JP2007009768A - 火花点火式筒内噴射型内燃機関の制御装置 - Google Patents

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匡彦 増渕
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Abstract

【課題】 排気性能向上とトルク向上との両立を図ることのできる火花点火式筒内噴射型内燃機関の制御装置を提供する。
【解決手段】 過給装置38と、吸気弁28および排気弁42のバルブオーバラップ量を制御可能なバルブオーバラップ量制御手段と、燃焼室18内に燃料を直接噴射する燃料噴射弁20を備える火花点火式筒内噴射型内燃機関の制御装置において、燃焼に寄与せずに排気系に吹き抜ける新気吹き抜け量を推定する新気吹き抜け量推定手段と、該新気吹き抜け量推定手段により推定された新気吹き抜け量に応じ、前記燃料噴射弁からの燃料噴射を制御する燃料噴射制御手段と、を備える。
【選択図】 図1

Description

本発明は、吸気弁および排気弁のバルブオーバラップ量を制御可能な可変バルブタイミング機構と、筒内に直接に燃料を噴射する燃料噴射弁を備える火花点火式筒内噴射型内燃機関の制御装置に関し、特に、過給機を備え自動車用エンジンとして用いて好適な火花点火式筒内噴射型内燃機関の制御装置に関する。
近年、点火プラグにより火花点火する内燃機関であって、シリンダ内に直接燃料を噴射する燃料噴射弁を備える火花点火式筒内噴射型内燃機関が実用化されている。かかる火花点火式筒内噴射型内燃機関において、吸気弁および排気弁のいずれか、または両方の位相を変化させバルブオーバラップ量を調整することで、機関トルクの向上を図る技術がいくつか提案されている。
例えば、特許文献1には、高負荷運転時にバルブオーバラップ量を拡大し、掃気効果を得ることで筒内のガス温度を低下させ、ノッキングを回避することによりトルクを向上させるようにした技術が開示されている。この技術によると、燃料の吹き抜けがないために排気の悪化を招かないとしている。
また、特許文献2には、作動角を変化させる形式の可変吸気弁機構を用い、ノッキング頻度が大となったら点火時期を遅角させると共に吸気弁の作動角を拡大して閉時期を遅らせ、実圧縮比を低下させることによりノッキングを回避するようにした技術が開示されている。
特開平9−317520号公報 特開平11−36906号公報
ところで、上記特許文献1に開示された技術によれば、確かに、ノッキングを回避することにより機関トルクの向上は期待できる。しかしながら、燃料の吹き抜けがない反面、空気のみが吹き抜ける結果、筒内と排気管内の空燃比に差が生じ、排気性能とトルクの維持との両立ができなという問題がある。
また、特許文献2に開示された技術では、吸気弁の作動角と点火時期とを制御し、効果的にノッキング回避を行っているものの、空気の吹き抜けに起因する排気性能の悪化に関しては言及されていない。
そこで、本発明の目的は、排気性能向上とトルク向上との両立を図ることのできる火花点火式筒内噴射型内燃機関の制御装置を提供することにある。
このため、本発明に係る火花点火式筒内噴射型内燃機関の制御装置の一形態は、過給装置と、吸気弁および排気弁のバルブオーバラップ量を制御可能なバルブオーバラップ量制御手段と、燃焼室内に燃料を直接噴射する燃料噴射弁を備える火花点火式筒内噴射型内燃機関の制御装置において、燃焼に寄与せずに排気系に吹き抜ける新気吹き抜け量を推定する新気吹き抜け量推定手段と、該新気吹き抜け量推定手段により推定された新気吹き抜け量に応じ、前記燃料噴射弁からの燃料噴射を制御する燃料噴射制御手段と、を備えることを特徴とする。
ここで、前記燃料噴射制御手段は、筒内流入新気量と前記新気吹き抜け量とから得られる筒内残留新気量に基づいて、筒内空燃比を所定空燃比とする燃料噴射量に制御することが好ましい。
なお、前記筒内空燃比の所定空燃比は出力空燃比であってもよい。
さらに、排気管内の空燃比を推定する排気管内空燃比推定手段を備え、前記バルブオーバラップ量制御手段は、該排気管内空燃比推定手段により推定された排気管内空燃比に基づいて、該排気管内空燃比を所定空燃比とするようにバルブオーバラップ量を制御してもよい。
前記排気管内空燃比の所定空燃比は理論空燃比であってもよい。
また、ノッキングの発生を検出するノッキング検出手段を備え、前記バルブオーバラップ量制御手段は、該ノッキング検出手段により検出されたノッキングを抑制するようにバルブオーバラップ量を制御してもよい。
本発明に係る火花点火式筒内噴射型内燃機関の制御装置の一形態によれば、過給装置と、吸気弁および排気弁のバルブオーバラップ量を制御可能なバルブオーバラップ量制御手段と、燃焼室内に燃料を直接噴射する燃料噴射弁を備える火花点火式筒内噴射型内燃機関の制御装置において、燃焼に寄与せずに排気系に吹き抜ける新気吹き抜け量が新気吹き抜け量推定手段によって推定される。そして、この新気吹き抜け量推定手段により推定された新気吹き抜け量に応じて、燃料噴射制御手段により燃料噴射弁からの燃料噴射が制御される。この結果、例えば燃料噴射量を、所望の空燃比が得られるように制御することができ、トルクの向上を図ることができる。
前記燃料噴射制御手段が、筒内流入新気量と前記新気吹き抜け量とから得られる筒内残留新気量に基づいて、筒内空燃比を所定空燃比とする燃料噴射量に制御する形態によれば、より精度よく所望の空燃比が得られる。
ここで、前記筒内空燃比の所定空燃比が出力空燃比であるときは、より大きなトルクを得ることができる。
また、排気管内の空燃比を推定する排気管内空燃比推定手段を備え、前記バルブオーバラップ量制御手段が、該排気管内空燃比推定手段により推定された排気管内空燃比に基づいて、該排気管内空燃比を所定空燃比とするようにバルブオーバラップ量を制御する形態によれば、所定の排気管内空燃比を得ることができ、排気浄化装置との組合せが容易となり排気性能を向上させることができる。
ここで、前記排気管内空燃比の所定空燃比が理論空燃比であるときは、排気浄化装置として三元触媒を用いて排気性能を向上させることができる。
さらに、ノッキングの発生を検出するノッキング検出手段を備え、前記バルブオーバラップ量制御手段は、該ノッキング検出手段により検出されたノッキングを抑制するようにバルブオーバラップ量を制御する形態によれば、ノッキング検出時にはバルブオーバラップ量が増大されて筒内残留ガスが掃気されるので、筒内温度低下によりノッキングを回避しつつトルクの向上を図ることができる。
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。図1は本発明が適用される、過給機を備えた火花点火式筒内噴射型内燃機関(以下、単に、エンジンともいう)の制御装置の概要を示すシステム構成図であり、10はエンジン本体である。エンジン本体10は、シリンダが形成されたシリンダブロック12およびシリンダヘッド14を備え、16はシリンダ内を往復動するピストン、18はピストン16の上部に形成される燃焼室である。20は燃焼室18へ直接に燃料噴射するように配設された筒内インジェクタであり、22は点火プラグである。なお、筒内インジェクタ20は各々、高圧燃料ポンプ24から高圧の燃料が供給される燃料デリバリパイプ26に連通されている。
エンジン10の吸気系では、吸気弁28を介して燃焼室18に連通する吸気ポート30に吸気マニホルドを介して吸気管の吸気通路32が連通されている。吸気通路32はスロットル弁34が介装されたスロットルチャンバに連通されている。スロットル弁34はスロットルモータ36によって駆動され、その開度がスロットル開度センサ35により検出される、いわゆる電子制御スロットルである。そして、このスロットルチャンバの上流に過給機38(例えば、ターボチャージャのコンプレッサ)が配設されている。更に、過給機38の上流には吸入空気流量を計測するためのエアフローメータ40が配設されている。
一方、エンジン10の排気系では、排気弁42を介して燃焼室18に連通する排気ポート44に排気マニホルドを介して排気管の排気通路46が連通されている。排気通路46には前述の過給機38のタービン(不図示)が介装され、その下流に、三元触媒48が配設されている。本実施の形態の過給機38としてのターボチャージャは、タービンに導入する排気のエネルギーによりコンプレッサが回転駆動され、空気を吸入、加圧して過給するものであるが、過給機38としては、他の機械式過給機を用いることができる。
本実施形態におけるエンジン10は、吸気弁28および排気弁42のバルブオーバラップ量を制御するためのバルブオーバラップ量制御手段として、吸気弁28の開閉タイミングを変更可能な吸気弁可変タイミング機構VVTinおよび排気弁42の開閉タイミングを変更可能な排気弁可変タイミング機構VVTexを備えている。また、エンジン10には、エンジン10の回転数を検出するためのクランク角センサ(以下、回転数センサと称す)50や要求負荷(アクセル開度)を検出するためのアクセル開度センサ52が設けられている。さらに、エンジン10の冷却水温を検出する水温センサ54や過給圧を制御するのに用いられる吸気管圧力センサ55、および排気ガスの体積流量を計測する排気ガス流量計56と排気ガスの酸素濃度を計測する酸素濃度センサ58が設けられている。さらに、本実施形態では、エンジン10におけるノッキングを検出するためのノッキングセンサ60が設けられ、これらの各種センサの出力がマイクロコンピュータ等で構成される電子制御ユニット100に送られるようになっている。なお、62は後述する本発明の他の実施形態において用いるべく、排気ポート44に設けられ空燃比をほぼリニアに計測可能な空燃比センサである。このような空燃比センサ62は既に市販されている。
電子制御ユニット(以下、ECUと称す)100は、上述の各センサから送られてきた出力値に応じて、燃料噴射量、燃料噴射時期、点火時期、過給圧、バルブオーバラップ量等を制御する。なお、燃料噴射量、燃料噴射時期、点火時期、過給圧、バルブオーバラップ量等の制御のために使用される基本的な制御値は、例えば縦軸に吸入空気量等で代表されるエンジンの負荷をとり、横軸にエンジン回転数をとったエンジン10の運転状態を表す基本マップに、エンジン10の要求特性等に合わせて実験的に求めた最適値が制御値として設定されており、これらの基本マップは電子制御ユニット100のテーブルに保存されている。
そこで、本発明の第1の実施形態に係る制御装置による制御の一形態につき、図2に示すフローチャートを参照して説明する。なお、この制御ルーチンは例えば所定のクランク角毎に実行される。すなわち、制御が開始されてステップS101においての所定の運転状態の下で基本マップに基づく運転が行われているとき、ステップS102に進み所定以上の負荷増大の要求がなされたか否かが判定される。この判定は、アクセル開度センサ52からの出力信号に基づいて行なわれ、所定以上の負荷増大の要求がないときには、再度、ステップS101に戻ることになる。換言すると、エアフローメータ40により検出されるエンジン負荷を表す吸入空気量および回転数センサ50によるエンジン回転数に基づき、基本マップから求められた所定の点火時期および所定のバルブオーバラップ量の下に、所定の燃料噴射量が燃焼室18内に噴射される運転が継続されるのである。
ところで、ステップS102において、所定以上の負荷増大の要求があると判定されるとステップS103に進み、過給圧が増大される。これは過給機38を制御することにより行なわれ、ステップS101における運転状態時に過給されていなかった場合には過給が開始され、既に過給されていた場合にはその過給圧が増大される。例えば、過給機38がターボチャージャの場合には、タービン入口に配置されている可変ノズルあるいはタービンをバイパスする通路に配置されているウエストゲート弁が制御され過給圧が制御されるのである。
さらに、次のステップS104において、ステップS102での所定以上の負荷増大の要求の有無に伴い得られていた負荷の増大量に対応させて、バルブオーバラップ量が拡大制御される。本実施の形態では、例えば、吸気弁可変タイミング機構VVTinが制御されて、吸気弁28の開閉タイミングが進角され、バルブオーバラップ量が拡大される。なお、このバルブオーバラップ量はエンジン回転数が高くなる程、大きくされている。
次に、ステップS105では上述の拡大されたバルブオーバラップ量の下に、燃焼に寄与することなく排気系に吹き抜ける新気吹き抜け量が、後述する新気吹き抜け量推定手段により推定される。そして、ステップS106では、この推定された新気吹き抜け量に応じて、燃料噴射制御手段を構成するECU100により筒内インジェクタ20からの燃料噴射量が制御される。具体的には、エアフローメータ40により検出された吸入空気量である筒内流入新気量と、上記ステップS105で推定された新気吹き抜け量とから、筒内で実際に燃焼に寄与する充填空気量として得られる筒内残留新気量に基づいて、筒内空燃比を所定空燃比とするべく燃料噴射量が補正制御されるのである。さらに、ステップS107では、上記筒内空燃比が所定の出力空燃比(一般に、ガソリンエンジンではA/F=12.5付近)であるか否かが判定され、出力空燃比となるまでステップS106における燃料噴射量の補正制御が実行される。
ここで、本発明に用いられる上述の新気吹き抜け量推定手段の諸例について、以下に説明する。上述のように、エンジン10の排気通路46には排気ガスの体積流量を計測する排気ガス流量計56と排気ガスの酸素濃度を計測する酸素濃度センサ58が設けられている。
排気ガス流量計56としては、例えば、図3に示すような構成のオリフィス流量計560を用いることができる。このオリフィス流量計560は排気通路46に流れ方向に直交して配置されたオリフィス562を備え、その上流側と下流側とにそれぞれ圧力検出孔564UPおよび564DWが開口されている。そして、これらの上流側検出孔564UPおよび下流側検出孔564DWにてそれぞれ検出される上流側圧力P1および下流側圧力P2の差圧ΔPが計測ないしは演算により求められる。この差圧ΔPは排気通路46を流れる排気ガスの流速(流量)の二乗に比例して変化するので、差圧ΔPを計測ないしは演算により求めることにより、排気ガス流量を求めることができるのである。
また、酸素濃度センサ58としては、図示はしないが、例えば、ガルバニ電池式の酸素濃度計を用いることができる。このガルバニ電池式の酸素濃度計は、金、銀などの貴金属を陰極に、鉛などの卑金属を陽極として、苛性カリ水溶液や塩化カリ水溶液の電解液中に浸漬させたガルバニ電池を用いている。ガルバニ電池では、酸素の透過性に優れた隔膜を通してガス中の酸素が電解液に溶解すると、溶解した酸素量に比例する還元電流が発生する。ガルバニ電池の出力電流は、隔膜を透過した酸素量、つまりガスの酸素分圧に比例するので、この電流を測ることにより酸素濃度を知ることができるのである。
そこで、本実施の形態では、排気通路46に設けられた排気ガス流量計56によって排気ガスの体積流量Qex[L/s]を計測すると共に、同じく排気通路46に設けられた酸素濃度センサ58によって排気ガス中の酸素濃度Ovol[%]を計測する。ここで、筒内に実際に充填された新気のうちの酸素が全て燃焼によって反応したとすれば、排気ガス中の酸素濃度として検出される酸素は、吹き抜けた新気中の酸素のみであると考えることができる。従って、新気吹き抜け量Gb[g/s]は次式(1)により求めることができる。
(1)Gb[g/s]=Qex[L/s]×(Ovol[%]/21.0[%])×(29.6[g/mol]/22.4[L/mol])
ここで、「21.0[%]」は標準的な空気中で酸素の占める割合。「29.6」は空気の分子量(分子量と質量の関係は、質量=分子量×モル)。「22.4」は1モル当たりの標準状態における気体の容積[L]。かくて、「29.6」/「22.4」により、簡易的に1リットル[L]当たりの空気の質量[g]が求まる。
このように、新気吹き抜け量推定手段の一例は、排気ガス流量計56と酸素濃度センサ58と、これらによって得られた計測ないしは演算値により新気吹き抜け量を算出するECU100の演算部により構成されている。
また、新気吹き抜け量推定手段の他の例は、吸気通路32に設けられたエアフローメータ40と排気弁42近傍の排気ポート44に設けられた空燃比センサ62と、これらによって得られた計測値により新気吹き抜け量を算出するECU100の演算部により構成される。より詳しくは、エアフローメータ40によって計測された吸入空気量Ga[g/s]と筒内インジェクタ20から実際に噴射された燃料噴射量Gf[g/s]とから筒内空燃比(A/F)in=Ga/Gfが求められる。そして、上述の空燃比センサ62により、排気弁42のみが開いているときの排気ポート内空燃比(A/F)ex=Gb/Gfが計測により求められる。かくて、実際の燃料噴射量Gf[g/s]は既知であるから、新気吹き抜け量Gb[g/s]は次式(2)により求めることができる。
(2)Gb[g/s]={(A/F)in−(A/F)ex}×Gf[g/s]
上述の本発明の第1の実施形態に係る制御装置による制御では、上記新気吹き抜け量推定手段のいずれか一方、または両者を同時に用いて、新気吹き抜け量Gb[g/s]を求め、これに応じて、筒内インジェクタ20からの燃料噴射量が所望の空燃比が得られるように制御される。より詳しくは、筒内流入新気量Ga[g/s]と新気吹き抜け量Gb[g/s]とから得られる筒内残留新気量に基づいて、筒内空燃比が所望の出力空燃比となるように筒内インジェクタ20からの燃料噴射量が補正制御される。従って、より大きなトルクを得ることができるのである。
次に、本発明の第2の実施形態に係る制御装置による制御の一形態につき、図4に示すフローチャートを参照して説明する。この第2の実施形態は、上述の第1の実施形態の筒内空燃比が所定の出力空燃比となるように筒内インジェクタ20からの燃料噴射量を補正制御するのに加えて、排気管の通路内の空燃比を所定の、例えば、理論空燃比に制御するようにしている点において第1の実施形態と異なるのみであるから、図4のフローチャートにおいては、理解の容易化を図るために、同一のステップについては図2に示したフローチャートのステップの符号をそのまま用い、その一部としての追加されたステップをS300台で表すことにする。
この第2の実施形態においては、上述の第1の実施形態におけるステップS106での筒内インジェクタ20からの燃料噴射量の補正制御により、筒内空燃比が出力空燃比となったことがステップS107で判定された後、ステップS308に進んで排気管内の空燃比が理論空燃比であるか否かの判定が行われる。本実施の形態では、この排気管内の空燃比が理論空燃比であるか否かの判定は、排気管内空燃比推定手段として排気通路46に設けられた前述の酸素濃度センサ58を用いて酸素濃度がゼロより大きいか否かにより行なわれる。または、酸素濃度センサ58に代えて、理論空燃比付近を境に出力が切り替わるOセンサを用いてもよい。酸素濃度センサ58またはOセンサによる検出の結果、排気管内の空燃比が理論空燃比(一般に、ガソリンエンジンではA/F=14.7付近)の場合であると判定されたときには、三元触媒48が活性領域にあることから、格別な制御を行なうことなくこの制御ルーチンは一旦終了される。
一方、ステップS308で理論空燃比でないと判定されると、排気管内の空燃比がリッチかリーンかがさらに判定される。そして、排気管内の空燃比が理論空燃比よりもリッチと判定されるとステップS309に進み、バルブオーバラップ量が増大ないしは拡大されて新気吹き抜け量が増大され、理論空燃比に近づけるように制御される。逆に、排気管内の空燃比が理論空燃比よりもリーンと判定されると同じくステップS309に進み、バルブオーバラップ量が減少ないしは縮小されて新気吹き抜け量を低減し、同じく理論空燃比に近づけるように制御される。なお、これらのバルブオーバラップ量の増減は、前述のように、吸気弁可変タイミング機構VVTinにより吸気弁28の開閉タイミングを進遅角させるか、排気弁可変タイミング機構VVTexにより排気弁42の開閉タイミングを遅進角させるか、または両者を同時に制御して行なわせてもよい。
このように、ステップS309においてバルブオーバラップ量の増または減の調整をした後は、再度、ステップS105に戻り、新気吹き抜け量が推定される。そして、この推定された新気吹き抜け量に応じて、筒内インジェクタ20からの燃料噴射量が制御され筒内空燃比の制御が行なわれること前述の通りである。かくて、この実施形態によれば、筒内空燃比が出力空燃比に制御されると共に排気管内空燃比は理論空燃比に制御されるので、より大きなトルクが得られると共に三元触媒での排気浄化処理が充分に行なわれ得、排気性能を向上させることができる。
次に、本発明の第3の実施形態に係る制御装置による制御の一形態につき、図5に示すフローチャートを参照して説明する。この第3の実施形態は、上述の第1の実施形態の筒内空燃比が出力空燃比となるように筒内インジェクタ20からの燃料噴射量を補正制御するのに加えて、ノッキングを回避する制御を付加している点において第1の実施形態と異なるのみであるから、図5のフローチャートにおいては、理解の容易化を図るために、同一のステップについては図2に示したフローチャートのステップの符号をそのまま用い、その一部としての追加されたステップをS400台で表すことにする。
この第3の実施形態においては、上述の第1の実施形態におけるステップS106での筒内インジェクタ20からの燃料噴射量の補正制御により筒内空燃比が出力空燃比となったことがステップS107で判定された後、ステップS408に進んでノッキングが発生したか否かの判定が行われる。このノッキングが発生したか否かの判定はノッキング検出手段としてのノッキングセンサ60からの出力信号に基づいて行なわれ、ノッキングが発生していないときは格別な制御を行なうことなく、この制御ルーチンは一旦終了される。
一方、ステップS408でノッキングの発生が判定されるとステップS409に進み、バルブオーバラップ量が拡大されて新気吹き抜け量を増大することにより、筒内掃気効率を向上させるように制御される。なお、このバルブオーバラップ量の拡大は、前述のように、吸気弁可変タイミング機構VVTinまたは排気弁可変タイミング機構VVTexにより吸気弁28の開閉タイミングを進角させるか、排気弁42の開閉タイミングを遅角させるか、または両者を同時に制御して行なわせてもよい。
このように、ステップS309においてバルブオーバラップ量の拡大の調整をした後は、再度、ステップS105に戻り、新気吹き抜け量が推定される。そして、この推定された新気吹き抜け量に応じて、筒内インジェクタ20からの燃料噴射量が制御され筒内空燃比の制御が行なわれること前述の通りである。かくて、この実施形態によれば、ノッキングによってエンジンのトルクを充分に向上させることができない場合に、バルブオーバラップ量を拡大することにより筒内残留ガスの掃気を確実に行なわせることで、筒内温度を低下させてノッキングを回避できるので、より大きなトルクを得ることができる。
次に、本発明の第4の実施形態に係る制御装置による制御の一形態につき、図6に示すフローチャートを参照して説明する。この第4の実施形態は、上述の第2の実施形態の筒内空燃比が出力空燃比となるように筒内インジェクタ20からの燃料噴射量を補正制御すると共に、排気管の通路内の空燃比を理論空燃比に制御するのに加えて、実圧縮比の低下によるトルク低下を抑制するようにしている点において第2の実施形態と異なるのみであるから、図6のフローチャートにおいては、理解の容易化を図るために、同一のステップについては図4に示したフローチャートのステップの符号をそのまま用い、その一部としての追加されたステップをS500台で表すことにする。
そこで、この第4の実施形態では、ステップS104におけるバルブオーバラップ量の拡大制御やステップS409におけるバルブオーバラップ量の増減制御の後に、これらのバルブオーバラップ量の制御の前後での新気吹き抜け量の変化から、実際に筒内に充填されている燃焼に寄与し得る新気量を推定することにより、実際の充填量の低下があったか否かを判定するようにしている。具体的には、ステップS104やステップS409の後のステップS105における新気吹き抜け量の推定の次に、ステップS510において前回のルーチンサイクルにおける新気吹き抜け量と今回のルーチンサイクルにおける新気吹き抜け量とを比較することにより、新気吹き抜け量が増大した場合には実際の充填量の低下があったと判定される。実際の充填量の低下がないときは格別な制御を行なうことなくステップS106に進み、ステップS105における新気吹き抜け量の推定に対応させて前述のように筒内インジェクタ20からの燃料噴射量が補正制御される。
一方、ステップS510で実際の充填量の低下があったと判定されるとステップS511に進み、バルブオーバラップ量が減少されて新気吹き抜け量を減ずることにより実際の充填量の維持が図られる。かくて、この実施形態によれば、実際の充填量の低下延いて実圧縮比の低下によるトルク低下を抑制することができる。
なお、上述の実施形態においては、バルブオーバラップ量制御手段として、吸気弁可変タイミング機構VVTinや排気弁可変タイミング機構VVTexを用いたが、吸気弁や排気弁のバルブ作用角(作動角)やリフト量を変更可能な可変吸気弁機構や可変排気弁機構を用いてもよいことは云うまでもない。
本発明が適用される、過給機を備えた火花点火式筒内噴射型内燃機関の制御装置の概要を示すシステム構成図である。 本発明の第1の実施形態に係る制御装置による制御の一形態を示すフローチャートである。 本発明の実施形態に用いられる排気ガス流量計の概要を示す断面図である。 本発明の第2の実施形態に係る制御装置による制御の一形態を示すフローチャートである。 本発明の第3の実施形態に係る制御装置による制御の一形態を示すフローチャートである。 本発明の第4の実施形態に係る制御装置による制御の一形態を示すフローチャートである。
符号の説明
10 エンジン本体
18 燃焼室
20 筒内インジェクタ
28 吸気弁
34 スロットル弁
38 過給機
40 エアフローメータ
42 排気弁
48 三元触媒
50 クランク角センサ(回転数センサ)
58 酸素濃度センサ
60 ノッキングセンサ
62 空燃比センサ
100 電子制御ユニット
VVTin 吸気弁可変タイミング機構
VVTex 排気弁可変タイミング機構

Claims (6)

  1. 過給装置と、吸気弁および排気弁のバルブオーバラップ量を制御可能なバルブオーバラップ量制御手段と、燃焼室内に燃料を直接噴射する燃料噴射弁を備える火花点火式筒内噴射型内燃機関の制御装置において、
    燃焼に寄与せずに排気系に吹き抜ける新気吹き抜け量を推定する新気吹き抜け量推定手段と、
    該新気吹き抜け量推定手段により推定された新気吹き抜け量に応じ、前記燃料噴射弁からの燃料噴射を制御する燃料噴射制御手段と、
    を備えることを特徴とする火花点火式筒内噴射型内燃機関の制御装置。
  2. 前記燃料噴射制御手段は、筒内流入新気量と前記新気吹き抜け量とから得られる筒内残留新気量に基づいて、筒内空燃比を所定空燃比とする燃料噴射量に制御することを特徴とする請求項1に記載の火花点火式筒内噴射型内燃機関の制御装置。
  3. 前記筒内空燃比の所定空燃比は出力空燃比であることを特徴とする請求項2に記載の火花点火式筒内噴射型内燃機関の制御装置。
  4. 排気管内の空燃比を推定する排気管内空燃比推定手段を備え、
    前記バルブオーバラップ量制御手段は、該排気管内空燃比推定手段により推定された排気管内空燃比に基づいて、該排気管内空燃比を所定空燃比とするようにバルブオーバラップ量を制御することを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の火花点火式筒内噴射型内燃機関の制御装置。
  5. 前記排気管内空燃比の所定空燃比は理論空燃比であることを特徴とする請求項4に記載の火花点火式筒内噴射型内燃機関の制御装置。
  6. ノッキングの発生を検出するノッキング検出手段を備え、
    前記バルブオーバラップ量制御手段は、該ノッキング検出手段により検出されたノッキングを抑制するようにバルブオーバラップ量を制御することを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の火花点火式筒内噴射型内燃機関の制御装置。
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