JP2006511193A - 活性部位の同定および阻害のための半合成蛋白質ベースの部位特異的プローブ、並びにそれらの方法 - Google Patents
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Abstract
C末端修飾したユビキチン(Ub)誘導体である、ユビキチンビニルスルホン(UbVS)は、脱ユビキチン化酵素(DUB)に特異的であるが、これをUbC末加水分解酵素(UCH)およびUb特異的プロセシングプロテアーゼ(UBP)のサブセットを不可逆的に修飾する活性部位特異的プローブとして合成し、17種の既知および推定の酵母の脱ユビキチン化酵素の中の6種の[125I]-UbVS修飾因子を提供し、これらをYuh1p、Ubp1p、Ubp2p、Ubp6p、Ubp12pおよびUbp15pと命名した。哺乳類細胞において、比較的多数のポリペプチドが標識され、そのほとんどはDUBであった。哺乳類26Sプロテオソームに会合する追加のDUBである、新規蛋白質USP14が提供され、これはプロテオソームに結合した酵母Ubp6pの哺乳類ホモログである。
Description
技術分野
酵素系路の同定および調節のための方法、この経路に関連した疾患の治療のための方法、並びにこれらの疾患の治療のための組成物、およびプロテオームセットにおける経路の生物学的機能を調べるための組成物として、細胞のユビキチンおよびユビキチン様蛋白質の代謝に関与した酵素である蛋白質のような、プロテオームセットのための部位特異的インヒビターを同定および設計する方法が提供される。
酵素系路の同定および調節のための方法、この経路に関連した疾患の治療のための方法、並びにこれらの疾患の治療のための組成物、およびプロテオームセットにおける経路の生物学的機能を調べるための組成物として、細胞のユビキチンおよびユビキチン様蛋白質の代謝に関与した酵素である蛋白質のような、プロテオームセットのための部位特異的インヒビターを同定および設計する方法が提供される。
政府の権利
本発明は、一部、米国立衛生研究所(NIH)助成金番号GM062502、GM30308、およびGM66355の下で、米国政府の支援により行われた。米国政府は、本発明に一定の権利を有する。
本発明は、一部、米国立衛生研究所(NIH)助成金番号GM062502、GM30308、およびGM66355の下で、米国政府の支援により行われた。米国政府は、本発明に一定の権利を有する。
背景
プロテオームの分析のための化学的ツールを持つことが望ましく、これらのツールは共有されたインビボ機能を基にしている。このような機能の例は、多くの細胞プロセスの制御において重要な、小さい76個のアミノ酸蛋白質であるユビキチン(Ub)による蛋白質の共有的修飾である(Hershkoら、Annu Rev Biochem、67:425-79(1998))。ユビキチン化は、主に標的化シグナルとして役立ち、およびポリ-Ub鎖の最も一般的な型を保持する蛋白質は、ユビキチン-プロテアソーム経路による破壊の標的とされており、これは細胞質ゾル蛋白質分解の大半に寄与する(Ciechanoverら、Proc Natl Acad Sci USA、95:2727-30(1998))。Ubは、イソペプチド連結を介して蛋白質に結合され、これにはUbのC末端カルボキシラートおよびリシン側鎖のε-NH2が関連している(Ciechanoverら、Mol Biol Rep、26:59-64(1999);Hodginsら、J Biol. Chem.、271:28766-28771(1996))。Ub-複合体化およびポリ-Ub鎖形成に関連したこの酵素カスケードは、Ub-活性化酵素E1、Ub-結合酵素(E2)およびE3リガーゼを含む酵素活性の少なくとも3種の個別のセットを含む(HershkoおよびCiechanover、Annu Rev Biochem、67:425-79(1998)において検証)。ユビキチン-依存型の事象は、脱ユビキチン化のレベルで制御することもできる(Wilkinson、FASEB J、11:1245-56(1997))。Ubの除去は、プロテアーゼの巨大なファミリーである脱ユビキチン化酵素(DUB)により実行され、これはポリ-Ub鎖を26Sプロテアソームにより分解される蛋白質から放出し、モノマーUbを再利用し、Ub-融合蛋白質前駆体からUbを遊離し、調節性のユビキチン化を逆転し、および不適切なユビキチン化された蛋白質を校正するものである(Chungら、Biochem Biophys Res Commun、266:633-40(1999)において検証)。
プロテオームの分析のための化学的ツールを持つことが望ましく、これらのツールは共有されたインビボ機能を基にしている。このような機能の例は、多くの細胞プロセスの制御において重要な、小さい76個のアミノ酸蛋白質であるユビキチン(Ub)による蛋白質の共有的修飾である(Hershkoら、Annu Rev Biochem、67:425-79(1998))。ユビキチン化は、主に標的化シグナルとして役立ち、およびポリ-Ub鎖の最も一般的な型を保持する蛋白質は、ユビキチン-プロテアソーム経路による破壊の標的とされており、これは細胞質ゾル蛋白質分解の大半に寄与する(Ciechanoverら、Proc Natl Acad Sci USA、95:2727-30(1998))。Ubは、イソペプチド連結を介して蛋白質に結合され、これにはUbのC末端カルボキシラートおよびリシン側鎖のε-NH2が関連している(Ciechanoverら、Mol Biol Rep、26:59-64(1999);Hodginsら、J Biol. Chem.、271:28766-28771(1996))。Ub-複合体化およびポリ-Ub鎖形成に関連したこの酵素カスケードは、Ub-活性化酵素E1、Ub-結合酵素(E2)およびE3リガーゼを含む酵素活性の少なくとも3種の個別のセットを含む(HershkoおよびCiechanover、Annu Rev Biochem、67:425-79(1998)において検証)。ユビキチン-依存型の事象は、脱ユビキチン化のレベルで制御することもできる(Wilkinson、FASEB J、11:1245-56(1997))。Ubの除去は、プロテアーゼの巨大なファミリーである脱ユビキチン化酵素(DUB)により実行され、これはポリ-Ub鎖を26Sプロテアソームにより分解される蛋白質から放出し、モノマーUbを再利用し、Ub-融合蛋白質前駆体からUbを遊離し、調節性のユビキチン化を逆転し、および不適切なユビキチン化された蛋白質を校正するものである(Chungら、Biochem Biophys Res Commun、266:633-40(1999)において検証)。
DUBは、Ub C末加水分解酵素(Ub C-terminal hydrolase:UCH)およびUb特異的プロセシングプロテアーゼ(Ub-specific processing protease:UBP)へと細分することができる。インビトロにおいて、UBPは、Ubと、追加のUb部分または標的蛋白質のような折りたたみ蛋白質ドメインの間のイソペプチド結合を加水分解する。その結果、UBPは、広範な基質特異性を示す(Wilkinson、FASEB J、11:1245-56(1997))。UCHは一般に、Ubと折り畳まれていないポリペプチドの、またはUbと小さい置換基の間の結合を切断する(Pickartら、J Biol Chem、260:7903-10(1985);Wilkinson、FASEB J、11:1245-56(1997);Wilkinsonら、Biochemistry、25:6644-9(1986))。酵母における欠失試験は、UCHおよびUBPの基質特異性は重複していることを示唆している(Amerikら、Biol Chem、381:981-92(2000);Bakerら、J Biol Chem、267:23364-75(1992))。UBPおよびUCHは両方とも、26Sプロテアソームに会合することができ、およびUb-依存型蛋白質分解の調節に関連している(Vogesら、Annu. Rev. Biochem、68:1999)。
19S調節複合体内のUCH酵素は、哺乳類(UCH37;Lamら、J Biol Chem、272:28438-46(1997))、ショウジョウバエ(Drosophila)(p37a;Holzlら、J Cell Biol、150:119-130(2000))、およびS.ポンベ(S. pombe)(Uch2p;Liら、Biochem Biophys Res Commun、272:270-5(2000))において報告されており、並びにそれらが分解される前に蛋白質基質上のUb-鎖を校正すると考えられている(Lamら、J Biol Chem、272:29438-46(1997);Lamら、Nature、385:737-40(1997))。酵母内のDoa4およびアメフラシ(Aplysia)内のAp-UCHは、蛋白質分解性複合体と、より一過性に会合し、分解された蛋白質の残余物からUbを切断することができる(Hegdeら、Cell、89:115-26(1997);Papa ら、Mol Biol Cell、10:741-56(1999);Papaら、Nature、366:313-9(1993))。より高等生物において、UCHは、組織特異的様式で発現され、様々な細胞機能および疾患、例えばパーキンソン病(UCH-L1;Wilkinsonら、Biochem Soc Trans、20:631-7(1992))、BRCA1の機能(BAP-1;Jensenら、Oncogene、16:1097-112(1998))、およびアメフラシにおける長期神経増強(Ap-UCH;Hegdeら、Cell、89:115-26(1997))に関連づけられている。UBPは、細胞の運命の決定(fat facets;Huangら、Science、270:1828-31(1995))、転写サイレンス化(Ubp3;Moazedら、Cell、86: 667-77(1996))、サイトカインに対する応答(DUB1および2;Zhuら、Mol Cell Biol、16:4808-17(1996))および癌遺伝子悪性転換(tre-2;Papaら、Nature、366:313-9(1993))における役割も果たす。
酵母ゲノムは、17種のDUB(UBP/UCH)をコードしているが、哺乳類におけるUBPおよびUCHの数ははるかに多い可能性がある(ChungおよびBaek、Biochem Biophys Res Commun、266:633-40(1999))。酵素活性は、モデル基質を用い多くのDUBについて明らかにされており(Amerikら、Biol Chem、381:981-92(2000))、および他のものについては、公知のファミリーメンバーとの相同性を基に割当てが成されている(Wilkinson、FASEB J、11:1245-56(1997))。DUBの多様性は、各DUBに関する個別の機能および/または蛋白質基質の可能性を生じる。
Ub経路は、細胞周期、シグナル伝達および免疫応答のようなプロセスにおける重要な調節の役割を果たすことが示されており、並びに癌および神経変性疾患の発症と関連されている。Ubl蛋白質は、自己貪食、インターフェロン反応、核移行、細胞周期進行およびアポトーシスのような様々な細胞プロセスと関連されている。表1は、Ub経路と様々な病態の間の公知の関係を示している。
概要
ユビキチンおよびUbl蛋白質に対する酵素反応を実行する酵素の多様性が、それらが高度に望ましいかを試験するためのツールを設計している。これらの酵素システムは多くの病態において役割を果たすことはわかっているので、これらの酵素を試験するツールは、診断および/または治療における適用の可能性がある。
ユビキチンおよびUbl蛋白質に対する酵素反応を実行する酵素の多様性が、それらが高度に望ましいかを試験するためのツールを設計している。これらの酵素システムは多くの病態において役割を果たすことはわかっているので、これらの酵素を試験するツールは、診断および/または治療における適用の可能性がある。
DUBの酵素特異性、並びにこれらおよび関連したユビキチンおよびユビキチン-関連蛋白質の様々な病態との関係を解明するための化学選択性反応ツールは、創薬の新規標的を提供するであろう。従って本発明は、ひとつの態様において、アミノ末端から順に:エピトープ標識;ユビキチン蛋白質またはユビキチン様蛋白質のアミノ酸配列;インテイン;並びにキチン結合蛋白質の構成要素のアミノ酸配列を含む融合ペプチドを特徴とする。本明細書および「特許請求の範囲」において使用される「ユビキチン蛋白質」とは、ユビキチン、並びにユビキチンと同じ親和性および酵素活性を共有するいずれか関連した蛋白質またはそれらの断片を意味し、これはユビキチンの10倍の範囲内の親和性および活性を含む。関連した態様は、この融合ペプチドをコードしているベクターである。エピトープ標識は、ビオチンのような同定またはタグ付けの他の手段と交換することができる。代わりの態様において、ユビキチン蛋白質は、ユビキチン様蛋白質であることができ、例えばUCH-L3、APG8、APG12、UCRP、SUMO-1、NEDD-8、HUB1、URM-1、FAT10およびFauからなる群より選択することができる。関連した態様は、この融合ペプチドをコードしている核酸であり、例えば、この融合ペプチドをコードしているベクターである。
別の関連した態様において、ゲノム蛋白質のクラスを同定および阻害するための半合成蛋白質ベースの部位特異的プローブ、このペプチドのエピトープ標識およびユビキチン蛋白質を含むプローブが提供され、このプローブは更にユビキチン蛋白質のカルボキシ末端に可能性のある阻害基を含み、ここでこの阻害基は、ユビキチン化または脱ユビキチン化酵素の酵素活性に特異的である。部位特異的プローブは、可逆的阻害性であることができ、例えばこの可逆的阻害基は、アルデヒドまたはボロナートであることができる。あるいはこの基は、不可逆的阻害であることができ、例えば、不可逆的阻害基はアルキル化剤、電子求引基である。不可逆的阻害基は、マイケル(Micheal)アクセプターまたはアルキル化基であることができる。例えば、マイケルアクセプターは、3-ビニルメチルスルホン;3-ビニルフェニルスルホン;3-ビニルニトリル;および2-カルボキシビニルメタンならびにこれらのおよび他の類似のコア構造の誘導体などの化合物から選択される。
別の本発明の態様は、プロテオームのサブセットの同定および阻害のための、半合成蛋白質ベースの部位特異的プローブを得る方法であり、
核酸ベクターによりコードされた融合蛋白質を提供する工程であり、この融合蛋白質が、エピトープタグ、サブセットのメンバー蛋白質由来のアミノ酸配列を有するドメイン、インテイン、および親和性を形成する結合ペプチドを有する工程;
ドメインとインテインの間のペプチド結合を破壊し、代表ペプチドのカルボキシ末端にスルホキシドチオエステルを生じさせる工程;および
更にスルホキシドチオエステルを反応させて、このドメインのカルボキシ末端に活性可逆的アルデヒドまたは電子求引基を生じさせ、これにより部位特異的プローブを得る工程を含む。例えば、メンバー蛋白質は、ユビキチンまたはユビキチン様蛋白質である。このメンバー蛋白質は、UCH-L3、APG8、APG12、UCRP、SUMO-1、NEDD-8、HUB1、URM-1、FAT10およびFauからなる群より選択される。更にエピトープタグは、ヘマグルチニン、Flag、MycまたはHis6である。可能性のあるタグの他の種類は、例えば、ストレプトアビジンのようなビオチン-結合基、および蛋白質を細胞-透過性とするのに有効なHIV TAT蛋白質、およびTEV切断可能ドメインである。
核酸ベクターによりコードされた融合蛋白質を提供する工程であり、この融合蛋白質が、エピトープタグ、サブセットのメンバー蛋白質由来のアミノ酸配列を有するドメイン、インテイン、および親和性を形成する結合ペプチドを有する工程;
ドメインとインテインの間のペプチド結合を破壊し、代表ペプチドのカルボキシ末端にスルホキシドチオエステルを生じさせる工程;および
更にスルホキシドチオエステルを反応させて、このドメインのカルボキシ末端に活性可逆的アルデヒドまたは電子求引基を生じさせ、これにより部位特異的プローブを得る工程を含む。例えば、メンバー蛋白質は、ユビキチンまたはユビキチン様蛋白質である。このメンバー蛋白質は、UCH-L3、APG8、APG12、UCRP、SUMO-1、NEDD-8、HUB1、URM-1、FAT10およびFauからなる群より選択される。更にエピトープタグは、ヘマグルチニン、Flag、MycまたはHis6である。可能性のあるタグの他の種類は、例えば、ストレプトアビジンのようなビオチン-結合基、および蛋白質を細胞-透過性とするのに有効なHIV TAT蛋白質、およびTEV切断可能ドメインである。
更なる本発明の態様は、インテインとドメインの間のペプチド結合を破壊する前に、この方法が、更にこの融合蛋白質を含有する調製物を、親和性結合ペプチドの固定された結合パートナーと接触させることにより、融合蛋白質を精製する工程を含む方法を提供する。一部の態様において、親和性結合ドメインは、キチン結合ドメインであり、および固定された結合パートナーは、固定されたキチンである。関連した態様において、本発明は、この方法により同定されたプローブを提供する。
別の態様において、本発明は、ユビキチンおよびユビキチン様蛋白質の同定および阻害のための半合成された蛋白質ベースの部位特異的プローブを得る方法を提供し、
核酸ベクターによりコードされた融合蛋白質を提供する工程であり、この融合蛋白質が、ヘマグルチニンタグ、ユビキチンまたはユビキチン様蛋白質由来のドメイン、インテイン、およびキチン結合ペプチドを有する工程;
ドメインとインテインの間に位置したペプチド結合を破壊し、その代表のカルボキシ末端にチオエステルを生じさせる工程;および
更にチオエステルを反応させて、そのドメインのカルボキシ末端に活性可逆的アルデヒド、アルキル化部分または電子求引基を生じさせ、これにより部位特異的プローブを得る工程を含む。
核酸ベクターによりコードされた融合蛋白質を提供する工程であり、この融合蛋白質が、ヘマグルチニンタグ、ユビキチンまたはユビキチン様蛋白質由来のドメイン、インテイン、およびキチン結合ペプチドを有する工程;
ドメインとインテインの間に位置したペプチド結合を破壊し、その代表のカルボキシ末端にチオエステルを生じさせる工程;および
更にチオエステルを反応させて、そのドメインのカルボキシ末端に活性可逆的アルデヒド、アルキル化部分または電子求引基を生じさせ、これにより部位特異的プローブを得る工程を含む。
更に別の態様において、本発明は、サブセットのメンバーが機能経路を共有するプロテオームのサブセットの同定法を提供し、
エピトープタグ、酵素活性を有するサブセットのメンバー由来のペプチド、およびメンバーペプチドのカルボキシ末端の阻害基、酵素に接触しおよび活性を阻害する能力を有する阻害基を含む、アミノ酸配列を有する半合成蛋白質ベースの部位特異的プローブを調製する工程;
細胞ライゼートをプローブと接触させる工程;および
還元SDSゲル電気泳動およびこのタグに特異的な抗体とのイムノブロッティングによりライゼートを分析し、その結果サブセットのメンバーによりコードされた細胞ライゼート構成要素がプローブに結合し、および抗体と反応し、ゲル上のバンドを可視化し、これにより経路を共有するプロテオームのサブセットを同定する工程を含む。例えばこの経路は、ユビキチン化または脱ユビキチン化である。更なる態様において、分析工程後に、このサブセットは、質量分析を行うことにより免疫単離することができる。
エピトープタグ、酵素活性を有するサブセットのメンバー由来のペプチド、およびメンバーペプチドのカルボキシ末端の阻害基、酵素に接触しおよび活性を阻害する能力を有する阻害基を含む、アミノ酸配列を有する半合成蛋白質ベースの部位特異的プローブを調製する工程;
細胞ライゼートをプローブと接触させる工程;および
還元SDSゲル電気泳動およびこのタグに特異的な抗体とのイムノブロッティングによりライゼートを分析し、その結果サブセットのメンバーによりコードされた細胞ライゼート構成要素がプローブに結合し、および抗体と反応し、ゲル上のバンドを可視化し、これにより経路を共有するプロテオームのサブセットを同定する工程を含む。例えばこの経路は、ユビキチン化または脱ユビキチン化である。更なる態様において、分析工程後に、このサブセットは、質量分析を行うことにより免疫単離することができる。
本発明の態様は、エピトープタグ、ユビキチンまたはユビキチン様酵素のアミノ酸配列、およびこのアミノ酸配列のカルボキシ末端に共有結合した阻害性化合物を有する半合成蛋白質ベースの部位特異的プローブ、並びに使用説明書を含む、細胞中のユビキチン化および脱ユビキチン化蛋白質を同定するためのキットである。例えば、配列番号:5記載のアミノ酸配列を有する蛋白質が提供される。
態様の詳細な説明
脱ユビキチン化酵素(DUB)の共有的インヒビターであるUbVS(ユビキチンビニルスルホン)および他の同様のプローブの合成が提供される。遺伝子判定に加え、可逆的インヒビター(Ubal)との比較は、両方とも、この親和性プローブの特異性を確立する情報をもたらした。UbVSを用い、粗抽出物中のDUBを検出し、および26Sプロテアソームとの会合において別のDUB、USP14の存在を発見した。驚くべきことに、UbVSによるUSP14標識の強度は、プロテアソームの活性に反比例し、その結果ユビキチン-プロテアソーム経路の異なる構成要素間の物理的および機能的相互作用を明示している。
脱ユビキチン化酵素(DUB)の共有的インヒビターであるUbVS(ユビキチンビニルスルホン)および他の同様のプローブの合成が提供される。遺伝子判定に加え、可逆的インヒビター(Ubal)との比較は、両方とも、この親和性プローブの特異性を確立する情報をもたらした。UbVSを用い、粗抽出物中のDUBを検出し、および26Sプロテアソームとの会合において別のDUB、USP14の存在を発見した。驚くべきことに、UbVSによるUSP14標識の強度は、プロテアソームの活性に反比例し、その結果ユビキチン-プロテアソーム経路の異なる構成要素間の物理的および機能的相互作用を明示している。
公知のUBPおよびUCHは、Ubへの特異性を持つチオールプロテアーゼである。適当な求電子試薬のUbのC末端への導入は、UBPおよびUCHを共有付加物として不可逆的に捕獲することを可能にする。このようなプローブの125Iによる標識により、ユビキチン化および脱ユビキチン化に関連した活性DUBおよび他の蛋白質を直接可視化することは可能であるはずである。
ビニルスルホンは、チオールプロテアーゼの阻害に理想的に適した万能な官能基である(Palmerら、J. Med Chem、38:3193-6(1995))。それらの反応性は、プロテアソーム、N末端トレオニン加水分解酵素のような、チオールプロテアーゼに必ずしも限定されず、ペプチドビニルスルホンによっても効果的に阻害される(Bogyoら、Proc Natl Acad Sci USA、94:6629-34(1997))。ユビキチン(Ub)を修飾するためのトリプシン-触媒したペプチド転移の良く確立された方法(Wilkinsonら、Biochemistry、25:6644-9(1986))を用い、UbのC末端修飾されたビニルスルホン誘導体、以後UbVSと称するものを、蛋白質標識の特異性を得るためのツールとして合成した。[125I]-UbVSの使用は、粗細胞抽出物中の活性UBP/UCH(UB特異的プロセシングプロテアーゼ/Ub C末端加水分解酵素)の可視化を可能にする。先に特徴付けられた37kDa酵素に加え(Lamら、J. Biol Chem、272:28438-46(1997))、新規第二のDUBが、哺乳類プロテアソームに関連して、ここで発見された。この酵素は、USP14、酵母Ubp6の哺乳類ホモログとして同定された。USP14は、p37とは異なり、26S複合体およびその活性と関連しており、これはインビトロおよび生存細胞内の両方において、プロテアソーム阻害により影響を受ける。
UBPおよびUCHのプローブとしての[125I]-UbVS使用の重要な利点は、この化合物は、ビニルスルホン部分により付与された標識の機構を基に不可逆的様式を有することである(Palmerら、J Med Chem、38:3193-6(1995))。チオエーテル連結は、DUB活性部位チオールの反応性マイケルアクセプターであるUbVSのビニルスルホンに対する攻撃から生じる。この型の連結は、Lamとその同僚の論文(Lamら、Nature、385:737-40(1997))に説明されたような、Ub-イソニトリル誘導体により形成された付加物とは異なり、SDS-PAGEにおいて使用される還元性試料緩衝液に対し抵抗性がある。従って、[125I]-UbVSを粗ライゼートと接触させ、これにより活性UBPおよびUCHのサブセットを直接可視化することが可能である。従って[125I]-bVSによる細胞ライゼート中の所定の酵素の標識の強度は、その活性と対応している。UbVSの使用は、それらの活性を評価するための、対象となるDUBの精製の必要性を明らかにしている。
組換えUCH-L3酵素または粗抽出物の、アルキル化剤N-エチルマレイミドによる前処理は、標識を消滅させる(図1)。これは、DUBの例としてのUCH-L3の触媒活性に関連した活性部位システインの存在を示す(Wilkinson、FASEB J、11:1245-56(1997))。このクラスの酵素の公知のインヒビターであるUbalは、細胞抽出物中のDUBの[125I]-UbVS標識の効果的競合剤である(図2Bおよび3B)。UbalおよびUbVSは両方とも、UCH-L3に、マイクロモルを下回る結合定数で結合し(Dangら、Biochemistry、37:1868-79(1998))、このことはこのようなインヒビターが治療的物質のような医薬品のためのリード化合物として有用であることを示唆するものである。
[125I]-UbVSによる特異的標識は、遺伝的データも基にしている。出芽酵母におけるDUB遺伝子の欠失変異体は、この特定の欠失について予想された分子量のポリペプチドの[125I]-UbVS標識を欠いている。実際に、17種の既知または推定DUBの中の6種は、粗酵母抽出物中のここで標識されたバンドの全てを説明し、このことは、このクラスの酵素に対するUbVSの特異性を明らかにしている。Ubp1pについて認められた複数のバンド(図2A)は、蛋白質分解性切断が原因であると考えられる。全ての酵母DUBが、[125I]-UbVSにより標識されるわけではなく;いずれか特定の機構に結びつけられるものではないが、この知見は、いくつかの方法で説明することができる。ビニルスルホン置換は、特定のUBPの活性部位と、束縛性(hinder)に相互作用し、これによりUBPを標識されにくくする。イソペプチダーゼTについて認められるように(Wilkinsonら、Biochemist、34:14535-46(1995))、更にいくつかのUBPが、ポリ-Ub鎖に対しモノマーUbよりもより高い親和性を有する。最後に、対数増殖期または静止期の酵母のいくつかのUBPの発現レベルは、この方法で検出するには余りにも低い。酵母ゲノムアレイ解析を基にしたDUBファミリーに関するmRNAレベルの検証は、標識されたDUBの中の3種(Ubp1、2および6)が、他のDUBの大半よりも高度のmRNA転写レベルを有することを示し、このことは増大した発現は、標識により検出が可能である他のDUBを明らかにすることを示唆している(Holstegeら、Cell、95:717-28(1998))。
酵母UBPは一般に、単独または複数のDUBの遺伝的欠失は、致死性または重症の表現型をもたらすことなく機能することができるので、本質的ではないと考えられる(Amerikら、Biol Chem、381:981-92(2000);Bakerら、J Biol Chem、267:23364-75(1992))。いずれか特定の機構に結びつけることなく、本明細書に説明した酵母抽出物による結果は、多くのUBPの機能が重複すること、または機能は、特定の基質もしくは経路に調節および制限され得ること、または全ての酵素が、プロテアソームの蛋白質分解前に基質からUbを除去する義務はないことを示している。本明細書において、HAUbプローブの特異性および活性を同定する酵母システムの使用を作出している。ビニルスルホン以外の求電子試薬によるUb誘導体の合成は、DUBファミリーの追加の活性メンバーを同定することができる。
組織または培養細胞から調製された様々な哺乳類細胞抽出物の標識は、活性DUB種のより大きい哺乳類での複雑性を明らかにし(図3)、これは多数の哺乳類のUBPおよびUCHを反映している(Chungら、Biochem Biophys Res Commun、266:633-40(1999))。ここでひとつの標識されたポリペプチドは、Ubalのサイズおよび親和性が、酵母Ubp6pに類似していた(図2Bおよび3B)。免疫学的判定は、本明細書において、このポリペプチドは、Ubp6の哺乳類ホモログUSP14に対応していることを確認した(図4B)。USP14およびUbp6pは、インビトロにおいて試験されているが、それらの生理的機能は依然不明である。酵母におけるUbp6の欠失変異体は、生存可能であり;報告された表現型は、カナビニン(canavinine)に対する感受性およびUb-Pro-β-ガラクトシダーゼの安定化を含む(Wyndhamら、Protein Sci、8:1268-75(1999))。組換えUSP14のインビトロ試験は、モノマー蛋白質が、Ubおよび非加水分解性Ubダイマーの両方について低い親和性を有することを示している。HAUbプローブに関する本明細書のデータは、Ubalにより標識されたUbVSの余り良くない競合を示した。USP14は、明らかにインビトロにおいてポリ-Ub蛋白質複合体を分解することができない(Yinら、Biochemist、39:10001-10(2000))。
USP14およびそのホモログは、N末端にII型ユビキチン様(Ubl)ドメインを有する(JentschおよびPyrowolakis、Trends Cell Biol、10:335-42(2000);Schauberら、Nature、391:715-8(1998))。Ublを欠いているUbp6は、Ubp6欠失表現型を相補せず、およびUblは、Ubp6pによる直鎖状Ub融合のインビトロプロセッシングには必要ない(Wyndhamら、Protein Sci、8:1268-75(1999))。Ublは、USP14/Ubp6のその相互作用のパートナーまたは基質への標的化には必要であるが、固有の触媒活性には必要ではない。hPLIC1、Rad23およびBAG-1のようなII型Ublを含有する蛋白質は、26Sプロテアソームとの相互作用のために、このドメインが必要である(Kleijnenら、Mol Cell、6:409-19(2000);Ludersら、J Biol Chem、275:4613-4617(2000);Schauberら、Nature、391:715-8(1998))。19SサブユニットS5aは、ポリ-ユビキチン鎖に結合し、およびS5aとhHR23のUblの間の直接相互作用が報告されており、このことはS5aが他のUbl含有蛋白質にも結合することを示唆している(Hiyamaら、J Biol Chem、274:28019-25(1999))。Rad23のS5aへの結合は、その分解にはつながらない。データは、Ublは、プロテアソームによる分解のためにUSP14を標的としないことを示し、その理由は35S標識したUSP14は、長い追跡期間にわたり安定しているからである(6〜24時間)。
いくつかのDUBの26Sプロテアソームとの一過性の会合が観察されており、これは酵母のDoa4およびアメフラシのAp-UCHを含む(Hegdeら、Cell、89:115-26(1997);Papaら、Mol Biol Cell、10:741-56(1999))。しかしこれらの酵素は、精製されたプロテアソーム調製物中には検出されない。19S複合体の安定した部分であると考えられるDUBのみが、ヒトおよびショウジョウバエ給源由来の純粋なプロテアソーム中に認められる37kDa UCHであり、19Sの蓋(lid)と底(base)の間のヒンジ領域に局在化している(Holzlら、J Cell Biol、150:119-130(2000);Lamら、Nature、385:737-40(1997))。26Sに会合したUbal-非感受性脱ユビキチン化活性が、初期の研究において報告されたが、その同一性は確立されていない(Eytanら、J Biol Chem、268:4668-74(1993))。少ない量のUbp6pが、アフィニティ精製した酵母プロテアソームについて行われた質量分析により検出された(Vermaら、Mol Biol Cell、11:3425-39(2000))。しかしUSP14は、従来の精製したプロテアソーム上においては検出されず、これはUSP14-プロテアソーム会合はp37のそれよりも安定していないこと、およびUSP14の回復は、用いた実験法に大きく左右されることを示している。本明細書の様々な反応性ベクターと相互作用しおよび遺伝的マーカーを付けた酵母株を用い同定された蛋白質並びに他の考察を、表3および表4に列記している。
p37の[125I]-UbVSによる標識は、プロテアソームインヒビターの存在により影響を受けない(図4A)のに対し、USP14標識は、時間依存方式で15倍も多く増加する(図4B)。プロテアソーム阻害に反応するこの差異は、USP14機能がp37とは異なることを示唆し、これはプロテアソーム基質上のポリ-Ub鎖を、その鎖の遠位端から切断により校正すると考えられる活性を有する(Lamら、J Biol Chem、272:28438-46(1997);Lamら、Nature、385:737-40(1997))。プロテアソーム-会合したUSP14は、基質としてポリ-Ub複合体化蛋白質と相互作用する可能性がある。予備的知見は、USP14のプロテアソーム結合型のみが、[125I]-UbVSにより標識され得ることを示し(図6)、これはプロテアソーム-結合したUSP14のUbへの親和性が、遊離の組換え蛋白質により決定されたものと異なり得ることを示唆している(Yinら、Biochemist、39:10001-10(2000))。そうであるならば、USP14は、その基質特異性および活性が結合パートナーとの会合により調節されるDUBの最初の例である。
ここで認められたUSP14標識の増加は、USP14の新規合成のアップレギュレーションに起因するものではなく、同様の増加は、NLVS処理した細胞非含有(free)ライゼート、およびプロマイシンの添加により翻訳が阻害された全細胞においても認められる(図6)。この標識の増加は、インヒビターの存在下でのプロテアソーム複合体の安定化に起因し、追加のUSP14蛋白質の結合を生じるであろう。
機構について限定するものではないが、このプロテアソームの活性とプロテアソーム-結合したUSP14のそれとの間の機能性カップリングをここで提唱する。このようなカップリングを実現する可能性のある機構は、プロテアソーム阻害に対する26S複合体全体を通じて広められたコンホメーションの変化によるUSP14の活性化を含むが、これらに限定されるものではない。HslVの活性部位に対するHslUの嵌合に対するコンホメーション変化の伝達の証拠が報告されており(Sousaら、Cell、103:633-43(2000))、これは巨大な蛋白質複合体内の長距離にわたるコンホメーションの変化の可能性を明らかにしている。あるいは、USP14活性は、ポリ-ユビキチン化された基質のレベルにより調節され、これはUb複合体が本発明者らの実験条件下で継続する場合には、プロテアソーム阻害時に蓄積する。DUB特異性親和性プローブであるUbVSおよび本明細書の他のものは、更にプロテアソーム媒介した蛋白質分解におけるUSP14の役割を定義するためにも有用なツールであろう。
ビニルスルホンを伴うプローブは、全ての可能性のあるDUBを標的化することは認められなかったので、追加の化学基を有するベクターの開発が望ましい。標準の放射性標識の代わりのエピトープタグ、または他のタグの導入、更には細胞透過性を実現するHIV由来のTAT蛋白質の使用のように、プローブに対する他の有用な属性を提供することも、酵素の可視化および同定を促進する。プローブは、個々の酵素に加え、蛋白質群に対して特異的な追加のインヒビターを可能にするように設計され、その結果特異的な診断適用および治療適用の条件を満たすことができる。
多様な化学基のひとつを取込んでいる半合成ユビキチン(Ub)およびユビキチン様(Ubl)誘導体は、市販のインテイン-含有ベクター(例えば、New England Biolabs社、バーレイ、MAより入手;「Single-column purification of free recombinant proteins using a self-cleavable tag derived from a protein splicing element」、S. Chongら、Gene、192:271-281(1997))を用い、大腸菌において所望の蛋白質(UbまたはUbl)を発現することにより調製することができる。発現された蛋白質は、順に構築体のN末端からC末端へと以下を含む:N末端エピトープ-タグ、例えばC末端アミノ酸を欠いているUb/Ubl配列のような所望の親和性-形成結合ペプチド、インテイン、並びにキチン-結合ドメイン。キチン-ビーズ上で精製後、このUb/Ublポリペプチドは、MESNA(メルカプトエタンスルホン酸ナトリウム塩)を用い、インテインから切断される。
こうして得られたUb/Ubl蛋白質は、C末端化学反応基(「弾頭(warhead)」として作用する電子求引基(EWG))を取込むように有機化学技術により修飾される。得られた半合成生成物は、可逆的様式(例えば、生成物は、アルデヒド/ボロナートを有するペプチドである)でUb/Ubl特異的酵素と相互作用することが可能であるか、または不可逆的様式(生成物は、ペプチド-マイケルアクセプター、アルキル化剤である)でUb/Ubl特異的酵素と相互作用することが可能である。修飾された酵素(不可逆的インヒビターである場合)は、SDS-PAGE、それに続く例えば、ヘマグルチニン(HA)のような、N末端エピトープタグに対する抗体によるイムノブロッティングにより可視化することができる。UbまたはUbl-由来のプローブで処理した細胞ライゼートは、広範な種類の細胞および細胞組織から作成することができる。本明細書のプローブおよび方法を用い、診断を目的として、粗抽出物中の様々な蛋白質の活性を決定することができる。更にプローブを用い、特異的酵素の更なる局在化のために、例えば、細胞膜、細胞質、核、核膜、およびミトコンドリア画分を分離する細胞分画時に、蛋白質を局在化することができる。
本明細書のプローブとの相互作用により修飾された酵素および蛋白質は、更にN末端エピトープタグに特異的な抗体により免疫沈降することができ、およびSDS-PAGE、その後の銀染色のような染色により可視化することができ(図11)、ならびに更にタンデム質量分析により同定することができる(図12並びに表3および表4)。
ここで機能化されたUb蛋白質は、Ub複合体化および脱複合体化に関連した酵素を効果的に標識することが示されている。ここで、この方法は、N末端エピトープタグを伴うまたは伴わない、完全長のC末端が修飾されないUbの大規模調製を可能にすることも示されている。図7参照のこと。
プロテオームのサブセット、例えばユビキチン関連プロテオームに特異的な弾頭は、例えばUbチオエステルのような、インテイン由来の配列の直接的求核置換によるか、または下記の工程のいずれかにより、導入することができる:1-アミノ-2,2-ジメトキシアルカンを添加する工程;得られたアセタールに酸触媒した加水分解を行う工程;および、ペプチドアルデヒド(様々なユビキチン-関連した酵素の可逆的インヒビター)を単離する工程。図8を参照のこと。
更に、ウィティッヒ反応の使用は、水性溶液中でこうして得られたアルデヒドの安定化された収量を伴い、これはペプチド-マイケルアクセプター(これは不可逆的インヒビターである)につながる。同じく添付された合成経路を参照のこと。図2を参照。これらの方法により得られたインヒビターの例は、図9に示している。
本発明はここで、十分に説明された具体的態様を伴う本発明は、下記「実施例」において示されているが、これは更なる制限を構成するものではない。この作業の一部は、2001年9月17日に、「A novel active site-directed probe specific for deubiquitylating enzymes reveals proteasome association of USP14」、A. Borodovskyら、Embo J、20:5187-5196(2001)、および「Chemistry-based funtional proteomics reveals novel members of the deubiquitinating enzyme family」、A. Borodovskryら、Chem. Biol.、9:1-20(2002)で、公開されており、これら両方の内容はその全体が本明細書に参照として組入れられている。
実施例
下記材料および方法を、本明細書の実施例を通じて使用した。
材料:HPLC-等級の有機溶媒N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)およびジクロロメタン(American Bioanalytical社)、n-ヘキサンおよび酢酸エチル(Fisher社)を、そのまま使用した。テトラヒドロフランは、Acros社から入手し、および使用前にLiAlH4上、窒素大気下で蒸留した。N,N-ジメチルアミノピリジン(DMAP)は、Lancaster社から購入した。 チオフェノール、2-クロロエチルアミン塩酸塩および2-ブロモエチルアミン臭化水素酸塩は、Acros社から購入した。3-ブロモプロピルアミン臭化水素酸塩、メチルトリフェニルホスホロアニリデン酢酸塩およびトリフェニルホスホロアニリデンアセトニトリルは、Aldrich社から購入した。メタンスルホニルメチル-ホスホン酸ジエチルエステルおよびベンゼンスルホニルメチル-ホスホン酸ジエチルエステルは、文献の手法に従い合成した(Dragovichら、J. Med. Chem.、41:2806-2818(1998);LiuおよびHanzlik、J. Med. Chem.、35:1067-1075(1992))。Slide-a-lyzer(商標)透析膜は、Pierce社から入手した。NMRスペクトルは、Varian 200MHzスペクトロメーター上で記録し;質量スペクトルは、Water DeltaPak C4(3.9x150mm)カラムを装着したエレクトロスプレーLCZ LC-MS装置(LC HP1100 Hewlett Packert、MS Micromass、英国)で記録した。
下記材料および方法を、本明細書の実施例を通じて使用した。
材料:HPLC-等級の有機溶媒N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)およびジクロロメタン(American Bioanalytical社)、n-ヘキサンおよび酢酸エチル(Fisher社)を、そのまま使用した。テトラヒドロフランは、Acros社から入手し、および使用前にLiAlH4上、窒素大気下で蒸留した。N,N-ジメチルアミノピリジン(DMAP)は、Lancaster社から購入した。 チオフェノール、2-クロロエチルアミン塩酸塩および2-ブロモエチルアミン臭化水素酸塩は、Acros社から購入した。3-ブロモプロピルアミン臭化水素酸塩、メチルトリフェニルホスホロアニリデン酢酸塩およびトリフェニルホスホロアニリデンアセトニトリルは、Aldrich社から購入した。メタンスルホニルメチル-ホスホン酸ジエチルエステルおよびベンゼンスルホニルメチル-ホスホン酸ジエチルエステルは、文献の手法に従い合成した(Dragovichら、J. Med. Chem.、41:2806-2818(1998);LiuおよびHanzlik、J. Med. Chem.、35:1067-1075(1992))。Slide-a-lyzer(商標)透析膜は、Pierce社から入手した。NMRスペクトルは、Varian 200MHzスペクトロメーター上で記録し;質量スペクトルは、Water DeltaPak C4(3.9x150mm)カラムを装着したエレクトロスプレーLCZ LC-MS装置(LC HP1100 Hewlett Packert、MS Micromass、英国)で記録した。
HAUb 75 MESNaへの化学連結のためのチオール-反応基の合成
N-tert-ブチルオキシカルボニル(Boc)保護したグリシン(glycinal)を、N-Boc-1-アミノ-2,3-プロパンジオールの過ヨウ素酸ナトリウムが媒介した酸化的ジオール切断により得た。こうして得たN-Boc-グリシンを、ウィティッヒイリド(VMEについてはメチルトリフェニルホスホロアニリデン酢酸塩、VCNについてはトリフェニルホスホロアニリデンアセトニトリル)のいずれかと室温で、もしくはHomer-Wadsworth-Emmons試薬(HAUbVSについてはメタンスルホニルメチル-ホスホン酸ジエチルエステル、水素化ナトリウム、HAUbVSPhについてはベンゼンスルホニルメチル-ホスホン酸ジエチルエステル、水素化ナトリウム)とTHE中0℃で反応し、全ての場合において、〜80%と高い収率で、Z/E混合物としてのN-Boc保護された求電子性トラップを生じた。E-異性体は、全ての場合において、主要な異性体であり、シリカゲル上のカラムクロマトグラフィーにより精製することができる。Boc-基の脱保護は、ジエチルエーテルまたはメチル-tert-ブチルエーテルのいずれかを溶媒とする無水トルエンスルホン酸(3当量、攪拌せず)の添加により行い、その時点で脱保護されたアミンは、para-トルエンスルホン酸塩として晶出した。
N-tert-ブチルオキシカルボニル(Boc)保護したグリシン(glycinal)を、N-Boc-1-アミノ-2,3-プロパンジオールの過ヨウ素酸ナトリウムが媒介した酸化的ジオール切断により得た。こうして得たN-Boc-グリシンを、ウィティッヒイリド(VMEについてはメチルトリフェニルホスホロアニリデン酢酸塩、VCNについてはトリフェニルホスホロアニリデンアセトニトリル)のいずれかと室温で、もしくはHomer-Wadsworth-Emmons試薬(HAUbVSについてはメタンスルホニルメチル-ホスホン酸ジエチルエステル、水素化ナトリウム、HAUbVSPhについてはベンゼンスルホニルメチル-ホスホン酸ジエチルエステル、水素化ナトリウム)とTHE中0℃で反応し、全ての場合において、〜80%と高い収率で、Z/E混合物としてのN-Boc保護された求電子性トラップを生じた。E-異性体は、全ての場合において、主要な異性体であり、シリカゲル上のカラムクロマトグラフィーにより精製することができる。Boc-基の脱保護は、ジエチルエーテルまたはメチル-tert-ブチルエーテルのいずれかを溶媒とする無水トルエンスルホン酸(3当量、攪拌せず)の添加により行い、その時点で脱保護されたアミンは、para-トルエンスルホン酸塩として晶出した。
プラスミド構築
pTYB-HAUbプラスミドは、ヒトUb(G1y76を欠いている)配列のpTYB2ベクター(New England Biolabs社)へのクローニングにより構築し、インテインおよびキチン-結合ドメインのインフレーム融合体を作出した。HAタグを、オリゴヌクレオチドカセットの、Ub配列の5'末端NdeI部位への挿入により導入した。
pTYB-HAUbプラスミドは、ヒトUb(G1y76を欠いている)配列のpTYB2ベクター(New England Biolabs社)へのクローニングにより構築し、インテインおよびキチン-結合ドメインのインフレーム融合体を作出した。HAタグを、オリゴヌクレオチドカセットの、Ub配列の5'末端NdeI部位への挿入により導入した。
HAUb 75 -MESNaの合成
pTYB-HAUbの単独のコロニーを、100μg/mlアンピシリンを含有するLB培地1Lにおいて、37℃で増殖し、およびその発現を、100mgイソプロピル-β-チオ-ガタクトピラノシドの添加により、30℃で2時間誘導した。細胞を遠心分離し(4000rpm)、および50mM HEPES(pH6.5)、100mM NaOAc、50μM PMSFの50ml中に再懸濁し、フレンチプレス(1500psi(1.0x107Pa))により破砕した。透明化された細胞抽出物を、遠心(12000rpm)により得た。細胞抽出物を、15mlキチンビーズ(New England Biolabs社)カラムに負荷し、流量0.5ml/分で流した。カラムを、溶解緩衝液60mL、引き続き50mMβ-メルカプトエタノールスルホン酸ナトリウム塩(MESNa)を含有する溶解緩衝液25mLで洗浄し、カラム上での切断の誘導のために、37℃で一晩インキュベーションした。溶解緩衝液25mLを使用し、HAUb75-MESNaチオエステルを溶離し、この溶離液を1mLに濃縮し、蛋白質約2.5mgを得た。HA-タグのN末端メチオニンは、何度も部分的に処理し除去し(processed off)、標識実験において同じように挙動する2種の蛋白質の混合物を得た。
pTYB-HAUbの単独のコロニーを、100μg/mlアンピシリンを含有するLB培地1Lにおいて、37℃で増殖し、およびその発現を、100mgイソプロピル-β-チオ-ガタクトピラノシドの添加により、30℃で2時間誘導した。細胞を遠心分離し(4000rpm)、および50mM HEPES(pH6.5)、100mM NaOAc、50μM PMSFの50ml中に再懸濁し、フレンチプレス(1500psi(1.0x107Pa))により破砕した。透明化された細胞抽出物を、遠心(12000rpm)により得た。細胞抽出物を、15mlキチンビーズ(New England Biolabs社)カラムに負荷し、流量0.5ml/分で流した。カラムを、溶解緩衝液60mL、引き続き50mMβ-メルカプトエタノールスルホン酸ナトリウム塩(MESNa)を含有する溶解緩衝液25mLで洗浄し、カラム上での切断の誘導のために、37℃で一晩インキュベーションした。溶解緩衝液25mLを使用し、HAUb75-MESNaチオエステルを溶離し、この溶離液を1mLに濃縮し、蛋白質約2.5mgを得た。HA-タグのN末端メチオニンは、何度も部分的に処理し除去し(processed off)、標識実験において同じように挙動する2種の蛋白質の混合物を得た。
HAUb-由来の活性部位チオール-反応性プローブの合成および精製
HAUbCl、HAUbBr2、HAUbBr3:カラム緩衝液(500μl)中のHAUb75-MESNaの溶液(1〜2mg/mL)に、0.2mmolの所望のハロアルキルアミンハロ酸塩および2.0M NaOH水溶液100μlを逐次添加し、この混合物を直ぐに激しく攪拌した。室温に20分間放置した後、2.0M HCl水溶液100μlを添加し、この溶液を、3.5mL Pierce Slide-a-lyzerカセット(3500MWCO)中で、50mM NaOAc(pH4.5)に対し2時間透析した。得られた生成物(LC-MSから推定した>90%転換率)を、アリコートに分け、-80℃で貯蔵した(数ヶ月間の貯蔵で、著しい劣化は認められなかった。)。HAUbVME、HAUbVS、HAUbVCN:HAUb75-MESNaの溶液(1〜2mg/mL、500μl)に、以下を逐次添加した:0.125mmolのpara-トルエンスルホン酸塩としての所望のマイケルアクセプター、引き続き2M N-ヒドロキシスクシンイミド75μl、および2M NaOH 125μL。この混合物を、37℃で2時間インキュベーションし、反応の進行を、LC-MSによりモニタリングし、加水分解を行うことで、所望の生成物を50〜60%の転換率で得た。この反応混合物を、125μLの2M HClの添加により中和し、および先に説明したように透析した。HAUbVsPh:HAUb75-MESNa溶液(1〜2mg/ml、500μl)に、以下を逐次添加した:DMFの250μl中のグリシンビニルフェニルスルホントシック酸(tosic acid)塩(0.2mmol、46mg)の溶液、引き続きDMF中1M DMAPの50μlおよび2M NaOH水溶液を100μl。反応の進行はLC-MSによりモニタリングし、45分後に、2M HCl水溶液100μlおよび50mM NaOAc(pH4.5)1mlを添加し、この混合物を、同じ溶媒に対して、一晩4℃で透析した。生成物を濾過し、およそ500μlに濃縮した。HAUb:HAUb75-MESNa(1〜2mg/ml、500μl)の溶液に、チオフェノール2μlを含有する水中の2.3Mグリシン(pH8.3)200μlを引き続き添加した。3時間後、この混合物を濾過し、前述のように透析した。HAUb、HAUbVS、HAUbVSPh、HAUbVME、HAUbVCN、HAUbBr2、HAUbBr3を、Pharmacia SMARTシステム MonoS 1.6/5カラムを用い、0から30%のB緩衝液の直線勾配:50mM NaOAc(pH4.5)(緩衝液A)、50mM NaOAc(pH4.5)、1M NaCl(緩衝液B)で、純度95%に精製したが、HAUbVSPhは、そのC末端の疎水性のために、異なる溶離プロファイルを生じた。全ての合成的に修飾されたHA-タグ付きユビキチン誘導体を精製し、その後安定性が低いように見えるHAUbBr2以外は、これらを実験に使用した。この化合物は、合成収率は>90%であったので、透析後直接使用した。全てのUb-由来のプローブを、LC-MS(ESI)により分析した。C4逆相HPLCカラムを、0.1%ギ酸/アセトニトリル緩衝液システムを用いる、20分間かけた0から80%への勾配を、流量0.4ml/分で用いた。各HAUb-由来のプローブについて高電離種がもたらされた(列記した種は、N末端メチオニン残基を有する):
HAUbCl、HAUbBr2、HAUbBr3:カラム緩衝液(500μl)中のHAUb75-MESNaの溶液(1〜2mg/mL)に、0.2mmolの所望のハロアルキルアミンハロ酸塩および2.0M NaOH水溶液100μlを逐次添加し、この混合物を直ぐに激しく攪拌した。室温に20分間放置した後、2.0M HCl水溶液100μlを添加し、この溶液を、3.5mL Pierce Slide-a-lyzerカセット(3500MWCO)中で、50mM NaOAc(pH4.5)に対し2時間透析した。得られた生成物(LC-MSから推定した>90%転換率)を、アリコートに分け、-80℃で貯蔵した(数ヶ月間の貯蔵で、著しい劣化は認められなかった。)。HAUbVME、HAUbVS、HAUbVCN:HAUb75-MESNaの溶液(1〜2mg/mL、500μl)に、以下を逐次添加した:0.125mmolのpara-トルエンスルホン酸塩としての所望のマイケルアクセプター、引き続き2M N-ヒドロキシスクシンイミド75μl、および2M NaOH 125μL。この混合物を、37℃で2時間インキュベーションし、反応の進行を、LC-MSによりモニタリングし、加水分解を行うことで、所望の生成物を50〜60%の転換率で得た。この反応混合物を、125μLの2M HClの添加により中和し、および先に説明したように透析した。HAUbVsPh:HAUb75-MESNa溶液(1〜2mg/ml、500μl)に、以下を逐次添加した:DMFの250μl中のグリシンビニルフェニルスルホントシック酸(tosic acid)塩(0.2mmol、46mg)の溶液、引き続きDMF中1M DMAPの50μlおよび2M NaOH水溶液を100μl。反応の進行はLC-MSによりモニタリングし、45分後に、2M HCl水溶液100μlおよび50mM NaOAc(pH4.5)1mlを添加し、この混合物を、同じ溶媒に対して、一晩4℃で透析した。生成物を濾過し、およそ500μlに濃縮した。HAUb:HAUb75-MESNa(1〜2mg/ml、500μl)の溶液に、チオフェノール2μlを含有する水中の2.3Mグリシン(pH8.3)200μlを引き続き添加した。3時間後、この混合物を濾過し、前述のように透析した。HAUb、HAUbVS、HAUbVSPh、HAUbVME、HAUbVCN、HAUbBr2、HAUbBr3を、Pharmacia SMARTシステム MonoS 1.6/5カラムを用い、0から30%のB緩衝液の直線勾配:50mM NaOAc(pH4.5)(緩衝液A)、50mM NaOAc(pH4.5)、1M NaCl(緩衝液B)で、純度95%に精製したが、HAUbVSPhは、そのC末端の疎水性のために、異なる溶離プロファイルを生じた。全ての合成的に修飾されたHA-タグ付きユビキチン誘導体を精製し、その後安定性が低いように見えるHAUbBr2以外は、これらを実験に使用した。この化合物は、合成収率は>90%であったので、透析後直接使用した。全てのUb-由来のプローブを、LC-MS(ESI)により分析した。C4逆相HPLCカラムを、0.1%ギ酸/アセトニトリル緩衝液システムを用いる、20分間かけた0から80%への勾配を、流量0.4ml/分で用いた。各HAUb-由来のプローブについて高電離種がもたらされた(列記した種は、N末端メチオニン残基を有する):
EL4細胞抽出物の調製およびHAUb誘導体による標識
EL-4細胞(10%FCS、1%グルタミンおよび1%ペニシリン/ストレプトマイシンを補充したRPMI-HEPESにおいて培養)を収穫し、およびPBSで3回洗浄した。細胞ペレットを、緩衝液HR(50mM Tris(pH7.4)、5mM MgCl2、250mMショ糖、1mM DTT、2mM ATP)中で、ガラスビーズと共に溶解した。遠心により核を除去し、および蛋白質抽出物20μgを、HAUb誘導体による標識に使用した。指定された濃度のHAUb誘導体を、細胞抽出物と共に37℃で1時間インキュベーションした。試料を、還元8%SDS-PAGEで分解し、PVDF膜にブロッティングし、PBS中5%ミルク0.1%Tweenでブロックし、抗-HA12CA5モノクローナル抗体と共にインキュベーションした。ヤギ-抗-マウス-HRPを二次抗体として用い、ケミルミネセンスで検出した。
EL-4細胞(10%FCS、1%グルタミンおよび1%ペニシリン/ストレプトマイシンを補充したRPMI-HEPESにおいて培養)を収穫し、およびPBSで3回洗浄した。細胞ペレットを、緩衝液HR(50mM Tris(pH7.4)、5mM MgCl2、250mMショ糖、1mM DTT、2mM ATP)中で、ガラスビーズと共に溶解した。遠心により核を除去し、および蛋白質抽出物20μgを、HAUb誘導体による標識に使用した。指定された濃度のHAUb誘導体を、細胞抽出物と共に37℃で1時間インキュベーションした。試料を、還元8%SDS-PAGEで分解し、PVDF膜にブロッティングし、PBS中5%ミルク0.1%Tweenでブロックし、抗-HA12CA5モノクローナル抗体と共にインキュベーションした。ヤギ-抗-マウス-HRPを二次抗体として用い、ケミルミネセンスで検出した。
タンデム質量分析のための抗-HA免疫沈降
EL4細胞ライゼートを、0.5x109-2x109個の細胞を使用し、および前記溶解緩衝液中50μM PMSFでインキュベーションした以外は、前述のように調製した。ライゼート(約5mg/ml)を、所望のHAUb-由来のプローブと37℃で2時間インキュベーションした(5mgライゼートおよび6.6μgプローブを銀染色に用い、14〜20mgライゼートおよび20μgプローブをクマシー染色に使用した。)。最終濃度0.4%となるようSDSを添加し、試料を「変性」し、次にNET緩衝液(50mM Tris(pH7.5)、5mM EDTA、150mM NaCl、0.5%NP40)で0.1%未満へと希釈し、その後抗-HAアガロースに添加した。抗-HAアガロース(Sigma社)を、これらの試料と共に4℃で一晩インキュベーションし、免疫沈降を、NET緩衝液で十分に洗浄し、結合した蛋白質を、50mMグリシン(pH2.5)で4℃で30分間かけて溶離した。全ての試料を蒸発乾固させ、1xSDS-PAGE試料緩衝液50μlに再溶解した。必要ならばpHを、1M TrisでpH8に合わせた。試料を、8%還元SDS-PAGEにより分離し、標準条件を用い、銀またはクマシー染色により染色した。
EL4細胞ライゼートを、0.5x109-2x109個の細胞を使用し、および前記溶解緩衝液中50μM PMSFでインキュベーションした以外は、前述のように調製した。ライゼート(約5mg/ml)を、所望のHAUb-由来のプローブと37℃で2時間インキュベーションした(5mgライゼートおよび6.6μgプローブを銀染色に用い、14〜20mgライゼートおよび20μgプローブをクマシー染色に使用した。)。最終濃度0.4%となるようSDSを添加し、試料を「変性」し、次にNET緩衝液(50mM Tris(pH7.5)、5mM EDTA、150mM NaCl、0.5%NP40)で0.1%未満へと希釈し、その後抗-HAアガロースに添加した。抗-HAアガロース(Sigma社)を、これらの試料と共に4℃で一晩インキュベーションし、免疫沈降を、NET緩衝液で十分に洗浄し、結合した蛋白質を、50mMグリシン(pH2.5)で4℃で30分間かけて溶離した。全ての試料を蒸発乾固させ、1xSDS-PAGE試料緩衝液50μlに再溶解した。必要ならばpHを、1M TrisでpH8に合わせた。試料を、8%還元SDS-PAGEにより分離し、標準条件を用い、銀またはクマシー染色により染色した。
タンデム質量分析による蛋白質同定
個々のポリペプチドを、ゲルから切出し、脱色し、および標準の生化学的手法によりトリプシン分解を施した。これらの試料を、ピコフリット(picofrit)カラム(内径75μm、10cm、New Objective社、ウォーボーン、MA)を装着した、ナノフロー液体クロマトグラフィーシステム(Waters Cap LC社、メッドフォード、MA)を用い、流量約150nl/分で、ナノティー(nanotee)(Waters社、メッドフォード、MA)16/1スプリット(初期流量5.5gl/分)を用い分離した。LCシステムを、タンデム質量分析(Q-TOFマイクロ、Micromass社、マンチェスター、英国)と直接連結した。サーベイスキャンモードで分析を行い、および強度が6よりも大きい親イオンを、MassLynx 3.5ソフトウェア(Micromass社、英国)を使用し、MS/MSモードで配列した。MS/MSデータを処理し、ProteinLynx Global Server 1.1ソフトウェア(Micromass社、英国)を用いSwissprot、TREMBL/New(http://www.expasy.ch)に対して、またはMascot(Matrixscience社)を用いNCBI non-redundant(nr)もしくはマウスESTデータベースに対してデータベース検索を施した。
個々のポリペプチドを、ゲルから切出し、脱色し、および標準の生化学的手法によりトリプシン分解を施した。これらの試料を、ピコフリット(picofrit)カラム(内径75μm、10cm、New Objective社、ウォーボーン、MA)を装着した、ナノフロー液体クロマトグラフィーシステム(Waters Cap LC社、メッドフォード、MA)を用い、流量約150nl/分で、ナノティー(nanotee)(Waters社、メッドフォード、MA)16/1スプリット(初期流量5.5gl/分)を用い分離した。LCシステムを、タンデム質量分析(Q-TOFマイクロ、Micromass社、マンチェスター、英国)と直接連結した。サーベイスキャンモードで分析を行い、および強度が6よりも大きい親イオンを、MassLynx 3.5ソフトウェア(Micromass社、英国)を使用し、MS/MSモードで配列した。MS/MSデータを処理し、ProteinLynx Global Server 1.1ソフトウェア(Micromass社、英国)を用いSwissprot、TREMBL/New(http://www.expasy.ch)に対して、またはMascot(Matrixscience社)を用いNCBI non-redundant(nr)もしくはマウスESTデータベースに対してデータベース検索を施した。
細胞株および抗体:EL-4(胸腺上皮由来のマウス胸腺株)およびNIH3T3マウス細胞株を、標準の細胞培養条件下で維持した(Bogyoら、Chem Biol、5:307-20(1998))。ウサギ抗-ヒトHAUSPペプチド血清r201(Everettら、Embo J、16:566-77(1997))、およびウサギ抗-マウス20Sプロテアソームおよび抗-αC9 抗-血清(Nandiら、Embo J、16:5363-75(1997))を入手した。Mss1に対するウサギ抗-血清は、Affinity Research Products社(エクセター、英国)から購入した。マウスUSP14に対する抗-血清(HM433およびHM434)は、4種の合成ペプチドに連結したキーホールリンペットヘマグルチニン(KLH)で感作したNZWウサギにおいて産生し、これらの各々は、下記USP14配列により示したアミノ酸残基の位置を有し:
各ペプチドは、Advanced ChemTech 440 MOSシンセサイザー(ルイスビル、KY、米国)において合成した。
各ペプチドは、Advanced ChemTech 440 MOSシンセサイザー(ルイスビル、KY、米国)において合成した。
インヒビター:プロテアソームインヒビターNLVSおよびZL3VSを、既報(Bogyo、Thesis、Massachusetts Institute of Technology、1997)のように合成し、並びにエポキソミシンおよびユビキチンアルデヒドは、Affinity Research Products社(エクセター、英国)から購入した。
酵母株、培地および方法:培地は、既報のように調製した(Sherman、Methods in Enzymnology、194:3-21(1991))。全ての酵母培養は、リッチメディア(YPD)において30℃で増殖した。野生型株MHY501(Mato;his3-Δ200、leu2-3,112、ura-51、lys2-801、trp1-1)を使用した。その他の点ではUBP遺伝子の欠失を伴う株は、遺伝的にMHY501と同一であった(MHY526, Δubpl::URA3;MHY648, Δubp2::TRP1;MHY821, Δubp6::HIS3;MHY887, Δubp12::HIS3;MHY989, Δubp15::HIS3;MHY525, Δyuh1::LEU2)。
酵母ライゼートを調製するために、指数増殖している酵母細胞の8 ODを収穫した。細胞は、2mM ATP、1.5mM DTT、20mM PMSF、1μM TPCK、1μMロイペプチン、1μMペプスタチンを含有するPBS中に再懸濁し、並びにガラスビーズと共に激しく攪拌し、溶解した。ライゼートを遠心し、細胞デブリおよび核を除去した。ライゼート量50〜100μgを使用し、[125I]-UbVS標識した。
UCH-L3の精製:UCH-L3の大腸菌発現ベクターおよび大腸菌における過剰発現法および精製法は、説明されているようなものであり(Larsenら、Biochemist、35:6735-44(1996))、Qセファロースおよびセファデックス75 FPLC カラムを使用した。UCH-L3量66ngを使用し、[125I]-UbVS標識した。
ユビキチンビニルスルホン(UbVS)の合成:ユビキチン75-エチルエステル(Ub75OEt)を合成し、並びにゲル濾過およびカチオン交換クロマトグラフィーにより精製し(Wilkinsonら、Biochemistry、25:6644-9(1986);Wilkinsonら、Biochemist、29:7373-80(1990))、Pharmacia MonoS 1.6/5を用いる最終精製工程を追加した。Ub75OEtは、説明されたようにUb75ヒドラジンに転換し、更に精製せずに使用した(Wilkinsonら、Biochemist、29:7373-80(1990))。Trans-Boc-Gly-VSを合成し(Bogyoら、Chem Biol、5:307-20(1998))、塩化メチレン中の50%トリフルオロ酢酸による処理またはp-トルエンスルホン酸による処理に使用する前に、脱保護した。Ub75ヒドラジンは、0.5M亜硝酸による-5℃で1分間の処理により、Ub75アジドに転換し、これは直ぐにトリエチルアミンの存在下でNH2-Gly-VSと連結した(Wilkinsonら、Biochemist、29:7373-80(1990))。5分間-5℃でインキュベーションした後、反応液を50mM酢酸ナトリウム(pH4.5)に対して透析し、およびPharmacia SMART システム MonoS1.6/5カラムで精製し、純度95%とした。UbVSは、HP 1100 HPLCシステム(Hewlett Packard社、米国)と連結した、LCZエレクトロスプレー質量分析装置(Micromass社、英国)を用い、液体クロマトグラフィー/質量分析により同定した。C4逆相HPLCカラムを20分間かけた0〜80%勾配で、並びに0.1%ギ酸/アセトニトリル緩衝液システムを使用した。
哺乳類細胞抽出物の調製および[ 125 I]-UbVSによる標識:5x108個の量のEL-4細胞を収集し、およびPBSで3回洗浄した。細胞ペレットを、ガラスビーズと共に、緩衝液HR(50mM Tris(pH7.4)、5mM MgCl2、250mMショ糖、1mM DTT、2mM ATP)中で溶解した。核は、遠心により除去し、20μg量のライゼートを、[125I]-UbVSによる標識に用いた。40μg量のUbVSを既報のようにUbについてヨウ素化し(Ciechanoverら、Proc Natl Acad Sci USA、77:1365-1368(1980))、Iodo-genを触媒として使用し、並びに1mg/ml雌鳥卵リゾチームを、この反応の停止後、担体蛋白質として添加した。[125I]-UbVSの量0.5x106〜1x106cpmを、細胞抽出物と共に37℃で1時間インキュベーションした。試料を、還元SDS-PAGEを用いる電気泳動により分離し、オートラジオグラフィーにより分析した。
免疫沈降:抗-プロテアソーム免疫沈降(IP)を、先のように調製したEL-4ライゼート80μgを使用し、先のように2x106cpmの[125I]-UbVSまたは[125I]-NLVSで標識した。Ludersとその同僚により説明されたIP状態を使用した(Ludersら、J Biol Chem、275:4613-4617(2000))。簡単に述べると、試料を、プロテアソームIP緩衝液(25mM Tris(pH7.5), 100mM KCl、0.5% Tween20, 2mM MgCl2, 1mM ATP, 1mM PMSF, 2μg/mlアプロチニン、0.5μg/mlロイペプチン)中に再懸濁し、および予備クリアリング工程の後、プロテアーゼインヒビターを更に除去した。試料は、正常ウサギ血清により2回予備クリアリングし、抗-マウス20Sプロテアソーム血清3μlで免疫沈降し、および免疫複合体を、固定した黄色ブドウ球菌(Staph A)により回収した。ペレットを、プロテアソームIP緩衝液1mlにより3回洗浄し、その後SDS-PAGE試料緩衝液を添加し、引き続きSDS-PAGEおよびオートラジオグラフィーにより分析した。抗-USP14抗体による免疫沈降を、PBS中の1%SDSで変性したライゼートについて行った。SDS濃度を、NP-40溶解緩衝液(10mM Tris(pH7.8)、0.5%NP-40、150mM NaCl、5mM MgCl2)で0.01%未満に低下し、引き続き予備クリアリングおよび免疫沈降を行った。StaphA免疫沈降物を、NET緩衝液(0.5% NP-40, 50mM Tris(pH7.4)、150mM NaCl、5 mM EDTA)で3回洗浄した。
イムノブロッティング:イムノブロッティングは、公開されたプロトコールに従い実施した(Bonifacino、Current Protocols in Cell Biology、John Wiley & Sons社、第1巻、6.2.1-6.2.16頁、2000年)。簡単に述べると、試料を、SDS-PAGEにより分離し、PVDF膜に移し、膜を、PBS中の5%ミルク、0.1%Tweenでブロックし、および特に記さない限りは1:1000希釈した一次抗体とインキュベーションした。検出は、二次抗体としてヤギ-抗-ウサギ-HRPを使用する、ケミルミネセンスにより行った。抗-USP7イムノブロッティングのために、EL-4細胞ライゼート20μgを、2μM UbVSを含むまたは含まずに、1時間プレインキュベーションし、この反応液を、SDS-PAGEにより分離し、およびUSP7(HAUSP)について、既報のようにr201抗-血清によりイムノブロッティングした(Everettら、Embo J、16:566-77(1997))。
細胞下画分:プロテアソーム画分を、既報のように作成した(Wangら、Proc Natl Acad Sci USA、97:9990-5(2000))。簡単に述べると、EL-4細胞を、プロテアソームホモジナイゼーション緩衝液中で溶解し、ライゼートを100,000gで1時間遠心し、膜をペレットとし、および上清を100,000gで更に5時間遠心し、プロテアソーム濃厚な画分を有するペレットを作成した。
スペロース6カラム:EL4ライゼートを、100,000xgで1時間遠心し、AKTA FPLCシステムを使用する調製用Pharmacia Supemse 6カラム(Pharmacia社、スウェーデン)上、プロテアソームホモジナイゼーション緩衝液中で分画した。
実施例1. UbVSの合成および特徴決定
UbVSの合成戦略を、図1Aに示した。ユビキチン化合物1を、2.5Mグリシンエチルエステルの存在下で、トリプシンで消化し、Ub75-エチルエステル化合物2を、収率およそ40%で得た(Wilkinsonら、Biochemistry、25:6644-9(1986))。トリプシンは、ダイズトリプシンインヒビターおよびPMSFを添加し失活させた。Ub75-エチルエステルを、セファデックスG-50ゲルろ過およびCMセファロースカチオン交換クロマトグラフィーにより精製した。化合物2をヒドラジンで処理し、このエチルエステル部分をヒドラジンに転換し、化合物3を得、引き続き化合物3を希亜硝酸に曝露し、Ub75-アジド化合物4を得た(Wilkinsonら、Biochemist、29:7373-80(1990))。両方の反応は、ほぼ定量的であり、ほとんど残留Ub-エチルエステルおよびヒドラジンを検出しなかった。化合物6のUbVSは、化合物4の過剰なNH2-グリシル-ビニルスルホン化合物5とのカップリングにより得た(Bogyoら、Chem Biol、5:307-20(1998))。カチオン交換クロマトグラフィーによる精製は、残存する前駆体からのUbVSの分離、および追加のグリシンビニルスルホン分子のUbVSとのマイケル反応により生成された副産物をもたらした。
UbVSの合成戦略を、図1Aに示した。ユビキチン化合物1を、2.5Mグリシンエチルエステルの存在下で、トリプシンで消化し、Ub75-エチルエステル化合物2を、収率およそ40%で得た(Wilkinsonら、Biochemistry、25:6644-9(1986))。トリプシンは、ダイズトリプシンインヒビターおよびPMSFを添加し失活させた。Ub75-エチルエステルを、セファデックスG-50ゲルろ過およびCMセファロースカチオン交換クロマトグラフィーにより精製した。化合物2をヒドラジンで処理し、このエチルエステル部分をヒドラジンに転換し、化合物3を得、引き続き化合物3を希亜硝酸に曝露し、Ub75-アジド化合物4を得た(Wilkinsonら、Biochemist、29:7373-80(1990))。両方の反応は、ほぼ定量的であり、ほとんど残留Ub-エチルエステルおよびヒドラジンを検出しなかった。化合物6のUbVSは、化合物4の過剰なNH2-グリシル-ビニルスルホン化合物5とのカップリングにより得た(Bogyoら、Chem Biol、5:307-20(1998))。カチオン交換クロマトグラフィーによる精製は、残存する前駆体からのUbVSの分離、および追加のグリシンビニルスルホン分子のUbVSとのマイケル反応により生成された副産物をもたらした。
単離されたUbVSの分子量は、液体クロマトグラフィー/エレクトロスプレー質量分析(LC/ES-MS;図1B)により評価され、推定質量と一致した。全体の収率3%。
実施例2. UbVSはユビキチンC末加水分解酵素UCH-L3を特異的に標識する
UCH-L3酵素は、大腸菌において組換え型で生じ、見かけ上均一に精製した(Larsenら、Biochemist、35:6735-44(1996))。UbVSは、Na[125I]で放射性ヨウ素化し、化学当量よりも少ない量でUCH-L3に添加した。共有的UCH-L3-UbVS付加物と推定された分子質量の追加のポリペプチドの出現が、銀染色において観察された(図1C、左側パネル)。
UCH-L3酵素は、大腸菌において組換え型で生じ、見かけ上均一に精製した(Larsenら、Biochemist、35:6735-44(1996))。UbVSは、Na[125I]で放射性ヨウ素化し、化学当量よりも少ない量でUCH-L3に添加した。共有的UCH-L3-UbVS付加物と推定された分子質量の追加のポリペプチドの出現が、銀染色において観察された(図1C、左側パネル)。
この反応は、反応に関連したUCH-L3における活性部位システインの存在について推定されたように、アルキル化剤N-エチルマレイミドの混在(inclusion)により、完全にブロックされた。同じ試料のオートラジオグラフィーは、UCH-L3-[125I]-UbVS付加物は、単独の主要な放射標識された種であることを確認した(図1C、右側パネル)。
このデータは、UbVSが、UCH-L3の活性部位チオールとビニルスルホン部分の間のマイケル反応により、UbC末加水分解酵素UCH-L3を効果的に標識したことを示している。得られたチオエーテルは、還元SDS-PAGEに通常使用される条件下で安定している。
実施例3. 公知のDUB遺伝子の欠失を有する酵母株からの細胞抽出物の標識
酵母ゲノムは、16UBPおよびUCH、Yuh1を特定する(Chungら、Biochem Biophys Res Commun、266:633-40(1999))。これらの酵素をコードしている遺伝子を各々欠失している酵母株を用い、細胞質ゾル抽出物を調製し、これを[125I]-UbVSに曝した。
酵母ゲノムは、16UBPおよびUCH、Yuh1を特定する(Chungら、Biochem Biophys Res Commun、266:633-40(1999))。これらの酵素をコードしている遺伝子を各々欠失している酵母株を用い、細胞質ゾル抽出物を調製し、これを[125I]-UbVSに曝した。
少なくとも5種の明らかに標識されたポリペプチドを観察し、代表変異体株の分析を基に、Yuh1p並びにUBP1、2、6および15に割当てた(図2A;表2)。より長期の曝露は、Ubp12pの標識も検出した。これらの結果は、DUB(UBPおよびUCH)のUbVSによる標識の特異性の遺伝的確証を提供する。
標識の特異性は更に、DUBの公知のインヒビターであるユビキチンアルデヒド(Ubal)の混在により明らかになった(HershkoおよびRose、Proc Natl Acad Sci USA、84:1829-33(1987))。DUBの[125I]-UbVSによる標識は、Ubalによる前処理により競合され、この競合は濃度依存的様式であることが分かった(図2B)。Ubp6pは、他のUBPよりも競合を受けにくい。このデータは、酵母ゲノムによりコードされたDUBは17種もわかっているにもかかわらず、UbVSは、野生型酵母においてはわずかに5種の特出したポリペプチドのみを標識することを示している(表1)。
実施例4. 哺乳類細胞抽出物中のDUBの標識
抽出物を、異なるマウス組織から調製し、[125I]-UbVSで標識した(図3A)。
抽出物を、異なるマウス組織から調製し、[125I]-UbVSで標識した(図3A)。
標識パターンに著しい差を有する複数のポリペプチドは、様々な組織を観察され、脳において最も顕著に認められた(図3Aレーン2)。強力に標識されたポリペプチドは、分子量(MW)30kDaで検出され、これは脳において豊富に発現されることがわかっている、UCH-L1酵素に対応していた(Wilkinsonら、Science、246:670-3(1989))。
少なくとも12本のバンドが、オートラジオグラムのより長期の曝露において認められ、標識された種の数は実質的により多かった。酵母で認められるように、標識は、Ubalの混在により消滅され(図3B)、これはDUBに対する標識の特異性を確立している。この観察は、DUBファミリーの公知の複雑性を確認すると同時に、活性DUBは、都合の良いことに[125I]-UbVSのインキュベーションにより粗抽出物中に検出することができ、並びにSDS-PAGEおよびオートラジオグラフィーにより分析することができることを明らかにした。
UbVSによる公知のUBPの修飾を明らかにするために、EL-4細胞ライゼートを、UbVSと共にインキュベーションし、引き続きUSP7に特異的な抗-血清によりイムノブロッティングした(HAUSP;Everettら、Embo J、16:566-77(1997))。USP7-UbVS複合体の形成と一致している、ふたつの免疫反応性種の一方のシフトが、観察された(図3C)。抗-USP7血清と架橋反応している上側のポリペプチドは、前にも観察され(Everettら、Embo J、16:566-77(1997))、およびここではUbVSとは反応しなかった。
これらのデータは、UbVSは、USP7についてここで示されたように、哺乳類UCHおよびUBPの両方を標識することを明らかにしている。
実施例5. DUBのより高分子量複合体との会合
DUBのプロテアソームとの会合が、いくつかの報告で説明されている(Hegdeら、Cell、89:115-26(1997);Papaら、Mol Biol Cell、10:741-56(1999);Vermaら、Mol Biol Cell、11:3425-39(2000);Vogesら、Annu. Rev. Biochem、68:1999)。37kDaのDUB(ここではp37と称される)は、19Sキャップのサブユニットであると考えられる(Holzlら、J Cell Biol、150:119-130(2000);Lamら、Nature、385:737-40(1997))。本明細書において細胞抽出物の[125I]-UbVS標識は、複数のDUBの活性の同時のモニタリングを可能にするので、DUBの、26Sプロテアソームのような、より高分子量の複合体との会合を直接試験するために本明細書の方法を使用することが可能である。
DUBのプロテアソームとの会合が、いくつかの報告で説明されている(Hegdeら、Cell、89:115-26(1997);Papaら、Mol Biol Cell、10:741-56(1999);Vermaら、Mol Biol Cell、11:3425-39(2000);Vogesら、Annu. Rev. Biochem、68:1999)。37kDaのDUB(ここではp37と称される)は、19Sキャップのサブユニットであると考えられる(Holzlら、J Cell Biol、150:119-130(2000);Lamら、Nature、385:737-40(1997))。本明細書において細胞抽出物の[125I]-UbVS標識は、複数のDUBの活性の同時のモニタリングを可能にするので、DUBの、26Sプロテアソームのような、より高分子量の複合体との会合を直接試験するために本明細書の方法を使用することが可能である。
[125I]-UbVSによるスペロース6カラム上でのゲル濾過により得られたEL-4細胞抽出物画分の標識は、ほとんどのDUBは、SDS-PAGEにより決定された、それらの観察された個々の分子量の位置で溶離することを示している(図4A)。しかし、2種のポリペプチド(ここでは各々、MW45および66kDaを有すると認められ、これらはいずれもUbVSの8.5kDaを含む)は、より大きい複合体の一部であることを明らかにしている(図4A、画分17-23)。「45kDa」ポリペプチド(UbVSの8.5kDaを減算)は、19Sキャップ中に存在するユビキチンイソニトリル-修飾したp37 DUBの質量と同一である(Lamら、Nature、385:737-40(1997))。このポリペプチドは、ショウジョウバエおよびS.ポンベプロテアソームの19Sキャップ中に認められたUCHの哺乳類ホモログとしてここにおいて同定された(Holzlら、J Cell Biol、150:119-130(2000);Liら、Biochem Biophys Res Commun、272:270-5(2000))。更に「66kDa」(58kDa)DUBの同一性を特徴決定した。
実施例6. USP14は26Sプロテアソームと会合される
EL-4 p58と酵母Ubp6pのSDS-PAGEでの同時移動が認められた。更にp58およびUbp6pの両方の[125I]-UbVS標識は、Ubalにより同様に競合される(図2Bおよび図3B)。p58はUbp6、哺乳類ホモログであるので、USP14に対応する合成ペプチドに対するUSP14(Yinら、Biochemistry、39:10001-10(2000))のポリクローナル抗体をここで使用した。
EL-4 p58と酵母Ubp6pのSDS-PAGEでの同時移動が認められた。更にp58およびUbp6pの両方の[125I]-UbVS標識は、Ubalにより同様に競合される(図2Bおよび図3B)。p58はUbp6、哺乳類ホモログであるので、USP14に対応する合成ペプチドに対するUSP14(Yinら、Biochemistry、39:10001-10(2000))のポリクローナル抗体をここで使用した。
イムノブロッティングにおいて、これらの抗血清は、USP14の分子量に一致する分子量の単独ポリペプチドを検出した。抗血清は、抗-20SIPにおいて観察された66kDa[125I]-UbVSで標識したDUBと同時移動する[125I]-UbVS-標識したポリペプチドを免疫沈降し(図4B)、このことはUSP14は、プロテアソームに会合されることを示唆している。免疫沈降した試料に対する全ライゼート中のp37に対するUSP14の比において観察された差異は、おそらく、ライゼート中に存在する全ての蛋白質が、プロテアソームに会合されてはいないという事実に起因し、および更にプロテアソームに関するp37/USP14の親和性の差に起因しているであろう。
抗-USP14抗-血清は、SDS変性された蛋白質のみを認識するので、USP14に対する抗体によるプロテアソームのとの直接の同時免疫沈降は可能ではなかった。USP14のUSP14を伴うプロテアソームとの会合を確認するために、スペロース6画分を、[125I]-UbVSで標識し、および20S複合体を、20Sコアに対する抗体により免疫沈降した。パラレル試料を、異なるプロテアソームサブユニットについてイムノブロッティングした(図4C)。
このデータは、[125I]-UbVS修飾したUSP14は、26Sプロテアソーム複合体に相当する画分において(画分18-22)認められるが、遊離の20Sプロテアソームを含有する画分(画分24-28)には認められないことを示している。これらの結果は、USP14は、26Sプロテアソーム複合体と、物理的に会合されることを確立している。
実施例7. USP14の[ 125 I]-UbVS標識はプロテアソーム阻害に応じて増加する
完全なUb除去は、プロテアソーム蛋白質分解に先立つと考えられる。逆に、プロテアソーム蛋白質分解がブロックされる場合、得られるUb-複合体化された基質の蓄積は、DUBの増強された活性を誘起することができる。従ってプロテアソームおよび会合されたDUBの活性は、相互依存型であることができる。
完全なUb除去は、プロテアソーム蛋白質分解に先立つと考えられる。逆に、プロテアソーム蛋白質分解がブロックされる場合、得られるUb-複合体化された基質の蓄積は、DUBの増強された活性を誘起することができる。従ってプロテアソームおよび会合されたDUBの活性は、相互依存型であることができる。
ビニルスルホンは、機構ベースのインヒビターであり、その結果所定の標的酵素の標識の増加は、UbのC末端ペプチド結合を結合および加水分解するその酵素の能力に直接比例する。その結果[125I]-UbVSは、プロテアソーム阻害に反応したDUBの酵素活性を試験するのに都合の良いツールを提供する。無傷のEL4細胞は、50μM NLVSと共に異なる時間インキュベーションし、細胞抽出物を調製した。この抽出物の[125I]-UbVSまたは[125I]-NLVSとのインキュベーション後、プロテアソームは、抗-20S血清で免疫沈降した(図5A)。
ふたつの[125I]-UbVS標識したポリペプチド、45kDaポリペプチド(本明細書においてp37として示した)および66kDaポリペプチド(本明細書においてUSP14として示された)が観察された。p37の標識は、NLVS処理時に変化しなかった(図5A、パネル2)。対照的に、プロテアソーム会合したUSP14の標識は、NLVSの混在時に(図5A、パネル2)、時間依存的様式で、15倍までの増加したレベルで認められた(図5B)。USP14の[125I]-UbVS標識において観察された増加は、NLVSによりプロテアソーム阻害の観察と一致し、並びにエポキソミシン(Mengら、Proc Natl Acad Sci USA、96:10403-8(1999))、ZL3VSおよびラクタシスチン(Fenteanyら、Science、268:726-31(1995))のような他のプロテアソームインヒビターによる細胞の処理は、同様の作用を生じている(図5C)。この増加は、より多くのUSP14のプロテアソーム複合体への動員が原因であるか、またはプロテアソームと既に会合したUSP14の増加した活性により引き起こされる。
実施例8. プロテアソーム阻害に反応するUSP14の活性化
蛋白質合成インヒビタープロマイシンの混在は、増大したUSP14標識を消滅したので、USP14標識の観察された増加は、蛋白質合成とは無関係である。
蛋白質合成インヒビタープロマイシンの混在は、増大したUSP14標識を消滅したので、USP14標識の観察された増加は、蛋白質合成とは無関係である。
EL-4細胞を、NLVSと共にインキュベーションし、細胞抽出物の細胞下分画を行い、予め存在する遊離のUSP14は、NLVS処理に反応してプロテアソームに動員されるかどうかの決定を実施した。これらの画分を、[125I]-UbVSで標識し、SDS-PAGEにより分析した。
USP14およびp37の両方は、5時間ペレット画分において豊富に存在することが認められ、これはプロテアソームおよび他の大きい細胞下粒子が濃厚化された一方、他のDUBの大半は、細胞質ゾルに維持されるか、または細胞質ゾルおよび5時間ペレットの両方に分布された(図6A)。この画分のイムノブロッティングによる分析は、USP14は、実際にプロテアソームの19Sキャップ内のATPaseであるMss1と同時沈積されることを明らかにしている(図6B)。イムノブロッティングにより評価したように、USP14の蛋白質レベルは、溶解の前(図6B)または後(図6C)のいずれかにNLVSで処理した細胞並びに対照未処理の細胞と同じであるのに対し、NLVS処理した5時間ペレットおよび1時間上清中のUSP14の[125I]-UbVS標識は、2〜3倍増加した(4実験の平均、(図6C))。EL-4細胞下画分が溶解後NLVSで処理された場合にUSP14標識の同様の増加が認められ(図6C)、これは、蛋白質合成の進行の必要要件の欠如を確認している。5時間ペレット画分は、少量の可溶性USP14のみを含んだ。このデータは、NLVS処理時のプロテアソームに対するこの物質の動員は、標識の増加を説明しないことを示している(図6C)。
これらの驚くべき知見は、プロテアソーム-会合したUSP14の[125I]-UbVS標識の増加は、USP14の活性の増加に起因しており、より多くのUSP14のプロテアソーム複合体への動員に起因していないことを示している。標識強度の増加は、抗-20S免疫沈降におけるものよりも5時間ペレットにおける方が目立たない(図5A、Bおよび6A)。これは、5時間ペレット中の他の高分子量の複合体と会合したUSP14の存在に起因し、これはプロテアソームインヒビターの存在の影響を受けないか、またはプロテアソームを精製および濃厚化するために使用される免疫沈降および細胞下分画のふたつの方法の間の技術的差異の影響を受けない。免疫単離は、プロテアソームの定量的回収を生じず、および総プロテアソーム集団のサブセットのみを生じることがある。
実施例9. C末端アデニレートに連結された不可逆的インヒビターの合成
C末端アデニレートが連結(equip)された不可逆的インヒビターの合成は、良く開発されている。Ublの活性化は、おそらくいわゆるE1酵素によるUb-アデニレートの形成を介したUbの活性化の同類であるので、このペプチドは、Ub/Ubl-プロセッシングサイクルのまさに開始時の蛋白質を標的化する。
C末端アデニレートが連結(equip)された不可逆的インヒビターの合成は、良く開発されている。Ublの活性化は、おそらくいわゆるE1酵素によるUb-アデニレートの形成を介したUbの活性化の同類であるので、このペプチドは、Ub/Ubl-プロセッシングサイクルのまさに開始時の蛋白質を標的化する。
実施例10. HAUb誘導体の標識特異性の同定
細胞のプロテオームは、インヒビターのセットと相互作用する蛋白質のサブセットを同定することにより、部分的に分離することができ、このインヒビターを分析技術により可視化することができることを提供する。ここにおけるベクターは、インビボ組換え融合技術および発現、ならびに化学合成の組合せにより、図10Aおよび10Bに示されたように構築される。ここで提供された組成物は、細胞ライゼート中の全ての蛋白質セットの試料と混合された場合には、図7-9に示したように、ある種の蛋白質と選択的に相互作用する。
細胞のプロテオームは、インヒビターのセットと相互作用する蛋白質のサブセットを同定することにより、部分的に分離することができ、このインヒビターを分析技術により可視化することができることを提供する。ここにおけるベクターは、インビボ組換え融合技術および発現、ならびに化学合成の組合せにより、図10Aおよび10Bに示されたように構築される。ここで提供された組成物は、細胞ライゼート中の全ての蛋白質セットの試料と混合された場合には、図7-9に示したように、ある種の蛋白質と選択的に相互作用する。
SDS-PAGE分析を伴う、抗ヘマグルチニン(抗-HA)抗体ブロット(ウェスタン;図10C)は、ベクターHAUb由来のベクターにより標識された分子量を基に分画された蛋白質バンドを明らかにした。EL4の細胞株は、反応基または「弾頭」を有さない同じベクターを有する対照HAUbとは対照的に、HAUBVS、HAUbVMe、HAUbVSPh、およびHAUbBr1、HAUbCN、HAUbC1、およびHAUbBr3上の弾頭と特異的に相互作用することが可能である蛋白質を含有する。これらのベクターにより標識された蛋白質は、8%還元SDS-PAGEにより分離し、抗-HA抗体でイムノブロッティングし、各レーンに示されたバンドを明らかにした。
弾頭が存在しない場合、このベクターは、ポリ-ユビキチン鎖に複合され、レーン全体にスメア(smear)を形成する(HAUbで標識したレーン)。しかしこの弾頭の存在は、ベクターのはるかに少ない蛋白質の相互作用を制限し、抗-HA抗体により染色される暗色バンド、および低いバックグラウンドとして示される。
その構造を終結する弾頭-(CH2)3Br(左から4番目レーン)は、構造を終結する弾頭-CH2(CH)2CNよりもより少ない蛋白質と相互作用する。更に、弾頭-(CH2)2Brおよび-(CH2)2Clは、実質的に同じ蛋白質と相互作用するが、前者の弾頭は、約40Kの蛋白質とも相互作用し、これは後者の弾頭と相互作用することは認められない。弾頭-CH2(CH)2SOme2は、追加的にフェニル基付加物を有する類似した弾頭と相互作用することが示されている主要バンドとの相互作用に失敗している。これらのバンド中の蛋白質の同定は、蛋白質の相互作用の同様の特徴に関する結果を生じるであろう。
実施例11. 新規合成プローブを使用する標的化された酵素の精製および配列解析
エピトープタグを用い、免疫沈降により、標的化された酵素を精製することができる(図11)。こうして精製した酵素-Ub/Ubl付加物は、タンデム質量分析により直接配列決定するか、または(等電点に焦点をあてた)-SDS-PAGE(2Dゲル電気泳動)後のタンデム質量分析とそれに続くゲル内トリプシン消化のいずれかを行い、Ublの複合体化および脱複合体化に関連した酵素の同定、更には余りよく特徴決定されなかった蛋白質ファミリーの同定につながる。同定された酵素の例は、図12並びに表3および表4に示している。
エピトープタグを用い、免疫沈降により、標的化された酵素を精製することができる(図11)。こうして精製した酵素-Ub/Ubl付加物は、タンデム質量分析により直接配列決定するか、または(等電点に焦点をあてた)-SDS-PAGE(2Dゲル電気泳動)後のタンデム質量分析とそれに続くゲル内トリプシン消化のいずれかを行い、Ublの複合体化および脱複合体化に関連した酵素の同定、更には余りよく特徴決定されなかった蛋白質ファミリーの同定につながる。同定された酵素の例は、図12並びに表3および表4に示している。
図11は、異なる反応性部分、すなわち異なるインヒビターを持つ異なるベクターにより結合した蛋白質を示し、ここでこれらの蛋白質は、非変性条件下でのゲル電気泳動、および銀染色による可視化により分析された。白丸はUSPに結合した19Sキャップを示し、および白丸は19Sキャップサブユニットを示している。
これらのデータは、本明細書に提供された方法および組成物により決定され得るように、特定のUb/Ubl成分の純度および回収の程度が、免疫沈降後に各HAUbベクターに特異的であることを示している。表3および表4は、ここで得られたHAUBVS-処理した非変性試料からの標識されたポリペプチドの同一性を、それらの寄託番号と共に示している。様々な癌細胞の例をここに示す(下記参照)。
実施例12. ユビキチン様蛋白質インヒビターの半合成的合成
アミノ酸融合蛋白質を含むプローブを合成する方法および有機化学技術を、Ubl蛋白質のプロセッシングに関連した酵素の特異的インヒビターの半合成的合成に適用した。APG8、APG12、UCRP、SUMO-1、NEDD-8、HUB1、URM-1、FAT10およびFauのUbl蛋白質のプローブ誘導体の合成を、追跡した。
アミノ酸融合蛋白質を含むプローブを合成する方法および有機化学技術を、Ubl蛋白質のプロセッシングに関連した酵素の特異的インヒビターの半合成的合成に適用した。APG8、APG12、UCRP、SUMO-1、NEDD-8、HUB1、URM-1、FAT10およびFauのUbl蛋白質のプローブ誘導体の合成を、追跡した。
表5は、マウス由来のこれらの修飾因子(modifier)の特徴を示している。使用したアミノ酸配列は、これらの蛋白質のクローンに由来した。C末端配列のダッシュ記号は、プロセッシングが起こる位置を示し、並びに成熟したUb様修飾因子を作成するために使用した。URM1、FAT10およびApg12は、それらの成熟型において発現された。FauのC末端配列は、示された点を超えて伸長する。
Ub様誘導体による特異的酵素の修飾は、図13に示している。各蛋白質ベースのプローブは、特異的プロファイルを形成した。
実施例13. ユビキチンと無関連の蛋白質のインヒビターの半合成的合成
この方法は、Ubに必ずしも関連していないものを含む、より広範な蛋白質アレイであっても、適用可能である。この化学反応基(すなわち、弾頭)は、酵素の特異的ファミリーに対し直接反応性であるように、より多いかまたはより少ないかのいずれかの反応性をそれにもたらすことにより、微調整することができる。
この方法は、Ubに必ずしも関連していないものを含む、より広範な蛋白質アレイであっても、適用可能である。この化学反応基(すなわち、弾頭)は、酵素の特異的ファミリーに対し直接反応性であるように、より多いかまたはより少ないかのいずれかの反応性をそれにもたらすことにより、微調整することができる。
実施例14. 細胞透過性誘導体の開発およびインビボ使用
これらのインヒビターの更なる適用は、例えば、N末端TAT蛋白質配列を有するような、細胞透過性型の開発であり、これは細胞内の特異的酵素の阻害を可能にし、UbおよびUbl蛋白質の生物学的機能の研究を大きく促進するであろう。本明細書に説明された蛋白質ベースの半合成的プローブは微量注入によっても導入することができる。
これらのインヒビターの更なる適用は、例えば、N末端TAT蛋白質配列を有するような、細胞透過性型の開発であり、これは細胞内の特異的酵素の阻害を可能にし、UbおよびUbl蛋白質の生物学的機能の研究を大きく促進するであろう。本明細書に説明された蛋白質ベースの半合成的プローブは微量注入によっても導入することができる。
新たに開発されたインヒビターは、健常時および罹患時におけるUbおよびUbl経路の生物学的機能の研究を促進する。関連酵素の同定はともかく、機構ベースの部位親和性プローブであるインヒビターを用い、様々な(組織)試料および病態における酵素活性を比較することができる。更にこれらのインヒビターは、酵素経路の調節し、これによりそれらが関与している生物学的プロセスおよび障害を調節することを可能にする。
実施例15. HAUbプローブを用いる新規卵巣腫瘍ファミリー蛋白質の同定
表3は、ベクターHAUbBrを使用し、マウスEL4細胞におけるここで検出された新規蛋白質を同定している。この分子量は、35〜42kDaの間で認められた(表3、最終列のHSPC263(OTU-プロテアーゼ)は参照)。新規DUBは、卵巣腫瘍細胞ドメイン(OTU)ファミリーの一員であるその配列により認められ、その同定はここでは、脱ユビキチン化酵素としてのその機能性の同定同様、新規蛋白質の単離への本方法の適用例である。
表3は、ベクターHAUbBrを使用し、マウスEL4細胞におけるここで検出された新規蛋白質を同定している。この分子量は、35〜42kDaの間で認められた(表3、最終列のHSPC263(OTU-プロテアーゼ)は参照)。新規DUBは、卵巣腫瘍細胞ドメイン(OTU)ファミリーの一員であるその配列により認められ、その同定はここでは、脱ユビキチン化酵素としてのその機能性の同定同様、新規蛋白質の単離への本方法の適用例である。
ここでタンデム質量分析(MS)により、更に特徴付けた。この蛋白質は、完全な蛋白質というよりも、むしろ断片としてのみ知られており、データベースにはHSPC263(ヒト)として、寄託番号Q9POB8および1文字アミノ酸コードで下記のアミノ酸配列(配列番号:5)を有するものとして記されている:
この配列は先に断片と考えられ、ならびにここでSDS-PAGE上の移動度のようなデータは、この配列が完全な蛋白質であることを示し、およびこの機能は、脱ユビキチン化に関連しているので、これらのデータは、この蛋白質が、完全であり、およびその機能の特徴があることの両方を示す。
実施例16. B細胞悪性度におけるUSP活性
HAUbプローブHAUbVMEを使用し、いくつかの複数の黒色腫細胞株およびいくつかのバーキットリンパ腫細胞株の蛋白質を試験し、これをLCL細胞中の蛋白質と比較した。全てのB細胞悪性細胞株は、EL-4マウス胸腺細胞には認められないバンドを示している。
HAUbプローブHAUbVMEを使用し、いくつかの複数の黒色腫細胞株およびいくつかのバーキットリンパ腫細胞株の蛋白質を試験し、これをLCL細胞中の蛋白質と比較した。全てのB細胞悪性細胞株は、EL-4マウス胸腺細胞には認められないバンドを示している。
図14に示したように、1〜7本の追加のバンド、または悪性細胞株における発現が異なるバンドを、LCLおよびEL-4対照抽出物と比較し認めた。全ての悪性細胞株は、DUBのアップレギュレーションを示し、UCH-L1は最も顕著なものであった。EL-4細胞対照において、全てのバンドはここで先に同定された。
実施例17. ヒトB細胞のマイトジェン刺激後に観察された標識パターン
ヒトB細胞は、処置前、並びにマイトジェンフィトヘマグルチニンLもしくはMまたはヤマゴボウマイトジェンの各々で処置後1日、3日および5日目に、HAUbVMEでプロービングし、未処置の細胞のプローブと比較した。プローブに特異的な高分子量蛋白質バンドの実質的誘導が、各フィトヘマグルチニンLおよびMの3日および5日目に認められたが、しかしヤマゴボウマイトジェン刺激後には、高分子量蛋白質の発現の喪失が認められた。
ヒトB細胞は、処置前、並びにマイトジェンフィトヘマグルチニンLもしくはMまたはヤマゴボウマイトジェンの各々で処置後1日、3日および5日目に、HAUbVMEでプロービングし、未処置の細胞のプローブと比較した。プローブに特異的な高分子量蛋白質バンドの実質的誘導が、各フィトヘマグルチニンLおよびMの3日および5日目に認められたが、しかしヤマゴボウマイトジェン刺激後には、高分子量蛋白質の発現の喪失が認められた。
実施例18. 転写因子YY1のテトラサイクリン-誘導したノックアウトはUSP翻訳に影響する
誘導の4日後、HAUbVMEによる細胞のプロービングは、最初に存在した47.5kDa蛋白質バンドの喪失を示した。非常に高分子量のバンドの増大した発現、および他の高分子量バンドの減少した発現も認められた。
誘導の4日後、HAUbVMEによる細胞のプロービングは、最初に存在した47.5kDa蛋白質バンドの喪失を示した。非常に高分子量のバンドの増大した発現、および他の高分子量バンドの減少した発現も認められた。
実施例19. 精製時の分画同定のための半合成的プローブの使用
本明細書において提供されたプローブの有用な適用は、例えば、脱ユビキチン化酵素のような、標準の生化学的精製時の、陽性画分の同定である。粗細胞抽出物は、ユビキチン-セファロースカラムを用いて分画し、引き続きゲルろ過した。これらの手法の間に、活性DUBは、このプローブ用いるブロッティングにより同定された。
本明細書において提供されたプローブの有用な適用は、例えば、脱ユビキチン化酵素のような、標準の生化学的精製時の、陽性画分の同定である。粗細胞抽出物は、ユビキチン-セファロースカラムを用いて分画し、引き続きゲルろ過した。これらの手法の間に、活性DUBは、このプローブ用いるブロッティングにより同定された。
この結果は、本明細書のプローブは、粗細胞ライゼート中の機能的DUBの同定により、単離時に使用することができることを示している。
(表2)S.セレビシエ(S. cerevisiae)の脱ユビキチン化酵素
[125I]-UbVSによる標識は、図3に示したように決定した。「++」強力な標識、「+」弱い標識、「-」標識なし、ND-決定されず、を示す。DUBの分子量は、YPDデータベースに列記された推定サイズを基にした(http://www.proteome.com/databases/index.html)。
[125I]-UbVSによる標識は、図3に示したように決定した。「++」強力な標識、「+」弱い標識、「-」標識なし、ND-決定されず、を示す。DUBの分子量は、YPDデータベースに列記された推定サイズを基にした(http://www.proteome.com/databases/index.html)。
Claims (30)
- アミノ末端;エピトープ標識;ユビキチンまたはユビキチン様蛋白質のアミノ酸配列;インテイン;およびキチン結合蛋白質の順で、構成要素のアミノ酸配列を含む、融合ペプチド。
- 請求項1記載のペプチドをコードするベクター。
- ゲノム蛋白質クラスの同定および阻害のための半合成蛋白質ベースの部位特異的プローブであり、該プローブが、請求項1記載のエピトープ標識およびユビキチンまたはユビキチン様蛋白質を含み、さらにユビキチンまたはユビキチン様蛋白質のカルボキシ末端に可能性のある阻害基を含み、該阻害基が、ユビキチン化または脱ユビキチン化酵素の酵素活性に特異的である、部位特異的プローブ。
- 前記基が可逆的阻害性である、請求項3記載の部位特異的プローブ。
- 可逆的阻害基がアルデヒドまたはボロナートである、請求項4記載の部位特異的プローブ。
- 前記基が不可逆的阻害性である、請求項3記載の部位特異的プローブ。
- 不可逆的阻害基が電子求引基である、請求項6記載の部位特異的プローブ。
- 不可逆的阻害基が、マイケルアクセプター含有基またはアルキル化基である、請求項6記載の部位特異的プローブ。
- マイケルアクセプター含有基が、化合物3-ビニルメチルスルホン;3-ビニルフェニルスルホン;3-ビニルニトリル;および2-カルボキシビニルメタンから選択される、請求項8記載の部位特異的プローブ。
- プロテオームサブセットの同定および阻害のための半合成蛋白質ベースの部位特異的プローブを得る方法であり、
核酸ベクターによりコードされた融合蛋白質を提供する工程であり、該融合蛋白質が、エピトープタグ、サブセットのメンバー蛋白質由来のアミノ酸配列を有するドメイン、インテイン、および親和性を形成する結合ペプチドを有する工程;
ドメインとインテインの間のペプチド結合を破壊し、代表ペプチドのカルボキシ末端にチオエステルを生じさせる工程;
さらにチオエステルを反応させて、ドメインのカルボキシ末端に活性可逆的アルデヒドまたは電子求引基を生じさせ、これにより部位特異的プローブを得る工程を含む、方法。 - メンバー蛋白質が、ユビキチンまたはユビキチン様蛋白質である、請求項10記載の方法。
- メンバー蛋白質が、UCH-L3、APG8、APG12、UCRP、SUMO-1、NEDD-8、HUB1、URM-1、FAT10およびFauからなる群より選択される、請求項10記載の方法。
- エピトープタグが、ヘマグルチニン、Flag、MycおよびHis6から選択される、請求項10記載の方法。
- インテインとドメインの間のペプチド結合を破壊する前に、融合蛋白質を含有する調製物を、親和性結合ペプチドの固定された結合パートナーと接触させることにより、融合蛋白質を精製する工程をさらに含む、請求項10記載の方法。
- 親和性結合ドメインが、キチン結合ドメインであり、および固定された結合パートナーが、固定されたキチンである、請求項14記載の方法。
- 請求項10〜15のいずれか1項記載の方法によるプローブ。
- ユビキチンおよびユビキチン様蛋白質の同定および阻害のための半合成蛋白質ベースの部位特異的プローブを得る方法であり、
核酸ベクターによりコードされた融合蛋白質を提供する工程であり、該融合蛋白質が、ヘマグルチニンタグ、ユビキチンまたはユビキチン様蛋白質由来のドメイン、インテイン、およびキチン結合ペプチドを有する工程;
ドメインとインテインの間に位置したペプチド結合を破壊し、その代表のカルボキシ末端にチオエステルを生じさせる工程;および
さらにチオエステルを反応させて、ドメインのカルボキシ末端に活性可逆的アルデヒドまたは電子求引基を生させ、これにより部位特異的プローブを得る工程を含む、方法。 - ユビキチン様蛋白質が、UCH-L3、APG8、APG12、UCRP、SUMO-1、NEDD-8、HUB1、URM-1、FAT10およびFauからなる群より選択される、請求項17記載の方法により得られたプローブ。
- サブセットのメンバーが機能経路を共有するプロテオームのサブセットの同定法であり、
エピトープタグ、酵素活性を有するサブセットのメンバー由来のペプチド、およびメンバーペプチドのカルボキシ末端の阻害基、酵素と接触しおよび活性を阻害する能力を有する阻害基を含む、アミノ酸配列を有する半合成蛋白質ベースの部位特異的プローブを調製する工程;
細胞ライゼートをプローブと接触させる工程;および
還元SDSゲル電気泳動およびタグに特異的な抗体とのイムノブロッティングによりライゼートを分析し、その結果サブセットのメンバーによりコードされた細胞ライゼート構成要素がプローブに結合し、および抗体と反応させて、ゲル上のバンドを可視化し、これにより経路を共有するプロテオームのサブセットを同定する工程を含む、方法。 - 経路が、ユビキチン化または脱ユビキチン化である、請求項19記載の方法。
- 請求項19記載の方法に従い同定された蛋白質。
- 配列番号:5記載の配列を有する脱ユビキチン化蛋白質。
- エピトープタグ、ユビキチンまたはユビキチン様蛋白質のアミノ酸配列、および該アミノ酸配列のカルボキシ末端に共有結合した阻害性化合物を有する半合成蛋白質ベースの部位特異的プローブ、並びに使用説明書を含む、細胞中のユビキチン化および脱ユビキチン化蛋白質を同定するためのキット。
- エピトープタグに特異的な抗体をさらに含む、請求項24記載のキット。
- 細胞溶解のための試薬をさらに含む、請求項24記載のキット。
- 細胞構成要素を分画するための試薬をさらに含む、請求項26記載のキット。
- 請求項24記載のキットの構成要素、並びにユビキチンまたはユビキチン様蛋白質またはユビキチン様蛋白質断片に共有結合したアフィニティクロマトグラフィー材料を含む、細胞ライゼートの分画のためのキット。
- ユビキチン様蛋白質が、UCH-L3、APG8、APG12、UCRP、SUMO-1、NEDD-8、HUB1、URM-1、FAT10およびFauから選択される、請求項24記載のキット。
- 請求項24記載の半合成蛋白質ベースの部位特異的プローブを含む、疾患診断のためのキット。
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