JP2007016585A - 土木用土嚢 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 経時後の紫外線による強度劣化に相当する分の強度を、前もって余分に与えた土木用土嚢Aであり、その経時後とは、少なくとも1年後である。
また、中詰め材が投入される基布袋体1と、該基布袋体に取り付けられた吊上げのための吊りベルト2とを有する。
紫外線遮蔽剤としてカーボンブラックなどの反射剤や吸収剤等があり、基布袋体1に使用する。
【選択図】図3
Description
より詳しくは、敷設後、一定期間放置しても設計強度を維持できる土木用土嚢に関する。
このような土木用土嚢は、例えば、繊維糸使って形成した編地、織地、及び網地等よりなるもので、一般に可撓性を有する。
土木用土嚢の材料としては、水分に強い合成繊維、例えば、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリエチレン、ナイロン又はポリ塩化ビニルが主として用いられる(例えば、特許文献1参照)。
そして、合成繊維の中でも特に、ポリプロピレン繊維を平織に粗く織った布をミシン縫製した袋が多用されている。
その原因は、ポリプロピレン繊維、ナイロン繊維、ポリエステル繊維等の合成繊維は、紫外線に晒されると劣化現象を生じるからである。
その結果、施工後、土嚢に内外圧が加わった場合、破損等が生ずる。
少なくとも仮設等の土嚢だとしても1年程度はこのような破損現象が生じないようにしなければならない。
本発明は、このような背景をもとになされたものである。
すなわち、本発明は、敷設後、長期間放置しても設計強度を維持し紫外線劣化により破れることのないような強度を有する土木用土嚢を提供することを目的とする。
この強度劣化を防ぐために紫外線遮蔽剤を含有させて、強度劣化に相当する分の強度を極力少なくすれば、前もって余分に与える強度も少なくでき節約可能である。
図1は本発明の土木用土嚢の一実施形態を示している。
この土木用土嚢Aは、石材や土砂等の中詰め材が投入される円筒状の基布袋体1と、エンドレス状に形成され基布袋体1の底面で直交させて取り付けられた吊りベルト2と、基布袋体1の口部から下方に一定の距離Lを残して取り付けられた口絞りロープまたは口絞りベルト3とを有している。
図に示すように、基布袋体1を円筒状にするには、例えば、底面を形成する円形状の布体と側面を形成する長方形状の布体とを相互に縫い付けることにより作製することができる。
そのため中詰め材の投入された基布袋体1の変形を抑止することができ、吊り下げ時の安定性が増し、安全且つ確実な搬送を行うことができるからである。
より具体的には、吊りベルト2が基布袋体1の底面に縫着されるだけでなく、基布袋体1の側面の一部まで縫着されている。
この縫着長さは、土木用土嚢Aの口絞り部1Aの面積を考慮して決定される(図2参照)。
縫着に際して使用される縫製糸(即ちミシン糸)に後述するような紫外線遮蔽剤を含む縫製糸を使用する事が好ましい。
これらをマルチフィラメント、モノフィラメント、フィルムヤーン等の形態として使用し、織りや編成により袋体を作るものである。
土木用土嚢に含まれる紫外線遮蔽剤としては、反射剤と吸収剤がある。反射剤としては、カーボンブラック、酸化鉄、酸化クロム、酸化鉛、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化チタン、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、等がある。
一方、吸収剤としては、フェニルサリシレート系、ヒドロキシベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、の吸収剤がある。
この合成繊維に紫外線遮蔽剤を含有させるには、原糸の紡糸時に紫外線遮蔽剤を練り込むことにより容易に行うことができるが、必ずしも紡糸時でなくてもよい。
ところで本発明では、経時後、例えば一年後の紫外線による強度劣化に相当する分の強度を、前もって余分に与えておくことに特徴がある。
図3(A)に示すように、従来品の初期強度がS0であるとすると、一年間河川の土手等に敷設した場合、紫外線等により土嚢の強度はΔS劣化しS1となる。
すなわち、S1(従来品1年後強度)=S0(従来品初期強度)−ΔS(劣化強度)
なお、この場合、初期強度とは、土嚢の設計強度のことをいう。
そのため、本発明では、本発明品初期強度S0を従来品初期強度S0+ 劣化強度ΔSとする。
即ちこの劣化強度ΔSは前もって余分に与える強度に相当する。
この劣化強度ΔSの付加処理は、土嚢を構成する合成繊維の布糸を太くして強度を出すことや、糸密度を高める等の方法があり、その方法は限定されない。
紫外線遮蔽剤を土嚢に含有させると、それによって紫外線がほとんど吸収され糸材質の紫外線による劣化が少なくなる。
そのため、紫外線遮蔽剤を含ませることにより、極力、前もって余分に与えておく強度を少なくすることができ効率的である。
この場合、劣化強度ΔS'の大きさは、カーボンブラック等の紫外線遮蔽剤の含有量によってコントロールすることができる。
以下、本発明の土木用土嚢の強度劣化試験について説明する。
ポリエステル樹脂に反射剤であるカーボンブラックを練り込んだ黒原着の繊維糸(図中、「ポリエステル(黒色)」)、ポリエステル繊維糸(図中、「ポリエステル(白色)」)、ポリプリピレン繊維糸を用いて、それぞれ土嚢用の布材(平織)を製織し、その強度を測定した。
なお繊維糸の太さは、1670dT(108f)で布材は、295g/m2である。
そして、JIS L 1096「一般織物試験方法」の8.30(耐候性)に準じて、サンシャインカーボンアーク灯式耐候性試験機を用いて紫外線の照射による促進曝露を行い、引張強さ(N/3cm幅)を測定した。
その結果を図5に示す。
ここで保持率は、照射前の引張強さ/照射後の引張強さをパーセントで表したものである。
ポリプロピレン(一般に広く用いられている)の場合には、照射時間が150時間(屋外露出の半年間に相当)の時点で、引張強さの保持率が15%にまで低下することが分かった。
ポリエステル(白色)の場合には、照射時間が150時間(屋外露出の半年間に相当)の時点で、引張強さの保持率が約1/3(34%)にまで低下することが分かった。
また照射時間が600時間(屋外露出間の二年に相当)の時点でも半分以上(52%)保持されることが分かった。
なお、図中、ΔS'は図3(B)における先述した劣化強度ΔS'に相当する。
また吸収剤であるフェニルサリシレートをポリエステル樹脂に練り込んだ黒原着の繊維糸(図中、「ポリエステル(黒色)」)糸を用いて、土嚢用の布材(平織)を製織し、同様な強度劣化試験を行っているが、同様な傾向を示しており、その有効性を確認している。
例えば、上述した実施形態では、基布袋体1が円筒状である例について説明したが、角筒状その他の筒状であっても良い。
また、例えば、上述した実施形態では、吊りベルト2をエンドレス状に形成し、基布袋体1の底面で直交させて取り付けた例について説明したが、複数本のベルトを適宜基布袋体1に取り付けるようにしても良い。
1A 口絞り部
2 吊りベルト
3 口絞りロープ
A 土木用土嚢
L 長さ
Claims (12)
- 経時後の紫外線による強度劣化に相当する分の強度を、前もって余分に与えてあることを特徴とする土木用土嚢。
- 前記経時後とは、少なくとも1年後であることを特徴とする請求項1に記載の土木用土嚢。
- 紫外線遮蔽剤を含有させて、強度劣化に相当する分の強度を、極力少なくしたことを特徴とする請求項1に記載の土木用土嚢。
- 中詰め材が投入される基布袋体と、該基布袋体に取り付けられた吊上げのための吊りベルトとを有することを特徴とする請求項3に記載の土木用土嚢。
- 紫外線遮蔽剤として反射剤であるカーボンブラックが使われていることを特徴とする請求項3に記載の土木用土嚢。
- 紫外線遮蔽剤として吸収剤が使われていることを特徴とする請求項3に記載の土木用土嚢。
- 基布袋体及び吊りベルトは繊維糸を製織することにより形成されていることを特徴とする請求項4に記載の土木用土嚢。
- 紫外線遮蔽剤は、繊維糸内に含まれていることを特徴とする請求項7に記載の土木用土嚢。
- 基布袋体の口部から下方に一定の距離の位置にまで吊りベルトが取り付けられていることを特徴とする請求項4記載の土木用土嚢。
- 基布袋体は筒状であり、
吊りベルトは、エンドレス状に形成され、
基布袋体の底面で直交させて取り付けられていることを特徴とする請求項4に記載の土木用土嚢。 - 基布袋体及び吊りベルトを製織する繊維糸には紫外線遮蔽剤を含有するポリエステル繊維糸又はポリプロピレンフィルムヤーンが使われていることを特徴とする請求項3に記載の土木用土嚢。
- ミシン糸(縫製糸)に紫外線遮蔽剤が含まれていることを特徴とする請求項3に記載の土木用土嚢。
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