JP2007016684A - パティキュレート堆積量推定装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 走行距離に基づくアッシュ堆積量の推定値に基づき、フィルタ有効容量の減少変化に対応するための圧損倍率k、及び、アッシュの堆積による差圧分ΔPASHを求める一方、フィルタ前後差圧ΔPtotalを検出し、パティキュレートの堆積による差圧分ΔPPMを、ΔPPM=ΔPtotal/k−ΔPASHとして算出する。
【選択図】 図5
Description
前記パティキュレートフィルタに対してパティキュレートが許容量を上回って堆積すると、見詰まりが生じて排圧を上昇させ、運転性に悪影響を及ぼすようになる。
特許文献1には、走行距離から前記アッシュの堆積量を推定し、フィルタ前後差圧から推定されるパティキュレート堆積量から前記アッシュ堆積量を減算することで、最終的なパティキュレート堆積量を求める装置が開示されている。
しかし、パティキュレートとアッシュとはフィルタに対する堆積分布が異なり、パティキュレートが略フィルタ全体(壁内及び壁面上)に堆積するのに対し、アッシュは主にフィルタの下流側閉塞端に堆積し、アッシュの堆積によってパティキュレートフィルタの有効容量が減少変化する。
パティキュレートの堆積量に推定誤差があると、再生処理を適切なタイミングで行わせることができなくなり、フィルタに対するパティキュレートの過堆積が生じたり、無駄な再生処理により燃費性能が低下したりするという問題が生じる。
従って、アッシュの堆積によるフィルタの有効容量を減少変化に対応して、パティキュレート堆積量を推定でき、アッシュ堆積量が増大変化しても、高い精度でパティキュレートを推定させることができる。
図1は、本発明の一実施形態に係る車両用直噴ディーゼルエンジン(以下「エンジン」という。)1の構成図である。
エンジン1の吸気通路2の導入部には、エアクリーナ(図示せず)が取り付けられており、このエアクリーナにより吸入空気中の粉塵が除去される。
前記コンプレッサ部3aの下流には、インタークーラ4が設置されており、コンプレッサ部3aから圧送された吸入空気は、このインタークーラ4で冷却される。
エンジン1の本体において、インジェクタ7は、気筒毎に燃焼室上部の略中央に固定されている。
前記インジェクタ7は、電子制御ユニット(以下「ECU」という。)21からの燃料噴射制御信号により作動する。
前記インジェクタ7による燃料噴射は、複数回に分けて行われ、インジェクタ7は、エンジン1のトルクを制御するためのメイン噴射以外に、発生するパティキュレートを減少させるためのパイロット噴射、及び、後述するパティキュレートフィルタ12の再生時に排気温度を上昇させるためのポスト噴射を行う。
一方、排気通路9には、前記ターボチャージャ3のタービン部3bが設置され、このタービン部3bの下流には、排気の後処理のため、パティキュレートフィルタ12が設置されている。
また、排気通路9と吸気通路2(サージタンク5)との間に、排気還流管10が接続され、この排気還流管10の途中には排気還流制御弁11が介装されている。
そして、前記排気還流制御弁11が、前記ECU21からの排気還流制御信号により作動することで、排気還流制御弁11の開度に応じた適量の排気が吸気通路2に還流される。
そして、再生が必要であると判断すると、所定の再生許可運転条件において排気温度を昇温させてパティキュレートを燃焼させるフィルタ再生制御を行う。
前記再生制御において排気温度を昇温させる手段としては、インジェクタ7、ターボチャージャ3、排気還流制御弁11及び吸気絞り弁6が含まれ、フィルタ再生時には、インジェクタ7のメイン噴射時期,ポスト噴射時期及びポスト噴射量、ターボチャージャ3のベーン角、排気還流制御弁11の開度、吸気絞り弁6の開度のうちの少なくとも1つを調整することで、排気温度を昇温させてパティキュレートフィルタ12に堆積したパティキュレートを燃焼させる。
ステップS1では、再生判定フラグFが0であるか否かを判定する。
前記再生判定フラグFが0であると判定したときは、ステップS2へ進み、前記再生判定フラグFが0でない(1である)と判定したときは、ステップS5へ進む。
ステップS2では、パティキュレートフィルタ12におけるパティキュレートの堆積量PMを推定する。
パティキュレート堆積量PMの推定は、後述する図5のフローチャートに従って行われる。
パティキュレート堆積量PMが規定量PM1以上になったときは、ステップS4へ進み、パティキュレート堆積量PMが規定量PM1未満であると判定したときは、本ルーチンのステップS1から再度演算処理されるようにする。
ステップS4では、前記再生判定フラグFを1に設定する。
ステップS5では、パティキュレートフィルタ12の再生処理の実行許可条件が成立しているか否かを判別し、実行許可条件が成立していれば、ステップS6へ進む。
ステップS6では、パティキュレートフィルタ12に堆積しているパティキュレートを、排気温度を昇温させることで燃焼させるフィルタ再生制御を実行する。
ステップS7では、パティキュレートフィルタ12の再生処理が完了したか否かを判別する。
また、再生処理によって燃焼したパティキュレートの総量を、排気流量Qexh及びパティキュレートフィルタ12の温度Tdpfから推定されるパティキュレート燃焼速度ΔPM(単位時間に燃焼するパティキュレートの量)に基づいて判断して、再生処理の完了を判断させることができる。
以上のようにして、パティキュレートフィルタ12を再生させるための制御を行い、再生完了を判定したときには(ステップS7)、図3のフローチャート(アッシュ堆積量推定手段)に従ってパティキュレートフィルタ12に対するアッシュ堆積量ASHを推定する。
そして、フィルタ再生処理の直後であれば、パティキュレートの堆積が殆どなく、そのときのフィルタ前後差圧は、アッシュの堆積量を示すものと判断できる。
再生を完了した直後であるときは、ステップS22へ進み、再生完了直後でないと判定したときは、後述するステップS27へ進む。
再生完了直後であることは、前記再生判定フラグFに0が設定されており、かつ、前記再生判定フラグFが1から0に切り換えられた後における経過時間又は走行距離が所定値に達していないことで判定する。
ステップS23では、読み込んだ排気流量Qexhが規定量に達しているか否かを判定する。
このステップS23の判定は、パティキュレートフィルタ12の前後差圧の測定に適した条件になっているか否かを確認するためのものである。
ステップS24では、フィルタ前後差圧ΔPtotal及び走行距離Dを読み込む。走行距離Dは、車両の出荷時又はパティキュレートフィルタ12が直前に交換されたときを0とした走行距離であり、車速VSPの累積により算出する(D=Σ(VSP×Δt):Δtを演算周期とする。)。
アッシュ堆積量ASHの推定は、フィルタ前後差圧ΔPtotal及び排気流量Qexhに応じてアッシュ堆積量ASHを割り付けたマップ(図4)を参照して行われる。
このマップから求められるアッシュ堆積量ASHは、一定の排気流量Qexhのもとでは、フィルタ前後差圧ΔPtotalが大きいときほど大きな値として推定され、更に、アッシュがフィルタの下流側閉塞端にのみ堆積して、アッシュの堆積量がそのままフィルタ有効容量の減少分になるという前提でマップ特性が設定されている。
ステップS26では、それまでの走行距離に応じて積算したアッシュ堆積量ASHと、前記ステップS25で求めたアッシュ堆積量ASHとの比較から、走行距離に対するアッシュ堆積量ASHの増大変化速度を修正する学習補正処理を行う。
そこで、アッシュのみによる圧損(フィルタ前後差圧)を示すことになる、再生直後のフィルタ前後差圧ΔPtotalからアッシュ堆積量ASHを求め、該アッシュ堆積量ASHが略実際値を示しているものとして、走行距離(走行履歴)に基づくアッシュ堆積量の推定特性をフィルタ再生毎に修正させるものである。
ステップS27では、前記再生直後のフィルタ前後差圧ΔPtotalから求めたアッシュ堆積量ASHにより逐次修正される、走行距離(走行履歴)とアッシュ堆積量ASHとの相関から、そのときの走行距離におけるアッシュ堆積量ASHを求める。
図5は、図2のフローチャートのステップS2の処理を詳細に示すフローチャートである。
ステップS201では、差圧センサ33で検出されたフィルタ前後差圧ΔPtotal,そのときの排気流量Qexh及び前記図3のフローチャートに示す処理で推定されたアッシュ堆積量ASHを読み込む。
前記アッシュは、主にパティキュレートフィルタ12の下流側閉塞端に堆積し、このアッシュの堆積によってパティキュレートフィルタ12の有効容量が減少変化し、アッシュ堆積量が略有効容量の減少変化分に相当することになる。
そこで、アッシュ堆積によるフィルタ有効容量の減少によるフィルタ前後差圧の増大率を前記圧損倍率kとして設定し、圧損倍率kにより前後差圧の検出値ΔPtotalを補正することで、アッシュ堆積によるフィルタ有効容量の減少変化の影響を排除する。
従って、アッシュ堆積量の推定値から前記圧損倍率kを設定し、ΔPPM=ΔPtotal/k−ΔPASHとしてパティキュレートの堆積による差圧分ΔPPMを求めることができる。
ステップS203では、ステップS202で設定した圧損倍率kを用い、前記ΔPPM=ΔPtotal/k−ΔPASHとしてパティキュレートの堆積による差圧分ΔPPMを求め、更に、差圧分ΔPPMからパティキュレート堆積量を求める(パティキュレート堆積量推定手段)。
そして、前記圧損分ΔPPMを求めると、該圧損分ΔPPMとそのときの排気流量Qexhとから図4に示す相関と同様な相関を参照して、パティキュレート堆積量PMを求める。
但し、前後差圧(差圧分ΔPPM)とパティキュレート堆積量PMとの間には、図7に示すようなヒステリシス特性が存在する。
図7において、直線Aは、フィルタ壁内にパティキュレートが堆積していく場合の差圧の上昇特性を示し、直線Bは、パティキュレートがフィルタ壁表面に堆積していく場合の差圧の上昇特性を示し、直線Cは、フィルタ壁内のパティキュレートが燃焼して差圧が減少とするときの特性を示し、直線Dは、フィルタ壁表面に堆積したパティキュレートが燃焼して差圧が減少するときの特性を示し、パティキュレートの堆積は、A→Bの順で進行し、再生時には、C→Dの順をたどってパティキュレートの燃焼による堆積量の減少変化が発生する。
従って、本実施形態によると、パティキュレートの堆積量が増大変化するときと、再生によりパティキュレートの堆積量が減少変化するときとの双方で、高い精度でパティキュレート堆積量を推定させることができる。
Claims (7)
- エンジンの排気中のパティキュレートを捕集するパティキュレートフィルタに対するパティキュレートの堆積量を推定するパティキュレート堆積量推定装置であって、
前記パティキュレートフィルタの前後差圧を検出すると共に、前記パティキュレートフィルタに対するアッシュの堆積量を推定し、アッシュ堆積量の推定値からアッシュの堆積によるフィルタ有効容量の変化を判定し、該判定結果と前記前後差圧とから、前記パティキュレートフィルタに対するパティキュレート堆積量を推定することを特徴とするパティキュレート堆積量推定装置。 - エンジンの排気中のパティキュレートを捕集するパティキュレートフィルタに対するパティキュレートの堆積量を推定するパティキュレート堆積量推定装置であって、
前記パティキュレートフィルタの前後差圧を検出する前後差圧検出手段と、
前記パティキュレートフィルタに対するアッシュの堆積量を推定するアッシュ堆積量推定手段と、
前記アッシュ堆積量の推定値から、アッシュの堆積によるフィルタ有効容量の変化を判定する有効容量判定手段と、
前記前後差圧と前記フィルタ有効容量の変化とに基づいて、前記パティキュレートフィルタに対するパティキュレート堆積量を推定するパティキュレート堆積量推定手段と、
を含んで構成されることを特徴とするパティキュレート堆積量推定装置。 - 前記パティキュレート堆積量推定手段が、前記前後差圧検出手段で検出された前後差圧を、前記有効容量判定手段で判定されたフィルタ有効容量の変化に応じて補正し、該補正後の前後差圧に基づいてパティキュレート堆積量を推定することを特徴とする請求項2記載のパティキュレート堆積量推定装置。
- 前記有効容量判定手段が、前記アッシュ堆積量の推定値に基づき、フィルタ有効容量の変化に対応した圧損倍率及びアッシュの堆積によるフィルタ前後差圧分を決定し、
前記パティキュレート堆積量推定手段が、前記前後差圧検出手段で検出された前後差圧を前記圧損倍率で補正した結果から、前記アッシュの堆積によるフィルタ前後差圧分を減算した値を、パティキュレートの堆積によるフィルタ前後差圧分として求めることを特徴とする請求項3記載のパティキュレート堆積量推定装置。 - 前記パティキュレート堆積量推定手段が、パティキュレート堆積量の増大変化時であるか減少変化時であるかにより、パティキュレート堆積量の推定特性を切り換えることを特徴とする請求項2〜4のいずれか1つに記載のパティキュレート堆積量推定装置。
- 前記アッシュ堆積量推定手段が、車両の走行距離からアッシュ堆積量を推定することを特徴とする請求項2〜5のいずれか1つに記載のパティキュレート堆積量推定装置。
- 前記アッシュ堆積量推定手段が、前記パティキュレートフィルタの再生直後のフィルタ前後差圧に基づいて、アッシュ堆積量を推定することを特徴とする請求項2〜5のいずれか1つに記載のパティキュレート堆積量推定装置。
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