JP2007014588A - 経皮投与装置,経皮投与装置製造用金型 - Google Patents

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Abstract

【課題】成形性に優れた経皮投与装置を提供する。
【解決手段】基本的には,所定の金型に溶融した糖類を含む組成物を入れて固化させるという原始的な方法を用いることにより,確実に経皮投与装置を製造でき,このような経皮投与装置の方が返って経皮投与にふさわしいという知見に基づくものである。本発明は,具体的には,基板2と,前記基板2の側面に沿って設けられた 1又は複数の突起部1とを具備し,前記基板2及び突起部1は,糖類を含有し,一体として成形され,前記突起部1の高さは10μm〜2mmである経皮投与装置などに関する。
【選択図】図1

Description

本発明は,経皮投与装置,経皮投与装置製造用金型などに関する。より詳しく説明すると,本発明は,経皮系ドラッグデリバリーシステム(DDS)用の微細針を有する経皮投与装置などに関する。
薬剤の投与方法として,経口投与と注射による投与が主であった。しかし,経口投与は,消化器系を経由するので,患部へ効果的に到達しないなどの問題がある。また,注射による投与は,通常痛みを伴うなどの問題や,皮膚が損傷するなどの問題がある。また,薬剤の投与方法として,塗り薬や貼り薬などの経皮投与がある。これらの経皮投与は,簡便であり,かつ投与量を容易に調整できるという利点がある。しかし,これらの方法では,角質内に化合物を迅速に浸透させることは困難である。
このような観点から,特表2001-525227号公報(下記特許文献1)の請求項1及び請求項7には,「薬剤を身体表面を通して導入し又は引き出す上で使用するための装置であって,身体表面に近い方の部分(48)から延びる複数の微小突起(4)を有する部材(6)を備えた装置(2)において,前記部材(6)の少なくとも一部分と接触し且つこの部材を横切って延びる構造支持体(15)を含み,この支持体(15)は,剛性が前記部材(6)よりも大きい,ことを特徴とする装置」であって,「前記微小突起(4)は前記身体表面を刺通できるようになっている」ものが開示されている。
しかし,同文献の段落0031には,「シート部材6及び微小突起4は,強度及び微小突起の製造性が十分な材料,たとえば,ガラス,セラミック,剛性ポリマー,強化(たとえば,カーボンファイバ強化)ポリマー,金属,及び合金等から製造できる」と記載されるように。同文献に開示される微小突起は,基本的には金属などから構成されるものである。このような微小突起は,折れて皮膚内に残留する危険性があるなどの問題がある。
また,特開2003-238347号公報(下記特許文献2)には,機能性マイクロパイルが開示されている。この機能性マイクロパイルは,マルトースなどを主成分とし無痛針として有効に利用されうるものである。同文献の図1には,基板上に針状のマイクロパイルを有するものが開示されている。しかし,同文献では,基板としてポリメチルメタクリレートなどが用いられ(同文献の段落[0016]など) ,マイクロパイルは射出成形により基板上に製造される(同文献の実施例)。
このようにして製造されたマイクロパイルは,ある程度の割合で基板上にマイクロパイルが形成されるものであるが,必ずしも製造が容易ではないなどの問題がある。プラスティック成形であれば,射出成形により微細な加工を行うことができる。しかし,糖類を主成分とする成形物を射出成形により製造しようとした場合,糖類は引張り力などには弱いので,わずかな振動や振動による機械的ずれにより,マイクロパイルにクラックが生ずるなどの問題がある。また,微細なマイクロパイルを金型から抜き出す際に,マイクロパイルが折れるなどの問題がある。また,マイクロパイルが金型からうまく外れない場合,効果的に経皮投与できないという問題がある。
特表2001-525227号公報 特開2003-238347号公報
本発明は,投与性に優れた経皮投与装置を提供することを目的とする。
本発明は,成形性に優れた経皮投与装置を提供することを上記とは別の目的とする。
本発明は,成形性に優れた経皮投与装置を製造するための金型を提供することを上記とは別の目的とする。
本発明は,成形性に優れた経皮投与装置を製造するため方法を提供することを上記とは別の目的とする。
本発明は,新たな剤型を提供することを上記とは別の目的とする。
本発明は,上記の課題のうち少なくともひとつ以上を解決するためのものであり,基本的には,所定の金型に溶融した糖類を含む組成物を入れて固化させるという原始的な方法を用いることにより,確実に経皮投与装置を製造でき,このような経皮投与装置の方が返って経皮投与にふさわしいという知見に基づくものである。
すなわち,本発明の第一の側面は,基板と,前記基板の側面に沿って設けられた 1又は複数の突起部とを具備し,前記基板及び突起部は,糖類を含有し,一体として成形され,前記突起部の高さは10μm〜2mmである経皮投与装置に関する。
そして,突起部の少なくとも先端部は,動物に挿入され,溶解することにより前記動物内に前記糖類などが投与されることとなる。また,上記の経皮投与装置は,射出成形により製造されたものではないので, 1又は複数の突起部が基板の側面に沿って設けられたものとなる。このような形状を有するので,複数枚の経皮投与装置を重ね合わせてひとつの経皮投与装置集合体を形成させることもできる。
また,本発明の経皮投与装置は,基本的には糖類などを主成分とするので,突起部が生体内に残留しても問題ないばかりか,糖類に薬剤などの化合物を含む組成物を原料として用いることで,所定の薬効を与えることができる。このように製造された経皮投与装置が特に医療用の経皮投与装置として用いることができる点は,後述の実施例による生体実験により確かめられたとおりである。
なお,好ましい態様として,突起部には,化合物が塗布され,突起部の少なくとも先端部は,動物に挿入され,溶解することにより前記動物内に前記糖類と化合物とが投与される経皮投与装置があげられる。
たとえば,化合物には,熱により分解されるものもある。そこで,糖類と共にいったん溶融すると成分が変化するものもある。しかし,このように経皮投与装置の突起部に塗布するのであれば,熱による変化を受けずに確実に塗布することができる。しかも,この突起部は糖類で形成され,微小な針として形成されるので,ほぼ無痛にて化合物を投与でき,しかも針が折れても全く問題ない。
本発明の第二の側面は,基板と,前記基板の側面に沿って設けられた 1又は複数の突起部とを具備し,前記突起部は高さが10μm〜2mmである先端に行くほど幅が狭くなる形状である経皮投与装置を製造するための金型であって,前記基板に対応した厚さが300μm〜1cmである凹部と,前記基板に対応した凹部と接続して設けられる1又は複数の突起部に対応した厚さが30μm〜9mmの凹部とを具備する金型に関する。
このような金型を用い,溶融した糖類を含む組成物を入れて固化させた後に,経皮投与装置を取り出すので,経皮投与装置を成形する際に,突起部の高さ方向の引張り応力を抑えることができ,効果的に経皮投与装置を製造できることとなる。
特に,基板に対応した凹部と,前記突起部に対応した凹部とが分離可能である金型を用いれば,組成物を固化させた後,基板に対応した凹部と,前記突起部に対応した凹部とを分離させることで,突起部にかかる引張り力を減少させ,効果的に経皮投与装置を製造できることとなる。特に,突起部に対応した凹部が先端に行くほど幅が狭くなるものであって,その深さも先端に行くほど浅くなるものは,組成物を固形させたものを抜き出す際に,突起部の長さ方向の力が緩和され,効果的に経皮投与装置を製造できることとなる。
本発明の第三の側面は,基板と,前記基板の側面に沿って設けられた 1又は複数の突起部とを具備し,前記突起部は高さが10μm〜2mmであり,先端に行くほど幅が狭くなる形状である経皮投与装置を製造するための金型であって,前記基板に対応した凹部と,前記基板に対応した凹部と接続して設けられる1又は複数の突起部に対応した凹部とを具備する金型を用い,糖類を含む組成物を前記金型に入れ,固化させ,経皮投与装置を得る経皮投与装置の製造方法に関する。
このようにして経皮投与装置を製造するので,経皮投与装置を成形する際に,突起部の高さ方向の引張り応力を抑えることができ,効果的に経皮投与装置を製造できることとなる。
また,いったん組成物を固化させた後,又は完全に固化させる前に,突起部に所定の化合物を含む液を塗布してもよい。
本発明の第四の側面は,基板と,前記基板の側面に沿って設けられた 1又は複数の突起部とを具備し,前記基板及び突起部は,糖類と化合物とを含有し,一体として成形され,前記突起部の高さは10μm〜2mmであり,前記突起部の少なくとも先端部は,動物に挿入され,溶解することにより前記動物内に前記糖類と化合物とが投与される経皮投与剤に関する。この形態は,上記の経皮投与装置を経皮投与剤という新たな剤型として用いるものである。これにより,注射,塗布薬など同様の新たな経皮投与剤が提供されることとなる。
本発明によれば,投与性に優れた経皮投与装置を提供することができる。
本発明によれば,成形性に優れた経皮投与装置を提供することができる。
本発明によれば,成形性に優れた経皮投与装置を製造するための金型を提供することができる。
本発明によれば,成形性に優れた経皮投与装置を製造するため方法を提供することができる。
本発明によれば,新たな剤型を提供することができる。
1.経皮投与装置
図1は,本発明の経皮投与装置の概略構成図である。図1に示されるように,本発明の経皮投与装置は,基板(2)と,前記支持板部に設けられた1又は複数の突起部(1)を具備する。図1に示されるように,基板(2)と突起部(1)とは,同一平面を構成しうるように形成されることが好ましい。この経皮投与装置は,たとえば,無痛針を有する経皮投与装置として利用されうる。この経皮投与装置の主成分として,ポリ乳酸などの生体分解性ポリマー;ブドウ糖,マルトース,フルクトースなどの糖類があげられるが,好ましくはマルトースである。さらに,それらを主成分として,薬剤などの化合物や,薬理学的に許容される担体などを含むものであってもよい。このように,糖類などで構成されていれば,突起部が無痛針として機能し,生体内に取り込まれても問題がない。薬理学的に許容される担体として,賦形剤,希釈剤,滑沢剤,結合剤,安定剤,及び矯臭剤から適宜選択されるものがあげられる。
先に説明したとおり,本発明の経皮投与装置は,糖類の他に化合物を含有してもよい。このような化合物として,ペプチド類,核酸,薬剤又は化粧料があげられ,ペプチド類として,ポリペプチドなどがあげられ,核酸として,DNA,RNAがあげられ,薬剤として,公知の薬剤を適宜用いることができ,鎮痛剤,解熱剤,消毒薬,糖尿病の治療剤,サプリメントなどがあげられ,具体的には,シンバスタチン,アトルバスタチン,プラバスタチンなどの高脂血症薬;オメプラソール,ランソプラゾールなどの抗潰瘍剤;アムロジピン,ロサルタンなどの抗圧剤;エボエテンアルファ,エポエチンアルファなどの腎性貧血治療・予防剤;ロラタジン,セチリジン,フェキソフェナジンなどの抗ヒスタミン剤;セレコキシブ,ロフェコキシブなどのCox2阻害剤;オランバピンなどの精神分裂病薬;メトフォルミンなどの糖尿病薬;エストロゲン製剤などの更年期障害治療・予防剤;アモキシシリンなどの抗生物質;クロピドグレルなどの抗血小板薬;アレンドロン酸ナトリウムなどの骨粗鬆症薬;ガバペンチンなどの抗てんかん薬;ゾルビテムなどの睡眠薬;その他,7−クロロ−1,3−ジヒドロー1−メチル−5−フェニル−2H−1,4−ベンゾジアゼピン−2−オン(ジアゼパム),クロナゼパム,エスタゾラム,オキサゾラム,ハロキサゾラム,プロカイン,リドカイン(リンドカイン),シブカイン,プロプラノロール,ピンドロール,カルテオロール,レボトバ,レボフロキサシン,デキストロフメトルファン,オキサプロジン,チアミンジスルフィド,トリクロルメチアジド,ブロムペリドール,リトドリン,メリルエルゴメトリン,パクリタキセル,ドセタキセル,リンドカイン,インドメタシン,エストロディオール,ぺパリン又はインシュリンなどの薬剤や,ビタミンC,ビタミンB,ビタミンEなどのサプリメントがあげられる。これらの中では,リンドカイン,インドメタシン,エストロディオール,ぺパリン又はインシュリンなどを好適に用いることができる。後述の実施例で示されたとおり,本発明によれば,突起部による皮膚へのダメージが迅速に回復するので,本発明の経皮投与装置は,薬剤や化粧料(特に美容液)の投与装置として有効に利用できる。
基板(2)の形状は,特に限定されないが,経皮投与装置を複数枚重ねあわせることで,複数列の無痛針を有する医療用などのデバイスを得ることができるので,四角柱状など角柱状のものが,複数枚を重ね合わせることができるので好ましい。基板(2)の形状は,台形柱状のような形でも構わないし,三角柱状や六角柱状のものでもかまわない。この基板(2)が厚いと強度が強くなるが,複数枚の基板(2)を重ね合わせる際に,無痛針間の距離が離れることとなるので,基板(2)の厚さとして,300μm〜1cmがあげられ,400μm〜8mmでもよく,500μm〜5mmでもよく,2mm〜5mmでもよいし,3mm〜5mmでもよい。
また,角柱状の基板(2)のうち突起部が設けられる辺の長さは,設けられる突起部の数や,その用途,使い易さなどに応じて適宜調整すればよく,その辺の長さ(たとえば,四角柱における底面などの四角形のある一辺の長さ)として,100μm〜10cmがあげられ,1mm〜5cmでもよく,5mm〜5cmでもよく,1cm〜3cmでもよい。なお,角柱状の基板(2)のうち,突起部が設けられる辺以外の辺の長さは,経皮投与装置の使いやすさなどを考慮して適宜調整すればよいが,具体的には,1cm〜3cmがあげられる。図1では,突起部と基板(2)の側面(図では上面)が同一平面を構成するように形成されている。
突起部の付け根部分の厚さ(突起部の最大深さ)は,強度や,その折れやすさなどを考慮して設定すればよく,基板(2)以下のものがあげられ,具体的な数値として,30μm〜9mmがあげられ,0.5mm〜5mmでもよく,50μm〜250μmでもよく,40μm〜70μmでもよいし,50μm〜60μmであってもよい。また,基板の厚さと突起部の付け根部分の厚さの比として,10:9〜10:1があげられ,10:8〜10:2でもよいが,突起部の強度と折れやすさのバランスを考慮すると10:6〜10:4が好ましい。
経皮投与装置の突起部(1)は,等間隔又はランダムに一列に設けられてもよいし,たとえば基板のある辺のうち割〜9割の領域までにわたり等間隔又はランダムに一列に設けられてもよい。突起部(1)の本数として,1または複数本があげられ,具体的には1本,又は2本から100本があげられ,3本〜10本であってもよい。
突起部の形状として,特に限定されないが,その先端に近づくほど先が細くなる形状が好ましく;その先端に近づくほど先が細くなる形状であり,前記基板の側面と同一平面として構成される部位を有するものがより好ましく;傾斜の異なる2つの部位を有し,前記2つの部位はそれぞれ,その先端に近づくほど先が細くなる形状であり,前記2つの部位のうち突起部の先端に近い部位の方が,そうでない部位よりも傾斜が急であるものであってもよい。突起部の長さが長くなると,一般に突起部が大きくなり,皮膚に挿入する際の痛みが増すことがある。一方,特に医療用や化粧用の経皮投与装置として用いる場合は,ある程度の量の化合物を投与する観点から突起部の体積や面積がある程度大きいことが好ましい。突起部の長さとして,10μm〜2mmがあげられ,好ましくは10μm〜1mmであり,より好ましくは50μm〜500μmであり,特に好ましくは50μm〜200μmであるが,10μm〜300μmであってもよい。
図2は,突起部として,傾斜の異なる2つの部位を有し,前記2つの部位はそれぞれ,その先端に近づくほど先が細くなる形状であり,前記2つの部位のうち突起部の先端に近い部位の方が,そうでない部位よりも傾斜が急であるもの(3)を有する経皮投与装置を示す概念図である。
具体的な突起部の形状として,半分に割った円錐状のものや,半分に割った円錐状のものであって平面部が基板の側面と同一平面を構成するものや,三角錐状のものや,三角柱状のものがあげられる。突起部(1)のうち基板(2)と接する辺の長さとして,100μm〜1mmがあげられ,200μm〜500μmでもよい。三角錐の頂角は,鋭角である方が無痛針としたときに効果的であるが,できあがった微細針がもろくなるため5°〜45°があげられ,好ましくは10°〜30°である。
本発明の経皮投与装置の好ましい別の態様は,突起部には,化合物が塗布され,突起部の少なくとも先端部は,動物に挿入され,溶解することにより前記動物内に前記糖類と化合物とが投与される経皮投与装置である。化合物を塗布する場合,突起部の全体に化合物(化合物を含む溶液であってもよい)を塗布してもよいし,先端部に塗布してもよい。突起部が半割り状の場合は,その平面部分(又は平面部分の一部)に塗布しても良い。また,塗布には,浸漬塗布,刷毛などによる塗布,スプレー塗布,化合物を付着させる塗布方法など公知の塗布方法を適宜利用することができる。また,突起部には,化合物が塗布され,前記基板及び突起部は,糖類と前記化合物とを含有し,前記突起部の少なくとも先端部は,動物に挿入され,溶解することにより前記動物内に前記糖類と化合物とが投与される経皮投与装置であってもよい。このように突起部に塗布される化合物は,60℃以上の熱により効能が変化するものがあげられる。突起部に塗布される化合物と,経皮投与装置の原料とされる化合物とは同一でも異なってもよいが,好ましくは同一の化合物を用いるものである。別々の化合物を用いて,別々の薬効を期待してもよく,たとえば,塗布する化合物を鎮痛剤を含むものとし,経皮投与装置の原料とされる化合物に治療剤を含むものとしてもよい。また,50℃以上の温度で薬効が10%以上減少する薬剤と,塗布し,50℃でも薬効が10%以上減少しない薬剤を経皮投与装置の原料としてもよい。また,たとえば,突起部にDNAなどの核酸(又はDNAなどの核酸を含有する液)を塗布することによりDNAを搭載すること望ましい。これによりDNAなどの核酸を用いた予防剤,及び治療剤として本発明の経皮投与装置(経皮投与装剤)は利用されうることとなる。
なお,突起部に化合物を塗布する場合,医学的に許容される溶媒に化合物を溶解させたものを塗布すればよい。このような溶媒として,ヘキサン,ヘプタンのような脂肪族炭化水素類;トルエン,キシレンのような芳香族炭化水素類;クロロホルムのようなハロゲン化炭化水素類;酢酸メチル,酢酸エチル,酢酸プロピル,酢酸ブチル,炭酸ジエチルのようなエステル類;ジエチルエーテル,ジイソプロピルエーテル,テトラヒドロフラン,ジメトキシエタン,ジエチレングリコールジメチルエーテルのようなエーテル類;メタノ−ル,エタノ−ル,n−プロパノ−ル,イソプロパノ−ル,n−ブタノ−ル,イソブタノ−ル,t−ブタノ−ル,イソアミルアルコ−ル,ジエチレングリコール,グリセリン,オクタノール,シクロヘキサノール,メチルセロソルブのようなアルコ−ル類;アセトニトリル,イソブチロニトリルのようなニトリル類;ホルムアミド,ジメチルホルムアミド,ジメチルアセトアミドのようなアミド類;のうち1種又は2種以上を混合して用いることができる。これらのうち,有機溶媒として,好ましくは,メタノール,エタノール,n−プロパノール,イソプロパノール,n−ブタノール,ペンタノール,酢酸エチル,又はアセトンであり;さらに好ましくはエタノール,n−プロパノール,イソプロパノール,n−ブタノール,ペンタノール,酢酸エチル,又はアセトンである。なお,有効成分として用いられる化合物の濃度として,0.01重量%〜90重量%があげられ,好ましくは1重量%〜80重量%,さらに好ましくは10重量%〜70重量%である。
2.金型
図3は,経皮投与装置を製造するための金型の概略図である。図3に示されるように,本発明の金型(6)は,基板と,前記基板の側面に沿って設けられた 1又は複数の突起部とを具備し,前記突起部は高さが10μm〜2mmであり,先端に行くほど幅が狭くなる形状である経皮投与装置を製造するための金型であって,前記基板に対応した厚さが300μm〜1cmである凹部(5)と,前記基板に対応した凹部と接続して設けられる1又は複数の突起部に対応した厚さが30μm〜9mmの凹部(4)とを具備する。本発明の金型は,基本的には割り金型(二枚貝の半分のような形状)に関する。このように,割り金型を利用するので,成形時に,成形物が開放されており,これにより精度よく経皮投与装置を製造することができることとなる。特に,本発明においては,精度よい突起部を製造できるので,このような割り金型とすることが好ましい。
図4は,別の実施形態に係る金型の概略図である。図4に示されるように,突起部に対応した凹部(4)は,突起部として,傾斜の異なる2つの部位を有し,前記2つの部位はそれぞれ,その先端に近づくほど先が細くなる形状であり,前記2つの部位のうち突起部の先端に近い部位(7)の方が,そうでない部位よりも傾斜が急であるものがあげられる。
すなわち,金型の凹部は,基本的には,前記の経皮投与装置の形状を反映したものなので,経皮投与装置の形状に応じた溝であればよい。したがって,突起部に対応した凹部はその先端に近づくにつれ深さが浅くなるものが好ましい。
図5は,基板に対応した凹部と,突起部に対応した凹部とが分離可能な金型を示す概念図である。図5に示す金型であれば,突起部に対応した凹部とを有する部位(8) と,基板に対応した凹部を有する部位(9)とを分離することができるので,経皮投与装置を効果的に製造できることとなる。
図3〜図5に示される金型の材料は,公知の金属や,シリコン樹脂などの高分子があげられる。公知の金属として,スズ,亜鉛,銅,鉄,鉛,金,ニッケル,及びこれらの合金などがあげられる。
図3〜図5に示される金型は公知の方法により製造することができる。たとえば,特開2004−255680号公報に記載される感光性レジストを用いたリソグラフィー法,または電鋳法により微細鋳型を製造することができる。具体的には,シリコン基板の上に感光性レジストを塗布する。次に,感光性レジストに所定パターンを持つ露光マスクを配置し,この露光マスクを透過して感光性レジストに紫外線等の光を照射する。次に,光が照射された感光性レジストの未感光部分を現像液にて除去し,所定のレジストパターンを得る。この例では光硬化型(ネガ型)の感光性レジストを用いているので,感光部分がレジストパターンとして基板上に形成されている。次に,基板の表面及び感光性レジストの表面に導電性被膜を形成する。次に,導電性被膜への通電による電鋳にて導電性被膜の表面にニッケルなどの金属を堆積させて微細鋳型を形成する。この後,微細鋳型から基板及び感光性レジストを除去する。このようにして微細金型を製造することができる。ステンレスを素材標準とする金型は,研削等の機械加工でも20μmの精度でV字断面の硬質刃を製作することができる。その硬質刃を適当な角度をつけて叩き込むことによって,先端に近づくほど先が細く浅くなり,先端サイズ20μmのV字谷を製作することができる。1個のV字谷は,一個の突起部に対応し,繰り返すことによって複数個の突起が可能になる。
また,特に突起部を精密に製造する場合(たとえば,20μm以下の精度で製造する場合)や,図2に示されるような,追加の突起部 (3)を製造する場合は集束イオンビームを用いたリソグラフィーにより製造すればよい。集束イオンビーム(FIB:focused ion beam)は,ナノメートルサイズの微小なビームを有し,イオン照射量,イオンの加速電圧を変化させることにより,電子ビームリソグラフィと同様な有機レジストを用いたリソグラフィや固体のエッチングなどを行い,ナノメートル領域で加工を行えるという特徴がある。具体的なFIBエッチングの条件は,Gaビームによって,加速電圧10〜30kV,イオン電流10μA〜100μAがあげられる。
3.経皮投与装置の製造方法
本発明の経皮投与装置の製造方法は,基板と,前記基板の側面に沿って設けられた 1又は複数の突起部とを具備し,前記突起部は高さが10μm〜2mmであり,先端に行くほど幅が狭くなる形状である経皮投与装置を製造するための金型であって,前記基板に対応した凹部と,前記基板に対応した凹部と接続して設けられる1又は複数の突起部に対応した凹部とを具備する金型を用い,糖類を含む組成物を前記金型に入れ,固化させ,経皮投与装置を得る経皮投与装置の製造方法である。
糖類を含む組成物は,経皮投与装置の原料となるものであり,糖類のみからなる組成物であってもよいし,糖類のほかに所定の化合物を有するものであってもよい。いずれにせよ,ある程度の流動性が必要なので,糖類を含む組成物は,溶液とされていることが好ましい。ただし,粉末状態の原料を混合したものを用いてもよい。溶液とする場合は,具体的には,糖類を加熱するか,水又は有機溶媒に糖類を加えるか,水又は有機溶媒に糖類を加えた後加熱すればよい。この際に加熱する温度として,10℃〜150℃があげられ,好ましくは40℃〜120℃であり,より好ましくは70℃〜90℃であり,さらに好ましくは75℃〜85℃である。水や有機溶媒を用いない場合は,加熱温度として50℃〜130℃があげられ,100℃〜120℃が好ましい。このような温度であれば,容易に糖分が溶解し,化合物も溶解することとなる。化合物が溶解しない場合は,公知の溶媒を加えてもよい。溶解時間は,適宜調整すればよく,1分〜1日があげられ,10分〜5時間でもよく,30分〜2時間でもよい。なお,水分や有機溶媒を用いると,固化する際にこれらが蒸発し,経皮投与装置の形状が変化する場合があるので,好ましくは糖類のみ又は糖類と所定の化合物のみを組成物とするものがあげられる。すなわち,本明細書において,組成物とは,所定の糖類のみを含むものをも含むものとする。
化合物を混合する場合は,溶媒の温度を一定に保った状態で,攪拌しながら,又は攪拌せずに化合物を添加すればよい。このような工程は,常圧環境下において反応を進めればよく。たとえば,目視により原料が溶解した時点で,溶解工程を終了すればよい。また,所定の化合物が液体の場合は単に溶解させた糖類又は糖類を含む組成物に攪拌下所定の化合物を添加すればよい。化合物と糖類の割合は,投与量や経皮投与装置の強度などを考慮して適宜調整すればよく,化合物と糖類との重量比として,1:100〜1:1があげられ,1:10〜1:5であってもよい。この溶解したものを金型に入れてもよいし,いったん固化させたものを金型に入れてもよい。後者の場合,たとえば,常温,常圧とすることで,迅速に固化する。また,冷却することにより固化速度をあげてもよい。こかした塊を所定の大きさに分割し,分割したものを金型に入れて,金型を過熱し(又は金型を含む系を加熱し)溶解させればよい。より具体的には,金型又は系の温度として50℃〜130℃があげられ,好ましくは80℃〜120℃であり,90℃〜110℃とすればよく,加熱時間として1秒〜1時間があげられ,好ましくは5秒〜1分があげられる。
液状の組成物を金型に注入する場合はは,液状の組成物を,金型に注ぎ込めばよい。また,組成物を固化させるためには,常温,常圧下で放置してもよいし,冷却を行ってもよい。冷却を行う場合は,金型の外側から冷却してもよいし,金型を含む系全体を冷却してもよい。固化工程における圧力は,常圧で行えばよいが,溶媒を蒸発させることにより結晶化を行う場合は,減圧下(たとえば,0.1気圧〜0.9気圧にて)行うことが好ましい。結晶化時間として,10秒〜24時間があげられ,好ましくは1分〜1時間であり,より好ましくは1分〜30分である。
金型として,突起部に対応した凹部はその先端に近づくにつれ深さが浅くなるものや,金型として基板に対応した凹部と,前記突起部に対応した凹部とが分離可能であるものを用いるものは,本発明の好ましい実施形態である。このような金型を用いれば,組成物を固化させた後,前記基板に対応した凹部と前記突起部に対応した凹部とを分離して,容易に経皮投与装置を製造できることとなり,また経皮投与装置を製造する際に突起部に係る引張り応力を減少させ,糖質の微細な突起を効果的に製造できることとなる。この場合まず,突起部に応じた凹部を先に取外すことで,突起部にクラックなどが発生する事態を効果的に防止できる。
4.経皮投与剤
本発明の経皮投与装置は,基板と,前記基板の側面に沿って設けられた 1又は複数の突起部とを具備し,前記基板及び突起部は,糖類と化合物とを含有し,一体として成形され,前記突起部の高さは10μm〜2mmであり,前記突起部の少なくとも先端部は,動物に挿入され,溶解することにより前記動物内に前記糖類と化合物とが投与される経皮投与剤として利用されうる。すなわち,本発明によれば,注射,塗布薬など同様の新たな経皮投与剤が提供されることとなる。この態様における化合物として,先に説明したもののうち,薬剤を効果的に用いることができる。
経皮投与剤の製造方法は,上記した経皮投与装置の製造方法に従って製造できる。本発明の経皮投与剤による投与方法は,患部又は任意の皮膚に本発明の経皮投与剤をあてて軽く押すなどして,突起部を皮膚内に挿入すればよい。
経皮投与剤の有効成分である化合部の投与量は,対象疾患,投与対象,投与ルートなどにより差異はあるが,例えば,一日につき化合物を約0.01〜30mg程度,好ましくは約0.1〜20mg程度,より好ましくは約0.1〜10mg程度を投与するのが好都合である。ヒト以外の動物の場合も,体重60kg当たりに換算した,上記の量を投与することができる。
−経皮投与装置の製造−
図6に示されると同様の金型を用いて,突起部が半割り円錐状の突起部を有する経皮投与装置を製造した。
(1)金型の作製
まず,ステンレスを素材標準とする金型を,研削等の機械加工でも所定の大きさのV字断面を製造した。具体的には硬質刃をステンレスに適当な角度をつけて叩き込むことによって,先端に近づくほど先が細く浅くなり,V字谷を製作した。それぞれのV字谷は,突起部に対応する。このようなV字谷の製造を,繰り返すことによって複数個の突起を形成した。その後に,収束イオンビーム描画装置によって,先端部の形状を整えた。FIBエッチングの条件は,Gaビーム,加速電圧20KV,イオン電流10μA〜100μAであった。
(2) 経皮投与装置(経皮投与装剤)の作製
突起部のすそ部分の幅(円錐の直径)は,30μm,高さは100μmであった。突起部及び基板の原料としてマルトースを用いた。粉末マルトースに粉末リドカイン(リドカインマルトースに対する重量比10%)を均一に混合させた。その後,110℃で1時間過熱溶解させた。その後,溶解液を,冷却して10%リドカイン含マルトース塊を製作した。適当に分割したマルトース塊を経皮投与装置製造用の金型に設置し,その金型を100℃に10秒間過熱昇温することにより,マルトース塊を溶解した。その後,常温,常圧にて5秒放置すると,冷却凝固された。その後,金型を分離し,脆い突起部を最初に金型から取り外した。その後,基板の部分の金型を取外した。このようにして,マルトースを主成分とする経皮投与装置を製作した。
次に,本発明の経皮投与装置の皮膚へのダメージを検証する実験を行った。図6は,経皮投与装置をラットの皮膚に突き刺して,ラットの皮膚が回復する様子を示す図面に代わる写真である。図6(a)は,突起部を突き刺して30秒後の写真であり,図6(b)は突起部を突き刺して1分後の写真である。図6(a)及び図6(b)に示されるとおり,突起部を突き刺した後1分後には,突起部を突き刺したことによる皮膚へのダメージが回復されることがわかる。
次に,本発明の経皮投与装置による薬剤の投与効率を検証する実験を行った。図7は,化合物として染料を含む経皮投与装置をラットの皮膚に突き刺して,染料がラットの皮膚に浸透する様子を示す図面に代わる写真である。図7(a)は,突起部を突き刺した直後の写真であり,図7(b)は突起部を突き刺して15分後の写真である。図7(a)及び図7(b)に示されるとおり,本発明の経皮投与装置によれば効果的に化合物を生体内に浸透させることができることがわかる。
次に,本発明の経皮投与装置による薬剤の投与効率を検証する実験を行った。具体的には,化合物として10重量%のリドカインを含有する経皮投与装置を製造し,ラットの血中濃度を測定した。その結果を以下の表1に示す。なお,表中BLQは,測定基準値以下を示し,各濃度はng/mLを示す。
表1から,ラットの血中濃度にリドカインが含まれ,本発明の経皮投与装置により効果的にリドカインを投与できることがわかる。
次に,本発明の経皮投与装置による薬剤が,効果的に浸透することを検証する実験を行った。具体的には,化合物として10重量%のリドカインを含有する突起部を1つ有する経皮投与装置を製造し,その突起部を突き刺した部分を中心とした10mm四方で深さが2mmのラットの皮膚を切り出し,高速液体クロマトグラフィー(HPLC)にて,リドカインの濃度を測定した。その結果を以下の表2に示す。なお,表中BLQは,測定基準値以下を示し,各濃度はμgを示す。
表2から,本発明の経皮投与装置による薬剤は,投与後30分後には,突起部を突き刺した付近に多く存在したが,時間と共にラットの体内に浸透し,1時間以降は突起部を突き刺した付近の濃度がそれほど変化していないことがわかる。よって,上記の結果から,本発明の本発明の経皮投与装置によれば,効果的に薬剤成分を生体内に浸透させることができることがわかる。
リドカイン1%あるいは2%含有マルトースの塊を製造した。1cm幅に25個の長さ500μmの突起部付きの経皮投与装置を製造した。この経皮投与装置を用いて,ヒトの皮膚表面に突起部を突き刺したところ,投与箇所中心として,約2cm円形領域において,麻酔効果を確認できた。
女性ホルモンの一種であるエストロディオールを2%含有させたマルトースを素材とする,1cm幅に25個の長さ500μmの突起部付き経皮投与装置を製造した。この経皮投与装置を用いて上腕皮膚に投与したところ,更年期障害を被る女性に無痛で投与調整ができることが確認できた。
ペパリン2%含有マルトースを素材として,1cm幅に25個の長さ500μmの突起部(針)付き経皮投与装置を製造した。この経皮投与装置を用いて,皮膚表面に投与したところ,投与箇所中心に1cm円形領域において,炎症の軽減が確認できた。
本発明の経皮投与装置は,新たな医療装置,化粧装置,サプリメント供給装置などとして利用されうる。また,本発明の金型は上記のような装置を製造するための製造業などにおいて好適に利用されうる。
図1は,本発明の経皮投与装置の概略構成図である。 図2は,突起部として,傾斜の異なる2つの部位を有し,前記2つの部位はそれぞれ,その先端に近づくほど先が細くなる形状であり,前記2つの部位のうち突起部の先端に近い部位の方が,そうでない部位よりも傾斜が急であるものを有する経皮投与装置を示す概念図である。 図3は,経皮投与装置を製造するための金型の概略図である。 図4は,別の実施形態に係る金型の概略図である。図4に示されるように,突起部に対応した凹部は,突起部として,傾斜の異なる2つの部位を有し,前記2つの部位はそれぞれ,その先端に近づくほど先が細くなる形状であり,前記2つの部位のうち突起部の先端に近い部位の方が,そうでない部位よりも傾斜が急であるものがあげられる。 図5は,基板に対応した凹部と,突起部に対応した凹部とが分離可能な金型を示す概念図である。 図6は,経皮投与装置をラットの皮膚に突き刺して,ラットの皮膚が回復する様子を示す図面に代わる写真である。図6(a)は,突起部を突き刺して30秒後の写真であり,図6(b)は突起部を突き刺して1分後の写真である。 図7は,化合物として染料を含む経皮投与装置をラットの皮膚に突き刺して,染料がラットの皮膚に浸透する様子を示す図面に代わる写真である。図7(a)は,突起部を突き刺した直後の写真であり,図7(b)は突起部を突き刺して15分後の写真である。
符号の説明
1 突起部
2 基板
3 2つの部位のうち突起部の先端に近い部位
4 突起部に対応した凹部
5 基板に対応した凹部
6 金型
7 2つの部位のうち突起部の先端に近い部位に対応した凹部
8 金型のうち突起部に対応した凹部を含む部分
9 金型のうち基板に対応した凹部を含む部分

Claims (16)

  1. 基板と,
    前記基板の側面に沿って設けられた 1又は複数の突起部とを具備し,
    前記基板及び突起部は,糖類を含有し,一体として成形され,
    前記突起部の高さは10μm〜2mmである,
    経皮投与装置。
  2. 前記基板及び突起部は,糖類と化合物とを含有し,
    前記突起部の少なくとも先端部は,動物に挿入され,溶解することにより前記動物内に前記糖類と化合物とが投与される
    請求項1に記載の経皮投与装置。
  3. 前記化合物は,リドカイン,インドメタシン,エストロディオール,ぺパリン又はインシュリンである請求項2に記載の経皮投与装置。
  4. 前記突起部は,その先端に近づくほど先が細くなる形状である請求項2に記載の経皮投与装置。
  5. 前記突起部は,その先端に近づくほど先が細くなる形状であり,前記基板の側面と同一平面として構成される部位を有する,請求項2に記載の経皮投与装置。
  6. 前記突起部は,傾斜の異なる2つの部位を有し,前記2つの部位はそれぞれ,その先端に近づくほど先が細くなる形状であり,前記2つの部位のうち突起部の先端に近い部位の方が,そうでない部位よりも傾斜が急である,請求項2に記載の経皮投与装置。
  7. 前記突起部には,化合物が塗布され,
    前記突起部の少なくとも先端部は,動物に挿入され,溶解することにより前記動物内に前記糖類と化合物とが投与される
    請求項1に記載の経皮投与装置。
  8. 前記突起部には,化合物が塗布され,
    前記基板及び突起部は,糖類と前記化合物とを含有し,
    前記突起部の少なくとも先端部は,動物に挿入され,溶解することにより前記動物内に前記糖類と化合物とが投与される
    請求項1に記載の経皮投与装置。
  9. 基板と,前記基板の側面に沿って設けられた 1又は複数の突起部とを具備し,前記突起部は高さが10μm〜2mmであり,先端に行くほど幅が狭くなる形状である経皮投与装置を製造するための金型であって,
    前記基板に対応した厚さが300μm〜1cmである凹部と,
    前記基板に対応した凹部と接続して設けられる1又は複数の突起部に対応した厚さが30μm〜9mmの凹部とを具備する金型。
  10. 前記基板に対応した凹部と,前記突起部に対応した凹部とは分離可能である請求項9に記載の金型。
  11. 前記突起部に対応した凹部はその先端に近づくにつれ深さが浅くなる請求項9又は請求項10に記載の金型。
  12. 基板と,前記基板の側面に沿って設けられた 1又は複数の突起部とを具備し,前記突起部は高さが10μm〜2mmであり,先端に行くほど幅が狭くなる形状である経皮投与装置を製造するための金型であって,前記基板に対応した凹部と,前記基板に対応した凹部と接続して設けられる1又は複数の突起部に対応した凹部とを具備する金型を用い,
    糖類を含む組成物を前記金型に入れ,固化させ,経皮投与装置を得る経皮投与装置の製造方法。
  13. 前記金型として,突起部に対応した凹部はその先端に近づくにつれ深さが浅くなり,前記基板に対応した凹部と,前記突起部に対応した凹部とは分離可能であるものを用いる請求項12に記載の経皮投与装置の製造方法。
  14. 前記突起部に,化合物を塗布する工程を含む請求項12に記載の経皮投与装置の製造方法。
  15. 基板と,
    前記基板の側面に沿って設けられた 1又は複数の突起部とを具備し,
    前記基板及び突起部は,糖類と化合物とを含有し,一体として成形され,
    前記突起部の高さは10μm〜2mmであり,
    前記突起部の少なくとも先端部は,動物に挿入され,溶解することにより前記動物内に前記糖類と化合物とが投与される経皮投与剤。
  16. 前記化合物は,ペプチド類,リドカイン,インドメタシン,エストロディオール,ぺパリン又はインシュリンである請求項15に記載の経皮投与装剤。
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