JP2007016144A - ボールペン用水性インキ組成物及びそれを収容したボールペン - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 着色剤、水、剪断減粘性付与剤、増粘抑制剤とからなり、インキ全量中から水が40重量%蒸発した時の粘度/初期のインキ粘度(EMD型粘度計、1rpm、20℃で測定)で示される数値(x)が2以下であるボールペン用水性インキ組成物及びそれを収容したボールペン。
【選択図】 なし
Description
前記インキ組成物に剪断減粘性を付与する物質(剪断減粘性付与剤)としては、キサンタンガム等の多糖類が挙げられる(例えば特許文献1参照)。
しかし、前記剪断減粘性付与剤は耐ドライアップ性能を阻害することがあり、水溶性有機溶剤等の湿潤剤や尿素等の固体湿潤剤といった添加剤を併用して耐ドライアップ性能を向上させる試みがなされるとしても、乾燥防止効果は不十分であり、しかも、インキ粘度が上昇してかすれ等の筆記不良を生じ易くなる。
具体的には、尿素を過度に添加すると、筆記先端部から水分が蒸発して水溶性有機溶剤の濃度が上昇し、固形分が前記筆記先端部に析出する、所謂、花咲き現象を生じて見栄えが悪くなると共にかすれ等を生じる。更に、水溶性有機溶剤や尿素を多量に添加すると、多湿環境下で筆記先端部を下向きに放置した際、垂れ下がりが発生するなどの弊害を生じ易くなる。
前述のように、インキ組成物に耐ドライアップ性を向上させる手段は多々存在するものの、筆跡のかすれや垂れ下がりといった他の筆記性能を十分に満足させるものではなく、
耐ドライアップ性能は重要な要件となる。特に、非筆記時に筆記先端部(ボールペンチップ)が常に大気中に開放された状態のキャップを要しない構成のボールペン(キャップレスボールペン)に使用する場合、耐ドライアップ性能は重要な要件となる。
更には、前記増粘抑制剤を1乃至40重量%含んでなること、前記剪断減粘性付与剤が多糖類であること、前記剪断減粘性付与剤がキサンタンガム、ウェランガム、サクシノグリカンから選ばれること、10糖以上の糖類を40重量%以上含んでなる糖混合物を含有してなること、前記糖混合物が澱粉糖化物又は還元澱粉糖化物であること、前記糖混合物を0.5乃至10重量%含んでなること、水溶性有機溶剤を含有しないこと、水溶性有機溶剤を含んでなり、且つ、前記水溶性有機溶剤がインキ組成物全量中10重量%以下であること等を要件とする。
更には、前記ボールペン用水性インキ組成物を内蔵したボールペンレフィルを軸筒内に収容したボールペン、前記ボールペン用水性インキ組成物を軸筒内に内蔵したボールペンを要件とし、前記ボールペンはボールペン用水性インキ組成物後端面にインキ消費に伴って追従するインキ逆流防止体を配設してなること、キャップを備えてなること等を要件とする。
更には、前記ボールペン用水性インキ組成物をボールペンレフィル内に収容してなり、出没機構の作動によって前記ボールペンレフィルの筆記先端部が軸筒前端開口部から出没するキャップレスボールペンを要件とし、前記キャップレスボールペンはボールペン用水性インキ組成物の後端面にインキ消費に伴って追従するインキ逆流防止体を配設してなることを要件とする。
前記一般式(1)で示される化合物として具体的には、R1が炭素数2乃至8の直鎖又は分岐アルキル基、好ましくは炭素数3乃至7の直鎖又は分岐アルキル基、より好ましくは炭素数4乃至6の直鎖又は分岐アルキル基で示されるN−アルキル−2−ピロリドン類、R1がシクロヘキシル基で示されるN−シクロヘキシル−2−ピロリドンである。
R1の直鎖又は分岐アルキル基として具体的には、エチル、n−プロピル、iso−プロピル、n−ブチル、iso−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、1−メチルブチル、2−メチルブチル、3−メチルブチル、1,1−ジメチルプロピル、2,2−ジメチルプロピル、1−エチルプロピル、n−ヘキシル、1−メチルペンチル、2−メチルペンチル、3−メチルペンチル、1−エチルブチル、2−エチルブチル、n−ヘプチル、1−メチルヘキシル、1−エチルペンチル、n−オクチル、1−メチルヘプチル、2−エチルヘキシル、2,5−ジメチルヘキシル等が例示されるが、前記炭素数範囲内であればこれらに限定されるものではない。
R1の炭素数が1の場合には十分な増粘抑制効果を発現できない。また、R1の炭素数が8を超えると油溶性が大きくなるため、インキ中で均一に溶解し難くなり、安定性に乏しくなる。
前記一般式(2)で示される化合物として具体的には、R2が炭素数1乃至7の直鎖又は分岐アルキル基、好ましくは炭素数2乃至6の直鎖又は分岐アルキル基、より好ましくは炭素数3乃至5の直鎖又は分岐アルキル基で示されるN−アルキル−2−ピペリドン類
、R1がビニル基で示されるN−ビニル−2−ピペリドン、R1がシクロヘキシル基で示されるN−シクロヘキシル−2−ピペリドンである。
R1の直鎖又は分岐アルキル基として具体的には、メチル、エチル、n−プロピル、iso−プロピル、n−ブチル、iso−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、1−メチルブチル、2−メチルブチル、3−メチルブチル、1,1−ジメチルプロピル、2,2−ジメチルプロピル、1−エチルプロピル、n−ヘキシル、1−メチルペンチル、2−メチルペンチル、3−メチルペンチル、1−エチルブチル、2−エチルブチル、n−ヘプチル、1−メチルヘキシル、1−エチルペンチル等が例示されるが、前記炭素数範囲内であればこれらに限定されるものではない。
R1が水素原子の場合には十分な増粘抑制効果を発現できない。また、R1の炭素数が7を超えると油溶性が大きくなるため、インキ中で均一に溶解し難くなり、安定性に乏しくなる。
前記一般式(3)で示される化合物として具体的には、R3が炭素数1乃至6の直鎖又は分岐アルキル基、好ましくは炭素数2乃至5の直鎖又は分岐アルキル基、より好ましくは炭素数3又は4の直鎖又は分岐アルキル基で示されるN−アルキル−ε−カプロラクタム類、R1がビニル基で示されるN−ビニル−ε−カプロラクタム、R1がシクロヘキシル基で示されるN−シクロヘキシル−ε−カプロラクタムである。
R3の直鎖又は分岐アルキル基として具体的には、メチル、エチル、n−プロピル、iso−プロピル、n−ブチル、iso−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、1−メチルブチル、2−メチルブチル、3−メチルブチル、1,1−ジメチルプロピル、2,2−ジメチルプロピル、1−エチルプロピル、n−ヘキシル、1−メチルペンチル、2−メチルペンチル、3−メチルペンチル、1−エチルブチル、2−エチルブチル等が例示されるが、前記炭素数範囲内であればこれらに限定されるものではない。
R3の炭素数が6を超えると油溶性が大きくなるため、インキ中で均一に溶解し難くなり、安定性に乏しくなる。
前記一般式(4)で示される化合物として具体的には、R4が炭素数1乃至10の直鎖又は分岐アルキル基で示される2−ピロリドンとアルデヒドの2:1縮合物である。
R4の炭素数1乃至10の直鎖又は分岐アルキル基として具体的には、メチル、エチル、n−プロピル、iso−プロピル、n−ブチル、iso−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、1−メチルブチル、2−エチルプロピル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、2−エチルペンチル、n−オクチル、2,4,4−トリメチルペンチル、n−ノニル、n−デシル等が例示されるが、前記炭素数範囲内であればこれらに限定されるものではない。
R4が水素原子の場合には十分な増粘抑制効果を発現できない。また、R4の炭素数が10を超えると油溶性が大きくなるため、インキ中で均一に溶解し難くなり、安定性に乏しくなる。
前記一般式(5)で示される化合物として具体的には、R5が水素原子又は炭素数1乃至8の直鎖又は分岐アルキル基で示される2−ピペリドンとアルデヒドの2:1縮合物である。
R5の炭素数1乃至8の直鎖又は分岐アルキル基として具体的には、メチル、エチル、n−プロピル、iso−プロピル、n−ブチル、iso−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、1−メチルブチル、2−エチルプロピル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、2−エチルペンチル、n−オクチル、2,4,4−トリメチルペンチル等が例示されるが、前記炭素数範囲内であればこれらに限定されるものではない。
R5の炭素数が8を超えると油溶性が大きくなるため、インキ中で均一に溶解し難くなり、安定性に乏しくなる。
前記一般式(6)で示される化合物として具体的には、R6が水素原子又は炭素数1乃至6の直鎖又は分岐アルキル基で示されるε−カプロラクタムとアルデヒドの2:1縮合物である。
R6の直鎖又は分岐アルキル基として具体的には、メチル、エチル、n−プロピル、iso−プロピル、n−ブチル、iso−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、1−メチルブチル、2−エチルプロピル、n−ヘキシル等が例示されるが、前記炭素数範囲内であればこれらに限定されるものではない。
R6の炭素数が6を超えると油溶性が大きくなるため、水性インキ組成物に均一に溶解できなくなる。
N−ビニル−2−ピペリドンのオリゴマー、或いは、N−ビニル−ε−カプロラクタムのオリゴマーは、重合度(n)が2〜18、好ましくは2〜10、更に好ましくは2〜6のものが用いられ、インキ中に重合度の異なるオリゴマーを複数添加してもよい。
オリゴマーの重合度が大きい(例えば、20を越えるような場合)と、インキ中で固体状態で存在する傾向が強くなるため、所望の耐ドライアップ性能を満足させ難い。
本発明においては、インキ中に剪断減粘性付与剤と増粘抑制剤を含有する系において、インキ全量中から水が40重量%蒸発した時の粘度/初期のインキ粘度(EMD型粘度計、1rpm、20℃で測定)で示される数値(x)が2以下、好ましくは0.01以上、2以下である水性インキ組成物が用いられる。
前記数値が2を越えるとインキ中の水が40重量%蒸発した時の粘度と初期のインキ粘度の変化が大きく、よって、粘度上昇によりかすれや筆記不能を生じ易くなる。
本発明に用いられる増粘抑制剤はインキ全量に対して1〜40重量%、好ましくは3乃至30重量%、より好ましくは3乃至15重量%の範囲で用いられる。1重量%より少ないと耐ドライアップ性の効果が少なく、40重量%より多いと初期からインキ中で剪断減粘性付与剤が膨潤不良状態となり、所望のインキ粘度を示し難い。
酸性染料としては、
ニューコクシン(C.I.16255)、
タートラジン(C.I.19140)、
アシッドブルーブラック10B(C.I.20470)、
ギニアグリーン(C.I.42085)、
ブリリアントブルーFCF(C.I.42090)、
アシッドバイオレット6BN(C.I.43525)、
ソルブルブルー(C.I.42755)、
ナフタレングリーン(C.I.44025)、
エオシン(C.I.45380)、
フロキシン(C.I.45410)、
エリスロシン(C.I.45430)、
ニグロシン(C.I.50420)、
アシッドフラビン(C.I.56205)等が用いられる。
クリソイジン(C.I.11270)、
メチルバイオレットFN(C.I.42535)、
クリスタルバイオレット(C.I.42555)、
マラカイトグリーン(C.I.42000)、
ビクトリアブルーFB(C.I.44045)、
ローダミンB(C.I.45170)、
アクリジンオレンジNS(C.I.46005)、
メチレンブルーB(C.I.52015)等が用いられる。
コンゴーレッド(C.I.22120)、
ダイレクトスカイブルー5B(C.I.24400)、
バイオレットBB(C.I.27905)、
ダイレクトディープブラックEX(C.I.30235)、
カヤラスブラックGコンク(C.I.35225)、
ダイレクトファストブラックG(C.I.35255)、
フタロシアニンブルー(C.I.74180)等が用いられる。
C.I.Pigment Blue 15:3B〔商品名:Sandye Super Blue GLL、顔料分22%、山陽色素(株)製〕、
C.I. Pigment Red 146〔商品名:Sandye Super Pink FBL、顔料分24%、山陽色素(株)製〕、
C.I.Pigment Yellow 81〔商品名:TC Yellow FG、顔料分約30%、大日精化工業(株)製〕、
C.I.Pigment Red220/166〔商品名:TC Red FG、顔料分約35%、大日精化工業(株)製〕等を挙げることができる。
また、水溶性樹脂を用いた水分散顔料としては、
C.I.Pigment Black 7〔商品名:WA color Black
A250、顔料分15%、大日精化工業(株)製〕、
C.I.Pigment Green 7〔商品名:WA−S color Green、顔料分8%、大日精化工業(株)製〕、
C.I.Pigment Violet 23〔商品名:マイクロピグモ WMVT−5、顔料分20%、オリエント化学工業(株)製〕、
C.I.Pigment Yellow 83〔商品名:エマコールNSイエロー4618、顔料分30%、山陽色素(株)製〕が挙げられる。
前記金属光沢顔料としては、アルミニウムや真鍮等の金属光沢顔料、芯物質として天然雲母、合成雲母、ガラス片、アルミナ、透明性フィルム片の表面を酸化チタン等の金属酸化物で被覆した金属光沢顔料(パール顔料)、透明又は着色透明フィルムに金属蒸着膜を形成した金属光沢顔料、透明性樹脂層を複数積層した虹彩性フィルムを細かく裁断した虹彩性を有する金属光沢顔料が例示できる。
前記着色剤は一種又は二種以上を適宜混合して使用することができ、インキ組成中1〜25重量%、好ましくは2〜15重量%の範囲で用いられる。
前記水溶性有機溶剤としては、エタノール、プロパノール、ブタノール、グリセリン、ソルビトール、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、モノエタノールアミン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、チオジエチレングリコール、ヘキシレングリコール、1,3−ブタンジオール、ネオプレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、スルフォラン、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン等が挙げられる。
尚、前記水溶性有機溶剤は1種又は2種以上を併用することもでき、インキ組成物全量に対して10重量%以下の範囲で用いることが好ましい。
本発明のボールペン用水性インキ組成物は、前記した増粘抑制剤が配合されるため、水溶性有機溶剤の添加による積極的な耐ドライアップ防止性能の向上は必要なく、従って、水溶性有機溶剤を含有しない、或いは、10重量%以下の添加で十分な性能を発現できる。
また、水溶性有機溶剤の添加量が従来のインキ組成物よりも少ないため、該水溶性有機溶剤の吸水性によって筆記先端部にインキが溜まり(垂れ下がり)、良好な筆跡の形成を損なったり、誤って衣類を汚染する不具合を防止できる。
特に、筆記先端部にボールを抱持したボールペンは、筆記時の高剪断応力下においてはボール近傍のインキが筆記に適した低粘度となり、ボールとボールハウスの間隙を毛細管力によって移動して紙面に転移されるインキ特性が必要であり、また、非筆記時には、ボール近傍も含めてすべてのインキの粘度が高くなり、インキの漏出を防止したり、インキの分離、逆流を防止する必要があり、E型回転粘度計による100rpmにおけるインキ粘度が20〜200mPa・s(25℃)を示し、且つ、剪断減粘性指数が0.1〜0.8を示すインキ組成物が好適である。
尚、剪断減粘性指数nは実験式T=Kjn(T:剪断応力値、j:剪断速度、Kは計算された定数)に数値をあてはめることにより得られる。
前記剪断減粘性付与剤は、インキ組成物中0.1〜20重量%の範囲で用いることができる。
前記剪断減粘性付与剤と増粘抑制剤の併用系において、インキ中の水分が少なくなると、前記剪断減粘性付与剤は半膨潤状態となり、見かけ上、インキ粘度は殆ど上昇しない。
なお、前記剪断減粘性付与剤としては、キサンタンガム、ウェランガム、サクシノグリカンが好適に用いられ、インキの安定性に優れる。
単糖や二糖は乾燥皮膜の形成が充分ではなく、吸水性が高いためにボールペンに適用した場合、筆記先端部を下向きで放置すると垂れ下がりが発生しやすい。また、3糖〜8糖程度では、単糖や二糖に比べて吸水性は低くなるが、十分な垂れ下がり防止性能を得るには至らない。
前記糖類は分子量が大きくなるに従い吸湿性が低くなり、乾燥皮膜を形成し易くなることから、10糖以上の糖類を用いることによりキャップオフ性能を維持したままインキの垂れ下がりを防止できる。
前記10糖以上の糖類としては、澱粉の酵素分解等によって得られる澱粉糖化物、又は、澱粉糖化物の末端基を還元した還元澱粉糖化物を用いることができる。
なお、澱粉を分解していくと、様々な重合度の糖類が生成するため、10糖以上の糖類のみを完全に単離することは技術的に困難であり、製造コストもかかってしまう。そこで9糖以下の糖類が存在する糖混合物において、前記10糖以上の糖類を40重量%以上含有することにより、前記性能を十分に発現させることができる。
前記糖混合物はインキ組成物全量に対して0.5〜10.0重量%、好ましくは1.0〜8.0重量%の範囲で配合される。0.5重量%未満では垂れ下がり防止効果が得られ難く、10.0重量%を超えるとインキの粘度が上昇して泣き出しやボテを生じたり、筆記時のインキ追従性を損なうことがある。
ボールペン自体の構造、形状は特に限定されるものではないが、例えば、インキ組成物を充填したインキ収容管を有し、該インキ収容管はボールを先端部に抱持したボールペンチップに連通しており、さらにインキ組成物の端面にはインキ逆流防止体組成物が密接しているボールペンレフィルを軸筒内に収容したボールペンを例示できる。
更に、インキ組成物を充填した軸筒を有し、該軸筒はボールを先端部に抱持したボールペンチップに連通しており、さらにインキ組成物の端面にはインキ逆流防止体組成物が密接しているボールペンであってもよい。
前記した構造のボールペンはキャップを備えることが好ましい。
ボールペンチップの構造は、従来より汎用の機構が有効であり、金属製のパイプの先端近傍を外面より内方に押圧変形させて形成したボール抱持部にボールを抱持する機構、金属材料のドリル等による切削加工により、チップ部を形成して、ボール抱持部にボールを抱持する機構、バネ体によりボールを前方に付勢させた機構、或いは、金属又はプラスチック製チップ内部に樹脂製のボール受け座を設けた機構を例示できる。
前記ボールは、超硬合金、ステンレス鋼、ルビー、セラミック、樹脂、ゴム等の0.1〜3.0mm径程度のものが適用できるが、好ましくは0.3〜1.0mm、より好ましくは0.3〜0.7mmのものが用いられる。
前記インキ組成物を収容するインキ収容管、或いは、軸筒は、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ナイロン等の熱可塑性樹脂からなる成形体が用いられる。
更に、前記インキ収容管、或いは、軸筒として透明、着色透明、或いは半透明の成形体を用いることにより、インキ色やインキ残量等を確認できる。
また、前記ボールペン用水性インキ組成物をキャップレスボールペンに収容する場合、キャップレスボールペンの構造、形状は特に限定されるものではなく、ボールペンレフィルに設けられた筆記先端部が外気に晒された状態で軸筒内に収納されており、出没機構の作動によって軸筒開口部から筆記先端部が突出する構造であれば全て用いることができる。
出没機構の操作方法としては、例えば、ノック式、回転式、スライド式等が挙げられる。
前記ノック式は、軸筒後端部や軸筒側面にノック部を有し、該ノック部の押圧により、ボールペンレフィルの筆記先端部を軸筒前端開口部から出没させる構成、或いは、軸筒に設けたクリップ部を押圧にすることにより、ボールペンレフィルの筆記先端部を軸筒前端開口部から出没させる構成を例示できる。
前記回転式は、軸筒後部に回転部を有し、該回転部を回すことによりボールペンレフィルの筆記先端部を軸筒前端開口部から出没させる構成を例示できる。
前記スライド式は、軸筒側面にスライド部を有し、該スライドを操作することによりボールペンレフィルの筆記先端部を軸筒前端開口部から出没させる構成、或いは、軸筒に
設けたクリップ部をスライドさせることにより、ボールペンレフィルの筆記先端部を軸筒前端開口部から出没させる構成を例示できる。
前記キャップレスボールペンは軸筒内に複数のボールペンレフィルを収容してなる複合式キャップレスボールペンであってもよい。
なお、前記ボールペンレフィルを構成するインキ収容管や軸筒は樹脂製であってもよいし、金属製であってもよい。
前記インキ逆流防止体組成物は不揮発性液体又は難揮発性液体からなる。
具体的には、ワセリン、スピンドル油、ヒマシ油、オリーブ油、精製鉱油、流動パラフィン、ポリブテン、α−オレフィン、α−オレフィンのオリゴマーまたはコオリゴマー、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、アミノ変性シリコーンオイル、ポリエーテル変性シリコーンオイル、脂肪酸変性シリコーンオイル等があげられ、一種又は二種以上を併用することもできる。
更に、前記液状のインキ逆流防止体組成物と、固体のインキ逆流防止体を併用することもできる。
なお、表中の数値は重量%を示す。
(1)オリエント化学工業(株)製、商品名:ウォーターブラック100−L、染料分20%
(2)アイゼン(株)製、商品名:フロキシン
(3)山陽色素(株)製、商品名:サンダイスーパーブルーGLL、顔料分22%
(4)三晶(株)製、商品名:ケルザン
(5)一般式(4)で示される化合物、R4はメチル基
(6)一般式(4)で示される化合物、R4はブチル基
(7)ポリオキシエチレンオクチルエーテルリン酸エステルのエタノールアミン塩、第一工業製薬(株)製、商品名:プライサーフM208B
(8)10糖以上の澱粉糖化物を73.5%以上含む糖混合物、(株)林原商事製、商品名:サンデック30
(9)一般式(4)のR4が水素原子である化合物
前記実施例1乃至3、比較例1乃至3のインキ組成物を直径0.5mmのボールを抱持するステンレススチール製チップがポリプロピレン製パイプの一端に嵌着されたインキ収容管に充填し、更に、前記インキ後端面に密接させてインキ逆流防止体を充填してボールペンレフィルを得た。
前記ボールペンレフィルを軸筒に組み込み、ボールペンを得た。
なお、前記ボールペンはキャップを備えてなる。
前記実施例4乃至6、比較例4乃至6のインキ組成物を直径0.4mmのボールを抱持するステンレススチール製チップがポリプロピレン製パイプの一端に嵌着されたインキ収容管に充填し、更に、前記インキ後端面に密接させてインキ逆流防止体を充填してボールペンレフィルを得た。
前記ボールペンレフィルを軸筒内に組み込み、キャップレスボールペンを得た。
なお、前記キャップレスボールペンは、ボールペンレフィルに設けられた筆記先端部が外気に晒された状態で軸筒内に収納されており、軸筒後端部に設けられた出没機構(ノック機構)の作動によって軸筒開口部から筆記先端部が突出する構造である。
前記のようにして得たボールペン及びキャップレスボールペンを倒立状態(筆記先端部が下向き)で25℃で60日間放置した後、筆記を行ない、筆跡の状態を目視により観察した。
なお、ボールペンについては、キャップを外した状態で試験を行った。
垂れ下がり試験
前記のようにして得たボールペン及びキャップレスボールペンを倒立状態(筆記先端部が下向き)で、温度25℃、相対湿度90%の雰囲気下に20時間放置した後、筆記先端部の外観を目視で観察した。
なお、ボールペンについては、キャップを外した状態で試験を行った。
前記インキ組成物の各x値〔インキ中の水がインキ全量に対して40重量%蒸発した時の粘度/初期のインキ粘度(EMD型粘度計、1rpm、20℃で測定)〕と耐ドライアップ試験結果、垂れ下がり試験結果を以下の表に示す。
耐ドライアップ試験
◎:均一でかすれのない良好な筆跡が得られる。
○:かすれのない筆跡が得られる。
×:筆跡にかすれが見られる。
垂れ下がり試験
◎:インキの漏れだし(垂れ下がり)が認められない。
○:チップ先端にインキの僅かな滴が認められる。
×:チップ先端に、大きいインキ滴が認められる、或いはチップ先端から漏れたインキが落下している。
Claims (16)
- 着色剤、水、剪断減粘性付与剤、増粘抑制剤とから少なくともなり、インキ全量中から水が40重量%蒸発した時の粘度/初期のインキ粘度(EMD型粘度計、1rpm、20℃で測定)で示される数値(x)が2以下であることを特徴とするボールペン用水性インキ組成物。
- 着色剤と、水と、剪断減粘性付与剤と、下記一般式(1)乃至(6)で示される化合物、N−ビニル−2−ピペリドンのオリゴマー、N−ビニル−ε−カプロラクタムのオリゴマーから選ばれる増粘抑制剤とから少なくともなるボールペン用水性インキ組成物。
- 前記増粘抑制剤を1乃至40重量%含んでなる請求項2記載のボールペン用水性インキ組成物。
- 前記剪断減粘性付与剤が多糖類である請求項1乃至3のいずれかに記載のボールペン用水性インキ組成物。
- 前記剪断減粘性付与剤がキサンタンガム、ウェランガム、サクシノグリカンから選ばれる請求項4記載のボールペン用水性インキ組成物。
- 10糖以上の糖類を40重量%以上含んでなる糖混合物を含有してなる請求項1乃至5のいずれかに記載のボールペン用水性インキ組成物。
- 前記糖混合物が澱粉糖化物又は還元澱粉糖化物である請求項6記載のボールペン用水性インキ組成物。
- 前記糖混合物を0.5乃至10重量%含んでなる請求項6又は7記載のボールペン用水性インキ組成物。
- 水溶性有機溶剤を含有しない請求項1乃至8のいずれかに記載のボールペン用水性インキ組成物。
- 水溶性有機溶剤を含んでなり、且つ、前記水溶性有機溶剤がインキ組成物全量中10重量%以下である請求項1乃至8のいずれかに記載のボールペン用水性インキ組成物。
- 請求項1乃至10のいずれかに記載のボールペン用水性インキ組成物を内蔵したボールペンレフィルを軸筒内に収容したボールペン。
- 請求項1乃至10のいずれかに記載のボールペン用水性インキ組成物を軸筒内に内蔵したボールペン。
- ボールペン用水性インキ組成物後端面にインキ消費に伴って追従するインキ逆流防止体を配設してなる請求項11又は12記載のボールペン。
- キャップを備えてなる請求項11乃至13のいずれかに記載のボールペン
- 請求項1乃至10のいずれかに記載のボールペン用水性インキ組成物をボールペンレフィル内に収容してなり、出没機構の作動によって前記ボールペンレフィルの筆記先端部が軸筒前端開口部から出没するキャップレスボールペン。
- ボールペン用水性インキ組成物の後端面にインキ消費に伴って追従するインキ逆流防止体を配設してなる請求項15記載のキャップレスボールペン。
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