JP2006506276A - スリップセンサ付き車軸ユニット及びスリップ測定方法 - Google Patents
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Abstract
Description
付き車軸ユニット及びスリップ測定方法に関する。
しかしながら、車輪のスリップ率は、車輪の回転速度と、車体の路面に対する速度(対地速度)の双方より求まるものであり、上述した従来技術によれば車輪の回転速度は精度良く検出できるが、車体速度を直接求めることができないため、例えばスリップ率は4輪の回転速度から総合的に推定する他なかった。その結果、特に車両旋回時の各車輪毎のスリップ率、スリップ状態を正確に求められないという問題があった。
2)本発明は、車両の各車軸ユニットに取付けられた、各車輪の進行方向の加速度センサと、各車輪の横方向の加速度センサと、車輪の回転センサとを使い、車輪の走行状態を測定する方法である。
3)本発明は、車両の駆動輪を有する各車軸ユニットに取付けられた、各車輪の進行方向の加速度センサと、車輪の回転センサとを使い、車輪の走行状態を測定する方法である。
5)本発明は、前記2)記載の方法を用いた車両である。
6)本発明は、前記3)記載の方法を用いた車両である。
9)本発明は、前記8)の加速度センサと、回転センサを有する車輪支持用転がり軸受ユニットである。
15)本発明は、前記4)に記載の測定方法、または前記14)に記載の車両の制御方法を用いるために車輪に設けられた加速度センサと回転速度センサとを有することを特徴とするセンサである。
17)本発明は、前記1)に記載の測定方法、または前記14)に記載の車両の制御方法を用い、自動車の走行状態を制御することを特徴とするコントロールシステムである。
2 ハブ(回転部材又は回転輪)
5 回転速度検出センサユニット
8 内輪
10 転動体
12 フランジ
27a,27b 変位測定素子(回転センサ)
30 車輪
32 ホイールリム
35 ディスクロータ(制動ユニット)
50 被検出用円筒部(センサロータ)
60 制御部
60a トリガー信号発生装置
60b 記憶装置
60c 積分装置
60d 演算装置
60e 制動制御装置
61,62,63 加速度センサ
61A,62A,63A 加速度信号処理装置
130 複合センサ
次に、図1〜図32を参照して、本発明の第1実施形態に係る車輪のスリップ率測定方法について説明する。
図1に示すように、車輪支持部材であるナックルに取り付けられた転がり軸受ユニット(ホイール軸受ユニットとも言う。)を含む車軸ユニット(または車輪ユニット)210は、加速度センサと回転センサとが、一体化されたスリップセンサ211を有している。スリップセンサ211は、基底面に回転センサ222を配していて、この回転センサは、回転部材212に取付けられたエンコーダ213に対向して配されている。なお、転がり軸受ユニットには、ブレーキロータやタイヤが付いている。
US6282956 Multi-axial Angular velocity sensor
US6269697 Angular velocity sensor using piezoelectric element
US6098461 Acceleration sensor using piezoelectric element
US5850040 Multi-axial acceleration sensor using
なお、y方向の加速度センサ221は、旋回時に必要となる。また、z方向の加速度センサ221は、路面の凹凸による振動成分の影響を補正するために用いるものであるがなくてもよい。
更に、車体の対地速度を求める場合、加速度センサは車体に設けてもよい。その場合は、各車輪の対地速度を車体の対地速度と以下読み替える。その場合、直進時では各車輪の加速度や対地速度は車体の加速度や対地速度と置き換えるとよい。
また、各車輪の対地速度Vは、式(105)及び式(106)によって常時求まっているので各タイヤのスリップ率は、(110)式より次式から求められる。
また、本計算では自然風(以下、風とする)など外力の影響がないものとしているが、風などの外力を考慮する場合は、前記の(113)式の状態でも、スリップが生じる。そのため、自動車の速度やエンジン回転数に対して駆動力も出ないし、エンジンブレーキもかからない条件(例えば、エンジンスロットルの開度など)を記憶させ、その条件の時以外は、Rの測定を行わないようにする。尚、クラッチが切れていてブレーキが効いていない時は、従動輪と同様にニュートラル状態と見なしてもよい。
尚、自動車の電気系統(電源)が切れる場合は、Rの値を記憶し、次に乗った時にRが求まるまで、その値を使用する。
以上のようにして、車輪の実半径Rが求まるので(111)式により各車輪の正確なスリップ率を常時求めることができる。
まず、仮想半径r又は実半径Rが急激に小さくなった場合、アクセルスロットを閉じる。その後、仮想半径r又はRが大きくなり、戻る場合には、単にスリップであり、戻らない場合は、パンクの可能性があるため、停止を促す。
また、t1時からt2時への1つの車輪のタイヤ半径減少率(Rt1−Rt2)/Rt2が、他の車輪のタイヤ半径減少より大きい(例えば、2〜5秒で10%以上、5〜20秒で5%以上)時に、同様の制御を行うとよい。
直進時で、部分スリップしている状態の、各車輪の路面摩擦係数をスリップ率Sを用いて求める。なお、直進時とは、各車輪の進行方向のx方向加速度αxn(n=1,2,3,4)が、ほぼ等しい、あるいは、各車輪の横方向のy方向加速度αyn(n=1,2,3,4)が、ほぼ0である時のことである。
ここで、車輪1、2、3、4およびx,y方向は、図7に示すように定められる。各車輪のスリップ率Sと縦荷重Fzと車重Mによる慣性力(inertial force)を用いて、路面摩擦係数μを求める。部分スリップしている状態では、図8のように各車輪に作用するx方向の駆動力Fxnと、スリップ率Sn、路面摩擦係数μn、各車輪の縦荷重Fznには、一般的に次式が成り立つものとする。(スリップ率Sが小さい領域では、FxはSに対して、ほぼ直線的に変化するものとする。実際には、FxnはSnに対して曲線的に変化するとも考えられるが、ここでは直線的とする。)なお、曲線的変化で計算する方法は後で述べる。なお、kbは、タイヤのゴム材質、トレッドパターン等の構造などにより決まる定数である。
ここで、Rωは、微小時間では定数とみなすことにすると、Fxcは、次式で表される。
また、路面勾配角度βは、微小時間では変化しないと考えると、重力成分も消えて、次式のようになる。(βが一定時間変化しない時に計算してもよい。)
そして、kd1+kd2+kd3+kd4=1の関係が成り立つ。
なお、各車輪のトルクは、各車輪の駆動力Fxnと各車輪のタイヤ実半径Rnの積であるので、次式が成り立つ。
ここで、kdn,Rnは、微小時間では変化しないものとする。
以上に示したように、直進走行時には、各車輪のスリップ率Snと、各車輪が受ける縦荷重Fznと、車体質量Mによる慣性力(inertial force)Mαとを用いて、各車輪の「路面摩擦係数μn」と「各車輪の駆動力Fxn」を求めることができる。
カーブ走行時の各車輪ごとの路面摩擦係数の求め方について説明する。カーブ走行時も、直進時と同様に、各車輪のスリップ率と駆動力の関係式と、車両重心における運動方程式とを連立させて解く。そのために、重心での加速度を求め、更に、重心の加速度を考慮するために、各車輪および重心の旋回半径Rrn(n=1、2、3、4、c)を求めて使う。旋回半径Rrn等を求めるためには、アッカーマン理論と円運動の公式を用いる。アッカーマン理論は、各車輪および重心と、中心0とを結んだ各直線が、各車輪および重心の進行方向に対してそれぞれ垂直であるという理論である。
まず、一旦、各車輪の路面摩擦係数を4輪とも等しいと仮定し、μmとすると、(151)式は、次式のようになる。
各車輪の縦荷重および重心位置は一定として路面摩擦係数を求めたが、実際には、以下に示す原因等により、縦荷重は変動する。
1.ピッチングによる車体の前後の縦荷重移動
2.ローリングによる車体の左右の縦荷重移動
3.駆動力の反力モーメントによる縦荷重移動
4.路面凹凸等によりサスペンションが作用した場合の縦荷重変動
各車輪の縦荷重Fxnの変動にともない、車両重心位置も移動し、補正する必要がある。ただし、Fxnを直接測定して使う方法(後述)では、これらの補正は必要なくなる。
上記による各車輪の縦荷重の変動を考慮して荷重分担比を補正し、再度、以下に示す。
連立方程式を解き、路面摩擦係数を求める。
1.ピッチングによる前後の縦荷重移動
図13に示すように、重心高さをHc、ホイールベースをWb、ピッチングに寄与する加速度をαpcとすると、モーメントのつり合いから、ピッチングによる前後の縦荷重移動ΔFzpは、次式から求まる。ここで、Hc,Wbは既知の値であり、αpcの求め方は後述する。
図14に示すように、重心高さをHc、ホイールレッドをTr、ローリングに寄与する加速度をαrcとすると、モーメントのつり合いから、ローリングによる左右の縦荷重移動ΔFzrは、次式から求まる。なお、Hc,Trは既知の値であり、αrcの求め方は後述する。
逆に車両が左方向にカーブする時は、αrcは負の値となり、左側車輪が1および3から、Δfzrの絶対値を減算し、右側車輪を2および4に、Δfzrの絶対値を加算し、補正する。Δfzrの符号を考えれば、左右カーブ時ともに、以下に示す式により、ローリングによる荷重分担比の変化の補正を行えばよい。尚、fn´は補正前の各車輪の荷重分担比である。
図16に示すように、各車輪に働く駆動力による反力モーメントによっても各車輪の縦荷重は変化する。例えば、車輪1は、駆動力Fx1による反力モーメントによって、縦荷重Fz1は減少し(ΔF1,1とする)、車輪3に働く駆動力Fx3による反力モーメントによって縦荷重Fz1は増加する(ΔF1,3とする)。ΔF1,1およびΔF1,3、車輪の実半径R1、ホイールベースWbとの間では、モーメントのつり合いを考えると、次式が成り立つ。
図17に示すように、車両が路面凹凸等を通過した時には、サスペンションが作用するため、各車輪の縦荷重は変動する。この場合は、各車輪にz方向(縦方向)加速度センサ221を取付け、路面凹凸等により生じるz(縦)方向加速度αznを検出し、次式に示すように、微小時間で2回積分し、各車輪のz(縦)方向変位ezを求める。
ピッチングおよびローリングによる各車輪の縦荷重を求めるためには、図18に示すように、重心の進行方向加速度αxcと横方向加速度αycを、ピッチングおよびローリング方向に変換する必要がある。ここで、重心の加速度は(137)式,(141)式により求まっている。なお、直進時は、旋回時角度θc=0とすれば、カーブ時と同様に考えることができる。ここで、旋回時角度θcとは、重心進行方向と車体向きの角度差のことで、次式から求まる。
前述したように、各車輪の補正を行った荷重分担比が求まるので、車両の重心位置が求まる。以下にその方法を示す。ここでは重心配分比Lnを用いる。重心配分比は、荷重分担比と以下に示す関係にあり、図19中に示す。
今までは、各車輪の縦荷重は荷重分担比を用いて、計算から求めていたが、以下に示すように、サスペンションの受皿部等で荷重を測定すれば、より高精度に各車輪の縦荷重が求まるので、高精度に各車輪の路面摩擦係数が求まる。
(1)サスペンションのバネの受皿部(円盤やリングでもよい)の荷重を測定する方法。
1.ロードセルで計る方法。
2.缶に油を詰めて缶の蓋の上にバネの受け板を置いて、缶に圧力センサを取付けて油の圧力を測定する方法。
3.円周を支持した金属円盤の上の中央に、バネの受け皿を置いて、金属円盤の中央下に圧力センサの突起を当てて突起に変位を与えて圧力として測定する方法。
4.断面が横U字状のドーナッツ状の金属の間に感圧導電性ゴムを挟んで、その上にバネの受け皿を置いて、金属の変形率をゴムの導電率で測定する方法。
(2)サスペンションのバネの変位を計る方法。
1.摺動抵抗式変位計をショックアブソーバーと並列に置いて抵抗の変化を計る方法。
2.ショックアブソーバーの内側又は外側にコイルを巻いてコイルの中に出入りするピストンロッドとの間の誘導抵抗(インダクタンス)の変化を計る方法。
3.ショックアブソーバーのピストンロッドに磁石式直線エンコーダを内蔵してホール素子で移動量を測定する方法。
なお、サスペンションのバネの変位を測定する方法では、測定した変位ezに、バネの係数kzをかけた値が荷重である。
具体的には、図20,図21に示すように、上がダイヤフラムで蓋をされているドーナッツ状の缶250内にオイルを満たし、側面に圧力センサ252を取付けて、その缶の上に荷重受プレート251を置く。そして、ドーナッツ状の缶250をサスペンション253の受け皿254部等に設置し、圧力センサ252の出力から、荷重が測定できる。なお、ドーナッツ状の缶250には、圧力センサ用のねじ255を切り、そこからオイルを注入・充満させた後、圧力センサ252を取付ける。この荷重の測定方法では、荷重受プレート251が全周にわたり存在しているため、偏荷重があった場合でも、縦荷重の合計値が測定できる。また、ドーナッツ状の缶250に段部を設ければ荷重受プレート251が嵌り、安定する。荷重受プレート251の面積をS、圧力センサ252の測定値をPとすると、縦荷重Fzsnは、次式で求まる。
1.長野計器株式会社製の車載用圧力センサ
この長野計器株式会社製の圧力センサは、絶縁膜を介した金属ダイアフラム上にプラズマCVDにより、歪ゲージを形成した感圧部に用いており、耐久性、安定性に優れている。また、金属ダイアフラムは、本体に溶接され、一体化しているために、車載用に適しており、更に、可動部がないので、耐振動・耐衝撃性に優れている。また、最小5mmと小型化も可能で、安価でもあるので、自動車のエンジンや各車輪のブレーキ液圧測定用センサとして使用されている。(参考特許文献:特開2002−168711号公報)
2.株式会社デンソー製の圧力センサ
株式会社デンソー製の圧力センサは、シリコンを加工した薄いダイアフラム部に拡散抵抗を形成したセンサ素子を使用している。そして、使用温度が−30〜120℃と広く、それに伴う温度補償回路を内蔵し、電磁波対策を施したリニア出力の圧力センサである。また、測定圧力範囲は7Mpaであり、圧力センサを取付けるサスペンション受皿部が受けると考えられる最大圧力5Mpaより大きい。自動車への適用例としては、エアコンシステムの冷媒圧測定、サスペンションシステムの圧力測定等に使用されている。
図22に示すように、Tr,f,Lf,θsfをとり、車輪1のサスペンション受皿部での荷重測定値をFzs1、車輪2のサスペンション受皿部での荷重測定値をFzs2とする。なお、左右は対称として考えた。この時、荷重Fzs1は、車輪1および2の受けるバネ上荷重Fzb1およびFzb2に、その作用点からの距離の逆数に比例した荷重が配分される。
つまり、図22中のAB:BDの逆数に比例して、荷重が配分される。同様に、荷重Fzs2は、車輪1および2に、AC:CDの逆数に比例した荷重が配分されるので、図22中のFzb1,Fzb2は、θsfを考慮して、次式により求まる。
まず、各車輪が車重による荷重以外、受けていない状態で、各サスペンション部に、順次、一定荷重ΔFzsnを加え、各車輪の荷重変動を測定する。例えば、前輪左側サスペンション1に、ΔFzs1を加えた時には、サスペンション1の荷重をΔFzs1と考えれば、相対的に、サスペンション2,3,4は荷重を0(ゼロ)と考えられる。よって(189)式において、Fzs1=ΔFzs1,Fzs2=Fzs3=Fzs4=0となり、補正係数C1,1,C1,2,C1,3,C1,4が求まる。
同様に、サスペンション2,3,4に荷重ΔFzsnを加えれば、補正係数Cm,nがそれぞれ求まる。
また、より高精度に補正係数を求める場合には、適当に、サスペンションに荷重ΔFzsnを16通り加えれば、16個の式から成り立つ連立方程式ができるので、16個の補正係数Cm,nは求まる。
よって、Cm,nの値を記憶しておけば、サスペンション受皿部での測定荷重ΔFzsnから、各車輪のバネ上荷重Fzbnが求まり、更に次式のように、バネ下荷重Wslnを加え、各車輪の縦荷重Fznが求まる。
まず、直進走行時の制御方法について、以下に示す。直進時は、限界スリップ率を求めて(予測して)、ABS等のブレーキ制御やTCS等の駆動力制御を行うことが可能である。
ここで、限界スリップ率とは各車輪が滑り出すスリップ率のことである。
よって、Fx−S曲線の傾きを測定し、限界スリップ率を超えないように制御を行う、 具体的には、Fx−S曲線の傾き、つまり、dFx/dS=(dFx/dt)/(dS/dt)を測定する。スリップ率Sが小さい場合、その値はほぼ一定となるが、スリップ率Sが大きくなり、限界スリップ率に近づくと、dFx/dSは小さくなる。よって、dFx/dSの値が、前回計算値に比較して、例えば、1/2,1/3,1/5,1/10,1/20などと値を設定しておき、それ以下の値となった時、ブレーキあるいはエンジンスロットルの開閉等を行い、制御する。
また、限界スリップ率が明らかな場合には、スリップ率Sが限界スリップ率を超えないように、上述した制御を行えばよい。
カーブ走行時は、車輪の横(g)方向にもサイドフォースFgnが働くため、各車輪を直接制御できないので、予測を行い、各車輪が滑るのを未然に防止する。
その方法としては、たとえば、各車輪に働く力Fwの時間増加率dFw/dtを測定し、数秒後に働く力を予測し、その力が、各車輪が滑り出す力より大きい場合、ブレーキやエンジンスロットルの開閉等による制御を行う。
まず、摩擦円の法則について示す。摩擦円の法則は、各車輪で成り立ち、図25に示すように、各車輪の駆動力FxnとサイドフォースFynとの合力Fwnと、滑り出す限界の力Flnとの関係を示したものである。つまり、Fwが半径Flnの摩擦円より大きくなった時、車輪は滑り始める。ここで、各車輪が滑り始める力Flnは、次式で求まる。
図26を用いて説明すると、a点,b点について、a点の場合、傾き(dFwn/dt)(T1)が小さいので、時刻T2において、Fwn(T2)<Flnとなるので、制御しないが、b点の場合、傾き(dFwn/dt)(T1)が大きく、時刻T2´において、Fwn(T2)≧Flnと予測されるので、上述の制御を行う。
自動車がもつキングピン角、キャスタ角。キャンバ角。ヨー角等によって、加速度センサ221の測定値に影響が出る場合は、実験値を記憶させておき、その影響を除去すればよい。
図27に示すように、路面凹凸部を通過する時、サスペンションが伸縮し、測定値に誤差が生じ、対地速度およびスリップ率等に誤差が生じる。その場合、各車輪支持部材(車輪ユニット、車軸ユニットともいう。)にz方向加速度センサ221を取付け、路面凹凸等による振動を検出し、補正を行い、高精度に対地速度およびスリップ率を求めることが可能である。
また、車体側にも、z方向加速度センサ221を取付ければ、その差を測定することで、より高精度に路面凹凸等による振動成分を除去することが可能である。
よって、直進時、カーブ時ともにある一定時間の近似曲線(直進時は直線)に対して、その振れと周期を測定し、居眠り運転の可能性がある場合、ドライバーに警告できる。
一般的に、自動車の受ける加速度は急発進、急ブレーキ時に最大となり、±0.5G程度と考えられる。よって、加速度計の測定レンジは、それよりも大きい必要がある。また、低速度の時は、微小な加速度変化に対応するため、高分解能が必要となり、高速走行時には、高応答性が必要となる。
1.アナログ・デバイセズ株式会社製、「ADXL202E」
2軸加速度センサで、測定レンジは、±2Gである。5vで作動しデジタル信号または増幅アナログ信号出力である。データ転送速度は0.01Hzから5KHzまで接続コンデンサにより可変であり、応答性と分解能は次のような関係となる。60Hz−2mg、20Hz−1mg、5Hz−0.5mg。耐衝撃は1000gであり、耐熱温度は−65〜150℃である。高速応答が可能である。サイズは5mm×5mm×2mmと小型で、1個500円程度と低価格であり、様々な分野で使われている。これを2個使えばx,y方向の加速度とx,y軸回りの角加速度が求められる。
2.日立金属株式会社製ピエゾ抵抗型3軸加速度センサ
加速度の作用により生じる力によって、ピエゾ抵抗に応力が発生し、加速度の検出を行う。1軸の加速度センサを3個、2軸の加速度センサを2個組み立てて、3軸方向の加速度を同時に検出可能で、傾きの検出も可能である。測定レンジは、±3Gで、パッケージサイズが4.8×4.8×1.25mmと超小型である。
3.北陸電気工業製ピエゾ抵抗型3軸加速度センサ
日立金属製と同様に3軸の加速度の同時検出が可能である。測定レンジは、±2Gであり、サイズは5.2×5.6×1.35mmである。
(関連特許文献)特開2003−240795号公報、
特開2002−243759号公報
上述した加速度センサも含めて、加速度センサ221には、測定原理により、ピエゾ抵抗型、静電容量型、圧電型等があり、本方法で用いる加速センサはいずれでもよい。
加速度センサ221は、各車輪の挙動を測定するので、タイヤ幅の中心部に取付けるのが理想的である。直進走行時には、車軸ユニットに取付けられていればよいが、カーブ走行時には、タイヤ幅中心からずれると、測定される加速度に誤差が生じるため、各車輪の対地速度Vnおよびスリップ率Snにも誤差が生じる。よって、加速度センサ221は、タイヤホイールのリム幅内に取付けるのが望ましい。
従って、加速度センサ221はタイヤ中心から、150mm以内に取付けられるのが望ましい。また、加速度センサ221を、タイヤホイールのリム幅内あるいは、タイヤ中心から、150mm以内に取付けられない場合は、以下に示すように、タイヤの旋回角から、オフセット量を補正し、対地速度Vn、スリップ率Snを求める方法もある。なお、加速度センサ221がリム幅内あるいはタイヤ中心から150mm以内に取付けられている場合でも、補正計算を行えば、より高精度に加速度が求まる。
車輪nがXn´方向に進行していて、Xn方向に旋回する時、各車輪のスリップ角θnはハンドルの切れ角から求まる。この時、センサ取付け位置では、タイヤ中心に比べ、次式で示す加速度Δαが作用するので、減算し、補正する。
自動車が受ける加速度は、急発進時、急ブレーキ時で、±0.5g程度であり、各車輪が受ける加速度もほぼ同様と考えられる。よって、制御する加速度は1gの範囲内であり、その1/200〜1/500の精度が必要であるとすると、5mg〜2mgの分解能が必要となる。また、自動車は、急ブレーキ時等は加速度が急激に変化し、その絶対値が大きい場合には、高応答性を要求し、低速時等は高精度の制御が要求される。アナログ・デバイセズ社製の加速度センサはコンデンサを変えることで、0.01Hzから5kHzまで応答性が可変であり、それによって分解能も変えることができる。よって、加速度センサは、検出した加速度の絶対値が大きい場合、高応答性が要求されるので、応答性を60Hzとすればよく、その時の分解能は2mgとなる。更に、応答性を上げてもよい。また、高精度が必要な時は、5Hzとすれば、分解能は0.5mgとなる。
z方向の加速度を測定することで、
(1)路面勾配の測定
(2)路面凹凸等による振動の測定
が可能となる。実際には、路面勾配の測定を行いたい時は、出力されたz方向加速度のデータを数回記憶しておき、平均化することで、細かい加速度のデータが消え、大きな加速度変化が出力され、路面勾配がわかる。逆に、路面凹凸等による振動を測定する時には、平均化処理を行わないか、平均化するとしても、その個数を小さくすればよい。なお、平均化するz方向加速度の個数が異なる加速度計を複数個設置してもよい。また、3軸角度センサ、6軸モーションセンサ等を設置すれば、より高精度に制御できる。
FF,FRといった二輪駆動車の場合には、以下に示す方法で、荷重分担比fnが求まる。ブレーキ時で、なおかつ、ニュートラル時、つまり、自動車の駆動装置から各車輪へ駆動力の伝達がない時には、図8に示すように、各車輪のブレーキの液圧から、各車輪の制動力Fxnが求まる。各車輪の制動力Fxnとスリップ率Snとには、次式が成り立つ。
各車輪の速度およびスリップ率を求める別法として、以下に示す方法もある。
微小時間Δt内で、加速度センサ221の出力から重力影響を除いて求めた真の加速度αxから速度変化分ΔVαを求め、一方、回転センサ222の出力ωから回転角速度の変化分Δωを求め、その比率から、各車輪の仮想半径rを求める。まず、時間t1からt2までの微小時間Δtでの速度変化分ΔVαはαxから、次式で求まる。
車両が従動輪を有する場合、駆動時に従動輪のスリップ率が0(ゼロ)であるので、以下に示す方法で、各車輪のスリップ状態がわかる。
まず、平地、低速、低下速度の直進時に各車輪の対地速度は4つとも同じで、実半径Rを用いて、次式より求まる。
次に前記条件でない直進時は、各車輪の仮想半径rを用いると、次式が成り立つ。
カーブ時は、Vx1=Vx2=Vx3=Vx4が成り立たないので、次の方法で仮想半径を求める。従動輪はスリップ率が0であるので、次式が成り立つ。
各車輪の対地速度Vnを、回転角速度ωnで割り、仮想半径rを求める。
例えば、二輪駆動の場合は、車両の直進時において、従動輪の周速度Vcfを車体速度Vdとし、この車体速度Vdと駆動輪の周速度Vcdから駆動輪のスリップ率λdを求めることで、常時リアルタイムで駆動輪のスリップ率を測定することができ、これにより、ドライブ時にも、理想スリップ率を超えないように、スロットルバルブを閉じたり、デファレンシャル制御を行ってトラクションコントロールをしたりすることができる。
車両の各車軸ユニットに取付けられた加速度センサと、車輪の回転センサと、を使い、前記回転センサで検出した回転数と、前記加速度センサで検出した加速度と、を組み合わせて、前記各車軸ユニットのスリップ状態を求めることを特徴とする車輪のスリップ測定方法。
(応用例2)
車両の各車軸ユニットに取付けられた各車輪の進行方向の加速度センサと、車輪の回転センサと、を使い、前記回転センサで検出した回転角速度ωと、前記加速度センサで検出した加速度αと、を組み合わせて、各車輪の対地速度Vを、V=(α/ω´)・ω にて求める方法。
応用例2において、前記加速度は、加速度により発生する力を利用して測定する加速度センサの場合は、その出力αaと路面勾配角度βと、重力加速度gとを用いて、真の加速度αを、 α=αa+gsinβ にて求めたものである方法。
(応用例4)
応用例2または応用例3において、α/ω´が、ほぼ一定の時に、Vを求める方法。
応用例2または応用例3において、α/ω´が、ほぼ一定の時には、V=(α/ω´)・ωにて各車輪の対地速度Vを求め、α/ω´が、ほぼ一定ではなくなった時からは、
(応用例6)
応用例5において、各車輪の実半径Rを、ニュートラル状態の時、即ち、真の加速度αと、重力加速度gと、路面勾配角度βとが、α=−gsinβ の関係になった時に前記Rを求める方法。
応用例5または応用例6において、スリップ率Sを、駆動時は、S=1−V/(R・ω)にて求め、ブレーキ時は、S=1−(R・ω)/V にて求める方法。
(応用例8)
各車輪のスリップ率Sと、各車輪が受ける縦荷重Fzと、車体質量Mによる慣性力Mα(inartial force)とを用いて、各車輪の「路面摩擦係数μ」と、「各車輪の駆動力Fx」とを求める方法。
カーブ時において、車両の各車軸ユニットに取付けられた各車輪の横方向の加速度センサの出力αyと、各車輪のスリップ率Sと、各車輪が受ける縦荷重Fzと、車体質量Mによる慣性力Mα(inartial force)とを用いて、各車輪の「路面摩擦係数μ」と、「各車輪の駆動力Fxと各車輪のサイドフォースとの合力Fω」を求める方法。
(応用例10)
車輪の各車軸ユニットに取付けられた各車輪の進行方向の加速度センサと、車輪の回転センサとを使用し、前記回転センサで検出した回転角速度ωと、前記加速度センサで検出した加速度αと、を組み合わせて、各車輪の対地速度Vを、
従動輪を有する車輪の各車軸ユニットに取付けられた各車輪の進行方向の加速度センサと、車輪の回転センサとを使用し、前記回転センサで検出した回転角速度ωと、前記加速度センサで検出した加速度αと、従動輪の実半径と、従動輪の回転数とを組み合わせて、各車輪の対地速度Vと、スリップ率Sとを求める方法。
(応用例12)
応用例1に記載した方法を用いることを特徴とする車両。
応用例2に記載した方法を用いることを特徴とする車両。
(応用例14)
応用例3に記載した方法を用いることを特徴とする車両。
応用例4に記載した方法を用いることを特徴とする車両。
(応用例16)
応用例5に記載した方法を用いることを特徴とする車両。
応用例6に記載した方法を用いることを特徴とする車両。
(応用例18)
応用例7に記載した方法を用いることを特徴とする車両。
応用例8に記載した方法を用いることを特徴とする車両。
(応用例20)
応用例9に記載した方法を用いることを特徴とする車両。
応用例10に記載した方法を用いることを特徴とする車両。
(応用例22)
応用例11に記載した方法を用いることを特徴とする車両。
車輪の進行方向の加速度を測定する加速度センサと、車輪の回転角速度を測定する回転センサとを有することを特徴とする車軸ユニットまたは車軸支持用転がり軸受ユニット。
(応用例24)
応用例23に記載した車軸ユニットまたは車軸支持用転がり軸受ユニットにおいて、加速度センサを、回転ホイールより軸方向内側に配置したことを特徴とする車軸ユニットまたは車軸支持用転がり軸受ユニット。
応用例23に記載した車軸ユニットにおいて、加速度センサを、車輪のリム幅内に配置したことを特徴とする車軸ユニット。
(応用例26)
応用例23に記載した車軸支持用転がり軸受ユニットにおいて、加速度センサを、車輪のリム幅内に配置したことを特徴とする車軸支持用転がり軸受ユニット。
応用例23に記載した車軸ユニットにおいて、加速度センサを、車輪のリム幅の中心(中心線)から、軸方向に150mm以内に配置したことを特徴とする車軸ユニット。
(応用例28)
応用例23に記載した車軸支持用転がり軸受ユニットにおいて、加速度センサを、車輪のリム幅の中心(中心線)から、軸方向に150mm以内に配置したことを特徴とする車軸支持用転がり軸受ユニット。
応用例23に記載した車軸ユニットにおいて、加速度センサが車輪のリム幅の中心(中心線)に対してオフセットして取り付けられた場合の出力を計算で補正することを特徴とする車軸ユニット。
(応用例30)
応用例23に記載した車軸支持用転がり軸受ユニットにおいて、加速度センサが車輪のリム幅の中心線に対してオフセットして取付けられた場合の出力を計算で補正することを特徴とする車軸支持用転がり軸受ユニット。
車両の各車輪の回転速度測定装置又は方法は、車輪の回転速度検出用エンコーダの一回転分の各ピッチ誤差を記憶し、測定時に前記各ピッチ誤差を補正しながら、回転速度または回転角を求めることを特徴とする装置又は方法。
(応用例32)
応用例31において、前記回転速度検出用エンコーダに、少なくとも一つピッチ誤差の異なる基準ピッチを設け、この基準ピッチを基準に、各ピッチ誤差を測定装置に記憶して補正することを特徴とする装置又は方法。
車両の車輪の加速度を検出する加速度センサと、前記車輪の回転数を検出する回転数検出センサとを有し、前記回転数検出センサで検出した前記車輪の回転数と、前記加速度センサで検出した前記車輪の加速度とに基づいて、前記車輪の対地速度を求めることを特徴とする車両制御装置。
(応用例34)
静止部材と、前記静止部材に対して回転自在となっている回転部材と、前記回転部材に取付けられたセンサロータと、前記センサロータに対向するようにして前記静止部材に取付けられ、前記センサロータの回転速度に応じた回転速度信号を出力する回転速度センサと、前記静止部材に取付けられて、車輪ユニットの進行方向の加速度に応じた加速度信号を出力する加速度センサと、を有する車輪ユニットと、車両の制動に応じてトリガー信号を発生するトリガー信号発生装置と、前記トリガー信号の発生時または、その前に検出した前記回転センサからの信号に応じて、前記車輪の周速を車軸の速度として記憶する記憶装置と、前記検出時より、前記加速度センサから出力される加速度信号に基づく加速度を積分し、追加分の車軸速度を求める積分装置と、前記追加分の車軸速度と、新たに検出された車輪の周速とから、スリップ率を演算する演算装置と、得られたスリップ率を基に制動を制御する制動制御装置と、を有することを特徴とする車両。
静止部材と、前記静止部材に対して回転自在となっている回転部材と、前記回転部材に取り付けられたセンサロータと、前記センサロータに対向するようにして前記静止部材に取り付けられ、前記センサロータの回転速度に応じた回転速度信号を出力する回転速度センサと、前記静止部材に取り付けられて、前記車輪ユニットの進行方向の加速度に応じた加速度信号を出力する加速度センサと、を有する車輪ユニットと、車両の制動に応じてトリガー信号を発生するトリガー信号発生装置とを使い、車両の制動に応じてトリガー信号を発生するステップと、前記トリガー信号の発生時又はその前に検出した前記回転速度センサからの信号に応じて、車輪の周速を車軸の速度として記憶するステップと、前記検出時より、前記加速度センサから出力される加速度信号に基づく加速度を積分し、追加分の車軸速度を求めるステップと、前記追加分の車軸速度と、新たに検出された車輪の周速とからスリップ率を演算するステップと、得られたスリップ率を基に制動を制御するステップと、を有することを特徴とする車両の制御方法。
静止部材と、前記静止部材に対して回転自在となっている回転部材と、前記回転部材に取付けられたセンサロータと、前記センサロータに対向するようにして前記静止部材に取付けられ、前記センサロータの回転速度に応じた回転速度信号を出力する回転速度センサと、前記静止部材に取付けられて、車輪の進行方向の加速度に応じた加速度信号を出力する加速度センサと、を有する車輪ユニットであって、前記加速度センサが、前記車輪のリム幅内に配置されていることを特徴とする車輪ユニット。
(応用例37)
静止輪と、回転輪と、前記静止輪と前記回転輪との間に配置された複数個の転動体と、前記回転輪に取付けられたセンサロータと、前記センサロータに対向するようにして前記静止輪に取付けられ、前記センサロータの回転速度に応じた回転速度信号を出力する回転速度センサと、前記静止輪に取付けられて、車輪の進行方向の加速度に応じた加速度信号を出力する加速度センサと、を有する車輪支持用転がり軸受ユニットであって、前記加速度センサが、前記車輪のリム幅内に配置されていることを特徴とする車輪支持用転がり軸受ユニット。
静止部材と、前記静止部材に対して回転自在となっている回転部材と、前記回転部材に取付けられたセンサロータと、前記センサロータに対向するようにして前記静止部材に取付けられ、前記センサロータの回転速度に応じた回転速度信号を出力する回転速度センサと、前記静止部材に取付けられて、車輪の進行方向の加速度に応じた加速度信号を出力する加速度センサと、を有する車輪ユニットであって、前記加速度センサが、前記車輪のリム幅内、又は、前記車輪のリム幅の中心線から軸方向に150mm以内に配置されていることを特徴とする車輪ユニット。
(応用例39)
静止輪と、回転輪と、前記静止輪と前記回転輪との間に配置された複数個の転動体と、前記回転輪に取付けられたセンサロータと、前記センサロータに対向するようにして前記静止輪に取付けられ、前記センサロータの回転速度に応じた回転速度信号を出力する回転速度センサと、前記静止輪に取付けられて、車輪の進行方向の加速度に応じた加速度信号を出力する加速度センサと、を有する車輪支持用転がり軸受ユニットであって、前記加速度センサが、前記車輪のリム幅内、又は、前記車輪のリム幅の中心線から軸方向に150mm以内に配置されていることを特徴とする車輪支持用転がり軸受ユニット。
車両懸架装置のバネ下における車輪ユニットの静止部材と、前記静止部材に対して回転自在となっている回転部材と、前記回転部材に取付けられたセンサロータと、前記センサロータに対向するようにして前記静止部材に取付けられ、前記センサロータの回転速度に応じた回転速度信号を出力する回転速度センサと、前記静止部材に取付けられ、車輪の進行方向の加速度に応じた加速度信号を出力する半導体式の加速度センサと、前記車輪ユニットに取付けられ、前記加速度信号を配線の変形による影響を受けない形に処理して該処理後の信号を車体側の制御器に出力する加速度信号処理装置と、を有することを特徴とする車輪ユニット。
(応用例41)
車輪におけるタイヤに駆動力または制動力が作用していないような車両の予備走行時に、前記車輪の進行方向の予備進行加速度と、前記車輪の予備回転角速度とを検出し、前記予備回転角速度を微分して前記車輪の予備回転角加速度を求め、前記予備回転角加速度と前記予備進行加速度から前記車輪のタイヤ半径を求めた後、さらに前記車両の実走行時に、前記車輪の進行方向の実進行加速度と、前記車輪の実回転角速度とを検出し、前記実回転角速度を微分して前記車輪の実回転角加速度を求め、前記実回転角加速度と前記実進行加速度から、スリップ率をゼロと見なして求められる見かけのタイヤ半径と前記予備走行時の前記タイヤ半径との比率を求めて、前記比率を前記タイヤのスリップ率として得ることを特徴とするスリップ率測定方法。
車輪におけるタイヤに駆動力または制動力が作用していないような車両の予備走行時に、前記車輪の進行方向の予備進行加速度と、前記車輪の予備回転角速度とを検出し、前記予備回転角速度を微分して前記車輪の予備回転角加速度を求め、前記予備進行加速度と前記予備回転角加速度を単位時間あたりで積分して、前記単位時間あたりの予備進行速度及び予備回転角速度の増加量から前記車輪のタイヤ半径を求めた後、さらに前記車両の実走行時に、前記車輪の進行方向の実進行加速度と、前記車輪の実回転角速度とを検出し、前記実回転角速度を微分して前記車輪の実回転角加速度を求め、前記実進行加速度と前記実回転角加速度を単位時間あたりで積分して、前記単位時間あたりの実進行速度及び実回転角速度の増加量からスリップ率をゼロと見なして求められる見かけのタイヤ半径と前記予備走行時の前記タイヤ半径との比率を求めて、前記比率を前記タイヤのスリップ率として得ることを特徴とするスリップ率測定方法。
車輪におけるタイヤに駆動力または制動力が作用していないような車両の予備走行時に、従動輪及び駆動輪のそれぞれの予備回転角速度を検出し、前記従動輪の何れか一つのタイヤ半径及び前記予備回転角速度を基準として、他の車輪との前記予備回転角速度の比から他の車輪のタイヤ半径を求めた後、さらに前記車両の実走行時に、少なくとも前記駆動輪の進行方向の実進行加速度及び実回転角速度を検出し、前記タイヤ半径及び前記実回転角速度から求められる少なくとも前記駆動輪の実進行速度を求め、前記実進行加速度から車両の挙動変化を検出してトリガー信号を発生させ、前記トリガー信号の発生時から少なくとも前記駆動輪の前記実進行加速度を積分して前記実進行速度に加算することで、挙動変化した非定常時の少なくとも前記駆動輪の非定常進行速度を求め、前記実回転角速度と前記非定常進行速度から、スリップ率をゼロと見なして求められる見かけのタイヤ半径と前記予備走行時の前記タイヤ半径との比率を求めて、前記比率を前記タイヤのスリップ率として得ることを特徴とするスリップ率測定方法。
応用例41〜応用例43のいずれか一項に記載したスリップ率測定方法を用いて得られた前記スリップ率の単位時間あたりのスリップ変化率を算出し、前記スリップ変化率が所望の値以下となるように車両の制動を制御することを特徴とする車両の制御方法。
(応用例45)
応用例41〜応用例43のいずれか一項に記載したスリップ率測定方法、または応用例44に記載した車両の制御方法を用いるために車輪に設けられた加速度センサと回転速度センサとを有することを特徴とするスリップセンサ。
応用例45に記載のスリップセンサを備えていることを特徴とするスリップセンサベアリング。
(応用例47)
応用例41〜応用例43のいずれか一項に記載のスリップ率測定方法、または請求項44に記載した車両の制御方法を用い、自動車の走行状態を制御することを特徴とするスリップコントロールシステム。
(応用例48)
応用例33に記載の車両制御装置に用いる前記加速度センサと前記回転数検出センサとを取り付けていることを特徴とする車輪支持用転がり軸受ユニット。
車両の車体に取付けられた車体の進行方向の加速度センサと、車輪の回転センサと、を使い、前記回転センサで検出した回転角速度ωと、前記加速度センサで検出した加速度αと、を組み合わせて、車体の対地速度Vを、V=(α/ω´)・ω にて求める方法。
(応用例50)
応用例49において、前記加速度は、加速度により発生する力を利用して測定する加速度センサの場合は、その出力αaと路面勾配角度βと、重力加速度gとを用いて、真の加速度αを、 α=αa+gsinβ にて求めたものである方法。
応用例49または応用例50において、α/ω´が、ほぼ一定の時に、Vを求める方法。
(応用例52)
応用例49または応用例50において、α/ω´が、ほぼ一定の時には、V=(α/ω´)・ωにて車体の対地速度Vを求め、α/ω´が、ほぼ一定ではなくなった時からは、
(応用例53)
応用例52において、各車輪の実半径Rを、ニュートラル状態の時、即ち、真の加速度αと、重力加速度gと、路面勾配角度βとが、α=−gsinβ の関係になった時に前記Rを求める方法。
車輪の車体に取付けられた車体の進行方向の加速度センサと、車輪の回転センサとを使用し、前記回転センサで検出した回転角速度ωと、前記加速度センサで検出した加速度αと、を組み合わせて、車体の対地速度Vを、
(応用例55)
従動輪を有する車輪の車体に取付けられた車体の進行方向の加速度センサと、車輪の回転センサとを使用し、前記回転センサで検出した回転角速度ωと、前記加速度センサで検出した加速度αと、従動輪の実半径と、従動輪の回転数とを組み合わせて、車体の対地速度Vと、各車輪のスリップ率Sとを求める方法。
(1)本内容の変数名は、前記車輪速度Vwがタイヤ周速度Vθ、前記スリップ率λがスリップ率S、前記基準車輪速度VTが対地速度Vのことである。
(2)本内容の符号は、本内容のみに有効である。
図33及び図34に示すように、回転数検出手段を構成する回転速度検出センサユニット5内に、加速度センサ51(Z(例えば鉛直)方向の加速度を検出)と、加速度センサ52(Y(例えば水平前後)方向の加速度を検出)と、図34に示すように、加速度センサ53(X(例えば水平左右)方向の加速度を検出)と、をそれぞれ軸線が交差するようにして設けている。加速度センサ51〜53は、それぞれ制御器50に接続されている。尚、加速度センサは、軸線に沿った加速度の大きさに対応する電気信号を出力できるものであり、例えば圧電素子を用いたものであって良く、その構成については良く知られているので、以下に詳細は記載しない。
図35に示すように、ステップS201で、制御器50は、車両の制動に応じて出力される信号をリアルタイムで受信し、ステップS202で、いずれの出力信号が閾値(実験等により予め定められ記憶された値)を超えたか否か監視する。例えば本実施の形態の車輪支持用軸受ユニットを搭載した車両において、ブレーキ装置Bを作動させたような場合、Y方向の加速度を検出する加速度センサ53からの出力信号が閾値を超えるので、制御器50は、制動する車両に所定の姿勢変化が生じたと判断して、ステップS203でトリガー信号を発生する。
λ=(VB−VW)/VB
スリップ率λが0.1〜0.3となるようにブレーキ装置Bを動作させれば、制動距離を短く抑えることができる。
λT=(VT−VW)/VT
(1)内容の変数名は、前記車輪回転速度Vwがタイヤ周速度Vθ、前記車輪速度Vt(VT)が対地速度V、前記車軸加速度Atがx方向加速度αx、前記スリップ率λがスリップ率S、前記車軸回転加速度Awが車軸角加速度ω´のことである。
(2)本内容の符号は、本内容のみに有効である。
車輪回転速度から求まる現在の周速Vωとを用いて、演算装置60dが、以下の式でスリップ率λを計算する(ステップS106)。
λ=(Vt−Vω)/Vt
λT=(VT−VW)/VT)
(1)内容の変数名は、前記角加速度Aθが車軸角加速度ω´、前記加速度aが加速度α、前記傾斜角度θが路面勾配β、前記進行加速度Atが加速度αx、前記加速度Vθが車軸角加速度ω、前記車輪半径Rが仮想半径rのことである。
(2)本内容の符号は、本内容のみに有効である。
Aθ=(2つの加速度の差:a−(−a))/d
=2a
この場合、軸線方向平行移動と、傾動(紙面に垂直な軸周り)とを区別できる。角加速度Aθを積分して角速度Vθを得ることができ、角速度Vθを積分すれば、傾斜角度θが求まる。重力加速度gの傾き補正分は、g・sinθとなる。
λT=(VT−Vc)/VT
R=ΔVt/ΔVθ
すなわち、車軸の進行加速度Atと車輪回転速度増加分ΔVθとを用いて、車輪半径Rを求めることができる。
R=At/Aθ
R=ΔVt/ΔLθ
すなわち、車軸の進行加速度Atと車輪回転角増加分ΔLθとを用いて、車輪半径Rを求めることができる。
Vt=RVθ
Lt=RLθ
λd=1−(Vc/Vt)
(1)内容の変数名は、前記進行加速度Axが加速度αx、前記周加速度Acが車輪角加速度ω´、前記周速度Vcが車輪角速度ω、前記スリップ率λ(λd)がスリップ率S、速度Vxが対地速度Vのことである。
(2)本内容の符号は、本内容のみに有効である。
即ち、各加速度センサ61〜63は、車輪支持用転がり軸受ユニットに付いていれば何処でも良いわけではない。直線走行時ではそれで良いが、旋回時には場合によって、スリップ率の検出の誤差が生じる。
尚、前記各加速度センサ61〜63は、軸線に沿った加速度の大きさに対応する電気信号を出力できるものであり、例えば圧電素子を用いたものであって良く、その構成については良く知られているので、以下に詳細は記載しない。
λd=1−(Vc/Vx)
カバー部材104には、センサロータ129bの開口に対向するようにして、回転速度センサ127aが取り付けられている。又、カバー部材104には、加速度センサ163が取り付けられている。車輪30の回転速度を検出しそれに応じた信号を出力する回転速度センサ127aと、車輪30の進行方向加速度を検出しそれに応じた信号を出力する加速度センサ163とは、不図示の制御器60に接続されている。
更に、前記加速度センサ163は、車輪30におけるホイールリム32のリム幅W内に配置されている。
本第9実施形態の車輪支持用転がり軸受ユニットを用いることで、不図示の制御器60にて、図49に示した制御動作が実行される。
図51のステップS201で、制御器60は、車両の制動に応じて出力される信号をリアルタイムで受信し、ステップS202で、いずれの出力信号が閥値(実験等により予め定められ記憶された値)を超えたか否か監視する。例えば上記各実施形態の車輪支持用転がり軸受ユニットを搭載した車両において、ブレーキ装置Bを作動させたような場合、車輪30の進行方向加速度を検出する加速度センサ62(163)からの出力信号が閥値を超えるので、制御器60は、制動する車両に所定の姿勢変化が生じたと判断して、ステップS203でトリガー信号を発生する。
このようにして、各車輪毎に制動制御することで、ABSやTCSの制御をより高精度に行うことができる。以上のスリップ率の演算は、ステップS207で、車両制動制御が不要と判断される(たとえば減速の場合、車両速度がゼロとなる)まで実行される。その後、ステップS208で、内蔵メモリに記憶された基準速度はリセットされる。
転がり軸受ユニット100の外輪1は、ナックル部材103と共に静止部材を構成しており、不図示の車体に対して取り付けられた不図示の懸架装置を支持するナックル部材103の内周面に嵌合されている。
前記回転速度センサ129bは、転がり軸受ユニット100のハブ2に嵌合する内輪2A側(ハブ2と内輪2Aとで回転部材を構成)に取り付けられたセンサロータ127Aに対向し、ハブ2すなわち車輪30の回転数を検出するようになっている。
即ち、本第10実施形態のナックル部材103及び車輪ユニット110を用いることで、図49又は図51に示した車両の制御方法を実行できる。
本第11実施形態において、図47に示した第8実施形態に対して異なる部分を主として説明し、同様な構成に関しては同じ符号を付すことで説明を省略する。
外輪1の図53中右端には、カバー部材204が取り付けられている。又、ハブ2と一体的に回転する内輪2Aの図中右端には、周方向に等間隔に開口を設けた円筒状のセンサロータ129bが取り付けられている。
車輪30の回転速度を検出しそれに応じた回転速度信号を出力する回転速度センサ127aと、車輪の進行方向加速度を検出しそれに応じた加速度信号を出力する加速度センサ163は、不図示の制御器60に接続されている。又、加速度センサ163は、車輪30におけるホイールリム32のリム幅W内に配置されている。
例えば、二輪駆動の場合は、車両の直進時において、従動輪の周速度Vcfを車体速度Vdとし、この車体速度Vdと駆動輪の周速度Vcdから駆動輪のスリップ率λdを求めることで、常時リアルタイムで駆動輪のスリップ率を測定することができ、これにより、ドライブ時にも、理想スリップ率を超えないように、スロットルバルブを閉じたり、デファレンシャル制御を行ってトラクションコントロールすることができる。
本内容の符号は、本内容のみに有効である。
本発明の第12実施形態に係る車輪支持用転がり軸受ユニットでは、図54に示したように、各加速度センサ61〜63を車輪30におけるホイールリム32のリム幅W内に配置しており、第2本実施形態では、図55に示したように、各加速度センサ61〜63を車輪30におけるホイールリム32のリム幅の中心線Oから軸方向に沿って車体側(図55中、右側)に150mm以内(プラスオフセット量150mm以内)に配置している。
即ち、各加速度センサ61〜63は、車輪支持用転がり軸受ユニットに付いていれば何処でも良いわけではない。直線走行時ではそれで良いが、旋回時には場合によって、スリップ率の検出の誤差が生じる。
下記表1は、車輪30のリム幅(200mm)の中心線Oから軸方向沿ったオフセット量を変えて加速度センサを取付けた場合の旋回時のスリップ率の誤差の比較を示す。尚、表1中、◎が最も誤差が少なく、○が◎に次いで誤差が少なく、△が○に次いで誤差が少ない場合でスリップ率の誤差が許容範囲であり、×はステップ率の誤差が許容範囲外となったものである。
第14実施形態の車輪支持用転がり軸受ユニットを用いることで、不図示の制御器60にて、図57に示した制御動作が実行される。
即ち、本第5及び第6実施形態のナックル部材103及び車輪ユニット110を用いることで、車両の制御方法を実行できる。
本内容の符号は、本内容のみに有効である。
図59は本発明の第17実施形態に係る車輪支持用転がり軸受ユニットの断面図であり、図60は図59中の矢印IIIで示す部位の拡大図である。
本第17実施形態において、同様な構成に関しては同じ符号を付すことで説明を省略す
る。
しかしながら、車体側の制御器60から加速度センサ61〜63が取り付けられている懸架装置のバネ下の車輪ユニットまで配線を延ばすと、車の揺れや旋回時に前記配線が常時動くことによる静電容量や配線抵抗の変化ノイズ等の影響(歪み、ノイズ等)を受け、各加速度センサ61〜63から車体側の制御器60に出力される加速度信号が変位してしまう。
本第17実施形態の車輪ユニットを用いることで、制御器60にて、車両の制御方法を実行できる。
更に、前記加速度信号処理装置61A〜63Aの処理用の電源は、車体側から供給を受けても良いし、車輪回転による発電で賄っても良い。
本第18実施形態においては、図60に示した第17実施形態に対して異なる部分を主として説明し、同様な構成に関しては同符号を付すことで説明を省略する。
図61において、転がり軸受ユニット100のハブ2の図中左方には、制動ユニットの一部を構成するディスクロータ35を挟んで、スタッド22を介して車輪30のホイールディスク部31が取り付けられ、ホイールナット101を用いて締結されている。
転がり軸受ユニット100の外輪1は、ナックル部材103と共に静止部材を構成しており、不図示の車体に対して取り付けられた不図示の懸架装置のバネ下を構成するナックル部材103の内周面に嵌合されている。
前記回転速度センサ127aは、転がり軸受ユニット100のハブ2に嵌合する内輪2A側(ハブ2と内輪2Aとで回転部材を構成)に取り付けられたセンサロータ129bに対向し、ハブ2すなわち車輪30の回転数を検出するようになっている。
本第18実施形態の車輪ユニット110を用いることでも、車両の制御方法を実行できる。
更に、前記加速度信号処理装置163Aの処理用の電源は、車体側から供給を受けても良いし、車輪回転による発電で賄っても良い。
即ち、ピエゾ素子や圧電素子を利用した加速度センサ、静電容量型の加速度センサ等のように、高精度な半導体式の加速度センサを常時動いている車両懸架装置のバネ下における車輪ユニットの静止部材に取り付けているにも関わらず、車体側の制御器に出力される信号は、車の揺れや旋回時の配線の動き(振れ)による静電容量や配線抵抗の変化ノイズ等の影響(歪み、ノイズ等)を受けることが無く、正確に各車輪の進行方向の加速度を検出することができる。
[優先日2003年2月3日を主張する内容]
(1)内容の変数名は、前記進行速度Vxが対地速度V、前記タイヤ半径Rがタイヤ実半径R、前記タイヤ半径rが仮想半径r、前記回転角速度Vθが車輪角速度ω、前記進行加速度Axが加速度αx、前記回転角加速度Aθが車輪角加速度ω´、前記スリップ率λがスリップ率Sのことである。
(2)本内容の符号は、本内容のみに有効である。
まず、スリップ率を測定する方法について説明する。
車輪のタイヤが路面をしっかりグリップして回転している時には、タイヤの表面と路面との間には、クリープが発生している。そのため、実スリップが発生していないときでも、タイヤの回転による周速度は、駆動時には、車体の進行速度より見かけ上速めに見え、制動時には、車体の進行速度より見かけ上遅めに見える。その速度差は、即ちクリープに起因するものである。
通常、この速度差がおよそ±20%の範囲以内であれば、タイヤは路面をグリップしている状態にある。つまり、スリップ率が、実質クリープ率のみからなる0.2前後までの値であるときに、駆動力や制動力がタイヤから路面に伝わってグリップが得られるが、これを超えると実スリップが発生して、車両の安定した制御を行うことが困難となる。
まず、クリープ及び実スリップが発生していない、スリップ率が実質的にほぼゼロである状態において、各車輪のタイヤ半径を求める。つまり、車輪におけるタイヤに駆動力または制動力が作用していないような車両の予備走行時に、「車輪の進行速度Vxは、タイヤ半径Rに、タイヤの回転角速度Vθを掛けて求まる。」という基本式、即ち下記の式(246)と、この式(246)を微分した、「車輪の進行加速度Axは、タイヤ半径Rに、タイヤの回転角加速度Aθを掛けて求まる。」という式(247)を用いて、タイヤ半径Rを求める。
ここで、車両の予備走行とは、例えば路面の傾斜が−4度から+2度である平地で、4km/h以下の低速度で、0.05G以下の低加速度であるような走行状態が好ましい。
更に、式(246)にタイヤ半径Rと予備回転角速度Vθを代入して、正確な予備進行速度Vxを求めることができる。
上述したように、実走行時にはタイヤの回転による周速度と車体の進行速度との間に速度差が発生するが、この速度差をゼロ(即ちスリップ率がゼロ)と置き換えて、タイヤ半径が変化しているものと見なすと、上述した式(246)及び(247)におけるタイヤ半径Rを見かけのタイヤ半径rとした下記の式(248)及び(249)を用いて、見かけのタイヤ半径rを求めることができる。
更に、式(248)にタイヤ半径rと実回転角速度Vθを代入して、正確な実進行速度Vxを求めることができる。
まず、上記の式(246)及び式(247)を用い、さらに式(247)を単位時間Δあたりで積分した下記の式(251)を用いて、車両の予備走行時のタイヤ半径Rを求める。
更に、式(246)にタイヤ半径Rと予備回転角速度Vθを代入して、正確な予備進行速度Vxを求めることができる。
この積分法において、見かけのタイヤ半径rは、上記の式(248)及び式(249)と、式(249)を単位時間Δあたりで積分した下記の式(251)を用いて求める。
更に、式(248)にタイヤ半径rと実回転角速度Vθを代入して、正確な実進行速度Vxを求めることができる。
この合成法は、車両が従動輪を有する場合に好適に用いられるものである。ここでは、2つの従動輪と2つの駆動輪とを有する車両を用いる場合について説明する。
従動輪の一方をi、従動輪の他方をii、駆動輪の一方をiii、駆動輪の他方をivとおくと、予備走行時の各車輪の予備進行速度Vxは、上記の式(245)から、下記の式(253)のように表される。
実走行時の各車輪の実進行速度Vxi,Vxii,Vxiii,Vxiv,は、上記の式(248)を用いて、下記の式(255)のように表される。なお、各車輪の回転角速度Vθi,Vθii,Vθiii,Vθiv,は、各車輪に設けられた回転センサにより検出することができる。
従動輪に関しては、式(256)が成り立つため、式(255)から旋回時の実進行速度が求められる。
駆動輪に関しては、下記の式(258)に示すように、旋回開始時から実進行加速度Axiii,Axivを積分し、旋回開始直前の直進時の実進行速度(Vxiと等しい)に加算して、旋回時の実進行速度(非定常進行速度)Vxiii,Vxivを算出する。
また、各車輪が車体と弾性的に繋がっていることを考慮すると、車両の直進時においても、各車輪の進行加速度にずれが生じた場合には、旋回時と同様の処理を行うと良い。
クリープ率が最大となるスリップ率(限界スリップ率と呼ぶ)は、一般には0.2(20%)程度である。但し、この値は路面との接触状況により変化するものであり、必ずしも20%とは限らない。また、クリープ率が大きいということは、それだけ車輪と路面とのグリップ力が働いている状態であるため、できるだけクリープ率の大きい状態でブレーキをかけることが、大きな制動力を得ることになる。そこで、クリープを超えて実スリップが発生しそうな場合でも、スリップ率が常にクリープ率の最大値以下でかつ最大値に近い値となるようにブレーキ力を制御して、実スリップの発生を防止するとともに最大限の制動力を得ることができる。
これにより、どんな路面でも、最短の制動距離で停止することができる。
同様に、横滑り防止においても、限界スリップ率で、ブレーキ制御をすれば、横滑りを最小限に抑えることができる。
路面反力Fxは車軸にかかる進行方向の力であり、スリップ率λに比例し、おおよそ次の式(259)のようになります。
この式(259)により、各車輪について、路面摩擦係数μや路面にかかる垂直荷重が同じ状況ならば、各車輪の路面反力Fxの程度がスリップ率から推定できる。
その場合、更に各路面反力Fxに各タイヤ半径をかければ、各車輪の駆動トルクの程度が推定できる。
上述した車両の制御方法は、車輪ごとにスリップを防止することができ、車輪自体が実際にスリップしない状態に維持することができるため、カーブや滑りやすい路面で、車体のスライド振れやホィール・スピンを防ぐというスタビリティコントロールに対しても有効となる。
例えば、車体の上にG(加速度)センサを設け、横G(加速度)と、傾き角と、旋回角を求め、それらが異常状態になったら、エンジンスロットルを閉じたり(開けたり)、各車輪それぞれに必要なブレーキをかけたり(緩めたり)、クラッチを切断したり(接続)したり、アクティブサスペンションを調節したりして姿勢制御する。その際、車軸ごとの加速度センサと回転センサから測定されるスリップ率が限界スリップ率(実際にスリップするところ)から出ないようにスロットル、ブレーキ、クラッチのコントロールを行うという応用ができる。
限界スリップ率の手前では、スリップ率はほぼ路面反力に比例しているのでスリップ率の余裕量に合わせて、動力(駆動トルク)を制御することができる。これによって、タイヤの実スリップは基本的にはなくすことができるため、異常な車体ブレは抑えることができるようになる。またスリップ率の余裕量がわかり、事前に最適な動力制御ができる。
例えば、車軸に縦振動を測る振動センサを併置して、車輪の回転速度との対比で、振動の波形(幅と高さ)を見て、タイヤのトレース(軌跡)距離を推定し、このトレース速度とタイヤの周速からスリップ率を求めて、限界スリップ率の範囲内で、ブレーキ制御、エンジンスロットル制御、スピード制御等を行い、異常走行状態を防ぐことができる。
また、ここで用いる加速度センサは、一般の振動を測定するための振動センサとは異なり、自動車の速度を求めるために1000Hz以下または100Hz以下の周波数からほぼ振動のない定常加速時の周波数までの加速度を測ることのできるセンサである。
(1) フェライト粉末ボンディングしたゴム磁石である。
(2) 磁性版に焼付けられている。
(3) 焼付け時に垂直磁界の中で等方性にして成型されている。
(4) 成型後垂直にNSNSと交番着磁されている。
(5) 少なくとも1つ、基準ピッチを有している(これを基準に校正ピッチを校正する
)。
(6) 校正ピッチを複数個有している。
(7) 各校正ピッチの誤差は中央値からの誤差をピッチの2%以下となっている。
(8) 基準ピッチは校正ピッチの中央値よりピッチの5%以上中央値よりずれている。
以上のように作られたものを回転させ基準値からの時間のずれを元に、各校正ピッチの誤差を読取り、その誤差を記憶しておいて、エンコーダ使用時にその分補正して使用する。
図62から図66に示した例は、何れも内輪回転ハブ型の軸受ユニットの外輪側に複合センサ130を取付けたものであり、複合センサ130に対向する内輪2A側の箇所にはセンサロータ129bが設けられている。
また、図67及び図68に示した例は、何れも外輪回転ハブ型の軸受ユニットの外輪の外方に複合センサ130を取付けたものであり、複合センサ130に対向する外輪側の箇所にはセンサロータ129bが設けられている。
この複合センサ130は、加速度センサ内蔵回転センサであり、外付けセンサユニットである。これは、アクティブ回転センサと加速度センサを1パッケージ化したもので、回転センサ用のホール素子131及びGMR素子と加速度センサ132との間を磁性板133により磁気シールドし、加速度センサ部のカバー134を磁性材として電磁ノイズをシールドし、加速度センサ132をノイズから守り、信号処理を行う。信号処理は、5V,12V,24V等の電源線2本+加速度信号線1本+回転パルス信号線1本又は電源線2本+加速度と回転パルスをミックスした信号線1本からなるケーブル135(例えばUSB規格)を介して行うと良い。加速度信号線と回転パルス信号線とが別の信号線で構成される場合には、車軸側では、回転パルス信号は従来のままで、加速度出力をアナログ信号化又はデジタル信号化し、独立した線で車体側に送る方式を用いる。このような複合センサ130は、軸受の外に取付けられる。また、外付けセンサでは、ホール素子131は磁気を検出するために非磁性のSUSカバー136で覆う。また、BRG内蔵型の場合も同様のシールドを行う。なお、複合センサ130は、ホール素子131と隣接した位置にマグネット137を備え、さらに、磁性板133と加速度センサ132との間には信号処理回路138が設けられ、その他には、ブッシュ139や磁性ケース140が設けられている。なお、マグネット137を備えていないタイプの複合センサを用いることもできる。
即ち、ピエゾ素子や圧電素子を利用した加速度センサ、静電容量型の加速度センサ等のように、高精度な半導体式の加速度センサを常時動いている車両懸架装置のバネ下における車輪ユニットの静止部材に取付けているにも関わらず、車体側の制御器に出力される信号は、車の揺れや旋回時の配線の動き(振れ)による静電容量や配線抵抗の変化ノイズ等の影響(歪み、ノイズ等)を受けることが無く、正確に各車輪の進行方向の加速度を検出することができる。
さらに、加速度信号処理装置の処理用の電源は、車体側から供給を受けても良いし、車輪の回転による発電で賄っても良い。
進行方向の力Fx(=1/λm・μ・Fz・λ)は(但し限界スリップ率λm=0.15、タイヤにかかる垂直荷重:Fz)、実スリップの手前(例えばλ>0.1)までは、ほぼスリップ率に比例することから、スリップ率から、路面抵抗力の程度が判る。
従って、路面抵抗力の程度を参照して駆動制動制御をすることができる。
また、Fx=(Fz/g)Axの式から(但しgは重力加速度)、Fxを求めてもよい。
路面固有値としての摩擦係数は、実スリップの手前のほぼ直線性の範囲(例えばλ<0.1)で求めたものを記憶しておいて、λ>0.1ではその前のμを使う。
路面とタイヤとの相関としての摩擦係数は、加速度とスリップ率の比(0.15/g)・(Ax/λ)そのもので路面摩擦係数μを求められる。
但し、上記Fxの式は非駆動時のブレーキ時に成り立つものである。
これにより、FziもFz1もμも求まるので、FxはWの比率として求められる。
旋回角がついているか、左右の車軸に進行速度差が出た時は、旋回中であって遠心力が働いている。この遠心加速度を計算で求め、各タイヤへの横方向分担を求めて、それが摩擦係数を考慮して大きくなったらスピードを落とすと良い。
更に、これらのスリップ率及び進行速度を、車両の如何なる運転状態においてもシームレス(継ぎ目無し)に測定することができ、安定した車両の走行状態を維持することができる。
Claims (17)
- 車両の各車軸ユニットに取付けられた、各車輪の進行方向の加速度センサと、車輪の回転センサとを使い、車輪の走行状態を測定する方法。
- 車両の各車軸ユニットに取付けられた、各車輪の進行方向の加速度センサと、各車輪の横方向の加速度センサと、車輪の回転センサとを使い、車輪の走行状態を測定する方法。
- 車両の駆動輪を有する各車軸ユニットに取付けられた、各車輪の進行方向の加速度センサと、車輪の回転センサとを使い、車輪の走行状態を測定する方法。
- 前記請求項1記載の方法を用いた車両。
- 前記請求項2記載の方法を用いた車両。
- 前記請求項3記載の方法を用いた車両。
- 車輪の進行方向の加速度を測定する加速度センサと、車輪の回転角速度を測定する回転センサとを有する車軸ユニット、又は車輪支持用転がり軸受ユニット。
- 車両の各車軸ユニットに取付けられた、各車輪の加速度センサと、車輪の回転センサとを使う車両制御装置。
- 前記請求項8の加速度センサと、回転センサを有する車輪支持用転がり軸受ユニット。
- 静止部材と、前記静止部材に対して回転自在となっている回転部材と、前記回転部材に取付けられたセンサロータと、前記センサロータに対向するようにして前記静止部材に取付けられ、前記センサロータの回転速度に応じた回転速度信号を出力する回転センサと、前記静止部材に取付けられて、前記車輪ユニットの進行方向の加速度に応じた加速度信号を出力する加速度センサと、を有する車輪ユニット。
- 静止部材と、前記静止部材に対して回転自在となっている回転部材と、前記回転部材に取付けられたセンサロータと、前記センサロータに対向するようにして前記静止部材に取付けられ、前記センサロータの回転速度に応じた回転速度信号を出力する回転速度センサと、前記静止部材に取付けられて、車輪の進行方向の加速度に応じた加速度信号を出力する加速度センサと、を有する車輪ユニット。
- 回転輪と、静止輪と、前記静止輪と前記回転輪との間に配置された複数個の転動体と、前記回転輪に取付けられたセンサロータと、前記センサロータに対向するようにして前記静止輪に取付けられ、前記センサロータの回転速度に応じた回転速度信号を出力する回転速度センサと、前記静止輪に取付けられて、車輪の進行方向の加速度に応じた加速度信号を出力する加速度センサと、を有する車輪支持用転がり軸受ユニット。
- 車両懸架装置のバネ下における車輪ユニットの静止部材と、前記静止部材に対して回転自在となっている回転部材と、前記回転部材に取付けられたセンサロータと、前記センサロータに対向するようにして前記静止部材に取付けられ、前記センサロータの回転速度に応じた回転速度信号を出力する回転速度センサと、前記静止部材に取付けられ、車輪の進行方向の加速度に応じた加速度信号を出力する半導体式の加速度センサと、を有する車輪ユニット。
- 車両の各車軸ユニットに取付けられた、各車輪の進行方向の加速度センサと、車輪の回転センサとを使う車両の制御方法。
- 前記請求項1に記載の測定方法、または前記請求項14に記載の車両の制御方法を用いるために車輪に設けられた加速度センサと回転速度センサとを有することを特徴とするセンサ。
- 前記請求項15に記載のセンサを備えていることを特徴とするベアリング。
- 前記請求項1に記載の測定方法、または前記請求項14に記載の車両の制御方法を用い、自動車の走行状態を制御することを特徴とするコントロールシステム。
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