JP2006506071A - 抗原pipaおよびそれに結合する抗体 - Google Patents

抗原pipaおよびそれに結合する抗体 Download PDF

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Abstract

本明細書中には、疾患および癌に関連する抗原PIPAの同定および特長づけに関する開示が提供される。本発明はまた、抗原PIPAに結合するモノクローナル抗体のファミリー、ならびに、PIPAを発現する様々なヒト癌および疾患を診断および処置する方法を提供する。本発明は、病変細胞および/または癌性細胞との反応性を有するモノクローナル抗体(抗PIPA)を作製する方法を提供する。本発明は、PIPが優先的に結合するエピトープと同じPIPA上のエピトープに優先的に結合する調節因子、抗体またはポリペプチド(これは抗体であってもよく、または抗体でなくてもよい)である。

Description

(技術分野)
本発明は生物学および免疫治療の分野においてである。より具体的には、本発明は、疾患および癌に関連する新規な抗原PIPA、ならびに、PIPAに結合するポリクローナル抗体、モノクローナル抗体および他のポリペプチドに関する。本発明はさらに、抗PIPA抗体を含めて、PIPAに結合するアンタゴニスト、調節因子およびペプチドを使用して、PIPAに関連する様々なヒト疾患および癌を診断および/または処置するための方法を提供する。
(発明の背景)
診断におけるそれらの知られている使用に加えて、様々な抗体が治療剤として有用であることが示されている。例えば、免疫治療、すなわち、治療目的のための抗体の使用が、疾患および癌を処置するために近年では使用されてきている。免疫治療は受動的または能動的であり得る。
受動的な免疫治療は癌の処置において様々なモノクローナル抗体の使用を伴う。例えば、Cancer:Principles and Practice of Oncology(第6版(2001)、第20章、495頁〜508頁)を参照のこと。これらの抗体は、病変細胞または腫瘍細胞の成長または生存の直接的な阻害と、身体の免疫系の自然の細胞殺傷活性を強化するそれらの能力との両方による固有の治療的な生物学的活性を有し得る。これらの薬剤は単独で投与され得るか、または、放射線もしくは化学療法剤との併用で投与され得る。リツキシマブおよびトラツズマブは、非ホジキンリンパ腫および乳癌の処置のためにそれぞれ承認されており、そのような治療剤の2つの例である。あるいは、抗体は、抗体が毒性の薬剤に連結され、腫瘍に特異的に結合することによってその薬剤を腫瘍に導く抗体コンジュゲートを作製するために使用することができる。ゲムツズマブオゾガマイシンは、白血病の処置のために使用される承認された抗体コンジュゲートの一例である。癌細胞に結合し、診断および治療のための潜在的用途を有するモノクローナル抗体が様々な刊行物において開示されている。例えば、とりわけ、標的タンパク質のいくつかの分子量を開示する下記の特許出願明細書を参照のこと:米国特許第6,054,561号(200KDのc−erbB−2(Her2)、および、サイズが40KD〜200KDの同定されていない他の抗原)および米国特許第5,656,444号(50KDおよび55KD、腫瘍胎児性抗原)。充実性腫瘍の臨床試験および/または承認された処置における抗体の例には、トラツズマブ(抗原:180kD、HER2/neu)、エドレコロマブ(抗原:40kD〜50kD、Ep−CAM)、抗ヒト乳脂肪小球体(HMFG1)(200kDを超える抗原、HWMムチン)、セツキシマブ(抗原:150kDおよび170kD、EGF受容体)、アレムツズマブ(抗原:21kD〜28kD、CD52)およびリツキシマブ(抗原:35kD、CD20)が含まれる。
乳癌を処置するために使用されているトラツズマブの抗原標的(Her−2受容体)、および、数種の癌の処置のための臨床試験にあるセツキシマブの抗原標的(EGF受容体)は、皮膚、結腸、肺、卵巣、肝臓および膵臓を含む非常に多数の正常な成人組織においてある程度の検出可能なレベルで存在する。これらの治療剤を使用する際の安全域は、おそらくは、これらの部位における発現レベルの違いによって、または、これらの部位における抗体の利用もしくは活性の違いによってもたらされる。
別のタイプの免疫治療は、特定の病原体、病変細胞または癌において存在する抗原、あるいは、そのような抗原の発現を行わせるDNA構築物を用いた能動的な免疫治療またはワクチン接種であり、このような能動的な免疫治療またはワクチン接種は、その後、個体における免疫応答を誘発させて、すなわち、自身の疾患、病原体または癌に対する抗体を能動的に産生させるように個体を誘導する。能動的な免疫化は、受動的な免疫治療または免疫毒素ほど多用されていない。
(癌を含む)疾患の進行モデルがいくつか提案されている。理論は、単一の感染/形質転換事象による因果関係から、完全な病原性能力または悪性能力を有する細胞タイプに最終的には至る、徐々に進む「疾患様」組織タイプまたは「癌様」組織タイプの進化にまで及ぶ。一部の理論では、例えば、癌に関して、1つだけの変異事象が、悪性腫瘍を引き起こすために十分であると議論され、その一方で、他の理論では、その後の変化もまた必要であると議論されている。いくつかの他の理論では、増大する変異的負荷および腫瘍悪性度が、細胞レベルでの連続した変異−選択の事象を介して腫瘍形成の開始および進行の両方のために必要であることが示唆されている。一部の癌標的は腫瘍組織においてだけ見出され、その一方で、別の癌標的は正常な組織に存在し、腫瘍組織においてアップレギュレーションされ、かつ/または過剰発現している。そのような状況において、一部の研究者は、過剰発現が悪性の獲得に関係づけられることを提案し、その一方で、他の研究者は、過剰発現は、増大する疾患状態への経路に沿った傾向のマーカーにすぎないことを提案している。
診断および/または治療の理想的な抗体は、非常に多数の病変細胞または癌において存在し、しかし、正常な組織のいずれにおいても存在しないか、または低いレベルでのみ存在する抗原に対して特異的である。疾患(1つまたは複数)または癌(1つまたは複数)に特異的に関連する新規な抗原の発見、特長づけおよび単離は多くの点で有用である。第1に、そのような抗原は、その抗原に対するモノクローナル抗体を作製するために使用することができる。抗体は理想的には、病変細胞または癌細胞に対する生物学的活性を有し、異物抗原に対する免疫系の応答を強化することができる。抗体は、治療剤として単独で、または現行の処置との組合せで投与することができ、あるいは、毒性の薬剤に連結された免疫コンジュゲートを調製するために使用することができる。同じ特異性を有するが、単独で投与されたときには生物学的活性をほとんど有しない抗体もまた、抗体が、放射性同位体、毒素、または化学療法剤、または化学療法剤を含有するリポソームとの免疫コンンジュゲートを調製するために使用されるという点で有用である(この場合、複合化された形態は、抗体が毒素を抗原含有細胞に導くことによって生物学的に活性である)。
診断および/または治療の理想的な抗体のために望ましい1つの局面は、様々な癌に関連する抗原の発見および特長づけである。非癌性細胞において限られた発現を有する、多数の癌タイプにおいて発現する抗原(例えば、「汎癌」抗原)はほとんどない。そのような抗原の単離および精製は、その抗原を標的化する抗体(例えば、診断的または治療的な抗体)を作製するために有用である。「汎癌」抗原に結合する抗体は、1つだけの特定の癌タイプに関連する抗原に対する抗体とは対照的に、異なる組織において見出される様々な癌を標的化することが可能であり得る。そのような抗原はまた、薬物発見(例えば、小分子)のために有用であり、また、細胞の調節、成長および分化のさらなる特長づけのために有用である。
必要とされているものは、病変細胞および/または癌細胞の表面における新規な標的で、細胞表面の標的を特異的に認識する抗体および他の薬剤を用いてそのような疾患および/または癌を診断および処置するために使用され得る標的である。病変細胞および/または癌細胞の表面における標的で、正常な組織および細胞では発現が制限されている標的を同定することは、本発明の目的の1つである。PIPAはそのような標的である。新規な化合物を、PIPAのアッセイにおける使用のために、また、免疫原としての使用のために、または抗ヒトPIPA抗体を選択するために提供することは、本発明の別の目的である。
より詳細には下記において記載されるように、本発明者らは、本明細書中に提供される新規なアンタゴニスト、調節因子および抗体の抗原標的として同定された新規な抗原(これは本明細書中ではPIPAと呼ばれる)を発見している。
(発明の要旨)
1つの局面において、「PIPA」として本明細書中では知られる抗原が提供される。別の局面において、PIPAは、American Type Culture Collection(ATCC)に2002年4月9日に寄託された宿主細胞(lhFT.1.6D4.1C8)(ATCC番号PTA−4220)により産生されるモノクローナル抗体PIPによって結合される。
本発明は、様々なヒト癌において発現するPIPAに結合するPIPAアンタゴニスト、調節因子、ポリクローナル抗体およびモノクローナル抗体を提供する。
別の局面において、本発明は、PIPAに特異的に結合する抗体またはポリペプチド(これは抗体であってもよく、または抗体でなくてもよい)である。1つの実施形態において、抗体はPIP(これはまた、本明細書中では「抗PIPA」として示されることがある)である。一部の実施形態において、抗体、調節因子またはポリペプチドはPIP同等抗体またはPIP同等ポリペプチドである。
別の局面において、本発明は、宿主細胞(lhFT.1.6D4.1C8;ATCC番号PTA−4220またはその子孫)によって産生される抗体PIPである。
さらに別の局面において、本発明は、病変細胞および/または癌性細胞との反応性を有するモノクローナル抗体(抗PIPA)を作製する方法であり、この方法は、(a)宿主哺乳動物を免疫原で免疫化する工程;(b)該哺乳動物からリンパ球を得る工程;(c)リンパ球を骨髄腫細胞株と融合して、ハイブリドーマを作製する工程;(d)モノクローナル抗体を産生させるために十分な条件のもとで該ハイブリドーマを培養する工程;(e)抗体をスクリーニングして、どの抗体が病的および/または癌性の細胞または細胞株に結合するかを明らかにする工程;(f)場合により該抗体をスクリーニングして、どの抗体が、非病的および/または非癌性の細胞または細胞株よりも大きい親和性で病的および/または癌性の細胞または細胞株に結合するかを明らかにする工程;および(g)病的および/または癌性の細胞または細胞株に結合するが、非病的および/または非癌性の細胞または細胞株には結合しない抗体、あるいは、病的および/または癌性でない細胞または非癌性の細胞株よりも大きい親和性で病的および/または癌性の細胞または細胞株に結合する抗体を選択する工程を含む。一部の実施形態において、PIPA調節因子が、類似するレベルではあるが、正常な細胞または細胞株と、病的および/または癌性の細胞または細胞株との間で異なる様式である結合についてスクリーニングすることによって選択される。一部の実施形態において、免疫原はヒトミューラー管由来上皮細胞を含む。1つの実施形態において、この方法によって作製されるモノクローナル抗体はPIPである。
別の局面において、本発明は、PIPが優先的に結合するエピトープと同じPIPA上のエピトープに優先的に結合する調節因子、抗体またはポリペプチド(これは抗体であってもよく、または抗体でなくてもよい)である。
別の局面において、本発明は、PIPAに対する抗PIPA抗体の優先的な結合を競合的に阻害する抗PIPA抗体またはポリペプチドまたは他のPIPA調節因子(これは抗体であってもよく、または抗体でなくてもよい)である。一部の実施形態において、本発明は、他のPIPA抗体と同じまたは異なるPIPA上のエピトープ(1つまたは複数)に優先的に結合する抗体、調節因子またはポリペプチド(これは抗体であってもよく、または抗体でなくてもよい)である。
さらに別の局面において、本発明は、PIPAのエピトープに対して特異的な抗体によって結合されたPIPAを含む組成物である。1つの実施形態において、抗体はPIPである。他の実施形態において、2つ以上の抗PIPA抗体が投与され、この場合、そのような抗体はPIPAの2つ以上の異なるエピトープに対してマッピングされる。一部の実施形態において、抗PIPA抗体は、治療剤、検出可能な標識または毒素に連結される。
別の局面において、本発明は、抗体PIPのフラグメントまたは領域を含むPIPA抗体である。1つの実施形態において、フラグメントは抗体PIPの軽鎖である。別の実施形態において、フラグメントは抗体PIPの重鎖である。さらに別の実施形態において、フラグメントは、抗体PIPの軽鎖および/または重鎖に由来する1つまたは複数の可変領域を含有する。さらに別の実施形態において、フラグメントは、抗体PIPの軽鎖および/または重鎖に由来する1つまたは複数の相補性決定領域(CDR)を含有する。
別の局面において、本発明は、下記のいずれかを含むポリペプチド(これは抗体であってもよく、または抗体でなくてもよい)を提供する:a)抗体PIPの軽鎖または重鎖のいずれかに由来する1つまたは複数のCDR;b)抗体PIPの軽鎖に由来する3つのCDR;c)抗体PIPの重鎖に由来する3つのCDR;d)抗体PIPの軽鎖に由来する3つのCDR、および抗体PIPの重鎖に由来する3つのCDR;e)抗体PIPの軽鎖可変領域;f)抗体PIPの重鎖可変領域。
別の局面において、本発明は、マウスPIPに由来するヒト化抗体である。一部の実施形態において、ヒト化抗体は抗体PIPの1つまたは複数のCDRを含む。別の局面において、本発明は、マウスPIP抗体と同じエピトープ(1つまたは複数)に結合するヒト化抗体を提供する。一般に、本発明のヒト化PIP抗体は、抗体PIPのCDR(1つまたは複数)と同じであり、かつ/または抗体PIPのCDR(1つまたは複数)に由来する1つまたは複数(1個、2個、3個、4個、5個、6個)のCDRを含む。別の局面において、本発明は、抗体PIPと同じPIPA上のエピトープ(1つまたは複数)に結合するヒト抗体を提供する。
別の局面において、本発明は、抗体PIPの重鎖および軽鎖の可変領域に由来する可変領域と、ヒト抗体の重鎖および軽鎖の定常領域に由来する定常領域とを含むキメラ抗体である。
さらに別の局面において、本発明は、モノクローナル抗体PIPを産生する宿主細胞(lhFT.1.6D4.1C8;ATCC番号PTA−4220)またはその子孫である。別の局面において、本発明は、ATCC番号PTA−4220の寄託番号を有する宿主細胞またはその子孫によって産生される抗体PIPをコードする単離されたポリヌクレオチドである。別の局面において、本発明は、(抗体フラグメントを含めて)抗体のいずれか、ならびに本明細書中に記載される任意の他のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを提供する。
本発明によって包含される他のPIPA調節因子が、本明細書の下記の節において、より詳しく記載される。
さらに別の局面において、本発明は、本明細書中に記載される抗体またはポリペプチドのいずれかによって結合されるPIPAの複合体である。
別の局面において、本発明は、本明細書中に記載される抗体またはポリペプチドのいずれかによって結合される、癌細胞が発現するPIPAの複合体である。一部の実施形態において、癌細胞は卵巣癌細胞または結腸癌細胞である。
別の局面において、本発明は、本明細書中に記載される抗体またはポリペプチドのいずれかによって結合される、PIPが優先的に結合するエピトープの複合体である。
別の局面において、本発明は、本明細書中に記載されるポリペプチド(これには、抗体PIPなどの本発明の抗体のいずれかが含まれる)またはポリヌクレオチドのいずれかを含む医薬組成物であり、例えば、抗体PIP、治療剤に連結された抗体PIP、毒素に連結された抗体PIP、抗体PIPのフラグメントを含む抗体、抗体PIPのヒト化抗体、抗体PIPの可変領域に由来する可変領域と、ヒト抗体の定常領域に由来する定常領域とを含むキメラ抗体、または、抗体PIPの1つもしくは複数の性質を有するヒト抗体と、薬学的に受容可能な賦形剤とを含む医薬組成物などである。
別の局面において、本発明は、抗体PIPを作製する方法であり、この方法は、抗体PIPの産生を可能にする条件のもとで宿主細胞(ATCC番号PTA−4220)またはその子孫を培養すること、および、抗体PIPを精製することを含む。
1つの局面において、本発明は、病変細胞または癌性細胞におけるPIPAに結合させられる抗PIPA抗体を含む組成物である。好ましい実施形態において、癌細胞は、卵巣癌細胞、肺癌細胞、前立腺癌細胞、膵臓癌細胞、結腸癌細胞および乳癌細胞からなる群から選択される。一部の実施形態において、癌細胞は単離される。一部の実施形態において、癌細胞は生物学的サンプルに存在する。一般に、生物学的サンプルは、ヒトなどの個体から得られる。
別の局面において、本発明は、個体から得られた細胞におけるPIPAを検出することによって個体における疾患(具体的には、個体における炎症応答または自己免疫応答に関連する疾患または障害)を診断する方法である。本発明の他の局面において、様々な方法が、個体における炎症応答または自己免疫応答を調節するために提供される。本発明の組成物および方法を使用して処置を受け得る、炎症障害および自己免疫障害から生じる疾患および状態には、限定としてではなく、例示として、多発性硬化症、髄膜炎、脳炎、卒中、他の脳外傷、炎症性腸疾患(これには、潰瘍性大腸炎およびクローン病が含まれる)、重症筋無力症、狼瘡、慢性関節リウマチ、喘息、急性若年性糖尿病、AIDS認知症(痴呆)、アテローム性動脈硬化、腎炎、網膜炎、アトピー性皮膚炎、乾癬、心筋虚血、および急性白血球媒介肺傷害が含まれる。
本発明の抗体および他の治療剤の治療的使用のためのさらに他の適用には、臓器または移植片の拒絶の危険性がある個体に対する投与が含まれる。近年、組織および臓器(例えば、皮膚、腎臓、肝臓、心臓、肺、膵臓および骨髄など)を移植するための手術技術の効率はかなり改善されてきている。主たる未解決の問題は、おそらくは、移植された同種移植片または臓器に対する受容者における免疫寛容を誘導するための満足すべき薬剤がないことである。同種の細胞または臓器が宿主に移植されたとき(すなわち、提供者および受容者が、同じ種に由来する異なる個体であるとき)、宿主の免疫系は、移植された組織の破壊をもたらす、移植片における異物抗原に対する免疫応答(宿主対移植片病)を開始することが考えられる。
さらに別の局面において、本発明は、本明細書中に記載される抗体PIPまたは任意のPIPA結合性成分(ポリペプチド、これには、限定されないが、様々な抗体および抗体誘導体が含まれる)を使用して、個体から得られた細胞における抗原PIPAを検出することによって個体における癌を診断する方法である。一部の実施形態において、この方法では、細胞からのPIPA発現レベルを検出することを伴う。本明細書中で使用される用語「検出」は、コントロールに対する参照を伴うか、またはコントロールに対する参照を伴わない定性的検出および/または定量的検出(レベルを測定すること)を包含する。
さらに別の局面において、本発明は、個体から得られた細胞におけるPIPA、または個体から得られた細胞から放出されたPIPAを検出することによって個体における癌を診断する方法であり、この場合、癌は、副腎腫瘍、AIDS関連癌、胞巣状軟部肉腫、星状膠細胞腫瘍、膀胱癌(扁平上皮細胞癌および移行上皮細胞癌)、骨肉腫(アダマンチノーマ、脈瘤性骨嚢胞、骨軟骨腫、骨肉腫)、脳脊髄癌、転移性脳腫瘍、乳癌、頚動脈小体腫瘍、子宮頸癌、軟骨肉腫、脊索腫、色素嫌性腎細胞癌、明細胞癌、結腸癌、結腸直腸癌、皮膚良性線維性組織球腫、線維形成性小円形細胞腫瘍、脳室上衣細胞腫、ユーイング腫瘍、骨外性粘液様軟骨肉腫、骨線維形成不全、線維性骨異形成、胆嚢胆管癌、妊娠栄養膜疾患、生殖細胞腫瘍、頭頸部癌、ランゲルハンス島細胞腫瘍、カポジ肉腫、腎臓癌(腎芽細胞腫、乳頭状腎細胞癌)、白血病、脂肪腫/良性脂肪腫腫瘍、脂肪肉腫/悪性脂肪腫腫瘍、肝臓癌(肝芽腫、肝細胞癌)、リンパ腫、肺癌、髄芽細胞腫、黒色腫、髄膜腫、多発性内分泌腫瘍、多発性骨髄腫、骨髄異形成症候群、神経芽腫、神経内分泌腫瘍、卵巣癌、膵臓癌、乳頭状甲状腺癌、副甲状腺腫瘍、小児癌、末梢神経鞘腫瘍、クロム親和性細胞腫、下垂体腫瘍、前立腺癌、後ブドウ膜黒色腫、希少な血液学的障害、腎臓転移癌、杆状腫瘍、横紋筋肉腫、肉腫、皮膚癌、軟組織肉腫、扁平上皮細胞癌、胃癌、滑膜肉腫、精巣癌、胸腺癌、胸腺腫、甲状腺転移癌および子宮癌(子宮頚部の癌腫、子宮内膜癌および平滑筋腫)(これらに限定されない)からなる群から選択される。
別の局面において、本発明は、個体における癌(例えば、限定されないが、卵巣癌、肺癌、前立腺癌、膵臓癌、結腸癌、子宮癌または乳癌など)の診断を助けるための方法であり、この方法は、個体から得られた生物学的サンプルにおけるPIPAの発現を明らかにすることを含む。一部の実施形態において、PIPAの発現は、抗PIPA抗体を使用して明らかにされる。一部の実施形態において、この方法は、細胞からのPIPA発現レベルを検出することである。癌から放出されたPIPAは、体液において検出可能であるPIPAまたはその一部の上昇したレベルに寄与し得る。さらに別の局面において、本発明は、癌性細胞の成長を低下させるために十分な効果的な量の、PIPAに結合する抗体を投与することによって癌を処置する方法である。一部の実施形態において、抗体は、PIPなどの抗PIPA抗体である。特定の実施形態において、癌性細胞は、副腎腫瘍、AIDS関連癌、胞巣状軟部肉腫、星状膠細胞腫瘍、膀胱癌(扁平上皮細胞癌および移行上皮細胞癌)、骨肉腫(アダマンチノーマ、脈瘤性骨嚢胞、骨軟骨腫、骨肉腫)、脳脊髄癌、転移性脳腫瘍、乳癌、頚動脈小体腫瘍、子宮頸癌、軟骨肉腫、脊索腫、色素嫌性腎細胞癌、明細胞癌、結腸癌、結腸直腸癌、皮膚良性線維性組織球腫、線維形成性小円形細胞腫瘍、脳室上衣細胞腫、ユーイング腫瘍、骨外性粘液様軟骨肉腫、骨線維形成不全、線維性骨異形成、胆嚢胆管癌、妊娠栄養膜疾患、生殖細胞腫瘍、頭頸部癌、ランゲルハンス島細胞腫瘍、カポジ肉腫、腎臓癌(腎芽細胞腫、乳頭状腎細胞癌)、白血病、脂肪腫/良性脂肪腫腫瘍、脂肪肉腫/悪性脂肪腫腫瘍、肝臓癌(肝芽腫、肝細胞癌)、リンパ腫、肺癌、髄芽細胞腫、黒色腫、髄膜腫、多発性内分泌腫瘍、多発性骨髄腫、骨髄異形成症候群、神経芽腫、神経内分泌腫瘍、卵巣癌、膵臓癌、乳頭状甲状腺癌、副甲状腺腫瘍、小児癌、末梢神経鞘腫瘍、クロム親和性細胞腫、下垂体腫瘍、前立腺癌、後ブドウ膜黒色腫、希少な血液学的障害、腎臓転移癌、杆状腫瘍、横紋筋肉腫、肉腫、皮膚癌、軟組織肉腫、扁平上皮細胞癌、胃癌、滑膜肉腫、精巣癌、胸腺癌、胸腺腫、甲状腺転移癌および子宮癌(子宮頚部の癌腫、子宮内膜癌および平滑筋腫)(これらに限定されない)からなる群から選択される。
さらに別の局面において、本発明は、抗原PIPAに特異的に結合する薬剤を含む組成物の効果的な量を個体に投与することによって個体における病変細胞または癌性細胞の成長および/または増殖を阻害する方法である。一部の実施形態において、薬剤は抗体PIPを含むか、あるいは、治療剤と結合させられた抗体PIP、抗体PIPのフラグメントもしくは領域を含む抗体、ヒト化抗体(これは、抗体PIPの1つまたは複数のCDRを一般に含むが、必ずしも含む必要はない)、抗体PIPの可変領域に由来する可変領域と、ヒト抗体の定常領域に由来する定常領域とを含むキメラ抗体、または、抗体PIPの1つもしくは複数の性質を有するヒト抗体(これらに限定されない)を含む本明細書中に記載される抗体(これにはポリペプチドが含まれる)またはポリヌクレオチドの実施形態のいずれかを含む。
特定の実施形態において、PIPAを発現することができる細胞、または、抗PIPA抗体もしくは他の調節因子の発現が可能である細胞が個体に投与され、その結果、個体自身の身体が免疫応答を媒介するようになる。PIPAのインビボでの局所的発現は個体の体内での免疫応答を誘発させ得る。同様に、抗PIPA抗体または他の調節因子の発現が可能である細胞の局所的発現は望ましい治療的利益をもたらし得る。完全な細胞を個体に直接投与するそのような方法が本発明によって包含される。
さらに別の局面において、本発明は、抗原PIPAに特異的に結合する薬剤を含む組成物の効果的な量を投与することによって、癌を有する個体における転移の発達を遅らせる方法である。一部の実施形態において、薬剤は抗体PIPを含むか、あるいは、治療剤と結合させられた抗体PIP、抗体PIPのフラグメントもしくは領域を含む抗体、ヒト化抗体(これは、抗体PIPの1つまたは複数のCDRを一般に含むが、必ずしも含む必要はない)、抗体PIPの可変領域に由来する可変領域と、ヒト抗体の定常領域に由来する定常領域とを含むキメラ抗体、または、抗体PIPの1つもしくは複数の性質を有するヒト抗体(これらに限定されない)を含む本明細書中に記載される抗体(これにはポリペプチドが含まれる)またはポリヌクレオチドの実施形態にのいずれかを含む。
さらに別の局面において、本発明は、抗原PIPAに特異的に結合する薬剤の効果的な量を個体に投与することによって個体において治療剤(例えば、毒素、放射性化合物または化学療法剤など)を癌性細胞に送達する方法である。抗原PIPAに特異的に結合する薬剤には、限定されないが、抗体PIP、抗体PIPのフラグメントもしくは領域を含む抗体、ヒト化抗体(これは、抗体PIPの1つまたは複数のCDRを一般に含むが、必ずしも含む必要はない)、抗体PIPの可変領域に由来する可変領域と、ヒト抗体の定常領域に由来する定常領域とを含むキメラ抗体、または、抗体PIPの1つもしくは複数の性質を有するヒト抗体が含まれる。一部の実施形態において、癌性細胞は、乳癌、結腸癌、肺癌、卵巣癌、膵臓癌、前立腺癌、腎臓癌または子宮癌に由来する。従って、特定の実施形態において、本発明は、卵巣癌細胞または結腸癌細胞の成長および/または増殖を、治療剤をそのような癌細胞に送達することによって阻害する方法を提供する。
さらに別の局面において、本発明は、抗原PIPAを発現する病変細胞または癌性細胞に対する免疫応答を誘導するために十分な量で、抗原PIPAに特異的に結合する薬剤を個体に投与することによって、個体における免疫系を調節する方法である。
さらに別の局面において、本発明は、抗原PIPAを発現する病変細胞または癌性細胞に対する免疫応答を誘導するために十分な効果的な量の抗原PIPAを個体に投与することによって、個体における免疫系を調節する方法である。1つの実施形態において、抗原はアジュバントとともに投与される。
さらに別の局面において、本発明は、抗原PIPAを発現する病変細胞または癌性細胞に対する能動的な免疫応答を誘導するために十分な効果的な量の、抗原PIPAをコードする核酸配列を個体に投与することによって、個体における免疫系を調節する方法である。1つの実施形態において、抗原はアジュバントとともに投与される。
さらに別の局面において、本発明は、抗原PIPAに特異的に結合する薬剤をスクリーニングするための方法であり、この方法は、抗原PIPAを発現する細胞を前記薬剤を接触させ、検出アッセイにおいて前記薬剤の結合を評価することによって行われる。
別の局面において、本発明は、本明細書中に記載される組成物のいずれか1つまたは複数を含むキットを提供する。このようなキットは、一般には好適な包装にあり、また、適切な説明書とともに提供されており、本明細書中に記載される方法のいずれかのために有用である。
(発明の詳細な説明)
本明細書中に開示される発明により、疾患および/または癌に関連する抗原PIPAの同定および特長づけが提供され、また、PIPAに結合する抗体およびポリペプチドを作製し、それらを使用する方法が提供される。様々な方法が、PIPAの発現および/または過剰発現に関連する様々な疾患およびヒト癌を診断および処置するためにこのような抗体およびポリペプチドを作製し、それらを使用する方法のために提供される。
(一般的技術)
本発明の実施では、別途示されない限り、本技術分野の技術の範囲に含まれる、分子生物学(これには、組換え技術が含まれる)、微生物学、細胞生物学、生化学および免疫学の従来の技術が用いられる。そのような技術は下記の文献において詳しく説明されている:例えば、Molecular Cloning:A Laboratory Manual、第2版(Sambrook他、1989)、Cold Spring Harbor Press;Oligonucleotide Synthesis(M.J.Gait他、1984);Methods in Molecular Biology、Humana Press;Cell Biology:A Laboratory Notebook(J.E.Cellis他、1998)、Academic Press;Animal Cell Culture(R.I.Freshney編、1987);Introduction to Cell and Tissue Culture(J.P.MatherおよびP.E.Roberts、1998)、Plenum Press;Cell and Tissue Culture:Laboratory Procedures(A.Doyle、J.B.GriffithsおよびD.G.Newell編、1993〜8)、J.Wiley and Sons;Methods in Enzymology(Academic Press,Inc.);Handbook of Experimental Immunology(D.M.WeirおよびC.C.Blackwell編);Gene Transfer Vectors for Mammalian Cells(J.M.MillerおよびM.P.Calos編、1987);Current Protocols in Molecular Biology(F.M.Ausubel他編、1987);PCR:The Polymerase Chain Reaction(Mullis他編、1994);Current Protocols in Immunology(J.E.Coligan他編、1991);Short Protocols in Molecular Biology(Wiley and Sons、1999);Immunobiology(C.A.JanewayおよびP.Travers、1997);Antibodies(P.Finch、1997);Antibodies:a practical approach(D.Catty編、IRL Press、1988〜1989);Monoclonal antibodies:a practical approach(P.ShepherdおよびC.Dean編、Oxford University Press、2000);Using antibodies:a laboratory manual(E.HarlowおよびD.Lane、Cold Spring Harbor Laboratory Press、1999);The Antibodies(M.ZanettiおよびJ.D.Capra編、Harwood Academic Publishers、1995);および、Cancer:Principles and Practice of Oncology(V.T.DeVita他編、J.B.Lippincott Company、1993)など。
(定義)
「PIPA」は、それに対する本発明の抗体および調節因子が検出される、グリコシル化された分子量が約45kD〜50kD(4〜20%のトリス−グリシンSDS−PAGE(すなわち、変性勾配)ゲルにおいて+/−10%)である新規なポリペプチド抗原を示す。抗原PIPAは、PIPによって結合される細胞表面のGPI結合型糖タンパク質であり、数タイプの癌腫および他の細胞(例えば、卵巣および結腸の細胞など)において存在する。この抗原は2つ以上の異なるエピトープを有し得る。PIPAは、その正常な組織対応体と比較して、特定の癌細胞において過剰発現し得ると現在では考えられている。
1つの実施形態において、エピトープは、モノクローナル抗体PIPによって結合される抗原または抗原の一部である。好ましい実施形態において、エピトープは、グリコシル化されたタンパク質である抗原または抗原の一部である。特に好ましい実施形態において、エピトープは、GPI結合型糖タンパク質である抗原または抗原の一部である。別の特に好ましい実施形態において、エピトープは、グリコシル化タンパク質および翻訳後修飾の両方を包含する抗原または抗原の一部である。
別の実施形態において、エピトープは、抗原または抗原の一部に存在するグリコトープである。グリコトープは、マンノース、N−アセチルグルコサミン、N−アセチルノイラミン酸(シアル酸)、ガラクトースおよびグルコースを含み得るが、これらに限定されない。
これらの翻訳後修飾には、グリコシル化、リン酸化、シアル化、硫酸化、および二価カチオンが結合することによる立体配座的変化が含まれ得るが、これらに限定されない。特に好ましい実施形態において、グリコシル化には、N結合型グリコシル化、O結合型グリコシル化、複合オリゴ糖および高マンノースオリゴ糖が含まれ得るが、これらに限定されない。
PIPA機能の様々なアゴニスト、アンタゴニストおよび他の調節因子が特に本発明の範囲に含まれる。これらのアゴニスト、アンタゴニストおよび調節因子は、PIPAにおける抗原性決定基部位の1つまたは複数を含むポリペプチド、あるいは、そのような部位の1つまたは複数のフラグメントを含むポリペプチド、あるいはそのような部位の改変体、あるいはそのような部位のペプチド模倣体である。これらのアゴニスト化合物、アンタゴニスト化合物およびPIPA調節化合物は、線状形態または環化形態で提供され、場合により、自然界に通常的に見出されない少なくとも1つのアミノ酸残基、または少なくとも1つのアミド類縁構造体(isostere)を含む。これらの化合物はグリコシル化され得る。
より具体的には、本明細書中で使用される用語「PIPAアゴニスト」、用語「アンタゴニスト」または用語「調節因子」は、(1)ヒトPIPAとその天然リガンドまたは抗PIPA抗体との間での相互作用を破壊または阻止することができる任意の化合物として、(2)ヒトPIPAおよびその天然リガンドまたは抗PIPA抗体に結合することができる任意の化合物として、(3)ヒトPIPAおよびその天然リガンドまたは抗PIPA抗体に結合することができる抗体を惹起させる際に使用され得る抗原性部位を含有する任意の化合物として、(4)ヒトPIPAおよびその天然リガンドまたは抗PIPA抗体に結合することができる抗体のスクリーニングにおいて使用され得る抗原性部位を含有する任意の化合物として、(5)ヒトPIPAとその天然リガンドまたは抗PIPA抗体との間での相互作用を破壊または阻止することができる抗体を惹起させる際に使用され得る抗原性部位を含有する任意の化合物として、(6)ヒトPIPAとその天然リガンドまたは抗PIPA抗体との間での相互作用を破壊または阻止することができる抗体のスクリーニングにおいて使用され得る抗原性部位を含有する任意の化合物として定義される。
PIPAアゴニスト、アンタゴニストおよび調節因子には、PIPA改変体、PIPAペプチドアンタゴニスト、ペプチド模倣体および小分子、抗PIPA抗体および免疫グロブリン改変体、ヒトPIPAの核酸改変体およびアミノ酸改変体(これには、置換改変体、欠失改変体および付加改変体またはこれらの任意の組合せが含まれる)、ならびにキメラな免疫グロブリンが含まれる。そのような化合物は、本明細書中では相互に交換可能に使用され、限定されないが、ペプチド、核酸、炭水化物、小さい有機分子、天然産物抽出物ライブラリー、および任意の他の分子(化学物質、金属および有機金属化合物が含まれるが、これらに限定されない)を包含することが意味される。
本発明のPIPAアゴニスト、アンタゴニストおよび調節因子は、ヒトPIPAがその天然リガンドまたは抗PIPA抗体に結合することに関与するPIPAドメインの同定の本発明者らの同定に基づいている。従って、本発明は、ヒトPIPAの抗PIPA結合ドメインの1つまたは複数を複製または模倣する分子構造を有するPIPAアゴニスト、アンタゴニストおよび調節因子を提供する。
本発明の結合ドメインは、「薬物使用可能な(druggable)標的」、「薬物使用可能な領域」および「薬物使用可能な標的領域」と見なすことができ、そのような用語は、PIPA調節因子と結合するための格好な標的であるポリペプチドまたは炭水化物または複合体の三次元構造における特定の領域を示すために本明細書中では相互に交換可能に使用され得る。薬物使用可能な領域は一般には、ポリペプチドまたは複合体の数個のアミノ酸が調節因子と相互作用することができる領域を示す。特定の実施形態において、薬物使用可能な領域は、翻訳後修飾(例えば、グリコシル化)がポリペプチドまたは複合体のアミノ酸の立体配座に影響するそのような領域である。例示的な薬物使用可能な領域には、結合ポケット、酵素活性部位、別の分子との相互作用に関係し得る、ポリペプチドまたは複合体の表面溝または輪郭部または表面が含まれる。
本明細書中で使用される用語「PIPA改変体」は、ヒトPIPAの任意のアミノ酸改変体を示し、これには、核酸またはアミノ酸の置換改変体、欠失改変体および付加ま改変体たはこれらの任意の組合せが含まれる。この定義には、ヒトPIPA/非ヒトのキメラ体および他のハイブリッド分子などのキメラな分子が包含される。この定義にはまた、分子の変化領域またはハイブリッド領域を含むPIPA改変体分子の任意のフラグメントが含まれる。
「抗体」は、免疫グロブリン分子の可変領域に存在する少なくとも1つの抗原認識部位を介して標的(例えば、炭水化物、ポリヌクレオチド、脂質、ポリペプチドなど)に対する特異的な結合が可能である免疫グロブリン分子である。本明細書中で使用されるこの用語は、無傷のポリクローナル抗体またはモノクローナル抗体だけでなく、そのフラグメント(例えば、Fab、Fab’、F(ab’)、Fvなど)、単鎖(ScFv)、その変異体、抗体部分を含む融合タンパク質、ヒト化抗体、キメラ抗体、および、要求される特異性の抗原認識部位を含む、免疫グロブリン分子の任意の他の改変された形態をも包含する。
「モノクローナル抗体」は、モノクローナル抗体が、抗原の選択的な結合に関与するアミノ酸(天然に存在するアミノ酸および/または天然に存在しないアミノ酸)から構成される均一な抗体集団を示す。モノクローナル抗体は、1つだけの抗原性部位に指向しているので非常に特異的である。用語「モノクローナル抗体」は、完全なモノクローナル抗体および全長のモノクローナル抗体だけでなく、そのフラグメント(例えば、Fab、Fab’、F(ab’)、Fvなど)、単鎖(ScFv)、その変異体、抗体部分を含む融合タンパク質、ヒト化モノクローナル抗体、キメラなモノクローナル抗体、および、要求される特異性の抗原認識部位と、抗原に結合する能力とを含む免疫グロブリン分子の任意の他の改変された形態をも包含する。抗体の供給源、または抗体が(例えば、ハイブリドーマ、ファージ選択、組換え発現、遺伝子組換え動物などによって)作製される様式に関して限定されることは意図されない。この用語には、「抗体」の定義のもとで上記に記載された完全な免疫グロブリンならびにフラグメントなどが包含される。
「ヒト化(された)」抗体は、非ヒト種由来の免疫グロブリンに由来する抗原結合部位と、ヒト免疫グロブリンの構造および/または配列に基づく分子の残る免疫グロブリン構造とを有する、組換え技術を使用して一般には調製されるキメラな分子を示す。抗原結合部位は、定常ドメインに融合された完全な可変ドメイン、または、可変領域において適切なフレームワーク領域に接がれた相補性決定領域(CDR)のみのいずれかを含むことができる。抗原結合部位は野生型であり得るか、あるいは、1つまたは複数のアミノ酸置換によって改変され得る。これにより、ヒト個体における免疫原としての定常領域が除かれ、しかし、異物の可変領域に対する免疫応答の可能性は保持される(LoBuglio,A.F.他(1989)、Proc Natl Acad Sci USA、86:4220〜4224)。別の方法は、ヒト由来の定常領域を提供することだけでなく、可変領域をヒト形態にできる限り近い形に再成形するように可変領域を同様に改変することにも集中している。重鎖および軽鎖の両方の可変領域が、問題とする抗原に応答して変化し、かつ結合能力を決定する3つの相補性決定領域(CDR)を含有し、この場合、3つの相補性決定領域の側面には、所与の種において比較的保存され、足場をCDRに提供すると推定される4つのフレームワーク領域(FR)が存在することが知られている。非ヒト抗体が特定の抗原に関して調製されるとき、可変領域は、非ヒト抗体に由来するCDRを、改変されるヒト抗体に存在するFRにおいて接ぐことによって「再成形」または「ヒト化」することができる。様々な抗体に対するこの方法の適用が、Sato,K.他(1988)、Science、239:1534〜1536;Kettleborough,C.A.他(1991)、Protein Engineering、4:773〜783;Maeda,H.他(1991)、Human Antibodies Hybridoma、2:124〜134;Gorman,S.D.他(1991)、Proc Natl Acad Sci USA、88:4181〜4185;Tempest,P.R.他(1991)、Bio/Technology、9:266〜271;Co,M.S.他(1991)、Proc Natl Acad Sci USA、88:2869〜2873;Carter,P.他(1992)、Proc Natl Acad Sci USA、89:4285〜4289;および、Co,M.S.他(1992)、J Immunol、148:1149〜1154によって報告されている。一部の実施形態において、ヒト化抗体はすべてのCDR配列を保持する(例えば、マウス抗体に由来する6個すべてのCDRを含有するヒト化されたマウス抗体)。他の実施形態において、ヒト化抗体は、元の抗体に関して変化している1つまたは複数のCDR(1個、2個、3個、4個、5個、6個)を有し、そのようなCDRはまた、元の抗体に由来する1つまたは複数のCDR「に由来する」1つまたは複数のCDRと呼ばれる。
「キメラ(な)抗体」は、重鎖および軽鎖のアミノ酸配列のそれぞれの1つの部分が、特定の種に由来する抗体または特定のクラスに属する抗体における対応する配列に対して相同的であり、その一方で、鎖の残りのセグメントが、別の抗体における対応する配列に対して相同的である抗体を示す。典型的には、このようなキメラ抗体において、軽鎖および重鎖の両方の可変領域が1つの種の哺乳動物に由来する抗体の可変領域を模倣し、その一方で、定常領域が、別の種に由来する抗体における配列に対して相同的である。そのようなキメラな形態に対する1つの明らかな利点は、例えば、可変領域を、例えば、ヒト細胞調製物に由来する定常領域との組合せで、非ヒト宿主生物に由来する容易に得られるハイブリドーマまたはB細胞を使用して、現在知られている供給源から都合よく得ることができるということである。可変領域は、調製が容易であるという利点を有し、また、特異性がその供給源により影響されない一方で、ヒト型である定常領域は、抗体が注射されたとき、非ヒト供給源に由来する定常領域よりも、ヒト被験者から免疫応答を誘発する可能性が低い。しかしながら、定義はこの特定の例に限定されない。
抗体またはポリペプチドに「特異的に結合する」エピトープ、あるいは、抗体またはポリペプチドに「優先的に結合する」エピトープ(これらは本明細書中では相互に交換可能に使用される)は、この分野では十分に理解されている用語であり、そのような特異的または優先的な結合を明らかにするための方法もまたこの分野では広く知られている。分子は、その分子が、別の細胞または物質と反応または会合するよりも大きい持続時間および/または大きい親和性で、特定の細胞または物質と、より頻繁に、より迅速に反応または会合するならば、「特異的な結合」または「優先的な結合」を呈すると言われる。抗体は、標的が、他の物質に結合するよりも大きい親和性、結合力で、より容易に、かつ/または大きい持続時間で結合するならば、その標的に「特異的に結合する」か、または「優先的に結合する」。例えば、PIPAエピトープに特異的または優先的に結合する抗体は、この抗体が他のPIPAエピトープまたは非PIPAエピトープに結合するよりも大きい親和性、結合力で、より容易に、かつ/または大きい持続時間でこのPIPAエピトープと結合する抗体である。この定義を読むことによって、例えば、第1の標的に特異的または優先的に結合する抗体(または成分)は第2の標的に特異的または優先的に結合してもよく、あるいは第2の標的に特異的または優先的に結合しなくてもよいこともまた理解される。そのため、「特異的な結合」または「優先的な結合」は、(限定された結合を含み得るが)、限定された結合を必ずしも要求しない。一般に、しかし、必ずではないが、結合に対する参照は、優先的な結合を意味する。
エピトープが「免疫学的に活性」であるか、または「免疫学的に活性のままである」ことに関連して、用語「免疫学的に活性」は、種々の条件のもとで、例えば、エピトープが還元性の条件または変性条件にさらされた後においてそのエピトープに結合する抗体(例えば、抗PIPA抗体)の能力を示す。
本明細書中で使用される用語「PIP」、用語「抗体PIP」および用語「モノクローナル抗体PIP」は、ATCC番号PTA−4220の寄託番号を有する宿主細胞またはその子孫によって産生される免疫グロブリンを示すために相互に交換可能に使用される。PIPの作製および特長づけが下記の実施例1〜実施例3に記載される。
種々の「生物学的機能」(または「性質」)がPIPに関連しており、これらには、限定されないが、下記の能力が含まれる:(a)PIPAに結合する能力;(b)PIPが優先的に結合するPIPAエピトープに優先的に結合する能力;(c)癌細胞(例えば、卵巣癌細胞または結腸癌細胞など)におけるPIPAと結合する能力;(d)生細胞の表面に露出しているPIPAの一部にインビトロまたはインビボで結合する能力;(e)化学療法剤を、PIPAを発現している癌性細胞(例えば、卵巣癌細胞または結腸癌細胞など)に送達する能力;および(f)治療剤または検出可能なマーカーを、PIPAを発現している癌性細胞の中に送達する能力。本明細書中で議論されているように、本発明のポリペプチド(これには抗体が含まれる)はこれらの特長の任意の1つまたは複数を有し得る。
「PIP同等抗体」または「PIP同等ポリペプチド」は、PIPに関連する1つまたは複数の生物学的機能(例えば、結合特異性など)を有する抗体またはポリペプチドを示す。
本明細書中で使用される「薬剤」は、生物学的化合物、医薬化合物または化学化合物を示す。非限定的な例には、単純または複雑な有機分子または無機分子、ペプチド、タンパク質、オリゴヌクレオチド、抗体、抗体誘導体または抗体フラグメント、ビタミン誘導体、炭水化物、毒素、あるいは化学療法化合物が含まれる。様々な化合物を合成することができる:例えば、小分子およびオリゴマー(例えば、オリゴペプチドおよびオリゴヌクレオチド)、ならびに、様々なコア構造に基づく合成有機化合物。また、様々な天然供給源により、化合物がスクリーニングのために提供され得る(例えば、植物または動物の抽出物など)。当業者は、本発明の薬剤の構造的性質に関して何ら制限がないことを容易に認識し得る。
本発明の方法において用いられる薬剤はランダムに選択され得るか、あるいは合理的に選択または設計され得る。本明細書中で使用される場合、薬剤は、その薬剤が、PIPAとその天然の結合パートナーまたは知られている抗体との会合に関与する特異的な配列を考慮することなくランダムに選ばれるとき、ランダムに選択されると言われる。ランダムに選択されている薬剤の一例が、化学ライブラリーまたはペプチドのコンビナトリアルライブラリーの使用である。
本明細書中で使用される場合、薬剤は、その薬剤が、薬剤の作用に関連して標的部位の配列および/またはその立体配座を考慮に入れて非ランダムに選ばれるとき、合理的に選択または設計されると言われる。本発明はまた、PIPAとその天然の結合パートナーとの間での相互作用部位において作用する薬剤を包含する。しかし、現在知られているか、または今後同定されるとしても、他のリガンドおよびそれらの活性なPIPA相互作用部位もまた本発明の範囲に包含される。薬剤はランダムに選択され得るか、あるいは、受容体/リガンド複合体および/またはPIPA/抗PIPA抗体複合体の接触部位を構成するペプチド配列を利用することによって合理的に設計され得る。例えば、合理的に選択されたペプチド薬剤は、そのアミノ酸配列が、PIPAに現れるエピトープと同一であるペプチドであり得る。これは、そのようなエピトープはその天然の環境において生細胞の表面に露出しているからである。そのような薬剤は、抗PIPA抗体とPIPAとの会合、またはPIPAとその天然リガンドとの会合を、抗PIPA抗体または天然リガンドに対する結合によって、所望するように低下させるか、または阻止する。
用語「ポリペプチド」、用語「オリゴペプチド」、用語「ペプチド」および用語「タンパク質」は、任意の長さのアミノ酸のポリマーを示すために本明細書中では相互に交換可能に使用される。ポリマーは直鎖状もしくは分枝状であってもよく、修飾されたアミノ酸を含んでもよく、または非アミノ酸によって中断されてもよい。これらの用語はまた、自然によるか、または介入によって修飾されているアミノ酸ポリマー、例えば、ジスルフィド結合の形成、グリコシル化、脂質化、アセチル化、リン酸化、または任意の他の操作もしくは修飾(例えば、標識化成分との複合化など)によって修飾されているアミノ酸ポリマーを包含する。また、この定義には、例えば、アミノ酸の1つまたは複数のアナログ(これには、例えば、非天然アミノ酸などが含まれる)、ならびに、この分野で知られている他の修飾を含有するポリペプチドが含まれる。本発明のポリペプチドの多くは抗体に基づいているので、ポリペプチドは単鎖または会合鎖として存在し得ることが理解される。
本発明の範囲内にはまた、本明細書中に記載されるPIPAペプチドアゴニスト、PIPAペプチドアンタゴニストおよびPIPAペプチド調節因子(これには、抗PIPA抗体が含まれる)のペプチド模倣体が包含される。そのようなペプチド模倣体には、少なくとも1つのアミノ酸残基が、自然界において通常的に見出されないアミノ酸残基(例えば、そのアミノ酸のD−異性体またはそのアミノ酸のN−アルキル種など)で置換されるペプチドが含まれる。他の実施形態において、ペプチド模倣体は、PIPAペプチドアゴニスト、PIPAペプチドアンタゴニストまたはPIPAペプチド調節因子における少なくとも1つのアミド結合(−C(.dbd.O)−NH−)をアミド類縁構造体で置換することによって構築される。好適なアミド類縁構造体には、−CH.sub2.−NH−、−CH.sub2.−S−、−CH.sub2.−S(O).sub.n−(式中、nは1または2である)、−CH.sub.2−CH.sub.2−、−C(.dbde.CH−(EまたはZ)、−C(.dbd.O)−CH.sub.2−、−CH(CN)−NH−、−C(OH)−CH.sub.2−、および−O−C(.dbd.O)−NH−が含まれる。アミド類縁構造体との置換のための好適な候補物である、PIPAアゴニスト、PIPAアンタゴニストまたはPIPA調節因子におけるアミド結合には、PIPAペプチドアゴニストまたはPIPAペプチドアンタゴニストまたはPIPAペプチド調節因子による処置の意図された被験者の内因性のエステラーゼまたはプロテアーゼによって加水分解可能な結合が含まれる。
抗体の「可変領域」は、抗体軽鎖の可変領域または抗体重鎖の可変領域を単独または組合せのいずれかであっても示す。
抗体の「定常領域」は、抗体軽鎖の定常領域または抗体重鎖の定常領域を単独または組合せのいずれかであっても示す。
本明細書中で使用される「実質的に純粋」は、少なくとも50%純粋(すなわち、混入物を含まない)、少なくとも90%純粋、少なくとも95%純粋、少なくとも98%純粋、あるいは、好ましくは少なくとも99%またはそれ以上純粋である物質を示す。
「宿主細胞」は、ポリヌクレオチドインサートを取り込むためのベクターに対する収容体であり得るか、または、そのようなベクターを収容している個々の細胞または細胞培養物を包含する。宿主細胞には、単一宿主細胞の子孫が含まれ、子孫は、天然の変異、偶発的な変異または意図的な変異のために、一番最初の親細胞と(形態学的に、または相補的なゲノムDNAにおいて)必ずしも完全に同一でなくてもよい。宿主細胞には、本発明のポリヌクレオチドでインビボでトランスフェクションされた細胞が含まれる。薬物、化合物または医薬組成物の「効果的な量」は、例えば、腫瘍のサイズの縮小(癌(例えば、卵巣癌または結腸癌)の状況において)、癌性細胞の成長の遅れ、転移の発達を遅れさせること、疾患から生じる症状を低下させること、疾患罹患者の生活の質を増大させること、疾患を処置するために要求される他の薬物治療の用量を減少させること、標的化および/または内在化などにより別の薬物治療の効果を高めること、疾患の進行を遅らせること、ならびに/あるいは、個体の生存を延ばすことなどの様々な臨床的結果(これらに限定されない)を含む有益な結果または所望される結果を達成するために十分な量である。効果的な量は1回または複数回の投与で投与され得る。本発明の目的のために、薬物、化合物または医薬組成物の効果的な量は、直接的または間接的のいずれかであっても、新生物細胞または他の病変細胞の増殖を低下させるために(またはそのような細胞を殺すために)、また、新生物細胞の転移の発達または成長を低下および/または遅延させるために十分な量である。一部の実施形態において、薬物、化合物または医薬組成物の効果的な量は、別の薬物、化合物または医薬組成物との併用において達成されてもよく、または達成されなくてもよい。従って、「効果的な量」は、1つまたは複数の化学療法剤を投与することに関連して考慮される場合があり、従って、1つだけの薬剤は、例えば、1つまたは複数の他の薬剤との併用で、望ましい結果がその最初の供給源から達成され得るか、または達成されるならば、効果的な量で与えられると見なすことができる。
本明細書中で使用される「処置」または「処置する」は、好ましくは臨床的結果を含む有益な結果または所望される結果を得るための取り組みである。本発明の目的のために、有益な臨床的結果または所望される臨床的結果には、限定されないが、下記の1つまたは複数が含まれる:新生物細胞または他の病変細胞の増殖を低下させること(またはそのような細胞を殺すこと)、癌において見出される新生物細胞の転移を低下させること、腫瘍のサイズを縮小させること、疾患から生じる症状を低下させること、疾患罹患者の生活の質を増大させること、疾患を処置するために要求される他の薬物治療の用量を減少させること、疾患の進行を遅らせること、ならびに/ならびは、個体の生存を延ばすこと。
本明細書中で使用される「転移の発達を遅れさせること」は、転移の発達を延ばし、妨害し、遅くし、遅延させ、安定化させ、かつ/または延期させることを意味する。この遅延は、処置されている癌および/または個体の病歴に依存して様々な長さの時間であり得る。当業者には自明であるように、十分な遅延または著しい遅延は、実際には、個体が転移を発達させないという点で、防止を包含し得る。
本明細書中で使用される用語「検出」は、コントロールに対する参照を伴うか、またはコントロールに対する参照を伴わない定性的検出および/または定量的検出(レベルを測定すること)を包含する。
本明細書中で使用される用語「標識(された)」は、抗体に関しては、放射性薬剤または蛍光団(例えば、フルオレセインイソチオシアナート(FITC)またはフィコエリトリン(PE))などの検出可能な物質を抗体にカップリングすること(すなわち、物理的に連結すること)によって抗体を直接的に標識すること、ならびに、検出可能な物質との反応性によってプローブまたは抗体を間接的に標識することを包含する。
本明細書中で使用される用語「会合」は、抗体に関しては、薬剤(例えば、毒素)に対する共有結合的または非共有結合的な付着または結合を包含する。抗体は、共通のプラットフォームに対する付着を介した直接的な結合または間接的な結合によって薬剤(例えば、毒素)と会合することができ、その結果、抗体は、抗体が結合する癌性細胞に対する薬剤の局在化を行わせるようになり、この場合、抗体および薬剤は、抗体が結合する同じ癌性細胞に薬剤が標的化されないように、または、薬剤の効力が低下しないように、生理学的な条件のもとでは実質的に解離しない。
「生物学的サンプル」は、個体から得られる様々なサンプルタイプを包含し、診断アッセイまたはモニターリングアッセイにおいて使用することができる。この定義は、血液、および生物学的起源の他の液体サンプル、固体組織サンプル、例えば、生検試料またはそれに由来する組織培養物もしくは細胞およびその子孫などを包含する。この定義にはまた、その入手後に、何らかの方法で、例えば、試薬による処理、可溶化、または特定の成分(例えば、タンパク質またはポリヌクレオチドなど)について濃縮すること、または、切片化目的のために半固体マトリックスもしくは固体マトリックスに包埋することなどによって操作されているサンプルが含まれる。用語「生物学的サンプル」は臨床サンプルを包含し、そしてまた、培養中の細胞、細胞上清、細胞溶解物、血清、血漿、生物学的流体および組織サンプルを包含する。
「個体」は脊椎動物であり、場合により哺乳動物であり、好ましくはヒトである。哺乳動物には、家畜、競技動物、ペット、霊長類、マウスおよびラットが含まれる。
「毒素」は、細胞内において不都合な応答をもたらす任意の物質を示す。例えば、癌性細胞に指向する毒素は、癌性細胞に対する、不都合で、ときには有害な作用を有する。毒素の例には、放射性同位体、カリケアマイシンおよびメイタンシノイドが含まれるが、これらに限定されない。
「能動的な免疫応答」は、アジュバントを用いた、またはアジュバントを用いない静脈内様式、筋肉内様式、皮下様式または他の投与様式による宿主哺乳動物に対する抗原の投与、またはその抗原をコードするDNAの投与に対する応答における、抗原に向けられたインビボでの抗体の発達および抗体の進行中の産生を示す。
(抗体およびポリペプチドの作製方法)
本発明は、本明細書中に記載されるような抗PIPA抗体、抗PIPA抗体に由来するポリペプチド、および、抗PIPA抗体をコードする配列をポリヌクレオチド、および、他の薬剤を含む様々な組成物(これには、医薬組成物が含まれる)を包含する。本明細書中で使用される場合、組成物は、PIPAに結合する1つまたは複数の抗体、ポリペプチドおよび/またはタンパク質、PIPAアゴニスト、PIPAアンタゴニスト、PIPA調節因子、ならびに/あるいは、PIPAに結合する1つまたは複数の抗体およびポリペプチドおよびタンパク質をコードする配列を含む1つまたは複数のポリヌクレオチドを含む。
本発明はさらに、任意のPIPAペプチドアゴニスト、PIPAペプチドアンタゴニストまたはPIPAペプチド調節因子と、特定のPIPAペプチドアゴニスト、PIPAペプチドアンタゴニストまたはPIPAペプチド調節因子の意図された機能(1つまたは複数)を支持するさらなる化学構造体とのコンジュゲートを提供する。このようなコンジュゲートには、高分子(例えば、本明細書中で議論される診断手法、スクリーニング手法または精製手法において使用される任意の不溶性の固体支持マトリックスなど)に共有結合的に結合されたPIPAペプチドアゴニスト、PIPAペプチドアンタゴニストまたはPIPAペプチド調節因子が含まれる。好適なマトリックス材料には、化学的に不活性であり、大きい多孔性を有し、また、ペプチドリガンドとの共有結合による連結を形成することができる非常に多くの官能基を有する任意の物質が含まれる。マトリックス−リガンドのコンジュゲートを調製するための様々なマトリックス材料および手法の例が、Dean他(編)、Affinity Chromatography:A Practical Approach、IRL Press(1985);Lowe、“An Introduction to Affinity Chromatography”、Work他(編)、Laboratory Techniques in Biochemistry and Molecular Biology、第7巻、Part II、North−Holland(1979);Porath他、“Biospecific Affinity Chromatography”、Neurath他(編)、The Proteins、第3版、第1巻、95頁〜178頁(1975);および、Scott、Affinity Chromatography、Dekker(1984)に記載される。
本明細書中にはまた、PIPAペプチドアゴニスト、PIPAペプチドアンタゴニストまたはPIPAペプチド調節因子と、本明細書中で議論される診断手法において使用される任意のレポーター成分とのコンジュゲートが提供される。
本発明のPIPAペプチドアゴニスト剤、PIPAペプチドアンタゴニスト剤またはPIPAペプチド調節因子剤、ポリペプチドおよびタンパク質は、PIP抗体またはPIP同等抗体を含めて、下記の基準のいずれか(1つまたは複数)によってさらなる同定および特長づけが行われる:(a)PIPA(これには、卵巣癌細胞、前立腺癌細胞、膵臓癌細胞、肺癌細胞、結腸癌細胞、子宮癌細胞または乳癌細胞(これらに限定されない)を含む癌細胞におけるPIPAが含まれる)に結合する能力;(b)PIPが優先的に結合するPIPAエピトープに優先的に結合する能力;および(c)生細胞の表面に露出しているPIPAの一部にインビトロまたはインビボで結合する能力;(d)生癌細胞(例えば、卵巣癌細胞、前立腺癌細胞、膵臓癌細胞、肺癌細胞、結腸癌細胞、子宮癌細胞または乳癌細胞(これらに限定されない)など)の表面に露出しているPIPAの一部に結合する能力;(e)PIPAを発現する癌性細胞(例えば、卵巣癌細胞、前立腺癌細胞、膵臓癌細胞、肺癌細胞、結腸癌細胞、子宮癌細胞または乳癌細胞(これらに限定されない)など)に化学療法剤または検出可能なマーカーを送達する能力;(f)PIPAを発現する癌性細胞(例えば、卵巣癌細胞および結腸癌細胞(これらに限定されない)など)に毒素を送達する能力;(g)PIPAを発現する癌性細胞(例えば、卵巣癌細胞および結腸癌細胞(これらに限定されない)など)の中に治療剤を送達する能力。
一部の実施形態において、本発明の抗体は、ATCC番号PTA−4220の寄託番号を有する宿主細胞またはその子孫によって産生される抗体PIPである。本発明はまた、PIPおよび同等な抗体またはポリペプチドフラグメント(例えば、Fab、Fab’、F(ab’)、Fv、Fcなど)、キメラ抗体、単鎖(ScFv)、それらの変異体、抗体部分を含む融合タンパク質、ヒト化抗体、および、要求される特異性の抗原(PIPA)認識部位を含むPIPの他の改変された形態の様々な配合物を包含する。本発明はまた、PIPの生物学的特長の1つまたは複数を示すヒト抗体を提供する。PIPの同等な抗体(これには、キメラ化またはヒト化された抗体およびヒト抗体が含まれる)、PIPのポリペプチドフラグメント、および、これらのフラグメントのいずれかを含むポリペプチドが、上記で記載された7つの基準のいずれか(1つまたは複数)によって同定および特長づけられる。
一部の実施形態において、PIPAに結合する本発明の抗体、ポリペプチドおよびタンパク質は、本明細書中に示される抗PIPA抗体(PIP)の優先的な結合を競合的に阻害する抗体、ポリペプチドおよびタンパク質である。一部の実施形態において、本発明の抗体、ポリペプチドおよびタンパク質は、抗体mu−PIPが優先的に結合するのと同じPIPA上のエピトープに優先的に結合する。
従って、本発明は、下記のいずれか(または下記のいずれかを含む組成物(これには、医薬組成物が含まれる))を提供する:(a)ATCC番号PTA−4220の寄託番号を有する宿主細胞またはその子孫によって産生される抗体PIP;(b)抗体PIPのヒト化形態;(c)抗体PIPの軽鎖可変領域および/または重鎖可変領域の1つまたは複数を含む抗体;(d)抗体PIPの重鎖および軽鎖の可変領域と相同的であるか、またはそのような可変領域に由来する可変領域と、ヒト抗体の重鎖および軽鎖の定常領域と相同的であるか、またはそのような定常領域に由来する定常領域とを含むキメラ抗体;(e)PIPの軽鎖CDRおよび/または重鎖CDRの1つまたは複数(少なくとも1個、2個、3個、4個、5個または6個)を含む抗体;(f)PIPの重鎖および/または軽鎖を含む抗体;(g)PIPと同等であるヒト抗体。抗体のヒト化形態は、PIP(すなわち、ATCC番号PTA−4220の寄託番号を有する宿主細胞またはその子孫によって産生される抗体)と同等であるCDRを有してもよく、またはそのようなCDRを有しなくてもよい。CDR領域の決定は十分にこの分野の技術の範囲内である。一部の実施形態において、本発明は、PIP(すなわち、ATCC番号PTA−4220の寄託番号を有する宿主細胞によって産生される抗体)の少なくとも1つのCDR、またはPIPに由来する少なくとも1つのCDRに対して実質的に相同的である少なくとも1つのCDRを含む抗体を提供する。他の実施形態には、PIP(すなわち、ATCC番号PTA−4220の寄託番号を有する宿主細胞によって産生される抗体)のCDRまたはPIPに由来するCDRの少なくとも2個、3個、4個、5個または6個に対して実質的に相同的である少なくとも2個、3個、4個、5個または6個のCDRを有する抗体が含まれる。本発明の目的のために、結合特異性および/または全体的な活性(これは、癌性細胞の成長および/または増殖を低下させること、癌細胞においてアポトーシス細胞死を誘導すること、転移の発達を遅らせること、ならびに/あるいは苦痛を一時的に処置することに関し得る)は一般に保持され、しかし、活性の程度は、PIPと比較して変化し得る(増大または低下し得る)ことが理解される。本発明はまた、これらの抗体のいずれかを作製する方法を提供する。抗体を作製する様々な方法がこの分野では知られており、本明細書中に記載される。
本発明はまた、本発明の抗体(例えば、PIPなど)のアミノ酸配列を含むポリペプチドを提供する。一部の実施形態において、ポリペプチドは抗体PIPの軽鎖可変領域および/または重鎖可変領域の1つまたは複数を含む。一部の実施形態において、ポリペプチドはPIPの軽鎖CDRおよび/または重鎖CDRの1つまたは複数を含む。一部の実施形態において、ポリペプチドはPIPの軽鎖および/または重鎖の3つのCDRを含む。一部の実施形態において、ポリペプチドは、下記のいずれかを有するPIPのアミノ酸配列を含む:PIPの配列の少なくとも5個の連続したアミノ酸、少なくとも8個の連続したアミノ酸、少なくとも約10個の連続したアミノ酸、少なくとも約15個の連続したアミノ酸、少なくとも約20個の連続したアミノ酸、少なくとも約25個の連続したアミノ酸、少なくとも約30個の連続したアミノ酸、ただし、これらのアミノ酸のうちの少なくとも3個はPIPの可変領域に由来する。1つの実施形態において、可変領域はPIPの軽鎖に由来する。別の実施形態において、可変領域はPIPの重鎖に由来する。別の実施形態において、5個(またはそれ以上)の連続するアミノ酸がPIPの相補性決定領域(CDR)に由来する。
本発明の一部にの実施形態において、本発明のPIPA、PIPAの一部、PIP抗体もしくはPIP同等抗体、または他のPIPA結合ポリペプチドを発現する本発明の細胞は、それらのインビボPIPA生物学的活性を調節するために個体に直接、投与される。
抗体はポリクローナル(例えば、均一でない)またはモノクローナルであり得る。モノクローナル抗体を作製する様々な方法がこの分野では知られている。用いられ得る1つの方法が、KohlerおよびMilstein、Nature、256:495〜497(1975)、またはその改変法である。一般に、マウスまたはラットが免疫化のために使用され、しかし、他の動物もまた使用することができる。免疫原は、初代細胞、培養された細胞株、癌性細胞、核酸または組織であり得るが、これらに限定されない。1つの実施形態において、ヒトのミューラー管由来上皮細胞が使用される。ミューラー管由来上皮細胞を単離および培養するための方法(米国特許第6,416,999号を参照のこと)が下記の実施例1に詳しく記載される。免疫原のために使用される細胞、例えば、ミューラー管由来上皮細胞は、免疫源としてのその使用に先だって一定の時間(少なくとも24時間)培養することができる。細胞(例えば、ミューラー管由来上皮細胞)は、単独で、または非変性性のアジュバント(RiBiなど)との組合せで免疫原として使用することができる。一般に、細胞(例えば、ミューラー管由来上皮細胞)は、免疫原として使用されるときには、無傷で、かつ好ましくは生存可能に保たなければならない。無傷な細胞は、抗原が破裂細胞よりも良好に検出されることを可能にし得る。変性性または過酷なアジュバント(例えば、フロイントアジュバント)の使用はミューラー管由来上皮細胞を破裂させることがあり、従ってその使用は控えられる。別の実施形態において、全長のPIPA、またはPIPAの任意のフラグメント、またはPIPAを発現する癌細胞が免疫原として使用される。免疫原は、週2回または週1回などの定期的な間隔で多数回、投与することができ、あるいは、(例えば、組織組換えでの)動物における生存性を維持するような方法で投与することができる。
抗体応答をモニターするために、少量の生物学的サンプル(例えば、血液)を動物から得て、免疫原に対する抗体力価について試験することができる。脾臓および/または数個の大きいリンパ節を取り出し、単一細胞に解離させることができる。所望されるならば、脾臓細胞を、細胞懸濁物を抗原で被覆されたプレートまたはウエルに適用することによって、(非特異的に接着した細胞を除いた後)スクリーニングすることができる。抗原に対して特異的な膜結合型免疫グロブリンを発現するB細胞がプレートに結合し、従って、そのようなB細胞は、懸濁物の残り部分と一緒に洗い流されない。得られるB細胞、またはすべての解離した脾臓細胞は、その後、骨髄腫細胞(例えば、X63−Ag8.653、およびSalk Institute、Cell Distribution Center(San Diego)から得られる骨髄腫細胞)と融合させることができる。ポリエチレングリコール(PEG)を、脾臓またはリンパ球を骨髄腫細胞と融合させて、ハイブリドーマを形成させるために使用することができる。ハイブリドーマは、その後、選択培地(例えば、ヒポキサンチン/アミノプテリン/チミジン培地、この培地は別名「HAT培地」として知られている)において培養される。その後、得られるハイブリドーマは限界希釈によって置床され、FACSまたは免疫組織化学(IHC)スクリーニングを使用して、免疫原(例えば、ミューラー管由来上皮細胞の表面、癌細胞株の表面、PIPAなど)に特異的に結合する抗体の産生についてアッセイされる。選択されたモノクローナル抗体分泌ハイブリドーマは、その後、インビトロ(例えば、組織培養ボトルまたは中空繊維反応器において)またはインビボ(例えば、マウスにおける腹水として)のいずれかで培養される。下記の実施例2〜実施例3では、PIPAに結合する抗体PIPを得るために、またスクリーニングするために利用された方法が詳しく記載される。ハイブリドーマを、抗体PIPを生じさせるための条件のもとで培養する方法、および抗体を精製する方法はこの分野では知られており、これらもまたさらに、実施例2および実施例3において詳しく記載される。
細胞融合技術に代わる別の方法として、EBV不死化B細胞を、本発明のモノクローナル抗体を作製するために使用することができる。ハイブリドーマは、所望される場合、拡大培養およびサブクローニングが行われ、上清が従来のアッセイ手法(例えば、FACS、IHC、放射免疫アッセイ、酵素免疫アッセイ、蛍光免疫アッセイなど)によって抗免疫原活性についてアッセイされる。
別の代わりの方法において、モノクローナル抗体PIPおよび任意の他の同等な抗体は配列決定することができ、この分野で知られている任意の手段(例えば、ヒト化、完全なヒト抗体を作製するための遺伝子組換えマウスの使用、ファージディスプレー技術など)によって組換え製造することができる。1つの実施形態において、PIPモノクローナル抗体が配列決定され、その後、そのポリヌクレオチド配列が発現または増殖のためにベクターにクローン化される。目的とする抗体をコードする配列は宿主細胞においてベクター内に維持され得る。宿主細胞は、その後、将来の使用のために拡大および凍結することができる。
図4には、PIPモノクローナル抗体のκ軽鎖の可変領域の核酸配列および対応する翻訳タンパク質配列が、生来的なシグナル配列を含めて示される。図4にはまた、生来的なシグナル配列を含む、PIPモノクローナル抗体の重鎖の可変領域の核酸配列および対応する翻訳タンパク質配列が含まれる。
上記のモノクローナル抗体分泌ハイブリドーマは、抗体PIPが優先的に結合するPIPA上のエピトープに優先的に結合する抗体を産生することについて選択することができる。そのような抗体を選択する様々な方法がこの分野では知られている。例えば、結合競合アッセイを、抗体が、PIPと同じエピトープに結合するかどうかを明らかにするために使用することができる。PIPAに対する結合について抗体がPIPと競合することにより、その抗体は、PIPが結合するエピトープに優先的に結合することが示される。様々な結合競合アッセイがこの分野では広く知られている。抗体PIPが優先的に結合するPIPA上のエピトープに優先的に結合するポリペプチドもまた、類似する方法を使用して試験し、同定することができる。
別の代わりの方法において、抗体PIPまたは任意の他の抗体もしくは目的とするタンパク質は、当業者には広く知られているエドマン分解による配列決定に供することができる。質量分析法またはエドマン分解から得られるペプチド情報は、目的とするタンパク質をクローン化するために使用されるプローブまたはプライマーを設計するために使用することができる。
目的とするタンパク質をクローン化する代わりの方法は、目的とする抗体またはタンパク質を発現する細胞について、PIPAを使用して「パンニング」することによるものである。この「パンニング」手法は、目的とする抗体またはタンパク質を発現する組織または細胞からcDNAライブラリーを得ること、第2の細胞タイプにおいてcDNAを過剰発現させること、PIPAに対する特異的な結合について第2の細胞タイプのトランスフェクションされた細胞をスクリーニングすることによって行われる。細胞表面タンパク質をコードする哺乳動物遺伝子を「パンニング」によってクローン化する際に使用される様々な方法の詳細な記載がこの分野では見出され得る。例えば、Aruffo,A.およびSeed.B、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、84:8573〜8577(1987);および、Stephan,J.他、Endcrinology、140:5841〜5854(1999)を参照のこと。
cDNAは、特定の細胞タイプから得られたmRNAをこの分野における標準的な方法に従って逆転写することによって得ることができる。具体的には、mRNAが、Sambrook他(上記)に示される手順に従って様々な溶解酵素または化学的溶液を使用して単離され得るか、あるいは、製造者(例えば、Qiagen、Invitrogen、Promega)により提供される添付された説明書に従って市販の核酸結合性樹脂によって抽出され得る。合成されたcDNAは、その後、目的とする抗体またはタンパク質を第2のタイプの細胞において産生させるために発現ベクターに導入される。発現ベクターは、エピソームとして、または染色体DNAの構成部分として、そのいずれかで宿主細胞において複製可能でなければならないことが暗示される。好適な発現ベクターには、プラスミド、ウイルスベクター(これには、アデノウイルス型、アデノ関連ウイルス型、レトロウイルス型が含まれる)、およびコスミドが含まれるが、これらに限定されない。
目的とするポリヌクレオチドを含有するベクターは、エレクトロポレーション、塩化カルシウム、塩化ルビジウム、リン酸カルシウム、DEAE−デキストランまたは他の物質を用いるトランスフェクション;微小発射物による衝撃;リポフェクション;および感染(例えば、ベクターがワクシニアウイルスなどの感染性因子である場合)を含む数多くの適切な手段のいずれかによって宿主細胞に導入することができる。導入するためのベクターまたはポリヌクレオチドの選択は、多くの場合、宿主細胞の特長に依存する。
異種DNAを過剰発現することができる任意の宿主細胞を、目的とする抗体、ポリペプチドまたはタンパク質をコードする遺伝子を単離する目的のために使用することができる。哺乳動物宿主細胞の非限定的な例には、COS細胞、HeLa細胞およびCHO細胞が含まれるが、これらに限定されない。好ましくは、宿主細胞は、存在する場合には対応する内因性の目的とする抗体またはタンパク質のレベルよりも約5倍大きいレベルで、または約10倍大きいレベルで、または好ましくは約20倍大きいレベルでcDNAを宿主細胞において発現する。PIPAに対する特異的な結合について宿主細胞をスクリーニングすることは、免疫アッセイまたはFACSによって行われる。目的とする抗体またはタンパク質を過剰発現する細胞を同定することができる。
本発明は、本発明の抗体(例えば、PIPなど)のアミノ酸配列を含むポリペプチドを包含する。本発明のポリペプチドは、この分野で知られている様々な手法によって作製することができる。ポリペプチドは、抗体のタンパク質分解的分解または他の分解によって、あるいは上記のような組換え方法によって(例えば、単一ポリペプチドまたは融合ポリペプチド)によって、あるいは化学合成によって製造することができる。抗体の様々なポリペプチド(特に、約50アミノ酸までのより短いポリペプチド)が化学合成によって都合よく作製される。化学合成の様々な方法がこの分野では知られており、商業的に利用することができる。例えば、PIPポリペプチドを、固相法を用いる自動化されたポリペプチド合成機によって製造することができる。
本発明はまた、本発明の抗体(例えば、PIPなど)の単鎖可変領域フラグメント(「scFv」)を包含する。単鎖可変領域フラグメントは、短い連結ペプチドを使用することにより軽鎖可変領域および/または重鎖可変領域を連結することによって作製される。Bird他(1988)、Science、242、423〜426。連結ペプチドの一例が(GGGGS)(配列番号1)であり、これは、1つの可変領域のカルボキシ末端と、それ以外の可変領域のアミノ末端との間を約3.5nmで架橋する。他の配列のリンカーが設計され、使用されている。Bird他(1988)。リンカーは、薬物の結合または固体担体への結合などのさらなる機能のために改変することができる。単鎖改変体は、組換えまたは合成のいずれかによって製造することができる。scFvの合成による製造の場合、自動化された合成機を使用することができる。scFvの組換えによる製造の場合、scFvをコードするポリヌクレオチドを含有する好適なプラスミドを、真核生物細胞(例えば、酵母細胞、植物細胞、昆虫細胞または哺乳動物細胞など)または原核生物細胞(例えば、大腸菌など)のいずれかであっても好適な宿主細胞に導入することができる。目的とするscFvをコードするポリヌクレオチドは、ポリヌクレオチドの連結などの日常的な操作によって作製することができる。得られるscFvは、この分野で知られている標準的なタンパク質精製技術を使用して単離することができる。
本発明は、その性質に大きく影響しない、抗体PIPなどの抗体(これには、PIPの機能的に同等な抗体およびポリペプチドが含まれる)に対する改変体、および、増強された活性または低下した活性を有する改変体を包含する。ポリペプチドの改変は、この分野における日常的な実施であり、本明細書中では詳細に記載する必要はない。改変されたポリペプチドの例には、アミノ酸残基の保存的置換、あるいは機能的活性を著しく有害に変化させないアミノ酸の1つまたは複数の欠失または付加、あるいは化学的アナログの使用を伴うポリペプチドが含まれる。別のアミノ酸に保存的に置換され得るアミノ酸残基には、グリシン/アラニン;バリン/イソロイシン/ロイシン;アスパラギン/グルタミン;アスパラギン酸/グルタミン酸;セリン/トレオニン;リジン/アルギニン;およびフェニルアラニン/チロシンが含まれるが、これらに限定されない。このようなポリペプチドにはまた、グリコシル化ポリペプチドおよび非グリコシル化ポリペプチド、ならびに、種々の糖によるグリコシル化、アセチル化およびリン酸化などの他の翻訳後修飾を有するポリペプチドが含まれる。好ましくは、アミノ酸置換は保存的である。すなわち、置換後のアミノ酸は、元のアミノ酸の化学的性質と類似する化学的性質を有する。様々なそのような保存的置換がこの分野では知られており、様々な例が上記に提供されている。アミノ酸修飾は、1つまたは複数のアミノ酸を変化または改変することから、可変領域などの領域の完全な再設計にまで及び得る。可変領域における変化は結合親和性および/または結合特異性を変化させ得る。他の改変方法には、酵素的手段、酸化的置換およびキレート化(これらに限定されない)を含むこの分野で知られているカップリング技術を使用することが含まれる。様々な改変を、例えば、免疫アッセイのために標識を結合するために使用することができ、例えば、放射免疫アッセイのために放射活性成分を結合するためなどに使用することができる。改変されたPIPポリペプチドは、この分野における確立された手法を使用して作製され、それらは、この分野で知られている標準的なアッセイ(そのいくつかが下記および下記の実施例3において記載される)を使用してスクリーニングすることができる。
本発明はまた、本発明の抗体(例えば、PIPなど)に由来する1つまたは複数のフラグメントまたは領域を含む融合タンパク質を包含する。1つの実施形態において、可変軽鎖領域の少なくとも10個の連続したアミノ酸と、可変重鎖領域の少なくとも10個のアミノ酸とを含む融合ポリペプチドが提供される。別の実施形態において、融合ポリペプチドは異種の免疫グロブリンの定常領域を含有する。別の実施形態において、融合ポリペプチドはPIPの軽鎖可変領域および重鎖可変領域を含有する。本発明の目的のために、PIP融合タンパク質は、1つまたは複数のPIPポリペプチドと、天然の分子では結合していない別のアミノ酸配列(例えば、異種の配列、または別の領域に由来する相同的な配列)とを含有する。任意のPIPポリペプチドを、この分野で知られている様々な方法によって、例えば、合成または組換えにより作製することができる。
別の実施形態において、重鎖および/または軽鎖が融合タンパク質であるPIPキメラ体が提供される。一部の実施形態において、鎖の定常ドメインが1つの特定の種および/またはクラスに由来し、可変ドメインが異なる種および/またはクラスに由来する。例えば、キメラ抗体(一部の実施形態において)は、定常領域がヒト起源に由来し、可変領域が相同的であるか、またはPIP(すなわち、マウス)に由来するものである。本発明にはまた、ヒト化された可変領域を有する抗体が含まれ、この場合(一部の実施形態において)、CDR領域がPIPアミノ酸配列を含み、その一方で、フレームワーク領域がヒト配列に由来する。他の形態のヒト化抗体がこの分野では知られており、本明細書中に記載される。キメラ体の機能的なフラグメントもまた考えられる。一例として、ヒト化Fabフラグメントがあり、これは、ヒトのヒンジ領域と、ヒトの第1の定常領域と、ヒトのκ軽鎖定常領域または重鎖定常領域と、PIPに由来する軽鎖および/または重鎖の可変領域とを含有する。PIPのヒト化Fabフラグメントはまた、Fabダイマーを形成させるために作製することができる。典型的には、本発明のPIP融合タンパク質およびPIPキメラは、本明細書中に記載される組換え方法を使用して、それらをコードするポリヌクレオチドを調製し、発現させることによって作製される。だが、本発明のPIP融合タンパク質およびPIPキメラはまた、例えば、化学合成を含むこの分野で知られている他の手段によって調製することができる。例えば、米国特許第5,807,715号、同第4,816,567号および同第6,331,415号を参照のこと。
本発明はまた、ヒト化抗体を包含する。抗体(例えば、PIPまたは同等な抗体など)のポリヌクレオチド配列を、「ヒト化」抗体を作製するためのの遺伝子操作のために、あるいは、抗体の親和性または他の特性を改善するための遺伝子操作のために使用することができる。抗体をヒト化する際の一般的な原理は、抗体の抗原結合性部分を変化させず、その一方で、抗体の残りの非ヒト部分をヒト抗体配列で取り替えることを伴う。モノクローナル抗体をヒト化するためには4つの一般的な工程が存在する。これらは、(1)出発する抗体の軽鎖可変ドメインおよび重鎖可変ドメインのヌクレオチド配列および推定されるアミノ酸配列を決定すること;(2)ヒト化抗体を設計すること、すなわち、ヒト化プロセスのときにどの抗体フレームワーク領域を使用するかを決定すること;(3)実際のヒト化方法論/技術;および(4)ヒト化抗体のトランスフェクションおよび発現である。例えば、抗体がヒトでの臨床試験および処置において使用されるならば、定常領域は、ヒトの定常領域に対してより一層似せて、免疫応答を避けるために操作することができる。例えば、米国特許第5,997,867号および同第5,866,692号を参照のこと。
非ヒト免疫グロブリンに由来する抗原結合性部位を含む数多くの「ヒト化」抗体分子が記載されており、それらには、齧歯類のV領域およびそれらの関連した相補性決定領域(CDR)がヒトの定常ドメインに融合されたキメラ抗体が含まれる。例えば、Winter他、Nature、349:293〜299(1991);Lobuglio他、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、86:4220〜4224(1989);Shaw他、J Immunol.、138:4534〜4538(1987);および、Brown他、Cancer Res.、47:3577〜3583(1987)を参照のこと。他の参考文献には、適切なヒト抗体定常領域との融合に先立ってヒトの支持用フレームワーク領域(CDR)に接がれた齧歯類CDRが記載される。例えば、Riechmann他、Nature、332:323〜327(1988);Verhoeyen他、Science、239:1534〜1536(1988);および、Jones他、Nature、321:522〜525(1986)を参照のこと。別の参考文献では、組換え的に張り合わされた齧歯類FRによって支持される齧歯類CDRが記載される。例えば、欧州特許公報第519,596号を参照のこと。これらの「ヒト化」分子は、ヒト受容者におけるそのような成分の治療的適用の持続期間および有効性を制限する、齧歯類抗ヒト抗体分子に対する望ましくない免疫学的応答を最小限に抑えるように設計されている。同様に利用され得る、抗体をヒト化する他の方法が、Daugherty他、Nucl.Acids Res.、19:2471〜2476(1991)によって示され、また、米国特許第6,180,377号、同第6,054,297号、同第5,997,867号および同第5,866,692号において開示される。
さらに別の代わりの方法において、完全なヒト抗体を、特定のヒト免疫グロブリンタンパク質を発現するように操作されている市販のマウスを使用することによって得ることができる。より望ましい免疫応答(例えば、完全なヒト抗体)またはより堅固な免疫応答をもたらすように設計されている遺伝子組換え動物もまた、ヒト化抗体またはヒト抗体を作製するために使用することができる。そのような技術の例には、Abgenix、Inc.(Fremont、CA)から得られるXenomouseTM、ならびに、Medarex,Inc.(Princeton、NJ)から得られるHuMAb−Mouse(登録商標)およびTC Mouse(登録商標)がある。
PIPAに対するモノクローナル抗体は、癌または他の疾患を有する個体における治療目的のために使用することができる。PIPまたはPIP同等抗体を用いた治療では、上記で記載されたように、インビトロおよびインビボの両方での複合体の形成が伴い得る。1つの実施形態において、モノクローナル抗体PIPは癌性細胞に結合し、その増殖を低下させることができる。抗体は、生理学的(例えば、インビボ)条件での結合を促進させる濃度で投与されることが理解される。別の実施形態において、モノクローナル抗体PIPは、種々の組織の癌性細胞(例えば、卵巣癌、結腸癌、肺癌、乳癌、子宮癌、前立腺癌、膵臓癌、腎臓癌、および、肉腫などの他のタイプの癌など)に向けられた免疫治療のために使用することができる。別の実施形態において、モノクローナル抗体PIPは単独で、癌細胞に結合し、その癌細胞における細胞分裂を低下させることができる。別の実施形態において、モノクローナル抗体PIPは癌性細胞に結合し、転移の発達を低下させることができる。さらに別の実施形態において、癌を有する個体に、苦痛緩和処置がPIPとともに施される。癌を有する個体の苦痛緩和処置では、疾患の不都合な症状、または、癌の進行に直接的には影響することなく疾患のために施される他の処置から生じる医原性の症状を処置または軽減することが伴う。これには、痛み、栄養的補助、性的問題、心理学的苦悩、疲労、精神医学的障害、悪震、嘔吐などを緩和するための処置が含まれる。
そのような状況において、PIPは、個体自身の免疫応答を高めるか、または誘導する薬剤(例えば、ADCCを強める薬剤など)とともに投与することができる。
さらに別の実施形態において、モノクローナル抗体PIPは、放射性分子、毒素(例えば、カリケアマイシン)、化学療法分子、または、化学療法化合物を含有するリポソームもしくは他の小胞に対する複合化、または、それらとの連係が可能であり、そして、抗体によって認識される抗原を含有する癌細胞に対してこれらの化合物を標的化し、従って、癌性細胞または病変細胞を除くために、そのような処置を必要としている個体に投与することができる。何らかの特定の理論に限定されないが、PIPは、PIPAをその表面に有する細胞によって内在化され、従って、複合化された成分を細胞に送達して、その治療的効果を誘導する。さらに別の実施形態において、抗体は、転移の発達を遅らせるために、抗原を発現する癌の手術的除去のときにおける補助治療として用いることができる。抗体はまた、腫瘍のサイズを低下させ、従って手術を可能にするか、もしくは単純化するために、かつ/または、手術時に組織に危害を加えないために、かつ/または、生じる醜い跡を減少させるために、抗原を発現する腫瘍を有する個体において手術前に投与することができる(ネオアジュバント治療)。
細胞周期投薬が本発明の実施において考えられる。そのような実施形態において、化学療法剤が、腫瘍または他の標的病変細胞の細胞周期を所定の段階で同調させるために使用される。続いて、PIP(単独、またはさらなる治療的成分とともに)の投与が行われる。代わりの実施形態において、PIPが、第2ラウンドの処置を施す前に細胞周期を同調させ、細胞分裂を低下させるために使用される。この場合、第2ラウンドは、PIPまたはPIP同等抗体および/またはさらなる治療的成分の投与であり得る。
化学療法剤には、放射性分子、毒素(これはまた、細胞毒または細胞傷害性薬剤と呼ばれ、これらは、癌性細胞の生存性にとって有害である任意の薬剤が含まれる)、薬剤、ならびに、化学療法化合物を含有するリポソームまたは小胞が含まれる。好適な化学療法剤の例には、1−デヒドロテストステロン、5−フルオロウラシルデカルバジン、6−メルカプトプリン、6−チオグアニン、アクチノマイシンD、アドリアマイシン、アルデスロイキン、アルキル化剤、アロプリノールナトリウム、アルトレタミン、アミホスチン、アナストロゾール、アントラマイシン(AMC)、細胞分裂阻止剤、cis−ジクロロジアミン白金(II)(DDP)(シスプラチン)、ジアミノジクロロ白金、アントラサイクリン類、抗生物質、代謝拮抗剤、アスパラギナーゼ、BCG生(嚢内)、リン酸ベタメタゾンナトリウムおよび酢酸ベタメタゾン、ビカルタミド、硫酸ブレオマイシン、ブスルファン、カルシウムロイコウオリン、カリケアマイシン、カペシタビン、カルボプラチン、ロムスチン(CCNU)、カルムスチン(BSNU)、クロラムブチル、シスプラチン、クラドリビン、コルヒチン、複合化エストロゲン類、シクロホスファミド、シクロトスファミド、シタラビン、シタラビン、サイトカラシンB、シトキサン、デカルバジン、ダクチノマイシン、ダクチノマイシン(以前にはアクチノマイシン)、ダウノルビシンHCL、クエン酸ダウノルビシン、デニロイキンジフチトクス、デクスラゾキサン、ジブロモマンニトール、ジヒドロキシアントラシンジオン、デセタキセル、ドラセトロンメシラート、ドキソルビシンHCL、ドロナビノール、大腸菌L−アスパラギナーゼ、エメチン、エポエチンα、エルウィニアL−アスパラギナーゼ、エステル化エストロゲン類、エストラジオール、リン酸エストラムスチンナトリウム、臭化エチジウム、エチニルエストラジオール、エチドロナート、エトポシド、シトロロルム因子、リン酸エトポシド、フィルグラスチン、フロクスウリジン、フルコナゾール、リン酸フルダラビン、フルオロウラシル、フルタミド、ホリニン酸、ゲムシタビンHCL、グルココルチコイド類、酢酸ゴセレリン、グラミシジンD、グラニセトロンHCL、ヒドロキシウレア、イダルビシンHCL、イホスファミド、インターフェロンα−2b、イリノテカンHCL、レトロゾール、ロイコボリンカルシウム、酢酸ロイプロリド、レバミソールHCL、リドカイン、ロムスチン、メイタンシノイド、メクロレタミンHCL、酢酸メドロキシプロゲステロン、酢酸メゲストロール、メルファランHCL、メルカプチプリン、メスナ、メトトレキサート、メチルテストステロン、ミトラマイシン、マイトマイシンC、ミトタン、ミトキサントロン、ニルタミド、酢酸オクトレオチド、オンダンセトロンHCL、パクリタキセル、パミドロナート二ナトリウム、ペントスタチン、ピロカルピンHCL、プリマイシン、カルムスチンを伴うポリフェプロサン20のインプラント、ポルフィメルナトリウム、プロカイン、プロカルバジンHCL、プロプラノロール、リツキシマブ、サルグラモスチン、ストレプトゾトシン、タモキフェン、タキソール、テニポシド、テノポシド、テストラクトン、テトラカイン、チオテパクロラムブチル、チオグアニン、チオテパ、トポテカンHCL、クエン酸トレミフェン、トラツズマブ、トレチノイン、バルルビシン、硫酸ビンブラスチン、硫酸ビンクリスチンおよび酒石酸ビノレルビンが含まれるが、これらに限定されない。
本発明の放射性分子には、癌性細胞を殺すことにおいて効果的である任意の放射性同位体が含まれる。例には、コバルト−60およびX線が含まれるが、これらに限定されない。また、典型的には放射性同位体の混合物である天然に存在する放射性元素(例えば、ウラン、ラジウムおよびトリウムなど)は放射性分子の好適な例である。
本発明の抗体は、抗体が結合する病変細胞または癌腫細胞の中に内在化され得るので、治療的適用のために、例えば、それらの不都合な活性のために内在化されることが必要とされる毒素を細胞内に送達するために特に有用である。本発明の毒素には、タキソール、サイトカラシンB、グラミシジンD、臭化エチジウム、エメチン、マイトマイシン、エトポシド、テノポシド、ビンクリスチン、ビンブラスチン、コルヒチン、ドキソルビシン、ダウニルビシン、ジヒドロキシアントラシンジオン、ミトキサントロン、ミトラマイシン、アクチノマイシンD、1−デヒドロテストステロン、グルココルチコイド類、プロカイン、テトラカイン、リドカイン、プロプラノロールおよびピューロマイシン、ならびにそれらのアナログまたは同族体が含まれるが、これらに限定されない。
好ましい実施形態において、細胞毒は、非分裂細胞が毒性効果から比較的逃れられるように、分裂中の細胞または迅速に分裂している細胞において特に効果的である。
本発明の抗体またはポリペプチドは、放射性分子、毒素、または他の治療剤に対して、あるいは治療剤を含有するリポソームまたは他の小胞に対して、共有結合的または非共有結合的に、直接的または間接的に複合化(連結)することができる。抗体は、抗体がその標的PIPAと結合することができる限り、放射性分子、毒素または治療分子に、抗体に沿った任意の場所において連結することができる。
毒素または治療剤は、直接的または間接的のいずれかで、(例えば、リンカー基を介して、あるいは、適切な結合部位を有する連結分子を介して、例えば、米国特許第5,552,391号に記載されるようなプラットホーム分子などを介して)好適なモノクローナル抗体にカップリングすることができる(例えば、共有結合的に結合させることができる)。本発明の毒素および治療剤は、この分野で知られている方法を使用して、特定の標的化タンパク質に直接カップリングすることができる。例えば、薬剤と抗体との間での直接的な反応が、それぞれが、もう一方と反応することができる置換基を有するときには可能である。例えば、一方における求核基(例えば、アミノ基またはスルフヒドリル基など)は、カルボニル含有基(例えば、無水物または酸ハリドなど)と、または、良好な脱離基(例えば、ハリド)を反対側に含有するアルキル基と反応することができる。
抗体またはポリペプチドはまた、マイクロキャリアを介して治療剤に連結させることができる。マイクロキャリアは、水中では不溶性である、サイズが約150μm未満または120μm未満または100μm未満のサイズ(より一般的には約50μm〜60μm、好ましくは約10μm未満、5μm未満、2.5μm未満、2μm未満または1.5μm未満)を有する生分解性または非生分解性の粒子を示す。マイクロキャリアには、約1μm未満のサイズ(好ましくは約500nm未満)を有するマイクロキャリアである「ナノキャリア」が含まれる。そのような粒子はこの分野では知られている。固相マイクロキャリアは、生体適合性の天然に存在するポリマー、合成ポリマーまたは合成共重合体から形成される粒子であり得る。これらは、アガロースまたは架橋アガロース、ならびに、この分野で知られている他の生分解性物質から形成されるマイクロキャリアを含んでもよく、または含まなくてもよい。生分解性の固相マイクロキャリアは、哺乳動物の生理学的条件のもとで分解可能であるポリマー(例えば、ポリ(乳酸)、ポリ(グリコール酸)およびそれらの共重合体)から、または、哺乳動物の生理学的条件のもとで浸食性であるポリマー(例えば、ポリ(オルトエステル)、例えば、3,9−ジエチリデン−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン(DETOSU)など、またはポリ(無水物)、例えば、セバシン酸のポリ(無水物)など)から形成され得る。マイクロキャリアはまた、液相(例えば、オイルまたは脂質に基づく)、そのようなリポソーム、抗原を伴わないイスコム(iscom)(免疫刺激性複合体、これは、コレステロールの安定な複合体であり、リン脂質で、アジュバント活性サポリンである)、または、水中油エマルションもしくは油中水エマルションにおいて見出される液滴もしくはミセルであってもよく、ただし、液相マイクロキャリアは生分解性である。生分解性の液相マイクロキャリアは典型的には生分解性のオイルを含み、数多くのそのようなオイルがこの分野では知られており、これらには、スクワレンおよび植物油が含まれる。マイクロキャリアは典型的には形状が球状であり、しかし、球状の形状から逸脱するマイクロキャリアもまた許容され得る(例えば、楕円状、桿形状など)。その不溶性(水に関して)のために、マイクロキャリアは水および水系溶液(水溶液)からろ過可能である。
本発明の抗体コンジュゲートまたはポリペプチドコンジュゲートは、毒性薬剤または治療剤にカップリングすることができる基と、抗体にカップリングすることができる基との両方を含有する二官能性リンカーを含むことができる。リンカーは、結合能力の妨害を避けるために、抗体を薬剤から遠ざけるためのスペーサーとして機能させることができる。リンカーは切断可能または切断不能であり得る。リンカーはまた、薬剤または抗体における置換基の化学的反応性を増大させるために役立ち、従ってカップリング効率を増大させることができる。化学的反応性の増大はまた、それでない場合には不可能である薬剤の使用または薬剤上の官能基の使用を容易にし得る。二官能性リンカーを、この分野で知られている手段によって抗体にカップリングすることができる。例えば、活性エステル成分を含有するリンカー、例えば、N−ヒドロキシスクシンイミドエステルなどを、アミドリンカーを介して抗体におけるリジン残基にカップリングするために使用することができる。別の例では、求核性のアミン残基またはヒドラジン残基を含有するリンカーを、抗体の炭水化物残基の糖分解酸化により生じるアルデヒド基にカップリングすることができる。これらの直接的なカップリング方法に加えて、リンカーは、アミノデキストランなどの中間キャリアによって抗体に間接的にカップリングすることができる。これらの実施形態において、改変された連結はリジンまたは炭水化物または中間キャリアのいずれかを介する。1つの実施形態において、リンカーはタンパク質におけるフリーのチオール残基に部位選択的にカップリングされる。タンパク質上のチオール基に対する選択的なカップリングのために好適である様々な成分がこの分野では広く知られている。例には、ジスルフィド化合物、α−ハロカルボニル化合物およびα−ハロカルボキシル化合物、ならびにマレイイミド類が含まれる。求核性のアミン官能基がα−ハロカルボニル基またはα−ハロカルボキシル基と同じ分子に存在するとき、環化がアミンの分子内アルキル化により生じる可能性が存在する。この問題を防止するための様々な方法が、当業者には広く知られており、例えば、アミン官能基およびα−ハロ官能基が、望ましくない環化を立体化学的に不利にする非柔軟性の基(例えば、アリール基またはtrans−アルケンなど)により隔てられる分子の調製によって行われる。例えば、ジスルフィド成分を介するメイタンシノイドおよび抗体のコンジュゲートの調製について、米国特許第6,441,163号を参照のこと。
抗体−薬物のコンジュゲートを調製するために使用され得る切断可能なリンカーの1つが、受容体媒介によるエンドサイトーシスのときに遭遇するエンドソーム、およびリソソームなどの種々の細胞内区画の酸性環境を利用する、cis−アコニチン酸に基づく、酸に不安定なリンカーである。例えば、ダウノルビシンと高分子キャリアとのコンジュゲートの調製について、Shen他、Biochem.Biophys.Res.Commun.、102:1048〜1054(1981);抗黒色腫抗体に対するダウノルビシンとコンジュゲートの調製について、Yang他、J.Natl.Canc.Inst.、80:1154〜1159(1988);ダウノルビシンと抗T細胞抗体とのコンジュゲートを調製するために類似する様式で酸に不安定なリンカーを使用することについて、Dillman他、Cancer Res.、48:6097〜6102(1988);ペプチドスペーサーアームを介してダウノルビシンを抗体に連結することについて、Trouet他、Proc.Natl.Acad.Sci.、79:626〜629(1982)を参照のこと。
本発明の抗体(またはポリペプチド)は、この分野で知られている任意の方法によって放射性分子に複合化(または連結)することができる。抗体を放射能標識するための方法の議論については、“Cancer Therapy with Monoclonal Antibodies”(D.M.Goldenberg編、CRC Press、Boca Raton、1995)を参照のこと。
あるいは、抗体を、Segalによって米国特許第4,676,980号に記載されるような抗体ヘテロコンジュゲートを形成させるために第2の抗体に複合化することができる。架橋された抗体の形成は、特定タイプの細胞(例えば、PIPAを発現する癌細胞または病変細胞)に対して免疫系を標的化することができる。
本発明の抗体(またはポリペプチド)は、標識化薬剤(あるいは「標識」と呼ばれる)、例えば、この分野で知られている蛍光分子または放射性分子または任意の他の標識などに連結することができる。シグナルを(直接的または間接的のいずれかで)一般に提供する様々な標識がこの分野では知られている。
本発明の抗体、ポリペプチドおよびタンパク質の能力、例えば、PIPAを発現する癌性細胞の成長を阻害する能力、PIPAを発現する癌を有する個体における転移の発達を遅らせる能力、PIPAを発現する癌性細胞に治療剤(例えば、毒素など)または放射性化合物を送達する能力などは、この分野で知られている方法を使用して試験することができる。
本発明はまた、抗体PIPまたはPIP同等抗体(これらには、本開示が明らかにするように、本明細書中に記載される抗体のすべてが含まれる)またはポリペプチドと、治療剤とを含む組成物(これには、医薬組成物が含まれる)を提供する。
さらに別の実施形態において、本明細書中に記載されるPIP結合性の様々な実施形態はいずれも、PIPAを発現する癌性細胞に結合し、PIPAを発現する癌性細胞に対する能動的な免疫応答を誘導することができる。場合により、能動的な免疫応答は、癌性細胞の死を引き起こすことができ(例えば、癌細胞に対する抗体の結合はアポトーシス細胞死を誘導する)、または癌性細胞の成長を阻害することができる(例えば、細胞周期の進行を阻止することができる)。
(モノクローナル抗体をスクリーニングするための方法)
いくつかの方法を、PIPAに結合するモノクローナル抗体をスクリーニングするために使用することができる。「結合(すること)」は、生物学的または免疫学的に関連した結合、すなわち、それに対する免疫グロブリン分子がコードされる特有の抗原について特異的である結合、またはポリペプチドが指向する特有の抗原について特異的である結合を示すことが理解される。これは、免疫グロブリンが非特異的な標的に対して非常に高い濃度で使用されるときに生じ得る非特異的な結合を示さない。1つの実施形態において、モノクローナル抗体が、標準的なスクリーニング技術を使用してPIPAに対する結合についてスクリーニングされる。このようにして、PIPモノクローナル抗体が得られた。ブダペスト条約に従って、PIPAモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマ(lhFT.1.6D4.1C8)が、2002年4月9日に、PTA−4220の特許寄託表示によりAmerican Type Culture Collection(ATCC)(10801 University Blvd.、Manassas、VA、20110−2209)に寄託されている。
PIPAに結合するモノクローナル抗体は、癌性の細胞および組織ならびに非癌性の細胞および組織に対する結合についてスクリーニングされる。1つの実施形態において、PIPAに結合し、そしてまた、ヒトの癌性細胞または癌性組織に対する交差反応性を有し、しかし、正常な細胞または組織に対しては同じ程度に交差反応しないモノクローナル抗体が選択される。スクリーニングのために用いられ得る1つの方法が免疫組織化学(IHC)である。標準的な免疫組織化学的技術が当業者には知られている。例えば、Animal Cell Culture Methods(J.P.MatherおよびD.Barnes編、Academic Press、第57巻、第18章および第19章、314頁〜350頁、1998)を参照のこと。生物学的サンプル(例えば、組織)を、生検試料、剖検試料または検死試料から得ることができる。PIPAが癌性細胞においてだけ存在するかどうかを確認するために、PIPを使用して、癌を有する個体から得られた組織におけるPIPAの存在を検出することができ、その一方で、癌罹患者から得られた他の非癌性組織、または癌を有しない個体から得られた組織がコントロールとして使用される。組織は、凍結時の損傷を防止する固体または半固体の物質(例えば、アガロースゲルまたはOCT)に包埋し、次いで、染色のために切片化することができる。種々の器官から得られる、異なる悪性度にある癌を、モノクローナル抗体をスクリーニングするために使用することができる。スクリーニング目的のために使用され得る組織の例には、卵巣、乳房、肺、前立腺、結腸、腎臓、皮膚、甲状腺、脳、心臓、肝臓、医、神経、血管、骨、上部消化管および膵臓が含まれるが、これらに限定されない。スクリーニング目的のために使用され得る異なる癌タイプの例には、癌腫、腺癌、肉腫、腺肉腫、リンパ腫および白血病が含まれるが、これらに限定されない。
さらに別の実施形態において、癌性細胞の細胞株、例えば、SK−Ov−3(ATCC番号HTB77)、OVCAR−3(ATCC番号HTB161)、LnCaP(ATCC番号CRL−1740)、COLO205(ATCC番号CCL222)、A549(ATCC番号CCL185)、PANC−1(ATCC番号CRL1469)、SK−BR−3(ATCC番号HTB30)、SK−MES−1(ATCC番号HTB58)、HT−29(ATCC番号HTB−38)、H9(ATCC番号HTB−176)、SW480(ATCC番号CCL228)、AsPC−1(ATCC番号CRL1682)、Capan−1(ATCC番号HTB−79)、CFPAC−1(ATCC番号CRL1918)、HPAF−II(ATCC番号CRL−1997)、HS700T(ATCC番号HTB147)、ES−2(ATCC番号CRL−1978)、OV−90(ATCC番号CRL−11732)およびPC−3(ATCC番号CRL1435)など、ならびに、それらのそれぞれの組織に由来する正常な細胞を、癌性組織に対して特異的であるモノクローナル抗体についてスクリーニングするために使用することができる。卵巣、乳房、肺、前立腺、結腸、腎臓、皮膚、甲状腺、大動脈平滑筋および内皮細胞(これらに限定されない)を含む種々の器官から得られた正常な組織に由来する初代細胞培養物または少ない継代の細胞培養物を陰性コントロールとして使用することができる。癌性細胞または非癌性細胞は、ガラススライドもしくはカバーガラスまたはプラスチック表面において成長させることができ、あるいは、米国特許第6,406,840号に記載されるようにCellArrayTMにおいて調製することができ、そして、組織について上記で記載されたようにIHCを使用して抗体の結合についてスクリーニングすることができる。あるいは、細胞を、非タンパク質分解的な手段を使用して成長表面から取り出し、遠心分離してペレットにすることができ、その後、ペレットは、上記で記載されたように、IHC分析のための組織として包埋および処理される。別の代わりの方法において、単一細胞を、一次抗体、そして、蛍光活性化細胞分取(FACS)装置を使用して後で分析される、蛍光分子に連結された二次「レポーター」抗体とインキュベーションすることによってスクリーニングすることができる。
いくつかの異なる検出システムを、組織切片に対する抗体の結合を検出するために利用することができる。典型的には、免疫組織化学では、一次抗体を組織に結合させ、次いで、検出可能なマーカー(例えば、西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)またはビオチン)に複合化された、一次抗体に対して反応し得る二次抗体を結合させることが伴う。使用され得る1つの代わりの方法は、ポリクローナル鏡像相補性抗体またはポリMICAである。ポリMICA(ポリクローナル鏡像相補性抗体)技術(これはD.C.ManghamおよびP.G.Isaacson(Histopathology(1999)、35(2):129〜33)によって記載された)を、正常な組織および癌性の組織に対する一次抗体(例えば、PIP)の結合を調べるために使用することができる。数種類のポリMICATM検出キットが、The Binding Site Limited(P.O.Box 4073、Birmingham B29 6AT、英国)から市販されている。製品番号HK004.Dは、DAB色素原を使用するポリMICATM検出キットである。製品番号HK004.Aは、AEC色素原を使用するポリMICATM検出キットである。あるいは、一次抗体を、検出可能なマーカーで直接的に標識することができる。
適切な抗体を選択するためのIHCスクリーニングにおける最初の工程は、1つの抗原(例えば、PIPA)を認識する、免疫原(例えば、ミューラー管由来上皮細胞)で免疫化されたマウスから作製されたハイブリドーマによって作製された一次抗体PIPA(例えば、PIP)を様々な組織または細胞に結合させることである。1つの実施形態において、組織サンプルは、種々の器官から得られた凍結組織の切片である。細胞または組織サンプルは癌性または非癌性のいずれかであり得る。
凍結組織は、固定処理を伴うか、または固定処理を伴うことなく、調製し、切片化することができ、IHCを、当業者に知られている数多くの方法のいずれかによって行うことができる。例えば、Stephan他、Dev.Biol.、212:264〜277(1999);および、Stephan他、Endocrinology、140:5841〜54(1999)を参照のこと。
エピトープマッピングを、抗体をさらに特長づけするために使用することができる。商業的に利用可能な業務(例えば、Pepscan Systems、P.O.Box 2098、8203 AB Lelystad、オランダ)を使用して、PIPなどの抗体が結合する抗原上のエピトープを決定することができる。
(PIPAを同定および特長づける方法)
いくつかの方法を、目的とする抗原を同定するために用いることができる。1つの方法が、アフィニティー精製のために抗体を利用することである。細胞溶解物/抽出物または組織ホモジネート/抽出物を、抗体が固体担体に結合しているアフィニティー樹脂に適用することができる。抽出されるサンプルは、正常な組織または癌性の組織、癌または別の疾患状態を有する個体から得られた生物学的サンプル、市販の供給源(例えば、ATCC)あるいは細胞株(これらに限定されない)を含む任意の供給源から得ることができる。アフィニティー精製のために使用される抗体は、下記において詳しく議論される様々な方法で得ることができる。抗原が担体に結合すると、抗原を、種々の試薬を使用して溶出させることができる。これらの試薬には、低pH試薬および化学的変性剤(例えば、尿素またはグアニジンHCl)が含まれるが、これらに限定されない。例えば、Current Protocols in Immunology(J.E.Coligan他編、第2巻、1981、8.2.1〜8.2.9)を参照のこと。
精製された抗原は、この分野で知られている標準的な配列決定法(例えば、エドマン分解)を使用する配列決定のために使用することができる。ペプチド配列が得られる場合、縮重プライマーまたはプローブをペプチド配列から作製することができる。プローブは、その後、研究中のタンパク質をコードするDNAを含有するインサートを含有するそのような細菌を同定するためにcDNAライブラリーにハイブリダイゼーションさせることができる。例えば、上記のSambrook他またはAusubel他を参照のこと。
抗原の同定および特長づけのために使用され得る別の方法は、ウエスタンブロッティング技術を使用することである。PIPAが、ヒトの様々な癌から得られた細胞溶解物と、モノクローナル抗体PIPとを用いたウエスタンブロッティングによって1つの局面において同定された。上記で記されたように、この抗体を産生するハイブリドーマ(lhFT.1.6D4.1C8)が、2002年4月9日に、American Type Culture Collection(ATCC)(10801 University Blvd.、Manassas、VA、20110−2209)に寄託された(PTA−4220)。当業者には知られているように、ウエスタンブロッティングでは、細胞溶解物および/または細胞分画物を変性ゲルまたは非変性ゲルにおいて泳動し、タンパク質をニトロセルロース紙に転写し、その後、ブロットを抗体(例えば、PIP)でプローブして、どのタンパク質が抗体により結合しているかを確認することが伴い得る。この手順は、さらには下記の実施例7および実施例8において詳しく記載される。
PIPが結合する抗原を特長づけるために使用され得る別の方法は、質量分析法による分析である。数タイプの質量分析法による分析を行うことができる。1つの方法において、タンパク質のトリプシン消化物の質量がマトリックス支援レーザー脱着/イオン化(MALDI)飛行時間質量分析法(MALDI−TOF−MS)によって測定され、ペプチド質量の得られたリストが、配列データベース検索におけるそのタンパク質の「指紋」として使用される。マトリックス支援レーザー脱着/イオン化(MALDI)において、ペプチドは大過剰な光吸収マトリックスと同時結晶化する。パルス化されたレーザービームによる結晶への照射はマトリックスおよび埋もれたペプチド分子の迅速な昇華をもたらし、無傷の気相イオンの生成をもたらす。ペプチドの場合、プロトン化された単一荷電分子イオンが通常の場合には形成される。質量/荷電比(m/z)が、場合により遅延抽出および/または反射を用いて、高質量精度の飛行時間分析において測定される。得られた配列は、ペプチドの質量精度、一般的な修飾(例えば、酸化、システインのアクリルアミド化、および見逃された切断など)を考慮した後でのMALDIスペクトルにおけるさらなるペプチド質量の一致、および二次的な情報(見かけの等電点および分子量)の使用によって評価される。MALDI−TOF−MSによる同定に関する何らかの曖昧さが依然として存在する場合、結果は、質量分析法によるペプチド配列決定によって確認することができる。既知のタンパク質を同定するために質量分析法を使用するためのこれらの手法および他の手法が、Use of Mass Spectrometry to Study Signalling Pathways(A.Pandey、J.S.AndersenおよびM.Mann;2000)において解説されている。
本発明のモノクローナル抗体によって認識される抗原PIPAは、上記のいずれかの方法によって最初に単離され、また、選択肢の1つとして、当業者に知られている任意の方法によって単離することができる。抗体により結合しているタンパク質バンドは、精製されたタンパク質を、ペプチドの混合物をもたらすプロテアーゼで最初に消化することによって特長づけることができる。これらのペプチドは、その後、MALDI質量分析法によって分析される。
使用され得る別の質量分析方法はナノエレクトロスプレータンデム質量分析法である。この方法では、ペプチド分子の溶液が、高電位で維持されたニードルを通過する。ニードルの末端において、溶液は、ペプチド分子を含有する小さい高荷電の液滴からなる微細なミストに分散される。これらの小さい液滴は迅速に蒸発し、多数の荷電分子イオンを気相中に放出させる。ペプチドが気相中に存在すると、ペプチドはオリフィスを通って、ペプチドがその質量対荷電(m/z)比に従って分離および検出される質量分析計の中に運ばれる。ナノエレクトロスプレーは、極めて微細なニードルにより、サンプルがナノリットル/分の範囲における流速で分散されるエレクトロスプレーの洗練された形式を示す。これは、液滴の直径を大きく減少させ、ペプチドの検出感度を大きく高める。エレクトロスプレーは、MALDI−TOF−MSよりも塩の存在の影響を受けやすい傾向がある。従って、サンプルは、当業者に知られている方法によって最初に脱塩される。エレクトロスプレーのイオン源は、ペプチド配列決定を可能にする質量分析計と適合し得る(最も一般的なものは、三連四重極質量分析計、イオントランプ質量分析計または四重極飛行時間質量分析計である)。低レベルでのタンパク質同定では、ペプチドのシグナルは、多くの場合、化学的バックグラウンドまたは混入物由来のシグナルによって不明瞭にされる。高分解能の装置(例えば、四重極飛行時間型の装置)は、ペプチドを化学的バックグラウンドから分離することを助ける。あるいは、三連四重極型の装置では、前駆体イオンの走査により、非ペプチド混入物の存在下でのペプチドの選択的な検出が可能になる。
別の代わりの方法において、目的とする抗原またはタンパク質は、当業者には広く知られているエドマン分解による配列決定に供することができる。質量分析法またはエドマン分解から得られるペプチド情報は、目的とする抗原をクローン化するために使用されるプローブまたはプライマーを設計するために使用することができる。
細胞表面抗原である標的抗原をクローン化する代わりの方法は、目的とする細胞表面抗原を発現する細胞について抗体を「パンニング」することによって行われる。この「パンニング」手法は、目的とする抗原を発現する細胞のcDNAを得ること、第2の細胞タイプにおいてcDNAを過剰発現させること、および、モノクローナル抗体に対する特異的な結合について第2の細胞タイプの細胞をスクリーニングすることによって行われる。細胞表面抗原をコードする哺乳動物遺伝子を「パンニング」によってクローン化する際に使用される方法の詳細な記述がこの分野では見出され得る。例えば、Aruffo,A.およびSeed,B.、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、84、8573〜8577(1987);および、Stephan,J.他、Endocrinology、140:5841〜5854(1999)を参照のこと。
cDNAは、特定の細胞タイプから得られたmRNAをこの分野における標準的な方法に従って逆転写することによって得ることができる。具体的には、mRNAが、Sambrook他(上記)に示される手順に従って様々な溶解酵素または化学的溶液を使用して単離され得るか、または、製造者(例えば、Qiagen、Invitrogen、Promega)により提供される添付された説明書に従って市販の核酸結合性樹脂によって抽出され得る。合成されたcDNAは、その後、抗原を第2のタイプの細胞において産生させるために発現ベクターに導入される。発現ベクターは、エピソームとして、または染色体DNAの構成部分として、そのいずれかで宿主細胞において複製可能でなければならないことが暗示される。好適な発現ベクターには、プラスミド、ウイルスベクター(これには、アデノウイルス型、アデノ関連ウイルス型、レトロウイルス型が含まれる)、およびコスミドが含まれるが、これらに限定されない。
目的とするポリヌクレオチドを含有するベクターは、エレクトロポレーション、塩化カルシウム、塩化ルビジウム、リン酸カルシウム、DEAE−デキストランまたは他の物質を用いるトランスフェクション;微小発射物による衝撃;リポフェクション;および感染(例えば、ベクターがワクシニアウイルスなどの感染性因子である場合)を含む数多くの適切な手段のいずれかによって宿主細胞に導入することができる。導入するためのベクターまたはポリヌクレオチドの選択は、多くの場合、宿主細胞の特長に依存する。
異種DNAを過剰発現することができる任意の宿主細胞を、標的抗原をコードする遺伝子を単離する目的のために使用することができる。哺乳動物宿主細胞の非限定的な例には、COS細胞、HeLa細胞およびCHO細胞が含まれるが、これらに限定されない。好ましくは、宿主細胞は、存在する場合には対応する内因性抗原のレベルよりも約5倍大きいレベルで、または約10倍大きいレベルで、または好ましくは約20倍大きいレベルでcDNAを宿主細胞において発現する。選択されたモノクローナル抗体に対する特異的な結合について宿主細胞をスクリーニングすることは、免疫アッセイまたは蛍光活性化細胞分取(FACS)によって行われる。個々の標的抗原を同定することによって、特定の細胞タイプにおいて発現する抗原の組合せを決定することができる。
PIPAは、細胞内におけるその存在位置によってさらに特長づけることができる。理論によって制約されないが、一部の腫瘍組織および腫瘍由来細胞株において、PIPAは、少なくとも細胞の表面で発現する細胞結合抗原である。モノクローナル抗体PIPを作製する方法では、無傷の細胞を免疫原として使用することが伴ったので、作製されたモノクローナル抗体は、十中八九、細胞の表面における抗原性決定基に対してであった。しかしながら、そのような細胞表面タンパク質はまた、細胞表面に加えて、細胞の内部にも存在し、細胞から分泌され得るか、または細胞表面から放出され得る。また、これらの細胞表面タンパク質は異なる細胞の表面または内部に存在し、細胞によって、または細胞周期の異なる段階で分泌され得る。
抗原のさらなる特長づけが、種々の組織または細胞における発現パターンを明らかにすることによって、細胞および/または組織におけるコピー数によって、また、それに結合する抗体によって達成され得る。1つの局面において、発現パターンを、免疫組織化学的技術を生物学的サンプルとともに使用することによって明らかにすることができる。抗原の発現パターンを、癌あるいは別の疾患状態を有する個体、および、癌あるいは別の疾患状態を有しない個体において評価することができる。抗原のコピー数を、標準的なスキャッチャード分析を使用することによって明らかにすることができる。
(PIPAを使用する方法)
抗原(例えば、PIPA)が同定および特長づけされると、抗原に関する情報(例えば、配列)を様々な目的のために使用することができる。1つの局面において、PIPAの配列を使用して、それに結合する抗体を作製することができる。例えば、PIPA配列を発現ベクターにクローン化し、好適な宿主細胞において発現させて、動物への注射および続いてのハイブリドーマの作製のための免疫原を作製することができる。抗体を作製する様々な方法が下記に記載される。別の局面では、PIPA配列を使用して、抗体を組換えにより作製することができる。組換え抗体を作製する様々な方法がこの分野では広く知られている。例えば、Current Protocols in Immunology(J.E.Coligan他、1991)、ならびに米国特許第5,665,570号、同第5,677,425号、同第5,760,185号、同第5,773,247号および同第5,929,212号を参照のこと。
PIPAに関する他の使用は、タンパク質または小分子リガンドに対する可能な受容体として薬物をスクリーニングする目的のためにである。様々な薬物、化合物、タンパク質、小分子および医薬組成物を、PIPAに結合するそれらの能力、およびそのような結合から生じる何らかの作用について試験することができる。PIPAを物質に結合させ、作用についてモニターすることができる。そのような作用には、細胞内経路調節における変化、アポトーシス、細胞活性化、細胞代謝または細胞アネルギーが含まれ得るが、これらに限定されない。PIPAの結合により、その生物学的役割(例えば、調節タンパク質、すなわち、成長、分化または発達などに関連するタンパク質)を解明することができる。
PIPAに関する他の使用は、PIPAに対する抗体を精製するためにである。1つの実施形態において、哺乳動物を任意の免疫原(例えば、癌性細胞)で免疫化することができ、そして、その脾臓細胞を取り出して、ハイブリドーマを作製するために使用することができる。ハイブリドーマ上清を、PIPAが固定化されているアフィニティーカラムに通すことができる。
PIPAは、タンパク質として、または、タンパク質をヒト組織において発現させるベクターに含有される核酸としてであっても、ワクチン接種目的(例えば、能動的)のために使用することができる。場合により、PIPAは、アジュバントとともにワクチン接種のために投与することができる。他の場合には、アジュバントは使用されず、PIPAがそのまま投与される。投与経路はワクチン接種のために変わるが、標準的なワクチン接種経路は注射または経口摂取である。例えば、米国特許第6,221,644号、同第6,117,653号、同第6,110,724号および同第5,932,225号を参照のこと。
PIPAに関するさらに別の使用は、ハイスループットスクリーニングのためにPIPAまたはその一部分を使用することである。例えば、PIPAのDNA配列を固体または半固体の基質に固定化することができ、そして、一群の個体から得られる生物学的サンプルから単離されたDNAを、ハイブリダイゼーションが生じるかどうかを明らかにするために使用することができる。1つの実施形態において、核酸の相補鎖が、ハイブリダイゼーションを最適化するために使用される。この方法は、PIPAを発現する癌性細胞または他の細胞について個体をスクリーニングするために有用であり得る。
(PIPAに結合するPIP、PIP同等抗体またはPIP同等ポリペプチドを使用して癌を診断する方法)
モノクローナル抗体PIPおよび等価な抗体またはポリペプチドは、診断目的のために、卵巣、乳房、肺、前立腺、結腸、腎臓、皮膚、甲状腺、脳、心臓、肝臓、胃、神経、血管、骨および上部消化管(これらに限定されない)を含む様々な組織における癌性細胞の存在または非存在を同定するために使用することができる。本明細書中に開示される方法によって作製された、PIPAに対するモノクローナル抗体はまた、充実腫瘍からのその放出後において血液中に循環している癌性細胞の存在または非存在、あるいはそのレベルを同定するために使用することができる。そのような循環している抗原は無傷のPIPA抗原であり得るか、または、本明細書中に教示される方法に従って検出される能力を保持するそのフラグメントであり得る。そのような検出は、この分野において一般的に使用されている標準的な方法を使用するFACS分析によって達成され得る。
これらの使用では、PIPAと、PIPAに特異的に結合する抗体との間での複合体の形成が伴い得る。そのような抗体の例には、PTA−4220の表示でATCCに寄託されているハイブリドーマによって産生されるそのようなPIPAモノクローナル抗体が含まれるが、これに限定されない。そのような複合体の形成はインビトロまたはインビボであり得る。理論によって制約されないが、モノクローナル抗体PIPは、PIPAの細胞外ドメインを介してPIPAと結合することができ、その後、内在化され得る。
本発明の診断方法の好ましい実施形態において、抗体は検出可能な標識を有する。使用され得る標識の例には、放射性薬剤または蛍光団(例えば、フルオロイソチオシアナート(FITC)またはフィコエリトリンなど)が含まれる。診断目的および治療目的のために商業的に使用される他の既知の抗体の場合のように、本発明の標的抗原PIPAは、正常な組織において限定された発現を有する。本発明の標的抗原PIPAは一部の腫瘍においてアップレギュレーションされる。特に、本発明の標的抗原PIPAは様々な卵巣腫瘍においてアップレギュレーションされる。従って、本発明の抗体の特定の投薬および送達経路は、診断剤または治療剤のために使用される場合、処置されている特定の個体に対してだけでなく、当面の特定の腫瘍または疾患状態に合わせられる。
診断のために抗体またはポリペプチドを使用する1つの方法は、抗原が細胞表面抗原であるならば、インビボ腫瘍画像化である。インビボ腫瘍画像化では、抗体またはポリペプチドを放射性薬剤または放射線不透過性薬剤に連結すること、そのような抗体またはポリペプチドを患者に投与すること、および、x線画像化装置または他の画像化装置を使用して、抗原を発現する癌細胞の表面における標識抗体または標識ポリペプチドの局在化を視覚化することが伴う。抗体は、生理学的条件において結合を促進する濃度で投与される。
PIPAを検出するための様々なインビトロ技術がこの分野では日常的であり、これらには、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)、免疫沈殿、免疫蛍光、酵素免疫アッセイ(EIA)、放射免疫アッセイ(RIA)およびウエスタンブロット分析が含まれる。
本発明の様々な局面において、腫瘍または新生物を放射線造影する方法、あるいは、放射能標識された抗体を用いた処置方法の有効性を測定する方法は、放射能標識された腫瘍特異的な抗体を本発明の実施に従って個体に投与する工程を含む。放射能標識された抗体は、テクネチウム−99m、インジウム−111、ヨウ素−131、レニウム−186、レニウム−188、サマリウム−153、ルテチウム−177、銅−64、スカンジウム−47、イットリウム−90からなる群から好ましくは選択される放射性標識を含むモノクローナル抗体またはポリクローナル抗体であり得る。治療用の放射性核種(例えば、ヨウ素−131、レニウム−188、ホルミウム−166、サマリウム−153およびスカンジウム−47など)で標識されたモノクローナル抗体で、抗体の免疫反応性を含まず、かつインビボで分解しないモノクローナル抗体が特に好ましい。当業者は、他の放射性同位体が知られており、これらが特定の適用のために好適であり得ることを理解する。放射線造影は、単光子放射コンピューター断層撮影法(SPECT)、陽電子放射断層撮影法(PET)、コンピューター断層撮影法(CT)または磁気共鳴画像化(MRI)によって行うことができる。相関的画像化は、存在する転移の位置のより大きな解剖学的明確化を放射免疫画像化によって可能するので、これもまた考えられる。
他の方法において、癌性細胞が取り出され、その組織が、この分野で広く知られている方法(例えば、凍結用化合物における包埋化、凍結および切片化、これには固定処理を伴うか、または固定処理を伴わない;固定処理またはパラフィン包埋化、これには、抗原回復および対比染色の様々な方法を伴うか、または伴わない)によって免疫組織化学のために調製される。モノクローナル抗体はまた、異なる発達段階にある新生物を同定するために使用することができる。抗体はまた、個体のどの腫瘍が所定のレベルでその表面に抗原を発現しているか、従って、個体のどの腫瘍が、前記抗原に指向する抗体を使用する免疫治療のための標的であるかを明らかにするために使用することができる。抗体は、PIPAを発現する卵巣癌、前立腺癌、結腸癌、子宮癌および他の癌の原発性癌および転移癌の両方を認識することができる。本明細書中で使用される場合、検出には、定性的および/または定量的な検出が含まれる場合があり、また、癌性細胞におけるPIPAの増大した発現レベルについて、測定されたレベルを正常な細胞と比較することが含まれる場合がある。
本発明はまた、PIPAに結合する任意の抗体と、PIPAの発現レベルを明らかにするために使用され得る任意の他の方法とを使用して、個体における癌(例えば、卵巣癌、肺癌、膵臓癌、前立腺癌、結腸癌、子宮癌または乳癌など)の診断を助ける方法を提供する。本明細書中で使用される場合、「診断を助ける」ための方法は、これらの方法が、癌の分類または性質に関する臨床的決定を行うことを助け、そして、確定診断に関して結論的であり得るか、または確定診断に関して結論的でない場合があることを意味する。従って、癌の診断方法は、個体から得られた生物学的サンプルにおけるPIPAのレベルを検出し、かつ/または、そのサンプルにおけるPIPA発現レベルを明らかにする工程を含むことができる。抗原またはその一部を認識する抗体を、血液、唾液、尿、肺液または腹水(これらに限定されない)を含む体液における生癌細胞または死にかけている癌細胞から放出または分泌された抗原を検出するための診断的免疫アッセイを考案するために使用することができる。下記の実施例4および実施例5においてより詳細に議論されるように、PIPは、卵巣、心臓、肺、前立腺、結腸、腎臓、肝臓、甲状腺、上部消化管および膵臓(これらに限定されない)を含む組織から得られた腺癌、癌腫、肉腫または腺肉腫に結合することができる。
目的とする特定の腫瘍の必ずしもすべての細胞がPIPAを発現しているわけではなく、他の組織における癌性細胞がPIPAを発現している場合があり、従って、個体は、その個体における免疫治療の有用性を明らかにするために、癌性細胞におけるPIPAの存在または非存在についてスクリーニングされなければならない。本明細書中に開示される方法によって作製された抗PIPA抗体(これには、PIPが含まれるが、これに限定されない)を、癌に関して診断された個体が、PIPAに指向する抗体を使用する免疫治療のための候補であると考えられ得るかどうかを明らかにするために使用することができる。1つの実施形態において、癌性腫瘍または生検サンプルを、PIPAに指向する抗体を使用してPIPAの発現について検査することができる。PIPAを発現する癌細胞を有する個体が、PIPAに指向する抗体を使用する免疫治療のための好適な候補である。PIPまたはPIP同等抗体を用いた染色もまた、癌性組織を正常な組織から区別するために使用することができる。
PIPまたは同等な抗体もしくはポリペプチドを診断目的のために使用する方法は、施された処置に対してどの腫瘍が応答する可能性が最も大きいか、癌を有する個体に対する予後、腫瘍サブタイプまたは転移疾患の起源、および疾患の進行または処置に対する応答を明らかにするために、任意の形態の抗癌処置(例えば、化学療法または放射線治療)の前および後の両方において有用である。
本発明の組成物はまた、他の病変(非癌性)細胞に関する適用において上記に一般的に記載された方法を使用して、癌以外の疾患状態を診断するために好適である。本発明の方法において使用される好適な疾患状態には、個体における炎症性応答または自己免疫応答に関連する疾患または障害が含まれるが、これらに限定されない。上記の方法は、個体における炎症性応答または自己免疫応答を調節するために使用することができる。本発明の組成物および方法を使用して診断および/または処置を受け得る、炎症障害および自己免疫障害から生じる疾患および状態には、限定としてではなく、例示として、多発性硬化症、髄膜炎、脳炎、卒中、他の脳外傷、炎症性腸疾患(これには、潰瘍性大腸炎およびクローン病が含まれる)、重症筋無力症、狼瘡、慢性関節リウマチ、喘息、急性若年性糖尿病、AIDS認知症(痴呆)、アテローム性動脈硬化、腎炎、網膜炎、アトピー性皮膚炎、乾癬、心筋虚血、および急性白血球媒介肺傷害が含まれる。
本発明の抗体および他の治療剤の診断的使用および/または治療的使用のためのさらに別の適応には、臓器または移植片の拒絶の危険性がある個体に対する投与が含まれる。近年、組織および臓器(例えば、皮膚、腎臓、肝臓、心臓、肺、膵臓および骨髄など)を移植するための手術技術の効率はかなり改善されてきている。主たる未解決の問題は、おそらくは、移植された同種移植片または臓器に対する受容者における免疫寛容を誘導するための満足すべき薬剤がないことである。同種の細胞または臓器が宿主に移植されたとき(すなわち、提供者および受容者が、同じ種に由来する異なる個体であるとき)、宿主の免疫系は、移植された組織の破壊をもたらす、移植片における異物抗原に対する免疫応答(宿主対移植片病)を開始することが考えられる。
PIPAに関するそれらの使用を列挙する本明細書中においてどこかに記載される使用はまた、本明細書中に記載されるような他のPIPAアゴニスト、PIPAアンタゴニストおよびPIPA調節因子の使用を包含する。そのような実施形態において、PIPAアゴニスト、PIPAアンタゴニストまたは他の非抗体調節因子が、記載された工程においてPIPの代わりに使用される。従って、当業者の範囲に含まれる様々な変化が、置き換えられたPIPA調節組成物に対して方法を合わせるためになされる。
(PIP、PIP同等抗体またはPIP同等ポリペプチドを治療目的のために使用する方法)
本明細書中に開示される方法によって作製されたモノクローナル抗体PIPおよび同等な抗体またはポリペプチドは、卵巣、乳房、肺、前立腺、結腸、腎臓、肝臓、甲状腺または膵臓の癌を有する個体において治療目的のために使用することができる。PIPを用いた治療では、上記で記載されたように、インビトロまたはインビボのいずれかでの複合体の形成が伴い得る。1つの実施形態において、モノクローナル抗体PIPまたはPIP同等抗体またはPIP同等ポリペプチドは癌性細胞(例えば、結腸癌細胞または卵巣癌細胞)に結合し、その増殖を低下させることができる。別の実施形態において、モノクローナル抗体PIPまたはPIP同等抗体またはPIP同等ポリペプチドは癌細胞に結合し、その癌細胞におけるアポトーシス細胞死を誘導することができる。別の実施形態において、モノクローナル抗体PIPは癌性細胞に結合し、転移の発達を遅らせることができる。さらに別の実施形態において、癌を有する個体に、苦痛緩和処置がPIPとともに施される。癌患者の苦痛緩和処置では、疾患の不都合な症状、または、癌の進行に直接的には影響することなく疾患のために施される他の処置から生じる医原性の症状を処置または軽減することが伴う。これには、痛み、栄養的補助、性的問題、心理学的苦悩、疲労、精神医学的障害、悪震、嘔吐などを緩和するための処置が含まれる。
さらに別の実施形態において、PIPまたはPIP同等抗体またはPIP同等ポリペプチドは癌性細胞に結合し、PIPAを発現する癌性細胞に対する能動的な免疫応答を誘導することができる。場合により、能動的な免疫応答は、癌性細胞の死を引き起こすことができ(例えば、癌細胞に対する抗体の結合はアポトーシス細胞死を誘導する)、または癌性細胞の成長を阻害することができる(例えば、細胞周期の進行を阻止することができる)。他の場合には、PIPは癌性細胞に結合することができ、抗体依存性細胞傷害(ADCC)により、PIPが結合する癌性細胞を排除することができる。
場合により、抗体またはポリペプチドの結合はまた、細胞免疫応答および液性免疫応答の両方を活性化し、より多くのナチュラルキラー細胞を強化することができ、または、癌性細胞を殺すために個体の免疫系をさらに活性化するサイトカイン(例えば、IL−2、IFN−γ、IL−12、TNF−α、TNF−βなど)の増大した産生を強化することができる。さらに別の実施形態において、抗体またはポリペプチドは癌性細胞に結合することができ、マクロファージまたは他の食作用細胞により、癌性細胞をオプソニン化することができる。
さらに別の実施形態において、PIPまたはPIP同等抗体またはPIP同等ポリペプチドは、放射性分子、毒素(例えば、カリケアマイシン)または化学療法剤に、あるいは、化学療法化合物を含有するリポソームまたは他の小胞に複合化され、個体に投与されて、抗体によって認識される抗原を含有する癌細胞にこれらの化合物を標的化することができ、従って、癌性細胞を排除することができる。さらに別の実施形態において、抗体は、転移の発達を遅らせるために、抗原を発現する癌の手術的除去のときにおける補助治療として用いることができる。抗体はまた、腫瘍のサイズを低下させ、従って手術を可能にするか、もしくは単純化するために、かつ/または、手術時に組織に危害を加えないために、かつ/または、生じる醜い跡を減少させるために、抗原を発現する腫瘍を有する個体において手術前に投与することができる(ネオアジュバント治療)。
PIPおよび同等な抗体またはポリペプチドの様々な配合物を投与のために使用することができる。一部の実施形態において、PIPおよびPIP同等抗体またはPIP同等ポリペプチドはそのまま投与することができる。他の実施形態において、PIP(またはPIP同等物)および薬学的に受容可能な賦形剤が投与され、また、それらは様々な配合物において投与され得る。様々な薬学的に受容可能な賦形剤がこの分野では知られており、それらは、薬理学的に効果的な物質の投与を容易にする比較的不活性な物質である。例えば、賦形剤は形態または粘稠性を与えることができ、あるいは希釈剤として作用することができる。好適な賦形剤には、安定化剤、湿潤化剤および乳化剤、容積モル浸透圧濃度を変化させるための薬剤、カプセル化剤、緩衝剤ならびに皮膚浸透増強剤が含まれるが、これらに限定されない。非経口的薬物送達および経口的薬物送達のための様々な賦形剤ならびに配合剤が、Remington’s Pharmaceutical Sciences(第19版、Mack Publishing、1995)に示される。
一般に、これらの薬剤は、注射(例えば、腹腔内、静脈内、皮下、筋肉内など)による投与のために配合される。しかし、他の投与形態(例えば、経口、粘膜的など)もまた使用することができる。従って、PIP抗体およびその同等物は、好ましくは、生理的食塩水、リンゲル溶液、デキストロース溶液などの薬学的に受容可能なビヒクルと組み合わせられる。特定の投薬治療法(すなわち、用量、時間および反復)は特定の個体およびそのような個体の医学的履歴に依存する。一般的には、少なくとも約1μg/kg体重の用量、少なくとも約10μg/kg体重の用量、少なくとも約50μg/kg体重の用量、少なくとも約100μg/kg体重の用量、少なくとも約250μg/kg体重の用量、少なくとも約500μg/kg体重の用量、少なくとも約750μg/kg体重の用量、少なくとも約1mg/kg体重の用量、少なくとも約3mg/kg体重の用量、少なくとも約5mg/kg体重の用量、または少なくとも約10mg/kg体重の用量が投与される。半減期などの経験的な検討事項が一般には投薬量の決定に寄与する。ヒト免疫系との適合性を有する抗体(例えば、ヒト化抗体または完全なヒト抗体など)を、抗体の半減期を延ばすために、また、抗体が宿主の免疫系によって攻撃されることを防止するために使用することができる。投与頻度は、治療の経過に伴って決定および調節することができ、癌性細胞の数を減少させること、癌性細胞の減少を維持すること、癌性細胞の増殖を低下させること、または転移の発達を遅らせることに基づいている。あるいは、PIP抗体の持続した連続放出配合物が適し得る。持続した放出を達成するための様々な配合物およびデバイスがこの分野では知られている。
1つの実施形態において、PIP抗体またはPIP同等抗体またはPIP同等ポリペプチドについての投薬量は、1回または複数回の投与が施されている個体において経験的に決定することができる。個体には、PIPの漸増的投薬量が与えられる。PIPまたは他の同等な抗体もしくはポリペプチドの効力を評価するために、特定の癌疾患状態のマーカーを追跡することができる。これらには、触診または視覚的観察による腫瘍サイズの直接的な測定、x線または他の画像化技術による腫瘍サイズの間接的な測定、直接的な腫瘍生検および腫瘍サンプルの顕微鏡検査によって評価されるような改善、間接的な腫瘍マーカー(例えば、前立腺癌についてのPSA)の測定、腫瘍に関連する痛み、麻痺、言語障害、視覚障害、呼吸障害または他の障害の減少、増大した食欲、あるいは、認められた試験または生存の延長によって測定されるような生活の質の増大が含まれる。投薬量が、個体、癌のタイプ、癌の悪性度、癌が個体において他の場所に転移し始めているかどうか、ならびに、過去の処置および使用されている併用処置に依存して変化することは、当業者には明らかである。
他の配合物には、リポソームなどのキャリア(これらに限定されない)を含むこの分野で知られている好適な送達形態物が含まれる。例えば、Mahato他(1997)、Pharm.Res.、14:853〜859を参照のこと。リポソーム調製物には、サイトフェクチン、多重ラメラ小胞および単ラメラ小胞が含まれるが、これらに限定されない。
一部の実施形態において、2つ以上の抗体を存在させることができる。抗体はモノクローナルまたはポリクローナルであり得る。そのような組成物は、癌腫、腺癌、肉腫または腺肉腫に対して反応し得る少なくとも1つの抗体、少なくとも2つの異なる抗体、少なくとも3つの異なる抗体、少なくとも4つの異なる抗体、少なくとも5つの異なる抗体を含有することができる。PIP抗体を、卵巣、乳房、肺、前立腺、結腸、腎臓、皮膚、甲状腺、骨、上部消化管および膵臓(これらに限定されない)を含む器官における癌腫、腺癌、肉腫または腺肉腫に対して反応し得る1つまたは複数の抗体と混合することができる。抗体の混合物は、この分野では示されることが多いので、より広範囲の個体集団を処置することにおいて特に有用であり得る。
疾患の評価は、この分野における標準的な方法を使用して、例えば、画像化方法、および適切なマーカーをモニターすることなどを使用して行われる。
(PIPAに結合する抗体またはポリペプチドを含むキット)
本発明はまた、診断または治療において使用される、PIPAに結合する抗体またはポリペプチドを含むキットを提供する。従って、キットは、PIPAに特異的に結合し、かつ/またはPIPAとの複合体を形成することができる抗体またはポリペプチドを含む。一部の局面において、抗体(例えば、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、ヒト抗体、ヒト化抗体など)の結合が、個体における癌を診断するために使用される。別の局面において、キットは、例えば、癌を有する個体、または、癌の家系を有する個体を処置するために使用することができる。本発明のキットは好適に包装されており、場合により、例えば、PIPAに対する結合を明らかにするための緩衝液および説明書、捕捉試薬、発色試薬、標識、反応用表面、検出のための手段、コントロールサンプル、ならびに解釈のための情報などのさらなる構成成分を提供し得る。説明書は、本明細書中に記載されるそのようなアッセイ(これらに限定されない)を含む、抗原結合の任意の測定のためのものであり得る。一部の実施形態において、上記の試薬は、同じ個体における経時的な測定または多数の個体における測定を可能するなどの多数回の測定が行われ得るように供給される。抗体に対する結合を検出するための任意の適切な手段を用いることができる(また、キットにおいて提供することができる)。例えば、標識された抗ヒト抗体を用いることができ(また、キットにおいて提供することができ)、この場合、標識は、酵素、蛍光団、化学発光物質、放射性同位体または補酵素であり得る。一般に、使用される標識は酵素である。
下記の実施例は、本発明を限定するためにではなく、本発明を例示するために提供される。
(実施例1.免疫原としてのヒトミューラー管由来上皮細胞の調製)
17週〜25週の妊娠週齢のヒト胎児の子宮およびファロピウス管をAdvanced Bioscience Research(アラメダ郡、カリフォルニア州)から得た。これらの組織は調達され、ウエットアイス浴のもとでの組織培養培地において研究室に輸送された。到着後直ちに、組織は、過剰な結合組織が除かれ、卵巣組織および膣組織から注意深く分離され、新鮮な組織培養培地で5回洗浄された。
子宮およびファロピウス管をはさみで細かく切り刻み、またはカミソリ刃で小片(1mm厚未満)に切断した。それぞれの組織セットから得られた組織片を、本明細書中に開示されるような10mlの好ましい栄養培地とともにT75フラスコに直接入れた。コラゲナーゼ−ディスパーゼ(0.5%)による37℃で30分間の卵巣のさらなる解離を行うことができるが、この手法はミューラー管由来細胞の回収を低下させた。細胞を、標準的なインキュベーション条件で、T−75フラスコまたは100mmプレートにおいて、10μg/mlのインスリン、トランスフェリン(10μg/ml)、α−トコフェロール(5μg/ml)、10ng/mlの塩基性繊維芽細胞増殖因子、3μMのホルスコリンおよび0.5%のウシ血清アルブミンが補充されたF12/DMEMで培養した。これらの培養条件のもとで、ヒトミューラー管上皮細胞は組織培養容器のプラスチックに付着し、単層物として成長した。培養物は、最初に細胞を0.5%コラゲナーゼ/ディスパーゼにおいてインキュベーションして、細胞を組織培養容器から剥離させ、次いで細胞を同じ培養培地において1対5の分割比で再置床することによって継代培養された。継代培養された細胞がコンフルエンスに成長するために、通常、3週間〜4週間を要した。細胞は、3回以内の継代培養で、免疫化および抗体スクリーニングのために使用された。
細胞を採取するために、細胞を、カルシウムおよびマグネシウムを含まないハンクス塩溶液で1回洗浄し、0.02%のEDTAを含むハンクス塩溶液において37℃で15分間インキュベーションした。細胞を、穏やかに軽くたたくことによって培養表面から剥離させた。細胞懸濁物を1000rpmで10分間の遠心分離によって沈殿させた。上清を除き、細胞を、適切な非変性性のアジュバントを含有する血清非含有培地(F12/DMEM)に再懸濁した。
(実施例2.ヒトミューラー管由来上皮細胞に対するモノクローナル抗体の作製)
マウス1匹について約10個のヒトミューラー管由来上皮細胞を、週に1回、肉趾を介してBalb/cマウスに注射した。非変性性のアジュバント(例えば、Ribi)を使用した。毎週の注射を6週間行った後、1滴の血液をそれぞれの免疫化された動物の尾から抜き取って、ヒトミューラー管由来上皮細胞に対する抗体の力価を、FACS分析を使用して調べた。力価が少なくとも1:2000に達したとき、マウスをCOチャンバーに入れ、その後、頚部脱臼により屠殺した。リンパ節をハイブリドーマ調製のために採取した。
最高力価のマウスから得られたリンパ球を、35%ポリエチレングリコール4000を使用してマウス骨髄腫株X63−Ag8.653と融合した。融合後10日目に、ハイブリドーマの上清を、ヒトミューラー管由来上皮細胞に特異的なモノクローナル抗体の存在について蛍光活性化細胞分取(FACS)によってスクリーニングした。ぞれぞれのハイブリドーマから得られた馴化培地をヒトミューラー管由来上皮細胞の一部と30分間インキュベーションした。インキュベーション後、細胞サンプルを洗浄し、0.1mlの希釈液に再懸濁し、ヤギ抗マウスIgGのFITC複合化F(ab’)フラグメントの1μgと4℃で30分間インキュベーションした。細胞を洗浄し、0.5mlのFACS希釈液に再懸濁し、FACScan細胞分取装置(Becton Dickinson;San Jose、CA)を使用して分析した。ハイブリドーマクローンを、さらなる拡大、クローニング、および、FACSによって評価されるような、細胞株の1つまたは複数の表面に対するそれらの結合に基づく特長づけのために選択した。この特定の場合において、PIPAと称される抗原と結合する、PIPと称されるモノクローナル抗体を作製する1つのハイブリドーマが選択された。
(実施例3.抗原供給源に対する抗体パネルのスクリーニング)
ヒトミューラー管由来上皮細胞を0.5mMのEDTAの存在下で組織培養フラスコから剥離させ、1400rpmで5分間遠心分離して、1%ウシ血清アルブミン(BSA)および2mMのEDTAを含有するリン酸塩緩衝化生理的食塩水(PBS)(FACS希釈液)に再懸濁した。細胞を計数し、10細胞/mlに調節した。約0.1mlの細胞を、100μlのハイブリドーマ上清と、または100μlのFACS希釈液における1μgの精製されたモノクローナル抗体と4℃で30分間インキュベーションした。モノクローナル抗体は組織培養上清からプロテイン−Gアフィニティークロマトグラフィーを使用して精製された。下記のものが抗体精製プロセスのために使用された:ハイブリドーマ組織培養上清、Immunopure(G)IgG結合緩衝液(Pierce No.21011、Rockford、IL)、Immunopure IgG溶出緩衝液(Pierce No.21009)、濃HCl(pH調節用)、Corning 1リットル PES(ポリエーテルスルホン)、0.22μmフィルター(Corning No.431098、Corning、N.Y.)、Amersham Pharmacia GradiFracシステム(Amersham Pharmacia、Piscataway、NJ)、プロテイン−Gセファロース4Fast Flow(Amersham Pharmacia No.17−0618−02)、脱着用緩衝液(これは3M KSCN/50mM Tris(pH7.8)である)、およびPBS(リン酸塩緩衝化生理的食塩水)、3M Tris(pH9.0)。
PIP抗体を精製するために、上清の体積を測定し、等容量の結合緩衝液を上清に加えた。混合物を室温に平衡化させた。上清を、0.22μmフィルターに通すことによって清澄化した。上清を、GradiFracシステムを使用してプロテイン−Gカラムに負荷した。カラムを5容量〜10容量の結合緩衝液で洗浄した。モノクローナル抗体を溶出緩衝液で溶出し、2mlづつの分画物を回収した。分画物のOD280読み取りが得られ、モノクローナル抗体を含有する分画物をプールした。溶出したモノクローナル抗体分画物を、1/20容量の3M Trisを加えることによって中和した。サンプルを4℃で1X PBSにおいて透析した(1回の交換について少なくとも3時間の3回の緩衝液交換とともに)。精製されたモノクローナル抗体は無菌ろ過(0.2μM)され、2℃〜8℃で保存された。
PIPモノクローナル抗体をハイブリドーマ上清から精製した後、PIPモノクローナル抗体をヒトミューラー管由来上皮細胞に対する結合について再び調べた。細胞サンプルを、上記の実施例2に記載されるように調製し、精製された抗体と様々な濃度でインキュベーションした。インキュベーション後、細胞を洗浄し、0.1mlの希釈液に再懸濁して、ヤギ抗マウスIgGのFITC複合化F(ab’)フラグメントの1μgと4℃で30分間インキュベーションした。細胞を洗浄し、0.5mlのFACS希釈液に再懸濁し、FACScan細胞分取装置(Becton Dickinson;San Jose、CA)を使用して分析した。FACScanにおける右側への移動により、精製抗体がヒトミューラー管由来上皮細胞に依然として結合することが示された。
(実施例4.免疫組織化学的方法)
凍結組織を調製し、固定処理とともに、または固定処理を用いることなく切片化し、IHCを当業者に知られている数多くの方法のいずれかによって行った。例が、Stephan他、Dev.Biol.、212:264〜277(1999);および、Stephan他、Endocrinology、140:5841〜54(1999)に示されており、または下記のように示される。凍結組織サンプルをOCTコンパウンドに包埋し、ドライアイスを伴うイソペンタンにおいて急速凍結した。凍結切片を、Leica3050CMミクロトームを用いて5μmの厚さで切断し、ベクタバウンド(vectabound)被覆スライドガラスに解凍固定した。切片を、10分間、−20℃でのエタノールで、または75%アセトン(4〜8C)/25%エタノール(RT)で固定処理し、その後、室温で一晩、風乾させた。固定処理された切片は使用まで−70℃で保存された。免疫組織化学のために、組織切片を取り出し、最初にブロッキング緩衝液(PBS、5%正常ヤギ血清、0.1%Tween20、100μg/mLのアビジン)において室温で30分間インキュベーションし、その後、PBS/5%正常ヤギ血清/0.1%Tween20に希釈されたPIPおよびコントロールモノクローナル抗体(1μg/ml〜5μg/ml)と4℃で一晩インキュベーションした。その後、切片をPBSで3回洗浄し、過酸化水素−d−ビオチン溶液(PBSにおいて、3%過酸化水素、30μg/mlのd−ビオチン)において少なくとも30分間インキュベーションした。結合したモノクローナル抗体を、ヤギ抗マウスIgG+IgM(H+L)F(ab’)−ビオチンコンジュゲートまたはウマ抗マウスIgG(H+L)コンジュゲートを用い、その後、ABC Elite(Vector Labカタログ番号PK6100)を用いて検出し、最後に、0.1M酢酸ナトリウム緩衝液(pH5.05)および0.003%過酸化水素(Sigmaカタログ番号H1009)におけるか、または、0.05MのTris緩衝液(pH7.6)および75μLの3%過酸化水素におけるペルオキシダーゼ基質ジアミノベンジジン(1mg/ml、Sigmaカタログ番号D5637)において発色させた。染色されたスライドガラスをヘマトキシリンまたはメチルグリーンで対比染色して、Nikon顕微鏡で調べた。
表1には、PIP抗体で染色された正常な組織(組織番号1〜21)の一覧が示される。表2には、PIP抗体で染色された卵巣癌(組織番号22〜58)の一覧が示される。これらのサンプルは、上記で記載されたように、OCTにおいて凍結され、使用直前に切片化された。切片は、上記で記載されたように、PIP抗体(1μg/ml〜5μg/ml)および二次抗体とインキュベーションされた。スライドガラスはPIPシグナルの存在(+)または非存在(−)についてスコア化された。
(表1.IHCによる正常な組織に対するPIPの結合)
Figure 2006506071
(表2:IHCによる卵巣癌に対するPIPの結合)
Figure 2006506071
Figure 2006506071
サンプルの染色は、不均一であった。
(表3:転移性腫瘍に対するPIPの結合)
Figure 2006506071
Figure 2006506071
+/−:不明瞭
図1にはまた、卵巣癌組織におけるPIP結合についての免疫組織化学染色から得られた結果が示される。パネルにおける数字は表2における組織番号を示す。卵巣癌は、癌性の上皮細胞(組織番号30、同34、同37、同38、同39)において強い一様な染色を示した。腫瘍細胞の一部のクラスターの染色が組織番号29において認められたが、他のクラスターでは認められなかった。
(実施例5.結腸癌細胞株におけるPIPA発現の免疫組織化学的検出)
結腸癌細胞株HT−29(ATCC番号HTB−38)を、5%ウシ胎児血清が補充されたF12/DMEM培地で培養した。コンフルエントな細胞培養物をPBSにおいて洗浄し、0.02%のEDTAを含むPBSにおいて37℃で15分間インキュベーションした。細胞を、穏やかに振とうすることによって基質から剥離させた。細胞懸濁物を1000rpmで10分間の遠心分離によって沈殿させた。上清を吸引し、細胞ペレットをドライアイス/イソブタタン浴でOCTにおいて凍結した。凍結ブロックをクライミクロトームで切片化し、切片を凍結組織切片の場合のように顕微鏡スライドガラスに載せた。免疫組織化学のために、切片を、最初にブロッキング緩衝液(PBS、5%正常ヤギ血清、0.1%Tween20)において室温で30分間インキュベーションし、次いで、ブロッキング緩衝液に希釈されたPIP抗体およびコントロールモノクローナル抗体(5μg/ml)と120分間インキュベーションした。その後、切片をブロッキング緩衝液で3回洗浄した。結合したモノクローナル抗体を、0.1M酢酸ナトリウム緩衝液(pH5.05)および0.003%過酸化水素(Sigmaカタログ番号H1009)におけるヤギ抗マウスIgG+IgM(H+L)F(ab’)−ペルオキシダーゼコンジュゲートおよびペルオキシダーゼ基質ジアミノベンジジン(1mg/ml、Sigmaカタログ番号D5637)を用いて検出した。染色されたスライドガラスをヘマトキシリンで対比染色して、Nikon顕微鏡で調べた。結果が図2に示される。PIPによる結腸癌組織に対する強い染色が観測された(図2B)。陽性の染色は、PIPが添加されなかったコントロールのスライドガラスでは認められなかった(図2A)。
(実施例6.正常な組織に対するPIPの結合)
正常な組織を、腫瘍組織の場合のように凍結し、標本にした。凍結切片を、Leica3050CMミクロトームを用いて5μmの厚さで切断し、ベクタバウンド被覆スライドガラスに解凍固定した。切片を、10分間、−20℃でのエタノールで、または75%アセトン(4〜8C)/25%エタノール(RT)で固定し、その後、室温で一晩、風乾させた。一次抗体PIPは1μg/ml〜5μg/mlの間での最終濃度で使用された。染色プロトコルおよび検出プロトコルは、上記の実施例4に記載されるプロトコルと同一であった。
実験が1つまたは2つの別個の正常な組織サンプルに対して行われた。2つの別個のサンプルが使用されたとき、サンプルは2名の別個の患者から得られ、同じ結果を示した。PIPが組織サンプルに添加されなかった陰性コントロール、またはイソタイプが一致する陰性コントロールもまた実験に含まれた。図3には、1組のサンプルから得られた結果が示される。正常な組織サンプルを用いた実験の結果もまた上記の表1に示される(組織番号1〜21)。
(実施例7.転移性腫瘍組織に対するPIPの結合)
転移性腫瘍を、正常な組織の場合のように凍結し、標本にした。凍結切片を、ミクロトームを用いて5μmの厚さで切断し、被覆スライドガラスに解凍固定した。切片をエタノールまたはアセトンで固定処理し、その後、室温で一晩、風乾させた。切片は使用まで−20℃で保存された。切片を冷凍庫から取り出し、室温に到達させ、0.1M Tris緩衝化生理的食塩水(TBS)(pH7.6)において洗浄した。一次抗体PIPを1μg/ml〜5μg/mlの間での最終濃度で加え、スライドガラスを室温(RT)で60分間インキュベーションした。スライドガラスをTBSで洗浄して、Link抗体(LSAB+キット、Dako)とRTで30分間インキュベーションし、再び洗浄した。その後、スライドガラスをストレプトアビジン−ペルオキシダーゼコンジュゲートでRTで30分間インキュベーションして、洗浄した。スライドガラスを、1.0mLのChromagen溶液Aおよび20μLのChromagen溶液B(LSAB+キット、Dako)を用いて10分間発色させ、洗浄して、Mayerヘマトキシリンにおいて対比染色し、脱水して、可視化のために固定した。転移性腫瘍の染色から得られた結果が表3に示される。
(実施例8.PIP抗体のインビトロ作用)
細胞増殖に対するPIP抗体の影響が、OV90細胞株をMTTアッセイにおいて使用して測定された。この細胞株は、PIP抗体を使用するウエスタンブロットおよびFACS分析を含む様々なタンパク質化学アッセイによって、PIPAを発現することが示されている。細胞を、10mMのEDTAを用いて保存フラスコから取り出し、遠心分離した。細胞を再懸濁して、96ウエルプレートに5000細胞/ウエルで置床した。PIP抗体が0.02μg/ml〜20μg/mlの範囲の様々な濃度で細胞に加えられる。細胞を37℃のインキュベーターにおいて4日間増殖させた。4日目が終了した時、MTT溶液(PBSにおいて5mg/ml)の1:10希釈液がウエル内の培地に加えられる。細胞を37℃で4時間インキュベーションした。ウエル内の培地を除き、100μlのDMSOと置き換えた。MTTの取り込みにより細胞内で形成された青色の結晶を穏やかな振とうによって完全に溶解した後、プレートが540nmにおいてプレートリーダーで読み取られる。4日後において、PIP抗体とインキュベーションされたOV90細胞は、コントロールと比較して、増殖において差を全く示さなかった。
PIP抗体のインビトロ活性をさらに特長づけるために、内在化アッセイが、MAb−ZAP(Advanced Targeting Systems)を使用して行われた。MAb−ZAPは、選ばれた一次抗体に結合する二次抗体に架橋されているサポリン(タンパク質合成を停止させる薬剤)から構成される。一次抗体が細胞に内在化される場合、MAb−ZAPにより、細胞増殖が停止させられる。
OV90細胞を、10mMのEDTAを用いて保存フラスコから取り出し、遠心分離した。細胞を適切な細胞培養培地において50,000細胞/mlで再懸濁し、懸濁された細胞の100μlを96ウエルプレートに各ウエルに入れた。PIP抗体を直ちに10x濃度物として適切なウエルに加えた。ウエルあたりのPIP抗体の最終濃度は10μg/mlであった。室温で15分後、MAb−ZAPが10x濃度物として適切なウエルに加えられる。最終的なMAb−ZAP濃度は0.001nM〜10nMの範囲である。4日間の成長の後、MTTが各ウエルに1:10希釈物として加えられる(ストック、PBSにおいて5mg/ml)。細胞増殖を、上記のような方法を使用して測定した。内在化の結果が図6に示される。内在化が1nM〜10nMのMAb−ZAP濃度範囲で観測される。MAb−ZAPが10nMの濃度では、細胞増殖は約50パーセント低下する。このデータは、PIP抗体がインビトロで内在化されつつあることを示唆している。
(実施例9.毒素に複合化されたPIP抗体のインビボ作用)
毒素に連結されたPIP抗体のインビボ作用が、SCIDマウスにおける異種移植片モデルを使用して研究された。SCIDマウスにおける異種移植片腫瘍モデルはこの分野では広く知られている。簡単に記載すると、SCIDマウスに、1x10個のOV90細胞が皮下に接種された。マウスは、コントロールと、150μg/kgのPIP−毒素抗体と、250μg/kgのPIP−毒素抗体との3つの処置群に分けられた。処置が静脈内投与によって施され、各マウスの腫瘍体積および総体重が、合計で36日間、4日毎に測定された。250μg/kgのPIP−毒素抗体の用量におけるマウスは、劇的な体重減少のために13日後に屠殺された。コントロール群におけるマウスは、増大する腫瘍量のために28日後に屠殺された。完全な腫瘍退行が、150μg/kgの用量を用いて観測され、この場合、非特異的な毒性の証拠は、この処置群におけるマウスの体重減少がないことによって判断されるように認められなかった。このデータは、OV90細胞によるPIP抗体の内在化を示すインビトロでのデータと一致している。
(実施例10.標的抗原PIPAの分子量の決定)
抗原PIPAを、標準的な免疫沈殿法を使用してコンフルエントなHT−29培養物から精製した。市販のヒト結腸腺癌細胞株HT−29(American Type Culture Collection、カタログ番号HTB−38)を、L−グルタミンおよび10%ウシ胎児血清を含有する、F12培地(GibcoBRL、カタログ番号21700−091)およびDMEM培地(GibcoBRL、カタログ番号12100−061)の1:1混合物において成長させた。細胞を、5%COを用いた37℃のインキュベーターでコンフルエンスに成長させた。簡単に記載すると、HT−29細胞のコンフルエントな175cm培養物をハンクス平衡塩溶液(HBSS、Sigma Chemicals、St.Louis、MO)で3回洗浄し、溶解緩衝液(2%のTritonX−100、2mMのPMSF、0.05%のNaN、および、5mlあたり1錠の完全Mini−EDTA非含有プロテアーゼ錠剤を含有するHBSS;すべての物質は、Roche Molecular Biochemicalsから得られる完全Mini−EDTA非含有プロテアーゼ錠剤を除き、Sigma Chemicals(St.Louis、MO)か得られる)における細胞掻き取りによって回収した。溶解緩衝液は175cmあたり1mlで使用された。溶解物を、24,000−xgにおける4℃で45分間の遠心分離によって清澄化した。清澄化された溶解物は、その後、175cmの細胞溶解物について100μlでのプロテインGセファロース(PG、Amersham Pharmacia、Trenton、NJ)で、4℃で2時間、予備除去された。予備除去された溶解物は、その後、175cmの細胞溶解物について5μgのPIP抗体および10μlのPGに4℃で2時間さらされた。その後、PIP/PGを細胞溶解物から除き、溶解緩衝液で3回洗浄し、その後、溶出および分析を行った。溶出は、10μlのPIP/PGについて40μlのサンプル緩衝液を加え、3分間煮沸することによって行われた。溶出サンプルは、還元性の条件(20mMのDTTを含有するサンプル緩衝液)または非還元性の条件(40mMのヨードアセトアミドを含有するサンプル緩衝液)のもとでの4〜20%Tris−グリシンゲル(Invitrogen)で分析された。続いて、ゲルはニトロセルロースに転写され、精製されたタンパク質が、その後、PIPまたはコントロールマウスIgGを用いたウエスタンブロットによって分析される。
ウエスタンブロッティングによって、PIPAが、還元されたときには約45kDで、還元されなかったときには50kDの糖タンパク質であることが結論された。図5のパネルAには、上記で記載されたように、2%のTritonX−100で可溶化された細胞から得られたPIPA、20%のn−オクチルグルコシド(OG)でさらに処理されているTriton−X不溶性ペレットから得られたPIPA、および、細胞培養上清から得られたPIPAのウエスタンブロットが示される。TritonX−100画分から得られたPIPAは45kD〜50kDのスメア物として現れ、このことは糖タンパク質であることを示している。OG画分から得られたPIPAは、TritonX−100不溶性画分のOG処置のために、より広いスメア物として現れている。細胞上清から得られたPIPAは、より小さい分子量ではあるが、糖タンパク質スメア物として現れている。この画分は、切り落としおよび細胞膜からの放出のために小さくなっていると考えられる。
(実施例11.抗原PIPの特長づけ)
PIPが反応性を有する抗原を同定するために、免疫沈殿実験を行った。免疫沈殿のために、30個の175cmフラスコのHT−29細胞(ATCC番号HTB−38)を、合計で30mlの溶解緩衝液(1個の175cmフラスコについて1ml)を用いて溶解した。溶解緩衝液は、2%のTritonX−100、プロテアーゼ阻害剤カクテル(完全MiniEDTA非含有プロテアーゼ阻害剤カクテル(これはRoche Molecular Biochemicals(Indianapolis、IN)から得られる)の5mlの溶解緩衝液について1錠)、0.1%のアジ化ナトリウム(NaN)、および2mMのPMSFが添加されたハンクス平衡塩溶液(HBSS)からなった。細胞溶解物を、4℃で30分間、24,000xgで清澄化し、その後、2mg/mlのマウスIgG複合化CNBr6MBセファロースビーズ(Amersham Pharmacia、NJ)からなるカラムに通した。得られた溶解物は予備除去されたと考えられた。予備除去されたHT−29溶解物を、その後、PIP複合化CNBrセファロース6MBカラムに通した。このPIPカラムは、1mlの膨潤したCNBr6MBセファロースビーズについて1mgのPIPで複合化された。これらのビーズ(マウスIgGおよびPIPの両方)は、その後、溶解緩衝液で3回洗浄され、その後、0.1Mグリシン(pH2.5)で溶出された。溶出物は1カラム体積づつの分画物で集められ、0.1MのTris(pH8.0)の最終濃度により中和され、約7.2の最終的なpHがもたらされた。その後、中和された分画物を、微量濃縮器(Centricon10、これはMillipore(Bedford、MA)から得られる)を用いて分画物体積の10%に濃縮した。その後、濃縮された溶出物の10%をSDS−PAGEおよびウエスタンブロッティングによって分離した。同時に、濃縮された溶出物の30%を、SDS−PAGEのために適合する体積にさらに濃縮し、クーマシー染色によって分別した。
アルキル化されたPIP溶出物およびマウスIgG溶出物をPIPに対してウエスタンブロッティングすることによって、PIP溶出物に特有なグリコシル化タンパク質(50kD超)が観測された。クーマシー染色によって、糖タンパク質に典型的な非常にかすかな、しかしPIP特有のスメア物が約50kDに存在することが観測された。このかすかなバンドは続いて切り出された。
この免疫沈殿実験は、PIPAの十分なサンプルが得られるまで、繰り返すことができ、または同じ割合で増大することができる。サンプルは、その後、質量分析法による分析に付すことができる。
(実施例12.PIPAはGPI結合型糖タンパク質である)
PIPAをさらに特長づけるために、ホスファチジルイノシトール特異的なホスホリパーゼC(PI−PLC)による処理が行われた。グリコホスホイノシトール(GPI)連結は、細胞が様々なタンパク質をその細胞膜に結合させる方法の1つである。これらのタンパク質は細胞膜の中に埋め込まれておらず、代わりに、GPIアンカーを介して細胞膜の表面に結合している。このGPIアンカーを有するタンパク質は、アンカーを切ることによって細胞から遊離させることができる。PI−PLCはGPIアンカーに対して特異的であり、インビトロ実験を、目的とするタンパク質を特長づけるためにこの酵素を用いて行うことができる。
Colo205細胞を、T175培養フラスコにおいて、10%ウシ胎児血清(FBS)を含むF12/DMEM(50:50v/v)培地でコンフルエンスに成長させた。培地を吸引によって除き、残った細胞を、カルシウム、マグネシウム、フェノールレッドまたは重炭酸ナトリウムを含まないハンクス平衡塩溶液(HBSS−、Sigma−Aldrich)で3回洗浄した。その後、洗浄された細胞を、10mMのEDTAを含むHBSS−を37℃で12分間使用して剥離させた。EDTAで浮き上がった細胞をフラスコから取り出し、フェノールレッドまたは重炭酸ナトリウムを含まないハンクス平衡塩溶液(HBSS+)で1:1(v/v)に希釈し、ペレット化し、HBSS+で3回洗浄した。洗浄細胞を2つの条件に分けた。条件1は、5ユニットのホスファチジルイノシトール特異的ホスホリパーゼC(PI−PLC)を含有する5mlのHBSS+と室温で2時間インキュベーションさせられた。条件2は、5mlのHBSS+と室温で2時間インキュベーションさせられた。インキュベーションが終了したとき、細胞をペレット化して、HBSS+で3回洗浄した。両方の条件物を、その後、1%のBSAおよび0.1%のアジ化ナトリウムを含有する1mlのHBSS+(ブロッキング緩衝液)において4℃で30分間ブロッキング処理した。ブロッキング処理後、細胞をペレット化し、それぞれを再び3つに分けた。それぞれの3分割物を、2μgのマウスIgG、2μgのPIPまたは2μgのコントロール抗体(非GPI結合型膜タンパク質に対するモノクローナル抗体)を含有する100μlのブロッキング緩衝液と4℃で30分間インキュベーションした。その後、処理条件物のすべてを5μgのFITCコンンジュゲート化ヤギ抗マウスIgG(重鎖および軽鎖)を含有するブロッキング緩衝液に、4℃で30分間、再懸濁した。その後、細胞は3mlのブロッキング緩衝液で洗浄され、ペレット化されて、この分野で広く知られている標準的なプロトコルを使用するフローサイトメトリー技術による分析のために500μlのブロッキング緩衝液に再懸濁される。図5のパネルBには、この実験の結果が示される。
左側のパネルは、PI−PLC処理を伴わない細胞プロフィルを示す。右側のパネルは、PI−PLC処理を伴う細胞プロフィルを示す。矢印により記されるように、PIPAを発現する細胞集団はPI−PLC処理の後で左側に変化している。この変化は、この処理の後でのPIPA発現の喪失を表している。PI−PLCはGPI結合型タンパク質を切断し、それらを細胞膜から遊離させる。コントロール抗体は、その抗原標的がGPI結合型ではないので、予想されるように、PI−PLC処理に対して変化を何ら示さない。
(実施例13.抗原を同定するための他の特長づけ実験)
発現クローニングが、Stephan他、Dev.Biol.、212:264〜277(1999);および、Stephan他、Endicrinology、140:5841〜54(1999)に記載されるように行われる。クローン化すべきライブラリーを作製するための好適な供給源は、PIPと結合する腫瘍組織または腫瘍細胞株である。これらには、HT29またはミューラー管由来上皮細胞が含まれるが、これらに限定されない。
図1は、多数の卵巣癌組織サンプルにおける癌性細胞の免疫組織化学的染色の写真を示す。 図2は、PIP抗体の非存在下(図2A)および存在下(図2B)の両方での凍結切片における結腸癌細胞株HT−29の免疫組織化学的染色の写真を示す。 図3は、正常な組織サンプルの免疫組織化学的染色の写真を示す。 図4は、生来的なシグナル配列を含む、抗PIPAモノクローナル抗体PIPの軽鎖の可変領域(マウスIgG1、κ)の核酸配列を示す。対応するタンパク質翻訳がDNA配列の下に含まれる。生来的なシグナル配列を含む、抗PIPAモノクローナル抗体PIPの重鎖の可変領域の核酸配列もまた含まれる。対応するタンパク質翻訳がDNA配列の下に含まれる。 図5Aは、PIP抗体を使用するPIPAのウエスタンブロットを示す。PIPAが、45kD〜50kDの分子量範囲において、糖タンパク質であることを示すスメアとして現れている。PIPAは、ホスファチジルイノシトール特異的なホスホリパーゼCによる処理により処理されたColo205細胞のFACS分析において図5Bで認められるように、GPI結合型糖タンパク質であるようである。 図6は、インビトロでのOV90細胞内へのPIP抗体の内在化を示す。

Claims (25)

  1. PIPAに特異的に結合し、かつ、以下の特徴:
    A.癌細胞上のPIPAに結合する能力;
    B.生細胞の表面に露出しているPIPAの一部にインビトロまたはインビボで結合する能力;
    c.治療剤、毒素または検出可能なマーカーを、PIPAを発現する癌細胞に送達する能力;および
    d.治療剤、毒素または検出可能なマーカーを、PIPAを発現する癌細胞の中に送達する能力
    の少なくとも1つ以上を有する、実質的に精製された免疫グロブリンポリペプチドまたはその抗原結合性フラグメント。
  2. 前記癌細胞が、副腎腫瘍、AIDS関連癌、胞状軟部肉腫、星状細胞腫瘍、膀胱癌(扁平上皮細胞癌および移行上皮癌)、骨肉腫(アダマンチノーム、脈瘤性骨嚢胞、骨軟骨腫、骨肉腫)、脳脊髄癌、転移性脳腫瘍、乳癌、頚動脈小体腫瘍、子宮頸癌、軟骨肉腫、脊索腫、色素嫌性腎細胞癌、明細胞癌、結腸癌、結腸直腸癌、皮膚良性線維性組織球腫、線維形成性小円形細胞腫瘍、上衣細胞腫、ユーイング腫瘍、骨外性粘液様軟骨肉腫、骨線維形成不全、線維性骨異形成、胆嚢胆管癌、妊娠栄養膜疾患、生殖細胞腫瘍、頭頸部癌、ランゲルハンス島細胞腫瘍、カポジ肉腫、腎臓癌(腎芽細胞腫、乳頭状腎細胞癌)、白血病、脂肪腫/良性脂肪腫腫瘍、脂肪肉腫/悪性脂肪腫腫瘍、肝臓癌(肝芽腫、肝細胞癌)、リンパ腫、肺癌、髄芽細胞腫、黒色腫、髄膜腫、多発性内分泌腫瘍、多発性骨髄腫、骨髄異形成症候群、神経芽腫、神経内分泌腫瘍、卵巣癌、膵臓癌、乳頭状甲状腺癌、副甲状腺腫瘍、小児癌、末梢神経鞘腫瘍、クロム親和性細胞腫、下垂体腫瘍、前立腺癌、後ブドウ膜黒色腫、希少な血液学的障害、腎臓転移癌、杆状腫瘍、横紋筋肉腫、肉腫、皮膚癌、軟組織肉腫、扁平上皮細胞癌、胃癌、滑膜肉腫、精巣癌、胸腺癌、胸腺腫、甲状腺転移癌および子宮癌(子宮頚部の癌腫、子宮内膜癌および平滑筋腫)に由来する癌細胞からなる群より選択される、請求項1に記載の精製された免疫グロブリンポリペプチドまたはその抗原結合性フラグメント。
  3. 請求項1に記載される免疫グロブリンポリペプチドまたはその抗原結合性フラグメントをコードする単離された核酸配列。
  4. 前記核酸が、プロモーターに作動可能に連結されている、請求項3に記載の核酸。
  5. 前記プロモーターおよび前記核酸が、発現ベクターに含まれる、請求項4に記載の核酸。
  6. 前記ポリペプチドが、モノクローナル抗体である、請求項3に記載の核酸。
  7. 請求項3に記載される核酸を含むベクターで、トランスフェクト、形質転換、または感染された、細胞株。
  8. 実質的に精製された免疫グロブリンポリペプチドまたはその抗原結合性フラグメントを生成する方法であって、該方法は、以下の工程:
    A.請求項3に記載される核酸で形質転換された細胞株を、該免疫グロブリンポリペプチドまたは抗原結合性フラグメントが発現される条件の下で増殖させる工程;および
    B.該発現した免疫グロブリンポリペプチドまたはフラグメントを収集する工程、
    を包含する、方法。
  9. 前記細胞株が、ハイブリドーマである、請求項8に記載の方法。
  10. 前記ハイブリドーマが、ATCC番号PTA−4220である、請求項9に記載の方法。
  11. 前記免疫グロブリンポリペプチドが、モノクローナル抗体である、請求項8に記載の方法。
  12. 請求項1に記載される前記精製された免疫グロブリンまたは抗原結合性フラグメントの治療的に有効量を、薬学的に受容可能なキャリアと一緒に含有する、薬学的組成物。
  13. PIPAに特異的に結合し、かつ、以下の特徴:
    a.癌細胞上のPIPAに結合する能力;
    b.生細胞の表面に露出しているPIPAの一部にインビトロまたはインビボで結合する能力;
    c.治療剤、毒素または検出可能なマーカーを、PIPAを発現する癌細胞に送達する能力;および
    d.治療剤、毒素または検出可能なマーカーを、PIPAを発現する癌細胞の中に送達する能力
    の少なくとも1つ以上を有するモノクローナル抗体またはその抗原結合性フラグメントの治療的に有効量を、薬学的に受容可能なキャリアと一緒に含有する、薬学的組成物。
  14. 前記組成物が、さらなる治療的成分を含有する、請求項13に記載の薬学的組成物。
  15. ATCC番号PTA−4220またはその子孫からなる、単離された細胞株。
  16. 化学療法剤を癌細胞に送達するための方法であって、該方法は、該化学療法剤と結合した抗PIPA抗体を含有する組成物を投与する工程を包含し、前記癌細胞が、副腎腫瘍、AIDS関連癌、胞状軟部肉腫、星状細胞腫瘍、膀胱癌(扁平上皮細胞癌および移行上皮癌)、骨肉腫(アダマンチノーム、脈瘤性骨嚢胞、骨軟骨腫、骨肉腫)、脳脊髄癌、転移性脳腫瘍、乳癌、頚動脈小体腫瘍、子宮頸癌、軟骨肉腫、脊索腫、色素嫌性腎細胞癌、明細胞癌、結腸癌、結腸直腸癌、皮膚良性線維性組織球腫、線維形成性小円形細胞腫瘍、上衣細胞腫、ユーイング腫瘍、骨外性粘液様軟骨肉腫、骨線維形成不全、線維性骨異形成、胆嚢胆管癌、妊娠栄養膜疾患、生殖細胞腫瘍、頭頸部癌、ランゲルハンス島細胞腫瘍、カポジ肉腫、腎臓癌(腎芽細胞腫、乳頭状腎細胞癌)、白血病、脂肪腫/良性脂肪腫腫瘍、脂肪肉腫/悪性脂肪腫腫瘍、肝臓癌(肝芽腫、肝細胞癌)、リンパ腫、肺癌、髄芽細胞腫、黒色腫、髄膜腫、多発性内分泌腫瘍、多発性骨髄腫、骨髄異形成症候群、神経芽腫、神経内分泌腫瘍、卵巣癌、膵臓癌、乳頭状甲状腺癌、副甲状腺腫瘍、小児癌、末梢神経鞘腫瘍、クロム親和性細胞腫、下垂体腫瘍、前立腺癌、後ブドウ膜黒色腫、希少な血液学的障害、腎臓転移癌、杆状腫瘍、横紋筋肉腫、肉腫、皮膚癌、軟組織肉腫、扁平上皮細胞癌、胃癌、滑膜肉腫、精巣癌、胸腺癌、胸腺腫、甲状腺転移癌および子宮癌(子宮頚部の癌腫、子宮内膜癌および平滑筋腫)に由来する癌細胞からなる群より選択される、方法。
  17. 前記化学療法剤が、個体に投与される、請求項16に記載の方法。
  18. 前記ハイブリドーマが、ATCC番号PTA−4220またはその子孫である、請求項16に記載の方法。
  19. 個体における癌細胞の増殖を阻害する方法であって、該方法は、化学療法剤と結合した抗PIPA抗体を含有する組成物の有効な量を、該個体に投与する工程を包含し、該癌細胞が、副腎腫瘍、AIDS関連癌、胞状軟部肉腫、星状細胞腫瘍、膀胱癌(扁平上皮細胞癌および移行上皮癌)、骨肉腫(アダマンチノーム、脈瘤性骨嚢胞、骨軟骨腫、骨肉腫)、脳脊髄癌、転移性脳腫瘍、乳癌、頚動脈小体腫瘍、子宮頸癌、軟骨肉腫、脊索腫、色素嫌性腎細胞癌、明細胞癌、結腸癌、結腸直腸癌、皮膚良性線維性組織球腫、線維形成性小円形細胞腫瘍、上衣細胞腫、ユーイング腫瘍、骨外性粘液様軟骨肉腫、骨線維形成不全、線維性骨異形成、胆嚢胆管癌、妊娠栄養膜疾患、生殖細胞腫瘍、頭頸部癌、ランゲルハンス島細胞腫瘍、カポジ肉腫、腎臓癌(腎芽細胞腫、乳頭状腎細胞癌)、白血病、脂肪腫/良性脂肪腫腫瘍、脂肪肉腫/悪性脂肪腫腫瘍、肝臓癌(肝芽腫、肝細胞癌)、リンパ腫、肺癌、髄芽細胞腫、黒色腫、髄膜腫、多発性内分泌腫瘍、多発性骨髄腫、骨髄異形成症候群、神経芽腫、神経内分泌腫瘍、卵巣癌、膵臓癌、乳頭状甲状腺癌、副甲状腺腫瘍、小児癌、末梢神経鞘腫瘍、クロム親和性細胞腫、下垂体腫瘍、前立腺癌、後ブドウ膜黒色腫、希少な血液学的障害、腎臓転移癌、杆状腫瘍、横紋筋肉腫、肉腫、皮膚癌、軟組織肉腫、扁平上皮細胞癌、胃癌、滑膜肉腫、精巣癌、胸腺癌、胸腺腫、甲状腺転移癌および子宮癌(子宮頚部の癌腫、子宮内膜癌および平滑筋腫)に由来する癌細胞からなる群より選択される、方法。
  20. 前記化学療法剤が、前記癌細胞の中に送達される、請求項19に記載の方法。
  21. 前記抗PIP抗体が、ハイブリドーマATCC番号PTA−4220またはその子孫によって発現されるモノクローナル抗体である、請求項19に記載の方法。
  22. 個体における癌細胞の存在または非存在を検出するための方法であって、該方法は、該個体から得られた細胞を抗PIPA抗体と接触させる工程、および、該細胞に由来するPIPAおよび該抗体の複合体を、存在する場合には検出する工程を包含し、該癌細胞が、副腎腫瘍、AIDS関連癌、胞状軟部肉腫、星状細胞腫瘍、膀胱癌(扁平上皮細胞癌および移行上皮癌)、骨肉腫(アダマンチノーム、脈瘤性骨嚢胞、骨軟骨腫、骨肉腫)、脳脊髄癌、転移性脳腫瘍、乳癌、頚動脈小体腫瘍、子宮頸癌、軟骨肉腫、脊索腫、色素嫌性腎細胞癌、明細胞癌、結腸癌、結腸直腸癌、皮膚良性線維性組織球腫、線維形成性小円形細胞腫瘍、上衣細胞腫、ユーイング腫瘍、骨外性粘液様軟骨肉腫、骨線維形成不全、線維性骨異形成、胆嚢胆管癌、妊娠栄養膜疾患、生殖細胞腫瘍、頭頸部癌、ランゲルハンス島細胞腫瘍、カポジ肉腫、腎臓癌(腎芽細胞腫、乳頭状腎細胞癌)、白血病、脂肪腫/良性脂肪腫腫瘍、脂肪肉腫/悪性脂肪腫腫瘍、肝臓癌(肝芽腫、肝細胞癌)、リンパ腫、肺癌、髄芽細胞腫、黒色腫、髄膜腫、多発性内分泌腫瘍、多発性骨髄腫、骨髄異形成症候群、神経芽腫、神経内分泌腫瘍、卵巣癌、膵臓癌、乳頭状甲状腺癌、副甲状腺腫瘍、小児癌、末梢神経鞘腫瘍、クロム親和性細胞腫、下垂体腫瘍、前立腺癌、後ブドウ膜黒色腫、希少な血液学的障害、腎臓転移癌、杆状腫瘍、横紋筋肉腫、肉腫、皮膚癌、軟組織肉腫、扁平上皮細胞癌、胃癌、滑膜肉腫、精巣癌、胸腺癌、胸腺腫、甲状腺転移癌および子宮癌(子宮頚部の癌腫、子宮内膜癌および平滑筋腫)に由来する癌細胞からなる群より選択される、方法。
  23. PIPAとPIPA結合パートナーとの間の以下の相互作用:
    a.癌細胞上のPIPAに結合する能力;
    b.生細胞の表面に露出しているPIPAの一部にインビトロまたはインビボで結合する能力;
    c.治療剤、毒素または検出可能なマーカーを、PIPAを発現する癌細胞に送達する能力;および
    d.治療剤、毒素または検出可能なマーカーを、PIPAを発現する癌細胞の中に送達する能力
    の少なくとも1つをブロックする、薬剤。
  24. 請求項23に記載される薬剤の治療的に有効量を、薬学的に受容可能なキャリアと一緒に含有する、薬学的組成物。
  25. PIPA調節因子であって、以下の特長:
    a.ヒトPIPAと天然PIPAリガンドとの間の相互作用を破壊またはブロックする、能力;
    b.ヒトPIPAと抗PIPA抗体との間の相互作用を破壊またはブロックする、能力;
    c.ヒトPIPAに結合する、能力;
    d.ヒトPIPAに対する天然リガンドに結合する、能力;
    e.抗PIPA抗体に結合する、能力;
    f.ヒトPIPA、天然PIPAリガンドまたは抗PIPA抗体に結合し得る抗体を惹起させる際に使用され得る抗原性部位を含有すること;
    g.ヒトPIPA、天然PIPAリガンドまたは抗PIPA抗体に結合し得る抗体のスクリーニングにおいて使用され得る抗原性部位を含むこと;
    h.ヒトPIPAと天然PIPAリガンドとの間の相互作用、またはPIPAと抗PIPA抗体との間の相互作用を破壊またはブロックし得る抗体を惹起させる際に使用され得る抗原性部位を含むこと;
    i.ヒトPIPAと天然PIPAリガンドとの間の相互作用、またはPIPAと抗PIPA抗体との間の相互作用を破壊またはブロックし得る抗体のスクリーニングにおいて使用され得る抗原性部位を含むこと;
    の少なくとも1つを有する、PIPA調節因子。
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