まず、本発明に係る画像形成装置の一例であるプリンタについて図1を基に説明する。図1は、プリンタの一実施形態の内部構造の概要を示す正面断面視の説明図である。この図に示すように、プリンタ(画像形成装置)10は、印刷処理に供する用紙Pを貯留する用紙貯留部12と、この用紙貯留部12に貯留された用紙束P1から繰り出された1枚ずつの用紙Pに対して画像の転写処理を施す画像形成部13と、この画像形成部13で転写処理の施された用紙Pに対して定着処理を施す定着部14とが装置本体11に内装されると共に、定着部14で定着処理の施された用紙Pが排紙される排紙部15が装置本体11の頂部に設けられることによって構成されている。
前記用紙貯留部12には、所定数(本実施形態では1つ)の用紙カセット121が装置本体11に対して挿脱自在に設けられている。用紙カセット121の上流端(図1の左方)には、用紙束P1から1枚ずつの用紙Pを繰り出させるピックアップローラ122が設けられている。このピックアップローラ122の駆動によって用紙カセット121から繰り出された用紙Pは、給紙搬送路123およびこの給紙搬送路123の下流端に設けられたレジストローラ対124を介して画像形成部13に給紙されるようになっている。
前記画像形成部13は、コンピュータ等から電送された画像情報に基づき用紙Pに転写処理を施すものであり、前後方向(図1の紙面と直交する方向)に延びるドラム心回りに回転可能に設けられた感光体ドラム131の周面に沿うように、当該感光体ドラム131の図1における右上位置から時計方向に向けて帯電装置30、露光装置132、現像装置133、転写ローラ134およびクリーニング装置135が配設されることによって形成されている。
本実施形態においては、感光体ドラム131と、帯電装置30と、クリーニング装置135とが所定の筐体21に内装され感光体ユニット20としてユニット化されている。従って、筐体21を装置本体11に対し挿脱することによって感光体ドラム131,帯電装置30およびクリーニング装置135が全体的に装置本体11に対して着脱されることになる。因みに、筐体21は、装置本体11内の所定の位置に装着された状態で当該装置本体11と一体化するため、装置本体11の一部とみなすことができる。
前記感光体ドラム131は、周面に静電潜像およびこの静電潜像に沿ったトナー像を形成させるためのものであり、周面にアモルファスシリコン層が積層され、これによってこれらの像を形成させるのに適したものになっている。
前記帯電装置30は、ドラム心回りに時計方向に回転している感光体ドラム131の周面に一様な電荷を形成させるものであり、コロナ放電によって感光体ドラム131の周面に電荷を付与するようになっている。なお、この帯電装置30については後に図2〜図5に基づき詳細に説明する。
前記露光装置132は、コンピュータ等の外部の機器から電送されてきた画像データに基づき強弱の付与されたレーザー光を回転している感光体ドラム131の周面に照射し、これによる感光体ドラム131周面のレーザー光が照査された部分の電荷の消去によって当該感光体ドラム131の周面に静電潜像を形成させるものである。
前記現像装置133は、感光体ドラム131の周面にトナーを供給することによって周面の静電潜像が形成された部分にトナーを付着させ、これによって感光体ドラム131の周面にトナー像を形成させるものである。
前記転写ローラ134は、感光体ドラム131の直左方位置に送り込まれた用紙Pに対して当該感光体ドラム131の周面に形成されているプラスに帯電したトナー像を用紙Pに転写させるものであり、トナー像の電荷と逆極性であるマイナスの電荷を用紙Pに付与するようになっている。
従って、感光体ドラム131の左下位置に到達した用紙Pは、転写ローラ134と感光体ドラム131とによって押圧挟持されつつ、プラスに帯電した感光体ドラム131周面のトナー像がマイナスに帯電した用紙Pの表面に向けて引き剥がされ、これによって用紙Pに対し転写処理が施されることになる。
前記クリーニング装置135は、転写処理後の感光体ドラム131の周面に残留しているトナーや、前記帯電装置30で後述する帯電ワイヤ33に付着した帯電生成物を清掃処理したときに飛散して感光体ドラム131の周面に付着したものなどを取り除いて清浄化するためのものである。このクリーニング装置135には、感光体ドラム131の周面に摺擦する摺擦ローラ135aが設けられ、この摺擦ローラ135aの回転で感光体ドラム131の周面に付着した残留トナーや帯電生成物が擦り落とされる(すなわち感光体ドラム131の周面が研磨される)ようになっている。このクリーニング装置135によって清浄化された感光体ドラム131の周面は、次の画像形成処理のために再び帯電装置30へ向かうことになる。
前記定着部14は、画像形成部13によって転写処理の施された用紙Pのトナー像に加熱による定着処理を施すものであり、用紙Pに熱を加える定着ローラ141と、この定着ローラ141の左側に対向配置された加圧部材142とを備えて構成されている。
そして、転写処理後の用紙Pは、定着ローラ141と加圧部材142との間に形成されたニップ部へ向けて送り込まれ、当該ニップ部を通過することによって、定着ローラ141からの熱を得て定着処理が施されるようになっている。定着処理の施された用紙Pは、排紙搬送路143を通って排紙部15へ排出されることになる。
前記排紙部15は、装置本体11の頂部が凹没されることによって形成され、この凹没した凹部の底部に排紙された用紙Pを受ける排紙トレイ151が設けられている。
そして、本実施形態においては、装置本体11内の図1における右方位置上部に外気を取り入れるためのフィルタ161を備えた送風機16と、この送風機16によってフィルタ161を介して取り入れられた外気を感光体ユニット20へ向けて案内する送風ダクト17とが設けられている。送風機16の駆動で送風ダクト17を介し感光体ユニット20へ向けて吹き付けられた外気は、感光体ユニット20内を貫通し、これによって感光体ユニット20のこもった湿気が取り除かれて帯電生成物の発生を抑制するとともに、感光体ドラム131内に設けられた図略のヒータにより感光体ユニット20内が過加熱されている場合に当該感光体ユニット20内を冷却し、加えて帯電生成物が付着した帯電ワイヤ33を清掃処理することにより発生した粉塵等からなる飛散物を気流に同伴させて感光体ユニット20内から外部へ排出するようにしている。
また、装置本体11内の適所には、外部の商用電源から供給される電力の電圧を変圧したり電流を整流したりしてから各所に配電する電源装置18と、画像形成処理に係る各種の機器の動作を制御するためのマイクロコンピュータからなる制御装置70が設けられている。装置本体11の上面適所には、商用電源からの電源装置18に向けた電力の供給をオン・オフする電源スイッチ181が設けられている。
そして、帯電装置30の後述する帯電ワイヤ33には、電源装置18で高圧に変電され
た電圧が印加されるとともに、帯電装置30を感光体ドラム131に対して進退させるための後述する駆動モータ51への電力の供給が制御装置70の制御に基づき行われるようになっている。
図2は、感光体ユニット20の一実施形態を示す斜視図であり、(イ)は、感光体ユニット20の一部切り欠き全体斜視図、(ロ)は、感光体ユニット20の前板22を内面側から見た斜視図である。また、図3は、図2のA−A線断面図であり、図4は、帯電装置30の正面視の説明図である。なお、図2〜図3において、X−X方向を左右方向、Y−Y方向を前後方向といい、特に−X方向を左方、+X方向を右方、−Y方向を前方、+Y方向を後方という。
まず図2の(イ)に示すように、感光体ユニット20は、前後方向に長尺の箱形を呈した筐体21内に、前述したように感光体ドラム131と、クリーニング装置135と、帯電装置30とが装着されることによって形成されている。
前記筐体21は、矩形状を呈する前板22と、後方で前板22と対向配置された後板23と、前板22および後板23の右方上部間に架設された右側板24と、前板22および後板23の左方上部間に架設された左側板25(図3)と、前板22および後板23の右方下部間に架設された底板26と、上面開口を閉止する天板27を備えて構成されている。前記右側板24と底板26との間には、前後方向の全長に亘って等ピッチで介設された複数本の支柱28が設けられ、これによって筐体21が強度的に丈夫になっている。
また、筐体21の下面における底板26より左方位置は開放状態とされ、これによって感光体ドラム131の周面が前記転写ローラ134(図3)の周面と当接可能になっているとともに、露光装置132(図1)からの光線が感光体ドラム131の周面に照射可能になっている。
前記天板27の右方位置には、前後方向の全長に亘って等ピッチで格子状に切り欠き孔が穿設されてなる格子窓271が形成され、前記送風機16(図1)から送風ダクト17を介して送り込まれた外気(図1に矢印で表示)は、この格子窓271を通って筐体21内に供給され、筐体21内を冷却してから各所の隙間を通って装置本体11内に排気されるようになっている。
前記感光体ドラム131は、前板22および後板23の左方下部間に架設されたドラム軸131a回りに回転可能に軸支され、図略のドラムモータの駆動により図3における時計方向に向けて回転し得るようになっている。
前記クリーニング装置135は、筐体21内における感光体ドラム131の直上位置に設けられ、摺擦ローラ135aがその周面を感光体ドラム131の周面に摺擦させながら同一方向(図3における時計方向)に回転し、これによって感光体ドラム131の周面が研磨されて付着している帯電生成物が取り除かれるようになっている。
前記帯電装置30は、放電面を感光体ドラム131の周面に向けた状態で筐体21の略中央位置に前後方向へ延びた状態で設けられている。かかる帯電装置30は、前後方向に長尺で、かつ、感光体ドラム131の周面に対向した開口面311を有するシールドケース31と、このシールドケース31に前後方向に延びるように内装されたスパイラルロッド32と、前記開口面311で前後方向に延びるように張設された複数本の帯電ワイヤ33と、前記スパイラルロッド32に螺着され、かつ、スパイラルロッド32の軸心回りの回転で前後動することにより帯電ワイヤ33を清掃する清掃部材40と、前記スパイラルロッド32を軸心回りに駆動回転させる駆動機構50(図5)と、前記シールドケース31を帯電ワイヤ33が感光体ドラム131の周面に近接した近接位置S1(図6の(イ)参照)と感光体ドラム131の周面から離間した離間位置S2(図6の(ハ))との間で位置変更させる位置変更機構60(図5)とを備えている。
本実施形態においては、シールドケース31が近接位置S1に位置設定された状態で、帯電ワイヤ33と感光体ドラム131の周面との間の距離が0.5〜0.6mmに設定されている一方、シールドケース31が離間位置S2に位置設定された状態で、帯電ワイヤ33と感光体ドラム131の周面との間の距離は、略5.0mmになるようになされている。
かかる帯電装置30は、スパイラルロッド32や帯電ワイヤ33等が内装されたシールドケース31と、このシールドケース31の前端部に固定された後述のギヤケース501と、シールドケース31の後端部に固定されることにより前記ギヤケース501と対向配置された後述の端壁部材502とを備えて構成されている(図5参照)。前記駆動機構50および位置変更機構60は、ギヤケース501に装着されている。
前記シールドケース31は、直方体状を呈する一対の端壁部材312(図4)と、これら一対の端壁部材312間に対向状態で架設された一対のケース板313と、これら一対のケース板313における前記開口面311と反対側の縁部から互いに対向する方向に向けて突設された前後方向(図4の紙面に直交する方向)に長尺の一対のガイドレール314と、このガイドレール314から互いに反対方向に向けて突設された前後方向に長尺の一対のフランジ板315と、各ケース板313における感光体ドラム131側の端縁から感光体ドラム131の周面に向けて突設された前記帯電ワイヤ33を両側から覆う一対のグリッド316とを備えて構成されている。
前記ガイドレール314は、清掃部材40の移動を案内するものであり、一対で後述するH形被ガイド部材43を挟持することにより清掃部材40の移動が安定するようになされている。また、前記フランジ板315は、帯電装置30の近接位置S1に対する位置設定を行うものである。
かかるシールドケース31は、筐体21内に設けられたコイルスプリング39により感光体ドラム131へ向けて付勢され、これによって一対のフランジ板315が前記筐体21内の所定の当止部に押圧当止することにより帯電装置30の近接位置S1に対する位置設定が安定するようになされている。
前記スパイラルロッド32は、軸心回りに回転可能に後端部が後方の端壁部材312に支持されているとともに、前端部が前方の端壁部材312を貫通している。かかるスパイラルロッド32は、前記駆動機構50の駆動によって軸心回りに回転することにより当該スパイラルロッド32に螺着された清掃部材40を移動させ得るようになっている。
前記清掃部材40は、前記スパイラルロッド32に螺着されるフェルト保持部材41と、このフェルト保持部材41に保持された帯電ワイヤ33を清掃するためのフェルト材42と、前記フェルト保持部材41に装着される一対のH形被ガイド部材43とを備えて構成されている。
前記フェルト保持部材41は、一部が外部に突出した状態で前記フェルト材42を保持する箱形を呈したフェルト保持ケース411(図4)と、このフェルト保持ケース411の互いに対向した一対の前後の壁から互いに反対方向に向けて突設された一対のナット部材412とを備えている。そして、前記スパイラルロッド32は、各ナット部材412が螺着された状態でフェルト保持ケース411を貫通している。従って、スパイラルロッド32が駆動機構50の駆動で軸心回りに正逆回転することにより、フェルト保持部材41は、前後方向に向けて正逆移動することになる。
前記フェルト材42は、フェルトが直方体状に成形されることによって形成されている。かかるフェルト材42は、先端面が各帯電ワイヤ33に当接するように突出量が調節された上で基端側が前記フェルト保持ケース411に嵌め込まれて固定されている。従って、駆動機構50の駆動によるスパイラルロッド32の軸心回りの回転でフェルト保持部材41が前後方向に正逆移動することにより、帯電ワイヤ33に付着している帯電生成物は、フェルト材42によって拭い取られ、これによって帯電ワイヤ33は清浄化する。
前記前板22には、その裏面側における前記帯電装置30の一方のケース板313(図3における上方のケース板313)と対向した位置に、後述する位置変更用カム65(図5参照)との干渉で帯電装置30を感光体ドラム131から離間させる方向に向けて移動させるための干渉突起66が設けられている。なお、後板23にも同様の干渉突起66が設けられている。そして、帯電装置30は、駆動機構50との協働による位置変更機構60の作用によって干渉突起66との干渉で感光体ドラム131に近接した近接位置S1と、感光体ドラム131から離間した離間位置S2との間で位置変更可能になっているが、この位置変更機構については後に詳述する。
そして、前記駆動機構50および位置変更機構60は、前方の端壁部材312に固定されたギヤケース501(図5)に装着されている。以下、駆動機構50および位置変更機構60について図5を基に必要に応じて図1〜図4を参照しながら詳細に説明する。図5は、駆動機構50および位置変更機構60の一実施形態を説明するための帯電装置30の一部切り欠き斜視図である。なお、図5における方向表示は、図2の場合と同様(Xは左右方向(−X:左方、+X:右方)、Yは前後方向(−Y:前方、+Y:後方))である。
図5に示すように、ギヤケース501は、シールドケース31の前端部に互いに直交するように固定された端壁501aと、この端壁501aの周縁部から全周に亘る状態で前方に向かって突設された周壁501bと、この周壁501bの略右半分の位置に架設された前方壁501cとを備えている。駆動機構50および位置変更機構60は、かかるギヤケース501に装着されている。
前記駆動機構50は、前記前方壁501cの前面側に略縦置きで据え付けられた駆動モータ51と、この駆動モータ51の駆動軸511に同心で一体的に外嵌されたウォーム52と、この駆動モータ51に噛合するウォームホイール53と、このウォームホイール53のホイール軸531に一体的に外嵌された駆動ギヤ54と、この駆動ギヤ54に噛合する第1アイドルギヤ55と、この第1アイドルギヤ55に噛合し、かつ、前記スパイラルロッド32に同心で一体的に連結されたロッド軸561を中心位置に有するロッドギヤ56とを備えて構成されている。
前記ウォームホイール53は、本実施形態においては、前方壁501cの前方位置に設けられているのに対し、前記駆動ギヤ54は、端壁501aと前方壁501cとの間(すなわちギヤケース501内)に設けられている。また、前記第1アイドルギヤ55およびロッドギヤ56もギヤケース501内に設けられているが、これらは設計事項であり、すべてをギヤケース501内に設けてもよい。
かかる構成の駆動機構50によれば、駆動モータ51を駆動させることによる駆動軸511の軸心回りの正逆回転は、ウォーム52を介して減速状態でウォームホイール53に伝達され、このウォームホイール53のホイール軸531回りの回転は、駆動ギヤ54および第1アイドルギヤ55を介してロッドギヤ56に伝達される。スパイラルロッド32は、このロッドギヤ56のロッド軸561回りの一体回転によって軸心回りに回転し、これによって当該スパイラルロッド32に螺着している清掃部材40がシールドケース31に沿って正逆移動することになる。
そして、駆動モータ51は、正駆動することによりホームポジション(ギヤケース501の直後方)に位置した清掃部材40をスパイラルロッド32に沿ってその後端まで移動させた後、逆駆動して清掃部材40をホームポジションまで戻すようになされているため、帯電ワイヤ33は、この清掃部材40の往復動によりフェルト材42によって清掃処理される。
前記位置変更機構60は、清掃部材40が帯電ワイヤ33に対し清掃処理を施さないときは帯電装置30を感光体ドラム131に近接させた近接位置S1(図6の(イ)参照)に位置設定する一方、清掃部材40が帯電ワイヤ33に対し清掃処理を施すに際には、帯電装置30を感光体ドラム131から離間させて離間位置S2(図6の(ハ)参照)に位置設定するものである。
かかる位置変更機構60は、ギヤケース501の前方壁501cより前方側で前記ロッド軸561に同心で一体的に外嵌された第2アイドルギヤ61と、この第2アイドルギヤ61に噛合するセクトギヤ62と、このセクトギヤ62の曲率中心に一体的に嵌入されたセクトギヤ軸(支持軸)63と、このセクトギヤ軸63に同心で一体的に外嵌された前後一対のカム支持円盤64と、これらのカム支持円盤64の互いに対向する面に形成された前記帯電装置30の位置を近接位置S1と離間位置S2との間で位置変更させる位置変更用カム65と、感光体ユニット20の筐体21に前記各位置変更用カム(干渉部材)65と干渉するように設けられた干渉突起66とを備えて構成されている。
前記セクトギヤ62は、第2アイドルギヤ61と噛合するセクト歯621がギヤ本体の周面の一部にのみ設けられ、これによって第2アイドルギヤ61は、その回転をセクト歯621が存在する部分でのみセクトギヤ62に伝達し得るようになっている。従って、第2アイドルギヤ61の歯がセクト歯621の存在しない部分に対向した状態では、第2アイドルギヤ61の回転がセクトギヤ62へ伝達されなくなり、これによって第2アイドルギヤ61が回転しているにも拘らず(すなわち、スパイラルロッド32が回転して清掃部材40が移動しているにも拘らず)セクトギヤ62が回転しない状態になる。
また、第2アイドルギヤ61に対するセクトギヤ62のギヤ比は相当大きく設定され(すなわち、第2アイドルギヤ61はセクトギヤ62に比べて相当小径に設定され)、これによって清掃部材40がホームポジションH1から後端ポジションH2へ向けて相当距離だけ移動するまで第2アイドルギヤ61がセクトギヤ62に噛合するが、その後は清掃部材40が後端ポジションH2に到達するまで第2アイドルギヤ61が回転しても、セクトギヤ62は回転しないようになされている。
これに対し、後端ポジションH2へ到達した清掃部材40が駆動モータ51の逆駆動による第2アイドルギヤ61の逆回転でホームポジションH1へ戻るに際しては、セクトギヤ62は直ちに回転を開始することになる。
以下、セクトギヤ軸63の両端部分に各カム支持円盤64を介して対向配置された位置変更用カム65につき後端側に設けられたものを例に挙げて図5の(ロ)を基に詳細に説明する。因みに前後の位置変更用カム65は、セクトギヤ軸63の両端部に鏡面対象状態で設けられている。
図5の(ロ)に示すように、位置変更用カム65は、前方から見た正面視でP形状に設定され、セクトギヤ軸63を囲むように設けられている。かかる位置変更用カム65は、Pの字の下方へ延びる棒線に対応したストッパ片651と、このストッパ片651に続いた、円の弦に相当する直線部652と、円の円弧に相当する円弧部653とを備えて構成されている。前記円弧部653は、その曲率中心がセクトギヤ軸63の軸心と同心に設定されている。
そして、このような位置変更用カム65は、清掃部材40がホームポジションH1に位置設定された状態で、感光体ユニット20の筐体21に設けられた干渉突起66がストッパ片651と接触した非干渉姿勢に姿勢設定される一方、セクトギヤ軸63が、図5の(ロ)に矢印で示すように、軸心回りに反時計方向に向けて回転することにより、まず直線部652が干渉突起66と干渉し、引き続き円弧部653と干渉する干渉姿勢に姿勢変更されるように設置位置が設定されている。
かかる位置変更用カム65の構成によれば、位置変更用カム65が非干渉姿勢に姿勢設定された状態で、当該位置変更用カム65がセクトギヤ軸63回りに図5の(ロ)における反時計方向に回転すると、干渉突起66が直線部652と干渉を開始し、これによって帯電装置30が感光体ドラム131から離間を開始する。そして、位置変更用カム65の回転継続により干渉突起66が円弧部653と干渉するようになると、帯電装置30の感光体ドラム131からの離間距離が最大になり、以後はこの最大の離間距離を維持しつつ位置変更用カム65が回転を継続する。
ついで、位置変更用カム65の時計方向に向かう回転が停止された後に当該位置変更用カム65が逆方向に回転すると、円弧部653と当接している干渉突起66が直線部652と当接するまで感光体ドラム131の最大離間距離が維持される。その後、干渉突起66が直線部652と当接を開始すると、当該干渉突起66がストッパ片651と対向するまで帯電装置30が感光体ドラム131へ向かって徐々に接近していき、これによって位置変更用カム65は元の非干渉姿勢に戻ることになる。
図6は、駆動機構50および位置変更機構60の作用を説明するための正面視の説明図であり、(イ)は、帯電装置30が近接位置S1に位置設定された状態、(ロ)は、帯電装置30が近接位置S1から離間位置S2へ向かいつつある状態、(ハ)は、帯電装置30が離間位置S2に位置設定された状態をそれぞれ示している。
まず、図6の(イ)に示すように、帯電装置30が近接位置S1に位置設定された状態では、位置変更用カム65は、そのストッパ片651が感光体ユニット20の筐体21に設けられた干渉突起66と対向した非干渉姿勢に姿勢設定されている。この状態で回転している感光体ドラム131の周面に対し帯電装置30の帯電ワイヤ33からのコロナ放電による帯電処理が施される。
ついで、感光体ドラム131による画像形成処理が中断された状態で帯電ワイヤ33に対して清掃処理を施すに際しては、まず、駆動モータ51が順駆動され、これによるウォーム52の回転でウォームホイール53が時計方向へ向かって回転し、このウォームホイール53と一体回転する駆動ギヤ54と噛合している第1アイドルギヤ55が反時計方向へ向けて回転する。そして、この第1アイドルギヤ55の回転によって当該第1アイドルギヤ55と噛合しているロッドギヤ56がロッド軸561回りに時計方向へ向けて回転すするため、このロッド軸561と同心で一体のスパイラルロッド32が軸心回りに時計方向に向けて回転し、これによって当該スパイラルロッド32に噛合している清掃部材40がホームポジションH1(図5の(イ))から後端ポジションH2へ向けて移動する。
この清掃部材40の後端ポジションH2へ向かう移動によって、清掃部材40のフェルト材42(図3)が帯電ワイヤ33を清掃するため、帯電ワイヤ33に付着していた帯電生成物が取り除かれる。
一方、ロッドギヤ56の時計方向に向かう回転は、第2アイドルギヤ61を介してセクトギヤ62に伝達され、セクトギヤ62は、セクトギヤ軸63回りに反時計方向に向けて回転するため、位置変更用カム65がセクトギヤ軸63と一体のカム支持円盤64を介してセクトギヤ軸63回りに反時計方向に回転する。この回転によって位置変更用カム65は、ストッパ片651が干渉突起66と対向していた状態(図6の(イ))から、図6の(ロ)に示すように、直線部652が干渉突起66と干渉する状態になり、この干渉によって帯電装置30が感光体ドラム131から離間し始める。
そして、位置変更用カム65の円弧部653が干渉突起66と干渉することにより、帯電装置30は、図6の(ハ)に示すように、感光体ドラム131からの離間距離が最高になる。この状態は、セクトギヤ62のセクト歯621の第2アイドルギヤ61に対する噛合が終わるまで継続される。
ついで、帯電装置30が離間位置S2に位置設定された状態において清掃部材40が後端ポジションH2(図5)に到達すると、そのことが検出されて駆動モータ51が逆駆動される。これによってスパイラルロッド32が軸心回りに反時計方向に回転するため、清掃部材40は、後端ポジションH2からホームポジションH1へ向けて移動し、このときもフェルト材42が帯電ワイヤ33を清掃するため、結局帯電ワイヤ33は、往復でフェルト材42によって清掃されることになる。
そして、清掃部材40が後端ポジションH2からホームポジションH1へ向けて移動するに際しては、セクトギヤ62がセクトギヤ軸63回りに時計方向へ向けて回転し、これによって位置変更用カム65も時計方向に回転することになるが、位置変更用カム65の円弧部653が干渉突起66と干渉し合っている状態では、帯電装置30は離間位置に位置設定された状態が継続され、位置変更用カム65の直線部652が干渉突起66と干渉を開始した時点から帯電装置30は、感光体ドラム131へ向けて接近していき、位置変更用カム65のストッパ片651が干渉突起66と対向した時点で近接位置S1に位置設定される。
このような駆動機構50および位置変更機構60の作用によって、帯電装置30は、その帯電ワイヤ33に清掃部材40による清掃処理が施されるとき、感光体ドラム131から離間されるようになされているため、たとえ帯電ワイヤ33から付着していた帯電生成物が除去され、この除去された帯電生成物が飛散しても、感光体ドラム131の周面に均等に分散されるため、帯電装置30を近接位置に位置設定したまま帯電ワイヤ33に清掃処理を施す場合に比較し、除去された帯電生成物が感光体ドラム131の周面に偏って付着するような不都合の発生を有効に防止することができる。
また、位置変更用カム65をセクトギヤ軸63の両端に一対で設けるとともに、これら一対の位置変更用カム65に対応した干渉突起66も一対で設けることにより、帯電装置30を感光体ドラム131の周面に近接した近接位置S1と、感光体ドラム131の周面から離間した離間位置S2との間で安定的に位置変更させることが可能になる。
本実施形態においては、このように構成された帯電装置30の駆動機構50および位置変更機構60による動作の制御は、前記制御装置70によって行われる。以下、制御装置70による制御について図7を基に、必要に応じて図1〜図6を参照しながら説明する。
図7は、制御装置70による駆動機構50および位置変更機構60の制御を説明するためのブロック図である。なお、このブロック図では、帯電ワイヤ33への高電圧印加の制御については省略している。図7に示すように、制御装置70は、中央演算処理装置としてのCPU(central processing unit)71と、このCPU71に付設された読み取り専用の記憶装置であるROM(read only memory)72と、CPU71に付設され一時的に発生する各種のデータを対象として読み書き自在に構成されたRAM(random access memory)73とを備えた基本構成を有している。
前記CPU71は、帯電ワイヤ33を清掃するか否かを判別する帯電ワイヤ清掃判別部711と、送風機16を駆動させるか否かを判別する送風機駆動判別部712と、駆動機構50の駆動モータ51を駆動させるか否かを判別する駆動モータ駆動判別部713と、これら帯電ワイヤ清掃判別部711、送風機駆動判別部712および駆動モータ駆動判別部713からの指令信号に基づいて駆動モータ51および送風機16のいずれか一方または双方に向けて制御信号を出力する制御信号出力部714とを備えている。
かかる制御装置70によって駆動機構50および位置変更機構60の動作を制御するために、プリンタ10は、装置本体11内の適所に設けられて転写処理を施した用紙Pの枚数を検出する枚数センサ81(図1)と、感光体ユニット20内に設けられた当該感光体ユニット20内の温湿度を検出する温湿度センサ82(図3)と、シールドケース31に設けられて当該シールドケース31内で清掃部材40が後端ポジションH2に位置したか否かを検出する先端側清掃部材位置センサ83(図5)と、シールドケース31に設けられて当該シールドケース31内で清掃部材40がホームポジションH1に位置したか否かを検出する基端側清掃部材位置センサ84(図5)とを備えている。
前記帯電ワイヤ清掃判別部711は、前記枚数センサ81が検出した枚数がROM72に記憶されている予め設定された枚数(基準枚数、本実施形態においては100000枚)を超えたか否かを比較演算し、超えている場合には帯電ワイヤ33が清掃されるべき状態になっていると判別するようになっている。そして、この判別を行った後に画像形成部13の駆動系からの信号によってプリンタ10の電源は投入されているが当該画像形成部13が停止状態(すなわち電源は入っているが画像形成処理が実行されていない状態)になっていることを確認した上で、制御信号出力部714に向けて駆動モータ51を駆動させる制御信号を出力させるべく指令信号を出力するようになっている。
因みに、本実施形態においては、RAM73にカウンタ731が設けられ、枚数センサ81が転写処理済みの用紙Pを検出する都度、カウンタ731が当該用紙Pの枚数をカウントするようになされており、前記帯電ワイヤ清掃判別部711は、このカウンタ731がカウントした枚数と、ROM72に記憶されている基準枚数とを比較演算するようになっている。
そして、前記帯電ワイヤ清掃判別部711からの指令信号を受けた制御信号出力部714は、駆動モータ51に向けてモータ駆動の制御信号を出力し、これによる駆動モータ51の順駆動で清掃部材40がホームポジションH1から後端ポジションH2へ向けて移動を開始することになる。
また、帯電ワイヤ清掃判別部711は、前記電源装置18から入力される信号によってオン状態であった電源スイッチ181がオフされたか否かを判別し、オフされたときには、制御信号出力部714に向けて駆動モータ51を駆動させるための指令信号を出力するようになっている。一方、電源装置18は、電源スイッチ181がオフされても、帯電装置30が帯電ワイヤ33に対して片道(往動)のみの清掃処理を施すに要する時間だけ駆動モータ51に電力を供給し得るようになっている。
従って、電源スイッチ181がオフされると、駆動モータ51が制御信号出力部714からの制御信号により駆動し、これによって帯電装置30が感光体ドラム131から離間した離間位置S2に位置設定された状態で帯電ワイヤ33に清掃処理を施すことになる。このとき、駆動モータ51は、清掃部材40がホームポジションH1から後端ポジションH2に到達するまでの間だけ駆動されるようになされている。従って、帯電ワイヤ33は、清掃部材40の往動によってのみ清掃処理されるとともに、清掃部材40が後端ポジションH2に到達した状態の帯電装置30は、そのまま感光体ドラム131から離間した離間位置S2に位置設定されたままとされる。
そして、電源スイッチ181がオンされると、帯電ワイヤ清掃判別部711からの指令信号に基づく制御信号出力部714からの制御信号によって駆動モータ51が駆動され、これにより後端ポジションH2に位置した清掃部材40は、ホームポジションH1へ戻されつつ帯電ワイヤ33に対して清掃処理を施すようになっている。清掃部材40がホームポジションH1へ戻った状態の帯電装置30は、位置変更機構60の前記作用によって感光体ドラム131に近接した近接位置S1に位置設定されることになる。
さらに、帯電ワイヤ清掃判別部711は、予め設定された時間が経過しても画像形成処理が実行されない場合であって、電源装置18が装置本体11内の各種の機器に立ち上がりを迅速に行うための必要最小限のいわゆる待機電力のみを供給した状態になっているとき、そのことを示す信号が電源装置18から帯電ワイヤ清掃判別部711へ向けて入力されるようになっている。帯電ワイヤ清掃判別部711は、この信号が入力されたときも、電源スイッチ181がオフされたときと同様の指令信号を制御信号出力部714へ向けて出力するようになされているため、これによる制御信号出力部714からの制御信号に基づき駆動モータ51が駆動し、清掃部材40の往動で帯電ワイヤ33に清掃処理が施されるとともに、帯電装置30が近接位置S1から離間位置S2へ移動することになる。
そして、電源装置18から各種の機器に待機電力が供給されている状態において、ユーザーの図略のスタートボタンの押釦等によって画像形成処理が実行されることにより、電源装置18は、電力の供給を待機電力から通常の電力に戻すようになされており、このことを示す信号が電源装置18から帯電ワイヤ清掃判別部711へ入力されるようになっている。この信号を受けた帯電ワイヤ清掃判別部711は、電源スイッチ181がオンされたときと同様に制御信号出力部714に向けて指令信号を出力し、これによる制御信号出力部714からの制御信号に基づいた駆動モータ51の駆動で後端ポジションH2に位置していた清掃部材40がホームポジションH1へ戻されつつ、帯電装置30が離間位置S2から近接位置S1へ戻ることになる。
以上の帯電ワイヤ清掃判別部711に関する説明で明らかなように、帯電装置30が近接位置S1に位置設定された状態で帯電ワイヤ33に電力が供給されるのに対し、僅かな例外を除いて帯電装置30は、帯電ワイヤ33に電力が供給されない状態で感光体ドラム131から離間した離間位置S2に位置設定されるようになされているのである。僅かな例外とは、画像形成処理が実行されてから電源装置18による電力供給が通常電力から待機電力に切り換えられるまでの間については、帯電装置30が近接位置S1に位置設定されたままの状態で帯電ワイヤ33に電力が供給されない場合である。
因みに、帯電装置30が近接位置S1に位置設定されたままの状態で帯電ワイヤ33に電力が供給されない場合とは、一連のジョブにおける画像形成処理が実行された後に引き続きつぎのジョブの画像形成処理が実行されるまでの間のいわゆる非印字時を挙げることができる。この非印字時では、先のジョブの画像形成処理が終わってつぎのジョブが実行されるまで帯電ワイヤ33への電力供給が中断されるが、本実施形態においてはこのような場合にまでも帯電装置30を近接位置S1から離間位置S2へ姿勢変更させるようにはしていない。その理由は、引き続き実行されるジョブとジョブとの間で帯電装置30が一々近接位置S1と離間位置S2との間で位置変更していては煩雑に過ぎるからであるが、本発明は、非印字時にも帯電装置30を離間位置S2に位置変更させることを技術的範囲から外すものではない。
前記送風機駆動判別部712は、温湿度センサ82が検出した温度と、ROM72に記憶されている基準温度とを比較演算し、温湿度センサ82によって検出された温度が基準温度を越えた場合には、制御信号出力部714へ向けて送風機16を駆動させる制御信号を出力させるべく指令信号を出力するようになっている。
従って、感光体ユニット20内の温度が基準温度より高いときには、送風機16からの送風によって感光体ユニット20内に対する冷却処理(具体的には感光体ドラム131の冷却処理)が施される一方、感光体ユニット20内が基準温度未満のときは、原則的に送風機16の駆動が停止されることになる。
また、送風機駆動判別部712は、帯電装置30が近接位置S1に位置設定された状態で制御信号出力部714を介して送風機16を駆動させる駆動信号を出力する一方、帯電装置30が離間位置S2に位置設定された状態で、制御信号出力部714を介して停止信号を送風機16に向けて出力し、これによって送風機16は、帯電装置30が離間位置S2に位置設定されているとき停止されるようになされている。このようにされるのは、帯電装置30が離間位置S2に位置している状態では、帯電ワイヤ33による感光体ドラム131の帯電処理が実行されないのであるから、コロナ放電に起因した帯電生成物は発生しないからであり、加えて感光体ドラム131の周辺を冷却処理する必要がないためである。
これに加え、本発明においては、温湿度センサ82により検出されたた湿度が予め設定された基準湿度を超えた状態を所定時間継続した場合(基準時間を経過した場合)に、近接位置S1に位置設定された帯電装置30を離間位置S2に位置変更させて清掃部材40による帯電ワイヤ33の清掃処理が実行されるようになっている。このためにROM72には基準湿度の値が記憶されているとともに、RAM73にはタイマ732が設けられている。そして、送風機駆動判別部712は、温湿度センサ82による検出値が基準湿度を超えた時点を起点としてその継続時間をタイマ732により計時し、基準時間が経過すれば制御信号出力部714を介して送風機16に対し制御信号を出力して当該送風機16を駆動させるようになされている。
従って、帯電生成物の付着が著しくなる湿度が予め設定された基準湿度より高い状態が所定時間継続されると、近接位置S1に位置設定されていた帯電装置が離間位置S2に位置変更されて清掃部材40による帯電ワイヤ33の清掃処理が実行されることになる。
このように、送風機駆動判別部712は、温湿度センサ82による温度および湿度の双方の検出結果に基づいて送風機16の駆動および停止を制御するため、感光体ユニット20内の温度が常に適正に維持された上で帯電生成物が付着し易い環境下での帯電ワイヤ33の清浄化が実現する。
前記駆動モータ51は、制御信号出力部714からの制御信号によって駆動され、これによって帯電装置30が離間位置S2に位置設定された状態で清掃部材40がホームポジションH1から後端ポジションH2へ向けて移動するのであるが、清掃部材40が後端ポジションH2に到達すると、先端側清掃部材位置センサ83がこのことを検出し、この検出信号が駆動モータ駆動判別部713へ入力されるようになっている。
そして、先端側清掃部材位置センサ83からの検出信号が入力された駆動モータ駆動判別部713は、駆動モータ51を逆駆動させるべく制御信号出力部714へ向けて指令信号を出力するようになされており、従って、この指令信号を受けた制御信号出力部714は、駆動モータ51に向けて逆駆動の制御信号を出力し、これによる駆動モータ51の逆駆動で清掃部材40が後端ポジションH2からホームポジションH1へ向けて移動することになる。
清掃部材40がホームポジションH1に到達すると、このことが基端側清掃部材位置センサ84によって検出され、これによる制御信号出力部714からの停止信号によって駆動モータ51の駆動が停止される。
以上詳述したように、本発明に係るプリンタ10は、感光体ドラム131の周面をドラム心と平行に横断するように配設され、かつ、周面と対向する面に開口を有するシールドケース31と、このシールドケース31内でドラム心と平行に張設された高電圧が印加されるコロナ放電用の帯電ワイヤ33とを備えて感光体ドラム131の周面に画像形成用の電荷を付与する帯電装置30を備えてなるものであり、帯電装置30は、帯電ワイヤ33に電力が供給されない状態で感光体ドラム131から離間した離間位置S2に位置設定されるように構成されているため、たとえシールドケース31内に堆積した帯電生成物が落下しても、帯電装置30と感光体ドラム131の周面との間には相当の距離が存在することにより、落下した帯電生成物は感光体ドラム131の周面に分散される。従って、帯電ワイヤ33が感光体ドラム131の周面に近接していることにより、飛散した帯電生成物が感光体ドラム131の所定の位置に集中的に付着し、これによって画像不良が生じるような不都合の発生を有効に防止することができる。
因みに、帯電ワイヤ33からのコロナ放電によって感光体ドラム131の周面に帯電処理が施されるときには、帯電装置30は感光体ドラム131に対して近接した近接位置S1に位置設定されるが、このときには、感光体ドラム131が軸心回りに回転しているため、たとえシールドケース31内に堆積した帯電生成物が落下しても、感光体ドラム131周面の一点に向けて落下するようなことはなく、周面に分散される。従って、感光体ドラム131の周面に帯電処理が施されつつあるときには、帯電装置30が感光体ドラム131の周面に近接していても問題はない。
そして、本実施形態においては、帯電装置30を、感光体ドラム131の周面に電荷を付与するべく周面に近接した近接位置S1と、清掃部材40が動作するに際し予め帯電装置30を感光体ドラム131の周面から離間させるべく設定された離間位置S2との間で位置変更させる位置変更機構60が設けられ、位置変更機構60は、帯電装置30の両端部にそれぞれ設けられ、かつ、装置本体11と干渉しないことにより帯電装置30が近接位置S1に位置することを許容する非干渉姿勢と、装置本体11の干渉で帯電装置30を離間位置S2に位置変更させる干渉姿勢との間で姿勢変更する一対の干渉部材としての位置変更用カム65を有している。
かかる構成によれば、画像形成処理を行うに際しては、帯電装置30が位置変更機構60によって感光体ドラム131の周面に近接した近接位置S1に位置設定され、この状態における帯電装置30内の高電圧が印加された帯電ワイヤからのコロナ放電によって感光体ドラム131の周面に一様な電荷が形成され、次の静電潜像の形成に備えられる。
一方、帯電ワイヤ33に付着した帯電生成物を清掃部材40によって清掃除去するときには、近接位置S1に位置設定されていた帯電装置30は、位置変更用カム65の駆動で離間位置S2に位置変更され、この状態で清掃部材40の駆動で帯電ワイヤ33に清掃処理が施されるため、たとえ帯電ワイヤ33に付着していた帯電生成物が飛散しても、帯電装置30(すなわち、この帯電装置30に内装された帯電ワイヤ33)は、近接位置S1に位置しているときより感光体ドラム131の周面から遠ざかっていることによって当該飛散した帯電生成物は感光体ドラム131の周面に広範囲に分散されることになる。従って、帯電ワイヤ33が感光体ドラム131の周面に近接していることにより、飛散した帯電生成物が感光体ドラム131の所定の位置に集中的に付着し、これによって画像不良が生じるような不都合の発生を有効に防止することができる。
そして、位置変更機構60は、装置本体11と干渉しないことにより帯電装置30が近接位置S1に位置することを許容する非干渉姿勢と、装置本体11の干渉で帯電装置30を離間位置S2に位置変更させる干渉姿勢との間で姿勢変更する位置変更用カム65を帯電装置30の両端部に有しているため、帯電装置30が離間姿勢に姿勢設定された状態で、当該帯電装置30を感光体ドラム131と平行に離間させることが可能になり、これによって帯電ワイヤ33の清掃で飛散した帯電生成物を偏りのない状態で分散させることができ、分散した帯電生成物の偏りで用紙上の画像不良が目立つような不都合の発生を防止することができる。
また、一対の位置変更用カム65は、当該位置変更用カム65間に架設されたセクトギヤ軸63回りに一体回動可能に連結され、各位置変更用カム65の姿勢変更は、セクトギヤ軸63回りの正逆回動によって行われるようになっているため、セクトギヤ軸63を正逆回動させることで帯電装置30の両端部にそれぞれ設けられた一対の位置変更用カム65を非干渉姿勢と干渉姿勢との間で姿勢変更させることができ、これによって各位置変更用カム65をそれぞれ確実に同期回転させ得るようにした上で、各位置変更用カム65を個別に回動操作する場合に比較して部品点数の削減に貢献することができる。
また、装置本体11内には、感光体ユニット20内へ向けて外気を送風する送風機16が設けられ、この送風機16は、帯電装置30が離間位置S2に位置設定された状態で停止されるように構成されているため、帯電装置30が離間位置S2に位置設定された状態、すなわち、帯電ワイヤ33に電力が供給されない帯電装置30が非駆動状態で送風機16が停止され、これによって無駄な送風を回避することができる。
また、装置本体11内の温湿度を検出する温湿度センサ82が設けられ、この温湿度センサ82による検出湿度が予め設定された基準湿度を超えた状態を所定時間継続した場合に近接位置S1に位置設定された帯電装置30を離間位置S2に位置変更させて清掃部材40による清掃処理が行われるように構成されているため、帯電生成物の付着が著しくなる湿度が予め設定された基準湿度より高い状態が所定時間継続されると、近接位置S1に位置設定されていた帯電装置30が離間位置S2に位置変更されるため、一々帯電ワイヤ33に対する帯電生成物の付着状態を確認することなく自動的に帯電ワイヤ33の清掃処理が実行され、これによって帯電ワイヤ33の清掃作業の作業性を向上させることができる。
さらに、清掃部材40を動作させる駆動機構50が設けられ、この駆動機構50に設けられた駆動モータ51によって位置変更機構60が所定の動作を行うようになされているため、両者を別々に設けた場合に比較して部品点数の削減、延いては製造コストの低減化に貢献することができる。
本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、以下の内容をも包含するものである。
(1)上記の実施形態においては、画像形成装置としてプリンタ10が適用されているが、本発明は、画像形成装置がプリンタ10であることに限定されるものではなく、原稿画像を読み取って用紙に複写する複写機や電送されてきた画像情報に基づき画像形成処理を行うファクシミリ装置であってもよい。
(2)上記の実施形態においては、感光体ドラム131、クリーニング装置135および帯電装置30が装着されてユニット化された感光体ユニット20が採用されているが、本発明は、感光体ドラム131、クリーニング装置135および帯電装置30をユニット化することに限定されるものではなく、それらを個々に装置本体11に内装するようにしてもよい。
(3)上記の実施形態においては、清掃部材40による帯電ワイヤ33に対する清掃処理時に帯電装置30を感光体ドラム131から離間させるようにしているが、こうする代わりにシールドケース31のみを感光体ドラム131から離間させるような構造を採用してもよい。
(4)上記の実施形態においては、位置変更機構60に周縁面の所定範囲にだけセクト歯621が形成されたセクトギヤ62が採用されているが、本発明は、位置変更機構60にセクトギヤ62を採用することに限定されるものではなく、全周に歯が形成された通常のギヤを採用してもよい。
(5)上記の実施形態においては、駆動機構50における駆動モータ51の駆動力をスパイラルロッド32に伝達するためにウォーム52、ウォームホイール53,駆動ギヤ54、第1アイドルギヤ55およびロッドギヤ56が採用され、位置変更機構60には駆動モータ51の駆動力を位置変更用カム65に伝達するために第2アイドルギヤ61およびセクトギヤ62が採用されているが、駆動モータ51の駆動力を伝達するためのギヤ構造をこれらギヤの組み合わせによって構成することに限定されるものではなく、状況に応じてこの組み合わせ以外の各種のギヤの組み合わせを採用することができる。
(6)上記の実施形態においては、干渉部材として位置変更用カム65が採用されているが、本発明は、干渉部材が位置変更用カム65であることに限定されるものではなく、清掃部材40との連係で帯電装置30を近接位置S1と離間位置S2との間で位置変更させ得る各種の機構を採用することができる。例えば、感光体ユニット20の筐体21内にシールドケース31と平行にガイドレールを敷設し、清掃部材40がスパイラルロッド32の他にこのガイドレールにガイドされつつ移動されるようにするとともに、清掃部材40がホームポジションH1に位置した状態で帯電装置30が近接位置S1に位置する一方、ホームポジションH1から外れた状態で離間位置S2に位置するようにガイドレールを形状設定するようにしてもよい。
(7)上記の実施形態においては、帯電装置30は、セクトギヤ軸63によって互いに連結された一対の位置変更用カム65が採用されることにより、両サイドが感光体ドラム131から離間するように構成されているが、本発明は、帯電装置30の両サイドが感光体ドラム131から離間されることに限定されるものではなく、例えば位置変更用カム65をギヤケース501側にだけ設けることで片サイドだけが感光体ドラム131から離間するようにしてもよい。この場合、帯電装置30は、端壁部材502側の所定位置を始点として回動可能となり、離間位置S2に位置設定された状態では、感光体ドラム131から斜めに離間することになる。