JP2007000899A - 積層鉄心用金型装置 - Google Patents

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彰博 橋本
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Abstract

【課題】
ダイおよびダイホルダに変形が生じてパイロット孔の位置がずれたとしても、パンチとダイの位置決めを高精度で行えるようにし、さらにパイロットピンとパイロット孔の接触による摩耗を低減する。
【解決手段】
パイロットピンに対応して回転金型の周方向に沿って配列された複数のパイロット孔をダイの径方向に延在する長孔にし、パイロット孔におけるダイの径方向の寸法をパイロットピンにおけるダイの径方向の寸法よりも大きくする。
【選択図】図2

Description

本発明は、回転金型を非回転金型に対して所定角度だけ回転し、パイロットピンをパイロット孔に挿入して非回転金型と回転金型との相対的な位置決めをし、回転金型と非回転金型で金属板を外形抜きして鉄心片を積層する積層鉄心用金型装置に関し、特にパイロット孔の形状に関するものである。
モータ等に使用される積層鉄心は、帯状の金属板が上型側金型および下型側金型で外形抜きされ、外形抜きされた鉄心片が下型側金型の中に積層されることによって製造される。ところで、金属板の板厚には偏差があるため、鉄心片が同一向きで積層されていくと積層鉄心の中心軸は徐々に曲がるといった不都合がある。こうした不都合を解消するために、積層鉄心の製造において、金型にて金属板から鉄心片を外形抜きして積層していく際に、鉄心片を所定枚数毎に任意角度づつ回転させながら積層する積層方法ならびに金型装置が知られている。こうした装置は、例えば下記特許文献1で開示されている。この装置によれば、積層鉄心が回転されつつ鉄心片が積層されていくため、板厚の偏差は相殺される。よって、積層鉄心の中心軸の曲がりが抑制される。
このような金型装置は、上型に設けられるパンチに対して、下型に設けられた外形抜きダイとこのダイを保持するダイホルダとが共に所定角度だけ回転する構造となっている。ダイおよびダイホルダの回転に伴い、パンチとダイおよびダイホルダとの相対的な位置決めが必要になる。位置決めは、上型に設けられた複数のパイロットピンと、ダイホルダに設けられた複数のパイロット孔とによって実現される。
複数のパイロットピンはパンチを囲繞するように配列され、複数のパイロット孔はダイホルダの周方向に沿って配列される。パイロットピンは円柱であり、パイロット孔はパイロットピンの外形形状に対応した円形の孔である。パイロットピンがパイロット孔に嵌合すると、ダイは回転できなくなる。こうして、パンチとダイは相対的に位置決めされる。
実公平2−127325号公報
積層鉄心の製品種によっては外形抜きされた鉄心片がダイの中で積層される際に、ダイに放射状の伸び、すなわちダイの径方向の伸びを生じさせるものがある。ダイの伸びは、例えば片側で5μm〜10μm程度である。ダイの伸びに応じてダイホルダにも変形が生ずる。すると、パイロットピンに対してパイロット孔の位置がずれる。この結果、パイロットピンがパイロット孔に挿入されず、ダイの正確な位置決めができなくなることがある。また、パイロットピンがパイロット孔に挿入されたとしても、パイロットピンの外壁面がパイロット孔の内壁面に接触しながら無理やり挿入されることがある。すると、パイロットピンおよびパイロット孔はともに偏摩耗が激しくなり、部品の交換の頻度が高くなるばかりか、ひどい場合は金型を破損させてしまう。
本発明はこうした実状に鑑みてなされたものであり、ダイおよびダイホルダに変形が生じてパイロット孔の位置がずれたとしても、パンチとダイの位置決めを高精度で行えるようにし、さらにパイロットピンとパイロット孔の接触による摩耗を低減することを解決課題とするものである。
本発明は、
非回転金型を有する上型と、回転金型を有する下型とを備え、さらに前記上型に設けられた複数のパイロットピンと、前記パイロットピンに対応するように前記下型に設けられ、前記回転金型の周方向に沿って配列された複数のパイロット孔とを有し、前記回転金型を前記非回転金型に対して所定角度だけ回転し、前記パイロットピンを前記パイロット孔に挿入して前記非回転金型と前記回転金型との相対的な位置決めをし、前記回転金型と前記非回転金型で金属板を外形抜きして鉄心片を積層する積層鉄心用金型装置において、
前記パイロット孔は前記回転金型の径方向に延在する長孔であって、前記パイロット孔における前記径方向の寸法が前記パイロットピンにおける前記径方向の寸法よりも大であること
を特徴とする。
本発明によれば、パイロット孔はダイの径方向に延在する長孔であるため、パイロット孔におけるダイの径方向の寸法には余裕がある。よって、ダイおよびダイホルダの径方向の伸びによってパイロット孔の位置ずれが発生したとしても、パイロットピンがパイロット孔に無理なく挿入されるため、位置決め精度に影響はない。したがって、位置決め精度が維持され、安定した品質の積層鉄心が得られる。
同様に、ダイおよびダイホルダの径方向の伸びによってパイロット孔の位置ずれが発生したとしても、パイロット孔とパイロットピンの偏摩耗が無くなる。したがって、パイロットピン等の金型部品や金型自体の寿命が延びる。さらに、部品交換の頻度が減るためメンテナンス回数が減り、生産性が向上する。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
図1、図2を用いて積層鉄心用金型装置1の構成を説明する。
積層鉄心用金型装置1は上型10と下型20とを有する。
上型10は、パンチ11と、パンチ11を囲繞するように配列された複数のパイロットピン12と、パンチ11および各パイロットピン12を保持し、図1における上下方向に昇降自在である上型ホルダ13とを有する。
下型20は、中央に鉄心片の落とし孔21aが設けられたダイ21と、ダイ21を保持しつつダイ21の中心軸を回転軸として回転自在であるダイホルダ22と、パイロットピン12に対応してダイホルダ22の周方向に配列され、ダイホルダ22に形成された孔23aに筒状のスリーブ23bが嵌合されて形成されたパイロット孔23と、ダイホルダ22の回転機構(図示せず)を備えた下型ホルダ25とを有する。
図1、図2におけるパイロットピン12とパイロット孔23の拡大図を図3(a)、(b)に示す。
図3(b)に示すように、水平面におけるパイロットピン12の断面形状は円形である。また、パイロット孔23はダイ21の径方向30に延在する長孔であって、鉄心片の落とし孔21aの中心から径方向30に伸びる仮想線Fと平行し互いに対向する二面を含んだ内壁面23cを有する。内壁面23cのうち径方向30と平行する二面とパイロットピン12の外壁面12aは線接触する。
パイロット孔23における径方向30の寸法をR1とし、パイロットピン12における径方向30の寸法をR2とする。水平面におけるパイロット孔23の断面形状は径方向30に延在する長孔であり、パイロットピン12の断面形状は円形であるため、図3(a)、(b)で示すように、R1>R2となる。つまり、パイロット孔23における径方向30の寸法R1は、パイロットピン12における径方向30の寸法R2よりも大きい。このため、ダイおよびダイホルダの径方向の伸びに起因してパイロット孔23が径方向30に変位したとしても、パイロットピン12は長孔に適宜挿入される。
ここで積層鉄心用金型装置1の動作を簡単に説明する。
帯状の金属板がステーションに搬入されてダイ21に載置された後に上型10は下降を始める。上型10の下降に伴ってパイロットピン12が対向するパイロット孔23に挿入されることによって、パンチ11とダイ21との相対的な位置決めがなされる。さらに上型10の下降に伴ってパンチ11およびダイ21によって金属板から鉄心片が外形抜きされると共に、この鉄心片が落とし孔21aに押し込まれる。この後に上型10の上昇によってパンチ11とパイロットピン12は上昇して上死点に復帰する。上型10が次の下降を始める前に下型20に備えられたダイホルダ22は、落とし孔21aの中に積層される鉄心片の板厚の偏差を相殺させるべく、所定角度だけ回転される。以上の工程が繰り返し行われることによって、落とし孔21a内に鉄心片が積層されていき、積層鉄心が製造される。
上述した実施形態によれば、パイロット孔はダイの径方向に延在する長孔であるため、パイロット孔におけるダイの径方向の寸法には余裕がある。よって、ダイおよびダイホルダの径方向の伸びによってパイロット孔の位置ずれが発生したとしても、パイロットピンがパイロット孔に正常に挿入されるため、位置決め精度に影響はない。したがって、位置決め精度が維持され、安定した品質の積層鉄心が得られる。
同様に、ダイおよびダイホルダの径方向の伸びによってパイロット孔の位置ずれが発生したとしても、パイロット孔とパイロットピンの偏摩耗が無くなる。したがって、パイロットピン等の金型部品や金型自体の寿命が延びる。さらに、部品交換の頻度が減るためメンテナンス回数が減り、生産性が向上する。
ところで、図1〜図3で示したパイロットピン12は略円柱(水平断面は円形)である。パイロットピン12が略円柱である場合は、パイロットピン12の外壁面12aとパイロット孔23の内壁面23cは線接触する。一方、図4で示したパイロットピン15は略四角柱(水平断面は四角形)である。パイロットピン15が略四角柱である場合は、パイロットピン15の外壁面15aとパイロット孔23の内壁面23cは面接触する。
本実施形態によれば、上述した実施形態の効果が得られるうえ、パイロットピンの外壁面とパイロット孔の内壁面との接触面積が多くなるため、パンチとダイの位置決め精度がより向上するという効果も得られる。
なお、上述した実施形態ではダイホルダにパイロット孔が設けられた積層鉄心用金型装置を説明した。本発明はこれに限られるものではなく、ダイにパイロット孔が設けられた積層鉄心用金型装置にも適用可能である。
本実施形態に係る積層鉄心用金型装置の構成を示す図である。 ダイホルダとダイの平面図である。 (a)、(b)はパイロット孔およびパイロットピンの形状と寸法を説明するための図である。 パイロットピンの別形態を示す図である。
符号の説明
1…積層鉄心用金型装置、10…上型、11…パンチ、12…パイロットピン、
20…下型、21…ダイ、22…ダイホルダ、23…パイロット孔、23a…スリーブ、
30…径方向。

Claims (1)

  1. 非回転金型を有する上型と、回転金型を有する下型とを備え、さらに前記上型に設けられた複数のパイロットピンと、前記パイロットピンに対応するように前記下型に設けられ、前記回転金型の周方向に沿って配列された複数のパイロット孔とを有し、前記回転金型を前記非回転金型に対して所定角度だけ回転し、前記パイロットピンを前記パイロット孔に挿入して前記非回転金型と前記回転金型との相対的な位置決めをし、前記回転金型と前記非回転金型で金属板を外形抜きして鉄心片を積層する積層鉄心用金型装置において、
    前記パイロット孔は前記回転金型の径方向に延在する長孔であって、前記パイロット孔における前記径方向の寸法が前記パイロットピンにおける前記径方向の寸法よりも大であること
    を特徴とする積層鉄心用金型装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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