JP2007012111A - 磁気ヘッドスライダを搭載するサスペンション及びヘッドジンバルアッセンブリ並びにハードディスクドライブ - Google Patents

磁気ヘッドスライダを搭載するサスペンション及びヘッドジンバルアッセンブリ並びにハードディスクドライブ Download PDF

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Abstract

【課題】 搭載した磁気ヘッドスライダの変形を抑制することができるサスペンションを提供すると共に、安定したデータの記録再生を実現する高品質なヘッドジンバルアッセンブリ、ハードディスクドライブを提供すること。
【解決手段】 磁気ヘッドスライダ1を装着するタング面21を有するサスペンション2であって、タング面21に、当該タング面21と磁気ヘッドスライダ1との熱変形差を吸収する変形差吸収手段22,23を設けた。
【選択図】図1

Description

本発明は、磁気ヘッドスライダを搭載するサスペンションにかかり、特に、搭載された磁気ヘッドスライダの変形を抑制するサスペンションに関する。また、このサスペンションを備えたヘッドジンバルアッセンブリ、及び、ハードディスクドライブに関する。
ハードディスクドライブに搭載されるヘッドジンバルアッセンブリは、磁気ディスクに対してデータの記録再生を行う磁気ヘッドスライダを搭載するサスペンションを備えている。そして、サスペンションは、磁気ヘッドスライダ101を直接装着するフレキシャ102を備えており、そのフレキシャ102の先端部の構成を図10に示す。ここで、図10(a)は、フレキシャ102の磁気ヘッドスライダ装着側を図示したものであり、図10(b)は、その裏面側を図示したものである。
図10(a)に示すように、従来例におけるフレキシャ102には、磁気ヘッドスライダ101のほぼ一面全体が当接して固定される薄板状のタング面121が形成されている。このタング面は、ジンバルとも呼ばれ、一端側がフレキシャ102に連結していて、かかる連結部がばね性を有する。これにより、装着された磁気ヘッドスライダ101が磁気ディスクに対して適切な浮上高度を維持できるよう作用する。
そして、タング面121と磁気ヘッドスライダ101は、例えば、これらの間に充填される接着剤にて固着される。このため、タング面121には一様に接着剤が塗布されることから、特許文献1や図10に示すように、その形状は平面状に形成されている。
また、磁気ヘッドスライダ101の装着に、接着剤を用いる、用いないにかかわらず、半田にて固定する場合がある。例えば、図10に示すように、磁気ヘッドスライダ101の記録再生素子部が形成された端面とその反対側の端面、つまり、略直方体形状である磁気ヘッドスライダの長手方向の両端面を、タング面121(サスペンション)に半田141,142、にて固定する。このとき、半田141は、フレキシャ121上に装備された配線トレースの端子と、磁気ヘッドスライダ101に形成された端子とを接続するためにも用いられる。
特開2002−15536号公報
しかしながら、磁気ヘッドスライダ101とフレキシャ102との熱膨張係数が異なると、タング面121部分の熱変形に伴い、磁気ヘッドスライダ101に反りや歪みが生じる、という問題があった。その一例を図12に模式的に示す。図12(a)に示すように、磁気ヘッドスライダ101の両端(記録再生素子側端部とその反対側端部)がフレキシャ102のタング面121に半田141,142にて装着されている場合には、低い温度の時にはタング面121が図12(b)の矢印に示すように縮んで変形し、これに伴って磁気ヘッドスライダ101に反り(クラウン)が生じる。また、温度が高くなると、図12(c)に示すようにタング面が矢印に示すように伸びるため、これによっても磁気ヘッドスライダ101に反りが生じる。
そして、上述した磁気ヘッドスライダの変形は、タング面と磁気ヘッドスライダとが接着剤にて固着されている場合にも同様に生じうる。また、特許文献1に開示されているように、両部剤の熱膨張差を吸収する低弾性のエポキシ接着剤を用いたとしても、かかる接着剤にてその膨張差を吸収できないような変形に対しては対応することができない、という問題が生じうる。特に、タング面の伸縮といった変形に対する抑制技術ではないため、当該タング面の変形によって磁気ヘッドスライダの浮上特性に影響を及ぼす、という問題が生じうる。
さらに、図11に、図10に示した形状のフレキシャ102を55℃に加熱した場合において、当該フレキシャ102に生じる熱膨張に伴う応力分布を示す。この図においては、網掛けが薄い部分ほど応力が集中していることを示している。すると、応力が半田付け部分に集中していることがわかり、かかる箇所で半田にて固定される磁気ヘッドスライダ101にも応力がかかることとなる。つまり、かかる応力により、上述したように磁気ヘッドスライダ101の変形が生じたり、フレキシャ102のばね特性に変化が生じうる。
上記説明したように、磁気ヘッドスライダやタング面に反りが生じることとなると、磁気ヘッドスライダの浮上特性に影響を及ぼすと共に、サスペンションへの取り付け角度の変化により磁気ディスクに対するピッチ角も変化しうる。すると、磁気ディスクに対するデータの記録再生精度が低下してしまう、という問題が生じうる。
このため、本発明では、上記従来例の有する不都合を改善し、特に、搭載した磁気ヘッドスライダの変形を抑制することができるサスペンションを提供することを目的とすると共に、安定したデータの記録再生を実現する高品質なヘッドジンバルアッセンブリ、ハードディスクドライブを提供することを目的とする。
そこで、本発明の一形態であるサスペンションは、磁気ヘッドスライダを装着するタング面を有するサスペンションであって、タング面に、当該タング面と磁気ヘッドスライダとの熱変形差を吸収する変形差吸収手段を設けた、ことを特徴としている。特に、変形差吸収手段は、装着される磁気ヘッドスライダの長手方向に対するタング面の伸縮変形を吸収する、ことを特徴としている。そして、本発明は、磁気ヘッドスライダが、タング面に半田のみを用いて装着されている場合に特に適している。
上記発明によると、まず、サスペンションのタング面と磁気ヘッドスライダ自体との熱膨張率が異なる場合には、加熱されることによってタング面と磁気ヘッドスライダとはそれぞれ異なる伸縮状態となる。このとき、タング面に設けた変形差吸収手段にて、当該タング面の伸縮による変形量が吸収される。すると、タング面の伸縮に伴い、当該タング面に接着剤や半田にて固着されている磁気ヘッドスライダに生じうる反り(クラウン)を抑制することができる。従って、磁気ヘッドスライダの変形を抑制し、安定したデータの記録再生を実現することができ、製品の高品質化を図ることができる。
また、上記変形差吸収手段は、タング面を貫通する少なくとも一つの貫通孔である、ことを特徴としている。そして、貫通孔は、タング面内に閉じて設けられた閉スリット状孔、又は、タング面の側端から切り込まれ一端部が開放されるように設けられた一端部開放スリット状孔、という形状であると望ましい。特に、貫通孔は、装着された磁気ヘッドスライダの記録再生素子側端面とほぼ平行に延びる形状である、ことを特徴としている。
このように、タング面に貫通孔を形成することで、当該貫通孔の周囲部分はばね性を有することとなり、タング面の熱膨張による変形を吸収することができる。同時に、貫通孔周辺は強度が弱くなるため、かかる部分に熱膨張に伴って生じる応力を分散させることができる。従って、装着される磁気ヘッドスライダへの応力の伝達も抑制することができ、その変形を抑制することができる。さらに、貫通孔を上述したように各種のスリット状に形成することで、かかるスリット状孔の長手方向の端部にて形成されるタング面上の連結部分が、よりばね性を有することとなり、より効果的にタング面の熱膨張による変形を吸収することができる。特に、磁気ヘッドスライダの記録再生素子側端面とその反対側の端面とがタング面に半田にて固定されている場合には、これら端面とほぼ垂直な方向のタング面の伸縮を効果的に吸収することができ、磁気ヘッドスライダの変形をより抑制することができる。
また、タング面に、同一の各スリット状孔を複数個、又は、各スリット状孔を組み合わせて複数個設けた、ことを特徴としている。このとき、隣接する各スリット状孔の中心が、磁気ヘッドスライダの長手方向に対してほぼ同一直線状に並ばないように複数の各スリット状孔を配置した、ことを特徴としている。また、タング面に、上述した異なる形状である閉スリット状孔と一端部開放スリット状孔とを交互に設けた、ことを特徴としている。さらに、隣接する各スリット状孔の間隔が狭くなるよう当該各スリット状孔を設けた、ことを特徴としている。
このように、同一形状や異なる形状のスリット状孔を複数設けることで、ばね性を有するスリットの長手方向における端部箇所がタング面上に増え、また、応力も分散させることができ、より熱膨張によるタング面の変形を吸収することができる。特に、隣接する各スリット状孔の中心が、タング面の長手方向に対してほぼ同一直線状に並ばないよう各スリット状孔を形成したり、スリット状孔の間隔を狭くすることで、タング面の強度を保ちつつ、より効果的に変形を吸収することができる。
また、本発明の他の形態は、上述したサスペンションを備えたヘッドジンバルアッセンブリ、さらには、このヘッドジンバルアッセンブリを備えたハードディスクドライブである。上記構成のサスペンションを用いることで、信頼性の高いハードディスクドライブを製造することができる。
本発明は、以上のように構成され機能するので、これによると、タング面の伸縮に伴い、当該タング面に固定装備されている磁気ヘッドスライダに、これらの熱膨張差による反り(クラウン)などの発生を抑制することができ、磁気ヘッドスライダの変形を抑制し、安定したデータの記録再生を実現することができるサスペンション、さらには、ヘッドジンバルアッセンブリ、ハードディスクを提供することができる、という従来にない優れた効果を有する。
本発明は、磁気ヘッドスライダを装着するサスペンションの装着部分の熱による変形を吸収することに特徴を有する。これにより、磁気ヘッドスライダとサスペンションとの変形差、つまり、熱による収縮差、あるいは、膨張差を吸収し、サスペンションの収縮、膨張に伴い磁気ヘッドスライダに生じうる反りなどの変形を抑制し、浮上特性の低下、及び、記録再生精度の低下の抑制を図る。以下、具体的な構成及び作用を、実施例にて説明する。
本発明の第1の実施例を、図1、図2、及び、図8、図9を参照して説明する。図1は、サスペンションの構成を示す図であり、図2は、加熱されたときのストレスコンター図を示す。また、図8はサスペンションを搭載したヘッドジンバルアッセンブリを複数備えたヘッドスタックアッセンブリの構成を示す図であり、さらに、これを搭載したハードディスクドライブの構成を図9に示す。
[構成]
図1に、磁気ヘッドスライダ1を装着するサスペンションの一部であるフレキシャ2の形状を示す。このフレキシャ2は、図8に示すように、ロードビーム11に固定され、さらには、ロードビーム11がベースプレート12に固定されて、サスペンション13を構成する。また、かかる構成のサスペンション13は、ベースプレート12を介してヘッドアーム14に装着され、ヘッドジンバルアッセンブリ10を構成する。さらに、複数のヘッドジンバルアッセンブリ10の各ヘッドアーム14がボイスコイルモータにて回転駆動されるよう軸支されることでヘッドスタックアッセンブリ20を構成している(図8参照)。
そして、上記ヘッドスタックアッセンブリ20を、磁気ディスク30が装備された筐体40に収容することで、ハードディスクドライブ50を構成する。以下、特に、本発明では、サスペンションの一部であるフレキシャ2の形状に特徴を有するため、かかるフレキシャ2について説明する。なお、上述したように図8に示したフレキシャ2の形状は、簡略的に図示したものであるため、以下では図1を参照して詳述する。
本実施例における図1に示すフレキシャ2は、図10に示す従来例におけるものとほぼ同様の構成を採っている。すなわち、磁気ヘッドスライダ1を装着する略長方形形状のタング面21を備えており、このタング面21は、先端側(図1の左側)でフレキシャ2本体に連結していて、ばね性を有している。これにより、磁気ヘッドスライダ1の上下方向、ピッチ方向、ロール方向に弾性変形し、磁気ディスクに対向して浮上する際の磁気ヘッドスライダ1の姿勢を適切に調整する役割を果たす。なお、図1では、磁気ヘッドスライダ1は、タング面21の裏面側に装着される。また、この図においては、略長方形状のタング面21は、その長手方向が先後端方向に沿って形成されており、その長手方向に合わせて略直方体形状の磁気ヘッドスライダ1も装着されることとする。但し、タング面21の形状は図示するものに限定されない。
また、磁気ヘッドスライダ1は、タング面2に半田41,42にて固定される。具体的には、略長方形状の磁気ヘッドスライダ1の長辺方向の両端面を半田付けする。さらに詳述すると、まず、フレキシャ2の磁気ヘッドスライダ1の装着面側には、トレース配線を形成するFPC(Flexible Printed Circuit)3が装備されており(図10(a)参照)、磁気ヘッドスライダ1に対するデータの受け渡しを行うトレース側端子が形成されている。一方で、磁気ヘッドスライダ1のフレキシャ2装着時に先端部側となる端面(図1の左側端面)には、記録再生素子が装備され、これに対するデータの入出力を行うための磁気ヘッド側端子が形成されている。従って、これらを接続するために、半田が用いられる(符号41参照)。つまり、この図においては、先端部側で4箇所、半田41にて固定されている(点線で図示)。また、磁気ヘッドスライダ1の後端部側の端面(図1の右側端面)は、スライダ1自身をフレキシャ2に固定するために半田が用いられる(符号42参照、点線で図示)。つまり、この図においては、後端部側で2箇所、半田41にて固定されている。なお、半田付けの状況は、図10(a)に示すもの(符号141,142)と同様である。
このように、フレキシャ2には、磁気ヘッドスライダ1が長手方向の両端部で半田41,42のみにて固定されている。但し、磁気ヘッドスライダ1は、さらに接着剤にてタング面21に固着されていてもよい。あるいは、半田を用いず、接着剤のみで固着されていてもよい。
そして、本実施例におけるフレキシャ2のタング面21には、装着される磁気ヘッドスライダ1の記録再生素子側端面とほぼ平行(図1では上下方向)に延びる2つのスリット状孔22,23が形成されている。換言すると、タング面21の長手方向に対してほぼ垂直に延びる溝状の貫通孔が形成されている。ここで、このスリット状孔22,23は、タング面21の両側端付近(各長辺側)にスリットの長手方向の端部22a,22b,23a,23bが位置し、タング面21内に閉じて設けられている。従って、以下では、かかる形状のスリット状孔を、閉スリット状孔と呼ぶこととする。これにより、タング面21の閉スリット状孔22,23が形成されている両側端付近は、部材の強度が弱くなると共に、ばね性を有するようになる。
なお、図1に示す例では、閉スリット状孔22,23をタング面21の長手方向にほぼ垂直に延びるよう形成する例を示したが、かかる方向の閉スリット状孔22,23であることに限定されない。また、貫通孔(スリット状孔)の形状も、必ずしもスリット状(所定の長さを有する溝状)であることに限定されず、例えば、円形であってもよい。さらに、図1では、2本の閉スリット状孔22,23が形成されているが、かかる数に限定されず、それ以上の数の貫通孔(スリット状孔あるいは他の形状の孔)が形成されていてもよく、さらには、1つの貫通孔が形成されているだけでもよい。
[動作]
次に、上記構成のフレキシャの動作を、図1乃至図2さらには図7を参照して説明する。ここで、図2は、磁気ヘッドスライダ1を半田41,42にて固定したフレキシャ2の温度を、基準温度を25℃として55℃まで上昇させた場合における、当該フレキシャ2に熱膨張などの変形によってかかる応力分布のシミュレーション結果を示すものである。なお、網掛けの濃度が薄くなるほど応力が高くかかっていることを示している。そして、ここでは、フレキシャ2のタング面21と磁気ヘッドスライダ1自体との熱膨張率が異なることとする。
フレキシャ2が加熱されると、熱膨張率の差から、タング面21と磁気ヘッドスライダ1とはそれぞれ異なる長さだけ膨張する。このとき、タング面21における閉スリット状孔22,23の両端部22a,22b,23a,23b付近がばね性を有しているため、かかる部分にて当該タング面21の膨張が吸収されることとなる。つまり、熱によってタング面21が長手方向に膨張し、これに伴い磁気ヘッドスライダ1の半田41,42による固定箇所間が引張られる力が働くが、かかる力を閉スリット状孔22,23が吸収することとなる。従って、スリット状孔22,23は、タング面21と磁気ヘッドスライダ1との熱変形差を吸収する変形差吸収手段として機能する。
さらに、このときのフレキシャ2にかかる応力を示す図2を見ると、閉スリット状孔22,23の端部22a,22b,23a,23b付近に応力が集中し、また、これらの端部間(符号22aと23aとの間、符号22bと23bとの間)にも応力が集中している。換言すると、タング面21全体にかかる熱変形に伴う応力がかかる箇所に分散されることとなるため、装着される磁気ヘッドスライダ1に応力が伝達することも抑制することができる。このことからも、有効に磁気ヘッドスライダ1の変形を抑制することができる。
ここで、図7に、従来例における場合と比較した磁気ヘッドスライダ1の変形量を表す反り量(クラウン量)を示す。この図では、横軸に磁気ヘッドスライダ1の長さ、つまり、磁気ヘッドスライダ1の長手方向の位置を取り、縦軸に反り量を取る。
そして、図7の曲線(1)にタング面21が通常の従来例における磁気ヘッドスライダ1の反り量を示し、曲線(2)に、本実施例における構成のタング面21を用いた場合の磁気ヘッドスライダ1の反り量を示す。これら曲線を比較するとわかるように、効果的に磁気ヘッドスライダ1に生じうる反り(クラウン)、つまり、変形を抑制することができる。
なお、上記では、加熱してタング面21が膨張する方向に変形する場合を例示したが、逆に、温度が低下して、タング面21が収縮し、磁気ヘッドスライダ1の半田41,42による固定箇所間が近接するような力が働く場合も同様である。つまり、磁気ヘッドスライダ1とタング面21との収縮差を、タング面21に形成された閉スリット状孔22,23が吸収し、当該タング面21及び磁気ヘッドスライダ1の変形を抑制することができる。
以上のように、タング面の伸縮に伴い、当該タング面に接着剤や半田にて固着されている磁気ヘッドスライダに生じうる反り(クラウン)を抑制することができる。従って、磁気ヘッドスライダの変形を抑制し、安定したデータの記録再生を実現することができ、製品の高品質化を図ることができる。
ここで、図1に示した例とは異なり、タング面21に閉スリット状孔22,23を複数形成する場合に、各閉スリット状孔の中心がタング面21の長手方向に沿って同一直線状に並ばないよう配置してもよい。例えば、図1の例のように同一の閉スリット状孔22,23を複数形成する際に、各閉スリット状孔22,23の各端部22a,22b,23a,23bがタング面21の長手方向に沿って同一直線状に並ばないように、その形成位置をずらして配置してもよい。
次に、本発明の第2の実施例を、図3乃至図4を参照して説明する。本実施例では、上記実施例1にて説明した場合と、タング面21に形成するスリット状孔24の形状及び位置が異なる。
[構成]
図3に示すように、本実施例においては、タング面21の両側端から中央に向かって切り込まれたスリット状孔24が形成されている。つまり、このスリット状孔24は、タング面21の側端から切り込まれ、一端部が開放された形状にて形成されている。さらに換言すると、タング面21の中央付近から両側端側に向かってそれぞれ開口するスリット状孔24a,24bに分かれて形成されている。従って、タング面21の中央付近には、それぞれのスリットの長手方向の端部24aa,24baが位置し、これら端部24aa,24ba間にてタング面21の先端側と後端側とが連結した状態になっている。以下、かかるスリット状孔24a,24bを一端部開放スリット状孔と呼ぶ。
なお、一端部開放スリット状孔24a,24bは、上述したように、必ずしも対となって形成されている必要は無く、一方の側端側にのみ開口するよう形成されていてもよい。また、上記ではタング面21の長手方向のほぼ中央に形成した場合を示したが、他の位置に形成してもよい。
[動作]
上記構成のフレキシャの動作を、図3乃至4を参照して説明する。ここで、図4は、上記同様に、フレキシャ2にかかる応力分布のシミュレーション結果を示すものである。
フレキシャ2が加熱(あるいは冷却)されると、熱膨張率の差から、タング面21と磁気ヘッドスライダ1とはそれぞれ異なる長さだけ伸縮する。このとき、タング面21における一端部開放スリット状孔24a,24bの各端部24aa,24baの間の連結部分が、ばね性を有するよう作用するため、かかる部分にて当該タング面21の伸縮が吸収されることとなる。さらに、このときのフレキシャ2にかかる応力を図4を参照して見ると、スリットの端部24aa,24ba付近に応力が集中し、また、タング面21のフレキシャ2本体との連結部分である付け根部分からスリットの端部24aa,24ba付近にかけても応力が集中している。換言すると、かかる箇所に応力が分散されることとなるため、装着される磁気ヘッドスライダ1に応力が伝達することも抑制することができる。このことからも、有効に磁気ヘッドスライダ1の変形を抑制することができる。
ここで、図7に、従来例における場合と比較した磁気ヘッドスライダ1の変形量を表す反り量(クラウン量)を示す。各軸については、実施例1にて説明したとおりである。そして、図7の曲線(1)にタング面21が通常の従来例における磁気ヘッドスライダ1の反り量を示し、曲線(3)に、本実施例における構成のタング面21を用いた場合の磁気ヘッドスライダ1の反り量を示す。これら曲線を比較するとわかるように、効果的に磁気ヘッドスライダ1に生じうる反り(クラウン)、つまり、変形を抑制することができる。
なお、図3に示した例とは異なり、タング面21に一対の一端部開放スリット状孔24を複数設けてもよい。そして、かかる場合には、一対の一端部開放スリット状孔の中心、つまり、タング面21の連結部分を、当該タング面21の長手方向に沿って同一直線状に並ばないよう配置するとよい。これにより、タング面上におけるばね性を有する部分を分散させて形成することができ、当該タング面21の剛性を高く保つことができる。
次に、本発明の第3の実施例を、図5乃至図6を参照して説明する。本実施例では、上記実施例1及び2にて説明したスリット状孔22,23,24を組み合わせた形状になっている。以下、詳述する。
[構成]
図3に示すように、本実施例においては、タング面21に4本のスリット状孔22,23,24(24a,24b)が形成されている。具体的には、まず、タング面21の先端部付近(付け根付近)と後端部付近に、それぞれ実施例1にて説明したタング面21の側端側に端部22a,22b,23a,23bを有する閉スリット状孔22,23が形成されている。また、タング面21の長手方向における中央付近には、両側端側から内部に切り込まれて当該内部にて2つに分かれた一対の一端部開放スリット状孔24(24a,24b)が形成されている。
このように、複数のスリット状孔(閉スリット状孔22,23、一端部開放スリット状孔24)を形成することで、結果として、各スリット状孔の間隔(図5のP1,P2を参照)を狭く設定できる。このとき、各スリットの端部22a,22b,23a,23b,24aa,24ba(図1、図3参照)、すなわち、タング面21の連結部分が、当該タング面の長手方向における同一直線状に並んで位置しないよう、異なる形状のスリット状孔22,23,24を交互に形成しているため、タング面上におけるばね性を有する部分を分散させて形成することができ、当該タング面21の剛性を高く保つことができる。
[動作]
上記構成のフレキシャの動作を、図5乃至6を参照して説明する。ここで、図6は、上記同様に、フレキシャ2にかかる応力分布のシミュレーション結果を示すものである。
フレキシャ2が加熱(あるいは冷却)されると、熱膨張率の差から、タング面21と磁気ヘッドスライダ1とはそれぞれ異なる長さだけ伸縮する。このとき、タング面21における閉スリット状孔22,23、及び、一端部開放スリット状孔24の各端部付近がばね性を有するよう作用する。そして、本実施例における各スリットの端部は、タング面21の側端側と中央部分に多数形成されているため、かかる複数の部分にて当該タング面21の伸縮がより効果的に吸収されることとなる。
さらに、このときのフレキシャ2にかかる応力を図6を参照して見ると、各スリットの端部付近に応力が集中し、また、これら端部間などにも応力が集中している。換言すると、かかる箇所に応力が分散されることとなるため、装着される磁気ヘッドスライダ1に応力が伝達することも抑制することができる。このことからも、有効に磁気ヘッドスライダ1の変形を抑制することができる。一方で、応力が集中する箇所を分散して形成しているため、タング面21の剛性を高く保つことが出来る。
ここで、図7に、従来例における場合と比較した磁気ヘッドスライダ1の変形量を表す反り量(クラウン量)を示す。各軸については、実施例1にて説明したとおりである。そして、図7の曲線(1)にタング面21が通常の従来例における磁気ヘッドスライダ1の反り量を示し、曲線(4)に、本実施例における構成のタング面21を用いた場合の磁気ヘッドスライダ1の反り量を示す。これら曲線を比較するとわかるように、効果的に磁気ヘッドスライダ1に生じうる反り(クラウン)、つまり、変形を抑制することができる。特に、本実施例では、他の実施例の場合(曲線(2)、(3))と比較してもさらに効果的に反り量を抑制することができることがわかる。
なお、複数のスリット状孔22,23,24は、上記組み合わせによる配置に限定されない。実施例1,2にて説明したように、同一形状のスリット状孔(閉スリット状孔、あるいは、一端部開放スリット状孔)を複数個設けてもよく、異なる形状の各スリット状孔を任意の数だけ組み合わせて設けてもよい。さらに、各スリット状孔を設ける位置も任意であり、特に、隣接する各スリット状孔の中心が、磁気ヘッドスライダの長手方向に対してほぼ同一直線状に並ばないようにそれぞれ配置するとよい。例えば、同一形状のスリット状孔を複数個設けるであっても、それらの中心位置を長手方向に向かって左右にずらして配置することで、上述したようにタング面の剛性を高く維持しつつ、効果的に変形を抑制することができる。
上記各実施例にて説明したフレキシャ2に磁気ヘッドスライダ1を装着すると共に、これを用いて図8に示すように、ヘッドジンバルアッセンブリ10を製造することができる。さらには、図9に示すように、かかるヘッドジンバルアッセンブリ10を装着したハードディスクドライブ50を製造することができる。
上述したフレキシャ2を用いたハードディスクドライブ50によると、当該フレキシャ2の熱膨張に伴う磁気ヘッドスライダ1のクラウン変化などの熱変形を有効に抑制することができるため、安定したデータの記録再生を実現することができる。従って、製品の信頼性の向上、及び、高品質化、を図ることができる。
本発明であるサスペンションは、磁気ディスクに対してデータの記録再生を行う磁気ヘッドスライダを装着し、ハードディスクドライブに搭載することができ、産業上の利用可能性を有する。
実施例1におけるフレキシャの構成を示す図である。 実施例1におけるフレキシャのストレスコンター図を示す。 実施例2におけるフレキシャの構成を示す図である。 実施例2におけるフレキシャのストレスコンター図を示す。 実施例3におけるフレキシャの構成を示す図である。 実施例3におけるフレキシャのストレスコンター図を示す。 本発明のフレキシャと従来例のフレキシャとを用いた場合における磁気ヘッドスライダに生じるクラウン量を示す図である。 本発明におけるフレキシャを搭載したヘッドジンバルアッセンブリ及びヘッドスタックアッセンブリの構成を示す図である。 本発明におけるフレキシャを用いたハードディスクドライブの構成を示す図である。 従来例におけるフレキシャの構成を示す図である。図10(a)は磁気ヘッドスライダ装着側を示し、図10(b)はその反対側を示す。 従来例におけるフレキシャのストレスコンター図を示す。 図12(a),(b),(c)は、従来例におけるフレキシャとこれに装着された磁気ヘッドスライダとの熱変形の様子を示す図である。
符号の説明
1 磁気ヘッドスライダ
2 フレキシャ(サスペンション)
3 FPC
10 ヘッドジンバルアッセンブリ
11 ロードビーム
12 ベースプレート
13 サスペンション
14 ヘッドアーム
20 ヘッドスタックアッセンブリ
21 タング面
22,23 閉スリット状孔(スリット状孔、貫通孔、変形差吸収手段)
24,24a,24b 一端部開放スリット状孔(スリット状孔、貫通孔、変形差吸収手段)
22a,22b,23a,23b 閉スリット状孔の端部
24aa,24ba 一端部開放スリット状孔の端部
41,42 半田
50 ハードディスクドライブ

Claims (12)

  1. 磁気ヘッドスライダを装着するタング面を有するサスペンションであって、
    前記タング面に、当該タング面と前記磁気ヘッドスライダとの熱変形差を吸収する変形差吸収手段を設けた、
    ことを特徴とするサスペンション。
  2. 前記変形差吸収手段は、装着される磁気ヘッドスライダの長手方向に対する前記タング面の伸縮変形を吸収する、ことを特徴とする請求項1記載のサスペンション。
  3. 前記磁気ヘッドスライダが、前記タング面に半田のみを用いて装着されている、ことを特徴とする請求項1又は2記載のサスペンション。
  4. 前記変形差吸収手段は、前記タング面を貫通する少なくとも一つの貫通孔である、ことを特徴とする請求項1,2又は3記載のサスペンション。
  5. 前記貫通孔は、前記タング面内に閉じて設けられた閉スリット状孔、又は、前記タング面の側端から切り込まれ一端部が開放されるように設けられた一端部開放スリット状孔である、ことを特徴とする請求項4記載のサスペンション。
  6. 前記貫通孔は、装着された磁気ヘッドスライダの記録再生素子側端面とほぼ平行に延びる形状である、ことを特徴とする請求項4又は5記載のサスペンション。
  7. 前記タング面に、同一の前記各スリット状孔を複数個、又は、前記各スリット状孔を組み合わせて複数個設けた、ことを特徴とする請求項5又は6記載のサスペンション。
  8. 隣接する前記各スリット状孔の中心が、前記磁気ヘッドスライダの長手方向に対してほぼ同一直線状に並ばないように前記複数の各スリット状孔を配置した、ことを特徴とする請求項5,6又は7記載のサスペンション。
  9. 前記タング面に、前記閉スリット状孔と前記一端部開放スリット状孔とを交互に設けた、ことを特徴とする請求項7記載のサスペンション。
  10. 隣接する前記各スリット状孔の間隔が狭くなるよう当該各スリット状孔を設けた、ことを特徴とする請求項7,8又は9記載のサスペンション。
  11. 請求項1乃至10記載のサスペンションを備えたことを特徴とするヘッドジンバルアッセンブリ。
  12. 請求項11記載のヘッドジンバルアッセンブリを備えたことを特徴とするハードディスクドライブ。

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