本発明のインクジェットヘッドは、インク吐出面に開口をそれぞれ有する第1及び第2のノズルと、インクを貯溜する共通インク室と、前記共通インク室の出口から圧力室を経て前記第1のノズルの前記開口に至る第1の個別インク流路と、前記圧力室内のインクに吐出エネルギーを付与するエネルギー付与手段と、前記共通インク室の出口から前記第2のノズルの前記開口に至る第2の個別インク流路とを備えている。そして、前記第2のノズルの開口径が、前記第1のノズルの開口径よりも大きい。
これによると、インク吐出面をキャップで密封した状態において、キャップの内圧が上昇しても第2のノズルに形成されたインクメニスカスが優先的にブレークし、第2の個別インク流路内に膨張した空気が流入する。そのため、第1のノズルに形成されたインクメニスカスがブレークするのを抑制することができる。したがって、第1のノズルから第1の個別インク流路内に膨張した空気が流入しにくくなり、回復動作の実行頻度を低下させることができる。つまり、キャップ内(密閉空間内)の空気の膨張に対して、第2のノズルで先にインクメニスカスが壊れる。このとき、流路内に空気の膨張分を引き込むことで、インク吐出に関与する第1のノズルではインクメニスカスが維持される。これにより、インクメニスカスを回復するための回復動作が不要になり、継続して第1のノズルによる印字が可能となるとともに、回復動作に伴うインク消費を抑えることができる。
本発明において、複数の前記第1のノズルが一方向に配列されることによって、前記第1のノズルの前記開口からなるノズル列が前記インク吐出面に形成されており、前記ノズル列中の端にある開口から前記一方向に沿ってさらに外側に、前記第2のノズルの前記開口が形成されていることが好ましい。これにより、インク吐出面において、第2のノズルが第1のノズル間に形成されないので、複数のノズルの規則的な配列が簡易になる。また、インクジェットヘッドやキャップをコンパクトに形成することができる。
また、本発明において、前記第2の個別インク流路は、インクの流れ方向に直交する方向に関する最小断面積が前記第2のノズルの開口面積以下である小径流路を備えていることが好ましい。これにより、第2のノズルにおいてインクメニスカスがブレークしても、小径流路で再度インクメニスカスが形成されるので、共通インク室に膨張した空気が侵入しにくくなる。
また、このとき、前記小径流路の最小断面積が、前記第1のノズルの開口面積以下であってもよい。これにより、小径流路で確実にインクメニスカスが形成されるので、膨張した空気が第2の個別インク流路を介して共通インク室に侵入しなくなる。
また、このとき、複数の前記圧力室が前記一方向に配列されることによって、複数の前記圧力室からなる圧力室列が形成されており、前記圧力室列中の端にある圧力室から前記一方向に沿ってさらに外側に、前記第2の個別インク流路の一部として前記圧力室と同じ形状の空隙が形成され、前記小径流路が前記共通インク室から前記空隙に至る流路中に配設されていてもよい。これにより、空隙が圧力室間に形成されないので、複数の圧力室の配列が簡易になる。しかも、圧力室を形成するときに、空隙も同時に形成することが可能になるので、インクジェットヘッドの製造が容易になる。また、圧力室と同形状の空隙を有している分、第2の個別インク流路の容積が大きくなるので、キャップの内圧が大きく上昇しても、その内圧上昇分を吸収することができる。また、小径流路が空隙と共通インク室との間の流路に形成されているので、膨張した空気の吸収効果を向上するとともに共通インク室に膨張した空気が侵入しにくくなる。
また、このとき、前記第2の個別インク流路の前記空隙の出口から前記第2のノズルまでの流路における前記インク流れ方向と直交する方向に関する最小断面積が、前記第1の個別インク流路の前記圧力室の出口から前記第1のノズルまでの流路における前記インク流れ方向と直交する方向に関する最小断面積よりも大きくてもよい。これにより、第2のノズルにおいてブレークしたインクメニスカスが第2の個別インク流路の第2のノズル〜空隙の出口に至るまでの間において留まりにくくなるので、キャップ内の内圧が大きく上昇しても、その内圧上昇分を吸収することができる。したがって、第1のノズルのインクメニスカスのブレークを防止することができる。
また、このとき、前記空隙の出口から前記第2のノズルまでの流路における前記インク流れ方向と直交する方向に関する最小断面積が、前記圧力室の出口から前記第1のノズルまでの流路における前記インク流れ方向と直交する方向に関する最大断面積よりも大きくてもよい。これにより、第2の個別インク流路の第2のノズル〜空隙の出口に至るまで容積が第1の個別インク流路の第1のノズル〜圧力室の出口に至るまでの容積より大きくなる。そのため、キャップの内圧が大きく上昇しても、その内圧上昇分を余裕をもって吸収することができる。したがって、第1のノズルのインクメニスカスのブレークを確実に防止することができる。
また、このとき、前記空隙の出口から前記第2のノズルの前記開口までの流路の長さが、前記圧力室の出口から前記第1のノズルの前記開口までの流路の長さより長くてもよい。これにより、第2の個別インク流路長が長い分だけ容積が大きくなるので、キャップの内圧が大きく上昇しても、その内圧上昇分をより一層確実に吸収することができる。
また、本発明において、前記第1及び第2のノズル、前記共通インク室、前記圧力室、前記圧力室を含む前記第1の個別インク流路及び前記第2の個別インク流路が形成された流路ユニットと、前記圧力室内のインクに吐出エネルギーを付与するための駆動信号が供給される個別電極と接地電位が供給される共通電極とを有し、前記流路ユニットに設置された前記エネルギー付与手段とを備えている。このうち、前記流路ユニットは、前記第1及び第2のノズルが形成された第1のプレートと前記圧力室が形成された第2のプレートとを含む複数のプレートが積層して構成され、さらに、前記エネルギー付与手段は、前記個別電極及び前記共通電極が対応する前記圧力室にそれぞれ対向して前記第2のプレートに設置されていることが好ましい。これにより、第1のプレートを変更するだけで第2のノズルにおけるインクメニスカスの様々な壊れ易さを実現できる。また、第1のプレート以外のプレートの変更により、様々な容積を有する第2の個別インク流路を実現できる。そのため、キャップの内圧の変化に対して、所望の対応の仕方による内圧上昇分の吸収が容易に可能となる。
また、本発明において、前記共通インク室は、互いに連通する第1の共通インク室と第2の共通インク室とを有し、前記第1の個別インク流路が前記第1の共通インク室と連通し、前記第2の個別インク流路が前記第2の共通インク室と連通していることが好ましい。これにより、第1及び第2の個別インク流路が、第1及び第2の共通インク室のそれぞれに繋がっているので、第1及び第2の共通インク室が連通していても、第2の共通インク室に侵入した気泡が第1の共通インク室に到達しにくい。
以下、本発明の好適な実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。
図1は、本発明の一実施形態によるインクジェットヘッドが採用されたカラーインクジェットプリンタの内部構成を描いた概略斜視図である。図1に示すように、カラーインクジェットプリンタ1内にはキャリッジ64やヘッドユニット63が配置されている。このうち、ヘッドユニット63は、これを構成する本体フレーム68によりキャリッジ64に固定されている。
キャリッジ64は、プラテンローラ66の支軸と平行に配設されるガイド軸71及びガイド板72によって摺動自在に支持されている。ガイド軸71の両端部の近傍には、プーリー73,74が支持され、これらのプーリー73,74の間に無端ベルト75が架け渡されている。キャリッジ64は、この無端ベルト75の適宜の位置に固定されている。
このような駆動機構65の構成により、一方のプーリー73に連結したモータ76が正逆回転すると、キャリッジ64がガイド軸71及びガイド板72に沿って直線的に往復移動するため、これに伴ってヘッドユニット63も往復移動する。ヘッドユニット63の本体フレーム68には、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックのインクをそれぞれ吐出する4個の圧電式のインクジェットヘッド6が固着されている。さらに、本体フレーム68には、カラーインクがそれぞれ充填される計4個のインクカートリッジ61が脱着可能に取り付けられている。
さらに、用紙を送るためのプラテンローラ66が、その軸線がキャリッジ64の往復移動方向に沿うように配置されている。インクジェットヘッド6に対しては、インクが吐出されるインク吐出面6a(図2参照)と所定の間隔を介して対向している。用紙62は、インクジェットプリンタ1の側方に設けられた給紙カセット(図示せず)から給紙され、4つのインクジェットヘッド6とプラテンローラ66との間の空間に導かれて、インクジェットヘッド6から吐出されるインクにより印刷が施された後に排紙される。なお、図1においては、用紙62の給紙機構及び排紙機構の図示を省略している。
また、インクジェットプリンタ1内には、図1中左下方に示すパージ機構67が設けられている。パージ機構67は、各インクジェットヘッド6の内部に溜まる気泡やゴミなどをインクとともに強制的に吸引して除去するためのものである。このパージ機構67はプラテンローラ66の側方に設けられている。パージ機構67の位置は、駆動機構65によってヘッドユニット63がリセット位置に至ったときに4つのインクジェットヘッド6のいずれかに順次対向するように定められている。パージ機構67は、インクジェットヘッド6のインク吐出面6aを覆うパージキャップ81と、パージキャップ81内を負圧に吸引する吸引機構とから構成されている。パージキャップ81は、底部と底部の外周縁から上方に突出した環状側壁91とからなり、全体的に、上方が開放した略箱状の外形を有している。また、吸引機構は、図示しない駆動源と連結したカム83とカム83の変位により負圧を発生するポンプ82とから構成されている。
この構成で、パージ機構67は、インクジェットヘッド6がリセット位置にあるときに、1つのインクジェットヘッド6のインク吐出面6aに環状側壁91の先端を当接させる。こうして、インク吐出面6aとパージキャップ81とで囲まれた密閉空間が形成される。ポンプ82がカム83により駆動されると、密閉空間内が負圧となり、インクジェットヘッド6内のインクが気泡やゴミなどと共に排出される。排出された不良インクは、ポンプ82に隣接する廃インク溜め84に収容される。こうして、インクジェットヘッド6の回復を行うようにしている。このような回復動作が4つのインクジェットヘッド6に対して順次行われる。これにより、インクジェットヘッド6に対するインクの初期導入時における気泡や空気を除去でき、さらに、印刷に伴う気泡の滞留や成長などによって陥っていた吐出不良状態からインクジェットヘッド6を正常状態へ回復させることができる。さらに、後述するように、インク吐出面側から侵入した空気もこのパージ動作によってインクとともに排出される。また、図1に示す4つのキャップ85は、印刷が終了してリセット位置に戻された4つのインクジェットヘッド6の各インク吐出面6aを覆って、インクの乾燥を防止するためのものである。キャップ85もパージキャップ81と同様に、底部の外周縁から上方に向かって突出した環状側壁86を有しており、上方に向かって開口した略箱状に形成されている。この構成で、キャップ85の環状側壁86の先端をインク吐出面6aに当接すると、キャップ85とインク吐出面6aとで囲まれた空間が密閉空間となる。これにより、インクジェットヘッド6のインクの乾燥が防止される。
図2に、ヘッドユニット63を上下逆さまにした状態の斜視図を示す。ヘッドユニット63の本体フレーム68は、図2に示すように、その上面側(図2においては下方を向くように描かれている)が開放された略箱状に形成されることにより、その開放された側から4つのインクカートリッジ61を着脱自在に装着できるような搭載部を形成している。
本体フレーム68の搭載部の一側部位には、本体フレーム68の底板5の下面(インクジェットヘッド6が固着される側の面:図2においては上方を向くように描かれている)側から上面側までを連通する4つのインク供給通路4が設けられている。底板5の下面には、各インク供給通路4に対応させて、各インクジェットヘッド6のインク供給口39(図3参照)と密接できるようにしたゴム製などのジョイント部材45が取り付けられている。つまり、底板5の下面側に固定されたインクジェットヘッド6は、インク供給口39及びインク供給通路4を介して底板5の上面側に装着されたインクカートリッジ61と連通している。これにより、インクカートリッジ61から、対応するインクジェットヘッド6に対してインクが供給される。
図2に示すように、底板5の下面側には、4つのインクジェットヘッド6を並列に配置させるための4つの支持部8が段付き状の凹部として形成されている。インクジェットヘッド6は、インク吐出面6aを外側に露出するようにして対応する支持部8に固定されている。なお、インクジェットヘッド6の固定には、紫外線硬化型接着剤が用いられる。
続いて、インクジェットヘッド6の構成について以下に説明する。なお、以下の説明において、4つのインクジェットヘッド6はどれも同じ構成を有しているので、1つのインクジェットヘッド6について説明する。図3は、本実施の形態によるインクジェットヘッド6の斜視図である。図3に示すように、インクジェットヘッド6は、インクを吐出するヘッド本体70とヘッド本体70に駆動信号を供給するフレキシブルプリント回路(FPC:Flexible Printed Circuit)40とを含んでいる。このうち、ヘッド本体70は、内部に流路が形成された流路ユニット10とこの流路ユニット10内のインクに吐出エネルギーを付与する圧電型のアクチュエータユニット20とで構成されている。FPC40は、一端部側がアクチュエータユニット(エネルギー付与手段)20の上面20aに電気的に接続され、他方の端部側がインクジェットプリンタ1の制御部(図示せず)に接続されている。これにより、制御部から駆動信号(駆動電圧)が供給されると、ヘッド本体70のインク吐出面6aからインクが吐出されることになる。流路ユニット10の下面、すなわちインク吐出面6aには、ノズル(第1のノズル)35が多数開口されており、各ノズル35から下向きにインクが吐出される。さらに、流路ユニット10の下面には、孔(第2のノズル)51が1つだけ形成されている。この孔51からは後述するようにインクは吐出されない。
図4は、流路ユニット10の分解斜視図を、図5は流路ユニット10の分解拡大斜視図(図4のV−V方向断面)を、それぞれ示している。図6は、図3に示すVI−VI線に沿った断面図である。流路ユニット10は、図4に示すように、ノズルプレート(第1のプレート)11、ダンパプレート12、2枚のマニホールドプレート13X,13Y、スペーサプレート14、ベースプレート(第2のプレート)15の計6枚の薄い金属板を、それぞれ接着剤にて重ね接合して積層した構造とされている。
ノズルプレート11には、図4及び図5に示すように、複数のノズル35及び1つの孔51が形成されている。複数のノズル35は、インク吐出面6aにそれぞれインク出口となる開口42を有し、ノズルプレート11の長手方向に沿って、印字の解像度に対応する間隔で並んでいる。ここでは、これらのノズル35が、ノズルプレート11のほぼ中央部を千鳥状の2列に配列されて、2つのノズル列35a,35bを構成している。このうち、ノズル列35aにおいて、最も外側に位置するノズル35のさらに外側に、孔51が形成されている。孔51は、ノズル列35aに沿って配置されている。孔51のインク吐出面6aに有する開口51aは、ノズル35の開口42の径(面積)よりも大きな径を有している。なお、本実施の形態におけるノズル35及び孔51は、図6に示すように、ノズルプレート11の厚み方向のいずれの位置においてもほぼ同径の断面を有するストレート孔である。
図5に示すように、ベースプレート15は、上述のノズルプレート11に対向して積層し、流路ユニット10の一方の最外層を構成するプレートである。このベースプレート15には、複数の圧力室36がベースプレート15の長手方向に沿って千鳥状配列で2列に穿設されており、圧力室列36a,36bを構成している。各圧力室36は、細幅に形成され、その長手方向がベースプレート15の長手方向に対して直交している。また、ベースプレート15には、圧力室列36aの最も外側に位置する圧力室36のさらに外側に、空隙52が形成されている。空隙52は、圧力室列36a中の圧力室36同士と等しい間隔を隔てて形成され、圧力室36と同じサイズと形状を有している。また、空隙52の配設状態も、圧力室36と同様で、その長手方向がベースプレート15の長手方向に対して直交している。また、ベースプレート15のスペーサプレート14に面する側には、各圧力室36と接続された絞り部46と、空隙52と接続された絞り部53と、絞り部46と接続された連通孔47と、絞り部53と接続された連通孔54とが凹設されている。絞り部46は、インク流動方向(ここでは、圧力室36の長手方向に平行な方向)と直交する断面積を圧力室36よりも小さくする等して形成され、圧力室36よりも大きな流路抵抗を有している。これにより、インク吐出時に圧力室36から後述の共通インク室7側へ逆流しようとするインクの流れが制限される。また、絞り部53は、インク流動方向(ここでは、空隙52の長手方向に平行な方向)と直交する断面積がノズル35の開口面積よりも小さくなっている。いずれの絞り部46,53も、流路ユニット10に形成された流路の中で、その断面が他の部位に比べて小径の流路である。なお、ベースプレート15のアクチュエータユニット20と対向する面には、図4及び図5に示すように、長手方向に沿って4つの凹溝16が形成されている。これらの凹溝16は、アクチュエータユニット20側に開放し、図6に示すように、圧力室36及び空隙52の形成領域外において、アクチュエータユニット20の両側の縁部とそれぞれ対向して配設されている。
スペーサプレート14には、連通孔47,54と対向する位置に連通孔38が形成されている。また、スペーサプレート14の各圧力室36のインク出口(一端)48と空隙52の出口(一端)55とに対向する位置には、図5に示すように、それぞれ貫通孔37と貫通孔56とが穿設されている。このうち、複数の貫通孔37は、ノズル35と同様に、スペーサプレート14のほぼ中央部において、千鳥状配列で2列に並んでいる。各列は、スペーサプレート14の長手方向に沿って延びている。このうち、一方の列には、その延長線上に貫通孔56が配設されている。つまり、本実施形態では、各貫通孔37,56が全体として千鳥状配列している。貫通孔37の開口面積は、ノズル35や孔51の開口面積よりも大きく形成されている。また、貫通孔56の開口面積は、貫通孔37の開口面積より大きく形成されている。なお、2枚のマニホールドプレート13X,13Y、及びダンパプレート12にも、上述の貫通孔37や貫通孔56が同じく千鳥状配列で穿設されている。この構成で、各圧力室36のインク出口48が、各プレート12,13X,13Y,14に形成された貫通孔37を介して、ノズルプレート11のノズル35に連通している。一方、空隙52の出口55が、各プレート12,13X,13Y,14に形成された貫通孔56を介して、ノズルプレート11の孔51に連通している。
図5に示すように、2枚のマニホールドプレート13X,13Yのうち、スペーサプレート14に隣接したマニホールドプレート13Xには、2つのインク室半部13aが貫通状に形成されている。そして、これらインク室半部13aの側壁には、連通孔47に対応した副マニホールド流路(第1共通インク室)44と、連通孔54に対応した副マニホールド流路(第2共通インク室)57とがマニホールドプレート13Xの厚み方向に貫通状に形成されている。一方、ダンパプレート12に隣接するマニホールドプレート13Yには、2つのインク室半部13bが、他側のマニホールドプレート13Xに向けてのみ開放するように凹設されている。
この構成で、図6に示すように、2枚のマニホールドプレート13X,13Yとスペーサプレート14の計3枚を積層することにより、対応する上下のインク室半部13a,13bが相互に接合されて、2つの主マニホールド流路58が形成される。これら2つの主マニホールド流路58は、貫通孔37の列を挟んで両側に1つずつ配設されている。この主マニホールド流路58、及び、主マニホールド流路58から分岐した副マニホールド流路44,57によって2つの共通インク室7a,7bが構成される。つまり、共通インク室7aは、主マニホールド流路58と、1つの副マニホールド流路57と、複数の副マニホールド流路44とから構成されている。一方、共通インク室7bは、主マニホールド流路58と、複数の副マニホールド流路44とから構成されている。
なお、貫通孔37の列の両側に2つの共通インク室7a,7bを設けたのは、2列に配置された圧力室36に対応させるためである。すなわち、2列の圧力室列36a,36bのうち、圧力室列36aは一方の共通インク室7aに、圧力室列36bは他方の共通インク室7bにそれぞれ連通されている。さらに、空隙52も共通インク室7aに連通している。本実施の形態においては、双方の共通インク室7a,7bに同色のインクを供給し、2列のノズル35で単色の高解像度の印字を行わせる印字形態を採っている。しかし、このような構成を有する、本実施形態におけるインクジェットヘッド6では、2つの共通インク室7a,7bに互いに異なる色のインクを供給してもよい。1つのインクジェットヘッド6から2色のインクを吐出することができる。このような使用形態が想定されるなら、予め色ごとに空隙52やこれに連通する孔51を設けておけばよく、部品の共通化が容易で高い汎用性が図られている。
図5に示すように、ダンパプレート12には、2列のダンパ溝12cが凹設されている。このダンパ溝12cは、対応する主マニホールド流路58に対向して開放するように形成され、主マニホールド流路58とほぼ同形状及び同サイズを有している。図6に示すように、マニホールドプレート13Y及びダンパプレート12を接合すると、マニホールドプレート13Yのインク室半部13bが凹設された部分(ダンパ部49)には、ダンパ溝12cが位置する。ここで、マニホールドプレート13Yのダンパ部49は、適宜弾性変形可能に構成され、主マニホールド流路58側にもダンパ溝12c側にも、自由に変位することができる。このような構成により、インク吐出時に圧力室36で発生した圧力変動が共通インク室7a,7bに伝搬しても、ダンパ部49が弾性変形して振動することによってその圧力変動を吸収減衰させることができる。
なお、図4に示すように、ベースプレート15及びスペーサプレート14には、それぞれ2つのインク供給孔39a,39bが穿設されている。ベースプレート15とスペーサプレート14とを接合することで、対応するインク供給孔39a,39bが互いに接続され、2つの共通インク室7a,7bにそれぞれに対応するインク供給口39が形成されている。2つのインク供給口39は、インクジェットヘッド6の小型化の要請から、圧力室列36a,36bの端部に近い位置に互いに接近して穿設されている。
図6に示すように、各プレートを積層することで流路ユニット10が構成されている。流路ユニット10の内部には、インク供給口39から共通インク室7に至るインク流路と、共通インク室7の各副マニホールド流路44の出口から連通孔38,47、絞り部46、圧力室36及び貫通孔37を通ってノズル35に至る複数の個別インク流路(第1の個別インク流路)59aと、共通インク室7の副マニホールド流路57の出口から連通孔38,54、絞り部53、空隙52及び貫通孔56を通って孔51に至る1つの個別インク流路(第2の個別インク流路)59bとが構成されている。個別インク流路59aにおいて、圧力室36のインク出口48からノズル35に至る流路は圧力室36の一端からほぼ鉛直下方に向かって延在している。一方、個別インク流路59bにおいて、空隙52の出口55から孔51に至る流路は空隙52の一端から斜め下方に向かって延在している。圧力室36も空隙52も同じプレート内にあることから、個別インク流路59bの空隙52の出口55から孔51に至る流路が、個別インク流路59aの圧力室36のインク出口48からノズル35に至る流路よりも長くなる。そのため、個別インク流路59aに比べて、個別インク流路59bの容積の方が大きくなっている。さらに、空隙52の出口55から孔51の入り口(すわなち、ダンパプレート12に形成された貫通孔56の開口端)12aに至る流路を構成する貫通孔56の開口面積が、圧力室36のインク出口48からノズル35の入り口(すわなち、ダンパプレート12に形成された貫通孔37の開口端)12bに至る流路を構成する貫通孔37の開口面積より大きく形成されている。そのため、個別インク流路59aに比べて、個別インク流路59bの容積がさらに大きくなる。
図7は、アクチュエータユニット20の分解拡大斜視図である。図6及び図7に示すように、アクチュエータユニット20は、2枚の圧電シート21,22と、1枚の絶縁シート23とを積層した構造である。圧電シート21の上面には、圧力室36毎に対応した細幅の複数の駆動電極24が、千鳥状配列で設けられている。各駆動電極24の一端部24aは、アクチュエータユニット20の左右側面に露出するように形成されている。
圧電シート22の上面には、複数の圧力室36に跨って共通のコモン電極25が設けられている。コモン電極25の一端部25aも、各駆動電極24の一端部24aと同様、左右側面に露出するように形成されている。本実施形態では、図6に示したように、駆動電極24がすべての圧力室36に対応して設けられている。空隙52に対しては、孔51からのインク吐出を行わないことから、駆動電極24は設けられていない。一方、図7に示すように、コモン電極25は、駆動電極24の並びの外側において、アクチュエータユニット20の側面に引き出してある。そのため、コモン電極25は、すべての駆動電極24にも空隙52にも跨るように設けられている。圧電シート21,22は図示のように1枚ずつ交互に積層するだけでなく、交互に複数枚積層することもできる。各駆動電極24とコモン電極25とに挟まれる圧電シート21,22におけるそれぞれの領域は、圧力室36毎に対応した活性層となる。この活性層は、駆動電極24とコモン電極25との間に電圧が加えられると、圧電シートの有する電歪効果に基づいて変位する。ここでは、電界の強度に応じて、活性層が主に積層方向に伸縮する。
最上段の絶縁シート23の上面(すなわち、アクチュエータユニット20の上面20a)には、各駆動電極24の各々に対する表面電極26と、コモン電極25に対する表面電極27とが上面20aの短手方向の両端部において上面20aの長手方向に沿って並ぶように設けられている。
また、アクチュエータユニット20の長手方向に沿う両側面には、各駆動電極24の一端部24aに凹部30が、コモン電極25の一端部25aに凹部31が、それぞれ積層方向に延出されるように設けられている。各凹部30内には、各駆動電極24と各表面電極26とを電気的に接続する側面電極26aが形成され、凹部31内には、コモン電極25と表面電極27とを電気的に接続する側面電極27aが形成されている。なお、符号28及び29の電極は、捨てパターンの電極である。
このような構成の流路ユニット10とアクチュエータユニット20とは、各圧力室36と、対応する駆動電極24とがそれぞれ対向するように積層して固定されている。このとき、アクチュエータユニット20は、図6に示すように、側面電極26a,27aの下端部がベースプレート15の凹溝16と対向する位置に配置され、流路ユニット10と離隔されている。さらに、アクチュエータユニット20の上面20aには、FPC40が積層されており、その配線パターン(図示せず)が対応する各表面電極26,27に電気的に接合されている。これにより、FPC40を介して、駆動電極24は制御部からの駆動信号を選択的に供給可能となり、コモン電極25は接地電位が供給されることになる。
そして、任意の駆動電極24とコモン電極25との間に駆動電圧(駆動信号)が印加されると、この駆動電極24の部分(即ち圧力発生部)に積層方向の歪みが発生し、この駆動電極24に対応する圧力室36内のインクに吐出エネルギーが与えられる。流路ユニット10においては、インク供給口39から共通インク室7内に流入したインクが、副マニホールド流路44,57を経由して、各圧力室36及び空隙52に供給されている。そして、各圧力室36のインクは吐出エネルギーにより、圧力室36のインク出口48から各貫通孔37を経由して対応するノズル35から吐出される。これにより、用紙62への所定の印字が行われる。なお、空隙52内のインクには、アクチュエータユニット20から吐出エネルギーが付与されないので、孔51からインクが吐出することはない。
続いて、インクジェットヘッド6(インク吐出面6a)をキャップ85で覆ったとき、キャップ85内の圧力変化とノズル35及び孔51のインクメニスカスとの関係について、以下に説明する。図8は、キャップ85内の圧力変化に伴うノズル35及び孔51のインクメニスカスの形成状況を示す図である。このうち、図8(a)は、インク吐出面6aに対するキャッピング当初の状態を示す図である。図8(b)、(c)は共にキャップ85内の温度が上昇したときの状態を示す図であるが、図8(b)の場合より図8(c)の方が高温状態を想定した図である。インクジェットヘッド6は、印刷が終了してリセット位置に戻されると、図8(a)に示すように、ノズル35の乾燥防止を目的として、インク吐出面6aがキャップ85により覆われる。このとき、キャップ85の環状側壁86がインク吐出面6aに当接され、キャップ85内に密閉空間が形成される。キャッピング時には、このような密閉空間を形成しても、その内圧が大気圧から変化しないように操作されている。そのため、ノズル35及び孔51に形成されるインクメニスカス42a,51bは、インク吐出面6a側のそれぞれの開口端に位置している。なお、廃インク流路84の途中には、弁が存在しているが、図8(a)に示すように、廃インク溜め84に廃棄しきれなかったインクも複数箇所に存在しているため、このインクが栓となってキャップ85の密閉空間を実現している。
一方、キャップ85内の温度が当初より上昇すると、キャップ85が作る密閉空間内の空気が膨張してその体積を増す。このときの体積増加量によっては、廃インク流路87中に残存するインク滴を廃インク溜め84側に移動させるだけでは、増加分を吸収しきれないことがある。そのため、密閉空間内の圧力は上昇し、これがノズル35及び孔51に形成されているインクメニスカス42a,51bを壊すように働く。ここで、上述したように、孔51の開口51aはノズル35の開口42よりも大きな開口径を有しているので、孔51のインクメニスカス51bの方が優先的に壊れることになる。本実施形態では、個別インク流路59bが、空隙52の出口55から孔51までほぼ同じ開口径で構成されている。そのため、インクメニスカスは、この間を空隙52に向かって後退する。しかし、空隙52の出口55では、開口径が大きく変化しているので、ここでインクメニスカスは後退をやめて止まる。このように、キャップ85内で膨張した空気を廃インク流路87及び個別インク流路59bが連動して取り込み吸収し終えると、図8(b)に示すように、空隙52の出口55でインクメニスカス51b´が形成される。一方、ノズル35のインクメニスカス42aは、壊れることなく当初の位置に保持されている。
また、キャップ85内の温度が当初よりさらに上昇したときには、その膨張した空気を空隙52内に達するまで取り込んで吸収する。本実施の形態では、空隙52の入り口側に接続する絞り部53が、ノズル35よりも断面が小径に形成してある。そのため、空隙52内を後退するインクメニスカスも、図8(c)に示すように、絞り部53に確実に止まって再度インクメニスカス51b´´が形成される。こうして、キャップ85内の膨張した空気を廃インク流路87及びインク吐出に寄与しない個別インク流路59b内に取り込むことで、ノズル35の開口42付近に形成されたインクメニスカス42aのブレークを防止しつつ、個別インク流路59a内に膨張した空気が侵入するのを抑制する。なお、インクジェットヘッド6の回復動作後に、そのままインクジェットヘッド6をパージキャップ81で長時間覆っていたときに、パージキャップ81内の空気が膨張しても、上述と同様に、ノズル35の開口42付近に形成されたインクメニスカス42aのブレークを防止しつつ、個別インク流路59a内に膨張した空気が侵入するのを抑制することができる。また、孔51から個別インク流路59b中に取り込んだ空気は、上述のようなパージ動作によって、インクとともに孔51から排出される。これより、インクメニスカスが、図8(a)に示すように、孔51の開口51a付近に形成される。
なお、これまでは、密閉空間内の温度が上昇する場合について説明したが、逆に、温度が下がる場合について以下に説明する。温度が下がると、空気は収縮し、密閉空間内は負圧となる。このとき、以上の説明から容易に理解できることであるが、孔51に形成されているインクメニスカス51bの強度の方が低いので、インクメニスカス42aよりも先に壊れることになる。この場合は、空気の収縮量に対応したインクが、孔51から排出されることになる。インクの排出は、キャップ85内の圧力とインクメニスカス51bの強度とで釣り合いがとれるまで続く。排出されたインクは、キャップ85の底部に形成された廃インク流路87を介して廃インク溜め84に廃棄される。しかし、この間、ノズル35に形成されたインクメニスカス42aは、そのまま維持されている。このように、圧力低下に伴うインクの排出は、孔51で生じるだけであるので、インク吐出面6aをほとんど汚すこともなく、インク吐出面6aのクリーニングも容易である。
以上のように、本実施形態によるインクジェットヘッド6によると、インク吐出面6aをキャップ85で密封した状態において、キャップ85内の内圧が上昇しても(すなわち、キャップ85内の空気が膨張しても)孔51の開口51a付近に形成されたインクメニスカス51bが優先的にブレークし、個別インク流路59b内に膨張した空気が流入する。そのため、ノズル35に形成されたインクメニスカス42aがブレークするのを抑制することができる。したがって、ノズル35から個別インク流路59a内に膨張した空気が流入しにくくなる。このように、個別インク流路59aに膨張した空気が流入しにくくなると、印字動作にすみやかに移れるばかりか、インク吐出に寄与する個別インク流路59aの回復動作、すなわちパージ動作を行う実行頻度を減少させることができる。そのため、無駄に消費されるインク量を低下させることができるとともに、回復動作に使用される時間が短くなるので、単位時間当たりの印字可能枚数の低下を抑制することができる。
また、孔51がノズル列35aに沿った外側に配置されているので、複数のノズル35の配列が簡易になる。つまり、孔51がノズル列35a,35bに属する複数のノズル35間に形成されていると、複数のノズル35を規則的に配列することが困難になる。また、インク流動方向に直交する方向の断面積が孔51の開口面積よりも小さい絞り部53を個別インク流路59bが有しているので、個別インク流路59bに膨張した空気が侵入しても絞り部53で再度、インクメニスカス51b´´が形成されやすくなる。そのため、個別インク流路59bから共通インク室7に膨張した空気が侵入しにくくなる。また、絞り部53の断面積がノズル35の開口面積よりも小さいので、膨張した空気が共通インク室7に侵入しなくなる。加えて、絞り部53が空隙52と共通インク室7との間の流路に形成されているので、膨張した空気を空隙52まで取り込むことができ、膨張した空気の吸収効果が向上する。そのため、共通インク室7aに膨張した空気が侵入しにくくなる。
また、圧力室36と同形状の空隙52が、圧力室列36aに沿った外側に配置されているので、複数の圧力室36の配列が簡易になる。つまり、空隙52が圧力室列36a,36bに属する複数の圧力室36間に形成されていると、複数の圧力室36を規則的に配列することが困難になる。さらに、圧力室36をエッチングなどで形成するときに、空隙52も同時に形成することが可能になるので、インクジェットヘッド6の製造が容易になる。また、圧力室36と同形状の空隙を有している分、個別インク流路59bの容積が大きくなるので、キャップ85内の内圧が大きく上昇しても、その内圧上昇分を吸収することができる。
また、個別インク流路59bの空隙52の出口55から孔51までの流路において、貫通孔56がインク流動方向と直交する方向に関する最小断面積となっており、個別インク流路59aの圧力室36のインク出口48からノズル35までの流路において、貫通孔37がインク流動方向と直交する方向に関する最小断面積となっている。開口51aは、開口42よりも大きな開口径(開口面積)を有しているので、孔51においてブレークしたインクメニスカス51bが個別インク流路59bの孔51から空隙52までの流路において再度形成されにくくなる。そのため、キャップ85の内圧が大きく上昇しても、その内圧上昇分を効果的に吸収することができる。したがって、ノズル35のインクメニスカス42aのブレークをより防止することができる。
共通インク室7が主マニホールド流路58と副マニホールド流路44,57とにより構成されており、副マニホールド流路44,57がそれぞれ独立して圧力室36及び空隙52に繋がっているので、仮に個別インク流路59bから副マニホールド流路57に膨張した空気が侵入しても、副マニホールド流路57は直接副マニホールド流路44に繋がっておらず主マニホールド流路58を介して繋がっているので、侵入した空気は副マニホールド流路44へほとんど侵入することがない。そのため、圧力室36に空気が侵入することで生じるノズル35からのインク吐出不良が発生しない。
なお、開口部に形成されるインクメニスカスの強度は、インクの組成にも関係し、この開口部の開口径にも関係する。そのため、複数のプレートの積層体であるインクジェットヘッド6によると、ノズルプレート11に形成するノズル35に対する孔51の開口径を適宜変更することで、インクジェットヘッド6の使用環境やインクの性質に関し、広い範囲で適応することができる。このような適応は、単にノズルプレート11を変更するだけで実現できる。また、空気の吸収量に関しては、ノズルプレート11以外のプレートに形成されている貫通孔56の形状やサイズを適宜変更すれば、広い範囲の適応能力を容易に実現できる。
以上、本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明は上述の実施の形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々な変更が可能なものである。例えば、上述した実施形態におけるインクジェットヘッド6のノズル35及び孔51は、ストレート孔であるが、先細りのテーパ孔や部分的にテーパ部を備えた形態であってもよい。さらに、孔51が、開口51aが拡径した拡径部を有していてもよい。これらの場合、インク吐出面における孔の開口が、ノズルの開口よりもその開口径及び開口面積が大きければよい。また、キャップが作る密閉空間の容積に対応して貫通孔37の開口面積が貫通孔56の開口面積より大きくてもよい。つまり、圧力室36のインク出口48からノズル35の開口42に至るまでの流路が、空隙52の出口55から孔51の開口51aに至るまでの流路よりも容積が大きくてもよい。これにより、流路ユニット内でのインク流路の配設が規制されることがなくなる。また、絞り部53は、個別インク流路59bにおいて、孔51よりも上流に配置されておれば、どの位置に形成されていてもよい。また、絞り部53は、個別インク流路59b中で複数の部位に形成されていてもよい。また、孔51は、キャップ85及びパージキャップ81がインク吐出面6aに当接したときに、これらキャップの環状側壁86,91により囲まれるインク吐出面6aの領域内に形成されておればよい。また、空隙52は、圧力室36と同形状に形成されていなくてもよいし、圧力室列36a,36bの列に沿わない位置に形成されていてもよい。また、共通インク室7a,7bを構成する副マニホールド流路44,57が設けられていなくてもよい。この場合、圧力室36及び空隙52は、直接主マニホールド流路58に連通しておればよい。また、流路ユニット10に空隙52が形成されていなくてもよい。さらに、本発明のインクジェットヘッドは、圧力室36内のインクに対して吐出エネルギーを付与するエネルギー付与手段として、圧電方式のアクチュエータユニット20を備えているが、このエネルギー付与手段は、サーマル式、静電式などであってもよい。