JP2007005541A - 投影光学系の検査装置、及び投影光学系の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 投影光学系の光学特性をより正確に且つ容易に検査することができる投影光学系の検査装置、及び当該投影光学系の製造方法を提供する。
【解決手段】 干渉計装置3は、基準レンズ37により光源1から射出される光から、測定光及び参照光を生成し、投影光学系PLを介した測定光と参照光とを干渉させて投影光学系PLの光学性能を検査する。調整装置2は、投影光学系PLの瞳面と共役な面に配置された点回折ピンホール30に入射する光束を傾けることにより、投影光学系PLの瞳面における光量分布を所定の分布に設定する。
【選択図】 図3
【解決手段】 干渉計装置3は、基準レンズ37により光源1から射出される光から、測定光及び参照光を生成し、投影光学系PLを介した測定光と参照光とを干渉させて投影光学系PLの光学性能を検査する。調整装置2は、投影光学系PLの瞳面と共役な面に配置された点回折ピンホール30に入射する光束を傾けることにより、投影光学系PLの瞳面における光量分布を所定の分布に設定する。
【選択図】 図3
Description
本発明は、投影光学系の検査装置、及び投影光学系の製造方法に係り、特にリソグラフィー工程において用いられてマスクに形成されたパターンの像を基板に投影する露光装置に設けられる投影光学系の検査装置、及び投影光学系の製造方法に関する。
半導体素子、撮像素子、液晶表示素子、又は薄膜磁気ヘッド等のマイクロデバイスの製造においては、マスクやレチクル(以下、これらを総称する場合はマスクという)に形成されたパターンの像をフォトレジスト等の感光剤が塗布されたウェハやガラスプレート等(以下、これらを総称する場合は基板という)に転写する露光装置が用いられる。露光装置は、例えば極めて微細なパターンが形成される半導体素子等を製造する場合に多用されるステッパー等の一括露光型の投影露光装置と、例えば大面積の液晶表示素子を製造する場合に多用されるステップ・アンド・スキャン方式等の走査露光型の投影露光装置とに大別されるが、通常これらの露光装置の何れもがマスクのパターン像を基板に転写するための投影光学系を備える。
一般的にマイクロデバイスは複数のパターンが層状に形成されて製造されるため、露光装置を用いてマイクロデバイスを製造する際には、投影されるマスクのパターン像と基板上に既に形成されているパターンとの正確な位置合わせを行った上で、マスクのパターン像を高解像度で忠実に基板上へ投影しなければならない。従って、投影光学系は収差が良好に抑えられ、高い解像度を有する極めて優れた光学性能が要求される。
投影光学系の解像度を高めるためには、露光時にマスクを照明する照明光を短波長化するとともに、投影光学系の開口数(N.A.)を高く設定する必要がある。照明光を短波長化すると、投影光学系のレンズとして使用することができる硝材が制限されるため、投影光学系の設計の自由度が低下するとともに、投影光学系自体が高価になってしまう。そこで、近年においては、投影光学系と基板との間に気体(空気又は窒素ガス)よりも屈折率の高い液体を充満させることで解像度を向上させた液浸式の投影光学系が案出されている。以下の特許文献1には、液浸式の投影光学系の光学性能を検査する検査装置が開示されている。
国際公開第05/010960号パンフレット
ところで、上記の特許文献1に開示された検査装置を用いて投影光学系の光学性能を検査する場合に、投影光学系の特性上、投影光学系の瞳面(投影光学系の物体面又は像面に対する光学的フーリエ変換面)において、その中心部で得られる光量よりも周辺部の光量が低下して光量むらが生じてしまうことがある。この光量むら(瞳面の中心部の光量と周辺部の光量との差)が検査装置に設けられるセンサのダイナミックレンジを越えると、計測波面の一部が欠けてしまって正確な計測を行うことができないという問題が生ずる。また、光量むらによって干渉縞のコントラストが悪化する箇所が生じてしまい、これによっても正確な計測を行うことができないという問題が生ずる。
上記の光量むらは投影光学系の高N.A.化によるものと考えられるが、今後設計される投影光学系は解像度の向上のためにN.A.がより高く設定されると予測される。このため、投影光学系の瞳面における光量むらは現状よりも悪化する虞がある。また、投影光学系の性能を向上させるために、屈折光学素子のみを用いたジオプトリック系ではなく、反射光学素子と屈折光学素子とを有する反射屈折系(カタッディオプトリック系)として投影光学系を設計することも検討されている。この反射屈折系の投影光学系では、開口数(NA)を大きくできるが、その分だけ余計に上記の光量むらが生ずる可能性がある。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、投影光学系の光学特性をより正確に且つ容易に検査することができる投影光学系の検査装置、及び当該投影光学系の製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、実施の形態に示す各図に対応付けした以下の構成を採用している。但し、各要素に付した括弧付き符号はその要素の例示に過ぎず、各要素を限定するものではない。
上記課題を解決するために、本発明の検査装置は、測定光を射出する光源(1)と、検査対象の投影光学系(PL)を介した前記測定光を光電検出する光電検出器(40)とを備え、前記光電検出器の検出結果に基づいて前記投影光学系の光学特性を検査する検査装置(3)において、前記投影光学系の瞳面における前記測定光の光量分布を所定の分布に設定する光量設定手段(27等)を備えることを特徴としている。
この発明によると、光量設定手段により投影光学系の瞳面における測定光の光量分布が所定の分布に設定された状態で投影光学系の光学特性が検査される。
本発明の投影光学系の製造方法は上記の検査装置を用いて製造される。
上記課題を解決するために、本発明の検査装置は、測定光を射出する光源(1)と、検査対象の投影光学系(PL)を介した前記測定光を光電検出する光電検出器(40)とを備え、前記光電検出器の検出結果に基づいて前記投影光学系の光学特性を検査する検査装置(3)において、前記投影光学系の瞳面における前記測定光の光量分布を所定の分布に設定する光量設定手段(27等)を備えることを特徴としている。
この発明によると、光量設定手段により投影光学系の瞳面における測定光の光量分布が所定の分布に設定された状態で投影光学系の光学特性が検査される。
本発明の投影光学系の製造方法は上記の検査装置を用いて製造される。
本発明によれば、投影光学系の瞳面における測定光の光量分布が所定の分布に設定された状態で投影光学系の光学特性が検査されるため、投影光学系の光学特性をより正確に且つ容易に検査することができる。
以下、図面を参照して本発明の一実施形態による投影光学系の検査装置、及び投影光学系の製造方法について詳細に説明する。図1は、本発明の一実施形態による検査装置の全体構成の概略を示す図である。尚、以下の説明においては、図中にXYZ直交座標系を設定し、このXYZ直交座標系を参照しつつ各部材の位置関係について説明する。XYZ直交座標系は、Y軸及びZ軸が紙面に対して平行となるよう設定され、X軸が紙面に対して直交する方向に設定されている。図中のXYZ座標系は、実際にはXY平面が水平面に平行な面に設定され、Z軸が鉛直上方向に設定される。
図1において、1は所定形状の断面を有する光束を射出する光源であり、例えばArFエキシマレーザ光源(波長193nm)である。光源1から射出される光束は調整装置2を介して干渉計装置3に供給される。詳細は後述するが、調整装置2は主制御装置15の制御の下で、被検査対象としての投影光学系PLの瞳面における測定光の光量分布を所定の分布に設定するものである。
干渉計装置3は、光源1から供給される光束から参照光と測定光とを生成し、測定光を被検査対象としての投影光学系PLに供給するとともに、投影光学系PLを介した測定光と参照光とを干渉させて得られる干渉光の干渉縞を検出する。干渉計装置3は干渉縞の検出結果を主制御装置15に出力する。主制御装置15は干渉計装置3から出力された検出結果(干渉縞そのもの)を不図示のモニタに表示し、又は検出結果を解析して投影光学系PLにおいて生ずる波面収差を数値的に求めて、得られた数値をモニタに表示する。
干渉計装置3は、ステージ4上に保持されている。ステージ4は、XY平面内において移動可能であるとともに、Z方向に沿って移動可能に構成され、更に姿勢(X軸、Y軸、及びZ軸の回りの回転)を変更することができるように構成されている。ステージ4の一端には移動鏡4a,4bが取り付けられており、移動鏡4aの鏡面に対応してレーザ干渉計5が設けられており、移動鏡4bに対してレーザ干渉計6が設けられている。尚、図1では図示を簡略化しているが、移動鏡4aはX軸に垂直な鏡面を有する移動鏡及びY軸に垂直な鏡面を有する移動鏡から構成されている。
また、レーザ干渉計5は、Y軸に沿って移動鏡4aにレーザ光を照射する2個のY軸用のレーザ干渉計及びX軸に沿って移動鏡4aにレーザ光を照射するX軸用のレーザ干渉計より構成され、Y軸用の1個のレーザ干渉計及びX軸用の1個のレーザ干渉計によりステージ4のX座標及びY座標が計測される。また、Y軸用の2個のレーザ干渉計の計測値の差により、ステージ4のZ軸回りの回転角が計測される。
更に、レーザ干渉計6は、移動鏡4bに対してレーザ光を照射し、その反射光を検出することによって、ステージ4の表面のZ方向の位置及び姿勢を検出する。尚、図1においてはレーザ干渉計6及び移動鏡4bを1つのみ図示しているが、実際にはそれぞれ3つ設けられており、ステージ4のZ方向の位置及び傾き(X軸及びY軸回りの回転角)が検出されている。
レーザ干渉計5によって検出されたステージ4のX座標、Y座標、及びZ軸回りの回転角を示す情報、並びにレーザ干渉計6によって検出されたステージ4のZ座標、X軸回りの回転角、及びY軸回りの回転角を示す情報は、主制御装置15に出力される。主制御装置15は出力されてきたこれらの情報をモニターしつつ、駆動コントローラ7へ制御信号を出力してステージ4の位置及び姿勢を制御する。
干渉計装置3の−Z方向には被検査対象としての投影光学系PLが配置され、干渉計装置3で生成された測定光が投影光学系PLに供給される。投影光学系PLの像面側には反射部材8が配置されている。この反射部材8は、投影光学系PL及び液体wを介した測定光を反射して再度投影光学系PLに導くためのものである。ここで、反射部材8について説明する。
図2は、反射部材8の構成を示す図であり、(a)は反射部材8の断面図であって、(b)は反射部材8の上面斜視図である。図2に示す通り、反射部材8は、ホルダ9とホルダ9の上面である平坦面9aに複数形成された反射球面部材10とを含んで構成される。ホルダ9の平坦面9a上の反射球面部材10は、X方向及びY方向の両方向に配列形成されている。例えば、図2(b)に示す通り、X方向に3列、Y方向に3列配列形成されて合計9個形成されている。
ホルダ9は、例えばアルミニウム(Al)からなる平板状の部材である。また、反射球面部材10は、半球状部材にクロム(Cr)等の金属を蒸着して形成されたものであり、図2(a),(b)に示す通り、その平面端部を平坦面9aに向けた状態でホルダ9の平坦面9aに取り付けられる。尚、反射部材8は、鋼球等の球状部材にクロム(Cr)等の金属を蒸着して形成した反射球部材と、この反射球部材と径が等しい半球状の凹部が形成されたホルダとを含み、ホルダに形成された凹部に反射球部材を嵌合して反射球部材をホルダに取り付けた構成としても良い。また、かかる構成において、反射球部材の取り付けは、接着剤等を用いても良いし、ホルダを磁石等で形成して脱着(交換)可能にしても良い。
反射球面部材10は、平坦面9aから0.1〜1mm程度突出した状態で設けられる。尚、平坦面9aに対する反射球面部材10の突出量は、図2(a)に示す通り、光学素子L3(投影光学系PLに含まれる光学素子のうちの最も像面側に位置する光学素子(図3参照))とホルダ9の平坦面9aとの間隔よりは小さくなるように設定される。
また、図2(a)に示す通り、ホルダ9は反射球面部材10が取り付けられた平坦面9aを投影光学系PLに向けて配置されており、例えば平坦面9aが投影光学系PLの像面と一致するように配置される。これにより、反射球面部材10は投影光学系PLに向かって凸状となり、投影光学系PLの像面と投影光学系PLとの間に配置される。このような配置とするのは、以下の理由による。つまり、投影光学系PLの光学性能を検査するときには強度の高い測定光が用いられるため、投影光学系PLの像面の位置においては測定光が集光されて強度が更に高まる。
このため、測定光の強度によっては投影光学系PLと反射部材8との間に供給された液体wが沸騰して気泡が生じる虞がある。液体w中に気泡が生ずると、測定光の波面が乱されて投影光学系PLの光学性能を正確に検査することができなくなる。これを防止するために、反射球面部材10を投影光学系PLの像面と投影光学系PLとの間に配置し、測定光が集光されて検査に悪い影響を及ぼすほど強度が高まる前に反射球面部材10で反射することで気泡等の発生を防止している。
反射部材8はステージ11に保持されている。ステージ11の上面と反射部材8の平坦面9aとはほぼ面一になっている。ステージ11は、ステージ4と同様に、XY平面内において移動可能であるとともに、Z方向に沿って移動可能に構成され、更に姿勢(X軸、Y軸、及びZ軸の回りの回転)を変更することができるように構成されている。ステージ11の一端には移動鏡12a,12bが取り付けられており、移動鏡12aの鏡面に対面してレーザ干渉計13が設けられ、移動鏡12bに対してレーザ干渉計14が設けられている。
尚、図1では図示を簡略化しているが、移動鏡12aはX軸に垂直な鏡面を有する移動鏡及びY軸に垂直な鏡面を有する移動鏡から構成されている。また、レーザ干渉計13は、Y軸に沿って移動鏡12aにレーザ光を照射する2個のY軸用のレーザ干渉計及びX軸に沿って移動鏡12aにレーザ光を照射するX軸用のレーザ干渉計より構成され、Y軸用の1個のレーザ干渉計及びX軸用の1個のレーザ干渉計によりステージ11のX座標及びY座標が計測される。また、Y軸用の2個のレーザ干渉計の計測値の差により、ステージ11のZ軸回りの回転角が計測される。
レーザ干渉計14は、移動鏡12bの表面に対してレーザ光を照射し、その反射光を検出することによって、ステージ11の表面のZ方向の位置及び姿勢を検出する。尚、図1においてはレーザ干渉計14及び移動鏡12bの各々を1つのみ図示しているが、実際には3つ設けられており、ステージ11のZ方向の位置及び傾き(X軸及びY軸回りの回転角)が検出されている。
レーザ干渉計13によって検出されたステージ11のX座標、Y座標、及びZ軸回りの回転角を示す情報、並びにレーザ干渉計14によって検出されたステージ11のZ座標、X軸回りの回転角、及びY軸回りの回転角を示す情報は、主制御装置15に出力される。主制御装置15は出力されてきたこれらの情報をモニターしつつ、駆動コントローラ16へ制御信号を出力してステージ11の位置及び姿勢を制御する。かかる制御により、反射部材8はホルダ9の平坦面9aが投影光学系PLの像面と一致するように配置される。
また、本実施形態においては、被検査対象の投影光学系PLが液浸式のものであるため、投影光学系PLの像面側(投影光学系PLに含まれる光学素子のうちの最も像面側に位置する光学素子L3(図2参照)と反射部材8との間)に液体wが供給される。尚、投影光学系PLに含まれる光学素子のうちの最も像面側に位置する光学素子L3と反射部材8との間は、数mm程度の間隔である。この液体wは、例えば純水である。液体wとして純水を用いる理由は、気体(空気又は窒素ガス)よりも屈折率が高く投影光学系PLの開口数を向上させることができるとともに、ArFエキシマレーザ光に対する吸収が少ないからである。
本実施形態の検査装置は、投影光学系PLの像面側に液体wを供給するために、液体供給装置17と液体回収装置18とを備える。液体供給装置17は、投影光学系PLと反射部材8との間の少なくとも一部を液体wで満たすためのものであって、液体wを収容するタンク、加圧ポンプ等を備えて構成される。この液体供給装置17には供給管19の一端部が接続されており、供給管19の他端部には供給ノズル20が接続されている。これら供給管19及び供給ノズル20を介して投影光学系PLと反射部材8との間の空間に液体wが供給される
液体回収装置18は、吸引ポンプ、回収した液体wを収容するタンク等を備える。液体回収装置18には回収管21の一端部が接続され、回収管21の他端部には回収ノズル22が接続されている。投影光学系PLと反射部材8との間の空間に供給された液体wは、回収ノズル22及び回収管21を介して液体回収装置18に回収される。これら液体供給装置17及び液体回収装置18は、主制御装置15により制御される。
つまり、投影光学系PLと反射部材8との間の空間に液体wを供給する際に、主制御装置15は液体供給装置17及び液体回収装置18のそれぞれ対して制御信号を出力し、単位時間当たりの液体wの供給量及び回収量を制御する。かかる制御により、液体wは投影光学系PLと反射部材8との間に必要十分な量だけ供給される。尚、本実施形態においては、投影光学系PLと反射部材8が備えるホルダ9の平坦面9aとの間の液体wをステージ上方で回収しているが、ステージ11に取り付けられたホルダ9の周囲に回収部を設けてもよいし、それらを併用してもよい。
また、主制御装置15には、被検査対象としての投影光学系PLの設計データ(特性データ)を入力する入力装置23が接続されている。投影光学系PLに光量の分布を有しない測定光を入射したときに投影光学系PLの瞳面に形成される光量分布は投影光学系PLの設計データにより求めることができる。このため、入力装置23は、調整装置2で設定すべき投影光学系PLの瞳面における光量分布を主制御装置15が求める際に必要となる投影光学系PLの設計データを主制御装置15に入力するために設けられる。
この入力装置23は、例えばキーボードで実現することもでき、またフレキシブルディスク等の磁気ディスク、CD−R、DVD(登録商標)−R等の光ディスク、MO(光磁気ディスク)等の情報記録媒体に記録された情報を読み出すドライブ装置を用いることもできる。また、例えば投影光学系PLの設計データを有するコンピュータと、主制御装置15とを有線又は無線で相互に接続し、コンピュータから主制御装置15に転送する形態としても良い。
以上、本発明の一実施形態による検査装置の全体構成の概略について説明したが、次に検査装置が備える調整装置2及び干渉計装置3の構成について説明する。図3は、本発明の一実施形態による検査装置が備える調整装置2及び干渉計装置3の構成を示す図である。尚、図3においては、図1に示した部材と同一の部材には同一の符号を付している。
図3に示す通り、調整装置2は、干渉計装置3に設けられる点回折ピンホール30(詳細は後述する)の近傍に配置されている。尚、点回折ピンホール30は、投影光学系PLの物点及び像点と共役な位置に配置されている。この調整装置2は、第1レンズ26、平行平面板27、第2レンズ28、及び制御装置29を含んで構成される。第1レンズ26は、光源1側の焦点が、例えば光源1の射出端(図示省略)に配置されている。また、第2レンズ28は、干渉計装置3側の焦点が、例えば干渉計装置3に設けられる点回折ピンホール30(詳細は後述する)の開口に配置されている。これら第1レンズ26及び第2レンズ28より、例えば光源1の射出端と干渉計装置3の点回折ピンホール30の開口位置とは共役になっている。
平行平面板27は、その2つの面が光源1から射出される光束の光軸と交差するように第1レンズ26と第1レンズ28との間の光路上に配置される。この平行平面板27は、通過する光束の光軸を傾けるために設けられる。前述したとおり、例えば光源1の射出端と干渉計装置3の点回折ピンホール30の開口の位置とが共役になっているため、第1レンズ26と第2レンズ28との間に平行平面板27を設けても、点回折ピンホール30の開口に対する光束の入射位置がずれることはない。尚、第1レンズ26、平行平面板27、及び第2レンズ28は、投影光学系PLが備える光学素子と同様の硝材(例えば、合成石英又は蛍石(フッ化カルシウム:CaF2)等の硝材)を用いて形成されている。
制御装置29は、図1に示す主制御装置14の制御の下で、光源1から射出される光束の光軸に対する平行平面板27の傾き角を設定するとともに、光軸(平行平面板27により傾けられる前の光軸)の周りで平行平面板27を回転させる。これにより、投影光学系PLの瞳面における測定光の光量の分布が所定の分布に設定される。
干渉計装置3は、図3に示す通り、点回折ピンホール30、レンズ31、コリメートレンズ32、折り曲げミラー33、ビームスプリッタ34、折り曲げミラー35,36、基準レンズ37、リレーレンズ38,39、及びセンサ40を含んで構成される。点回折ピンホール30は、前述した通り、投影光学系PLの物点及び像点と共役な位置に配置されている。前述した調整装置2が備える平行平面板27を傾けて回転させることにより、点回折ピンホール30には光束の光軸が傾いた状態で入射する。
レンズ31は、点回折ピンホール30を介して入射される光束を一度集光し、コリメートレンズ32はレンズ31で集光された光束を平行光束に変換する。折り曲げミラー33は、コリメートレンズ32を介した−Y方向に進む光束を+Z方向に偏向する。ビームスプリッタ34は、折り曲げミラー33で偏向されて+Z方向に進む光束を透過させるとともに、折り曲げミラー35から−Z方向に進む光束を+Y方向に反射する。折り曲げミラー35はビームスプリッタ34を透過して+Z方向に進む光束を−Y方向に偏向し、折り曲げミラー36は折り曲げミラー35で偏向されて−Y方向に進む光束を−Z方向に偏向する。
基準レンズ37は+Z方向に凸となるよう配置されたメニスカスレンズであり、参照光及び測定光を生成するために設けられる。この基準レンズ37は、投影光学系PL側の面が球面に設定された基準面37aであり、折り曲げミラー36で偏向されて−Z方向に進む光束は基準面37aに対して垂直に入射する。基準面37aを透過した光束は測定光として用いられ、基準面37aで反射された光束は参照光として用いられる。尚、図1に示した主制御装置15は、基準レンズ37の焦点が投影光学系PLの物体面OPに配置されるよう、レーザ干渉計6の検出結果をモニタしつつ駆動コントローラ7を介してステージ4のZ方向の位置を制御する。
リレーレンズ38,39は、折り曲げミラー36,35を順に介してビームスプリッタ34で反射された光束(参照光と測定光との干渉光)をリレーするレンズである。干渉計装置3に設けられたレンズ31、コリメートレンズ32、基準レンズ37、及びリレーレンズ38,39は投影光学系PLが備える光学素子と同様の硝材(例えば。合成石英又は蛍石等の硝材)を用いて形成されている。
センサ40は、干渉光を検出するものであり、例えば二次元CCD(Charge Coupled Device)等の光電変換素子を用いることができる。このように、図3に示す干渉計装置3においては、フィゾー型の干渉計が構成されている。センサ40の検出結果は図1に示した主制御装置15に出力される。尚、図3においては、便宜上、投影光学系PLに設けられる光学素子のうち、最も物体面側に配置される光学素子L1、及び最も像面側に配置される光学素子L2,L3を図示しているが、実際には十数〜数十個の光学素子が設けられている。液体供給装置17からの液体wは、光学素子L3と反射部材8との間に供給される。
次に、図1〜図3を参照しつつ以上説明した構成の検査装置を用いて被検査対象としての投影光学系PLの光学性能の検査する検査方法について説明する。まず、光軸に対する平行平面板27の傾き角が「0」に設定されており、光軸(平行平面板27により傾けられる前の光軸)の周りに平行平面板27を回転させない場合について説明する。検査が開始されると、最初に主制御装置15は液体供給装置17及び液体回収装置18に対して制御信号を出力する。これにより、液体供給装置17からの液体wが供給管19及び供給ノズル20を介して投影光学系PLと反射部材8との間の空間に供給され、更にこの空間に供給された液体wが回収ノズル22及び回収管21を介して液体回収装置18に回収され、所定量の液体wが常時投影光学系PLと反射部材8との間を満たすように流れる。
次に、主制御装置15は、レーザ干渉計13の検出結果をモニタしつつ駆動コントローラ16を介してステージ11をXY面内で移動させ、反射部材8に形成された反射球面部材10の各々が投影光学系PLに対して所定の位置に配置されるよう位置決めする。このとき、主制御装置15は、レーザ干渉計14の検出結果をモニタしつつ反射部材8のホルダ9の平坦面9aが投影光学系PLの像面と一致するように、ステージ11のZ方向の位置及び姿勢を制御する。
ステージ11の位置決めが完了すると、主制御装置15は、レーザ干渉計5の検出結果をモニタしつつ、XY平面内における基準レンズ37の焦点の位置が最初の検査位置に配置されるように駆動コントローラ7を介してステージ4を駆動し、XY平面内においてステージ4を位置決めする。これと同時に主制御装置15は、レーザ干渉計6の検出結果をモニタしつつ、ステージ4のZ方向の位置及び姿勢を制御して、Z方向における基準レンズ37の焦点位置が投影光学系PLの物体面OP内に含まれるようステージ4を制御する。
以上の処理が完了すると、主制御装置15は光源1に制御信号を出力して光源1を発光させる。光源1が発光すると、光源1から−Y方向に進む光束は調整装置2を介して点回折ピンホール30から干渉計装置3内に入射し、干渉計装置3が備えるレンズ31に導かれる。レンズ31に導かれた光束は、コリメートレンズ32を介して平行光に変換された後、折り曲げミラー33に入射し、+Z方向に偏向される。この光束はビームスプリッタ34を透過して折り曲げミラー35で−Y方向に偏向され、更に折り曲げミラー36で−Z方向に偏向された後、基準レンズ37に入射する。
光束が基準レンズ37に入射すると、基準レンズ37の基準面37aに垂直に入射し、光束の一部が透過し、残りが反射される。基準面37aを透過した光束は、測定光として干渉計装置3から射出され、投影光学系PLの物体面OPの位置に集光する。集光した測定光は球面波状に広がりながら投影光学系PLに入射し光学素子L1,L2等を介して光学素子L3に入射し、光学素子L3から投影光学系PLの像面側に射出される。
投影光学系PLから射出された測定光は液体wを透過して反射球面部材10で反射される。反射球面部材10で反射された測定光は、液体w及び投影光学系PLを逆向きに順に進んで干渉計装置3に設けられた基準レンズ37に入射する。基準レンズ37に入射した測定光及び基準レンズ37の基準面37aで生成される参照光は、折り曲げミラー36,35を順に介してビームスプリッタ34で反射され、リレーレンズ38,39を順に介してセンサ40で受光される。センサ40には投影光学系PLを介した測定光と投影光学系PLを介していない参照光とが入射されるため、センサ40にはそれらの干渉光が入射し投影光学系PLの光学性能(残存収差等)に応じた干渉縞が検出される。この検出結果は主制御装置15へ出力されて干渉縞そのものが不図示のモニタに表示され、又は主制御装置15により解析されて投影光学系PLにおいて生ずる波面収差を示す数値がモニタに表示される。
次に、主制御装置15はレーザ干渉計5の検出結果をモニタしつつ、XY平面内における基準レンズ37の焦点の位置が次の検査位置に配置するように、駆動コントローラ7を介してステージ4を駆動し、XY平面内においてステージ4を位置決めする。ステージ4のXY平面内の位置を変えたときにも、主制御装置15はレーザ干渉計6の検出結果をモニタしつつ、ステージ4のZ方向の位置及び姿勢を制御して、Z方向における基準レンズ37の焦点位置が投影光学系PLの物体面OP内に含まれるようにする。
ステージ4の位置決めが完了すると、最初の検査位置における検査と同様に、光源1からの光束に基づいて測定光と参照光とが生成され、測定光が投影光学系PL及び液体wを順に介して反射球面部材10に入射する。このとき、測定光が入射する反射球面部材10は、XY平面内における基準レンズ37の焦点の現在の位置に応じた位置に配置されている反射球面部材10であり、最初の検査位置に配置されたときに用いたものとは異なるものである。反射球面部材10に入射した測定光は、反射されて液体w及び投影光学系PLを再び逆方向に進んで干渉計装置3に入射し、干渉計装置3が備えるセンサ40において測定光と参照光との干渉光が検出される。以下同様にして、ステージ4をXY面内で移動させて順次各検査位置での検査が行われる。
投影光学系PLの瞳面中央部においては、多重反射等の影響によって光量分布にばらつきが生じているものの、このばらつきは干渉計装置3に設けられたセンサ40のダイナミックレンジの範囲内であり、投影光学系PLの光学性能を検査する上で許容できるばらつきである。これに対し、投影光学系PLの瞳面における端部において極端に光量が低下している場合がある。この場合、瞳面中央部における最大光量と瞳面端部における最低光量との差がセンサ40のダイナミックレンジを越えてしまい正確な検査を行うことができなくなる可能性がある。そこで、本実施形態では、調整装置2により光源1から射出された光束を傾けて干渉計装置3が備える点回折ピンホール30に入射させることにより、投影光学系PLの瞳面における光量分布を所定の分布にしている。
次に、点回折ピンホール30における光量分布の設定方法について説明する。点回折ピンホール30は、光源1から射出される光束のうちの、光量分布が少なくて投影光学系PLの光学性能を検査する上で好適な光束を切り出す働きを果たしている。点回折ピンホール30に光束が入射すると、回折現象によって光量分布が大きくなる。図4は、点回折ピンホール30に光束を垂直入射させた場合に得られる光量分布のシミュレーション結果を示す図である。図4においては、横軸に点回折ピンホール上における位置(規格化した位置)をとり、縦軸に光量を取っている。尚、図4において、横軸が「1」又は「−1」を通る光束は、投影光学系PLの瞳面端部を通過する光束を示している。図4を参照すると、回折現象によって、点回折ピンホール30の周辺部における光量が、中央部における光量の60%程度になっていることが分かる。
本実施形態では、この分布を利用して点回折ピンホール30における光量分布を所定の分布に設定している。図5は、点回折ピンホール30における光量分布の設定方法説明するための図である。図5(a)において実線で示す通り、点回折ピンホール30に対して垂直に入射する光束FL1が点回折ピンホール30に入射すると、光軸AXを中心として対称的に広がりながら伝播する光束FL11となる。この光束FL11の光束は、図中において符号K1を付して示す光量分布を有する。尚、この光量分布K1は光軸AXの周りで回転対称である。
これに対し、図5(a)において破線で示す通り、平行平面板27を傾けることにより点回折ピンホール30に光軸が一方向に傾いた状態の光束FL2が入射すると、点回折ピンホール30からの光束は光束FL1が入射した場合と同様に広がりながら伝播する光束となる。しかしながら、この光束FL12の分布は、図中符号K2を付して示す通り、光軸を傾けた方向とは逆方向に光軸AXに関して非対称な分布となる。
次に、図5(b)に示す通り、点回折ピンホール30に対する光束の傾き角は維持したまま平行平面板27を光軸の周りで回転させて点回折ピンホール30に対する光束の入射方向を変えると、点回折ピンホール30を透過した光束(光量分布K2)も光軸AXの周りで回転することになる。この結果として光量分布が平均化され、図5(c)に示す通り、光軸AXに関して対称な光量分布K3を得ることができる。
以上により得られた光量分布K3は、図5(c)に示す通り、光軸AX上の光量が低く、周辺で光軸AXから所定の距離で光量が最大になり、更に距離が離れると光量が少なくなる分布となる。前述した通り、点回折ピンホール30に対して垂直に光束を入射させた場合には、投影光学系PLの瞳面における端部の光量が低下する。このため、点回折ピンホール30からの光束が、投影光学系PLの瞳面における端部に相当する箇所の光量が高くなる光量分布となれば、投影光学系PLの瞳面の端部を含めた全面において光量をほぼ一定とすることができる。
光量分布K3(投影光学系PLの瞳面における光量分布)は、点回折ピンホール30の径及び点回折ピンホール30に対する光束の入射角(平行平面板27の傾き角)を変えることで変化させることができる。例えば、点回折ピンホール30の径を変えると、光量が最大になる部分の光軸AXからの距離を変えることができ、また点回折ピンホール30に対する光束の入射角を変えることで、光軸AX上における光量と最大光量との差を変えることができる。
図6は、点回折ピンホール30に対する光束の入射角を変化させた場合に得られる光量分布のシミュレーション結果を示す図である。尚、図6においては、図4と同様に横軸に位置(規格化された位置)をとり、縦軸に光量をとっており、そのスケールは図4と同様である。図6において、点線で示したグラフは点回折ピンホール30に対する入射角を0.4°に設定したときに得られる光量分布を示しており、破線で示したグラフは点回折ピンホール30に対する入射角を0.52に設定したときに得られる光量分布を示しており、実線で示したグラフは点回折ピンホール30に対する入射角を0.8°に設定したときに得られる光量分布を示している。これらのグラフから、点回折ピンホール30に対する光束の入射角を大きくするほど光軸AX上の光量(投影光学系PLの瞳面中心の光量)が低くなり、光軸AX上における光量と最大光量との差が大きくなるのが分かる。
点回折ピンホール30上における光量分布の設定は、入力装置23から入力された投影光学系PLの設計データを用いて主制御装置15が行う。具体的には、主制御装置15は、入力された設計データからシミュレーションにより投影光学系PLの瞳面における光量分布を求め、この光量分布が解消されるように調整装置2に設けられた平行平面板27の傾き角を求める。また、被検査対象としての投影光学系PLの瞳面の大きさが、投影光学系PL毎に大きく異なることは希であるが、瞳面の大きさが異なるものにも対応することができるように、点回折ピンホール30として開口径が可変なものを干渉計装置3に備え、上記のシミュレーション結果に応じて点回折ピンホール30の開口の径を可変させることが望ましい。
次に、投影光学系PLを検査する場合の動作について説明する。検査が開始されると、まず主制御装置15は、入力装置23から被検査対象としての投影光学系PLの設計データを読み込む。そして、読み込んだ設計データからシミュレーションを行って投影光学系PLの瞳面における光量分布を求める。次いで、主制御装置15は、求めた光量分布に基づいて調整装置2に制御信号を出力する。これにより、調整装置2に設けられる平行平面板27は、所定の角度に傾けられる。
以上の処理が終了すると、主制御装置15は液体供給装置17及び液体回収装置18に対して制御信号を出力し、所定量の液体wで投影光学系PLと反射部材8との間を満たす。これと並行して主制御装置15は、XY平面内におけるステージ11の位置決めを行うとともに、XY平面内におけるステージ4を位置決めする。次いで、主制御装置15は、調整装置2に制御信号を出力して平行平面板27の回転(光軸周りの回転)を開始させる。
以上の処理が完了すると、主制御装置15は光源1に制御信号を出力して光源1を発光させる。光源1が発光すると、光源1から−Y方向に進む光束は調整装置2を介した後で所定の角度をもって点回折ピンホール30に入射し、干渉計装置3の内部を伝播して基準レンズ37に入射する。基準レンズ37の基準面37aに垂直に入射し、光束の一部が透過し、残りが反射される。基準面37aを透過した光束は、測定光として干渉計装置3から射出され、投影光学系PLの物体面OPの位置に集光する。集光した測定光は球面波状に広がりながら投影光学系PLに入射し光学素子L1,L2等を介して光学素子L3に入射し、光学素子L3から投影光学系PLの像面側に射出される。
投影光学系PLから射出された測定光は液体wを透過して反射球面部材10で反射される。反射球面部材10で反射された測定光は、液体w及び投影光学系PLを逆向きに順に進んで干渉計装置3に設けられた基準レンズ37に入射する。基準レンズ37に入射した測定光及び基準レンズ37の基準面37aで生成される参照光は、干渉計装置3の内部を伝播してセンサ40で受光される。ここで、平行平面板27が1回転するのに要する時間は、センサ40の受光時間よりも十分短く設定されている。このため、平行平面板27によって点回折ピンホール30における光量分布(投影光学系PLの瞳面における光量分布)を変化させてもセンサ40で受光される測定光及び参照光は十分平均化されることになる。以下同様にして、ステージ4をXY面内で移動させて順次各検査位置での検査が行われる。
以上説明した本発明の一実施形態によれば、投影光学系PLの瞳面における測定光の光量分布を所定の分布に設定して投影光学系PLを検査しているため、投影光学系の光学性能をより正確に検査することができる。また、解像度の向上のために今後投影光学系PLのN.A.がより高く設定されて投影光学系PLの瞳面における光量むらが現状よりも悪化した場合にも対応することができる。更に、投影光学系PLの性能を向上させるために、反射光学素子と屈折光学素子とを有する反射屈折系(カタッディオプトリック系)とした投影光学系PLを検査する場合にも対応することができる。
また、本実施形態によれば、平行平面板27を回転させるだけで投影光学系PLの瞳面の光量分布を所定の分布に設定することができるため、例えば光減衰素子等の光学素子を用いる場合に比べて光源1から射出される光の光量を低下させることなく効率良く使用することができる。更に、投影光学系PLの光学性能を検査する際に、液体wの対流により測定光の波面が乱されることなく、また液体wによる測定光の吸収も僅かであるため、液浸式の投影光学系の光学性能を正確に検査することができる。また更に、投影光学系PLの検査は、XY面内におけるステージ4の僅かな移動のみで行うことができるため、極めて容易に検査を行うことができる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に制限されず、本発明の範囲内で自由に変更が可能である。例えば、上記実施形態では、平行平面板27を回転させて投影光学系PLの瞳面における光量分布を回転対称な光量分布に設定していた。しかしながら、設定する光量分布は必ずしも回転対称なものに限られず回転非対称な分布であっても良い。つまるところ、投影光学系PLの特性に応じて設定するのが望ましい。また、上記実施形態では、液浸式の投影光学系PLの光学性能を検査する場合を例に挙げて説明したが、本発明は液浸式の投影光学系PLの光学性能を検査に制限されず、投影光学系一般の検査にも適用することができる。
また、上記実施形態においては、ホルダ9の平坦面9a上に複数の反射球面部材10が形成された反射部材8を用いて投影光学系PLを検査する場合を例に挙げて説明したが、1つの反射球面部材10のみが形成された反射部材8を用いて投影光学系PLを検査することも可能である。かかる場合には、ステージ11を移動させて1つの反射球面部材10の位置を設定し、この反射球面部材10の位置に応じてステージ4の位置決めして検査を行う。
また、上記実施形態においては、ホルダ9の平坦面9a上に複数の反射球面部材10が形成された反射部材8を用いて検査していたが、この反射部材8に代えて国際公開第05/010960号パンフレットに開示されている折り返し反射部材を1つ又は複数用いて検査することもできる。ここにいう折り返し反射部材とは、合成石英又は蛍石(フッ化カルシウム:CaF2)等の硝材からなり、一端側に平面部が形成され、この平面部に対向する端部に反射球面部が形成された部材である。折り返し反射部材の平面部を投影光学系PLの像面に一致させた状態で検査が行われる。
また、上記実施形態では、干渉計装置3に設けられた基準レンズ27により測定光を投影光学系PLの物体面OP内の1点に集光させていたが、国際公開第05/010960号パンフレットに開示されている通り、基準レンズ27に代えて複数のゾーンプレートが形成された光学部材を配置するとともに、リレーレンズ38,39間に開口の形成位置が可変なブラインド機構を設けた構成としてもよい。かかる構成にすることで、投影光学系PLの物体面OP内の複数点に測定光を集光させることができるとともに、物体面OP内の複数点に集光された測定光のうちの何れをセンサ40で受光するかを選択することができる。これにより、ステージ4,11の位置決めを一旦行えば、その後にステージ4,11を移動させることなくブラインド機構により開口の形成位置を可変させるだけで投影光学系PLを検査することが可能となる。
また、上記実施形態では、投影光学系PLの像面側に反射部材を配置して投影光学系PLの光学性能を検査する場合について説明した。しかしながら、国際公開第05/010960号パンフレットに開示されている通り、投影光学系PLの像面側に投影光学系PLを透過した光の波面収差を測定する検査装置にも本発明を適用することができる。この検査装置は、マイクロフライアイ等の波面分割素子を用いて投影光学系PLを透過した光の波面を分割し、この光をCCD等の撮像素子で撮像することにより投影光学系PLの波面収差を測定するものである。
尚、上記実施形態においては、光源1がArFエキシマレーザ光源の場合を例に挙げて説明したが、ArFエキシマレーザ光源以外に、例えばg線(波長436nm)、i線(波長365nm)を射出する超高圧水銀ランプ、又はKrFエキシマレーザ(波長248nm)、F2レーザ(波長157nm)、Kr2レーザ(波長146nm)、YAGレーザの高周波発生装置、若しくは半導体レーザの高周波発生装置を用いることができる。更に、光源としてDFB半導体レーザ又はファイバーレーザから発振される赤外域、又は可視域の単一波長レーザ光を、例えばエルビウム(又はエルビウムとイットリビウムの両方)がドープされたファイバーアンプで増幅し、非線形光学結晶を用いて紫外光に波長変換した高調波を用いても良い。
また、上記実施形態では投影光学系PLに設けられる光学素子L1〜L3等、調整装置2に設けられる第1レンズ26、平行平面板27、及び第2レンズ28、並びに干渉計装置3に設けられるレンズ31、コリメートレンズ32、基準レンズ37、及びリレーレンズ38,39等の硝材として合成石英又は蛍石(フッ化カルシウム:CaF2)を用いる場合を例に挙げて説明した。しかしながら、これらは、光源1,50から射出される光束の波長に応じて蛍石(フッ化カルシウム:CaF2)、フッ化マグネシウム(MgF2)、フッ化リチウム(LiF)、フッ化バリウム(BaF2)、フッ化ストロンチウム(SrF2)、LiCAF(コルキライト:LiCaAlF6)、LiSAF(LiSrAlF6)、LiMgAlF6、LiBeAlF6、KMgF3、KCaF3、KSrF3等のフッ化物結晶又はこれらの混晶、又フッ素や水素等の物質をドープした石英硝子等の真空紫外光を透過する光学材料から選択される。尚、所定の物質をドープした石英硝子は、露光光の波長が150nm程度より短くなると透過率が低下するため、波長が150nm程度以下の真空紫外光を露光光ILとして用いる場合には、光学素子の光学材料としては、蛍石(フッ化カルシウム)、フッ化マグネシウム、フッ化リチウム、フッ化バリウム、フッ化ストロンチウム、LiCAF(コルキライト)、LiSAF(LiSrAlF6)、LiMgAlF6、LiBeAlF6、KMgF3、KCaF3、KSrF3等のフッ化物結晶又はこれらの混晶が使用される。
尚、例えば露光光としてF2レーザを用いる場合には、F2レーザは純水を透過しないので、液体としては過フッ化ポリエーテル等のフッ素系の液体を用いればよい。
1…光源、2…調整装置、9a…平坦面、10…反射球面部材、15…主制御装置、27…平行平面板、29…制御装置、40…センサ、PL…投影光学系、w…液体
Claims (11)
- 測定光を射出する光源と、検査対象の投影光学系を介した前記測定光を光電検出する光電検出器とを備え、前記光電検出器の検出結果に基づいて前記投影光学系の光学特性を検査する検査装置において、
前記投影光学系の瞳面における前記測定光の光量分布を所定の分布に設定する光量設定手段を備えることを特徴とする検査装置。 - 前記光量設定手段は、前記光源と前記投影光学系との間の光路上であって、前記投影光学系の瞳面と光学的に共役な共役面又はその近傍に配置されていることを特徴とする請求項1記載の検査装置。
- 前記光量設定手段は、前記共役位置における前記測定光の光軸を傾ける光学部材を備えることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の検査装置。
- 前記光量設定手段は、前記光学部材に入射する前記測定光の光軸の周りで前記光学部材を回転させる回転機構を備えることを特徴とする請求項3記載の検査装置。
- 前記光量設定手段は、前記投影光学系の設計上の光学特性を示す特性データに基づいて、前記測定光の光量分布を設定することを特徴とする請求項1から請求項4の何れか一項に記載の検査装置。
- 前記投影光学系の像面側に配置される反射球面部を備え、
前記光電検出器は、前記投影光学系と前記反射球面部との間の少なくとも一部に供給された液体を介して前記反射球面部で反射した測定光を光電検出することを特徴とする請求項1から請求項5の何れか一項に記載の検査装置。 - 前記反射球面部は、前記投影光学系に向かって凸状であって、
前記反射球面部の周囲には平坦部が形成され、
前記反射球面部及び前記平坦部と、前記投影光学系との間に前記液体が供給されることを特徴とする請求項6記載の検査装置。 - 前記反射球面部は、前記投影光学系の像面とほぼ平行に複数配置されていることを特徴とする請求項6又は請求項7記載の検査装置。
- 前記光電検出器は、前記測定光と参照光との干渉光を光電検出することを特徴とする請求項1から請求項8の何れか一項に記載の検査装置。
- 前記光源検出器の検出結果に基づいて、前記投影光学系の波面収差を計測することを特徴とする請求項1から請求項9の何れか一項に記載の検査装置。
- 請求項1から請求項10の何れか一項に記載の検査装置を用いて製造される投影光学系の製造方法。
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