JP2006503605A - 医療装置 - Google Patents

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Abstract

本発明は組織外傷または医療装置の埋め込み後の過形成性結合組織の増殖を減少させる、遺伝子移入産物の使用に関する。本発明は同様に、生体適合性培地中に存在するコア、および細胞外スーパーオキシドジスムターゼの産生をもたらすことができる産物をコードする核酸を含む、哺乳動物の体内に導入された場合の血液、体液、および/または組織との少なくとも部分的な接触に関して改善された生物学的特性を有する医療装置にも関する。この核酸は、コアの合成表面上で少なくとも部分的に、インビボでの過形成性結合組織の増殖を阻害することおよび内皮形成を促進することが可能な、翻訳または転写産物をコードする。本発明は同様に、本発明の医療装置を作製する方法にも関する。

Description

技術分野
本発明は、再狭窄を減少させること、内皮形成(endothelialisation)を増加させること、および炎症反応を減少させること、ならびに結合性組織形成を減少させることを補助する遺伝子産物をコードする核酸成分と組み合わせた、埋め込み型人工補綴装置のような、ヒトまたは動物への埋め込みに適した医療装置に関する。本発明はさらに、結合組織形成および炎症反応形成を減少させる方法、ならびに少なくとも1つの合成表面を備える医療装置に対するヒトまたは動物体内での許容性を改善させる目的で、内皮形成を増加させる方法に関する。また、本発明の医療装置を製造する方法にも関する。
発明の背景
生体の疾患および損傷部分は、いくつかの方法により修復するか、または交換することができる。これらの方法により、介入(治療)を実施する、または装置を移植する組織に反応性の変化がもたらされる。組織におけるこれらの反応性の変化を制御することは困難であり、そして合併症が引き起こされる。組織の反応性の変化は、組織の外傷処置の全て、生物材料の移植または合成材料の移植と関連して起こる。
組織を修復するために、血管内、内視鏡または外科手術のいずれかが行われる。これら全ての技法は、瘢痕組織形成または線維形成反応を後に伴う、介入(治療)により引き起こされる外傷に対する反応に悩まされる。体の一部を修復するほかに、それを同様に交換できる。次に、ドナー組織は一般的に、あらゆる場所で:レシピエント自身の体(自家移植片);第二のドナー(同種移植片);または場合によっては、別の種のドナーから(異種移植片)調達される。通常、体の一部を天然の組織で交換することは好ましい方法であるが、結合部位における組織反応に悩まされる。組織移植は費用が高く、急性の炎症および長期間の線維形成反応のため失敗率が高い。人工または合成の医療用インプラント装置を用いることは、かなりの注目を集める主題であるが、この技術も同様に、結合組織または線維形成の増加を後に伴う、インプラントに対する異物反応に悩まされる。
インプラント装置は、場合によっては、ドナーに基づく移植の代用品として用いることができるが、外傷に対する組織反応、インプラントの体との生体不適合性、異物反応の誘導および形状変化を後に伴う結合組織形成の誘導のため、それらは満足のできない結果を生じることがあまりにも多い。同様に、心血管装置の合成表面に細胞の内層がないために、血栓症、およびその他の内科/外科措置の合併症の危険性を増加させる状態が生じる。その臨床的結果は、装置が血管内に埋め込まれる場合、血流の制限若しくは閉塞か、または装置が組織に埋め込まれる場合、インプラントを包み込む線維被膜のいずれかである。その最終的な結果は、機能不全およびその他の臨床内科的合併症である。
増殖因子、遺伝子およびインプラントが用いられる一つの特定の領域は、心血管領域である。心血管疾患は、ヒト集団の大部分に影響を及ぼし、社会における有意な罹患率、費用および死亡率の原因である。アメリカでは成人約6千万人が心血管疾患を有し、これはアメリカにおける主な死因である。急性心筋梗塞または心臓発作は毎年100万例起こっており、年間20万人が死亡する。間歇性跛行は、有意な罹患率をもたらし、有意な術中死亡率を有する虚血性疾患のために毎年15万例の下肢切断が必要である。脳血管疾患、脳卒中、および出血も同様に、有意な罹患率、費用および死亡率をもたらす。透析患者は100万人存在し、透析のためのアクセスを外科的に作製するために、動静脈瘻の手術を毎年20万例必要とする。
冠動脈および末梢血管疾患は、血流および栄養を臓器に提供する血管の遮断を特徴とする。移植片として使用される天然の血管壁は、増大した結合組織形成および加速したアテローム動脈硬化に悩まされる。その後、これは血管内腔の狭窄を引き起こす。他の有意な疾患群は、動脈瘤、即ち血管の局所弛緩、偽動脈瘤、および血管壁の切開である。
これらの疾患を治療するために薬理学的、外科的、および経皮的戦略が存在する。虚血性心疾患を薬理学的に治療する場合、目標は、血液をより凝固しないようにすること、血管壁へのコレステロールの蓄積を阻害すること、および血管拡張によって血流を増加させるか、または酸素消費を減少させることである。
または、血管を、経皮経管的血管形成術(バルーン血管形成術)、レーザー血管形成術、動脈切除術、回転剥離術、侵襲的手術、血栓溶解、またはこれらの治療の組み合わせを用いて治療することができる。経皮的方法の意図は、閉塞血管を再開口させた後、開口を維持することである。血管形成術は二つの大きな問題-急性閉塞および再狭窄に悩まされる。急性閉塞は、拡張手技の初期時間後のまたは内の急速な血管の閉塞を意味する。再狭窄は、当初は奏効した血管形成術後の動脈の再度の狭窄を意味する。それは奏効した介入術の後、最初の数ヶ月以内に患者の20〜40%で起こり、バルーン拡張の間に血管が傷つけられるために起こると考えられる。それから血管が治癒する際、平滑筋細胞が内皮細胞よりも速く増殖する結果、血管の内層が狭められてしまう(Ipら、J. Am. College of Cardiol. 1990; 15:1667〜1687、Faxonjら、Am. J. of Cardiology: 1987; 60: 5B〜9B)。バルーン血管形成術後の早期の再狭窄が発生する患者の割合は、血管形成術を行った後、調節可能なステント構造支持体、管状移植片、またはそれらの組み合わせのような管内インプラントの、ステントの埋め込みにより減少させることができる。しかし、ステントは実際に内膜過形成による遅発性管腔狭窄の量を増加させ、ステント再狭窄の総体的な割合は容認し難いほど高いままである(Kuntzら、Circ. 2000;101: 2130〜2133)。これらの装置は、内皮細胞で覆われるまでの血栓症と手術後の出血性合併症の双方に悩まされる。血栓症の危険性のため、ステント表面の内皮細胞被覆率が進展するまで、抗凝固療法が使われる。内皮表面はヒトの管状移植片上では発達しない。ステントおよび管状血管内移植片は同様に、局所的な血管の拡張または切開が起こらないようにするために用いることができる。
心血管疾患の外科的治療は、天然の若しくは人工の血管移植片または小片によって疾患を有する血管をバイパス、置換、または再構築することである。
これらの血管内および外科手術は全て、同じ問題により困難とされている-血管内皮細胞に対する外傷、過剰な結合組織の形成および血栓症または再狭窄による閉塞と関連する後続の問題を伴う炎症反応。
冠動脈手術において、閉塞血管は、自家血管移植片によって迂回される。手術はCABGと呼ばれ、これは冠動脈バイパス移植片手術を意味する。末梢動脈手術では、天然のまたは人工の移植片は通常、閉塞を迂回するため、例えば鼠径部から大腿までの閉塞を迂回するために埋め込まれる。場合によっては、その代わりに動脈の一部を天然のまたは人工の血管移植片に置換してもよい。透析のためのアクセス手術では、透析装置によって血液を洗浄するためのアクセスを作製する必要がある。通常、透析に必要な高度な血流を作製するために、瘻と呼ばれる連絡通路を上肢の動脈と静脈の間に構築する。心臓内小片を用いて、心中隔または心壁の穴を修復する。人工血管小片は、いくつかの手術の中で血管手術において用いられ、これは血栓切除術、動脈内膜切除術、動脈瘤修復および血管再構築のような、血管壁の切開を必要とする。経皮的血管再形成では、カテーテルをバルーン、ステント、またはステント移植片と共に用いて狭窄を減少させるか、または脳、冠動脈、腎臓、他の末梢動脈および静脈、大動脈のような異なる解剖学的位置における並びに血管移植片における拡張または切開を防止する。バルーン拡張、ステント、およびステント移植片も同様に、胆管枝、食道、腸、気管-気管支枝、および尿路のような他の部位に用いてもよい。
これらの血管内および外科手術は全て、同じ問題により困難とされている-合成表面上における内皮形成表面の欠如、過剰な結合組織の形成および炎症反応。
血管介入術および合成血管インプラントの埋め込み後の開口を改善するためにいくつかの戦略が提案されている。世界中で、血管形成術が毎年約160万例行われており、これらの技法の大部分においてステントが広く挿入されている(第8回国際薬物輸送総会並びに放射線および分子戦略における心血管の経過、ジェノバ、スイスd、2月1日、2002)。血管形成術またはステント植込み術を後に行う血管形成術に関する問題は、再狭窄の過程である。血管への外傷による過剰な結合組織形成によって、6ヶ月後、症例の20〜30%が血管内腔の狭窄へと進行する(Bittl JA: Advances in coronary angioplasty N. Engl. J. Med. 1996; 335:1290〜1302、Narins CR、Holmes DR、Topol EJ: A call for provisional stenting: the balloon is back! Circulation 1998; 97:1298〜1305)。再狭窄に関する問題は当技術分野において十分に記述されており、いくつかのアプローチが科学文献および特許文献の双方に記述されている。現在、装置を挿入しない、単純な血管形成術後の再狭窄を減少させる戦略が、業界内には存在していない。血管形成術の後にステント装置を用いる場合、薬学的にコーティングされたステントは、長期間の効果に関して評価されておらず、ステントまたはステント移植片における長期の再狭窄の割合を確かに減少させると思われる、ヒトで検証された方法は存在していない。組織への外傷後に続く過形成を減少させる主な戦略は、ステントと共にラパマイシン、シロリムス、パクリタキセル、タクロリムス、デキサメタゾン、サイトカラシンDおよびアクチノマイシンCのような、種々の医薬物質を使用することであった。現在の薬理学的にコーティングされた装置に関する一つの欠点は、物質が装置表面から放出されてしまった後の効果が消失してしまう可能性である。さらに、血管壁および下流の脈管構造または組織中へ高濃度で溶出する化合物の性質が関連する問題である。別の欠点は、これらの物質のどれもが本来、体内には存在しておらず、従って異物表面の自然治癒を促進できないことである。例としては、細胞に対して細胞傷害性のあるパクリタキセルおよびアクチノマイシンDである。
天然の血管移植片における主な問題は、特定の体の部位での移植片と血管の連絡部位における内膜過形成、および移植片の血管内腔における内膜過形成の両者であった。天然の血管を人工血管移植片と連絡させる場合、同じく吻合部過形成の問題がある。人工血管移植片35万個以上が毎年埋め込まれており、無数の合成生体材料が血管代用品として開発されている。異物材料であるために、移植片は異物反応の標的であり、そして血栓形成性であるため、自家材料より高度に凝固する傾向がある。血栓形成性を克服するために、ほとんどのアプローチは血栓耐性である表面を作製することに集中しており、これらの努力の大部分はポリマー表面の改善に向けられている。選択した材料、例えばダクロンおよびePTFE(拡張ポリテトラフルオロエチレン)は、動物モデルにおいて管径の大きいおよび小さい動脈の双方において首尾よく組み入れられ得ることが研究によって証明されている(Zdrahala, J. Biomater. Appl. 1996; 10:309〜29)。ヒトでは、ダクロンとePTFE人工血管は、大きいサイズと中等度のサイズの動脈再構築において特定の臨床上での成功を収めているが、なお理想には遠い。しかし、吻合部過形成、即ち二つの天然の血管か、または人工血管と自家血管のどちらかが連絡する部分の結合組織を過剰に増殖させる傾向のために、またはむき出しの血栓表面における血栓症(即ち、凝固形成傾向)(Nojiri、Artif. Organs 1995 1月号;19 (1):32〜8)のために、成功は直径が6mm以下の血管代用品に限られている。動脈の位置に埋め込まれる場合、自家静脈移植片は狭窄の発生に悩まされる。特許および科学文献に記述されているように、再狭窄の発生を減少させるため、先行技術においては遺伝子治療が用いられてきた。過形成を阻害するため、血管吻合周辺部の装置として遺伝子を染み込ませたスリーブについて記述され、そして使用されている(国際公開公報第98/20027号、国際公開公報第99/55315号)。スリーブの使用が厄介であることが、これらの方式における主な欠点であり、そして使用される物質は増殖因子または増殖因子をコードするものである。さらに、インプラントの血栓形成性に関する研究は、インプラント材料を改変すること、または化合物を移植片に添加することに限定されてきた(例えば、米国特許第5,744,515号)。最も多く用いられた物質はヘパリンであったが、これは移植片に結合させるか、または局所薬剤輸送装置によって投与する。
ヒトでは、異物インプラントの血流表面は、いくつかの症例報告を除き内皮細胞によって覆われないままである(Wu, J. Vasc. Surg. 1995、5月; 21(5):862〜7、Guidon、Biomaterials 1993、7月; 14(9):678〜93)。動物では、血管移植片の完全な内皮形成は、種により2〜4週間のあいだに起こることが示されている。内皮表面がないこの期間は、例えば表面の血栓形成性により望ましくない副作用および問題が起こる可能性がある。内皮表面がないため、自家移植片と比較して人工移植片の性能は劣る(Nojiri、Artif. Organs 1995、1月; 19 (1):32〜8; Berger、Ann. of Surg. 1972;175 (1):118〜27、Sauvage)。一方、自家移植片は、それを採取する段階を含み、そのために手術時間がより長くなり、同様に採取領域において合併症が起こる可能性がある。多孔性の頚動脈PTFE移植片周囲の損傷を受けていない血管を有する網を転移させると、イヌの移植片内腔において内皮細胞の被覆を増加させることが証明されている(Hazama、J. of Surg. Res. 1999; 81: 174〜180)、しかし、これには上記のような厄介で複雑な技法を必然的に伴う。さらに、移植片は内皮細胞と共に播種され、内皮細胞または骨髄によって覆われる(Noishiki、Artif. Organs 1998 1月; 22(1): 50〜62、WilliamsおよびJarrel、Nat. Medicine 1996;2: 32〜34)。細胞の播種において、内皮細胞を回収した後に血液または血漿と混合し、次に前凝固期間中に移植片表面に加える。これらの方法において用いられる内皮細胞は、それによって後に移植片が埋め込まれる微小血管(脂肪)、大血管(例えば、採取した静脈から)、または中皮起源に由来してもよい。より具体的には、これらの方法は、組織を内皮細胞と共に採取する段階、内皮細胞を分離する段階、場合によっては内皮細胞を培養する段階、移植片材料に内皮細胞を播種する段階、そして最後に移植片を埋め込む段階を含む、いくつかの段階を含む。従って、これらの方法の実質的な欠点は、それらが時間を浪費して実践することが厄介であること、そしてそれらが同様に適した装置のみならずその領域での特殊な専門技術を必要とすることである。さらに、そのような播種された内皮細胞は遺伝子操作されており、様々な結果を生じる:細胞に組織プラスミノーゲン活性化因子(tPA)を形質導入すると、移植片表面に対する内皮細胞接着を減少させ、レトロウイルスをトランスフェクトすると内皮形成を減少させる。細胞の播種を改善するために、血管内皮増殖因子(VEGF)をトランスフェクトした内皮細胞または脂肪細胞が用いられている。上記の欠点に加えて、この方法はより一層煩わしく、従って、実践において有用となるためには費用がかかる。内皮前駆細胞を形質導入して、その後それらを再投与する方法が記述されている。しかし、問題はなおも上記の通りである。表面上での内皮細胞の増殖技術を改善するために、移植片表面をリガンドによって処置することが示唆されている。細胞を覆う場合、内皮細胞を採取後にポリマー移植片表面に直接投与し、それによって移植片を埋め込むが、この技術もまた、上記のようにいくつかの段階を含み、そのために同様に厄介となる。同様に、組織の操作は、これも同様に複雑で、従って費用がかさむ技法であるが、埋め込みに関して血管組織を構築するために用いられている。内皮表面を誘発するため、血管新生因子を用いた遺伝子工学的な方針が提案されている(PCT/SE 00/02460)。この欠点は、増殖因子の細胞への効果を促進する増殖因子の使用により、制御不能な結合組織の増殖が引き起こされることである。動脈同種移植片が記述されているが、それらは、動脈の保存および抗原性に関する問題を生じる。
さらに、世界中でステント埋め込み技法が毎年160万例行われており、これは患者1人あたり平均でステント1.7個である。細かいネットワーク構造の比較的単純な装置であるステントは、当技術分野で周知である。血管閉塞のためのステント埋め込みは通常、拡張、剥離、動脈切除術、またはレーザー治療による動脈の開口と組み合わせる。これらの介入(治療)により、内皮細胞の内層の破壊による血管壁への外傷および組織障害が起こる。通常、ステントはいくつかの材料、通常ステンレススチールのネットワークで構成され、これを切開した領域にカテーテルと共に経皮的に挿入する。ステントは設計が異なり、例えば、医薬化合物を含む、または含まない、自己展開型/圧拡張型、管状/円錐型/二股型、永続的/一時的、非分解性/生体分解性、金属/ポリマー材料である。それらは、脳、冠動脈、腎臓、他の末梢動脈および静脈、並びに大動脈のような異なる解剖学的位置の血管に埋め込まれる。ステントはまた、胆管枝、食道、腸、気管-気管支および尿性器管のような他の位置に用いてもよい。ステントは例えば、狭窄、縮窄、または動脈瘤を治療するために用いてもよい。ステントは特徴的に開口メッシュ構造を有するか、またはそうでなければ放射状の拡張および収縮が容易となるような、そして装置構造の組織内植が可能となるような多数の開口部と共に形成される。血管拡張後、ステントは亜急性血栓症および新生内膜肥厚に関連して、閉塞に至る。ステント段階の前に、バルーンの拡張のみを用いて血管の狭窄を軽減した。VEGFをコードする裸のDNAを輸送するためにヒドロゲルを備えたバルーンが記述されている(Riessen、Human Gene Therapy 1993、4:749〜758)。米国特許第5,830,879号、およびvan Belle J. Am. Coll. of Cardiol. 1997;29: 1371〜9にもまた、血管治癒を惹起するおよび再狭窄を減少させるために血管内ステントを同時に配備し、VEGFプラスミドが付随したバルーンが記述されている。同様に、薬物輸送のためにヒドロゲルと遺伝子を備えたバルーンが記述されている(第5,674,192号、Sahatjianら)。カテーテルは、コードする遺伝子と共に血管新生ペプチド、リポソーム、およびウイルスを血管壁に輸送するためにも用いられている(国際公開公報第95/25807号、上記の米国特許第5,833,651号)。カテーテルはまた、ステントのより迅速な内皮形成を提供するためにVEGFタンパク質を輸送するために用いられている(van Belle、Circ. 1997:95 438〜448)。さらに、遺伝子輸送のためのステント(米国特許第5,843,089号、Klugherz BDら、Nat biotechnology 2000;18: 1181〜84)およびウイルス遺伝子輸送のためのステント(Rajasubramanian、ASAIO J 1994; 40: M584〜89、米国特許第5,833,651号)が記述されている。ステント上の内皮細胞播種は、血栓症を克服するために、組換えタンパク質を血管壁に輸送する方法として用いられているが、上記のように、この技術は厄介でしたがって費用がかさむ。
被覆ステントとも呼ばれるステント移植片は、当技術分野で周知である。そのようなステントは2つの部分、即ちステント部分と移植片部分との組み合わせである。ステント移植片において、従属的な移植片を放射状に拡張可能なステントにカップリングさせる。ステント移植片は、ステントと血管内の血流との間に完全な障壁を形成することによって使用可能であると考えられる。ステントを形成するワイヤ部材またはその他の構造的材料に対する血液の乱流を防止し、ステントが構成される金属またはその他の材料に対する血栓形成反応または免疫応答を予防し、そして血管の疾患部分または損傷部分を通過する血流からその部分を分離する障壁を形成することによって、移植片は生物学的に適合性のある内部被覆として作用し得る。ヒトでは、ステント移植片に関する主な問題は、移植片に関して先に述べたように、閉塞に至る、新生内膜肥厚の形成および完全な内皮形成の欠如である。ステント移植片は大動脈、脳血管、冠動脈、腎動静脈、その他の末梢動脈および静脈、並びに大動脈に用いてもよい。実験的研究は、血管内皮装置を輸送する場合に生じる血管損傷が炎症、マイトゲンおよび化学遊走因子の局所発現および放出を誘導し、これらが新生内膜病変形成を媒介することを明らかにしている。ステント移植片は胆管枝、食道、腸、気管-気管支および尿性器管のような他の位置で用いてもよい。
このように、現在では、組織外傷部位における、装置埋め込み部位における、血管連絡部位におけるまたは天然の移植片における内膜過形成を阻害することが大いに必要でありそして重要である。同様に、現在では、臨床の実践において内皮形成と移植片の治癒を改善することが大いに必要でありそして重要である。しかし、これまで、実際に用いられるそのような方法はまだ開発されていない。
心臓弁置換手術が毎年約10万例行われている。人工心臓弁は、当技術分野で周知である。4つの型の移植片が存在する:合成移植片、異種移植片、同種移植片、および自家移植片。異種移植片は通常、保存された心膜弁およびブタ弁、例えばカルパンティエ・エドワーズ、イオネスク・シレー、ハンコック、ペリカーボン、またはステントなしの弁である。生体分解は生体人工弁における主要な懸念である。分解は、内皮細胞障壁の破壊および内皮形成の欠如、弁組織への循環中の宿主血漿タンパク質の容易な拡散に至る透過性の増加、並びに浸潤プロセスの活性の増加、例えば石灰化および脂質蓄積、およびコラーゲン骨格の生体分解を特徴とする。同様に、炎症細胞の軽度から中等度の浸潤が記述されており、1年後に生体人工弁表面上に内皮の増殖を全く認めない(Isomura J. Cardiovasc. Surg. 1986、27:307〜15)か、またはほとんど認めない(Ishihara、Am. J. Card. 1981:48、443〜454)ことが、研究によって示されている。保存方法の変更、グルタルアルデヒド保存剤の中和および生体人工弁を予め内皮で被うことが、弁の性能を改善するために提案されている。この意味において内皮の播種について、いくつかの研究が行われているが、上記のように必要とする段階が多いために臨床では厄介である。
上記のように、埋め込み型装置も同様に、心血管領域以外の領域において用いられる。構造的支持、機能的支持、薬剤輸送、遺伝子治療、および細胞封入目的のためのような様々なインプラント装置が記述されている。血管外拡散チャンバー、血管内拡散チャンバー、血管内限外濾過チャンバー、および微小封入細胞のような、選択した産物を産生する組織または細胞を免疫系から保護する多様な装置が、生体へのインプラントとして適するか否かが調べられている。しかし、外来生体材料を埋め込む場合、炎症性の異物反応が始まり、これは最終的には装置を封じ込めて、半透過性膜の内部の細胞への栄養物質の拡散を阻害する。この領域は非血管性である。血管分布が存在しないことは、物質が拡散するために障害となる。これは、封入された内分泌組織の長期生存率を低下させ、同様に、血管インプラントを感染症に罹りやすくする。血管分布のない線維状の封入体も同様に、装置の性能を制限し得る。米国特許第5,882,354号において、生存細胞を保持するチャンバーは、不明の機構によって、結合組織の浸潤を防止して、インプラントの密な血管形成を増加させる2つの領域を含む。
インプラント装置の技法において用いられるいくつかの他の材料も同様に、上記の材料と類似の問題に遭遇する。例えば、縫合材料を挙げることができ、この材料は、手術技法の際に生体組織の修復、固定、および/または接着縫合のために用いられる。人工装置またはインプラントを結合させる場合、強度、生体適合性、および生体分解性に関して、縫合には厳密な要件が存在する。
要約すると、この領域における主な欠点は、血管内および手術技法後の結合組織の過剰発生である。例えば、バルーン拡張技法後には、結果として、追随する合併症を伴う結合組織の過剰増殖が起こる。同様に、自家血管移植片においては結合組織の過剰増殖が狭窄を引き起こす。インプラント装置を用いた、または用いない、血管手術技法においては吻合部における過剰な結合組織形成により、血流が制限され、そして引き続いてその血管が供給される器官の機能障害に結びつく血管の狭窄が引き起こされる。血管インプラントにおいて合成材料を用いる場合、埋め込みを行う開口血栓性表面のためにまた問題が生じ、これは次に血液凝固を生じて不良な性能を示す。合成組織インプラントにおいては、結果として、血管が分布していない線維状の非栄養領域が生じ、これはインプラントの機能障害に至る。これは炎症反応を伴い、哺乳動物の体、特にヒトの体と、埋め込まれた医療装置との生体適合性が、先行技術の方法を用いた場合には、いかなる満足のゆく程度にも得られていないということの原因となっている。
欧州特許第1016726号には、血管損傷後におよびステント挿入の場合に内皮表面を創生させるため、増殖因子(例えば、VEGF)のような血管新生タンパク質および遺伝子または他の遺伝子(例えば、NOS)の使用法が記述されている。
欧州特許第1153129号には、再狭窄を阻害するためのオリゴセンスヌクレオチドの使用法が記述されている。
細胞外スーパーオキシドジスムターゼ(EC-SOD)は分泌型の抗酸化酵素であって、体内の至る所で広く発現し、そして主要なSODアイソザイムは血漿中に存在している。血管壁、肺、腎臓、甲状腺および副睾丸がEC-SODの主要な発現部位であることが明らかにされている。
スペイン特許第2004687号にEC-SODの配列が記述されている。Liらによる論文には、心筋保護におけるEC-SODの使用法が記述されている(Gene therapy with extracellular superoxide dismutase attenuates myocardial stunning in conscious rabbits. Circulation 1998;98: 1438-1448、およびGene therapy with extracellular superoxide dismutase protects conscious rabbits against myocardial infarction. Circulation. 2001;103: 1893-1898)。
発明の概要
本発明の目的は、前述の問題の解決法を提供することである。より詳細には、本発明の1つの目的は、結合組織の過形成を生じる、損傷された血管組織反応の問題を解決する医療装置を提供することである。本発明の別の目的は、閉塞および他の問題を生じる血栓形成性の医療インプラント表面の問題を解決する医療装置を提供することである。本発明の別の目的は、再狭窄を軽減するため、またはそうでなければ外来物質とそのレシピエントもしくは宿主との間の生体適合性を改善するための先行技術の方法よりも、実際に使用するのに面倒でない医療装置を提供することである。本発明の別の目的は、これまでの公知の装置よりも組織過形成による狭窄または閉塞および再閉塞の危険性が低い、血管介入(治療)において有用な医療装置を提供することである。本発明の別の目的は、ヒトまたは動物の体内において先行技術の装置よりも良好に認容および維持される、代謝機能の測定および制御に有用な装置を提供することである。
上記の目的は、哺乳動物の体内に導入された場合、血液、体液、および/または組織との少なくとも部分的な接触に関して、改善された生物学的特性を有する医療装置を提供することによって得られる。この装置は、生体適合性培地内に存在するコアおよび核酸を含み、この核酸がこのコアの合成表面上において、インビボで少なくとも部分的に結合組織形成を減少させること、および内皮形成を促進させることが可能な、細胞外スーパーオキシドジスムターゼ(EC-SOD)タンパク質の産生をもたらす翻訳産物または転写産物をコードすることを特徴とする。
最も好ましい態様では、このポリペプチドはEC-SODである。
別の態様では、この核酸は、EC-SODタンパク質またはポリペプチドをコードする。
核酸は、裸の形態で生体適合性培地中に、ウイルスベクター、例えば、レトロウイルス、センダイウイルス、レンチウイルス、アデノ随伴ウイルス、およびアデノウイルス中に、もしくはリポソーム中に、存在するか、または人工染色体である。
1つの態様では、この核酸は、血管壁に局所投与される。
別の態様では、この核酸は、装置の周囲の組織に局所投与される。
さらに別の態様では、この生体適合性培地は、生体適合性ポリマー、生体吸収性ポリマー、生体分子、ヒドロゲルポリマーまたはフィブリンである。
ある有利な態様では、核酸は、上記コアとは別の容器に存在して、それによって哺乳動物体内へ連続的に輸送することができる。
別の態様では、核酸は、イオン結合または共有結合によってコアに結合している。
合成表面は、無孔性または多孔性のいずれかであり、多孔性の場合には、毛細管および内皮細胞は孔を通じて増殖することができる。好ましくは、孔隙率は約0mm〜約2000mmである。
本発明の遺伝子移入産物は、例えば、天然の移植片を移植するか、または医療用インプラントを移植する、介入(治療)技法と共同して、結合組織形成を減少させるための異なるいくつかの状況で使用できる。
本発明の装置は、広範な種々の状況において有用であり、例えば、血管の人工的な一部、または血管内インプラントのような心血管インプラントあってもよい。一般的な意味において、本発明の装置は、哺乳動物の体内の一部の代用品として用いられるインプラントとして用いてもよく、この場合、このインプラントは、血液、体液、および/または組織と少なくとも部分的に接触するように適合される。さらに、本発明の装置は、組織インプラントまたはバイオセンサーとして有用である。好ましくは、この装置は、血管移植片、ステント、カバーステント、移植片連結物質、およびバイオセンサーからなる群より選択される。
本発明はまた、本発明の医療装置を製造する方法にも関する。
本発明はまた、核酸のこのような投与が、この装置の体内への導入前、導入と同時、または導入後に行なわれる、生体適合性培地中において合成の移植片へ核酸を導入する方法に関する。本発明はまた、自家、同種および異種の合成表面を備える装置を、血液、体液、および/または組織と少なくとも部分的に接触するように体内に導入する方法、ならびに生体適合性培地中に存在する核酸をその装置の周辺に投与する方法に関する。この方法は、結合組織増殖および炎症反応を減少させることが可能であり、そしてその合成表面上において少なくとも部分的にインビボで内皮形成および生体適合性を促進することができる、EC-SODの翻訳産物または転写産物をこの核酸がコードするか、またはその発現を増加させ、その核酸の投与がこの装置の体内への導入前、導入時、もしくは導入後に行なわれるという点で特徴付けられる。
本発明のさらなる局面によれば、例えば、炎症を阻害することによって、再狭窄または血管壁の肥厚のような血管処置に起因する損傷によって引き起こされる症状を治療するための薬剤の製造のために、EC-SOD遺伝子/cDNAまたはEC-SODタンパク質の使用が提供される。
治療方法に関するさらなる詳細を、下記および添付の特許請求の範囲に開示する。この方法は、該当の症例に応じて、核酸を少なくとも1回投与する工程を包含してもよい。
定義
下記に、本明細書で用いられる用語のいくつかの意味に関する説明を提供する。本明細書で特に定義していない用語は、関連する技術分野におけるその一般的な理解によって解釈すべきである。
本明細書および添付の特許請求の範囲で使用されるように、文脈により他に明記されていない場合、単数形「一つの(a)」、「一つの(an)」、および「その(the)」には、複数対象が含まれることに留意しなければならない。
本明細書で「再狭窄」とは、インプラントを用いて、または用いずに拡張術を実施した後の結合組織の増殖を指し、管状構造の狭窄を後に伴う、管状構造中の結合組織の増殖を引き起こす。結合組織の増殖は、体内の任意の部位で起こり、その結果、管状構造の狭窄が引き起こされるかもしれない。結合組織の増殖は、その領域のある細胞種の増加か、または細胞外マトリクスの容積若しくは構成要素の増加のいずれかにより成る。
本明細書で「線維症」とは、同種、自家、または異種生体インプラント中か、または合成インプラント周囲のいずれかの結合組織の増殖および無細胞または無血管層の形成を指す。
本明細書で「過形成性結合組織反応」とは、腫瘍形成を除く、結合組織の細胞数の増加および/または組織中の細胞外マトリクスの容積の増加をもたらす反応と定義され、これにより結合組織のかさが増大する可能性がある。
「再狭窄」および「線維症」は、特に明記していない限り、互換的に用いることができる。
「医療用インプラント」とは、本明細書において、インプラント、装置、足場、または人工器官として呼ばれ、哺乳動物において少なくとも部分的に埋め込まれるように作製される物体として理解される。これは、体組織または体液に対して少なくとも一つの接触表面を提供し、体組織および体液と接触すると解釈される。心血管インプラントは本明細書において、特に明記していない限り、循環系におけるインプラント、または血流につながっているインプラントを意味する。組織インプラントは、本明細書において、特に明記していない限り、他の体組織または体液に埋め込まれているインプラントを意味する。例えば、医療用インプラントは、埋め込み型人工器官装置であってもよく、より詳しくは心血管インプラントまたは組織インプラントと共に、血液に接触する医療用インプラント、組織に接触する医療用インプラント、体液に接触する医療用インプラント、埋め込み型医療装置、体外循環医療装置、人工心臓、心補助装置、内臓式人工医療装置、血管移植片、ステント移植片、心臓弁、心血管小片、一時的血管内インプラント、弁輪形成環、カテーテル、ペースメーカーリード、バイオセンサー、生存細胞を保持するチャンバー、臓器インプラント、または生体人工臓器であってもよい。
医療用インプラントとは、本発明の文脈においては、例えば、国際公開公報第96/29987号に記載のような軟部組織の間の結合性組織増殖の所望されない形成を妨げるための単なる障壁として機能するように導入される装置であるという意味ではない。
本明細書において「結合した移動可能な核酸セグメント」とは、医療用インプラント周囲の組織に移動させることができる多様な遺伝子材料を表す。例えば、核酸セグメントは二本鎖若しくは一本鎖DNAであってもよく、または同様にタンパク質若しくはポリペプチドをコードするmRNA、tRNA、またはrRNAのようなRNAであってもよい。選択的に、核酸はアンチセンス型であってもよい。適した核酸セグメントは、直鎖状核酸分子およびプラスミドを含む裸のDNA若しくはRNAのような、いかなる形であってもよく、またはDNAウイルス若しくはレトロウイルスのような種々の組換えウイルスのゲノム内の機能的挿入物であってもよい。核酸セグメントはまた、塩、ポリマー、リポソームまたは他のウイルス構造のような他の担体に組み入れてもよい。結合した移動可能な核酸セグメントは、それが周辺組織に輸送されて、組み入れられることができるように医療用インプラントに結合している。
「結合した」という用語は、ポリマー物質、フィブリン、または核酸のような化学物質または生体分子のインプラントに対する物理吸着、化学吸着、リガンド/受容体相互作用、共有結合、水素結合、またはイオン結合を意味する。
本明細書における「周辺組織」とは、インプラント表面の過形成性結合組織または線維形成反応の形成能を有する、または形成に関与する、任意のまたは全ての細胞を意味する。周辺組織はまた、生体表面上または合成表面上のいずれかでの内皮形成表面の形成能を有する、または形成に関与する、任意のまたは全ての細胞をも意味する。これには、脂肪、網、胸膜、心膜、腹膜筋、血管壁、および線維組織のような様々な組織が含まれるが、特定の型の周辺組織は、細胞がインプラントの過形成性結合組織を最終的に生じるように活性化される限り、重要ではない。「周辺組織」はまた、インプラント内に存在する(組織チャンバーに存在する細胞を除外する)、接触している、またはインプラントに向かって遊走する細胞を意味する。同様に、刺激されると過形成性結合組織細胞または内皮細胞をさらに誘引する細胞も、心血管インプラントの結合組織過形成、組織インプラントの線維症または内皮形成の活性部位に達する細胞または組織と共に、周辺組織であると見なされる。「周辺組織」はまた、インプラントの埋め込み後、インプラント領域に存在するか、または移植片周囲域に到達する炎症細胞について言及するためにも使用される。
「内皮」とは、平坦な内皮細胞の単層であり、これは端部間が結合して血管、心臓、およびリンパ管の内表面を被う膜を形成する。
「内皮形成」とは、本明細書において、多孔性または無孔性インプラントを形成するために用いられる生体材料の全ての哺乳動物組織または体液接触表面上の内皮細胞の増殖を意味する。表面の内皮形成は、インプラントの孔を通じての毛細管および/または毛細管内皮細胞の縦方向の増殖、内増殖によって、または循環中の内皮細胞若しくは内皮前駆細胞の播種によって起こり得る。本開示において、これは「毛細管内皮形成」という語句と互換的に用いられ、これは、特に明記していなければ多孔性または無孔性インプラントを形成するために用いられる生体材料の実質的に全ての組織接触表面上の内皮細胞の増殖を意味する。
「毛細管形成」および「血管形成」という用語は、本明細書において、インプラント表面上の毛細管および微小循環の形成として理解され、それらは特に明記していない限り、内皮形成と互換的に用いられる。
「血管新生」および「血管新生の」のようなその類似語は、本明細書において、周辺組織のような既存の哺乳動物組織における内皮細胞の形成および増殖を意味する。
医療用インプラントの「再狭窄予防能および内皮形成増可能」を有する翻訳または転写産物は、本明細書において、その活性の結果として、結合組織の過剰形成を減少することができる、および医療用インプラントの内皮形成または毛細管形成を誘導することができる、化学物質または生体分子、好ましくはホルモン、受容体、またはタンパク質として理解される。
「孔隙率」、並びに「孔」および「多孔性」のようなその類似語は、本明細書において、特に明記していない限り、生体材料の第一の表面から始まって第二の表面まで実質的に伸長している小さいチャネルまたは通路を有する生体材料を意味する。
「表面」とは、生体材料とその環境との界面を意味する。肉眼的な意味と(例えば、生体材料のシートの2つの主な表面)共にその顕微鏡的な意味(例えば、材料を横切る孔の内層)の双方において、この用語を用いることが含まれると解釈される。
「区画」という用語は、例えば、バイアルまたはパッケージのような、任意の適した区画を意味する。
発明の詳細な説明
第一の局面において、本発明は、生体適合性培地中に含有される核酸の合成移植片に対する投与に関しており、この核酸が、インビボで過形成性結合組織増殖を軽減し得る細胞外スーパーオキシドジスムターゼ(EC-SOD)タンパク質の産生をもたらす翻訳産物または転写産物をコードすることを特徴とする。
別の局面として、本発明は、生体適合性培地中およびインプラント中の核酸の投与に関し、前記核酸が、インプラント周囲の組織においてインビボで過形成性結合組織の増殖を減少させることが可能な、細胞外スーパーオキシドジスムターゼ(EC-SOD)タンパク質の産生をもたらす翻訳または転写産物をコードすることを特徴とする。
細胞外スーパーオキシドジスムターゼ(EC-SOD)は、分泌型の抗酸化酵素であり、この酵素は全身で広く発現しており、血漿中に主要なSODアイソザイムが存在している。血管壁、肺、腎臓、甲状腺および副睾丸が、EC-SODの主な発現部位であることが明らかにされている。ヒト動脈における総SOD量の約50%がEC-SODである。大部分の組織において、EC-SODは総SOD活性のごく一部に相当するのみであり、このことからEC-SODが血管壁の酸化還元平衡において重要な生理学的役割を担っていることが示唆される。アデノウイルス媒介性EC-SOD遺伝子/cDNA導入により、結果的にバルーン剥離後のウサギ大動脈において新生内膜形成が有意に阻害された(国際公開公報第02/087610号)。治療効果は、腹大動脈全体に及ぶことから、その全身的作用が示唆される。EC-SODは再狭窄を予防するための効果的な治療分子であると思われる。
別の局面として、本発明は、生体適合性培地中に存在するコアと核酸とを含み、哺乳動物の体内に導入された場合の血液、体液、および/または組織との少なくとも部分的な接触に関して改善された生物学的特性を有する医療装置であって、前記核酸が、前記コアの合成表面上においてインビボで少なくとも部分的に、周辺組織における炎症を阻害すること、および/または過形成性結合組織反応を減少させること、および内皮形成を促進することが可能な、翻訳または転写産物をコードすることを特徴とする、医療装置に関する。核酸は、インプラント周囲の組織の細胞へのその導入が可能となるような形で提供される。本明細書において、「哺乳動物の体内に導入された」という用語は、広い意味において、合成材料から作製される少なくとも一つの表面が、体に完全に含まれる装置と、体に部分的にしか導入されないが、体の血液、体液、および/または組織とは接触している装置との双方を含むと解釈されるべきである。
本発明により達成される、過形成性結合組織増殖の抑制および内皮形成の誘導により、本来の構造体の多くの長所が提供される。結合組織過形成は、各組織中の細胞の増殖および細胞外マトリクスの産生の両方から成る。内皮は平坦な細胞の単層であり、これは端部間が結合して血管、心臓、およびリンパ管の内表面を被う細胞の膜を形成する。理論的には、移植片の内皮形成は、吻合部領域からの縦方向の増殖(経吻合)、移植片壁のような合成表面並びに孔内での毛細管および/若しくは毛細管内皮細胞の内増殖(経間質)、または循環中の内皮前駆細胞の播種のいずれかによって起こり得る。孔の中の経間質移動において、内皮細胞は接着、伸長、内部への移動および増殖を通じて毛細管から発生する。
このように、先行技術において、ポリマー表面と体内特有の血管との間の再狭窄並びにその結果生じる生体管状構造および接合部の狭窄を回避するために努力がなされてきたが、そのような努力は、より小さい血管では過形成および血栓が実質的な問題を引き起こし、十分であるとは証明されていない。同様にして、先行技術において、血栓を減少させるために多くの努力がなされてきたが、何の成果も得られていない。驚くことに、本発明により、介入(治療)技法後の血管のような生体組織における再狭窄を減少させる、遺伝子移入産物が提供され、そして本発明によりまた、再狭窄から保護される、新規装置も提供される。本発明により得られる再狭窄の減少は、先行技術による長期研究においてはヒトで生ずることが観察されていない。本発明によりまた、インプラント表面上の内皮形成を増加させる、遺伝子移入産物も提供される。
本発明の装置のある態様として、核酸はアデノウイルスの生体適合性培地中に存在する。別の態様として、核酸はレトロウイルス、レンチウイルス、センダイウイルス、およびアデノ随伴ウイルスからなる群より選択される任意の他のウイルスベクターに導入される。別の態様として、核酸は裸のDNAとして存在する。さらに別の態様として、核酸はリポソーム中に存在する。
遺伝子移入を用いることは、いくつかの出版物において疾患の治療または予防に関して仮定されている。遺伝子治療は遺伝子材料の薬剤としての使用を伴う。遺伝疾患を治療するための手段として当初認識されたが、遺伝子治療は現在では、治療的mRNAまたはタンパク質を局所および/または全身使用のために輸送する強力な手段として理解されている。遺伝子治療には2つのアプローチが存在する:エキソビボとインビボ。エキソビボアプローチでは、宿主から採取した細胞は、宿主に戻す前にインビトロで遺伝子改変され、インビボアプローチでは、遺伝情報そのものが導入の媒体として、いかなる細胞も用いずに宿主に直接導入される。遺伝子は、幹細胞またはインサイチューのいずれかにおいて、それらが必要とされる場所に応じて標的化することができる。遺伝子治療の原理は、細胞機能が遺伝子の転写の変化およびポリヌクレオチドまたはポリペプチドのような遺伝子転写産物の産生を通して調節されるという点である。次に、ポリヌクレオチドまたはポリペプチドは、他の細胞と相互作用してその細胞の機能を調節する。この転写の変化は遺伝子移入によって得られる。ロソルド(Losordo)ら(Circulation 1994、89:785〜792)は、形質導入した細胞数が分泌シグナルをコードしない遺伝子とは異なり、低いままである場合でさえも、分泌される遺伝子産物が重大な生物学的作用を有する可能性があることを示した。細胞内遺伝子産物を発現する遺伝子に関して、その細胞内遺伝子産物がその生物学的作用を発現するためにはより大きい細胞集団が必要で、その後より効率的な遺伝子移入が必要であるかもしれない(Isnerら、Circulation 1995、91:2687〜2692)。これまでの遺伝子治療の用途を説明するために、遺伝子は、例えばインビボ遺伝子移入によって直接治療することができる疾患または病態に関して特に有用性を有する脂肪細胞に導入されている。核酸の骨組織への導入はインサイチューで示されており、インサイチューまたは治療源として単離した後のいずれかにおいて感染した中皮を用いることも同様に記述されている。
極めて多様な遺伝子材料を、本発明の組成物および方法を用いて周辺組織に導入することができる。例えば、核酸はDNA(二本鎖若しくは一本鎖)またはRNA(例えば、mRNA、tRNA、rRNA)であってもよい。これは同様に、コード核酸、即ちタンパク質またはポリペプチドをコードする核酸であってもよく、または遺伝子発現を破壊するように機能する可能性があるアンチセンスRNAまたはDNAのようなアンチセンス核酸分子であってもよい。または、これは人工染色体であってもよい。このように、核酸は、再狭窄、線維症および炎症を減少させるために、または内皮形成を促進するために人工器官を取り巻く組織へ導入したいと望むエキソン若しくはイントロンのみ、エキソンとイントロン、コードするDNA領域、またはいかなる構築物も含むゲノム配列であってもよい。適した核酸は同様に、直鎖状核酸分子およびプラスミドを含む裸のDNA若しくはRNA、またはDNAゲノムを有するウイルスおよびレトロウイルスを含む様々な組換えウイルスのゲノム内の機能的挿入物等の実質的にいかなる形であってもよい。核酸を同様に、リポソームおよびその他のウイルス構造のようなその他の担体に組み入れてもよい。核酸骨格を同様に、安定性またはトランスフェクション効率のような特性を改善するために、改変または置換してもよい。
化学、物理、およびウイルス媒介機構が、遺伝子移入に用いられる。いくつかの異なる小胞を遺伝子移入に用いる。レトロウイルス、レンチウイルス、アデノウイルス(例えば、米国特許第5,882,887号、米国特許第5,880,102号)、および日本の血液凝集ウイルス(HVJまたはセンダイウイルス)(米国特許第5,833,651号)のような、核酸を組織に輸送するために用いることができる組換えウイルスを含む、生存または不活化された多くのウイルスが存在する。レトロウイルスはインビボでの有用性が制限されるいくつかの欠点を有する。それらは安定な遺伝子移入を提供するが、現在のレトロウイルスは非複製細胞に形質導入できない。宿主DNAにトランス遺伝子を組み入れることの潜在的な害は、短期間の遺伝子移入が十分である場合には保証されない。複製欠損アデノウイルスは非常に効率的で、広く多様な応用に用いられる。アデノウイルスは、受容体相互作用を通じて細胞に容易に入り、これは、細胞に巨大分子を輸送する手段として用いられている。非ウイルス核酸は、正常なアデノウイルス成分の代用品として、またはそれに加えて、アデノウイルス内にパッケージングすることができる。非ウイルス核酸は同様に、アデノウイルスの表面に結合させるか、または受容体エンドソーム複合体における積み荷として同時に吸収されて運ばれるバイスタンダー過程において結合させることができる。アデノウイルスに基づく遺伝子移入では、宿主ゲノムへのトランス遺伝子の組み込みが起こらず、従って安定ではない。また、これを、アデノウイルスを有効なベクターにする非複製細胞にトランスフェクトする。用いられるウイルスベクターのその他の例は、アデノ随伴ウイルス(AAV)、ヘルペスウイルス、ワクシニアウイルス、レンチウイルス、ポリオウイルス、その他のRNAウイルスおよびインフルエンザウイルス(Mulligan、Science 1993; 260: 926〜32; Rowland、Ann Thorac Surgery 1995、60: 721〜728)である。DNA同様に、その取り込みを促進してその分解を阻害する(例えば、第5,972,900号、第5,166,320号、第5,354,844号、第5,844,107号、第5,972,707号)、またはそれを核に局在させる(LuoおよびSaltzman、Nat Biotech; 2000、18:33〜37)他の型のリガンドに結合させることができる。これは同様に、いわゆるcre-lox系に結合させることができる(SauerおよびHenderson、Proc Natl Acad Sci.; 1988、85:5166)。裸のDNAも同様に投与することができ、経験的な実験では、二本鎖DNAの免疫原性が最小であり、免疫応答を誘発する可能性が低いことで一致する。
プラスミドDNAを、裸のDNAとして単純塩溶液中か、または担体若しくはアジュバントと複合体化させるかのいずれかで、投与していもよい。後者の場合、核酸をポリカチオン、タンパク質若しくは他のポリマー、デンドリマーと複合体化させること、リポソームにより封入若しくは結合させること、またはコロイド粒子上に被覆させることができる。従来の化学的遺伝子移入方法は、リン酸カルシウム共沈殿、糖質(ヘパラン硫酸、キトサン)、ポロキサマー、PEI、DEAEデキストラン、ポリマー(米国特許第5,972,707号)、およびリポソーム媒介導入(例えば、米国特許第5,855,910号、米国特許第5,830,430号、米国特許第5,770,220号)であり、従来の物理的方法はマイクロインジェクション、エレクトロポレーション(米国特許第5,304,120号)、イオントフォレーシス、イオントフォレーシスとエレクトロポレーションの組み合わせ(米国特許第5,968,006号)、超音波および圧力(米国特許第5,922,687号) (LuoおよびSaltzman、Nat Biotech; 2000、18:33〜37、Rowland)である。トランスフェクション効率は、当業者に認識されている周知の薬理学的手段のいずれによっても改善することができる。
本発明は、インプラント周囲の組織におけるEC-SODの遺伝子発現を促進するため、および特定の表現型を付与するため、そしてそれによって人工器官の過形成性結合組織増殖または線維症からの保護を促進するために用いてもよい。この発現によって、通常発現される遺伝子の発現が増加し得ると考えられる(即ち、過剰発現)、またはその天然の環境において人工器官周囲の組織に通常関連しない遺伝子が発現され得ると考えられる。または、本発明を用いて、通常、遺伝子発現を阻害する遺伝子の発現を抑制してもよい。即ち、遺伝子抑制は、ダウンレギュレーション機能を発揮するタンパク質をコードする遺伝子を発現する方法であってもよい。
このように、本発明の装置について用いられる核酸は、インビボで、結合組織過形成および線維症を阻害することができる、並びに内皮形成を促進または刺激することができる転写および/または翻訳産物をコードし、即ちそれはまた、抗再狭窄または血管新生因子である。従って、全ての態様において、核酸は、EC-SODタンパク質またはポリペプチドをコードする。
別の態様として、EC-SODタンパク質を、EC-SODコード遺伝子を用いる代わりに使用してもよい。
別の態様として、生体適合性培地は生体安定性ポリマー、生体吸収性ポリマー、生体分子、ヒドロゲルポリマーまたはフィブリンである。特定の態様として、培地はムチン組成物である。
本発明の装置の合成表面は、無孔性または多孔性のいずれかであってもよい。このように、無孔性インプラント材料と同様に多孔性インプラント材料は、インプラント態様に応じて装置を産生するために用いてもよい。例えば、移植片の孔隙率は、動物における血管移植片の内皮形成において重要であることが示されている(Wesolowski、Thorac Cardiovasc Surgeon 1982;30:196〜208、Hara、Am. J. Surg. 1967;113:766〜69)。縫合の意味において、多孔性縫合は縫合への組織の内増殖を促進するため、または縫合の内皮形成を促進するために記述されている(米国特許第4,905,367号、米国特許第4,355,426号)。血管移植片のような多孔性移植片では、孔の中の毛細管および内皮細胞増殖が可能であり、その孔隙率は0mm〜2000mmであってもよい。
ある態様として、核酸はイオン結合または共有結合によってコアに結合している。
ある有利な態様として、核酸はコアとは別の容器に存在し、哺乳動物の体内へのその連続的な輸送を可能にする。埋め込まれた装置周辺の組織は、例えば胸膜、心膜、腹膜、筋膜、腱、脂肪、網、線維、筋肉、皮膚、または過形成性結合組織増殖、再狭窄および線維症の抑制を必要とする他のいかなる組織ともなり得る。
本発明において少なくとも部分的に有利な点を生じさせる、基礎となる機序の妥当と思われる理論は、抗再狭窄因子EC-SODを発現する遺伝子をインプラントに結合させるか、または装置周辺の組織に投与することである。周辺組織における細胞はトランスフェクトされ、再狭窄を抑制して、その結果、組織での結合組織増殖の減少が起こり、この過程により、そのような組織のより初期に記述された長所を伴いつつ、過形成または線維組織形成反応がより少なくなる。
本発明の装置の表面は、材料と方法に関する全般的な開示において実験の章で下記により詳細に説明するように、例えば他の医薬物質を被覆するまたは添加することによって、その全てまたは一部を多様な方法で処置してもよい。PTFE移植片の最適な交点間距離は、約60μmである。
本発明の装置は、多様な意味において有用であり、意図する用途に応じて、人工器官表面を改変して、または改変せずに、非可溶性の合成ポリマー、金属、およびセラミクスからなる群より選択される生体材料から作製してもよい。
このように、ある態様として、装置は、金属、チタン、チタン合金、スズ-ニッケル合金、形状記憶合金、酸化アルミニウム、白金、白金合金、ステンレススチール、MP35N、エルジロイ、ステライト、熱分解炭素、銀炭素、ガラス状炭素、ポリマー、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリエーテル、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、ポリビニルピロリドン、シリコンエラストマー、フルオロポリマー、ポリアクリレート、ポリイソプレン、ポリテトラフルオロエチレン、ゴム、セラミック、ヒドロキシアパタイト、ヒトタンパク質、ヒト組織、動物タンパク質、動物組織、骨、皮膚、ラミニン、エラスチン、フィブリン、木質、セルロース、圧縮炭素およびガラスからなる群より選択される生体適合性材料で構成されるインプラントである。
このように、装置は、血液接触医療用インプラント、組織接触医療用インプラント、体液接触医療用インプラント、埋め込み型医療装置、体外循環医療装置、人工器官内医療装置、血管移植片、血管内インプラント、ペースメーカーリード、心臓弁、一時的血管内インプラント、カテーテル、ペースメーカーリード、バイオセンサー、または人工臓器からなる群より選択される医療用インプラントであってもよい。ある特定の態様として、装置は、血管の人工部分または血管内インプラントのような心血管インプラントである。一般的な用語において、本発明の装置は哺乳動物の体の一部を交換するために用いられるインプラントとして用いてもよく、この場合上記のインプラントは血液、体液、および/または組織と少なくとも部分的な接触に関して適合される。さらに、本発明の装置は、組織インプラントまたはバイオセンサーとして有用である。別の態様において、本発明の装置はインスリンを輸送するためのポンプまたはグルコース量を感知するバイオセンサー等のような、宿主に代謝機能を提供するその他のいかなる生体人工インプラントであってもよい。
実際に、本発明の装置は、選択された産物を産生する組織または細胞を免疫系から保護する多様な装置の実質的にいかなるものであってもよく、血管外拡散チャンバー、血管内拡散チャンバー、血管内限外濾過チャンバー、および微小封入細胞のような、体内でのインプラントに関して調べられている。細胞は、他の種に由来している(異種移植片)、同じ種であるが異なる個体に由来している(同種移植片)、および時に同じ個体から先に単離したが、改変されている(自家移植片)、または胎児由来の細胞であってもよい。生体人工インプラントは、真性糖尿病におけるインスリンのような生物活性部分を輸送することによって、または有害な物質を除去することによって、宿主に対して必要な代謝機能を提供するように設計される。膜はPTFEおよびポリプロピレンのような疎水性、またはPAN/PVCおよびクプロファンのような親水性であってもよい。
より具体的には、本発明に含まれるインプラントには、人工血管、心血管小片、ステント移植片、人工弁、人工心臓、心臓補助装置、吻合装置、移植片連結材、弁輪形成環、留置血管カテーテル、ペースメーカーワイヤ、抗血栓フィルター、他の適応のためのステントおよびステント移植片のような心血管装置、並びに埋め込まれる生存細胞を保持するチャンバー、バイオセンサー、外科用縫合材料、外科用ネット、綿球および小片、気管カニューレ、生体人工臓器、外科用インプラント、形成外科用インプラント、および整形外科用インプラントのような組織移植片が含まれるがこれらに限定しない。本明細書において記載した技法によって、他の人工臓器または装置が開発される可能性があると予想される。
第二の局面において、本発明は、埋め込み可能な医療装置を製造する方法を提供する。装置は、生体材料を遺伝子によって前処置して、処置した生体材料から装置を製造するか、または最初に装置を製造してから装置の曝露表面を処置するかのいずれかによって製造することができる。
本発明に記載される方法は一般に、血管または組織インプラントを囲む組織と、核酸を含む組成物とを、この組織へこの核酸を移入するのに効率的な様式で接触させる工程、および過形成性組織増殖を阻害して、血管移植片、心血管パッチ、ステントグラフト、心臓弁、血管留置カテーテル、心臓補助装置および人工心臓の内皮形成を促進する工程、または組織インプラント表面の血管新生を促進する工程を包含する。この組織は、身体への移植の前に、血管-核酸組成物、または組織インプラント-核酸組成物に周囲を包まれてもよい。または、インビボで周囲の組織への核酸移入を達成するかまたは促進するために、この核酸配列-人工補綴物組成物は、組織に移植されてもよいし、またはこの核酸は、人工補綴物移植の前後にこの移植部位に与えられてもよい。周囲の組織への核酸の移入においては、好ましい方法は、組織適合性培地に遺伝物質を最初に投与する工程、人工補綴物を核酸-培地組成物に浸漬する工程、次いで、この浸漬された人工補綴物を用いて適切な組織部位に接触させる工程を包含する。または、組織適合性培地は最初に、このインプラントに投与されてもよく、次いで核酸が投与され、その後に、核酸-人工補綴物組成物が、この移植部位に加えられる。または、核酸は、このインプラントを囲む組織に投与され、その後に、このインプラントが移植されるか、またはこのインプラントは最初に移植されて、その後にこの核酸がこのインプラントに、またはこのインプラントを囲む組織に投与される。また、浸漬されたインプラントは、浸漬の前後に、このインプラントを囲む組織に核酸の投与と組み合わせて用いられてもよい。周囲の組織が乏しく、そして細胞の量が少ない場合、この浸漬された人工補綴物は、移植の前に、より高い細胞含量の組織に外科的に包まれてもよい。血管補綴物、心血管パッチおよびステント移植片のような心血管インプラントのうちいくつかは、孔を通じた内皮細胞の増殖を可能にするのに十分高い多孔性を有し、そしていくつかの他の心血管インプラント、例えば、心臓弁は、非多孔性である。
より具体的には、核酸を周辺組織に導入することによって医療用インプラントの再狭窄を阻害するための本発明の方法は、合成表面を含む装置を血液、体液、および/または組織と少なくとも部分的に接触するように体内に導入する段階、および生体適合性培地中に存在する核酸をその周囲に投与する段階を含む、哺乳動物、例えばヒトの体の合成表面に対する容認性を改善する方法として開示されるかもしれない。方法は、核酸の投与が装置を体内に導入する前、同時、または後に行われる、核酸が新たな狭窄または再狭窄をインビボで阻害することが可能な翻訳または転写産物をコードすることを特徴とする。本発明の装置に関連して先に述べたように、核酸は例えば、裸の形態で、レトロウイルス、センダイウイルス、アデノ随伴ウイルス、若しくはアデノウイルスのようなウイルスベクターにおいて、またはリポソームにおいて投与することができる。
装置の特性、即ちインプラントを受ける患者の状態に応じて、核酸は、EC-SODタンパク質、またはEC-SOD産生のダウンレギュレートを阻害するポリペプチド若しくはタンパク質をコードしてもよい。同様に、EC-SOD産生を促進させる物質も使用できる。同様に、EC-SODタンパク質を核酸の代わりに投与してもよい。
ある態様として、核酸またはタンパク質を、装置を哺乳動物の体内に導入する前に、装置の周辺、即ち組織に投与する。または、核酸またはタンパク質を、その導入後にそのような周囲に投与する。当業者が認識するように、規定の方式に従うか、またはその体の容認性および合成表面上での新しい内皮細胞層の増殖速度に応じて、特定の量を最初に周囲に投与してから装置を導入し、その後1回または複数のさらなる投与を行うような、投与の組み合わせが可能である。
別の態様として、核酸またはタンパク質を、哺乳動物の体内へのその導入前に投与するか、または装置に結合させる。特定の態様として、これは、イオン結合または共有結合によってコアに核酸またはタンパク質を結合させることによって行う。この態様は、適当であれば、装置をタンパク質または核酸によって前処置するが、適した担体中に存在する核酸またはタンパク質のさらなる量を装置周囲の組織に後に添加する方法を提供するために、先に述べた任意の態様と組み合わせてもよい。同様に、タンパク質または核酸による処理を、様々なバリエーションで組み合わせることができる。その単純さのために都合がよいある態様として、担体は滅菌水または滅菌水溶液である。本発明のタンパク質および核酸をまた、さらに、薬学的に許容される担体を含む任意の適当な製剤中で全身に輸送してもよい。その例としては、水性および非水性滅菌注射液(これには酸化防止剤、緩衝液、静菌剤、殺菌性抗生物質が含まれていてもよい);並びに水性および非水性滅菌懸濁液(これには懸濁化剤および増粘剤が含まれていてもよい)が含まれる。製剤は、単回使用または多数回使用容器、例えば密封アンプルおよびバイアル中に調製してもよく、そして凍結または使用直前に滅菌水担体、例えば注射水の添加を必要とするだけのフリーズドライ(凍結乾燥)状態で貯蔵してもよい。
EC-SODタンパク質または核酸を新たな狭窄を抑制する若しくは治療する、または再狭窄を抑制する若しくは治療する目的で投与する。しかし、それをまた、内皮形成を増加させるために使用することができる。
本発明の別の態様として、生体適合性培地は、生体安定性ポリマー、生体吸収性ポリマー、生体分子、ヒドロゲルポリマーまたはフィブリンである。
このように、上記のように、そして下記にさらに詳細に説明するように、本発明の方法において用いられる装置は、心血管手術において用いられるインプラント、血管のように体の一部を交換する装置、血管内インプラント、組織インプラント、バイオセンサー、または他の同様の装置などの、ヒトの体内に導入するための装置であってもよい。
要約すると、本発明の治療タンパク質または遺伝子の導入および発現に関して、当業者は、転写、mRNA翻訳、および翻訳後プロセシングのような、異なる遺伝子シグナルおよびプロセシング事象が、細胞における核酸およびタンパク質/ペプチドのレベルを制御することを知っている。これらの段階は、他のタンパク質、リボヌクレオチド濃度等のような、細胞に同様に存在する様々な他の成分によって影響を受ける。
従って、大まかに言えば、本発明は、装置が一般的に、成型または設計された血管インプラント遺伝子組成物として見なされる可能性がある抗狭窄、抗再狭窄および抗線維症の治療並びに装置に関する。本発明の装置は本来、一つまたは複数の抗狭窄または抗線維性のEC-SOD遺伝子またはEC-SODタンパク質がインプラントに関連している組織適合性インプラントである。EC-SOD遺伝子またはタンパク質とインプラント成分との組み合わせは、埋め込まれた場合に装置が狭窄、再狭窄または線維症を抑制し得る、または血管新生を刺激し得るように、当業者によって決定される。本発明の装置は、実質的にいかなる大きさまたは形状であってもよく、体内の埋め込み部位に適合するようにその寸法が適合される。
以下の章は本発明を説明するために提供されるものであり、本発明をいかなるようにも制限すると解釈してはならない。本出願において下記および随所に示した参考文献は参照として本明細書に組み入れられる。
この章はまず、添付の特許請求の範囲内で可能な限り多くの可能性を提供するために、この本文において利用し得る別の材料および方法を記述する。その後、実施例の見出しの下に、本発明の作用を説明するために行われた実験に関する特定の開示、およびその長所を提供する。
インプラント内皮形成促進または再狭窄抑制遺伝子としてのEC-SOD
本明細書において用いられるように、「再狭窄または線維形成抑制遺伝子および内皮形成促進遺伝子」という用語は、EC-SOD媒介性の再狭窄および線維形成の阻害またはEC-SOD媒介性の内皮形成若しくは血管形成を促進することができる、または促進を補助することができる、またはEC-SOD媒介性の再狭窄若しくは線維形成の阻害速度を減少させるか、またはEC-SOD媒介性の内皮形成若しくは血管形成速度またはEC-SOD媒介性のマクロファージ浸潤の阻害速度を増加させる、タンパク質、ポリペプチド、若しくはペプチドをコードする遺伝子またはDNAコード領域を意味する。阻害するおよび減少させる、または促進する、誘導する、および刺激するという用語は、本文全体を通じて互換的に用いられ、最終的に組織の外傷若しくは装置埋め込み部分に対する結合組織形成の減少またはインプラントの内皮形成および/または毛細管形成の増加が起こる、または装置を埋め込んだか、埋め込んでいないかのいずれの場合にも内皮形成速度および/または毛細管形成速度の増加が起こる、直接的または間接的過程を意味する。このように、インプラントの再狭窄若しくは線維形成阻害遺伝子または内皮形成促進遺伝子は、それが発現されると、細胞が分化する、他の細胞を分化するように刺激する、再狭窄阻害遺伝子若しくはインプラントの内皮形成促進細胞を誘引する、またはそうでなければ最終的に局所的か全身的かのいずれかのEC-SODの増加を介して、新しいインプラント内皮を生成する形で機能するように、細胞の表現型を変化させる遺伝子である。
大まかに言えば、再狭窄阻害遺伝子または血管インプラント内皮形成促進遺伝子は同様に、結合組織形成を抑制することができ、または人工血管周囲の組織における内皮の増殖を刺激することができ、それによって再狭窄および線維形成を抑制することができる、またはEC-SODの増加を介して、外傷組織のまたはインプラントの内皮形成または血管形成を促進することができる遺伝子としての特徴を有してもよい。このように、特定の態様として、本発明の方法および組成物は、人工血管自体、および同様に人工血管を取り巻く組織において、内皮の増殖を刺激することであってもよい。
現在では、多様な抗再狭窄因子が既知であり、その全てが本発明と共に用いることが適している。抗再狭窄遺伝子およびそれらがコードするタンパク質には、例えば、ホルモン、多くの異なる増殖因子およびサイトカイン、増殖因子受容体遺伝子、酵素、並びにポリペプチドが含まれる。適した抗再狭窄因子の例には、VEGFおよびFGFファミリー、TGF-β2型受容体、NOS並びにHGFの増殖因子が含まれる。
好ましい抗再狭窄遺伝子産物はEC-SODである。遺伝子およびポリペプチドに関して文献において現在用いられている用語にはかなりのばらつきがある。用い得る、異なる用語にかかわらず、活性なEC-SODタンパク質を増加させる全ての遺伝子が本発明で使用されると見なされ、当業者には理解されると考えられる。
いくつかのEC-SOD遺伝子のDNA配列は、科学論文(Genomics 22; 162〜171、1994、Hjalmarssonら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 84; 6340〜6344、1987、Laukkanenら、Arteriosclerosis、Thrombosis and Vascular Biology 19; 2171〜2178、1999、Laukkanenら、Gene、254、173〜179、2000)、米国特許第5,788,961号および国際公開公報第87/01384号の双方に記載されている。
上記の特許において開示されるように、そして当業者に既知であるように、治療法において用いられる組換え遺伝子またはDNAの起源は、治療すべき動物と同じ種である必要はない。この点において、ヒト被験者または例えばウマのような動物において過剰な結合組織形成を抑制するまたは人工血管の内皮形成を促進するために、いかなる組換え抗再狭窄または抗線維形成遺伝子も用いてもよいと思われる。特に好ましい遺伝子は、ヒト由来の遺伝子であり、そのような遺伝子はヒト治療法において用いることが最も好ましい。単離DNAおよび遺伝子によってコードされる組換えタンパク質およびポリペプチドはしばしば、組換えの接頭辞rおよび組換えヒトのrhをつけて呼ばれる。
抗再狭窄または抗線維形成遺伝子、遺伝子セグメント、またはcDNAを調製するために、本明細書に開示される教示に従ってもよく、同様に参考文献の一覧または科学文献において言及されるいかなる特許の開示または科学論文の教示に従ってもよい。例えば、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)のような分子生物学的技術を用いることによって、または上記のヌクレオチド配列に基づく配列を有するプライマー若しくはプローブを用いてcDNA若しくはゲノムライブラリをスクリーニングすることによって、EC-SODセグメントを得てもよい。そのような技術の実践は、Sambrookらのような様々な科学論文に教示されるように、当業者の日常的な作業であり、参照により本明細書に組み入れられる。本発明の組成物および方法に用いられる特に好ましい抗再狭窄または抗線維形成遺伝子およびDNAセグメントは、EC-SODまたはそのコード若しくは非コード配列の一部である。同様に、EC-SODの発現およびタンパク質の産生を増加させる、またはEC-SODダウンレギュレーションを減少させる、タンパク質またはポリペプチドをコードするさらなる遺伝子またはcDNAをクローニングしてもよいと考えられる。DNAクローニング技術、即ちDNAライブラリーからDNAの他の部分とは別の特異的コード配列を得る技術は、当技術分野で周知である。これは、例えば、適当なDNAライブラリーをスクリーニングすることによって得ることができる。スクリーニング技法は、関連する抗再狭窄タンパク質をコードする既知のDNA配列のアミノ酸配列の一部を検討して設計されたオリゴヌクレオチドプローブのハイブリダイゼーションに基づいていてもよい。そのようなスクリーニング手順の実施は当業者に周知であり、例えばSambrookらの科学論文(Sambrookら、Molecular Cloning: a Laboratry Manual、1989、Cold Spring Lab Press; Innisteら、PCR strategies、1995、Academic Press、New York)において詳細に記述されている。
その配列が論文に記載されている配列とは異なるEC-SOD遺伝子も同様に、変化または改変した遺伝子が、なおも心血管または組織インプラントの周辺組織を直接的または間接的に刺激するように機能するタンパク質をコードする限り、本発明に含まれる。これらの配列には、点突然変異によってもたらされる配列、遺伝子コードの縮重または天然に存在する対立遺伝子変種による配列、およびハイブリッド遺伝子のような遺伝子操作によって、即ち人為的に導入されたさらなる改変によってもたらされる配列が含まれる。
ヌクレオチド配列に変化を導入する技術によって、ヌクレオチド配列は、コードされるタンパク質またはポリペプチドの機能的特性を変化させるように設計され、当技術分野で周知である。そのような改変には、塩基の欠失、挿入、または置換が含まれ、このように、アミノ酸配列の変化が含まれる。変化は、タンパク質のEC-SOD活性を増加させる、その生物学的安定性または半減期を増加させる、その分解を減少させる、その分泌を増加させる、そのグリコシル化パターンを変化させる等のために行ってもよい。ヌクレオチド配列のそのような改変は全て本発明に含まれる。
さらに、本発明は、当然ながら、EC-SOD遺伝子の産物の使用に厳密に限定されることはなく、EC-SODの生物学的影響を効率的に最小限にする任意の組換え化合物または合成化合物も包含する。特別な関心の的となるのは、本明細書において、EC-SOD模倣物であり、これは他の任意のSODファミリーのメンバーを模倣することと対照的であって、標的細胞を囲む細胞外空間におけるそれらの活性を示す。
同様に、一つまたは一つより多くの抗再狭窄または抗線維形成遺伝子を本発明の方法および組成物において用いてもよいと理解される。このように、核酸の輸送は一つ、二つ、三つ、またはそれ以上の抗再狭窄または抗線維形成遺伝子またはタンパク質の投与を必要としてもよい。適用してもよい遺伝子またはタンパク質の最大数は、多数の遺伝子構築物を同時に調製することに伴う労力、または有害な細胞障害作用を誘発する可能性のような実践的な検討に限って制限を受ける。遺伝子の特定の組み合わせは、二つ若しくはそれ以上の抗再狭窄遺伝子であってもよく、または増殖因子阻害遺伝子をホルモン遺伝子と組み合わせたようなものであってもよい。ホルモンまたは増殖因子遺伝子は、第一の遺伝子のポリペプチド産物と相互作用することが可能な細胞表面受容体をコードする遺伝子と組み合わせてもよい。同様に、EC-SOD遺伝子をアンチセンス産物、細胞内アプタマー分子またはリボザイムをコードする遺伝子と組み合わせることもできる。多数の遺伝子を用いる場合、遺伝子は一つまたは複数のプロモーターの制御下で単一の遺伝子構築物として組み合わせてもよく、またはそれらは同じ若しくは異なる型の別の構築物として調製してもよい。このように、異なる遺伝子および遺伝子構築物のほぼ無限の組み合わせを用いてもよい。過剰な結合組織形成および線維形成の抑制、または血管新生および内皮形成に及ぼす相乗作用が得られるように、特定の遺伝子の組み合わせを設計してもよく、またはそうでなければ特定の遺伝子の組み合わせを用いることによってそのような相乗作用を得てもよい。それらの全ての組み合わせは、本発明の範囲内に入ると解釈される。実際に、当業者は相乗となる可能性がある遺伝子の組み合わせ、または遺伝子タンパク質の組み合わせを同定することができるであろう。もう一つの遺伝子は、新生内膜細胞の増殖を阻害するタンパク質、例えば誘導型酸化窒素合成酵素(iNOS)、または内皮細胞酸化窒素合成酵素(ecNOS)をコードしてもよい。血栓症を阻害するタンパク質または酵素タンパク質の産物、例えばプロスタサイクリン、組織プラスミノーゲン活性化因子(tPA)、ウロキナーゼ、およびストレプトキナーゼも同様に、コトランスフェクションにとって重要である。同様に、EC-SODは、転写または翻訳のような、いかなるレベルでも、EC-SODの過剰発現を後に阻害する、またはEC-SOD発現を後に調節する、その他の遺伝子と組み合わせてもよい。投与はEC-SOD核酸の投与前、同時、または投与後に行ってもよい。
同様に、核酸または遺伝子は、必要に応じて、過剰な結合組織増殖等を阻害するために、さらなる物質、例えばタンパク質、ポリペプチド、アプタマーオリゴヌクレオチド、リボザイム、転写因子偽オリゴヌクレオチド、または様々な薬理学的に活性な物質、再狭窄形成を阻害する増殖因子、ヘパリンのような物質と組み合わせて投与することができると理解される。同様に、免疫抑制剤、抗炎症剤および他の抗再狭窄物質を用いてもよい。遺伝子材料またはタンパク質は組成物の一部を形成する限り、さらなる物質が標的細胞または組織と接触した場合に有意な弊害を引き起こさないならば、他の成分を含めることに関して実質的に制限はない。このように、核酸またはタンパク質を様々な他の物質と共に輸送してもよい。同様に、核酸またはタンパク質を、周辺組織に放射線、超音波、および電流または光エネルギーを発するインプラントと共に輸送し、抗線維形成と共に特異的作用を発揮してもよい。
同様に、当然のことながら核酸または遺伝子を同時細胞播種若しくは播種技法と、または幹細胞の同時投与若しくはインプラント部位の幹細胞集団の刺激と組み合わせて投与することができる。同様に遺伝子改変細胞での同時播種または播種と組み合わせることもできる。
遺伝子構築物と核酸
本明細書において用いられるように、遺伝子と核酸という用語はいずれも、単離されている、特定の種の総ゲノムDNAを含まないDNA分子を意味するために用いられる。従って、EC-SODをコードする遺伝子またはDNAは、EC-SODタンパク質をコードする配列を含むDNAを意味するが、これはDNAが得られた種の総ゲノムDNAから単離されているか、または含まないように精製されている。DNAという用語には、DNAセグメントおよびそのようなアプタマーセグメントのより小さい断片が含まれ、同様に、例えばプラスミド、コスミド、人工染色体、ファージ、レンチウイルス、レトロウイルス、アデノウイルス等を含む組換えベクターが含まれる。
遺伝子という用語は簡潔化するために用いられ、機能的なタンパク質またはペプチドをコードする単位を意味する。当業者によって理解されるように、この機能的用語には、ゲノム配列とcDNA配列の双方が含まれる。当然のこととして、これは、当初単離されたDNAセグメントを意味し、後に人為的にセグメントに加えられるリーダーペプチドまたは標的化配列をコードする配列のような遺伝子またはコード領域は除外されない。
本発明は、様々なEC-SODタンパク質および既知のEC-SOD DNAセグメント並びに組換えベクターを利用する新しい方法を提供する。そのような多くのベクターが容易に入手可能である。しかし、用いるコードセグメントがEC-SODタンパク質をコードし、組織に対して弊害を及ぼす、いかなるコードまたは調節配列を含まない限り、高度に精製されたベクターを用いる必要はない。従って、有用な核酸配列は、コード領域の5'または3'部分のいずれかに隣接するさらなる非コード配列のようなさらなる残基を含んでいてもよい、または遺伝子内に存在することが知られている様々な内部配列、即ちイントロンを含んでいてもよいと理解される。
適当なEC-SODコード遺伝子またはDNA分子を同定した後、これを当技術分野で現在既知の多くのベクターのいずれか一つに挿入してもよい。そのようにすれば、インプラントの周囲の組織に導入した場合に、ベクターはEC-SODの発現および産生を指示するであろう。組換え発現ベクターにおいて、DNAセグメントのコード領域はプロモーターの制御下に置く。プロモーターは、EC-SOD遺伝子に本来結合している型であってもよい。コードDNAセグメントは同様に、組換えプロモーターまたは異種プロモーターの制御下に配置することができる。本明細書において用いられるように、組換えプロモーターまたは異種プロモーターは、その天然の環境においてEC-SOD遺伝子に通常結合していないプロモーターを意味すると解釈される。そのようなプロモーターは、他の抗再狭窄遺伝子に通常結合しているプロモーター、および/または他の細菌、ウイルス、真核細胞、または哺乳動物細胞から単離したプロモーターを含んでもよい。当然、組織におけるDNAセグメントの発現を効率よく指示するプロモーターを用いることが重要であろう。タンパク質発現を得るために組換えプロモーターを用いることは、分子生物学の当業者に一般的に既知である(Sambrookら)。用いるプロモーターは構成的、または誘導型であってもよく、導入されたDNAセグメントの高レベルな発現または調節された発現を指示するために適当な条件で用いることができる。現在、好ましい構成的プロモーターは、例えばCMV、RSV、LTR、免疫グロブリンプロモーター、SV40プロモーター単独、SV40エンハンサーと組み合わせたSV40プロモーター、およびテトラサイクリン調節プロモーター系またはメタロチオニンプロモーターのような調節型プロモーターである。プロモーターは、エンハンサーに結合してもしなくてもよく、エンハンサーは特定のプロモーターに本来結合してもよく、異なるプロモーターに結合してもよい。停止領域は、EC-SODコード領域に対して3'に提供され、ここで停止領域は細胞質ドメインに本来結合してもよく、または異なる起源に由来していてもよい。発現に弊害を及ぼさない多様な停止領域を用い得る。様々な操作の後、構築物の正確さを保証するために、得られた構築物をクローンニングして、ベクターを単離し、遺伝子をスクリーニングまたは塩基配列を決定してもよい。スクリーニングは、制限分析、塩基配列決定等によって行うことができる。
EC-SOD遺伝子およびDNAセグメントは同様に、DNA挿入物の形であってもよく、これは例えば組換えアデノウイルス、アデノ随伴ウイルス(AAV)、またはレトロウイルスのような組換えウイルスのゲノム内に存在する。遺伝子をインプラント周囲の組織と接触させて配置するため、そのような態様において、組換えウイルス粒子、EC-SOD遺伝子挿入物を含むゲノムを調製して、単にインプラント周囲の組織をウイルスに接触させると、それによってウイルスが細胞に感染して、遺伝子材料を導入するであろう。本発明のいくつかの態様として、組成物中のウイルスを人工血管、ステント、ステント移植片または移植片連結材のようなインプラントに結合させ、次に、インプラント周囲の組織をその部位のインプラントに接触させるであろう。ウイルスは組成物から放出され、それによって細胞はインプラントの中を増殖し、それによってウイルスと接触して、ウイルス感染を引き起こし、その結果細胞が所望の遺伝子またはcDNAを組み入れて、コードされたタンパク質を発現し、それによって結合組織形成の阻害が起こる。
好ましい態様として、本発明の方法は組成物を調製することを含み、EC-SOD遺伝子が、人工血管、ステント、ステント移植片、心臓弁、移植片連結材、若しくは組織インプラント上に結合または注入されて、人工血管遺伝子組成物、ステント遺伝子組成物、血管内移植片遺伝子組成物、移植片連結材遺伝子組成物、心臓弁遺伝子組成物、または組織インプラント遺伝子組成物を形成し、そして人工血管遺伝子組成物、ステント遺伝子組成物、ステント移植片遺伝子組成物、移植片連結材遺伝子組成物、心臓弁遺伝子組成物、組織インプラント遺伝子組成物が上記の心血管または組織インプラント周囲の組織に接触して配置される。人工血管遺伝子組成物、心血管小片遺伝子組成物、ステント移植片遺伝子組成物、心臓弁遺伝子組成物、移植片連結材遺伝子組成物、組織インプラント遺伝子組成物は、その中で遺伝子が吸着、吸収、またはそうでなければ上記のインプラントに接触して維持される全ての遺伝子組成物である。
埋め込まれた装置周囲の組織の細胞への核酸導入
適した血管インプラント遺伝子組成物が調製または得られれば、周辺組織にEC-SODタンパク質またはEC-SOD遺伝子を輸送するために必要なことは、心血管インプラント遺伝子または組織インプラント遺伝子組成物を、周辺組織によってまず被って、または被わずに、外科的にまたはカテーテルの助けを借りて体内の所望の部位に接して留置することである。方法は当業者に周知である。EC-SOD遺伝子またはタンパク質を同様に、心血管または組織インプラントを部位に埋め込む前、埋め込みの間、または埋め込んだ後に、循環系へ全身的にまたは組織に投与することができる。これは、その全てが少なくとも一つの合成表面を含む、動静脈瘻、動脈バイパス移植片若しくは中間移植片、静脈移植片、心血管小片、人工心臓、ステント移植片、ステント、心臓弁、心臓補助装置、吻合装置、弁輪形成環、血管カテーテル、ペースメーカーワイヤ、気管カニューレ、生物医学センサー、生細胞のためのチャンバー、人工臓器、臓器インプラント、整形外科インプラント、縫合材料、外科小片、クリップ若しくは綿球、または他の任意の医療装置となり得る。
本発明において、一つまたは複数のベクターを、好ましくは哺乳動物組織である、任意の周辺組織に導入する。いくつかの出版物が疾患の治療または予防のために遺伝子移入を用いることを仮定している(LevineおよびFriedman、Curr. Opin. in Biotech. 1991; 2: 840〜44、Mulligan、Science 1993; 260: 926〜32、Crystal、Science 1995; 270: 404〜410、Rowland、Ann. Thorac Surgery 1995; 60: 721〜728; Nabelら、Science 1990; 249: 1285〜88)。真核宿主細胞は選択的にインビボで存在する。本発明に従って、細胞を本発明のベクターに接触させることは、それによってベクターが細胞に導入される、いかなる手段によっても行うことができる。そのような導入は、任意の適した方法によって行うことができる。好ましくは、ベクターはトランスフェクションの手段によって、即ち裸のDNAが細胞内に自然に入ることができること(例えば、ベクターが受容体媒介エンドサイトーシスを受けることができること)を用いて導入されるであろう。しかし、ベクターを同様に、他の任意の適した手段、例えば形質導入、リン酸カルシウム媒介形質転換、マイクロインジェクション、エレクトロポレーション、浸透圧ショック等によって導入することができる。
方法は、ベクター受容体の数と共にベクターに対する細胞表面受容体の親和性との双方が異なる様々な細胞に関して用いることができる。本発明に従って、インビボで遺伝子輸送が意図される細胞の型には全ての哺乳動物細胞、より好ましくはヒト細胞が含まれる。ベクターは、担体、アジュバント、媒体、または希釈剤のような適当な(例えば、薬学的に許容される)賦形剤に細胞を接触させるために適当な組成物に作製することができる。そのような組成物を作製する手段および投与手段は、当技術分野において記述されている。適当であれば、ベクターを、それぞれの投与経路に関して通常の方法で、エアロゾル、スプレー、ペースト、軟膏、ゲル、膠、粉末、顆粒、溶液、注射剤、クリームおよび点滴剤のような固体、半固体、液体、またはエアロゾル剤形に調製物を製剤化することができるが、他のいかなる方法を行ってもよい。本発明の組成物を無効にしない薬学的に許容される剤形を用いるべきである。薬学的投与剤形において、組成物は単独、または適当に結合させて用いることができると共に、他の薬学的に活性な化合物と組み合わせて用いることができる。例えば、EC-SODをコードする核酸を、血小板沈着または平滑筋細胞増殖を阻害するためにコードする核酸と共に投与することができる。従って、本発明の医薬組成物は、特定の作用を得るために、様々な方法によって、哺乳動物における様々な部位に輸送することができる。当業者は、一つより多くの方法を投与のために用いることができるが、特定の方法は、他の方法より即座で、しかも有効な反応を提供できることを認識するであろう。局所輸送は、インプラントへの製剤の局所投与または注入、インビボでのインプラント周囲の組織への製剤の直接投与によって、または他の局所投与方法によって行うことができる。薬剤をこのように投与すると、高濃度および/または非常に強力な薬剤の放出が標的組織への直接投与に制限される可能性があるように、薬剤を部位特異的にすることができる。核酸を全身、または局所のいずれかに輸送する場合、それらを任意の生態適合性塩溶液中にて裸の形態か、または任意の生態適合性物質と複合体化させて、溶液状態で輸送できる。核酸を複合体化する方法の例としては、ポリカチオン(例えば、オリゴデンドロマー)、タンパク質(例えば、トランスフェリン)または他のポリマー(例えば、DEAE-デキストラン、ポリリジン)を用いる方法である。同様に、その例の誘導体および塩も含まれる。その他の例としては、核酸を封入する、またはリポソームと結合させる、またはコロイド粒子で被覆することである。好ましい方法は、フィブリン、ヒドロゲル、グリコサミノグリカン、グリコ多糖類、またはインプラントの少なくとも一部を被うアルギネート、コラーゲン、ムチン、ヒアルロン酸、ポリウレタン、セルロース、ポリ乳酸、ポロキサマーのような他の生体適合性のポリマー担体マトリクスに組み入れられた水溶液中で核酸を輸送することである(米国特許第5,833,651号)。インプラント製造時にまたは埋め込み前、埋め込み時、若しくは埋め込み後に医師によって、核酸をポリマー被覆インプラントに加えることができる。ポリマーはまた、所望の放出速度または所望の程度のポリマー安定性に応じて、生体安定性ポリマーまたは生体吸収性ポリマーのいずれであってもよい。これは、天然に存在する、または合成化合物であってもよく、同様に化合物の誘導体および塩が含まれる。生体吸収性ポリマーは、慢性的な局所反応を引き起こさないと思われるので、より望ましい。用いてもよい生体吸収性ポリマーには、ポリ(L-乳酸)、ポリカプロラクトン、ポリ(ラクチド-コグリコリド)、ポリ(ヒドロキシブチレート)、ポリ(ヒドロキシブチレート-コ-バレレート)、ポリジオキサノン、ポリオルトエステル、ポリ無水物、ポリ(グリコール酸)、ポリ(D,L-乳酸)、ポリ乳酸-ポリグリコール酸、ポリグラクチン、ポリジオキソン、ポリグルコネート、ポリ(グリコール酸-コトリメチレンカーボネート)、ポリホスホエステル、ポリホスホエステルウレタン、ポリ(アミノ酸)、シアノアクリレート、ポリ(トリメチレンカーボネート)、ポリ(イミノカーボネート)、コポリ(エーテル-エステル)(例えば、PEO/PLA)、ポリアルキレンオキサレート、ポリホスファゼン、並びにフィブリン、フィブリノーゲン、セルロース、デンプン、コラーゲン、ムチン、フィブロネクチン、およびヒアルロン酸のような生体分子が含まれるがこれらに限定されない。同様に、ポリウレタン、シリコン、およびポリエステルのような慢性的組織反応が比較的低い生体安定性ポリマーは、以下のように、それらがインプラント上で溶解する、または重合化することができれば、それらを用いることができる:ポリエロレフィン、ポリイソブチレン、およびエチレンαオレフィンコポリマー;アクリルポリマーおよびコポリマー、ポリ塩化ビニルのようなハロゲン化ビニルポリマーおよびコポリマー;ポリビニルメチルエーテルのようなポリビニルエーテル;ポリフッ化ビニリデンおよびポリ塩化ビニリデンのようなハロゲン化ポリビニリデン;ポリアクリロニトリル、ポリビニルケトン;ポリスチレンのような芳香族ポリビニル、酢酸ビニル樹脂のようなポリビニルエステル;エチレン-メチルメタクリレートコポリマーのようなビニルモノマーと互いのおよびオレフィンとのコポリマー、アクリロニトリル-スチレンコポリマー、ABS樹脂、エチレン-酢酸ビニルコポリマー;ナイロン66およびポリカプロラクタムのようなポリアミド;アルキド樹脂;ポリカーボネート;ポリオキシメチレン;ポリイミド;ポリエーテル;エポキシ樹脂;ポリウレタン;レーヨン;レーヨントリアセテート;セルロース、酢酸セルロース、酪酸セルロース;酢酸酪酸セルロース;セロファン;硝酸セルロース;プロピオン酸セルロース;セルロースエーテル;およびカルボキシメチルセルロース(第5,776,184号)。同様に、他の生体適合性ポリマーと共にフィブリンは、天然または合成およびその誘導体および塩であれ、用いてもよい。ポリマーの中でも、グリコ多糖類は都合がよいかもしれない。一つの局面において、ポリマーおよび薬剤の固体/固体溶液が存在する。これは、薬剤とポリマーの双方が同じ溶媒において可溶性であり、その溶媒の存在下で十分に混合されていることを意味する。薬剤とポリマーとは、インプラントを溶液に単に含浸させる、または溶液をインプラント上に噴霧するような、様々な方法で適用することができる(第5,776,184号)。ポリカルボン酸、セルロースポリマー、ゼラチン、アルギネート、ポリ2-ヒドロキシエチルメチルアクリレート(HEMA)、ポリビニルピロリジン、無水マレイン酸ポリマー、ポリアミド、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキサイド、ポリエチレングリコール、ポリアクリルアミド、ポリ酸、例えばポリアクリル酸、多糖類、例えばヒアルロン酸のようなムコ多糖類からなる群より選択されるような、様々なヒドロゲルポリマーを用いることができる(米国特許第5,674,192号および米国特許第5,843,089号)。ポリマーは、インプラント上で多孔性または無孔性となり得る。いくつかのポリマー層を利用して、いくつかの異なるポリマーを同じインプラント上で組み合わせることができる。異なる層および異なるポリマーは、異なる薬理学的物質を輸送することができる(第5,833,651号)。同様に、インプラントの一つまたは複数の表面を、第二のポリマーと同じまたは異なるポリマーの一つまたは複数のさらなるコーティングによってコーティングすることができる。コーティングの接着および治療化合物が輸送される速度は、適当な生体吸収または生体安定性ポリマーを選択することによって、および溶液中のポリマーに対する治療化合物の比率によって制御することができる(米国特許第5,776,184号)。組織に適用される用量は同様に、ヒドロゲルコーティングによる治療化合物溶液の吸収量を決定するために、治療化合物をヒドロゲルコーティングに予め含浸する時間を調節することによって制御してもよい。用量に影響を及ぼすその他の要因は、コーティングに適用される溶液中の治療化合物濃度、並びに例えばヒドロゲルコーティングの厚み、その弾性、孔隙率、およびヒドロゲルコーティングの治療化合物保持能、例えば静電気的結合若しくは孔のサイズ、または例えばpHを変化させることによって変化するコーティングのイオン強度によって決定される、ヒドロゲルコーティングの薬剤放出性である。治療化合物が部位に適用される前に体液中に実質的に放出されないように、特定の薬剤のヒドロゲルコーティングを選択することが都合がよいかもしれない。ポリマーおよび治療化合物の固体/固体溶液の放出はさらに、多層におけるポリマーに対する治療化合物の比率を変化させることによって制御することができる。コーティングは、ポリマーと治療化合物の固体/固体溶液である必要はないが、その代わりにインプラントに適用される薬剤とポリマーとのいかなる組み合わせから提供してもよい。溶液中のポリマーに対する治療物質の比は、ポリマーがインプラント上に治療物質を確保する効率、およびコーティングが治療物質を組織に放出する速度に依存するであろう。ポリマーが治療物質をインプラント上に保持する効率が比較的不良である場合にはより多くのポリマーが必要である可能性があり、そして非常に溶解性の治療物質の溶出を制限する溶出マトリクスを提供するために、より多くのポリマーが必要であるかもしれない。従って、広い治療物質対ポリマー比が適当となりえて、それは約10:1〜1:100の範囲となり得るであろう(米国特許第5,776,184号)。治療化合物の結合は同様に、薬剤のコーティング若しくはコーティング添加剤に対する静電気的結合によって、または機械的結合、例えば治療化合物を放出する傾向がある体液の流入または治療化合物そのものの流出を阻害する孔径を有するコーティングを用いることによって行ってもよい。
ヒドロゲルは、治療化合物がゲルによって形成された水素結合マトリクス中に保持されるという点において特に都合がよい(米国特許第5,674,192号)。ヒドロゲルの例は例えば、HYDROPLUS.RTM(米国特許第5,674,192号)、CARBOPOL.RTM(米国特許第5,843,089号)、AQUAVENE.RTM(米国特許第4,883,699号)、HYPAN.RTM(米国特許第4,480,642号)である。場合によっては、ヒドロゲルはインプラントに内層する前に架橋させてもよく、例えば血管または血管内移植片上のヒドロゲルコーティングを、ヒドロゲルをインプラントに沈着させる前にプライマーディップと接触させてもよい。架橋させると、これはインプラント表面上で比較的永続的な内層を形成するが、架橋しないままであればこれはインプラント表面上で比較的分解性の内層を形成する。例えば、ステント内層における所定のヒドロゲルの架橋型の寿命は、その非架橋型の寿命の少なくとも二倍であった(米国特許第5,843,089号)。または、ヒドロゲル内層はインサイチューで架橋剤と接触させてもよい(米国特許第5,843,089号)。一般的に、乾燥させると、ヒドロゲルコーティングは好ましくは厚さが約1〜10ミクロンであり、典型的に2〜5ミクロンである。非常に薄いヒドロゲルコーティング、例えば約0.2〜0.3ミクロン(乾燥時)およびかなり厚いヒドロゲルコーティング、例えば10ミクロンを超える厚さ(乾燥時)も同様にして可能である。典型的に、ヒドロゲルコーティングの厚さは、ヒドロゲルが水和すると約6〜10倍、またはそれ以上拡張する可能性がある(米国特許第5,674,192号)。通常、ポリマー担体は生体分解性または生体溶出性であろう(例えば、米国特許第5,954,706号、米国特許第5,914,182号、米国特許第5,916,585号、米国特許第5,928,916号に教示されている)。担体は同様に、孔を充填する生体分解性物質となるように構築することができ、マトリクスの進行的な溶解によって周辺組織に一つまたは複数の物質を放出する。その後孔が開口する。輸送されたベクターは、治療タンパク質をコードする核酸、例えば裸の核酸またはウイルスベクター若しくはリポソームに組み入れられた核酸であってもよい。裸の核酸とは、ウイルスまたはリポソームに組み入れられていない一本鎖または二本鎖DNAまたはRNA分子を意味する。相補的mRNA分子に特異的に結合して、それによってタンパク質の発現を減少または阻害するアンチセンスオリゴヌクレオチドを、ヒドロゲルコーティングによってインプラント部位に輸送することができる(米国特許第5,843,089号)。一般的に、核酸のインプラントへの結合は同様に、共有結合またはイオン結合技術を用いることによっていくつかの他の方法において行うことができる。典型的に、共有結合技術は、中でもグルタルアルデヒド、臭化シアン、p-ベンゾキノン、無水コハク酸、カルボジイミド、ジイソシアネート、エチルクロロホルメート、ジピリジルジスルフィド、エピクロロヒドリン、アジド、のようなカップリング物質を用いる必要があるが、他の物質も用いることができ、本発明に記載の方法を用いる、いかなる方法も用いることができ、それらは当業者によって認識されるであろう。生体分子の表面への共有カップリングは、生体分子間の望ましくない架橋を形成して、それによって生体分子の生物学的特性を破壊する可能性がある。同様に、それらは表面の機能的部位において結合を形成して、それによって結合を阻害する可能性がある。生体分子の表面への共有結合カップリングは同様に、生体分子の三次元構造を破壊して、それによって生物学的特性を減少または破壊する可能性がある(米国特許第5,928,916号)。イオンカップリング技術は、結合した生体分子の化学組成を変化させない長所を有し、生体分子のイオンカップリングは同様に、適当な条件で生体分子を放出するという長所を有する。一つの例は(米国特許第4,442,133号)である。イオン結合によって生体分子を固定するための現在の技術は、四級アンモニウム塩、並びにTDMAC、塩化ベンザルコニウム、塩化セチルピリジニウム、塩化ベンジルジメチルステアリルアンモニウム、塩化ベンジルセチルジメチルアンモニウム、グアニジンまたはビグアニド部分のような三級および四級アミン基を含むポリマーを利用して生体材料表面に陽性荷電を導入することによって行われる(米国特許第5,928,916号)。血管インプラントを経皮的に輸送する場合、カテーテルを留置する際に薬剤の体液への放出を阻害するために鞘膜を含めてもよい。例えば、これは、カーボワックス、ゼラチン、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキサイド、ポリエチレングリコール、または生体分解性ポリマー若しくは熱分解性ポリマー、例えばアルブミン若しくはプルロン酸ゲルF-127となり得る(米国特許第5,674,192号)。本発明の方法および組成物を実践する場合、特定の型の結合方法は、インプラントから放出された核酸が、それらが活性化されるように周囲の組織を刺激してインビボ態様の意味で最終的に副反応を生じることなく心血管または組織インプラントの内皮形成を生じる限り、重要ではない。本明細書に記載の方法は、決して全て包括的ではなく、特定の用途に適したさらなる方法は当業者に明らかであろう。
本発明の組成物は、それぞれの用量単位、例えば、溶液、ゲル、膠、点滴剤、およびエアロゾルが規定量の組成物を単独で、または他の活性物質と適当に組み合わせて含む単位投与剤形において提供することができる。本明細書において用いられる単位投与剤形という用語は、それによって各単位が、適当であれば、薬学的に許容される希釈剤、担体、または媒体と結合して、所望の作用を生じるために十分量で計算された本発明の組成物の規定量を、単独または他の活性物質と組み合わせて含む、ヒトおよび動物被験者の単位用量として適している物理的に個別の単位を意味する。本発明の単位投与剤形の明細書は、得られる特定の作用、および特定の宿主における医薬組成物に関連した特定の薬物動態に依存する。
従って、本発明は同様に、上記の投与方法または当業者に既知の別の方法を用いて、本発明のベクターを、好ましくはインプラントとの組成物の一部として投与する段階を含む、宿主に治療遺伝子を導入する方法を提供する。組成物の有効量は、宿主において所望の作用を生じる量であり、これは当業者に既知のいくつかのエンドポイントを用いて監視することができる。本発明によるベクターの宿主細胞への有効な遺伝子移入は、治療効果の期間(例えば、表面の毛細管形成および内皮形成)に関して、または宿主内での導入された遺伝子若しくは遺伝子の発現の証拠(例えば、宿主細胞における核酸を検出するために、塩基配列決定法、ノーザン若しくはサザンハイブリダイゼーション法、または転写アッセイ法と共にポリメラーゼ連鎖反応を用いて、または導入された核酸によってコードされる、またはそのような導入のためにレベル若しくは機能に影響を受けたタンパク質またはポリペプチドを検出するために、イムノブロット分析、抗体による検出、mRNA若しくはタンパク質半減期試験、または特定のアッセイ法を用いることによって)によってさらにモニターすることができる。実施例において記述されるそのような特定の一つのアッセイ法には、EC-SOD遺伝子によってコードされるタンパク質を検出するためのウェスタンイムノアッセイ法が含まれる。これらの方法は決して包括的ではなく、特定の適用に適するさらなる方法は、当業者に明らかであろう。その上、組成物の有効量はさらに、所望の作用を発揮することが知られている化合物の類推によって概算することができる(例えば、再狭窄を阻害するために従来用いられている化合物は、宿主に投与すべきEC-SOD核酸の量に関する手引きとなり得る)。
さらに、本発明の組成物に含まれるそれぞれの活性物質の好ましい量は、EC-SODでは、約0.1 μg〜10000 μgを含むことが好ましく(この量を上回る、即ち約10000 μgを上回る、またはこの量を下回る、即ち約0.1 μg未満のいかなる適した量も利用することができる)、インビボでの実践に対して本発明の方法を最適にする場合に、医師によって利用される各化合物の範囲の一般的な手引きとなる。同様に、EC-SODプラスミドは、0.1〜10000 μgを含み(この量を上回る、即ち約10000 μgを上回る、またはこの量を下回る、即ち約0.1 μg未満のいかなる適した量も利用できる)。EC-SODベクターは好ましくは、ウイルス粒子107〜1013個を有するが、1013個より多いまたは107個未満のいかなる適した量も用いることができる。その上、このような範囲は、特定の応用に用いることができるように、成分のより高い量またはより少ない量を用いることを決して排除するものではない。例えば、実際の用量および投与計画は、組成物が他の医薬組成物と組み合わせて投与されるか否か、または薬物動態、薬物素因、および代謝における個体間の差に応じて変化し得る。さらに、細胞あたり加えるべきベクターの量は、ベクターに挿入される遺伝子の長さおよび安定性と共に、配列の特性によっても変化する可能性があり、これは特に経験的に決定する必要があるパラメータであって、本発明の方法に固有でない要因によって変化し得る(例えば、合成に関連した費用)。当業者は、特定の状況の緊急性に従って、いかなる必要な調節も容易に行うことができる。周辺組織に適用される遺伝子構築物の量、またはインプラント若しくは組織に適用される遺伝子組成物の量は、様々な生物学的および医学的要因を考慮して、最終的に主治医または獣医師によって決定される。例えば、特定のEC-SOD遺伝子および血管インプラント材料、患者または動物の体格、年齢、性別、食事、投与時間と共に異なる要因およびホルモンの血清レベルのような、結合組織形成の阻害に影響を及ぼす可能性があるさらなる臨床要因を検討しようとするであろう。従って、適した投与法は、個々の状況を念頭に置いて、以下の開示を考慮して当業者によって容易に決定されるであろう。
同様に、これらの態様に関して、一つまたは複数の異なるベクター(即ち、一つまたは複数の異なる治療遺伝子をコードする各ベクター)を、本明細書に記載の方法において用いる場合、本発明の様々な成分と細胞との接触は、いかなる順序でも、または同時に起こり得る。これは同時に起こることが好ましい。
結合組織阻害組織
本発明は、過剰な結合組織形成を阻害する、および内皮形成を改善させるために遺伝子を用いる有利な方法を提供する。本明細書において用いられるように、周辺組織とは、外傷後のまたは装置を埋め込み後の新たな結合組織の最終的な阻害能を有する、または阻害能に寄与するそれらの細胞のいかなるものもまたは全てを意味する。これには、例えば、血管壁、胸膜、心膜、腹膜、網、脂肪、および筋肉のような様々な形の様々な組織が含まれる。
本発明の方法および組成物によって刺激される周辺組織の特定の型または種類は、細胞が活性化されるように刺激され、インビボの態様の意味において、好ましくない結合組織の増殖、新生内膜形成の阻害、またはインプラントの内皮形成および毛細管形成の促進を最終的に生じる限り、重要ではない。
周辺組織はまた、インプラント内に存在する、インプラントと接触している、またはインプラントに向けて遊走する、そして細胞が直接的または間接的に、結合組織形成、新生内膜形成を阻害する、または内皮および/若しくは毛細管の形成を刺激する細胞を特に意味するようにも用いられる。そのため、微小血管内皮細胞は毛細管を形成し、刺激されるとさらに結合組織形成を阻害するまたは内皮細胞を誘引する細胞であってもよく、これも同様に、それらを刺激すると間接的に、結合組織形成を阻害または内皮形成を刺激するため、本開示の意味において周辺組織であると見なされる。細胞は、様々な増殖因子およびサイトカインの産生によって、または他の細胞型との物理的相互作用によって、結合組織形成または内皮形成に間接的に影響を及ぼすようになる可能性がある。同様に、その本来の環境において活性な、結合組織形成阻害またはインプラント内皮形成および血管形成刺激の領域に到達する細胞または組織は、周辺組織であるかもしれない。周辺組織の細胞は同様に、そのような領域に誘引される、または動員される細胞であってもよい。科学的に関心はあるものの、周辺組織の細胞が結合組織形成を阻害する、または内皮形成を刺激する直接的または間接的な機構は、本発明の実施において考慮されない。
周辺組織の細胞は、その本来の環境において活性な、結合組織形成若しくは人工血管、血管内人工血管内皮形成、または組織インプラント血管形成領域に到達する細胞または組織であってもよい。周辺組織という用語において、これらの細胞は同様に、そのような領域に誘引または動員される細胞であってもよい。
本発明によると、周辺細胞および組織は、結合組織形成の阻害または内皮形成が望まれる、心血管インプラントの組織または表面に達する細胞および組織、または血管形成が望まれる、組織インプラントの表面に達する細胞若しくは組織であろう。
従って、治療の態様において、本発明の治療組成物、並びに心血管および組織インプラントまたは他の人工装置を適用すべき、適した周辺組織の同定に関連した問題はない。そのような場合に必要なものは全て、本明細書に開示のように適当な阻害および刺激組成物を得ることと、心血管若しくは組織インプラント、または人工装置を刺激組成物および周辺組織に接触させることである。この生物学的環境の特性は、医師による、いかなるさらなる標的化または細胞の同定がなくとも、適当な細胞が活性化されるようになることである。
本発明の一つの局面は、細胞における遺伝子の発現を促進するために、EC-SODタンパク質または遺伝子(さらなる遺伝子、タンパク質、増殖因子、薬剤、またはその他の生体分子と共に、または伴わずに)と、心血管若しくは組織インプラントまたは他の人工装置とを含む組成物を一般的に、その組成物を周辺組織に接触させる段階を含む。概説したように、細胞はインビボで接触させてもよい。これは最も直接的には、機能的EC-SOD遺伝子構築物を単に得ること、そして構築物を細胞に適用することによって行われる。細胞をDNA、例えば直鎖状DNA分子、若しくはプラスミドの形でのDNA、または適当な停止シグナルと共にプロモーターの制御下で関心のある遺伝子を含む他のいくつかの組換えベクター若しくは人工染色体に接触させることは、DNAの取り込みおよび発現を得るために十分であり、これ以上の段階は不要である。
好ましい態様として、周辺組織をEC-SOD組成物に接触させる過程は、インビボで行われる。この場合も、この過程の直接の結果は、細胞が遺伝子を組み入れて発現させ、翻訳または転写産物が医師によるさらなる段階を必要とせずに、減少した結合組織形成またはインプラントの内皮形成および/若しくは毛細管形成の刺激の過程を刺激するという点である。
本発明の装置において用いられる材料
本明細書において用いられるように、以下の用語および単語の意味は下記に基づく。簡潔にインプラントと称される埋め込み型医療装置とは、少なくとも部分的に生体材料から作製され、体液を含む体の組織に接触して用いられることを意図する物体を意味する。生体材料とは、表面に接触する組織の一つまたは複数を提供する装置を調製するために用いられる材料の組成物を意味する。その孔隙率および屈曲(孔および多孔性のような)とは、特に明記していない限り、生体材料の外表面(例えば、第一の主要な表面)から始まって生体材料の内表面(例えば、第二の表面)の中を実質的に伸びる小さいチャネルまたは通路を有する生体材料を意味する。堅固およびその屈曲とは、非吸収性生体材料の場合、埋め込み型医療装置の形に作製する場合に、その使用中に遭遇する圧に耐える能力、例えばインビボで開口および孔の構造を保持する能力を意味する。表面とは、生体材料とその環境との界面を意味する。この用語には、その肉眼的意味(例えば、生体材料のシートの二つの主要な面)と共にその顕微鏡的な意味(例えば、材料を横切る孔の内層)の双方において用語を用いることが含まれると解釈される。「接合」という用語およびその派生語は、ポリマー物質若しくは核酸とインプラントとの物理吸着、または化学吸着のような吸着、リガンド/受容体相互作用、共有結合、水素結合、またはイオン結合を意味する。
本発明の組成物、装置および方法において用いてもよい心血管、組織インプラントおよび他の人工装置の型は、それらが組織適合性である限り、実質的に制限されていない。このように、本発明の装置には、血液、体液または組織と持続的に接触することを意図した医療装置、特に、インビボ応用のために用いる場合に好ましくない若しくは過剰な、結合組織増殖および線維形成の阻害、または毛細管内皮形成の刺激によって利益が得られうる装置が含まれる。好ましい装置は、体内に埋め込み可能であり、この中には、心血管インプラント、組織インプラント、膵臓、肝臓および腎臓のような人工臓器、並びに胸部、陰茎、皮膚、鼻、耳、および整形外科インプラントのような臓器インプラントが含まれる。結合組織形成の阻害または毛細管内皮形成の重要性は、装置の型および目的に応じて、それぞれの特定の装置によって変化するであろう。結合組織形成の阻害により、過剰な瘢痕組織形成、狭窄および線維形成から装置が保護される。内増殖した毛細管は、血管インプラントの表面の内側に並び、組織インプラントを感染から保護し、装置中の細胞に栄養を運び、それらが循環中の物質レベルを感知するためのセンサーとして作用することができるようにする内皮細胞を提供することができる。このことは、インプラントが、哺乳動物に投与した場合に有害な、アレルギー、または他のいかなる望ましくない反応も生じない形であるという点において、インプラントが生体適合性に一般的に関連した全ての特徴を有することを意味する。それらは、インプラント周囲の組織と接触して留置されることにも適している。後者の要件は、内皮、または好ましくない結合組織形成を阻害できるインプラントの能力といった要因を考慮に入れる。
好ましい生体材料は、インビボでその意図する目的に関して十分な硬度を提供する材料である。血管移植片および心血管小片を形成するために用いる場合、例えば、生体材料はその意図する用途の過程において移植片が移植片の開口性を維持するために十分に堅固な材料であると考えられる。インプラント材料の選択は、血管または組織インプラントが埋め込まれる特定の状況および部位に応じて異なると考えられる。人工血管は、例えば、テトラフルオロエチレンポリマー、芳香族/脂肪族ポリエステル樹脂、ポリウレタン、およびシリコンゴムからなる群より選択される生体材料で構成される。しかし、いかなる型の生体適合性の微小孔メッシュを用いてもよい。生体材料は互いに、またはポリグリコール酸、ポリ乳酸、ポリジオキソンおよびポリグリコネートのような他の物質と組み合わせることができる。拡張ポリテトラフルオロエチレンおよびダクロンが好ましい。ダクロンは、ベロアと共であってもよくまたはベロアと共でなくともよく、または他のいくつかの方法で改変してもよい。ダクロンは通常、織られ、組まれ、または編まれており、適した糸は10〜400デニールである。ePTFEの交点領域は、引き裂きに対する耐性(例えば、縫合糸の、および動脈瘤拡張に対する耐性)を提供するために役立つ無孔性のPTFEで構成される。交点内領域は、PTFE繊維で構成され、これは繊維間の空間と交点とを結合させるために役立ち、本明細書における孔隙率を提供する。交点の大きさは、交点PTFEを構成する組織接触表面の百分率として表記し得る。交点間の距離は、原繊維の長さの平均値として表記することができる。逆に、孔隙率は交点間距離(即ち、一つの交点の中心部から隣接する交点の中心部までの距離の平均値)として一般的に表記される。好ましいePTFE材料は、適当な強度(例えば、動脈瘤拡張に対して)を提供するために十分な大きさおよび頻度の交点と、適当な孔隙率(毛細管内皮形成を可能とする)を提供するために十分な頻度および繊維の長さの交点間領域とを有する。本発明の明細書を考慮して、当業者は孔隙率と硬度との適切な組み合わせを有する生体材料を用いて、装置を同定および作製することができるであろう。生体材料は、細胞の結合および遊走が可能となる程度に多孔性であることが好ましく、これによって表面への毛細管の形成および増殖が起こる可能性がある。適した孔は、外表面から始まって、生体材料の中を部分的または完全に伸長する小さいチャネルまたは通路の形で存在し得る。そのような場合、孔毛細管直径の断面積の大きさは、5ミクロン以上であり、典型的に1mm未満である。孔サイズの上限値は、生体材料が十分な硬度を保持している限り重要ではないが、有用な装置は約1mm以上の孔サイズを有する可能性は低い。そのような孔の寸法は顕微鏡で定量することができる。当業者によって理解されるように、移植片材料および表面のいくつかの改変は、例えば、タンパク質(例えば、第5,037,377号、第4,319,363号)、ヘパリン非処理全血、および血小板に富む血漿によるプレコーティングによって、表面のグロー放電改変によって、プルロン酸ゲル、フィブリン膠、フィブロネクチン、接着分子を加えることによって、共有結合によって、例えば炭素で表面荷電に影響を及ぼす(第5,827,327号、第4,164,045号)ことによって、および界面活性剤または洗浄剤による処置によって行うことができるが、他のいかなる方法でも行うことができる。その上、インプラントは、交点間距離に関して外表面値は60ミクロンで内表面値は20ミクロンというように(HYBRID PTFE)、交点間距離が内表面と外表面とで異なるハイブリッドとして構築することができる。同様に、異なる交点間距離を有するより多くの層を用いてもよい。それらは内皮形成を阻害しなければ、本発明の範囲内に全て入ると解釈される。可能性がある生体分解性血管インプラントは、本発明の組成物、装置、および方法と共に用いてもよい。例えば、生体分解性および化学的に定義されたポリ乳酸、ポリグリコール酸、精製タンパク質マトリクス、半精製細胞外マトリクス組成物そして同様にコラーゲンを用いてもよい。同様に、臍帯静脈、伏在静脈、天然のウシ動脈または腸の粘膜下組織のような天然に存在する自家、同種、および異種材料を血管またはその他のインプラント材料として用いてもよい。臨床的に用いられる移植片の例は、米国特許第4,187,390号、米国特許第5,474,824号、および米国特許第5,827,327号に開示されている。例えばポリパラジオキサノン、ポリリジンまたはポリグリコール酸のようなホモポリマー、並びに例えば、ポリ乳酸とポリグリコール酸またはその他の生体材料とのコポリマーのような生体分解性または生体吸収材料を、それらが必要な硬度を提供する限り、血管移植片またはその他のインプラント材料として単独で、またはその他の材料と組み合わせて、用いてもよい。同様に、腸の粘膜下のようなその他の生物材料、精製タンパク質のマトリクスおよび半精製細胞外マトリクス組成物を用いてもよい。適当な血管移植片またはその他の人工インプラントは遺伝子組成物を輸送して、同様に新しい内皮の増殖のための表面を提供する、即ち内皮細胞が遊走する可能性があるインサイチュー足場構造として作用する。本発明にて、生体適合性、硬度を有するいかなる材料の使用も許容可能であることを当業者は理解するであろう。過剰な結合組織形成の阻害により、血管と吻合領域との間の結合が存在している限り、端部間、端部-側部、側部間かまたは複数の側部間および端部-側部吻合を組み合わせるかのいずれかによって、自家血管の自家血管との結合、同種血管の自家血管との結合、自家血管の合成血管との結合または任意の種類の血管の別の血管との結合が起こり得ると同様に理解されるであろう。同様に、過形成を移植片の任意の部分で阻害できる。
心血管小片の背景は、例えば、米国特許第5,104,400号、米国特許第4,164,045号、米国特許第5,037,377号に十分に記載されている。血管小片の場合、小片の片側が血液に接しているが、他の面は他の周辺組織に接して内皮細胞の移植片の増殖を促進する。心臓内小片の場合、血液は小片の両側に接している。好ましい生体材料は、インビボで十分な硬度を提供する材料である。血管小片生体材料は、その目的とする使用の過程において、小片がその形状および孔構造を保持するために十分な硬度の材料であろう。孔材料の選択は、血管小片が埋め込まれる特定の状況および部位に従って変化するであろう。血管小片は合成生体材料で構成されており、そのような材料には、テトラフルオロエチレンポリマー、芳香族/脂肪族ポリエステル樹脂、ポリウレタンおよびシリコンゴムが含まれるがこれらに限定されず、いかなる型の生体適合性微小孔メッシュを用いてもよい。上記の生体材料は、互いに、またはポリグリコール酸のような他の物質と組み合わせることができる。拡張ポリテトラフルオロエチレンおよびダクロンが好ましい。ダクロンは通常、織られ、組まれ、または編まれており、そしてベロアと共であるかまたはベロアと共でなく、適した糸は10〜400デニールである。ePTFEの交点領域は、引き裂きに対する耐性(例えば、縫合糸の、および動脈瘤拡張に対する耐性)を提供するために役立つ無孔性のPTFEで構成される。交点間領域は、PTFE繊維で構成され、これは交点を結合させるために役立ち、繊維間の空間が本明細書における孔隙率となる。交点の大きさは、交点PTFEを構成する組織接触表面の百分率として表記し得る。交点間の距離は、原繊維の長さの平均値として表記することができる。逆に、孔隙率は交点間距離(即ち、一つの交点の中心部から隣接する交点の中心部までの距離の平均値)として一般的に表記される。好ましいePTFE材料は、適当な強度(例えば、動脈瘤拡張に対して)を提供するために十分な大きさおよび頻度の交点と、適当な孔隙率(毛細管内皮形成させるための)を提供するために十分な頻度および繊維の長さの交点間領域とを有する。そのような材料はより少ないが厚みのある交点を提供し、これがインビボで有意に大きい強度を提供するであろう。本発明の明細書を考慮すると、当業者は孔隙率と硬度との適切な組み合わせを有する生体材料を用いて、装置を同定および作製することができるであろう。生体材料は、細胞の接着および遊走が可能となる程度に多孔性であることが好ましく、これによって内腔表面への毛細管の形成および増殖が起こる可能性がある。適した孔は、外表面から始まって、生体材料の中を伸長する小さいチャネルまたは通路の形で存在し得る。そのような場合、孔の断面積直径は、毛細管の直径5ミクロン以上であり、典型的に1mm未満である。孔サイズの上限値は、生体材料が十分な硬度を保持している限り重要ではない。しかし、有用な装置が約1mm以上の孔サイズを有する可能性は低い。そのような孔の寸法は、顕微鏡で定量することができる。当業者によって理解されるように、移植片材料および表面のいくつかの改変は、例えば、タンパク質(例えば、米国特許第5,037,377号、米国特許第4,319,363号)、ヘパリン非処理全血、および血小板に富む血漿によるプレコーティングによって、表面のグロー放電によって、ポロキサマー、フィブリン膠、接着分子を加えることによって、共有結合によって、例えば炭素で表面荷電に影響を及ぼす(米国特許第5,827,327号、米国特許第4,164,045号)ことによって、界面活性剤または洗浄剤による処置によって行うことができるが、他のいかなる方法でも行うことができる。同様に、インプラントは、交点間距離が外表面では60ミクロンであるが、内表面では20ミクロンというように(HYBRID PTFE)、内表面と外表面の交点間距離が異なるハイブリッドとして構築することができる。異なる交点間距離を有するさらにより多くの層を用いてもよい。それらは内皮形成を阻害しなければ、本発明の範囲内に全て入ると解釈される。生体分解性の可能性がある材料を、本発明の組成物、装置、および方法と共に用いてもよく、例えばポリパラジオキサノン、ポリリジン、若しくはポリグリコール酸のようなホモポリマー、並びに例えばポリ乳酸およびポリグリコール酸との、または精製タンパク質マトリクスおよび半精製細胞外マトリクス組成物のようなその他の生体材料とのコポリマーを、それらが必要な硬度を提供する限り、単独で、または心血管小片材料として他の材料と組み合わせて用いてもよい。同様に、臍帯静脈、伏在静脈、天然のウシ動脈、心膜、または腸の粘膜下組織のような天然に存在する自家、同種、および異種材料を心血管小片材料として用いてもよい。臨床的に用いられる血管小片の例は、米国特許第5,037,377号、米国特許第5,456,711号、米国特許第5,104,400号、米国特許第4,164,045号に開示されている。適当な血管小片は遺伝子組成物を輸送して、同様に新しい内皮の増殖のための表面を提供する、即ちその上およびその中を内皮細胞が遊走する可能性があるインサイチュー足場構造として作用するであろう。核酸を血管周囲の組織に接する面に結合させることが好ましい。適当な心臓内小片は、遺伝子組成物を周囲の組織に輸送して、新しい内皮の増殖のための表面を提供する、即ちその上およびその中を内皮細胞が遊走する可能性があるインサイチュー足場構造として作用するであろう。核酸を心臓内小片の両面に結合させることが好ましい。または、核酸を心臓内小片表面の片面に結合させてもよい。本発明にて、生体適合性および硬度を有するいかなる材料の使用も許容可能であることを当業者は理解するであろう。
本明細書に記載のステントは、治療すべき内腔の壁における部位で接触して埋め込まれる場合、内腔体を支える中空の円柱型の医療用インプラントを意味する。それらは管状、円錐状、または分岐状のようないくつかの異なる設計となり得る。形状は、コイル状のばね、編まれたフィラメント、穿孔管、細隙管、およびジグザグ、または他の変形型のような形状となり得る。好ましくは、血管ステントの場合には、ステントが内腔に接触する外表面と、血液に接触する内表面とを有するように血管において用いられるようにステントを適合させる。当技術分野の多くのステントは、曲げられ、織られ、絡み合わせ、またはそうでなければ一般的に円柱形の形状に作製されるワイヤ、プラスチック、金属片、またはメッシュのような個々の部材で形成される。ステントは同様に、その上にエレメント、フィルムを適用する基礎となるポリマーまたは金属構造エレメントを有し得る(米国特許第5,951,586号)。ステントは、自己拡張型または圧拡張型のいずれかに分類されている。拡張、拡張する、拡張可能なという用語は、本明細書において、直径を調節することができる腔内ステントを意味する。自己拡張型ステントを輸送カテーテルと共に治療部位に配置する場合、それらは、ステントをより小さい直径に制限する拘束力から解放されると、より大きい直径に放射線状に拡張すると推測され、ステントに対して中心から外向きの力を加えなくとも、血管壁または他の組織と表面が接触するようになる。この型のステントには、編まれたワイヤまたは形成されたワイヤのステントが含まれる。自己拡張型ステントを同様に、温度記憶により規定されるサイズに拡張してもよい。圧拡張式のステントは、展性またはプラスチック製の変形可能な材料で作製され、典型的に金属ワイヤまたは金属片で形成される。陥没したステントは、輸送カテーテルと共に治療部位に運び、その後バルーンまたは他のステント拡張装置によって、その意図する操作直径に放射状に拡張させる。埋め込み後に放射状の圧縮に対する柔軟性および有効な耐性を必要とする適用の場合、金属製の糸成分または鎖が一般的に好ましい。強度と柔軟性の好ましい組み合わせは、それらが時効硬化した、またはそうでなければポリマー鎖の場合熱処理された後の鎖の特性に大きく左右される。らせん状の鎖の編む角度、および隣接する鎖間の軸方向の空間も同様に、強度および柔軟性に関与している。
ステントワイヤは、金属、無機繊維、セラミックまたは有機ポリマーで構成してもよい。それらは、弾性的で強く、生体適合性、並びに疲労および腐食耐性でなければならない。例えば、埋め込み時に分解しない、または電流の影響下で重度の分解(腐食)を受けないステンレススチール若しくは金または他の比較的柔軟な非毒性金属および合金のような金属製のコアワイヤが通常選択される。そのような金属には、白金、白金イリジウム合金、銅合金、スズ、またはチタン、ニッケル-クロム-コバルト合金、コバルトに基づく合金、モリブデン合金、ニッケルチタン合金が含まれるがこれらに限定されない。鎖は金属である必要はなく、例えば、PET、ポリプロピレン、PEEK、HDPE、ポリスルホン、アセチル、PTFE、FEP、およびポリウレタンのようなポリマー材料で構成してもよいが、他のいかなる物質(その他の変種:ポリテトラフルオロエチレン、フッ化エチレンプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン-ペルフルオロアルキルビニルエーテルコポリマー、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、広域フッ化物、および他の生体適合性プラスチック)を用いてもよい。同様に、例えばポリパラジオキサノン、ポリリジン、またはポリグリコール酸のようなホモポリマー、および例えばポリ乳酸とポリグリコール酸、ポリウレタンまたは他の生体材料とのコポリマーのような生体分解性若しくは生体吸収性の材料を、ステント材料として単独または他の材料と組み合わせて用いてもよい。そのようなモノフィラメント鎖は、直径が0.002〜0.015インチの範囲であるが、当然のこととして、直径は、必要とされる内腔の大きさおよび支持体の程度に応じて変化し得る。ステントには同様に、抗血栓剤、抗血小板剤、血管拡張剤、抗増殖剤、抗遊走剤、抗繊維症剤、抗炎症剤並びにより具体的には、ヘパリン、ヒルジン、ヒルログ、エトリチネート、フレスコリン、ラパマイシン、シロリムス、パクリタキセル、タクロリムス、デキサメタゾン、サイトカラシンDおよびアクチノマイシンC等を結合してもよい。臨床的に用いられるステントの例は、米国特許第4,733,665号、米国特許第4,800,882号、米国特許第4,886,062号に開示されており、参照により本明細書に組み入れられる。
経腔的埋め込み用のカバーステントとも呼ばれるステント移植片は、金属またはポリマー製のモノフィラメントが管状に組み合わされた弾性のある格子、複数の織り合わせた織物の鎖で形成された管が組み合わされたスリーブ、および格子とスリーブとを共に固定する結合成分が、選択された軸方向に互いに配置され、互いに、そして選択された格子の一つと他の格子を取り巻くスリーブとが固定されて、それによって格子が構造的にスリーブを支持する形が含まれる。格子とスリーブは、所定の軸伸長を伴う放射方向の減少量を支配する実質的に同じ関係に従って挙動することが確保される。スリーブは格子の外部であっても内部であってもよく、または格子をスリーブに組み入れてもよく、これは連続的とも不連続ともなり得る。異なる型の鎖、例えば多フィラメントの糸、モノフィラメント、融合可能な材料およびコラーゲンを組み合わせる複合的な編まれた構造に関して、いくつかの人工器官構築物が示唆されている。例は、国際公開公報第91/10766号に認められる。織物の鎖は、多フィラメントの糸であることが好ましいが、それらは単フィラメントとなり得る。いずれにせよ、織物の鎖は構造の鎖よりかなり細く、約10デニール〜400デニールの範囲である。多フィラメントの糸の個々のフィラメントは、約0.25〜約10デニールの範囲となり得る。多フィラメントの糸はPET、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリウレタン、HDPE、シリコン、PTFE、ポリオレフィンおよびePTFEのような様々な材料で構成することができる。糸を改変することによって、スリーブの質を改変することが可能であり、例えば、ねじれのない平たいフィラメントはより薄い壁、糸の間のより小さい間隙が提供され、それによってより低い透過性、および毛細管移植片が増殖するためのより高い糸断面積孔隙率が得られる。多孔性の膨張したPTFE被膜は、原繊維によって互いに結合した交点の微小構造を有し、例えば、米国特許第3,953,566号、米国特許第4,187,390号、および米国特許第4,482,516号に開示されるように作製してもよい。適した孔は、外表面から始まって生体材料の中を伸長する小さいチャネルまたは通路の形で存在し得る。そのような場合、孔の断面積は毛細管の直径5ミクロンより大きく、典型的に1 mm未満である。孔のサイズの上限値は、生体材料が十分な硬度を保持する限り重要ではないが、有用な装置は孔のサイズが約1 mmより大きくなる可能性は低い。そのような孔の大きさは顕微鏡において定量することができる。当業者によって理解されるように、ステント移植片材料および表面は、タンパク質、ヘパリン非処理全血、血小板に富む血漿によるプレコーティングによって、表面のグロー放電改変によって、プルロン酸ゲル、フィブロネクチン、フィブリン膠、接着分子を加えることによって、共有結合によって、表面荷電に例えば炭素によって影響を及ぼす(米国特許第5,827,327号、米国特許第4,164,045号)ことによって、界面活性剤または洗浄剤による処置によって、溝を加えるおよび端部の角度を変化させてドリル孔のような特徴を機械的に変化させることによって、何らかの改変を行うことができるが、他のいかなる方法を行ってもよい。同様に、インプラントは、交点間距離が外表面では60ミクロンであるが、内表面では20ミクロンというように(HYBRID PTFE)、内表面と外表面での交点間距離が異なるハイブリッドとして構築することができる。異なる交点間距離を有するさらにより多くの層を用いてもよい。それらは好ましくない結合組織増殖を促進しなければ、または内皮形成を阻害しなければ、本発明の範囲内に全て入ると解釈される。原繊維は、主に一方向を向く単軸方向、または一つより多くの方向を向く多軸方向となり得る。膨張した、という用語は、本明細書において、多孔性の膨張したPTFEを意味するために用いられる。本発明にて、生体適合性を有するいかなる材料の使用も許容可能であることを当業者は理解するであろう。臨床で用いられるステント移植片の例は、米国特許第5,957,974号、米国特許第5,928,279号、米国特許第5,925,075号、および米国特許第5,916,264号に開示されている。
同様に、動脈、静脈、および腸粘膜下組織のような天然に存在する自家、同種、または異種材料は、臍帯静脈、伏在静脈、または天然のウシ動脈のようなステント移植片において用いることができる。例えば、生体分解性および化学的に既知のポリ乳酸、ポリグリコール酸、精製タンパク質マトリクス、半精製細胞外マトリクス組成物のような、可能性がある生体分解可能な血管インプラントを、本発明の組成物、装置、および方法と組み合わせてステント移植片として用いてもよい。適当な血管移植片およびステント移植片は、遺伝子組成物を輸送して、しかも新しい内皮が増殖するための表面を提供する、即ち、内皮細胞がその中を遊走するインサイチュー足場構造として作用し、そして好ましくない結合組織増殖または再狭窄が阻害されることが好ましい。本発明の方法および組成物を用いた、埋め込まれるインプラントの特定の設計は、結合組織の形成を阻害できる、およびそれらがインビボ態様の意味において、その中を内皮細胞が遊走することができる足場構造として作用し、インプラントの内皮形成を最終的に生じる限り、重要ではない。
介入的ステントおよびステント移植片を所望の部位に輸送するために、多様なカテーテル系が有用である。選択される型は、本発明の方法が用いられる限り重要ではない。
心臓弁は、当技術分野で周知であり、心臓のポンプ作用の結果として血液動力学的に作用する。一般的に、内表面を有する輪状体が存在し、これは血液の流路を規定して、交互に遮断するためにその上に支持される一つまたは多数の咬合器を有し、そのようにして既定の方向に血流を流させる。人工心臓弁は、様々な異なる設計であり、自家、同種、異種または合成材料で構成される。人工弁の環状の外被は、輪状体とも呼ばれ、弁材料は生体適合性および非血栓形成性の材料で構成され、同様にそれらが受ける摩耗に耐えるであろう。球状の部材またはボール、軸となる平板、ポペット平板、および単一または多数の葉状弁構築物、例えば、2枚の平面葉、円錐、半円錐および円柱表面を有する葉状部材のような、環状の弁の外被および弁部材のような様々な異なる設計が存在する。開口環は、ピロ炭素コーティング表面、銀コーティング表面または固体熱分解炭素のような様々な材料で構成してもよく(米国特許第4,443,894号に記載されている)、そして葉状部材は、多結晶グラファイト、プラスチック、金属、または他の堅固な材料で構成して、次に熱分解炭素のような別の材料をコーティングしてもよい(例えば、米国特許第3,546,711号および米国特許第3,579,645号)。環状の弁外被は、多孔性(本明細書において、多孔性表面と、孔の液体通路において表面下で相互連結された間質孔のネットワークとを有することが言及される、米国特許第4,936,317号を参照されたい)または無孔性となり得て、心臓組織への心臓弁の縫いつけまたは縫合を容易にするために、縫合環を環状体に結合するために端部の溝または一対の平坦な部分のような、適切な手段が提供され得る。縫合部材は、基底部周辺に堅固な輪状部材またはスリーブを有してもよい。スリーブは、金属、プラスチック等のような強固な材料で作製されていてもよい。スリーブは、テフロンまたはダクロン(RE31,400)のような織物の環を有してもよい。弁は、クッション部材および衝撃吸収部材のようなさらなる部材を有してもよい。機械的心臓弁の例は、米国特許第3,546,711号、米国特許第4,011,601号、米国特許第4,425,670号、米国特許第3,824,629号、米国特許第4,725,275号、米国特許第4,078,268号、米国特許第4,159,543号、米国特許第4,535,484号、米国特許第4,692,165号、米国特許第5,035,709号、および米国特許第5,037,434号に記載されている。
異種移植片、同種移植片または自家移植片を組織弁として使用できる。自家移植片を用いる場合、通常、肺動脈弁を大動脈の位置に操作する(ロス手術)。同種移植片とも呼ばれる同種移植片は、死体に由来する。異種生体人工心臓弁は、通常ブタ起源である。それらはステント型または非ステント型となり得る。従来のステント型弁は、弁として作動する要素、ステント集合体および縫合環を有するように設計されてもよい。ステントは布で覆ってもよい。チタン、デルリン、ポリアセタール、ポリプロピレン、およびエルジロイを含むがこれらに限定されない既知の全てのステント材料をステントに用いることができる。当業者に既知であるように、組織弁を操作するいくつかの方法が存在する。例えば、生体人工弁は無細胞で構成してもよく(Wilson、Ann. Thorac Surg、1995; 60 (2補遺): S353〜8)、またはグルタルアルデヒド、グリセロール(Hoff-man)、色素媒介光酸化(Schoen, J. Heart Valve Dis、1998; 7(2):174〜9)のような様々な方法で保存してもよく、グルタルアルデヒドで保存する場合、グルタルアルデヒドをアミノ試薬によって中和することができる(例えば、米国特許第4,405,327号)。同種移植片は内皮を除去することができる。組織心臓弁の例は、米国特許第3,755,823号、米国特許第4,441,216号、米国特許第4,172,295号、米国特許第4,192,020号、米国特許第4,106,129号、米国特許第4,501,030号、および米国特許第4,648,881号に記載されている。同様に、本主題に関して十分な科学論文が存在する。当業者は、好ましくない結合組織の増殖を阻害するまたは内皮の増殖を可能にする生体適合性を有する、いかなる材料または組織も許容されると理解するであろう。遺伝子は様々な方法によって人工心臓弁に結合させることができるが、遺伝子が周辺組織によって取り込まれ、EC-SODが産生されて過剰な結合組織形成および線維形成が阻害されるか、または血管新生が刺激され、その結果、開口環および/または弁部材表面に内皮形成が起こる限り、方法は重要ではない。核酸または核酸を含む組成物を、心臓弁の全体または一部に結合させてもよい。組織弁では、核酸を表面全体とステント集合体とに結合させ、人工弁では輪状体と縫合環とに結合させることが好ましい。
組織インプラントは、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、酢酸セルロース、硝酸セルロース、ポリカーボネート、ポリエステル、ナイロン、ポリスルホン、セルロースの混合エステル、二フッ化ポリビニリデン、シリコン、コラーゲン、およびポリアクリロニトリルのような様々な材料で構成され得る。組織を操作するための好ましい支持体材料は、付加または縮合重合のいずれかによって得られたオリゴマー、ホモポリマー、およびコポリマーを含む合成ポリマーである。組織インプラントの例は、例えば米国特許第5,314,471号、米国特許第5,882,354号、米国特許第5,874,099号、米国特許第5,776,747号、および米国特許第5,855,613号に記載されている。当業者は、内皮の増殖および/または毛細管形成を可能にする生体適合性を有する、いかなる材料も許容されると理解するであろう。EC-SOD遺伝子は様々な方法によってインプラントに結合させることができるが、遺伝子が周辺組織に取り込まれてEC-SODが産生され、線維形成が阻害されるか、または血管新生が刺激され、その結果、インプラントの内皮形成および/または毛細管形成が起こる限り、方法は重要ではない。
移植片連結材とも呼ばれる吻合装置の背景は、米国特許第5,904,697号および米国特許第5,868,763号に十分に記載されている。一般的に、吻合装置は、端部間吻合または端部-側部吻合のいずれかを用いる。本発明は、端部-側部吻合装置を含み、好ましくはSOLEM Graft Connector(商標)のような、標的血管に経内腔的に埋め込まれて、血液に露出する固定部材を有する吻合装置を含む。「固定部材」という用語は、本明細書において、標的血管との結合を形成する部材を意味する。「カップリング部材」または「連結部材」という用語は、本明細書においてバイパス移植片血管との結合を形成する部材を意味する。固定部材およびカップリング部材は、技法の際に連結するよう分離していても、単一の単位で形成していてもよい。ハンドルおよびピンのようなさらなる部材を含んでもよい。内腔固定部材は様々な設計でもよく、これは管状構造であることが好ましい。内腔固定部材は、金属、セラミック、プラスチック、ポリマー、PTFE、ダクロン、PET、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリウレタン、HDPE、シリコン、ポリオレフィン、およびePTFEまたはいくつかの構造の組み合わせのような、任意の生体適合性の材料で構成してもよい。同様に、例えばポリパラジオキサノン、ポリリジン、またはポリグリコール酸のようなホモポリマー、および例えばポリ乳酸とポリグリコール酸との、または他の生体材料のような生体分解性もしくは生体吸収性の材料とのコポリマーを、単独でまたは他の材料と組み合わせて用いてもよい。吻合装置は、多孔性、部分的に多孔性、または無孔性であってもよい。連結部材は無孔性であり、固定部材は多孔性であることが好ましい。または連結部材と固定部材の双方が多孔性である。多孔性である場合、孔の毛細管断面積の直径は5ミクロンより大きく、典型的に1 mm未満である。孔サイズの上限値は、生体材料が十分な硬度を保持している限り重要ではないが、有用な装置は約1 mmより大きい孔サイズを有する可能性は低い。そのような孔の寸法は顕微鏡で定量することができる。適した孔は、生体材料の外表面から始まり、生体材料の中を伸長するチャネルまたは通路の形で存在し得る。当業者によって理解されるように、移植片連結材の設計材料および表面に、例えば、タンパク質、ヘパリン非処理全血、および血小板に富む血漿によるプレコーティングによって、表面のグロー放電改変によって、プルロン酸ゲル、フィブリン膠、接着分子を加えることによって、共有結合によって、表面荷電に対して例えば炭素で影響を及ぼす(米国特許第5,827,327号、および米国特許第4,164,045号)ことによって、界面活性剤または洗浄剤による処置によって、溝を加えるおよび端部の角度を変更するような表面の特徴を機械的に変化させることによって、何らかの改変を行うことができるが、他のいかなる方法も行うことができる。同様に、インプラントは、交点間距離に関して外表面値は60ミクロンで内表面値は20ミクロンというように、交点間距離が内表面と外表面とで異なるハイブリッド(HYBRID PTFE)として構築することができる。異なる交点間距離を有するより多くの層を用いてもよい。それらは内皮形成を阻害しなければ、本発明の範囲内に全て入ると解釈される。遺伝子は様々な方法によってインプラントに結合させることができるが、遺伝子が周辺組織に取り込まれて、EC-SODが産生され、結合組織形成が阻害され、および血管新生が刺激されて、その結果インプラントの内皮形成および/または毛細管形成が起こる限り、方法は重要ではない。適当な移植片連結材は、遺伝子組成物を輸送して、しかも新しい内皮が増殖するための表面を提供する、即ち、その中を内皮細胞が遊走するインサイチュー足場構造として作用する。当業者は、移植片の増殖を可能にする生体適合性、硬度、および孔隙率を有する、いかなる材料も許容されることを理解するであろう。
縫合材料は、当技術分野で周知である。「フィラメント」とは、本明細書において、非吸収性または吸収性材料の単一の長い細い柔軟な構造を意味する。これは連続であっても、ステープル状であってもよい。「吸収性」フィラメントは、本明細書において、哺乳動物の組織において吸収、消化、または溶解されるフィラメントを意味する。縫合材はモノフィラメント、即ち一本のフィラメント鎖であってもよく、または多フィラメント、すなわち組まれた、撚られた、または他の多フィラメント構築におけるいくつかの鎖であってもよく、金属、絹、麻、綿および腸線のような天然材料並びにナイロン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリエチレン、ポリウレタン、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、乳酸とグリコール酸のコポリマーのような合成材料の双方で構成される。縫合材は多孔性であってもよく(米国特許第4,905,367号、米国特許第4,281,669号)または無孔性であってもよく、またはそれらは例えば米国特許第4,185,637号、米国特許第4,649,920号、米国特許第4,201,216号、米国特許第4,983,180号、および米国特許第4,711,241号に記載の様々な材料でコーティングすることができ、または非コーティングであってもよい。核酸は、好ましくない結合組織の増殖を阻害する、または縫合材の内皮形成を促進するために、いかなる縫合材料に結合してもよい。核酸の結合は、合成非吸収性血管縫合糸の場合に特に有用である。多フィラメント縫合糸をコーティングする場合、縫合糸内のあらゆるフィラメントが個々に、または完全にコーティングされる必要はない。縫合材料の大きさは通常、USPサイズ12-0、0.001 mmからサイズ2、外径0.599 mmの範囲である。縫合材料は、一つまたは双方の端部に針を有しても、針を有しなくてもよく、針は、縫合針の近位末端表面からその軸に沿って伸長する隠し穴、即ち円柱のくぼみを規定することによるような、当技術分野で既知の方法によって縫合材料に結合してもよい。縫合材搭載部分の長さは一般的に、穴の長さに等しいかまたはわずかに長い。縫合糸を穴に挿入して次に、縫合糸を保持するために、縫合糸搭載部分を曲げる、即ち変形または圧縮させる。または、縫合糸は、そのような隠し穴にセメント材料を加えることによって固定してもよい(例えば、米国特許第1,558,037号中)。同様に、米国特許第2,928,395号、米国特許第3,394,704号のように接着剤およびボンド材料を用いてもよい。同様に、米国特許第4,910,377号、米国特許第4,901,722号、米国特許第4,890,614号、米国特許第4,805,292号、および米国特許第5,102,418号のようなその他の改変を用いてもよい。外科用針そのものは、必要な直径の医学的に許容されるステンレススチールのような様々な材料で構成してもよい。縫合糸と針との結合は、標準的であってもよく、即ち縫合糸を確実に結合して、縫合糸を切るもしくは切断することを例外としてそこから分離されることを意図しない、または引き離すことが可能もしくは除去可能、すなわち外科医が加える力に反応して分離可能である(米国特許第3,890,975号、米国特許第3,980,177号、および米国特許第5,102,418号)。外科用針は、1/4サークル、3/8サークル、1/2カーブ、1/2サークル、5/8サークル、または直線のような様々な形であってもよく、針の遠位先端は先細り先尖頭、先細り切断、逆切断、精密先端、扁平型等であってもよい。縫合材料または縫合糸をコーティングする組成物に結合する核酸の量は、繊維の構築、例えば、フィラメントの数、および組みまたはねじれの硬度、組成物、適用した固体または液体に応じて変化するであろう。当業者は、結合組織過形成の阻害を可能にする生体適合性を有する、いかなる材料も許容されることを理解するであろう。遺伝子は、本開示に記載された方法または好ましい他のいかなる方法によっても縫合糸に結合することができる。遺伝子が周辺組織に取り込まれてしまった後に、EC-SODが産生され、過剰な結合組織増殖が阻害され、内皮形成が刺激され、その結果、縫合材料表面に内皮形成が起こる。
外科用綿球は当技術分野で周知である。当業者は、内皮の増殖を可能にする生体適合性を有する、いかなる材料も許容されることを理解するであろう。遺伝子は、本開示に含まれる方法、または他のいかなる方法によっても外科用綿球に結合させることができる。遺伝子が周辺組織に取り込まれた後、EC-SODが産生され、過剰な結合組織増殖が阻害され、血管新生が刺激され、その結果、インプラントの内皮形成が起こる。
例えば生体適合性、生体分解性、強度、硬度、多孔性、界面特性、耐久性、および美容上の外観のような物理化学的特徴は、当業者に周知であるように、血管または組織インプラントを選択する際に考慮され得る。同様に、本発明の重要な局面は、インプラント自体と、組織チャンバー、ペースメーカーワイヤ、長期間使用するための留置血管カテーテル等のインプラントの機能的部分とを含む、組織との界面の過剰な結合若しくは線維筋性組織の増殖の回避または血管が形成される長所を有する他のインプラントと組み合わせて用いることである。表面は、核酸または核酸に対して親和性を有する材料を充填した孔でコーティングして、その後コーティングした表面を、導入したいと望む遺伝子または核酸でさらにコーティングしてもよい。当業者に既知であるように、核酸に対するその親和性を制御するために、利用可能な吸着化学基を容易に操作してもよい。
実験の章
実施例
EC-SOD発現プラスミド
プローブとして部分的ウサギEC-SOD cDNA(genbank X78139; 塩基126〜465をコードするEC-SOD)を用い、プラークハイブリダイゼーションにより、ウサギ肺由来cDNAライブラリー(Clontech社 # TL1010a)を選別した(Hiltunenら、1995、Hiltunen, T.、Luoma, J.、Nikkari, T.およびYla-Herttuala, S.: Induction of 15-lipoxygenase mRNA and protein in early atherosclerotic lesions. Circulation 92 (1995) 3297〜3303)。陽性クローンを標準的方法により精製し(Ausubel, F.M.、Brent, R.、Kingston, R.E.、Moore, D.D.、Seidman, J.G.、Smith, A.J.およびStruhl, K. (eds.): Current protocols in molecular biology. John Wiley & Sons, Inc.、USA、1995)、EC-SOD cDNAの3’領域を含んでいることが判明した。EC-SOD遺伝子に特異的なプライマーを用いたPCRにより、ウサギ由来ゲノムDNAからコード配列の5’末端を増幅した(genbank AJ007044);
Figure 2006503605
引き続いて、EC-SOD遺伝子の全読み取り枠を作り出すために、cDNAの5’および3’断片を連結し、これをさらにpHHT631発現ベクターの伸長因子1αプロモーター制御下(pEC-SOD1α)にサブクローニングした(Mizushima, S. およびNagata, S.: pEF-BOS、a powerful mammalian expression vector. Nucleic. Acids. Res. 18 (1990) 5322)。ALF自動DNA塩基配列決定装置(Pharmacia社)を用いてDNA塩基配列決定を行い、そしてGCGプログラム・ソフトウェア(Devereux, J.、Haeberli, P.およびSmithies, O.: A comprehensive set of sequence analysis programs for the VAX. Nucleic. Acids. Res. 12 (1984) 387〜395) により配列解析を行った。以前に説明されている(Kozarsky, K.F.およびWilson, J.M.: Gene therapy: adenovirus vectors. Curr. Opin. Genet. Dev. 3 (1993) 499〜503) ようなアデノウイルスを構築するため、pEC-SOD1αの発現カセットをさらに、アデノウイルスベクター(AdBglII)にクローニングした。
アデノウイルス生成
伸長因子1-α(Laukanenら、Gene 2000, 第254巻、173〜179頁)プロモーターを含むEC-SOD発現カセットを、アデノウイルスベクター(AdBglII)中にクローニングした(図2を参照のこと)。核標的化LacZアデノウイルスを対照として用いた(Laltlnenら、Hum Gene Ther.1998, 第9巻、1481〜1486頁)。臨床等級のアデノウイルスを293細胞中で生成して、微生物の混入も、マイコプラズマも、内毒素も、複製コンピテントなウイルスもないことを解析した。
動物実験
成体のホモ接合性Watanabe Heritable Hyperlipedimic(WHHL)ウサギ(Flnnish National Experimental Animal Center, Kuoplo, Finland)を、標準的な食餌(K2スペシャル、Lactamin AB、Sweden)で飼育した。アセチルサリチル酸を飲料水に添加して、推定で毎日10mg/日のASA用量を与えた。この動物を、EC-SOD(n=8)またはLacZ(n=8)のいずれかを用いた遺伝子移入の後4週間追跡した。0.25ml/kg(フェンタニル 0.315mg/mL フルアノシン 10mg/mL混合物、Hypnorm(登録商標), Janssen)(皮下注射)、および0.25ml/kg(筋肉内注射)(ミダゾラム 5mg/ml、Dormicum(登録商標), Roche)の組み合わせを用いて、動物を麻酔した。大体動脈切開から、動脈内膜切除カテーテル(3F Sorin Medical)を繰り返し通すことによって、内皮細胞から大動脈全体を剥がした。3日後、この動物を再度麻酔した。静脈内ヘパリン処理後、2cmの腎臓下動脈部分を、装着したInfiltrator(登録商標)カテーテル(Boston Scientific)および静脈内ステント(1.1のステント対動脈比、Guidant Corporation)を用いて感染させた(3×109pfu/kg)。この追跡調査後、動物を過量の麻酔剤を用いて屠殺して、このステントを入れた部位および近位の未ステント処理の血管部位を回収して、さらなる解析のために処理した。
組織学的解析
インタクトな血管断片を取り出して、生理食塩水を用いて穏やかにフラッシュして、まとめて4%中性緩衝化ホルマリン中で24時間浸漬固定した。固定されたサンプルを段階的な連続のエタノール中で脱水して、メチルメタクリレート(MMA)およびキシレンの1:1溶液を用い、そして最後にMMA(4℃、各12時間)を用いて浸潤させた。その後に、このサンプルを-4℃で、プラスチックチューブ中で重合した。これらの一級メタクリレートブロックを4mm厚の切片に切った(1匹あたり4〜6個の切片を得る)。この切片を包埋型枠に入れて、ブロックの重合を-4℃で再度実施した。重合したブロックを最初に挽いて、切断表面のさらに近くに組織成分を持ってきた。Microm回転ミクロトーム上で硬性組織ブレードを用いて、MMAブロックの一連の切片(2〜5μm)を切断した。80%エタノールの液滴に浸漬した後、Superfrostガラススライド(Menzel-Glaeser)上で固定しない状態まで切片を伸ばして、ポリエチレンシートおよびいくつかの層の濾紙で覆い、ガラススライド上に緊密に押圧し、続いて減圧下において42℃で一晩乾燥させた。酢酸2-メトキシエチル中で15分間5回、脱プラスティネーションを行なった。段階的なエタノール溶液および1mmol/L PBS中で、この切片の再水和を実施した。標準的な組織病理学の方法に従って、トルイジンブルー、ヘマトキシリンおよびエオシン、マッソントリクローム(Masson’s trichrome)およびエスラチカワンギーソン(Elastica van Gieson)の染色を実施した。(Cotran RS, Kumar V, Robbins SL.Robbins Pathologic Basis of Disease.Philadelphia, Pa:WB Saunders Co;1994)。
新生内膜の厚み、既存のアテローム硬化性の病変および中膜を、Zeiss顕微鏡(Axioplan)、MRCデジタルカメラおよびKSソフトウェア(Rel, 4.0)を用いてデジタル処理した画像の上で測定した。総脈管内膜に対する新生内膜の比を算出した。内皮細胞(PECAM)被覆および炎症性細胞(マクロファージ)浸潤を、それぞれ、管腔の断面積の割合および内膜の断面積の割合として定量した。各々の動物の中央値から、処理群および対照群の平均値を算出した。以下の抗体を用いた。PECAM(内皮細胞、1:50希釈、Santa Cruz)、RAM 11(マクロファージ、1:200希釈、DAKO)、HHF35(平滑筋細胞[SMC]、1:50希釈、DAKO)。アビジン-ビオチン-西洋ワサビペルオキシダーゼシステムを、シグナル検出のためにDABとともに用いた(Vector Elite Kit)。
剖検解析
National Veterinary and Food Research Institute, Kuopio Department, Finlendにおいて、P, Syrjaejae, DVMによって、剖検解析を行なった。
統計学的解析
必要に応じて、ノンパラメトリックマンホイットニーU検定またはスチューデントT検定によって、群間の相違を解析した。スピアマン(または、必要に応じてピアソン)の相関係数を算出して、変数の間の関係を評価した。全てのデータは、平均±標準偏差(SD)および/または標準誤差(SE)である。p値が<0.05であった場合に、相違を有意とみなした。コルモゴロフ-スミルノフ検定およびカイ二乗検定によって、分布フィッティングの解析を実施した。
結果
組織学的解析
遺伝子移入部位を組織学的に解析して、4週の時点で、新生内膜形成、再内皮化および炎症性細胞浸潤に対する局所EC-SOD遺伝子移入の影響を決定した。既存のアテローム硬化性疾患およびその中の既存のマクロファージ含量の程度において群間の相違はなかった。EC-SOD動物における新生内膜形成は、対照動物に比べて有意に低下した(P<0.05);ステント処理の前のアテローム硬化性病変形成によって比較的影響されない血管部分および既存のアテローム硬化性病変を有した部分の両方において(表1、図1)。
(表1)再狭窄形成の結果
Figure 2006503605
実施例2
ブタおよびプラスミド
方法
プラスミド生成
ヒトEC-SODの配列を、pNGVL3プラスミドベクター(National Gene Vector Laboratories, USA)中にクローニングした。プラスミド生成
EcoRIおよびPstI制限酵素を用いてpOTB7プラスミドベクター(Acc.nr.BC0144418、クローンMGC:20077 IMAGE:4644224)から、ヒトEC-SOD cDNAのコード配列を得て、pNGVL3プラスミドベクター(National Gene Vector Laboratories, USA)中にさらにクローニングした。
対照として、核標的LacZプラスミド(pNGVL3)を用いた。
動物実験
動物での研究は、Gothenburg University, Swedenの倫理委員会によって承認された。通常の固形飼料を給餌した4匹の家畜ブタ(体重、20〜30kg)の右側と左側の外腸骨動脈に8つのステントを移植した。ステント留置の前日に、この動物をローディング用量のASAおよびクロピドグレル(clopidrogel)で経口的に前投薬して、毎日の薬物治療を14日間の追跡調査期間にわたって継続した。麻酔の導入のためには、ケタミン(20mg/kg(筋肉内注射))およびキシラジン(4mg/kg(筋肉内注射))を用いた。吸入麻酔の使用によって全身麻酔を維持した。9Fのシースを右頸動脈に後ろ向きに留置した。ボーラスのヘパリン(150U/kg)を動脈内に投与した。遠位大動脈および腸骨動脈の血管造影を実施して、近位の腸骨動脈にガイドカテーテルを嵌め込んだ。0.014-in ハイトルクフロッピーガイドワイア(Advanced Cardiovascular Systems)を、蛍光透視下に大腿動脈まで進めた。Infiltrator(登録商標)カテーテル(Boston Scientific)を用いて、5cmの動脈断片をトランスフェクトさせた(2000μgプラスミドを含有するPBSを3つの注射に分けた)。この動物をEC-SOD(n=2)または対照処理(n=2)のいずれかを用いたステント処置に供した。ステント処置した血管部分での活発な新生内膜形成を達成するために、長いステントを選んでガイドカテーテルをステントサイズ決めのための参照として用い、この血管部分を過拡張させ、かつ1.5のバルーン(ステント)対動脈比を得ようとした。静脈内ステント(50mm長)の配置を完了した。次いで、この手順を、反対側の腸骨動脈で繰り返した。開通性を確認するため留置後に血管造影を完了した。動物を回復させて、飼育施設に戻した。全ての動物には正常な実験室の食餌を続けた。この動物を移植の14日後、血管造影のために研究的カテーテル処置の実験室に戻した。追跡調査の血管造影の完了後、過量の麻酔剤を用いてこの動物を安楽死させた。血管断片の顕微鏡的な病理学検査によって、血管造影の所見を確認した。
結果
EC-SOD処理した動物では、4つのステント処置した血管のうち4つとも、2週間の追跡調査期間の後、開放されたままであった。対照的に、対照の動物では、4つのステントのうち2つ(各々の対照処置動物のうちの1匹)が閉塞した。
実施例3
静脈移植片実験
動物
ニュージランドホワイト種(New Zealand White)ウサギを、正常な食餌またはアテローム生成的な食餌で、水は自由に与えて飼育した。外科手術のための麻酔は、0.25ml/kg(フェンタニル0.315mg/mL、フルアノシン10mg/mLの混合物、Hypnorm(登録商標)、Janssen)皮下注射、および0.25ml/kg筋肉内注射(ミダゾラム5mg/ml, Dormicum(登録商標), Roche)の組み合わせを用いて導入する。全ての手順は、施設の倫理委員会で承認される。頸静脈断片を回収して、この血管断片を、エキソビボでEC-SODまたは対照ベクターを用いてトランスフェクトして、同側の頸動脈中に逆向きに端と端が接する方式で吻合した。この手順後種々の時点で、過量の麻酔剤によって、この動物を殺傷した。
血管の回収および解析
外科手術後、予め決定された時点で静脈移植片を回収する。動物を麻酔して、血管を摘出する。存在する血栓を除去することなく、新鮮な血管断片を注意深くリンスして、スーパーオキシド、導入遺伝子発現、および組織学的解析のためにさらに処理する。標準的な組織病理学的方法によって実施した、染色しかつ免疫染色した血管断片において、コンピューターによる形態計測によって、静脈移植片の肥厚、内皮細胞の完全性および炎症性浸潤を定量する(Cotran RS, Kumar V, Robbins SL.Robbins Pathologic Basis of Disease.Philadelphia, Pa;WB Saunders Co;1994)。
実施例4
合成移植片実験
動物
ニュージランドホワイト種のウサギを、正常な食餌またはアテローム生成的な食餌で、水は自由に与えて飼育した。外科手術のための麻酔は、0.25ml/kg(フェンタニル0.315mg/mL、フルアノシン10mg/mLの混合物、Hypnorm(登録商標)、Janssen)皮下注射、および0.25ml/kg筋肉内注射(ミダゾラム5mg/ml, Dormicum(登録商標), Roche)の組み合わせを用いて導入する。全ての手順は、施設の倫理委員会で承認される。腎臓下大動脈部分を露出させて、合成の血管移植片を、端と端が接する方式で移植した。周囲の組織を、EC-SODまたは対照ベクターを用いてトランスフェクトする。この手順後種々の時点で、過量の麻酔剤によって、この動物を殺傷する。
回収および解析
外科手術後、予め決定された時点で、移植された血管断片を回収する。動物を麻酔して、血管を摘出する。存在する血栓を除去することなく、新鮮な血管断片を注意深くリンスして、スーパーオキシド、導入遺伝子発現、および組織学的解析のためにさらに処理する。標準的な組織病理学的方法によって実施した、染色しかつ免疫染色した血管断片において、コンピューターによる形態計測によって、新生内膜形成、内皮細胞の完全性および炎症性浸潤を定量する(Cotran RS, Kumar V, Robbins SL.Robbins Pathologic Basis of Disease.Philadelphia, Pa;WB Saunders Co;1994)。
実施例5
人工補綴物インプラント実験
本実施例は、VEGFプラスミドを投与した場合の、フィブロネクチンのプレコーティングの有無による心臓弁表面でのより速い内皮形成を示す。インプラントの毛細管形成の増大もまた注目された。
方法
医療インプラントにおける使用のために用いられるかまたはその使用が意図される人工補綴物質を、滅菌生理食塩水(0.9%)中でリンスする。その後、この物質を滅菌条件下で2つの約1cm2の小片に分ける。
外科的手順および屠殺
Hypnorm(登録商標)(1部)、Dormicum(登録商標)(1部)および2部の滅菌水(0.33ml/ラットの体重100g)の混合物を腹腔内投与して動物を麻酔する。腹部を剃毛して切開する。2mLのブピバカインを創傷領域に投与する。この物質を、連続性の5-0のナイロンを用いて中線の両側で腹膜に縫い付ける。各々の小片を、連続する5-0の単線繊維の縫合糸を用いてこの壁に別々に取り付ける。第一の半分の周囲にある組織をEC-SODを用いてトランスフェクトして、第二の半分を囲む組織を対照(LacZ)ベクターを用いてトランスフェクトする。腹部を3-0で層を成して閉鎖する。インプラント物質の小片を有する腹壁を外植した後、麻酔によって動物を屠殺する。
解析
あらゆる小片を中央で分割する。この物質の半分を、2%パラホルムアルデヒド/2%グルタルアルデヒド中での保存後に電子顕微鏡に入れる。第二の半分を、4%ホルマリン中での保存後に光学顕微鏡で検査して、内皮、平滑筋細胞、結合組織特異的および炎症性細胞のマーカーを用いて免疫染色する。毛細管の内皮形成および結合組織形成についてコンピューター補助による形態計測によってこの組織応答を定量する。
元来の倍率20×(上部パネル)および10×(下部パネル)での、正常な血管切片(上部パネル)、ならびに既存のアテローム硬化性病変(下部パネル)、H&E(上部パネル)およびマッソントリクローム(下部パネル)を有する切片における、EC-SOD処理(左側)と対照動物(右側)での新生内膜形成の比較。EC-SOD処理した動物に移植された装置は、改善された生体適合性を示した。インプラントに対する望ましくない宿主応答は低下し、良好な治癒を示す保護的な内皮細胞層の回復が加速された。内皮細胞についてPECAMで免疫された大動脈部分は、EC-SOD群では、4週で内皮の90.1±11.5%の内皮細胞の回復を示したが、一方、LacZ対照群では、内皮細胞の回復は35.6±9.4%(P<0.05)と測定された。 EC-SODインサートを有するAdBglIIのプラスミドチャート。

Claims (39)

  1. 生体適合性培地中に存在するコアおよび核酸を含み、哺乳動物の体内に導入された場合、血液、体液、および/または組織との少なくとも部分的な接触に関して、改善された生物学的特性を有する医療装置であって、
    該核酸が、該コアの少なくとも1つの合成表面上においてインビボで少なくとも部分的に、過形成性結合組織もしくは線維筋の形成を阻害すること、炎症を阻害すること、および/または内皮形成を促進することが可能な、細胞外スーパーオキシドジスムターゼ(EC-SOD)タンパク質の産生をもたらすことが可能な、翻訳産物または転写産物をコードする、医療装置。
  2. 生体適合性培地中に存在するコアおよびEC-SODタンパク質を含み、哺乳動物の体内に導入された場合、血液、体液、および/または組織との少なくとも部分的な接触に関して、改善された生物学的特徴を有する医療装置であって、
    該EC-SODタンパク質が、該コアの少なくとも1つの合成表面上においてインビボで少なくとも部分的に、過形成性結合組織形成を阻害すること、炎症を阻害すること、および/または内皮形成を促進することが可能である、医療装置。
  3. 核酸が生体適合性培地中に裸の形態で存在する、請求項1記載の装置。
  4. 核酸が、レトロウイルス、センダイウイルス、アデノ随伴ウイルス、およびアデノウイルスからなる群より選択されるウイルスベクターに導入されている、請求項1記載の装置。
  5. 核酸がリポソームに存在する、請求項1記載の装置。
  6. 生体適合性培地が、生体安定性ポリマー、生体吸収性ポリマー、生体分子、ヒドロゲルポリマーまたはフィブリンである、請求項1〜5のいずれか一項に記載の装置。
  7. コアとは別の容器に核酸を含み、哺乳動物の体内へ該核酸を連続的に輸送することが可能な、請求項1記載の装置。
  8. 核酸がイオン結合または共有結合によってコアに結合されている、請求項1〜7のいずれか一項に記載の装置。
  9. 合成表面が無孔性である、請求項1〜8のいずれか一項に記載の装置。
  10. 合成表面が多孔性であって、孔を通して毛細管および内皮細胞の増殖を可能にする、請求項1〜9のいずれか一項に記載の装置。
  11. 心血管インプラントである、請求項1〜10のいずれか一項に記載の装置。
  12. 血管移植片である、請求項1〜11のいずれか一項に記載の装置。
  13. 血管内インプラントである、請求項1〜12のいずれか一項に記載の装置。
  14. ステントである、請求項13記載の装置。
  15. ステント移植片である、請求項13記載の装置。
  16. 移植片連結物質である、請求項1〜11のいずれか一項に記載の装置。
  17. 組織インプラントである、請求項1〜11のいずれか一項に記載の装置。
  18. バイオンセンサーである、請求項1〜11のいずれか一項に記載の装置。
  19. 血液、体液、および/または組織と少なくとも部分的に接触する、少なくとも1つの合成表面を含む装置を哺乳動物の体内に導入する工程、ならびに生体適合性培地中に存在する核酸を、該装置周辺に投与する工程を含む、合成表面を用いて哺乳動物の体の生体適合性を改善する方法であって、該核酸が、該合成表面上においてインビボで少なくとも部分的に、EC-SOD産生および過形成性結合組織増殖の阻害を増大すること、炎症を阻害すること、ならびに/または内皮形成を促進することが可能な、翻訳産物または転写産物をコードし、該核酸の投与が該装置の該体内への導入の前、同時、または後に行なわれる、方法。
  20. 核酸が裸の形態で投与される、請求項17記載の装置。
  21. 核酸が、レトロウイルス、センダイウイルス、アデノ随伴ウイルス、およびアデノウイルスからなる群より選択されるウイルスベクター中で投与される、請求項17記載の方法。
  22. 核酸がリポソーム中で投与される、請求項17記載の方法。
  23. 哺乳動物の体内に装置を導入する前、間、または後に、核酸が該哺乳動物に全身投与される、請求項17〜22のいずれか一項に記載の方法。
  24. 哺乳動物の体内に装置を導入する前、間、または後に、核酸が該装置周辺に投与される、請求項17〜22のいずれか一項に記載の方法。
  25. 哺乳動物の体内に装置を導入する前に、核酸が該装置に投与される、請求項17〜22のいずれか一項に記載の方法。
  26. 核酸がイオン結合または共有結合によってコアに結合されている、請求項24記載の方法。
  27. 生体適合性培地が、生体安定性ポリマー、生体吸収性ポリマー、生体分子、ヒドロゲルポリマーまたはフィブリンである、請求項17〜24のいずれか一項に記載の方法。
  28. 核酸を投与する工程が少なくとも1回繰り返される、請求項17〜26のいずれか一項に記載の方法。
  29. 哺乳動物の体がヒトの体である、請求項17〜27のいずれか一項に記載の方法。
  30. 装置が、心血管手術において用いられるインプラントである、請求項17〜28のいずれか一項に記載の方法。
  31. 装置が体の一部を置換する、請求項17〜29のいずれか一項に記載の方法。
  32. 装置が血管内インプラントである、請求項17〜29のいずれか一項に記載の方法。
  33. 装置が組織インプラントである、請求項17〜28のいずれか一項に記載の方法。
  34. 装置がバイオセンサーである、請求項17〜28のいずれか一項に記載の方法。
  35. 合成材料の少なくとも1つの表面を含むコアを提供する工程;ならびに生体適合性培地において核酸を提供する工程を含み、哺乳動物の体内に導入された場合、血液、体液および/または組織との少なくとも部分的な接触に関して、改善された生物学的特性を有する医療装置を製造する方法であって、該核酸が、該コアの少なくとも1つの表面において、インビボで少なくとも部分的に、過形成性結合組織増殖を阻害すること、炎症を阻害すること、および/または内皮形成を促進することが可能な、SOD産生を増大可能である、翻訳産物または転写産物をコードする、方法。
  36. 核酸がイオン結合または共有結合によってコアに結合されている、請求項34記載の方法。
  37. 核酸がコアとは別の容器において提供され、哺乳動物の体内への導入後に該コア周囲に該核酸を少なくとも1回加えることができる、請求項34記載の方法。
  38. 医療装置の合成表面の生物学的特性を改善するためのEC-SODをコードする核酸の使用であって、該核酸が、生体適合性培地中で、溶液またはゲル形態で該表面と接触され、これによって該合成表面上において、インビボで少なくとも部分的に、過形成性結合組織増殖を阻害すること、炎症を阻害すること、および/または内皮形成を促進することが可能になる、使用。
  39. 医療装置の合成表面の生物学的特性を改善するためのEC-SODタンパク質の使用であって、該タンパク質が、生体適合性培地中で、溶液またはゲル形態で該表面と接触され、これによって該合成表面上において、インビボで少なくとも部分的に、過形成性結合組織増殖を阻害すること、炎症を阻害すること、および/または内皮形成を促進することが可能になる、使用。
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