JP2006515832A - グルタミンを供給するための方法および組成物 - Google Patents

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有効量のN−アセチル−L−グルタミン、または栄養的に許容しうるこの塩を経口投与することによって、ヒトへグルタミン補足を与えるための方法および組成物。N−アセチル−L−グルタミン、または栄養的に許容しうるこの塩は、ヒトの消費に適したあらゆる液体組成物中に組み込むことができる。適切な組成物の例には、例えば経口再水和溶液としての使用のための水溶液、および液体栄養調合物(腸調合物、経口調合物、成人用調合物、子供用調合物、および乳児用調合物を包含する)が含まれる。N−アセチル−L−グルタミン、または栄養的に許容しうるこの塩の量は、広く様々であってもよいが、典型的にはこれらの組成物は、一日につき体重1kgあたり少なくとも140mgの総グルタミンを供給するのに十分なN−アセチル−L−グルタミン、または栄養的に許容しうるこの塩を含有する。

Description

本発明は、N−アセチル−L−グルタミン、または栄養的に許容しうるこの塩の有効量の経口投与を介した、グルタミン補足の提供方法に関する。
グルタミンは、人体における最も豊富なアミノ酸である。これは、骨格筋中の遊離アミノ酸の60%超および総循環アミノ酸の20%超を構成する。グルタミンは、多くの体の機能に関わっており、これには、糖新生、ヌクレオチド合成、酸−塩基バランス、およびほかの重要な代謝プロセスが含まれる。研究は、グルタミンが、急速に複製する細胞、特に胃腸管および粘膜細胞によって用いられる重要な代謝基質であるということ指摘している。グルタミンは、生体内でヒトの空腸(小腸の一部)中に効率的に吸収されうる。
グルタミンは、必須アミノ酸とは考えられていないが、その理由は、これが体のほとんどすべての組織によって合成されうるからである。体が正常な生理状態にある時、体のニーズ(すなわちグルタミン消費組織)に適切に供給するのに十分な量で産生されると考えられる。しかしながら多くの研究は、異常な生理条件(すなわち病気および代謝ストレス)の間、グルタミン産生は、体のニーズを満たすには不十分になることがあることを示している。従ってグルタミンは、より正確には条件付必須アミノ酸と考えることができる。例えばいくつかの研究は、腸外傷の場合、グルタミンをそのようなものとして分類している。Souba,W.W.;Smith,R.J.;およびWilmore,D.J.:「腸管によるグルタミン代謝(Glutamine Metabolism by the Intestinal Tract)」、JPEN9(5):608−617(1985年);Furst,P.;Albers,S、およびStehle,P.:「異化患者におけるグルタミンへの栄養的ニーズの証拠(Evidence for a Nutritional Need for Glutamine in Catablic Patients)」、Kidney Intl.36(Sppl.27):S−287−S−292(1989年);Klimberg,V.S.ら:「経口グルタミンは、小腸の治癒を加速し、全腹部照射後の予後を改善する(Oral Glutamine Accelerates Healing of the Small Intestine and Improves Outcome after Whole Abdominal Radiation)」。グルタミンはまた、培養されたヒーラ細胞への主要エネルギー源として示唆されてきた。Reitzer,L.J.:Wice,B.M.;およびKennell,D.:「糖ではなく、グルタミンが、培養されたヒーラ細胞への主要エネルギー源である証拠(Evidence that Glutamine,not Sugar,is the Major Energy Source for Cultured HeLa Cells)」。J.Biol.Chem.254(8):2669−2676(1979年)。またグルタミンは、優先的に腫瘍細胞によって使用されることがあり、その結果、がん患者における進行的なグルタミン枯渇が生じることが示唆されている。Souba,W.W.:「グルタミンおよびがん(Glutamine and Cancer)」、Ann.Surg.218(6):715−728(1993年)。
栄養調合物に、以前はグルタミンが補足されていた。補足されているとは、追加グルタミン(遊離アミノ酸として、または別の比較的濃縮した形態、例えば加水分解コムギグルテンにおいて)この調合物に添加されることを意味する。自然発生アミノ酸として、グルタミンは、ある程度まですべてのタンパク質中に存在するから、従ってタンパク質を含有するあらゆる栄養調合物中に、ある程度まで存在するだろう。しかしながらグルタミンは、大部分の自然に発生するタンパク質をある少量だけ含み、従ってあるレベル以上のグルタミンを有する調合物を生産するためには、グルタミンは、補足的形態で添加されなければならない。これらのグルタミン補足された調合物のいくつかは、代謝ストレスを受けた患者、損傷したGI機能(例えば重症の多重外傷、下痢、炎症性腸疾患、GI外科手術、または化学療法または放射線療法による重症の火傷または傷害による)を有する患者、吸収不良状態(例えばクローン病)、および/または急性外傷を有する患者に向けて市販されている。
このようなグルタミン−強化サプリメントを生産するための最も容易な方法は、グルテンの加水分解によるものであるが、それは、ポリペプチドの複合混合物が、グルタミンの大きい含量によって特徴規定されているからである。これらの生成物は、グルテンが小さい断片に加水分解されるので、取扱い上はグルテンフリーであると考えられる。しかしながら、これらのグルタミン強化「グルテンフリー」化合物を用いるには潜在的なリスクが存在する。その理由は、グルテンが、小児脂肪便症の誘因となる環境要因であり、グリアジンの小さい断片が、小児脂肪便症患者に対して毒性効果を有することが証明されているからである。
小児脂肪便症は、敏感な個人においてグルテン含有穀物の摂取によって誘因された自己免疫腸疾患である。腸損傷の発生の原因となる環境要因であるのは、コムギグルテンのグリアジンフラクションおよびほかの穀物における同様なアルコール溶解性タンパク質である。今や、小児脂肪便症は、摂取されたグルテンに対する不適切なT細胞媒介免疫応答の結果であることは明らかである。この病気はまた、主要な組織適合性複合体のヒト白血球抗原(HLA)とも関連し、グルテンの続行された存在下に、この病気は自己永続性である。吸収性絨毛の損失および腺窩の過形成を特徴とする典型的な腸損傷は、患者の食餌からグルテン含有穀物を除去した時に完全に消滅する。最近の推算は、一般的な世界中の人口において100から300人のうちのひとりまでが、この状態に罹患されうることを指摘している。小児脂肪便症はさらに、生活の質を著しく阻害し、多くの場合、例えば粘膜リンパ腫のように命にかかわる一連の合併症を特徴とする。
上記の医療的効果によって、グルタミンを栄養製品中に組み込む試みがなされてきた。これらの努力を複雑にする1つの問題は、水溶液中のグルタミンの限定された安定性である。遊離グルタミンは、水性媒質中で分解することが知られており、ピログルタミン酸およびグルタミン酸が形成される。いくつかの研究は、ピログルタミン酸は、げっ歯類において神経毒であることを証明している。C.F.deMelloら:「L−ピログルタミン酸の神経化学的効果(Neurochemical Effects of L−Pyroglutamic Acid)」。Neurochem.Res.20(12):1437−1441(1995年);McGreer,E.G.およびSingh,E.:「内生物質の神経毒効果:キノリン酸、L−ピログルタミン酸、および甲状腺放出ホルモン(TRH)(Neurotoxic Effects of Endogenous Materials:Quinolinic Acid,L−Pyroglutamic Acid,and Thyroid Releasing Hormone(TRH)」。Exp.Neurol.16(3−4):410−413(1984年);Rieke,G.K.ら、「L−ピログルタメート:ハンチントン病のげっ歯類モデルのための代替神経毒(L−Pyroglutamate:an Alternative Neurotoxin for a Rodent Model of Huntington’s Disease)」。Exp.Neurol.104(2):147−154(1989年)。ピログルタミン酸を生じるのみならず、このような分解はまた、栄養調合物が供給された時、体にとって利用可能なグルタミンの量も減少させる。従って栄養源における補足的グルタミン源としての遊離グルタミンの使用は、大部分、粉末調合物に限定されてきた。粉末調合物は、採食の直前またはほぼ直前(24から48時間)、水で再構成され、最適には再構成後、冷蔵保存される。このような粉末調合物には、アリトラ(Alitra)Q(登録商標)(ロス・プロダクツ・ディビジョン・オブ・アボット・ラボラトリーズ(Ross Products Division of Abbott Laboratories)、Nu−Immu(登録商標)(エンジョイ・フーズ(Enjoy Foods))、およびヴィボネックス・プラス(Vivonex Plus)(登録商標)(サンド(Sandoz))が含まれる。これらの調合物は、それぞれ(分析された時)1,500キロカロリーあたり、グルタミン約25.4、20.1、および14.5gを供給する。さらには、Mawatariらの欧州特許出願第EP1097646号は、グルタミンおよび/またはグルタミンを含有するペプチドを含有する、変性ミルク粉末組成物の使用を開示している。このような製品は、患者の治療に有意な貢献をなしたが、粉末製品は、米国の大部分の医療施設によって、けっして最適ではないと考えられている。多くの米国の共同体における訓練を受けた医療従事者不足のために、医療施設は、すぐに摂取できる栄養物(RTF)の方をはるかに好む。さらには、これらの栄養物は、市場において許容しうるには、少なくとも12ヶ月の貯蔵寿命を有していなければならない。従って遊離グルタミンは、その限定された安定性によって、これらのRTF製品においては許容できない。
研究者らは、溶液中の長期間安定性を有するグルタミン源を探し続けてきた。例えばGuerrantらの、発明の名称が「経口および静脈内再水和用の安定グルタミン誘導体および栄養療法(Stable Glutamine Derivatives for Oral and Intravenous Rehydration and Nutrition Therapy)」という米国特許第5,561,111号は、この役割のためのアラニン−グルタミンの使用を開示している。Guerrantらは総括的に、アシル保護基はグルタミン上に配置することができると記載しているが、この主張を立証するための生物データをまったく提供していない。さらにはこの引例は、このような誘導体をこのような量で含有するあらゆる経口または静脈内化合物の特別な調合物に関して、ガイダンスを与えることに失敗している。
この失敗は、Gandiniらの「腸管外アミノ酸製剤における分解生成物としてのピログルタミン酸のHPLC測定(HPLC Determination of Pyroglutamic Acid as a Degradation Product in Parenteral Amino Acid Formulations)」クロマトグラフィア(Chromatographia)、第36巻、pp.75−78(1993年)によって指摘されているような溶液を用いた場合の配合の問題の観点から、特に重要である。ここで著者らは、グルタミンのピログルタミン酸への分解の問題を克服するために、ジペプチドの使用が提案されたが、このようなものは、その結果生じた溶液を、アミノ酸含量において定性的に不均衡にするという欠点を有することに言及した。著者らはまた、グルタミン誘導体アセチル−グルタミンの低いバイオアベイラビリティーにも注目している。
Gurrantらの生物データの欠如は、この分野のほかの研究者の研究から考えて、非常に実際的な意味がある。Palmeriniらは、放射線標識されたN−アセチル−L−グルタミンをラットに経口投与した。「生体内のラットの大脳および腸粘膜中への二重標識されたN−アセチル−L−グルタミンの取り込み(Uptake of Doubly−Labeled N−Acetyl−L−Glutamine in Rat Brain and Intestinal Mucosa In Vivo)」、ファルマコ(Farmaco)、第36(7)巻、pp.347−355(1981年7月)。Palmeriniらは、N−アセチル−L−グルタミン(NAQ)が、腸粘膜を通って自然のままで吸収されることを証明した。アセチル機能の腸内加水分解の欠如から、当業者は、栄養製品におけるグルタミンの潜在源としてのNAQを軽視することになる。その理由は、グルタミンの主要な活性の1つが、腸上皮に栄養を与えることであるからである。この機能は、アミノ酸の腸吸収の間、優勢的に発生する。
栄養調合物中のN−アセチル−L−グルタミンの使用の欠点は、Magnussonらの「ヒトにおける静脈内投与されたN−アセチル−L−グルタミンの利用(Utilization of Intravenously Administered N−Acetyl−L−Glutamine in Humans)」、代謝(Metabolism)、第38(8)巻、補遺1(8月)、pp.82−88(1989年)によって議論された。これらの研究者らは、静脈内投与されたN−アセチル−L−グルタミンの用量の20から40%が、尿中に排出されたことを発見した。特にラットにおけるほかの潜在的問題は、Wallaceらによって注目された。これらの研究者らは、食欲不振(inappetance)、およびアセチル化ペプチド、例えばN−アセチル−(アラニン)の非効率的な使用に関する問題があるであろうと結論した。「ヒツジにおける小腸からのアセチル化ペプチドの取り込み、およびラットにおけるこれらの栄養価(Uptake of Acetylated Peptides from the Small Intestine in Sheep and Their Nutritive Value in Rats)」、英国栄養ジャーナル(British Journal of Nutrition)」、第80巻、pp.101−108(1998年)。
本発明によれば、N−アセチル−L−グルタミンは、ヒトにおける経口グルタミンサプリメントとして有用性を有することが発見された。本発明者らは、ヒトの腸組織が、グルタミン源としてN−アセチル−L−グルタミンを利用しうることを発見した。従ってN−アセチル−L−グルタミンは、ヒトの消費のために設計された液体栄養物中に組み込むことができる。これらの組成物は長期安定性を有し、ヒトに対してバイオアベイラブルな形態でN−アセチル−L−グルタミンを提供する。N−アセチル−L−グルタミンは、酸として、または栄養的に許容しうるこの塩として投与されうる。この発見は、ヒト以外のほかの哺乳動物においてなされた、より初期の研究から考えて意外であった。
N−アセチル−L−グルタミン、または栄養的に許容しうるこの塩は、ヒトの消費に適したあらゆる液体組成物中に組み込むことができる。適切な組成物の例には、水溶液、例えば経口再水和溶液、液体栄養調合物(経腸調合物、経口調合物、成人用調合物、小児患者用調合物、および乳児用調合物などを包含する)などが含まれる。N−アセチル−L−グルタミン、または栄養的に許容しうるこの塩の量は、広く様々であってもよいが、典型的にはこれらの組成物は、あらゆるヒトについて、一日につき体重1kgあたり総グルタミン少なくとも約10mgを供給するのに十分なN−アセチル−L−グルタミン、または栄養的に許容しうるこの塩を含有する。
この出願において用いられている次の用語は、下記の意味を有する:
a)「総グルタミン」は、グルタミンとして表示されたあらゆる源から生物学的に利用可能な、または潜在的に利用可能なグルタミンの総量のことを言う。これには、遊離グルタミンとして供給されたグルタミン、ペプチドまたは自然のままのタンパク質の一部として発見されたグルタミン、およびほかの生物学的に利用可能なグルタミン源、例えばN−アセチル−L−グルタミンを含めることができる。グルタミン分解の副生物(例えばピログルタミン酸など)は含まれない。この計算法の一例として、仮定的な製品が下に記載される。
栄養製品は、自然のままのタンパク質、およびわずかに加水分解されたタンパク質を含有する、60グラム/リットルのタンパク質系を含有する。これには、次のものが含まれる:
i.当業者によく知られている方法によって測定された場合、1.1グラム/リットルでの遊離グルタミン。
ii.50.0グラム/リットルのタンパク質を含有する、自然のままのタンパク質とわずかに加水分解されたタンパク質とのブレンド。これは、公開された方法(例えば、Fouquesらの「アミノ酸測定前の、[ビス(トリフルオロアセトキシ)ヨード]ベンゼンを用いた、タンパク質のアスパラギンおよびグルタミンの、ジアミノプロピオン酸およびジアミノ酪酸への転換の研究(Study of the Conversion of Asparagine and Glutamine of Proteins into Diaminopropionic and Diaminobutyric Acids Using [Bis(trifluoroacetoxy)iodo]Benzene Prior to Amino Acid Determination)」、Analyst、第116巻、(5月)、pp.529−531(1991年))によって分析され、3.4グラムグルタミン/100グラムのタンパク質を含有していた。
iii.11.6グラム/リットルでのN−アセチル−L−グルタミン。これは、下で計算された場合、グルタミン9.0グラムを含有する。
Figure 2006515832
従って「総グルタミン」は、これら3つの源の合計である。1.1グラム/L(遊離)+(3.4g/100gタンパク質×50gタンパク質/L)+9.0グラム/L(NAQ)=11.8グラム。
b)「mmole」は、ミリモルのことを言う(すなわち、1モルの1/1,000である)。
c)「栄養的に許容しうる塩」という用語は、ヒトへの投与に適した液体組成物中の使用に対して許容しうるN−アセチル−L−グルタミンの塩を意味する。N−アセチル−L−グルタミンの栄養的に許容しうる塩は、カルボキシル基の水素が、もう1つの正カチオンで置換されている塩である。このような塩は、N−アセチル−L−グルタミンの最終単離および精製の間に、またはカルボン酸基と適切な塩基、例えば金属カチオンの水酸化物、炭酸塩、または炭酸水素塩とを、またはアンモニアまたは有機第一、第二、または第三アミンとを反応させることによって別個に調製することができる。栄養的に許容しうる塩カチオンは、アルカリ金属、またはアルカリ土類金属、例えばリチウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、およびアルミニウム、および非毒性第四アンモニア、およびアミンカチオン、例えばアンモニウム、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ジエチルアミン、エチルアミン、トリブチルアミン、ピリジン、N,N−ジメチルアニリン、N−メチルピペリジン、N−メチルモルホリン、ジシクロヘキシルアミン、プロカイン、ジベンジルアミン、N,N−ジベンジルフェネチルアミン、1−エフェナミン、およびN,N’−ジベンジルエチレンジアミンをベースとしていてもよい。塩基付加塩の形成のために有用なほかの代表的な有機アミンには、エチレンジアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、ピペリジン、およびピペラジンが含まれる。
d)明細書または特許請求の範囲における多量の電解質へのあらゆる言及は、経口再水和溶液中の電解質の最終濃度のことを言うと考えるべきである。水道水は多くの場合、残留ナトリウム、塩素などを含有する。この出願におけるナトリウム40mEqの値は、経口再水和溶液中に存在する総ナトリウムが、添加されたナトリウム、ならびに経口再水和溶液を製造するために用いられた水中に存在するナトリウムの両方を考慮に入れた場合、40mEqに等しいことを意味する。
e)この出願における数字範囲へのあらゆる言及は、形容詞「約」によって修飾されていると考えるべきである。さらにはあらゆる数字範囲は、この範囲の部分集合に対して向けられたクレームへ支持を与えると考えるべきである。例えば1から10の範囲の開示は、明細書および特許請求の範囲において、この範囲(すなわち、2から9、3から6、4から5、2.2から3.6、2.1から9.9などの範囲)におけるあらゆる部分集合を支持すると考えるべきである。
本発明は、N−アセチル−L−グルタミン、または栄養的に許容しうるこの塩の有効量の経口投与による、ヒトへのグルタミン補足を与えるための方法および組成物を提供する。栄養調合物における使用に適したN−アセチル−L−グルタミンは、十分に確立された標準的化学合成技術、例えば適切な塩基触媒(例えばピリジン)の存在下における無水酢酸での遊離L−グルタミンのインキュベーションを用いて生成することができ、合成後、再結晶化による適切な精製は、食品−グレードステータスに適した純粋化合物を生成する。実際、アミノ酸化学に精通したいくつかの化学会社は、食品−グレードのN−アセチル−L−グルタミンを提供している(日本国東京の協和発酵工業株式会社、またはイタリア国のフランマ社(Flamma,s.p.a.)である)。あるいはまた、ほかの方法(例えば微生物発酵、第JP51038796号、第JP57001994号、第JP57016796号参照)も、適切な食品−グレードのN−アセチル−L−グルタミンを生成するために利用することができる。N−アセチル−L−グルタミンの栄養的に許容しうる塩は、カルボキシル基の水素が、別の正カチオンによって置換されている塩である。このような塩は、N−アセチル−L−グルタミンの最終単離および精製の間に、またはカルボン酸基と適切な塩基、例えば金属カチオンの水酸化物、炭酸塩、または炭酸水素塩とを、またはアンモニアまたは有機第一、第二、または第三アミンとを反応させることによって別個に調製することができる。栄養的に許容しうる塩カチオンは、アルカリ金属、またはアルカリ土類金属、例えばリチウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、およびアルミニウム、および非毒性第四アンモニアおよびアミンカチオン、例えばアンモニウム、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ジエチルアミン、エチルアミン、トリブチルアミン、ピリジン、N,N−ジメチルアニリン、N−メチルピペリジン、N−メチルモルホリン、ジシクロヘキシルアミン、プロカイン、ジベンジルアミン、N,N−ジベンジルフェネチルアミン、1−エフェナミン、N,N’−ジベンジルエチレンジアミンをベースとしていてもよい。塩基付加塩の形成のために有用なほかの代表的な有機アミンには、エチレンジアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、ピペリジン、およびピペラジンが含まれる。所望であれば、シグマ(Sigma)からの医薬グレードのN−アセチル−L−グルタミンを用いることができる。
ヒトへのグルタミン補足を与える方法は、N−アセチル−グルタミン、または栄養的に許容しうるこの塩の有効量の経口投与を含む。典型的には、N−アセチル−L−グルタミンは、液体、例えば経口再水和溶液、スポーツドリンク、または経腸調合物の一部を介して投与される。
N−アセチル−L−グルタミン、または栄養的に許容しうるこの塩の有効量は好ましくは、一日につき総グルタミン約10から50g、あるいはまた、一日につき体重1kgあたり少なくとも約140mgの総グルタミン、より好ましくは一日につき体重1kgあたり少なくとも250mgの総グルタミン(mg/kg/日)を提供するのに十分な量である。N−アセチル−L−グルタミンは、患者が一日を基準として消費する総グルタミンの約1から100%、好ましくは約10から95%、より好ましくは患者が一日を基準として消費する総グルタミンの約75から90%を提供する。
N−アセチル−L−グルタミン、または栄養的に許容しうるこの塩が、患者が消費するグルタミンの唯一の源を提供する時、N−アセチル−L−グルタミン、または栄養的に許容しうるこの塩の有効量は、好ましくは少なくとも約0.7ミリモル/kg/日である。より好ましくは、N−アセチル−L−グルタミン、または栄養的に許容しうるこの塩の有効量は、少なくとも約1.0ミリモル/kg/日であってもよい。さらにより好ましくは、N−アセチル−L−グルタミンの有効量は、少なくとも約1.5ミリモル/kg/日であってもよい。
上に記載されているように、250mg/kg/日の総グルタミンを提供するのに必要とされるN−アセチル−L−グルタミン、または栄養的に許容しうるこの塩の量は、患者が消費しているあらゆるほかのタンパク質成分中に存在するグルタミンの量に応じて様々である。一般的なガイドラインとして、患者は、この発明の完全な効果を得るためには、一日につき1kgあたりN−アセチル−L−グルタミン、または栄養的に許容しうるこの塩を少なくとも約0.7から約4.0ミリモル消費すべきである。タンパク質系のその他の成分の総グルタミン含量に応じて、より少量も効果があることがある。一般に、一日につき1kgあたり総グルタミンを少なくとも約140mg、より好ましくは一日につき1kgあたり総グルタミンを少なくとも約250mg送達するのに十分なN−アセチル−L−グルタミンが、患者に与えられるべきである。
この方法は、成人、子供、および乳児へ、グルタミン補足を与えるために利用することができる。子供という用語は、1歳から約16歳(すなわち成人期)までの年齢のヒトのことを言う。乳児という用語は、年齢が1歳未満のすべてのヒトを包含するものであり、早産児および超未熟(micro−preemie)児を包含する。早産児という用語は、37週の妊娠期間の前に生まれた、および/または誕生時に2,500g未満の乳児について記載するものであり、超未熟児という用語は、妊娠期間23から28週の間に生まれた乳児について記載するものである。本明細書に用いられている、非成人という用語は、子供および乳児を包含する。
成人、子供、および乳児に供給されるグルタミン当量の濃度は、様々であってもよい。このことの1つの理由は、様々にストレスを受けた状況におけるカロリー密度の必要量の幅広いバリエーションである。この状況の一例は、非常に小さい容積の経腸栄養のみを許容することができる時、例えば重症の外傷または早産児の場合に生じる。このような症例では、栄養の大部分は当初、非経口栄養を介して与えられてもよい。このような場合、非常に少量の経腸栄養が許容しえ、できるだけ多くのグルタミン当量を補足することが有利である。従って、N−アセチル−L−グルタミン、または栄養的に許容しうるこの塩の非常に高い濃度が用いられてもよい。別の適用において、標準的な乳児調合物には、腸機能を支えるために、N−アセチル−L−グルタミン、または栄養的に許容しうるこの塩が補足されてもよい。この場合、実質的により低い濃度が用いられる。
N−アセチル−L−グルタミンは、グルタミンが効果的になりうるあらゆる健康状態のために利用されてもよい。このような健康状態には、少なくとも次のものが含まれる。すなわち、胃腸外科手術、胃腸切除、小腸移植、ほかの外科手術後外傷からの回復の強化、飢餓、重症疾患および負傷、例えば多発外傷、短腸症候群、火傷、骨髄移植、エイズ、口腔粘膜炎、小児脂肪便症、クローン病、壊死性全腸炎、腸早熟、日和見感染症、例えば敗血症の予防および重症度の低下である。グルタミン補足はまた、特別な治療(例えば化学療法または放射線療法)と関連した腸の悪化の予防、または経口栄養供給が厳しく制限されている(例えば極端な早産)ような状況においても有用になりうる。同様に、上記のもののいずれの組み合わせも含まれる。
この発明のN−アセチル−L−グルタミンは、ヒトの消費に適したあらゆる液体溶液を用いて投与することができる。例えばN−アセチル−L−グルタミンは、単純に水中に溶解されてもよい。所望であれば、これはその口当たりの良さを高めるために、味が付いた飲料中に組み込むことができる。例えば、これは、クール−エイド(Kool−Aid)、またはソーダ、例えばペプシまたはコーラ中に組み込むことができる。もう1つのほかの実施態様において、N−アセチル−L−グルタミンは、スポーツドリンク、例えばゲイターエイド(Gator−Aid)中に組み込むこともできる。
しかしながら典型的には、N−アセチル−L−グルタミンは、経口再水和溶液(ORS)または液体栄養調合物を介して投与される。水溶液、例えばORS中に組み込むことができるN−アセチル−L−グルタミンの量は、幅広く様々であってもよい。典型的にはORSは、溶液1リットルあたり、少なくとも約5.0ミリモルのN−アセチル−L−グルタミン、または栄養的に許容しうるこの塩を含有し、さらには最小限に、水、グルコース、およびナトリウムを含有する。より好ましくはORSは、N−アセチル−L−グルタミン、または栄養的に許容しうるこの塩1リットルあたり、約20から約300ミリモル、より典型的には約25から約200ミリモルを含有する。液体、例えばクールエイドまたはゲイターエイドが利用されるならば、その場合にはN−アセチル−L−グルタミンの量は、ORSについて記載されたものに匹敵しうる。
経口再水和溶液は、当業者によく知られている。この発明において利用されているORSは典型的には、米国で販売されている経口再水和製剤について食品薬品局によって要求されるすべての電解質およびこれらのレベルを含有する。ナトリウム(Na)、カリウム(K)、塩化物(Cl)、およびシトレートイオンに加えて、経口再水和溶液は、炭水化物源、例えばグルコース、フルクトース、またはデキストロースを含有する。
典型的にはORSは、水、炭水化物、ナトリウムイオン、カリウムイオン、塩化物イオン、およびシトレートイオンを含んでいる。
ORS中に用いられるナトリウムイオンの量は、当業者に知られているように、幅広く様々であってもよい。典型的にはORSは、約30mEq/Lから約95mEq/Lのナトリウムを含む。さらにもう1つの実施態様において、ナトリウム含量は、約30mEq/Lから約70mEq/L、最も好ましくは約40mEq/Lから約60mEq/Lの様々なものであってもよい。適切なナトリウム源には、塩化ナトリウム、ナトリウムシトレート、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、およびこれらの混合物が含まれるが、これらに限定されるわけではない。本明細書において用いられている、1ミリ当量(mEq)とは、所定の容積におけるこれらの濃度によって測定された場合の、溶液中のイオン数のことである。この尺度は、1リットルあたりのミリ当量の数として表示される(mEq/L)。ミリ当量は、mEqにこのミネラルの原子量を掛け、ついでこの数をミネラルの原子価で割って、ミリグラムに転換することができる。
ORSはまた、カリウムイオン源も含有する。カリウムの量は、幅広く様々であってもよい。しかしながら一般的なガイドラインとして、ORSは典型的に、約10mEq/Lから約30mEq/Lのカリウムを含有する。さらにほかの1つの実施態様において、これらは、約15mEq/Lから約25mEq/Lのカリウムを含有してもよい。適切なカリウム源には、カリウムシトレート、塩化カリウム、炭酸水素カリウム、炭酸カリウム、水酸化カリウム、およびこれらの混合物が含まれるが、これらに限定されるわけではない。
ORSはまた、炭水化物源も含有する。使用される炭水化物の量は、上記のように重要である。この量は、約3%w/w未満、より好ましくは約2.5%w/w未満に維持されなければならない。約3%w/wから約2.0%w/wの量が適切である。過剰な炭水化物は、下痢に関連した液体および電解質損失を悪化させる。
先行技術の経口再水和溶液中に用いられたあらゆる炭水化物が用いられてもよい。適切な炭水化物には、単純および複合炭水化物、グルコース、デキストロース、フルクトオリゴ糖、フルクトース、およびグルコースポリマー、コーンシロップ、高フルクトースコーンシロップ、スクロース、マルトデキストリン、およびこれらの混合物が含まれるが、これらに限定されるわけではない。
ORSはまた典型的に、下痢による損失を元に戻すための塩基源も含む。典型的にはシトレートが、この結果を得るために、経口再水和溶液中に組み込まれる。シトレートは、炭酸水素塩の当量まで代謝される。これは、酸塩基平衡の維持を助ける血中の塩基である。シトレートが好ましい塩基源であるが、再水和溶液中に日常的に組み込まれるあらゆる塩基が用いられてもよい。
シトレートの量は、当分野において知られているように様々であってもよい。典型的には、シトレート含量は、約10mEq/Lから約40mEq/L、より好ましくは約20mEq/Lから約40mEq/L、最も好ましくは約25mEq/Lから約35mEq/Lである。適切なシトレート源には、カリウムシトレート、ナトリウムシトレート、クエン酸、およびこれらの混合物が含まれるが、これらに限定されるわけではない。
ORSはまた典型的には、塩化物源も含有する。塩化物の量は、当分野において知られているように様々であってもよい。典型的にはORSは、約30mEq/Lから約80mEq/L、より好ましくは約30mEq/Lから約75mEq/L、最も好ましくは約30mEq/Lから約70mEq/Lの量で塩化物を含有する。適切な塩化物源には、塩化ナトリウム、塩化カリウム、およびこれらの混合物が含まれるが、これらに限定されるわけではない。
場合により、消化しにくいオリゴ糖が、ORS中に組み込まれてもよい。消化しにくいオリゴ糖は、GI管の微生物フロラに対して有利な衝撃を有する。これらは、病原性生物、例えばClostridium difficileの成長を抑制するのを助ける。これらのオリゴ糖は、非病原性微生物フロラの成長を選択的に促進する。このような経口再水和溶液は、1995年4月5日に出願された米国特許第5,733,759号に記載されている。この特許の内容は、参照して本明細書に組み込まれる。典型的には、オリゴ糖は、フルクトオリゴ糖、イヌリン、例えばラフティロース、またはキシロオリゴ糖である。この量は、幅広く様々であってもよいが、水溶液1リットルあたり1から100グラム、より典型的には1リットルあたり3から30グラムであってもよい。
ORSはまた典型的に、特に小児集団においてその口当たりの良さを高めるために、フレーバーを含んでいる。フレーバーは、これらの水溶液のしょっぱい感じを隠す方がよい。有用な香料添加剤には、ピーチ、バターペカン、ブルーベリー、バナナ、チェリー、オレンジ、グレープ、フルーツポンチ、バブルガム、リンゴ、ラズベリー、およびイチゴが含まれるが、これらに限定されるわけではない。フレーバーを補い、しょっぱい味を隠すために人工甘味料が添加されてもよい。有用な人工甘味料には、サッカリン、ニュートラスイート(nutrasweet)、スクラロース、およびアセスルファン−K(アセ−K)などが含まれる。
貯蔵寿命を延ばすのを助けるために、保存料が添加されてもよい。当業者なら、この結果を得るために、適切な保存料を適切な量で選択することができる。典型的な保存料には、カリウムソルベートおよびナトリウムベンゾエートが含まれるが、これらに限定されるわけではない。
上記の炭水化物に加えて、ORSはまた、米粉、または下痢の治療に有利なコメのあらゆるほかの成分を含有してもよい。多くのコメが補足された経口再水和溶液が、文献に記載されてきた。このようなコメが補足された経口再水和溶液を用いる方法は、当業者によく知られている。このようなコメが補足された経口再水和溶液の例には、1996年2月6日に発行された米国特許第5,489,440号に記載されているものが含まれる。
ORSは、当業者によく知られている技術を用いて製造することができる。一般的なガイドラインとして、すべての成分は、互いにドライブレンドされ、攪拌しつつ水中に分散され、場合によってはすべての成分を溶解するために適切な温度に加熱されてもよい。ORSはついで包装され、当分野において知られているように食品グレード基準に合わせて滅菌される。
ORSは、当分野において知られているように、患者の好みに応じて異なる形態で投与されてもよい。例えば、経口再水和溶液を、例えばポプシクル(Popsicle)の形態のように冷凍されているならば、より容易に消費する子供もいる。経口再水和溶液ポプシクルは、米国特許第5,869,459号に詳細に記載されている。経口再水和溶液はまた、特に小児集団において、患者の薬剤服用順守を高めるために、ゲルとして形成されてきた。ゲル化された再水和組成物は、1999年8月4日に出願された米国特許出願番号第09/368,388号に記載されている。これらのゲルはまた、PCT出願第99/15862号にも記載されている。総括として、これらの水溶液は、流動性ゲルとして形成されてもよい。あるいはまた、これは自立性ゲル構造として形成されてもよい。このような結果は、適切なゲル化剤を水溶液中に組み込むことによって達成されてもよい。
この水溶液における使用に適したゲル化剤には、次のものが含まれるが、これらに限定されるわけではない。すなわち、寒天、アルギニン酸および塩、アラビアゴム、アカシアゴム、タルハゴム、セルロース誘導体、カードラン、発酵ゴム、フルセララン、ゼラチン、ゲランゴム、ガッティガム、グアールガム、イオタカラゲナン、アイルランドコケ、カッパカラゲナン、コンニャク粉、カラヤゴム、ラムダカラゲナン、カラマツゴム/アラビノガラクタン、イナゴマメゴム、ペクチン、タマリンド種子ゴム、タラゴム、トラガカントゴム、天然および変性デンプン、キサンタンガム、およびこれらの混合物である。前記ゲル化剤の使用率は、約0.05から約50wt/wt%である。
上記のように、N−アセチル−L−グルタミン、または栄養的に許容しうるこの塩は、液体栄養製品を介して投与されてもよい。液体栄養物中に組み込まれるN−アセチル−L−グルタミンの量は、幅広く様々であってもよいが、上記の投薬量ガイドラインに適合するものである。液体栄養調合物において使用されるN−アセチル−L−グルタミン、または栄養的に許容しうるこの塩の量は、様々な要因による。この要因には、調合物が大部分の栄養源または唯一の栄養源を提供するかどうか、この調合物が、ほかのグルタミン源を含有するかどうか、一日を基準にして消費される調合物の量、およびこの調合物が対象とする患者の型(これはまた、毎日消費される調合物の量に影響を与えるであろう)が含まれる。この調合物は好ましくは、ほかのタンパク質成分中に含有されたグルタミンと組合わされた時、一日につき体重1kgあたり少なくとも140mgの総グルタミンを提供するのに十分な量でN−アセチル−L−グルタミン、または栄養的に許容しうるこの塩を含有する。N−アセチル−L−グルタミン、または栄養的に許容しうるこの塩の量はまた、タンパク質カロリーのパーセンテージを与えるものとして表示することもできる。このような表示によれば、栄養調合物は、タンパク質カロリーの約1から約100%として、N−アセチル−L−グルタミン、または栄養的に許容しうるこの塩を含有する。これらのパーセンテージは、N−アセチル−L−グルタミン、または栄養的に許容しうるこの塩のタンパク質部分(すなわちグルタミン部分)を基準にして計算され、N−アセチル−L−グルタミン、または栄養的に許容しうるこの塩の非タンパク質部分(すなわち、アセテートまたは塩部分)からのカロリー貢献をまったく考慮に入れない。好ましくは栄養調合物が成人用である時、これは、タンパク質カロリーの約10から約95%を供給するのに十分なN−アセチル−L−グルタミン、または栄養的に許容しうるこの塩を含有する。この栄養調合物が、非成人用に設計されているならば、その場合にはN−アセチル−L−グルタミンは、タンパク質カロリーの約1から約12%を供給するのに十分な量で存在する。
液体栄養調合物には、経腸調合物、経口調合物、成人用調合物、小児患者用調合物、および乳児用調合物が含まれる。経腸調合物および栄養調合物は例えば、救急病院および長期療養施設(すなわちナーシングホーム)の両方において、患者の治療の重要な要素である。これらの調合物は、次善的な栄養状態を高めるための補足的使用が一般的ではあるが、長期間にわたって人間用の唯一の栄養源として役立ちうる。従ってこの調合物は、これらが栄養不良を防ぐという主要目的を満たすことになっているならば、有意量のタンパク質、脂肪、ミネラル、電解質などを含有しなければならない。これらの調合物は典型的に、液体として患者に投与されるが、その理由は、標的とされる患者の大部分が、固体食品を消費することができないからである。調合物を飲むことができる患者もいるが、鼻腔栄養チューブ(NG管またはチューブ栄養供給)を介して経腸調合物を受けるかなり多数の人がいる。
液体栄養調合物は、この調合物の総カロリー含量の14から35%を提供するタンパク質成分、総カロリー含量の36から76%を提供する炭水化物成分、および総カロリー含量の6から51%を提供する脂質成分を含有する。液体栄養調合物は、成人用調合物、小児用調合物、または乳児用調合物であってもよい(ちょうど水溶液が、成人、小児患者、または乳児に投与されてもよいように)。高いグルタミン用途のためには、液体栄養調合物は好ましくは、少なくとも大部分の栄養源を提供する。しかしながら本明細書に記載されている液体栄養調合物は、特に大部分は中心静脈栄養法が実施基準である場合(例えば、子宮外での最初の数週間にわたって、経口栄養供給へとゆっくりと離乳される極端な早産児において)、少なくとも大部分の栄養源以外として用いられてもよい。少なくとも大部分の栄養源という用語は、この調合物が、この調合物を受けている患者に対する総カロリーおよび栄養的必要量の少なくとも半分を提供するのに十分な量で、栄養供給されるものとすることを意味する。この定義には、単一栄養源としての調合物および調合物の供給が包含され、これによって、この調合物を受けている患者に対する総カロリーおよび栄養的必要量のすべてを提供する。必要とされるカロリーおよび栄養素の量は、例えば年齢、体重、および生理的状態などの変数に応じて、患者毎に様々である。カロリーおよび栄養素の適量を供給するのに必要とされる栄養調合物の量は、このような調合物中に組み込むのに適した量のカロリーおよび栄養素の量のように、当業者によって決定されうる。例として、この調合物が成人用調合物である時、タンパク質成分は、前記液体栄養調合物の総カロリー含量の約14から約35%を構成しうる;炭水化物成分は、前記液体栄養調合物の総カロリー含量の約36から約76%を構成しうる;脂質成分は、前記液体栄養調合物の総カロリー含量の約6から約41%を構成しうる。この栄養調合物は、経口栄養供給用調合物であってもよく、経腸栄養供給用調合物であってもよい。もう1つの例として、この調合物が、非成人用調合物である時、このタンパク質成分は、前記液体栄養調合物の総カロリー含量の約8から約25%を構成しうる;炭水化物成分は、前記液体栄養調合物の総カロリー含量の約39から約44%を構成しうる;脂質成分は、前記液体栄養調合物の総カロリー含量の約45から約51%を構成しうる。これらの範囲は、例としてのみ示されており、限定的なものとされているわけではない。
実際問題として、このような製品は、総グルタミン含量の約半分またはそれ以上を提供するのに十分な量のN−アセチル−L−グルタミン、または栄養的に許容しうるこの塩を含有する。あるいはまた、N−アセチル−L−グルタミン、または栄養的に許容しうるこの塩の有効量は、1,000kcalあたりのミリモルで表示することができる。このような表示によれば、グルタミンの標的量が、日/kg/日あたり約300mgのグルタミンであるならば、栄養調合物は好ましくは、成人の場合、栄養調合物1,000kcalあたり、少なくとも約35ミリモルのN−アセチル−L−グルタミン、または栄養的に許容しうるこの塩、および子供、乳児、または早産児(非成人)の場合、栄養調合物1,000kcalあたり、少なくとも約5.0ミリモルのN−アセチル−L−グルタミン、または栄養的に許容しうるこの塩を含有する。より好ましくはこのような栄養調合物は成人用の場合、栄養調合物1,000kcalあたり、約35から約160ミリモルのN−アセチル−L−グルタミン、または栄養的に許容しうるこの塩、子供用の場合、栄養調合物1,000kcalあたり、約5.0から約32ミリモルのN−アセチル−L−グルタミン、または栄養的に許容しうるこの塩、および乳児または早産児の場合、栄養調合物1,000kcalあたり、約5.0から約26ミリモルのN−アセチル−L−グルタミン、または栄養的に許容しうるこの塩を含有する。
N−アセチル−L−グルタミンに加えて、この栄養調合物は、栄養調合物製造業者に知られているように、適切な炭水化物、脂質、およびタンパク質を含有する。適切な炭水化物には、ワックス状または非ワックス形態における、コーン、タピオカ、コメ、またはジャガイモ源からの、加水分解されているか、自然のままの、または天然および/または化学変性されたデンプン;および糖、例えばグルコース、フルクトース、ラクトース、スクロース、マルトース、高フルクトースコーンシロップ、コーンシロップ固体、フルクトオリゴ糖、およびこれらの混合物が含まれるが、これらに限定されるわけではない。マルトデキストリンは、デンプン(例えばコーンまたはコメからのデンプン)の酸または酵素による加水分解から得られた多糖類である。これらの分類は、加水分解の程度に基づき、デキストロース当量(DE)として報告されている。栄養調合物中に使用されているあらゆるマルトデキストリンのDEは、好ましくは約18から20未満である。
適切な脂質には、次のものが含まれるが、これらに限定されるわけではない。すなわち、ヤシ油、大豆油、コーン油、オリーブ油、サフラワー油、高オレインサフラワー油、MCT油(中鎖トリグリセリド)、ひまわり油、高オレインひまわり油、パーム油、パームオレイン、キャノーラ油、綿実油、魚油、パーム核油、メンハーデン油、大豆油、レシチン、アラキドン酸およびドコサヘキサエン酸の脂質源、およびこれらの混合物である。アラキドン酸およびドコサヘキサエン酸の脂質源には、海産油(marine oil)、卵黄油、およびかび(fungal)油、または藻類油が含まれるが、これらに限定されるわけではない。これらの脂肪の多くの商品源は容易に入手でき、当業者に知られている。例えば大豆油およびキャノーラ油は、イリノイ州デカターのアーチャー・ダニエルズ・ミッドランド(Archer Daniels Midland,Decatur)から入手しうる。コーン油、ヤシ油、パーム油、およびパーム核油は、オレゴン州ポートランドのプレミア・エディブル・オイルズ・コーポレーション(Premier Edible Oils Corporation,Portland)から入手しうる。分留ヤシ油は、イリノイ州ラグランジのヘンケル・コーポレーション(Henkel Corporation,LaGrange)から入手しうる。高オレインサフラワーおよび高オレインひまわり油は、オハイオ州イーストレイクのSVOスペシャルティー・プロダクツ(SVO Specialty Products,Eastlake)から入手しうる。海産油は、日本国東京のモチダ・インターナショナルから入手しうる。オリーブ油は、英国ノース・ハンバーサイドのアングリア・オイルズ(Anglia Oils,North Humberside)から入手しうる。ひまわり油および綿実油は、ミネソタ州ミネアポリスのカーギル(Cargil)から入手しうる。サフラワー油は、カリフォルニア州リッチモンドのカリフォルニア・オイルズ・コーポレーション(California Oils Corporation)から入手しうる。
これらの食品グレード油に加えて、所望であれば、構造脂質が、栄養物に組み込まれてもよい。構造脂質は、当分野において知られている。構造脂質の簡潔な記載は、「構造脂質が、脂肪のテーラーメードを可能にする(Structured Lipids Allow Fat Tailoring)」(1997年10月)というタイトルの、INFORM、第8巻、10号、1004ページにおいて見ることができる。同様に、米国特許番号第4,871,768号も参照されたい。構造脂質は優勢的に、同じグリセロール核上の中および長鎖脂肪酸の混合物を含有するトリアシルグリセロールである。構造脂質および経腸調合物におけるこれらの使用もまた、米国特許第6,194,37号および第6,160,007号に記載されている。
適切なタンパク質源には、次のものが含まれるが、これらに限定されるわけではない。すなわち、ミルク、乳漿および乳漿フラクション、大豆、コメ、肉(例えば牛肉)、動物および植物(例えば豆、ジャガイモ)、卵(卵アルブミン)、ゼラチン、および魚である。適切な自然のままのタンパク質源には、次のものが含まれるが、これらに限定されるわけではない。すなわち、大豆ベース、ミルクベース、カゼインタンパク質、乳漿タンパク質、コメタンパク質、牛肉コラーゲン、豆タンパク質、ジャガイモタンパク質、およびこれらの混合物である。適切なタンパク質水解物には、次のものが含まれるが、これらに限定されるわけではない。すなわち、大豆タンパク質水解物、カゼインタンパク質水解物、乳漿タンパク質水解物、コメタンパク質水解物、ジャガイモタンパク質水解物、魚タンパク質水解物、卵白水解物、ゼラチンタンパク質水解物、動物および植物タンパク質水解物の組み合わせ、およびこれらの混合物である。加水分解されたタンパク質(タンパク質水解物)は、より短いペプチド断片およびアミノ酸に加水分解または破壊されているタンパク質である。このような加水分解されたペプチド断片および遊離アミノ酸は、より容易に消化される。最も広い意味において、タンパク質は、1つまたはそれ以上のアミド結合が破壊された時、加水分解されてしまう。アミド結合の破壊は、例えば加熱またはせん断によって、製造の間に無意図的に、または偶然に発生することがある。この開示の目的のためには、加水分解されたタンパク質とは、アミノ結合を破壊するように意図された方法で加工または処理されているタンパク質を意味する。意図的な加水分解は、例えば酵素または酸での自然のままのタンパク質の処理によって影響を受けることがある。本明細書に記載されている液体栄養調合物中に好ましくは使用されている加水分解タンパク質は、アミノ窒素(AN)対総窒素の比が、約0.1ANから約1.0TNから約0.4ANから約1.0TN、好ましくは約0.25ANから1.0TNから約0.4ANから約1.0TNになるような程度まで加水分解される。(AN:TN比は、単独の水解物タンパク質について示され、最終栄養調合物におけるAN:TN比を表わしていない。)
タンパク質はまた、遊離アミノ酸の形態で提供されてもよい。この栄養調合物には、栄養的により完全でバランスの取れた調合物を提供するために、様々なアミノ酸が補足されてもよい。適切な遊離アミノ酸の例には、次のものが含まれるが、これらに限定されるわけではない。すなわち、タンパク質系の一部と通常考えられているすべての遊離L−アミノ酸であるが、特に栄養的な観点から、必須、または条件付きで必須であると考えられているものである。すなわち、トリプトファン、チロシン、システイン(シスチン)、メチオニン、アルギニン、ロイシン、バリン、リシン、フェニルアラニン、イソロイシン、トレオニン、およびヒスチジンである。栄養製品に典型的に添加されるほかの(非タンパク質)アミノ酸には、カルニチンおよびタウリンが含まれる。いくつかの場合、アミノ酸のD−形態は、L−形態と栄養的に同等と考えられ、異性体混合物が用いられると、より低コストになる(例えば、D,L−メチオニン)。
栄養調合物は好ましくはまた、この調合物を受けている患者の一日の栄養的必要量を供給するように設計された量で、ビタミンおよびミネラルも含有する。当業者は、栄養調合物が、この製品の貯蔵寿命にわたって一日の栄養的必要量を確実に満たすように、あるいくつかのビタミンおよびミネラルで過剰強化される必要があることが多いことを認めている。これらの同じ個々の当業者はまた、患者が罹っている、根底にあるあらゆる病気または疾患に応じて、あるいくつかの微小成分が、人々に対して潜在的な効果を有しうることも認めている。例えば糖尿病患者は、例えばクロム、カルニチン、タウリン、およびビタミンEなどの栄養素から恩恵を受ける。調合物は好ましくは、次のビタミンおよびミネラルを含むが、これらに限定されるわけではない。すなわち、カルシウム、リン、ナトリウム、塩化物、マグネシウム、マンガン、鉄、銅、亜鉛、セレン、ヨウ素、クロム、モリブデン、条件付必須栄養素のm−イノシトール、カルニチン、およびタウリン、およびビタミンA、C、D、E、K、およびB複合体、およびこれらの混合物である。
液体栄養物が、乳児を対象としているならば、その場合にはそのための特別な栄養的ガイドラインを、乳児調合物法令、21U.S.C.セクション350(a)において見ることができる。これらの法律に見られる栄養ガイドラインは、栄養的必要性に関するさらなる研究が完了するにつれて、引き続き洗練されて行く。特許請求されている栄養調合物は、現在はリストに挙げることができないビタミンおよびミネラルを含有する調合物を包含するものとする。
この液体栄養調合物はまた、繊維および安定剤を含有してもよい。繊維および/または安定剤の適切な源には、次のものが含まれるが、これらに限定されるわけではない。すなわち、キサンタンガム、グアールガム、アラビアゴム、ガッティガム、カラヤゴム、トラガカントゴム、寒天、フルセララン、ゲランゴム、イナゴマメゴム、ペクチン、低および高メトキシペクチン、オートおよび大麦グルカン、カラゲナン、オオバコ、ゼラチン、微晶質セルロース、CMC(ナトリウムカルボキシメチルセルロース)、メチルセルロースヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、DATEM(モノ−およびジグリセリドのジアセチル酒石酸エステル)、デキストラン、カラゲナン、FOS(フルクトオリゴ糖)、およびこれらの混合物である。可溶性食物繊維の多くの商品源が入手可能である。例えばアラビアゴム、加水分解されたカルボキシメチルセルロース、グアールガム、ペクチン、および低および高メトキシペクチンは、メリーランド州ベルキャンプのTICガムズ社(TIC Gums,Inc.,Belcamp)から入手しうる。オートおよび大麦グルカンは、ネブラスカ州オマハのマウンテン・レイク・スペシャルティー・イングリーディエンツ社(Mountain Lake Specialty Ingredients,Inc.,Omaha)から入手しうる。オオバコは、ニュージャージー州ノース・バーゲンのメア・コーポレーション(Meer Corporation,North Bergen)から入手することができ、一方、カラゲナンは、ペンシルベニア州フィラデルフィアのFMCコーポレーションから入手しうる。
組み込まれる繊維はまた、不溶性食物繊維であってもよく、この代表例には、オート外皮繊維、豆外皮繊維、大豆外皮繊維、大豆子葉繊維、砂糖大根繊維、セルロースおよびコーンブランが含まれる。不溶性食物繊維の多くの源もまた入手しうる。例えばコーンブランは、イリノイ州シカゴのクエーカー・オーツ(Quaker Oats)から入手することができ;オート外皮繊維は、ミネソタ州ケンブリッジのカナディアン・ハーベスト(Canadian Harvest)から;豆外皮繊維は、カナダ国ウイニペグのウッドストーン・フーズ(Woodstone Foods,Winnipeg)から;大豆外皮繊維およびオート外皮繊維は、メリーランド州ラベイルのザ・フィブラド・グループ(The Fibrad Group,LaVale)から;大豆子葉繊維は、ミズーリ州セントルイスのプロテイン・テクノロジーズ・インターナショナル(Protein Technologies International)から;砂糖大根繊維は、ミネソタ州ミネアポリスのデルタ・ファイバー・フーズ(Delta Fiber Food)から、およびセルロースは、ニュージャージー州サドルブルックのジェームズ・リバー社(James River Corp.,Saddle Brook)から入手しうる。
繊維の例および調合物へのこれらの組み込みのより詳細な考察は、Garlebらに発行された米国特許第5,085,883号において見ることができる。
この調合物中に使用される繊維の量は、様々であってもよい。使用される繊維の特別な型は、決定的ではない。栄養調合物のマトリックス中で安定な、ヒトの消費に適したあらゆる繊維を使用することができる。
繊維に加えて、これらの栄養物はまた、オリゴ糖、例えばフルクトオリゴ糖(FOS)またはグルコオリゴ糖(GOS)を含有してもよい。オリゴ糖は、大腸に生息する嫌気性微生物によって、迅速かつ広範囲に短鎖脂肪酸に発酵される。これらのオリゴ糖は、大部分のBifidobacterium種にとって好ましいエネルギー源であるが、潜在的な病原性生物、例えばClostridium perfingensC.difficile、または大腸菌によって利用されない。
液体栄養調合物はまた、その口当たりの良さを高めるためにフレーバーを含有してもよい。有用な香料添加剤には、チョコレート、バニラ、コーヒー、ピーチ、バターペカン、ブルーベリー、バナナ、チェリー、オレンジ、グレープ、フルーツポンチ、バブルガム、リンゴ、ラズベリー、およびイチゴが含まれるが、これらに限定されるわけではない。フレーバーを補い、しょっぱい味を隠すために人工甘味料が添加されてもよい。有用な人工甘味料には、サッカリン、ニュートラスイート、スクラロース、およびアセスルファン−K(アセ−K)などが含まれる。
液体栄養調合物は、当業者によく知られている技術を用いて製造することができる。様々な加工技術が存在する。典型的にはこれらの技術には、水、および次のもの:炭水化物、タンパク質、脂質、安定剤、ビタミン、およびミネラルのうちの1つまたはそれ以上を含有していてもよい、1つまたはそれ以上の溶液からのスラリーの形成が含まれる。このスラリーは、乳化され、均質化され、冷却される。様々なほかの溶液も、加工前、加工後、および両方の時点でスラリーに添加されてもよい。ついでこの加工された調合物は、滅菌され、すぐに与えることができるというベースで使用されるように希釈されるか、または濃縮液体形態で貯蔵されてもよい。その結果生じた調合物が、すぐに与えることができる液体または濃縮液体になるよう意図されている時、適量の水が、滅菌前に添加される。
本発明はまた、小児脂肪便症を患っている患者の腸粘膜炎症の減少方法であって、上記の水溶液および液体栄養物中に組み込まれたNAQを投与することによる方法を目的とする。実施例5において、本発明者らは、上皮アポトーシスを監視するためにマーカーのTUNELを使用し、上皮下炎症を監視するためにCD25を使用した。本発明者らは、これらのマーカーの両方またはそのうちの1つを誘発した化合物/生成物を発見し、これらの化合物/生成物が、小児脂肪便症患者の粘膜にとって毒性があると考えた。しかしながらN−アセチル−グルタミンは、未治療小児脂肪便症患者の生検に対して明らかな栄養効果を有した。この栄養効果(trophism)は、特に、ほかのサンプルと比較して有意に改良された上皮の粘膜の全身的改善によって規定された。N−アセチル−グルタミンの栄養活性のこの意外な側面は、負の対照(媒質単独)と比較した場合でさえ、粘膜の全体的な状態を改善するように見えた。
(実施例)
液体栄養調合物の調製方法
特許請求の範囲内に入る液体栄養調合物は、次の手順によって調製することができる。これらの実施例は、例証として提示されており、限定的であると解釈されるべきではない。ほかの炭水化物、脂質、タンパク質、安定剤、ビタミン、およびミネラルは、本発明の範囲から逸脱することなく、用いることができる。
N−アセチル−L−グルタミンを含有する液体栄養調合物の調製方法
表1に記載された物質を用いて、N−アセチル−L−グルタミンを含有する、すぐに与えることができる液体製品を製造した。この製品を生産するために用いられた手順について、下に概略を示す。
Figure 2006515832
手順:上記の液体栄養製品は、3つのスラリーを調製し、これらを互いにブレンドし、海産油/MCT構造脂質と組み合わせ、熱処理し、標準化し、包装し、滅菌することによって製造する。製造方法を、下に詳細に記載する。
炭水化物/ミネラルスラリーは、まず、適量の水を、攪拌しつつ約65℃から約71℃の温度まで加熱して調製する。ついでミネラルの必要量を、記載された順序で、高攪拌下に添加する。すなわち、ナトリウムシトレート、微量ミネラルプレミックス、カリウムシトレート、塩化マグネシウム、リン酸マグネシウム、リン酸トリカルシウム、およびヨウ化カリウムである。次に、必要量のマルトデキストリン(アイオワ州マスカティーンのグレイン・プロセシング・コーポレーション(Grain Processing Corporation,Muscatine)によって販売されているマルトリン(Maltrin(登録商標)M−100)を、高攪拌下、スラリーに添加し、温度を約71℃に維持しつつ溶解させておく。必要量のスクロースおよびフルクトオリゴ糖(コロラド州ゴールデンのゴールデン・テクノロジーズ社(Golden Technologies Company,Golden)によって販売されているニュートリフローラ(Nutriflora)−P(登録商標)フルクト−オリゴ糖粉末)を、ついで高攪拌下添加する。必要量のゲランガム(カリフォルニア州サンディエゴのメルク・アンド・カンパニー・インコーポレイティッド(Merck and Company Incorporated)のケルコ(Kelco)ディビジョンによって販売されているケルコゲル(Kelcogel)(登録商標))を、ついでスクロースと1:5(ゲランガム/スクロース比)においてドライブレンドし、高攪拌下スラリーに添加する。次に、温水中に溶解されているナトリウムセレナイトを、攪拌下、スラリーに添加する。完成された炭水化物/ミネラルスラリーを、その他のスラリーとブレンドされるまで、12時間を超えない時間、約65℃から約71℃の温度に高攪拌しつつ維持する。
オイルブレンドは、必要量の大豆油およびキャノーラ油を組み合わせ、攪拌しつつ約55℃から約65℃の温度に加熱することによって調製する。必要量の乳化剤、モノジグリセリドのジアセチル酒石酸エステル(カンザス州ニューセンチュリーのグラインドステッド・プロダクツ・インコーポレイティッド(Grindsted Products Incorporated)によって販売されているパノダン(Panodan)(登録商標))を、ついで攪拌下に添加し、溶解させておく。ビタミンD、E、Kプレミックス、55%ビタミンAパルミテート、D−アルファ−a−トコフェロールアセテート(R,R,R形態)、フィロキノン、および30%ベータカロテンを、ついで攪拌しつつ添加する。完成されたオイルブレンドを、その他のスラリーとブレンドされるまで、12時間を超えない時間の間、穏やかな攪拌下、約55℃から約65℃の温度に保持する。
水スラリー中のタンパク質を、まず適量の水を攪拌しつつ約60℃から約71℃の温度まで加熱して調製する。大豆タンパク質水解物(デンマーク国ビビイJのMDフーズ(MD Foods,VibyJ)によって販売されている)を、攪拌しつつ添加する。必要量のN−アセチル−L−グルタミン(味の素から入手した)を、攪拌しつつ添加する。水酸化カリウム溶液(45%)を添加して、pH約5.6に上げる。L−アルギニンを、攪拌しつつゆっくりと添加し、溶液を、透明になるまで攪拌する(pH>6.2)。必要量の一部加水分解されたナトリウムカゼイン塩(カリフォルニア州サンタローザのニュージーランド・ミルク・プロダクツ(New Zealand Milk Products Incorporated)によって販売されているアラネート(Alanate)(登録商標)167)を、ついでスラリー中にブレンドする。この完成された水中タンパク質スラリーを、その他のスラリーとブレンドされるまで、2時間を超えない時間の間、穏やかな攪拌下、約60℃から約71℃の温度に保持する。
水中タンパク質スラリーおよびオイルブレンドを、攪拌しつつ混合し、その結果生じた混合されたスラリーを、約55℃から約65℃の温度に維持する。少なくとも1分間待った後、炭水化物/ミネラルスラリーを、攪拌しつつ添加し、その結果生じたブレンドされたスラリーを、約55℃から約65℃の温度に維持する。ついで海産油/MCT構造脂質を、攪拌しつつブレンドされたスラリーに添加する。望ましくは、海産油/MCT構造脂質を、このブレンドが一定の速度で導管を通過するようにゆっくりと計量して生成物中に入れる。1分以上で、2時間以下の間待った後、このブレンドスラリーを、当業者に知られている技術を用いて、脱気、超高温処理、および均質化に付す。ついでこのブレンドを、約1℃から約7℃の温度まで冷却し、攪拌しつつ約1℃から約7℃の温度で貯蔵する。好ましくは上記工程が完了した後、品質管理に適した分析テストを実施する。品質管理テストの分析結果に基づいて、適量の水を、最終希釈のために攪拌しつつバッチに添加する(標準化)。
ビタミン溶液を、少量の水を攪拌しつつ約43℃から約66℃の温度まで加熱し、その後、攪拌しつつ次の成分:アスコルビン酸、45%水酸化カリウム、タウリン、水溶性ビタミンプレミックス、コリン塩化物、およびL−カルニチンを添加することによって調製する。ついでこのビタミンスラリーを、攪拌下、ブレンドされたスラリーに添加する。
フレーバー溶液は、天然および人工バニラフレーバーおよび人工カラメルフレーバーを、攪拌しつつ適量の水に添加して調製する。ついでこのフレーバースラリーを、攪拌下、ブレンドされたスラリーに添加する。
この生成物のpHは、最適な生成物安定性を達成するために調節されてもよい。ついでこの完成された生成物を、適切な容器(この場合、8オンス金属カン)に入れ、最終滅菌(この場合、レトルト滅菌)に付す。
水性N−アセチル−L−グルタミン安定性調査
様々なpH値において、および液体栄養物型製品に見られるマトリックスと同様なマトリックス中で、加熱時の水性N−アセチル−L−グルタミンの安定性を評価するために調査を実施した。
水性N−アセチル−L−グルタミンおよびグルタミン熱安定性
加熱時の水性N−アセチル−L−グルタミンの安定性をテストするために、次の手順に従った。約1mg/mL(それぞれ5.3mMおよび6.8mM)の、N−アセチル−L−グルタミン(シグマより入手。カタログ番号A−9125)およびグルタミン(オルドリッチから入手。カタログ番号G−320−2)の水溶液を、pH調節を行なわずに調製した。その結果生じたN−アセチル−L−グルタミン溶液のpHは、2.9であり、グルタミン溶液のpHは、6.0であった。これらの溶液を、密封4mL容器を有するリアクティ−サーム(Reacti−Therm)(商標)攪拌熱ブロックを用いて、100℃で加熱した。これは、各時点、すなわち15分、30分、1時間、および2時間について1つずつである。これらのサンプルを、熱ブロックから取り出し、直ちに冷却するまで氷中に入れた。各サンプルのアリコートを、HPLCによる評価のために、0.45マイクロメートルフィルター(ミリポア・ミレックス(Millipore Millex)(登録商標)−HV、25mm)を通して濾過した。
HPLC分析は、イナートシル(Inertsil)(登録商標)C8、5マイクロメートル、4.6×250mmカラム(ペンシルベニア州ベルフォントのキーストーン・サイエンティフィック社(Keystone Scientific,Inc.,Bellefonte)から入手した)を用いて実施した。移動相を、HClでpH2.2に調節した(1mL/分で無勾配)。注入容積は、10マイクロリットルであった。紫外線検出は、214nmにおいてであった。
結果を表2に示す。グルタミンは、100℃で2時間のインキュベーションの間安定でなかった。pH6.0グルタミン溶液を1時間煮沸した後の主要分解生成物は、ピログルタミン酸であった。このグルタミン溶液を2時間煮沸した後、ピログルタミン酸が依然として主要な分解生成物であったが、グルタミン酸も検出された。
N−アセチル−L−グルタミンは、グルタミンよりもはるかに安定であった。主要分解生成物は暫定的に、N−アセチル−L−グルタミンとしての保持時間によって特定した。この特定は、質量分析法(MS)および核磁気共鳴分光法(NMR)によって確認した。MSおよびNMRによって特定された第二の最大ピークは、2,6−ジオキソピペリジニルアセトアミドであった。N−アセチル−L−グルタミン溶液において、ピログルタミン酸は、2時間サンプルにおいてのみ検出され、しかも0.2面積(area)パーセントの非常に低いレベルにすぎなかった。
Figure 2006515832
様々なpH値における水性N−アセチル−L−グルタミンおよびグルタミン安定性
様々なpH値において、水溶液中のN−アセチル−L−グルタミンの安定性をテストするために、次の手順に従った。N−アセチル−L−グルタミンの水溶液を、pH2.0から8.0の1pH単位インクリメントにおいて調製した。これらの溶液のpHは、最終希釈の直前、必要に応じて、塩酸または水酸化ナトリウムのどちらかによって調節した(最終濃度=1mg/mLまたは5.3mM N−アセチル−L−グルタミン)。グルタミンの単一溶液は、pH調節せず(測定されたpH=6.0)、1mg/mLまたは6.8mMグルタミンで調製した。すべての溶液は、オートサンプラーガラスビン中に滅菌濾過し(ミリポアミレックス(登録商標)−GS、25mm、0.22マイクロメートル細孔サイズ、滅菌)、周囲温度(17から25℃)で保存のために蓋をした。N−アセチル−L−グルタミンサンプルを、1から180日の様々な時点においてHPLCによって評価した。グルタミンサンプルは、1から45日の類似した時点においてHPLCによって評価した。
N−アセチル−L−グルタミンの安定性は、pH依存性であることが発見された。結果を図1および2に報告する。すべてのpH値において、N−アセチル−L−グルタミンは、7日間を通して分解を示さなかった。pH5.0から8.0において、N−アセチル−L−グルタミンは、6ヶ月以上安定であった。N−アセチル−L−グルタミンの99.6%超が残留した。唯一の一貫して検出された分解生成物は、6ヶ月を通じて0.5%未満でのN−アセチル−グルタミン酸であった。pH4.0において、6ヶ月までに、N−アセチル−グルタミン酸および2,6−ジオキソピペリジニルアセトアミドの各々が検出され、97.9%のN−アセチル−L−グルタミンが残留した。pH3.0において、N−アセチル−L−グルタミンは、90日間を通じて>95%で残留し、4ヶ月の時点で94.2%に低下し、6ヶ月の時点で90.4%に低下した。N−アセチル−グルタミン酸および2,6−ジオキソピペリジニルアセトアミドは、15日の時点で約0.15%で出発し、30日の時点で約1%まで、6ヶ月の時点で約5%まで増加し、pH3.0サンプル中で、ほぼ等しいレベルで検出された。6ヶ月の時点で、ピログルタミン酸が、0.5%で検出された。pH2.0において、N−アセチル−L−グルタミンは、15日の時点で97.0%であったが、6ヶ月の時点でわずか55.7%まで減少した。N−アセチル−グルタミン酸は、pH2.0サンプル中の主要な分解生成物であり、15日サンプル中で2.5%、6ヶ月サンプル中で37.2%であった。2,6−ジオキソピペリジニルアセトアミドは、15日時点での0.5%から、6ヶ月時点での4.9%まで増加した。pH2.0のN−アセチル−L−グルタミンサンプルは、ピログルタミン酸について増加値を示す唯一のサンプルであった。すなわち、30日時点での0.2%から6ヶ月時点での2.2%である。
グルタミン溶液(pH6.0)中で、ピログルタミン酸が、サンプル中に、3日後、室温で0.2%で見られた。45日後、これは3.3%で見られ、グルタミンは、96.7%であった。HPLC分析からの結果を、表3において高さパーセントとして報告する。
Figure 2006515832
液体栄養物型製品中のN−アセチル−L−グルタミンおよびグルタミン安定性
液体栄養物型製品中に見られたマトリックスと同様なマトリックス中のN−アセチル−L−グルタミンの安定性をテストするために、次の手順に従った。3つの調査物質を調合した。1つがN−アセチル−L−グルタミン(N−アセチル−L−グルタミンは味の素から入手した)を含有するもの、1つがグルタミン(味の素から入手した)を含有するもの(それぞれ16.5mg/mLおよび12.8mg/mLの理論的濃度において、および重量ベースでタンパク質の部分を置き換える)、および対照(オプティメンタル(Optimental)(登録商標)、ロス・プロダクツ・ディビジョン、アボット・ラボラトリーズ(Ross Products Division,Abbot Laboratories))である。N−アセチル−L−グルタミンを含有する物質は、実施例1において上に示されている手順に従って製造した。グルタミンを含有する物質は、N−アセチル−L−グルタミンの代わりにグルタミン(7.79kg)を用いたこと以外、同様な方法で製造した。これらの物質は、レトルト滅菌プロセスの前後に、分解について評価した。この滅菌プロセスは、液体栄養物加工に典型的なものである(ここでは128℃、5分)。これらの物質を室温(20から22℃)で貯蔵し、1、2、および3ヶ月の時点で分解の証拠について評価した。グルタミン、N−アセチル−L−グルタミン、およびピログルタミン酸(存在するとすれば)を、各プロセスおよび各時点において定量化した。
グルタミン、N−アセチル−L−グルタミン、およびピログルタミン酸についてHPLCによって分析するために、サンプルを次のように濾過した。5.0mLアリコートを、50mL容積フラスコに移し替えた。1M塩酸20滴を添加し、サンプルを、脱イオン水で容積まで(to volume)希釈した。アリコートを、0.45ミクロンフィルター(ミリポア、ミレックス(登録商標)−HV、25mm)を通して濾過した。これらのサンプルを、上記のように(熱安定性セクション)HPLCによって分析した。
遊離ピログルタミン酸およびN−末端ピログルタミン酸の両方を含む、タンパク質調合物中に存在するピログルタミン酸の総量は、次の方法によって決定することができる。最初、サンプルを、約18g総タンパク質/Lの濃度まで水溶液として調製した。この調製されたサンプル物質の20マイクロリットルアリコートを、1.5mLネジ蓋ガラスビンに入れ、新たに調製された酵素溶液980マイクロリットル(0.05Mトリス、0.005ジチオトレイトール、0.001Mジナトリウムエチレンジアミンテトラ酢酸(EDTA)、pH8.0、11単位のピログルタメートアミノペプチダーゼ/mLを含有する)を添加した。ガラスビンの蓋をきつく閉め、室温(21から24℃)で24時間インキュベーションした。ついでこの溶液を、下に詳細に記載されているように、C−18SPEカートリッジを通して加工した。遊離ピログルタミン酸測定のために、最初のサンプル溶液を、脱イオン水中2から3g/Lの総タンパク質含量まで希釈し、C−18SPEカートリッジを通して加工した。
C−18SPE(固相抽出)カートリッジ(100mg/1mLサイズ)は、ミシガン州マスケゴンのバーディック・アンド・ジャクソン(Burdick & Jackson,Muskegon)から入手した。SPEカートリッジは、2×5容積のメタノールとともに用いるために準備し、ついで脱イオン水2×5容積で濯ぎ洗いをした。ついで1mLサンプルをゆっくりと加え、1グラムネジ蓋ガラスビン中に、流動(flow−through)物質を収集した。溶離は、2×500マイクロリットルの脱イオン水を加え、同じガラスビン中に通過(pass through)容積を収集して完了した。溶離液を混合し、ついでアリコートを、HPLC分析前に、0.45マイクロメートルフィルターを通して濾過した(25mm、0.45マイクロメートルフィルターを、ミシガン州アン・アーバーのゲルマン(Gelman,Ann Arbor,MI)から入手した)。用いられたHPLC系は、次のパラメーターを有した:ポンプモデルG1312A、オートサンプラーモデルG1313A、サーモスタットカラム区画モデルG1316A、ダイオードアレー検出器モデルG1315A、およびピークインテグレーター/データプロセッサーモデルG2170AAである。これらすべてを、カリフォルニア州パロアルトのアジレント・テクノロジーズ(Agilent Technologies,Palo Alto)から入手した。カラム:6.5×150mmイオン(ION)−310、カリフォルニア州サンジョゼのインタラクション・クロマトグラフィー(Interaction Chromatography,San Jose)からの8マイクロメートルのもの。この系を、使用前、40℃で0.3mL/分で移動相(5mN HSO)中に予め平衡にした。
分析のために、サンプルまたは標準の10マイクロリットルアリコートを注入し、カラムを、0.3mL/分で、40℃において移動相で溶離した。溶離物質を、210nmおよび220nmでUV吸収によって検出した。運転時間は45分であった。
未知のサンプル濃度は、標準との比較によって決定した。ピログルタミン酸の3つの水溶液は通常、標準として十分である。すなわち、10、20、および40mg/Lである(ウイスコンシン州ミルウォーキーのフルカ(Fluka)から入手したピログルタミン酸)。
液体栄養物型製品中のN−アセチル−L−グルタミンは、滅菌中または3ヶ月の室温貯蔵後、分解を示さなかった。結果を表4に報告する。N−アセチル−L−グルタミンに対応する小さいピークが、すべての時点で検出されたが、ほぼ同じレベルに留まり、これは、N−アセチル−グルタミン酸への測定可能な分解を示していない。
グルタミンが補足された製品において、グルタミンは、滅菌プロセスによって、もとの濃度の約1/3まで減少され、2ヶ月までにはグルタミンは検出されなかった。この製品において、ピログルタミン酸は、グルタミンの完全な変換と矛盾しない濃度において検出された。
Figure 2006515832
グルタミンおよびN−アセチル−L−グルタミンバイオアベイラビリティー
ブタモデルにおいて、グルタミンと比較した、バイオアベイラブルなN−アセチル−L−グルタミンの割合を決定するために調査を実施した。腸係蹄(intestinal loop)モデルは、N−アセチル−L−グルタミンおよびグルタミンの吸収および代謝を評価するために、分離された腸の切片を用いる。栄養供給モデルは、典型的な食餌として給餌された時、N−アセチル−L−グルタミンおよびグルタミンの吸収を評価した。
腸係蹄モデル
体重15から20kgの22匹の家畜用のブタを、4日間にわたって実験室条件に順化させた。ブタに、これらの動物のエネルギーの必要条件(「ブタの栄養的必要条件(Nutrient Requirement of Swine)」、第9版、1998年、ブタの栄養に関する小委員会(Subcommittee on Swine Nutrition)、National Research Council)に従う標準的なブタ用の餌、および無制限な水を供給した。動物を、次のグループに無作為に割当てた。すなわち、グループC[グルコサリン溶液(glucosaline solution)(ブラウン(Braun)カタログ番号622647)、5%グルコース、0.9%NaClを受ける6匹のブタ]、グループG[8g/LのGlnで強化された同じグルコサリン溶液(シグマカタログ番号G−3126)を受ける8匹のブタ]、およびグループN[10g/LのNAQ(シグマカタログ番号A−9125)で強化された同じグルコサリン溶液を受ける8匹のブタ]である。外科手術前、動物を15時間断食させた。実験当日、動物の体重を測り、ストレスニル(Stresnil)(登録商標)およびペントタールを用いて麻酔した。麻酔されたブタは、腹部正中矢状切開(abdominal medium sagital incision)によって切開した。トライツ靭帯から約1メートルのほぼ1メートルの近位空腸に、両端を締め付け、近位フィステル(fistual)を挿入した後、50から75mL/分において調査溶液125mLを充填した。腸注入溶液サンプルを、0、15、30、60、90、120、150、および180分の時点で、注入された腸の穿刺によって取り出した。サンプルを液体窒素中に冷凍し、分析まで−80℃に維持した。門静脈血サンプルを、抗凝血剤を有する管において、0、15、30、60、90、120、150、および180分の時点で、門静脈穿刺によって取り出した。サンプルを、血漿および赤血球分離のために、1,500×gで15分間遠心分離するまで4℃に維持した。血漿を、分析するまで−20℃で冷凍した。頚静脈血サンプルを、抗凝血剤を有する管において、0、60、120、および180分の時点で穿刺によって取り出し、血漿を得、門静脈の場合のように貯蔵した。3時間後、ブタを犠牲にし、粘膜サンプルを、注入した腸のセグメント25cmから得た。このセグメントを、氷冷生理食塩水で完全に濯ぎ洗いし、縦に切開し、乾燥ブロッティングした。ガラスカバースリップを用いて内腔(luminal)表面全体をこすって粘膜を除去し、ついで液体窒素中に冷凍し、−80℃で貯蔵した。
N−アセチル−L−グルタミンの分析は、次のように実施した。腸注入溶液サンプルおよび血漿サンプルについては、アリコートを、水中0.05%パークロロ酢酸(PCA)溶液で1:10(w/v)希釈した。粘膜サンプルについては、湿潤粘膜サンプル0.2mgを、水中0.05%PCA溶液5mLでホモジナイズした。遠心分離(15,000×g、3分、周囲温度)後、サンプルを、0.45マイクロメートルフィルターを通して濾過し、2690分離モジュール、PDA検出器、およびリクロカート(LichroCart)250−4カートリッジ(ピュロスファー(Purospher)RP18e、250×4mm、5マイクロメートル)からなるHPLCクロマトグラフ系中に注入した。移動相は、流量1mL/分でpH2.7のリン酸緩衝液0.1Mからなっていた。N−アセチル−L−グルタミンの検出および定量化は、210nmで監視した。
グルタミンおよびグルタメートについての分析は、次のように実施した。腸注入溶液サンプルおよび血漿サンプルは、N−アセチル−L−グルタミンの分析についてのように(上記)調製したが、ただしサンプルを、水中0.05%PCA溶液で1:400(w/v)希釈した。サンプルを0.45マイクロメートルフィルターを通して濾過した後、この混合物20マイクロリットルを、AccQ−Tag方法(ウォーターズ社)に従って誘導体化し、水で1mLまで希釈した。簡単に言えば、サンプルを、ボレート溶液で緩衝化し、反応性物質20マイクロリットルで誘導体化した。1分後、サンプルを1mLに希釈し、HPLC系中に注入した。これは、2690分離モジュール、蛍光検出器、およびスペルコシル(SupelcoSil)LC−18カラム(250×4mm、3マイクロメートル)からなる。移動相は、1mL/分の流量において、0.25%トリエチルアミンおよび9%アセトニトリルを有する、pH7.5のリン酸緩衝液0.1Mからなっていた。グルタメートおよびグルタミンの検出および定量化は、250nmの励起波長を用い、395nmにおける発光(emission)を監視して達成された。
グルコースを、十分に確立された結合酵素アッセイを用いて分析した。簡単に言えば、サンプルグルコースは、ヘキソキナーゼおよびATP(アデノシントリホスフェート)を用いてホスホリル化し、その結果生じたグルコース−6−ホスフェートを、グルコース−6−ホスフェートデヒドロゲナーゼを用いて、6−ホスホグルコネートに転換する。後の反応の間、NAD(ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド)は、NADH(NADの還元型)に転換され、その結果、340nmにおける吸光度の増加を生じる。これは、もとのサンプル中のグルコース濃度に比例する。このアッセイは、ミズーリ州セントルイスのシグマ・ケミカル・カンパニーからの臨床化学キットとして購入することができる(現在のカタログ番号16−20)。
結果
注入された溶液の導入後の時間に対する腸内腔中に残留するグルタミンまたはN−アセチル−L−グルタミン
等量のグルタミンまたはN−アセチル−L−グルタミンを含有する溶液が注入されたブタの腸内容物中のグルタミンまたはN−アセチル−L−グルタミンの残留パーセンテージは、最初の90分間同様であった。120分および180分の時点で、グループ間に統計的有意差があった。t1/2(約45分)では、グルタミンまたはN−アセチル−L−グルタミン間に有意差はなかった。図3は、検体の導入後、時間に対する腸内腔中に残留する検体(グルタミンまたはN−アセチル−L−グルタミン)の量をグラフによって示している。残留検体は、ゼロ時点で存在する検体のパーセンテージとして表示される。
注入された溶液の導入後の時間に対する腸内腔中に残留するグルコース
どの時点でも、CグループとGグループとの間に有意差はなかった。15分の時点以外、CとNとの間に有意差はなかった。GおよびNグループは、120分の時点からは異なる傾向があった。ただし、ボンフェローニの補正によりペナルティーを科すと、唯一の有意差は180分の時点であった。図4は、これらの溶液の導入後の時間に対する腸内腔中に残留するグルコースの量をグラフによって示している。残留グルコースは、ゼロ時点で存在する量のパーセンテージとして表示される。
腸係蹄中へのテスト溶液の導入後の門脈血(portal bolld)中のグルタミン
結果が、当初濃度のパーセンテージとして表示された時、対照(C)とグルタミン(G)との間、およびCとN−アセチル−L−グルタミン(N)グループとの間に有意差があった(90分および150分の時点で、C対G;および90、120、150、および180分の時点で、C対N)。GとNとの間には有意差はなかった。結果が絶対値として表示された時、CとNとの間の120分の時点以外、グループ間に有意差はなかった。まとめると、GおよびNは、120分から実験の最後まで、Cとは異なる傾向があった。図5は、腸係蹄中へのテスト溶液の導入後、時間に対する門脈血中のグルタミンの量(mcg/mL)をグラフによって示す。
門脈血中のグルコースについてのグループ間、および末梢血中のグルタミンまたはグルコースについてのグループ間に有意差はなかった。実験中のどの時点でも、門脈血または末梢血中のどちらかにおいて検出された、自然のままのN−アセチル−L−グルタミンの無視しうる(ppm)レベルしかなかった。
空腸粘膜におけるグルタミン酸(GLU)およびグルタミン(GLN)
グループGよりもグループNおよびCにおいて、より高いグルタメート濃度があり、NおよびGグループのどちらも、粘膜中により高いグルタミンを示したが、グループGは、グループNよりも実質的に高かった。しかしながらグルタミン+グルタメート濃度の合計は、グループGおよびNにおいて同様であった。このことは、粘膜代謝系へのグルタミン炭素骨格の送達が、これら2つの食餌を用いた場合匹敵しうることを示唆している。自然のままのN−アセチル−L−グルタミンは、粘膜サンプル中では検出することができなかった。図6は、実験の完了直後における空腸粘膜におけるグルタミンおよびグルタメートの量(およびこれらの合計)をグラフによって示している(mcg/グラム湿潤粘膜で表示される)。
要するに、N−アセチル−L−グルタミンは、グルコースへの同様なバイオアベイラビリティーを示すが、グルタミンよりごくわずかに低い。N−アセチル−L−グルタミンは、吸収後の利用において、グルタミンと非常に類似しているように見える。吸収された後、N−アセチル−L−グルタミンは、エンテロサイト(enterocyte)アシラーゼによって迅速に加水分解され、正常なグルタミン代謝に入り、同等のグルタミン食によって得られるものと同程度に高い、粘膜中のグルタミン+グルタメート濃度が達成される。過剰なグルタミンは、門脈静脈へ排出される。ここでは、グルタミン濃度は、食餌グルタミンの同等の用量後に見られるものと同様である。門静脈血漿中のN−アセチル−L−グルタミンの濃度は、わずか数ppmにすぎず、このことは、血流への最小限の自然のままの吸収を示唆している。N−アセチル−L−グルタミンの高い吸収率、ならびにグルタミンへの同様な代謝は、両方の栄養素が、生物の異化段階下に同じ生物挙動を有しうることを示唆した。
ブタモデルへの給餌
体重15から20kgの15匹のブタが、認可を受けた飼育場から供給された。これらのブタを、2日間実験室に順化させた。標準的ブタ食および水を、無制限に与えた。順化後、これらのブタを、次のグループに無作為に割当てた。すなわち、グループC[標準的なブタ食+3g/kgのCr(メルクカタログ番号1.02483)を受ける5匹のブタ]、グループG[食餌C+8g/kgのGln(味の素)を受ける5匹のブタ]、およびグループN[食餌C+10.5g/kgのN−アセチル−L−グルタミン(フランマ)を受ける5匹のブタ]である。この調査の実験段階の間、各グループは、3つのポーションに分けて給餌され、1日につき1匹あたりこれらのそれぞれの餌1,000グラムを受け、水は無制限に与えられた。この給餌実験段階は、5日間続いた。
実験当日、動物の体重を測り、動物は、午前7時に標準的な食餌摂取(1匹あたり333g食)を受けた。給餌の3時間後、動物の体重を測り、沈静させ、頚静脈穿刺によって出血させた。動物を、腹部正中矢状切開によって迅速に切開し、十二指腸、中間空腸(トライツ靭帯から約2メートル)、および回腸(回盲弁から30cm)の内容物を取り出し、液体窒素中に冷凍し、凍結乾燥し、分析まで−80℃で貯蔵した。肝臓および腎臓のサンプルを除去し、可視脂肪および結合組織を解剖し、迅速に液体窒素中に冷凍し、分析まで−80℃で貯蔵した。腸粘膜のサンプルを、単離した腸係蹄の実験について記載されているように入手し、分析前に上記のように貯蔵した。
腸内容物を、グルタミン、N−アセチル−L−グルタミン、および酸化クロム(III)について分析した。N−アセチル−L−グルタミンの分析のために、腸内容物の凍結乾燥サンプルを、水中に0.05%PCAを用いて1:20(w/v)溶解し、ついで上記腸係蹄モデルにおいて記載されているようにHPLC分析を行なった。
グルタミンの分析のために、凍結乾燥された腸内容物を処理し、上記腸係蹄モデルにおいて記載されているように分析した。
もとの食餌1kgあたりの含量を反映するための補正因子を与えるように、クロムを、これらの食餌中に組み込んだ。酸化クロム(III)の分析のために、次の手順を利用した。代表的な凍結乾燥腸内容物サンプルの重量を測って、ニッケルるつぼに入れ、マッフル炉に入れた。温度を500℃に上げ、さらに2時間維持した。冷却後、溶融混合物(NaCOCO KNO、10:10:4w/w/w)を、サンプル灰の重量の約10倍添加し、完全に混合した。余分な量の溶融混合物を添加し、上に薄層を形成し、透明な溶融物が得られるまで、ガスバーナーを用いて直火上で30分間溶融した。このるつぼをバーナーから除去し、冷ましておき、この溶融物を、約20mLの水で壁を洗浄することによって完全に抽出し、ついでホットプレート上で約30分間静かに加熱した。外皮(crust)が十分に緩んだ時、るつぼを水で4回濯ぎ洗いし、すべての洗浄物を、100mL容積フラスコ水に添加し、容積まで希釈した。ブランクとしての脱塩水に対する372nmにおける吸光度を決定した。吸光度の読み取り値は、標準的クロム溶液(2.9034gのKCr/L、これは1.5g/LのCrに等しい)の0、50、100、200、および500マイクロリットルを分析することによって作成された標準曲線の等式を用いることによって、Crのmgに転換された。
アシラーゼの分析を、次の手順に従って実施した。湿潤粘膜、肝臓、または腎臓200mgを、ホモジナイズして5mLの冷水中に入れ、5℃で5分間400×gで遠心分離した。N−アセチル−L−グルタミン溶液(5g/L、シグマカタログ番号A−9125)100マイクロリットルを、粘膜ホモジェネート100マイクロリットルと混合し、37℃で1時間インキュベーションした。粘膜100マイクロリットルおよび水100マイクロリットルを用いて、ブランクを行なった。0.5IUアシラーゼ/mLから100IUアシラーゼ/mLを用い、上記のようなN−アセチル−L−グルタミンとともにインキュベーションを行なって、酵素校正曲線を構成した(アシラーゼI、E.C.3.5.1.14、シグマカタログ番号8376)。遊離グルタミン(酵素活性によって放出された)は、上記腸係蹄モデルにおいて記載されているように測定した。各サンプルについて、アシラーゼ活性は、酵素についての標準応答曲線と比較して決定し、この値は、適切な希釈因子によって補正した。
結果
吸収データを下記の表5に示す。十二指腸からのサンプルは、定量化を可能にするには不十分なレベルの酸化クロム(II)を含有していた。分析結果は、もとの食餌1kgあたりの含量を反映するように補正することはできなかった。中間空腸は、本質的に同一レベルのグルタミン(食餌Gの場合)およびN−アセチル−L−グルタミン(食餌Nの場合)を含有しており、これは、十二指腸および近位空腸における同様な吸着を示唆している。しかしながらこれらの食餌はまた、自然のままのタンパク質も含有し、このタンパク質の消化はまた、対照食の分析結果によって示されているように、有意な遊離グルタミンを産生することができた。このことは、もとの食餌の遊離グルタミン含量が、中間空腸の前にほぼ完全に吸収されることを示唆する。遠位回腸の内容物の分析は、遊離グルタミンの吸収が、中間空腸と遠位回腸との間で続行しうるが、N−アセチル−グルタミンの吸収が観察されないことを示唆している。しかしながら全体的な吸収データは、このモデルにおいて高レベルで投与されたN−アセチル−L−グルタミンの約77%の吸収を示している。
Figure 2006515832
腸粘膜、肝臓、および腎臓におけるアシラーゼの活性 − 対照ブタにおけるいくつかの興味のある組織(栄養的重要性の可能性から考えて)中のアシラーゼ活性を測定した。アシラーゼ活性は、空腸粘膜、肝臓、および腎臓を包含する、テストされたすべての組織中に見られた。決定されたレベルは、空腸粘膜において948±300IU/g湿潤組織(17.3±7.0IU/mgタンパク質)、肝臓において12,770±,1100IU/g湿潤組織(159±30IU/mgタンパク質)、および腎臓において19,630±3020IU/g湿潤組織(302±47IU/mgタンパク質)であった。
要するに、N−アセチル−L−グルタミンは、主として十二指腸および上部空腸において吸収された。この場合、用量の少なくとも77%が吸着された。N−アセチル−L−グルタミンとグルタミンとの間に2つの主な差があった。すなわち、初期のN−アセチル−L−グルタミン取り込み飽和、およびより低い回腸吸収である。
栄養不良によって引起こされた腸損傷に対するN−アセチル−L−グルタミンの効果
ブタにおいてタンパク質エネルギー栄養不良によって引起こされた腸損傷に対する、N−アセチル−L−グルタミン対遊離グルタミンの潜在的効果を評価するために、調査を実施した。この調査において、生後5週間の家畜用のブタが、認可を受けた飼育場によって供給された。これらのブタを、2つのグループの1つに無作為に割当てた。1つのグループにおいて3匹のブタに、30日間エンシュアプラス(ENSUREPLUS)(登録商標)(ロス・プロダクツ・ディビジョン、アボット・ラボラトリーズ)を制限なく給餌した。第二グループにおいて、9匹のブタにも同様にエンシュアプラス(登録商標)を給餌したが、第一グループの一日の摂取の20%にすぎなかった。この第二グループは、各々6匹のブタを有する3つのサブグループに分けられ、カルシウムカゼイン塩、グルタミン、またはN−アセチル−L−グルタミンの毎日のサプリメントを受けた。対照グループに供給された一日の平均エネルギーおよびタンパク質は、調査の開始時の3,300kcal、138gタンパク質から、調査の終了時の4,500kcal、187gタンパク質に及んだ。第二グループにおいて、カゼイン塩、グルタミン、およびN−アセチル−L−グルタミンのサプリメントは、一日あたり追加の1.32グラム窒素当量を与えた(基本的には、6.89グラムのL−グルタミン、または8.87グラムのN−アセチル−L−グルタミン、または8.42グラムのカゼイン塩タンパク質が、一日あたり補足される)。30日後、すべてのブタを16時間絶食させた。ついでこれらの動物の体重を測り、沈静化し、麻酔し、頚部穿刺による末梢出血(terminal bleeding)によって犠牲にした。
小腸全体を迅速に除去した。トライツ靭帯からの小腸の60cmセグメントは、近位空腸と考えられた。トライツ靭帯からの5cm長さのセグメントを、空腸の組織分析のために選択した。回盲弁に最も近い60cmの長さが、遠位回腸と考えられた。回盲弁から5cmのセグメントを、回腸の組織分析のために選択した。腸セグメントは、氷冷生理食塩水で完全に濯ぎ洗いし、縦に切開し、乾燥ブロッティングした。粘膜は、ガラススライドを用いてこそげ落とし、冷たいペトリ皿に載せ、重さを測り、直ちに液体窒素下に冷凍し、生化学分析まで−80℃で貯蔵した。
空腸および回腸粘膜を、タンパク質およびDNAアッセイのために、機械的ポッターホモジナイザーを用いて、10mMリン酸緩衝液(pH7.4)中で均質化した。傷害の酵素マーカー、すなわち機能性および抗酸化防御系の決定のために、粘膜ホモジネートを、3,000gで10分間遠心分離し、その結果生じた上澄み液を、酵素アッセイのために用いた。総グルタチオンの決定のため、粘膜を5%トリクロロ酢酸中にホモジナイズし、8,000gで5分間遠心分離した。
生化学分析および免疫分析を、標本に対して実施した。腸粘膜タンパク質およびDNAの濃度は、それぞれブラッドフォード(Bradford)法(分析生化学(Analytical Biochemistry)、第72巻、248−254ページ、1976年)およびLabarcaおよびPaigen(分析生化学、第102(2)巻、344−352ページ、1980年)を用いて決定した。栄養不良によって引起こされた腸損傷の程度は、Goldsteinの方法(R.Goldstein、T.Klein、S.Freier、およびJ.Menczel、「臨床栄養のアメリカン・ジャーナル(American Journal of Clinical Nutrition)」、24:1224−1231、1970年)を用いて、アルカリホスファターゼ活性を測定することによって評価した。
酸化的損傷に対する防御系は、グルタチオンレダクターゼ(GR)、グルタチオントランスフェラーゼ(GT)、およびグルタチオンペルオキシダーゼ(GPOX)の活性を測定することによって、ならびに非タンパク質スルフヒドリル基(大部分還元されたグルタチオン(GSH))の濃度によって評価した。グルタチオンレダクターゼ活性は、CarlbergおよびMannervikの方法(I.CarlbergおよびB.Mannervik、酵素学における方法(Methods in Enzymology)、第113巻、pp484−490、1985年)によって評価した。グルタチオントランスフェラーゼ活性は、Habigらの方法(W.H.Habig、M.J.Pabst、およびW.B.Jakoby、生物化学のジャーナル(Journal of Biological Chemistry)、294:7130−7139、1984年)を用いて測定した。グルタチオンペルオキシダーゼ活性は、FloheおよびGunzlerの方法(L.FloheおよびW.A.Gunzler、酵素学における方法、第105巻、pp114−121、1984年)によってアッセイし、非タンパク質スルフヒドリル含量(減少したグルタチオン当量として報告された)は、Andersonの方法(M.E.Anderson、酵素学における方法、133:548−554、1985年)によって決定した。
腸リンパ球を、下に詳細に記載されているように修正されたGautreauxらの手順(M.D.Gautreaux、E.A.Deitch、およびR.D.Berg、感染および免疫(Infection and Immunity)、62(7):2874−2884、1994年)に従って単離した。それぞれ空腸および回腸からの2つの小腸セグメントを単離し、内腔内容物を、リン酸緩衝生理食塩水(PBS、米国ミズーリ州セントルイス、シグマ)を用いて流した。可視パイエル斑を切除し、腸を縦方向に切開し、小片にカットした。小腸上皮を単離するために、これらの小片を、振とう水浴(1分あたり120ストローク)中で、5mMのジチオトレイトール(DTT;米国インディアナ州インディアナポリスのロッシュ・モレキュラー・バイオケミカルズ(Roche Molecular Biochemicals))、2mM EDTA(米国ミズーリ州セントルイスのシグマ)、および25mMトリス緩衝液(米国ミズーリ州セントルイスのシグマ)を有する、25mlのハンクス平衡塩類溶液(HBSS;米国ミズーリ州セントルイスのシグマ)中で37℃で30分間インキュベーションした。上澄み液をデカントし、新鮮なHBSS−DTT−EDTA−トリスを添加し、インキュベーション手順を繰り返した。2つのインキュベーションからの上皮細胞を含有する上澄み液をプールし、これらの細胞を、5%(v/v)熱不活性化ウシ胎児血清(米国ミズーリ州セントルイスのシグマ)、20mM HEPES(米国ミズーリ州セントルイスのシグマ)、2mM L−グルタミン、500Uペニシリン、および100μg/mlストレプトマイシン(米国ミズーリ州セントルイスのシグマ)を含有するrpmi1640培養培地(完全培地)での遠心分離によって洗浄した。1分あたり120ストロークでの37℃振とう水浴中で、120分間、コラゲナーゼ0.05U/ml、ディスパーゼ(dispase)0.30U/ml(米国ミズーリ州セントルイスのシグマ)、およびDNアーゼI500U/ml(米国インディアナ州インディアナポリスのロッシュ・モレキュラー・バイオケミカルズ)を有する40mlの完全培地中に腸残骸を入れて、固有層リンパ球(LPL)を、残留沈殿物から放出した。切除されたパイエル斑を完全培地中に入れ、一組の外科用メスで解剖した。ついで、洗浄されたパイエル斑を、パイエル斑リンパ球(PPL)を放出するためにLPL単離について上記されているように、コラゲナーゼ処理した(インキュベーション時間を60分に減少した)。
上皮、固有層、およびパイエル斑から単離された細胞型の各々を、不連続パーコル(Percoll)(商標)(米国ミズーリ州セントルイスのシグマ)密度勾配遠心分離に付し、リンパ球について濃縮した。商用パーコル(商標)溶液を、9%NaClで9:10希釈すると、等張パーコル(商標)溶液を生じ、これを完全培地で希釈し、パーコル(商標)濃度が異なる3つの溶液(75%、40%、および30%)を得た。これらを降順に用いた。これらの細胞を、4mlの完全培地中に再縣濁し、30%フラクション上に置いた。650gで20分間の遠心分離後、75%層と40%層との間の界面を除去し、これらの細胞を、完全培地25ml中で遠心分離によって洗浄した。ついでこれらの細胞を、4mlの40%パーコル(商標)中に再縣濁し、650gで遠心分離した。リンパ球(IEL、LPL、およびPPL)について濃縮された細胞ペレットを収集し、PBSでの遠心分離によって洗浄した。
単離されたリンパ球を、モノクローナル抗体で染色し、次のようにフローサイトメトリーによって定量化した。各リンパ球調製物(2×10細胞/ml)100μlを、異なる濃度のモノクローナル抗体(抗CD1FITC、抗CD3εFITC、抗CD4aPE、抗CD8aPE、抗CD11b/Mac−1APC、抗CD21APC)を有する3ml管中に入れ、暗室において4℃で30分間インキュベーションした。これらの細胞をPBSで洗浄し、遠心分離(500g、5分)によってペレット化し、350μlPBS中に再縣濁した。
細胞調製物の蛍光活性化セルソーター(FACS)分析を、ファクスカリバー(FACScalibur)(商標)フローサイトメーター(ベクトン・ディッキンソン(Becton Dickinson))で実施した。非特異的蛍光は、各細胞調製物に対して調製された3つの対照(フルオレセインイソチオシアネート−FITC、フィコエリトリン−PE、およびアロフィコシアニン−APC)を通して決定した。
小腸サンプルの組織分析を、透過型電子顕微鏡法によって実施した。空腸および回腸のサンプルを、0.1モル/Lナトリウムカコジレート緩衝液、pH7.3中の30g/Lグルタルアルデヒド中に固定し、15g/Lオスミウム四酸化物中に後固定(postfix)した。ついでサンプルをアセトン中に脱水し、エポン(Epon)812樹脂中に埋め込んだ。極薄切片を、ウラニルアセテートおよび鉛シトレートで二重染色し、ツアイス902透過型電子顕微鏡(ドイツ国オーバーコッヘンのツアイス(Zeiss,Oberkochen))下で調べた。
生化学結果
対照の20%へ食餌摂取の削減の結果、完全な成長不全を生じた。栄養不良ブタは、総体重の平均2から3kgを減少したが、一方、対照豚は、30日の試験の間、18kg増加した。肝臓重量、および空腸および回腸粘膜の両方の長さあたりの重量も、栄養不良の結果としてひどく減少した(表6)。
Figure 2006515832
粘膜の長さあたりのDNAおよびタンパク質の量は、対照と比較して、栄養不良ブタにおいて有意に低かった(2から3倍)(データは示されていない)。しかしながらタンパク質/DNA比は、どの腸セグメントにおいてもPEMによって影響を受けなかった。これらの結果は、栄養不良ブタの小腸におけるタンパク質およびDNA合成の全体のプロセスが損なわれることを示唆している。タンパク質(空腸および回腸)およびDNA(回腸)の腸における含量は、カゼイン塩またはグルタミンを消費したブタよりも、NAQサプリメントを消費した栄養不良ブタにおいて、より高くなる傾向があった。これらの結果は、NAQが、栄養不良期間の間、タンパク質およびDNA合成プロセスを部分的に保持することを示唆している。
腸傷害のマーカーとしてのアルカリホスファターゼセグメント活性は、空腸セグメントにおいて、対照よりも栄養不良ブタにおいて有意に低かった(2から3倍)(データは示されていない)。回腸セグメントにおいて、アルカリホスファターゼ活性は、栄養不良プロセスによって、あまり影響を受けなかった。さらには、グルタミンまたはNAQサプリメントを消費した栄養不良ブタは、カゼイン塩サプリメントを消費したブタよりも、空腸においてより高いAP活性を有する傾向があった。
グルタチオンは、全酸化防止防御系の中心成分である。これは効果的なフリーラジカル捕捉剤であり、これはまた、ほかの代謝機能の範囲内にも含まれ、これには、還元状態におけるタンパク質スルフヒドリル基の維持、GTおよびGPXについての補助因子、アミノ酸輸送、およびタンパク質およびDNA合成が含まれる。総グルタチオン濃度は、対照グループと比較して、栄養不良ブタの両方の小腸セグメントにおいて有意に低下した。しかしながら、NAQを消費した栄養不良ブタの腸粘膜におけるGSHの量は、カゼイン塩またはグルタミンサプリメントを消費したブタよりもわずかに高くなる傾向があった。ただしこの差は、有意差には達しなかった。
ぞれぞれアルデヒド解毒およびグルタチオン還元の原因であるグルタチオントランスフェラーゼおよびグルタチオンレダクターゼ酵素活性は、栄養不良の結果として小腸において低下している(ここでもまた2から3倍)ことが分かった。グルタチオントランスフェラーゼ活性における下降は、アルデヒド、エポキシド、および求電子中心を含有するほかの物質の粘膜中の蓄積によって、腸機能不全を悪化させうる。この活性は、N−アセチル−L−グルタミンサプリメントを消費したブタにおける栄養不良プロセスによってあまり影響を受けないように見えた。グルタチオンレダクターゼおよびグルタチオンペルオキシダーゼの活性もまた、両方の小腸セグメントにおいて栄養不良によって2から3倍低下した。
グルタチオンレダクターゼは、その酸化型からのグルタチオン再生に関わっており、グルタチオンペルオキシダーゼは、2つの還元グルタチオン分子を酸化して、過酸化物を解毒する。N−アセチル−L−グルタミンサプリメントが給餌されたブタの腸粘膜において還元グルタチオンがより高くなる傾向は、同じグループにおいてグルタチオンペルオキシダーゼ活性がより高くなる傾向と関連していた。
要約すれば、酸化防止防御系に対する栄養不良の有害な効果は、カゼイン塩またはグルタミンサプリメントを消費した動物よりも、N−アセチル−L−グルタミンサプリメントを消費した動物の腸においての方が、より顕著でないように見えた。
免疫学的結果
栄養不良の結果として、小腸パイエル斑リンパ球の総数の減少があった。回腸において、パイエル斑リンパ球の総数は、N−アセチル−グルタミン補足されたグループまたは対照グループにおいてよりも、カゼイン塩およびグルタミン補足されたブタにおいて、有意に低かった。空腸においても同様に、パイエル斑リンパ球の総数は、カゼイン塩またはグルタミン補足されたグループにおいてよりも、N−アセチル−L−グルタミングループにおいての方が、より高くなる傾向があった。他方、空腸上皮内リンパ球の総数は、対照グループと比較して、すべての栄養不良グループにおいて有意に高かった。あらゆる実験グループについて、小腸の固有層のリンパ球の数には差は見られなかった。
すべての栄養不良グループにおいて、B細胞マーカー(CD1およびCD21)を発現するパイエル斑リンパ球の数は、健康なグループにおけるよりも低かった。これは、CD1+リンパ球の場合に特に有意であった。回腸において対照グループと比較して、CD21+パイエル斑リンパ球の数の低下は、カゼイン塩およびグルタミン補足グループにおいて有意に異なっていたが、N−アセチル−L−グルタミン補足グループにおいてはそうではなかった。空腸において同じ傾向があったが、統計差に達しなかった。空腸および回腸におけるCD11b+パイエル斑リンパ球の数の低下もまた、カゼイン塩またはグルタミン補足グループにおいてよりも、N−アセチル−L−グルタミン補足グループにおいての方が、より低くなる傾向を示した。
空腸および回腸パイエル斑リンパ球中のT細胞(CD3+細胞)の数は、栄養不良とともに減少した。この減少は、ヘルパー(CD4+)および細胞傷害性(CD8+)T細胞の両方によるものであった。しかしながら、カゼイン塩またはグルタミン補足グループにおいてよりも、N−アセチル−L−グルタミン補足グループにおいての方が、PPL中のT細胞のこの減少がより低くなるという一般的な傾向があった。いくつかの場合、例えば回腸におけるCD4+およびCD8+細胞において、対照グループとカゼイン塩またはグルタミン補足グループと間に有意差が検出されたが、対照グループとN−アセチル−L−グルタミン補足グループと間には検出されなかった。
上記のように栄養不良は、空腸中の上皮内リンパ球の総数の増加を促進した。この増加は、両方の集団、すなわちB細胞(CD21+)およびT細胞(CD3+)において検出された。B細胞において、N−アセチル−L−グルタミン補足グループのCD1+リンパ球の数は、残りのグループのものにおいてよりも有意に高かった。T細胞において、T細胞傷害性部分母集団(CD8+)は、対照グループよりも全ての栄養不良グループにおいての方が、有意により高かった。しかしながらTヘルパー(CD4+)部分母集団は、対照グループよりも、グルタミンおよびN−アセチル−L−グルタミン補足グループの方が、有意に高かった(カゼイン塩補足グループではそうでなかった)。このことは、Tヘルパー(CD4+)部分母集団に対する、グルタミンおよびN−アセチル−L−グルタミンの選択的効果を示している。回腸上皮内リンパ球中のリンパ球部分母集団のどれについても、有意差は検出されなかった。
栄養不良による、固有層リンパ球における実質的に重要な変化はなかった。対照グループと比較して、カゼイン塩補足グループにおいて、CD21+細胞(B細胞)の数の低下があった。これは、グルタミン−またはN−アセチル−L−グルタミン補足グループにおいて検出されなかった。さらには、N−アセチル−L−グルタミン補足グループは(グルタミン−補足グループではなく)、カゼイン塩補足グループとは有意に異なっていた。
要約すれば、N−アセチル−L−グルタミン補足グループは、グルタミン−またはカゼイン塩補足グループよりも良好に機能し、このことは統計的有意差を示すが、特に総細胞数およびBおよびTヘルパー部分集団において、栄養不良によって促進された小腸免疫変化を減少させた。
組織学的結果
健康なブタおよび栄養不良ブタからの空腸エンテロサイトの透過型電子顕微鏡写真が、図7に示されている。対照ブタ(A、Bパネル)において、空腸エンテロサイトは、規則的微絨毛、狭い細胞間空間、規則的な核、および高レベルのムチンを含有する杯細胞を示した。カゼイン塩が補足されたエンシュアプラス調合物を消費した栄養不良ブタの腸粘膜(C、Dパネル)は、重症の萎縮および微絨毛の損失、細胞間空間の開き、不規則な核、および多小胞体を有する透明な細胞質ゾーンを示した。細胞落屑および物質の腸内腔中への押し出しも、このグループにおいて明白であった。栄養不良期間の間、グルタミンが補足されたエンシュアプラスで給餌されたブタの空腸粘膜(E、Fパネル)は、短縮された微絨毛、拡大した細胞間空間、および不規則な小葉核を示した。豊富な上皮内リンパ球浸潤も、栄養不良のグルタミンブタの空腸粘膜に見られた。NAQが補足されたエンシュアプラス調合物を消費したブタの空腸粘膜(G、Hパネル)は、タンパク質−エネルギー栄養不良によってあまり影響されなかった。このグループにおいて、空腸エンテロサイトは、対照ブタの空腸エンテロサイトに近い微絨毛サイズ、核形状、および細胞間空間を示した。上皮内リンパ球浸潤は、栄養不良のカゼイン塩およびグルタミングループと比較して、栄養不良のNAQグループの空腸粘膜中では少なかった。図8は、健康なブタおよび栄養不良ブタからの回腸エンテロサイトの透過型電子顕微鏡写真を示している。対照ブタ(A、Bパネル)において、回腸エンテロサイトは、規則的に分配された微絨毛、可視膨張がない細胞間空間、均質かつ濃密な細胞質、および多量の分泌顆粒を有する杯細胞を示した。カゼイン塩が補足されたエンシュアプラス調合物を消費した栄養不良ブタの回腸粘膜(C、Dパネル)は、微絨毛の損失、いくつかの細胞間空間の膨張、多小胞体を有する透明な細胞質ゾーン、および放出プロセス中の細胞を示した。このグループにおいて、幅広いリンパ球の浸潤も、回腸上皮において明白であった。栄養不良期間中に、グルタミンが補足されたエンシュアプラス調合物で給餌されたブタの回腸粘膜(E、Fパネル)は、微絨毛の損失、広い細胞間空間、および強いリンパ球浸潤を示した。空腸粘膜の場合と同様、NAQが補足されたエンシュアプラス調合物を消費したブタの回腸粘膜(G、Hパネル)は、タンパク質−エネルギー栄養不良によってあまり影響を受けなかった。これは、頂点微絨毛の低い変化、可視膨張をともなわない細胞間空間、腸上皮の頂点部分における少ないリンパ球浸潤、および高い量の分泌顆粒を有する豊富な杯細胞を示した。
結論
正常な生理条件下、酸素由来フリーラジカルの生成と、細胞酸化防止系によるこれらの破壊との間に定常状態バランスがある。本調査において、腸バランスは、タンパク質−エネルギー栄養不良によって覆され、還元グルタチオンおよび酵素酸化防止防御系における減少を生じた。さらには腸免疫応答は、タンパク質−エネルギー栄養不良によってひどく損なわれた。
おそらくは栄養不良が特に重症であるという事実によって、小腸の栄養不良によって誘発された生化学的および免疫学的変化の予防に対するグルタミンの明白な効果は検出されなかったが、N−アセチル−L−グルタミンがこれらの変化の重症度を低下させるプラスの効果があった。
この調査は、N−アセチル−L−グルタミンが、小腸の細胞に対してプラスの効果を有し、グルタミンの効果以上でさえあることを示唆している。さらには図7および図8に示されている、健康なブタおよび栄養不良ブタからのエンテロサイト細胞質の透過型電子顕微鏡写真は、N−アセチル−L−グルタミンが、胃腸管の上皮裏層における炎症の明白な徴候の予防においてグルタミンよりも効果的であることを示している。
未治療小児脂肪便症患者の器官培養物を用いた、小児脂肪便症の環境におけるグルタミン強化調製物の毒性のテスト
この調査の目的は、小児脂肪便症において粘膜変性を誘発することが知られている、グルテンのペプシン−トリプシン調製物を用いて、グルテンフリーグルタミン強化製品のいくつかの潜在的毒性を評価することであった。グルテンに由来しない、グルタミンリッチであるかまたはグルタミン変性製品もまた、これらの後者の製品が、小児脂肪便症患者の粘膜に損傷を誘発しえたかどうかを評価するために調査された。
この調査は、ブラインド方法で実施された。この調査のために、小児脂肪便症におけるグルテン毒性および粘膜損傷を調査するために広く用いられ、正当であることが確認されている、小児脂肪便症の器官培養モデルを利用した。この計画の目的のために、未治療小児脂肪便症患者の小腸生検的断片を用いた。未治療小児脂肪便症患者の生検は、上皮アポトーシスの誘発および粘膜炎症の増加を包含する粘膜損傷の側面を監視するのに理想的である。
潜在的未治療小児脂肪便症患者として診断された12人の成人患者を登録した。これらの患者の病気は、臨床的症状、高タイターの抗組織トランスグルタミナーゼの存在、および小腸生検の組織分析によって確認された。
器官培養エンドポイントの説明
器官培養は、Maiuri,Lら、胃腸病学(Gastroenterology)、110、1368−1378(1996年)に記載されている標準的方法を用いて実施した。簡単に言えば、小さい生検断片(約1mm×1mm)を、ステンレス鋼メッシュに載せ、24時間の間、異なる化合物が補足された培地中で培養した。小児脂肪便症患者および生検の試験管内抗原投与(challenge)に関わる調査に用いられた、標準的な正の対照および負の対照を利用した。正の対照は、1mg/mlのグリアジンペプシン−トリプシン消化液(digest)であった。負の対照は、培地単独であった。テストされるすべての化合物は、40μg/mlの最終濃度で用いた。テストされた化合物/生成物は、N−アラニル−グルタミン;N−アセチル−グルタミン;フロリダ州ボカレイトンのニュートリシア(Nutricia,Boca Raton)からのストレソン(Stresson)(登録商標)(P1);英国チェシャー、ランコーンのフレセニウス・カビ(Fresenius Kabi,Runcorn,Cheshire)からのレコンヴァン(Reconvan)(登録商標)(P2);ペンシルベニア州ベツレヘムのB.ブラウン(B.Braun,Bethleham)からのニュートリコンプ・イミュン(Nutricomp Immun(登録商標)(P3);ミネソタ州プリマスのホーメル・ヘルス・ラブス(Hormel Health Labs,Plymouth)からのグルタソーブ(Glutasorb)(登録商標)(P4);ニューヨーク州ホワイトプレインズのノバルティス(Novartis,White Plains)からのインパクト(登録商標)(P5);オハイオ州コロンバスのロス・プロダクツ(Ross Products,Columbus)からのオプティメンタル(Optimental)(登録商標)プラスNAQ(P6);オハイオ州コロンバスのロス・プロダクツからのオプティメンタル(登録商標)プラス加水分解コムギグルテン(P7)であった。24時間後、これらの培養を停止し、生検断片を配向させ、O.C.T.化合物(米国インディアナ州エルクハートのティシューテック、マイルズ・ラボラトリーズ(Tissue Tek,Miles Laboratories,Elkhart))中に埋め込み、液体窒素中に冷却されたイソペンタン中に急激冷却(snap frozen)し、低温切片化(cryosectioning)まで−70℃で貯蔵した。ついでクリオスタットを用いて、5ミクロン切片を調製した。
免疫組織化学
この調査のために、次のマーカーを用いた:すなわち上皮アポトーシスを監視するためのTUNEL、および上皮下炎症の監視のためのCD25である。次の試薬を、次の手順とともに用いた。
DNA断片化の検出
組織切片のDNA断片化を、Maiuri,L.らの「DNA断片化は、不適切なアポトーシスを有する病気である嚢胞性線維症上皮細胞の特徴であるか?(DNA Fragmentaion is a Feature of Cystic Fibrosis Epithelial Cells:A Disease with Inappropriate Apoptosis?)」、FEBS Letter 408、225−31(1997年)、およびMaiuri,L.ら、「FAS結合(engagement)は、小児脂肪便症患者のエンテロサイトのアポトーシスを駆動する(FAS Engagement Drives Apoptosis of Enterocytes of Celiac Patents)」、Gut 48,418−24(2001年)に記載されているように、末端デオキシヌクレオチジルトランスフェラーゼ(TdT)−媒介dUTP−ジゴキシゲニンニックエンド標識(TUNEL)によってアッセイした。
CD25+細胞の検出
冷凍組織切片に対する抗原検出を、Maiuri,L.らの「T細胞共刺激の遮断は、小児脂肪便症においてT細胞作用を阻害する(Blockage of T−Cell Costimulation Inhibits T−Cell Action in Celiac Disease)」、Gastroenterology 115、564−72(1998年)に記載されているように、同じ参考文献に既に記載されている方法によるアルカリホスファターゼ染色技術によって、mAbs抗−CD25(ダコ(Daco)1:30)を用いて、免疫組織化学によって実施した。各サンプルについて少なくとも5つのスライドを、ブラインド評価した。特異性対照実験を、不適切な血液型抗原に対するマウスIgGまたはIgMを用い、同時に同じ個人に属する異なる培養サンプルを分析して実施した。
形態計測分析
TUNEL+エンテロサイトの総数は、エンテロサイトのパーセンテージとして言及された。固有層中のCD25+細胞の総数は、1mmの比較基準面積内で決定された。これらの計数は、粘膜筋肉層(muscolaris mucosae)に平行に整列された、校正された目盛り付き接眼レンズを有する顕微鏡で実施され、2人の観察者によって独立して分析された。これらの結果を、その後比較した。
結果
図9に示されているように、これらの化合物は、上皮下区画におけるTUNELおよびCD25上方調節(upregulation)によって規定されるような、異なるパターンの上皮損傷を誘発した。いくつかの調製物は、上皮下区画におけるCD25発現の強い増加、ならびに上皮アポトーシスの誘発の両方を誘発した。従ってこれらの化合物は、ポジティブコントロールとして挙動した(1mg/mlで用いられたペプシン−トリプシングルテン調製物)。ほかの化合物は、上皮アポトーシス、または上皮下区画におけるCD25の誘発のいくつかの選択的修正を誘発した。ほかのものは、培地単独(負の対照)に暴露されただけの培養物中に観察されたアポトーシスまたはCD25誘発のパターンと異なっていなかった。図10において、aおよびbは、化合物N−アセチル−グルタミン、またはグルタミン(p5)を含有する製品インパクトを用いた、上皮アポトーシスの誘発例を示している。図11aおよびbは、同じ化合物によるCD25誘発のパターンを記載している。
結論
この調査の成果は、テストされた化合物の多くが、未治療小児脂肪便症の小腸中に有意な変更を生じたことを示している。上皮アポトーシスを誘発することができ、かつ上皮下炎症を増加させえたものもあり、一方、粘膜炎症の誘発においてより効果的なものもあった。これらのマーカーの両方または1つを誘発した化合物は、小児脂肪便症患者の粘膜に対して毒性があると考えられる。これらの化合物のいくつか、特に化合物N−アセチル−グルタミンは、何の効果も誘発しなかった。この化合物はまた、未治療小児脂肪便症の生検に対して明白な栄養効果を有していた。この栄養効果は、その他のサンプルと比較して、有意に改良された、粘膜、特に上皮の一般的改善によって規定された。
この調査は、テストされた化合物の大部分が、未治療小児脂肪便症患者の粘膜中に実質的な変化を生じるという明白な指摘を与える。予期せぬことではあるが、最も興味深いことは、N−アセチル−L−グルタミンの栄養活性の側面である。まず第一の例として、この物質は、培地単独と比較した場合でさえ、粘膜の全体的な状態を改善するように見える。
特許請求の範囲に示されている本発明の範囲内に入る特別な実施態様が、上に記載されている。これらの実施態様は、本発明の範囲を、開示されている特別な形態に限定するものではない。本発明は、本発明の精神および範囲内に入るすべての修正例および代替形態をカバーするものとする。
図1は、様々なpH値および周囲温度におけるN−アセチル−L−グルタミンの水性安定性をグラフ形態で示している。pH5.0からpH8.0サンプルについてのすべての値は同じであった。 図2は、pH2.0から8.0の水性N−アセチル−L−グルタミン溶液中に形成された分解生成物であって、これらの溶液が180日間室温に保持された時のものをグラフ形態で示している。 図3は、本明細書に記載されている外科手術内(Intra−Surgery)実験の間の、単離されたブタの腸係蹄への物質の導入後、時間の関数としての、腸内腔中に残留する添加されたグルタミンまたはN−アセチル−L−グルタミンの量を、グラフ形態で示している。残留する検体は、ゼロ時点で存在する検体のパーセンテージとして表示される。 図4は、上記のような外科手術内実験の間の単離されたブタの腸係蹄への物質の導入後、時間の関数としての、腸内腔中に残留する添加されたグルコースの量を、グラフ形態で示している。残留するグルコースは、ゼロ時点で存在する量のパーセンテージとして表示される。 図5は、様々な物質(グルコサリン対照、グルコサリン中のグルタミン、またはグルコサリン中のN−アセチル−L−グルタミン)が、単離された腸係蹄へ導入された、ブタの門脈血中のグルタミンの量(mcg/mL)を、投与後の時間に対してグラフ形態で示している。 図6は、本明細書に記載されている外科手術内実験後に測定された、ブタの腸の空腸粘膜中のグルタミンおよびグルタメートの量(mcg/グラム湿潤粘膜で表示された)をグラフ形態で示している。 図7は、30日間エンシュアプラス調合物が給餌された健康なブタ(A、Bパネル)、およびカゼイン塩(C、Dパネル)、グルタミン(E、Fパネル)、またはNAQ(G、Hパネル)が補足された同じ調合物が給餌された、タンパク質−エネルギー栄養不良ブタからの空腸エンテロサイトであって、炎症の徴候、例えば透明な細胞質空間およびリンパ球浸潤について分析されたものの透過型電子顕微鏡写真を示す。 図8は、30日間エンシュアプラス調合物が給餌された健康なブタ(A、Bパネル)、およびカゼイン塩(C、Dパネル)、グルタミン(E、Fパネル)、またはNAQ(G、Hパネル)が補足された同じ調合物が給餌されたタンパク質−エネルギー栄養不良ブタからの回腸エンテロサイトであって、炎症の徴候、例えば透明な細胞質空間およびリンパ球浸潤について分析されたものの透過型電子顕微鏡写真を示す。 図9は、未治療小児脂肪便症患者の粘膜上のアポトーシスおよび炎症の発生に対する、様々な物質/化合物の効果を示す。 図10は、N−アセチルグルタミン(A)およびP5(B)で処理された粘膜サンプル中の上皮TUNEL発現のパターンを示す。 図11は、N−アセチルグルタミン(A)およびP5(B)で処理された粘膜サンプル中の上皮下区画におけるCD25発現のパターンを示す。

Claims (47)

  1. N−アセチル−L−グルタミン、または栄養的に許容しうるこの塩の有効量の経口投与を含む、ヒトへのグルタミン補足の提供方法。
  2. 前記ヒトには、少なくとも0.7ミリモル/kg/日のN−アセチル−L−グルタミン、または栄養的に許容しうる塩が投与される、請求項1に記載の方法。
  3. 前記ヒトには、少なくとも1.0モル/kg/日のN−アセチル−L−グルタミン、または栄養的に許容しうる塩が投与される、請求項1に記載の方法。
  4. 前記ヒトには、少なくとも1.5ミリモル/kg/日のN−アセチル−L−グルタミン、または栄養的に許容しうる塩が投与される、請求項1に記載の方法。
  5. 前記栄養的に許容しうる塩が、リチウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、およびアルミニウム、アンモニウム、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ジエチルアミン、エチルアミン、トリブチルアミン、ピリジン、N,N−ジメチルアニリン、N−メチルピペリジン、N−メチルモルホリン、ジシクロヘキシルアミン、プロカイン、ジベンジルアミン、N,N−ジベンジルフェネチルアミン、1−エフェナミン、N,N’−ジベンジルエチレンジアミン、エチレンジアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、ピペリジン、ピペラジン、およびこれらの混合物からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
  6. 前記ヒトが、胃腸外科手術、胃腸切除、小腸移植、外科手術後外傷、飢餓、重症疾患および負傷、多発外傷、短腸症候群、火傷、骨髄移植、エイズ、口腔粘膜炎、がん、小児脂肪便症(Celiac disease)、クローン病、壊死性全腸炎、腸早熟(prematurity of the gut)、日和見感染症(infection of opportunity)、特別な治療に関連した腸の悪化、経口食物摂取の制限、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される状態を患っている、請求項1に記載の方法。
  7. a)1リットルあたり30mEqから95mEqのナトリウム;
    b)1リットルあたり10mEqから30mEqのカリウム;
    c)1リットルあたり10mEqから40mEqのシトレート;
    d)1つの炭水化物3.0重量/重量%未満;および
    e)溶液1リットルあたり少なくとも5.0ミリモルのN−アセチル−L−グルタミン、または栄養的に同等なこの塩
    を含有する水溶液。
  8. 溶液1リットルあたり20ミリモルから300ミリモルのN−アセチル−L−グルタミン、または栄養的に同等なこの塩を含有する、請求項7に記載の水溶液。
  9. 溶液1リットルあたり25ミリモルから200ミリモルのN−アセチル−L−グルタミン、または栄養的に同等なこの塩を含有する、請求項7に記載の水溶液。
  10. 前記栄養的に許容しうる塩が、リチウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、およびアルミニウム、アンモニウム、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ジエチルアミン、エチルアミン、トリブチルアミン、ピリジン、N,N−ジメチルアニリン、N−メチルピペリジン、N−メチルモルホリン、ジシクロヘキシルアミン、プロカイン、ジベンジルアミン、N,N−ジベンジルフェネチルアミン、1−エフェナミン、N,N’−ジベンジルエチレンジアミン、エチレンジアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、ピペリジン、ピペラジン、およびこれらの混合物からなる群から選択される、請求項7に記載の水溶液。
  11. 前記水溶液が、塩化物をさらに含有する、請求項7に記載の水溶液。
  12. 前記炭水化物が、デキストロースとフルクトースとの混合物である、請求項7に記載の水溶液。
  13. 前記炭水化物が、3.0重量/重量%未満の量で存在する、請求項7に記載の水溶液。
  14. 前記ナトリウムが、30mEq/Lから95mEq/Lの量で存在する、請求項7に記載の水溶液。
  15. 前記ナトリウムが、塩化ナトリウム、ナトリウムシトレート、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、およびこれらの混合物からなる群から選択される、請求項7に記載の水溶液。
  16. 前記カリウムが、10mEq/Lから30mEq/Lの量で存在する、請求項7に記載の水溶液。
  17. 前記カリウムが、カリウムシトレート、塩化カリウム、炭酸水素カリウム、炭酸カリウム、水酸化カリウム、およびこれらの混合物からなる群から選択される、請求項7に記載の水溶液。
  18. 前記塩化物が、30mEq/Lから80mEq/Lの量で存在する、請求項11に記載の水溶液。
  19. 前記塩化物が、塩化カリウム、塩化ナトリウム、および塩化亜鉛からなる群から選択される、請求項11に記載の水溶液。
  20. 前記シトレートが、20mEq/Lから40mEq/Lの量で存在する、請求項7に記載の水溶液。
  21. 前記シトレートが、カリウムシトレート、ナトリウムシトレート、およびクエン酸からなる群から選択される、請求項7に記載の水溶液。
  22. 少なくとも1つのフレーバーをさらに含んでいる、請求項7に記載の水溶液。
  23. 少なくとも1つの人工甘味料をさらに含んでいる、請求項7に記載の水溶液。
  24. 寒天、アルギニン酸および塩、アラビアゴム(gum arabic)、アカシアゴム(gum acacia)、タルハゴム(gum talha)、セルロース誘導体、カードラン(curdlan)、発酵ゴム、フルセララン(furcellaran)、ゼラチン、ゲランゴム(gellan gum)、ガッティガム(gum ghatti)、グアールガム、イオタカラゲナン、アイルランドコケ(irish moss)、カッパカラゲナン、コンニャク粉、カラヤゴム、ラムダカラゲナン、カラマツゴム(larch gum)/アラビノガラクタン、イナゴマメゴム、ペクチン、タマリンド種子ゴム、タラゴム、トラガカントゴム、天然および変性デンプン、キサンタンガムからなる群から選択された少なくとも1つのゲル化剤を、自立三次元構造支持を補助するのに十分な量でさらに含んでいる、請求項7に記載の水溶液。
  25. 米粉をさらに含んでいる、請求項7に記載の水溶液。
  26. 消化しにくいオリゴ糖をさらに含んでいる、請求項7に記載の水溶液。
  27. 液体栄養調合物であって
    a)該液体栄養調合物の総カロリー含量(caloric content)の8から35%を構成するタンパク質成分;
    b)該液体栄養調合物の総カロリー含量の36から76%を構成する炭水化物成分;
    c)該液体栄養調合物の総カロリー含量の6から51%を構成する脂質成分;および
    N−アセチル−L−グルタミン、または栄養的に許容しうるこの塩の形態で、カロリーを基準にして1から23%のタンパク質成分を含む、液体栄養調合物。
  28. 成人用液体栄養調合物であって
    a)該液体栄養調合物の総カロリー含量の14から35%を構成するタンパク質成分;
    b)該液体栄養調合物の総カロリー含量の36から76%を構成する炭水化物成分;
    c)該液体栄養調合物の総カロリー含量の6から51%を構成する脂質成分;および
    栄養調合物1,000kcalあたり、N−アセチル−L−グルタミン、または栄養的に許容しうるこの塩を少なくとも35ミリモル含む、成人用液体栄養調合物。
  29. 前記調合物が、栄養調合物1,000kcalあたり、N−アセチル−L−グルタミン、または栄養的に許容しうるこの塩を35ミリモルから160ミリモル含む、請求項28に記載の栄養調合物。
  30. 非成人患者用液体栄養調合物であって
    a)該液体栄養調合物の総カロリー含量の8から25%を構成するタンパク質成分;
    b)該液体栄養調合物の総カロリー含量の39から44%を構成する炭水化物成分;
    c)該液体栄養調合物の総カロリー含量の45から51%を構成する脂質成分;および
    栄養調合物1,000kcalあたり、N−アセチル−L−グルタミン、または栄養的に許容しうるこの塩を少なくとも5.0ミリモル含む、非成人患者用液体栄養調合物。
  31. 前記調合物が、栄養調合物1,000kcalあたり、N−アセチル−L−グルタミン、または栄養的に許容しうるこの塩を5.0ミリモルから32ミリモル含む、請求項30に記載の栄養調合物。
  32. 前記栄養的に許容しうる塩が、リチウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、およびアルミニウム、アンモニウム、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ジエチルアミン、エチルアミン、トリブチルアミン、ピリジン、N,N−ジメチルアニリン、N−メチルピペリジン、N−メチルモルホリン、ジシクロヘキシルアミン、プロカイン、ジベンジルアミン、N,N−ジベンジルフェネチルアミン、1−エフェナミン、N,N’−ジベンジルエチレンジアミン、エチレンジアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、ピペリジン、ピペラジン、およびこれらの混合物からなる群から選択される、請求項27に記載の液体栄養調合物。
  33. 調合物1,500kcalあたり1.0g未満のピログルタミン酸を含有する、請求項27に記載の液体栄養調合物。
  34. 前記調合物が、成人用調合物であり、タンパク質成分が、前記液体栄養調合物の総カロリー含量の14から35%を構成し、炭水化物成分が、前記液体栄養調合物の総カロリー含量の36から76%を構成し、脂質成分が、前記液体栄養調合物の総カロリー含量の6から41%を構成し、N−アセチル−L−グルタミン、または栄養的に許容しうるこの塩が、カロリーを基準にしてタンパク質カロリーの1から25%を構成する、請求項27に記載の液体栄養調合物。
  35. この調合物が非成人用であり、タンパク質成分が、前記液体栄養調合物の総カロリー含量の8から25%を構成し、炭水化物成分が、前記液体栄養調合物の総カロリー含量の39から44%を構成し、脂質成分が、前記液体栄養調合物の総カロリー含量の45から51%を構成し、N−アセチル−L−グルタミン、または栄養的に許容しうるこの塩が、カロリーを基準にしてタンパク質カロリーの1から12%を構成する、請求項27に記載の液体栄養調合物。
  36. 前記液体栄養調合物が、経口投与される、請求項27に記載の液体栄養調合物。
  37. 前記液体栄養調合物が、経腸投与される、請求項27に記載の液体栄養調合物。
  38. カルシウム、リン、ナトリウム、塩化物、マグネシウム、マンガン、鉄、銅、亜鉛、セレン、ヨウ素、クロム、モリブデン、m−イノシトール、カルニチン、タウリン、ビタミンA、C、D、E、K、およびB複合体、およびこれらの混合物からなる群から選択されるビタミンおよびミネラルをさらに含む、請求項27に記載の液体栄養調合物。
  39. 前記脂質成分が、ヤシ油、大豆油(soy oil)、コーン油、オリーブ油、サフラワー油、高オレインサフラワー油、MCT油(中鎖トリグリセリド)、ひまわり油、高オレインひまわり油、パーム油、パームオレイン、キャノーラ油、魚油、パーム核油、メンハーデン油、大豆油(soybean oil)、綿実油、レシチン、アラキドン酸およびドコサヘキサエン酸の脂質源、構造脂質、およびこれらの混合物からなる群から選択される、請求項27に記載の液体栄養調合物。
  40. 前記タンパク質成分が、大豆ベースのタンパク質、ミルクベースのタンパク質、カゼインタンパク質、乳漿タンパク質、コメタンパク質、ビーフコラーゲン、豆タンパク質、ジャガイモタンパク質、およびこれらの混合物からなる群から選択される自然のままのタンパク質を含む、請求項27に記載の液体栄養調合物。
  41. 前記タンパク質成分が、大豆タンパク質水解物、カゼインタンパク質水解物、乳漿タンパク質水解物、コメタンパク質水解物、ジャガイモタンパク質水解物、魚タンパク質水解物、卵白水解物、ゼラチンタンパク質水解物、動物および植物タンパク質水解物の組み合わせ、およびこれらの混合物からなる群から選択される加水分解タンパク質を含む、請求項27に記載の液体栄養調合物。
  42. 前記タンパク質成分が、トリプトファン、チロシン、システイン(シスチン)、メチオニン、アルギニン、ロイシン、バリン、リシン、フェニルアラニン、イソロイシン、トレオニン、ヒスチジン、カルニチン、タウリン、グリシン、アラニン、セリンシスチン、チロキシンアスパラギン酸、アスパラギングルタミン酸グルタミンヒドロキシリシン、プロリン、ヒドロキシプロリン、およびこれらの混合物からなる群から選択される遊離アミノ酸を含む、請求項27に記載の液体栄養調合物。
  43. 前記炭水化物成分が、ろう状または非ろう状形態にあるコーン、タピオカ、コメ、またはジャガイモ起源の、加水分解されているか、自然のままの、または天然および化学的に変性されたデンプン;糖、例えばグルコース、フルクトース、ラクトース、スクロース、マルトース、高フルクトースコーンシロップ、コーンシロップ固体;およびこれらの混合物からなる群から選択される、請求項27に記載の液体栄養調合物。
  44. 小児脂肪便症を患っている患者へ、請求項7に記載の水溶液を投与することによって、前記患者における腸粘膜炎症を減少させる方法。
  45. 小児脂肪便症を患っている患者へ、請求項27に記載の液体栄養調合物を投与することによって、前記患者における腸粘膜炎症を減少させる方法。
  46. 小児脂肪便症を患っている患者へ、請求項28に記載の液体栄養調合物を投与することによって、前記患者における腸粘膜炎症を減少させる方法。
  47. 小児脂肪便症を患っている患者へ、請求項30に記載の液体栄養調合物を投与することによって、前記患者における腸粘膜炎症を減少させる方法。
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