JP2006518185A - 改良された灌流インキュベーター - Google Patents
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Abstract
インキュベーションウェルアセンブリーを有する灌流インキュベーターを提供する。培地がインキュベーションウェルアセンブリーに供給される前に、蠕動ポンプによって、培地は、培地供給部から供給され、培地調整ユニットを通過する。各ウェルアセンブリーは、上部部分及び下部部分と、培地導入口及び培地排出口とを有する。培地導入口は、ウェルの中央に配置され、培地排出口は、培地導入口の上方に配置される。胚は、ウェルの下部部分に定着するようにできる。ウェルアセンブリーは、例えば二酸化炭素や酸素などのガスが通過させ拡散させることのできる透過性材料から形成できる。
Description
本発明は、概して、生細胞のための、特に哺乳類種の生きた胚のための灌流インキュベーターに関する。
培養液中で成長するある種の細胞は、外因性の増殖因子を生成し、それらは、培養液中のその細胞を取り囲む。インビトロ(in vitro)でのこのような細胞の成長において、細胞周囲の培地を補給する際に、生細胞からこれらの外因性の増殖因子を直ちに洗い流すことは、好ましくない。
本発明の目的は、胚を含めた細胞の成長に好ましい条件を備えるインキュベーターウェル及びインキュベーター装置を提供することである。
灌流インキュベーターは、培地供給部と、培地調整ユニットと、上部部分及び下部部分を有する少なくとも1つのウェルアセンブリーと、ウェルアセンブリー加熱ユニットと、蠕動ポンプと、培地収集ユニットとを有することが出来る。各ウェルは、培地導入口と培地排出口を有してもよい。培地導入口は、ウェル中央部に配置でき、そして、各培地排出口は、ウェル内のそれぞれの培地導入口の上方に配置できる。培養される胚は、ウェルの下部部分に置くことができる。培地導入口は、蠕動ポンプを介して培地供給部に連接でき、培地排出口は、培地収集ユニットに連接できる。このようにして、培養液がウェルを通る際に、胚は、ウェルの下部部分で培養できる。
ウェル下部部分で培養中の胚が、顕微鏡等で観察できるように、照明装置を有してもよい。この目的の為に、顕微鏡マウントが灌流インキュベーターに加えられても良い。
各ウェルアセンブリーは、培地の流れは、ウェルの下部部分に直接向かうことなく、代わりに、下部部分に対して接線の方向となるようにウェル内の培地導入口から培地排出口へ流路を供する手段を有することができる。各培地導入口は、培地がウェル内の中央で、ウェルに対して接線方向で入るように配置することができ、各培地排出口は、ウェルから培地を排出できるよう、培地導入口の上方に配置できる。この構造は、ウェル下部部分での培地にゆっくりとした渦の流れを与えることができ、よって、胚を取り囲む培地の補給は、培地が胚の上を直接に通ることなく行われる。
各ウェルは、上部チャンバと、それより径の小さい下部チャンバとを画定する段状の側壁を有し得る。各ウェルは、また、蓋を有してもよく、その蓋は、部分的に上部チャンバに延びており締まりばめしている。各蓋は、顕微鏡等の手段で下部チャンバの胚を見ることができるよう、実質的に透明な材料で作成してもよい。ウェルアセンブリーは、胚を下から照らすことができるように、全体的に、若しくは、部分的に透明にしてもよい。
蠕動ポンプは、1時間あたり約1マイクロリットルから10,000マイクロリットルの流速で培地を各ウェルアセンブリーに流すことができる。
培地調整ユニットは、培地の温度調整の手段と、培地のpH及び増加の状態の調整手段とを有してもよい。pH調整は、培養液に1種類以上のガスを灌流させることによって行うことができる。
培地の温度を調整する手段は、ウェルの動作温度より高い温度で動作することができる。ウェルに導入される培地とウェル内に収容されている培地の温度差で、ウェル内に収容される培養液へのガスの溶解度を高めることができ、これにより、培地がウェル内に収容されると同時にガスが遊離してしまうという見込みは少なくなる。1つの態様では、その温度差は、ウェル内にある培養液の中にガス気泡が形成されるのを実質的に防ぐことができる。
培地のpH調整及び増加状態の調整の手段は、ガスで培地を調節する手段を有してもよい。調節は、二酸化炭素や酸素などのガスの培養液への灌流、すなわち拡散を含む。
このように、少なくともウェルアセンブリーの一部分は、透過性の材料で形成されることができ、ウェルの少なくとも一部分は、そこにガスが供給されて行く中空部に取り囲まれてもよい。例えばシリコーンエラストマーのような、胚の成長に適合するいかなる透過性材料を使用してもよい。そのような材料は、二酸化炭素や酸素のようなガスがウェルに拡散するようにし、これによりpH及び増加状態の調整をする。
培地導入チューブの全体、若しくは、一部分は、ウェルアセンブリーと同じか、又は、別の透過性材料で形成することができる。透過性材料で形成される培地導入チューブの一部分は、その全体を、若しくは、一部分を同一中心で二酸化炭素などのガスを取り入れることのできるジャッケットで囲まれているようにしてもよい。これにより、培地導入チューブを通ってウェルに入った培地は、ガスによって調整され得る。
ガスは、逆の流れで供給されてもよく、ウェルアセンブリーを支持することのできる加熱板の開口部からウェルアセンブリー内ウェルの下方の中空部に供給されてもよい。加熱板は、ウェルの温度を維持し、上述のウェルアセンブリー加熱ユニットとしての機能を果たすことができる。
透過性材料が実質的に透明であるように選定できるため、ウェル本体は、培養中の胚の下から照らされることができ、これは、顕微鏡等で、胚を上方から見ることを可能にする。
別の態様では、灌流インキュベーターは、二酸化炭素や酸素のようなガスがそれを通り拡散できる材料から形成されている本体を有する灌流インキュベーターウェルアセンブリーと、上部チャンバと、それより径の小さい下部チャンバとを画定する段状の側壁を有し本体内に存する少なくとも1つのウェルと、蓋とを有することができる。灌流インキュベーターは、また、少なくとも1つのウェルへの培地導入口と、少なくとも1つのウェルからの培地排出口とを有してもよい。培地導入口は、上部チャンバの下方部分において、培地がウェルに接線方向で入るように配置することができる。培地排出口は、培地導入口の上方に配置することができる。本体の中空部は、少なくとも1つのウェルに、ガスの拡散する通路を供するようにできる。
蓋は、部分的に上部チャンバの中へ突出してもよく、下部チャンバ内に存する胚を見ることが出来るように、実質的に透明な材料で形成されてもよい。本体もまた、実質的に透明な材料で形成できるので、少なくとも1つのウェルの下に設けられた照明を、蓋を通してみることが出来る。
少なくとも1つのウェルの培地導入口及び培地排出口は、導管、すなわち、本体に形成された孔によって形成することができる。
ウェルアセンブリーの本体は、シリコーンエラストマー材料で形成することができる。
好ましくは、中空部は、ウェルアセンブリーの底部に開口している。中空部に供給されるガスは、酸素、二酸化炭素、若しくは窒素を含む混合ガスとすることができる。
更なる形態では、本発明は、本体及び蓋を有する灌流インキュベーターウェルアセンブリーを有してもよく、中に少なくとも1つのウェルを有する本体は、二酸化炭素や酸素のようなガスが通って拡散できる材料から形成できる。
更に別べつの形態では、本発明は、灌流インキュベーター並びに少なくとも1つのウェルを有するウェルアセンブリーと、培地供給部から培地調整ユニットを介してウェルアセンブリーに培地を供給する蠕動ポンプと、ウェルアセンブリーからの培地排出口とを有してよく、それによって、培養される胚を少なくとも1つのウェルに据え、そしてウェルに培地を流し通すと、胚の培養が起こり得る。
灌流インキュベーターは、ガスを含んだ培養液の灌流に基づいた装置とすることができ、哺乳類種から採取された移植前の胚の生産、成長、保管にとって好ましい環境を供給できる。装置は、ガスに豊んだ培地が胚上に注がれる一方、前もって調整された温度に維持できる培養ウェルを有してもよい。
図1は、本発明に係る灌流インキュベーターの取替えの出来る、及び/若しくは、使い捨て出来る部分を示す。図2は、図1に示される取替え可能、若しくは、使い捨て可能部分が取り付けられ得る装置を示す。
灌流インキュベーターは、ウェルアセンブリー20を有する。ウェルアセンブリー20は、図6及び7に関連して、後で、より詳細に論ずる。ウェルアセンブリー20に延びているのは、培地導入チューブ42で、ウェルアセンブリー20から延びているのが、培地排出チューブ48である。培地導入チューブ42は、培地導入チューブ42を取り巻く外側チューブ44を中にもつ同軸部分40を有することができる。ガスは、ウェルアセンブリー20の内側の中空部24(図6、図7に示す)に入り、ウェルアセンブリー20の内側の中空部24を通過し、培地チューブ42と外側チューブ44の間の環状空間46(図6に示す)に進み、環状空間46の端部45より出て行く。
培養液は、培地ボトル10から供給され、パイプ11によって、蠕動ポンプ12(図2、図3に示す)に移動できる。培地は、蠕動ポンプによって、培地調整ユニット16(図2に示す)を通ってウェルアセンブリー20に送り込まれることができる。培地供給部10の上の超微細孔フィルター13は、培地が吐出されると同時に、空気が供給部に入るようにできる。フィルターの孔の径は、バクテリアや他の汚染物質が供給部10に入ることを防ぐように選定されることができる。培地供給部は、例えばボトルなどのような、適した容器のいずれでもよい。
ウェルアセンブリー20から廃棄培地路48を通って排出される廃棄培地は、培地収集ユニット18に入るようにできる。培地収集ユニット18は、栓14を嵌めてもよい。更に、培地廃棄チューブの上、つまり収集ユニット18の上の超微細孔フィルター19は、培地がユニットへ排出されながら、ユニットから空気が排出されるようにでき、そして同時に、バクテリアや他の汚染物質が入ることを防ぐ。培地収集ユニットは、例えばボトルのような、適した容器のいずれでもよい。培地供給部は、灌流インキュベーター装置上のブラケット15に支持されるようにできる。培地収集ユニット18は、灌流インキュベーター装置の開口部17に支持されるようにできる。
蠕動ポンプ12とチャンバ20との間の範囲において、導入チューブ42は、蓋16aに覆われた加熱ユニットを有し得る培地調整ユニット16を通るようにできる。蓋16aは、導入チューブを培地調整ユニットを通して配置できるように、横へのスライドが可能である。
各ウェルアセンブリー20は、キャリア50(図3、図5)に収容でき、個別の不透明なカバー52で覆うことができる。覆っている蓋は、蓋の下のウェルアセンブリーを見ることができるよう開口54を有してもよい。図3及び図5では、蓋は、キャリア50の中のウェルアセンブリー20を見せるように、後方へスライドされて示されている。
図3で分かるように、キャリア50には、ガス出口56及び発光ダイオード58があってもよい。下文で更に論じるように、ガス出口は、ガスをガス供給部(図示しない)からウェルアセンブリーの中空部24(図6、図7に示す)に供給できる。ウェルキャリア50の基部60は、ウェルアセンブリー20に実質的に一定の温度を供給できるよう、加熱され得る。
図2で分かるように、各ウェルの在中物を各蓋の各開口54を通して見ることが出来るように、顕微鏡ホルダー62は、キャリア64によって、ウェルに沿って移動するようにできる。ハンドル66が、キャリア64を、従って顕微鏡を、ウェルの間を動かすために設けられてもよい。装置の前面のコントロールパネル70は、培養状態の設定と観察とに不可欠な調整設備を供することができる。
図6の側面断面図と図7の下面斜視図で分かるように、ウェルアセンブリー20は、概して21として示されるウェルと蓋30とを有することができる。ウェル21は、蓋が嵌め込まれる上部大径部分23と、下部小径部分25とを画定する段付きの横断面を有する内部側壁を有することができる。培地導入口26は、培地導入チューブ42から伸張するようにでき、上部部分23の底部を接線方向でウェルに入るようにできる。培地排出口27は、培地排出チューブ48へ伸張するようにでき、上部部分23の最上部近くに抜け出るようにできる。培養される一個以上の細胞を、下部部分25に置くことができる。
蓋30は、蓋の取り付け、取り外しをする際に、つかむことのできるよう上部部分31を有してよく、使用者によってつかめる大きさとすることができる。蓋30の中央部分32は、チャンバに蓋が密閉を成すように、ウェルの上部部分23に締まりばめで嵌められるようにできる。蓋30の下部部分35は、ウェルの上部部分23に伸張するようにできるだけでなく、培地が、蓋の下部部分の周囲を流れ、培地排出口27の方向へ流れるようにすることができる。この様式では、下部部分35は、導入口26において培地が接線方向で入ることによってもたらされるゆっくりとした渦の流れを維持する助けとなり得る。蓋30の下面36及び上面37は、ウェルアセンブリー20の下部部分25で培養中の1つ以上の細胞を観察するのに、蓋を通して見ることができるように、良く磨かれていてもよい。
中空部24は、ウェルアセンブリー20に形成されてもよく、ウェル21の少なくとも一部分を取り囲むようにできる。中空部24は、ウェルアセンブリー20の底面に開口していてもよい。中空部24に供給されたガスは、チャンバ20が構成される透過性材料を通してウェルに拡散することができる。透過性材料は、シリコーンエラストマーとすることができる。
ガスはまた、中空部24から、概して40で示される同軸チューブ構成部40に流入できる。同軸チューブ構成部40は、透過性材料から作られた内側チューブ42と、同軸の外側チューブ44とを有することができる。中空部24から流れ出たガスは、内側チューブ42と外側チューブ44との間の環状空間46を通ることができる。内側チューブ42もまた、環状空間46からチューブ壁を介して、培地導入チューブを流れる培養液に、ガスが拡散されるように、例えばシリコーンエラストマーのような透過性材料から作ることができる。これにより、培地は、ウェルアセンブリーに移動する間に調整されることができる。一つの態様では、調整は、pH調整を含む。内側チューブ42は、培地導入口26の延長部とすることができ、ウェルへ培養液を供給できる。灌流インキュベーターやウェルアセンブリーは、構成部材を減らすことも増やすこともできる。
中空部24に供給されたガスは、二酸化炭素や窒素や酸素を含む混合ガスとできる。ガスの組合せは、培養される細胞の種類により多様とでき、また、培養過程で、細胞の成長段階に応じて多様とできる。二酸化炭素が、細胞を取り囲む培養液のpH調整を可能とする一方、酸素は、細胞成長の維持を可能とする。例えば、窒素とのバランスで、二酸化炭素濃度は、体積で0%から約20%の範囲とでき、酸素濃度は、体積で0%から約20%の範囲とできる。
ウェルからの廃棄培地は、培地排出口27を通り、培地排出チューブ48に流れるようにできる。
培養ウェルの蓋30は、例えばポリカーボネートのようなプラスチック材料から作ることができ、上面と下面とをよく磨き上げてもよい。高出力の発光ダイオード58(図3)が、各培養ウェルの下に置かれてもよい。培養ウェル10個のセットが、加熱ブロック上に収容されてもよい。
胚の正常な成長を可能とする重要な要素は、胚の成育パターンを直接的に観察できて、胚の発達中に、培地などの成長要因に変更を加えられることであり得る。ウェルアセンブリー20それぞれは、観察用開口54を有する蓋52を有することができる。上にウェルアセンブリー20が置かれてもよい加熱ブロック60の上方に顕微鏡ホルダー62を配置することができる。顕微鏡が配置され、ウェルアセンブリー20の下の発光ダイオード(LED)58が点灯されると、操作者は、ウェル内の細胞を、直接にインサイチュウ(in situ)で観察できる。顕微鏡を各ウェルの上方に配置するのにモーター駆動装置または手動装置66を有してもよい。
モーター駆動装置は、連続する各ウェルアセンブリーの上に顕微鏡の位置を、例えば一分間隔で、合わせるのに備えられてよく、各ウェルに存する個々の胚の成長パターンをデジタルコマ撮り写真で捉えることができるようにする。各ウェルの下の照明は、映像を撮るために必要な場合にのみ点灯してもよい。LEDから発せられる照明は、低エネルギーで、高いコントラストが得られる、橙黄色帯とすることができる。更に、胚が損傷を受けることがあるので、発光源には、紫外線を含まないことが好ましい。
培養用の胚は、ウェルアセンブリーの下部部分に置かれ、下部部分の水平軸と垂直軸間の範囲に定着してもよい。培養中、胚は、培養液の流動によって、ウェルアセンブリーの下部部分から除去されることは実質的にない。
培養液は、ウェルの内側面に接線方向の流れで下部部分の上方に取り込まれ、ウェルの頂部から排出されるようにできる。これは、上向きのゆっくりとした渦を生むことを可能とし、ウェルの下部部分の培地を入れ替えるようにできる。この渦の動きが無ければ、ウェル底部の培地の交換は拡散に限られ、胚死や、よくても、胚が移植に適さない非常に脆弱な組織となる結果になりうる。
ウェルの好ましい特徴は、ウェル底部の培地を交換する渦の作用を供給できることである。この作用は、少量の色素を培地に注入し、流れの経路をたどることで、観察することができる。すなわち、胚を直接流路に置かないようにすることで、胚が生成した外因性の増殖因子は、ただちには流されてしまわない。実際の流量より交換される培地の量が少ないウェル下部部分に胚を置くことで、外因性の増殖因子は、少なくとも短時間は、胚の近傍に実質的に残される。
作動状態では、蓋を定位置に置いてある場合に、培養液から溶存ガスの放出が起こりうる。このガスの放出は、培地中に小さな気泡を形成する結果となり得る。ウェルに在る培養液中に小さな気泡が形成されると、気泡は、胚を取り囲み、培地から隔離し、結果胚死を招く。これらの微小な気泡がひとたび形成されると、装置で用いられている流量では、胚から気泡を取り除くことは実質的にできない。フラッシュモード(flush mode)において、各ウェル毎に用いられる流量は、時間あたり約1マイクロリットルから時間あたり10,000マイクロリットルまで多様とできる。
この気泡の問題を克服するのに、ウェルの作動温度より温度の高い培養液を、ガス混合体と平衡させてもよい。ウェルに流入する前の培養液のこの平衡は、培養液がウェルに入った際に起こる温度の急低下のために、培養液へのガスの溶解度を増すことになる。この冷やされた培養液中のガスの溶解度の上昇は、ウェル内部の培養液に気泡が形成されるのを実質的に防ぐことができる。ウェルに取り入れられる培養液の温度は、ウェル内の培地の温度より0.05度から1.5度高いことが好ましく、ウェル内の培地の温度より0.2度から0.8度高いことが更に好ましい。現時点では、ウェルに取り入れられる培養液の温度は、ウェル内の培地の温度より0.4度から0.6度高いことが特に好ましい。他の様態では、ウェルに取り入れられる培養液は、ウェル内の培地より約0.5度高い。
ガスの放出は、蠕動ポンプをウェルの後ろに置くのでなく、ウェルの前に置くことで減少し得る。この様式では、培養液は、ウェルから陰圧で排出されるのに対して、ウェルに陽圧で取り入れられる。
胚が移植できる状態になると、胚は、凍結保護剤を散布され、そしてウェルの下部部分より取り出され、液体窒素で凍結される。ウェルから胚を取り出すのに他の方法が用いられてもよい。
灌流インキュベーターは、ゆっくりとした渦の流れによって細胞上方に培養液を灌流させる方法で、哺乳類の細胞の培養に用いることができる。培養液は、予め加熱され、そして、透過性材料から成るチューブを通って培地にガスが灌流されることで、ウェルに移動される間にガス供給され得る。ウェルに流入する培地が、高濃度にされた二酸化炭素や酸素を含むガスと混ざり合うように、逆のガスの流れが用いられてもよい。チューブを通してガスを灌流させることによる培地へのガス供給の過程は、ガスを加湿する必要性を排除できる。培地のpHは、例えばシリコーンエラストマーで形成される基部を有するウェルのような、多孔性のウェルの中で、培養液にウェルの基部を介して1種以上のガスが灌流されることで、維持することができる。
インキュベーターは、ガス供給及び加熱をされていない個別の10体の培地供給部から流体を汲み上げる個別の10体の蠕動ポンプを有してもよい。培地調整部は、加熱されてもよく、培地調整部に沿って、ガスにさらされた透過性チューブの全長を流れる培地は、ウェルに入る前に、ガス濃度と温度とを平衡させることができる。
1時間に500ミリリットルの培地を流す、外側径2ミリメートル内側径1ミリメートルのシリコーンチューブの、長さ100ミリメートルの同軸体系を用いたpHテストでは、pH値は、約7.3から約7.4となる。培地の流量は、1時間に約1ミリリットルから10,000ミリリットルとできるが、1時間あたり約500ミリリットルを超える流量は装置を洗い流すのに用いるのが好ましい。培地供給部及びウェルに連接する、1本または複数のチューブは、滑動可能な透明なポリカーボネート製ドアによって、培地調整ユニット16の加熱されたトッププレートの溝に維持されることができる。
ウェルの蓋は、ポリカーボネート製としてよく、締まりばめでウェルを密閉できる。他の密閉方法を用いてもよい。ウェルは基部内に凹窩つまり中空部を有してよく、ガスは、周囲の加熱チャンバ内から、同軸培地導入チューブセットを介して出て行く前に、その中空部を通って上方に流れる。後続する培地は、同軸培地導入チューブの外側チューブ内を対向して流れるガスによって、ガスを供給されることができる。廃棄培地は、培地が導入されるチューブと並行して排出され、例えば装置前面の12ミリリットルのテストチューブのような、収集ユニットに移され得る。ガスは、同軸培地導入チューブを通った後、外気に排出できる。
培地導入チューブは、培地供給部上のシリコーン栓を貫通する一本の硬質プラスチック、例えば樹脂を含むポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、で培地に連通することができる。培地ボトルは、シリコーン栓に、0.22ミクロン滅菌フィルターのルアーロック注射筒を挿し込むことで、常圧に維持できる。同様に、培地出口は、培地収集ユニットに嵌め込まれたシリコーン栓を貫通する一本の硬質プラスチックで収集ユニットに連通することができる。培地収集ユニットは、シリコーン栓に、0.22ミクロン滅菌フィルターのルアーロック注射筒を挿し込むことで、常圧に維持できる。
各ウェルは、個々のプラスチック製カバーで、覆うことができ、カバーは、前後にスライドする。このカバーは、ウェルの適切な着座と、ウェルの加熱基部への有効な接触とを確実にするのに、ウェルの蓋を上から押し付けることができる。
装置の調整は、内蔵のマイクロプロセッサや外付けのパーソナル・コンピュータ等でなされてもよい。
装置は、前面のパネルに、導入チューブの温度を例えば約35℃から約40℃に設定する制御装置と、培養ウェルチャンバの温度を例えば約35℃から約40℃に設定する別の制御装置と、ガスの流量を例えば1分間あたり約30ミリリットルから約50ミリリットルに設定する更に別の制御装置とを有してもよい。各制御装置は、現在値と設定値とを表示する付随の表示装置を有してもよい。ガスの総流量は、全ての経路の間で等分に分割できる。10の経路では、1分間あたり約30ミリリットルのガス流量は、1経路につき1分間あたり約3ミリリットルとなる。一つの態様では、1経路につき1分間あたり約3ミリリットルで、所望のpHを維持するのに充分であることが分かっている。
10体の個々の蠕動ポンプの速さと負荷サイクル時間との調整のプロトコルは、パーソナル・コンピュータや装置に接続した同様の機器のグラフィカルユーザーインターフェースに入力できる。外付けのパーソナル・コンピュータは、個々の導管の温度、流量、負荷サイクル時間の記録にも用いることができる。
顕微鏡キャリアは、サポートレール後ろ側沿いに、右から、若しくは、左からの手動で移動できる。発光ダイオードは、顕微鏡観察に、ウェルの内容物を照らすため、各培養チャンバの下に配置できる。各発光ダイオードは、装置の左側の2つの制御装置によって作動できる。一つの態様では、第1の制御装置は、10の選択箇所を有しており、使用者が1つの発光ダイオードを選択できるようにし、一方、第2の制御装置は、選択された発光ダイオードの輝度を調整できるようにする。第2の制御装置は、1を消灯、11を最大輝度とする11の選択箇所を有するようにできる。
当業者は、ここに記述された説明、図面、実施例から、クレーム及びそれに対応する部分により定義される本発明の範囲を逸脱しなければ、本発明の好ましい実施を行うのに種々の変更や改造を加えうることが分かるであろう。実施例は、単に例であり、限定するものではない。
本発明は、以下の図面と説明とを参照することでより良く理解することができる。図における構成要素は、必ずしも縮尺比に従っておらず、代わりに、本発明の原理を図示することに重点が置かれている。更に、図中、同じ参照番号は、別の図にあまねく対応する部材を示している。
Claims (15)
- ウェルアセンブリーを有する生細胞を培養するためのインキュベーターであり、
該ウェルアセンブリーが、
上部部分及び下部部分を有し、該下部部分が少なくとも一個の生細胞を収容する働きをする、少なくとも1つのウェルと、
該下部部分の上方に配置される、ウェルへの培地導入口と、
該培地導入口の上方に配置される、ウェルからの培地排出口と
を有し、該培地導入口は、ウェルと流体連通を成立させており、
該培地排出口は、ウェルからの流体連通を成立させており、
該ウェルアセンブリーの少なくとも一部分が、透過性材料で形成されていることを特徴とする灌流インキュベーター。 - 更に、該培地排出口と流体連通する培地収集ユニットを有する、請求項1の灌流インキュベーター。
- 更に、蠕動ポンプを有し、該蠕動ポンプが該培地導入口と流体連通する、請求項1の灌流インキュベーター。
- 更に、該蠕動ポンプと流体連通する培地供給部を有する、請求項3の灌流インキュベーター。
- 該蠕動ポンプが、少なくとも1つのウェルに培養液を、1時間あたり1マイクロリットルから10,000マイクロリットルの流速で通すことができる、請求項3若しくは請求項4の灌流インキュベーター。
- 該培地排出口に対する該培地導入口の配置が、少なくとも1つのウェルを通る培養液の流れに渦を生じさせる、請求項5の灌流インキュベーター。
- 該培地導入口の少なくとも一部分が透過性材料で形成されており、透過性材料で形成されている該培地導入口の少なくとも一部分が、ガスが供給されるジャケット筒で囲われている、上記請求項のいずれかの灌流インキュベーター。
- 該少なくとも1つのウェルが、上部チャンバと、それより径の小さい下部チャンバとを画定する段状の側壁を有する、上記請求項のいずれかの灌流インキュベーター。
- 該透過性材料が、シリコーンエラストマーである、上記請求項のいずれかの灌流インキュベーター。
- 該透過性材料が、該材料に浸透し培養液中に可溶となるガスの透過性を有する、上記請求項のいずれかの灌流インキュベーター。
- 該ガスが、該培養液のpH調整をする、請求項10の灌流インキュベーター。
- 更に、該蠕動ポンプと該培地導入口とに流体連通する培地調整ユニットを有し、
該培地調整ユニットが、収容する培養液の温度を、該少なくとも1つのウェルに収容される培養液の温度より0.05度から1.5度高く調整する手段を有する、上記請求項のいずれかの灌流インキュベーター。 - 該ウェルアセンブリーの少なくとも一部分が実質的に透明な材料から形成される、上記請求項のいずれかの灌流インキュベーター。
- 更に、該少なくとも1つのウェルの該下部部分を照らすための照明装置を有する、上記請求項のいずれかの灌流インキュベーター。
- 更に、該灌流インキュベーターに結合している該少なくとも1つのウェルの該下部部分を観察する手段を有する、上記請求項のいずれかの灌流インキュベーター。
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---|---|---|---|---|
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JP2008092811A (ja) * | 2006-10-06 | 2008-04-24 | Hitachi Medical Corp | 細胞培養装置 |
-
2003
- 2003-09-15 JP JP2004537807A patent/JP2006518185A/ja active Pending
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2006011130A (ja) * | 2004-06-28 | 2006-01-12 | Asahi Kasei Aimii Kk | コンタクトレンズ |
JP2008092811A (ja) * | 2006-10-06 | 2008-04-24 | Hitachi Medical Corp | 細胞培養装置 |
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