JP2007007497A - 異物除去及び色彩選別を行うための方法及び装置 - Google Patents

異物除去及び色彩選別を行うための方法及び装置 Download PDF

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Abstract

【課題】 種々多様な選別対象物に関する異物除去作業を自動化でき、同時に、色彩選別をもなし得る方法/装置を提供する。
【解決手段】 選別対象物Wから異物又は不良品を除去する方法/装置であって、良品の取り得るR、G、B及びこれら以外の別の波長成分の強度から決定される、各波長成分毎又はそれらの一部/全部の組み合わせからなる任意の領域を記憶手段8を用いて予め記憶し、順次送出される選別対象物Wを光源1を用いて照射し、その透過又は反射光を検知手段2を用いて検知し、検知された光のR、G、B及び上記別の波長成分の強度が上記任意の領域内に属しているか否かを判定手段6を用いて判定し、上記透過又は反射光のR、G、B又は上記別の波長成分の強度の何れかが上記任意の領域内に属しないと判断された場合、分離手段3によりその選別対象物を他のものから分離する工程を含む方法及び之を実施し得る装置とする。
【選択図】 図7

Description

本発明は、種々の品種や形態の茶葉をはじめとする様々な選別対象物中に含まれる異物を除去すると共に、原料中の不良品を良品から分離除去する方法及び装置に関する。
従来、軽薄微小な選別対象物、特に、製茶工程を経た茶葉から異物を除去する方法として、
(A) 図11に示すように、ベルトコンベアー上やベルトコンベアーで水平方向に投げ出された緑茶をカラーカメラで撮像し、画像処理により、異物を検出する方法(特許文献1、特許文献2参照)、
(B) 緑茶の蛍光反応を利用して異物検出する方法(特許文献3参照)等が考案されてきた。
ここで、一般的な従来技術である図11に示す異物除去装置について説明すると、この装置は、選別対象物Wを実質上水平方向に搬送するためのベルトコンベアTと、ベルトコンベアTの一端側から実質上水平方向に投射され、所定軌道を
通って落下する選別対象物Wを撮像するカラーカメラからなる検出部Dと、検出部Dに近接配置され、選別対象物Wを照らす光源Lと、検出部Dの後段に電気的に接続された不図示の判定手段と、検出部Dが撮像した選別対象物Wが、判定手段によって異物Fであると判定された場合、これを吹き飛ばして原料Pと分離除去するイジェクタVと、イジェクタVによって吹き飛ばされた異物Fを排出する異物出口E2と、異物Fが除去された原料Pを排出する原料出口E1とを備えてなるものである。
しかしながら、上記の異物検出方法には次のような欠点があった、
i) まず、ベルトコンベアー搬送により検査部に供給する方法(A)では、選別対象物Wが深蒸し茶等の粉を多く含む茶葉の場合、粉がベルトに付着したり、軽い茶葉が原料出口まで飛びきらなかったりして異物と共に排出されるため、歩留りが極端に悪く実用にならない。図11には、ベルトに付着した原料P3及び原料出口まで飛びきれなかった原料P4の双方が、異物Fと共に異物出口E2に排出されている様子が示されている。
ii) 上記以外の粉の少ない茶葉でも、冬場の乾燥した時期には、静電気で帯電した茶葉がベルトに付着し、同様の問題が起こる。
iii) また、上記の理由(水分が減ると帯電しやすくなる)で、これまで緑茶の仕上加工における最終工程である火入れ乾燥の後に、異物除去作業を行うことが非常に困難であった。
iv) さらに、カラーカメラによる異物検出(A)では、茶葉と同じ色の異物が検出できず、結局、異物の除去工程を完全に自動化することが出来なかった。
v) 一方、緑茶の蛍光作用を利用した異物検出方法(B)は、蛍光作用のない焙じ茶、紅茶、ウーロン茶等には利用できない。また、この方法では茶葉と同様の蛍光作用を示す異物を除去することが出来ず、(A)の方法同様、異物の除去工程を完全に自動化することが出来なかった。
このように、従来の手法の儘では、種々の選別対象物から異物を除去する工程を完全に自動化することが困難であり、いつまでも人手に頼らざるを得ないと言う問題があった。
さらに、従来の手法の儘では、或る条件の下では処理効率が極端に悪化し、実質上、異物除去作業を行うことが非常に困難という問題があった。
ところで、選別対象物から製品となる良品のみを取り出すためには通常、製茶工場等に於いて、原料採取現場(茶園等)から製造工程に至る間に選別対象物中に混入する様々なものを除去するための異物除去装置とは別に、茶葉から茎や枯葉等の不良品を除去する色彩選別機を設ける必要があるところ、これらは良品以外のものを排除するという意味では同じ働きを行うものであり、従ってこれらを1台に集約することが出来ればコスト及びスペース効率の面で非常に有用である。
そこで、従来知られた色彩選別装置について検討すると、例えば特許文献4に記載されている様な構成が既に存在する。
しかしながら、この構成では当然の事ながら、茶葉と同じ色の異物を良品から分離除去することができず、上記(A)の場合と同様に、異物の除去工程を完全に自動化することは出来ない。
さらに、特許文献4に開示された構成では、信号処理に膨大な時間を要し、処理速度を十分に高めることが出来ない。畢竟、選別対象物の落下速度を信号の処理速度に合わせる必要があることから、シュートの勾配を急にして選別対象物の滑落速度を高めることによって、選別対象物が静電気の影響でシュート上に滞留し続けることを防止する措置を執ることができない。
その他、特許文献4に開示された装置構成では、水平面に対するシュートの勾配が急な程、選別対象物がシュート面上で跳ねながら収束せずにシュート下端部迄達してその儘シュートから飛び出して行く比率が高くなり、そうすると選別対象物をセンサで確実に捉えることが出来ず選別対象物の良否判定を精度良く出来ないと言う問題が生じてくるため、やはりシュートの水平面に対する傾斜角を一定以上強くすることが困難であった。
このように、特許文献4に開示されている構成では、選別対象物を検査部に供給する方法がシュートを利用する方式となっていても結局、深蒸し茶等、粉を多く含む選別対象物の場合には、それらが静電気の影響でシュート表面に付着した儘滞留し続けて下方に滑落して行かないと言う問題が残る。それゆえ、かかる構成でも、上記i)と同様、粉っぽい選別対象物を効率良く処理し得る装置を提供することが出来ない。
要するに、種々多様な選別対象物に関する異物除去作業を完全に自動化することが出来、かつ、異物除去と同時に色彩選別をもなし得る装置構成は、これまで提供されていなかったのである。
特開2002−35701号公報 特開2002−316100号公報 特願2005−66434号公報 特開平3−63532号公報
従って本発明は、種々多様な選別対象物に関する異物除去作業を完全に自動化することが出来、かつ、異物除去と同時に色彩選別をも実施し得る方法及び装置を提供することを課題とする。
上記課題を解決すべく種々検討を重ねた結果、本発明者は、良品の取り得るR、G及びB並びにこれら以外の別の波長成分の強度から決定される、各波長成分毎又はそれらの一部若しくは全部の組み合わせからなる任意の領域を、記憶手段を用いて予め記憶しておいた後、
順次送り出される選別対象物を光源を用いて照射し、この選別対象物を透過又は反射した光を検知手段を用いて検知し、
そして、検知された光のR、G及びB並びに上記別の波長成分の強度が上記任意の領域内に属しているか否かを判定手段を用いて判定することによって上記課題を解決可能であることを見い出し、本発明を完成した。
上記課題を解決可能な本発明の異物除去及び色彩選別を行うための方法は、良品及び不良品からなる原料中に、前記原料以外の異物をも包含する選別対象物から、前記異物又は前記不良品を分離除去するための方法であって、
前記良品の取り得るR、G及びB並びにこれら以外の別の波長成分の強度から決定される、各波長成分毎又はそれらの一部若しくは全部の組み合わせからなる任意の領域を記憶手段を用いて予め記憶し、
順次送り出される前記選別対象物を光源を用いて照射し、
前記選別対象物を透過又は反射した前記光源からの光を検知手段を用いて検知し、
前記検知手段によって検知された光のR、G及びB並びに前記別の波長成分の強度が前記任意の領域内に属しているか否かを判定手段を用いて判定し、
前記透過又は反射光のR、G若しくはB又は前記別の波長成分の強度の何れかが前記任意の領域内に属しないと判断された場合、その選別対象物を他の選別対象物から分離手段を用いて分離する、
工程を含むことを特徴とするものである。
同様に、上記課題を解決可能な本発明の異物除去及び色彩選別を行うための装置は、良品及び不良品からなる原料中に、前記原料以外の異物をも包含する選別対象物から、前記異物又は前記不良品を分離除去するための装置であって、
前記良品の取り得るR、G及びB並びにこれら以外の別の波長成分の強度から決定される、各波長成分毎又はそれらの一部若しくは全部の組み合わせからなる任意の領域を予め記憶する記憶手段と、
順次送り出される前記選別対象物を照射する光源と、
前記選別対象物を透過又は反射した前記光源からの光を検知する検知手段と、
前記検知手段及び前記記憶手段に電気的に接続され、前記検知手段によって検知された光のR、G及びB並びに前記別の波長成分の強度が前記任意の領域内に属しているか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段に電気的に接続され、前記透過又は反射光のR、G若しくはB又は前記別の波長成分の強度の何れかが前記任意の領域内に属しないと判断された場合、その選別対象物を他の選別対象物から分離する分離手段と、を備えたことを特徴とするものである。
又本発明の異物除去及び色彩選別を行うための装置の更に具体的な一例は、良品及び不良品からなる原料中に、前記原料以外の異物をも包含する選別対象物から、前記異物又は前記不良品を分離除去するための装置であって、
R、G及びB各色を夫々X,Y,Z軸とする計算上の3次元空間にプロットされた、前記良品の取り得るR、G及びBの波長成分の強度から決定される計算上の任意の領域を予め記憶する記憶手段と、
順次送り出される前記選別対象物を照射する光源と、
前記選別対象物を透過又は反射した前記光源からの光を検知する検知手段と、
前記検知手段に電気的に接続され、前記検知手段によって検知された光をR、G及びB並びにこれら以外の別の波長成分に、成分毎に分離抽出する波長成分分離抽出手段と、
前記波長成分分離抽出手段のR成分、G成分及びB成分の各出力、並びに前記記憶手段に電気的に接続され、前記波長成分分離抽出手段によって分離抽出されたR、G及びBの各波長成分の強度を前記3次元空間上にプロットし、前記記憶手段に記憶された前記任意の領域内に属するか否かを判定する第1の判定手段と、
前記第1の判定手段及び前記波長成分分離抽出手段のR、G、B以外の別の波長成分出力に電気的に接続され、分離抽出された前記光のR、G及びBの各波長成分の強度が前記第1の判定手段により前記任意の領域内に属すると判定された場合、同時に分離抽出されていた前記R,G及びB以外の別の波長成分の強度が前記良品の取り得る範囲内に属するか否かを判定する第2の判定手段と、
前記第1の判定手段及び前記第2の判定手段に電気的に接続され、前記第1の判定手段によりR、G若しくはBの各波長成分の強度が前記任意の領域内に属しないと判断された場合、又は前記第2の判定手段により前記R、G及びB以外の別の波長成分の強度が前記良品の取り得る範囲内に属しないと判断された場合に、その選別対象物を他の選別対象物から分離する分離手段と、を備えたことを特徴とするものである。方法についても同様である。
ここで、前記R、G及びB以外の別の波長成分は、200nm〜380nmの間、又は700nm〜2000nmの間の任意の値から選ばれることが好ましい。
さらに、本発明の異物除去及び色彩選別を行うための装置は、上記の検知手段、波長成分分離抽出手段、第1の判定手段及び第2の判定手段に代えて、
前記選別対象物を透過又は反射した前記光源からの光をR、G及びB並びにこれら以外の別の波長成分に、成分毎に分離抽出する波長成分分離抽出手段と、
前記波長成分分離抽出手段の各出力に電気的に接続され、前記波長成分分離抽出手段によって分離抽出された各波長成分毎の光を夫々検知する複数の検知手段と、
前記検知手段のR、G及びBの各成分の出力、並びに前記記憶手段に電気的に接続され、前記複数の検知手段によって検知されたR、G及びBの各波長成分の強度を前記3次元空間上にプロットし、前記記憶手段に記憶された前記任意の領域内に属するか否かを判定する第1の判定手段と、
前記第1の判定手段及び前記検知手段のR、G、B以外の別の波長成分出力に電気的に接続され、検知された前記光のR、G及びBの各波長成分の強度が前記第1の判定手段により前記任意の領域内に属すると判定された場合、同時に検知されていた前記R、G及びB以外の別の波長成分の強度が前記良品の取り得る範囲内に属するか否かを判定する第2の判定手段と、を備える構成であっても良い。方法についても同様である。
同様に本発明の異物除去及び色彩選別を行うための装置は、上記の検知手段、波長成分分離抽出手段、第1の判定手段及び第2の判定手段に代えて、
前記選別対象物を透過又は反射した前記光源からの光を検知する第1の検知手段と、
前記選別対象物を透過又は反射した前記光源からの光の、R、G及びB以外の別の波長成分を分離抽出して検知する第2の検知手段と、
前記第1の検知手段に電気的に接続され、前記第1の検知手段によって検知された光をR、G及びBの各波長成分毎に分離抽出する波長成分分離抽出手段と、
前記波長成分分離抽出手段の各出力及び前記記憶手段に電気的に接続され、前記波長成分分離抽出手段によって分離抽出されたR、G及びBの各波長成分の強度を前記3次元空間上にプロットし、前記記憶手段に記憶された前記任意の領域内に属するか否かを判定する第1の判定手段と、
前記第1の判定手段及び前記第2の検知手段に電気的に接続され、分離抽出された前記光のR、G及びBの各波長成分の強度が前記第1の判定手段により前記任意の領域内に属すると判定された場合、前記第2の検知手段によって検知された前記R、G及びB以外の別の波長成分の強度が前記良品の取り得る範囲内に属するか否かを判定する第2の判定手段と、を備える構成であっても良い。方法についても同様である。
その他、本発明の異物除去及び色彩選別を行うための装置は、上記各構成に、
水平面に対して所定の傾斜角を付けて設けられ、その上部から下方に向かって滑り落とされる前記選別対象物を所定方向に飛び出させて順次送り出すシュートと、
前記シュートの表面に対して所定間隔をあけて設けられ、前記シュートの表面の少なくとも一部を覆うカバーと、
前記シュートの上部に前記選別対象物を供給する供給手段と、を併せ備えたものであっても良い。
ここで、前記シュートは前記選別対象物の供給幅に相応する幅を有する平面シュートとして形成され、
前記カバーは、前記シュートの表面に対して所定間隔をあけて設けられ、前記シュートの少なくとも一部を覆う板状体からなり、前記選別対象物の滑落軌道を規制して前記選別対象物が前記シュートの表面に沿って滑り落ちて行く様構成されることが好ましい。
水平面に対する前記シュートの傾斜角については適当な値を選択し得るが、60°以上85°以下であれば、シュート表面に粉っぽい選別対象物が滞留することもなく、より好ましい。
尚以下では、本発明の説明に用いる用語につき定義をおくものとする。
「選別対象物」とは、本発明の異物除去及び色彩選別を行うための装置の入口より投入される茶その他の原料のことを主として指し示すものであって、良品及び不良品のほか、原料以外の異物を含むものを言う。
本発明の色彩選別装置を用いて選別を行なう選別対象物としては、仕上茶、荒茶等の目の比較的粗い緑茶はもとより、碾茶や深蒸し茶等、目が比較的細かい、或いは粉状になった部分の多い緑茶等をも含めたあらゆる形状の緑茶のほか、焙じ茶、紅茶、ウーロン茶等、様々な種類の茶原料が挙げられる。
選別対象物としては、さらに、青のりやバジル等、目が比較的細かく、しかも薄くて質量が微小なものが挙げられる。なお、下記実施例3に示す異物除去及び色彩選別を行うための装置及び方法は、軽薄微小な選別対象物、その中でも特に跳ね返り係数の少ないものの処理が可能である点で有用である。
「良品」とは、選別対象物のうち、所望の色彩を有する茶葉等、製品として選別され得る特性を備えたものを言う。
「不良品」とは、選別対象物のうち、茎のほか、所望の色彩から外れた茶葉(枯葉ほか)等、製品から除去されるべき特性を備えたものを言う。
「異物」とは、原料(良品及び不良品)以外のものであって、原料採取現場から製造工程に至る間に選別対象物中に混入する様々なものを言う。選別対象物を茶原料とした場合であれば、異物には茶園から製造工程に至る間に登場する種々のもの、例えば虫、紙片、紐、ビニール、箒の毛、金属片、石等が挙げられる。
本発明によれば、緑茶のほか、紅茶やウーロン茶等、あらゆる茶葉原料中に含まれる異物を精度良く除去することが出来、異物の除去工程を完全に自動化することが出来る。
すなわち本発明によれば、緑茶や紅茶、ウーロン茶等の選別対象物と同じ色の鉱物、金属、樹脂等の異物であっても、これらを確実に良品と識別することが可能であり、それゆえ種々の選別対象物に関する異物除去作業を完全に自動化することが可能となる。
さらに本発明によれば、異物除去及び色彩選別を高速に行うことが出来るので、選別対象物を検査部に送り出す速度を高める事が出来る。それゆえシュートの勾配を、選別対象物が静電気の影響を受けてシュート上に滞留しない程度にまで急なものとすることが出来、碾茶や深蒸し茶等、目が比較的細かい、或いは粉状になった部分の多い緑茶であっても、精度良く処理することが可能である。選別対象物を検査部に送り出す速度を高める事が出来ることから、機械全体としての処理能力を高めることも可能である。
従って本発明によれば、仕上茶、荒茶等の目の比較的粗い緑茶はもとより、碾茶や深蒸し茶等、目が比較的細かい、或いは粉状になった部分の多い緑茶まで、あらゆる形状の緑茶原料中に含まれる異物の除去を、効率良く行うことが出来る。
同様に本発明によれば、茶葉に限らず青のりやバジル等、目が比較的細かく、しかも薄くて質量が微小な選別対象物中に含まれる異物の除去を、精度良く行うことが出来る。
このとき本発明によれば、従来困難であった冬場の乾燥時や火入れ乾燥直後の、水分が少なく帯電し易くなった状態の原料中に含まれる異物の除去を、精度良く行うことも可能となる。
このように本発明によれば、従来より選別可能であった選別対象物を含むあらゆる形状、大きさを有する種々の選別対象物に含まれる異物の除去を、精度良く行うことが出来る。
本発明によれば、上記の通り異物の除去を精度良く行うことが出来るので、異物として回収されたものの中に混入する原料の割合が非常に少なく、所謂歩留りを大幅に改善することが出来る。
その他本発明によれば、上記の通り従来完全に自動化することが困難であった、様々な品種、形態の選別対象物中に含まれる異物の除去作業を自動機により精度良く実施出来るほか、同時に、原料中に含まれる不良品を、色彩選別により良品から分離除去することが可能となる。従って本発明によれば、異物除去と色彩選別を同時に1台の自動機で行うことが出来るので、コスト面、スペース面で大幅な節約が可能となる。
発明を実施するための形態
[第1実施形態]
以下、本発明の一実施形態につき、添付図面を用いて詳細に説明する。
図1は本発明の第1実施形態の構成を示すブロック図、図2は本発明の異物除去及び色彩選別を行うための手法の基本検出原理の一例を示す図、図3及び図4は茶葉と数種の異物を並べて撮像した際の、可視光領域及び近赤外領域における相対輝度レベルを示す図、図5〜7は本発明の第2〜第4実施形態の構成を示すブロック図、図8は本発明の異物除去及び色彩選別を行うための装置の一実施例の中央側断面図、図9は本発明の異物除去及び色彩選別を行うための装置の別の実施例の中央側断面図、図10は本発明の異物除去及び色彩選別を行うための装置の更に別の実施例の中央側断面図である。
なお便宜上、以下では選別対象物を、例えば製茶工程を一部経た緑茶葉として説明する。
[構成]
図1に示すブロック図は、本発明の第1実施形態の構成を示すものである。
図1に示す通り、本実施形態に係る異物除去及び色彩選別装置は、
R、G及びB各色を夫々X,Y,Z軸とする計算上の3次元空間にプロットされた、選別対象物W中の良品が取り得るR、G及びBの波長成分の強度から決定される計算上の任意の領域を予め記憶する記憶手段8と、
順次送り出される選別対象物Wを照射する光源1と、
選別対象物Wを透過又は反射した光源1からの光を検知する検知手段2と、
この検知手段2に電気的に接続され、検知手段2によって検知された光をR、G及びB並びにこれら以外の別の波長成分(AW)に、成分毎に分離抽出する波長成分分離抽出手段7と、
この波長成分分離抽出手段7のR成分、G成分及びB成分の各出力、そして記憶手段8に電気的に接続され、波長成分分離抽出手段7によって分離抽出されたR、G及びBの各波長成分の強度を上記3次元空間上にプロットし、記憶手段8に記憶された上記任意の領域内に属するか否かを判定する第1の判定手段6Aと、
この第1の判定手段6A及び上記波長成分分離抽出手段7のAW成分出力に電気的に接続され、分離抽出された光のR、G及びBの各波長成分の強度が第1の判定手段6Aにより上記任意の領域内に属すると判定された場合、同時に分離抽出されていたR,G及びB以外の別の波長成分AWの強度が良品の取り得る範囲内に属するか否かを判定する第2の判定手段6Bと、
第1の判定手段6A及び第2の判定手段6Bに論理OR回路6Cを介して電気的に接続され、第1の判定手段6AによりR、G若しくはBの各波長成分の強度が上記任意の領域内に属しないと判断された場合、又は第2の判定手段6BによりR、G及びB以外の別の波長成分AWの強度が良品の取り得る範囲内に属しないと判断された場合に、その選別対象物を他の選別対象物から分離する分離手段3と、
からなるものである。
以下、各構成要素につき説明する。
記憶手段8は、図2に示すようなR、G及びB各色を夫々X,Y,Z軸とする計算上の3次元空間にプロットされた、選別対象物W中の良品が取り得るR、G及びB3原色の波長成分の強度から決定される計算上の任意の領域(図2中、「緑茶の製品」として網掛けが付された部分等)を記憶するものである。記憶手段8の具体的構成としては、公知のメモリ装置とすることが挙げられる。この記憶手段8は、第1の判定手段6Aに電気的に接続されている。
次に、検知手段2は選別対象物Wを透過又は反射した光源1からの光を検知するものである。検知手段2に入射する光源1からの光には、直接選別対象物Wを透過又は反射したもののほか、反射板30で反射した後のものも含まれる。
検知手段2の具体的構成としては公知の撮像デバイス(撮像管、固体撮像素子)とすることが挙げられる。この検知手段2は、波長成分分離抽出手段7に電気的に接続されている。
波長成分分離抽出手段7は、検知手段2によって検知された光を所望の波長成分毎に分離抽出するものである。本実施形態の波長成分分離抽出手段としては、検知手段2からの信号を電気的に信号処理して所望の波長成分毎に分離抽出する構成が挙げられる。波長成分分離抽出手段7のR、G及びBの各出力は第1の判定手段6Aに、AW出力は第2の判定手段6Bに電気的に接続されている。
R、G、B以外の別の波長成分AWについては、近赤外領域や近紫外領域のもの、例えば200nm〜380nmの間、又は700nm〜2000nmの間の任意の波長成分とされる。本実施形態を含め、以下の各例では、850nm付近の帯域とした。
第1の判定手段6Aは、波長成分分離抽出手段7によって分離抽出されたR、G及びBの各波長成分の強度を上記3次元空間上にプロットし、記憶手段8に記憶された上記任意の領域内に属するか否かを判定するものである。第1の判定手段6Aはマイクロコンピュータ等から構成することが可能である。第1の判定手段6Aの出力は、論理OR回路6Cと、第2の判定手段6Bとに電気的に接続されている。
第2の判定手段6Bは、分離抽出された光のR、G及びBの各波長成分の強度が第1の判定手段6Aにより上記任意の領域内に属すると判定された場合、同時に分離抽出されていたR,G及びB以外の別の波長成分AWの強度が良品の取り得る範囲内に属するか否かを引き続き判定するものである。第1の判定手段6A同様、第2の判定手段6Bもマイクロコンピュータ等から構成することが可能である。第2の判定手段6Bの出力は、論理OR回路6Cに電気的に接続されている。
本実施形態では、上記第1の判定手段6A、第2の判定手段6B及び論理OR回路6Cにより判定手段6が構成されている。
論理OR回路6Cの出力は、分離手段3に電気的に接続されている。分離手段3は、イジェクタ制御、駆動回路3Bと、イジェクタ3Aとからなっている。本実施形態では、論理OR回路6Cの何れかの入力端子にH入力がされ、同回路よりH出力がなされると、イジェクタ制御、駆動回路3Bの働きによりイジェクタ3Aが開弁する構成とされている。
[動作]
又以下では、上記構成からなる本実施形態の異物除去及び色彩選別装置の動作につき説明する。
まずはじめに、緑茶の良品を数点、検知手段2に検知させ、波長成分分離抽出手段7にR(620nm付近)、G(530nm付近)、B(450nm付近)の波長成分の強度を出力させる。そしてこれらのデータをR、G、Bを軸とした3次元空間にプロットし、プロットされた緑茶の良品の領域を六面体で囲い込んで記憶手段8に記憶する(図2参照)。後記第2実施形態の構成同様、予め緑茶の良品をR、G、Bのそれぞれの波長で感度を持つセンサーで取り込み、データをR、G、Bを軸とした3次元空間にプロットする仕方でも良い。いずれにしても、プロットされた緑茶の良品の領域を六面体で囲い込み、これを基準として記憶手段8に記憶しておく。
六面体の面は、例えば、
・ −AR+AG+AB=X (A、A、Aは任意の定数) (1)
・ −BR−BG+BB=Y (B、B、Bは任意の定数) (2)
・ CR+CG+CB=Z (C、C、Cは任意の定数) (3)
・ (R、G、Bは各データ)
という演算式で決定される。
本実施形態では、図2に示す六面体で囲まれた領域以外の領域に入るものは、全て不良品又は異物とみなして除去する。具体的には、まず装置をスタートさせ、順次送り出される選別対象物Wを透過又は反射した光源1からの光を検知手段2によって検知し、これを波長成分分離抽出手段7を用いてR、G及びB並びにこれら以外の別の波長成分(AW)に、成分毎に分離抽出し、分離抽出されたR、G及びBの各波長成分の強度を上記3次元空間上にプロットし、そして、このプロット値が第1の判定手段6Aで記憶手段8に記憶された上記六面体で囲まれた領域内に属するか否かを判定する。その結果、上記六面体で囲まれた領域以外の領域に入るものについては、全て不良品又は異物とみなして論理OR回路6CにH出力を与え、分離手段3を用いて良品と分離除去する。
次に、第1の判定手段6Aによる判定の結果、上記六面体で囲まれた領域に入ると判定された場合であっても、その中には良品と同じような色彩を備えた異物が未だ混入しているため、これを除去する必要がある。
本発明においては、緑茶の製品の領域に入るすなわち上記六面体で囲まれた領域に入ると判定された選別対象物Wについては、さらに、波長成分分離抽出手段7に於いて同時に分離抽出されていたR,G及びB以外の別の波長成分AWの強度が通常良品の取り得る範囲内に属するか否かを第2の判定手段6Bを用いて判定している。この様に、本発明ではRGB以外の別の波長成分AWの領域における反射光又は透過光特性の違いを利用して、緑茶の製品の領域に入る異物を検出する構成を採っている。
これは、一般的に異物と言われる原料採取現場から製造工程に至る間に選別対象物中に混入する様々なもの(選別対象物を茶原料とした場合であれば、例えば虫、紙片、紐、ビニール、箒の毛、金属片、石等)と原料とでは、RGB以外の別の波長成分AWの領域における反射光又は透過光特性が顕著に相違することを利用したものである。
ここで、可視光領域で明度、色相の差が出ない異物であっても、例えば近赤外領域では明度に差が現れる例につき説明する。
図3に、緑茶の茶葉と数種の異物を並べ、これらをラインCCDで撮像した際の、可視光領域(波長470nm〜650nm)及び近赤外領域(波長830nm程度)における相対輝度レベルを示す。図3Aが可視光領域における輝度レベル、図3Bが近赤外領域における輝度レベルを表わしている。図3では、緑茶葉と同じ色相を持つ異物の一例として、緑色のスポンジを撮像している。その他図3では、黒色の樹脂及び灰色の石を撮像している。
同様に、参考として、紅茶の茶葉と数種の異物を並べ、これらをラインCCDで撮像した際の、可視光領域及び近赤外領域における相対輝度レベルを図4に示す。図4Aが可視光領域における輝度レベル、図4Bが近赤外領域における輝度レベルを表わしている。図4では、紅茶葉と同じ色相を持つ異物の一例として、茶色くなるまで錆びた釘を撮像している。その他図4でも、黒色の樹脂及び灰色の石を撮像している。
図3及び図4からも明らかな通り、近赤外領域における輝度レベルを見れば茶葉と異物との差が顕著に現れており、可視光領域で明度、色相の差が出難い異物であっても、本実施形態に係る異物除去及び色彩選別装置によれば確実に良品から分離除去することが可能となっている。
尚、後記第2実施形態では、近赤外領域や近紫外領域に感度を有するセンサを独立して設け、そしてこれらの領域における反射光又は透過光特性の違いを利用して、上記3次元空間上では緑茶の製品の領域に入る異物を検出している。また第3実施形態では、選別対象物を透過又は反射した光源からの光の、R、G及びB以外の別の波長成分(近赤外領域や近紫外領域のもの等)を、第2の検知手段を用いて分離抽出して検知しており、これを利用して上記3次元空間上では緑茶の製品の領域に入る異物を検出している。
[第2実施形態]
引き続き、本発明の第2実施形態につき説明する。図5に示すブロック図は、本発明の第2実施形態の構成を示すものである。
[構成]
本実施形態の異物除去及び色彩選別装置は、上記第1実施形態の検知手段2、波長成分分離抽出手段7、第1の判定手段6A及び第2の判定手段6Bに代えて、
選別対象物Wを透過又は反射した光源1からの光をR、G及びB並びにこれら以外の別の波長成分に、成分毎に分離抽出する波長成分分離抽出手段7と、
この波長成分分離抽出手段7からの各出力に電気的に接続され、波長成分分離抽出手段7によって分離抽出された各波長成分毎の光を夫々検知する複数の検知手段2(2r、2g、2b、2aw)と、
検知手段2r、2g及び2bの各出力、そして記憶手段8に電気的に接続され、検知手段2r、2g及び2bによって検知されたR、G及びBの各波長成分の強度を上記3次元空間上にプロットし、記憶手段8に記憶された上記任意の領域内に属するか否かを判定する第1の判定手段6Aと、
この第1の判定手段6A及び検知手段2awの出力に電気的に接続され、検知された光のR、G及びBの各波長成分の強度が第1の判定手段6Aにより上記任意の領域内に属すると判定された場合、同時に検知されていたR、G及びB以外の別の波長成分AWの強度が良品の取り得る範囲内に属するか否かを判定する第2の判定手段と6Bと、を備えてなるものである。
本実施形態の場合も、選別対象物Wを透過又は反射した光をR、G及びB並びにこれら以外の別の波長成分(AW)に、成分毎に分離抽出したものを判定手段6に入力しているが、選別対象物Wを透過又は反射した光をR、G及びB並びにこれら以外の別の波長成分に、成分毎に分離抽出した後、分離抽出された各波長成分毎の光を複数の検知手段2を用いて夫々検知する構成を採っている点が第1実施形態の場合と異なる。その他の構成は第1実施形態と同様である。
本実施形態の波長成分分離抽出手段7としては、例えばプリズム分光器やダイクロイックミラー等からなる適宜構成の物理的手段が挙げられる。それらの何れかのみを複数個組み合わせて構成しても、或いは双方の手段を組み合わせて構成しても、本実施形態の波長成分分離抽出手段として機能し得る。
また、本実施形態の各検知手段(2r、2g、2b、2aw)としては、例えばCCDイメージセンサやCMOSイメージセンサ等を利用することが好ましい。
[動作]
次に、本実施形態の異物除去及び色彩選別装置の概略動作につき説明するが、基本的には、第1実施形態の動作と同様である。
まずはじめに、数点の緑茶の良品のR、G、Bの波長成分の強度を、波長成分分離抽出手段7を介した後、R、G、Bのそれぞれの波長で感度を持つ検知手段2r,2g,2bで取り込み、そのデータをR、G、Bを軸とした3次元空間にプロットし、プロットされた緑茶の良品の領域を六面体で囲い込んで記憶手段8に記憶する。六面体の一例については、第1実施形態の欄で説明した通りである。
こののち、装置をスタートさせてから先の処理の流れは第1実施形態の場合と同様である。すなわち、本実施形態でも、六面体で囲まれた領域以外の領域に入るものは、第1の判定手段6Aで全て不良品又は異物とみなして分離手段3により除去する。
また第1実施形態同様、第1の判定手段6Aによる判定の結果、上記六面体で囲まれた領域に入ると判定された場合であっても、その中には良品と同じような色彩を備えた異物が未だ混入しているため、これを除去する必要がある。
本実施形態においては、緑茶の製品の領域に入るすなわち上記六面体で囲まれた領域に入ると判定された選別対象物Wに対しては、さらに、近赤外領域や近紫外領域に感度を有する検知手段2awの出力を参照し、R、G及びB以外の別の波長成分AWの強度が通常良品の取り得る範囲内に属するか否かを第2の判定手段6Bを用いて判定している。このように、本実施形態の場合もRGB以外の別の波長成分AWの領域における反射光又は透過光特性の違いを利用して緑茶の製品の領域に入る異物を検出している。
[第3実施形態]
さらに、本発明の第3実施形態につき説明する。図6に示すブロック図は、本発明の第3実施形態の構成を示すものである。
[構成]
本実施形態の異物除去及び色彩選別装置は、上記第1実施形態の検知手段2、波長成分分離抽出手段7、第1の判定手段6A及び第2の判定手段6Bに代えて、
選別対象物Wを透過又は反射した光源1からの光を検知する第1の検知手段2Aのほか、
選別対象物Wを透過又は反射した光源1からの光の、R、G及びB以外の別の波長成分を分離抽出して検知する第2の検知手段2Bと、
第1の検知手段2Aに電気的に接続され、第1の検知手段2Aによって検知された光をR、G及びBの各波長成分毎に分離抽出する波長成分分離抽出手段7と、
この波長成分分離抽出手段7の各出力、そして記憶手段8に電気的に接続され、波長成分分離抽出手段7によって分離抽出されたR、G及びBの各波長成分の強度を上記3次元空間上にプロットし、記憶手段8に記憶された上記任意の領域内に属するか否かを判定する第1の判定手段6Aと、
この第1の判定手段6A及び第2の検知手段2Bに電気的に接続され、分離抽出された光のR、G及びBの各波長成分の強度が第1の判定手段6Aにより上記任意の領域内に属すると判定された場合、第2の検知手段2Bによって検知されたR、G及びB以外の別の波長成分AWの強度が良品の取り得る範囲内に属するか否かを判定する第2の判定手段6Bと、を備えてなるものである。
本実施形態の場合、選別対象物Wを透過又は反射した光源1からの光の、R、G及びB以外の別の成分の波長を分離抽出して検知する第2の検知手段2Bを別途備える点が第1実施形態の場合と異なる。
第1実施形態同様、検知手段2A及び2Bは選別対象物Wを透過又は反射した光源1からの光を検知するものである。検知手段2Aの具体的構成としてはカラーカメラ等公知の撮像デバイスとすることが挙げられる。同様に、検知手段2Bの具体的構成としては赤外線カメラや紫外線カメラ等公知の撮像デバイスとすることが挙げられる。検知手段2Aは波長成分分離抽出手段7を介して第1の判定手段6Aに電気的に接続されている一方、検知手段2Bは直接、第2の判定手段6Bに電気的に接続されている。
波長成分分離抽出手段7については、カラーカメラ等公知の撮像デバイスに既設する構成を其の儘利用することが挙げられる。
[動作]
ここで、本実施形態の異物除去及び色彩選別装置の概略動作につき説明するが、基本的には、第1実施形態の動作と同様である。
まずはじめに、緑茶の良品を数点、第1の検知手段2Aに検知させ、波長成分分離抽出手段7にR、G、Bの波長成分の強度を出力させる。そしてこれらのデータをR、G、Bを軸とした3次元空間にプロットし、プロットされた緑茶の良品の領域を六面体で囲い込んで記憶手段8に記憶する。六面体の一例については、第1実施形態の欄で説明した通りである。
こののち、装置をスタートさせてから先の処理の流れは第1実施形態及び第2実施形態の場合と同様である。すなわち、本実施形態でも、六面体で囲まれた領域以外の領域に入るものは、第1の判定手段6Aで全て不良品又は異物とみなして分離手段3により除去する。
また第1実施形態及び第2実施形態同様、第1の判定手段6Aによる判定の結果、上記六面体で囲まれた領域に入ると判定された場合であっても、その中には良品と同じような色彩を備えた異物が未だ混入しているため、これを除去する必要がある。
本実施形態においては、緑茶の製品の領域に入るすなわち上記六面体で囲まれた領域に入ると判定された選別対象物Wに対しては、さらに、第2の検知手段2Bの出力を参照し、R,G及びB以外の別の波長成分AWの強度が通常良品の取り得る範囲内に属するか否かを第2の判定手段6Bを用いて判定している。このように、本実施形態の場合もRGB以外の別の波長成分AWの領域における反射光又は透過光特性の違いを利用して緑茶の製品の領域に入る異物を検出、排除している。
[第4実施形態]
図7に示すブロック図は、本発明の第4実施形態の構成を示すものである。
以上、本発明の異物除去及び色彩選別装置の具体的な一例として第1実施形態〜第3実施形態を挙げ、その構成及び動作について説明を行った。これらから導き出される通り、要するに本発明の異物除去及び色彩選別装置は、
選別対象物W中の良品が取り得るR、G及びB並びにこれら以外の別の波長成分(便宜上、AWと表記)の強度から決定される、各波長成分毎又はそれらの一部若しくは全部の組み合わせからなる任意の領域を予め記憶する記憶手段8と、
順次送り出される選別対象物Wを照射する光源1と、
選別対象物Wを透過又は反射した光源1からの光を検知する検知手段2と、
この検知手段2及び記憶手段8に電気的に接続され、検知手段2によって検知された光のR、G及びB並びに上記別の波長成分AWの強度が上記任意の領域内に属しているか否かを判定する判定手段6と、
この判定手段6に電気的に接続され、上記透過又は反射光のR、G若しくはB又は上記別の波長成分AWの強度の何れかが上記任意の領域内に属しないと判断された場合、その選別対象物を他の選別対象物から分離する分離手段3と、
を備えたことを特徴とするものである。かかる総括的な構成としても、本発明を十分実施することが可能である。方法についても同様である。
本実施形態の場合、検知手段2については、R、G及びB並びにこれら以外の別の波長成分AWを検知できる構成であれば良い。したがって、例えばカラーカメラと赤外線或いは紫外線カメラとの組み合わせ等、一又は複数の公知の撮像デバイスのほか、R、G及びB並びにこれら以外の別の波長成分AWのそれぞれの波長で感度を持つセンサ(例えばCCDイメージセンサやCMOSイメージセンサ等)など、上記各例でも挙げた適宜構成を採用し得る。
本実施形態では、記憶手段8は、R、G、Bの各成分と、これら以外の別の波長成分AWに関して、良品の採り得る領域を記憶する。このとき、R、G、Bの各成分と、これら以外の別の波長成分AWに分けて記憶するなど、記憶手段8へ記憶する体裁に関しては適宜構成を採用し得る。したがって、上記各例でも挙げた、データをR、G、Bを軸とした3次元空間にプロットする手法で、R、G、Bの波長成分に関し良品が採り得る範囲のデータを記憶するのに加えて、これとは別にR、G、B以外の別の波長成分AWに関し良品が採り得る範囲のデータを記憶しておく体裁が一例として挙げられる(図7の判定手段6のブロック参照)。
その他、R、G、B各成分のデータを記憶手段に記憶する体裁としては、色相及び明度を夫々X,Y軸とする計算上の2次元平面にあらわされる、良品が採り得るR、G及びBの波長成分の強度から決定される計算上の任意の領域を記憶する例が挙げられる(図7の判定手段6のブロック参照)。R、G、B各成分のデータから色相及び明度を導出する手法については、適宜従来知られたものを採用し得る。
これら以外にも、良品が採り得るR、G、B、AW各成分の強度を記憶手段8に記憶しておき、それらを検知手段2からの出力と逐一照合する手法等、記憶手段8と判定手段6については適宜構成を採用し得る(図7参照)。
上記検知手段2と記憶手段8に電気的に接続された判定手段6は、検知手段2からの出力と記憶手段8に記憶されている内容とを用いて、検知手段2によって検知された光のR、G及びB並びに上記別の波長成分AWの強度が上記良品の採り得る領域内に属しているか否かを判定する。すなわち、上記各例同様、判定手段6では、検知手段2によって検知された選別対象物Wからの透過光又は反射光を、記憶手段8に記憶されている上記良品の採り得る領域を閾値として解析し、その結果に応じて当該選別対象物Wの良否を判定している。本実施形態の場合も、マイクロコンピュータ等から判定手段6を構成することが可能である。
以上、上記各例を用いて説明したとおり、本発明によれば種々の選別対象物中に含まれる異物を精度良く除去することが出来、異物の除去工程を完全に自動化することが出来る。さらに本発明によれば、異物除去に加えて色彩選別を同時に、かつ高速に行うことが出来る。
又以下では、上で説明した基本検出原理及び検出系を適用して実際に異物除去及び色彩選別装置を構成した一例につき説明する。図8に、本発明の異物除去及び色彩選別装置の一実施例を示す。図示した構成では、検出系として先に第3実施形態又は第4実施形態として示したものを用い得る。本実施例では、基本構成となる異物除去及び色彩選別の検出系として第3実施形態として示したものを用いている(図6参照)。
[構成]
図8に示す通り、本実施例の異物除去及び色彩選別装置50は、選別対象物Wを一定の方向に飛び出させる為水平方向に対して一定角度傾斜させたシュート14と、順次送り出される選別対象物Wを照射する光源11F、11Rと、選別対象物Wを透過又は反射した光源11F、11Rからの光を検知する第1の検知手段12F、第2の検知手段12Rと、第1の検知手段12F及び第2の検知手段12Rに接続され、順次送り出される選別対象物Wが良品P1、不良品P2又は異物Fの何れであるかを判定するための不図示の信号処理系(図6に示す記憶手段8、波長成分分離抽出手段7、及び判定手段6)と、信号処理の結果不良品P2又は異物Fが検出された際これらに圧縮空気を噴射して不良品P2又は異物Fを良品P1と選別するための分離手段13とから成り、これらはフレーム10又は機器収納函15に適宜ステーを介して備え付けられている。
さらに、フレーム10の上方には、選別対象物Wをシュート14の上端に供給する供給手段9たる電磁フィーダが、フレーム10の下部には、良品P1を排出する良品出口E3と、分離手段13によって吹き飛ばされた異物Fや不良品P2を排出、回収するための異物又は不良品出口E4とが夫々備えられている。
又第1の検知手段12F、第2の検知手段12R及び分離手段13はシュート14の先端より適当な間隔を開けた位置の、選別対象物Wの落下軌道の上側又は下側に取り付けられている。
尚、信号処理系を構成する各要素は、基板上に実装された状態で、フレーム10の一部、機器収納函15の内部又は機外に備え付けられている。
シュート14は、選別対象物Wの供給幅に相応する平面部を備えた平面シュートとして形成されている。フレーム10の上方には供給手段9が設けられていて、シュート14の上端から選別対象物Wをシュート14の幅方向に略均等に落下供給するようになっている。
本実施例の異物除去及び色彩選別装置においては、検出系の構成及び動作は先の第3実施形態の欄で説明した通りである(図6参照)。すなわち、シュート14を滑り落ちてシュートの下端部から飛び出した選別対象物Wを第1の検知手段12F及び第2の検知手段12Rによって個々に検査して、第1の検知手段12F及び波長成分分離抽出手段7により色を瞬時に判断し、判断したその色(R、G、B夫々の波長成分の強度)が、予め記憶手段8に記憶されている良品の取り得る任意の領域内に入るか否かを第1の判定手段6Aに於いて先ず判定した上、緑茶の良品の領域すなわち上記六面体で囲まれた領域に入ると判定された選別対象物Wに対しては、さらに、選別対象物Wを透過又は反射した光源11R(又は11F)からの光の、R、G及びB以外の別の波長成分AWを分離抽出して検知する第2の検知手段12Rの出力を参照し、R,G及びB以外の別の波長成分AWの強度が通常良品の取り得る範囲内に属するか否かを第2の判定手段6Bを用いて判定している。そして、第1の判定手段6A又は第2の判定手段6Bで不良品又は異物である旨の判定を受けた場合には、その選別対象物Wを分離手段13を用いて吹き飛ばして良品から分離している。吹き飛ばされた不良品P2又は異物Fは、良品P1が辿る軌道とは異なる軌道を辿って落下し、異物又は不良品出口E4から排出、回収される。これら一連の動作は、例えばmsまたはμsオーダーレベルの瞬時に行われる。すなわち、本実施例では、判定手段6で不良と判定された時点で瞬間に、殆ど時間遅れなく分離手段13を駆動して異物F又は不良品P2を通常の落下軌道とは異なる軌道に吹き飛ばし、確実に良品P1と不良品P2又は異物Fとを選別する様にしている。
本実施例では、第1の検知手段12FにはCCDカラーカメラが、第2の検知手段12Rには赤外線カメラが用いられており、これらはシュート14直下にあって当該シュートの幅方向全域に相当する撮像領域の監視を行なっている。
ここで、分離手段13は、シュート14の幅方向に多数配置された噴射孔を有するイジェクタ(図8に例示)のほか、それら噴射孔の夫々に接続された複数の電磁弁と、各電磁弁に圧縮空気を供給する空気圧送ポンプと、判定手段6からの指令を受けて上記電磁弁の駆動を司るイジェクタ制御、駆動回路(何れも不図示)により構成されている。本実施形態では、判定手段6の便宜のため、シュート14下方にある選別対象物Wの幅方向の落下範囲を、第1の検知手段12FたるCCDカラーカメラのシュート幅方向における画素の配列等に対応して所定数実質上均等に区分した上、当該区分毎に噴射孔を、シュート14から落下して来る選別対象物Wに向けて配置している。夫々の噴射孔及びこれに接続された電磁弁は、判定手段6からの指令に基づき独立に開弁して圧縮空気を噴射し得る様になっている。
上記したとおり、本実施例の装置は選別対象物を透過又は反射した光源からの光をR、G、B並びにこれら以外の別の波長成分に分離し、これら各波長成分を組み合わせて異物又は不良品判定に利用する構成を採っていることから、緑茶や紅茶、ウーロン茶等の選別対象物と同じ色の鉱物、金属、樹脂等の異物であっても、RGB以外の別の波長成分AWの領域における反射光又は透過光特性の違いを利用してこれらを確実に良品から分離することが可能である。
又本実施例は、検出系以外の概略構成が茶葉中の茎その他の不良品を除去するための一般的な色彩選別機と同じであり、上記した異物除去のほか、原料中に含まれる不良品を色彩選別により良品から分離除去することが可能である。従って本発明によれば、異物除去と色彩選別を同時に1台の自動機で行うことが出来るので、コスト面、スペース面で大幅な節約が可能となる。
又以下では、図9に基づき、本発明の異物除去及び色彩選別装置の別の実施例につき説明する。図9は本実施例の異物除去及び色彩選別装置の概略を示す中央側断面図である。
図9に示す通り、本実施例では、シュート、検査手段及び分離手段が2段縦続接続されている。
すなわち、本実施例に係る異物除去及び色彩選別装置は、選別対象物Wを一定の方向に飛び出させる為水平方向に対して一定角度傾斜させたシュート14、24と、シュート14、24から順次落下する選別対象物Wに光を照射するための光源11F、11R、21と、選別対象物Wを透過又は反射した光源11F、11R、21からの光を検知する為の検知手段12F、12R、22と、検知手段12F、12R、22に接続され、検知手段からの信号を解析して異物又は不良品の有無を検出するための判定手段を含む不図示の信号処理系と、判定手段によって異物又は不良品が検出された際その異物又は不良品に圧縮空気を噴射して異物又は不良品を良品と選別するための分離手段13、23とから成っている。
実施例1同様、図9に示した構成では、上段側については検出系として先に第3実施形態又は第4実施形態として示したものを用い得る。第3実施形態の検出系とする場合、その詳細な構成は実施例1の欄で示した通りである。一方、第4実施形態の検出系とする場合の構成及び動作は次の通りである。以下、図7を参照しながら説明する。
すなわち、上段側のシュート14を滑り落ちてシュートの下端部から飛び出した選別対象物Wを検知手段2(第1の検知手段12F及び第2の検知手段12Rからなる)によって個々に検査して、R、G、B並びにこれら以外の別の波長成分の強度を瞬時に把握し、各成分の強度が、予め記憶手段8に記憶されている良品の取り得る任意の領域内に入るか否かを判定手段6に於いて判定し、このとき、何れかの波長成分が上記任意の領域に属さず、不良品又は異物であると判定した場合には、その選別対象物Wを分離手段13を用いて吹き飛ばして良品から分離している。吹き飛ばされた不良品P2又は異物Fは、異物又は不良品出口E4から排出、回収される。分離除去されなかった選別対象物Wは、下段側のシュート24を滑落して、下段側の検出系で再び検査される。
実施例1と同様に、本実施例では、第1の検知手段12FにはCCDカラーカメラが、第2の検知手段12Rには赤外線カメラが用いられており、これらはシュート14直下にあって当該シュートの幅方向全域に相当する撮像領域の監視を行なっている。分離手段13の構成は、実施例1の欄で説明した通りである。
下段側については、従来知られた色彩選別装置と同じ働きをさせることも可能であるが、本実施例では下段側に、先に第1実施形態として示した検出系を構成している。すなわち、選別対象物Wの落下軌道の上側に備えられた検知手段22には、図1に示す記憶手段8、波長成分分離抽出手段7及び判定手段6からなる不図示の信号処理系が接続されている。
実施例1と同様に、本実施例によれば、種々多様な選別対象物に関する異物除去作業を完全に自動化することが出来、かつ、異物除去と同時に色彩選別をも実施し得る装置を得ることが出来る。
また、シュート、検査手段及び分離手段の組み合わせを多段縦続接続することで、最終的に良品として良品出口E3から排出、回収される原料中に不良品等が混入する確率を更に低減することが可能となる。
さらに、図10に基づき、本発明の異物除去及び色彩選別装置の更なる別の実施例につき説明する。図10は本実施例の異物除去及び色彩選別装置の主要構成部分を抜き出して示した斜視図である。
実施例1及び実施例2の上段側と同様、図示した構成では、異物除去及び色彩選別の検出系として先に第3実施形態又は第4実施形態として示したものを用い得る。なお、第3実施形態の検出系とする場合、その詳細な構成は実施例1の欄で示した通りであり、第4実施形態の検出系とする場合、その詳細な構成は実施例2の欄で示した通りである。本実施例では、第3実施形態として示した検出系を用いている(図6参照)。
本実施例の異物除去及び色彩選別装置50を用いて選別を行なう選別対象物Wとしては、仕上茶、荒茶等の目の比較的粗い緑茶はもとより、碾茶や深蒸し茶等、目が比較的細かい、或いは粉状になった部分の多い緑茶等をも含めたあらゆる形状の緑茶のほか、青のりやバジル等、目が比較的細かく、しかも薄くて質量が微小な選別対象物であって跳ね返り係数の少ないものが挙げられる。
本実施例に係る装置は、従来自動機による異物除去や色彩選別を行うことが出来なかった上記の選別対象物に関する異物除去作業を完全に自動化することが出来、かつ、異物除去と同時に色彩選別をもなし得るものである。その様な作用効果を実現すべく、本実施例に係る装置では、以下に説明する通りシュート4の勾配が従来より急になっているほか、シュート4の表面にカバー31が備えられている。
[構成]
図10に示す通り、本実施例の異物除去及び色彩選別装置50は、選別対象物Wを一定の方向に飛び出させる為水平方向に対して一定角度傾斜させたシュート4と、シュート4の表面に対して所定間隔をあけて設けられた、シュート4の表面の少なくとも一部を覆うカバー31と、順次送り出される選別対象物Wを照射する不図示の光源と、選別対象物Wを透過又は反射した光源からの光を検知する第1の検知手段2A、第2の検知手段2Bと、第1の検知手段2A及び第2の検知手段2Bに接続され、順次送り出される選別対象物が良品P1、不良品P2又は異物Fの何れであるかを判定するための不図示の信号処理系(図6に示す記憶手段8、波長成分分離抽出手段7、及び判定手段6)と、信号処理の結果不良品P2又は異物Fが検出された際これらに圧縮空気を噴射して不良品P2又は異物Fを良品P1から分離除去するためのイジェクタ3Aを含む分離手段3とから成り、これらは不図示のフレーム等に適宜ステーを介して備え付けられている。又第1の検知手段2A、第2の検知手段2B及び分離手段3のイジェクタ3Aは、シュート4の先端より適当な間隔を開けた位置の、選別対象物Wの落下軌道の上側に取り付けられている。本実施例でも、第1の検知手段2AはCCDカラーカメラからなり、第2の検知手段2Bは赤外線カメラからなっている。撮像領域等については実施例1の欄で説明した通りである。
シュート4は、選別対象物Wの供給幅に相応する平面部を備えた平面シュートとして形成されている。シュート4の始端部の上方には不図示の供給手段が設けられていて、ここから選別対象物Wをシュート4の幅方向に略均等に落下供給するようになっている。
本実施例の場合、水平面に対するシュート4の傾斜角αは、好ましくは60°〜85°とされる。特に、65°〜75°程度が好ましい。このとき、仮令シュート4上に選別対象物Wが滞留していたとしても、それは次々にやって来る選別対象物Wによって押し流されるため、選別対象物Wは全体として円滑に下方に向かって滑り落ちて行く。
次に、カバー31は、シュート4の表面から浮き上がってしまった選別対象物Wの落下軌道の幅を狭めて選別対象物Wが確実に、シュート4の表面に沿って滑り落ちて行く様にすることを主な目的とするものである。即ち選別対象物Wが、目が比較的細かく、しかも薄くて質量が微小なものである場合、選別対象物Wがシュート4の上端から下方に向かって滑り落ちて行く際にシュート4の表面から浮き上がってしまったりする場合があるところ、これを抑えるためにカバー31が用いられる。又その様な選別対象物Wの場合、跳ね返り係数も小さいため、たとえシュート4の表面から浮き上がって来たとしても、一度カバー31によって抑えられればその儘、選別対象物Wはシュート4の表面に沿って下方に向かって滑り落ちて行く。図10に示される通り、カバー31の内面とシュート4の表面との間の距離はシュート4の側面の高さよりも狭く設定されるが、選別対象物Wに応じて適宜、選別対象物Wが詰まらない程度の値に調整される。尚図10に示される一例では、カバー31は、シュート4の幅方向全域を、及びシュート4の上端から所定距離下方側に向かった位置からシュート4の下端までを覆うかたちで形成された平板かつ硬質な板状体からなっている。本実施例では、カバー31は種々の金属、或いはプラスチック、アクリル又はポリカーボネートその他のものからなっている。又カバー31上端部分におけるカバー31の内面とシュート4の表面との間の距離は、カバー31下方側におけるカバー31の内面とシュート4の表面との間の距離に比較して、カバー31上端部分に向かうほど徐々に拡がるかたちに形成されている。したがって、カバー31が上記形状を有することによって、シュート4の上方から選別対象物Wを供給し易くなっていると共に、シュート4上に供給された選別対象物Wがシュート4の表面から浮き上がって来た場合にこれを抑え易くなっている。
実施例1及び実施例2と同様に、本実施例によれば、種々多様な選別対象物に関する異物除去作業を完全に自動化することが出来、かつ、異物除去と同時に色彩選別をも実施し得る装置を得ることが出来る。
又本実施例によれば、シュートの勾配を、選別対象物が静電気の影響を受けてシュート上に滞留しない程度にまで急なものとすることが出来、碾茶や深蒸し茶等、目が比較的細かい、或いは粉状になった部分の多い緑茶であっても、精度良く処理することが可能になる。選別対象物を検査部に送り出す速度を高める事が出来ることから、機械全体としての処理能力を高めることも可能である。尚処理能力の優否は、一例として単位時間当たりに選別可能な選別対象物の量によって決められる。
かくして、上記各実施例によれば、従来装置では決して得られなかった有利な作用効果を得ることが可能となる。
[変形例]
尚本発明は、上記各例記載の構成に限定されず、種々の設計変更が可能である。
例えば、上記各例では茶葉を選別対象物として各構成要素や動作の説明を行ったが、本発明の方法及び装置は茶葉に限らず種々様々な対象物を処理することが可能である。
上記各例では不良品をイジェクタを用いて吹き飛ばしているが、逆に良品を吹き飛ばす構成としても構わない。
又上記各例では、本発明装置による処理後の良品P1、不良品P2又は異物Fはそれぞれ、良品出口E3或いは異物又は不良品出口E4より排出、回収されるが、これら良品等を実際に回収する手段については、従来公知の回収箱でも良いほか、例えば回収された良品P1を次工程へ、不良品P2又は異物Fを廃棄設備へ搬送する振動コンベアやベルトコンベア等の搬送手段であっても良い。
上記各例では、R、G、B以外の別の波長成分AWを近赤外領域のものとして各構成要素や動作の説明を行ったが、この波長成分AWは近赤外領域のものに限らず近紫外領域のものであっても良い。さらに、R、G、B以外の別の波長成分AWについては、近赤外領域又は近紫外領域の何れか一成分に限らず、双方を用いる構成としても良い。この場合であっても、選別対象物を透過又は反射した光の近赤外領域又は近紫外領域の何れか一成分の強度が、予め定めた良品のとり得る範囲(閾値等)に属しないものを、不良品又は異物とみなして除去すればよい。選択される成分の具体的な波長についても、200nm〜380nmの間、又は700nm〜2000nmの間の任意の値であればそれで構わない。
その他、第4実施形態の記憶手段8に記憶される良品データの体裁は、図7記載の構成に限定されない。要するに、R、G及びB並びにこれら以外の別の波長成分の、各波長成分毎又はそれらの一部若しくは全部の組み合わせから構成されていれば良い。判定手段6に入力される検出データの体裁ついても同様である。
上記実施例1〜実施例3では、基本構成となる異物除去及び色彩選別の検出系として、先に第3実施形態若しくは第4実施形態又は第1実施形態として示したものを用いているが、各装置に第2実施形態として示した検出系を構成しても勿論構わない。
上記各実施例に挙げた第1の検知手段2Aについても、CCDカラーカメラに限定されず、上記第1実施形態又は第3実施形態の欄で説明したとおり公知の撮像デバイスのほか、色彩情報を認識するカラーセンサやフォトダイオードとすることが出来る。
又、除電装置を実施例1〜3に示す供給手段の更に上方に備えて選別対象物の帯電を緩和することにより、選別対象物をより円滑にシュートの上端から下方に向かって滑り落とすことが出来、異物除去及び色彩選別の精度をより高めることが出来る。
次に、シュート及びカバーの形状や大きさその他に関しても、上記各実施例における記載に限定されず、種々の設計変更をなし得る。
その他、上記実施例2では上下2段にシュートを設けているが、シュートの段数はこれに限定されず、3段以上の複数段構成であっても構わない。又上記実施例2では、選別対象物Wを上段と下段で処理する構成となっているところ、同じ異物除去及び色彩選別処理を上段と下段で繰り返して行なうほか、上段と下段で判定基準が異なる異物除去及び色彩選別処理を行なったりして、より確実な異物除去及び色彩選別処理を適宜企図して構わない。
以上説明したとおり、本願発明は、軽薄微小なものを含め種々多様な選別対象物に関する異物除去作業を完全に自動化することが出来、かつ、異物除去と同時に色彩選別をも実施し得る方法及び装置を提供する、新規かつ有用なるものであることが明らかである。
本発明の第1実施形態の構成を示すブロック図である。 本発明の異物除去及び色彩選別を行うための手法の基本検出原理の一例を示す図である。 茶葉と数種の異物を並べて撮像した際の、可視光領域及び近赤外領域における相対輝度レベルを示す図である。 茶葉と数種の異物を並べて撮像した際の、可視光領域及び近赤外領域における相対輝度レベルを示す図である。 本発明の第2実施形態の構成を示すブロック図である。 本発明の第3実施形態の構成を示すブロック図である。 本発明の第4実施形態の構成を示すブロック図である。 本発明の異物除去及び色彩選別を行うための装置の一実施例の中央側断面図である。 本発明の異物除去及び色彩選別を行うための装置の別の実施例の中央側断面図である。 本発明の異物除去及び色彩選別を行うための装置の更に別の実施例の中央側断面図である。 従来知られた異物除去方法及び装置の概要を示す図である。
符号の説明
D 検出部
E1 原料出口
E2 異物出口
E3 良品出口
E4 異物又は不良品出口
E5 不良品出口
F 異物
L 光源
P 原料
P1 良品
P2 不良品
P3 ベルトに付着した原料
P4 原料出口まで飛びきれなかった原料
T ベルトコンベア
V イジェクタ
W 選別対象物
1、11A、11B、21 光源
2、22 検知手段
2A、2B 第1、第2の検知手段
2r、2g、2b 赤色、緑色、青色成分検知手段
2aw R、G、B以外の別の波長成分検知手段
3、13、23 分離手段
3A イジェクタ
3B イジェクタ制御、駆動回路
4、14、24 シュート
6、16、26 判定手段
6A、6B 第1、第2の判定手段
7 波長成分分離抽出手段
8 記憶手段
9 供給手段
10 フレーム
12A、12B 第1、第2の検知手段
15、25 機器収納函
30 反射板
31 カバー
50 異物除去及び色彩選別装置

Claims (10)

  1. 良品及び不良品からなる原料中に、前記原料以外の異物をも包含する選別対象物から、前記異物又は前記不良品を分離除去するための方法であって、
    前記良品の取り得るR、G及びB並びにこれら以外の別の波長成分の強度から決定される、各波長成分毎又はそれらの一部若しくは全部の組み合わせからなる任意の領域を記憶手段を用いて予め記憶し、
    順次送り出される前記選別対象物を光源を用いて照射し、
    前記選別対象物を透過又は反射した前記光源からの光を検知手段を用いて検知し、
    前記検知手段によって検知された光のR、G及びB並びに前記別の波長成分の強度が前記任意の領域内に属しているか否かを判定手段を用いて判定し、
    前記透過又は反射光のR、G若しくはB又は前記別の波長成分の強度の何れかが前記任意の領域内に属しないと判断された場合、その選別対象物を他の選別対象物から分離手段を用いて分離する、
    工程を含むことを特徴とする異物除去及び色彩選別を行うための方法。
  2. 前記R、G及びB以外の別の波長成分が、200nm〜380nmの間、又は700nm〜2000nmの間の任意の値から選ばれることを特徴とする請求項1に記載の異物除去及び色彩選別を行うための方法。
  3. 良品及び不良品からなる原料中に、前記原料以外の異物をも包含する選別対象物から、前記異物又は前記不良品を分離除去するための装置であって、
    前記良品の取り得るR、G及びB並びにこれら以外の別の波長成分の強度から決定される、各波長成分毎又はそれらの一部若しくは全部の組み合わせからなる任意の領域を予め記憶する記憶手段と、
    順次送り出される前記選別対象物を照射する光源と、
    前記選別対象物を透過又は反射した前記光源からの光を検知する検知手段と、
    前記検知手段及び前記記憶手段に電気的に接続され、前記検知手段によって検知された光のR、G及びB並びに前記別の波長成分の強度が前記任意の領域内に属しているか否かを判定する判定手段と、
    前記判定手段に電気的に接続され、前記透過又は反射光のR、G若しくはB又は前記別の波長成分の強度の何れかが前記任意の領域内に属しないと判断された場合、その選別対象物を他の選別対象物から分離する分離手段と、
    を備えたことを特徴とする異物除去及び色彩選別装置。
  4. 良品及び不良品からなる原料中に、前記原料以外の異物をも包含する選別対象物から、前記異物又は前記不良品を分離除去するための装置であって、
    R、G及びB各色を夫々X,Y,Z軸とする計算上の3次元空間にプロットされた、前記良品の取り得るR、G及びBの波長成分の強度から決定される計算上の任意の領域を予め記憶する記憶手段と、
    順次送り出される前記選別対象物を照射する光源と、
    前記選別対象物を透過又は反射した前記光源からの光を検知する検知手段と、
    前記検知手段に電気的に接続され、前記検知手段によって検知された光をR、G及びB並びにこれら以外の別の波長成分に、成分毎に分離抽出する波長成分分離抽出手段と、
    前記波長成分分離抽出手段のR成分、G成分及びB成分の各出力、並びに前記記憶手段に電気的に接続され、前記波長成分分離抽出手段によって分離抽出されたR、G及びBの各波長成分の強度を前記3次元空間上にプロットし、前記記憶手段に記憶された前記任意の領域内に属するか否かを判定する第1の判定手段と、
    前記第1の判定手段及び前記波長成分分離抽出手段のR、G、B以外の別の波長成分出力に電気的に接続され、分離抽出された前記光のR、G及びBの各波長成分の強度が前記第1の判定手段により前記任意の領域内に属すると判定された場合、同時に分離抽出されていた前記R,G及びB以外の別の波長成分の強度が前記良品の取り得る範囲内に属するか否かを判定する第2の判定手段と、
    前記第1の判定手段及び前記第2の判定手段に電気的に接続され、前記第1の判定手段によりR、G若しくはBの各波長成分の強度が前記任意の領域内に属しないと判断された場合、又は前記第2の判定手段により前記R、G及びB以外の別の波長成分の強度が前記良品の取り得る範囲内に属しないと判断された場合に、その選別対象物を他の選別対象物から分離する分離手段と、
    を備えたことを特徴とする異物除去及び色彩選別装置。
  5. 良品及び不良品からなる原料中に、前記原料以外の異物をも包含する選別対象物から、前記異物又は前記不良品を分離除去するための装置であって、
    R、G及びB各色を夫々X,Y,Z軸とする計算上の3次元空間にプロットされた、前記良品の取り得るR、G及びBの波長成分の強度から決定される計算上の任意の領域を予め記憶する記憶手段と、
    順次送り出される前記選別対象物を照射する光源と、
    前記選別対象物を透過又は反射した前記光源からの光をR、G及びB並びにこれら以外の別の波長成分に、成分毎に分離抽出する波長成分分離抽出手段と、
    前記波長成分分離抽出手段の各出力に電気的に接続され、前記波長成分分離抽出手段によって分離抽出された各波長成分毎の光を夫々検知する複数の検知手段と、
    前記検知手段のR、G及びBの各成分の出力、並びに前記記憶手段に電気的に接続され、前記複数の検知手段によって検知されたR、G及びBの各波長成分の強度を前記3次元空間上にプロットし、前記記憶手段に記憶された前記任意の領域内に属するか否かを判定する第1の判定手段と、
    前記第1の判定手段及び前記検知手段のR、G、B以外の別の波長成分出力に電気的に接続され、検知された前記光のR、G及びBの各波長成分の強度が前記第1の判定手段により前記任意の領域内に属すると判定された場合、同時に検知されていた前記R、G及びB以外の別の波長成分の強度が前記良品の取り得る範囲内に属するか否かを判定する第2の判定手段と、
    前記第1の判定手段及び前記第2の判定手段に電気的に接続され、前記第1の判定手段によりR、G若しくはBの各波長成分の強度が前記任意の領域内に属しないと判断された場合、又は前記第2の判定手段により前記R、G及びB以外の別の波長成分の強度が前記良品の取り得る範囲内に属しないと判断された場合に、その選別対象物を他の選別対象物から分離する分離手段と、
    を備えたことを特徴とする異物除去及び色彩選別装置。
  6. 良品及び不良品からなる原料中に、前記原料以外の異物をも包含する選別対象物から、前記異物又は前記不良品を分離除去するための装置であって、
    R、G及びB各色を夫々X,Y,Z軸とする計算上の3次元空間にプロットされた、前記良品の取り得るR、G及びBの波長成分の強度から決定される計算上の任意の領域を予め記憶する記憶手段と、
    順次送り出される前記選別対象物を照射する光源と、
    前記選別対象物を透過又は反射した前記光源からの光を検知する第1の検知手段と、
    前記選別対象物を透過又は反射した前記光源からの光の、R、G及びB以外の別の波長成分を分離抽出して検知する第2の検知手段と、
    前記第1の検知手段に電気的に接続され、前記第1の検知手段によって検知された光をR、G及びBの各波長成分毎に分離抽出する波長成分分離抽出手段と、
    前記波長成分分離抽出手段の各出力及び前記記憶手段に電気的に接続され、前記波長成分分離抽出手段によって分離抽出されたR、G及びBの各波長成分の強度を前記3次元空間上にプロットし、前記記憶手段に記憶された前記任意の領域内に属するか否かを判定する第1の判定手段と、
    前記第1の判定手段及び前記第2の検知手段に電気的に接続され、分離抽出された前記光のR、G及びBの各波長成分の強度が前記第1の判定手段により前記任意の領域内に属すると判定された場合、前記第2の検知手段によって検知された前記R、G及びB以外の別の波長成分の強度が前記良品の取り得る範囲内に属するか否かを判定する第2の判定手段と、
    前記第1の判定手段及び前記第2の判定手段に電気的に接続され、前記第1の判定手段によりR、G若しくはBの各波長成分の強度が前記任意の領域内に属しないと判断された場合、又は前記第2の判定手段により前記R、G及びB以外の別の波長成分の強度が前記良品の取り得る範囲内に属しないと判断された場合に、その選別対象物を他の選別対象物から分離する分離手段と、
    を備えたことを特徴とする異物除去及び色彩選別装置。
  7. 前記R、G及びB以外の別の波長成分が、200nm〜380nmの間、又は700nm〜2000nmの間の任意の値から選ばれることを特徴とする請求項3〜6の何れか1項に記載の異物除去及び色彩選別装置。
  8. さらに、
    水平面に対して所定の傾斜角を付けて設けられ、その上部から下方に向かって滑り落とされる前記選別対象物を所定方向に飛び出させて順次送り出すシュートと、
    前記シュートの表面に対して所定間隔をあけて設けられ、前記シュートの表面の少なくとも一部を覆うカバーと、
    前記シュートの上部に前記選別対象物を供給する供給手段と、
    を備えたことを特徴とする請求項3〜7の何れか1項に記載の異物除去及び色彩選別装置。
  9. 前記シュートは前記選別対象物の供給幅に相応する幅を有する平面シュートとして形成されており、
    前記カバーは、前記シュートの表面に対して所定間隔をあけて設けられ、前記シュートの少なくとも一部を覆う板状体からなり、前記選別対象物の滑落軌道を規制して前記選別対象物が前記シュートの表面に沿って滑り落ちて行く様構成されたことを特徴とする請求項8に記載の異物除去及び色彩選別装置。
  10. 水平面に対する前記シュートの傾斜角が60°以上85°以下であることを特徴とする請求項8又は9に記載の異物除去及び色彩選別装置。
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