溶液を希釈するために必要な希釈水の添加量をPCで算出した後に、希釈水をこの溶液に添加して、比重を再調整する手法を採用してもよい。ここで希釈水とは、純水、超純水等の水を指し、マイクロアレイとしての性能に支障をきたすことなく濃度が調整できるものであれば特に限定されない。また、希釈水の添加は、マイクロアレイ製造装置の吐出部で希釈水を必要量吸引させて行ってもよく、希釈水と比重の異常が確認された溶液との混合は、該吐出部で混合溶液の吸引および吐出を繰り返すことで、または/および吐出部を混合溶液中で微振動させることで行ってもよい。さらに、希釈水の添加および希釈水と比重の異常が確認された溶液との混合を、作業者が手動で行ってもよい。
一方、比重の異常が確認された溶液の分注ウェルからの吸引は、前記の通り、浮ひょうによる阻害で停止できるが、浮ひょうの液面上への浮上をセンサーで感知して、その情報をPCに伝達し、自動的に溶液の吸引を停止させる手法を採用してもよい。またこれらの手法を併用することで、より確実に、比重の異常が確認された溶液の吸引を停止することができる。浮ひょうの液面上への浮上を感知する手段としては、例えば、圧力センサー、光センサー、接触センサーおよび近接センサー等のセンサーを用いる方法と、画像処理による方法が挙げられる。
浮ひょうが浮上してくるとヘッドと浮ひょうが接触し、ヘッドの吸引口が浮ひょうに塞がれるので、正常に溶液が吸引できず吸引時の圧力変化が発生する。圧力センサーを用いる方法としては、例えば、この際の圧力変化を感知して浮ひょうが浮上してきたことを判断する方法が挙げられる。この場合、ヘッドの吸引口よりも大きい浮ひょうを用いることが重要である。また、ヘッドと浮ひょうの接触の際にヘッドが破損しないように、ヘッドの材質を考慮して浮ひょうの材質を選択する必要がある。例えば、ヘッドには金属や樹脂がしばしば用いられるので、浮ひょうの材質は、樹脂であることが好ましい。
光センサーを用いる方法としては、例えば、浮ひょうの浮き沈みによって液面上の光の反射率が変化することを利用して、浮ひょうの浮上を感知する方法が挙げられる。ウェルの上方に光センサーを設置する場合、ウェル内に入れる浮ひょうの表面に凹凸をつけておけば、浮ひょうが浮上した場合に、より光が散乱することで光の反射率の変化が感知されやすくなるので好ましい。また、微少な浮ひょうをウェルに複数入れる方法も、光の散乱が大きくなり、より正確に浮ひょうの浮上を感知することができるため好ましい。一方、光センサーは、プレートの下方に設置してもよい。
接触センサーを用いる方法としては、例えば、ノズル先端部に接触センサーを設置して、浮ひょうが浮上することにより溶液を吸引する際にヘッドと浮ひょうが接触し、センサーがそれを感知して、浮ひょうが浮上したことを感知する方法が挙げられる。この場合も、ヘッドと浮ひょうの接触の際にヘッドが破損しないように、ヘッドの材質を選択する必要がある。例えば、ヘッドには金属や樹脂がしばしば用いられるので、浮ひょうの材質は、樹脂であることが好ましい。
近接センサーを用いる方法としては、例えば、センサーと浮上してきた際の浮ひょうとの距離を測定しておき、設定値以内に浮ひょうが感知された時に、溶液の吸引を中止する方法が挙げられる。この場合、ヘッドと浮ひょうが接触しないので接触によるヘッドの破損がない。
画像処理を用いる方法としては、例えば、ウェル上にカメラを設置し、浮ひょうが浮上してきた時に浮ひょうにピントが合うように撮影を行い、撮影した画像から、浮ひょうがウェル底面に沈んでいる場合と、液面上に浮上してきた場合の浮ひょうのコントラストの違いを画像処理によって感知し、浮ひょうの浮上を感知する方法が挙げられる。
本発明のマイクロアレイ製造装置は、特異的結合物質を含む溶液を担体上に吐出する工程において、該溶液の濃度を確認するために、特異的結合物質を含む溶液の濃度を確認する手段を備える。該濃度を確認する手段として、例えば、特異的結合物質を含む溶液の吸光度、光の透過度および比重のいずれか一つ以上を測定する手段を挙げることができる。
また、好ましくは、濃度の確認結果を表示、および/または情報として出力、および/またはメモリーに格納する手段を備える。
さらに、該溶液の濃度に異常が確認された場合に、新たな適正濃度の特異的結合物質を含む溶液を担体に供給する手段、および/または許容範囲外の濃度である特異的結合物質を含む溶液を、許容範囲内の濃度に再調整する手段、および吐出工程を中止または中断する吐出制御を行う手段を備える。
特異的結合物質を含む溶液の吸光度あるいは透過度を測定する手段としては、例えば、分光光度計等を挙げることができ、比重を測定する手段としては、例えば、分注ウェルを備えたマイクロプレートと浮ひょうとの組み合わせを挙げることができる。
また、特異的結合物質を含む溶液の濃度の確認結果を表示する手段としては、例えば、溶液濃度を表示するPCのモニター、溶液濃度が許容範囲内であれば「OK」、許容範囲外であれば「NG」等、作業者が容易に濃度状態を確認できるような文字列、記号およびマークを表示するPCのモニター等を挙げることができる。
特異的結合物質を含む溶液の濃度の確認結果を情報として出力する手段としては、例えば、溶液濃度が許容範囲外の場合に点滅したり、許容範囲内の場合と許容範囲外の場合とで点滅する光を変化させたりすることができる警告灯等を挙げることができる。また、溶液濃度が許容範囲外であった場合に鳴るような、聴覚的な手段であるブザー等を用いてもよい。
特異的結合物質を含む溶液の濃度の確認結果をメモリーに格納する手段としては、例えば、マイクロアレイ製造装置と連結されたPC、および/または専用サーバー、および/またはマイクロアレイ等が挙げられる。
さらに、新たな適正濃度の特異的結合物質を含む溶液を担体に供給する手段としては、例えば、溶液の吐出部、設置されていたマイクロプレートの未使用のウェルおよび新しいマイクロプレート等を挙げることができ、ウェルに新たな適正濃度の溶液を再分注する方法を適用できる。または、濃度が許容範囲外になった溶液が分注されていたウェルを前記供給する手段としても良い。この場合、濃度が許容範囲外の溶液を排除した後に、同じウェルに新しい溶液を再分注する方法を適用できる。また、溶液の分注は手動で行っても良い。
許容範囲外の濃度である特異的結合物質を含む溶液を、許容範囲内の濃度に再調整する手段としては、例えば、確認された溶液濃度から加える希釈水の量を算出するPC、その希釈水をウェルに分注して希釈する、溶液の吐出部等が挙げられる。また、希釈水の分注は手動で行っても良い。
一方、特異的結合物質を含む溶液の吐出制御を行う手段としては、例えば、濃度が許容範囲外の溶液が確認されると吐出工程を中止または中断する方法、許容範囲内の溶液の吐出を全て終えた後に、検査結果が許容範囲外であった溶液について、適正濃度の溶液を別ウェルに再分注、または適正な濃度となるように再調整した後に、その溶液の吐出を行う方法、許容範囲外の溶液が確認される毎に、適正濃度の溶液を別ウェルに再分注、または適正な濃度となるように再調整した後に、その溶液の吐出を行う方法等を挙げることができる。
以下、本発明について、具体的実施例を挙げてさらに詳しく説明する。ただし、本発明は、これら実施例に何ら限定されるものではない。
(実施例1)
本発明のマイクロアレイ製造装置を用いて、塩基配列既知の、互いに異なる複数のアミノ標識オリゴDNA溶液を、その吸光度を測定して濃度を確認しながら、担体上に吐出して、マイクロアレイを作製する方法について述べる。
図1は、分光光度計を用いてオリゴDNA溶液の濃度を確認しながら、マイクロアレイを作製する、マイクロアレイ製造装置の概略の一例を示すものである。
符号1は、オリゴDNA溶液をマイクロプレート3から吸引あるいは担体2に供給する吐出部であり、該吐出部1は、複数のノズルが一列に並べられて固定されており、この吐出部1はさらに、PC(図示略)と接続されている。そして、吐出部1は、PCに入力された配置レイアウト情報および吐出条件に従って、PCと連動して、マイクロプレート3からオリゴDNA溶液を吸引し、担体2に吐出するようにされている。
符号2は、吐出されたオリゴDNAを固定化する担体であり、符号3は、オリゴDNA溶液を分注する96穴マイクロプレートである。96穴マイクロプレート3には、その表面上に、直径7mm、深さ11mmの円柱状の凹部からなる分注ウェルが複数形成されている(図示略)。また、符号4は、マイクロプレート3を設置するマイクロプレート設置台であり、マイクロプレート3上の分注ウェル内に分注されたオリゴDNA溶液の吸光度を測定するために、分光光度計5内に出入り可能とされている。
一方、分光光度計5は、PC(図示略)と接続されている。PCには、溶液の吸光度測定値からその溶液の濃度を自動で算出するための計算式等が入力されており、分光光度計5で測定されたオリゴDNA溶液の吸光度測定値から、オリゴDNA溶液の濃度が算出できるようにされている。
濃度の算出結果を受けて、マイクロプレート3上の、濃度が正常なオリゴDNA溶液は担体へ吐出し、濃度に異常が認められたオリゴDNA溶液は担体への吐出を中止するようにPCで情報処理し、その情報に基いて吐出部1の動作が制御できるようにされている。
このようなマイクロアレイ製造装置を用いて、以下に示す手順で、マイクロアレイの作製を行った。
すなわち、担体2へ吐出するオリゴDNA溶液の名称、吸光係数、濃度算出のための計算式、濃度の許容範囲、マイクロプレート3上への分注位置、担体2へ吐出する際の配置レイアウト情報をPCに入力した。そして、配置レイアウト情報に従って、オリゴDNA溶液が分注されたマイクロプレート3をマイクロプレート設置台4に設置した。
続いて、吐出工程を開始し、マイクロプレート3に分注されたオリゴDNA溶液の吸光度を分光光度計5で測定し、該測定値をPCに送り、入力した計算式に従って、オリゴDNA溶液の濃度を算出した。この時のオリゴDNA溶液の吸光度測定は、DNA特有の光吸収波長である260nmで行った。本実施例における吸光度測定は、以下、すべて同様にして行った。
算出結果より、各分注ウェル内のオリゴDNA溶液の濃度が、あらかじめ設定した許容範囲内であるかPCで判断し、その結果をディスプレイ上に表示するとともに、情報としてPC内のメモリーに格納した。
PCによって溶液濃度に異常が確認されたものについては、異常が確認された溶液の吸引、吐出を中止するよう、吐出部1に情報が送信された。一方、溶液濃度が正常なオリゴDNA溶液は、PCに入力された配置レイアウト情報に従って、担体上に吐出された。溶液濃度が正常なオリゴDNA溶液の吐出が終了した後、PCに記憶された情報を出力した。そして、出力された情報を基に、濃度異常が確認されたオリゴDNA溶液については、これに代わり、正常な濃度のオリゴDNA溶液をマイクロプレート3上の分注ウェル内に再分注し、配置レイアウト情報に従って、該オリゴDNA溶液を担体に吐出して、マイクロアレイを完成させた。
(実施例2)
本発明のマイクロアレイ製造装置を用いて、塩基配列既知の、互いに異なる複数のアミノ標識オリゴDNA溶液を、その比重から濃度を確認しながら、担体上に吐出して、マイクロアレイを作製する方法について述べる。すなわち、本実施例は、オリゴDNA溶液の濃度異常を、比重の異常から検知する形態のものである。
図2は、浮ひょうを用いてオリゴDNA溶液の比重を確認しながら、マイクロアレイを作製する、マイクロアレイ製造装置の一例を示すものであり、実施例1で述べたものと共通のものについては、同じ符号で示しており、その詳細な説明は省略する。
一方、図2のマイクロプレート3を拡大して示したものが図3であり、該マイクロプレート3には、直径7mm、深さ11mmの円柱状の凹部からなる分注ウェル6が形成されており、該分注ウェル6にオリゴDNA溶液が分注される。なお、実施例1で用いたマイクロプレートは、これと同じものである。
また、各分注ウェル内には、オリゴDNA溶液の比重に依存して、該溶液中を浮き沈み可能な浮ひょう7が入れられている。該浮ひょう7は直径5mmの円盤状であり、その内径は分注ウェル6の内径よりも小さくされており、その材質はABS樹脂である。
浮ひょう7は、オリゴDNA溶液の比重が許容範囲内の時には、該溶液内で沈み、該溶液の濃度上昇に伴い比重が上がった場合には、該溶液の液面に浮き上がるようにされている。
なお、本実施例では、分注ウェル6として円筒形状のもの、浮ひょう7として円形状のものを例示しているが、本発明は、いずれもこれらの形状に限定されるものではない。
このようなマイクロアレイ製造装置を用いて、以下に示す手順で、マイクロアレイの作製を行った。
すなわち、担体2へ吐出するオリゴDNA溶液の名称、比重の許容範囲に対応する浮ひょう7に関する情報、マイクロプレート3上への分注位置、担体2上へ吐出する際の配置レイアウト情報をPCに入力した。そして、配置レイアウト情報に従って、各分注ウェル内に浮ひょう7を入れ、オリゴDNA溶液を分注し、このマイクロプレート3を設置台9に設置した。
続いて、吐出工程を開始し、配置レイアウト情報に従って吐出部1により、オリゴDNA溶液を所定量吸引し、マイクロプレート3上の分注ウェル6内に分注した。
この時、オリゴDNA溶液8の比重が許容範囲内の場合は、図3に示すように、浮ひょう7はオリゴDNA溶液8内で沈降した状態となったが、オリゴDNA溶液中の揮発成分の蒸発により、該溶液の比重が大きくなって許容範囲を超えたものについては、図4に示すように、浮ひょう7がオリゴDNA溶液8の液面上に浮上した。そして、浮ひょう7が浮上した溶液については、吐出部1は、オリゴDNA溶液の吸引ができなくなった。
続いて、浮ひょう7の沈降あるいは浮上の結果を、ディスプレイ上に表示するとともに、情報としてPC内のメモリーに格納した。
一方、溶液の比重が正常なオリゴDNA溶液は、PCに入力された配置レイアウト情報に従って、担体上に吐出された。溶液の比重が正常なオリゴDNA溶液の吐出が終了した後、PCに記憶された情報を出力した。許容範囲を超えた溶液の260nmの吸光度を測定して、濃度を算出した結果、100μM±10%以内を許容範囲として調整されていた溶液濃度が、100μM+20%(120μM)であった。その結果から、加える希釈水の量を算出し、希釈水で±10%以内に濃度を再調整した。そして、新たに別のマイクロプレート3上の分注ウェル6内に分注して、該オリゴDNA溶液を配置レイアウト情報にしたがって担体に吐出して、マイクロアレイを完成させた。
(実施例3)
実施例1および2で示したマイクロアレイ製造装置を用いて、1つの担体上に、同じ種類のオリゴDNA溶液を8時間かけて吐出を行って、マイクロアレイを作製した。このマイクロアレイを用いて、固定化したオリゴDNAと相補的に結合する蛍光標識されたカウンターオリゴDNAをハイブリダイゼーションさせて、担体上に吐出したオリゴDNA溶液の濃度およびオリゴDNAの固定化位置を確認した。
その結果、いずれのマイクロアレイについても、吐出工程開始時に吐出したスポットと、吐出工程開始から約8時間経過してから吐出したスポットは、いずれも同等レベルの蛍光輝度を示した。また、そのスポットの位置も設定した配置レイアウトの通りであり、吐出抜け、サテライト、スポット形状の不良等も見られなかった。すなわち、マイクロアレイ製造時間として現実的にあり得る、8時間という長時間を吐出工程に要しても、正常な濃度のオリゴDNA溶液が担体に吐出されていることが確認された。
以上述べたように、本発明のマイクロアレイ製造方法および製造装置により、特異的結合物質を含む溶液の担体への吐出前に、該溶液の濃度を確認するで、濃度異常が認められた溶液についてはその吐出を中止して、正常な濃度の溶液をマイクロプレートに再分注してから担体へ吐出することで、規定された濃度範囲内の特異的結合物質を含む溶液を、担体の所定の位置に正確に吐出でき、安定した品質のマイクロアレイが製造できることが確認された。
また、本発明のマイクロアレイ製造装置は、大掛かりな設備の付帯等を伴わず、構造も簡便なため、小型で低コストなものを提供できる。
本発明のマイクロアレイ製造方法および製造装置は、高品質なマイクロアレイを低コストで安定かつ簡便に製造することを可能とし、遺伝子の発現情報の解析を迅速かつ正確に行うことを可能とするため、広く化学、医薬、医療産業等に普及できるものである。
本発明の実施例1におけるマイクロアレイ製造装置を示す概略図である。 本発明の実施例2におけるマイクロアレイ製造装置を示す概略図である。 本発明の実施例2で用いるマイクロプレートの構造を示す概略図である。 本発明の実施例2で用いるマイクロプレート上の分注ウェルと浮ひょうを示す概略図である。
符号の説明
1・・・吐出部、2・・・担体、3・・・マイクロプレート、4・・・マイクロプレート設置台、5・・・分光光度計

Claims (20)

  1. 生体関連物質に対する複数の互いに異なる種類あるいは同一種類の既知の特異的結合物質を含む溶液を、担体の所定の位置に供給するマイクロアレイの製造方法であって、
    該特異的結合物質を含む溶液の供給を、その溶液の濃度を少なくとも1回確認してから行うことを特徴とするマイクロアレイの製造方法。
  2. 前記特異的結合物質を含む溶液を担体の所定の位置に供給する直前に、該溶液の濃度を確認することを特徴とする請求項1に記載のマイクロアレイの製造方法。
  3. 前記特異的結合物質を含む溶液の濃度を、該特異的結合物質に特有の吸収波長の光を照射した時の吸光度を測定して確認することを特徴とする請求項1または2に記載のマイクロアレイの製造方法。
  4. 前記特異的結合物質を含む溶液の濃度を、該溶液の光の透過度によって確認することを特徴とする請求項1または2に記載のマイクロアレイの製造方法。
  5. 前記特異的結合物質を含む溶液の濃度を、該溶液の比重によって確認することを特徴とする請求項1または2に記載のマイクロアレイの製造方法。
  6. 前記特異的結合物質を含む溶液の供給を、確認された溶液の濃度に基づいて制御して行うことを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載のマイクロアレイの製造方法。
  7. 前記特異的結合物質を含む溶液の濃度の確認結果を表示することを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載のマイクロアレイの製造方法。
  8. 前記特異的結合物質を含む溶液の濃度の確認結果を、情報として出力することを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載のマイクロアレイの製造方法。
  9. 前記特異的結合物質を含む溶液の濃度の確認結果を、メモリーに格納することを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載のマイクロアレイの製造方法。
  10. 前記特異的結合物質を含む溶液の濃度が許容範囲外の時に、該溶液の濃度を許容範囲内に再調整して担体に供給することを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項に記載のマイクロアレイの製造方法。
  11. 前記特異的結合物質を含む溶液の濃度が許容範囲外の時に、新たな適正濃度の特異的結合物質を含む溶液を担体に供給することを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項に記載のマイクロアレイの製造方法。
  12. 生体関連物質に対する複数の互いに異なる種類あるいは同一種類の既知の特異的結合物質を含む溶液を、担体の所定の位置に供給するマイクロアレイの製造装置であって、
    前記特異的結合物質を含む溶液の濃度を確認する手段を有することを特徴とするマイクロアレイの製造装置。
  13. 前記特異的結合物質を含む溶液の濃度を確認する手段が、該溶液の吸光度を測定する手段であることを特徴とする請求項12に記載のマイクロアレイの製造装置。
  14. 前記特異的結合物質を含む溶液の濃度を確認する手段が、該溶液の光の透過度を測定する手段であることを特徴とする請求項12に記載のマイクロアレイの製造装置。
  15. 前記特異的結合物質を含む溶液の濃度を確認する手段が、該溶液の比重を確認する手段であることを特徴とする請求項12に記載のマイクロアレイの製造装置。
  16. 前記特異的結合物質を含む溶液の濃度の確認結果を表示する手段を有することを特徴とする請求項12〜15のいずれか一項に記載のマイクロアレイの製造装置。
  17. 前記特異的結合物質を含む溶液の濃度の確認結果を、情報として出力する手段を有することを特徴とする請求項12〜16のいずれか一項に記載のマイクロアレイの製造装置。
  18. 前記特異的結合物質を含む溶液の濃度の確認結果を、メモリーに格納する手段を有することを特徴とする請求項12〜17のいずれか一項に記載のマイクロアレイの製造装置。
  19. 前記特異的結合物質を含む溶液の濃度が許容範囲外の時に、該溶液の濃度を許容範囲内に再調整する手段を有することを特徴とする請求項12〜18のいずれか一項に記載のマイクロアレイの製造装置。
  20. 前記特異的結合物質を含む溶液の濃度が許容範囲外の時に、新たな適正濃度の特異的結合物質を含む溶液を担体に供給する手段を有することを特徴とする請求項12〜18のいずれか一項に記載のマイクロアレイの製造装置。
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