JP2007009118A - 多孔質シートおよびその製造方法 - Google Patents

多孔質シートおよびその製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2007009118A
JP2007009118A JP2005194076A JP2005194076A JP2007009118A JP 2007009118 A JP2007009118 A JP 2007009118A JP 2005194076 A JP2005194076 A JP 2005194076A JP 2005194076 A JP2005194076 A JP 2005194076A JP 2007009118 A JP2007009118 A JP 2007009118A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
porous sheet
weight polyethylene
molecular weight
mold
ultra
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2005194076A
Other languages
English (en)
Other versions
JP4813110B2 (ja
Inventor
Hiroyuki Iida
博之 飯田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nitto Denko Corp
Original Assignee
Nitto Denko Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nitto Denko Corp filed Critical Nitto Denko Corp
Priority to JP2005194076A priority Critical patent/JP4813110B2/ja
Publication of JP2007009118A publication Critical patent/JP2007009118A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4813110B2 publication Critical patent/JP4813110B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Manufacture Of Porous Articles, And Recovery And Treatment Of Waste Products (AREA)

Abstract

【課題】 実用に好適な滑面性および通気度を有するとともに、耐剥離性に優れた多孔質シートを提供する。また、その製造方法を提供する。
【解決手段】 一方の主面10に露出している超高分子量ポリエチレン粒体の平均粒子径が60μm以下であり、他方の主面20に露出している超高分子量ポリエチレン粒体の平均粒子径が100μm以上であり、一方の主面10についての耐剥離試験による剥離片の割合が10%以下の範囲にある、多孔質シート100とする。この多孔質シート100は、例えば、小粒径の超高分子量ポリエチレン粒体を、型に投入して小粒体層を形成する工程と、大粒径の超高分子量ポリエチレン粒体を投入して、小粒体層の上に大粒体層を形成する工程と、当該型を振動させて小粒体層と大粒体層とを含む混合粒体層の密度を高密度化させる工程と、小粒体および大粒体を焼結する工程とを含むことにより作製できる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、電子部品の吸着搬送などに用いられる多孔質シートおよびその製造方法に関する。
セラミックコンデンサーの製造工程では、グリーンシートの積層などの電子部品の吸着搬送作業において、樹脂粒子を焼結して形成した多孔質シートが用いられている。
これまでに、多孔質シートの通気度、剛性、クッション性などを向上させるため、粘度平均分子量が50万以上である超高分子量ポリエチレン粒体(以下、UHMWPE粒体と呼ぶことがある)を材料として、多孔質シートを作製する技術が提案されている。
UHMWPE粒体を材料として多孔質シートを作製する場合、その通気度を高める目的からは、用いる粒体のサイズを大きくすることが通常である。しかし、粒体のサイズを大きくするほど、多孔質シートの露出主面の滑らかさ、すなわち滑面性が低下してしまうという問題がある。多孔質シートの滑面性が低下すると、当該シートとの接触によってグリーンシートなどの被吸着部材が損傷を受ける場合があるため好ましくない。
他方、粒体のサイズを小さくするほど、多孔質シートの滑面性を向上することはできるが、通気度が低下してしまうことは勿論、これに加えて、シートの作製時にピンホールが形成されたり、クラックが発生したりする場合が増加する。つまり、用いるUHMWPE粒体のサイズを調整しても、多孔質シートの通気度の向上作用と、露出主面の滑面性の向上作用とが、トレードオフの関係にあるため、その双方を同時に高めることが困難である。
ここで、多孔質シートに一定の通気度を付与するとともに、露出主面の滑面性を高めることを目的として、UHMWPE粒体を用いて形成した樹脂シートの主面に、滑面性の高い樹脂シートを貼り付けて、多孔質シートを構成する技術がある(例えば、特許文献1、2参照)。この技術は、滑面性の高い樹脂シートとしてポリエチレン製やポリエステル製の樹脂シートを用い、当該樹脂シートを、UHMWPE粒体を用いて形成した樹脂シートの主面に加圧しながら熱溶着するものであり、算術平均粗さ(Ra)が0.6μm程度の多孔質シートが得られる。
また、吸着固定用シートとして、通気度の異なる2種類の樹脂シートを貼り合わせることにより、多孔質シートを構成する技術もある(例えば、特許文献3参照)。この技術は、表面に接着剤層を設けることなしに、被吸着部材へのシートの吸着性を向上させることを目的として、通気度の異なる2種類の樹脂シートを、接着剤を用いて部分的(点状、筋状、網目状など)に接着したり、加圧しながら部分的に熱溶着したりすることで多孔質シートを作製するものである。
特開2001−28390号公報 特開平9−174694号公報 特開平8−258198号公報
しかしながら、本発明者らが検討したところ、上記特許文献1〜3に記載の多孔質シートでは、被吸着材料に対する多孔質シートの吸着・固定・脱着作業に伴って、多孔質シートを構成する層の間が剥離してしまう場合があり、シートの機械的な強度(耐剥離性)に劣るという問題がある。
そこで本発明は、実用に適した滑面性および通気度を有するとともに、耐剥離性に優れた多孔質シートを提供することを目的とする。また、このような多孔質シートの作製に適した製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、大きさの異なる2種類の超高分子量ポリエチレン粒体を用い、それぞれの粒体の配置および結着パタンを制御して多孔質シートを構成することにより、実用に適した滑面性および通気度が得られるとともに、耐剥離性が高まることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明は、一方の主面に露出している超高分子量ポリエチレン粒体の平均粒子径が60μm以下であり、他方の主面に露出している超高分子量ポリエチレン粒体の平均粒子径が100μm以上であり、耐剥離試験(その詳細は後述する)による剥離片の割合が10%以下の範囲にある、多孔質シートを提供する。
なお、上記『超高分子量』ポリエチレン粒体とは、粘度平均分子量が50万以上であるポリエチレン粒体を意味する。また、以下では、その平均粒子径が、60μm以下の範囲にあるものを小粒径の超高分子量ポリエチレン粒体、100μm以上の範囲にあるものを大粒径の超高分子量ポリエチレン粒体と呼ぶことがある。
また、本発明は別の側面から、上記多孔質シートの製造に適した方法として、平均粒子径が60μm以下である小粒径の超高分子量ポリエチレン粒体を、型に投入し、前記小粒径の超高分子量ポリエチレン粒体の小粒体層を形成する第1工程と、平均粒子径が100μm以上である大粒径の超高分子量ポリエチレン粒体を、前記型に投入し、前記小粒体層の上に、前記大粒径の超高分子量ポリエチレン粒体の大粒体層を形成する第2工程と、前記小粒径の超高分子量ポリエチレン粒体および前記大粒径の超高分子量ポリエチレン粒体を焼結する第3工程と、を含み、前記第2工程の後であって前記第3工程の前に前記型を振動させ、前記小粒体層と前記大粒体層とを含む混合粉体層の密度を、当該振動を与える前に比して高密度化する、多孔質シートの製造方法を提供する。
本発明によれば、実用に適した滑面性および通気度を有するとともに、耐剥離性に優れた多孔質シートを提供することができる。また、このような多孔質シートの作製に適した製造方法を提供することができる。
図1は本発明の多孔質シートの一例を示す断面図である。この多孔質シート100は、平均粒子径が60μm以下である小粒径の超高分子量ポリエチレン粒体が一方の主面10に露出するとともに、平均粒子径が100μm以上である大粒径の超高分子量ポリエチレン粒体が他方の主面20に露出しており、また、耐剥離試験(下記参照)による剥離片の割合が10%以下の範囲にある。さらに、少なくとも一方の露出主面の算術平均粗さ(Ra)が0.5μm以下の範囲にあり、厚み方向の通気度が1.0cm3/cm2/秒以上の範囲にある。
なお、詳しくは後述するが、上記耐剥離試験とは、JIS K 5400の碁盤目テープ法に準じて規定される試験方法であり、剥離片の割合とは、一方の主面に深さ0.2mmで1mm角の切り込みを碁盤目状に100個形成した、多孔質シートの当該一方の主面において、JIS Z 1522に規定する粘着テープを用いた引き剥がしによって当該粘着テープに付着する、碁盤目状の切り込み片の割合とする。上記耐剥離試験による剥離片の割合は、5%以下の範囲にあることが好ましく、2%以下の範囲がさらに好ましく、0%であることが最も好ましい。
上記算術平均粗さ(Ra)の範囲としては、特に下限を定めるものではなく小さいものほど好ましいが(例えば0.4μm以下)、通常0.1μm以上の範囲にある。なお、露出主面の算術平均粗さ(Ra)が0.5μmを超えると、多孔質シートの吸着によって、その吸着対象である被吸着体が損傷を受ける場合があるため好ましくない。
また、通気度に関しても特に上限を定めるものではなく大きいものほど好ましいが(例えば1.5cm3/cm2/秒以上)、通常30cm3/cm2/秒以下の範囲にある。なお、通気度が1.0cm3/cm2/秒未満であると、被吸着体の吸着固定に要する作業時間が長くなり、生産性が低下する場合があるため好ましくない。また、吸着作業に用いる真空ポンプなどの装置の作動コストが増加する場合もある。
また、上記一方の主面に露出している超高分子量ポリエチレン粒体の平均粒子径が30μm以下であり、上記他方の主面に露出している超高分子量ポリエチレン粒体の平均粒子径が120μm以上であることが好ましい。一方の露出主面の算術平均粗さ(Ra)を0.4μm以下に制御するとともに、多孔質シートの通気度を1.5cm3/cm2/秒以上に制御することが容易となるためである。
上記多孔質シートの厚みは、用途に応じて適宜選択すればよいが、0.1mm〜3.0mmの範囲にあることが好ましく、0.5mm〜2.5mmの範囲にあることがさらに好ましい。この範囲とする理由は、厚みが0.1mmよりも薄いと、シートが破れやすくなる場合があり、また、厚みが3.0mmよりも厚いと、通気度が著しく低下してしまう場合があるためである。厚みを0.5mm〜2.5mmの範囲とすると、シートの破れにくさと通気度とを一層バランスさせることができる。
なお、上記多孔質シートには、界面活性剤や導電性ポリマーなどの帯電防止剤を含有させる帯電防止処理などを施すことができる。帯電防止剤の含有方法としては、シート材料に帯電防止剤を混合してシートを作製してもよいし、作製後のシートに帯電防止剤の溶液を含浸させてもよい。
本発明の多孔質シートは、平均粒子径が60μm以下である小粒径の超高分子量ポリエチレン粒体を、型に投入し、前記小粒径の超高分子量ポリエチレン粒体の小粒体層を形成する第1工程と、平均粒子径が100μm以上である大粒径の超高分子量ポリエチレン粒体を、前記型に投入し、前記小粒体層の上に、前記大粒径の超高分子量ポリエチレン粒体の大粒体層を形成する第2工程と、前記小粒径の超高分子量ポリエチレン粒体および前記大粒径の超高分子量ポリエチレン粒体を焼結する第3工程と、を含み、前記第2工程の後であって前記第3工程の前に前記型を振動させ、前記小粒体層と前記大粒体層とを含む混合粒体層の密度を、当該振動を与える前に比して高密度化する、ことにより製造することができる。
型を振動させて上記混合粉体層の密度を高めると、焼結後の粒子間の結着度を高めることができるため、多孔質シートの耐剥離性を向上することができる。
ここで、上記第1工程では、型の凹部における1つの内側面、例えば型の底面部分を完全に覆うようにして、小粒径の超高分子量ポリエチレン粒体を投入することが好ましい。底面等の型の内壁面を予め鏡面加工し、小粒径の超高分子量ポリエチレン粒体が当該内壁面に接するようにして投入すると、小粒径の超高分子量ポリエチレン粒体を内壁面に沿って整列配置することができ、当該内壁面に面して形成される多孔質シートの露出主面の滑面性を高めることが容易となる。
また、本発明の多孔質シートの製造方法では、前記第1工程の後であって前記第2工程の前に前記型を振動させ、前記小粒体層の密度を、当該振動を与える前に比して高密度化することが好ましい。粒体の投入量が少ない状態で型に振動を与えることにより、上記内壁面に面した粒体層の表面を容易に平坦化することができ、当該表面に相当する多孔質シートの露出主面の滑面性を高めることが一層容易となるためである。また、当該粒体層の厚みを均一化することが容易となるため、完成後の多孔質シートにおける表面部位に応じた厚み方向の粒体分布のばらつき、すなわち通気度のばらつきを防止することも容易となる。
また、多孔質シートの製造時には、小粒径の超高分子量ポリエチレン粒体として、平均粒子径が30μm以下のものを用いることが好ましい。また、大粒径の超高分子量ポリエチレン粒体として、平均粒子径が120μm以上のものを用いることが好ましい。多孔質シートの露出主面の算術平均粗さ(Ra)を0.4μm以下に制御することとともに、多孔質シートの通気度を1.5cm3/cm2/秒以上に制御することが容易となるためである。
超高分子量ポリエチレン粒体を用いる理由としては、他の多孔質シート材料に比して、作製した多孔質シートの摩擦係数を低くして、耐摩耗性を向上できることが挙げられる。耐摩耗性を一層高めるには、粘度平均分子量が100万以上である超高分子量ポリエチレン粒体を用いることがより好ましい。このような超高分子量ポリエチレン粒体は、例えば、三井化学社から「ハイゼックスミリオン」、ティコナ社から「ホスタレンGUR」などの商品名で市販されている。なお、上記粘度平均分子量はASTM D4020に基づいて得られた測定値である。
上記第3工程では、焼成温度をそれぞれの超高分子量ポリエチレン粒体の融点以上とするとともに、設計に応じて適宜その条件を調整すればよい。例えば、焼成温度を135℃〜165℃の範囲で、焼成時間を0.5時間〜15時間の範囲で調整してもよい。焼結時の雰囲気としては窒素などの不活性ガスを用いることができる。また、雰囲気を加圧したり、粒体層に荷重を加えたりしてもよいが、シートの通気度を高める側面からは、無加圧や無荷重とすることが好ましい。
上記型としては、焼成時の熱伝導性を高める側面から、ステンレスやアルミなどの金属製の金型を用いることが好ましい。また、型の内壁には、鏡面仕上げなどを施すことにより、その表面を平滑化しておくことが好ましい。
上記型を振動させる方法としては、上記混合粒体層等の密度を増加させることができる限り特に限定されず、例えば、プラスチックハンマーを用いて型の側面に衝撃を繰り返し与えたり、振動台の上に型を載置して型全体を振動させたりすることができる。なお、振動の強度や時間は、粒体層の密度を増加させることに加えて、露出主面に相当する粒体層の層表面を平坦化するように、設計に応じて適宜調整することが好ましい。例えば、粒体層の密度が変化しなくなるまで振動を加えることができる。
なお、上記第1工程および第2工程によって小粒径および大粒径のUHMWPE粒体を型中へ順々に投入する代わりに、これら大きさの異なる粒体からなる混合粒体を投入した後、型に振動を与えることによっても、小粒径のUHMWPE粒体を型の下側に凝集させ、かつ上側に大粒径のUHMWPE粒体を凝集させた分散配置とすることもできる。しかしながら、この方法では、分散配置の形成に必要な型の振動時間が長くなるため、多孔質シートの製造効率が低下する場合がある。それゆえ、上記第1〜3工程を含んだ製造方法を用いることが好ましい。
以下、実施例を用いて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれによって限定されるものではない。
(実施例1)
平均粒子径が60μmであり、粘度平均分子量が400万である小粒径のUHMWPE粒体(ティコナ社製 GUR−4186)0.7グラムを、底面の縦および横の長さが100mmであり、深さが2mmである金型の凹部に、当該底面を覆うようにして投入し、小粒体層を形成した。なお、この金型はアルミニウム製であり、また、底面を含む凹部の内壁面が鏡面仕上げされている。また、この小粒径のUHMWPE粒体の融点は135℃である。
続いて、プラスチックハンマーを用いて金型の側部に振動を与えた。これにより、上記小粒体層の厚みを均一化するとともに、当該小粒体層の密度を、振動を与える前のそれよりも高くした。なお、振動を与えた後の小粒体層の厚みは150μmであった。
次に、平均粒子径が120μmであり、粘度平均分子量が900万である大粒径のUHMWPE粒体(ティコナ社製 GUR−4150)3グラムを、型の凹部に投入し、上記小粒体層の上に大粒体層を形成した。なお、このUHMWPE粒体の融点は135℃である。また、以下では、小粒体層と大粒体層とを含んで構成された粒体層を混合粒体層と呼ぶことがある。
その後、プラスチックハンマーを用いて金型の側部に再び振動を与えた。これにより、上記混合粒体層の厚みを均一化するとともに、当該混合粒体層の密度を、振動を与える前のそれよりも高くした。なお、振動を与えた後の混合粒体層の厚みは0.6mmであった。
続いて、金型を熱風型乾燥機内に入れて150℃で2時間加熱した。これにより、混合粒体層中の小粒径のUHMWPE粒体同士を、また大粒径のUHMWPE粒体同士を、さらには小粒径と大粒径のUHMWPE粒体とを焼結して、混合粒体層を単層構造化し、多孔質シートを形成した。なお、乾燥機内には窒素を充填し、UHMWPE粒体が酸化劣化することを防止した。また、焼結時に、混合粒体層に対して荷重を加えることはしなかった。
最後に、乾燥機から金型を取りだして自然冷却し、冷却後1時間してから、金型から多孔質シートを取り出した。この多孔質シートの厚みは0.5mmであった。なお、厚みの計測は、1/1000マイクロメータ(ミツトヨ株式会社製 MDC−25MJ)を用いて行った。
(実施例2)
実施例2は、上記小粒体層に代えて、平均粒子径が25μmであり、粘度平均分子量が200万であり、融点が130℃である小粒径のUHMWPE粒体(三井化学株式会社製 XM−220)0.5グラムを用いて、振動を与えた後の厚みが100μmである小粒体層を形成したこと以外は、上記実施例1と同様に作製した多孔質シートである。なお、当該多孔質シートの厚みは0.5mmであった。
(実施例3)
実施例3は、上記大粒体層に代えて、平均粒子径が150μmであり、粘度平均分子量が900万であり、融点が135℃である大粒径のUHMWPE粒体(ティコナ社製 GUR−4022)12グラムを用いて、振動を与えた後の厚みが2.0mmである混合粒体層を形成したこと以外は、上記実施例1と同様に作製した多孔質シートである。なお、当該多孔質シートの厚みは1.9mmである。
(比較例1)
比較例1は、上記混合粒体層に代えて、平均粒子径が120μmであり、粘度平均分子量が900万であり、融点が135℃である大粒径のUHMWPE粒体(ティコナ社製 GUR−4150)4グラムを金型の凹部に投入した後、金型に振動を与えて形成した、厚みが0.6mmである大粒体層を用いたこと以外は、上記実施例1と同様に作製した多孔質シートである。なお、当該多孔質シートの厚みは0.5mmであった。
(比較例2)
比較例2は、上記混合粒体層に代えて、平均粒子径が60μmであり、粘度平均分子量が400万であり、融点が135℃である小粒径のUHMWPE粒体(ティコナ社製 GUR−4186)4グラムを金型の凹部に投入した後、金型に振動を与えて形成した、厚みが0.6mmである小粒体層を用いたこと以外は、上記実施例1と同様に作製した多孔質シートである。なお、当該多孔質シートの厚みは0.5mmであった。
(比較例3)
比較例3は、上記混合粒体層に代えて、平均粒子径が25μmであり、粘度平均分子量が200万であり、融点が130℃である小粒径のUHMWPE粒体(三井化学株式会社製 XM−220)4グラムを金型の凹部に投入した後、金型に振動を与えて形成した、厚みが0.6mmである小粒体層を用いたこと以外は、上記実施例1と同様に作製した多孔質シートである。なお、当該多孔質シートの厚みは0.5mmであった。
(比較例4)
比較例4は、上記比較例1の多孔質シートの金型の底面に接していた露出主面に、さらにPTFE多孔質シート(厚さ:25μm、気孔率80%、平均孔径0.6μm、通気度0.2cm3/cm2/秒)を、ポリエチレン製網目状シート(網目サイズ:1mm×1mm)を介して熱溶着させて得た多孔質シートである。当該多孔質シートの厚みは0.5mmであった。なお、熱溶着にはプレス機を用い、温度を140℃とし、付加圧力を1kg/cm2とし、加熱時間を1分とした。プレス板の間にはスペーサとして厚さ0.5mmのアルミ板を配した。
(比較例5)
比較例5は、小粒径のUHMWPE粒体からなる第1シートと、大粒径のUHMWPE粒体からなる第2シートとを作製した後、これを積層して作製した、厚み0.5mmの多孔質シートである。
上記第1シートは、上記混合粒体層に代えて、平均粒子径が60μmであり、粘度平均分子量が900万であり、融点が135℃である小粒径のUHMWPE粒体(ティコナ社製 GUR−4186)0.5グラムを金型の凹部に投入した後、金型に振動を与えて形成した、大粒体層を用いたこと以外は、上記実施例1と同様に作製した多孔質シートである。なお、当該多孔質シートの厚みは0.1mmであった。
上記第2シートは、上記混合粒体層に代えて、平均粒子径が120μmであり、粘度平均分子量が900万であり、融点が135℃である大粒径のUHMWPE粒体(ティコナ社製 GUR−4150)3グラムを金型の凹部に投入した後に金型に振動を与えて形成した、大粒体層を用いたこと以外は、上記実施例1と同様に作製した多孔質シートである。なお、当該多孔質シートの厚みは0.5mmであった。
第1シートと第2シートとの積層は、プレス機を用いて次のようにして行った。プレス板の表面温度を140℃とし、重ね合わせた第1シートと第2シートとを当該プレス板で挟み込み、1kg/cm2の荷重を1時間与えた。その後、荷重を開放して、30分間自然冷却した。なお、プレス板の間にはスペーサとして厚さ0.5mmのアルミ板を配した。
(比較例6)
比較例6は、第1シートと第2シートとを、ポリエチレン製網目状シート(網目サイズ:1mm×1mm)を介して熱溶着したこと以外は、上記比較例5と同様に作製した多孔質シートである。
上記実施例1〜3および比較例1〜6の多孔質シートについて、以下のようにして、露出主面の算術平均粗さ(Ra)、通気度、耐剥離性、露出主面における粒子径を測定した。その結果を表1に示す。
〔算術平均粗さ(Ra)の測定〕
上記多孔質シートの露出主面の一方であって、当該シートの作製時に金型の底面と接していた側の露出主面(以下、露出主面Aと呼ぶことがある)における、JIS B0601の規定による算術平均粗さ(Ra)を、触針式表面粗さ計(東京精密株式会社製 サーフコム550A)を用いて測定した。測定条件は、触針径250μmR、移動速度0.3mm/秒、測定長4mmとした。なお、比較例4においては、ここでいう露出主面AはPTFEシートに覆われているため、熱溶着したPTFE多孔質シートの表面の算術平均粗さ(Ra)を測定した。また、比較例5および6においては、第1シート側の露出主面における算術平均粗さ(Ra)を測定した。以下では、説明を簡略化するために、比較例4では、PTFE多孔質シートが露出している側の露出主面を露出主面Aとして扱う。また、比較例5および6では、第1シート側の露出主面を露出主面Aとして扱う。
〔通気度の測定〕
JIS L 1096A法に準じ、フラジール試験機(TOYOSEIKI社製)を用いて、多孔質シートの厚み方向の通気度を測定した。なお、測定に際しては、差圧を12.7mmH2Oに調整した。
〔耐剥離試験〕
JIS K 5400の碁盤目テープ法に準じた、剥離耐性試験を行った。まず、カッターナイフを用いて多孔質シートの露出主面Aに1mm間隔で縦方向の切り込み(深さ:0.2mm)を入れた後、上記縦方向に直交する横方向にも同様の切り込みを入れ、1mm角の碁盤目状の切り込み(100個)が入ったサンプルを作製した。次に、切り込みが付けられた露出主面Aに、JIS Z 1522に規定する粘着テープ(日東電工株式会社製 No.29)を、接着部分の長さが約50mmとなるように貼り付けた。その後、JIS S 6050に規定する消しゴムを用いて粘着テープの表面を擦りつけることにより、粘着テープをサンプルに密着させた。1〜2分後、この粘着テープを、シート主面に対して90度の方向に瞬間的に(例えば0.2秒間以内で)引き剥がし、粘着テープに付着した切り込み片の数を調べた。
〔露出主面における粒子径の測定〕
露出主面Aと、この露出主面Aと反対側にある多孔質シートの露出主面(以下、露出主面Bと呼ぶことがある)とを、走査型電子顕微鏡(SEM、株式会社日立製作所製 S−570)を用いて観察した。撮影されたSEM画像(SEM写真またはモニター画像)から露出主面AおよびBにおけるUHMWPE粒子10個をそれぞれ任意に選出し、それぞれの長さ(直径)を測定した後、平均値を算出して粒子径とした。なお、SEM画像は、100倍の拡大率で、各露出主面の表面に垂直な方向から撮影した。また、測定対象の粒子径の測定は、SEM画像中から任意に選出した粒子を選出することにより行った。隣接する粒子と融着している箇所を測定する場合には、当該隣接する粒子との中間点を基点に定めて測定した。測定対象の粒子が著しい楕円形状である場合には、最大直径と最小直径との平均値を算出した。
Figure 2007009118
実施例1〜3はいずれも、耐剥離試験によって引き剥がされた切り込み片の数が0個であり、耐剥離試験に対する耐性に優れているとともに、露出主面Aの算術平均粗さ(Ra)が0.4μm以下、また通気度が1.2cm3/cm2/秒以上であり、実用に好適な滑面性および通気度を発揮することが判った。なお、本発明者らの経験上、耐剥離試験で引き剥がされる切り込み片の数は、多孔質シートとしての実用には通常10個以下(10%以下)の範囲にあることが必要であり、5個以下(5%以下)の範囲が好ましく、2個以下(2%以下)の範囲がさらに好ましく、0個(0%)であることが最も好ましい。
他方、比較例1は、通気度には優れているものの、露出主面Aの滑面性に劣っていた。また、比較例2および3は、露出主面Aの滑面性には優れているものの、通気度に劣っていた。すなわち、用いるUHMWPE粒体のサイズを調整するだけでは、多孔質シートの通気度の向上作用と、露出主面の滑面性の向上作用との双方を同時に高めることが困難であることが確認された。
さらに、比較例4は、露出主面Aの滑面性および通気度に劣るとともに、耐剥離性にも劣ることが確認された。また、比較例5および6は、通気度には優れているものの、耐剥離性に劣ることが確認された。
以上により、本発明の多孔質シートの構成とすると、従来型の多孔質シートに比して耐剥離性を向上できるとともに、実用に好適な滑面性および通気度が得られる、すなわち一方の露出主面の算術平均粗さ(Ra)を0.5μm以下の範囲に、また、厚み方向の通気度が1.0cm3/cm2/秒以上の範囲に制御できることが判った。
本発明は、実用に好適な滑面性および通気度を有するとともに、耐剥離性に優れた多孔質シートを提供することに適用できる。
本発明の多孔質シートの一例を示す断面図である。
符号の説明
10 一方の主面
20 他方の主面
100 多孔質シート

Claims (4)

  1. 一方の主面に露出している超高分子量ポリエチレン粒体の平均粒子径が60μm以下であり、
    他方の主面に露出している超高分子量ポリエチレン粒体の平均粒子径が100μm以上であり、
    前記一方の主面についての耐剥離試験による剥離片の割合が10%以下の範囲にある、
    多孔質シート。
    ただし、前記耐剥離試験は、JIS K 5400の碁盤目テープ法に準じて規定される試験方法であり、前記剥離片の前記割合は、前記一方の主面に深さ0.2mmで1mm角の切り込みを碁盤目状に100個形成した、前記多孔質シートの当該一方の主面において、JIS Z 1522に規定する粘着テープを用いた引き剥がしによって当該粘着テープに付着する、前記碁盤目状の切り込み片の割合とする。
  2. 厚みが0.5mm〜2.5mmの範囲にある請求項1に記載の多孔質シート。
  3. 平均粒子径が60μm以下である小粒径の超高分子量ポリエチレン粒体を、型に投入し、前記小粒径の超高分子量ポリエチレン粒体の小粒体層を形成する第1工程と、
    平均粒子径が100μm以上である大粒径の超高分子量ポリエチレン粒体を、前記型に投入し、前記小粒体層の上に、前記大粒径の超高分子量ポリエチレン粒体の大粒体層を形成する第2工程と、
    前記小粒径の超高分子量ポリエチレン粒体および前記大粒径の超高分子量ポリエチレン粒体を焼結する第3工程と、
    を含み、
    前記第2工程の後であって前記第3工程の前に前記型を振動させ、前記小粒体層と前記大粒体層とを含む混合粒体層の密度を、当該振動を与える前に比して高密度化する、
    多孔質シートの製造方法。
  4. 前記第1工程の後であって前記第2工程の前に前記型を振動させ、前記小粒体層の密度を、当該振動を与える前に比して高密度化する、請求項3に記載の多孔質シートの製造方法。
JP2005194076A 2005-07-01 2005-07-01 多孔質シートおよびその製造方法 Active JP4813110B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005194076A JP4813110B2 (ja) 2005-07-01 2005-07-01 多孔質シートおよびその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005194076A JP4813110B2 (ja) 2005-07-01 2005-07-01 多孔質シートおよびその製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2007009118A true JP2007009118A (ja) 2007-01-18
JP4813110B2 JP4813110B2 (ja) 2011-11-09

Family

ID=37748023

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2005194076A Active JP4813110B2 (ja) 2005-07-01 2005-07-01 多孔質シートおよびその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4813110B2 (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2011083526A1 (ja) * 2010-01-08 2011-07-14 日東電工株式会社 摺動部材およびその製造方法
US9846494B2 (en) 2013-01-04 2017-12-19 Uei Corporation Information processing device and information input control program combining stylus and finger input

Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH08309125A (ja) * 1995-05-16 1996-11-26 Mitsubishi Plastics Ind Ltd 多孔質複層プラスチックフィルタ及びその製造方法

Patent Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH08309125A (ja) * 1995-05-16 1996-11-26 Mitsubishi Plastics Ind Ltd 多孔質複層プラスチックフィルタ及びその製造方法

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2011083526A1 (ja) * 2010-01-08 2011-07-14 日東電工株式会社 摺動部材およびその製造方法
US8920916B2 (en) 2010-01-08 2014-12-30 Nitto Denko Corporation Sliding member and method of producing the same
US9846494B2 (en) 2013-01-04 2017-12-19 Uei Corporation Information processing device and information input control program combining stylus and finger input

Also Published As

Publication number Publication date
JP4813110B2 (ja) 2011-11-09

Similar Documents

Publication Publication Date Title
TWI381028B (zh) And a method for manufacturing the same
US20170239726A1 (en) Porous devices made by laser additive manufacturing
US20100104845A1 (en) Composite PTFE Materials and Applications Thereof
KR101292477B1 (ko) 다공질 시트의 제조 방법 및 그의 제조 방법에 의해얻어지는 다공질 시트
TW200821148A (en) Absorbent film, its manufacturing method, absorbent film with mold release film and its manufacturing method
US10597336B2 (en) Porous ceramic structure
JP4813110B2 (ja) 多孔質シートおよびその製造方法
JP2004068112A (ja) 多孔質導電板
US8453916B2 (en) Thermal conduction device and method for fabricating the same
JP5984494B2 (ja) 炭素質音響板とその製造方法
JP2006348352A (ja) エアベアリングの製造方法
JP4803803B2 (ja) 吸着固定用シートの製造方法
JP2009107880A (ja) 接合体、吸着部材、吸着装置および加工装置
JP2004310943A (ja) 摺動部材
JPH08323571A (ja) 吸着固定装置
JP2004167881A (ja) 離型性クッションシート
KR100373741B1 (ko) 가압통전 소결법을 이용한 다공성 알루미늄재의 제조방법
JP2022145073A (ja) 成形体の製造方法
JP2004331341A (ja) ガラス保護用スペーサシート
JP7194135B2 (ja) 成形体の製造方法
KR20200028973A (ko) 다공질 시트 및 그의 제조 방법
KR20190121841A (ko) 다공질 소결 시트 및 그의 제조 방법
JP4856669B2 (ja) 粒子捕捉材及びその製造方法
WO2023033090A1 (ja) 半導体素子パッケージの製造方法及び半導体素子パッケージ
JP2011183478A (ja) 吸着装置

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20071113

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20100812

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20100817

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20101015

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20110823

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20110824

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 4813110

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140902

Year of fee payment: 3

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250