JP2007007791A - 歩容データの作成装置と作成方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 脚式ロボットが歩行するために用いる歩容データを作成する装置は、脚リンク毎に、目標とする足先の位置と姿勢の経時的変化を記述している足先歩容データの記憶手段と、体幹の高さ位置を仮定して、その足先歩容データに追従して歩行することを可能とする体幹の位置と姿勢の経時的変化を記述している体幹歩容データを作成する作成手段と、その体幹歩容データが記述している体幹位置を高さ方向に移動したときに、脚リンクの両端間距離が所定距離となる高さ位置を、脚リンク毎に計算する計算手段と、その脚リンク毎に計算した高さ位置群のなかで最も低い第1高さ位置と、その第1高さ位置とその第1高さ位置に次いで低い第2高さ位置との高低差に基づいて、目標とする体幹の高さ位置を決定する決定手段とを備えている。
【選択図】図3
Description
脚式ロボットが歩行するためには、各足先と体幹の運動を指示するデータを必要とする。そのうちの体幹の位置と姿勢は、各足先の位置と姿勢に対して適当な値である必要があり、その値が適当でなければロボットは転倒してしまう。
脚式ロボットが転倒しない体幹の位置と姿勢を得るためには、ロボットのダイナミクスを考慮に入れた複雑な計算を必要とする。以下に、二足歩行ロボットの場合の一例を説明する。
(1)ロボットの左足先と右足先の位置と姿勢を指示する経時的データを指定する。
(2)足先の位置と姿勢を考慮してロボットのZMPが存在しなければならない位置を指定する。ZMP(zero moment point)は、ロボットに作用する重力や床反力や慣性力の合力のモーメントがゼロになる床上の点をいう。ZMPが接地脚の足平内にあればロボットは転倒しない。逆にいうと、ロボットが転倒しないためには、ZMPが接地脚の足平内になければならない。そこで接地脚の足先の位置と姿勢を考慮し、下記の関係を満たす目標ZMPを指定する。即ち、一方の脚リンク(例えば左脚)が遊脚になっている間は接地脚(右脚)の足平内に存在し、その一方の脚(左脚)が接地して両足接地状態になった時に新たに接地した脚(左脚)の足平内に向けて移動開始し、それまでに接地していた脚(右脚)が遊脚となる前に新たに接地した脚(左脚)の足平内に移動し終えるZMPを指定する。このようにして指定されたZMPは、目標ZMPと呼ばれる。実際のZMPが目標ZMPのとおりに移動すれば、ロボットは転倒することなく歩行し続ける。
(3)足先の位置と姿勢の変化とそれに追従して変化する目標ZMPが指定されると、体幹の位置と姿勢の経時的変化を仮定してロボットのダイナミクスを計算する。計算する時点で、足先の位置と姿勢の経時的変化が指定されているために、ロボットの体幹の位置と姿勢を仮定すると、ロボットの全身の姿勢が決まる。ロボットの全身の姿勢が決まると、その姿勢におけるZMPの位置を計算することが可能となる。ZMPの位置を計算するためには、静的な要素に加えて、ロボットに作用する慣性力の影響を織り込まなければならない。仮定した体幹の位置と姿勢の経時的変化を計算に含めることで、ロボットのダイナミクスまで考慮してZMPの位置を計算することが可能となる。体幹の位置と姿勢の経時的変化を仮定するとZMPの位置を計算することができることから、目標ZMPに一致するZMPを実現する体幹の位置と姿勢の経時的変化を探求することができる。
歩容データは、時間に対する位置および姿勢の経時的変化で与えられる。位置と速度と加速度は関連しており、そのうちの一つの量から他の量を計算することができることから、位置の代わりに速度または加速度の経時的変化を扱ってもよい。姿勢は座標軸に対する回転角度で表現されるが、角度と角速度と角加速度は関連しており、そのうちの一つの量から他の量を計算することができることから、角度の代わりに角速度または角加速度の経時的変化を扱ってもよい。
一方において、体幹の高さ位置を低く制限してしまうと、ロボットは脚リンク(特に接地脚)を過剰に曲げて歩行することになる。脚リンクの関節等に作用する曲げモーメントが大きくなってしまい、アクチュエータ等に必要とされるトルクが増大してしまう。
脚式ロボットを歩行させるためには、体幹の高さ位置を適切に制限する必要があり、そのための歩容データを作成する技術が必要とされている。
本発明は、体幹の高さ位置を適切に制限した歩容データを作成する技術を提供する。
この装置では、作成した体幹歩容データが記述する体幹位置を高さ方向に移動したときに、脚リンクの両端間距離が所定距離となるときの高さ位置を、脚リンク毎に計算する。この計算に用いる所定距離は、脚リンクの長さを超えない範囲で、自由に設定することができる。例えば脚リンクを伸ばした歩行をロボットに実施させたい場合は、所定距離に脚リンクの長さを設定するとよい。あるいは、ロボットによる歩容データの補正を考慮して、脚リンクに伸展する余裕を残しておきたい場合には、所定距離を所望する伸展余裕に応じて設定するとよい。
脚リンク毎に計算した高さ位置群のなかで最も低い第1高さ位置を導出する脚リンクは、各脚リンクが支持脚となったり遊脚となったりすることに連動して、経時的に順次切替る。脚リンク毎に計算した高さ位置群のなかで最も低い第1高さ位置は、その第1高さ位置を導出する脚リンクが切替る時点において、急激に変化することがある。体幹の高さ位置が急激に変化する歩容データでは、そのデータで記述される運動をロボットが実現することができず、場合によってはロボットが転倒してしまう可能性もある。
そのことから、この装置では、脚リンク毎に計算した高さ位置群に基づいて体幹の高さ位置を決定する際に、最も低い第1高さ位置に加えて、第1高さ位置とそれに次いで低い第2高さ位置との高低差を利用する。その高低差が大きければ、第1高さ位置を導出する脚リンクが切替る時点まで猶予があると判断することができる。その高低差が小さければ、第1高さ位置を導出する脚リンクがまもなく切替ると判断することができる。第1高さ位置と、第1高さ位置と第2高さ位置の高低差に基づいて体幹の高さ位置を決定することによって、脚リンクが適当に屈曲するとともに、体幹の高さ位置が連続的に変化する歩容データを作成することができる。
必要に応じて、決定した体幹の高さ位置を仮定する体幹の高さ位置とし、ZMPを考慮した体幹歩容データの作成を行い、再び体幹の高さ位置の決定処理を実行することもできる。
この装置によると、体幹の高さ位置を適切に制限した歩容データを作成することができる。
それにより、脚リンクに必要な伸展余裕を与えながら、体幹の高さ位置が連続的に変化する歩容データを作成することができる。
第1高さ位置を導出した脚リンクの足先位置と、第2高さ位置を導出した脚リンクの足先位置との間の距離に応じて、第1高さ位置を導出する脚リンクが切替る時点において第1高さ位置が変動する挙動は変化する。
この装置によると、脚リンクを必要以上に屈曲させることなく、体幹の高さ位置が連続的に変化する歩容データを作成することができる。
それにより、体幹の高さ位置を制限値以下に制限するとともに、体幹の高さ位置が連続的に変化する歩容データを作成することができる。
この方法によると、脚リンクの屈伸状態を考慮して、体幹の高さ位置を適切に制限した歩容データを作成することができる。
(形態1) ロボットは、歩行パターンデータを記憶している記憶手段を備えている。
(形態2) ロボットは、歩行パターンデータに基づいて、足先歩容データを作成して記憶する手段を備えている。
図1に示すように、左脚リンク30は、左大腿リンク32と、左下腿リンク36と、左大腿リンク32と左下腿リンク36を連結している左膝関節34を備えている。左膝関節34は、1軸回りの自由度を持つ関節である。左脚リンク30の基端は、左股関節31を介して体幹12に連結されている。左脚リンク30の先端には、左足首関節37を介して左足平リンク(左足先)38が連結されている。左股関節31は3軸回りの自由度を持つ関節であり、左足首関節37は2軸回りの自由度を持つ関節である。
右脚リンク40は、左脚リンク30と鏡面対称の関係となるように構成されている。図1には、右脚リンク40に関して、右股関節41、右大腿リンク42、右膝関節44、右下腿リンク46、右足首関節47、右足平リンク(右足先)48が示されている。
足先歩容データは、ロボット6の足先の位置と姿勢の経時的変化を記述している。足先歩容データは、例えば左脚リンク30に関して、左足平リンク38の基準点Lの位置の経時的変化と、基準点Lから左足平リンク38の接地面の法線方向に伸びる姿勢ベクトルDLのオイラー角(ロール角、ピッチ角、ヨー角)の経時的変化を記述している。右脚リンク40に関しても同様に、右足平リンク48の基準点Rの位置の経時的変化と、基準点Rから右足平リンク48の接地面の法線方向に伸びる姿勢ベクトルDRのオイラー角(ロール角、ピッチ角、ヨー角)の経時的変化を記述している。
体幹歩容データは、体幹の位置と姿勢の経時的変化を表す。体幹歩容データは、体幹12の基準点Wの位置の経時的変化と、基準点Wからロボット6の前方に伸びるベクトルWのオイラー角の経時的変化を記述している。
足先や体幹の位置と姿勢の経時的変化を記述するために、歩容データは、例えば位置と姿勢の時系列データであってもよいし、位置と姿勢の変化速度の時系列データであってもよいし、位置と姿勢の変化加速度の時系列データであってもよい。本実施例では、歩容データに、位置と姿勢を時間Δt毎に記述するn個のデータを備える時系列データを用いている。
図2に、コンピュータ装置14の機能的な構成を示す。コンピュータ装置14は、機能的に、歩行パターンデータ記憶装置102と、歩容データ作成装置104と、歩容データ補正装置106と、関節角群計算装置108と、アクチュエータ制御部110と、実際運動計算装置112等を備えている。
コンピュータ装置14は、全体が物理的に1つの装置に含まれていてもよいし、物理的に分離された装置ごとに分けて収容されていてもよい。またコンピュータ装置14の各要素は、必ずしもロボット6に搭載されていなくてもよい。ロボット6外に配備され、ロボット6に無線又は有線で指示するようにしてもよい。
歩容データ補正装置106は、歩容データ作成装置104で作成された歩容データを、ロボット6の実際運動に基づいて補正する。必要に応じて補正された歩容データは、関節角群計算装置108に入力される。
関節角群計算装置108は、入力された歩容データに基づいて、いわゆる逆キネマティクスを解くことでロボット6の各関節角を計算する。計算された関節角群データは、アクチュエータ制御部110に入力される。
アクチュエータ制御装置120は、入力した関節角群データに基づいて、ロボット6に搭載されているアクチュエータ群を制御する。アクチュエータ制御装置120がアクチュエータ群を制御することによって、ロボット6の機械系114が歩行動作を実施する。
実際運動計算装置112は、センサ群116の出力信号に基づいて、ロボット6の実際の運動を計算する。実際運動計算装置112は、例えば左脚リンク30の実際運動や、右脚リンク40の実際運動や、体幹12の実際運動を計算することができる。実際運動計算装置112で計算されたロボット6の実際運動は、歩容データ補正装置106に入力される。
先に説明したように、歩容データ補正装置106は、実際運動計算装置112で計算されたロボット6の実際運動に基づいて、歩容データ作成装置104から入力した歩容データを補正する。ロボット6の歩行動作は、ロボット6の実際運動に基づいてフィードバック制御される。
足先歩容データ作成装置152は、歩行パターンデータ記憶装置102に記憶されている歩行パターンデータに基づいて、各足平リンク38、48の位置と姿勢の経時的変化を記述する足先歩容データを作成して記憶する。足先歩容データ作成装置152は、脚リンク30、40毎に、連続する2つの1歩データに基づいて、足平リンク38、48の位置と姿勢の経時的変化を計算する。このとき、連続する1歩データの標準的な相対変化量(位置、方向、時刻)に対して、基準となる足先歩容データを記憶させておくと、足先歩容データの作成処理を簡単化することができる。足先歩容データ作成装置152は、足先歩容データを、1歩毎に作成することもできるし、複数歩毎に作成することもできる。また、足先歩容データ作成装置152は、オペレータ等によって事前に準備された足先歩容データを記憶することもできる。足先歩容データは、各足平リンク38、48の位置と姿勢の経時的変化を、絶対座標(x,y,z)と絶対時刻で記述してもよいし、1歩毎に相対座標(x’,y’,z’)と相対時刻で記述してもよい。
右体幹高さ計算装置162は、体幹歩容データが記述する体幹12の位置を高さ方向(z軸方向)に移動させたときに、右脚リンク40の両端間距離が所定の制限距離となる体幹12の高さ位置を計算する。この計算に用いる制限距離は、右脚リンク40の長さを超えない範囲で自由に設定することができる。ここで、左脚リンク30と同様に、右脚リンク40に関する許容体幹高さ位置を定義することができる。
図4に示すように、例えば右脚リンク40の両端間距離HRは、右足首関節47の位置と、右股関節41の位置との距離に相当する。右足首関節47の位置は、右足平リンク48の位置(基準点Rの位置)と姿勢(姿勢ベクトルDRの向き)から特定することができる。また、右股関節41の位置は、体幹12の位置(基準点Wの位置)と姿勢(姿勢ベクトルDWの向き)から特定することができる。
体幹高さ決定装置164は、左体幹高さ計算装置161が計算した体幹12の高さ位置と、右体幹高さ計算装置162が計算した体幹12の高さ位置の両者に基づいて、体幹12の高さ位置を決定する。体幹高さ決定装置164が決定した体幹12の高さ位置は、体幹歩容データ作成装置154に入力される。体幹歩容データ作成装置154は、記憶している体幹歩容データが記述している高さ位置を、体幹高さ決定装置164から入力した高さ位置に書き換える。
体幹高さ修正装置156は、体幹歩容データが記述している体幹12の高さ位置の経時的変化を修正し、体幹歩容データが記述している体幹12の高さ位置の経時的変化を平滑化する。体幹高さ修正装置156が修正した体幹12の高さ位置は、体幹歩容データ作成装置154に入力される。体幹歩容データ作成装置154は、記憶している体幹歩容データが記述している高さ位置を、体幹高さ修正装置156から入力した高さ位置に書き換える。
ステップS2では、歩容データ作成装置104の処理に先立って、オペレータ等から指示された歩行パターンデータが、歩行パターンデータ記憶装置102に記憶される。
ステップS4では、足先歩容データ作成装置152が、歩行パターンデータに基づいて、足先歩容データを作成して記憶する。なお、このステップS4では、事前に準備しておいた足先歩容データを、足先歩容データ作成装置152に記憶させてもよい。
ステップS6では、体幹歩容データ作成装置154が、足先歩容データ作成装置152に記憶されている足先歩容データに基づいて、ロボット6が歩行することを可能とする体幹歩容データを作成する。このとき体幹歩容データ作成装置154は、体幹12の高さ位置(z座標)と姿勢の経時的変化を仮定(固定)して、ロボット6が歩行することを可能とする体幹12の水平位置の経時的変化を計算する。仮定する体幹12の高さ位置と姿勢の経時的変化は、例えば経時的に変化しない固定値とすることもできる。なお、このステップS6では、事前に準備しておいた体幹歩容データを、体幹歩容データ作成装置154に記憶させてもよい。
図6は、左脚リンク30に関する許容体幹高さ位置の軌道Z1と、右脚リンク40に関する許容体幹高さ位置の軌道Z2の一例を経時的に示している。体幹歩容データ記憶手段154が記憶している体幹歩容データの高さ位置の軌道を、軌道Z1と軌道Z2の低い方を辿った軌道に書換えていくと、ロボット6が脚リンク30、40の少なくとも一方を伸ばした状態で歩行する歩容データを得ることができる。しかしながら、例えば図7に示すように、右脚リンク40が伸びている状態(a)から、両脚リンク30、40が伸びる状態(b)を経て、左脚リンク30が伸びている状態(c)へと遷移する際に、体幹12の高さ位置が急激に変化してしまう。なお、図7(b)に示す状態は、図6に図示する符号Bが指す時刻に対応する。本実施例の歩容データ作成装置104では、体幹12の急激な上下動を抑制するために、次に説明するステップS10の処理が実行される。
図8のステップS102では、体幹12の高さ位置を決定する処理を実行する対象時刻tを設定する。
ステップS104では、ステップS102で設定した時刻tに対して、左体幹高さ計算装置161が計算した左脚リンク30に関する許容体幹高さ位置z1(t)と、右脚リンク40に関する許容体幹高さ位置z2(t)を入力する。
ステップS106では、入力した体幹高さ位置z1(t)と体幹高さ位置z2(t)の高低差dz(t)=|z1(t)−z2(t)|を計算する。図6、図7からも明らかなように、体幹高さ位置z1(t)と体幹高さ位置z2(t)の高低差dz(t)がゼロとなる時点において伸びている脚リンク30、40が切替り、その前後において体幹12の高さ位置が急激に変化する。また、その高低差dz(t)が小さいほど、伸びている脚リンク30、40が切替る時点との時間差が短いと推測することができる。このことは2本以上の脚リンクを備えるロボットにあてはまる。一般的にいえば、脚リンク毎に計算した許容体幹高さ位置のなかで、最も低い位置(第1位置)とそれに次いで低い位置(第2位置)との高低差に基づいて、伸びている脚リンクが切替る時点までの時間を推測することができる。
ステップS110では、高低差dz(t)が大きいことから、伸びている脚リンク30、40が切替る時点との時間差が長いと判断することができる。この場合、入力した体幹高さ位置z1(t)、z2(t)のなかで最も低い位置(第1高さ位置)を、体幹12の高さ位置z3(t)として決定する。即ち、
z3(t)=Min(z1(t),z2(t))
となる。
ステップS112では、高低差dz(t)が小さいことから、伸びている脚リンク30、40が切替る時点との時間差が短いと判断することができる。この場合、入力した体幹高さ位置z1(t)、z2(t)のなかで最も低い位置(第1高さ位置)から下降させた位置を、体幹12の高さ位置z3(t)として決定する。高さ位置z3(t)は、例えば、次式を用いて計算することができる。
z3(t)=Min(z1(t),z2(t))−(λ−dz)2/4λ
=(z1(t)+z2(t))/2−(λ2+dz(t)2)/4λ
上式に示すように、体幹高さ位置z1(t)、z2(t)のなかで最も低い位置Min(z1(t),z2(t))に対して、高低差dzが小さいときほど、決定する高さ位置z3(t)は大きく下降する。
図9に示すように、このステップS112で計算される高さ位置z3(t)は、左脚リンク30に関する許容体幹高さ位置の軌道Z1と、右脚リンク40に関する許容体幹高さ位置の軌道Z2から作成されるベジェ曲線軌道上に位置する。なお、上記した演算式は一例であり、軌道Z1と軌道Z2を平滑に接続する他の近似曲線式を用いてもよい。
ステップS116では、上記した処理がすべての時刻に対して実行されたのか否かを判定する。イエスであれば処理を終了して図5のフローに戻る。ノーであれば、ステップS102へ戻り、処理を実行する対象時刻tを新たに設定し、上記の処理を繰り返す。
体幹高さ決定装置164によって、図10に示す体幹12の高さ位置の軌道Z3が作成される。この軌道Z3によると、ロボット6は脚リンク30、40を自然に伸ばして歩行することができるとともに、伸びている脚リンク30、40が切替る時点(例えば図中のB)においても、体幹12の高さ位置が急激に変化することがない。それにより、アクチュエータ等に過大な負荷がかかることが抑制される。
上記した体幹高さ位置の決定処理は、二足歩行ロボットに限定されず、さらに多数の脚リンクを備えるロボットにも適用可能である。脚リンク毎に計算した高さ位置のなかで最も低い第1高さ位置と、第1高さ位置とその第1高さ位置に次いで低い第2高さ位置との高低差dzに基づいて、上記と同様に体幹高さ位置z3を決定することができる。
図12は、図5のステップS12において体幹高さ修正装置156が実行する処理の流れを示している。体幹高さ修正装置156は、図12に示すフローに沿って、体幹歩容データ作成装置154が記憶している体幹歩容データの高さ位置を、順次修正していく。以下、図12に示すフローに沿って、図5のステップS12で実行される処理について説明する。また図13に、以下に説明する処理によって作成される体幹高さ位置の軌道を示す。図13中の軌道Z3は修正前の体幹高さ位置の軌道を示している。図13中の軌道Z4はステップS202からステップ216の処理による修正後の体幹高さ位置の軌道を示している。図13中の軌道Z5はステップS218からステップ232の処理による修正後の体幹高さ位置の軌道を示している。
ステップS204では、時刻t=0に対する修正後の体幹高さ位置z4(0)に、時刻t=0に対する修正前の体幹高さ位置z4(0)を設定する。即ち、時刻t=0に対する体幹高さ位置は修正されず、その値が保持される。
ステップS206では、体幹歩容データ作成装置154から、体幹歩容データが記述している時刻t+Δtに対する高さ位置z3(t+Δt)を入力する。
ステップS208では、時刻tに対する修正後の体幹高さ位置z4(t)から、時刻t+Δtに対する体幹高さ位置z3(t+Δt)への変化量Δz3(t)を計算する。この段階において、時刻tに対する体幹高さ位置が、既に修正済みであることに留意されたい。
ステップS212では、体幹高さ位置z3(t+Δt)の修正処理が行われる。この処理では、時刻tから時刻t+Δtの間における体幹高さ位置の変化(上昇)量Δz3(t)を、所定の割合αだけ減少させるように、体幹高さ位置z3(t+Δt)の修正が行われる。修正後の体幹高さ位置z4(t+Δt)は、例えば次式によって計算することができる。
z4(t+Δt)=z3(t+Δt)−α・Δz3(t)
体幹高さ位置の変化量を減少させる係数αは、オペレータ等によって適宜設定することができる。修正後の体幹高さ位置z4(t+Δt)は体幹歩容データ作成装置154に入力され、記憶されている体幹高さ位置z3(t+Δt)が書換えられる。
従って、このステップS214では、体幹高さ位置の変化量Δz3(t)を減少させる処理は実行しない。ただし、前回の処理サイクルにおいて時刻tに対する体幹高さ位置が修正されている場合には、その修正量α・Δz3(t−Δt)を用いて、修正後の体幹高さ位置z3(t+Δt)を、次式のように計算する。
z4(t+Δt)=z3(t+Δt)−α2・Δz3(t−Δt)
上式は、時刻tに対する体幹高さ位置の修正量α・Δz3(t−Δt)を、所定の割合αだけ減少させた修正量α2・Δz3(t−Δt)によって、時刻t+Δtに対する体幹高さ位置z3(t+Δt)を修正するものである。このように体幹高さ位置z(t+Δt)を修正することによって、時刻tまでの修正済みの体幹高さ位置の軌道を、時刻t+Δt以降の体幹高さ位置の軌道に、漸近させながら平滑に接続することができる。修正後の体幹高さ位置z4(t+Δt)は体幹歩容データ作成装置154に入力され、記憶されている体幹高さ位置z3(t+Δt)が書換えられる。
S220では、時刻t=n・Δtに対する再修正後の体幹高さ位置z5(n・Δt)に、時刻t=n・Δtに対する体幹高さ位置z4(n・Δt)を設定する。即ち、時刻t=n・Δtに対する体幹高さ位置は再修正されず、その値が保持される。
ステップS222では、体幹歩容データ作成装置154から、時刻tから単位時間Δtだけ遡及する時刻t−Δtに対して体幹歩容データが記述している高さ位置z4(t−Δt)を入力する。
ステップS224では、ステップS220で入力した高さ位置z3(t)から、ステップS222で入力した高さ位置z3(t−Δt)への変化量Δz4(t)を計算する。
ステップS226では、ステップS224で計算した変化量Δz4(t)をゼロと比較する。変化量Δz4(t)がゼロを超えていればステップS228へ進み、変化量Δz4(t)がゼロ以下であればステップS230へ進む。
z5(t−Δt)=z4(t−Δt)−α・Δz4(t)
再修正後の体幹高さ位置z5(t−Δt)は体幹歩容データ作成装置154に入力され、記憶されている体幹高さ位置z4(t−Δt)が書換えられる。
ステップS230では、先に説明したステップS214と同様に、体幹高さ位置z4(t−Δt)の再修正処理が行われる。即ち、再修正後の体幹高さ位置z5(t−Δt)は、例えば次式によって計算することができる。
z5(t−Δt)=z5(t−Δt)−α・Δz3(t−Δt)
修正後の体幹高さ位置z4(t+Δt)は体幹歩容データ作成装置154に入力され、記憶されている体幹高さ位置z3(t+Δt)が書換えられる。
図5のステップS12では、以上に説明した図12に示す処理フローが実行され、体幹歩容データ作成装置154が記憶している体幹歩容データの体幹高さ位置の軌道が、図13に示す軌道Z5のように平滑化される。図5のステップS12の処理が終了すると、歩容データ作成装置104による歩容データの作成処理が終了する。
歩容データ作成装置104が作成する体幹歩容データによって、ロボット6は、脚リンク30、40を自然に伸ばして歩行するとともに、体幹12を鉛直方向に緩やかに上下させながら歩行することができる。アクチュエータ等に過大な負荷がかかることがなく、ロボット6は安定した歩行動作を実現することができる。
本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組み合わせによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組み合わせに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
12:体幹
14:コンピュータ装置
16:左腕リンク
18:右腕リンク
20:頭部
30:左脚リンク
31:左股関節
32:左大腿リンク
34:左膝関節
36:左下腿リンク
37:左足首関節
38:左足平リンク
40:右脚リンク
41:右股関節
42:右大腿リンク
44:右膝関節
46:右下腿リンク
47:右足首関節
102:歩行パターンデータ記憶装置
104:歩容データ作成装置
106:歩容データ補正装置
108:関節角群計算装置
110:アクチュエータ制御装置
112:実際運動計算装置
114:ロボットの機械系
116:各種センサ
152:足先歩容データ作成装置
154:体幹歩容データ作成装置
156:体幹高さ修正装置
161:左体幹高さ計算装置
162:右体幹高さ計算装置
164:体幹高さ決定装置
Claims (5)
- 脚式ロボットが歩行するために用いる歩容データを作成する装置であって、
脚リンク毎に、目標とする足先の位置と姿勢の経時的変化を記述している足先歩容データの記憶手段と、
体幹の高さ位置を仮定して、その足先歩容データに追従して歩行することを可能とする体幹の位置と姿勢の経時的変化を記述している体幹歩容データを作成する作成手段と、
その体幹歩容データが記述している体幹位置を高さ方向に移動したときに、脚リンクの両端間距離が所定距離となる高さ位置を、脚リンク毎に計算する計算手段と、
その脚リンク毎に計算した高さ位置群のなかで最も低い第1高さ位置と、その第1高さ位置とその第1高さ位置に次いで低い第2高さ位置との高低差に基づいて、目標とする体幹の高さ位置を決定する決定手段と、
を備える歩容データの作成装置。 - 前記決定手段は、前記高低差が所定値を上回るときには前記第1高さ位置を目標とする体幹の高さ位置とし、前記高低差が所定値を下回るときには前記第1高さ位置よりも下降させた位置を目標とする体幹高さ位置とすることを特徴とする請求項1の歩容データの作成装置。
- 前記決定手段は、前記高低差と比較する前記所定値を、前記第1高さ位置を導出した脚リンクの足先位置と前記第2高さ位置を導出した脚リンクの足先位置との間の距離に応じて増減調節することを特徴とする請求項2の歩容データの作成装置。
- 前記決定手段は、脚リンク毎に計算された高さ位置群に、指示された体幹の高さ位置に関する制限値を加えた高さ位置群から、前記第1高さ位置と第2高さ位置を設定することを特徴とする請求項1から3のいずれかの歩容データの作成装置。
- 脚式ロボットが歩行するために用いる歩容データを作成する方法であって、
脚リンク毎に、目標とする足先の位置と姿勢の経時的変化を記述している足先歩容データを用意する工程と、
体幹の高さ位置を仮定して、その足先歩容データに追従して歩行することを可能とする体幹の位置と姿勢の経時的変化を記述している体幹歩容データを作成する作成工程と、
その体幹歩容データが記述している体幹位置を高さ方向に移動したときに、脚リンクの両端間距離が所定距離となる高さ位置を、脚リンク毎に計算する計算工程と、
その脚リンク毎に計算した高さ位置群のなかで最も低い第1高さ位置と、その第1高さ位置とその第1高さ位置に次いで低い第2高さ位置との高低差に基づいて、目標とする体幹の高さ位置を決定する決定工程と、
を備える歩容データの作成方法。
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