JP2006527251A - 癌治療及び他の増殖性疾患治療のためのcdk阻害剤及びトポイソメラーゼi阻害剤を含む組合せ - Google Patents

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Abstract

本発明の第1の態様は、CDK阻害剤及びCPT−11を含む組合せに関する。本発明の第2の態様は、治療に同時に、順次又は別々に使用するための組合せ製剤として、CDK阻害剤及びCPT−11を含む医薬品に関する。本発明の第3の態様は、増殖異常を治療する方法に関し、前記方法は、CDK阻害剤及びCPT−11を対象に同時に、順次又は別々に投与するステップを含む。

Description

本発明は、癌及び他の増殖異常の治療に適した薬剤の組合せに関する。
哺乳動物の細胞周期の開始、進行、及び完了は、様々なサイクリン依存性キナーゼ(CDK)複合体によって制御され、この複合体は細胞増殖に重要である。この複合体は、少なくとも触媒(CDK自体)サブユニット及び制御(サイクリン)サブユニットを含む。細胞周期制御により重要ないくつかの複合体には、サイクリンA(cdc2、及びCDK2としても知られているCDK1)、サイクリンB1〜B3(CDK1)、サイクリンC(CDK8)、サイクリンD1〜D3(CDK2、CDK4、CDK5、CDK6)、サイクリンE(CDK2)、サイクリンK及びT(CDK9)並びにサイクリンH(CDK7)がある。これらの複合体はそれぞれ、細胞周期の特定の段階に関与する。
CDKの活性は、他のタンパク質との一時的な結合、及びその細胞内局在の変化によって翻訳後に制御される。腫瘍発生は、CDK及びその制御因子の遺伝子変化及び制御解除と密接に関係し、このことから、CDKの阻害剤が抗癌治療に有用である可能性があることが示唆される。実際、初期の結果から、形質転換細胞と正常細胞が、例えばサイクリンA/CDK2の必要性の点で異なり、従来の細胞毒性薬及び細胞分裂停止薬で認められる全身性の宿主毒性を欠く新規の抗腫瘍薬を開発できる可能性があることが示唆される。
CDKの機能は、例えば、網膜芽細胞種タンパク質、ラミン、ヒストンH1、及び紡錘体の構成成分を含めた特定のタンパク質をリン酸化し、それによってそのタンパク質を活性化又は不活化することである。CDKによって媒介される触媒ステップには、ATPから高分子の酵素基質へのリン酸転移反応が関与する。いくつかの群の化合物(N. Gray, L. Detivaud, C. Doerig, L. Meijer, Curr. Med. Chem. 1999, 6, 859に概説されている)に、CDK特異的なATP拮抗作用による抗増殖特性があることが認められている。
ロスコビチンは、化合物6−ベンジルアミノ−2−[(R)−1−エチル−2−ヒドロキシエチルアミノ]−9−イソプロピルプリンである。ロスコビチンは、サイクリン依存性キナーゼ酵素、特にCDK2の強力な阻害剤であることが示されている。この化合物は、抗癌剤として現在開発中である。CDK阻害剤は、細胞周期のG1/S期及びG2/M期からの細胞の経過を遮断すると理解されている。ロスコビチンはまた、網膜芽細胞種のリン酸化の阻害剤であることが示されており、したがって、Rb陽性腫瘍に対してより強力に作用することに関係するとみなされている。
治療法を最適化するために活性な薬剤を併用してしばしば投与することができることは、当技術分野で十分に確立されている。したがって本発明は、増殖異常、特に癌に特に適した既知の薬剤の新たな組合せの提供を探求するものである。より具体的には、本発明は、特定の薬剤を組み合わせて使用することと関係する、驚くべき且つ予期しない効果を中核とするものである。
N. Gray, L. Detivaud, C. Doerig, L. Meijer, Curr. Med. Chem. 1999, 6, 859
第1の態様では、本発明は、CDK阻害剤及びCPT−11を含む組合せを提供する。
第2の態様は、製剤上許容される担体、希釈剤又は賦形剤と混合した、本発明に従った組合せを含む薬剤組成物を提供する。
第3の態様は、増殖異常治療用の薬物の製剤における、本発明に従った組合せの使用に関する。
第4の態様は、治療に同時に、順次又は別々に使用するための組合せ製剤として、CDK阻害剤及びCPT−11を含む医薬品に関する。
第5の態様は、増殖異常を治療する方法に関し、前記方法は、CDK阻害剤及びCPT−11を対象に同時に、順次又は別々に投与するステップを含む。
第6の態様は、増殖異常治療用の薬物の製剤におけるCDK阻害剤の使用に関し、前記治療は、CDK阻害剤及びCPT−11を対象に同時に、順次又は別々に投与するステップを含む。
第7の態様は、増殖異常治療用の薬物の製剤におけるCDK阻害剤及びCPT−11の使用に関する。
第8の態様は、増殖異常治療用の薬物の製剤におけるCDK阻害剤の使用に関し、前記薬物は、CPT−11との併用療法で使用するためのものである。
第9の態様は、増殖異常治療用の薬物の製剤におけるCPT−11の使用に関し、前記薬物は、CDK阻害剤との併用療法で使用するためのものである。
本発明の第10の態様は、CDK阻害剤及びDNAトポイソメラーゼ1阻害剤を含む組合せに関する。
以下に示す好ましい実施形態は、上記した本発明の態様すべてに適用可能である。
上記したように、本発明は、CDK阻害剤及びCPT−11を含む組合せに関する。
イリノテカンとしても知られているCPT−11は、二本鎖切断を誘導するDNAトポイソメラーゼ1の阻害剤である。CPT−11は、カンプトセシンの半合成誘導体であり、in vivoでその活性型SN−38に転換され、DNAと結合した核の酵素トポイソメラーゼ1(top1)とそれが結合してその酵素を阻害することによって細胞毒性効果を発揮し、それによってtop1とDNAの切断可能な三重複合体が安定化する(5)。これは、DNA再連結反応を妨げ、その結果DNA二本鎖が切断され、最終的にアポトーシスが誘導される(6)。
薬剤の組合せの効果は、本来予測不可能であり、一方の薬剤が他方の効果を部分的に又は完全に阻害する傾向がしばしば認められる。本発明は、CPT−11及びCDK阻害剤(例えば、ロスコビチン)を併用して、同時に、別々に又は順次投与しても、その2つの作用物質間でどんな有害な相互作用も導かないという驚くべき観察結果に基づくものである。そのようなどんな拮抗的相互作用も予期せず生じないことは、臨床への適用に重要である。
好ましくは、その組合せは相乗効果を有し、すなわちその組合せは相乗的である。
上記したように、本発明の一態様は、治療に同時に、順次又は別々に使用するための組合せ製剤として、CDK阻害剤及びCPT−11を含む医薬品に関する。
CDK阻害剤及びCPT−11を同時に、併用して、順次又は別々に(投与法の一部として)投与することができる。
本発明において、「同時に」は、2つの作用物質を同時に投与することを意味するのに使用するが、「併用して」という用語は、同時でない場合、同じ時間枠内でそのどちらの治療上の作用も利用できる時間枠内で「順次」それらを投与することを意味するのに使用する。したがって、最初に投与した作用物質の循環半減期が作用物質のどちらも治療上有効な量で同時に存在するようなものであれば、一方の作用物質を、他方の作用物質を与えた後5分、10分又は数時間以内に、「順次」投与してもよい。その構成成分の投与間にある時間の遅延は、構成成分の正確な性質、その間にある相互作用、及びそのそれぞれの半減期に応じて変わる。
「併用して」又は「順次」と異なり、本明細書において「別々に」は、一方の作用物質と他方の投与の間がかなり長い、すなわち、第2の作用物質を投与するときに、最初に投与した作用物質が治療上有効な量で血流中に存在しなくなっていてもよいことを意味するのに使用する。
本発明の一態様は、増殖異常治療用の薬物の製剤におけるCDK阻害剤の使用に関し、前記治療は、CPT−11及びCDK阻害剤を対象に同時に、順次又は別々に投与するステップを含む。
好ましくは、CDK阻害剤及びCPT−11を同時に又は順次投与する。
好ましい一実施形態では、CPT−11及びCDK阻害剤を同時に投与する。
特に好ましい一実施形態では、対象にCPT−11を順次又は別々に投与する前に、前記対象にCDK阻害剤を投与する。
本発明の他の態様は、増殖異常を治療する方法に関し、その方法は、治療上有効な量のCDK阻害剤を、その後治療上有効な量のCPT−11を順次投与するステップを含む。
本発明の他の態様は、増殖異常の治療に使用する薬物の製造におけるロスコビチンの使用に関し、その使用は、治療上有効な量のCDK阻害剤を、その後治療上有効な量のCPT−11を順次投与するステップを含む。
別の好ましい実施形態では、対象にCDK阻害剤を順次又は別々に投与する前に、前記対象にCPT−11を投与する。
特に好ましい一実施形態では、CDK阻害剤及びCPT−11を順次投与する。
本発明の好ましい一実施形態では、個々の構成成分に関して治療上有効な量のCDK阻害剤及びCPT−11をそれぞれ投与する。
本発明の他の好ましい実施形態では、個々の構成成分に関して治療量以下の量のCDK阻害剤及びCPT−11をそれぞれ投与する。
本発明の他の好ましい実施形態では、CDK1レベルの上昇を引き起こすのに十分な量のCPT−11を投与する。
本発明のさらに他の好ましい実施形態では、アポトーシスを誘導するのに十分な量のCDK阻害剤を投与する。
本発明の特に好ましい一実施形態では、1、8、及び5日目にCPT−11を投与し、2〜5日目、9〜12日目及び16〜19日目にCDK阻害剤を投与する。好ましくは、CDK阻害剤はロスコビチンである。
好ましくは、約200〜約500mg/kg/日の、より好ましくは約300〜約400mg/kg/日の量のロスコビチンを投与する。より好ましくは、約300〜約400mg/kg/日の量のロスコビチンを2回に分けて、すなわち2×150〜200mg/kgの投与量で投与する。好ましくは、1日2回の投与は、間隔を6〜8時間空ける。
好ましくは、ロスコビチンを経口投与する。
好ましくは、約20〜約50mg/kg/日の、より好ましくは約25〜約45mg/kg/日の、さらに好ましくは約30〜約40mg/kg/日の、はるかに好ましくは約40mg/kg/日のCPT−11を投与する。
好ましくは、腹腔内経路によってCPT−11を投与する。
本発明の他の態様は、増殖異常治療用の薬物の製剤におけるCDK阻害剤及びCPT−11の使用に関する。
本発明のさらに他の態様は、増殖異常治療用の薬物の製剤におけるCDK阻害剤の使用に関し、前記薬物は、CPT−11との併用療法で使用するためのものである。
本発明のさらなる態様は、増殖異常治療用の薬物の製剤におけるCPT−11の使用に関し、前記薬物は、CDK阻害剤との併用療法で使用するためのものである。
本明細書において、「併用療法」という用語は、CPT−11及びCDK阻害剤を、同時でない場合、同じ時間枠内でそのどちらの治療上の作用も利用できる時間枠内で順次投与する療法を指す。
本明細書において、「薬物の製剤」という語句は、そのような薬物の製剤の任意の段階でのその使用に加えて、薬物としての直接的な、本発明の構成成分の使用を含む。
「増殖異常」という用語は、本明細書において広い意味で使用して、細胞周期の調節を必要とする任意の異常、例えば再狭窄や心筋症などの心血管系の異常、糸球体腎炎や関節リウマチなどの自己免疫異常、乾癬などの皮膚の異常、マラリア、気腫や脱毛などの抗炎症性、抗真菌性、抗寄生虫性の異常を含む。これらの異常において、本発明の構成成分は、必要に応じて所望の細胞内でアポトーシスを誘導し又は静止状態を維持することができる。
好ましくは、増殖異常は癌又は白血病であり、最も好ましくは癌である。
増殖異常が癌である場合、癌はp53依存性の癌でもよく、或いはp53非依存性の癌でもよい。
特に好ましい一実施形態では、増殖異常はp53非依存性の癌である。
特に好ましい一実施形態では、増殖異常は結腸直腸癌であり、より好ましくは結腸癌である。
他の好ましい実施形態では、増殖異常は肺癌である。
結腸直腸癌(CRC)は、西洋諸国における癌による死亡の第2の原因であり、化学療法を改善する努力がなされているにも関わらず、奏功率は、著しい生存上の利点に結びついていない。長年にわたって、進行性CRCの標準療法は、チミジル酸合成酵素阻害剤5−フルオロウラシル(5−FU)に基づくものであった。最近、作用機構が異なる新たな化合物が、奏功率を高めることが実証された(1)。CPT−11は、単一の作用物質として、5−FU耐性のCRC患者で腫瘍反応を示す(2)。CPT−11は、5−FU及び調節物質ロイコボリンとの組合せで、転移CRC患者の第一選択の化学療法として承認されている(3、4)。しかし、ロスコビチンなどのCDK阻害剤と併用してCPT−11を投与することは今日まで提案されていない。
進行性CRCには、腫瘍抑制遺伝子p53の突然変異が関与することが知られている。CPT−11は最近、疾患の進行段階で極めて重要なアジュバント療法に組み込まれている。DNA損傷チェックポイントはp53の活性化に依存するので、p53の状態は、CPT−11に対する反応に決定的な影響を及ぼす可能性がある。
CPT−11に対する感受性は、top1の活性がDNA修復及び細胞周期制御の欠陥を伴い、癌細胞がアポトーシスを抑制することができないことに依存する可能性がある。この場面において、CPT−11に対する腫瘍細胞の反応へのp53の状態の影響には、依然として議論がある。第1に、p53は、CPT−11が誘導する損傷から細胞を保護することによって寄与するが、このことは、CPT−11がp53+/+のHCT116結腸直腸癌細胞系統での長期の停止、及びp53−/−ノックアウト由来のHCT116細胞系統でのアポトーシスと相関することによって示されている(7)。さらに、p53不活化後のMCF−7乳癌細胞及びHCT116細胞で細胞毒性の上昇が観察された(8)。第2に、p53は、CPT−11に対して細胞を感作し、このことは、様々なヒト癌細胞系統及び正常ヒト線維芽細胞において記載がある(9)。ヒト結腸直腸癌を異種移植したin vivoの研究から、p53が変異型である状態が、CPT−11に対する反応が不良であり(10)、カンプトセシンによって捕捉されたDNAトポイソメラーゼI複合体のレベルが著しく低い(11)ことと相関することが示されている。最後に、照射とSN−38治療の組合せによって、p53の状態と無関係に、線維芽細胞に対して相乗効果が示された(12)。
p53の関与についてよりよく理解するために、in vivoとin vitroの両方で、mut−p53のHT29結腸癌細胞系統及びwt−p53のサブクローンHT29−A4でCPT−11に対する感受性を比較した。これらの研究のさらなる詳細は、添付した実施例中に認めることができる。
概要としては、G0/G1に同期化した細胞をCPT−11で処理した後の細胞周期の分析から、トランスフェクトした野生型p53が活性化し、それに続いてp21WAF1/CIP1依存的に細胞周期がS期で遮断されることが実証された。また活性化したwt−p53によってアポトーシスが増加し、CPT−11に対する感受性が高くなった。DNAマイクロアレイ分析から、p53欠損細胞では、細胞周期制御機構がCPT−11と反応せず、G2/MのCDK1/サイクリンB複合体が蓄積したことが示された。その後、細胞周期進行を妨げるcdk阻害因子p21WAF1/CIP1のp53非依存的な活性化が観察された。出願人による研究から、驚くべきことに、p53欠損細胞でのCDK1誘導を利用して、ロスコビチンなど、cdk阻害剤でさらに処理することによってCPT−11に対する感受性を高めることができることが示された。したがって、p53変異型の結腸癌細胞系統でのCPT−11に対する感受性の増大は、野生型p53の機能を回復させ、又はcdk阻害剤でさらに処理することによって実現することができる。
他の特に好ましい実施形態では、本発明は、CDK依存性又は感受性の異常の治療における、本明細書に記載する組合せの使用に関する。CDK依存性の異常は、通常レベル以上の1種又は複数種のCDK酵素の活性を伴う。そのような異常は、好ましくは異常なレベルのCDK2及び/又はCDK4の活性を伴う。CDK感受性の異常とは、CDKレベルの異常が主因ではないが、主要な代謝異常の下流にある異常である。そのような筋書では、CDK2及び/又はCDK4は、感受性のある代謝経路の一部であるといえ、したがって、CDK阻害剤は、そのような異常を治療する際に活性であってもよい。そのような異常は、好ましくは癌又は白血病的異常である。
好ましくは、CDK阻害剤は、CDK2及び/又はCDK4の阻害剤である。より好ましくは、CDK阻害剤は、ロスコビチン、プルバラノール(purvalanol)A、プルバラノールB、オロムチン(olomucine)及びWO97/20842、WO98/05335(CV Therapeutics)、WO99/07705(カリフォルニア大学理事)に記載されている他の2,6,9−トリ置換プリンから選択される。
はるかに好ましくは、CDK阻害剤は、ロスコビチン及びプルバラノールAから選択される。
特に好ましい一実施形態では、CDK阻害剤はロスコビチンである。
ロスコビチンは、化合物2−[(1−エチル−2−ヒドロキシエチル)アミノ]−6−ベンジルアミン−9−イソプロピルプリンであり、2−(1−D,L−ヒドロキシメチルプロピルアミノ)−6−ベンジルアミン−9−イソプロピルプリンとも記載される。本明細書において、「ロスコビチン」という用語は、分解したR及びSの光学異性体、その混合物、並びにそのラセミ体を含む。
ロスコビチンのin vitro活性は以下の通りである:
[表]
治療法を最適化するために、多数の抗癌剤が併用投与される。上記したように、CPT−11は、5−FU及び調節物質ロイコボリンとの組合せで、転移CRC患者の第一選択の化学療法として承認されている(3、4)。しかし、ロスコビチンと併用してCPT−11を投与することは今日まで提案されていない。
はるかに好ましくは、その組合せは、ロスコビチン及びCPT−11を含む相乗的な組合せである。
好ましい実施形態では、CPT−11とロスコビチンの組合せによって、どちらかの薬剤の単独投与と比べて高い効果が生じる。この観察結果の驚くべき性質は、従来技術に基づいて予想されるものとは逆である。
本発明の特に好ましい一実施形態では、その組合せはロスコビチンと、CPT−11の活性代謝物であるSN−38を含む。
本発明の他の態様は、CDK阻害剤及びDNAトポイソメラーゼ1阻害剤を含む組合せに関する。
一例として、好ましいDNAトポイソメラーゼ1阻害剤には、CPT−11、カンプトセシン、トポテカン及びルルトテカン(lurtotecan)がある。
in vitroのデータから、CPT−11で処理したHT−29細胞がG2/Mのcdk1/サイクリンB複合体を蓄積し、CPT−11で、その後CYC202でこの細胞を順次処理すると、cdk1の誘導が阻止され、細胞の死滅が増加することが示されている。
したがって、本発明の他の態様は、対象の増殖異常を治療する方法に関し、前記方法は、
(i)CDK1レベルの上昇を引き起こすのに十分な量のDNAトポイソメラーゼ1阻害剤を投与するステップと、
(ii)アポトーシスを誘導するのに十分な量のCDK阻害剤を投与するステップとを含む。
好ましくは、この態様で、DNAトポイソメラーゼ1阻害剤はCPT−11である。
好ましくは、この態様で、CDK阻害剤はロスコビチンである。
はるかに好ましくは、ステップ(i)及び(ii)は順次的であり、すなわち、CDK阻害剤に対して、DNAトポイソメラーゼ1阻害剤を別々に又は順次投与する。
さらにはるかに好ましくは、DNAトポイソメラーゼ1阻害剤の投与後、CDK阻害剤を別々に又は順次投与する。
薬剤組成物
本発明の構成成分(その製剤上許容される塩、エステル及び製剤上許容される溶媒和物を含む)を単独で投与することができるが、ヒトの治療では、これらは一般に、製剤上の担体、賦形剤又は希釈剤と混合して投与する。
したがって本発明の好ましい実施形態は、製剤上許容される賦形剤、希釈剤又は担体と混合した、CDK阻害剤及びCPT−11を含む薬剤組成物に関する。本明細書に記載されている種々の異なる型の薬剤組成物に適したそのような賦形剤の例は"Handbook of Pharmaceutical Excipients, 2nd Edition, (1994), Edited by A Wade and PJ Wellerの中に認めることができる。
治療への使用に許容される担体又は希釈剤は、製剤技術分野で周知であり、例えば、Remington's Pharmaceutical Sciences, Mack Publishing Co. (A. R. Gennaro edit. 1985)に記載されている。適切な担体の例には、ラクトース、デンプン、グルコース、メチルセルロース、ステアリン酸マグネシウム、マンニトール、ソルビトールなどがある。適切な希釈剤の例には、エタノール、グリセロール及び水がある。
製剤上の担体、賦形剤又は希釈剤の選択は、意図されている投与経路、及び標準的な製剤上の慣習に関連して選択することができる。薬剤組成物は、担体、賦形剤又は希釈剤として、又はそれに加えて、任意の適切な(複数の)結合剤、(複数の)潤滑剤、(複数の)懸濁剤、(複数の)被覆剤、(複数の)可溶化剤を含んでよい。
適切な結合剤の例には、デンプン、ゼラチン、グルコースなどの天然の糖、無水ラクトース、自由流動性ラクトース、βラクトース、トウモロコシの甘味料、アカシアやトラガカントやアルギン酸ナトリウムなどの天然及び合成ゴム、カルボキシメチルセルロース並びにポリエチレングリコールがある。
適切な潤滑剤の例には、オレイン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウムなどがある。
保存剤、安定化剤、色素を、また着香料も、薬剤組成物中に入れることができる。保存剤の例には、安息香酸ナトリウム、ソルビン酸及びp−ヒドロキシ安息香酸エステルがある。抗酸化剤及び懸濁剤を使用することもできる。
塩/エステル
本発明の作用物質は、塩又はエステル、特に薬剤として許容される塩又はエステルとして存在する可能性がある。
本発明の作用物質の薬剤として許容される塩は、適切なその酸付加塩又は塩基性塩を含む。適切な薬剤としての塩についての総説は、Berge et al, J Pharm Sci, 66, 1-19 (1977)中に認めることができる。塩は、例えば、鉱酸などの強無機酸、例えば硫酸、リン酸又はハロゲン化水素酸を用いて;酢酸など、置換されていない又は(例えばハロゲンによって)置換された1〜4個の炭素原子からなるアルカンカルボン酸などの強有機カルボン酸を用いて;飽和又は不飽和ジカルボン酸、例えばシュウ酸、マロン酸、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、フタル酸、又はテトラフタル酸を用いて;ヒドロキシカルボン酸、例えばアスコルビン酸、グリコール酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸又はクエン酸を用いて;アミノ酸、例えばアスパラギン酸又はグルタミン酸を用いて;安息香酸を用いて;或いはメタン又はp−トルエンスルホン酸など、置換されていない又は(例えばハロゲンによって)置換された(C〜C)−アルキル又はアリールスルホン酸などの有機スルホン酸を用いて形成される。
エステルは、エステル化される官能基に応じて有機酸又はアルコール/水酸化物を用いて形成される。有機酸には、酢酸など、置換されていない又は(例えばハロゲンによって)置換された1〜12個の炭素原子からなるアルカンカルボン酸などのカルボン酸;飽和又は不飽和ジカルボン酸、例えばシュウ酸、マロン酸、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、フタル酸、又はテトラフタル酸;ヒドロキシカルボン酸、例えばアスコルビン酸、グリコール酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸又はクエン酸;アミノ酸、例えばアスパラギン酸又はグルタミン酸;安息香酸;或いはメタン又はp−トルエンスルホン酸など、置換されていない又は(例えばハロゲンによって)置換された(C〜C)−アルキル又はアリールスルホン酸などの有機スルホン酸がある。適切な水酸化物には、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化アルミニウムなどの無機水酸化物がある。アルコールには、1〜12個の炭素原子からなるアルカンアルコールがあり、その炭素原子は、置換されていなくてもよく、或いは(例えばハロゲンによって)置換されていてもよい。
光学異性体/互変異性体
本発明はまた、適切な場合にその作用物質のすべての光学異性体及び互変異性体を含む。当業者なら、光学的特性(1つ又は複数のキラル炭素原子)又は互変異性体の性質を有する化合物を認識するであろう。当技術分野で知られている方法によって、対応する光学異性体及び/又は互変異性体を単離/調製することができる。
立体異性体及び幾何異性体
本発明の作用物質のうちいくつかは、立体異性体及び/又は幾何異性体として存在する可能性があり、例えば、1つ又は複数の不斉中心及び/又は幾何中心を有する可能性があり、そのため2種以上の立体異性体の及び/又は幾何的な形態で存在する可能性がある。本発明は、その作用物質の個々の立体異性体及び幾何異性体、並びにその混合物すべての使用を意図するものである。特許請求の範囲で使用する用語は、これらの形態が(必ずしも同じ程度ではないが)適当な機能的活性を保持する限り、前記の形態を包含する。
本発明はまた、作用物質又は薬剤として許容されるその塩の適切な同位体的変形形態すべてを含む。本発明の作用物質又は薬剤として許容されるその塩の同位体的変形形態は、少なくとも1つの原子が、同じ原子番号であるが原子量が自然界に通常みられる原子量と異なる原子によって置換されたものとして定義される。作用物質及び薬剤として許容されるその塩に取り込むことができる同位体の例には、それぞれ、H、H、13C、14C、15N、17O、18O、31P、32P、35S、18F、36Clなどの水素、炭素、窒素、酸素、リン、硫黄、フッ素及び塩素の同位体がある。作用物質及び薬剤として許容されるその塩の特定の同位体的変形形態、例えば、Hや14Cなどの放射性同位体が取り込まれたものは、薬剤及び/又は基質の組織分布の研究に有用である。トリチウム化された、すなわちHの、及び炭素14の、すなわち14Cの同位体は、その調製し易さ及び検出能から特に好ましい。さらに、重水素、すなわちHなどの同位体で置換すると、高い代謝安定性、例えばin vivoでの半減期の延長、又は投与要求性の低下から生じる特定の治療上の利点が得られることがあり、したがってその置換はある状況では好ましいことがある。本発明の作用物質及び薬剤として許容されるその塩の同位体的変形形態は、適切な試薬の適当な同位体的変形形態を使用する従来の手順によって一般に調製することができる。
溶媒和物
本発明はまた、溶媒和物型の本発明の作用物質をも含む。特許請求の範囲で使用する用語は、この型を包含する。
多形体
本発明はさらに、その種々の結晶型、多形型及び含(無)水型の本発明の作用物質に関する。そのような化合物の合成製剤中で使用する溶媒和物からの精製及び/又は単離の方法をわずかに変更することによって、そのような型のうちのいずれかとして化学化合物を単離できることは、製薬業界内で十分に確立されている。
化学的誘導体
本発明はまた、その作用物質の誘導体を含む組合せにも関する。本明細書において「誘導体」という用語は、作用物質の化学修飾を含む。ハロ基、アルキル基、アシル基又はアミノ基による水素の置換がそのような化学修飾の例示となる。
プロドラッグ
本発明はさらに、プロドラッグ型の本発明の作用物質を含む。そのようなプロドラッグは一般に、ヒト又は哺乳動物対象への投与後に修飾を元に復帰させることができるように1つ又は複数の適当な基が修飾された化合物である。そのような復帰は通常、そのような対象中に天然に存在する酵素によって行うが、in vivoで復帰を行うために第2の作用物質をそのようなプロドラッグと一緒に投与することが可能である。そのような修飾の例には、エステラーゼなどによって復帰を実施することができるエステル(例えば、上記に記載のもののいずれか)がある。他のそのようなシステムは、当業者に周知であろう。
投与
本発明の薬剤組成物を、経口、直腸、膣内、非経口、筋内、腹腔内、動脈内、鞘内、気管支内、皮下、皮内、静脈内、経鼻、口腔又は舌下の投与経路に適合させることができる。
経口投与では、圧縮した錠剤、丸剤、錠剤、ゼラチンカプセル剤、滴剤、及びカプセル剤を特に使用する。好ましくは、これらの組成物は、投与1回当たりに有効成分を1〜2000mg、より好ましくは50〜1000mg含む。
投与の他の型は、静脈内に、動脈内に、鞘内に、皮下に、皮内に、腹腔内に又は筋内に注射することができ、滅菌した又は滅菌可能な溶液から調製される液剤又は乳剤を含む。本発明の薬剤組成物はまた、坐剤、膣坐剤、懸濁剤、乳剤、ローション剤、軟膏剤、クリーム、ゲル、噴霧剤、液剤又は散粉剤の型のものでもよい。
経皮投与の代替の手段は、皮膚パッチの使用によるものである。例えば、ポリエチレングリコールの水性乳剤又は液体パラフィンからなるクリーム中に有効成分を組み込むことができる。必要のある場合に応じてそのような安定化剤及び保存剤と一緒にした白蝋又は白い軟パラフィンからなる軟膏中に、1〜10重量%の濃度で有効成分を組み込むこともできる。
注射可能な型は、投与1回当たりに有効成分を10〜1000mg、より好ましくは10〜500mg含んでよい。
単位剤形で、すなわち単位投与量、或いは複数の又は副次単位の単位投与量を含む別個の部分の型で組成物を製剤することができる。
特に好ましい実施形態では、本発明の組合せ又は薬剤組成物を静脈内投与する。
投与量
当業者は、過度に実験を行うことなく対象に投与する本組成物の1つの適当な投与量を容易に決定することができる。通常、医師が個々の患者に最も適する実際の投与量を決定し、それは、使用する特定の作用物質の活性、その作用物質の代謝安定性及び作用の長さ、年齢、体重、一般的な健康状態、性別、食事、投与様式及びその期間、排泄速度、薬剤の組合せ、特定の状態の重症度、並びに個々の受けている治療を含めた様々な要因によって決まる。本明細書で開示されている投与量は、平均の場合の例示である。もちろん、より高い又はより低い投与量の範囲が正当である個々の例が存在する可能性があり、そのようなものは本発明の範囲内である。
必要に応じて、体重1kg当たり0.1〜30mg、又は1kg当たり2〜20mg、より好ましくは体重1kg当たり0.1〜1mgの投与量でその作用物質を投与することができる。
上記のように、好ましくは薬剤として許容される組成物の形態で、各活性構成成分CDK阻害剤とCPT−11を治療上有効な量で投与する。これらの量は、当業者によく知られている。手引きとして、CPT−11は通常、静脈内、経口又は局所投与する。静脈内及び経口の投与量は通常CPT−11を250mg又は500mg含み、患者の体重に応じた全体的な投与量で、例えば経口で週に15mg/kg、最大投与量1g/日で、或いは静脈内で1日に4時間にわたって12mg/kg又は24時間にわたって24〜49mg/kgを5日間で、医師の指示に従ってそれを投与する。経口投与は、通常カプセル剤で行うが、静脈内投与は一般に数時間、通常4時間にわたって行う。
好ましくは、ロスコビチンは、投与量1〜5g/日での経口又は静脈内投与として投与する。次いで、上記の適当な投与量で、最も適切と思われる形でCPT−11を投与する。好ましい一実施形態では、ロスコビチンを投与してから少なくとも24時間後にCPT−11を投与する。
ロスコビチンは通常、投与量約0.05〜約5g/日で、好ましくは約0.5〜約5g/日又は1〜約5g/日で、はるかに好ましくは約1〜約3g/日で経口又は静脈内投与する。或いは、ロスコビチンは、好ましくは投与量約0.4〜3g/日で投与する。ロスコビチンは、好ましくは錠剤又はカプセル剤で経口投与する。ロスコビチンの1日総投与量を単回投与として投与することもでき、或いは1日に2、3又は4回の別々の投与に分けることもできる。
実施例を通じ、添付図面を参照して本発明をさらに詳細に説明する。
本明細書で使用する略語は以下の通りである:CPT、カンプトセシン;CRC、結腸直腸癌;5−FU、5−フルオロウラシル;CDK、サイクリン依存性キナーゼ;PARP、ポリADPリボースポリメラーゼ;SCF、Skp1−キュリン(cullin)−Fbox;APC/C、後期促進複合体/サイクロソーム;CDK−I、サイクリン依存性キナーゼ阻害剤;APC、腺腫様結腸ポリープ症;TGT、腫瘍増殖時間;TGI、腫瘍増殖抑制;PR、部分奏功。
材料及び方法
薬剤
CPT−11(カンプト(Campto)(登録商標)、イリノテカン)は、Aventis(Vitry sur Seine, France)より快く提供を受け、ロスコビチン(以下「CYC202」と称する)はCyclacel(Dundee, UK)から入手した。
細胞系統
HT29(Ala273コドンにおけるp53変異)細胞系統は、B1段階のS状結腸癌に由来し、そのサブクローンHT29−A4は、wt p53発現ベクターをトランスフェクトしたものであった(13)。トランスフェクトしたwt p53はHT29−A4細胞系統中で優性の機能を有し、このことは以前にHT29−A3細胞系統で示されている(非公開データ;(14))。10%ウシ胎児血清を補充したDMEM培地中で細胞を維持し、wt−p53のHT29−A4細胞系統についてはジェネティシンでの継続的な選択下で維持した。
細胞周期の進行及び細胞増殖
48時間血清飢餓状態にすることによって細胞をG0/G1に同期化した。血清及び新鮮培地を添加すると、その遮断から細胞が解放され、その周期進行を促進した。記載の通りに(13)、BrdU(5−ブロモ−2’−デオキシウリジン;Sigma)取り込みによって細胞周期進行を分析した。示されているように(15)、MTT(臭化3−[4,5−ジメチルチアゾール−2−イル]−2,5−ジフェニルテトラゾリウム;Sigma)比色還元法を用いて細胞増殖を測定した。
DNAマイクロアレイ
細胞周期制御に関与する一団の96遺伝子のプロファイル発現分析を、Human Cell-cycle GEArray Qシリーズ(SuperArray, Inc., Bethesda, MD)を用いて行った。RNA精製キット(Quiagen, Valencia, CA)を用いて、製造業者の推奨に従って総RNAを単離し、32P標識cDNAプローブ合成用の鋳型として使用した。96種の細胞周期制御遺伝子の遺伝子特異的cDNA断片が4重スポットでプリントされたナイロン膜上で、60℃で1晩ハイブリダイゼーションを行った。SSC(食塩−クエン酸ナトリウム)及びSDS(ドデシル硫酸ナトリウム)緩衝液(2×SSC/1%DSD;0.1×SSC/0.5 SDS)で広範に洗浄した後、リン光画像化装置を用いて膜のデジタル画像を取得し、ImageQuantソフトウェア(SuperArray)で定量を行った。
免疫沈降及びウェスタンブロット分析
1μMのCPT−11の存在下で24時間インキュベートした、同期化したmut−p53のHT29細胞を、RIPA緩衝液(トリス50mM、pH8、NaCl 150mM、NP40 1%、DOC0.5%、SDS0.1%、プロテアーゼ阻害剤)で溶解した。その上清をプロテインAセファロース(Amersham Bioscience, Sweden)とともに予めインキュベートした後、モノクローナルp21WAF1/CIP1抗体(Becton Dickinson, Franklin Lakes, NJ)5μgとともに4℃で1晩インキュベートした。プロテインAセファロースビーズを使用して、抗体と結合した標的タンパク質を単離した。溶解緩衝液で広範に洗浄した後、ビーズをLaemmli緩衝液に再懸濁させ、沸騰させ、ウェスタンブロット分析用に処理した。或いは、細胞を溶解し、その上清をLaemmli緩衝液中で沸騰させた。試料を10〜12%のSDS−PAGEゲル上で分離し、ニトロセルロース膜(Schleicher & Schuell, France)上に移し、1次抗体(1:2000mAb∝アクチン、Sigma;1:50mAb∝p53 X77、T. Soussi, Curie, Franceから贈与;2μg/ml mAb∝mdm−2、Oncogene Research Products, San Diego, CA;1:100pAb∝PARP p85断片、Promega, Madison, WI;1:1000pAb∝切断型カスパーゼ3、Cell Signaling Technology, Beverly, MA;1:2500mAb∝cdk1、BD Transduction Laboratories, San Jose, CA;1:400pAb∝p21WAF1/CIP1、Becton Dickinson;1:500pAb∝サイクリンB及び1:500pAb∝サイクリンA;Sigma)とともにインキュベートした。アルカリホスファターゼ結合抗体(1:7500、Promega)及びNBT/BCIP発色基質(Promega)を用いてタンパク質を明らかにした。
アポトーシスのモニター
アポトーシスをモニターする適切な方法には、1種又は複数種の下記のものが含まれる:フローサイトメトリー、PARP切断の分析、カスパーゼ切断の分析、TUNEL染色、アネキシンV標識、M30標識及びSELDI−TOF質量分析によるプロテオームプロファイルの分析。
in vivo実験
6〜15週齢のSwiss nu/nuマウス(25〜35g/体重)を、the Curie Institut, Paris (France)の動物施設で飼育し、特定病原体不在の条件下で維持した。その世話及び居住環境は、フランス倫理委員会(French Ethical Committee)の施設ガイドライン(Ministere de l'Agriculture et de la Peche, Ministere de la Recherche, France)に従い、また公認の調査員の監督下にあった。HT29及びHT29−A4細胞系統は、細胞2×106個の皮下注射により移植可能な腫瘍として樹立された。60〜250mmの腫瘍断片の皮下移植片を有する無作為化したマウスをCPT−11で処理し、間欠的スケジュールを用いてi.p.で体積0.2mlを投与した:240mg/kg(4日毎に40mg/kg/日を6回注射)の高い総投与量及び40mg/kg(4日毎に10mg/kg/日を4回注射)の低い総投与量の2つの投与量について試験した。対照群のマウスに、製剤用溶媒を0.2ml投与した。腫瘍の体積(V=A×B2、式中Aはミリメートル単位での腫瘍の幅、Bはその長さ)を3日毎に測定し、記載の通りに(15)腫瘍の増殖を算出した。CPT−11とロスコビチンの併用は、7日毎にCPT−11を40mg/kgでi.p.投与、その後200mg/kgでの強制経口投与による1日2回のロスコビチンの3〜4連続投与からなる連続した周期によって行われた。
投与量
強制経口投与では、各回の前に50mM HClでCYC202を溶解させた。溶媒を加えた後それを約5分間超音波処理し、投与中磁気撹拌機で撹拌した。予め秤量したCYC202の入った瓶中に適当な量のHClを添加することによって、終濃度1〜10mg/mlの溶液を下記の表に示すように調製した。
mg/ml単位の投与量 体積ml 瓶内の薬剤 50mM HClの添加量
1 300 300mg 300ml
5 300 1500 298ml
7.5 200 1500 198ml
10 150 1500 148ml
投与の順序及び期間
単独で投与するとき、CYC202は、1日2回(2×200mg/kg又は2×150mg/kg/日で)約8時間間隔で(ほぼ午前10時とほぼ午後6時に)、化学療法を受ける群と同じ期間投与した。CYC202で処置したマウスには、その製品のバイオアベイラビリティーを妨げないように、8時間の投与期間の間は飼料を与えなかった。
異種移植片を有する動物で化学療法と組み合わせて投与するとき、CYC202は以下の通りに投与した:CYC202(2×200mg/kg/日)2〜5日目、9〜12日目、16〜19日目、CPT−11 1、8、15日目。
投与経路
CYC202は、強制経口投与により、マウス1匹当たり体積100〜200μlで投与した。CPT−11溶液は、IP経路によって投与した。個々の化合物の注射体積は、マウス1匹当たり100〜200μlであった。
腫瘍の移植
腫瘍の異種移植片は、免疫不全マウスへの連続した移植によって維持した。薬剤効果についてのアッセイでは、以前の継代に由来する断片状態の腫瘍の皮下移植片をマウスに投与する。このアッセイの断片は、以前の腫瘍継代を有する供与マウス5匹に由来し、そのマウスは、腫瘍が直径12〜15mmに達したときに屠殺した。同じ実験のマウスはすべて、同じ日に移植した。1群当たりに少なくともマウスが10匹含まれていた。担癌供与マウスを頚椎脱臼によって屠殺した。腫瘍を無菌的に切除した。培地を含むペトリ皿に腫瘍を入れ、慎重に解剖して腫瘍を通常囲んでいる線維被膜を除去した。壊死している腫瘍は除去した。移植の手順の間は、培地中で腫瘍組織を維持した。異種移植は無菌的に行った。アバーチン(avertine)で麻酔し、70%アルコール/水溶液で皮膚を消毒した後、肩甲骨の領域のレベルで皮膚を切開し、腫瘍の断片を皮下組織中に入れた。皮膚をクリップで閉じた。
抗腫瘍効果の評価
生データはすべて手書きで帳面に記録し、コンピュータへと移した。相対腫瘍体積(RTV)は、1日目での最初の体積で割り100を掛けた、時間tでの体積の比として算出した。RTV100%以下(腫瘍退縮)のとき、これらのデータから、増殖の欠如を迅速に評価することが可能である。処置群及び対照群における時間の関数としての平均RTVの曲線を得、この報告中に示した。最適増殖抑制は、対照でのRTVで割った、処置群でのRTVの比(×100)として算出した。増殖遅延時間とは、処置群及び対照群における最初の腫瘍体積200〜400mm3の5倍(又は4倍)となるのに必要な日数単位の時間であった。週1回マウスを個々に体重測定した。最初の体重と比較した体重の変動、及び1群当たりの平均値(又は中央値)を算出した。
統計
統計試験はすべて、Statviewソフトウェアを用いて行った。下記のパラメーターを比較した:腫瘍体積及び/又はRTV、最適増殖抑制、増殖遅延時間、体重変化。治療の効果の統計分析は、対応のあるt検定によって行った。
結果
安定にトランスフェクトしたwt−p53の活性化により、CPT−11で処置したHT29細胞の細胞周期進行が遮断される
CPT−11の、細胞周期進行に対する、特に、このtop1阻害剤がその作用を発揮するS期に対する効果を特徴付けるために、血清飢餓状態にすることによって細胞をG0/G1に同期化した(材料及び方法を参照)。血清によって誘導されるその遮断からの解放から6時間後、細胞が周期を進行し始めたとき、同期化したHT29細胞を有効に遮断する(示さず)濃度1μMのCPT−11を培地中に添加し、wt−p53及びmut−p53の処置細胞での細胞周期の進行を分析した。どちらの型の非処置細胞も、その遮断からの解放後16時間辺りでS期へと進行し、24時間でG2/Mを介し、約36時間で細胞周期を完了した(図1A)。36時間までにCPT−11の存在下でインキュベートしたとき、wt−p53の細胞もmut−p53の細胞もS期で遮断された(図1B)。興味深いことに、wt−p53の細胞は初期のS期で遮断され、それと異なりmut−p53の細胞は後期のS期で停止した(図1B)。このことから、wt p53のHT29−A4では、細胞周期停止が、CPT−11に反応してwt p53が即座に安定化し活性化する結果生じたことが示唆される。p53の誘導は、CPT−11処置対非処置wt−p53細胞でのウェスタンブロットによってさらに確認された(図1C)。mut−p53細胞のCPT−11処置後のp53タンパク質レベルもわずかに上昇したが、これはおそらく変異不活性型のp53の上昇を反映するものである(図1C)。p53の下流にある遺伝子mdm2の誘導について試験することにより、誘導されたp53の機能性をさらに分析した。mdm2タンパク質は、p53と結合し、p53をユビキチン化しそれをプロテアソームによる分解に向かうように指定するその主要な細胞のアンタゴニストとして働く。さらに、mdm2遺伝子はp53による正の転写活性化の直接的な標的であり、それによってp53活性を継続的に抑制し生物学的に不活性な状態でそれを維持する基本的なp53/mdm2の自己制御ループが規定される(16)。mdm2は、CPT−11処置wt−p53細胞で誘導されることが認められた(図1C)。これらの結果から、CPT−11に反応して、安定にトランスフェクトしたwt p53が活性化されp53依存的な細胞周期停止を促進したと結論付けられる。
wt−p53対mut−p53のHT29細胞のCPT−11に対するin vitroでの感受性の増大
wt p53の優性な発現が、この結腸癌細胞系統のCPT−11に対する感受性に影響を及ぼすかどうかを調べる研究に着手した。細胞増殖アッセイで示されるように、wt−p53の細胞を1μMのCPT−11とともに72時間インキュベートすると、非処理細胞に関して、mut−p53の細胞と比べて細胞増殖が有意に低下した(図2A)。このことから、安定にトランスフェクトしたp53の活性化による細胞周期停止に加えて、CPT−11処置がwt−p53細胞でのアポトーシスの増加に関係することが示唆された。このことは、116kDaの完全なタンパク質のカスパーゼ切断から生じるPARP(ポリADPリボースポリメラーゼ)のp85断片(17)のウェスタンブロット分析によってさらに確認された(図2B)。さらに、アポトーシスの主要な実行因子の1つであり、PARP切断の原因であるカスパーゼ3の、活性化p17及びp12サブユニットへのタンパク質分解性プロセシングによる活性化が、mut−p53の細胞と比較して、CPT−11で処置したwtp53細胞で確認された(図2B)。
wt−p53対mut−p53のHT29細胞のCPT−11に対するin vivoでの感受性の増大
定着した異種移植片を用いて、wt−p53とmut−p53でのCPT−11に対する反応を比較した。CPT−11が高濃度でも低濃度でも、wt−p53の異種移植片の増殖が抑制され、それぞれ平均TGIが60%、平均TGTが18(±7)及び87%、平均TGTが30(±7)であった(表1)。さらに、どちらの投与量のCPT−11処置でも、時間の関数として、体積2000mmに達した個々の腫瘍(マウス)(倫理的に屠殺)の累積百分率として示される、wt−p53のHT29−A4hCRC異種移植片を有するマウスの生存スコアが有意に上昇した(図2C)。それと異なり、mut−p53の異種移植片では反応は認められなかった(示さず)。これらの結果から、少なくとも使用した結腸癌細胞モデルでは、機能的なp53が存在するとCPT−11に対する反応が有意に高くなることが示唆される。
CPT−11によって誘導される細胞周期停止におけるp21WAF1/CIP1の関与
p53欠損腫瘍細胞におけるCPT−11に反応した細胞周期停止の根底にある機構を理解するために、DNAマイクロアレイ技術(SuperArray)を使用して、細胞周期制御に関与する一団の96遺伝子の発現プロファイルを分析した。これらのアレイは、細胞周期の主要な制御因子であるサイクリン依存性キナーゼ(cdk)遺伝子、及びサイクリン、cdk阻害因子、cdkホスファターゼやcdkキナーゼなど複数のレベルでcdkの活性を制御する遺伝子に焦点が合わせられている。さらに、DNA損傷及び有糸分裂紡錐体チェックポイントに不可欠な遺伝子、並びにSCF(Skp1−キュリン−Fbox)及びAPC/C(後期促進複合体/サイクロソーム)ユビキチン結合複合体中の遺伝子を含んでいる。p21WAF1/CIP1のわずかな活性化が、1μMのCPT−11で処置したwt−p53とmut−p53のどちらの細胞系統でも認められた(図3A)。p21WAF1/CIP1がCPT−11に対する反応に関与するというDNAマイクロアレイで示唆されたことを確認するためにウェスタンブロット分析を行った。wt−p53の処置細胞のものと比べて、mut−p53の処理細胞でのp21WAF1/CIP1のタンパク質レベルの有意に高い誘導に対応する弱い転写活性が認められた(図3B)。このことから、wt−p53とmut−p53のどちらの細胞系統もCPT−11の存在下でインキュベートしたときに観察されたS期の細胞周期停止が、p21WAF1/CIP1の誘導から生じたことが示唆される。
CPT−11で処理したp53欠損細胞でのcdk1の誘導
DNAマイクロアレイ分析から、非処置及びCPT−11処置のwt−p53対mut−p53細胞間の発現における最も有意な差が、S期を介してG2/有糸分裂へと細胞周期を進行する役割を果たすキナーゼcdc2/cdk1に対応していたことが示された(図3A)。ウェスタンブロット分析から、1μMのCPT−11で処置したmut−p53の細胞でのcdk1レベルの上昇が確認された(図3B)。cdkは、細胞周期の段階に応じてそのそれぞれのサイクリンと複合体を形成し、サイクリンは制御単位であり、cdkは触媒の相手である。cdk1発現の上昇が、その対応するサイクリン:後期のS/G2期でcdk1と複合体を形成することが知られているサイクリンA、又はG2/M移行に関与するサイクリンBのうち1つの発現と相関するかどうかを調べる研究に着手した。CPT−11で処置したmut−p53の細胞でのcdk1発現の動態は、サイクリンAではなくサイクリンBのものと対応した(図3C)。このことから、細胞がS期で遮断されたが、その細胞周期制御因子はG2/M移行のものと対応したことが示唆された。興味深いことに、cdk1/サイクリンB発現の上昇は、強力なcdk阻害因子として働くことにより細胞周期進行を遮断することが知られているp21WAF1/CIP1の上昇の前に起こったことも観察された(図3C)。さらに、p21WAF1/CIP1の誘導は、CPT−11で処置したmut−p53の細胞を、強力且つ選択的なcdk阻害剤(cdk−I)であるロスコビチン(18)とともにさらにインキュベートしたときに完全に消滅した。1μMのCPT−11とともにインキュベートした後の高いcdk1レベル(図3D、第1レーン)は、CPT−11+10μMのロスコビチンでさらに処置することにより抑制された(図3D、第2レーン)。p21WAF1/CIP1の抑制はcdk1の抑制と相関し、このことから、mut−p53の細胞において、CPT−11で処置した後、cdk1/サイクリンB複合体の蓄積に反応してp21WAF1/CIP1が誘導されたことが示唆される。このことは、1μMのCPT−11とともに24時間インキュベートしたmut−p53の細胞でcdk1がp21WAF1/CIP1に対する抗体と同時に免疫沈降したことによって確認された(図3E)。このことから、高レベルのcdk1に対する反応がp21WAF1/CIP1の誘導によって相殺され、したがってcdk1抑制を促進することが知られている相互作用が細胞のG2/Mへの進行を妨げる(19)ことが示唆される。
ロスコビチンでのさらなる処置後のp53欠損HT29細胞のCPT−11に対する感受性の増大
p53−mutのHT29細胞でのCPT−11に対する反応の根底にある分子機構の特徴付けにより、処置してから24時間後のcdk1の蓄積を利用し、特異的なcdk−Iであるロスコビチンとのさらなるインキュベーションを設計することによってCPT−11に対するその感受性を高める努力が促された。mut−p53のHT29細胞を最初に1μMのCPT−11で24時間前処置し、次いでロスコビチンを培地に添加し、細胞を両方の薬剤の存在下で最大24時間までさらにインキュベートした(図4A)。非処置細胞、CPT−11単独で48時間処置した細胞、及びロスコビチン単独で24時間処置した細胞を対照として用いた。ロスコビチン単独での処置は、細胞周期の遮断を促進した(図4B)。それに対して、CPT−11での前処置によってcdk1が蓄積した細胞にロスコビチンを添加すると、CPT−11単独と比較したときに細胞増殖が有意に低下した(図4B)。カスパーゼ3切断のウェスタンブロット分析から、ロスコビチン又はCPT−11単独と比較して、ロスコビチンでさらに処置した後にアポトーシスが増加したことが示された(図4C)。HT29の腫瘍の異種移植片を有するヌードマウスにCPT−11及びロスコビチンを順次投与することにより、この仮説についてin vivoでも分析した。腫瘍増殖遅延(TGD;腫瘍体積が処置開始時のサイズから4倍の増加に達する日数)は、CPT−11単独(TGD±SD:22±1,9)、ロスコビチン単独(12±1,2)又は非処置対照(9±1)と比較したとき、CPT−11とロスコビチンとの組合せで相加/相乗効果を示した(30±1,7)(図4D)。これらの結果から、p53の変異によってtop1阻害剤CPT−11に対する感受性が減弱しているとき、CPT−11とcdk−Iの組合せが、結腸直腸癌の治療において治療上有効であることが示唆される。
in vivoでの薬剤効果の結果
抗腫瘍活性のデータを表2に要約し、腫瘍増殖曲線(時間に対する平均の相対腫瘍体積)として示す。処置開始時の平均腫瘍体積は、HT29結腸腺癌で263.4+/−17.6mmであった。
以前の忍容性試験から選択された投与量では、CYC202は、単独で又は化学療法との組合せで、3〜6回の4日周期で十分な忍容性を示した。400mg/kg/dのCYC202は、HT−29モデルにおいて40mg/kgのCPT−11との組合せで十分な忍容性を示した。
単剤としてのCYC202
CYC202は、最大耐量の400mg/kg/日で最大6週間投与したとき、異種移植モデルで抗腫瘍活性を示さなかった。
化学療法と組み合わせたCYC202
CYC202とCPT−11の組合せから有意な結果が得られ、有望な相乗作用がHT29結腸癌で認められた。その共同の効果は、TGDに関してもTGIに関しても統計上有意であった(表2及び図4Dを参照)。
考察
CRCは、遺伝子変化が腫瘍形成に伴う(20)が、代替の遺伝的経路が疾患の進行に寄与する可能性がある(21、22)多段階進行癌モデルの範例とみなされている。決定的な分子上の事象には、腺腫様結腸ポリープ症(APC)及びカーステン(Kirsten)−ras(K−ras)遺伝子の変化又は突然変異が関与する。さらに、腫瘍抑制遺伝子p53の突然変異は、CRCの後期の現象であると思われ、細胞周期停止及びアポトーシスを回避する複数の遺伝子変化を伴う腫瘍を増殖させる可能性がある(23、24)。最近では抗腫瘍効果に直接的な役割を果たすことに加えて、DNAを損傷する作用物質が、細胞周期チェックポイントを活性化することによって損傷後の反応を開始する可能性があることが広く想定されている(25)。したがって、これらの損傷反応の統合性も治療感受性に影響を及ぼす可能性があり、抗癌剤によって活性化されるアポトーシス経路の無能化は、耐性に寄与する可能性がある(26)。
上記の研究は、wt p53をトランスフェクトした、G0/G1で同期化したHT29細胞をCPT−11で処置すると、機能的に活性なp53がS期で細胞周期停止を導くことを明らかにするものである。機能的なp53の存在が、CPT−11に反応して、in vitroでアポトーシスの増加と、in vivoで感受性の向上と相関したことも観察された。これらの結果は、変異型p53がCPT−11に対する反応不良と相関したことが示された、wt/mut p53のhCRC異種移植片間の比較研究で得られた結果と一致する(10)。
細胞周期制御に関与する一団の遺伝子の発現プロファイル分析から、CPT−11によって誘導されるS期での細胞周期停止が、p21WAF1/CIP1の誘導から生じたことが示された。p21WAF1/CIP1は、サイクリン及びcdkを含む複合体中に認められ、cdk活性の普遍的な抑制因子であるように思われる。p21WAF1/CIP1の誘導は、p53依存性と非依存性のどちらの上方制御でも、DNA損傷又は分裂刺激に反応して、また分化の間にも起こる可能性がある。p21WAF1/CIP1の上方制御は、CPT処置後の乳癌におけるp53依存性と非依存性のどちらのアポトーシスにも関係し(27)、Fas経路及びセラミドのシグナル伝達が、カンプトセシンで処置したmut−p53のHT29細胞によるp53非依存性アポトーシス誘導に関係していた(28、29)。さらなる研究から、CPT−11で処置したmut−p53のHT29細胞では、p21の誘導がG2/Mのサイクリン依存性キナーゼcdk1の特異的な蓄積に依存することが実証された。CPT−11で処置したヒト前骨髄球性白血病HL60細胞で、アポトーシスの前にcdk1の不定期な活性化が観察された(30)。これらすべての結果から、wt−p53及びmut−p53の条件においてCPT−11に対する反応を説明する2つの機構の提唱が導かれる(図5A)。第1に、機能的なp53は、おそらくDNA二本鎖切断に反応してDNA損傷チェックポイントを活性化することによってCPT−11に対する直接の反応を引き起こすことができる。これには、下流の上方制御されたp21WAF1/CIP1の活性化が関与し、遮断が持続する結果、最終的にアポトーシスが促進される。第2に、変異型p53細胞では、おそらく細胞がDNA合成をうまく完了できないことにより、CPT−11がS期の間に細胞周期の進行を強制停止する。それにも関わらず、CPT−11に対する反応を活性化する機能的p53の不在下では、細胞周期の機構は進行しcdk1/サイクリンB複合体を蓄積し続ける;したがってp21WAF1/CIP1は、p53非依存性の形で誘導されて、cdk1活性を抑制し、G2/Mへの進行から細胞を保護する。
本発明の様々な変更形態及び変形形態は、本発明の範囲及び趣旨から逸脱することなく、当業者に明らかであろう。特定の好ましい実施形態と結び付けて本発明を説明してきたが、請求に係る本発明が、そのような特定の実施形態に過度に限定されるべきでないことが理解されるはずである。実際、その関連分野の技術者に明白な、本発明の実施について記載された形態の様々な変更形態は、本発明に含まれるものとする。
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CPT−11に反応した、p53の活性化及び細胞周期の遮断を示す図である。さらに詳細には、48時間血清飢餓状態にすることによって、mut−p53のHT29細胞及びwt−p53のHT29−A4細胞をG0/G1に同期化した。(A)は、非処置対照のHT29/HT29−A4細胞における、遮断からの解放後の、G1期からS期への及びG2/M移行を介する細胞周期の進行を示すヒストグラムである。(B)は、同期化したwt−p53のHT29−A4処置細胞及びmut−p53のHT29処置細胞におけるBrdUの取り込み及び細胞周期の分布を示す図である。G0/G1からの解放から6時間後に1μMのCPT−11を培地に添加し、細胞を最大30時間インキュベートした。非処置細胞がすでに1周期完了し、解放から36時間後に次のG1に進行していることに留意されたい。(C)は、mut−p53のHT29処置細胞と比べて、wt−p53のHT29−A4処置細胞でp53が安定化し活性化していることを実証する、同期化した非処置及びCPT−11処置細胞のウェスタンブロット分析を示す図である。1μMのCPT−11を加えて又は加えずに、同期化した細胞を24時間インキュベートした。mdm−2発現は、p53活性化のマーカーとして使用した;添加試料量の対照としてアクチンを示す。 wt p53の安定な発現によって、CPT−11に対してHT29細胞が感作されることを示す図である。さらに詳細には、図2は、(A)1μMのCPT−11で72時間インキュベートした、同期化したwt−p53のHT29−A4細胞及びmut−p53のH29細胞での細胞増殖アッセイを示す。結果は、新鮮培地とともに72時間インキュベートした非処置細胞に対する細胞生存の百分率として示す。(B)は、mut−p53のHT29処置細胞と比べて、wt p53のHT29−A4処置細胞でアポトーシスの著しく高い誘導が生じることを実証する、(A)と同様に処理した細胞のウェスタンブロット分析を示す図である。PARP及びカスパーゼ3の切断産物は、アポトーシスのマーカーとして使用した。(C)は、HT29−A4の異種移植片を有するマウスでのCPT−11(10及び40mg/kg/日)の抗腫瘍効果を示す図である。体積2000mmに達した個々の腫瘍(マウス)(倫理的に屠殺)の累積百分率を、マウスの生存時間に対応する時間の関数としてプロットしている。 mut−p53のHT29細胞での、CPT−11に反応したp21WAF1/CIP1及びcdk1の活性化を示す図である。さらに詳細には、図3は、(A)wt−p53のHT29−A4細胞及びmut p53のHT29細胞におけるp21WAF1/CIP1及びcdk1の発現パターンのプロファイルを示す。G0/G1からの解放から6時間後、1μMのCPT−11を加えて又は加えずに、同期化した細胞をさらに24時間インキュベートし、RNA抽出、cDNA合成、及びHuman Cell Cycle GEArray Qシリーズの膜(材料及び方法を参照)上でのハイブリダイゼーションで処理した。示した4重スポットは、対応する遺伝子発現プロファイルの標準化したシグナルである。(B)は、(A)と同じ条件下で1μMのCPT−11を加えて及び加えずに処置した、同期化したwt−p53のHT29−A4細胞及びmut−p53のHT29細胞におけるp21WAF1/CIP1及びcdk1タンパク質発現のウェスタンブロット分析を示す図である。(C)は、mut−p53のHT29細胞におけるサイクリンA、サイクリンB、p21WAF1/CIP1及びcdk1のタンパク質発現の時間経過を示す図である。G0/G1遮断からの解放から6時間後、1μMのCPT−11とともにさらに18、24、及び30時間インキュベートした。cdk1/サイクリンB複合体の発現がp21WAF1/CIP1の活性化と相関することに留意されたい。(D)は、cdk阻害剤のロスコビチン(CYC−202)とのインキュベーション後にp21WAF1/CIP1の誘導が消滅することを示す図である。G0/G1からの解放から6時間後、同期化したmut−p53のHT29細胞を1μMのCPT−11の存在下で24時間インキュベートし(第1レーン)、CPT−11+10μMのロスコビチンとともにさらに24時間インキュベートした(第2レーン)。CPT−11処置後cdk1の誘導と相関するp21WAF1/CIP1の誘導は、cdk1を特異的に阻害したときに消滅した。(E)は、(C)の場合と同様に処理したmut−p53のHT29細胞におけるp21WAF1/CIP1及びcdk1の特異的な同時免疫沈降を示す図である。 ロスコビチンのさらなる投与による、p53欠損HT29細胞のCPT−11に対する感受性の増大を示す図である。(A)は、mut−p53のHT29細胞を1μMのCPT−11で24時間処置し、次いで10μMのロスコビチンを培地に添加し、細胞をさらに最大24時間インキュベートしたことを示す図である。(B)は、CPT−11単独(影付きの棒)又はロスコビチン単独(斜線の入った棒)での48時間の単剤処置と比べて、さらなるインキュベーション(斜線の入った影付きの棒)後にmut−p53のHT29細胞生存の百分率が低下することを示すヒストグラムである。(C)は、CPT−11又はロスコビチン処置単独と比べて、さらなる処置後にアポトーシス誘導が増加することを示している、(B)の場合と同様に処理したmut−p53のHT29細胞におけるカスパーゼ3の切断のウェスタンブロット分析を示す図である。p<0.01。(D)は、ヌードマウス中のHT29結腸腫瘍異種移植片の増殖に対する、単独での又は併用でのCPT−11及びロスコビチンの効果を示す図である。材料及び方法に示すように、CPT−11及びロスコビチンを投与した。P値は、CPT−11とCPT−11+ロスコビチンの併用との間の有意差を示す。 (A)は、wt−p53及びmut−p53のHT29細胞でのCPT−11に対する反応の概略図である。CPT−11によって誘導されるDNA損傷は、HT29−A4細胞中でp53依存性の反応を活性化し、その結果細胞周期停止へと導くp21WAF1/CIP1が誘導され、遮断が持続する結果、最終的にアポトーシスが引き起こされる。mut−p53のHT29細胞では、CPT−11によって誘導されるDNA損傷後にp53依存性の反応は活性化されず、細胞周期の制御機構はS期を経由して進行する;次いでp21WAF1/CIP1が活性化されて、蓄積したcdk1/サイクリンBの複合体を阻害し、それによってG2/有糸分裂への細胞の進行が妨げられる。(B)は、wt−p53及びmut−p53のHT29細胞でのCPT−11に対する感受性を示す図である。CPT−11に反応したp53の活性化によって、細胞周期停止が持続する結果、最終的にアポトーシスが導かれる。mut−p53の細胞では、ロスコビチンとのさらなるインキュベーションは、cdk1/サイクリンBの複合体の蓄積を利用して、停止細胞にアポトーシスを誘導することによりCPT−11に対する感受性を高める。

Claims (39)

  1. CDK阻害剤及びCPT−11を含む組合せ。
  2. CDK阻害剤がCDK2又はCDK4の阻害剤である、請求項1に記載の組合せ。
  3. CDK阻害剤がロスコビチン、プルバラノールA、プルバラノールB及びオロムチンから選択される、請求項1又は2に記載の組合せ。
  4. CDK阻害剤がロスコビチンである、請求項1から3のいずれかに記載の組合せ。
  5. 請求項1から4のいずれかに記載の組合せ、及び製剤上許容される担体、希釈剤又は賦形剤を含む薬剤組成物。
  6. 増殖異常治療用の薬物の製剤における請求項1から5のいずれか一項に記載の組合せの使用。
  7. 増殖異常が癌である、請求項6に記載の使用。
  8. 癌が結腸直腸癌又は肺癌である、請求項7に記載の使用。
  9. 治療に同時に、順次又は別々に使用するための組合せ製剤として、CDK阻害剤及びCPT−11を含む医薬品。
  10. CPT−11及びCDK阻害剤を順次投与する、治療に別々に又は順次使用するための請求項9に記載の医薬品。
  11. CDK阻害剤がCDK2又はCDK4の阻害剤である、請求項9又は10に記載の医薬品。
  12. CDK阻害剤がロスコビチン、プルバラノールA、プルバラノールB及びオロムチンから選択される、請求項9から11のいずれか一項に記載の医薬品。
  13. CDK阻害剤がロスコビチンである、請求項9から12のいずれか一項に記載の医薬品。
  14. 製剤上許容される担体、希釈剤又は賦形剤を含む薬剤組成物の形の請求項9から13のいずれか一項に記載の医薬品。
  15. 増殖異常の治療に使用するための請求項9から14のいずれか一項に記載の医薬品。
  16. 増殖異常が癌である、請求項15に記載の医薬品。
  17. 癌が結腸直腸癌又は肺癌である、請求項16に記載の医薬品。
  18. 増殖異常を治療する方法であって、CPT−11及びCDK阻害剤を対象に同時に、順次又は別々に投与するステップを含む方法。
  19. 対象にCPT−11を順次又は別々に投与する前に、前記対象にCDK阻害剤を投与するステップを含む、請求項18に記載の方法。
  20. 対象にCDK阻害剤を順次又は別々に投与する前に、前記対象にCPT−11を投与するステップを含む、請求項18に記載の方法。
  21. CDK阻害剤がCDK2又はCDK4の阻害剤である、請求項18から20のいずれか一項に記載の方法。
  22. CDK阻害剤がロスコビチン、プルバラノールA、プルバラノールB及びオロムチンから選択される、請求項21に記載の方法。
  23. CDK阻害剤がロスコビチンである、請求項22に記載の方法。
  24. 個々の構成成分に関して治療上有効な量のCDK阻害剤及びCPT−11をそれぞれ投与する、請求項18から23のいずれか一項に記載の方法。
  25. 個々の構成成分に関して治療量以下の量のCDK阻害剤及びCPT−11をそれぞれ投与する、請求項18から24のいずれか一項に記載の方法。
  26. 増殖異常が癌である、請求項18から25のいずれか一項に記載の方法。
  27. 増殖異常が結腸直腸癌又は肺癌である、請求項26に記載の方法。
  28. 増殖異常治療用の薬物の製剤におけるCDK阻害剤の使用であって、前記治療が、CPT−11及びCDK阻害剤を対象に同時に、順次又は別々に投与するステップを含む使用。
  29. 増殖異常治療用の薬物の製剤におけるCDK阻害剤及びCPT−11の使用。
  30. 増殖異常治療用の薬物の製剤におけるCDK阻害剤の使用であって、前記薬物が、CPT−11との併用療法で使用するためのものである使用。
  31. 増殖異常治療用の薬物の製剤におけるCPT−11の使用であって、前記薬物が、CDK阻害剤との併用療法で使用するためのものである使用。
  32. CDK1レベルの上昇を引き起こすのに十分な量のCPT−11を投与する、請求項6から8又は28から31のいずれか一項に記載の使用、或いは請求項18から27のいずれか一項に記載の方法。
  33. アポトーシスを誘導するのに十分な量のCDK阻害剤を投与する、請求項6から8又は28から31のいずれか一項に記載の使用、或いは請求項18から27のいずれか一項に記載の方法。
  34. CDK阻害剤及びDNAトポイソメラーゼ1阻害剤を含む組合せ。
  35. DNAトポイソメラーゼ1阻害剤が、CPT−11、カンプトセシン、トポテカン及びルルトテカンから選択される、請求項34に記載の組合せ。
  36. 対象の増殖異常を治療する方法であって、
    (i)CDK1レベルの上昇を引き起こすのに十分な量のDNAトポイソメラーゼ1阻害剤を投与するステップと、
    (ii)アポトーシスを誘導するのに十分な量のCDK阻害剤を投与するステップとを含む方法。
  37. DNAトポイソメラーゼ1阻害剤がCPT−11である、請求項36に記載の方法。
  38. CDK阻害剤がロスコビチンである、請求項36又は37に記載の方法。
  39. ステップ(i)及び(ii)が順次的である、請求項36から38のいずれか一項に記載の方法。
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