JP2006506276A - スリップセンサ付き車軸ユニット及びスリップ測定方法 - Google Patents

スリップセンサ付き車軸ユニット及びスリップ測定方法 Download PDF

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    • G01P3/00Measuring linear or angular speed; Measuring differences of linear or angular speeds
    • G01P3/42Devices characterised by the use of electric or magnetic means
    • G01P3/44Devices characterised by the use of electric or magnetic means for measuring angular speed
    • G01P3/443Devices characterised by the use of electric or magnetic means for measuring angular speed mounted in bearings

Abstract

車輪支持部材であるナックルに取り付けられた転がり軸受ユニットを含む車軸ユニット210は、加速度センサと回転センサとが、一体化されたスリップセンサ211を有している。スリップセンサ211は、基底面に回転センサを配していて、この回転センサは、回転部材212に取付けられたエンコーダ213に対向して配されている。そして、車両の走行時に、車輪の進行方向の進行加速度と回転角速度とを検出し、車両の走行時に各車輪の対地速度と各車輪のタイヤ半径と各車輪のスリップ率とを求める。

Description

本発明は自動車のスタビリティコントロール(安定走行制御)に用いるスリップセンサ
付き車軸ユニット及びスリップ測定方法に関する。
近年、車両にスタビリティコントロールシステムが採用されている(例えば、特許文献1)。それには、各車輪毎のスリップ率、スリップ状態を高い精度で測定するスリップセンサが望まれていた。また、そのスリップセンサを用いてスタビリティコントロールに必要な条件を測定する方法が望まれていた。(スリップ率とは、タイヤの周速とタイヤの進行速度(対地速度)の差を表したものである。一般にタイヤが地面をグリップしている時でも部分スリップによってスリップ率が、0.001、0.01、0.1などになると言われている。)
特開2003−118554号公報
ところで、TCSやABSやスタビリティコントロールなどの制御精度を高めるためには、各車輪のスリップ率を精度良く測定する必要がある。
しかしながら、車輪のスリップ率は、車輪の回転速度と、車体の路面に対する速度(対地速度)の双方より求まるものであり、上述した従来技術によれば車輪の回転速度は精度良く検出できるが、車体速度を直接求めることができないため、例えばスリップ率は4輪の回転速度から総合的に推定する他なかった。その結果、特に車両旋回時の各車輪毎のスリップ率、スリップ状態を正確に求められないという問題があった。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、車輪のスリップ率を精度良く求めることができ、それにより車両の安定した走行をより適切に制御できるようにするスリップセンサ付車軸ユニット及び車輪のスリップ率測定方法を提供することにある。
1)本発明は、車両の各車軸ユニットに取付けられた、各車輪の進行方向の加速度センサと、車輪の回転センサとを使い、車輪の走行状態を測定する方法である。
2)本発明は、車両の各車軸ユニットに取付けられた、各車輪の進行方向の加速度センサと、各車輪の横方向の加速度センサと、車輪の回転センサとを使い、車輪の走行状態を測定する方法である。
3)本発明は、車両の駆動輪を有する各車軸ユニットに取付けられた、各車輪の進行方向の加速度センサと、車輪の回転センサとを使い、車輪の走行状態を測定する方法である。
4)本発明は、前記1)記載の方法を用いた車両である。
5)本発明は、前記2)記載の方法を用いた車両である。
6)本発明は、前記3)記載の方法を用いた車両である。
7)本発明は、車輪の進行方向の加速度を測定する加速度センサと、車輪の回転角速度を測定する回転センサとを有する車軸ユニット、又は車輪支持用転がり軸受ユニットである。
8)本発明は、車両の各車軸ユニットに取付けられた、各車輪の加速度センサと、車輪の回転センサとを使う車両制御装置である。
9)本発明は、前記8)の加速度センサと、回転センサを有する車輪支持用転がり軸受ユニットである。
10)本発明は、静止部材と、前記静止部材に対して回転自在となっている回転部材と、前記回転部材に取付けられたセンサロータと、前記センサロータに対向するようにして前記静止部材に取付けられ、前記センサロータの回転速度に応じた回転速度信号を出力する回転センサと、前記静止部材に取付けられて、前記車輪ユニットの進行方向の加速度に応じた加速度信号を出力する加速度センサと、を有する車輪ユニットである。
11)本発明は、静止部材と、前記静止部材に対して回転自在となっている回転部材と、前記回転部材に取付けられたセンサロータと、前記センサロータに対向するようにして前記静止部材に取付けられ、前記センサロータの回転速度に応じた回転速度信号を出力する回転速度センサと、前記静止部材に取付けられて、車輪の進行方向の加速度に応じた加速度信号を出力する加速度センサと、を有する車輪ユニットである。
12)本発明は、回転輪と、静止輪と、前記静止輪と前記回転輪との間に配置された複数個の転動体と、前記回転輪に取付けられたセンサロータと、前記センサロータに対向するようにして前記静止輪に取付けられ、前記センサロータの回転速度に応じた回転速度信号を出力する回転速度センサと、前記静止輪に取付けられて、車輪の進行方向の加速度に応じた加速度信号を出力する加速度センサと、を有する車輪支持用転がり軸受ユニットである。
13)本発明は、車両懸架装置のバネ下における車輪ユニットの静止部材と、前記静止部材に対して回転自在となっている回転部材と、前記回転部材に取付けられたセンサロータと、前記センサロータに対向するようにして前記静止部材に取付けられ、前記センサロータの回転速度に応じた回転速度信号を出力する回転速度センサと、前記静止部材に取付けられ、車輪の進行方向の加速度に応じた加速度信号を出力する半導体式の加速度センサと、を有する車輪ユニットである。
14)本発明は、車両の各車軸ユニットに取付けられた、各車輪の進行方向の加速度センサと、車輪の回転センサとを使う車両の制御方法である。
15)本発明は、前記4)に記載の測定方法、または前記14)に記載の車両の制御方法を用いるために車輪に設けられた加速度センサと回転速度センサとを有することを特徴とするセンサである。
16)本発明は、前記15)に記載のセンサを備えていることを特徴とするベアリングである。
17)本発明は、前記1)に記載の測定方法、または前記14)に記載の車両の制御方法を用い、自動車の走行状態を制御することを特徴とするコントロールシステムである。
本発明によれば、車輪のスリップ率、スリップ状態を精度良く求めることができ、それにより車両の安定した走行をより適切に制御できる。
本発明の第1実施形態に用いられる転がり軸受ユニットの断面図である。 第1実施形態に用いられるスリップセンサの概略図である。 第1実施形態のスリップ率の算出に用いる力学的説明図である。 第1実施形態のスリップ率の算出に用いる力学的説明図である。 第1実施形態のスリップ率の算出に用いる力学的説明図である。 第1実施形態のスリップ率の算出に用いる力学的説明図である。 第1実施形態のスリップ率の算出に用いる力学的説明図である。 第1実施形態のスリップ率の算出に用いる力学的説明図である。 第1実施形態のスリップ率の算出に用いる力学的説明図である。 第1実施形態のスリップ率の算出に用いる力学的説明図である。 第1実施形態のスリップ率の算出に用いる力学的説明図である。 第1実施形態のスリップ率の算出に用いる力学的説明図である。 第1実施形態のスリップ率の算出に用いる力学的説明図である。 第1実施形態のスリップ率の算出に用いる力学的説明図である。 第1実施形態のスリップ率の算出に用いる力学的説明図である。 第1実施形態のスリップ率の算出に用いる力学的説明図である。 第1実施形態のスリップ率の算出に用いる力学的説明図である。 第1実施形態のスリップ率の算出に用いる力学的説明図である。 第1実施形態のスリップ率の算出に用いる力学的説明図である。 第1実施形態に用いられる圧力センサの取付外観図である。 図20におけるセンサ部分の断面図である。 第1実施形態のスリップ率の算出に用いる力学的説明図である。 第1実施形態のスリップ率の算出に用いる力学的説明図である。 第1実施形態のスリップ率の算出に用いる力学的説明図である。 第1実施形態のスリップ率の算出に用いる力学的説明図である。 第1実施形態のスリップ率の算出に用いる力学的説明図である。 第1実施形態のスリップ率の算出に用いる力学的説明図である。 第1実施形態のスリップ率の算出に用いる力学的説明図である。 第1実施形態のスリップ率の算出に用いる力学的説明図である。 第1実施形態におけるセンサの取付位置と誤差との関係を調べた測定結果表である。 第1実施形態のスリップ率の算出に用いる力学的説明図である。 第1実施形態のスリップ率の算出に用いる力学的説明図である。 本発明の第2実施形態に係る車輪支持用転がり軸受ユニットの断面図である。 図33のIV−IV線断面図である。 第2実施形態において行われる制御動作のフローチャートである。 第2実施形態に係る車輪支持用転がり軸受ユニットの断面図である。 本発明の第3実施形態に係る車輪支持用転がり軸受ユニットの断面図である。 図37のII−II線で切断して矢印方向に見た図である。 図137の矢印III で示す部位の拡大図である。 変位測定素子の出力変化を示す図である。 各実施形態の制御器にて行われる車両の制御方法を実行するためのフローチャート図である。 本発明の第4実施形態に係る車輪支持用転がり軸受ユニットの断面図である。 各本実施形態の制御器にて行われる別な車両の制御方法を実行するためのフローチャート図である。 本発明の第5実施形態に係るナックルユニット及び車輪ユニットの断面図である。 本発明の第6実施形態に係る加速度センサの配置を示す断面図である。 本発明の第7実施形態に係る車輪支持用転がり軸受ユニットの断面図である。 本発明の第8実施形態に係る車輪支持用転がり軸受ユニットの断面図である。 図47のII−II線で切断して矢印方向に見た図である。 図47の矢印III で示す部位の拡大図である。 本発明の第9実施形態に係る車輪支持用転がり軸受ユニットの断面図である。 各本実施形態の制御器にて行われる別な車両の制御方法を実行するためのフローチャート図である。 本発明の第10実施形態に係る車輪支持用転がり軸受ユニットの断面図である。 本発明の第11実施形態に係る車輪支持用転がり軸受ユニットの断面図である。 本発明の第12実施形態に係る車輪支持用転がり軸受ユニットの断面図である。 本発明の第13実施形態に係る車輪支持用転がり軸受ユニットの断面図である。 本発明の第14実施形態に係る車輪支持用転がり軸受ユニットの断面図である。 本発明の第15実施形態に係る車輪支持用転がり軸受ユニットの断面図である。 本発明の第16実施形態に係る車輪支持用転がり軸受ユニットの断面図である。 本発明の第17実施形態に係る車輪支持用転がり軸受ユニットの断面図である。 図59の矢印III で示す部位の拡大図である。 本発明の第18実施形態に係る車輪支持用転がり軸受ユニットの断面図である。 複合センサの好適な取付け位置の例を示す要部拡大図である。 複合センサの好適な取付け位置の例を示す要部拡大図である。 複合センサの好適な取付け位置の例を示す要部拡大図である。 複合センサの好適な取付け位置の例を示す要部拡大図である。 複合センサの好適な取付け位置の例を示す要部拡大図である。 複合センサの好適な取付け位置の例を示す要部拡大図である。 複合センサの好適な取付け位置の例を示す要部拡大図である。 複合センサの好適な取付け位置の例を示す要部拡大図である。
符号の説明
1 外輪(静止部材又は静止輪)
2 ハブ(回転部材又は回転輪)
5 回転速度検出センサユニット
8 内輪
10 転動体
12 フランジ
27a,27b 変位測定素子(回転センサ)
30 車輪
32 ホイールリム
35 ディスクロータ(制動ユニット)
50 被検出用円筒部(センサロータ)
60 制御部
60a トリガー信号発生装置
60b 記憶装置
60c 積分装置
60d 演算装置
60e 制動制御装置
61,62,63 加速度センサ
61A,62A,63A 加速度信号処理装置
130 複合センサ
以下、本発明に係る複数の好適な実施の形態例を図面に基づいて詳細に説明する。
次に、図1〜図32を参照して、本発明の第1実施形態に係る車輪のスリップ率測定方法について説明する。
図1に示すように、車輪支持部材であるナックルに取り付けられた転がり軸受ユニット(ホイール軸受ユニットとも言う。)を含む車軸ユニット(または車輪ユニット)210は、加速度センサと回転センサとが、一体化されたスリップセンサ211を有している。スリップセンサ211は、基底面に回転センサ222を配していて、この回転センサは、回転部材212に取付けられたエンコーダ213に対向して配されている。なお、転がり軸受ユニットには、ブレーキロータやタイヤが付いている。
図2に示すように、スリップセンサ211の加速度センサ221は、x方向(車輪進行方向)とy方向(車輪横方向)に各々2個、z方向(車輪縦方向)に1個取付けられている。なお3軸の加速度センサと、2軸(x,y軸)の角加速度センサを一体化したセンサを用いてもよい。(このセンサも、本発明に含まれる)。例えば、株式会社ワコーから、以下の製品及び特許文献が開示されている。
US6282956 Multi-axial Angular velocity sensor
US6269697 Angular velocity sensor using piezoelectric element
US6098461 Acceleration sensor using piezoelectric element
US5850040 Multi-axial acceleration sensor using
なお、y方向の加速度センサ221は、旋回時に必要となる。また、z方向の加速度センサ221は、路面の凹凸による振動成分の影響を補正するために用いるものであるがなくてもよい。
更に、車体の対地速度を求める場合、加速度センサは車体に設けてもよい。その場合は、各車輪の対地速度を車体の対地速度と以下読み替える。その場合、直進時では各車輪の加速度や対地速度は車体の加速度や対地速度と置き換えるとよい。
初めに各車輪の対地速度Vを求める。図3に示すように、実走行時には、各車輪において、特に駆動輪では駆動時に車輪の半径Rで、部分スリップが生じて一定の速度が出ている。これを仮に、部分スリップが0で同じ速度が出ていると仮定すると、各車輪の半径が小さく変化していると考えることができ、この各車輪の半径を仮想半径rとする。仮想半径は、駆動時には、実際の半径より小さくなり、逆に制動時には大きくなる。
各転がり軸受ユニット(又は車輪支持部材、又は、車軸ユニット、又は車輪ユニット)210に取付けた回転センサ222により検出される車輪回転角速度ωと、各車輪支持部材に取り付けた加速度センサ221から検出される各車輪のx方向についての加速度αxを用いると、各車輪の対地速度Vは、次式で表される。
ここで、仮想半径rが一定(以下、r=constと表す)と仮定して、上式を時間微分(式中´で表す)して、式の変形を行うと、仮想半径rは次式のように表される。
次に、各車輪支持部材(車軸ユニットあるいは車輪ユニット)210に取付けた加速度センサ221で検出した加速度αxと、回転センサ222で検出した回転角速度ωを用いて、(101)式と(104)式から次式のように、各車輪の対地速度Vを求めることができる。
なお、厳密には仮想半径rが一定の時に、(105)式は成り立つが、各車輪においてαx/ω´が、ほぼ一定の時、各車輪の対地速度Vを(105)式から求める。ここで、αx/ω'がほぼ一定とは、例えば1秒間で、10mm又は1mm以内の変化、又はサンプリング間隔内で10mm又は1mm以内の変化とする。また、上記条件が成り立たたなくなった時、すなわち、αx/ω´が、ほぼ一定とならなくなった時の時間をt1、その時の対地速度をVt1とすると、その後の各車輪の対地速度Vは、次式で求まる。
そして、再び、αx/ω´がほぼ一定となった時に、各車輪の対地速度Vは、(αx/ω´)・ωの値に入れ換える事により、常時、高精度に各車輪の対地速度Vを求めることができる。なお、αx/ω´≒constかどうかは、例えば1秒間で、10mm又は1mm以内の変化、又はサンプリング間隔内で10mm又は1mm以内の変化とするかどうかを測定することで、判断できる。
次に、路面勾配角度βの影響を除去する。図4に示すように、斜面走行時は、加速度センサ221がピエゾ素子式、圧電素子式、歪ゲージ式等、加速度により発生する力を利用する加速度センサの場合は、路面勾配角度βの影響が出るので、それを除去する必要がある。加速度センサの出力はx方向、すなわち車両の進行方向に加速したときの出力を正とする。真の加速度αxrは、加速度センサ221の出力αxaから、重力成分gsinβを除去し、次式で求まる。
上り坂では、βは正となり、下り坂では、βは負の値となる。ω≒constの時、おおよそ、αxr≒0となるので、路面勾配角度βは、次式のように求めることができる。ここで、ω≒constとは、測定時のω1と、一定時間Δt後のω2の比を測定し、判断する。例えば、ω2/ω1が±1%又は0.1%以内であれば、ω≒constと判断する。
上記条件とならない時は、同じ方向の加速度を検出する2つの加速度センサ221を図5(a)のように上にS1、下にS2を配置し、その出力αxa1,αxa2、両センサ間の距離d、上記条件がくずれた時間をt1、上記条件がくずれる直前の路面勾配角度βt1として、次式から、その後の路面勾配角度βを求める(図5(b)参照)。
(109)式中の(αxa2−αxa1)/dは、路面勾配角度による角加速度の差であるので、2回積分することで、路面勾配角度の変動分が求まる。また、再び、ω≒constとなったら、(108)式で求めた値に入れ換える。これによって、路面勾配角度は、常時高精度に求められる。なお、以後、加速度αxとは、真の加速度αxrのことを表すものとする。
次にタイヤのスリップ率Sについて説明する。タイヤのスリップ率Sは、以下に示す式で定義される。ここで、VΘは、タイヤの周速度である。
タイヤ周速度VΘは、タイヤ実半径Rと、回転センサ222より検出される回転角速度ωの積として求まる。すなわち、VΘ=Rωである。
また、各車輪の対地速度Vは、式(105)及び式(106)によって常時求まっているので各タイヤのスリップ率は、(110)式より次式から求められる。
ここで、各車輪(タイヤ)の実半径Rは、対地速度Vが(105)式、(106)式で常時求まっているので、R=V/ωで求まる。ただし、R=V/ωが成り立つのは、従動輪の場合では、ブレーキをかけない時は常時成り立ち、駆動輪の場合では、タイヤのスリップ率が、ほぼ0、例えば、S=0.01以内、あるいは0.001以内である場合に成り立つ。
次に駆動輪のタイヤのスリップ率がほぼ0になる条件、つまり、ニュートラル状態となる条件を示す。ニュートラル状態では、タイヤの走行抵抗と空気抵抗等の影響を受けなければ、図6に示すように、路面勾配角度βを考慮して、次式のようになる。
このニュートラル条件で実際にRを求めるためには、さらにブレーキをかけない状態で、ほぼ直進時(直進時の定義については後述する)にRを求めればよい。
実際には、駆動輪においては、タイヤの走行抵抗と空気抵抗等により、ニュートラル条件(αx≒−gsinβ)であってもニュートラルではなくスリップ率がある。よって、自然風のない時の平地での実験等により、対地速度Vにおけるニュートラル状態に対応する加速度αxN(負の値)を加え、例えば、V=10,20,30,40,50(km/h)に対応する各αxNの値を記憶させ、それを加え、次式が成り立つ時、ニュートラル状態とする。
Rは(113)式の条件の時、何回か測って平均してもよい。
なお、αxNを記憶させない場合は、タイヤの走行抵抗および空気抵抗等の影響が小さい時、つまり、低速走行時において(112)式が成り立つ時を、ニュートラル状態とすればよい。
また、本計算では自然風(以下、風とする)など外力の影響がないものとしているが、風などの外力を考慮する場合は、前記の(113)式の状態でも、スリップが生じる。そのため、自動車の速度やエンジン回転数に対して駆動力も出ないし、エンジンブレーキもかからない条件(例えば、エンジンスロットルの開度など)を記憶させ、その条件の時以外は、Rの測定を行わないようにする。尚、クラッチが切れていてブレーキが効いていない時は、従動輪と同様にニュートラル状態と見なしてもよい。
また、各車輪のスリップ率が小さい条件、すなわち、低加速度で路面勾配角度が小さい時、つまりαxも−gsinβも小さい時で、さらに空気抵抗が小さい時(つまり、低速度:10km/h以下)の時のrを平均して、Rとしてもよい。
尚、自動車の電気系統(電源)が切れる場合は、Rの値を記憶し、次に乗った時にRが求まるまで、その値を使用する。
以上のようにして、車輪の実半径Rが求まるので(111)式により各車輪の正確なスリップ率を常時求めることができる。
なお、このように各タイヤの実半径が求まると、タイヤの異常検出にも役立つ。例えば、各タイヤがパンクした場合の異常検出は、以下に示すことを行うとよい。
まず、仮想半径r又は実半径Rが急激に小さくなった場合、アクセルスロットを閉じる。その後、仮想半径r又はRが大きくなり、戻る場合には、単にスリップであり、戻らない場合は、パンクの可能性があるため、停止を促す。
また、t1時からt2時への1つの車輪のタイヤ半径減少率(Rt1−Rt2)/Rt2が、他の車輪のタイヤ半径減少より大きい(例えば、2〜5秒で10%以上、5〜20秒で5%以上)時に、同様の制御を行うとよい。
次に、直線時の路面摩擦係数の求め方について説明する。
直進時で、部分スリップしている状態の、各車輪の路面摩擦係数をスリップ率Sを用いて求める。なお、直進時とは、各車輪の進行方向のx方向加速度αxn(n=1,2,3,4)が、ほぼ等しい、あるいは、各車輪の横方向のy方向加速度αyn(n=1,2,3,4)が、ほぼ0である時のことである。
ここで、車輪1、2、3、4およびx,y方向は、図7に示すように定められる。各車輪のスリップ率Sと縦荷重Fzと車重Mによる慣性力(inertial force)を用いて、路面摩擦係数μを求める。部分スリップしている状態では、図8のように各車輪に作用するx方向の駆動力Fxnと、スリップ率Sn、路面摩擦係数μn、各車輪の縦荷重Fznには、一般的に次式が成り立つものとする。(スリップ率Sが小さい領域では、FxはSに対して、ほぼ直線的に変化するものとする。実際には、FxnはSnに対して曲線的に変化するとも考えられるが、ここでは直線的とする。)なお、曲線的変化で計算する方法は後で述べる。なお、kbは、タイヤのゴム材質、トレッドパターン等の構造などにより決まる定数である。
車体の駆動力Fxcは、重心での加速度αxc、車重(質量)Mとすると、重心での運動方程式を考え、次式で表される。車体質量Mと加速度αの積Mαは、車体質量による慣性力(inertial force)である。なお、直進時の重心加速度αxcは、各車輪のx方向加速度αxn(n=1〜4)の平均値として求める。なお、運動方程式中では重力による加速度成分を、加える必要がある。
実際には、車両には空気抵抗やタイヤの走行抵抗や自然風の影響が働くので、これらをRωとし、運動方程式に考慮する必要がある。
ここで、Rωは、微小時間では定数とみなすことにすると、Fxcは、次式で表される。
上式を時間微分すると、Rωが消える。
また、路面勾配角度βは、微小時間では変化しないと考えると、重力成分も消えて、次式のようになる。(βが一定時間変化しない時に計算してもよい。)
次に(114)式を時間微分すると、次式のようになる。ここで、微小時間では、μn、Fzn、βは変化しないものとする。
(117)式,(118)式を連立させると、次式のようになる。
(119)式の連立方程式を解いて、各車輪の路面摩擦係数の求め方を示す。つまり、直進時は、各車輪のスリップ率Snと各車輪が受ける縦荷重Fzn、車体質量Mによる慣性力(inertial force)Mαとを用いて、各車輪の路面摩擦係数μnおよび各車輪の駆動力Fxnが求まる。なお、各車輪ごとの縦荷重を直接測定した値を使ってさらに簡単に正確に計算する方法は後述するが、まず、計算によって縦荷重を求めて、それによって路面摩擦係数を求める方法を示す。
変数が多すぎるので、一旦各車輪の路面摩擦係数を4輪とも等しいと仮定し、μnとする。
次に、荷重分担比fn(n=1、2、3、4)を用いる。この荷重分担比は、微小時間では定数と考える。荷重分担比は、車重Mの各車輪にかかる分担比率であるので、各車輪の縦荷重はFzn=fnMg.cosβで求まる(図9参照)。荷重分担比を用いると、(119)式は、次式のようになる。
次に各車輪へのトルク配分比kdn(n=1、2、3、4)を用いる。このトルク配分比kdnとは、駆動装置のトルクTcを各車輪に配分する比率で、自動車の駆動装置が配分し、求まる値であり、各車輪のトルクはTn=kdncとなる。
そして、kd1+kd2+kd3+kd4=1の関係が成り立つ。
なお、各車輪のトルクは、各車輪の駆動力Fxnと各車輪のタイヤ実半径Rnの積であるので、次式が成り立つ。
上式を変形すると、次式となる。
また、直進時の車体の駆動力は、各車輪の駆動力の和であるから、次式が成り立つ。
(123),(124)式を時間微分すると次式を得る。
ここで、kdn,Rnは、微小時間では変化しないものとする。
(125−1)式を(121−1〜6)式に代入し、更に(125−2)式を加えると、次のようになる。
(126−7)式に(126−5)式を代入し、次式となる。
(127)式を(126−1)〜(126−4)式に代入すると、連立方程式は次式のようになる。
(128−1)式を変形して、f1を、μnを用いて表す形にすると次式のようになる。
同様に、(128−2)〜(128〜4)式を変形することにより、f2〜f4も、μnを用いて、表すことができる。それら(f1〜f4)を(128−5)式に代入すると、未知数はμnだけとなり、μnが求まる。
このようにして求まったμnを(128−1)〜(128−4)式に代入することで、各車輪の荷重分担比f1〜f4が求まる。ここで求まったfnは、各車輪の路面摩擦係数を等しいと仮定して求めたものであるので、次式のように、数回測定して平均化し、fnを定数として与える。
このようにしてfnが求まる。
次にこのfnを用いて(128−1)〜(128−4)式のμnを、μ1、μ2、μ3、μ4に置き換えた式から、μ1、μ2、μ3、μ4を求める。
上式から、各車輪の路面摩擦係数μ1、μ2、μ3、μ4を求めることができる。すなわち、各式にf1、f2、f3、f4を代入すれば求まる。
以上に示したように、直進走行時には、各車輪のスリップ率Snと、各車輪が受ける縦荷重Fznと、車体質量Mによる慣性力(inertial force)Mαとを用いて、各車輪の「路面摩擦係数μn」と「各車輪の駆動力Fxn」を求めることができる。
次に、図10を参照して、カーブ走行時には、車両の各車軸ユニットに取り付けられた各車輪の横方向の加速度センサの出力αynと各車輪のスリップ率Snと、各車輪が受ける縦荷重Fznと、車体質量による慣性力(inertial force)Mαとを用いて、各車輪の「路面摩擦係数μn」と「駆動力FxnとサイドフォースFynとの合力Fωn」を求めることができる。
カーブ走行時の各車輪ごとの路面摩擦係数の求め方について説明する。カーブ走行時も、直進時と同様に、各車輪のスリップ率と駆動力の関係式と、車両重心における運動方程式とを連立させて解く。そのために、重心での加速度を求め、更に、重心の加速度を考慮するために、各車輪および重心の旋回半径Rrn(n=1、2、3、4、c)を求めて使う。旋回半径Rrn等を求めるためには、アッカーマン理論と円運動の公式を用いる。アッカーマン理論は、各車輪および重心と、中心0とを結んだ各直線が、各車輪および重心の進行方向に対してそれぞれ垂直であるという理論である。
各車輪および重心のy方向加速度αyn(n=1,2,3,4,c)と旋回半径Rrn(n=1,2,3,4,c)、x方向対地速度Vxn(n=1,2,3,4,c)には、円運動の公式から次に示す関係式が成り立つ。
上記関係式より、各車輪の旋回半径Rrn(n=1,2,3,4,c)は次のように求まる。
ここで、αynは、各車輪のy方向(横方向)の加速度センサ221から求まり、Vxnは、各車輪のx方向(進行方向)の加速度センサ221と回転センサ222から前述の計算で求まっているので、(133−1)〜(133−4)式でRrnが求まることになる。
次に,重心の旋回半径Rrcを求める。重心の旋回半径Rrcは、重心位置を仮定して与えれば、幾何学的に次の(134)式から求まる。尚、重心位置は、後述する各車輪の縦荷重を直接求める方法では計算により求まるので、仮定する必要はない。ここで、Rr4は、旋回中心と後輪4との距離、TrRは、重心と後輪との横方向の距離、Lrは、重心と後輪との縦方向の距離である。
また、円運動の公式より、各車輪および重心のy方向加速度,旋回半径Rrn、旋回回転角速度ω0は、次の関係式が成り立つ。
図に示した旋回回転角速度ω0は、各車輪および重心において、共通の値であるので、(135−1)〜(135−4)式は次のようになる。
上式を(135−5)式に代入すると、重心のy方向加速度αycは、次式で求まる。
(137−1)式のどの項を使ってもよいし、(137−2)式のように、各項の平均を使ってもよい。
次に、重心のx方向の加速度αxcを求める。各車輪および重心のx方向対地速度Vxnと、旋回回転角速度ω0、旋回回転半径Rrnは、次式の関係が成り立つ。
上式を微分すると、次のようになる。ここで、Rrnは、微小時間では変化しないと考える。
ここで、旋回回転角速度ω0及び角加速度ω0´は、各車輪および重心において等しいので、(139−1)〜(139−4)式は次のようになる。
このω0´を(139−5)に代入すれば、重心のx方向加速度は、次のように求まる。
このとき、(141−1)式のどの項を使ってもよいし、(141−2)式のように、各項の平均を使ってもよい。
以上のようにして、重心のx方向およびy方向の加速度αxc,αycは求まる。カーブ時には、各車輪のスリップ率Snと駆動力Fxnの関係数と、重心における車両の運動方程式と、さらに、旋回中心まわりのモーメントのつり合いの式を加えた連立方程式を解くことで、各車輪の路面摩擦係数は求まる。以下にその方法を示す。
各車輪のx方向に作用する駆動力Fxnと、スリップ率Sn、路面摩擦係数μn、各車輪の縦荷重Fxn、路面勾配角度βとには、カーブ時においても、一般的に次式が成り立つ。
また、車両重心における運動方程式は、車重Mによる慣性力(inertial force)を考えて、次式で表される。
空気抵抗等の走行抵抗をRwとし、運動方程中に加えると、次式のようになる。
上式を微分すると、定数項Rwが消える。路面勾配角度βは、微小時間では変化しないと考えると、重力成分も消えて、次式のようになる。
(142)式を時間微分すると、次式となる。ここで、微小時間では、μn,Fzn,βは変化しないものとする。
カーブ走行時は、旋回中心回りのモーメントのつり合いを考え、連立方程式に加える。つまり、各車輪の駆動力Fxnと旋回半径Rrnの積の総和は、車両の駆動力Fxcと重心の旋回半径Rrcとの積と等しいので、次式が成り立つ。
(147)式を変形する。
(148)式の、Rr1/Rrc=h1,Rr2/Rrc=h2,Rr3/Rrc=h3,Rr4/Rrc=h4 とし、動力ベクトル比とすると、次式のようになる。
(149)式を時間微分する。ここで、動力ベクトル比は微小時間では変化しないものとする。
カーブ走行時は、以下に示すように、各車輪の駆動力Fxnとスリップ率Snの関係式((146)式)と、重心における運動方程式((145)式)に加え、旋回中心のモーメントの式((150)式)との連立方程式を解けば、各車輪の路面摩擦係数μnが求まる。
以下に、(151)式を解いて、各車輪の路面摩擦係数μnの求め方を示す。
まず、一旦、各車輪の路面摩擦係数を4輪とも等しいと仮定し、μmとすると、(151)式は、次式のようになる。
次に各車輪の荷重分担比fnを用いると、微少時間では定数と考えて、Fzn=fnMg・cosβとなるので次式のようになる。
駆動装置のトルクTcを、各車輪に配分する比率であるトルク配分比kdnを用いると、次に示す関係が成り立つ。
また、各車輪のトルクTnは、各車輪の駆動力Fxnとタイヤ実半径Rnとの積であるので、次式が成り立つ。
よって、各車輪の駆動力Fxnは、駆動装置のトルクTnを用いて、次式のように表せる。
次に、(156)式を微分する。ここで、kdn,Rnは微小時間では、変化しないものとする。
これらを(153)式の連立方程式に代入すると、次式のようになる。
(158−5),(158−6)式から、Tc´は次のように表せる。
そして、(159)式を(158−1)〜(158−4)式に代入すると、両辺の車重Mが消え、連立方程式は、次のように表される。
(160−1)〜(160−4)式を変形すると、fnは次のように表される。
それらを(160−5)式に代入し、μmを求める。その後、(161)式に、求まったμmの値を代入し、各車輪の荷重分担比fnを求める。求まった荷重分担比fnを連立方程式に代入する。
以下に示す各式中で、未知数はμn(n=1〜4)だけであるので、カーブ走行時にも各車輪の路面摩擦係数は求まる。
次に、各車輪の駆動力Fxnとスリップ率Snの関係式について説明する。本方法では、各車輪の路面摩擦係数を求めるために、各車輪の駆動力Fxnは、スリップ率Snに比例するとしたが、実際には、図11に示すように、駆動力(制動力)Fxn,スリップ率Snの変動に対し、曲線的に変動すると考えられている。スリップ率Snが0,1〜0,2の時、駆動力は最大値を示し、それ以上となると、駆動力は減少し、各車輪は実際に滑り始める。各車輪の駆動力Fxnは、実際に滑る少し手前まではスリップ率Snが増加するにつれて、ほぼ直線的に増加している。本方法では、その傾きを1/kbとし、タイヤのゴム材質、トレッドパターン、構造等で決まる定数とした。Sが大きくなると、傾きは多少変化するが、本方法では、Fxn,Snともに微分して考えているので、瞬間的には直線となり、誤差は小さいと考えられる。
より正確にFxnとSnの関係を求めるためには、別法として、駆動力Fxnとスリップ率Snの関係Fxn/Fxn・μn=f(Sn)をデータとしてメモリーに記憶させる方法もある。この場合、駆動力Fxnとスリップ率Snは、次式の関係式で表される。
この場合も、直線近似した場合と同様に、微分して以下の連立方程式を解けば、各車輪の路面摩擦係数が求まることになる。
この時、f(Sn)の微分f´(Sn)の求め方は、例えば、次式で表すように、微小時間間隔Δtでのf(Sn)の差Δf(Sn)を求め、Δtで割ることで求まる。
また、より多くのスリップ率Snのデータに対して駆動力Fxnを記憶させればよりよいが、そうでない場合は、図12に示すように、その間を直線的あるいは曲線的に補完しても良い。具体的には、車輪が滑り出すといわれるスリップ率が0.1〜0.2程度なので、その間のスリップ率Sを200〜500分割し、それぞれに対応するFx/Fzμを記憶させる。この時、1点記憶するのに2バイト必要とすれば、0.4K〜1Kバイトのメモリに全データを記憶させることが可能で、非常に少ないメモリで高速に正確な関係が求まる。
次に、各車輪の縦荷重Fznの変動について説明する。
各車輪の縦荷重および重心位置は一定として路面摩擦係数を求めたが、実際には、以下に示す原因等により、縦荷重は変動する。
1.ピッチングによる車体の前後の縦荷重移動
2.ローリングによる車体の左右の縦荷重移動
3.駆動力の反力モーメントによる縦荷重移動
4.路面凹凸等によりサスペンションが作用した場合の縦荷重変動
各車輪の縦荷重Fxnの変動にともない、車両重心位置も移動し、補正する必要がある。ただし、Fxnを直接測定して使う方法(後述)では、これらの補正は必要なくなる。
以下に、縦荷重および重心位置の補正方法を示す。
上記による各車輪の縦荷重の変動を考慮して荷重分担比を補正し、再度、以下に示す。
連立方程式を解き、路面摩擦係数を求める。
なお、複数回(例えば、3回程度)繰り返し計算して収束させることで、μnの精度を高くできる。
次に、前述したそれぞれの場合について、具体的に縦荷重の補正方法について示す。
1.ピッチングによる前後の縦荷重移動
図13に示すように、重心高さをHc、ホイールベースをWb、ピッチングに寄与する加速度をαpcとすると、モーメントのつり合いから、ピッチングによる前後の縦荷重移動ΔFzpは、次式から求まる。ここで、Hc,Wbは既知の値であり、αpcの求め方は後述する。
上(168)式を変形する。
ピッチングによる、前後の荷重分担比の変化Δfpは、(169)式で求めたΔFzpを車重Mで割れば求まるので、次式のようになる。
加速時(αpcが正の値)には、前輪からΔfpの絶対値を減算し、後輪にΔfpの絶対値を加算し、補正する。逆に、減速時(αpcが負の値)には、前輪にΔfpの絶対値を加算し、後輪からΔfpの絶対値を減算し、補正する。Δfpの符号を考えると、加速・減速時ともに、次式により補正を行えばよい。(fn´は補正前の値)
2.ローリングによる左右の縦荷重移動
図14に示すように、重心高さをHc、ホイールレッドをTr、ローリングに寄与する加速度をαrcとすると、モーメントのつり合いから、ローリングによる左右の縦荷重移動ΔFzrは、次式から求まる。なお、Hc,Trは既知の値であり、αrcの求め方は後述する。
上(172)式を変形すると、ΔFzrは次式から求まる。
ローリングによる左右輪の荷重分担比の変化Δfzrは、ΔFzrを車重Mで割り、次式のように求まる。
図15に示すように、x,y方向の正負を決めた場合、車両が右方向にカーブする時は、αrcは正の値となり、左側車輪1および3に、Δfzrの絶対値を加算し、右側車輪2および4から、Δfzrの絶対値を減算し、補正する。
逆に車両が左方向にカーブする時は、αrcは負の値となり、左側車輪が1および3から、Δfzrの絶対値を減算し、右側車輪を2および4に、Δfzrの絶対値を加算し、補正する。Δfzrの符号を考えれば、左右カーブ時ともに、以下に示す式により、ローリングによる荷重分担比の変化の補正を行えばよい。尚、fn´は補正前の各車輪の荷重分担比である。
3.駆動力の反力モーメントによる前後の縦荷重移動
図16に示すように、各車輪に働く駆動力による反力モーメントによっても各車輪の縦荷重は変化する。例えば、車輪1は、駆動力Fx1による反力モーメントによって、縦荷重Fz1は減少し(ΔF1,1とする)、車輪3に働く駆動力Fx3による反力モーメントによって縦荷重Fz1は増加する(ΔF1,3とする)。ΔF1,1およびΔF1,3、車輪の実半径R1、ホイールベースWbとの間では、モーメントのつり合いを考えると、次式が成り立つ。
上(176)式を変形し、Fxn=Mαxnの関係を用いると、
(177)式で求めた値を車重Mで割り、補正前の荷重分担比f1´に加算、減算することで、車輪1の駆動力反力による前後の荷重分担比の補正は、次式のように行う。
同様にして、各車輪の駆動力反力による前後の荷重分担比の補正は、次式のように行う。
4.路面凹凸等による縦荷重の変化
図17に示すように、車両が路面凹凸等を通過した時には、サスペンションが作用するため、各車輪の縦荷重は変動する。この場合は、各車輪にz方向(縦方向)加速度センサ221を取付け、路面凹凸等により生じるz(縦)方向加速度αznを検出し、次式に示すように、微小時間で2回積分し、各車輪のz(縦)方向変位ezを求める。
上(180)式で求めたezに、サスペンションのばね定数kをかけ、各車輪の縦荷重変化分ΔFzeを次式のように求める。
このようにして求めたΔFezを各車輪の補正前の縦荷重に加算あるいは減算し、補正を行う。
次に、ピッチング,ローリングに寄与する加速度αrc,αpcの求め方について説明する。
ピッチングおよびローリングによる各車輪の縦荷重を求めるためには、図18に示すように、重心の進行方向加速度αxcと横方向加速度αycを、ピッチングおよびローリング方向に変換する必要がある。ここで、重心の加速度は(137)式,(141)式により求まっている。なお、直進時は、旋回時角度θc=0とすれば、カーブ時と同様に考えることができる。ここで、旋回時角度θcとは、重心進行方向と車体向きの角度差のことで、次式から求まる。
この時、ピッチング加速度αcp,ローリング加速度αcrは、重心の加速度αxc,dycと、θcから次式で求まる。
このようにして求めたαcp,αcrを前記(170)、(174)式に代入し、ピッチング,ローリングによる荷重分担比の変化に対する補正を行う。
次に、重心位置の補正について説明する。
前述したように、各車輪の補正を行った荷重分担比が求まるので、車両の重心位置が求まる。以下にその方法を示す。ここでは重心配分比Lnを用いる。重心配分比は、荷重分担比と以下に示す関係にあり、図19中に示す。
重心配分比Lnから、図19中のA,B,C,D点が求まる。そして、AとCおよびBとDを結んだ2直線の交点が重心として求まる。このようにして、重心位置の補正も行える。
次に、縦荷重の測定方法について説明する。
今までは、各車輪の縦荷重は荷重分担比を用いて、計算から求めていたが、以下に示すように、サスペンションの受皿部等で荷重を測定すれば、より高精度に各車輪の縦荷重が求まるので、高精度に各車輪の路面摩擦係数が求まる。
(1)サスペンションのバネの受皿部(円盤やリングでもよい)の荷重を測定する方法。
1.ロードセルで計る方法。
2.缶に油を詰めて缶の蓋の上にバネの受け板を置いて、缶に圧力センサを取付けて油の圧力を測定する方法。
3.円周を支持した金属円盤の上の中央に、バネの受け皿を置いて、金属円盤の中央下に圧力センサの突起を当てて突起に変位を与えて圧力として測定する方法。
4.断面が横U字状のドーナッツ状の金属の間に感圧導電性ゴムを挟んで、その上にバネの受け皿を置いて、金属の変形率をゴムの導電率で測定する方法。
(2)サスペンションのバネの変位を計る方法。
1.摺動抵抗式変位計をショックアブソーバーと並列に置いて抵抗の変化を計る方法。
2.ショックアブソーバーの内側又は外側にコイルを巻いてコイルの中に出入りするピストンロッドとの間の誘導抵抗(インダクタンス)の変化を計る方法。
3.ショックアブソーバーのピストンロッドに磁石式直線エンコーダを内蔵してホール素子で移動量を測定する方法。
なお、サスペンションのバネの変位を測定する方法では、測定した変位ezに、バネの係数kzをかけた値が荷重である。
前述した各車輪の縦荷重の測定方法の中で、特に、(1)2.の圧力センサを用いた縦荷重の測定方法について以下に示す。
具体的には、図20,図21に示すように、上がダイヤフラムで蓋をされているドーナッツ状の缶250内にオイルを満たし、側面に圧力センサ252を取付けて、その缶の上に荷重受プレート251を置く。そして、ドーナッツ状の缶250をサスペンション253の受け皿254部等に設置し、圧力センサ252の出力から、荷重が測定できる。なお、ドーナッツ状の缶250には、圧力センサ用のねじ255を切り、そこからオイルを注入・充満させた後、圧力センサ252を取付ける。この荷重の測定方法では、荷重受プレート251が全周にわたり存在しているため、偏荷重があった場合でも、縦荷重の合計値が測定できる。また、ドーナッツ状の缶250に段部を設ければ荷重受プレート251が嵌り、安定する。荷重受プレート251の面積をS、圧力センサ252の測定値をPとすると、縦荷重Fzsnは、次式で求まる。
なお、この方法で用いる圧力センサ252としては、以下に示す圧力センサが挙げられる。
1.長野計器株式会社製の車載用圧力センサ
この長野計器株式会社製の圧力センサは、絶縁膜を介した金属ダイアフラム上にプラズマCVDにより、歪ゲージを形成した感圧部に用いており、耐久性、安定性に優れている。また、金属ダイアフラムは、本体に溶接され、一体化しているために、車載用に適しており、更に、可動部がないので、耐振動・耐衝撃性に優れている。また、最小5mmと小型化も可能で、安価でもあるので、自動車のエンジンや各車輪のブレーキ液圧測定用センサとして使用されている。(参考特許文献:特開2002−168711号公報)
2.株式会社デンソー製の圧力センサ
株式会社デンソー製の圧力センサは、シリコンを加工した薄いダイアフラム部に拡散抵抗を形成したセンサ素子を使用している。そして、使用温度が−30〜120℃と広く、それに伴う温度補償回路を内蔵し、電磁波対策を施したリニア出力の圧力センサである。また、測定圧力範囲は7Mpaであり、圧力センサを取付けるサスペンション受皿部が受けると考えられる最大圧力5Mpaより大きい。自動車への適用例としては、エアコンシステムの冷媒圧測定、サスペンションシステムの圧力測定等に使用されている。
次に、各サスペンションの受け皿部で、直接荷重を測定した値から各車輪の縦荷重を求める方向を示す。前輪の左右輪を例にとり、図22を参考にして、その方法を示す。
図22に示すように、Tr,f,Lf,θsfをとり、車輪1のサスペンション受皿部での荷重測定値をFzs1、車輪2のサスペンション受皿部での荷重測定値をFzs2とする。なお、左右は対称として考えた。この時、荷重Fzs1は、車輪1および2の受けるバネ上荷重Fzb1およびFzb2に、その作用点からの距離の逆数に比例した荷重が配分される。
つまり、図22中のAB:BDの逆数に比例して、荷重が配分される。同様に、荷重Fzs2は、車輪1および2に、AC:CDの逆数に比例した荷重が配分されるので、図22中のFzb1,Fzb2は、θsfを考慮して、次式により求まる。
同様にして、後輪についても、Fzb3,Fzb4は、次式から求まる。
さらに、ばね下荷重Wslnを加え、各車輪の縦荷重Fznは次式で求まる。
また、別法として、4輪間の相関関係を考えれば、サスペンション受皿部での測定荷重Fzsnと、各車輪のバネ上荷重Fzbnとは、補正係数Cm,n(m,n=1,2,3,4)を用いて次式で表される。
この時、補正係数Cm,nを求める方法を、図23を参照して、以下に示す。
まず、各車輪が車重による荷重以外、受けていない状態で、各サスペンション部に、順次、一定荷重ΔFzsnを加え、各車輪の荷重変動を測定する。例えば、前輪左側サスペンション1に、ΔFzs1を加えた時には、サスペンション1の荷重をΔFzs1と考えれば、相対的に、サスペンション2,3,4は荷重を0(ゼロ)と考えられる。よって(189)式において、Fzs1=ΔFzs1,Fzs2=Fzs3=Fzs4=0となり、補正係数C1,1,C1,2,C1,3,C1,4が求まる。
同様に、サスペンション2,3,4に荷重ΔFzsnを加えれば、補正係数Cm,nがそれぞれ求まる。
また、より高精度に補正係数を求める場合には、適当に、サスペンションに荷重ΔFzsnを16通り加えれば、16個の式から成り立つ連立方程式ができるので、16個の補正係数Cm,nは求まる。
よって、Cm,nの値を記憶しておけば、サスペンション受皿部での測定荷重ΔFzsnから、各車輪のバネ上荷重Fzbnが求まり、更に次式のように、バネ下荷重Wslnを加え、各車輪の縦荷重Fznが求まる。
サスペンション部での測定荷重から、各車輪の縦荷重Fznを求めた場合にも、直進時には、求めた各車輪の縦荷重Fznと、各車輪のスリップ率Sn、車体質量Mによる慣性力Mαとを用いて、各車輪の路面摩擦係数μnを求めることができる。カーブ時には、更に各車輪の横方向の加速度センサで検出されるy(横)方向加速度αynを用いれば、各車輪の路面摩擦係数を求めることができる。具体的には、以下に示す連立方程式を解くことでも、各車輪の路面摩擦係数が求まる。
尚、直進走行時は、(191−6)式中のhnの和
は1となる。
また、各車輪の駆動力FxnとトルクTnは実半径Rnを用いて、以下に示す関係となる。
上(187)式を微分すると、次式となる。
またトルク配分比kdnを用いると、各車輪のトルクTnは、駆動装置のトルクTcを用いて、次のように表される。
上(189)式を微分すると、次式となる。
(188)、(190)式から、Fxn´は次式で表せる。
これを(186−6)式に代入すると、次式となる。
よって、
そして、(191)式に代入し(186−5)式を用いると、各車輪のFxn´は次式で表される。
また、(194)式のMは次式により求まる。
以上から、(186−1)〜(186−4)式において、未知数はμnだけであるので、各車輪の路面摩擦係数は次式で求まる。
サスペンション部での測定荷重から、各車輪の縦荷重Fznを求めた場合、以下に示すように、各車輪の加速度αxn,αynを用いて、各車輪のFxn,Fynがより高精度に求まる。
また、サスペンション部での荷重を測定した場合、計算により求めていたローリング、ピッチング、駆動力の反力モーメントによる縦荷重の変動は、測定値に含まれているので、より高精度に路面摩擦係数を求めることが可能となる。更に、この場合、重心位置は、(184)式のfnをFznとおきかえた次式を解くことで、常時、高精度に求めることが可能となる。
次に、制御方法について説明する。
まず、直進走行時の制御方法について、以下に示す。直進時は、限界スリップ率を求めて(予測して)、ABS等のブレーキ制御やTCS等の駆動力制御を行うことが可能である。
ここで、限界スリップ率とは各車輪が滑り出すスリップ率のことである。
図24に示すように、Fx−S特性図中で、Sが小さい場合は、Sの増加とともにFxは、ほぼ直線的に増加し、その後、Fxの増加は緩やかとなり、最大値を示し、減少する。 Fxが最大値を示した時のSが限界スリップ率であり、それ以上のSだとスリップしている状態となる。
よって、Fx−S曲線の傾きを測定し、限界スリップ率を超えないように制御を行う、 具体的には、Fx−S曲線の傾き、つまり、dFx/dS=(dFx/dt)/(dS/dt)を測定する。スリップ率Sが小さい場合、その値はほぼ一定となるが、スリップ率Sが大きくなり、限界スリップ率に近づくと、dFx/dSは小さくなる。よって、dFx/dSの値が、前回計算値に比較して、例えば、1/2,1/3,1/5,1/10,1/20などと値を設定しておき、それ以下の値となった時、ブレーキあるいはエンジンスロットルの開閉等を行い、制御する。
また、限界スリップ率が明らかな場合には、スリップ率Sが限界スリップ率を超えないように、上述した制御を行えばよい。
次に、カーブ走行時のスタビリティコントロール(安定制御)の方法について、以下に示す。
カーブ走行時は、車輪の横(g)方向にもサイドフォースFgnが働くため、各車輪を直接制御できないので、予測を行い、各車輪が滑るのを未然に防止する。
その方法としては、たとえば、各車輪に働く力Fの時間増加率dFw/dtを測定し、数秒後に働く力を予測し、その力が、各車輪が滑り出す力より大きい場合、ブレーキやエンジンスロットルの開閉等による制御を行う。
以下に、具体的にその方法を示す。
まず、摩擦円の法則について示す。摩擦円の法則は、各車輪で成り立ち、図25に示すように、各車輪の駆動力FxnとサイドフォースFynとの合力Fwnと、滑り出す限界の力Flnとの関係を示したものである。つまり、Fwが半径Flnの摩擦円より大きくなった時、車輪は滑り始める。ここで、各車輪が滑り始める力Flnは、次式で求まる。
一方、各車輪に働く力は、次のように表される。x方向に働く駆動力Fxnは次式で求まる。
各車輪のy方向に働くサイドフォースFynは次式から求まる。
よって、各車輪に働く合力Fwは次式から求まる。
このように、各車輪のスリップ率Snと、縦荷重Fzn、y(横)方向加速度αynを用いて、各車輪の合力Fωn(駆動力FxnとサイドフォースFynのベクトル和)が求まる。また、直進時は、y(横)方向に力を受けないので、合力Fwnと駆動力Fxnが等しくなり、y(横)方向加速度αynを用いなくてもよい。なお、αyn≒0とすれば、(106)式を用いて、各車輪の合力Fωnを求めてもよい。
摩擦円の法則から明らかなように、各車輪において合力FwnがFln以下であれば、車輪は滑らない。よって、次式が成り立つ時、各車輪は滑らない。
上(202)式の両辺にfn,Mがあるので消え、次式が成り立つとき、滑らないことになる。
上(203)式が成り立つように、カーブ走行時は、制御を行う。具体的な方法を以下に示す。
図26に示すように、時刻T1において、(dFwn/dt)(T1)の測定を行い、t秒後(例えば0.5秒,1秒,2秒)の時刻T2における各車輪に作用する力Fwn(T2)を、次式のように予測する。
そして、Fwn(T2)≧Flnとなる時には、時刻T1において、ブレーキやエンジンスロットル等の制御を行い、各車輪の滑りを未然防止する。
図26を用いて説明すると、a点,b点について、a点の場合、傾き(dFwn/dt)(T1)が小さいので、時刻T2において、Fwn(T2)<Flnとなるので、制御しないが、b点の場合、傾き(dFwn/dt)(T1)が大きく、時刻T2´において、Fwn(T2)≧Flnと予測されるので、上述の制御を行う。
次に、キングピン角、キャスタ角、キャンバ角、ヨー角の影響の除去について説明する。
自動車がもつキングピン角、キャスタ角。キャンバ角。ヨー角等によって、加速度センサ221の測定値に影響が出る場合は、実験値を記憶させておき、その影響を除去すればよい。
図27に示すように、路面凹凸部を通過する時、サスペンションが伸縮し、測定値に誤差が生じ、対地速度およびスリップ率等に誤差が生じる。その場合、各車輪支持部材(車輪ユニット、車軸ユニットともいう。)にz方向加速度センサ221を取付け、路面凹凸等による振動を検出し、補正を行い、高精度に対地速度およびスリップ率を求めることが可能である。
また、車体側にも、z方向加速度センサ221を取付ければ、その差を測定することで、より高精度に路面凹凸等による振動成分を除去することが可能である。
次に、居眠り運転に対する警告表示に応用する考え方について説明する。(各車輪に設置しなくてもよい)図28,図29に示すように、車両が受けるy(横)方向加速度は、直進時、カーブ時、S字カーブでは図28のようになる。しかし、居眠り運転は、図29に示すようになると考えられる。
よって、直進時、カーブ時ともにある一定時間の近似曲線(直進時は直線)に対して、その振れと周期を測定し、居眠り運転の可能性がある場合、ドライバーに警告できる。
次に、加速度センサ221について説明する。
一般的に、自動車の受ける加速度は急発進、急ブレーキ時に最大となり、±0.5G程度と考えられる。よって、加速度計の測定レンジは、それよりも大きい必要がある。また、低速度の時は、微小な加速度変化に対応するため、高分解能が必要となり、高速走行時には、高応答性が必要となる。
以下に加速度センサ221について詳細に説明する。
1.アナログ・デバイセズ株式会社製、「ADXL202E」
2軸加速度センサで、測定レンジは、±2Gである。5vで作動しデジタル信号または増幅アナログ信号出力である。データ転送速度は0.01Hzから5KHzまで接続コンデンサにより可変であり、応答性と分解能は次のような関係となる。60Hz−2mg、20Hz−1mg、5Hz−0.5mg。耐衝撃は1000gであり、耐熱温度は−65〜150℃である。高速応答が可能である。サイズは5mm×5mm×2mmと小型で、1個500円程度と低価格であり、様々な分野で使われている。これを2個使えばx,y方向の加速度とx,y軸回りの角加速度が求められる。
2.日立金属株式会社製ピエゾ抵抗型3軸加速度センサ
加速度の作用により生じる力によって、ピエゾ抵抗に応力が発生し、加速度の検出を行う。1軸の加速度センサを3個、2軸の加速度センサを2個組み立てて、3軸方向の加速度を同時に検出可能で、傾きの検出も可能である。測定レンジは、±3Gで、パッケージサイズが4.8×4.8×1.25mmと超小型である。
3.北陸電気工業製ピエゾ抵抗型3軸加速度センサ
日立金属製と同様に3軸の加速度の同時検出が可能である。測定レンジは、±2Gであり、サイズは5.2×5.6×1.35mmである。
(関連特許文献)特開2003−240795号公報、
特開2002−243759号公報
上述した加速度センサも含めて、加速度センサ221には、測定原理により、ピエゾ抵抗型、静電容量型、圧電型等があり、本方法で用いる加速センサはいずれでもよい。
次に、センサの取付け位置について説明する。
加速度センサ221は、各車輪の挙動を測定するので、タイヤ幅の中心部に取付けるのが理想的である。直進走行時には、車軸ユニットに取付けられていればよいが、カーブ走行時には、タイヤ幅中心からずれると、測定される加速度に誤差が生じるため、各車輪の対地速度Vnおよびスリップ率Snにも誤差が生じる。よって、加速度センサ221は、タイヤホイールのリム幅内に取付けるのが望ましい。
図30に示すように、加速度センサ221の取付け位置を変えて(タイヤ中心と加速度センサ取付け位置との距離をオフセット量とする)各種シミュレーションを行ったところ、タイヤ幅中心から一定の幅内に取付けられれば、実用レベルであることがわかった。なお、オフセットの影響は、車体内側も外側もほぼ同じであった。
従って、加速度センサ221はタイヤ中心から、150mm以内に取付けられるのが望ましい。また、加速度センサ221を、タイヤホイールのリム幅内あるいは、タイヤ中心から、150mm以内に取付けられない場合は、以下に示すように、タイヤの旋回角から、オフセット量を補正し、対地速度Vn、スリップ率Snを求める方法もある。なお、加速度センサ221がリム幅内あるいはタイヤ中心から150mm以内に取付けられている場合でも、補正計算を行えば、より高精度に加速度が求まる。
図31に示すように、車輪n(n=1,2,3,4)に、タイヤ中心からyoff(mm)の位置に、加速度センサ221が取付けられている場合について説明する。
車輪nがXn´方向に進行していて、Xn方向に旋回する時、各車輪のスリップ角θnはハンドルの切れ角から求まる。この時、センサ取付け位置では、タイヤ中心に比べ、次式で示す加速度Δαが作用するので、減算し、補正する。
つまり、センサ取付位置では、タイヤ中心位置を中心とした半径yoffの円運動によって、加速度が生じる。Xn方向には、周加速度が作用し、Yn方向には遠心力の加速度が生じるので、上式で求まる加速度を、測定値より減算し、補正を行う。
次に、加速度センサ221および回転センサ222の精度について説明する。
自動車が受ける加速度は、急発進時、急ブレーキ時で、±0.5g程度であり、各車輪が受ける加速度もほぼ同様と考えられる。よって、制御する加速度は1gの範囲内であり、その1/200〜1/500の精度が必要であるとすると、5mg〜2mgの分解能が必要となる。また、自動車は、急ブレーキ時等は加速度が急激に変化し、その絶対値が大きい場合には、高応答性を要求し、低速時等は高精度の制御が要求される。アナログ・デバイセズ社製の加速度センサはコンデンサを変えることで、0.01Hzから5kHzまで応答性が可変であり、それによって分解能も変えることができる。よって、加速度センサは、検出した加速度の絶対値が大きい場合、高応答性が要求されるので、応答性を60Hzとすればよく、その時の分解能は2mgとなる。更に、応答性を上げてもよい。また、高精度が必要な時は、5Hzとすれば、分解能は0.5mgとなる。
次に、z方向加速度計(角速度センサ)について説明する。
z方向の加速度を測定することで、
(1)路面勾配の測定
(2)路面凹凸等による振動の測定
が可能となる。実際には、路面勾配の測定を行いたい時は、出力されたz方向加速度のデータを数回記憶しておき、平均化することで、細かい加速度のデータが消え、大きな加速度変化が出力され、路面勾配がわかる。逆に、路面凹凸等による振動を測定する時には、平均化処理を行わないか、平均化するとしても、その個数を小さくすればよい。なお、平均化するz方向加速度の個数が異なる加速度計を複数個設置してもよい。また、3軸角度センサ、6軸モーションセンサ等を設置すれば、より高精度に制御できる。
つぎに、2軸駆動(FF,FR)の荷重分担比fnの算出方法について説明する。
FF,FRといった二輪駆動車の場合には、以下に示す方法で、荷重分担比fnが求まる。ブレーキ時で、なおかつ、ニュートラル時、つまり、自動車の駆動装置から各車輪へ駆動力の伝達がない時には、図8に示すように、各車輪のブレーキの液圧から、各車輪の制動力Fxnが求まる。各車輪の制動力Fxnとスリップ率Snとには、次式が成り立つ。
上式を変形すると、次式となる。
ここで、一時的に各車輪の摩擦係数が等しいと考え、次式のようにμmとする。
上式を連立方程式(213)式に代入すると、
上式から、各車輪の荷重分担比の比率は次のように求まる。
全体の制動力をFb=Fx1+Fx2+Fx3+Fx4とし、それに対する各車輪の制動力の比率をbnとする。
この比率を用いると、荷重分担比は次のようになる。
係数kを掛ければ、fn=k(bn/Sn)と考えられる。f1+f2+f3+f4=1に代入する。
上(219)式を整理すると、次式のようにkが求まる。
kが求まったので、各車輪の荷重分担比が次のように求まる。
各車輪の路面摩擦係数は次式で求まる。
なお、各車輪のブレーキ時の液圧がわからない場合は、各車輪に働く制動力を等しいFx1=Fx2=Fx3=Fx4=1/4Fxbとして、荷重分担比を求め、路面摩擦係数を求めればよい。なお、荷重分担比も、エンジンを切る等により、自動車の電気系統(電源)が切れた場合は、その値を記憶しておき、次回の計算時に使用する。
次に、スリップ率を求める別法について説明する。
各車輪の速度およびスリップ率を求める別法として、以下に示す方法もある。
(1)積分法
微小時間Δt内で、加速度センサ221の出力から重力影響を除いて求めた真の加速度αxから速度変化分ΔVαを求め、一方、回転センサ222の出力ωから回転角速度の変化分Δωを求め、その比率から、各車輪の仮想半径rを求める。まず、時間t1からt2までの微小時間Δtでの速度変化分ΔVαはαxから、次式で求まる。
次に、同じt1からt2までの微小時間Δtでの回転速度の変化分Δωは、回転センサ222の出力ωt1t2から、次式で求まる。
上2式の比率から、各車輪の仮想半径rは次式より求まる。
上式のrの比が、時間に依らず一定でかつ0(ゼロ)でない時には、各車輪対地速度Vは次式で求まる。
rの比が変化しはじめた場合、その時の時刻をt1とし、その時点の対地速度をVt1とすれば、時間t後の対地速度は、次式で求まる。
また、前述したような、車両のニュートラル状態で、各車輪のタイヤ実半径Rが、次式により求まる。
なお、(112)式で前述したようにニュートラル状態は、次式が成り立つ時である。
以上から求まったV,Rを用いて、各車輪のスリップ率Sが求まり、各車輪のスリップ状態がわかる。
また、αxと回転センサ222の出力の比を表す。仮想半径rは、次式で表すように、t1からt2の微小時間Δtで加速度の2回積分から移動距離ΔLを求め、回転センサ222の1回積分から回転角度Δθを求めてもよい。Δθは回転角度の差として求めてもよい。
(2)合成法
車両が従動輪を有する場合、駆動時に従動輪のスリップ率が0(ゼロ)であるので、以下に示す方法で、各車輪のスリップ状態がわかる。
まず、平地、低速、低下速度の直進時に各車輪の対地速度は4つとも同じで、実半径Rを用いて、次式より求まる。
ここで、車輪1、2を従動輪とし、さらに車輪1の実半径Rを基準半径とする。上式から、各車輪の実半径Rは、R1と回転角速度ωから次式で表される。ここで、添字のNはニュートラル状態を示すものとする。
上式から、各車輪の実半径RnがR1の比として求まる。
次に前記条件でない直進時は、各車輪の仮想半径rを用いると、次式が成り立つ。
よって、直進走行時の各車輪の仮想半径rは車輪1のr1を用いて、次式で表される。
この時、従動輪1および2の仮想半径はスリップ率が0であるので、次式が成り立つ。
また、駆動輪3および4の仮想半径は、R1を用いて次式で求まる。
よって、直進時の対地速度Vnは、R1を決めておけば、次式で求まる。
各車輪のスリップ率Snは、次式で求まる。
次に、カーブ時について説明する。
カーブ時は、Vx1=Vx2=Vx3=Vx4が成り立たないので、次の方法で仮想半径を求める。従動輪はスリップ率が0であるので、次式が成り立つ。
駆動輪3、4は、加速度を積分し、積分前の値Vx3に加算し、対地速度Vを求めると
ただし、VxnはR1を基準としているので、実際の速度ではないので、微分法または積分法、又は他の方法で、実半径R1を求めれば、より高精度に求まる。
各車輪の対地速度Vnを、回転角速度ωnで割り、仮想半径rを求める。
以上のようにして、各車輪の実半径Rn、仮想半径rnを使って、各車輪のスリップ状態がわかる。以下に、各車輪のスリップ率を求める式を示す。
以上、本発明を実施するための第1実施形態を説明したが、本発明は上記実施形態に限定して解釈されるべきではなく、適宜変更・改良が可能であることはもちろんである。
例えば、二輪駆動の場合は、車両の直進時において、従動輪の周速度Vcfを車体速度Vdとし、この車体速度Vdと駆動輪の周速度Vcdから駆動輪のスリップ率λdを求めることで、常時リアルタイムで駆動輪のスリップ率を測定することができ、これにより、ドライブ時にも、理想スリップ率を超えないように、スロットルバルブを閉じたり、デファレンシャル制御を行ってトラクションコントロールをしたりすることができる。
又、上記実施形態では、1本の車輪の場合を例に採ったが、トラック等の車輪が複数個合わさっている副輪構造(所謂ダブルタイヤ等)にも本発明を適用することができる。この場合、複数本の車輪を合わせた状態の外側リムと内側リムとの間のリム幅内に前記加速度センサ221を配置する。
(応用例1)
車両の各車軸ユニットに取付けられた加速度センサと、車輪の回転センサと、を使い、前記回転センサで検出した回転数と、前記加速度センサで検出した加速度と、を組み合わせて、前記各車軸ユニットのスリップ状態を求めることを特徴とする車輪のスリップ測定方法。
(応用例2)
車両の各車軸ユニットに取付けられた各車輪の進行方向の加速度センサと、車輪の回転センサと、を使い、前記回転センサで検出した回転角速度ωと、前記加速度センサで検出した加速度αと、を組み合わせて、各車輪の対地速度Vを、V=(α/ω´)・ω にて求める方法。
(応用例3)
応用例2において、前記加速度は、加速度により発生する力を利用して測定する加速度センサの場合は、その出力αaと路面勾配角度βと、重力加速度gとを用いて、真の加速度αを、 α=αa+gsinβ にて求めたものである方法。
(応用例4)
応用例2または応用例3において、α/ω´が、ほぼ一定の時に、Vを求める方法。
(応用例5)
応用例2または応用例3において、α/ω´が、ほぼ一定の時には、V=(α/ω´)・ωにて各車輪の対地速度Vを求め、α/ω´が、ほぼ一定ではなくなった時からは、
にて各車輪の対地速度Vを求め、各車輪(タイヤ)の実半径Rを、R=V/ω にて求める方法。
(応用例6)
応用例5において、各車輪の実半径Rを、ニュートラル状態の時、即ち、真の加速度αと、重力加速度gと、路面勾配角度βとが、α=−gsinβ の関係になった時に前記Rを求める方法。
(応用例7)
応用例5または応用例6において、スリップ率Sを、駆動時は、S=1−V/(R・ω)にて求め、ブレーキ時は、S=1−(R・ω)/V にて求める方法。
(応用例8)
各車輪のスリップ率Sと、各車輪が受ける縦荷重Fzと、車体質量Mによる慣性力Mα(inartial force)とを用いて、各車輪の「路面摩擦係数μ」と、「各車輪の駆動力Fx」とを求める方法。
(応用例9)
カーブ時において、車両の各車軸ユニットに取付けられた各車輪の横方向の加速度センサの出力αyと、各車輪のスリップ率Sと、各車輪が受ける縦荷重Fzと、車体質量Mによる慣性力Mα(inartial force)とを用いて、各車輪の「路面摩擦係数μ」と、「各車輪の駆動力Fxと各車輪のサイドフォースとの合力Fω」を求める方法。
(応用例10)
車輪の各車軸ユニットに取付けられた各車輪の進行方向の加速度センサと、車輪の回転センサとを使用し、前記回転センサで検出した回転角速度ωと、前記加速度センサで検出した加速度αと、を組み合わせて、各車輪の対地速度Vを、
または、
と、(ωt2−ωt1)との比を求めて、各車輪を制御する方法。
(応用例11)
従動輪を有する車輪の各車軸ユニットに取付けられた各車輪の進行方向の加速度センサと、車輪の回転センサとを使用し、前記回転センサで検出した回転角速度ωと、前記加速度センサで検出した加速度αと、従動輪の実半径と、従動輪の回転数とを組み合わせて、各車輪の対地速度Vと、スリップ率Sとを求める方法。
(応用例12)
応用例1に記載した方法を用いることを特徴とする車両。
(応用例13)
応用例2に記載した方法を用いることを特徴とする車両。
(応用例14)
応用例3に記載した方法を用いることを特徴とする車両。
(応用例15)
応用例4に記載した方法を用いることを特徴とする車両。
(応用例16)
応用例5に記載した方法を用いることを特徴とする車両。
(応用例17)
応用例6に記載した方法を用いることを特徴とする車両。
(応用例18)
応用例7に記載した方法を用いることを特徴とする車両。
(応用例19)
応用例8に記載した方法を用いることを特徴とする車両。
(応用例20)
応用例9に記載した方法を用いることを特徴とする車両。
(応用例21)
応用例10に記載した方法を用いることを特徴とする車両。
(応用例22)
応用例11に記載した方法を用いることを特徴とする車両。
(応用例23)
車輪の進行方向の加速度を測定する加速度センサと、車輪の回転角速度を測定する回転センサとを有することを特徴とする車軸ユニットまたは車軸支持用転がり軸受ユニット。
(応用例24)
応用例23に記載した車軸ユニットまたは車軸支持用転がり軸受ユニットにおいて、加速度センサを、回転ホイールより軸方向内側に配置したことを特徴とする車軸ユニットまたは車軸支持用転がり軸受ユニット。
(応用例25)
応用例23に記載した車軸ユニットにおいて、加速度センサを、車輪のリム幅内に配置したことを特徴とする車軸ユニット。
(応用例26)
応用例23に記載した車軸支持用転がり軸受ユニットにおいて、加速度センサを、車輪のリム幅内に配置したことを特徴とする車軸支持用転がり軸受ユニット。
(応用例27)
応用例23に記載した車軸ユニットにおいて、加速度センサを、車輪のリム幅の中心(中心線)から、軸方向に150mm以内に配置したことを特徴とする車軸ユニット。
(応用例28)
応用例23に記載した車軸支持用転がり軸受ユニットにおいて、加速度センサを、車輪のリム幅の中心(中心線)から、軸方向に150mm以内に配置したことを特徴とする車軸支持用転がり軸受ユニット。
(応用例29)
応用例23に記載した車軸ユニットにおいて、加速度センサが車輪のリム幅の中心(中心線)に対してオフセットして取り付けられた場合の出力を計算で補正することを特徴とする車軸ユニット。
(応用例30)
応用例23に記載した車軸支持用転がり軸受ユニットにおいて、加速度センサが車輪のリム幅の中心線に対してオフセットして取付けられた場合の出力を計算で補正することを特徴とする車軸支持用転がり軸受ユニット。
(応用例31)
車両の各車輪の回転速度測定装置又は方法は、車輪の回転速度検出用エンコーダの一回転分の各ピッチ誤差を記憶し、測定時に前記各ピッチ誤差を補正しながら、回転速度または回転角を求めることを特徴とする装置又は方法。
(応用例32)
応用例31において、前記回転速度検出用エンコーダに、少なくとも一つピッチ誤差の異なる基準ピッチを設け、この基準ピッチを基準に、各ピッチ誤差を測定装置に記憶して補正することを特徴とする装置又は方法。
(応用例33)
車両の車輪の加速度を検出する加速度センサと、前記車輪の回転数を検出する回転数検出センサとを有し、前記回転数検出センサで検出した前記車輪の回転数と、前記加速度センサで検出した前記車輪の加速度とに基づいて、前記車輪の対地速度を求めることを特徴とする車両制御装置。
(応用例34)
静止部材と、前記静止部材に対して回転自在となっている回転部材と、前記回転部材に取付けられたセンサロータと、前記センサロータに対向するようにして前記静止部材に取付けられ、前記センサロータの回転速度に応じた回転速度信号を出力する回転速度センサと、前記静止部材に取付けられて、車輪ユニットの進行方向の加速度に応じた加速度信号を出力する加速度センサと、を有する車輪ユニットと、車両の制動に応じてトリガー信号を発生するトリガー信号発生装置と、前記トリガー信号の発生時または、その前に検出した前記回転センサからの信号に応じて、前記車輪の周速を車軸の速度として記憶する記憶装置と、前記検出時より、前記加速度センサから出力される加速度信号に基づく加速度を積分し、追加分の車軸速度を求める積分装置と、前記追加分の車軸速度と、新たに検出された車輪の周速とから、スリップ率を演算する演算装置と、得られたスリップ率を基に制動を制御する制動制御装置と、を有することを特徴とする車両。
(応用例35)
静止部材と、前記静止部材に対して回転自在となっている回転部材と、前記回転部材に取り付けられたセンサロータと、前記センサロータに対向するようにして前記静止部材に取り付けられ、前記センサロータの回転速度に応じた回転速度信号を出力する回転速度センサと、前記静止部材に取り付けられて、前記車輪ユニットの進行方向の加速度に応じた加速度信号を出力する加速度センサと、を有する車輪ユニットと、車両の制動に応じてトリガー信号を発生するトリガー信号発生装置とを使い、車両の制動に応じてトリガー信号を発生するステップと、前記トリガー信号の発生時又はその前に検出した前記回転速度センサからの信号に応じて、車輪の周速を車軸の速度として記憶するステップと、前記検出時より、前記加速度センサから出力される加速度信号に基づく加速度を積分し、追加分の車軸速度を求めるステップと、前記追加分の車軸速度と、新たに検出された車輪の周速とからスリップ率を演算するステップと、得られたスリップ率を基に制動を制御するステップと、を有することを特徴とする車両の制御方法。
(応用例36)
静止部材と、前記静止部材に対して回転自在となっている回転部材と、前記回転部材に取付けられたセンサロータと、前記センサロータに対向するようにして前記静止部材に取付けられ、前記センサロータの回転速度に応じた回転速度信号を出力する回転速度センサと、前記静止部材に取付けられて、車輪の進行方向の加速度に応じた加速度信号を出力する加速度センサと、を有する車輪ユニットであって、前記加速度センサが、前記車輪のリム幅内に配置されていることを特徴とする車輪ユニット。
(応用例37)
静止輪と、回転輪と、前記静止輪と前記回転輪との間に配置された複数個の転動体と、前記回転輪に取付けられたセンサロータと、前記センサロータに対向するようにして前記静止輪に取付けられ、前記センサロータの回転速度に応じた回転速度信号を出力する回転速度センサと、前記静止輪に取付けられて、車輪の進行方向の加速度に応じた加速度信号を出力する加速度センサと、を有する車輪支持用転がり軸受ユニットであって、前記加速度センサが、前記車輪のリム幅内に配置されていることを特徴とする車輪支持用転がり軸受ユニット。
(応用例38)
静止部材と、前記静止部材に対して回転自在となっている回転部材と、前記回転部材に取付けられたセンサロータと、前記センサロータに対向するようにして前記静止部材に取付けられ、前記センサロータの回転速度に応じた回転速度信号を出力する回転速度センサと、前記静止部材に取付けられて、車輪の進行方向の加速度に応じた加速度信号を出力する加速度センサと、を有する車輪ユニットであって、前記加速度センサが、前記車輪のリム幅内、又は、前記車輪のリム幅の中心線から軸方向に150mm以内に配置されていることを特徴とする車輪ユニット。
(応用例39)
静止輪と、回転輪と、前記静止輪と前記回転輪との間に配置された複数個の転動体と、前記回転輪に取付けられたセンサロータと、前記センサロータに対向するようにして前記静止輪に取付けられ、前記センサロータの回転速度に応じた回転速度信号を出力する回転速度センサと、前記静止輪に取付けられて、車輪の進行方向の加速度に応じた加速度信号を出力する加速度センサと、を有する車輪支持用転がり軸受ユニットであって、前記加速度センサが、前記車輪のリム幅内、又は、前記車輪のリム幅の中心線から軸方向に150mm以内に配置されていることを特徴とする車輪支持用転がり軸受ユニット。
(応用例40)
車両懸架装置のバネ下における車輪ユニットの静止部材と、前記静止部材に対して回転自在となっている回転部材と、前記回転部材に取付けられたセンサロータと、前記センサロータに対向するようにして前記静止部材に取付けられ、前記センサロータの回転速度に応じた回転速度信号を出力する回転速度センサと、前記静止部材に取付けられ、車輪の進行方向の加速度に応じた加速度信号を出力する半導体式の加速度センサと、前記車輪ユニットに取付けられ、前記加速度信号を配線の変形による影響を受けない形に処理して該処理後の信号を車体側の制御器に出力する加速度信号処理装置と、を有することを特徴とする車輪ユニット。
(応用例41)
車輪におけるタイヤに駆動力または制動力が作用していないような車両の予備走行時に、前記車輪の進行方向の予備進行加速度と、前記車輪の予備回転角速度とを検出し、前記予備回転角速度を微分して前記車輪の予備回転角加速度を求め、前記予備回転角加速度と前記予備進行加速度から前記車輪のタイヤ半径を求めた後、さらに前記車両の実走行時に、前記車輪の進行方向の実進行加速度と、前記車輪の実回転角速度とを検出し、前記実回転角速度を微分して前記車輪の実回転角加速度を求め、前記実回転角加速度と前記実進行加速度から、スリップ率をゼロと見なして求められる見かけのタイヤ半径と前記予備走行時の前記タイヤ半径との比率を求めて、前記比率を前記タイヤのスリップ率として得ることを特徴とするスリップ率測定方法。
(応用例42)
車輪におけるタイヤに駆動力または制動力が作用していないような車両の予備走行時に、前記車輪の進行方向の予備進行加速度と、前記車輪の予備回転角速度とを検出し、前記予備回転角速度を微分して前記車輪の予備回転角加速度を求め、前記予備進行加速度と前記予備回転角加速度を単位時間あたりで積分して、前記単位時間あたりの予備進行速度及び予備回転角速度の増加量から前記車輪のタイヤ半径を求めた後、さらに前記車両の実走行時に、前記車輪の進行方向の実進行加速度と、前記車輪の実回転角速度とを検出し、前記実回転角速度を微分して前記車輪の実回転角加速度を求め、前記実進行加速度と前記実回転角加速度を単位時間あたりで積分して、前記単位時間あたりの実進行速度及び実回転角速度の増加量からスリップ率をゼロと見なして求められる見かけのタイヤ半径と前記予備走行時の前記タイヤ半径との比率を求めて、前記比率を前記タイヤのスリップ率として得ることを特徴とするスリップ率測定方法。
(応用例43)
車輪におけるタイヤに駆動力または制動力が作用していないような車両の予備走行時に、従動輪及び駆動輪のそれぞれの予備回転角速度を検出し、前記従動輪の何れか一つのタイヤ半径及び前記予備回転角速度を基準として、他の車輪との前記予備回転角速度の比から他の車輪のタイヤ半径を求めた後、さらに前記車両の実走行時に、少なくとも前記駆動輪の進行方向の実進行加速度及び実回転角速度を検出し、前記タイヤ半径及び前記実回転角速度から求められる少なくとも前記駆動輪の実進行速度を求め、前記実進行加速度から車両の挙動変化を検出してトリガー信号を発生させ、前記トリガー信号の発生時から少なくとも前記駆動輪の前記実進行加速度を積分して前記実進行速度に加算することで、挙動変化した非定常時の少なくとも前記駆動輪の非定常進行速度を求め、前記実回転角速度と前記非定常進行速度から、スリップ率をゼロと見なして求められる見かけのタイヤ半径と前記予備走行時の前記タイヤ半径との比率を求めて、前記比率を前記タイヤのスリップ率として得ることを特徴とするスリップ率測定方法。
(応用例44)
応用例41〜応用例43のいずれか一項に記載したスリップ率測定方法を用いて得られた前記スリップ率の単位時間あたりのスリップ変化率を算出し、前記スリップ変化率が所望の値以下となるように車両の制動を制御することを特徴とする車両の制御方法。
(応用例45)
応用例41〜応用例43のいずれか一項に記載したスリップ率測定方法、または応用例44に記載した車両の制御方法を用いるために車輪に設けられた加速度センサと回転速度センサとを有することを特徴とするスリップセンサ。
(応用例46)
応用例45に記載のスリップセンサを備えていることを特徴とするスリップセンサベアリング。
(応用例47)
応用例41〜応用例43のいずれか一項に記載のスリップ率測定方法、または請求項44に記載した車両の制御方法を用い、自動車の走行状態を制御することを特徴とするスリップコントロールシステム。
(応用例48)
応用例33に記載の車両制御装置に用いる前記加速度センサと前記回転数検出センサとを取り付けていることを特徴とする車輪支持用転がり軸受ユニット。
(応用例49)
車両の車体に取付けられた車体の進行方向の加速度センサと、車輪の回転センサと、を使い、前記回転センサで検出した回転角速度ωと、前記加速度センサで検出した加速度αと、を組み合わせて、車体の対地速度Vを、V=(α/ω´)・ω にて求める方法。
(応用例50)
応用例49において、前記加速度は、加速度により発生する力を利用して測定する加速度センサの場合は、その出力αaと路面勾配角度βと、重力加速度gとを用いて、真の加速度αを、 α=αa+gsinβ にて求めたものである方法。
(応用例51)
応用例49または応用例50において、α/ω´が、ほぼ一定の時に、Vを求める方法。
(応用例52)
応用例49または応用例50において、α/ω´が、ほぼ一定の時には、V=(α/ω´)・ωにて車体の対地速度Vを求め、α/ω´が、ほぼ一定ではなくなった時からは、
にて車体の対地速度Vを求め、各車輪(タイヤ)の実半径Rを、R=V/ω にて求める方法。
(応用例53)
応用例52において、各車輪の実半径Rを、ニュートラル状態の時、即ち、真の加速度αと、重力加速度gと、路面勾配角度βとが、α=−gsinβ の関係になった時に前記Rを求める方法。
(応用例54)
車輪の車体に取付けられた車体の進行方向の加速度センサと、車輪の回転センサとを使用し、前記回転センサで検出した回転角速度ωと、前記加速度センサで検出した加速度αと、を組み合わせて、車体の対地速度Vを、
または、
と、(ωt2−ωt1)との比を求めて、各車輪を制御する方法。
(応用例55)
従動輪を有する車輪の車体に取付けられた車体の進行方向の加速度センサと、車輪の回転センサとを使用し、前記回転センサで検出した回転角速度ωと、前記加速度センサで検出した加速度αと、従動輪の実半径と、従動輪の回転数とを組み合わせて、車体の対地速度Vと、各車輪のスリップ率Sとを求める方法。
[優先日2002年11月18日を主張する内容]
(1)本内容の変数名は、前記車輪速度Vwがタイヤ周速度Vθ、前記スリップ率λがスリップ率S、前記基準車輪速度VTが対地速度Vのことである。
(2)本内容の符号は、本内容のみに有効である。
先ず、図36に基づいて、回転速度検出装置付の車輪支持用転がり軸受ユニットについて説明する。図36に示すように、この回転速度検出装置付の車輪支持用転がり軸受ユニットは、懸架装置に支持された状態で使用時にも回転しない静止側軌道輸に相当する外輪1の内径側に、車輪を固定した状態で使用時に回転する回転側軌道輪に相当するハブ2を支持している。このハブ2の一部に固定したセンサロータ3の回転速度を、外輪1に固定したカバー4に支持した回転速度検出センサユニット5により検出自在としている。図示の例では、この回転速度検出センサユニット5として、センサロータ3と全周に亙って対向する、円環状のものを使用している。又、ハブ2を回転自在に支持する為に、外輪1の内周面に、静止側軌道輪に相当する複列の外輪軌道6、6を設けている。又、ハブ2の外周面、及びこのハブ2に外嵌しナット7によりこのハブ2に対し結合固定した状態でハブ2と共に回転側軌道輪を構成する内輪8の外周面に、回転側軌道輪に相当する内輪軌道9、9を設けている。そして、これら各内輪軌道9、9と各外輪軌道6、6との間にそれぞれ複数個ずつの転動体10、10を、それぞれ保持器11、11により保持した状態で転動自在に設け、外輪1の内側にハブ2及び内輪8を、回転自在に支持している。
又、ハブ2の外端部(車両ヘの組み付け状態で幅方向外側となる端部を言い、図36の左端部)で外輪1の外端部から軸方向外方に突出した部分に、車輪を取り付ける為のフランジ12を設けている。又、外輪1の内端部(車両ヘの組み付け状態で幅方向中央側となる端部を言い、図36の右端部)に、この外輪1を懸架装置に取り付ける為の取付部13を設けている。又、外輪1の外端開口部とハブ2の中間部外周面との間の隙間は、シールリング14により塞いでいる。尚、重量の嵩む車両用の転がり軸受ユニットの場合には、複数個の転動体10、10として、図示の様な玉に代えて、テーパころを使用する場合もある。
上述の様な回転速度検出装置付の車輪支持用転がり軸受ユニットの使用時には、外輪1の外周面に固設した取付部13を懸架装置に対して、図示しないボルトにより結合固定すると共に、前記ハブ2の外周面に固設したフランジ12に図示しない車輪を、このフランジ12に設けたスタッド22により固定する事で、不図示の懸架装置に対して車輪を回転自在に支持する。この状態で車輪が回転すると、回転速度検出センサユニット5の検知部の端面近傍を、被検出用円筒部15に形成した透孔17、17と、円周方向に隣り合う透孔17、17同士の間に存在する柱部(不図示)とが交互に通過する。この結果、回転速度検出センサユニット5内を流れる磁束の密度が変化し、この回転速度検出センサユニット5の出力が変化する。この様にして回転速度検出センサユニット5の出力が変化する周波数は、車輪の回転数に比例する。従って、回転速度検出センサユニット5の出力を制御器50に送れば、ABSやTCSを適切に制御できる。
次に、図33,図34,図35を参照して、本発明の第2実施形態に係る車両制御装置について説明する。図33は車両制御装置の断面図、図34は図33をII-II線で切断して矢印方向から見た図である。
図33及び図34に示すように、回転数検出手段を構成する回転速度検出センサユニット5内に、加速度センサ51(Z(例えば鉛直)方向の加速度を検出)と、加速度センサ52(Y(例えば水平前後)方向の加速度を検出)と、図34に示すように、加速度センサ53(X(例えば水平左右)方向の加速度を検出)と、をそれぞれ軸線が交差するようにして設けている。加速度センサ51〜53は、それぞれ制御器50に接続されている。尚、加速度センサは、軸線に沿った加速度の大きさに対応する電気信号を出力できるものであり、例えば圧電素子を用いたものであって良く、その構成については良く知られているので、以下に詳細は記載しない。
図35は本実施形態の制御器50にて行われる別な制御動作のフローチャート図である。図35を参照して、本実施形態の別な動作について説明する。
図35に示すように、ステップS201で、制御器50は、車両の制動に応じて出力される信号をリアルタイムで受信し、ステップS202で、いずれの出力信号が閾値(実験等により予め定められ記憶された値)を超えたか否か監視する。例えば本実施の形態の車輪支持用軸受ユニットを搭載した車両において、ブレーキ装置Bを作動させたような場合、Y方向の加速度を検出する加速度センサ53からの出力信号が閾値を超えるので、制御器50は、制動する車両に所定の姿勢変化が生じたと判断して、ステップS203でトリガー信号を発生する。
制御器50は、回転速度センサユニット5から出力された現在の車輪速度を内蔵メモリにて繰り返し記憶しており、トリガー信号の発生に応じて、トリガー信号発生の直前(所定の基準時)における回転速度センサユニット5から出力された車輪速度を基準速度(基準車体(車輪)速度)として決定し、内蔵メモリに記憶する(ステップS204)。車両が一定速度で走行している場合、車輪速度は車体速度と一致すると考えられるので、その車輪速度を基準車体(車輪)速度として、後述する数式に示すようにしてスリップ率を求めることができる。
減速が持続している間、加速度センサ53は減速Gを検出し続けるため、制御器50が、その出力信号を積分することで、基準車体(車輪)速度からどの程度減速したかが分かる(ステップS205)。その減速値を基準車体(車輪)速度より差し引くことで現在の車体(車輪)速度が推定できるから、推定された車体(車輪)速度と現在の車輪速度とから、スリップ率を各々求めることができる。このようにしてスリップ率を精度良く求めることができれば、ABSやTCSの制御をより高精度に行うことができる。以上のスリップ率の演算は、ステップS207で、車両制動制御が不要と判断される(たとえば減速の場合、車両速度がゼロとなる)まで実行される。その後、ステップS208で、内蔵メモリに記憶された基準速度はリセットされる。
このように、車両の発進・制動時にトリガー信号を発生させ、前後方向加速度を積分すれば、正確な車体(車輪)速度を演算することができ、正確なスリップ率の演算も実現する。すなわち、トリガー信号の発生前は、車輪速度=車体速度となるので、トリガー信号の発生直前の車輪速度を基準車体速度として、トリガー信号発生後に積分した前後方向加速度を基準車体速度より差し引くことで、正確な車体速度VBを求めることができる。一方、エンコーダからの車輪の周速をVWとすると、スリップ率λは、以下の計算式により得られる。
λ=(VB−VW)/VB
スリップ率λが0.1〜0.3となるようにブレーキ装置Bを動作させれば、制動距離を短く抑えることができる。
また、車両のコーナリング時には、各車輪の方向や速度が異なるので、各車輪のより正確なスリップ率を求める必要が出てくる。そのためには、各軸受ユニットに加速度センサを内蔵すると良い。そうすれば、上記単なる車体速度(VB)ではなく、各車輪の正確な基準車輪速度(VT)が求まり、各車輪のスリップ率λTを以下の式で求めることができる。
λT=(VT−VW)/VT
本実施形態の車両制御装置は、車両の姿勢変化に応じてトリガー信号を出力するトリガー手段と、車輪を支持する車輪支持用転がり軸受ユニットにおける回転側軌道輪と、静止側軌道輪との変位量を検出する変位検出手段と、を有し、前記トリガー手段がトリガー信号を発生した時点に基づき定められる所定の基準時又はその直前もしくはその直後における前記変位検出手段によって検出された変位と、前記基準時以後における前記変位検出手段によって検出された変位とに基づいて、前記車輪が路面より受ける反力及び方向の少なくとも一方を求めるので、たとえば前記変位検出手段を構成する変位センサに温度ドリフトなどが生じていたような場合でも、前記基準時に検出した変位と、それ以前又は以後に検出した変位とを比較すれば、かかる温度ドリフトをキャンセルして前記トリガー信号を発生させた車両の姿勢変化に対応する荷重変化を精度良く導き出せ、それにより前記車輪が路面より受ける反力や方向を求めることが可能となる。車両の姿勢変化に応じて前記車輪が路面より受ける反力や方向が求まれば、車両の姿勢をより安定させるべく、車輪個々に異なる制動力を付与したり、場合によっては駆動力を与えるなどの制御を行うことができる。
また、本実施形態の車両制御装置は、車両の車体又は車輪の加速度を検出する加速度センサと、前記車輪の回転数を検出する回転数検出手段と、を有し、前記回転数検出手段の検出した前記車輪の回転数と、前記加速度センサが検出した前記車体又は車輪の加速度とに基づいて、例えば現在の車体速度から加速度の積分値を加減算することで前記車体の速度を求めることができるので、求められた車体の速度と、車輪の速度とからスリップ率を導き出せるため、より高精度な車両の制御が可能となる。
[優先日2002年11月21日を主張する内容]
(1)内容の変数名は、前記車輪回転速度Vwがタイヤ周速度Vθ、前記車輪速度Vt(VT)が対地速度V、前記車軸加速度Atがx方向加速度αx、前記スリップ率λがスリップ率S、前記車軸回転加速度Awが車軸角加速度ω´のことである。
(2)本内容の符号は、本内容のみに有効である。
次に、図37〜図41を参照して、本発明の第3実施形態に係る車輪支持用転がりユニットを説明する。図37は本発明の実施形態にかかる車輪支持用転がり軸受ユニットの断面図であり、かかる車輪支持用転がり軸受ユニットと制御器とで車両の制御装置を構成し、これらは車両に搭載されてその一部となる。図38は、図37の構成をII-II線で切断して矢印方向に見た図、図39は、図37の構成の矢印IIIで示す部位の拡大図である。
本実施の形態の特徴的な構成は、図37〜図39で、ハブ2に固定した車輪(図示省略)に加わる荷重の方向及び大きさを求めて、ABSやTCSを適正に制御できること、及び加速度センサを内蔵することで、ABSやTCSを適正に制御できることにある。この為に本例の場合には、上記ハブ2に加わる荷重だけでなく、このハブ2の回転速度を及び加速度を検出自在としている。
本例の場合は、ラジアル方向並びにスラスト方向の変位を検出する為の各変位測定素子(回転速度センサ)27a、27b(周方向に等間隔にそれぞれ4つ配置されている)のうちの、ラジアル方向の変位を検出する変位測定素子27aにより、このラジアル方向の変位と共に回転速度も検出自在としている。即ち、本例の場合は、被検出用円筒部(センサロータ)50の一部で上記ラジアル方向の変位を検出する変位測定素子27aに近接対向する部分に、除肉部として機能する多数の透孔51、51を、円周方向に関して等間隔に形成している。これら各透孔51、51は、軸方向に長いスリット状である。又、円周方向に隣り合うこれら各透孔51、51同士の間部分は、充実部として機能する柱部としている。
この様な透孔51、51を有する上記被検出用円筒部50が回転すると、上記変位測定素子27aの(波形成形処理後の)出力は、図40の実線αに示す様に変化する。即ち、上記被検出用円筒部50の各透孔51、51と上記変位測定素子27aとが対向する際に、この変位測定素子27aの出力が低下し、同じく上記各透孔51、51同士の間部分である各柱部と対向する際に、上記変位測定素子27aの出力が増大する。この様な変位測定素子27aの出力が変化する周波数は、車輪の回転速度に比例する為、出力信号(回転速度信号)を、ハーネスを通じて制御器60に入力すれば、上記車輪の回転速度を求める事ができる。
図41は、本実施の形態の制御器60にて行われる車両の制御方法を実行するためのフローチャート図である。尚、制御器60は、トリガー信号発生装置60aと、記憶装置60bと、積分装置60cと、演算装置60dと、制動制御装置60eとを有する。
図41を参照して、本実施の形態の別な動作について説明する。図41のステップS101で、制御器60は、車両の制動に応じて出力される信号をリアルタイムで受信し、ステップS102で、いずれの出力信号が閾値(実験等により予め定められ記憶された値)を超えたか否か監視する。例えば本実施の形態の車輪支持用転がり軸受ユニットを搭載した車両において、ブレーキ装置Bを作動させたような場合、Y方向の加速度を検出する加速度センサ63からの出力信号が閾値を超えるので、制御器60のトリガー信号発生装置60aは、制動する車両に所定の姿勢変化が生じたと判断して、ステップS103でトリガー信号を発生する。但し、運転者がブレーキペダルを踏んだとき、それに連動して出力されブレーキランプを点灯させるブレーキ信号を、直接トリガー信号として用いても良い。
制御器60の記憶装置60bは、変位測定素子27aから出力された信号に基づき決定される現在の車輪回転速度を繰り返し記憶している。制御器60は、トリガー信号の発生に応じて、トリガー信号発生時またはその直前(制動基準時)における変位測定素子27aから出力された信号に基づき決定される車輪回転速度Vω0より、車輪軸の速度を求め、記憶装置60bは、これを基準車軸速度Vt0として記憶する(ステップS104)。
減速が持続している間、加速度センサ63は、進行方向における減速Gを検出し続けるため、制御器60の積分装置60cが、その出力信号を積分して積分値(追加分の車軸速度)Atを得、演算装置60dが、記憶された基準車軸速度Vt0から追加分の車軸速度Atを差し引くことで、現在の車軸速度(対地速度)Vtを演算する(ステップS105)。そして、変位測定素子27aから出力された信号に基づきリアルタイムで決定される
車輪回転速度から求まる現在の周速Vωとを用いて、演算装置60dが、以下の式でスリップ率λを計算する(ステップS106)。
λ=(Vt−Vω)/Vt
更に、制御器60の制動制御装置60eが、ブレーキ装置Bを制御して、ブレーキパッドに適切な押圧力を付与することで、スリップ率Sが、0.1〜0.2になるように、各車輪を制動制御する(ステップS107)。以上のスリップ率の演算は、ステップS108で、車両制動制御が不要と判断される(たとえば減速の場合、車軸速度がゼロ又はその近傍となる)まで実行される。その後、ステップS109で、内蔵メモリに記憶された基準速度はリセットされる。
加速度の検出は、各車輪毎に行うことが好ましい。一般的な加速度センサは、少しでも傾斜していると重力の影響を受け、従って取付け方向や位置の影響を受けやすく、それに対応する信号を出力してしまうので、走行時や制動直前の加速度センサの出力特性を、車輪の回転速度を元に補正して、制御器60のメモリに予め記憶しておくと好ましい。更に、走行する路面が前後左右に傾斜している場合、制動時に前方に車体が傾斜する場合、コーナリング時に左右に車体が傾斜する場合と、加速度センサはそれぞれ影響を受けるので、かかる傾斜の変化量を、各車輪と車体4隅の垂直加速度から求め、それに基づいて加速度センサや回転速度センサの出力信号を補正する必要がある。これらの補正によって、トリガー信号が出力された時点から、正しい車体速度を求めることができる。以上の制御において加速度の検出は、進行方向と垂直方向の2方向検出で足りるが、これに左右方向を加えて3方向検出とすれば、左右方向の加速度を積分することで、車輪の横方向のズレ速度が分かり、このズレ速度をできるだけ小さくするようにブレーキパッドの押し付け力を調整すれば、コーナリング・フォースの制御ができる。
このように、車両の発進・制動時にトリガー信号を発生させ、前後方向加速度を積分すれば、正確な車体(車軸)速度を演算することができ、正確なスリップ率の演算も実現する。すなわち、トリガー信号の発生前は、車輪速度=車体速度となるので、トリガー信号の発生直前の車輪速度を基準車体速度として、トリガー信号発生後に積分した前後方向加速度を基準車体速度より差し引くことで、正確な車軸速度Vtを求めることができる。
また、車両のコーナリング時には、各車輪の方向や速度が異なるので、各車輪のより正確なスリップ率を求める必要が出てくる。そのためには、各軸受ユニットに加速度センサを内蔵すると良い。そうすれば、上記単なる車軸速度(Vt)ではなく、各車輪の正確な基準車輪速度(VT)が求まり、各車輪のスリップ率λTを以下の式で求めることができる。
λT=(VT−VW)/VT
次に、図42を参照して、本発明の第4実施形態に係る車輪支持用転がりユニットを説明する。図42は、第4実施形態にかかる車輪支持用転がり軸受ユニットの断面図である。本実施の形態において、図37の実施の形態に対し、異なる部分を主として説明し、同様な構成に関しては同じ符号を付すことで説明を省略する。外輪1の図42で右端には、カバー部材104が変位測定素子27aから出力された信号に基づき決定される現在の車輪回転速度取付けられている。又、ハブ2の図42で右端には、周方向に等間隔に開口を設けた円盤状のセンサロータ129bが取付けられている。
カバー部材104には、センサロータ129bの開口に対向するようにして、回転速度センサ127aが取付けられている。又、カバー部材104には、加速度センサ163が取付けられている。車輪の回転速度を検出しそれに応じた信号を出力する回転速度センサ127aと、車両の進行方向の加速度を検出しそれに応じた信号を出力する加速度センサ163は、図42では不図示の制御器に接続されている。
本実施の形態に車輪支持用転がり軸受ユニットを用いることで、不図示の制御器にて、図41に示す制御動作が実行される。
図43は、図37,42に示す車輪支持用転がり軸受ユニットを用いて制御器で実行される車両の制御方法を実行するためのフローチャート図である。図43のステップS201で、制御器60は、車両の制動に応じて出力される信号をリアルタイムで受信し、ステップS202で、いずれの出力信号が閾値(実験等により予め定められ記憶された値)を超えたか否か監視する。例えば本実施の形態の車輪支持用転がり軸受ユニットを搭載した車両において、ブレーキ装置Bを作動させたような場合、進行方向の加速度を検出する加速度センサ63(163)からの出力信号が閾値を超えるので、制御器60は、制動する車両に所定の姿勢変化が生じたと判断して、ステップS203でトリガー信号を発生する。
制御器60は、トリガー信号発生時又はその直前から、変位測定素子27aから出力された信号に基づき決定される現在の車輪速度と、車輪の半径とから決定される車軸速度Vωを微分しつづけ、微分値Aωをえる(ステップS204)。更に加速度センサ63(163)からの出力信号から、車軸の加速度Atを決定し(ステップS205)、微分値Aωを,加速度Atを元に各車輪の制動制御を実現する(ステップS206)。
このようにして、ABSやTCSの制御をより高精度に行うことができる。以上のスリップ率の演算は、ステップS207で、車両制動制御が不要と判断される(たとえば減速の場合、車両速度がゼロとなる)まで実行される。その後、ステップS208で、内蔵メモリに記憶された基準速度はリセットされる。
次に、図44を参照して、本発明の第5実施形態に係る車輪支持用転がりユニットを説明する。図44は、第5実施形態にかかるナックルユニット及び車輪ユニットの断面図である。本実施の形態においては、図37の実施の形態にかかる軸受ユニットを含んでなるので、それに対して異なる部分を主として説明し、同様な構成に関しては同じ符号を付すことで説明を省略する。
図44において、転がり軸受ユニット100のハブ2の左方には、スタッド22を介して車輪のホイール102が取付けられ、ホイールナット101を用いて締結されている。転がり軸受ユニット100の外輪1は、ナックル部材103と共に静止部材を構成し、不図示の車体に対して取付けられた不図示の懸架装置を支持するナックル部材103の内周面に嵌合されている。ナックル部材103に、車両の進行方向及び車両の上下左右方向の加速度を検出する加速度センサ163と、回転速度センサ129bが取付けられている。回転速度センサ129bは、転がり軸受ユニット100のハブ2に嵌合する内輪2A(ハブ2と内輪2Aとで回転部材を構成)に取付けられたセンサロータ129bに対向し、ハブ2すなわち車輪の回転数を検出するようになっている。尚、回転速度センサ129bを有する転がり軸受ユニット100,加速度センサ163を有するナックル部材(すなわちナックルユニット)103,及び車輪により車輪ユニット110を構成する。
本実施の形態のナックル部材163及び車輪ユニット110を用いることで、図41,43に示す車両の制御方法を実行できる。
本実施形態に係る車輪支持用転がりユニットを用いた車両の制御方法によれば、例えば車両の制動に応じてトリガー信号が発生すると、前記トリガー信号の発生時又はその前に検出した前記回転速度センサからの信号に応じて、前記車輪の周速を車軸の速度として記憶し、前記検出時より、前記加速度センサから出力される加速度信号に基づく加速度を積分し、追加分の車軸速度を求め、前記追加分の車軸速度と、新たに検出された車輪の周速とからスリップ率を演算し、得られたスリップ率を基に制動を制御することができるため、車輪の回転速度のみからスリップ率を推定していた従来技術に比べ、より高精度にスリップ率を求めることができることから、車両の制動をより高精度に行うことができる。また、車両の制動に応じて発生するトリガー信号の発生時又はその直前或いはその直後である制動基準時に検出した前記回転速度センサからの信号に応じて、前記車輪の周速を記憶し、且つ前記制動基準時より前記加速度センサより出力される加速度信号に基づく加速度を積分し、前記積分した加速度と、記憶した前記車輪の周速とを比較して、前記車輪のスリップ率を求めることを可能とするので、車輪の回転速度のみからスリップ率を推定していた従来技術に比べ、より高精度にスリップ率を求めることができるため、車両の制動をより高精度に行うことができる。
[優先日2002年11月26日を主張する内容]
(1)内容の変数名は、前記角加速度Aθが車軸角加速度ω´、前記加速度aが加速度α、前記傾斜角度θが路面勾配β、前記進行加速度Atが加速度αx、前記加速度Vθが車軸角加速度ω、前記車輪半径Rが仮想半径rのことである。
(2)本内容の符号は、本内容のみに有効である。
次に、図45を参照して、本発明の第6実施形態に用いられる加速度センサについて説明する。図45は加速度センサの配置を示す断面図である。本実施の形態においては、図33の実施の形態に対して異なる部分を主として説明し、同様な構成に関しては同じ符号を付すことで説明を省略する。
加速度の検出は、各車輪毎に行うことが好ましい。一般的な加速度センサは、少しでも傾斜していると重力の影響を受け、従って取付け方向や位置の影響を受けやすく、それに対応する信号を出力してしまうので、走行時や制動直前の加速度センサの出力特性を、車輪の回転速度を元に補正して、制御器60のメモリに予め記憶しておくと好ましい。
更に、走行する路面が前後左右に傾斜している場合、制動時に前方に車体が傾斜する場合、コーナリング時に左右に車体が傾斜する場合と、加速度センサはそれぞれ影響を受ける、これに対し、例えばブレーキをかけた後は、スリップ率が正確に求まらない限り、回転速度センサからの出力を、加速度センサにおける車体や路面の傾斜による影響を補正するために用いることはできない。そこで、車輪軸近傍に、車軸周りの角速度を検出する角速度センサを取付け、その角速度を基に、傾斜に起因する加速度センサや回転速度センサの出力誤差を補正することが望ましい。これらの補正によって、ブレーキスイッチがオンするなどのトリガー信号が出力されたとき、又はその直前からの加速度センサからの信号に基づき、加速度の正確な積分が可能となる。
尚、以上の制御においては、車輪の回転速度と、進行方向の加速度と、車軸周りの角速度を求めれば足りるが、横方向や垂直方向の加速度を含めて検出できる3軸加速度センサや、進行方向や垂直方向軸周りの角速度を含めて検出できる3軸角速度センサを用いることで、車体の回転や傾斜に基づく制御も可能となる。
例えば、進行方向に対し横方向の加速度を積分すれば、車輪の横方向にずれる速度が求まり、この横方向速度をできるだけ小さくするようにブレーキ圧力を制御して、コーナリング・フォースを制御することもできる。
更に、ブレーキスイッチがオンするなどのトリガー信号が出力されたとき、又はその直前から加速度を積分する際に、車体や路面の前後左右方向の傾斜に起因する誤差の補正に関して、各車輪と車体4隅に設けた垂直加速度センサからの信号により、車体や路面の傾斜を求めて、それに基づいて加速度センサや回転速度センサの出力信号を補正することもできる。
尚、図45に示したように、比較的安価な加速度センサIC2個を中心軸Xから距離dだけ離して配置し、軸線方向の加速度aを各々求め、以下の式から角加速度Aθを求めることができる。
Aθ=(2つの加速度の差:a−(−a))/d
=2a
この場合、軸線方向平行移動と、傾動(紙面に垂直な軸周り)とを区別できる。角加速度Aθを積分して角速度Vθを得ることができ、角速度Vθを積分すれば、傾斜角度θが求まる。重力加速度gの傾き補正分は、g・sinθとなる。
このように、車両の発進・制動時にトリガー信号を発生させ、前後方向加速度を積分すれば、正確な車体(車軸)速度を演算することができ、正確なスリップ率の演算も実現する。すなわち、トリガー信号の発生前は、車輪速度=車体速度となるので、トリガー信号の発生直前の車輪速度を基準車体速度として、トリガー信号発生後に積分した前後方向加速度を基準車体速度より差し引くことで、正確な車軸速度Vtを求めることができる。
また、車両のコーナリング時には、各車輪の方向や速度が異なるので、各車輪のより正確なスリップ率を求める必要が出てくる。そのためには、各軸受ユニットに加速度センサを内蔵すると良い。そうすれば、上記単なる車軸速度(Vt)ではなく、各車輪の正確な基準車輪速度(VT)が求まり、各車輪のスリップ率λTを以下の式で求めることができる。
λT=(VT−Vc)/VT
ここで、車輪半径Rの求め方について説明する。車軸速度増加分ΔVtと車輪回転速度増加分ΔVθとを比較することで、車両の走行中にリアルタイムで、車輪半径Rを以下のようにして測定できる。まず、車軸速度増加分ΔVtと、車軸の進行加速度Atとは、以下の関係がある。
但し、t1,t2は任意の時刻である。
車軸速度増加分ΔVtと、車輪回転速度増加分ΔVθと、車輪半径Rとは、以下の式で表される。
R=ΔVt/ΔVθ
すなわち、車軸の進行加速度Atと車輪回転速度増加分ΔVθとを用いて、車輪半径Rを求めることができる。
尚、車両の進行加速度Atと、車輪の回転角速度Aθとから、以下の式で直接、車輪半径Rを求めることもできるが、At=0,Aθ=0のときは、以下の式の解を求められないので、一定値以上の加速度が生じたときに得られた測定値を元に計算するのが好ましい。上述したスリップの少ない範囲で、加速度を測定すると好ましい。実際的には、スリップ率の影響を回避すべく、複数の測定値の計算結果を平均すると良い。
R=At/Aθ
更に、車輪半径Rの別な求め方について説明する。車軸移動距離の増加分ΔLtと車輪回転角増加分ΔLθとを比較することで、車輪半径Rを以下のようにして測定できる。まず、車軸移動距離の増加分ΔLtと、車軸の進行加速度Atとは、以下の関係がある。
更に、車軸移動距離の増加分ΔLtと、車輪回転角増加分ΔLθと、車輪半径Rとは、以下の式で表される。
R=ΔVt/ΔLθ
すなわち、車軸の進行加速度Atと車輪回転角増加分ΔLθとを用いて、車輪半径Rを求めることができる。
例えば、動力をかけず且つブレーキもかけない状態で、車輪半径Rを繰り返し計算してメモリに記憶し、スリップ時に、その直前に記憶した車輪半径Rを用いてスリップ率λを求めると好ましい。加速度センサの傾きによる誤差は5度で0.4%であるので、必要に応じて補正に用いる。尚、加速度センサとしては、車体に取付けた加速度センサ、或いは各車輪に取付けた加速度センサを用いることができる。
このようにリアルタイムで車輪半径Rを求めることができるので、車輪回転速度Vθから正確な走行速度Vt及び走行距離Ltを、以下の式で求めることができる。
Vt=RVθ
Lt=RLθ
更に、車輪半径Rを求めることができれば、車輪の空気圧が適正か否かを判断することができる。例えば、適正空気圧時の車輪半径Rをメモリに記憶しておいて、走行中にリアルタイムで求めた車輪半径Rと比較し、閾値を下回った場合に警報を発するようにすれば、車輪の空気圧の低下を運転者に知らせ、バースト防止などを図ることができる。例えば、車輪半径300mm、リム半径178mmの場合、車輪の空気圧減少による車輪半径の変化は5%前後と考えられる。
尚、トリガー信号としては、ブレーキスイッチからの信号に限らず、車輪の加速度Atや車輪の周加速度Acの変化を用いることもできる。例えば、車輪の加速度Atと、車輪の周加速度Acとの差が一定値以上となったら、ずれた時点に戻って、そこをトリガー時点とすれば、ブレーキ信号を用いる必要はなく、従って、以下の式で求まる駆動時のスリップ率λdを求める場合のトリガーを構成し得る。
λd=1−(Vc/Vt)
尚、車輪の周速度Vcを微分して周加速度Acとして、それと車輪の加速度Atとを比較して、各車輪のブレーキ圧力を制御することができる。その場合、スリップ率λは、(Ac/At)を積分しておき、それを1から引いて求めることができ(λ=1−∫(Ac/At))、また駆動時のスリップ率λdは、(Ac/At)を積分しておき、それから1を引いて求めることができる(λd=∫(Ac/At)−1)。
本実施形態によれば、各車輪近傍に簡単な加速度センサを取付けるだけで、各車輪毎に上述した式に従う正確な制御を、サスペンションなどの影響を受けることなく行うことができる。また、制御方式は、従来と同様であるため、従来のシステムを用いることができる。
次に、図46を参照して、本発明の第7実施形態について説明する。図46は第7実施形態にかかる車輪支持用転がり軸受ユニットの断面図である。本実施の形態において、図46の実施の形態に対し、異なる部分を主として説明し、同様な構成に関しては同じ符号を付すことで説明を省略する。外輪1の図46で右端には、カバー部材204が取付けられている。又、ハブ2と一体的に回転する内輪2Aの右端には、周方向に等間隔に開口を設けた円筒状のセンサロータ129bが取付けられている。
カバー部材204には、センサロータ129bの開口に半径方向内側から対向するようにして、検出部を水平方向に延在させた回転速度センサ127aが取付けられている。又、カバー部材204には、図45に示す配置と同様に、回転軸と軸対称になるよう一対の加速度センサ163が取付けられている。車輪の回転速度を検出しそれに応じた信号を出力する回転速度センサ127aと、車両の進行方向の加速度を検出しそれに応じた信号を出力する加速度センサ163は、図46では不図示の制御器に接続されている。
[優先日2003年1月20日を主張する内容]
(1)内容の変数名は、前記進行加速度Axが加速度αx、前記周加速度Acが車輪角加速度ω´、前記周速度Vcが車輪角速度ω、前記スリップ率λ(λd)がスリップ率S、速度Vxが対地速度Vのことである。
(2)本内容の符号は、本内容のみに有効である。
本発明の第8実施形態について説明する。本実施の形態において、図47〜図49に示すように、回転数検出手段を構成する回転速度検出センサユニット5内に、加速度センサ61(Z(例えば鉛直)方向の加速度を検出)と、加速度センサ62(X(例えば水平前後)方向の加速度を検出)と、加速度センサ63(Y(例えば水平左右)方向の加速度を検出)と、をそれぞれ軸線が交差するようにして設けている。加速度センサ61〜63は、それぞれ制御器60に接続されている。
ここで、本実施形態では、各加速度センサ61〜63を車輪30におけるホイールリム32のリム幅W内に配置しており、これにより、特に車両旋回時における加速度センサの検出誤差を大幅に抑制することができ、高精度なスリップ率の検出精度を得ることができる。
即ち、各加速度センサ61〜63は、車輪支持用転がり軸受ユニットに付いていれば何処でも良いわけではない。直線走行時ではそれで良いが、旋回時には場合によって、スリップ率の検出の誤差が生じる。
勿論、各加速度センサ61〜63は、車輪30の中心に配置することが理想的であるが、実際には車輪30の中心位置にはホイール支持部やハブ等が配置されており、図47に示したように車輪30の中心に取り付けられずに、オフセットして取り付けられる。特に、トラック等の車輪が2個合わさっている副輪構造では、車輪の中心への取り付けが難しい。
従って、各加速度センサ61〜63は、各車輪30の挙動を測定するものであるから、車輪30のリム幅内に取り付けることで、車両旋回時における検出誤差を大幅に抑制することができ、高精度なスリップ率の検出精度を得ることができる。
尚、前記各加速度センサ61〜63は、軸線に沿った加速度の大きさに対応する電気信号を出力できるものであり、例えば圧電素子を用いたものであって良く、その構成については良く知られているので、以下に詳細は記載しない。
尚、トリガー信号としては、ブレーキスイッチからの信号に限らず、車輪(車軸)の進行方向加速度Axや車輪の周加速度Acの変化を用いることもできる。例えば、車輪の進行方向加速度Axと、車輪の周加速度Acとの差が一定値以上となったら、ずれた時点に戻って、そこをトリガー時点とすれば、ブレーキ信号を用いる必要はなく、従って、以下の式で求まる駆動時のスリップ率λdを求める場合のトリガーを構成しうる。
λd=1−(Vc/Vx)
尚、車輪の周速度Vcを微分して周加速度Acとして、それと車輪の進行方向加速度Axとを比較して、各車輪のブレーキ圧力を制御することができる。その場合、スリップ率λは、(Ac/Ax)を積分しておき、それを1から引いて求めることができ(λ=1−∫(Ac/Ax))、また、駆動時のスリップ率λdは、(Ax/Ac)を積分しておき、それを1から引いて求めることができる(λd=1−∫(Ax/Ac))。
本発明によれば、各車輪のリム幅内に配置されるように簡単な加速度センサを取り付けるだけで、各車輪毎に上述した式に従う正確な制御を、サスペンションなどの影響を受けることなく行うことができる。また、制御方式は、従来と同様であるため、従来のシステムを用いることができる。
図50は、本発明の第9実施形態に係る車輪支持用転がり軸受ユニットの断面図である。本第9実施形態において、図47に示した第8実施形態に対して異なる部分を主として説明し、同様な構成に関しては同符号を付すことで説明を省略する。
外輪1の図50中右端には、カバー部材104が取り付けられている。又、ハブ2の図50中右端には、周方向に等間隔に開口を設けた円盤状のセンサロータ129bが取り付けられている。
カバー部材104には、センサロータ129bの開口に対向するようにして、回転速度センサ127aが取り付けられている。又、カバー部材104には、加速度センサ163が取り付けられている。車輪30の回転速度を検出しそれに応じた信号を出力する回転速度センサ127aと、車輪30の進行方向加速度を検出しそれに応じた信号を出力する加速度センサ163とは、不図示の制御器60に接続されている。
更に、前記加速度センサ163は、車輪30におけるホイールリム32のリム幅W内に配置されている。
本第9実施形態の車輪支持用転がり軸受ユニットを用いることで、不図示の制御器60にて、図49に示した制御動作が実行される。
図51は、図47,50に示す車輪支持用転がり軸受ユニットを用いて制御器60で実行される車両の別の制御方法を実行するためのフローチャート図である。
図51のステップS201で、制御器60は、車両の制動に応じて出力される信号をリアルタイムで受信し、ステップS202で、いずれの出力信号が閥値(実験等により予め定められ記憶された値)を超えたか否か監視する。例えば上記各実施形態の車輪支持用転がり軸受ユニットを搭載した車両において、ブレーキ装置Bを作動させたような場合、車輪30の進行方向加速度を検出する加速度センサ62(163)からの出力信号が閥値を超えるので、制御器60は、制動する車両に所定の姿勢変化が生じたと判断して、ステップS203でトリガー信号を発生する。
制御器60は、トリガー信号発生時又はその直前から、変位測定素子27aから出力された信号に基づき決定される現在の車輪回転速度と、車輪の半径とから決定される車輪の周速度Vcを微分しつづけ、微分値(車輪の周加速度)Acを得る(ステップS204)。
更に、加速度センサ62(163)からの出力信号から、車軸の進行方向加速度Axを決定し(ステップS205)、前記微分値Acと進行方向加速度Axとをもとに各車輪を制動制御する(ステップS206)。
このようにして、各車輪毎に制動制御することで、ABSやTCSの制御をより高精度に行うことができる。以上のスリップ率の演算は、ステップS207で、車両制動制御が不要と判断される(たとえば減速の場合、車両速度がゼロとなる)まで実行される。その後、ステップS208で、内蔵メモリに記憶された基準速度はリセットされる。
図52は、本発明の第10実施形態に係るナックルユニット及び車輪ユニットの断面図である。本第10実施形態においては、図47に示した第8実施形態に係る軸受ユニットに対して異なる部分を主として説明し、同様な構成に関しては同符号を付すことで説明を省略する。
図52において、転がり軸受ユニット100のハブ2の図中左方には、制動ユニットの一部を構成するディスクロータ35を挟んで、スタッド22を介して車輪30のホイールディスク部31が取り付けられ、ホイールナット101を用いて締結されている。
転がり軸受ユニット100の外輪1は、ナックル部材103と共に静止部材を構成しており、不図示の車体に対して取り付けられた不図示の懸架装置を支持するナックル部材103の内周面に嵌合されている。
ナックル部材103の孔内には、車両の進行方向及び車両の上下左右方向の加速度を検出する加速度センサ163が取り付けられ、ナックル部材103の内周面には、回転速度センサ129bが取り付けられている。
前記回転速度センサ129bは、転がり軸受ユニット100のハブ2に嵌合する内輪2A側(ハブ2と内輪2Aとで回転部材を構成)に取り付けられたセンサロータ127Aに対向し、ハブ2すなわち車輪30の回転数を検出するようになっている。
そして、車輪ユニット110は、前記回転速度センサ129bを有する転がり軸受ユニット100、前記加速度センサ163を有するナックル部材(即ち、ナックルユニット)103、ディスクロータ35を含む制動ユニット、及び車輪30により構成されている。更に、前記加速度センサ163は、車輪30におけるホイールリム32のリム幅W内に配置されている。
即ち、本第10実施形態のナックル部材103及び車輪ユニット110を用いることで、図49又は図51に示した車両の制御方法を実行できる。
図53は、本発明の第11実施形態に係る車輪支持用転がり軸受ユニットの断面図である。
本第11実施形態において、図47に示した第8実施形態に対して異なる部分を主として説明し、同様な構成に関しては同じ符号を付すことで説明を省略する。
外輪1の図53中右端には、カバー部材204が取り付けられている。又、ハブ2と一体的に回転する内輪2Aの図中右端には、周方向に等間隔に開口を設けた円筒状のセンサロータ129bが取り付けられている。
カバー部材204には、センサロータ129bの開口に半径方向内側から対向するようにして、検出部を水平方向に延在させた回転速度センサ127aが取り付けられている。又、カバー部材204には、回転軸と軸対称になるよう一対の加速度センサ163,163が取り付けられている。
車輪30の回転速度を検出しそれに応じた回転速度信号を出力する回転速度センサ127aと、車輪の進行方向加速度を検出しそれに応じた加速度信号を出力する加速度センサ163は、不図示の制御器60に接続されている。又、加速度センサ163は、車輪30におけるホイールリム32のリム幅W内に配置されている。
以上、本発明を各実施形態を参照して説明してきたが、本発明は上記実施形態に限定して解釈されるべきではなく、適宜変更・改良が可能であることはもちろんである。
例えば、二輪駆動の場合は、車両の直進時において、従動輪の周速度Vcfを車体速度Vdとし、この車体速度Vdと駆動輪の周速度Vcdから駆動輪のスリップ率λdを求めることで、常時リアルタイムで駆動輪のスリップ率を測定することができ、これにより、ドライブ時にも、理想スリップ率を超えないように、スロットルバルブを閉じたり、デファレンシャル制御を行ってトラクションコントロールすることができる。
一方、車両の旋回時には、左右の従動輪の周速度の差が一定値を超えると0時点に戻ってそこを旋回トリガー時点とし、そのときの左右の従動輪の車軸速度をメモリーに記憶させ、その時点からの各車輪の車軸速度を各従動輪に取り付けられた加速度センサからの出力値を用いて計算(積分)で求めることで、常時、各車軸の絶対速度を求めることができ、この絶対速度と各車輪の周速度から各車輪のスリップ率を常時測定することができる。
又、上記各実施形態では、1本の車輪の場合を例に採ったが、トラック等の車輪が複数個合わさっている副輪構造(所謂ダブルタイヤ等)にも本発明を適用することができる。この場合、複数本の車輪を合わせた状態の外側リムと内側リムとの間のリム幅内に前記加速度センサを配置する。
本実施形態の車輪支持用転がり軸受ユニットによれば、前記加速度センサが、前記車輪のリム幅内に配置されているので、車両旋回時の各車輪におけるスリップ率の測定誤差を抑え、スリップ率の検出精度をより高精度なものとすることができる。
[優先日2003年1月24日を主張する内容]
本内容の符号は、本内容のみに有効である。
本発明の第12実施形態に係る車輪支持用転がり軸受ユニットでは、図54に示したように、各加速度センサ61〜63を車輪30におけるホイールリム32のリム幅W内に配置しており、第2本実施形態では、図55に示したように、各加速度センサ61〜63を車輪30におけるホイールリム32のリム幅の中心線Oから軸方向に沿って車体側(図55中、右側)に150mm以内(プラスオフセット量150mm以内)に配置している。
これにより、特に車両旋回時における加速度センサの検出誤差を大幅に抑制することができ、高精度なスリップ率の検出精度を得ることができる。
即ち、各加速度センサ61〜63は、車輪支持用転がり軸受ユニットに付いていれば何処でも良いわけではない。直線走行時ではそれで良いが、旋回時には場合によって、スリップ率の検出の誤差が生じる。
勿論、各加速度センサ61〜63は、車輪30の中心線O上に配置することが理想的であるが、実際には車輪30の中心位置にはホイール支持部やハブ等が配置されており、図54及び図55に示したように車輪30の中心に取付けられずに、オフセットして取付けられる。特に、トラック等の車輪が2個合わさっている副輪構造では、車輪の中心への取付けが難しい。
従って、各加速度センサ61〜63は、各車輪30の挙動を測定するものであるから、第1実施形態に示したように車輪30のリム幅W内に取付けることで、車両旋回時における検出誤差を大幅に抑制することができ、高精度なスリップ率の検出精度を得ることができる。
又、本発明者等が更に詳しく加速度センサの取付け位置を変えて各種シミュレーションをしたところ、必ずしも各加速度センサが車輪30の中心に取付けられなくても、車輪30の中心線Oから一定の範囲内に取付けるのであれば、実用レベルで使えることがわかった。
下記表1は、車輪30のリム幅(200mm)の中心線Oから軸方向沿ったオフセット量を変えて加速度センサを取付けた場合の旋回時のスリップ率の誤差の比較を示す。尚、表1中、◎が最も誤差が少なく、○が◎に次いで誤差が少なく、△が○に次いで誤差が少ない場合でスリップ率の誤差が許容範囲であり、×はステップ率の誤差が許容範囲外となったものである。
表1から判るように、加速度センサを車輪30の中心線Oからから軸方向に沿って外側及び車体側に150mm以内(即ち、マイナスオフセット量及びプラスオフセット量がそれぞれ150mm以内)に配置することで、スリップ率の誤差を許容範囲にできることが確認できる。
更に、別実施形態では、前記加速度センサ163は、車輪30におけるホイールリム32のリム幅W内しており、第14実施形態では、図56に示したように、各加速度センサ61〜63を車輪30におけるホイールリム32のリム幅の中心線Oから軸方向に沿って車体側(図56中、右側)に150mm以内(プラスオフセット量150mm以内)に配置している。
第14実施形態の車輪支持用転がり軸受ユニットを用いることで、不図示の制御器60にて、図57に示した制御動作が実行される。
更に、第15実施形態では、図57に示したように、各加速度センサ61〜63を車輪30におけるホイールリム32のリム幅の中心線Oから軸方向に沿って車体側(図57中、右側)に150mm以内(プラスオフセット量150mm以内)に配置している。
即ち、本第5及び第6実施形態のナックル部材103及び車輪ユニット110を用いることで、車両の制御方法を実行できる。
又、第16実施形態では、図58に示したように、各加速度センサ61〜63を車輪30におけるホイールリム32のリム幅の中心線Oから軸方向に沿って車体側(図58中、右側)に150mm以内(プラスオフセット量150mm以内)に配置している。
本実施形態の車輪支持用転がり軸受ユニットによれば、前記加速度センサが、前記車輪のリム幅内、又は前記車輪のリム幅の中心線から軸方向に150mm以内に配置されているので、車両旋回時の各車輪におけるスリップ率の測定誤差を抑え、スリップ率の検出精度をより高精度なものとすることができる。
[優先日2003年1月31日を主張する内容]
本内容の符号は、本内容のみに有効である。
図59は本発明の第17実施形態に係る車輪支持用転がり軸受ユニットの断面図であり、図60は図59中の矢印IIIで示す部位の拡大図である。
本第17実施形態において、同様な構成に関しては同じ符号を付すことで説明を省略す
る。
本第17実施形態においては、図59及び図60に示すように、回転数検出手段を構成する回転速度検出センサユニット5内に、加速度センサ61(Z(例えば鉛直)方向の加速度を検出)と、加速度センサ62(X(例えば水平前後)方向の加速度を検出)と、加速度センサ63(Y(例えば水平左右)方向の加速度を検出)と、をそれぞれ軸線が交差するようにして設けており、これら加速度センサ61〜63としてはピエゾ素子を利用した加速度センサが用いられている。
即ち、これら加速度センサ61〜63で測れる速度変化は微小で精度が必要なので、例えばピエゾ素子や圧電素子を利用した加速度センサ、静電容量型の加速度センサ等のように、高精度な半導体式の加速度センサを用いることが望ましい。
しかしながら、車体側の制御器60から加速度センサ61〜63が取り付けられている懸架装置のバネ下の車輪ユニットまで配線を延ばすと、車の揺れや旋回時に前記配線が常時動くことによる静電容量や配線抵抗の変化ノイズ等の影響(歪み、ノイズ等)を受け、各加速度センサ61〜63から車体側の制御器60に出力される加速度信号が変位してしまう。
そこで、本第17実施形態では、各加速度センサ61〜63と伴に加速度信号処理装置61A〜63Aを前記車輪ユニットに取り付け、これら加速度信号処理装置61A〜63Aにより、各加速度センサ61〜63の加速度信号を配線の変形による影響を受けない形の信号に処理した後に車体側の制御器60に出力するように構成した。
本第17実施形態の車輪ユニットを用いることで、制御器60にて、車両の制御方法を実行できる。
即ち、本第17実施形態の加速度センサ62から対応する加速度信号処理装置62A(図示せず)を経て車体側の制御器60に出力された加速度信号は、車の揺れや旋回時の配線の動き(振れ)による静電容量や配線抵抗の変化ノイズ等の影響(歪み、ノイズ等)を受けることが無く、正確に各車輪30の進行方向の加速度を検出することができる。例えば、各加速度センサ61〜63から出力された加速度信号は、アナログ信号をデジタル信号化して送ったり、増幅したアナログ信号として送っても良い。
尚、前記加速度信号処理装置61A〜63Aは、各加速度センサ61〜63の加速度信号に対して増幅処理、温度保証回路、タイヤ微小振動除去フィルタ、デジタル化処理等を施すことにより、配線の動きによる影響を受けない形にする処理だけでなく、エンジンの電磁ノイズや温度変化等の他の影響をも受けない形にする処理を行わせることもできる。
また、前記加速度信号処理装置61A〜63Aは、処理した信号を無線にて車体側の制御器60に送信するように構成することもできる。
更に、前記加速度信号処理装置61A〜63Aの処理用の電源は、車体側から供給を受けても良いし、車輪回転による発電で賄っても良い。
本発明の第17実施形態によれば、車両懸架装置のバネ下における車輪ユニットの静止部材に、加速度センサと加速度信号処理装置とを取り付けるだけで、各車輪ユニット毎に上述した式に従う正確な制御を、サスペンションなどの影響を受けることなく行うことができる。また、制御方式は、従来と同様であるため、従来のシステムを用いることができる。
図61は、本発明の第18実施形態に係る車輪ユニットの断面図である。
本第18実施形態においては、図60に示した第17実施形態に対して異なる部分を主として説明し、同様な構成に関しては同符号を付すことで説明を省略する。
図61において、転がり軸受ユニット100のハブ2の図中左方には、制動ユニットの一部を構成するディスクロータ35を挟んで、スタッド22を介して車輪30のホイールディスク部31が取り付けられ、ホイールナット101を用いて締結されている。
転がり軸受ユニット100の外輪1は、ナックル部材103と共に静止部材を構成しており、不図示の車体に対して取り付けられた不図示の懸架装置のバネ下を構成するナックル部材103の内周面に嵌合されている。
ナックル部材103の孔内には、車両の進行方向及び車両の上下左右方向の加速度を検出する加速度センサ163が取り付けられ、ナックル部材103の内周面には、回転速度センサ127aが取り付けられている。
前記回転速度センサ127aは、転がり軸受ユニット100のハブ2に嵌合する内輪2A側(ハブ2と内輪2Aとで回転部材を構成)に取り付けられたセンサロータ129bに対向し、ハブ2すなわち車輪30の回転数を検出するようになっている。
そして、車輪ユニット110は、前記回転速度センサ127aを有する転がり軸受ユニット100、前記加速度センサ163を有するナックル部材(即ち、ナックルユニット)103、ディスクロータ35を含む制動ユニット、及び車輪30により構成されている。
更に、第18実施形態では、図61に示したように、前記加速度センサ163と伴に加速度信号処理装置163Aが、前記ナックル部材103の孔内に取り付けられており、加速度センサ163の加速度信号を配線の変形による影響を受けない形の信号に処理した後に車体側の制御器60(図示せず)に出力するように構成されている。
本第18実施形態の車輪ユニット110を用いることでも、車両の制御方法を実行できる。
即ち、本第18実施形態の加速度センサ163から加速度信号処理装置163Aを経て車体側の制御器60に出力された加速度信号は、車の揺れや旋回時の配線の動き(振れ)による静電容量や配線抵抗の変化ノイズ等の影響(歪み、ノイズ等)を受けることが無く、正確に車輪30の進行方向及び車両の上下左右方向の加速度を検出することができる。
尚、前記加速度信号処理装置163Aは、加速度センサ163の加速度信号に対して増幅処理、温度保証回路、タイヤ微小振動除去フィルタ、デジタル化処理等を施すことにより、配線の動きによる影響を受けない形にする処理だけでなく、エンジンの電磁ノイズや温度変化等の他の影響をも受けない形にする処理を行わせることもできる。
また、前記加速度信号処理装置163Aは、処理した信号を無線にて車体側の制御器60に送信するように構成することもできる。
更に、前記加速度信号処理装置163Aの処理用の電源は、車体側から供給を受けても良いし、車輪回転による発電で賄っても良い。
本実施形態の車輪支持用転がり軸受ユニットによれば、半導体式の加速度センサから出力された加速度信号は、該加速度センサと伴に車両懸架装置のバネ下における車輪ユニットの静止部材に取り付けられた加速度信号処理装置によって、配線の変形による影響を受けない形の信号に処理した後に車体側の制御器に出力される。
即ち、ピエゾ素子や圧電素子を利用した加速度センサ、静電容量型の加速度センサ等のように、高精度な半導体式の加速度センサを常時動いている車両懸架装置のバネ下における車輪ユニットの静止部材に取り付けているにも関わらず、車体側の制御器に出力される信号は、車の揺れや旋回時の配線の動き(振れ)による静電容量や配線抵抗の変化ノイズ等の影響(歪み、ノイズ等)を受けることが無く、正確に各車輪の進行方向の加速度を検出することができる。
尚、前記加速度信号処理装置は、加速度信号に対して増幅処理、温度保証回路、タイヤ微小振動除去フィルタ、デジタル化処理等を施すことにより、配線の動きによる影響を受けない形にする処理だけでなく、エンジンの電磁ノイズや温度変化等の他の影響をも受けない形にする処理を行わせることもできる。
[優先日2003年2月3日を主張する内容]
(1)内容の変数名は、前記進行速度Vxが対地速度V、前記タイヤ半径Rがタイヤ実半径R、前記タイヤ半径rが仮想半径r、前記回転角速度Vθが車輪角速度ω、前記進行加速度Axが加速度αx、前記回転角加速度Aθが車輪角加速度ω´、前記スリップ率λがスリップ率Sのことである。
(2)本内容の符号は、本内容のみに有効である。
次に、本発明に係るスリップ率測定方法及び車両の制御方法の実施の形態についてその例を説明する。
まず、スリップ率を測定する方法について説明する。
車輪のタイヤが路面をしっかりグリップして回転している時には、タイヤの表面と路面との間には、クリープが発生している。そのため、実スリップが発生していないときでも、タイヤの回転による周速度は、駆動時には、車体の進行速度より見かけ上速めに見え、制動時には、車体の進行速度より見かけ上遅めに見える。その速度差は、即ちクリープに起因するものである。
通常、この速度差がおよそ±20%の範囲以内であれば、タイヤは路面をグリップしている状態にある。つまり、スリップ率が、実質クリープ率のみからなる0.2前後までの値であるときに、駆動力や制動力がタイヤから路面に伝わってグリップが得られるが、これを超えると実スリップが発生して、車両の安定した制御を行うことが困難となる。
スリップ率は、クリープ率と実スリップ率からなるという見地に基づき、本発明では大別して3つの測定方法を提案している。本明細書中ではその3つを、便宜上、(1)微分法、(2)積分法、(3)合成法と呼ぶこととして、以下に順に説明する。なお、これらの方法を実施するにあたり、上述したような少なくとも各車輪に加速度センサと回転センサ(この2つを併せてスリップセンサと呼ぶ)とを備えた車輪ユニット、車輪支持用転がり軸受ユニット(スリップセンサベアリングと呼ぶ)、又は車両(スリップコントロールシステムと呼ぶ)を用いることが好ましい。
(1)微分法
まず、クリープ及び実スリップが発生していない、スリップ率が実質的にほぼゼロである状態において、各車輪のタイヤ半径を求める。つまり、車輪におけるタイヤに駆動力または制動力が作用していないような車両の予備走行時に、「車輪の進行速度Vxは、タイヤ半径Rに、タイヤの回転角速度Vθを掛けて求まる。」という基本式、即ち下記の式(246)と、この式(246)を微分した、「車輪の進行加速度Axは、タイヤ半径Rに、タイヤの回転角加速度Aθを掛けて求まる。」という式(247)を用いて、タイヤ半径Rを求める。
ここで、車両の予備走行とは、例えば路面の傾斜が−4度から+2度である平地で、4km/h以下の低速度で、0.05G以下の低加速度であるような走行状態が好ましい。
この式(246)及び式(247)において、予備走行時の予備進行加速度Axと予備回転角速度Vθは、車輪に取付けられた加速度センサと回転センサから検出されて求められる。更に、予備回転角加速度Aθは、式(246)の予備回転角速度Vθを微分することで求められる。このように、式(247)において、予備進行加速度Axと予備回転角加速度Aθが判り、正確なタイヤ半径Rが求められる。ここで得られたタイヤ半径Rは、一時的にメモリ(例えば図59に示した記憶装置60)に記憶しておく。
更に、式(246)にタイヤ半径Rと予備回転角速度Vθを代入して、正確な予備進行速度Vxを求めることができる。
予備走行時において車輪のタイヤ半径Rを求めた後には、実際にタイヤに駆動力または制動力が作用しているような実走行時において、スリップ率をゼロと見なして求められる見かけのタイヤ半径rを求めて、この見かけのタイヤ半径rと、予備走行時に求めたタイヤ半径Rとの比率r/Rから、車輪のスリップ率λを求める。
上述したように、実走行時にはタイヤの回転による周速度と車体の進行速度との間に速度差が発生するが、この速度差をゼロ(即ちスリップ率がゼロ)と置き換えて、タイヤ半径が変化しているものと見なすと、上述した式(246)及び(247)におけるタイヤ半径Rを見かけのタイヤ半径rとした下記の式(248)及び(249)を用いて、見かけのタイヤ半径rを求めることができる。
この式(248)及び式(249)において、実走行時の実進行加速度Axと実回転角速度Vθは、車輪に取付けられた加速度センサと回転センサから検出されて求められる。更に、実回転角加速度Aθは、式(248)の実回転角速度Vθを微分することで求められる。このように、式(249)において、実進行加速度Axと実回転角加速度Aθが判り、見かけのタイヤ半径rが求められる。
更に、式(248)にタイヤ半径rと実回転角速度Vθを代入して、正確な実進行速度Vxを求めることができる。
見かけのタイヤ半径rと予備走行時に求めたタイヤ半径Rとの比は、タイヤの回転速度と車体速度との差の程度を表すものであり、つまり、スリップ(クリープ+実スリップ)の程度を示すものである。従って、スリップ率λは次に示す式(250)により求められる。
以上説明した微分法によれば、車両の前輪、後輪、駆動輪、従動輪、操舵輪に関わらず、直進時、旋回時、加速時、減速時、登坂時、高速時の何れの場合においても、常時リアルタイムに、車輪ごとに測定を行うことができ、スリップ率を高精度に求めることができる。従って、車両の安定した走行を維持することができる。
(2)積分法
まず、上記の式(246)及び式(247)を用い、さらに式(247)を単位時間Δあたりで積分した下記の式(251)を用いて、車両の予備走行時のタイヤ半径Rを求める。
ここで、上述した微分法と同様に、予備走行時の予備進行加速度Axと予備回転角速度Vθは、車輪に取付けられた加速度センサと回転センサから検出されて求められる。更に、予備回転角加速度Aθは、式(246)の予備回転角速度Vθを微分することで求められる。このように求められた予備進行加速度Axと予備回転角加速度Aθを式(247)に代入して積分することで、式(251)に示した予備進行速度の増加量ΔVxと予備回転角速度の増加量ΔVθが算出され、これにより正確なタイヤ半径Rが求められる。ここで求められたタイヤ半径Rは、単位時間Δで積分された値から算出されているため、積分の単位時間Δ内のデータのばらつきの誤差が平均化されている。ここで得られたタイヤ半径Rは、一時的にメモリに記憶しておく。
更に、式(246)にタイヤ半径Rと予備回転角速度Vθを代入して、正確な予備進行速度Vxを求めることができる。
また、予備走行時において車輪のタイヤ半径Rを求めた後には、実走行時において、スリップ率をゼロと見なして求められる見かけのタイヤ半径rを求めて、上記の微分法と同様に、この見かけのタイヤ半径rと、予備走行時に求めたタイヤ半径Rとの比率r/Rから、車輪のスリップ率λを求める。
この積分法において、見かけのタイヤ半径rは、上記の式(248)及び式(249)と、式(249)を単位時間Δあたりで積分した下記の式(251)を用いて求める。
ここで、上述した微分法と同様に、実走行時の実進行加速度Axと実回転角速度Vθは、車輪に取付けられた加速度センサと回転センサから検出されて求められる。更に、実回転角加速度Aθは、式(248)の実回転角速度Vθを微分することで求められる。このように求められた実進行加速度Axと実回転角加速度Aθを式(249)に代入して積分することで、式(252)に示した実進行速度の増加量ΔVxと実回転角速度の増加量ΔVθが算出され、これにより見かけのタイヤ半径rが求められる。ここで求められた見かけのタイヤ半径rは、単位時間Δで積分された値から算出されているため、積分の単位時間Δ内のデータのばらつきの誤差が平均化されている。
更に、式(248)にタイヤ半径rと実回転角速度Vθを代入して、正確な実進行速度Vxを求めることができる。
このようにして求めた見かけのタイヤ半径rと予備走行時に求めたタイヤ半径Rとを、微分法と同様に式(250)に代入することで、スリップ率λを求めることができる。
以上説明した積分法によれば、車両の前輪、後輪、駆動輪、従動輪、操舵輪に関わらず、直進時、旋回時、加速時、減速時、登坂時、高速時の何れの場合においても、常時リアルタイムに、各車輪ごとに測定を行うことができ、スリップ率を高精度に求めることができる。従って、車両の安定した走行を維持することができる。また、タイヤ半径Rと見かけのタイヤ半径rは、ばらつきの誤差が平均化されているため、単位時間あたりのスリップ率をより正確に求めることができる。
(3)合成法
この合成法は、車両が従動輪を有する場合に好適に用いられるものである。ここでは、2つの従動輪と2つの駆動輪とを有する車両を用いる場合について説明する。
従動輪の一方をi、従動輪の他方をii、駆動輪の一方をiii、駆動輪の他方をivとおくと、予備走行時の各車輪の予備進行速度Vxは、上記の式(245)から、下記の式(253)のように表される。
この式(253)から、従動輪iのタイヤ半径Riを基準半径とすると、各車輪のタイヤ半径Rii,Riii,Rivは、下記の式(254)として求められる。なおここで、Vθi,Vθii,Vθiii,Vθivは、各タイヤの予備回転角速度である。
ここで得られたタイヤ半径Ri,Rii,Riii,Rivは、一時的にメモリに記憶しておく。
次に、車両の実走行時に、見かけのタイヤ半径ri,rii,riii,rivを用いて、各車輪の回転速度差を求める。
実走行時の各車輪の実進行速度Vxi,Vxii,Vxiii,Vxiv,は、上記の式(248)を用いて、下記の式(255)のように表される。なお、各車輪の回転角速度Vθi,Vθii,Vθiii,Vθiv,は、各車輪に設けられた回転センサにより検出することができる。
従動輪には、制動時以外にはスリップが無いため、見かけのタイヤ半径ri,riiは、変化しない。すなわち、従動輪の見かけのタイヤ半径ri,riiは、下記の式(256)のように、上記の式(254)のタイヤ半径Ri,Riiと等しい。
車両の直進時には、各車輪の実進行速度は等しい。従って、上記の式(255)から、駆動輪の見なし半径riii,rivは、下記の式(257)として求められる。
車両の旋回時には、各車輪の実進行速度は異なるため、この式(257)は成り立たない。
従動輪に関しては、式(256)が成り立つため、式(255)から旋回時の実進行速度が求められる。
駆動輪に関しては、下記の式(258)に示すように、旋回開始時から実進行加速度Axiii,Axivを積分し、旋回開始直前の直進時の実進行速度(Vxiと等しい)に加算して、旋回時の実進行速度(非定常進行速度)Vxiii,Vxivを算出する。
なお、旋回開始時とは、車輪に設けた実回転角速度を積分して得られる実回転速度を観察し、左右の車輪で発生する差が設定値を超えた時を旋回開始として判断する。旋回開始時には旋回トリガー信号を発生させて、このトリガー信号の発生時から実進行加速度Axiii,Axivの積分を開始すれば良い。
以上に示した式(255),式(256),式(258)から、下記の式(259)により、旋回時の駆動輪の見かけのタイヤ半径riii,rivが求められる。
これにより、実走行時の見かけのタイヤ半径rを、スリップ(クリープ)の殆ど発生していない予備走行時のタイヤ半径Rで割ることで、各車輪のスリップ差を把握するための回転速度差が求められる。なお、従動輪の比は、r/R=1である。
また、各車輪が車体と弾性的に繋がっていることを考慮すると、車両の直進時においても、各車輪の進行加速度にずれが生じた場合には、旋回時と同様の処理を行うと良い。
また、車両の制動時、即ちブレーキ時には、従動輪にも制動力が作用してクリープが発生し、見かけのタイヤ半径が小さくなるため、従動輪を基準として使わずに、ブレーキトリガー時から各車軸の進行加速度を積分して、それ以前の車軸の進行速度に加算して車軸の非定常進行速度を得ると良い。
ブレーキトリガーは、常時、各車軸の進行加速度を例えば0.1秒間隔で次々と(カスケード式に)、1秒間づつ積分して、積分開始前の各車軸の進行速度に加算してそのときの非定常進行速度とし、基準とする従動輪の非定常進行速度と、その従動輪の非定常周速度とのずれが一定以上になったら、その積分開始時点をブレーキトリガーとすると良い。各車軸とも、その積分開始時点からの積分を続行し、その積分で求めた車軸の非定常進行速度を用いる。その後、基準とする従動輪の非定常進行速度と、その従動輪の非定常周速度とのずれが一定以下になったら、元に戻す。以上から、見かけのタイヤ半径と実際のタイヤ半径Rとの比r/Rを観察することで、回転差の程度が判り、スリップの程度(スリップ率)が判る。
以上説明した合成法によれば、車両の前輪、後輪、駆動輪、従動輪、操舵輪に関わらず、直進時、旋回時、加速時、減速時、登坂時、高速時の何れの場合においても、常時リアルタイムに、各車輪ごとに測定を行うことができ、スリップ率を高精度に求めることができる。従って、車両の安定した走行を維持することができる。また、合成法では従動輪を基準として駆動輪のタイヤ半径を求めることができるため、特に高分解能のセンサを用いなくとも、高精度にスリップ率等を求めることができる。
以上説明した(1)微分法、(2)積分法、(3)合成法のいずれかを用いることにより、見かけのタイヤ半径と実際のタイヤ半径との比から、各車輪ごとにクリープを考慮した正確なスリップ率を求めることができる。
又、上記の方法において、タイヤ半径比r/Rが1より小さいか又は大きいかを調べることで、車輪が加速状態であるか、減速状態であるかが判る。タイヤ半径比r/Rが1より小さい場合には減速(制動)状態であり、タイヤ半径比r/Rが1より大きい場合には加速(駆動)状態である。
次に、スリップ率を用いて車両の制動を制御する車両の制御方法について説明する。
クリープ率が最大となるスリップ率(限界スリップ率と呼ぶ)は、一般には0.2(20%)程度である。但し、この値は路面との接触状況により変化するものであり、必ずしも20%とは限らない。また、クリープ率が大きいということは、それだけ車輪と路面とのグリップ力が働いている状態であるため、できるだけクリープ率の大きい状態でブレーキをかけることが、大きな制動力を得ることになる。そこで、クリープを超えて実スリップが発生しそうな場合でも、スリップ率が常にクリープ率の最大値以下でかつ最大値に近い値となるようにブレーキ力を制御して、実スリップの発生を防止するとともに最大限の制動力を得ることができる。
例えば、急ブレーキがかかった時には、各車軸に大きな減速の加速度が働く。その時、減速の加速度の「増加」に対して、その車輪のスリップ率も、連動して「増加」していれば、その車輪は、減速に関与していることになる。しかし、どれかの車輪が、本当のスリップ(実スリップ)を始めると、減速の加速度の「増加」に対してスリップ率が「急増」、または、減速の加速度の「減少」に対してスリップ率が「増加」する。そうなると、その車輪はもはや制動には役立たない存在となる。 その状態からは、車輪のブレーキを若干緩めることで、制動力が上がることになる。
この制御を行うためには、スリップ率が急増するその直前のスリップ率を、限界スリップ率として、そこでブレーキ制御をする。ブレーキを少し緩めることで、スリップ率が減少し、実スリップがおきないようにグリップ力を維持することができる。限界スリップ率を判断する方法としては、スリップ率の単位時間当りのスリップ変化率を常時算出して、スリップ率が急増、すなわちその変化率がある所望の変化率以上に大きくなったときをスリップし始めるときと判断する。その時、減速の加速度の「減少」に対してその車輪のスリップ率の「減少」が連動し出したらブレーキ力を上げる。ここで、判断材料として用いる所望の変化率は、予め実験等で求めておくと良い。
これにより、どんな路面でも、最短の制動距離で停止することができる。
同様に、横滑り防止においても、限界スリップ率で、ブレーキ制御をすれば、横滑りを最小限に抑えることができる。
具体的な例としては、例えばスリップ率の最小を10%、最大を25%として、その範囲での、最大25%を目標値として各車輪の進行加速度Axに対するスリップ率λの比λ/Axまたは変化率dλ/dAxをブレーキトリガー時からチェックする。λ/Axが急増とは、例えば10%,20%,50%等であり、dλ/dAxが急増とは、例えば2倍,5倍,10倍,20倍等で判断する。
また、スリップ率を用いて路面反力を推定することもできる。
路面反力Fxは車軸にかかる進行方向の力であり、スリップ率λに比例し、おおよそ次の式(259)のようになります。
Keはおおよそタイヤの表面の性質に依り、一般に約0.2である。
この式(259)により、各車輪について、路面摩擦係数μや路面にかかる垂直荷重が同じ状況ならば、各車輪の路面反力Fxの程度がスリップ率から推定できる。
そして、路面摩擦係数μや車体荷重に変化がないとすれば、車体上の前後・左右・上下の加速度センサにより、各車輪の路面にかかる垂直荷重の変化の割合を求めることで、「加速」「減速」「急加速」「急減速」「旋回」時における各車輪の路面反力Fxの程度が、スリップ率から推定できる。
その場合、更に各路面反力Fxに各タイヤ半径をかければ、各車輪の駆動トルクの程度が推定できる。
また、スリップ率を用いてスタビリティコントロールを行うこともできる。
上述した車両の制御方法は、車輪ごとにスリップを防止することができ、車輪自体が実際にスリップしない状態に維持することができるため、カーブや滑りやすい路面で、車体のスライド振れやホィール・スピンを防ぐというスタビリティコントロールに対しても有効となる。
例えば、車体の上にG(加速度)センサを設け、横G(加速度)と、傾き角と、旋回角を求め、それらが異常状態になったら、エンジンスロットルを閉じたり(開けたり)、各車輪それぞれに必要なブレーキをかけたり(緩めたり)、クラッチを切断したり(接続)したり、アクティブサスペンションを調節したりして姿勢制御する。その際、車軸ごとの加速度センサと回転センサから測定されるスリップ率が限界スリップ率(実際にスリップするところ)から出ないようにスロットル、ブレーキ、クラッチのコントロールを行うという応用ができる。
また、限界に達する前においては、常時、各車輪のスリップ率がわかるため、限界まであとどの程度余裕があるかが予知でき、その分だけ早めに加減速を制御できる。
限界スリップ率の手前では、スリップ率はほぼ路面反力に比例しているのでスリップ率の余裕量に合わせて、動力(駆動トルク)を制御することができる。これによって、タイヤの実スリップは基本的にはなくすことができるため、異常な車体ブレは抑えることができるようになる。またスリップ率の余裕量がわかり、事前に最適な動力制御ができる。
また、スリップ率を用いて凹凸の激しい路面の検出を行うこともできる。
例えば、車軸に縦振動を測る振動センサを併置して、車輪の回転速度との対比で、振動の波形(幅と高さ)を見て、タイヤのトレース(軌跡)距離を推定し、このトレース速度とタイヤの周速からスリップ率を求めて、限界スリップ率の範囲内で、ブレーキ制御、エンジンスロットル制御、スピード制御等を行い、異常走行状態を防ぐことができる。
また、上述したスリップ率の測定方法を用いると、タイヤの実半径が変化した場合、加速をやめても見かけのタイヤ半径は戻らないため、タイヤの実半径が変化したのか、単にクリープによってタイヤ半径が変化したように見えただけなのかが判る。戻った場合には、それはクリープによるものと判断できる。
なお、見かけのタイヤ半径の変化が激しい時(タイヤ半径異常領域に入った時)は、パンクの可能性があるため、パンクと判断して、アクセルスロットルを閉じていくように制御すると良い。スロットルを閉じていっても、見かけのタイヤ半径がある程度元に戻らない場合(タイヤ半径異常領域から出ない時)は、警報を出して、(低速、定速運転に入って)運転停止を促す。ここで、タイヤ半径異常領域とは、どれか一つの車輪の見かけのタイヤ半径減少率(1−r/R)が、他の車輪の見かけのタイヤ半径減少量より大きい領域のことを指す。例えば、2から5秒の間で10%以上、5から20秒の間で5%以上などの場合である。または、どれかの車輪単独での見かけのタイヤ半径減少量(1−r/R)が、大きい領域のことを指す。例えば、60秒以上で5%以上の場合である。
また、見かけのタイヤ半径減少率が、長期的に(例えば5分以上、10分以上)3%以上ならば、積載荷重の変化によるものとみなし、表示などを出して、再度、実半径を測定すると良い。但し、測定条件が揃うまで待ってから測定することとする。
また、加速度が変化している時(AxとAθのいずれかが一定量以上変化している時)は、車輪のスリップ率も変化し、見かけのタイヤ半径rも変化しているため、その直前の速度から、加速度センサの出力を積分して速度を求め、その速度から、見かけのタイヤ半径rを求める方が適切である。
また、上述した微分法や積分法では、高分解能の加速度センサを用いることでより正確にスリップ率を求めることができる。高分解能加速度センサについては、分解能の高い(例えば分解能が最大測定値の1万分の1の)センサを使うか、または普通の分解能の(例えば分解能が最大測定値の1千分の1の)センサで、最大測定値の違う2個のセンサを使い、最大測定値の小さい方がスケールアウトしたら、最大測定値の大きい方に切り替えて使う方法もある(分解能は、1mG以下、望ましくは0.5mG、0.2mG以下)。
また、ここで用いる加速度センサは、一般の振動を測定するための振動センサとは異なり、自動車の速度を求めるために1000Hz以下または100Hz以下の周波数からほぼ振動のない定常加速時の周波数までの加速度を測ることのできるセンサである。
振動ノイズフィルターは、加速度の大きい時は応答性を早く、加速度の小さい時は応答性を小さくすると良い。例えば、0.1G以上の時は50Hz、20mSec以上の応答性、0.1G以下の時は10Hz、100mSec以下の応答性であると良い。
また、用いる高分解能回転センサについては、磁気エンコーダをホール素子で検出するアクティブ・センサが車輪用に適している。この磁気エンコーダは、望ましくはピッチ誤差の小さい物(1.0%以下、0.5%以下、より望ましくは0.1%以下)を使うと良い。そのためには、ゴム磁石でも良いが、高精度加工や、高精度着磁が可能な、塑性加工磁石(鉄・クロム・コバルト磁石)や金属磁石(マンガン・アルミ・カーボン磁石など)やプラスチック磁石(フェライトやネオジウムNd-Fe-Bをプラスチックに混ぜた磁石)等を好適に使用することができる。
高精度が得られにくい場合(フェライトゴム磁石エンコーダなど)は、あらかじめ、一回転分のピッチ誤差を、メモリに覚えこませておき、誤差補正しながら使うことで、高精度を確保することができる。なお、走行初期時に補正する場合は、何回転かデータを取って平均するかパターン認識から補正する。その際は、一箇所だけ、ピッチを例えば10%又は50%ずらしておき、そこを基準に補正すると処理しやすくなる。
フェライトゴム磁石エンコーダの非検出面は円筒状や円盤状になっていて、周方向にNSNSと交番に20から60パルス分(NSで1パルス)着磁されている。フェライトゴム磁石は安くてよいが、着磁精度が出にくい。しかしこれを不等ピッチにすることによりさらに、高精度が得られる。自動車の車輪の回転速度検出用不等ピッチエンコーダは以下のようになっている。
(1) フェライト粉末ボンディングしたゴム磁石である。
(2) 磁性版に焼付けられている。
(3) 焼付け時に垂直磁界の中で等方性にして成型されている。
(4) 成型後垂直にNSNSと交番着磁されている。
(5) 少なくとも1つ、基準ピッチを有している(これを基準に校正ピッチを校正する
)。
(6) 校正ピッチを複数個有している。
(7) 各校正ピッチの誤差は中央値からの誤差をピッチの2%以下となっている。
(8) 基準ピッチは校正ピッチの中央値よりピッチの5%以上中央値よりずれている。
以上のように作られたものを回転させ基準値からの時間のずれを元に、各校正ピッチの誤差を読取り、その誤差を記憶しておいて、エンコーダ使用時にその分補正して使用する。
磁気エンコーダは、後ろに磁性板を当てて強化すると良い。また、磁気エンコーダは、割れ防止、心ずれ防止のために、ホルダーの円筒部内側にはめて支持することが好ましい。さらに、ホルダーは、プレス成型鋼板で断面にL字状部を持たせて変形防止をすると良い。プラスチック磁石は耐油(グリース)性のものを防水処理して使い、フェライト磁石は垂直方向に異方化して(強化して)垂直着磁して使うと良い。
また、車軸に取付ける加速度センサは、回転センサと一体化された複合センサを用いることが好ましい。車軸に複合センサを取付けた場合の好適な実施形態の例を図62から図68に示す。
図62から図66に示した例は、何れも内輪回転ハブ型の軸受ユニットの外輪側に複合センサ130を取付けたものであり、複合センサ130に対向する内輪2A側の箇所にはセンサロータ129bが設けられている。
また、図67及び図68に示した例は、何れも外輪回転ハブ型の軸受ユニットの外輪の外方に複合センサ130を取付けたものであり、複合センサ130に対向する外輪側の箇所にはセンサロータ129bが設けられている。
また、複合センサ130の好適な形態を図69に示す。
この複合センサ130は、加速度センサ内蔵回転センサであり、外付けセンサユニットである。これは、アクティブ回転センサと加速度センサを1パッケージ化したもので、回転センサ用のホール素子131及びGMR素子と加速度センサ132との間を磁性板133により磁気シールドし、加速度センサ部のカバー134を磁性材として電磁ノイズをシールドし、加速度センサ132をノイズから守り、信号処理を行う。信号処理は、5V,12V,24V等の電源線2本+加速度信号線1本+回転パルス信号線1本又は電源線2本+加速度と回転パルスをミックスした信号線1本からなるケーブル135(例えばUSB規格)を介して行うと良い。加速度信号線と回転パルス信号線とが別の信号線で構成される場合には、車軸側では、回転パルス信号は従来のままで、加速度出力をアナログ信号化又はデジタル信号化し、独立した線で車体側に送る方式を用いる。このような複合センサ130は、軸受の外に取付けられる。また、外付けセンサでは、ホール素子131は磁気を検出するために非磁性のSUSカバー136で覆う。また、BRG内蔵型の場合も同様のシールドを行う。なお、複合センサ130は、ホール素子131と隣接した位置にマグネット137を備え、さらに、磁性板133と加速度センサ132との間には信号処理回路138が設けられ、その他には、ブッシュ139や磁性ケース140が設けられている。なお、マグネット137を備えていないタイプの複合センサを用いることもできる。
また、加速度センサから出力された加速度信号は、その加速度センサと伴に車両懸架装置のバネ下における車輪ユニットの静止部材に取付けられた加速度信号処理装置によって、配線の変形による影響を受けない形の信号に処理した後に車体側の制御器に出力されると良い。
即ち、ピエゾ素子や圧電素子を利用した加速度センサ、静電容量型の加速度センサ等のように、高精度な半導体式の加速度センサを常時動いている車両懸架装置のバネ下における車輪ユニットの静止部材に取付けているにも関わらず、車体側の制御器に出力される信号は、車の揺れや旋回時の配線の動き(振れ)による静電容量や配線抵抗の変化ノイズ等の影響(歪み、ノイズ等)を受けることが無く、正確に各車輪の進行方向の加速度を検出することができる。
また、加速度信号処理装置は、加速度センサの加速度信号に対して増幅処理、温度保証回路、タイヤ微小振動除去フィルタ、デジタル化処理等を施すことにより、配線の動きによる影響を受けない形に処理するだけでなく、エンジンの電磁ノイズや温度変化等の他の影響をも受けない形にする処理を行わせることもできる。
また、加速度信号処理装置は、処理した信号を無線にて車体側の制御器に送信するように構成されていると良い。
さらに、加速度信号処理装置の処理用の電源は、車体側から供給を受けても良いし、車輪の回転による発電で賄っても良い。
また、車両旋回時(コーナリング時)の横滑り防止に関する対策方法を以下に述べる。
進行方向の力Fx(=1/λm・μ・Fz・λ)は(但し限界スリップ率λm=0.15、タイヤにかかる垂直荷重:Fz)、実スリップの手前(例えばλ>0.1)までは、ほぼスリップ率に比例することから、スリップ率から、路面抵抗力の程度が判る。
従って、路面抵抗力の程度を参照して駆動制動制御をすることができる。
また、Fx=(Fz/g)Axの式から(但しgは重力加速度)、Fxを求めてもよい。
また、路面摩擦係数μは、実スリップの手前(例えばλ>0.1)までは、ほぼ(0.15/g)・(Ax/λ)になることから、加速度とスリップ率の比(傾斜角や変化率から求めてもよい)から常時求められる。
路面固有値としての摩擦係数は、実スリップの手前のほぼ直線性の範囲(例えばλ<0.1)で求めたものを記憶しておいて、λ>0.1ではその前のμを使う。
路面とタイヤとの相関としての摩擦係数は、加速度とスリップ率の比(0.15/g)・(Ax/λ)そのもので路面摩擦係数μを求められる。
但し、上記Fxの式は非駆動時のブレーキ時に成り立つものである。
ブレーキ時は、各車輪とも、同じ制動力Fxが働くと考えて、下記の式(261)から、
各車輪のFzi,Fzii,Fziii,Fzivの比例配分は、その時のスリップ率の逆数 1/λi,1/λii,1/λiii,1/λivの比例配分となるので、下記の式(262)のようになり、
例えば、
この式(262)を各車輪の荷重係数として記憶しておく。各車輪のFzi,Fzii,Fziii,Fzivの合計は車体総重量Wであるから、以後Fzi=W・fi として用いることができる。
また、先に述べたFx=(Fz/g)Axの式は、2輪駆動の加速時には、Fzは、右であれば右の前後のFzの和で計算する。例えば、
この式(264)と、下記の式(265)から、さらに下記の式(266)が得られる。
実際はμnの平均をμとする。
これにより、FziもFz1もμも求まるので、FxはWの比率として求められる。
旋回時には、車軸に設けた角度センサで旋回を検出した時から車体の加速度センサと各車軸の加速度センサの各車軸のY方向(横方向)についての加速度を算出し、両者の差を2回積分して車軸と車体とのズレを計算で求め、そのズレが上記方法で求めた路面摩擦係数を考慮して(ズレ/μが)大きい時は、スピードを落として遠心力(またはそれに抗するコーナリング・フォース)を下げて、横滑りを防ぎ、同時にX方向(進行方向)のスリップ率が、限界スリップ率に達しないようにする。
また、旋回角とは、操舵輪と非操舵輪の角度センサの差から求めるものとする。
旋回角がついているか、左右の車軸に進行速度差が出た時は、旋回中であって遠心力が働いている。この遠心加速度を計算で求め、各タイヤへの横方向分担を求めて、それが摩擦係数を考慮して大きくなったらスピードを落とすと良い。
旋回時に車軸のY方向の加速度センサが旋回角のズレの変化速度または遠心加速度の変化に比較して急増したらその車輪が横滑りしはじめたと判断してスピードを落とす。その際、前輪が外方への横滑りした場合は、駆動トルクを抑えてリヤ内輪にブレーキを(多く)かけて、車両のトレース性を確保してもよいし、後輪が外方へ横滑りした場合は、フロント外輪にブレーキを(多く)かけて、車両のトレース性を確保してもよい。
以上説明したように、本発明に係るスリップ率測定方法及び車両の制御方法、更にはスリップセンサ、スリップセンサベアリング、スリップコントロールシステムによれば、車両の直進時や旋回時においても、各車輪ごとの正確なスリップ率を求めることができる。又、これらの方法によって得られる見かけのタイヤ半径と車輪の回転角速度から、各車輪ごとの正確な進行速度を求めることができる。
更に、これらのスリップ率及び進行速度を、車両の如何なる運転状態においてもシームレス(継ぎ目無し)に測定することができ、安定した車両の走行状態を維持することができる。

Claims (17)

  1. 車両の各車軸ユニットに取付けられた、各車輪の進行方向の加速度センサと、車輪の回転センサとを使い、車輪の走行状態を測定する方法。
  2. 車両の各車軸ユニットに取付けられた、各車輪の進行方向の加速度センサと、各車輪の横方向の加速度センサと、車輪の回転センサとを使い、車輪の走行状態を測定する方法。
  3. 車両の駆動輪を有する各車軸ユニットに取付けられた、各車輪の進行方向の加速度センサと、車輪の回転センサとを使い、車輪の走行状態を測定する方法。
  4. 前記請求項1記載の方法を用いた車両。
  5. 前記請求項2記載の方法を用いた車両。
  6. 前記請求項3記載の方法を用いた車両。
  7. 車輪の進行方向の加速度を測定する加速度センサと、車輪の回転角速度を測定する回転センサとを有する車軸ユニット、又は車輪支持用転がり軸受ユニット。
  8. 車両の各車軸ユニットに取付けられた、各車輪の加速度センサと、車輪の回転センサとを使う車両制御装置。
  9. 前記請求項8の加速度センサと、回転センサを有する車輪支持用転がり軸受ユニット。
  10. 静止部材と、前記静止部材に対して回転自在となっている回転部材と、前記回転部材に取付けられたセンサロータと、前記センサロータに対向するようにして前記静止部材に取付けられ、前記センサロータの回転速度に応じた回転速度信号を出力する回転センサと、前記静止部材に取付けられて、前記車輪ユニットの進行方向の加速度に応じた加速度信号を出力する加速度センサと、を有する車輪ユニット。
  11. 静止部材と、前記静止部材に対して回転自在となっている回転部材と、前記回転部材に取付けられたセンサロータと、前記センサロータに対向するようにして前記静止部材に取付けられ、前記センサロータの回転速度に応じた回転速度信号を出力する回転速度センサと、前記静止部材に取付けられて、車輪の進行方向の加速度に応じた加速度信号を出力する加速度センサと、を有する車輪ユニット。
  12. 回転輪と、静止輪と、前記静止輪と前記回転輪との間に配置された複数個の転動体と、前記回転輪に取付けられたセンサロータと、前記センサロータに対向するようにして前記静止輪に取付けられ、前記センサロータの回転速度に応じた回転速度信号を出力する回転速度センサと、前記静止輪に取付けられて、車輪の進行方向の加速度に応じた加速度信号を出力する加速度センサと、を有する車輪支持用転がり軸受ユニット。
  13. 車両懸架装置のバネ下における車輪ユニットの静止部材と、前記静止部材に対して回転自在となっている回転部材と、前記回転部材に取付けられたセンサロータと、前記センサロータに対向するようにして前記静止部材に取付けられ、前記センサロータの回転速度に応じた回転速度信号を出力する回転速度センサと、前記静止部材に取付けられ、車輪の進行方向の加速度に応じた加速度信号を出力する半導体式の加速度センサと、を有する車輪ユニット。
  14. 車両の各車軸ユニットに取付けられた、各車輪の進行方向の加速度センサと、車輪の回転センサとを使う車両の制御方法。
  15. 前記請求項1に記載の測定方法、または前記請求項14に記載の車両の制御方法を用いるために車輪に設けられた加速度センサと回転速度センサとを有することを特徴とするセンサ。
  16. 前記請求項15に記載のセンサを備えていることを特徴とするベアリング。
  17. 前記請求項1に記載の測定方法、または前記請求項14に記載の車両の制御方法を用い、自動車の走行状態を制御することを特徴とするコントロールシステム。
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