JP2006501166A - 異種前立腺タンパク質p501sを含む免疫原性組成物 - Google Patents

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Abstract

本発明は、腫瘍関連抗原に対する免疫反応を誘導するための医薬/免疫原性組成物および方法に関する。特に、本発明は、非ヒト前立腺特異的抗原、より厳密には、前立腺癌ワクチン療法における異種抗原としておよびヒトにおける前立腺腫瘍の診断薬として使用され得る非ヒト前立腺特異的P501S、それらを含む免疫原性組成物、このような組成物の製造方法、ならびに薬剤におけるそれらの使用に関する。P501S発現前立腺腫瘍、前立腺肥大および前立腺上皮内腫瘍(PIN)を免疫療法的に治療するためのワクチンを製剤する方法も提供する。

Description

本発明は、免疫原性組成物、および腫瘍関連抗原に対する免疫反応を誘導する方法に関する。特に、本発明は、ヒトにおいて前立腺指向性免疫を誘導するための異種抗原として使用され得る非ヒト前立腺特異的抗原、それらを含む医薬組成物、このような組成物の製造方法、ならびに薬剤におけるそれらの使用に関する。特に、本発明の組成物は、非ヒト供給源に由来する、P501Sとして知られている前立腺特異的タンパク質を含む。このような組成物は、癌ワクチン療法、特に前立腺癌ワクチン療法、および前立腺腫瘍のための診断薬において有用である。本発明はまた、前立腺癌患者、前立腺腫瘍以外のP501S発現腫瘍、前立腺肥大、および前立腺上皮内腫瘍(PIN)を免疫療法的に治療するためのワクチンを製剤する方法も提供する。
前立腺癌は、男性に最もよくある癌であり、50歳を超える男性における推定発症率は30%である。確かな臨床的証拠から、ヒト前立腺癌は骨に転移する傾向があることが示されており、この疾患がアンドロゲン依存状態からアンドロゲン不応状態へと進行することは必至であって、それが患者の死亡率を高めていると思われる(Abbas F., Scardino P. "The Natural History of Clinical Prostate Carcinoma." Cancer (1997); 80:827-833に掲載)。この蔓延している疾患は、現在、米国の男性において癌死亡原因の第2位である。
この疾患の治療法についてはかなり研究されているにも関わらず、前立腺癌は、未だ治療が困難なままである。現在、治療は、手術および/または放射能療法に基づいているが、これらの方法はかなりの割合の症例で効果がない(Frydenberg M., Stricker P., Kaye K. "Prostate Cancer Diagnosis and Management" The Lancet (1997); 349:1681-1687)。いくつかの腫瘍関連抗原が既に知られている。これらの抗原の多くが、免疫療法のための興味深い標的であり得るが、完全には腫瘍特異性でないかまたは正常タンパク質と密接に関連しており、従って、強力な免疫反応の標的となった場合には器官特異的自己免疫の危険を抱えている。不可欠でない器官に対する自己免疫が許容される場合でも、心臓、腸およびその他の重要な器官に対する自己免疫が、許容できない安全プロファイルを生じるかもしれない。ワクチン製剤で使用された前立腺特異的抗原(PSA)および前立腺酸性ホスファターゼ(PAP)、前立腺特異的膜抗原(PSMA)、ならびに前立腺幹細胞抗原(PSCA)等の、既に同定されているいくつかの前立腺特異的タンパク質は、これまで限界のある治療可能性しか示してきていないが(Pound C., Partin A., Eisenberg M.ら, "Natural History of Progression after PSA Elevation following Radical Prostatectomy." Jama (1999); 281:1591-1597に掲載)(Bostwick D., Pacelli A., Blute M.ら "Prostate Specific Membrane Antigen Expression in Prostatic Intraepithelial Neoplasia and Adenocarcinoma." Cancer (1998); 82:2256-2261に掲載))、この限界は、自己性質(self nature)による比較的乏しい免疫原性によるものか、または乏しい前立腺および腫瘍特異性によるものであり得る。
腫瘍拒絶のメカニズムの存在は、数十年前から認識されている。生物のゲノムによりコードされ、従って免疫寛容現象により理論上は免疫系に認識されない腫瘍抗原は、癌患者において検出可能な免疫反応を時には誘導することができる。これは、腫瘍によって発現した抗原に対する抗体またはT細胞反応によって証明されている(Xue BH., Zhang Y., Sosman J.ら "Induction of Human Cytotoxic T-Lymphocytes Specific for Prostate-Specific Antigen." Prostate (1997); 30(2):73-78に掲載)。腫瘍細胞の細胞表面マーカーを認識する抗体の投与によって比較的弱い抗腫瘍効果が認められる場合、腫瘍細胞により発現される抗原に対する強力なT細胞反応の誘導により、動物モデル(主にマウス)において確立した腫瘍の完全な退縮が生じ得る。
細胞による腫瘍抗原の発現は、これらの抗原に対する免疫反応を誘導するのに十分でないと今では認識されている。腫瘍拒絶反応の開始には、一連の活性化シグナルの送達を担う抗原提示細胞の介入に依存する一連の免疫増幅現象が必要とされる。
ヒトP501Sは、細胞表面受容体と相互作用する膜タンパク質である。これは、タンパク質の全長に及び存在する9〜11の膜貫通領域を有するIIIa型形質膜タンパク質であると予測される。P501Sは、ホウレンソウショ糖結合タンパク質とある程度の相同性を共有する(Riesmeier JW, Willmitzer L, Frommer WB, 1992, EMBO J 11, 4705-13)。ヒトP501S(WO 98/37418に記載)、ならびにそのC末端断片PS108(WO 98/50567に記載)およびY54369(WO 99/67384に記載)は、前立腺組織疾患または症状、特に前立腺癌に関連するヒト前立腺特異的抗原である。その発現は、正常および腫瘍前立腺組織、ならびに一部の乳房(breast)転移に認められる(WO 00/61756)。
P501Sヌクレオチド配列および推定ポリペプチド配列、ならびにそれらの断片はWO 98/37418に開示されている。連続的および部分的に重複しているcDNA断片およびそれにコードされるポリペプチドも記載されており(WO 98/50567)、具体的には255アミノ酸の長さのC末端断片である。WO 99/67384に記載されている231アミノ酸の長さのポリペプチドは、潜在的な膜貫通ドメイン、2つの潜在的なカゼインキナーゼIIリン酸化部位、1つの潜在的なタンパク質キナーゼCリン酸部位、および潜在的な細胞接着配列を含むことが報告されている。
P501Sは、「自己免疫」反応(CD8+細胞傷害性Tリンパ球(CTL)応答を含む)を誘導するのが難しいと思われているヒト「自己抗原」ファミリーのメンバーであることが記載されている。従って、P501Sを対象とした効率的なワクチン戦略は、自己タンパク質に対する免疫寛容を克服する方法の開発を必要とする。
本発明は、ヒト悪性腫瘍、より具体的にはヒト前立腺癌の効率的な抗原特異的免疫療法に関する。異種(非ヒト)供給源に由来する抗原で免疫化したヒトは、交差反応性抗体および/またはT細胞の生成を介して、ヒト抗原対応物に対して有効な免疫反応を増大させることができるという驚くべき発見を本発明は利用する。このようなアプローチは、ヒト前立腺自己抗原を利用した古典的な免疫療法を上回る利点を有する。というのも、これらの抗原はヒト身体にとって寛容であり、従って抗原に対して免疫反応を生じにくいからである(Fongら, J. Immunol., 1997, 156:3313-3117;Fongら, J. Immunol., 2001, 167:7150-7156)。
従って、本発明は、異種P501Sポリペプチドもしくは異種P501Sコードポリヌクレオチド、またはそれらの免疫原性断片;および製薬上許容される担体、を含む医薬/免疫原性組成物を提供する。異種P501Sポリペプチドは、配列番号1または配列番号3または配列番号10からなる群より選択され、異種P501Sをコードするポリヌクレオチドは、配列番号2または配列番号4または配列番号11からなる群より選択されることが好ましい。その組成物は、TH-1アジュバントを含むことが好ましい。
本発明は、異種P501Sポリペプチドもしくはその免疫原性断片をin vitroで搭載することにより改変されているか、または異種P501Sポリペプチドを発現するようにin vitroで遺伝的に改変された有効量の抗原提示細胞、および製薬上有効な担体を含む免疫原性組成物も提供する。
別の実施形態では、本発明は、配列番号1の全長にわたる配列番号1のアミノ酸配列に対して少なくとも92%の同一性を有するアミノ酸配列を含む単離ポリペプチド;該ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、および該ポリヌクレオチドを含む発現ベクターまたは組換え生存微生物に関する。
異種P501Sポリペプチドまたは異種P501Sコードポリヌクレオチドを、適切なアジュバント、希釈剤、または他の製薬上許容される担体と混合することを含む、本明細書に記載された免疫原性組成物の製造方法も提供する。
本発明は、異種P501S抗原の精製方法、およびP501Sを発現している前立腺腫瘍、前立腺肥大、および前立腺上皮内腫瘍(PIN)を免疫療法的に治療するための免疫原性組成物の製剤方法も提供する。
本発明は、異種P501S抗原を含む、医学における使用およびより具体的には前立腺腫瘍の治療における使用に適した医薬/免疫原性組成物およびワクチン組成物も提供する。特に、本発明は、ヒトP501S抗原の異種形態として使用されて、ヒトにおいて前立腺標的化免疫を誘導し得るマウス、ラットおよびサルP501Sに関する。
本発明は、前立腺癌または他のP501S関連腫瘍もしくは疾患を患っているか、またはそれに罹患し易い患者を免疫療法的に治療するためのワクチンの製造における本明細書に記載のポリペプチドまたはポリヌクレオチドの使用にさらに関する。
別の実施形態では、本発明は、上記ヒトP501Sの異種形態を含む有効用量の医薬組成物または免疫原性組成物を被験体に投与することを含む、ヒトにおいてヒトP501Sに対する免疫反応を誘導する方法にも関する。この組成物は、抗原搭載樹状細胞を介して上記異種抗原を発現する生存ウイルス発現系またはプラスミドベクターを含むことが好ましい。
発明の詳細な説明
異種形態の抗原とは、参照抗原として機能するが異なる非ヒト種に由来する、ヒト抗原(自己(autologous)抗原とも称する)に対して実質的な配列同一性を有する抗原を指す。これに関連して、実質的な同一性とは、当該分野で公知の任意の配列アライメントタンパク質数で配列が最適合アライメントで配列された際の、アミノ酸配列と別のアミノ酸配列との一致、またはポリヌクレオチド配列と別のポリペプチド配列との一致を指す。実質的な同一性とは、比較する配列間の少なくとも70〜98%、好ましくは少なくとも85〜95%の配列同一性を意味する。従って、本発明によれば、異種P501Sとは、ヒトP501Sにとって異種である、つまり、ヒト以外の種から単離されたP501Sポリペプチドである。好適な実施形態では、ポリペプチドは、マウス、ラットまたはカニクイザル(マカカ・ファシクラリス(maccaca fascicularis))から単離される。より好適な実施形態では、P501Sポリペプチドは、配列番号1(ラット)、配列番号3(カニクイザル)、または配列番号10(マウス)に示す配列を有する。単離された異種P501Sポリペプチドは、全般的に実質的な配列類似性を共有し、配列番号1、配列番号3および配列番号10のそれぞれの全長にわたり、配列番号1、配列番号3および配列番号10のアミノ酸配列に対して少なくとも70%の同一性、好ましくは少なくとも80%の同一性、より好ましくは少なくとも90%の同一性、さらにより好ましくは少なくとも95%の同一性、最も好ましくは少なくとも97〜99%の同一性を有するアミノ酸配列を含む単離ポリペプチドを包含する。従って、ポリペプチドは、配列番号1、配列番号3または配列番号10のポリペプチドの免疫原性断片(この免疫原性断片の免疫原性活性は、配列番号1、配列番号3および配列番号10のポリペプチドのそれぞれの免疫原性活性と実質的に同じである)を含む。配列番号1に示すポリペプチド配列、および配列番号2に示すポリヌクレオチド配列は新規であり、本発明の一部をなす。特に、本発明は、配列番号1の全長にわたり配列番号1のアミノ酸配列に対して少なくとも90%、好ましくは少なくとも92%の同一性を有するアミノ酸配列を含む単離ポリペプチドを提供する。単離ポリペプチドアミノ酸配列は、配列番号1に対して少なくとも95%の同一性を有することが好ましい。ポリペプチドは、配列番号1のアミノ酸配列を含むことがさらにより好ましい。最も好ましいのは、ポリペプチドが、配列番号1の単離ポリペプチドであることである。
さらに、本発明のポリペプチドは、配列番号1、配列番号3または配列番号10に示すアミノ酸配列から選択される、少なくとも約20個連続したアミノ酸の断片、好ましくは約30個、より好ましくは約50個、さらにより好ましくは約100個、最も好ましくは約150個連続したアミノ酸の断片であり得る。より具体的には、断片は、配列番号1、配列番号3または配列番号10に示したより大きい分子のいくつかの機能的性質、好ましくは免疫学的活性を保持し、また本明細書に記載する方法において(例えば、医薬組成物、免疫原性組成物およびワクチン組成物において、診断において、等)有用である。特に、断片は、配列番号5(Corixa WO 98/37418)、配列番号6(Abbott WO 98/50567)、および配列番号7(Incyte WO 99/67384)のいずれかに示すP501Sの自己ヒト形態と反応する交差反応性抗体の生成などのように、ヒト対応物に対して免疫反応を生成できる。
一実施形態では、本発明のポリペプチドは、腫瘍関連異種P501Sまたはその断片、および異種タンパク質、または融合パートナーとして作用するタンパク質の一部を含むより大きな融合体の一部であり得る。タンパク質および融合パートナーは、化学的に結合され得るが、異種発現系において組換え融合タンパク質として発現されることが好ましい。本発明の好適な実施形態では、追加のTヘルパーエピトープを供給し、それにより自己抗原への寛容を破壊するのをさらに援助する、免疫学的融合パートナーに連結した異種P501S融合タンパク質を提供する。従って、融合パートナーは、外来タンパク質またはペプチドに特異的な多数のT細胞による活性化シグナルの分泌につながる第三者ヘルパー作用を通じて作用し、それにより、非融合異種タンパク質と比べてP501S成分に対する免疫の誘導を増強し得る。異種パートナーは、大部分のヒトにおいてT細胞によって認識可能となるように選択する。
別の実施形態では、本発明は、発現エンハンサーとして作用する融合パートナーに連結した、異種P501Sタンパク質、またはその断片もしくは相同体を提供する。従って、融合パートナーは、異種系におけるP501Sの発現を促すのを補助し、その結果、本来型の組換え型タンパク質と比較して発現系において高いレベルを生成し得る。
融合パートナーは、免疫学的融合パートナーかつ発現エンハンサーパートナーの両方であって、そのため、発現を促し、自己抗原に対する寛容を破壊するのを補助することが好ましい。従って、この実施形態において本発明は、融合パートナーに連結した、腫瘍特異的P501Sまたはその断片を含む融合タンパク質を提供する。その融合パートナーは、免疫学的融合パートナーとしても、発現エンハンサーパートナーとしても、両方作用することが好ましい。従って、本発明の好適な形態では、融合パートナーは、インフルエンザウイルス由来の非構造タンパク質NS1(血球凝集素)、またはその断片である。典型的には、N末端の81個のアミノ酸を利用するが、Tヘルパーエピトープを含むという条件で異なる断片も使用され得る(C. Hackett, D. Horowitz, M. WysockaおよびS. Dillon, 1992, J. Gen. Virology, 73, 1339-1343)。NS1が免疫学的融合パートナーである場合、より高い発現量が達成されるというさらなる利点を有する。特に、このような融合は、本来型の組換えP501Sタンパク質よりも高収量で発現される。本発明の別の好適な形態では、免疫学的融合パートナーは、タンパク質D(グラム陰性細菌B型インフルエンザ菌の表面タンパク質)から誘導される(WO91/18926)。タンパク質D誘導体は、タンパク質の最初のおよそ1/3、特にN末端の最初のおよそ100〜110のアミノ酸を含むことが好ましい。タンパク質D誘導体は、脂質化されていることが好ましい。リポタンパク質D融合パートナーの最初の109残基は、N末端上に含まれていて、ワクチン候補抗原に追加の外来性T細胞エピトープを供給し、また大腸菌における発現レベルを高める(つまり発現エンハンサーとしても作用する)ことが好ましい。脂質テイルは、抗原提示細胞への抗原の最適な提示を確実にする。別の実施形態では、免疫学的融合パートナーは、LYTAとして知られるタンパク質である。その分子のC末端部分を使用することが好ましい。Lytaは、ペプチドグリカン骨格における特定の結合を特異的に分解する自己溶解素である(lytA遺伝子{Gene, 43 (1986) 265-272頁}にコードされる)N-アセチル-L-アラニンアミダーゼであるアミダーゼLYTAを合成するストレプトコッカス・ニューモニエ(Streptococcus pneumoniae)から誘導される。LYTAタンパク質のC末端ドメインは、コリンまたは一部のコリン類似体(DEAE等)に対する親和性を担っている。この性質は、融合タンパク質の発現のために有用な大腸菌C-LYTA発現プラスミドの開発のために利用されてきた。アミノ末端においてC-LYTA断片を含むハイブリッドタンパク質の精製が記載されている(Biotechnology: 1992, 10, 795-798)。本明細書で使用するように、好適な実施形態は、C末端中に認められる、残基178から開始するLyta分子の反復部分を利用する。特に好適な形態は、残基188〜305を組み込む。別の好適な実施形態では、免疫学的融合パートナーは、ヒト結核菌(Mycobacterium tuberculosis)由来型Ra12断片等のミコバクテリウム種から誘導される。Ra12は、ヒト結核菌MTB32A核酸の部分配列であるポリヌクレオチド領域を指す。MTB32Aは、ヒト結核菌の毒性および無毒性株中の遺伝子にコードされる、32 KD分子量のセリンプロテアーゼである。MTB32Aのヌクレオチド配列およびアミノ酸配列は記載されている(例えば、Skeikyら, Infection and Immun. 1999, 67:3998-4007)。MTB32Aコード配列のC末端断片は、高レベルで発現し、精製プロセスを通じて可溶性ポリペプチドのままである。さらに、Ra12は、それを融合させる異種免疫原性ポリペプチドの免疫原性を増強し得る。好ましいRa12融合ポリペプチドの1つは、MTB32Aのアミノ酸残基192〜323に対応する14 KDC末端断片を含む。他の好ましいRa12ポリヌクレオチドは、通常、Ra12ポリペプチドの一部をコードする少なくとも約15個連続したヌクレオチド、少なくとも約30ヌクレオチド、少なくとも約60ヌクレオチド、少なくとも約100ヌクレオチド、少なくとも約200ヌクレオチド、または少なくとも約300ヌクレオチドを含む。Ra12ポリヌクレオチドは、天然型配列(すなわち、Ra12ポリペプチドもしくはその一部をコードする内因性配列)、またはそのような配列の変異型を含み得る。Ra12ポリヌクレオチド変異型は、天然型Ra12ポリペプチドを含む融合タンパク質と比べて、コードされる融合ポリペプチドの生物学的活性が実質的に損なわれないような1つ以上の置換、付加、欠失および/または挿入を含み得る。
本発明のタンパク質は、適切な宿主細胞、好ましくは大腸菌または酵母(ピキア・パストリス(Pichia pastoris)またはサッカロミセス・セレビシエなど)において発現される。好適な実施形態では、タンパク質は、親和性タグ(例えば、5〜9個、好ましくは6個のヒスチジン残基、最も好ましくは少なくとも4個のヒスチジン残基を含むヒスチジンテイル等)とともに発現される。これらは、例えばイオン金属アフィニティークロマトグラフィー(IMAC)により精製を助ける上で利点を有する。
本発明のタンパク質は、液体形態または凍結乾燥形態(好ましい形態)のいずれかで可溶性で提供される。各ヒト用量は、1〜1000μgのタンパク質、好ましくは30〜300μgのタンパク質を含むことが通常予測される。
本発明は、本発明のタンパク質をコードする核酸も提供する。好適な実施形態では、異種P501Sポリヌクレオチドは、配列番号2(ラット)、配列番号4(カニクイザル)、または配列番号11(マウス)に示す配列を有する。本発明の単離された異種P501Sポリヌクレオチドは、一本鎖(コードもしくはアンチセンス)であっても二本鎖であってもよく、DNA分子(ゲノム、cDNAもしくは合成)であってもRNA分子であってもよい。さらなるコードまたは非コード配列が、本発明のポリヌクレオチドに存在してもよい(必須ではない)。他の関連する実施形態では、本発明は、本明細書に開示する配列番号2、配列番号4または配列番号11に記載の配列に対して実質的な同一性を有するポリヌクレオチド変異型、例えば、本明細書に記載する方法(例えば、標準的パラメータを使用したBLAST分析)を使用して本発明のポリヌクレオチド配列と比較した場合に、少なくとも70%の配列同一性、好ましくは少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%または99%以上の配列同一性を有するものを提供する。関連する実施形態では、本発明の単離ポリヌクレオチドは、配列番号1、配列番号3もしくは配列番号10のそれぞれの全長にわたり、配列番号1、配列番号3もしくは配列番号10のアミノ酸配列に対して少なくとも90%、好ましくは95%以上の同一性を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含み;または該単離ポリヌクレオチドに相補的なヌクレオチド配列を含む。
このような配列は、適切な発現ベクターに挿入して、DNA/RNAワクチン接種のために使用するか、または適切な宿主において発現させることができる。本発明の単離ポリヌクレオチド配列を含む発現ベクター、および適切な宿主も本発明の一部をなす。さらなる実施形態では、本発明のポリヌクレオチドを1つ以上含む遺伝子構築物が、in vivoで細胞に導入される。これは、様々なまたは周知のアプローチのいずれかを使用して達成され得る。1つ以上の核酸配列をin vivo送達する好適な方法の1つは、組換え生存ウイルスまたは細菌微生物等の発現ベクターの使用を伴う。適切なウイルス発現ベクターは、例えば、ポックスウイルス(例えば、ワクシニア、鶏痘、カナリア痘)、αウイルス(シンドビスウイルス、セムリキ森林熱ウイルス、ベネズエラウマ脳炎ウイルス)、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス、ピコルナウイルス(ポリオウイルス、ライノウイルス)、およびヘルペスウイルス(水疱瘡ウイルス等)である。1つ以上の核酸配列をin vivo送達するための他の好ましい方法は、リステリア、サルモネラ、シゲラおよびBCG等の細菌発現ベクターの使用を伴う。この生存ベクターの接種およびin vivo感染により、抗原のin vivo発現および免疫反応の誘導が生じる。これらのウイルスおよび細菌は、生存ワクチンを得るために、毒性であっても、様々な手法で弱毒化されてもよい。このような生存ワクチンも、本発明の一部をなす。
核酸ベクターを含む本発明の抗原を免疫賦活剤と共に使用することは、本発明の一実施形態である。免疫賦活剤は、本発明の抗原と同時に投与されることが好ましく、好適な実施形態では一緒に製剤化される。このような免疫賦活剤としては、以下のものが挙げられるがこれらに限定されない:すなわち、合成イミダゾキノリン(イミキモド(imiquimod)[S-26308、R-837](Harrisonら, Vaccine 19: 1820-1826, 2001);レジキモド(resiquimod)[S-28463、R-848](Vasilakosら, Cellular immunology 204: 64-74, 2000)等);抗原提示細胞およびT細胞表面上で構成的に発現されるカルボニルおよびアミンのシッフ塩基(ツカレソル(tucaresol)(Rhodes, J.ら, Nature 377: 71-75, 1995)等)、サイトカイン、ケモカイン、およびタンパク質またはペプチドである共刺激分子(例えば、インターフェロン、GM-CSF、IF-1α、IL-1β、TGF-αおよびTGF-β等の前炎症性サイトカイン、Th1インデューサー(インターフェロンγ、IL-2、IL-12、IL-15、IL-18およびIL-21等)、Th2インデューサー(IL-4、IL-5、IL-6、IL-10およびIL-13等)、ならびに他のケモカインおよび共刺激遺伝子(MCP-1、MIP-1α、MIP-1β、RANTES、TCA-3、CD80、CD86およびCD40L等)、他の免疫賦活性標的リガンド(CTLA-4およびL-セレクチン等)、アポトーシス刺激タンパク質およびペプチド(Fas等)(49)、合成脂質ベースアジュバント(ヴァクスフェクチン(vaxfectin)、(Reyesら, Vaccine 19:3778-3786, 2001)、スクアレン、αトコフェロール、ポリソルベート80、DOPCおよびコレステロール等)、エンドトキシン、[LPS]、(Beutler, B., Current Opinion in Microbiology 3:23-30, 2000);CpGオリゴ-およびジ-ヌクレオチド(Sato, Y.ら, Science 273 (5273): 352-354, 1996;Hemmi, H.ら, Nature 408: 740-745, 2000)、ならびにToll受容体を誘導してTh1誘導性サイトカインを生成させるその他の可能性のあるリガンド(合成ミコバクテリアリポタンパク質、ミコバクテリアタンパク質p19、ペプチドグリカン、テイコ酸、およびリピドA等)。
他の適切なアジュバントとしては、CT(コレラ毒素、サブユニットAおよびB)、ならびにLT(大腸菌由来の熱不安定性エンテロトキシン、サブユニットAおよびB)、熱ショックタンパク質ファミリー(HSP)、ならびにLLO(リステリオリシンO;WO 01/72329)が挙げられる。
当業者には理解されるように、一部の例においては、非天然型コドンを有するポリペプチドコードヌクレオチド配列を作製することが有利であり得る。DNAコードは4つの文字(A、T、CおよびG)を有し、これらの文字を使用して、生物の遺伝子にコードされるタンパク質のアミノ酸を表す3文字の「コドン」を綴る。DNA分子に沿ったコドンの線状配列は、これらの遺伝子によりコードされるタンパク質のアミノ酸の線状配列に翻訳される。そのコードは、高度に縮重しており、61のコドンで、20の天然アミノ酸および「停止」シグナルを表す3つのコドンをコードする。従って、ほとんどのアミノ酸は、2以上のコドンによりコードされる。実際、いくつかは4つ以上の異なるコドンによりコードされている。
所与のアミノ酸をコードするのに2つ以上のコドンが利用可能な場合、生物のコドン使用パターンは、高度に非ランダムであることが観察されている。様々な種が、そのコドン選択において様々な偏りを示し、さらに、コドンの利用性は、高レベルおよび低レベルで発現される遺伝子間では単一種内でも著しく異なり得る。この偏りは、ウイルス、植物、細菌および哺乳動物細胞において異なり、一部の種は、その他のものと比べてランダムなコドン選択からはかけ離れた強い偏りを示す。例えば、ヒトおよび他の哺乳動物は、特定の細菌またはウイルスと比べてそれほど強い偏りはない。これらの理由のため、大腸菌で発現される哺乳動物遺伝子、または哺乳動物細胞において発現されるウイルス遺伝子は、効率的な発現のために不適切なコドン分布を有する公算が著しく高い。発現が起こる宿主においてほとんど観察されない異種DNA配列におけるコドンのクラスターの存在は、その宿主における異種発現レベルが低いことを予測させる。
その結果、特定の原核生物(例えば、大腸菌もしくは酵母)または真核生物宿主に好まれるコドンを最適化し、つまり、タンパク質発現率を高めるように選択して、所望の性質(例えば、天然配列から生成される転写産物よりも長い半減期)を有する組換えRNA転写産物を作製するか、またはヒトにおける免疫反応を最適化してもよい。コドン最適化のプロセスには、手作業でまたはコンピュータソフトウェアのいずれかで作製し、天然配列の一部または全てのコドンを改変したあらゆる配列を含み得る。いくつかの方法が発表されている(Nakamuraら, Nucleic Acids Research 1996, 24:214-215;WO98/34640)。本発明による好適な方法の1つは、Calcgene方法の改変法であるSygene方法である(R.S. Haleおよび G Thompson (Protein Expression and Purification Vol. 12 pp. 185-188 (1988)))。このコドン最適化のプロセスは、以下の利点のいくつかまたは全てを有し得る:1)稀または低い頻度で使用されるコドンを、より頻繁に使用されるコドンに置き換えることにより、遺伝子産物の発現を改善させる、2)制限酵素部位を除去するかまたは含めて、下流でのクローニングを容易にする、3)DNAベクター中の挿入配列とゲノム配列との相同組換えの可能性を低くする、および4)ヒトにおける免疫反応を改善する。コドン最適化配列を作製するためのSynGeneプログラムにより使用したアルゴリズムの性質のおかげで、類似の機能を果たす極めて多数の様々なコドン最適化配列を作製することが可能である。簡単に言うと、統計的方法を使用してコドンを割り当て、高度に発現される大腸菌およびヒト遺伝子において通常認められるものと近いレベルのコドン頻度を有する合成遺伝子を得る。
本発明の組成物は、筋内、皮下、腹腔内、または静脈内等の多数の経路により送達され得る。
好適な実施形態では、組成物は、皮内送達される。具体的には、組成物は、ビーズ(例えば、金)にベクターを被覆し、これを高圧下で表皮に投与することを伴う遺伝子銃(特に粒子衝撃)投与技術により送達する;例えば、Haynesら, J Biotechnology 44: 37-42 (1996)に記載されている。
1つの例では、ガス駆動型(gas-driven)粒子加速は、Powderject Pharmaceuticals PLC(Oxford, UK)およびPowderject Vaccines Inc. (Madison, WI)により製造される装置等で得られる。これらのいくつかの例は、米国特許第5,846,796号;同第6,010,478号;同第5,865,796号;同第5,584,807号;および欧州特許第0500 799号に記載されている。このアプローチは、針を必要としない送達アプローチを提供し、これは、微粒子の乾燥粉末製剤(ポリヌクレオチド等)を、手持ち式装置により生成されるヘリウムガス噴流中で高速に加速させ、粒子を目的の標的組織(特に、皮膚)に推進させる。粒子は、0.4〜4.0μm、より好ましくは、直径0.6〜2.0μmの金ビーズであり、これらをDNAコンジュゲートで覆ってカートリッジまたはカセットに入れて「遺伝子銃」に入れる。
関連の実施形態では、本発明の組成物を針を使わずガス駆動型注入するのに有用であり得る他の装置および方法として、Bioject, Inc.(Portland, OR)が提供するものが挙げられている。そのいくつかの例は、米国特許第4,790,824号;同第5,064,413号;5,312,335号;同第5,383,851号;同第5,399,163号;同第5,520,639号;および同第5,993,412号に記載されている。
抗原性ペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む免疫原成分は、1回きりで投与するか、または繰返し(例えば、1〜7回、好ましくは1〜4回、約1日〜約18ヶ月の間隔で)投与することが可能である。しかし、この治療計画は、患者の大きさ、治療/予防されている疾患、ヌクレオチド配列の投与量、投与経路、および医師には明確なその他の要因に応じて、有意に異なる。
抗原性ペプチドをコードするヌクレオチド配列を含むベクターは、予防的にまたは治療的に有効な量で投与される。投与される量は、概して、1回用量当たり、1ピコグラム〜1ミリグラム、好ましくは粒子媒介送達のためには1ピコグラム〜10マイクログラム、そしてその他のヌクレオチド経路のためには10マイクログラム〜1ミリグラムである。正確な量は、免疫化する患者の体重および投与経路に応じて相当に異なり得る。
ネイキッドポリヌクレオチドまたはベクターを患者に導入するための適切な技術は、適切なビヒクルでの局部塗布も含む。核酸は、皮膚または粘膜表面に、例えば、鼻腔内、経口、膣内または直腸内投与により、局部的に塗布され得る。ネイキッドポリヌクレオチドまたはベクターは、リン酸緩衝化食塩水(PBS)等の製薬上許容される賦形剤と共に存在し得る。ブピバカイン等の促進剤を、DNA製剤とは別に、またはDNA製剤に含ませて使用することにより、DNA取り込みはさらに容易にされ得る。レシピエントに核酸を直接投与する他の方法としては、超音波、電気刺激、エレクトロポレーションおよび微小接種(microseeding)(US 5,697,901に記載)が挙げられる。
核酸構築物の取り込みは、いくつかの公知のトランスフェクション技術(例えば、トランスフェクション剤を使用することを含む技術)により向上され得る。これらの剤の例としては、陽イオン剤(例えば、リン酸カルシウムおよびDEAE-デキストラン)、ならびにリポフェクタント(例えば、リポフェクタムおよびトランスフェクタム)が挙げられる。投与する核酸の用量は変えられる。
別の実施形態では、患者は、「プライム・ブースト」療法計画において異なる形態の抗原を受ける。従って、例えば、抗原を、アジュバント添加したタンパク質製剤としてまず投与し、その後、DNAベースのワクチンとして投与する。この投与様式が好ましい。
別の実施形態では、DNAベースのワクチンをまず投与し、その後アジュバント添加したタンパク質ワクチンを投与する。さらに別の実施形態は、特化した送達ベクターにより、好ましくはウイルス系により、最も好ましくはアデノウイルスベースの系により、DNA構築物を送達することに関する。DNA送達の他の適切なウイルスベースの系としては、レトロウイルス、レンチウイルス、アデノ随伴ウイルス、ヘルペスウイルス、およびワクシニアウイルスベースの系が挙げられる。別の実施形態では、DNAベースのワクチン、およびアジュバント添加したタンパク質ワクチンを、隣接部位または重複部位に同時投与する。
本発明のタンパク質をコードするDNA配列は、標準的なDNA合成技術を使用して(D.M. Robertsら, Biochemistry 1985, 24, 5090-5098に記載されるような酵素的ライゲーション、化学合成、in vitro酵素的重合、もしくは例えば熱安定性ポリメラーゼを使用するPCR技術等により、またはこれらの技術の組合せにより)合成され得る。DNAの酵素的重合は、10℃〜37℃の温度で、通常50μl以下の容量にて、必要に応じてヌクレオシド三リン酸dATP、dCTP、dGTPおよびdTTPを含む適切なバッファー中で、DNAポリメラーゼI(クレノウ断片)等のDNAポリメラーゼを使用してin vitroで実施され得る。DNA断片の酵素的ライゲーションは、適切なバッファー(0.05M Tris(pH 7.4)、0.01M MgCl2、0.01Mジチオスレイトール、1 mMスペルミジン、1 mM ATPおよび0.1 mg/mlウシ血清アルブミン等)中で、T4 DNAリガーゼ等のDNAリガーゼを用いて、4℃〜周囲温度で、通常50 ml以下の容量で、実施され得る。DNAポリマーまたは断片の化学合成は、従来のホスホトリエステル、亜リン酸塩、またはホスホロアミダイト化学反応により、'Chemical and Enzymatic Synthesis of Gene Fragments-A Laboratory Manual'(H.G. GassenおよびA. Lang編), Verlag Chemie, Weinheim (1982)に、またはその他の化学文献(例えば、M.J. Gait, H.W.D. Matthes, M. Singh, B.S. Sproat, およびR.C. Titmas, Nucleic Acids Research, 1982, 10, 6243;B.S. SproatおよびW. Bannwarth, Tetrahedron Letters, 1983, 24, 5771;M.D. MatteucciおよびM.H. Caruthers, Tetrahedron Letters, 1980, 21, 719;M.D. MatteucciおよびM.H. Caruthers, Journal of the American Chemical Society, 1981, 103, 3185;S.P. Adamsら, Journal of the American Chemical Society, 1983, 105, 661;N.D. Sinha, J. Biernat, J. McMannus, およびH. Koester, Nucleic Acids Research, 1984, 12, 4539;ならびにH.W.D. Matthesら, EMBO Journal, 1984, 3, 801)に記載されるような固相技術を使用して、実施され得る。
本発明のさらなる実施形態では、本明細書に記載するタンパク質を製造する方法を提供する。本発明のその方法は、Maniatisら, Molecular Cloning-A Laboratory Manual; Cold Spring Harbor, 1982-1989に記載されるものなどの従来の組換え技術により、実施され得る。従って、本発明による異種ポリペプチドを製造する方法であって、該ポリペプチドの生成に十分な条件下で宿主細胞を培養すること、および培養培地から該ポリペプチドを回収することを含む方法を提供する。特に、本発明の方法は、好ましくは以下のステップを含む:
i)宿主細胞において、タンパク質またはその免疫原性誘導体をコードするヌクレオチド配列を含むDNAポリマーを発現することができる、複製可能であるかまたは組込み性の発現ベクターを作製するステップ;
ii) 該ベクターで宿主細胞を形質転換させるステップ;
iii)該DNAポリマーを発現させて該タンパク質を生成させうる条件下で、形質転換した宿主細胞を培養するステップ;および
iv)該タンパク質を回収するステップ。
本明細書において「形質転換」という用語は、外来DNAを宿主細胞に導入することを意味する。これは、例えば、Genetic Engineering; S.M. KingsmanおよびA.J. Kingsman編; Blackwell Scientific Publications; Oxford, England, 1988に記載される従来技術を用いて、適切なプラスミドまたはウイルスベクターでの形質転換、トランスフェクションまたは感染により達成され得る。「形質転換された」または「形質転換体」という用語は、以下、目的の外来遺伝子を含みかつ発現している、得られた宿主細胞に当てはめられる。本発明の組換え抗原は、好ましくは単細胞宿主において、最も好ましくは細菌系において、最も好ましくは大腸菌において、発現されることが好ましい。
発現ベクターは、新規であり、また本発明の一部をなす。複製可能な発現ベクターは、本発明に従って、宿主細胞に適合したベクターを切断し、無傷レプリコンを有する線状DNAセグメントを得て、該線状セグメントを、該線状セグメントと共に所望の産物をコードする1つ以上のDNA分子(例えば、本発明のタンパク質をコードするDNAポリマー、またはその誘導体)と、ライゲーション条件下で結合させることにより、作製され得る。
従って、ハイブリッドDNAは、望みに応じて、予め形成してもよいし、またはベクターの構築の間に形成してもよい。
ベクターの選択は、部分的には、宿主細胞(原核生物でも真核生物でもあり得るが、好ましくは大腸菌、酵母またはCHO細胞)に応じて決められる。適切なベクターとしては、プラスミド、バクテリオファージ、コスミド、および組換えウイルスが挙げられる。発現およびクローニングベクターは、選択マーカーを含んでいて、そのマーカーを発現している宿主細胞だけが選択的条件下で生存するようにすることが好ましい。選択遺伝子としては、アンピシリン、テトラサイクリンまたはカナマイシンに対する耐性を与えるタンパク質をコードするものが挙げられるがこれらに限定されない。発現ベクターは、指定の宿主に適合する制御配列も含む。例えば、大腸菌(より一般的には原核生物)の発現制御配列としては、プロモーターおよびリボソーム結合部位が挙げられる。プロモーター配列は、-ラクタマーゼ(ペニシリナーゼ)(Weissman 1981, Interferon 3(L. Gresser編)掲載)、ラクトース(lac)(Changら, Nature, 1977, 198: 1056)、およびトリプトファン(trp)(Goeddelら, Nucl. Acids Res. 1980, 8, 4057)、ならびにλ誘導型PLプロモーター系等の天然由来のものであり得る。さらに、自然では生じない合成プロモーターも、細菌プロモーターとして機能する。これは、例えば、trpおよびlacプロモーターの配列から誘導されるtac合成ハイブリッドプロモーターが当てはまる(De Boerら, Proc. Natl Acad Sci. USA 1983, 80, 21-26)。これらの系は、特に大腸菌に適している。
酵母適合性ベクターも、栄養要求性変異体に対して栄養性(prototrophy)を授けたり、または野生型株に対して重金属に対する耐性を授けることにより、成功した形質転換体の選択を可能にするマーカーを、担持する。酵母ベクターの制御配列としては、糖分解酵素のプロモーター(Hessら, J. Adv. Enzyme Reg. 1968, 7, 149)、酸性ホスファターゼをコードするPHO5遺伝子、CUP1遺伝子、ARG3遺伝子、GAL遺伝子のプロモーター、および合成プロモーター配列が挙げられる。酵母発現において有用なその他の制御エレメントは、ターミネーターおよびリーダー配列である。リーダー配列は、通常はそれは細胞からのタンパク質の分泌を指令する疎水性アミノ酸からなるシグナルペプチドをコードすることから、特に有用である。適切なシグナル配列は、酵母転化酵素遺伝子およびa因子遺伝子等の分泌される酵母タンパク質、酸性ホスファターゼ、キラートキシンの遺伝子、a接合因子遺伝子、および最近で言うとクルイヴェロミセス・マルキサナス(Kluyveromyces marxianus)のINU1A遺伝子から誘導される異種イヌリナーゼシグナル配列によってコードされ得る。適切なベクターが、ピキア・パストリスおよびサッカロミセス・セレビシエにおける発現のために開発されてきた。
様々な誘導性または構成性プロモーターに基づく種々のP.パストリス発現ベクターが利用可能である(CereghinoおよびCregg, FEMS Microbiol. Rev. 2000, 24:45-66)。細胞質および分泌タンパク質の生成のために、最もよく使用されるP.パストリスベクターは、非常に強力でかつ厳しく調節されたアルコールオキシダーゼ(AOX1)プロモーターを含む。ベクターは、his4宿主における選択のためのP.パストリスヒスチジノールデヒドロゲナーゼ(HIS4)遺伝子も含む。外来タンパク質の分泌はシグナル配列の存在を必要とするため、S.セレビシエプレプロα接合因子リーダー配列が、ピキア発現系において広くかつ首尾良く使用されてきた。発現ベクターをP.パストリスゲノムに組み入れて、発現株の安定性を最大にする。S.セレビシエにおいては、宿主ゲノムと共有する配列(AOX1またはHIS4)内でP.パストリス発現ベクターを切断することにより、該ゲノム遺伝子座へのベクターの組込みを効率的に標的化する相同組換え事象を促進する。一般的に、発現カセットの複数の組込みコピーを含む組換え株は、単一コピー株よりも多くの異種タンパク質を産生できる。高いコピー数の形質転換体を得るために最も有効な手段は、スフェロプラスト技術によるピキアレシピエント株の形質転換を必要とする(Creggら 1985, Mol. Cell. Biol. 5: 3376-3385)。
複製可能発現ベクターの調製は、DNAの制限切断、重合化およびライゲーションに適した酵素を用いて、従来法により、例えばManiatisら(上記引用)に記載される手順により、実施され得る。
組換え宿主細胞は、本発明に従い、形質転換条件下で、宿主細胞を本発明の複製可能発現ベクターで形質転換することにより作製する。適切な形質転換条件は、従来どおりであり、例えば、Maniatisら(上記引用)、または"DNA Cloning" Vol.II, D.M. Glover編, IRL Press Ltd, 1985に記載されている。形質転換条件の選択は、形質転換する宿主細胞の選択に依存する。例えば、生存ウイルスベクターを本発明のポリヌクレオチドの形質転換剤として使用するin vivo形質転換は、上述している。大腸菌等の宿主の細菌形質転換は、CaCl2の溶液(Cohenら, Proc. Nat. Acad. Sci., 1973, 69, 2110)、または塩化ルビジウム(RbC1)、McCl2、酢酸カリウムおよびグリセロールの混合物を含む溶液を用いて宿主を処理し、次いで、3-[N-モルホリノ]-プロパン-スルホン酸、RbC1およびグリセロールで宿主を処理した後に、ポリヌクレオチド(所望の配列を含む発現ベクターであり得る)が直接取り込まれることにより行なわれ得る。直接取り込みによる、培養中の酵母細胞などの下等真核生物の形質転換は、Hinnenら(Proc. Natl. Acad. Sci. 1978, 75: 1929-1933)の方法を使用して実施され得る。培養中の哺乳動物細胞は、ベクターDNAの細胞へのリン酸カルシウム共沈を使用して、形質転換され得る(GrahamおよびVan der Eb, Virology 1978, 52, 546)。ポリヌクレオチドを哺乳動物細胞へ導入する他の方法としては、デキストラン媒介トランスフェクション、ポリブレン媒介トランスフェクション、プロトプラスト融合、エレクトロポレーション、リポソームへのポリヌクレオチドのカプセル封入、および核へのポリヌクレオチドの直接マイクロインジェクションが挙げられる。
本発明はまた、本発明のタンパク質をコードする核酸または本発明の複製可能発現ベクターで形質転換された宿主細胞にも及ぶ。DNAポリマーを発現させうる条件下での形質転換宿主細胞の培養は、従来どおりに行われ、例えば、上記引用したManiatisらおよび"DNA Cloning"に記載されるようにして実施する。従って、細胞は、栄養素を補給され、50℃未満の温度、好ましくは25℃〜35℃、最も好ましくは30℃にて培養されることが好ましい。インキュベーション時間は、SDS-PAGEまたはウェスタンブロットにより評価した際の細菌細胞中のポリペプチドの割合に応じて、数分間から数時間の間で変わり得る。
その産物は、宿主細胞に応じて、かつ発現産物の局在(細胞内、または培養培地もしくは細胞ペリプラズムへ分泌)に応じて、従来方法により回収され得る。従って、宿主細胞が細菌(大腸菌等)の場合、例えば、それを物理的、化学的または酵素的に溶解させて、得られた溶解物からタンパク質生成物を単離することができる。宿主細胞が哺乳動物の場合、産物は一般に栄養培地または細胞非含有抽出物から単離し得る。宿主細胞がサッカロミセス・セレビシエまたはピキア・パストリス等の酵母である場合、産物は、一般的に、溶解細胞または培養培地から単離して、その後、従来技術を使用してさらに精製し得る。発現系の特異性は、目的のポリペプチドに対する抗体を用いたウェスタンブロットにより評価され得る。
従来のタンパク質単離技術としては、選択的沈降、吸着クロマトグラフィー、およびアフィニティークロマトグラフィー(モノクローナル抗体アフィニティーカラムを含む)が挙げられる。本発明のタンパク質が、ヒスチジンテイル(Hisタグ)とともに発現された場合、それはイオン金属アフィニティークロマトグラフィーカラム(IMAC)カラムを用いたアフィニティークロマトグラフィーにより簡単に精製され得る。
本発明の好適な実施形態では、ポリヒスチジンテイル等のアフィニティータグを付けた本発明のタンパク質を提供する。このような場合、ブロッキングステップ後のタンパク質をアフィニティークロマトグラフィーに供することが好ましい。ポリヒスチジンテイルを有するタンパク質については、固定化金属イオンアフィニティークロマトグラフィー(IMAC)を行ってもよい。金属イオンは、例えば、亜鉛、ニッケル、鉄、マグネシウムまたは銅等のあらゆる適切なイオンであり得るが、亜鉛またはニッケルであることが好ましい。IMACバッファーは、界面活性剤、好ましくは、Tween80等の非イオン性界面活性剤またはエンピジェンBB(Empigen BB)等の両性イオン界面活性剤を含み、それによって最終産物中のエンドトキシンのレベルをより低くすることが好ましい。
さらなるクロマトグラフィーステップとしては、例えば、Qセファロースステップが挙げられ、これはIMACカラムの前または後のいずれかで実行され得る。pHは、7.5〜10の範囲内、より好ましくは7.5〜9.5、最適には8〜9、理想的には8.5であることが好ましい。
本発明のタンパク質は、好ましい形態として、液体形態または凍結乾燥形態のいずれかの可溶化状態で提供される。概して、各ヒト用量は、1〜1000μg、好ましくは30〜300μgのタンパク質を含むと期待される。
本発明はまた、製薬上許容される賦形剤中に異種P501S抗原または核酸を含む医薬/免疫原性組成物およびワクチン組成物も提供する。従って、異種P501Sポリペプチドまたは異種P501Sコードポリヌクレオチドを、適切なアジュバント、希釈剤または他の製薬上許容される担体と混合することを含む、免疫原性組成物の製造方法も提供する。
より具体的には、本発明の医薬/免疫原性組成物およびワクチン組成物は、有効量の異種P501Sポリペプチドまたは異種P501Sコードポリヌクレオチド、および製薬上許容される担体を含む。有効量とは、ヒトに投与された場合に、体液性応答(抗体)または細胞性応答などの、検出可能な免疫反応をもたらす抗原の用量を意味する。好ましい免疫原性組成物は、配列番号1、配列番号3もしくは配列番号10に示す配列を有する少なくとも1つの異種P501Sポリペプチド、またはその免疫原性断片を含む。このタンパク質は、ブロッキングされたチオール基を有し、高度に精製されている(例えば、宿主細胞の混入が5%未満である)ことが好ましい。別の好適な免疫原性組成物は、配列番号2、配列番号4もしくは配列番号11に示す配列を有する少なくとも1つの異種P501Sコードポリヌクレオチド、または配列番号1、配列番号3もしくは配列番号10のタンパク質とのある程度の機能的類似性を保持するポリペプチドをコードするそれらの断片を、含む。このようなワクチンは、任意に、ヒトまたは非ヒト供給源に由来する1つ以上の他の腫瘍関連抗原および誘導体を含んでもよい。例えば、適切な他の関連抗原としては、PAP-1、PSA(前立腺特異的抗原)、PSMA(前立腺特異的膜抗原)、PSCA(前立腺幹細胞抗原)、STEAPが挙げられる。
ワクチン製剤は、Vaccine Design("The subunit and adjuvant approach"(Powell M.F.およびNewman M.J.編)(1995)Plenum Press New York)に概括的に記載されている。リポソーム中へのカプセル封入は、Fullerton、米国特許第4,235,877号に記載されている。
異種タンパク質には、本発明の医薬/免疫原性製剤またはワクチン製剤中でアジュバント添加することが好ましい。適切なアジュバントとしては、例えば、フロイント不完全アジュバントおよび完全アジュバント(Difco Laboratories, Detroit, MI);メルクアジュバント65(Merck and Company, Inc., Rahway, NJ);SBAS-2(SmithKline Beecham, Philadelphia, PA);水酸化アルミニウムゲル(ミョウバン)またはリン酸アルミニウム等のアルミニウム塩;カルシウム、鉄または亜鉛の塩;アシル化チロシンの不溶性懸濁液;アシル化糖;陽イオンまたは陰イオン誘導体化多糖;ポリホスファゼン;生分解性微粒子;モノホスホリルリピドAおよびクイル(quil)A等が市販されている。GM-CSF、またはインターロイキン-2、-7もしくは-12などのサイトカインもアジュバントとして使用され得る。
本発明の製剤では、アジュバント組成物が、TH1型優勢の免疫反応を誘導することが好ましい。高レベルのTh1型サイトカイン(例えば、IFN-γ、TNFα、IL-2およびIL-12)は、投与された抗原に対する細胞媒介型免疫反応をより誘導する傾向がある。反応がTh1型優勢である好適な実施形態では、Th1型サイトカインのレベルはTh2型サイトカインのレベルよりも大幅に増加する。これらのサイトカインのレベルは、標準的なアッセイを使用して容易に評価できる。サイトカインのファミリーのレビューについては、MosmannおよびCoffman, Ann. Rev. Immunol. 7:145-173, 1989を参照。
従って、Th1型優勢反応を惹起するのに使用するための適切なアジュバントとしては、例えば、モノホスホリルリピドA(好ましくは3-デ-O-アシル化モノホスホリルリピドA(3D-MPL))と、アルミニウム塩との組み合わせが挙げられる。TH1型免疫反応を優先的に誘導する他の公知のアジュバントとしては、CpG含有オリゴヌクレオチドが挙げられる。このオリゴヌクレオチドは、CpGジヌクレオチドがメチル化されていないという特徴を有する。このようなオリゴヌクレオチドは周知であり、例えば、WO 96/02555に記載されている。免疫賦活性DNA配列も、例えば、Satoら, Science 273:352, 1996に記載されている。別の好ましいアジュバントは、サポニン、好ましくはQS21(Aquila Biopharmaceuticals Inc., Framingham, MA)であり、これは単独で、または他のアジュバントと組み合わせて使用され得る。例えば、この増強された系では、モノホスホリルリピドAとサポニン誘導体との組合せ、例えばWO 94/00153に記載されるQS21と3D-MPLとの組合せ、または、WO 96/33739に記載されるQS21をコレステロールでクエンチングした低反応原性(less reactogenic)組成物を用いる。他の好ましい製剤は、水中油型エマルジョンおよびトコフェロールを含む。QS21、3D-MPLおよびトコフェロールを含む水中油型エマルジョンを用いた特に強力なアジュバント製剤は、WO 95/17210に記載されている。
QS21、3D-MPLおよびトコフェロールを含む水中油型エマルジョンを用いた特に強力なアジュバント製剤は、WO 95/17210に記載されており、好ましい製剤である。他の好ましいアジュバントとしては、モンタニド(Montanide)ISA 720(Seppic, France)、SAF(Chiron, California, United States)、ISCOMS(CSL)、MF-59(Chiron)、Detox(Ribi, Hamiliton, MT)、RC-529(Corixa, Hamiliton, MT)、および他のアミノアルキルグルコサミニド4-ホスフェート(AGP)が挙げられる。
他の好ましいアジュバントとしては、一般式(I):
HO(CH2CH2O)n-A-R
(式中、nは1〜50、Aは結合または-C(O)-、RはC1-50アルキルもしくはフェニルC1-50アルキル)
のアジュバント分子が挙げられる。
本発明の一実施形態は、一般式(I)(式中、nは1〜50、好ましくは4〜24、最も好ましくは9;R成分はC1-50、好ましくはC4-C20アルキル、最も好ましくはC12アルキル、およびAは結合)のポリオキシエチレンエーテルを含むワクチン製剤からなる。ポリオキシエチレンエーテルの濃度は、0.1〜20%の範囲、好ましくは0.1〜10%、最も好ましくは0.1〜1%の範囲にあるべきである。好ましいポリオキシエチレンエーテルは、以下の基から選択される:すなわち、ポリオキシエチレン-9-ラウリルエーテル、ポリオキシエチレン-9-ステオリル(steoryl)エーテル、ポリオキシエチレン-8-ステオリルエーテル、ポリエチレン-4-ラウリルエーテル、ポリオキシエチレン-35-ラウリルエーテル、およびポリオキシエチレン-23-ラウリルエーテル。ポリオキシエチレンラウリルエーテル等のポリオキシエチレンエーテルは、メルクインデックス(第12版:登録番号7717)に記載されている。これらのアジュバント分子は、WO 99/52549に記載されている。所望であれば、上記一般式(I)のポリオキシエチレンエーテルを、別のアジュバント(好ましくはCpG)と組み合わせてもよい。
従って、本発明の一実施形態では、TH-1誘導性アジュバントをさらに含む、本発明の異種P501Sを含むワクチンを提供する。好ましい実施形態は、TH-1誘導アジュバントが、3D-MPL、QS21、QS21とコレステロールの混合物、ならびにCpGオリゴヌクレオチドを含むアジュバント群から選択されるワクチンである。別の好ましい実施形態は、モノホスホリルリピドAをアジュバント添加した異種P501Sまたはその誘導体と、QS21およびトコフェロールを含む水中油型エマルジョンとを含有する、ワクチンである。
ワクチンは、サポニンをさらに含むことが好ましく、特にQS21を含むことがより好ましい。CpGおよびサポニンを含む別の特定の適切なアジュバント製剤がWO 00/09159に記載されており、これは好ましい製剤である。この特定の製剤においてサポニンがQS21であることが最も好ましい。製剤は、水中油型エマルジョンおよびトコフェロールをさらに含むことが好ましい。
医薬組成物およびワクチン中に任意の様々な送達用ビヒクルを使用して、腫瘍細胞を標的とする抗原特異的免疫反応の生成を促進することができる。送達用ビヒクルとしては、抗原提示細胞(APC)、例えば、樹状細胞、マクロファージ、B細胞、単球、および有効なAPCとなるように操作され得る他の細胞が挙げられる。このような細胞については、抗原を提示する能力を高め、T細胞反応の活性化および/または維持を改善し、それ自体が抗腫瘍効果を有し、および/または受容者と免疫学的に適合する(すなわち、HLAハプロタイプが一致する)ように、遺伝子操作することができるが、それは必須ではない。APCは、一般的に、任意の様々な生体液および器官(腫瘍および腫瘍周辺組織を含む)から単離することができ、また、自己細胞、同種異系細胞、同系細胞、または異種細胞であり得る。
本発明の特定の好適な実施形態では、樹状細胞またはその前駆細胞を、抗原提示細胞として使用する。樹状細胞は、非常に強力なAPCであり(BanchereauおよびSteinman, Nature 392:245-251, 1998)、予防的または治療的な抗腫瘍免疫を引き出すための生理学的アジュバントとして有効であることが示されている(TimmermanおよびLevy, Ann. Rev. Med. 50:507-529, 1999を参照)。一般的に、樹状細胞は、それらの典型的な形態(in situで星型であり、in vitroでははっきりとした細胞質突起(樹状突起)を有することが観察される)、高効率で抗原を取り込み、プロセシングし、提示するそれらの能力、そしてナイーブT細胞応答を活性化するそれらの能力に基づいて、同定され得る。もちろん、樹状細胞については、in vivoまたはex vivoでは樹状細胞上に通常認められない特定の細胞表面受容体またはリガンドを発現するように操作してもよく、そのような改変型樹状細胞も本発明により意図されている。樹状細胞に代わるものとして、分泌小胞抗原を搭載した樹状細胞(エキソソームと呼ばれる)を、ワクチンにて使用してもよい(Zitvogelら, Nature Med. 4:594-600, 1998を参照)。従って、好ましくは、本明細書に記載するようにポリペプチドをin vitroで搭載することによって改変したか、または本明細書に記載するようにポリペプチドを発現するようにin vitroで遺伝的に改変した、有効量の樹状細胞または抗原提示細胞と、医薬的に有効な担体とを含むワクチンが提供される。
樹状細胞および前駆細胞は、末梢血、骨髄、腫瘍浸潤細胞、腫瘍周辺組織浸潤細胞、リンパ節、脾臓、皮膚、臍帯血、または任意の他の適切な組織または体液から得ることができる。例えば、GM-CSF、IL-4、IL-13および/またはTNFα等のサイトカインの組合せを、末梢血から回収した単球の培養物に加えることにより、ex vivoで樹状細胞を分化させ得る。あるいはまた、GM-CSF、IL-3、TNFα、CD40リガンド、リポ多糖LPS、flt3リガンド、および/または樹状細胞の分化、成熟および増殖を誘導する他の化合物の組合せを培養培地に加えることにより、末梢血、臍帯血または骨髄から回収したCD34陽性細胞を樹状細胞に分化させ得る。樹状細胞は、「未熟」細胞および「成熟」細胞に便利に分類され、これは、2つのよく特性決定された表現型を区別する簡単な手法である。しかし、この用語は、分化の起こり得る中間段階を全て排除するものと解釈すべきではならない。未熟樹状細胞は、抗原の取り込みおよびプロセシングについての高い能力(これはFcγ受容体およびマンノース受容体の高発現と相関する)を有するAPCとして特徴付けられる。成熟表現型は、通常、これらのマーカーの低発現により特徴付けられるが、MHCクラスIおよびクラスII、接着分子(例えば、CD54およびCD11)、ならびに共刺激分子(例えば、CD40、CD80、CD86および4-1BB)等のT細胞活性化を担う細胞表面分子の高発現は伴わない。
APCは、一般的に、P501S腫瘍タンパク質(またはその誘導体)をコードするポリヌクレオチドでトランスフェクトして、P501S腫瘍ポリペプチドまたはその免疫原性部分が細胞表面上で発現されるようにすることができる。このようなトランスフェクションは、ex vivoで行うことができ、このようなトランスフェクト細胞を含む組成物またはワクチンを、その後、本明細書に記載するように、治療目的で使用してもよい。あるいはまた、樹状細胞または他の抗原提示細胞を標的とする遺伝子送達ビヒクルを患者に投与して、トランスフェクションをin vivoで生じさせてもよい。樹状細胞のin vivoおよびex vivoトランスフェクションは、例えば、一般的には、WO 97/24447に記載された方法、またはMahviら, Immunology and cell Biology 75:456-460, 1997に記載された遺伝子銃法などの当該分野で公知の任意の方法を使用して行うことができる。樹状細胞の抗原搭載は、樹状細胞または前駆細胞を、P501S腫瘍ポリペプチド、DNA(ネイキッド状態もしくはプラスミドベクター内)もしくはRNAとともに;または抗原を発現する組換え細菌もしくはウイルス(例えば、ワクシニア、鶏痘、アデノウイルスもしくはレンチウイルスベクター)とともにインキュベートすることにより、達成され得る。
ワクチン組成物および医薬/免疫原性組成物は、密封アンプルまたはバイアル等の、単位用量または複数回用量容器に入れられて提供され得る。このような容器は、密閉封止されて、使用時まで製剤の無菌性が保持されることが好ましい。一般的に、製剤は、油性または水性ビヒクル中の懸濁剤、液剤または乳剤として保存され得る。あるいはまた、ワクチンまたは医薬組成物は、使用直前に無菌液体担体の添加のみを必要とする凍結乾燥状態で保存され得る。
本発明は、ヒトにおいて、配列番号5〜7のいずれかに示すアミノ酸配列を有するヒトP501Sに対する免疫反応を誘導する方法も提供する。この方法は、本明細書に記載するヒトP501Sの異種形態を含む有効用量の組成物を被験体に投与することを含む。好適な実施形態は、マウス、ラットまたはカニクイザルから単離された異種P501Sを使用して、ヒトP501Sに対する免疫反応を誘導する方法である。本発明による免疫反応を誘導する別の好ましい方法は、上記異種抗原を発現する生存ウイルス発現系を含む抗原組成物を使用するものである。
本発明は、本発明のタンパク質を、製薬上許容される賦形剤(3D-MPL等)と共に混合することを含む、ワクチン製剤を製造する方法も提供する。
本発明の別の態様は、前立腺癌または他のP501S関連腫瘍もしくは疾患を患っているかまたはそれに罹り易い患者を免疫療法的に治療するための医薬/免疫原性組成物またはワクチンの製造における、本発明のポリペプチドまたはポリヌクレオチドの使用である。
本発明を、以下の実施例を参照してさらに説明する:
実施例I:
αプレプロP501SHisテイルをCup1プロモーター下で発現する組換え酵母株サッカロミセス・セレビシエの製造
1.序論
後に詳述する酵母発現系は以下のものの発現に適している:
i)後にヒトに接種されるワクチンまたは医薬/免疫原性組成物に製剤化される組換え非ヒト(例えば、サル、ラット、マウス)タンパク質。異種P501Sは、それ自身のシグナル配列またはαプレプロシグナル配列(下記に例示するものに類似)とともに発現され得る。
ii)または、後に動物(例えば、サル、ウサギ、マウスまたはラット)に接種されるワクチンまたは医薬/免疫原性組成物に製剤化される組換えヒトP501Sタンパク質。
以下の実施例は、酵母におけるヒトP501Sの発現を説明する。
酵母小胞体(ER)膜内のP501Sタンパク質を標的とするために、天然分泌シグナル配列および第1の推定内腔(lumenal)ドメインを、膜中での本来の位置が保存されるように酵母αプレプロシグナル配列で置き換えた。P501Sを発現する組換えサッカロミセス・セレビシエY1790株の製造、および組換えタンパク質の特性決定を以下に説明する。
2.タンパク質設計
P501Sタンパク質の天然型分泌シグナル配列および第1の推定内腔ドメインを、サッカロミセス・セレビシエαプレプロシグナル配列で置き換えた。酵母シグナル配列を、アミノ酸55〜アミノ酸553(タンパク質の端部)をコードするP501S配列のN末端に融合させた。組換えタンパク質のC末端を、2つのグリシンおよび6つのヒスチジンで伸長させた(図8)。
3.サッカロミセス・セレビシエでの発現のためのpRIT15068プラスミドの構築
出発材料は、EcoRIとNotIのクローニング制限部位の間に3.4Kbインサートを含む市販のプラスミドpcDNA3.1(Invitrogen)から誘導した組換えプラスミドP501Sであった。このプラスミドは、P501S完全長コード配列(1662bpの長さ)を含み、Corixa Corporationから入手した。このクローニング戦略は以下のステップを含む。
a.P501Sのサブクローニング
P501Sオープンリーディングフレームの最後の499アミノ酸をコードするヌクレオチド配列+アバル(aval)の68bpを含む1569 bp断片を、NcoI消化によりCorixa p501Sプラスミドから単離した。T4ポリメラーゼ処理の後、その断片を、PstIおよびXbaIで開裂させ、P501SオープンリーディングフレームのN末端配列内でNcoIが再生(すなわちアミノ酸55位に)されるようにT4ポリメラーゼ処理した。pUC18プラスミド中にサブクローニングした。得られたプラスミドを、pRIT15061と称した。
b.S.セレビシエCUP1プロモーターおよび酵母αプレプロシグナル配列の導入
酵母CUP1プロモーターおよび酵母αプレプロシグナル配列を含むPCR断片を、以下の3つの連続するPCRステップにより得た。
PCRステップ1:オリゴヌクレオチドMDENHE1CUP1(c5' GGA CTA GTC TAG CTA GCT TGC TGT CAG TCA CTG TCA AGA G 3')およびMDECUP1ATG(nc 5'CAT TTT ATG TGA TGA TTG ATT G 3')を用いたCUP1プロモーターの増幅を、pRIT12471プラスミドを鋳型として行った。
pRIT12471は、以下のように得た:CUP-1遺伝子を含有するプラスミドYep6-36(Butt TRら, Proc Natl Acad Sci USA. 1984 Jun; 81(11):3332-6)を、TR. Butt(SmithKline Beecham Pharmaceuticals, Research and Development, King of Prussia, Pennsylvania, USA)から入手した。CUP-1プロモーターおよびN末端コード配列を有するBamHI-BbvI断片(468塩基対)を、Yep6-36プラスミドから単離し、Bal31酵素で処理して、N末端コード領域を除去し、BamHI部位をATGに隣接して配置した。Bal31処理の後、そのDNA断片を、pAB119(BamHIで予め消化され、T4ポリメラーゼで修復されたpBR322様プラスミド)に挿入した。いくつかの誘導体プラスミドが得られ、それらを配列決定した。そのひとつがpRIT12471である。
PCRステップ2:オリゴヌクレオチドMDEPREPROAT(c 5'CAA TCA ATC AAT CAT CAC ATA AAA TGA GAT TTC CTT CAA TTT TTA CTG CA 3')およびMDESIGNAL2(nc5' GCT AGC TCC ATG GCT TCA GCC TCT CTT TTC TCG AG 3')を用いたαプレプロシグナル配列の増幅を、pPIC9プラスミド(INVITROGEN)を鋳型として行った。
PCRステップ3:PCRによる、CUP1プロモーターおよびαプレプロシグナル配列の結合を、PCRステップ1およびPCRステップ2で得た断片、ならびにオリゴヌクレオチドMDENHE1CUP1およびMDESIGNAL2を使用して実施した。このステップの後、増幅断片を精製し、T4ポリメラーゼで処理し、Ncolで消化した。得られた断片を、プラスミドpRIT15061の、T4ポリメラーゼで処理したHindIII部位とNcol部位との間に導入した。この得られたプラスミドを、pRIT15062と称した。
c.HISテイルによるC末端の伸長
HISテイル伸長のための断片を、鋳型としてp501Sプラスミド、ならびにオリゴヌクレオチドMDE501SAC(c 5'CTG GAG GTG CTA GCA GTG AG3')およびMDE501HIS(nc 5'CTA GTC TAG AGA ATT CCC CGG GTT AAT GGT GAT GGT GAT GGT GTC CAC CCG CTG AGT ATT TGG CCA AGT CG 3')を用いたPCRで得た。増幅断片を、精製し、SacIおよびEcoRIで消化し、pRIT15062プラスミドのSacI(重複アミノ酸43)とEcoRI部位との間に導入し、正しいオープンリーディングフレームを回復し、2つのグリシン、6つのヒスチジン、停止コドンをコードする配列でp501S配列によりインフレームで伸長させた。さらに、SmaI部位およびEcoRI部位をさらに導入し、このプラスミドをpRIT15063と称した。
d.酵母発現ベクターへのプロモーターおよびコード配列の導入
プロモーターおよび組換えP501Sコード配列を担持するFspI-SmaI断片を、pRIT15063プラスミドから単離し、pRIT15073プラスミドの、T4ポリメラーゼで処理したBamHI部位にクローニングして、ARG3ターミネーター配列の近くにタンパク質C末端が向くようにその断片を配置した。このプラスミドは、酵母相補のためのLEU2遺伝子および全体で2ミクロンの配列を担持する大腸菌/S.セレビシエシャトルベクターである。このライゲーションにより、pRIT15067プラスミドが得られる。
e.予想外のヌクレオチド欠失が、αプレプロ配列において認められたため、配列を復元するために最終ステップを行った
完全長p501Sコード配列およびベクター配列を、pRIT15067プラスミドの2つの断片NcoI/SalIおよびSalI/NheIから復元した。CUP1プロモーターおよび酵母αプレプロシグナル配列を担持する新しい断片を、ステップbに記載するようにして単離し、NheIおよびNcoIで消化した。これらの3つの断片を、1つにライゲートして、pRIT15068発現プラスミドを得た。このプラスミドでは、P501S発現は、酵母CUP1プロモーターで駆動される。
組換えタンパク質のヌクレオチド配列(配列番号8)およびアミノ酸配列(配列番号9)を、図9に示す。
4.S.セレビシエDC5株の形質転換およびY1790株の生成
DC5株(his3 leu2-3 leu2-112 can1-11)の形質転換を、プラスミドpRIT15068を用いた酢酸リチウム法(Methods in enzymology, 1991, vol 194, pg 186)により行った。酵母細胞をヒスチジンを添加した最小培地に広げた。形質転換体を採取し、発現についてテストした。Y1790は、これらの形質転換体の1つであった。
5.S.セレビシエY1790株の誘導
Y1790株を、グルコース2%およびヒスチジン80 ng/mlを補充した最小培地中で、30℃にて増殖させた。酵母細胞を、対数増殖期に回収し、誘導のためにCuSO4を最終濃度500μg/mlにて補充した同培地中で最終OD=0.5になるまで再懸濁した。培養を、30℃にて24時間維持し、その後、発現解析のために細胞を回収する。
実施例II:
組換えp501Sタンパク質の発現および特性決定
1.主要ポイント
以下に記載する方法を使用して、生成されたP501S抗原は、ウェスタンブロット分析により、62KDの主要バンドとしてはっきりと同定された。WB分析および濃度測定法により抗原生産性を比較した。この抗原を、遠心分離後に、細胞ホモジネートから得た不溶性画分中に確認した。発酵槽中のY1790株の特定の抗原生産性は、フラスコ中よりも約4倍高かった。発酵槽中では、生物体量は10倍に増幅したため、発酵槽中での体積生産性は、フラスコ培養と比べて約40倍高かった。Y1790株(his-)を、20L容器を用いる供給(fed)バッチ発酵で増殖させた。
2.Y1790株についての方法の説明(図10)
a.前培養
2.5×108 cfu/mlを含むこの実験室用マスター・シード(lab Master Seed)(MS)を100μl、FSC004AA固体培地(以下の培地組成を参照)に広げた。2枚のプレートを26時間、30℃にてインキュベートした。これらの固体前培養物を、それぞれ5 mlの液体培地FSC007AA中で回収し、この懸濁液の0.5 ml(または9.3×107細胞)を使用して、2つの液体前培養のそれぞれについて接種した。
これらの前培養を、400 mlの培地FSC007AAを含む2Lフラスコ内で20時間行って、1.8のODを得た。これらの前培養の他の特徴は以下のとおりである:すなわち、pH2.8、グルコース2.3 g/L、エタノール3.4 g/L。
Y1790株の液体前培養の最良のタイミングは、予備実験において決定した。400 mlの培地を含み、様々な容量のMS(0.25、0.5、1および2 ml)を接種した液体前培養物について、最良の接種材料サイズおよびプロセスのタイミングを特定するようモニタリングした。グルコース、エタノール、pHおよびOD、ならびに細胞数(フローサイトメトリー)を、16および23時間の培養後に続けて調べた。0.5の接種材料とともに20時間インキュベーションした後にグルコース消耗および最大生物体量を得た。これらの条件は、前培養を発酵に移行するために適用した。
a.発酵プロセス
合計で、800 mlの前培養物を使用して、5Lの培地FSC002AAを含む20L発酵槽に接種した。接種の前に、3 mlの照射消泡剤を添加した。炭素源(グルコース)を、FFB004AA培地の連続的供給により培養物に補充した。残余グルコース濃度を非常に低く(≦50 mg/L)維持して、発酵によるエタノール生成を最小にした。これは、グルコース供給速度を制限して、微生物の発生を制限することにより実現させた。DC5宿主株について標準生物体含有量(OD 80-90)は、44時間の増殖期の後の発酵中に到達した。
次いで、CuSO4 500μMを添加することにより、CUP1プロモーターを誘導させて、P501S抗原を産生させた。CuSO4添加に続いてエタノールが蓄積したら(6 g/Lまで)、その後グルコース供給速度を低下させて生成されたエタノールを消費させた。分光学的銅アッセイ(DETC法)を用いてブロス上清中のCuイオン濃度をテストすることにより、微生物が利用可能な銅をモニタリングした。
次いで、誘導期を通じて発酵物にCuSO4を補充し、その上清中の濃度を150〜250μMに維持した。生物体量は、誘導の終了時にはOD 100に達していた。8時間の誘導後に培養物を回収した。
c.抗原特性決定および生産性
標準的プロトコールを使用したSDS-PAGEおよびウェスタンブロット(WB)により細胞ホモジネートを調製および分析した。62KDの推定分子量(MW)を有する主要タンパク質バンドを、CorixaモノクローナルP501Sを使用したWBにより検出した。WB分析はまた、主要62KDバンドが、誘導開始後30分から徐々に生成され、3時間後に最大に達成したことも示した。3〜12時間の誘導においてこれ以上の抗原が生成されたようには認められなかった。
細胞から全抗原を抽出するのに必要なフレンチプレスを通す通過数を評価した。1回、3回および5回の通過をテストし、全細胞溶解物、上清および細胞溶解物のペレットをWBにより分析した。抗原を完全に抽出するには、フレンチプレスを通した3回の通過で十分であった。上清中には何も見えず、抗原は不溶性画分と結合していた。洗浄ステップによって可溶性タンパク質の一部を排除することにより精製を促進する。
d.培養培地組成物
FFB004AA
グルコース:350 g/l;Na2MoO4.2H2O:5.15 mg/l;葉酸:1.36 mg/l;KH2PO4:20.6 g/l;MnSO4.H2O:10.3 mg/l;イノシトール:1350 mg/l;MgSO4.7H2O:11.7 g/l;H3BO3:12.9 m/l;ピリドキシン:170 mg/l;CaCl2.2H2O:2.35 g/l;Kl:2.6 mg/l;チアミン:170 g/l;NaCl:0.15 g/l;CoCl2.6H2O:2.3 mg/l;ナイアシン(Niacine):0.67 mg/l;HCl:2.5 ml/l;FeCl3.6H2O:24.8 mg/l;リボフラビン(Riboflavine):0.33 mg/l;CuSO4.5H2O:1.03 mg/l;ビオチン:1.36 mg/l;パントテン酸カルシウム:170 mg/l;ZnSO4.7H2O:10.3 mg/l;パラ-アミノ安息香酸:0.33 mg/l;ヒスチジン:5.35 g/l。
FSC007AA
グルコース:10 g/l;Na2MoO4.2H2O:0.0002 g/l;葉酸:0.000064 g/l;KH2PO4:1 g/l;MnSO4.H2O:0.0004 g/l;イノシトール:0.064 g/l;MgSO4.7H2O:0.5 g/l;H3BO3:0.0005 g/l;ピリドキシン:0.008 g/l;CaCl2.2H2O:0.1 g/l;Kl:0.0001 g/l;チアミン:0.008 g/l;NaCl:0.1 g/l;CoCl2.6H2O:0.00009 g/l;ナイアシン:0.000032 g/l;FeCl3.6H2O:0.0002 g/l;リボフラビン:0.000016 g/l;パントテン酸カルシウム:0.008 g/l;CuSO4.5H2O:0.00004 g/l;ビオチン:0.000064 g/l;パラ-アミノ安息香酸:0.000016 g/l;ZnSO4.7H2O:0.0004 g/l;(NH4)2SO4:5 g/l;ヒスチジン:0.1 g/l。
FSC002AA
(NH4)2SO4:6.4 g/l;Na2MoO4.2H2O:2.05 mg/l;葉酸:0.54 mg/l;KH2PO4:8.25 g/l;MnSO4.H2O:4.1 mg/l;イノシトール:540 mg/l;MgSO4.7H2O:4.69 g/l;H3BO3:5.17 m/l;ピリドキシン:68 mg/l;CaCl2.2H2O:0.92 g/l;Kl:1.03 mg/l;チアミン:68 mg/l;NaCl:0.06 g/l;CoCl2.6H2O:0.92 mg/l;ナイアシン:0.27 mg/l;HCl:1 ml/l;FeCl3.6H2O:9.92 mg/l;リボフラビン:0.13 mg/l;CuSO4.5H2O:0.41 mg/l;グルコース:0.14 g/l;パントテン酸カルシウム:68 mg/l;ZnSO4.7H2O:4.1 mg/l;ビオチン:0.54 mg/l;パラ-アミノ安息香酸:0.13 mg/l;ヒスチジン:0.3 g/l。
FSC004AA
グルコース:10 g/l;Na2MoO4.2H2O:0.0002 g/l;葉酸:0.000064 g/l;KH2PO4:1 g/l;MnSO4.H2O:0.0004 g/l;イノシトール:0.064 g/l;MgSO4.7H2O:0.5 g/l;H3BO3:0.0005 g/l;ピリドキシン:0.008 g/l;CaCl2.2H2O:0.1 g/l;Kl:0.0001 g/l;チアミン:0.008 g/l;NaCl:0.1 g/l;CoCl2.6H2O:0.00009 mg/l;ナイアシン:0.000032 g/l;FeCl3.6H2O:0.0002 g/l;リボフラビン:0.000016 g/l;パントテン酸カルシウム:0.008 g/l;CuSO4.5H2O:0.00004 g/l;ビオチン:0.000064 g/l;パラ-アミノ安息香酸:0.000016 g/l;ZnSO4.7H2O:0.0004 g/l;(NH4)2SO4:5 g/l;アガー 18 g/l;ヒスチジン:0.1 g/l。
実施例III:
免疫反応を誘導するための組成物および方法
A-異種またはヒトP501Sを使用したワクチン調製
1.ワクチン調製
これらの実験において使用されるワクチンは、アジュバント添加されたかまたはされていない、S.セレビシエにおいて組換え発現されるヒトまたは異種P501Sをコードする組換えDNAから生成される。アジュバントとして、その製剤は、油/水エマルジョン中の3デ-O-アシル化モノホスホリルリピドA(3D-MPL)およびQS21の混合液を含む。アジュバント系SBAS2は、WO 95/17210に既に記載されている。
3D-MPL:これは、グラム陰性細菌サルモネラ・ミネソタ(Salmonella minnesota)のリポ多糖(LPS)から得られる免疫刺激剤である。MPLは、脱アシル化されており、リピドA部分上のリン酸基を欠く。この化学的処理は、毒性を劇的に低減する一方で、免疫刺激性は保持する(Ribi, 1986)。Ribi Immunochemistryは、MPLを製造し、SB-Biologicalsに供給している。
Smith Kline Beecham Biologicalsで実施した実験は、様々なビヒクルと組み合わせた3D-MPLが、体液性免疫およびTH1型細胞性免疫の両方を強力に増強したことを示した。
QS21:これは、南アメリカの樹木シャボンノキ(Quillaja saponaria Molina)の樹皮から抽出した天然サポニン分子である。個々のサポニンを樹皮の粗抽出物から分離するために開発した精製技術により、親成分と比べて強力なアジュバント活性および低い毒性を示すトリテルペン(triterpene)グリコシドである特定のサポニンQS21の単離が可能になった。QS21は、MHCクラスI拘束性CTLを、いくつかののサブユニットAgに活性化し、Ag特異的リンパ球増殖を促進することが示されてきた(Kensil, 1992)。Aquila(旧Cambridge Biotech Corporation)が、QS21を製造し、SB-Biologicalsに供給している。
SmithKline Beecham Biologicalsにおいて実施した実験は、体液性免疫およびTH1型細胞性免疫反応の両方の誘導においてMPLとQS21との組合せの明確な相乗作用を示した。
油/水エマルジョンは、2種の油(トコフェロールおよびスクアレン)からなる有機相、および乳化剤であるTween 80含有PBSから構成される水相からなる。エマルジョンは、5%スクアレン、5%トコフェロール、0.4%Tween 80を含み、平均粒径が180 nmで、SB62として知られる(WO 95/17210を参照)。
SmithKline Beecham Biologicalsで実施した実験から、このO/Wエマルジョンの、3D-MPL/QS21(SBAS2)への添加により、様々なサブユニット抗原に対する後者の免疫刺激性がさらに高まることが分かった。
2.エマルジョンSB62(2倍濃縮物)の調製
Tween 80をリン酸緩衝化生理食塩水(PBS)に溶解して、2%PBS溶液を得た。100 mlの2倍濃縮エマルジョンを得るために、5 gのDLαトコフェロールおよび5 mlのスクアレンをボルテックスして完全に混合した。90 mlのPBS/Tween溶液を添加し、徹底的に混合した。次いで、得られたエマルジョンをシリンジに通し、M110S微小流体(microfluidics)装置を使用して最後に微小流体化(microfluidise)した。得られた油滴は約180 nmの大きさを有していた。
3.異種またはヒトP501S QS21/3D MPL水中油型(SBAS2)製剤の調製
油/水エマルジョン中のMPLとQS21との組合せとしてアジュバントを製剤化した。製剤は、注射当日に即時、調製した。
油/水エマルジョン中の3D-MPLおよびQS21を含む製剤化(SBAS2B製剤化)は以下のとおりに実施した:SB62(50μl)、MPL(20μg)、QS21(20μg)および保存剤としての1μg/mlチメロサール(thiomersal)を5分間隔で連続添加する前に、異種またはヒトP501S(20μg)を10倍濃縮PBS(pH6.8)およびH2Oに希釈した。全てのインキュベーションは室温にて攪拌しながら行った。
アジュバントを添加しない製剤化は以下のように実施した:保存剤としての1μg/mlチメロサールを5分間隔で添加する前に、組換え異種P501S(20μg)を1.5 M NaClおよびH2Oに希釈した。全てのインキュベーションは室温にて攪拌しながら行った。
B-免疫原性実験
B−1 タンパク質に基づくアプローチを用いた免疫化プロトコール
本発明では密接に関係する自己腫瘍抗原に対する免疫反応を誘導するために、ヒトP501Sに対する異種抗原を使用できる。同様に、ヒトP501Sを使用して動物種を免疫化し、交差反応性抗体のレベルを評価できる。異なる分子により誘導される免疫反応の質および強度は、この免疫反応が他の形態のP501Sタンパク質と交差反応する能力とともに比較できる。本発明のタンパク質には、アジュバント添加してもしなくてもよい。
ウサギに、SBAS02中に製剤化したかまたはしていない100μgのヒトP501S(上記参照)を、3週間ごとに筋内に3回ワクチン接種した。3回目の注射の3週間後、血液を採取し、血清を抗P501S抗体の存在についてテストし得る。
抗P501S抗体反応(全IgG抗体応答)を、精製したヒトP501Sタンパク質を被覆抗原として使用して、ELISAにより古典的に評価した。
これらの免疫化動物の脾臓およびリンパ節も、ワクチン接種により誘導される細胞性免疫反応を分析するために使用され得る。リンパ増殖性反応は、ワクチン接種に使用した分子の異なる形態または精製したヒトP501Sタンパク質でのin vitro再刺激の72時間後に評価され得る。
B−2 DNAに基づくアプローチを用いた免疫化プロトコール
1.プロトコール
雌または雄C57BL/6マウスを、遺伝子銃またはPMID(粒子媒介皮内送達)により、P501S DNA構築物で免疫化した。このDNA構築物は、JNW680と名付けられ、標準真核生物発現ベクターpVAC1(Thomsen Immunology 95:51OP106, 1998)中でクローニングした完全長ヒトP501S遺伝子(Genbankデータベース受託番号AY033593)のコード配列を含む。プラスミドDNAを、塩化カルシウムおよびスペルミジンを用いて2μM金ビーズ上に沈降させた。搭載したビーズを、記載されるようにして(Eisenbaumら, 1993, Pertmerら 1996)、Tefzel管上で被覆した。Accell遺伝子送達系(WO95/19799)を使用して粒子衝撃法を行った。それぞれの投与は、DNA/金での2つの衝撃から構成され、合計用量約1〜5μgのプラスミドDNAを得た。0、21、42および63日目にマウスを定期的に免疫化した。
2.読出し
それぞれの免疫化の7日後に回収した脾細胞を用いて、IFNγ/IL-2 ELISPOTにより細胞反応をモニタリングした。脾細胞を、P501S配列の大部分を網羅するペプチドライブラリーから同定したペプチドを用いて再刺激した。
抗体反応を、採取した血清サンプルからモニタリングし、マウスは屠殺した。プレートを被覆するのにCPC-P501Sを用いて、ELISAにより抗体反応を評価した。
3.結果
3.1 ペプチドライブラリー
ヒトP501S構築物での雌マウスの免疫化の後、個々のP501Sペプチドを用いて、IFNγ/IL-2 ELISPOT中の脾細胞を再刺激した。このライブラリースクリーニングから、IL-2および/またはIFNγのいずれかを誘導した3つのペプチドを同定した。これらのペプチドは、ペプチド18、22および48と名付けた。さらなる研究により、ペプチド22および48がCD4エピトープを含むことを同定した。
ペプチドの配列は以下のとおりである:
ペプチド18:HCRQAYSVYAFMISLGGCLG
ペプチド22:GLSAPSLSPHCCPCRARLAF
ペプチド48:VCLAAGITYVPPLLLEVGV
3.2 これらのペプチドに対する反応の確認
個別の実験において、これらのペプチドエピトープに対する免疫反応の誘導を、P501S構築物(JNW680)でのPMID免疫化の後に、雄および雌マウスの両方において確認した。図11および12は、雄および雌マウスのそれぞれについて、大部分のマウスでは良好なIL2および/またはIFNγ反応が3つ全てのペプチドに対して誘導されたが、空ベクターで免疫化されたマウスは特異的反応を生じなかったことを示す。
3.3 ペプチドのアライメント
下記表1は、ペプチド18、22および48にコードされる領域において、ヒトおよびマウスP501S配列の間で異なるアミノ酸の数および位置を示す。
Figure 2006501166
4.結論
ペプチド48にコードされるエピトープに対する反応を、雌および雄マウスの両方において検出した。この領域におけるヒトおよびマウス配列の比較から、100%の配列同一性があることが確認できる。従って、この研究の1つの結論は、ヒトP501Sが、マウスP501Sと交差反応する可能性がある免疫反応を誘導するために使用され得るということである。従って、上記理由(配列同一性)から、マウスP501Sは、ヒトP501Sと交差反応性である免疫反応を誘導する可能性を有しており、そのためこの抗原に対する異種アプローチが正当とすることは合理的とみなされよう。
実施例IV:
リアルタイムPCRによるP501S発現の分析
1.導入
P501Sの発現解析は、動物モデルおよび動物細胞系において、リアルタイムPCRによってP501S mRNA存在量をモニタリングすることで実施され得る。
動物モデルを使用して、ワクチン組成物をテストし、その免疫原性(例えば、特異的CTL誘導)およびそれらの潜在的な毒性(例えば、自己免疫)を評価する。より関連する動物モデルが、ヒトプロファイルに最も近いP501Sの組織発現パターンを示す。発現レベル測定は、動物前立腺および重要組織の一群について実施する。
また、リアルタイムPCRを使用して、ラット前立腺細胞系(CRL-2275、CRL-2276)等の動物細胞系におけるP501S遺伝子の発現レベルを特性決定する。目的は、ヒト前立腺腫瘍において認められるレベルに最も近いレベルでP501Sを発現している動物細胞系を同定することである。適度なレベルのP501S mRNAを発現するとして同定された動物細胞系が、動物腫瘍モデルを確立するために使用され得る。アジュバント中のP501S精製タンパク質を用いたワクチン接種の抗腫瘍効果は、動物における腫瘍退縮によりまたは腫瘍チャレンジに対する防御によりモニタリングされ得る。
2.リアルタイムRT-PCR分析
リアルタイムRT-PCR(U. Gibson. 1996. Genome Research: 6,996)を使用して、組織および細胞系の一群における標的タンパク質のmRNA転写産物存在量を比較する。
TriPure試薬(Boehringer)を使用して、急速冷凍生検体から全RNAを抽出する。オリゴdT磁性ビーズ(Dynal)を使用したDNアーゼ処理の後に、全RNAからポリA+ mRNAを精製する。RiboGreen(Molecular Probes)を用いた分光蛍光法(VersaFluor, BioRad)によりmRNAの定量を行う。リアルタイムPCR増幅用のプライマーを、Perkin-Elmerプライマー・エキスプレス・ソフトウェアで、TaqMan増幅条件のデフォルトオプションを使用して設計する。
標準的PCRプロトコールに従って、各反応について2 ngの精製mRNAを用いてリアルタイム反応を構築する。リアルタイムPCR増幅は、Taqmanプローブを用いてモニタリングする。増幅(40サイクル)およびリアルタイム検出を、従来の機器設定を用いてPerkin-Elmer Biosystems PE7700システムにおいて行う。PE7700配列検出ソフトウェアを使用して、Ct値を計算する。標的mRNA(CtX)およびβアクチンmRNA(CtA)について、各組織サンプルからCt値を得る。
一般的な実験条件下でのPCR増幅の効率は、理論的な増幅効率に近似するため、2(CtA-CtX)値は、アクチン転写物レベルに関して標準化された、サンプル中の相対的標的転写物レベルの推定値である。従って、その値が1のとき、候補抗原およびアクチンが同じ発現レベルを有することを示唆する。
ラットモデルについては、2つのラット前立腺細胞系(CRL-2222およびCRL-2276)について、ならびに11のラット組織の一群(脳、結腸、大腿骨、歯肉(gum)、心臓、腎臓、肝臓、肺、前立腺、脾臓、精巣等)についてリアルタイム(RT)PCR反応を行った。
カニクイザルモデルについては、前立腺中のP501S相同体の発現を評価した。
マウスモデルについては、前立腺、結腸、肺、脳、腎臓、脾臓、精巣、胃、心臓および肝臓における発現レベルを測定した。
P501S相同体転写物レベルは、上述したように計算する。結果を、表2、表3、表4、図13および図16に示す。
Figure 2006501166
Figure 2006501166
Figure 2006501166
P501Sを、ラット、カニクイザルおよびマウスの前立腺において発現させる(それぞれアクチンレベルと比べて0.8%、5.3%および1.5%)。ラットの他の組織における平均P501転写物レベル(0.007%)は、ラット前立腺の場合の1/100である。両方のラット細胞系において有意な発現は検出されなかった。他のマウス組織では、肝臓および腎臓において最も高い発現レベルが検出された(それぞれ、マウス前立腺の1/3および1/6)。
実施例V:
異種P501SによるP501S特異的CD4およびCD8T細胞の誘導
T細胞in vitroプライミングプロトコールを使用して、ヒト免疫レパートリーの、P501Sタンパク質を免疫療法の可能性のある標的として認識する能力を実証する。このプロトコールを使用して、標的に負荷されたP501S誘導型ペプチドまたはP501Sタンパク質のいずれかを特異的に認識するCD4またはCD8ヒトT細胞のいずれか、およびP501Sを内因性発現するヒト細胞を作製および増殖できる。
P501S特異的CD8T細胞を作製するために使用するプロトコールを簡単に説明する:
異種P501S遺伝子を発現するように遺伝子操作されたか、または1μg/ml異種P501S由来ペプチドでパルス(pulse)されたヒト樹状細胞(DC)を、CD40Lを使用して48時間かけて成熟させ、IL-7を補充した培地中で自己PBMCと共に培養する。1μg/ml異種P501Sでパルスした接着性PBMCを用いて週1回刺激し、0および4日目にはIL-7を添加し、1および4日目にはIL-2を添加する。4回、5回および6回目のラウンドの刺激の後に、ELISPOTアッセイにより各系統をアッセイして、IFNg分泌を測定する。ELISPOTアッセイにおける抗原提示細胞(APC)は、異種P501Sまたは無関係なペプチドのいずれかでパルスした自己B-LCLである。特異的CTL活性は、異種P501Sでパルスされたか形質導入されたAPCに対する5回または6回目の刺激サイクルの後に初めて検出可能であった。P501S特異的CD4T細胞クローンを作製するために同様のプロトコールが使用され得る。
実施例VI:
異種タンパク質を使用したより有力な免疫反応の誘導が、マウス、ラット、サルおよびヒトをヒトタンパク質でワクチン接種することにより、ならびにELISAにより抗体反応を読み取ることにより示される。この実験では、マウスおよび非ヒト霊長類を、CPC-P501タンパク質+アジュバント、CPC-P501Sコードアデノウイルスベクター、またはCPC-P501SコードDNAとして送達される組換えヒトP501S抗原でワクチン接種する。それぞれのワクチン接種の後にこれらの動物の血清を採集し、被覆ヒトP501SまたはCPCを用いた標準ELISAにより抗体価を評価する。CPCに対して読み取った際にELISAにより同様のシグナルを示すように各血清の希釈度を調節した後、非常に似た希釈度において、被覆ヒトP501を用いてELISAによりシグナルを読み取る。この実験は、霊長類において、ヒトP501ワクチンが、限定された回数の注射の後に高い力価の抗体を誘導する一方で、マウスにおいて抗体反応がより強力であることを示す。この実験は、マウスモデルにおける異種ワクチン接種が(マウスP501Sは、アミノ酸配列においてヒトP501Sと90.8%同一である)、免疫反応を誘導する上で、同系状態(カニクイザルP501Sは、アミノ酸配列においてヒトP501Sと98.0%同一である)に近い非ヒト霊長類モデルよりも効率的であることを示す。
実施例VII:
異種P501Sにより誘導されるP501S特異的抗体の特性決定
アジュバント添加されたヒトP501Sタンパク質またはDNAでのマウス、サルまたはラットのいずれかの免疫化の後の交差反応性抗体反応の誘導を、in vitroウェスタンブロットアッセイまたはELISAを採用して調べる。この実験では、マウス、サルまたはラットDNA配列がCMVプロモーターの下流に挿入された哺乳動物発現ベクターを構築する。これらのDNAベクターの宿主細胞系(CHOまたはCOS細胞等)中へのトランスフェクションにより、マウス、サルまたはラットP501S遺伝子が発現される。これらの細胞から得た全細胞溶解物をウェスタンブロットに使用する。マウス発現ベクターについては、マウスP501Sコード配列(配列番号11)を、重複PCR方法論を使用して操作し、pVAC発現ベクター中でクローニングした。マウスP501S発現ベクターの場合、ウサギ抗P501Sポリクローナル血清を使用してウェスタンブロットにおいて発現を確認した(図17)。他方、ELISAのために、自己ポリペプチド(ヒトとマウスの間で100%の同一性を示し、P501Sに対して生成されるモノクローナル抗体により認識されるB細胞エピトープであるアミノ酸296〜322のペプチド等)でプレートを被覆した。
マウス、サルまたはラットP501Sのいずれかでトランスフェクトした細胞から得た全細胞溶解物を用いるウェスタンブロットを採用して、交差反応P501S特異的抗体の存在を確認する。この場合、ヒトP501SまたはヒトP501S融合タンパク質で先に免疫化したマウス、サルまたはラットから血清を採取する。この血清は、1:10〜1:100,000の希釈物を、西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)にコンジュゲートした関連二次抗体を用いたウェスタンブロットプロトコールで使用され得る。同系ワクチン接種よりは異種ワクチン接種から得た免疫血清を用いてブロッティングした後に、ウェスタンブロットにおいて同等の希釈度でシグナルがより強力であるかまたは同等のシグナルで希釈度がより高いことは、異種ワクチン接種が抗原を認識するより強力な免疫反応を惹起可能であることを実証するものである。ELISAを利用して得た同様の結果は、同じ結論を導く。
ラットP501Sのアミノ酸配列(配列番号1)。 ラットP501Sをコードするヌクレオチド配列(配列番号2)。ORFは、小文字で示す。 カニクイザルP501Sのアミノ酸配列(配列番号3)。 カニクイザルP501Sをコードするヌクレオチド配列(配列番号4)。ORFは、小文字で示す。 ヒトP501Sのアミノ酸配列(配列番号5)。 ヒトP501Sのアミノ酸配列(配列番号6)。 ヒトP501Sのアミノ酸配列(配列番号7)。 サッカロミセス・セレビシエにおいて発現されるαプレプロP501SHisタンパク質の設計。 サッカロミセス・セレビシエにおいて発現されるαプレプロP501Shisテイル組換えタンパク質のアミノ酸配列(配列番号9)およびヌクレオチド配列(配列番号8)。 サッカロミセス・セレビシエ(Y1790株)P501S-His発酵プロセス。 pVAC空ベクターおよびpVAC-P501S(JNW680)での4回の免疫化の後のELISPOT反応。雄C57BL/6マウス。 pVAC空ベクターおよびpVAC-P501S(JNW680)での4回の免疫化の後のELISPOT反応。雌C57BL/6マウス。 カニクイザル前立腺、ならびにラット組織および細胞系のパネルについてのP501SのリアルタイムPCR分析。略語は表2に示す。 マウスP501Sのアミノ酸配列(配列番号10)。 マウスP501Sのヌクレオチド配列(配列番号11)。ORFは、小文字で示す。 マウス組織のパネルについてのP501SのリアルタイムPCR分析。 マウスおよびヒトP501Sの発現。
【配列表】
Figure 2006501166
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Figure 2006501166
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Claims (27)

  1. 異種P501Sポリペプチドもしくは異種P501Sコードポリヌクレオチド、またはその免疫原性断片;および製薬上許容される担体を含む、免疫原性組成物。
  2. 前記異種P501Sポリペプチドまたはその免疫原性断片が、配列番号1または配列番号3または配列番号10からなる群より選択される、請求項1に記載の免疫原性組成物。
  3. 前記異種P501Sコードポリヌクレオチドまたはその免疫原性断片が、配列番号2または配列番号4または配列番号11からなる群より選択される、請求項1に記載の免疫原性組成物。
  4. TH-1誘導性アジュバントをさらに含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の免疫原性組成物。
  5. TH-1誘導性アジュバントが、3D-MPL、QS21、免疫賦活性CpGオリゴヌクレオチド、QS21およびコレステロールの混合物、または1つ以上のこれらのアジュバントの組み合わせを含むアジュバントの群から選択される、請求項4に記載の免疫原性組成物。
  6. 異種P501Sポリペプチドまたはその免疫原性断片をin vitroにて搭載することにより改変されたか、または異種P501Sポリペプチドを発現するようにin vitroで遺伝的に改変された有効量の抗原提示細胞、および製薬上有効な担体を含む、免疫原性組成物。
  7. 医薬に使用するための、請求項1〜6のいずれか一項に記載の免疫原性組成物。
  8. 異種P501Sポリペプチドまたは異種P501Sコードポリヌクレオチドを、適切なアジュバント、希釈剤またはその他の製薬上許容される担体と混合することを含む、請求項1〜7のいずれか一項に記載の免疫原性組成物を製造する方法。
  9. 配列番号1の全長にわたる配列番号1のアミノ酸配列に対して少なくとも92%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、単離ポリペプチド。
  10. 前記アミノ酸配列が、配列番号1に対して少なくとも95%の同一性を有する、請求項9に記載の単離ポリペプチド。
  11. 配列番号1のアミノ酸配列を含む、請求項10に記載のポリペプチド。
  12. 配列番号1の単離ポリペプチド。
  13. その免疫原性断片の免疫原性活性が配列番号1のポリペプチドと実質的に同じである、請求項9〜12のいずれか一項に記載のポリペプチドの免疫原性断片を含むポリペプチド。
  14. より大きい融合タンパク質の一部である、請求項9〜13のいずれか一項に記載のポリペプチド。
  15. 請求項9〜14のいずれか一項に記載のポリペプチドをコードする単離ポリヌクレオチド。
  16. 配列番号2の配列を含む、請求項15に記載の単離ポリヌクレオチド。
  17. 配列番号2の全長にわたる配列番号2のアミノ酸配列に対して少なくとも92%の同一性を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む単離ポリヌクレオチド;または該単離ポリヌクレオチドに相補的なヌクレオチド配列を含む単離ポリヌクレオチド。
  18. 前記同一性が少なくとも95%である、請求項15〜17のいずれか一項に記載の単離ポリヌクレオチド。
  19. 請求項15〜18のいずれか一項に記載の単離ポリヌクレオチドを含む、発現ベクターまたは組換え生存微生物。
  20. 請求項19に記載の発現ベクター、または請求項15〜18のいずれか一項に記載の単離ポリヌクレオチドを含む、宿主細胞。
  21. そのポリペプチドを生成するのに十分な条件下で請求項20に記載の宿主細胞を培養すること、およびその培養培地から該ポリペプチドを回収することを含む、請求項9〜14のいずれか一項に記載のポリペプチドを製造する方法。
  22. 前立腺癌または他のP501S関連腫瘍もしくは疾患を患っているかまたはそれに罹り易い患者を免疫療法的に治療するための免疫原性組成物の製造における、請求項9〜18のいずれか一項に記載のポリペプチドまたはポリヌクレオチドの使用。
  23. ヒトにおいて、配列番号5〜配列番号7に示すアミノ酸配列を有するヒトP501Sに対する免疫反応を誘導する方法であって、被験体に、該ヒトP501Sの異種形態を含む有効用量の免疫原性組成物を投与することを含む、方法。
  24. 前記免疫原性組成物が請求項1〜5のいずれか一項に記載のものである、請求項23に記載の方法。
  25. 前記のヒトP501Sの異種形態が、請求項9〜14のいずれか一項に記載のラットP501Sである、請求項23に記載の方法。
  26. 前記のヒトP501Sの異種形態が、配列番号10に示す配列を有するマウスP501S、および配列番号3に示す配列を有するカニクイザルP501Sからなる群より選択される、請求項23に記載の方法。
  27. 前記免疫原性組成物が、抗原を搭載した樹状細胞を介して前記異種抗原を発現する生存ウイルス発現系またはプラスミドベクターを含む、請求項23〜26のいずれか一項に記載の方法。
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