JP2004500029A - 肺癌の治療および診断のための組成物および方法 - Google Patents
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Abstract
Description
(技術分野)
本発明は、一般に、癌(例えば、肺癌)の治療および診断に関する。本発明は、より具体的には、肺腫瘍タンパク質の少なくとも1部を含むポリペプチド、およびこのようなポリペプチドをコードするポリヌクレオチドに関する。このようなポリペプチドおよびポリヌクレオチドは、肺癌の予防および処置のための組成物において、およびこのような癌の診断およびモニタリングのために、使用され得る。
【0002】
(発明の背景)
癌は、世界中の重大な健康の問題である。癌の検出および治療において進歩はあったが、予防および処置のためのワクチンおよび他の普遍的に成功する方法は、現在利用可能でない。化学療法または手術および放射の組合わせに一般的に基づく、現在の治療は、多くの患者において不適切であることが示され続けている。
【0003】
肺癌は、米国における男性および女性の両方における癌での死亡の主な原因であり、1994年には172,000件の新しい症例が報告されたと見積もられた。全ての肺癌患者における5年間の生存率は、診断時における疾患の病期に関わらず、13%のみである。これは、検出される症例における46%の5年間生存率と対照的であるが、この疾患は、なお局在される。しかし、肺癌の16%のみが、この疾患が広がる前に発見される。
【0004】
早期発見は難しい。なぜなら、臨床症状は、この疾患が進行した病期に達するまでしばしばみられないからである。現在のところ、診断は、胸部X線、痰に含まれる細胞型の分析および気管支道の光ファイバー試験の使用により補助される。処置の養生法は、癌の型および病期により決定され、そして手術、放射線治療および/または化学療法を含む。
【0005】
この癌および他の癌におけるかなりの研究にも関わらず、肺癌は、診断および効果的に処置することが困難なままである。従って、当該分野において、このような癌を検出および処置するための改良された方法への必要性が残っている。本発明は、これらの必要性を満たし、そしてさらに他の関連する利点を提供する。
【0006】
(発明の要旨)
手短に述べると、本発明は、癌(例えば、肺癌)の診断および治療のための組成物および方法を提供する。第1の局面において、本発明は、肺腫瘍タンパク質またはその改変体の少なくとも1部を含むポリペプチドを提供する。特定の部分および他の改変体は免疫原性であり、その結果、抗原特異的抗血清と反応する改変体の能力は、実質的に減少しない。特定の実施形態において、そのポリペプチドは、以下からなる群から選択されるポリヌクレオチド配列によってコードされる配列を含む:(a)配列番号1、11〜13、15、20、23〜27、29、30、33、34、39、41、43〜46、51、52、57、58、60、62、65〜67、69〜71、74、76、79、80、84、86、89〜92、95、97、98、101、110、111、113〜119、121〜128、130〜134、136、138、139、141、143、146〜151、153、154、157〜160、162〜164、167〜178、180、181、183、186〜190、192、193、195〜220、224、226〜231、234、236、237、240、241、244〜246、248、254、255、261、262、266、270、275、280、282、283、288、289、290、292、295、301、303、304、309、311、341〜782、784、785、790、792、794、794、796、800〜804、807、808および810〜826において提供される配列;(b)配列番号1、11〜13、15、20、23〜27、29、30、33、34、39、41、43〜46、51、52、57、58、60、62、65〜67、69〜71、74、76、79、80、84、86、89〜92、95、97、98、101、110、111、113〜119、121〜128、130〜134、136、138、139、141、143、146〜151、153、154、157〜160、162〜164、167〜178、180、181、183、186〜190、192、193、195〜220、224、226〜231、234、236、237、240、241、244〜246、248、254、255、261、262、266、270、275、280、282、283、288、289、290、292、295、301、303、304、309、311、341〜782、784、785、790、792、794、794、796、800〜804、807、808および810〜826において列挙された配列の改変体;ならびに(b)(a)または(b)の配列の相補体。特定の実施形態において、本発明のポリペプチドは、腫瘍タンパク質の少なくとも1部を含む。この腫瘍タンパク質は、配列番号786、787、791、793、795、797〜799、806、809および827に列挙される配列からなる群より選択されるアミノ酸配列、およびそれらの改変体を含む。
【0007】
本発明はさらに、上記のポリペプチドまたはその一部(例えば、肺腫瘍タンパク質の少なくとも15のアミノ酸残基をコードする一部分)、このようなポリヌクレオチドを含む発現ベクター、ならびにこのような発現ベクターで形質転換またはトランスフェクトされた宿主細胞を提供する。
【0008】
他の局面において、本発明は、上記のポリペプチドまたはポリヌクレオチド、および薬学的に受容可能なキャリアを含む薬学的組成物を提供する。
【0009】
本発明の関連する局面において、予防的または治療的使用のためのワクチンまたは免疫原性組成物が提供される。このようなワクチンは、上記のポリペプチドまたはポリヌクレオチドおよび免疫刺激剤を含む。
【0010】
本発明はさらに、以下を含む薬学的組成物を提供する:(a)肺腫瘍タンパク質に特異的に結合する抗体またはその抗原結合フラグメント;および(b)生理学的に受容可能なキャリア。
【0011】
さらなる局面において、本発明は、以下を含む薬学的組成物を提供する:(a)上記のポリペプチドを発現する抗原提示細胞、および(b)薬学的に受容可能なキャリアまたは賦形剤。抗原提示細胞としては、樹状細胞、マクロファージ、単球、線維芽細胞およびB細胞が挙げられる。
【0012】
関連する局面において、以下を含むワクチンまたは免疫原性組成物が提供される:(a)上記のようなポリペプチドを発現する抗原提示細胞、および(b)免疫刺激剤。
【0013】
本発明はさらに、他の局面において、上記少なくとも1つのポリペプチドを含む融合タンパク質、ならびにこのような融合タンパク質をコードするポリヌクレオチドを提供する。
【0014】
関連する局面において、融合タンパク質、融合タンパク質をコードするポリヌクレオチドを含む薬学的組成物は、生理学的に受容可能なキャリアと組み合わされて提供される。
【0015】
他の局面において、融合タンパク質または融合タンパク質をコードするポリヌクレオチドを含むワクチン、または免疫原性組成物は、免疫刺激剤と組み合わされてさらに提供される。
【0016】
さらなる局面において、本発明は、患者における癌の発生を阻害する方法を提供し、この方法は、上に列挙された薬学的組成物または免疫原性組成物を、患者に投与する工程を包含する。患者が肺癌に冒され得る場合、この方法は、この疾患を処置するために提供され得るか、またはこのような疾患の危険があると考えられる患者は、予防的に処置され得る。
【0017】
本発明はさらに、他の局面において、生物学的サンプルから腫瘍細胞を除去する方法を提供し、その方法は、生物学的サンプルを、肺癌腫瘍タンパク質と特異的に反応するT細胞と接触させる工程を包含する。ここで接触させる工程は、サンプルから、タンパク質を発現する細胞の除去を可能にするための十分な条件および時間で行われる。
【0018】
関連する局面において、患者における癌の発生を阻害する方法が提供され、この方法は、上記のように処置された生物学的サンプルを、患者に投与する工程を包含する。
【0019】
他の局面において、肺腫瘍タンパク質に特異的なT細胞を刺激および/または拡大するための方法がさらに提供され、この方法は、T細胞の刺激および/または拡大することを可能にするのに十分な条件および時間の下で、T細胞を、以下の1つ以上と接触させる工程を包含する:(i)上記のポリペプチド;(ii)このようなポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;および/または(iii)このようなポリペプチドを発現する抗原提示細胞。上記のように調製されたT細胞を含む単離されたT細胞集団はまた、提供される。
【0020】
さらなる局面において、本発明は、患者における癌の発生を阻害するための方法を提供し、この方法は、上記の有効量のT細胞集団を、患者に投与する工程を包含する。
【0021】
本発明は、さらに、患者における癌の発生を阻害する方法を提供し、この方法は以下の工程を包含する:(a)患者から単離されたCD4+および/またはCD8+T細胞を、以下の1以上とともにインキュベートする工程:(i)肺腫瘍タンパク質の少なくとも免疫原性部分を含むポリペプチド;(ii)このようなポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;および(iii)このようなポリヌクレオチドを発現する抗原提示細胞;および(b)有効量の増殖したT細胞を患者に投与し、そしてそれによって患者における癌の発生を阻害する工程。増殖した細胞は、患者への投与の前にクローン化され得るが、それは必要ではない。
【0022】
さらなる局面において、本発明は、患者における癌の存在または非存在を決定する方法を提供し、この方法は、以下の工程を包含する:(a)患者から得られた生物学的サンプルを、上に列挙されたポリペプチドに結合する結合因子と接触させる工程;(b)結合因子に結合するポリペプチドのサンプル中の量を検出する工程;および(c)ポリペプチドの量を、予め決定されたカットオフ値と比較し、それから患者における癌の存在または非存在を決定する工程。好ましい実施形態において、結合因子は、抗体、より好ましくはモノクローナル抗体である。癌は、肺癌であり得る。
【0023】
本発明はまた、他の局面において、患者における癌の進行をモニタリングする方法を提供する。このような方法は、以下の工程を包含する:(a)第1の時点で、患者より得た生物学的サンプルを、上に列挙されたポリペプチドに結合する結合因子と接触させる工程;(b)結合因子に結合するポリペプチドのサンプル中の量を検出する工程;(c)続く時点で、患者より得た生物学的サンプルを使用して、工程(a)および(b)を反復する工程;ならびに(d)工程(c)で検出されたポリペプチドの量を、工程(d)で検出された量と比較し、そしてそれから、被験体における癌の進行をモニタリングする工程。
【0024】
本発明は、他の局面において、患者における癌の存在または非存在を検出する方法をさらに提供し、その方法は、以下の工程を包含する:(a)患者から得られた生物学的サンプルを、肺腫瘍タンパク質をコードするポリヌクレオチドにハイブリダイズするオリゴヌクレオチドと接触させる工程;(b)オリゴヌクレオチドにハイブリダイズするポリヌクレオチド、好ましくはmRNA、のサンプル中のレベルを検出する工程;および(c)オリゴヌクレオチドにハイブリダイズするポリヌクレオチドのレベルを、予め決められたカットオフ値と比較し、それから患者における癌の存在または非存在を決定する工程。特定の実施形態において、mRNAの量は、例えば、少なくとも1つのオリゴヌクレオチドプライマー(上に列挙されたポリペプチドをコードするポリヌクレオチドまたはこのようなポリヌクレオチドの相補体にハイブリダイズする)を使用するポリメラーゼ連鎖反応を通じて検出される。他の実施形態において、mRNAの量は、上記のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドまたはそのようなポリヌクレオチドの相補体にハイブリダイズするオリゴヌクレオチドプローブを使用してハイブリダイゼーション技術を使用して検出される。
【0025】
関連する局面において、患者における癌の進行をモニタリングする方法を提供し、この方法は以下の工程を包含する:(a)患者から得られた生物学的サンプルを、肺腫瘍タンパク質をコードするポリヌクレオチドにハイブリダイズするオリゴヌクレオチドと接触させる工程;(b)オリゴヌクレオチドにハイブリダイズするポリヌクレオチドのサンプル中の量を検出する工程;(c)続く時点で、患者より得られた生物学的サンプルを使用して、工程(a)および(b)を反復する工程;ならびに(d)工程(c)で検出されたポリヌクレオチドの量を、工程(b)で検出された量と比較し、それから患者における癌の進行をモニタリングする工程。
【0026】
さらなる局面において、本発明は、上記のようにポリペプチドに結合するモノクローナル抗体のような抗体、ならびにそのような抗体を備える診断キットを提供する。上記のような1以上のオリゴヌクレオチドプローブまたはプライマーを供える診断キットもまた、提供される。
【0027】
本発明のこれらの局面および他の局面は、以下の詳細な説明および添付の図面を参照すれば明確になる。本明細書中に開示されるすべての参考文献は、各々が個別に援用されるように、そのすべてが本明細書中で参考として援用される。
【0028】
(配列識別子)
配列番号1は、クローン番号19038について決定されたcDNA配列であり、L845Pともいわれる。
配列番号2は、クローン番号19036について決定されたcDNA配列である。
配列番号3は、クローン番号19034について決定されたcDNA配列である。
配列番号4は、クローン番号19033について決定されたcDNA配列である。
配列番号5は、クローン番号19032について決定されたcDNA配列である。
配列番号6は、クローン番号19030について決定されたcDNA配列であり、L559Sともいわれる。
配列番号7は、クローン番号19029について決定されたcDNA配列である。
配列番号8は、クローン番号19025について決定されたcDNA配列である。
配列番号9は、クローン番号19023について決定されたcDNA配列である。
配列番号10は、クローン番号18929について決定されたcDNA配列である。
配列番号11は、クローン番号19010について決定されたcDNA配列である。
配列番号12は、クローン番号19009について決定されたcDNA配列である。
配列番号13は、クローン番号19005、19007、19016および19017について決定されたcDNA配列である。
配列番号14は、クローン番号19004について決定されたcDNA配列である。
配列番号15は、クローン番号19002および18965について決定されたcDNA配列である。
配列番号16は、クローン番号18998について決定されたcDNA配列である。
配列番号17は、クローン番号18997について決定されたcDNA配列である。
配列番号18は、クローン番号18996について決定されたcDNA配列である。
配列番号19は、クローン番号18995について決定されたcDNA配列である。
配列番号20は、クローン番号18994について決定されたcDNA配列であり、L846Pとしても公知である。
配列番号21は、クローン番号18992について決定されたcDNA配列である。
配列番号22は、クローン番号18991について決定されたcDNA配列である。
配列番号23は、クローン番号18990について決定されたcDNA配列であり、クローン番号20111ともいわれる。
配列番号24は、クローン番号18987について決定されたcDNA配列である。
配列番号25は、クローン番号18985について決定されたcDNA配列であり、L839Pともいわれる。
配列番号26は、クローン番号18984について決定されたcDNA配列であり、L847Pともいわれる。
配列番号27は、クローン番号18983について決定されたcDNA配列である。
配列番号28は、クローン番号18976および18980について決定されたcDNA配列である。
配列番号29は、クローン番号18975について決定されたcDNA配列である。
配列番号30は、クローン番号18974について決定されたcDNA配列である。
配列番号31は、クローン番号18973について決定されたcDNA配列である。
配列番号32は、クローン番号18972について決定されたcDNA配列である。
配列番号33は、クローン番号18971について決定されたcDNA配列であり、L801Pともいわれる。
配列番号34は、クローン番号18970について決定されたcDNA配列である。
配列番号35は、クローン番号18966について決定されたcDNA配列である。
配列番号36は、クローン番号18964、18968および19039について決定されたcDNA配列である。
配列番号37は、クローン番号18960について決定されたcDNA配列である。
配列番号38は、クローン番号18959について決定されたcDNA配列である。
配列番号39は、クローン番号18958および18982について決定されたcDNA配列である。
配列番号40は、クローン番号18956および19015について決定されたcDNA配列である。
配列番号41は、クローン番号18954について決定されたcDNA配列であり、L848Pともいわれる。
配列番号42は、クローン番号18951について決定されたcDNA配列である。
配列番号43は、クローン番号18950について決定されたcDNA配列である。
配列番号44は、クローン番号18949および19024について決定されたcDNA配列であり、L844Pともいわれる。
配列番号45は、クローン番号18948について決定されたcDNA配列である。
配列番号46は、クローン番号18947について決定されたcDNA配列であり、L840Pともいわれる。
配列番号47は、クローン番号18946、18953、18969および19027について決定されたcDNA配列である。
配列番号48は、クローン番号18942について決定されたcDNA配列である。
配列番号49は、クローン番号18940、18962、18963、19006、19008、19000、および19031について決定されたcDNA配列である。
配列番号50は、クローン番号18939について決定されたcDNA配列である。
配列番号51は、クローン番号18938および18952について決定されたcDNA配列である。
配列番号52は、クローン番号18938について決定されたcDNA配列である。
配列番号53は、クローン番号18937について決定されたcDNA配列である。
配列番号54は、クローン番号18934、18935、18993および19022について決定されたcDNA配列であり、L548Sともいわれる。
配列番号55は、クローン番号18932について決定されたcDNA配列である。
配列番号56は、クローン番号18931および18936について決定されたcDNA配列である。
配列番号57は、クローン番号18930について決定されたcDNA配列である。
配列番号58は、クローン番号19014について決定されたcDNA配列であり、L773Pともいわれる。
配列番号59は、クローン番号19127について決定されたcDNA配列である。
配列番号60は、クローン番号19057および19064について決定されたcDNA配列である。
配列番号61は、クローン番号19122について決定されたcDNA配列である。
配列番号62は、クローン番号19120および18121について決定されたcDNA配列である。
配列番号63は、クローン番号19118について決定されたcDNA配列である。
配列番号64は、クローン番号19117について決定されたcDNA配列である。
配列番号65は、クローン番号19116について決定されたcDNA配列である。
配列番号66は、クローン番号19114について決定されたcDNA配列である。
配列番号67は、クローン番号19112について決定されたcDNA配列であり、L561Sとしても公知である。
配列番号68は、クローン番号19110について決定されたcDNA配列である。
配列番号69は、クローン番号19107について決定されたcDNA配列であり、L552Sともいわれる。
配列番号70は、クローン番号19106について決定されたcDNA配列であり、L547Sともいわれる。
配列番号71は、クローン番号19105および19111について決定されたcDNA配列である。
配列番号72は、クローン番号19099について決定されたcDNA配列である。
配列番号73は、クローン番号19095、19104および19125について決定されたcDNA配列であり、L549Sともいわれる。
配列番号74は、クローン番号19094について決定されたcDNA配列である。
配列番号75は、クローン番号19089および19101について決定されたcDNA配列である。
配列番号76は、クローン番号19088について決定されたcDNA配列である。
配列番号77は、クローン番号19087、19092、19096、19100および19119について決定されたcDNA配列である。
配列番号78は、クローン番号19086について決定されたcDNA配列である。
配列番号79は、クローン番号19085について決定されたcDNA配列であり、L550Sともいわれる。
配列番号80は、クローン番号19084について決定されたcDNA配列であり、クローン番号19079ともいわれる。
配列番号81は、クローン番号19082について決定されたcDNA配列である。
配列番号82は、クローン番号19080について決定されたcDNA配列である。
配列番号83は、クローン番号19077について決定されたcDNA配列である。
配列番号84は、クローン番号19076について決定されたcDNA配列であり、L551Sともいわれる。
配列番号85は、クローン番号19074について決定されたcDNA配列であり、クローン番号20102ともいわれる。
配列番号86は、クローン番号19073について決定されたcDNA配列であり、L560Sともいわれる。
配列番号87は、クローン番号19072および19115について決定されたcDNA配列である。
配列番号88は、クローン番号19071について決定されたcDNA配列である。
配列番号89は、クローン番号19070について決定されたcDNA配列である。
配列番号90は、クローン番号19069について決定されたcDNA配列である。
配列番号91は、クローン番号19068について決定されたcDNA配列であり、L563Sともいわれる。
配列番号92は、クローン番号19066について決定されたcDNA配列である。
配列番号93は、クローン番号19065について決定されたcDNA配列である。
配列番号94は、クローン番号19063について決定されたcDNA配列である。
配列番号95は、クローン番号19061、19081、19108および19109について決定されたcDNA配列である。
配列番号96は、クローン番号19060、19067および19083について決定されたcDNA配列であり、L548Sともいわれる。
配列番号97は、クローン番号19059および19062について決定されたcDNA配列である。
配列番号98は、クローン番号19058について決定されたcDNA配列である。
配列番号99は、クローン番号19124について決定されたcDNA配列である。
配列番号100は、クローン番号18929について決定されたcDNA配列である。
配列番号101は、クローン番号18422について決定されたcDNA配列である。
配列番号102は、クローン番号18425について決定されたcDNA配列である。
配列番号103は、クローン番号18431について決定されたcDNA配列である。
配列番号104は、クローン番号18433について決定されたcDNA配列である。
配列番号105は、クローン番号18444について決定されたcDNA配列である。
配列番号106は、クローン番号18449について決定されたcDNA配列である。
配列番号107は、クローン番号18451について決定されたcDNA配列である。
配列番号108は、クローン番号18452について決定されたcDNA配列である。
配列番号109は、クローン番号18455について決定されたcDNA配列である。
配列番号110は、クローン番号18457について決定されたcDNA配列である。
配列番号111は、クローン番号18466について決定されたcDNA配列である。
配列番号112は、クローン番号18468について決定されたcDNA配列である。
配列番号113は、クローン番号18471について決定されたcDNA配列である。
配列番号114は、クローン番号18475について決定されたcDNA配列である。
配列番号115は、クローン番号18476について決定されたcDNA配列である。
配列番号116は、クローン番号18477について決定されたcDNA配列である。
配列番号117は、クローン番号20631について決定されたcDNA配列である。
配列番号118は、クローン番号20634について決定されたcDNA配列である。
配列番号119は、クローン番号20635について決定されたcDNA配列である。
配列番号120は、クローン番号20637について決定されたcDNA配列である。
配列番号121は、クローン番号20638について決定されたcDNA配列である。
配列番号122は、クローン番号20643について決定されたcDNA配列である。
配列番号123は、クローン番号20652について決定されたcDNA配列である。
配列番号124は、クローン番号20653について決定されたcDNA配列である。
配列番号125は、クローン番号20657について決定されたcDNA配列である。
配列番号126は、クローン番号20658について決定されたcDNA配列である。
配列番号127は、クローン番号20660について決定されたcDNA配列である。
配列番号128は、クローン番号20661について決定されたcDNA配列である。
配列番号129は、クローン番号20663について決定されたcDNA配列である。
配列番号130は、クローン番号20665について決定されたcDNA配列である。
配列番号131は、クローン番号20670について決定されたcDNA配列である。
配列番号132は、クローン番号20671について決定されたcDNA配列である。
配列番号133は、クローン番号20672について決定されたcDNA配列である。
配列番号134は、クローン番号20675について決定されたcDNA配列である。
配列番号135は、クローン番号20679について決定されたcDNA配列である。
配列番号136は、クローン番号20681について決定されたcDNA配列である。
配列番号137は、クローン番号20682について決定されたcDNA配列である。
配列番号138は、クローン番号20684について決定されたcDNA配列である。
配列番号139は、クローン番号20685について決定されたcDNA配列である。
配列番号140は、クローン番号20689について決定されたcDNA配列である。
配列番号141は、クローン番号20699について決定されたcDNA配列である。
配列番号142は、クローン番号20701について決定されたcDNA配列である。
配列番号143は、クローン番号20702について決定されたcDNA配列である。
配列番号144は、クローン番号20708について決定されたcDNA配列である。
配列番号145は、クローン番号20715について決定されたcDNA配列である。
配列番号146は、クローン番号20716について決定されたcDNA配列である。
配列番号147は、クローン番号20719について決定されたcDNA配列である。
配列番号148は、クローン番号19129について決定されたcDNA配列である。
配列番号149は、クローン番号19131.1について決定されたcDNA配列である。
配列番号150は、クローン番号19132.2について決定されたcDNA配列である。
配列番号151は、クローン番号19133について決定されたcDNA配列である。
配列番号152は、クローン番号19134.2について決定されたcDNA配列である。
配列番号153は、クローン番号19135.2について決定されたcDNA配列である。
配列番号154は、クローン番号19137について決定されたcDNA配列である。
配列番号155は、クローン番号19138.1について第1に決定されたについて決定されたcDNA配列である。
配列番号156は、クローン番号19138.2について第2に決定されたcDNA配列である。
配列番号157は、クローン番号19139について決定されたcDNA配列である。
配列番号158は、クローン番号19140.1について第1に決定されたcDNA配列である。
配列番号159は、クローン番号19140.2について第2に決定されたcDNA配列である。
配列番号160は、クローン番号19141について決定されたcDNA配列である。
配列番号161は、クローン番号19143について決定されたcDNA配列である。
配列番号162は、クローン番号19144について決定されたcDNA配列である。
配列番号163は、クローン番号19145.1について第1に決定されたcDNA配列である。
配列番号164は、クローン番号19145.2について第2に決定されたcDNA配列である。
配列番号165は、クローン番号19146について決定されたcDNA配列である。
配列番号166は、クローン番号19149.1について決定されたcDNA配列である。
配列番号167は、クローン番号19152について決定されたcDNA配列である。
配列番号168は、クローン番号19153.1について第1に決定されたcDNA配列である。
配列番号169は、クローン番号19153.2について第2に決定されたcDNA配列である。
配列番号170は、クローン番号19155について決定されたcDNA配列である。
配列番号171は、クローン番号19157について決定されたcDNA配列である。
配列番号172は、クローン番号19159について決定されたcDNA配列である。
配列番号173は、クローン番号19160について決定されたcDNA配列である。
配列番号174は、クローン番号19161.1について第1に決定されたcDNA配列である。
配列番号175は、クローン番号19161.2について第2に決定されたcDNA配列である。
配列番号176は、クローン番号19162.1について決定されたcDNA配列である。
配列番号177は、クローン番号19166について決定されたcDNA配列である。
配列番号178は、クローン番号19169について決定されたcDNA配列である。
配列番号179は、クローン番号19171について決定されたcDNA配列である。
配列番号180は、クローン番号19173.1について第1に決定されたcDNA配列である。
配列番号181は、クローン番号19173.2について第2に決定されたcDNA配列である。
配列番号182は、クローン番号19174.1について決定されたcDNA配列である。
配列番号183は、クローン番号19175について決定されたcDNA配列である。
配列番号184は、クローン番号19177について決定されたcDNA配列である。
配列番号185は、クローン番号19178について決定されたcDNA配列である。
配列番号186は、クローン番号19179.1について決定されたcDNA配列である。
配列番号187は、クローン番号19179.2について決定されたcDNA配列である。
配列番号188は、クローン番号19180について決定されたcDNA配列である。
配列番号189は、クローン番号19182.1について第1に決定されたcDNA配列である。
配列番号190は、クローン番号19182.2について第2に決定されたcDNA配列である。
配列番号191は、クローン番号19183.1について決定されたcDNA配列である。
配列番号192は、クローン番号19185.1について決定されたcDNA配列である。
配列番号193は、クローン番号19187について決定されたcDNA配列である。
配列番号194は、クローン番号19188について決定されたcDNA配列である。
配列番号195は、クローン番号19190について決定されたcDNA配列である。
配列番号196は、クローン番号19191について決定されたcDNA配列である。
配列番号197は、クローン番号19192について決定されたcDNA配列である。
配列番号198は、クローン番号19193について決定されたcDNA配列である。
配列番号199は、クローン番号19194.1について第1に決定されたcDNA配列である。
配列番号200は、クローン番号19194.2について第2に決定されたcDNA配列である。
配列番号201は、クローン番号19197について決定されたcDNA配列である。
配列番号202は、クローン番号19200.1について第1に決定されたcDNA配列である。
配列番号203は、クローン番号19200.2について第2に決定されたcDNA配列である。
配列番号204は、クローン番号19202について決定されたcDNA配列である。
配列番号205は、クローン番号19204.1について第1に決定されたcDNA配列である。
配列番号206は、クローン番号19204.2について第2に決定されたcDNA配列である。
配列番号207は、クローン番号19205について決定されたcDNA配列である。
配列番号208は、クローン番号19206.1について第1に決定されたcDNA配列である。
配列番号209は、クローン番号19206.2について第2に決定されたcDNA配列である。
配列番号210は、クローン番号19207について決定されたcDNA配列である。
配列番号211は、クローン番号19208について決定されたcDNA配列である。
配列番号212は、クローン番号19211.1について第1に決定されたcDNA配列である。
配列番号213は、クローン番号19211.2について第2に決定されたcDNA配列である。
配列番号214は、クローン番号19214.1について第1に決定されたcDNA配列である。
配列番号215は、クローン番号19214.2について第2に決定されたcDNA配列である。
配列番号216は、クローン番号19215について決定されたcDNA配列である。
配列番号217は、クローン番号19217.2について第1に決定されたcDNA配列である。
配列番号218は、クローン番号19217.2について第2に決定されたcDNA配列である。
配列番号219は、クローン番号19218.1について第1に決定されたcDNA配列である。
配列番号220は、クローン番号19218.2について第2に決定されたcDNA配列である。
配列番号221は、クローン番号19220.1について第1に決定されたcDNA配列である。
配列番号222は、クローン番号19220.2について第2に決定されたcDNA配列である。
配列番号223は、クローン番号22015について決定されたcDNA配列である。
配列番号224は、クローン番号22017について決定されたcDNA配列である。
配列番号225は、クローン番号22019について決定されたcDNA配列である。
配列番号226は、クローン番号22020について決定されたcDNA配列である。
配列番号227は、クローン番号22023について決定されたcDNA配列である。
配列番号228は、クローン番号22026について決定されたcDNA配列である。
配列番号229は、クローン番号22027について決定されたcDNA配列である。
配列番号230は、クローン番号22028について決定されたcDNA配列である。
配列番号231は、クローン番号22032について決定されたcDNA配列である。
配列番号232は、クローン番号22037について決定されたcDNA配列である。
配列番号233は、クローン番号22045について決定されたcDNA配列である。
配列番号234は、クローン番号22048について決定されたcDNA配列である。
配列番号235は、クローン番号22050について決定されたcDNA配列である。
配列番号236は、クローン番号22052について決定されたcDNA配列である。
配列番号237は、クローン番号22053について決定されたcDNA配列である。
配列番号238は、クローン番号22057について決定されたcDNA配列である。
配列番号239は、クローン番号22066について決定されたcDNA配列である。
配列番号240は、クローン番号22077について決定されたcDNA配列である。
配列番号241は、クローン番号22085について決定されたcDNA配列である。
配列番号242は、クローン番号22105について決定されたcDNA配列である。
配列番号243は、クローン番号22108について決定されたcDNA配列である。
配列番号244は、クローン番号22109について決定されたcDNA配列である。
配列番号245は、クローン番号24842について決定されたcDNA配列である。
配列番号246は、クローン番号24843について決定されたcDNA配列である。
配列番号247は、クローン番号24845について決定されたcDNA配列である。
配列番号248は、クローン番号24851について決定されたcDNA配列である。
配列番号249は、クローン番号24852について決定されたcDNA配列である。
配列番号250は、クローン番号24853について決定されたcDNA配列である。
配列番号251は、クローン番号24854について決定されたcDNA配列である。
配列番号252は、クローン番号24855について決定されたcDNA配列である。
配列番号253は、クローン番号24860について決定されたcDNA配列である。
配列番号254は、クローン番号24864について決定されたcDNA配列である。
配列番号255は、クローン番号24866について決定されたcDNA配列である。
配列番号256は、クローン番号24867について決定されたcDNA配列である。
配列番号257は、クローン番号24868について決定されたcDNA配列である。
配列番号258は、クローン番号24869について決定されたcDNA配列である。
配列番号259は、クローン番号24870について決定されたcDNA配列である。
配列番号260は、クローン番号24872について決定されたcDNA配列である。
配列番号261は、クローン番号24873について決定されたcDNA配列である。
配列番号262は、クローン番号24875について決定されたcDNA配列である。
配列番号263は、クローン番号24882について決定されたcDNA配列である。
配列番号264は、クローン番号24885について決定されたcDNA配列である。
配列番号265は、クローン番号24886について決定されたcDNA配列である。
配列番号266は、クローン番号24887について決定されたcDNA配列である。
配列番号267は、クローン番号24888について決定されたcDNA配列である。
配列番号268は、クローン番号24890について決定されたcDNA配列である。
配列番号269は、クローン番号24896について決定されたcDNA配列である。
配列番号270は、クローン番号24897について決定されたcDNA配列である。
配列番号271は、クローン番号24899について決定されたcDNA配列である。
配列番号272は、クローン番号24901について決定されたcDNA配列である。
配列番号273は、クローン番号24902について決定されたcDNA配列である。
配列番号274は、クローン番号24906について決定されたcDNA配列である。
配列番号275は、クローン番号24912について決定されたcDNA配列である。
配列番号276は、クローン番号24913について決定されたcDNA配列である。
配列番号277は、クローン番号24920について決定されたcDNA配列である。
配列番号278は、クローン番号24927について決定されたcDNA配列である。
配列番号279は、クローン番号24930について決定されたcDNA配列である。
配列番号280は、クローン番号26938について決定されたcDNA配列である。
配列番号281は、クローン番号26939について決定されたcDNA配列である。
配列番号282は、クローン番号26943について決定されたcDNA配列である。
配列番号283は、クローン番号26948について決定されたcDNA配列である。
配列番号284は、クローン番号26951について決定されたcDNA配列である。
配列番号285は、クローン番号26955について決定されたcDNA配列である。
配列番号286は、クローン番号26956について決定されたcDNA配列である。
配列番号287は、クローン番号26959について決定されたcDNA配列である。
配列番号288は、クローン番号26961について決定されたcDNA配列である。
配列番号289は、クローン番号26962について決定されたcDNA配列である。
配列番号290は、クローン番号26964について決定されたcDNA配列である。
配列番号291は、クローン番号26966について決定されたcDNA配列である。
配列番号292は、クローン番号26968について決定されたcDNA配列である。
配列番号293は、クローン番号26972について決定されたcDNA配列である。
配列番号294は、クローン番号26973について決定されたcDNA配列である。
配列番号295は、クローン番号26974について決定されたcDNA配列である。
配列番号296は、クローン番号26976について決定されたcDNA配列である。
配列番号297は、クローン番号26977について決定されたcDNA配列である。
配列番号298は、クローン番号26979について決定されたcDNA配列である。
配列番号299は、クローン番号26980について決定されたcDNA配列である。
配列番号300は、クローン番号26981について決定されたcDNA配列である。
配列番号301は、クローン番号26984について決定されたcDNA配列である。
配列番号302は、クローン番号26985について決定されたcDNA配列である。
配列番号303は、クローン番号26986について決定されたcDNA配列である。
配列番号304は、クローン番号26993について決定されたcDNA配列である。
配列番号305は、クローン番号26994について決定されたcDNA配列である。
配列番号306は、クローン番号26995について決定されたcDNA配列である。
配列番号307は、クローン番号27003について決定されたcDNA配列である。
配列番号308は、クローン番号27005について決定されたcDNA配列である。
配列番号309は、クローン番号27010について決定されたcDNA配列である。
配列番号310は、クローン番号27011について決定されたcDNA配列である。
配列番号311は、クローン番号27013について決定されたcDNA配列である。
配列番号312は、クローン番号27016について決定されたcDNA配列である。
配列番号313は、クローン番号27017について決定されたcDNA配列である。
配列番号314は、クローン番号27019について決定されたcDNA配列である。
配列番号315は、クローン番号27028について決定されたcDNA配列である。
配列番号316は、クローン番号19060についての全長cDNA配列である。
配列番号317は、クローン番号18964についての全長cDNA配列である。
配列番号318は、クローン番号18929についての全長cDNA配列である。
配列番号319は、クローン番号18991についての全長cDNA配列である。
配列番号320は、クローン番号18996についての全長cDNA配列である。
配列番号321は、クローン番号18966についての全長cDNA配列である。
配列番号322は、クローン番号18951についての全長cDNA配列である。
配列番号323は、クローン番号18973についての全長cDNA配列である(L516Sとしてもまた公知である)。
配列番号324は、クローン番号19060についてのアミノ酸配列である。
配列番号325は、クローン番号19063についてのアミノ酸配列である。
配列番号326は、クローン番号19077についてのアミノ酸配列である。
配列番号327は、クローン番号19110についてのアミノ酸配列である。
配列番号328は、クローン番号19122についてのアミノ酸配列である。
配列番号329は、クローン番号19118についてのアミノ酸配列である。
配列番号330は、クローン番号19080についてのアミノ酸配列である。
配列番号331は、クローン番号19127についてのアミノ酸配列である。
配列番号332は、クローン番号19117についてのアミノ酸配列である。
配列番号333は、クローン番号19095についてのアミノ酸配列であり、L549Sともいわれる。
配列番号334は、クローン番号18964についてのアミノ酸配列である。
配列番号335は、クローン番号18929についてのアミノ酸配列である。
配列番号336は、クローン番号18991についてのアミノ酸配列である。
配列番号337は、クローン番号18996についてのアミノ酸配列である。
配列番号338は、クローン番号18966についてのアミノ酸配列である。
配列番号339は、クローン番号18951についてのアミノ酸配列である。
配列番号340は、クローン番号18973についてのアミノ酸配列である。
配列番号341は、クローン26461について決定されたcDNA配列である。
配列番号342は、クローン26462について決定されたcDNA配列である。
配列番号343は、クローン26463について決定されたcDNA配列である。
配列番号344は、クローン26464について決定されたcDNA配列である。
配列番号345は、クローン26465について決定されたcDNA配列である。
配列番号346は、クローン26466について決定されたcDNA配列である。
配列番号347は、クローン26467について決定されたcDNA配列である。
配列番号348は、クローン26468について決定されたcDNA配列である。
配列番号349は、クローン26469について決定されたcDNA配列である。
配列番号350は、クローン26470について決定されたcDNA配列である。
配列番号351は、クローン26471について決定されたcDNA配列である。
配列番号352は、クローン26472について決定されたcDNA配列である。
配列番号353は、クローン26474について決定されたcDNA配列である。
配列番号354は、クローン26475について決定されたcDNA配列である。
配列番号355は、クローン26476について決定されたcDNA配列である。
配列番号356は、クローン26477について決定されたcDNA配列である。
配列番号357は、クローン26478について決定されたcDNA配列である。
配列番号358は、クローン26479について決定されたcDNA配列である。
配列番号359は、クローン26480について決定されたcDNA配列である。
配列番号360は、クローン26481について決定されたcDNA配列である。
配列番号361は、クローン26482について決定されたcDNA配列である。
配列番号362は、クローン26483について決定されたcDNA配列である。
配列番号363は、クローン26484について決定されたcDNA配列である。
配列番号364は、クローン26485について決定されたcDNA配列である。
配列番号365は、クローン26486について決定されたcDNA配列である。
配列番号366は、クローン26487について決定されたcDNA配列である。
配列番号367は、クローン26488について決定されたcDNA配列である。
配列番号368は、クローン26489について決定されたcDNA配列である。
配列番号369は、クローン26490について決定されたcDNA配列である。
配列番号370は、クローン26491について決定されたcDNA配列である。
配列番号371は、クローン26492について決定されたcDNA配列である。
配列番号372は、クローン26493について決定されたcDNA配列である。
配列番号373は、クローン26494について決定されたcDNA配列である。
配列番号374は、クローン26495について決定されたcDNA配列である。
配列番号375は、クローン26496について決定されたcDNA配列である。
配列番号376は、クローン26497について決定されたcDNA配列である。
配列番号377は、クローン26498について決定されたcDNA配列である。
配列番号378は、クローン26499について決定されたcDNA配列である。
配列番号379は、クローン26500について決定されたcDNA配列である。
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配列番号596は、クローン26253について決定されたcDNA配列である。
配列番号597は、クローン26254について決定されたcDNA配列である。
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配列番号606は、クローン26264について決定されたcDNA配列である。
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配列番号608は、クローン26266について決定されたcDNA配列である。
配列番号609は、クローン26268について決定されたcDNA配列である。
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配列番号614は、クローン26811について決定されたcDNA配列である。
配列番号615は、クローン26812.1について決定されたcDNA配列である。
配列番号616は、クローン26812.2について決定されたcDNA配列である。
配列番号617は、クローン26813について決定されたcDNA配列である。
配列番号618は、クローン26814について決定されたcDNA配列である。
配列番号619は、クローン26815について決定されたcDNA配列である。
配列番号620は、クローン26816について決定されたcDNA配列である。
配列番号621は、クローン26818について決定されたcDNA配列である。
配列番号622は、クローン26819について決定されたcDNA配列である。
配列番号623は、クローン26820について決定されたcDNA配列である。
配列番号624は、クローン26821について決定されたcDNA配列である。
配列番号625は、クローン26822について決定されたcDNA配列である。
配列番号626は、クローン26824について決定されたcDNA配列である。
配列番号627は、クローン26825について決定されたcDNA配列である。
配列番号628は、クローン26826について決定されたcDNA配列である。
配列番号629は、クローン26827について決定されたcDNA配列である。
配列番号630は、クローン26829について決定されたcDNA配列である。
配列番号631は、クローン26830について決定されたcDNA配列である。
配列番号632は、クローン26831について決定されたcDNA配列である。
配列番号633は、クローン26832について決定されたcDNA配列である。
配列番号634は、クローン26835について決定されたcDNA配列である。
配列番号635は、クローン26836について決定されたcDNA配列である。
配列番号636は、クローン26837について決定されたcDNA配列である。
配列番号637は、クローン26839について決定されたcDNA配列である。
配列番号638は、クローン26841について決定されたcDNA配列である。
配列番号639は、クローン26843について決定されたcDNA配列である。
配列番号640は、クローン26844について決定されたcDNA配列である。
配列番号641は、クローン26845について決定されたcDNA配列である。
配列番号642は、クローン26846について決定されたcDNA配列である。
配列番号643は、クローン26847について決定されたcDNA配列である。
配列番号644は、クローン26848について決定されたcDNA配列である。
配列番号645は、クローン26849について決定されたcDNA配列である。
配列番号646は、クローン26850について決定されたcDNA配列である。
配列番号647は、クローン26851について決定されたcDNA配列である。
配列番号648は、クローン26852について決定されたcDNA配列である。
配列番号649は、クローン26853について決定されたcDNA配列である。
配列番号650は、クローン26854について決定されたcDNA配列である。
配列番号651は、クローン26856について決定されたcDNA配列である。
配列番号652は、クローン26857について決定されたcDNA配列である。
配列番号653は、クローン26858について決定されたcDNA配列である。
配列番号654は、クローン26859について決定されたcDNA配列である。
配列番号655は、クローン26860について決定されたcDNA配列である。
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配列番号658は、クローン26864について決定されたcDNA配列である。
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配列番号660は、クローン26867について決定されたcDNA配列である。
配列番号661は、クローン26868について決定されたcDNA配列である。
配列番号662は、クローン26871について決定されたcDNA配列である。
配列番号663は、クローン26873について決定されたcDNA配列である。
配列番号664は、クローン26875について決定されたcDNA配列である。
配列番号665は、クローン26876について決定されたcDNA配列である。
配列番号666は、クローン26877について決定されたcDNA配列である。
配列番号667は、クローン26878について決定されたcDNA配列である。
配列番号668は、クローン26880について決定されたcDNA配列である。
配列番号669は、クローン26882について決定されたcDNA配列である。
配列番号670は、クローン26883について決定されたcDNA配列である。
配列番号671は、クローン26884について決定されたcDNA配列である。
配列番号672は、クローン26885について決定されたcDNA配列である。
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配列番号674は、クローン26887について決定されたcDNA配列である。
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配列番号679は、クローン26894について決定されたcDNA配列である。
配列番号680は、クローン26895について決定されたcDNA配列である。
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配列番号684は、クローン26900について決定されたcDNA配列である。
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配列番号686は、クローン26903について決定されたcDNA配列である。
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配列番号690は、クローン26709について決定されたcDNA配列である。
配列番号691は、クローン26710について決定されたcDNA配列である。
配列番号692は、クローン26711について決定されたcDNA配列である。
配列番号693は、クローン26712について決定されたcDNA配列である。
配列番号694は、クローン26713について決定されたcDNA配列である。
配列番号695は、クローン26714について決定されたcDNA配列である。
配列番号696は、クローン26715について決定されたcDNA配列である。
配列番号697は、クローン26716について決定されたcDNA配列である。
配列番号698は、クローン26717について決定されたcDNA配列である。
配列番号699は、クローン26718について決定されたcDNA配列である。
配列番号700は、クローン26719について決定されたcDNA配列である。
配列番号701は、クローン26720について決定されたcDNA配列である。
配列番号702は、クローン26721について決定されたcDNA配列である。
配列番号703は、クローン26722について決定されたcDNA配列である。
配列番号704は、クローン26723について決定されたcDNA配列である。
配列番号705は、クローン26724について決定されたcDNA配列である。
配列番号706は、クローン26725について決定されたcDNA配列である。
配列番号707は、クローン26726について決定されたcDNA配列である。
配列番号708は、クローン26727について決定されたcDNA配列である。
配列番号709は、クローン26728について決定されたcDNA配列である。
配列番号710は、クローン26729について決定されたcDNA配列である。
配列番号711は、クローン26730について決定されたcDNA配列である。
配列番号712は、クローン26731について決定されたcDNA配列である。
配列番号713は、クローン26732について決定されたcDNA配列である。
配列番号714は、クローン26733.1について決定されたcDNA配列である。
配列番号715は、クローン26733.2について決定されたcDNA配列である。
配列番号716は、クローン26734について決定されたcDNA配列である。
配列番号717は、クローン26735について決定されたcDNA配列である。
配列番号718は、クローン26736について決定されたcDNA配列である。
配列番号719は、クローン26737について決定されたcDNA配列である。
配列番号720は、クローン26738について決定されたcDNA配列である。
配列番号721は、クローン26739について決定されたcDNA配列である。
配列番号722は、クローン26741について決定されたcDNA配列である。
配列番号723は、クローン26742について決定されたcDNA配列である。
配列番号724は、クローン26743について決定されたcDNA配列である。
配列番号725は、クローン26744について決定されたcDNA配列である。
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配列番号727は、クローン26746について決定されたcDNA配列である。
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配列番号743は、クローン26762について決定されたcDNA配列である。
配列番号744は、クローン26763について決定されたcDNA配列である。
配列番号745は、クローン26764について決定されたcDNA配列である。
配列番号746は、クローン26765について決定されたcDNA配列である。
配列番号747は、クローン26766について決定されたcDNA配列である。
配列番号748は、クローン26767について決定されたcDNA配列である。
配列番号749は、クローン26768について決定されたcDNA配列である。
配列番号750は、クローン26769について決定されたcDNA配列である。
配列番号751は、クローン26770について決定されたcDNA配列である。
配列番号752は、クローン26771について決定されたcDNA配列である。
配列番号753は、クローン26772について決定されたcDNA配列である。
配列番号754は、クローン26773について決定されたcDNA配列である。
配列番号755は、クローン26774について決定されたcDNA配列である。
配列番号756は、クローン26775について決定されたcDNA配列である。
配列番号757は、クローン26776について決定されたcDNA配列である。
配列番号758は、クローン26777について決定されたcDNA配列である。
配列番号759は、クローン26778について決定されたcDNA配列である。
配列番号760は、クローン26779について決定されたcDNA配列である。
配列番号761は、クローン26781について決定されたcDNA配列である。
配列番号762は、クローン26782について決定されたcDNA配列である。
配列番号763は、クローン26783について決定されたcDNA配列である。
配列番号764は、クローン26784について決定されたcDNA配列である。
配列番号765は、クローン26785について決定されたcDNA配列である。
配列番号766は、クローン26786について決定されたcDNA配列である。
配列番号767は、クローン26787について決定されたcDNA配列である。
配列番号768は、クローン26788について決定されたcDNA配列である。
配列番号769は、クローン26790について決定されたcDNA配列である。
配列番号770は、クローン26791について決定されたcDNA配列である。
配列番号771は、クローン26792について決定されたcDNA配列である。
配列番号772は、クローン26793について決定されたcDNA配列である。
配列番号773は、クローン26794について決定されたcDNA配列である。
配列番号774は、クローン26795について決定されたcDNA配列である。
配列番号775は、クローン26796について決定されたcDNA配列である。
配列番号776は、クローン26797について決定されたcDNA配列である。
配列番号777は、クローン26798について決定されたcDNA配列である。
配列番号778は、クローン26800について決定されたcDNA配列である。
配列番号779は、クローン26801について決定されたcDNA配列である。
配列番号780は、クローン26802について決定されたcDNA配列である。
配列番号781は、クローン26803について決定されたcDNA配列である。
配列番号782は、クローン26804について決定されたcDNA配列である。
配列番号783は、L773Pについてのアミノ酸配列である。
配列番号784は、L773P発現構築物の決定されたDNA配列である。
配列番号785は、L773PA発現構築物の決定されたDNA配列である。
配列番号786は、L552Sについての推定アミノ酸配列である。
配列番号787は、L840Pについての推定アミノ酸配列である。
配列番号788は、L548Sについての全長cDNA配列である。
配列番号789は、配列番号788によってコードされるアミノ酸配列である。
配列番号790は、L552Sについての伸長されたcDNA配列である。
配列番号791は、配列番号790のcDNA配列によってコードされる推定アミノ酸配列である。
配列番号792は、L552Sのアイソフォームについて決定されたcDNA配列である。
配列番号793は、配列番号792によってコードされる推定アミノ酸配列である。
配列番号794は、L840Pについての伸長されたcDNA配列である。
配列番号795は、配列番号794によってコードされる推定アミノ酸配列である。
配列番号796は、L801Pについての伸長されたcDNA配列である。
配列番号797は、配列番号796によってコードされる第1の推定アミノ酸配列である。
配列番号798は、配列番号796によってコードされる第2の推定アミノ酸配列である。
配列番号799は、配列番号796によってコードされる第3の推定アミノ酸配列である。
配列番号800は、L844Pについて決定された全長配列である。
配列番号801は、L551Sについての5’コンセンサスcDNA配列である。
配列番号802は、L551Sについての3’コンセンサスcDNA配列である。
配列番号803は、STY8についてのcDNA配列である。
配列番号804は、L551Sについての伸長されたcDNA配列である。
配列番号805は、STY8についてのアミノ酸配列である。
配列番号806は、L551Sについての伸長されたアミノ酸配列である。
配列番号807は、L773Pについての決定された全長cDNA配列である。
配列番号808は、L552Sの全長cDNA配列である。
配列番号809は、L552Sの全長アミノ酸配列である。
配列番号810は、クローン50989の決定されたcDNA配列である。
配列番号811は、クローン50990の決定されたcDNA配列である。
配列番号812は、クローン50992の決定されたcDNA配列である。
配列番号813〜824は、肺腫瘍組織から単離されたクローンについて決定されたcDNA配列である。
配列番号825は、全長L551Sクローン54305について決定されたcDNA配列である。
配列番号826は、全長L551Sクローン54298について決定されたcDNA配列である。
配列番号827は、L551Sについての全長アミノ酸配列である。
【0029】
(発明の詳細な説明)
上記のように、本発明は一般に、組成物およびこの組成物を使用するための方法(例えば、肺癌のような癌の治療および診断)に関する。本明細書中に記載される特定の例示的な組成物としては、肺腫瘍ポリペプチド、このようなポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、抗原のような結合因子、抗原提示細胞(APC)および/または免疫系細胞(例えば、T細胞)が挙げられる。本明細書中で使用される場合、用語「肺腫瘍タンパク質」は、一般に、本明細書中で提供される代表的なアッセイを使用して決定する場合、正常組織における発現レベルよりも、少なくとも2倍、および好ましくは少なくとも5倍高いレベルで、肺腫瘍細胞中で発現されるタンパク質をいう。特定の肺腫瘍タンパク質は、肺癌に罹患した患者の抗血清と検出可能に反応する(ELISAまたはウエスタンブロットのようなイムノアッセイで)腫瘍タンパク質である。
【0030】
その結果、上記に従って、そして以下でさらに記載されるように、本発明は、配列番号1、11〜13、15、20、23〜27、29、30、33、34、39、41、43〜46、51、52、57、58、60、62、65〜67、69〜71、74、76、79、80、84、86、89〜92、95、97、98、101、110、111、113〜119、121〜128、130〜134、136、138、139、141、143、146〜151、153、154、157〜160、162〜164、167〜178、180、181、183、186〜190、192、193、195〜220、224、226〜231、234、236、237、240、241、244〜246、248、254、255、261、262、266、270、275、280、282、283、288、289、290、292、295、301、303、304、309、311、341〜782、784、785、790、792、794、796、800〜804、807、808および810〜826に記載される配列を有する例示的なポリヌクレオチド組成物、配列番号786、787、791、793、795、797〜799、806、809および827に記載のアミノ酸配列を有する例示的ポリペプチド、このようなポリペプチドに結合し得る抗体組成物、ならびにこのような組成物を使用する多数のさらなる実施形態(例えば、ヒト肺癌の検出、診断および/または治療)を提供する。
【0031】
(ポリヌクレオチド組成物)
本明細書中で使用される場合、用語「DNAセグメント」および「ポリヌクレオチド」は、特定の種の全ゲノムDNAを含まない単離されたDNA分子をいう。従って、ポリペプチドをコードするDNAセグメントは、DNAセグメントが得られる種の全ゲノムDNAから実質的に単離されたか、またはこのゲノムDNAから精製された、1つ以上のコード配列を含むDNAセグメントをいう。DNAセグメントおよびこのようなセグメントのより小さなフラグメント、そしてまた、組換えベクター(例えば、プラスミド、コスミド、ファージミド、ファージ、ウイルスなどを含む)が、用語「DNAセグメント」および「ポリヌクレオチド」内に含まれる。
【0032】
当業者に理解されるように、本発明のDNAセグメントは、タンパク質、ポリペプチド、ペプチドなどを発現するか、または発現し得るように適応されたゲノム配列、ゲノム外配列およびプラスミドにコードされる配列、ならびにより小さな操作された遺伝子セグメントを含み得る。このようなセグメントは、自然に単離され得るか、または人の手によって合成的に改変され得る。
【0033】
本明細書中で使用される場合、「単離された」は、ポリヌクレオチドが、実質的に他のコード配列から離れており、そしてDNAセグメントが無関係のコードDNA(例えば、大きな染色体フラグメントまたは他の機能的遺伝子あるいはポリペプチドコード領域)の大部分を含まないことを意味する。当然のことながら、これは、最初に単離され、そして人の手によってセグメントに加えられた後に遺伝子またはコード領域を除外しないDNAセグメントをいう。
【0034】
当業者に認識されるように、ポリヌクレオチドは、一本鎖(コードもしくはアンチセンス)または二本鎖であり得、そしてDNA分子(ゲノム、cDNAもしくは合成)またはRNA分子であり得る。RNA分子は、HnRNA分子(これはイントロンを含み、そしてDNA分子に1対1の様式で対応する)、およびmRNA分子(これは、イントロンを含まない)を含む。さらなるコード配列または非コード配列は、本発明のポリヌクレオチド内に存在し得るがその必要はなく、そしてポリヌクレオチドは、他の分子および/または支持材料に連結され得るがその必要はない。
【0035】
ポリヌクレオチドは、ネイティブの配列(すなわち、肺腫瘍タンパク質をコードする内因性配列またはその部分)を含み得るか、あるいはこのような配列の改変体、または生物学的もしくは抗原性の機能的均等物を含み得る。ポリヌクレオチド改変体は、以下にさらに記載されるように、好ましくはネイティブの腫瘍タンパク質と比較して、コードされたポリペプチドの免疫原性が減少しないように、1つ以上の置換、付加、欠失、および/または挿入を含み得る。コードされたポリペプチドの免疫原性の効果は、一般に、本明細書中に記載されるように評価され得る。用語「改変体」はまた、異種間の起源の相同な遺伝子を含む。
【0036】
ポリヌクレオチド配列またはポリペプチド配列を比較する場合、2つの配列におけるヌクレオチドまたはアミノ酸の配列が、以下に記載されるように最大一致について整列される場合に同じときに、2つの配列が「同一」であるといわれる。2つの配列の間の比較は、代表的には、配列類似性の局所領域を同定および比較するために、比較ウインドウ(comparison window)にわたって配列を比較することによって行われる。本明細書中で使用される場合、「比較ウインドウ」は、少なくとも約20、通常は30〜約75、40〜約50の連続した位置のセグメントをいい、ここで、2つの配列が最適に整列された後に、配列が連続した位置の同じ数の参照配列と比較され得る。
【0037】
比較のための配列の最適な整列は、生命情報科学ソフトウエアのLasergeneスイート(suite)におけるMegalignプログラム(DNASTAR,Inc.,Madison,WI)を使用して、デフォルトパラメーターで行われ得る。このプログラムは、以下の参考文献に記載のいくつかの整列スキームを統合する:Dayhoff,M.O.(編)Atlas of Protein Sequence and Structure,National Biomedical Research Foundation,Washington DC Vol.5,Suppl.3,pp.345−358におけるDayhoff,M.O.(1978)A model of evolutionary change in proteins−Matrices for detecting distant relationships.;Hein J.(1990)Unified Approach to Alignment and Phylogenes pp.626−645 Methods in Enzymology vol.183,Academic Press,Inc.,San Diego,CA;Higgins,D.G.およびSharp,P.M.(1989)CABIOS 5:151−153;Myers,E.W.およびMuller W.(1988)CABIOS 4:11−17;Robinson,E.D.(1971)Comb.Theor 11:105;Santou,N.Nes,M.(1987)Mol.Biol.Evol.4:406−425;Sneath,P.H.A.およびSokal,R.R.(1973)Numerical Taxonomy−the Principles and Practice of Numerical Taxonomy,Freeman Press,San Francisco,CA;Wilbur,W.J.およびLipman,D.J.(1983)Proc.Natl.Acad.,Sci.USA 80:726−730。
【0038】
あるいは、比較のための配列の最適な整列は、SmithおよびWaterman(1981)Add.APL.Math2:482の局所同定アルゴリズムによって、NeedlemanおよびWunsch(1970)J.Mol.Biol.48:443の同定整列アルゴリズムによって、PearsonおよびLipman(1988)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 85:2444の類似性検索方法によって、これらのアルゴリズムのコンピュータ化した実行(Wisconsin Genetics Software Package,Genetics Computer Group(GCG),575 Science Dr.,Madison,WIにおけるGAP、BESTFIT、BLAST、FASTA、およびTFASTA)によって、または検査によって行われ得る。
【0039】
配列同一性および配列類似性の割合を決定するために適切なアルゴリズムの1つの好ましい例は、BLASTおよびBLAST2.0アルゴリズムであり、これはそれぞれAltschul et al.(1977)Nucl.Acids Res.25:3389−3402およびAltschul et al.(1990)J.Mol.Biol.215:403−410に記載される。BLASTおよびBLAST2.0は、本発明のポリヌクレオチドおよびポリペプチドについての配列同一性の割合を決定するために、例えば、本明細書中に記載のパラメータを使用して使用され得る。BLAST分析を行うためのソフトウエアは、生物工学情報についてのナショナルセンターを通して公に利用可能である。1つの例示的な例において、累積スコアは、ヌクレオチド配列について、パラメーターM(一致する残基の対についての報酬スコア(reward scored);常に>0)およびN(ミスマッチ残基についてのペナルティスコア;常に<0)を使用して算出され得る。アミノ酸配列について、スコアリング行列は、累積スコアを算出するために使用され得る。各指示におけるワードヒットの拡大は、以下の場合に停止する:累積整列スコアが、その最大到達値から量Xだけ低下した場合;累積スコアが、1以上の負のスコアの残基整列の累積に起因してゼロ以下になった場合;またはいずれかの配列の末端に到達した場合。このBLASTアルゴリズムパラメーターW、TおよびXは、整列の感度および速度を決定する。BLASTNプログラム(ヌクレオチド配列について)は、ワード長さ(W)11、および期待値(E)10をデフォルトとして使用し、そしてBLOSUM62スコアリング行列(HenikoffおよびHenikoff(1989)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 89:10915を参照のこと)は、50の(B)、期待値(E)10、M=5、N=−4、および両方の鎖の比較を整列する。
【0040】
好ましくは、「配列同一性のパーセンテージ」は、少なくとも20位置の比較ウインドウにわたる2つの最適に整列した配列を比較することによって決定され、ここで比較ウインドウ中のポリヌクレオチド配列またはポリペプチド配列の部分は、参照配列(これは、付加または欠失を含まない)と比較して、2つの配列の最適な整列について20パーセント以下、通常は5〜15パーセント、または10〜12パーセントの付加または欠失(すなわち、ギャップ)を含み得る。このパーセンテージは、両方の配列で同一の核酸塩基またはアミノ酸残基が生じる位置の数を決定して一致する位置の数を得、この一致する位置の数を参照配列における位置の総数(すなわち、ウインドウサイズ)で除算し、そしてこの結果に100を掛けて配列同一性のパーセンテージを得ることによって算出される。
【0041】
従って、本発明は、本明細書中に開示される配列に実質的に同一性を有するポリヌクレオチド配列およびポリペプチド配列(例えば、本明細書中に記載される方法(例えば、以下に記載するような標準パラメーターを使用するBLAST分析)を使用する本発明のポリヌクレオチド配列またはポリペプチド配列と比較して、少なくとも50%の配列同一性、好ましくは少なくとも55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%以上の配列同一性を含む配列)を含む。当業者は、これらの値が、コドンの縮重、アミノ酸類似性、リーディングフレームの位置などを考慮することによって、2つのヌクレオチド配列によってコードされるタンパク質の対応する同一性を決定するために、適切に調整され得ることを認識する。
【0042】
さらなる実施形態において、本発明は、本明細書中に記載の配列の1つ以上に同一であるかまたは相補的な配列の種々の長さの連続したストレッチを含む単離されたポリヌクレオチドおよびポリペプチドを提供する。例えば、本発明に開示される配列の1つ以上の、少なくとも約15、20、30、40、50、75、100、150、200、300、400、500または1000以上、ならびにその間の中間の長さの連続したヌクレオチドを含むポリヌクレオチドが、本発明によって提供される。本発明の状況において、「中間の長さ」が、示される値の間の任意の長さ(例えば、16、17、18、19など;21、22、23など;30、31、32など;50、51、52、53など;100、101、102、103など;150、151、152、153など;200〜500;500〜1,000などの間の全ての整数を含む)を意味することが容易に理解される。
【0043】
本発明のポリヌクレオチド、またはそのフラグメントは、そのコード配列の長さに関わらず、他のDNA配列(例えば、プロモーター、ポリアデニル化シグナル、さらなる制限酵素部位、マルチクローニング部位、他のコードセグメントなど)と組合わされ得、その結果、その全体の長さは、相当変化し得る。従って、ほとんど任意の長さの核酸フラグメントが使用され得ることが意図され、その全長は、好ましくは意図した組換えDNAプロトコルにおける調製および使用の容易さによって制限される。例えば、約10,000、約5000、約3000、約2,000、約1,000、約500、約200、約100、約50の塩基対長など(全ての中間の長さを含む)の全長を有する例示的なDNAセグメントが、本発明の多くの実行において有用であることが意図される。
【0044】
他の実施形態において、本発明は、中程度にストリンジェントな条件下で、本明細書中で提供されるポリヌクレオチド配列またはそのフラグメント、あるいはその相補配列にハイブリダイズし得るポリヌクレオチドに関する。ハイブリダイゼーション技術は、分子生物学の分野において周知である。例示の目的で、本発明のポリヌクレオチドの、他のポリヌクレオチドとのハイブリダイゼーションを試験するために適切な中程度にストリンジェントな条件は、5×SSC、0.5% SDS、1.0mM EDTA(pH8.0)の溶液中での予洗;50℃〜65℃、5×SSCで一晩のハイブリダイゼーション;続いて0.1% SDSを含む2×、0.5×、および0.2×SSCで各20分、65℃で2回の洗浄を含む。
【0045】
さらに、遺伝コードの縮重の結果として、本明細書中に記載されるようなポリペプチドをコードする多くのヌクレオチド配列が存在することが、当業者に理解される。これらのポリヌクレオチドのうちいくつかは、任意のネイティブな遺伝子のヌクレオチド配列に対して最小の相同性を有する。それにもかかわらず、コドンの用法における差異に起因して変化するポリヌクレオチドは、本発明によって詳細に意図される。さらに、本明細書中で提供されるポリヌクレオチド配列を含む遺伝子の対立遺伝子は、本発明の範囲内である。対立遺伝子は、1以上の変異(例えば、ヌクレオチドの欠失、付加および/または置換)の結果として変化する内因性遺伝子である。得られたmRNAおよびタンパク質は、変化した構造または機能を有するが、その必要はない。対立遺伝子は、標準的な技術(例えば、ハイブリダイゼーション、増幅および/またはデータベース配列比較)を用いて、同定され得る。
【0046】
(プローブおよびプライマー)
本発明の他の実施形態において、本明細書中で提供されるポリヌクレオチド配列は、核酸のハイブリダイゼーションのためのプローブまたはプライマーとして、有利に使用され得る。そのようなものとして、本明細書中で開示される15ヌクレオチド長の連続した配列と同じ配列か、またはこの連続した配列に相補的な配列を有する、少なくとも約15ヌクレオチド長の連続した配列の配列領域を含む核酸セグメントが、特定の有用性を見出すことが意図される。より長い連続した同一または相補的な配列(例えば、約20、30、40、50、100、200、500、1000(全ての中間長さを含む)および全長配列までの配列)はまた、特定の実施形態において使用される。
【0047】
このような核酸プローブの、目的の配列に特異的にハイブリダイズする能力は、所定のサンプルにおける相補配列の存在を検出における使用を可能にする。しかし、他の用途(例えば、変異体種プライマーの調製のための配列情報の使用、または他の遺伝的構築物の調製における使用のためのプライマーの使用)もまた想定される。
【0048】
10〜14、15〜20、30、50、または100〜200ヌクレオチド程度(同様に中間長さを含む)の連続したヌクレオチドストレッチを含む配列領域を有し、本明細書中に開示されるポリヌクレオチド配列に同一または相補的なポリヌクレオチド分子は、例えばサザンブロッティングまたはノーザンブロッティングにおける使用のためのハイブリダイゼーションプローブとして特に意図される。これは、遺伝子産物またはそのフラグメントの、多様な細胞型およびまた種々の細菌細胞の両方における分析を可能とする。フラグメントの全サイズ、ならびに相補的ストレッチのサイズは、究極的には、特定の核酸セグメントの意図される用途または適用に依存する。同様のフラグメントは、一般にハイブリダイゼーション実施形態における用途を見出し、ここで連続した相補領域の長さが変化され得る(例えば、約15ヌクレオチドと約100ヌクレオチドとの間)が、検出を望む相補配列の長さに従って、より長い連続した相補ストレッチが使用され得る。
【0049】
約15〜25ヌクレオチド長のハイブリダイゼーションプローブの使用は、安定および選択的の両方の二重鎖分子の形成を可能にする。しかし、15塩基長より長いストレッチの連続した相補配列を有する分子は、ハイブリッドの安定性および選択性を増加するために一般に好ましく、それによって、得られる特異的ハイブリッド分子の質および程度が改善する。15〜25の連続したヌクレオチド、または望まれる場合にはより長い遺伝子相補的ストレッチを有する核酸分子を設計するのが一般には好ましい。
【0050】
ハイブリダイゼーションプローブは、本明細書中に記載される配列のいずれかの、任意の部分から選択され得る。必要とされる全ては、配列番号1、11〜13、15、20、23〜27、29、30、33、34、39、41、43〜46、51、52、57、58、60、62、65〜67、69〜71、74、76、79、80、84、86、89〜92、95、97、98、101、110、111、113〜119、121〜128、130〜134、136、138、139、141、143、146〜151、153、154、157〜160、162〜164、167〜178、180、181、183、186〜190、192、193、195〜220、224、226〜231、234、236、237、240、241、244〜246、248、254、255、261、262、266、270、275、280、282、283、288、289、290、292、295、301、303、304、309、311、341〜782、784、785、790、792、794、796、800〜804、807、808および810〜826に記載の配列、あるいはプローブまたはプライマーとしての利用を望む約15〜25ヌクレオチド長から全長配列まで、および全長配列を含む配列の任意の連続した部分までを再検討することである。プローブおよびプライマー配列の選択は、種々の要因によって支配され得る。例えば、全配列の終端に向かってプライマーを使用することが望まれ得る。
【0051】
小さなポリヌクレオチドセグメントまたはフラグメントは、通常は自動オリゴヌクレオチド合成機を使用して行われるので、例えば化学的手段によってフラグメントを直接合成することによって、容易に調製され得る。また、フラグメントは、核酸複製技術(例えば、米国特許第4,683,202号(本明細書中に参考として援用される)のPCRTM技術)の適用によって、組換え産物のために選択配列を組換えベクターに導入することによって、および一般に分子生物学の分野の当業者に公知の他の組換えDNA技術によって、得られ得る。
【0052】
本発明のヌクレオチド配列は、目的の完全遺伝子または遺伝子フラグメントのいずれかの相補的ストレッチと、二重鎖分子を選択的に形成するその能力のために使用され得る。想定される適用に依存して、代表的には、標的配列に対するプローブの選択性の種々の程度に達するために、ハイブリダイゼーションの種々の条件を使用することが望ましい。高い選択性を必要とする適用について、代表的には、ハイブリッドを形成するための比較的ストリンジェントな条件(例えば、比較的低い塩、および/または高温の条件(例えば、約50℃〜約70℃で、約0.02M〜約0.15Mの塩の塩濃度によって提供されるような)を使用することが望ましい。このような選択条件は、存在する場合、プローブとテンプレートまたは標的鎖との間のミスマッチにわずかに許容性であり、そして関連する配列の単離のために特に適切である。
【0053】
当然のことながら、いくつかの適用(例えば、潜在的なテンプレートにハイブリダイズする変異体プライマー鎖を使用する、変異体の調製が望ましい場合)について、低ストリンジェント(減少したストリンジェンシー)のハイブリダイゼーション条件は、ヘテロ二重鎖を形成するために代表的に必要とされる。これらの状況において、約20℃〜約55℃の温度範囲で約0.15M〜約0.9Mの塩の条件のような塩条件を使用することが望ましくあり得る。これによって、交差ハイブリダイズ種は、コントロールハイブリダイゼーションに関して、陽性ハイブリダイズシグナルとして容易に同定され得る。任意の場合において、ホルムアミド(これは、増加した温度と同じ様式で、ハイブリッド二重鎖を不安定化するように作用する)の増加した量の添加によって、条件がよりストリンジェントになり得ることが一般に理解される。従って、ハイブリダイゼーション条件は、容易に操作され得、そして一般に、所望の結果に依存する最良の方法である。
【0054】
(ポリヌクレオチドの同定および特徴づけ)
ポリヌクレオチドは、種々の十分に確立された技術のいずれかを使用して、同定、調製および/または操作され得る。例えば、ポリヌクレオチドは、以下により詳細に記載されるように、cDNAのマイクロアレイを腫瘍に関連する発現(すなわち、本明細書中で提供される代表的なアッセイを使用して決定する場合、正常な組織における発現よりも、腫瘍での少なくとも2倍高い発現)についてスクリーニングすることによって、同定され得る。このようなスクリーニングは、例えば、製造者の指示に従ってSynteniマイクロアレイ(Palo Alto,CA)を使用して(そして本質的にSchena et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 93:10614−10619,1996およびHeller et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 94:2150−2155,1997に記載されるように)、行われ得る。あるいは、ポリヌクレオチドは、本明細書中に記載されるタンパク質を発現する細胞(例えば、肺腫瘍細胞)から調製されるcDNAから増幅され得る。このようなポリヌクレオチドは、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を介して増幅され得る。このアプローチのために、配列特異的プライマーが、本明細書中で提供される配列に基づいて設計され得、そして購入または合成され得る。
【0055】
本発明のポリヌクレオチドの増幅した部分を使用して、適切なライブラリー(例えば、肺腫瘍cDNAライブラリー)から周知の技術を使用して全長遺伝子を単離し得る。このような技術において、増幅に適した1以上のポリヌクレオチドプローブまたはプライマーを使用して、ライブラリー(cDNAライブラリーまたはゲノムライブラリー)をスクリーニングする。好ましくは、ライブラリーはより大きな分子を含むようにサイズが選択される。無作為に刺激されたライブラリー(random primed library)もまた、遺伝子の5’領域および上流領域の同定ために好ましい。ゲノムライブラリーは、イントロンを入手することおよび5’配列を伸長させることについて好ましい。
【0056】
ハイブリダイゼーション技術に関して、部分配列は、周知の技術を使用して標識(例えば、ニックトランスレーションまたは32Pでの末端標識)され得る。次いで、細菌ライブラリーまたはバクテリオファージライブラリーは、一般に、標識プローブと、変性した細菌コロニー(またはファージプラークを含む菌叢)を含むフィルターとをハイブリダイズすることによってスクリーニングされる(Sambrookら,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratories,Cold Spring Harbor,NY,1989を参照のこと)。ハイブリダイズするコロニーまたはプラークを選択し、そして拡大する。そしてそのDNAをさらなる分析のために単離する。cDNAクローンを、さらなる付加配列の量を決定するために、例えば、部分配列由来のプライマーおよびそのベクター由来のプライマーを使用するPCRによって分析し得る。制限地図および部分配列を作成して、1以上の重複クローンを同定し得る。次いで、標準的な技術(これは、一連の欠失クローンを作製することを包含し得る)を使用して完全配列を決定し得る。次いで、得られた重複配列を1つの連続配列中にアセンブルし得る。周知の技術を使用して、適切なフラグメントに連結することにより全長cDNA分子を生成し得る。
【0057】
あるいは、部分cDNA配列由来の全長コード配列を得るための多くの増幅技術が存在する。このような技術において、増幅は、一般的に、PCRを介して行われる。種々の市販キットのいずれかを使用して増幅工程を行い得る。例えば、当該分野で周知のソフトウエアを使用してプライマーを設計し得る。プライマーは、好ましくは、長さが22〜30ヌクレオチドであり、少なくとも50%のGC含有量を有し、そして標的配列に約68℃〜72℃の温度でアニールする。増幅した領域は、上記に記載されるように配列決定され得、そして重複配列を連続する配列へと構築する。
【0058】
このような増幅技術の1つは、インバースPCRである(Trigliaら,Nucl.Acids Res.16:8186,1988を参照のこと)。この技術は、制限酵素を使用して、その遺伝子の既知の領域内のフラグメントを生成する。次いで、このフラグメントを分子内連結により環状化し、そして既知の領域に由来する多岐したプライマーを用いたPCRのための鋳型として使用する。代替のアプローチにおいて、部分配列に隣接した配列を、リンカー配列に対するプライマーおよび既知の領域に特異的なプライマーを使用する増幅により取り出し得る。この増幅した配列を、代表的に、同じリンカープライマーおよび既知の領域に特異的な第2のプライマーを使用する2回目の増幅に供する。既知の配列から反対方向に伸長を開始する2つのプライマーを使用するこの手順についての改変は、WO 96/38591に記載される。そのような別の技術は、「迅速なcDNA末端の増幅」またはRACEとして公知である。この技術は、公知配列の5’および3’である配列を同定するために、内側プライマーおよび外側プライマー(これらは、ポリA領域またはベクター配列にハイブリダイズする)の使用を含む。さらなる技術としては、キャプチャーPCR(Langerstromら,PCR Methods Applic.1:111−19,1991)およびウォーキングPCR(Parkerら、Nucl.Acids.Res.19:3055−60,1991)が挙げられる。増幅を利用する他の方法もまた使用して、全長cDNA配列を入手し得る。
【0059】
特定の場合において、発現配列タグ(EST)データベース(例えば、GenBankより入手可能のもの)に提供される配列の分析により、全長cDNA配列を入手することが可能である。重複ESTの検索は、一般に、周知のプログラム(例えば、NCBI BLAST検索)を使用して行われ得、そしてこのようなESTを使用して連続した全長配列を生成し得る。全長DNA配列はまた、ゲノムフラグメントの分析により入手され得る。
【0060】
(宿主細胞におけるポリヌクレオチド発現)
本発明の他の実施形態において、本発明のポリペプチドまたはその融合タンパク質もしくは機能的等価物をコードするポリヌクレオチド配列またはそのフラグメントは、適切な宿主細胞におけるポリペプチドの発現に方向付けるように組換えDNA分子において使用され得る。遺伝コードの先天的な縮重に起因して、実質的に同じか、または機能的に等価なアミノ酸配列をコードする他のDNA配列が産生され得、そしてこれらの配列を使用して所定のポリペプチドをクローン化し、そして発現させ得る。
【0061】
当業者によって理解されるように、いくつかの場合において、天然に存在しないコドンを所有するヌクレオチド配列をコードするポリペプチドを作製することが有利であり得る。例えば、特定の原核生物宿主または真核生物宿主に好まれるコドンは、タンパク質発現の速度を増加させるためか、または所望の特性(例えば、天然に存在する配列から生成される転写物の半減期よりも長い半減期)を有する組換えRNA転写物を産生するように選択され得る。
【0062】
さらに、本発明のポリペプチド配列は、種々の理由(遺伝子産物のクローニング、プロセシング、および/または発現を変更する改変が挙げられるが、それらに限定されない)のためにポリペプチドコード配列を変更するために、当該分野において一般的に公知の方法を使用して操作され得る。例えば、無作為切断によるDNAシャッフリングならびに遺伝子フラグメントおよび合成オリゴヌクレオチドのPCR再アセンブリを使用して、ヌクレオチド配列を操作し得る。さらに、部位指向性変異誘発(site−directed mutagenesis)を使用して、新たな制限部位を挿入し得るか、グリコシル化パターンを改変し得るか、コドン優先(preference)を変化させ得るか、スプライス改変体を作製し得るか、または変異を導入したりなどし得る。
【0063】
本発明の別の実施形態において、天然の核酸配列、改変された核酸配列、または組換え核酸配列は、融合タンパク質をコードする異種配列に連結され得る。例えば、ポリペプチド活性のインヒビターについてペプチドライブラリーをスクリーニングするために、市販の抗体により認識され得るキメラタンパク質をコードすることが有用であり得る。融合タンパク質はまた、ポリペプチドコード配列と異種タンパク質配列との間に位置する切断部位を含むように操作され得、その結果そのポリペプチドは、切断されて、そして異種部分から精製されて取り出される。
【0064】
所望のポリペプチドをコードする配列が、当該分野において周知の化学的方法を使用して、全体または部分的に合成され得る(Cauthers,M.H.ら、(1980)Nucl.Acids Res.Symp.Ser.215〜223、Hom,Tら、(1980)Nucl.Acids Res.Symp.Ser.225〜232を参照のこと)。あるいは、タンパク質自体は、ポリペプチドまたはその一部のアミノ酸配列を合成するための化学的方法を使用して産生され得る。例えば、ペプチド合成は、種々の固相技術を使用して実施され得(Roberg,J.Yら、(1995)Science 269:202〜204)、そして自動化合成は、例えば、ABI 431A Peptide Synthesizer(Perkin Elmer,Palo Alto,CA)を使用して達成され得る。
【0065】
新たに合成されたペプチドは、分離高速液体クロマトグラフィー(例えば、Creigton,T.(1983)Proteins,Structures and Molcular Principles,WH Freeman and Co.,New York,N.Y.)または当該分野において利用可能な他の同等技術により実質的に精製され得る。合成ペプチドの組成物は、アミノ酸分析または配列決定(例えば、エドマン分解手順)により確認され得る。さらに、ポリペプチドまたはその任意の部分のアミノ酸配列は、直接合成の間改変されて、そして/または化学的方法を使用して、他のタンパク質もしくはその任意の部分に由来する配列と組み合わせられて、改変体ポリペプチドを産生し得る。
【0066】
所望のポリペプチドを発現させるために、ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列または機能的等価物は、適切な発現ベクター(すなわち、挿入されたコード配列の転写および翻訳のために必要なエレメントを含むベクター)内に挿入され得る。当業者に周知である方法を使用して、目的のポリペプチドをコードする配列および適切な転写制御エレメントおよび翻訳制御エレメントを含む発現ベクターを構築し得る。これらの方法としては、インビトロ組換えDNA技術、合成技術、およびインビボ遺伝子組換えが挙げられる。そのような技術は、Sambrook,Jら、(1989)Molecular Cloning,A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Press,Plainview,N.Y.,およびAusubel,F.M.ら、(1989)Current Protocols in Molecular Biology,John Wiley&Sons,New York.N.Y.に記載される。
【0067】
種々の発現ベクター/宿主系が、ポリヌクレオチド配列を含み、そして発現させるように利用され得る。これらとしては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:微生物(例えば、組換えバクテリオファージ、プラスミド、またはコスミドDNA発現ベクターで形質転換した細菌);酵母発現ベクターで形質転換した酵母;ウイルス発現ベクター(例えば、バキュロウイルス)で感染させた昆虫細胞系;ウイルス発現ベクター(例えば、カリフラワーモザイクウイルス、CaMV;タバコモザイクウイルス、TMV)または細菌発現ベクター(例えば、TiもしくはpBR322プラスミド)で形質転換した植物細胞系;または動物細胞系。
【0068】
発現ベクター内に存在する「制御エレメント」または「調節配列」は、転写および翻訳を実行するように宿主細胞タンパク質と相互作用する、それらのベクターの非翻訳領域(エンハンサー、プロモーター、5’および3’非翻訳領域)である。そのようなエレメントは、その長さおよび特異性を変更し得る。利用されるベクター系および宿主に依存して、多数の適切な転写エレメントおよび翻訳エレメント(構成的プロモーターおよび誘導性プロモーターを含む)が使用され得る。例えば、細菌系においてクローニングする場合、誘導性プロモーター(例えば、PBLUESCRIPTファージミド(Stratagene,La Jolla,Calif.)またはPSPORT1プラスミド(Gibco BRL,Gaithersburg,MD)などのハイブリッドlacZプロモーターが使用され得る。哺乳動物細胞系において、哺乳動物遺伝子または哺乳動物ウイルスに由来するプロモーターが、一般的に好ましい。ポリペプチドをコードする配列の複数のコピーを含む細胞株を生成することが必要とされる場合、SV40またはEBVベースのベクターが、適切な選択マーカーと共に都合良く使用され得る。
【0069】
細菌系において、多数の発現ベクターが、発現されるポリペプチドに対して意図される使用に依存して選択され得る。例えば、抗体の誘導のために大量に必要とされる場合、容易に精製される融合タンパク質の高レベルの発現を方向づけるベクターが使用され得る。そのようなベクターとしては、以下が挙げられるがそれらに限定されない:多機能性E.coliクローニングベクターおよび発現ベクター(例えば、BLUESCRIPT(Stratagene)、ここでは目的のポリペプチドをコードする配列が、β−ガラクトシダーゼのアミノ末端Metおよびそれに引続く7残基についての配列とインフレームでベクター内に連結され得、その結果、ハイブリッドタンパク質が産生される);pINベクター(Van Heeke,G.およびS.M.Schuster(1989)J.Biol.Chem.264:5503−5509)など。pGEXベクター(Promega,Madison,Wis.)はまた、グルタチオンSトランスフェラーゼ(GST)との融合タンパク質として外来ポリペプチドを発現させるために使用され得る。一般的に、そのような融合タンパク質は、可溶性であり、そしてグルタチオン−アガロースビーズに吸着させ、次に遊離のグルタチオンの存在下において溶出させることによって、溶解した細胞から容易に精製され得る。そのような系において作製されたタンパク質は、ヘパリン、トロンビン、または第XA因子プロテアーゼ切断部位を含むように設計され得、その結果、クローン化された目的のポリペプチドが、随意にGST部分から放出され得る。
【0070】
酵母(Saccharomyces cerevisiae)において、構成的プロモーターまたは誘導性プロモーター(例えば、α因子、アルコールオキシダーゼおよびPGH)を含む多数のベクターが使用され得る。概説については、Ausubelら、(前出)およびGrantら、(1987)Methods Enzymol.153:516−544を参照のこと。
【0071】
植物発現ベクターを使用する場合において、ポリペプチドをコードする配列の発現は、任意の多数のプロモーターにより駆動され得る。例えば、ウイルスプロモーター(例えば、CaMVの35Sプロモーターおよび19Sプロモーター)を、単独でか、またはTMVに由来するωリーダー配列と組み合わせて使用され得る(Takamatsu,N.(1987)EMBO J.6:307−311)。あるいは、植物プロモーター(例えば、RUBISCOの小サブユニットまたはヒートショックプロモーター)を使用し得る(Coruzzi,Gら、(1984)EMBO J.3:1671−1680;Broglie,Rら、(1984)Science224:838−843;およびWinter,Jら、(1991)Results Probl.Cell Differ.17:85−105)。これらの構築物は、直接的DNA形質転換または病原体媒介性トランスフェクションによって植物細胞内に導入され得る。そのような技術は、多数の一般的に入手可能な概説に記載されている(例えば、Hobbs,SまたはMurry,L.E.McGraw Hill Yearbook of Science and Technology(1992)McGraw Hill,New York,N.Y.;191−196頁を参照のこと)。
【0072】
昆虫系はまた、目的のポリペプチドを発現させるために使用され得る。例えば、そのような1つの系において、オートグラファカリフォルニア核発汗病ウイルス(Autographa californica nuclear polyhedrosis virus)(AcNPV)は、Spodoptera frugiperda細胞またはTrichoplusia larvaeにおける外来遺伝子を発現させるベクターとして使用される。ポリペプチドをコードする配列は、ウイルスの非必須領域内(例えば、ポリへドリン(polyhedrin)遺伝子)にクローン化され得て、ポリへドリンプロモーターの制御下に置かれ得る。ポリペプチドコード配列の首尾良い挿入は、ポリへドリン遺伝子を不活性化し、そして外殻タンパク質を欠損している組換えウイルスを産生する。次いで、この組換えウイルスを使用して、例えば、目的のポリペプチドが発現され得る、S.frugiperda細胞またはTrichoplusia larvaeに感染させ得る(Engelhard,E.K.ら、(1994)Proc.Natl.Acad.Sci.91:3224−3227)。
【0073】
哺乳動物宿主細胞において、多数のウイルスベースの発現系が一般的に利用可能である。例えば、アデノウイルスが、発現ベクターとして使用される場合において、目的のポリペプチドをコードする配列は、後期プロモーターおよび3部からなるリーダー配列から構成されるアデノウイルス転写/翻訳複合体内に連結され得る。ウイルスゲノムの非必須E1またはE3領域における挿入を使用して、感染した宿主細胞においてポリペプチドを発現し得る、生存可能ウイルスを入手し得る(Logan,J.およびShenk,T.(1984)Proc.Natl.Acad.Sci.81:3655−3659)。さらに、転写エンハンサー(例えば、ラウス肉腫ウイルス(RSV)エンハンサー)を使用して、哺乳動物宿主細胞における発現を増加させ得る。
【0074】
特定の開始シグナルはまた、目的のポリペプチドをコードする配列のより効率的な翻訳を達成するために使用され得る。そのようなシグナルとしては、ATG開始コドンおよび隣接配列が挙げられる。ポリペプチドをコードする配列、その開始コドンおよび上流配列が適切な発現ベクター内に挿入される場合において、さらなる転写制御シグナルまたは翻訳制御シグナルは必要とされなくとも良い。しかし、コード配列のみ、またはその一部のみが挿入される場合、ATG開始コドンを含む外因性翻訳制御シグナルが提供されるべきである。さらに、開始コドンは、インサート全体の翻訳を確実にするために正確なリーディングフレーム内にあるべきである。外因性翻訳エレメントおよび開始コドンは、種々の起源(天然および合成の両方)に由来し得る。発現の効率は、使用される特定の細胞系に適切なエンハンサー(例えば、文献(Scharf,Dら、(1994)Results Probl.Cell Differ.20:125−162)に記載されるエンハンサー)の封入によって増大され得る。
【0075】
さらに、宿主細胞株は、挿入された配列の発現を調節するか、または所望の様式において発現されたタンパク質をプロセシングするその能力について選択され得る。ポリペプチドのそのような改変としては、アセチル化、カルボキシル化、グリコシル化、リン酸化、リピデーション(lipidation)およびアシル化が挙げられるが、これらに限定されない。タンパク質の「プレプロ」形態を切断する翻訳後プロセシングはまた、正確な挿入、折り畳みおよび/または機能を促進させるために使用され得る。異なる宿主細胞(例えば、CHO、HeLa、MDCK、HEK293およびWI38)(これらは、そのような翻訳後活性についての特定の細胞機構(machinery)および特徴的機構(mechanisms)を有する)は、正確な改変および外来タンパク質のプロセシングを確実にするように選択され得る。
【0076】
組換えタンパク質の長期間で高収率の産生のために、安定な発現が一般的に好ましい。例えば、目的のポリヌクレオチドを安定に発現する細胞株が、ウイルス複製起点および/または内因性発現エレメントならびに同じかもしくは別個のベクター上の選択マーカー遺伝子を含み得る、発現ベクターを使用して形質転換され得る。そのベクターの導入後、細胞は、それらが選択培地に切換えられる前に、富化(enriched)培地において1〜2日間の増殖が可能とされ得る。選択マーカーの目的は、選択に対する耐性を与えることであり、そしてその存在は、導入された配列を首尾良く発現する細胞の増殖および回収を可能とする。安定に形質転換された細胞の耐性クローンは、その細胞型に適切な組織培養技術を使用して、増殖され得る。
【0077】
多数の選択系を使用して、形質転換細胞株を回収し得る。これらの選択系としては、それぞれ、tk.sup.−細胞またはaprt.sup−細胞において使用され得る、単純疱疹ウイルスチミジンキナーゼ(Wigler,Mら、(1977)Cell 11:223−32)およびアデニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(Lowy,Iら、(1990)Cell 22:817−23)遺伝子が挙げられるが、これらに限定されない。また、代謝拮抗剤耐性、抗生物質耐性または除草剤耐性は、選択のための基礎として使用され得る;例えば、dhfr(これは、メトトレキセートに対する耐性を与える(Wigler,Mら、(1980)Proc.Natl.Acad.Sci.77:3567−70));npt(これは、アミノグリコシド、ネオマイシンおよびG−418に対する耐性を与える(Colbere−Garapin,Fら、(1981)J.Mol.Biol.150:1−14);ならびにalsまたはpat(これらは、それぞれ、クロルスルフロンおよびホスフィノスリシンアセチルトランスフェラーゼに対する耐性を与える(Murry、前出))。さらなる選択遺伝子が記載されている。例えば、trpB(これは、細胞がトリプトファンの代わりにインドールを利用することを可能にする)またはhisD(これは、細胞がヒスチジンの代わりにヒスチノールを利用することを可能にする)(Hartman,S.C.およびR.C.Mulligan(1988)Proc.Natl.Acad.Sci.85:8047−51)。最近、アントシアニン、β−グルクロニダーゼおよびその基質のGUS、ならびにルシフェラーゼおよびその基質のルシフェリンのようなマーカーを用いる、可視マーカーの使用の人気が高くなっており、形質転換体を同定するためのみならず、特定のベクター系に起因し得る一過性のタンパク質発現または安定なタンパク質発現の量を定量するためにもまた広範に使用されている(Rhodes,C.A.ら、(1995)Methods Mol.Biol.55:121−131)。
【0078】
マーカー遺伝子発現の存在/非存在は、目的の遺伝子もまた存在するということを示唆しているが、その存在および発現は、確認されることを必要とし得る。例えば、ポリヌクレオチドをコードする配列が、マーカー遺伝子配列内に挿入される場合、配列を含む組換え細胞は、マーカー遺伝子機能の非存在により同定され得る。あるいは、マーカー遺伝子は、1つのプロモーターの制御下にポリペプチドコード配列と直列に配置され得る。誘導または選択に応じてマーカー遺伝子の発現は、通常、その直列遺伝子の発現も同様に示す。
【0079】
あるいは、所望のポリヌクレオチド配列を含み、かつ発現する宿主細胞は、当業者に公知の種々の手順によって同定され得る。これらの手順としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:核酸またはタンパク質の検出および/または定量化のための膜ベースの技術、溶液ベースの技術、またはチップベースの技術を含む、DNA−DNAもしくはDNA−RNAハイブリダイゼーション技術およびタンパク質バイオアッセイ技術またはイムノアッセイ技術。
【0080】
ポリヌクレオチドコード化産物に特異的なポリクローナル抗体もしくはモノクローナル抗体のいずれかを使用して、ポリヌクレオチドコード化産物の発現を検出および測定するための種々のプロトコルは、当該分野において公知である。例としては、酵素結合免疫測定法(ELISA)、ラジオイムノアッセイ(RIA)および蛍光活性化セルソーティング(FACS)が挙げられる。所定のポリペプチド上の2つの非干渉性エピトープに対して反応性であるモノクローナル抗体を利用する2つの部位の、モノクローナルベースのイムノアッセイが、いくつかの適用のために好まれ得るが、競合的結合アッセイもまた、利用され得る。これらのアッセイおよび他のアッセイが他の場所に記載される(Hampton,Rら、(1990;Serological Methods,a Laboratory Manual,APS Press,St Paul.Minn.)およびMaddox,D.E.ら、(1983;J.Exp.Med.158:1211−1216)。
【0081】
広範に種々の標識技術および結合技術は、当業者に公知であり、そして種々の核酸アッセイおよびアミノ酸アッセイにおいて使用され得る。ポリヌクレオチドに関連する配列を検出するための標識されたハイブリダイゼーションまたはPCRプローブを作製するための手段としては、オリゴ標識(oligolabeling)、ニックトランスレーション、末端標識または標識されたヌクレオチドを使用するPCR増幅が挙げられる。あるいは、mRNAプローブの産生のために、配列またはその任意の部分が、ベクター内にクローン化され得る。そのようなベクターは、当該分野において公知であり、市販されており、そして適切なRNAポリメラーゼ(例えば、T7、T3、またはSP6)および標識されたヌクレオチドを添加することにより、RNAプローブをインビトロで合成するために使用され得る。これらの手順は、種々の市販キットを使用して実施され得る。使用され得る適切なレポーター分子または標識としては、放射性核種、酵素、蛍光、化学発光、または色素形成剤ならびに基質、コファクター、インヒビター、磁気粒子などが挙げられる。
【0082】
目的のポリヌクレオチド配列で形質転換された宿主細胞は、発現および細胞培養からタンパク質を回収するのに適した条件下において培養され得る。組換え細胞により産生されたタンパク質は、使用された配列および/またはベクターに依存して、細胞内に分泌または含まれ得る。当業者によって理解されるように、本発明のポリヌクレオチドを含む発現ベクターは、原核細胞膜または真核細胞膜を介して、コードされたポリペプチドの分泌を方向付けるシグナル配列を含むように設計され得る。他の組換え構築物を使用して、目的のポリペプチドをコードする配列を、可溶性タンパク質の精製を促進するポリペプチドドメインをコードするヌクレオチド配列に結合させ得る。そのような精製促進ドメインとしては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:固定された金属上での精製を可能にする金属キレート化ペプチド(例えば、ヒスチジン−トリプトファンモジュール)、固定された免疫グロブリン上での精製を可能にするプロテインAドメイン、およびFLAGS伸長/アフィニティー精製システム(Immunex Corp.,Seattle,Wash.)において利用されるドメイン。精製ドメインとコードされるポリペプチドとの間に切断可能なリンカー配列(例えば、第XA因子またはエンテロキナーゼに対して特異的な配列(Invitrogen.San Diego,Calif.))の封入体を使用して、精製を促進させ得る。そのような発現ベクターの1つは、目的のポリペプチドを含む融合タンパク質およびチオレドキシンまたはエンテロキナーゼ切断部位の前に6つのヒスチジン残基をコードする核酸の発現を提供する。ヒスチジン残基は、Porath,Jら、(1992、Prot.Exp.Purif.3:263−281)に記載されるように、IMIAC(固定化金属イオンアフィニティークロマトグラフィー)上での精製を促進する一方で、エンテロキナーゼ切断部位は、融合タンパク質から所望のポリペプチドを精製するための手段を提供する。融合タンパク質を含むベクターの考察は、Kroll,D.Jら、(1993;DNA Cell Boil,12:441−453)において提供される。
【0083】
組換え産生方法に加えて、本発明のポリペプチドおよびそのフラグメントは、固相技術(Merrifield J.(1963)J.Am.Chem.Soc.85:2149−2154)を使用する、直接的ペプチド合成によって産生され得る。タンパク質合成は、手動技術を使用してか、または自動化によって実施され得る。自動化合成は、例えば、Applied Biosystems 431Aペプチド合成装置(Perkin Elmer)を使用して、達成され得る。あるいは、種々のフラグメントは、別々に化学的に合成されて、そして全長分子を産生するために化学的方法を使用して組み合わせられ得る。
【0084】
(部位特異的変異誘発)
部位特異的変異誘発は、個々のペプチド、または生物学的に機能的等価なポリペプチドの調製の際に有用な技術であり、この変異誘発は、それらをコードする、基礎を成すポリヌクレオチドの特異的変異誘発を介する。当業者に周知の技術は、例えば、1つ以上の前述の考察を取り入れながら、1つ以上のヌクレオチド配列変化をDNA内に導入することによって配列改変体を調製し、そして試験する迅速な能力をさらに提供する。部位特異的変異誘発は、所望の変異のDNA配列をコードする特定のオリゴヌクレオチド配列ならびに十分な数の隣接ヌクレオチドの使用を介して変異体の産生を可能にし、横断される欠失結合部の両側に安定な二重鎖を形成するために、十分なサイズのプライマー配列および配列複雑性を提供する。変異は、ポリヌクレオチド自体の特性を改善するか、変更するか、減少させるか、修飾するか、さもなくば変化させるため、そして/またはコードされたポリペプチドの特性、活性、組成物、安定性または一次配列を変更するために、選択されたポリヌクレオチド配列において使用され得る。
【0085】
本発明の特定の実施形態において、本発明者らは、コードされたポリペプチドの1つ以上の特性(例えば、ポリペプチドワクチンの抗原性)を変更するような開示されたポリヌクレオチド配列の変異誘発を意図する。部位特異的変異誘発の技術は、当該分野に周知であり、ポリペプチドおよびポリヌクレオチドの両方の改変体を作製するために広範に使用される。例えば、部位特異的変異誘発は、しばしば、DNA分子の特定部分を変更するために使用される。そのような実施形態において、代表的におよそ14ヌクレオチド〜およそ25ヌクレオチドくらいの長さから成るプライマーが使用され、配列の両側の結合部にある、およそ5残基〜およそ10残基が変更される。
【0086】
当業者によって理解されるように、部位特異的変異誘発技術は、しばしば、一本鎖形態および二本鎖形態の両方で存在するファージベクターを使用してきた。部位指向性変異誘発において有用である代表的なベクターとしては、例えば、M13ファージのようなベクターが挙げられる。これらのファージは、容易に商業的に入手可能であり、そしてそれらの使用は、一般的に当業者に周知である。二本鎖プラスミドもまた、目的の遺伝子をプラスミドからファージに伝達する工程を取り除く部位指向性変異誘発において慣用的に使用される。
【0087】
一般的に、本発明に従う部位特異的変異誘発は、所望のペプチドをコードするDNA配列をその配列中に含む、一本鎖ベクターを最初に入手する工程またはその配列を含む二本鎖ベクターの2本の鎖を融解して分ける工程によって実行される。所望の変異した配列を保有するオリゴヌクレオチドプライマーは、一般的に、合成的に調製される。次いで、このプライマーは、一本鎖ベクターとともにアニーリングされ、そして変異を保有する鎖の合成を完了するために、DNA重合酵素(例えば、E.coliポリメラーゼI Klenowフラグメント)に供せられる。このようにヘテロ二重鎖が形成され、ここで一方の鎖が変異を有さないもともとの鎖をコードし、そして2つめの鎖は所望の変異を保有する。次いで、このヘテロ二重鎖ベクターは、適切な細胞(例えば、E.coli細胞)を形質転換するために使用され、そして、変異した配列の配置(sequence arrangement)を保有する組換えベクターを含むクローンが選択される。
【0088】
部位特異的変異誘発を使用する、選択されたペプチドコードDNAセグメントの配列改変体の調製は、潜在的に有用な種を産生する手段を提供し、そしてこれは、限定を意味するものではない。なぜなら、ペプチドの配列改変体およびそれらをコードするDNA配列が入手され得る他の方法が存在するからである。例えば、所望のペプチド配列をコードする組換えベクターは、変異誘発剤(例えば、ヒドロキシルアミン)で処理されて、配列改変体を入手し得る。これらの方法およびプロトコルに関する具体的な詳細は、Maloyら、1994;Segal、1976;ProkopおよびBajpai、1991;Kuby、1994;およびManiatisら、1982(各々がその目的のために本明細書中に参考として援用される)の教示において見出され得る。
【0089】
本明細書中で使用される場合、用語「オリゴヌクレオチド特異的変異誘発手順」とは、鋳型依存的プロセスおよびベクター媒介増殖をいい、これは、その初期の濃度と比較して、特定の核酸分子の濃度の増加を生じるか、または検出可能なシグナルの濃度の増加(例えば、増幅)を生じる。本明細書中で使用される場合、用語「オリゴヌクレオチド特異的変異誘発手順」は、プライマー分子の鋳型依存的な伸長を含むプロセスをいうことが意図される。用語鋳型依存的プロセスとは、RNA分子またはDNA分子の核酸合成をいい、ここで新規に合成された核酸の鎖の配列は、相補的塩基対の周知の規則によって指示され得る(例えば、Watson、1987を参照のこと)。代表的には、ベクター媒介方法論は、DNAまたはRNAベクターへの核酸フラグメントの導入、ベクターのクローン性増幅、および増幅した核酸フラグメントの回収を包含する。これらの方法論の例は、具体的にその全体が参考として本明細書中に援用される、米国特許第4,237,224号によって提供される。
【0090】
(ポリヌクレオチド増幅技術)
多数の鋳型依存性プロセスが、サンプル中に存在する目的の標的配列を増幅するために利用可能である。最もよく知られた増幅方法の1つは、ポリメラーゼ連鎖反応(PCRTM)であり、これは、米国特許第4,683,195号、同第4,683,202号、および同第4,800,159号に詳細に記載され、これらの各々はその全体が本明細書中に参考として援用される。手短に言えば、PCRTMにおいては、標的配列の向かい合った相補鎖上の領域に対して相補的な2つのプライマー配列が調製される。過剰のデオキシヌクレオシド三リン酸を、DNAポリメラーゼ(例えば、Taqポリメラーゼ)とともに反応混合液に添加する。標的配列がサンプル中に存在する場合、プライマーはその標的に結合し、そしてポリメラーゼが、ヌクレオチドを付加することによって標的配列に沿ってプライマーを伸長させる。反応混合液の温度を上昇および下降させることによって、伸長したプライマーは、標的から解離して反応生成物を形成し、過剰のプライマーは標的および反応生成物に結合し、そしてこのプロセスが反復される。好ましくは、逆転写およびPCRTM増幅手順が、増幅されたmRNAの量を定量するために実行され得る。ポリメラーゼ連鎖反応方法論は、当該分野で周知である。
【0091】
増幅のための別の方法は、リガーゼ連鎖反応(LCRともいわれる)であり、欧州特許出願公開番号320,308(その全体が特に本明細書中に参考として援用される)において開示されている。LCRにおいては、2つの相補的プローブ対が調製され、そして標的配列の存在下では、各対がその標的の向かい合った相補鎖に結合し、その結果、それらは隣接する。リガーゼの存在下では、これらの2つのプローブ対は、連結して1つの単位を形成する。温度サイクリングによって、PCRTMにおけるのと同様に、結合した連結単位は標的から解離し、次いで過剰のプローブ対の連結のために「標的配列」として働く。米国特許第4,883,750号(その全体が参考として本明細書中に援用される)は、標的配列に対するプローブ対の結合のためのLCRに類似する増幅の代替方法を記載する。
【0092】
Qβレプリカーゼ(PCT国際特許出願公開番号PCT/US87/00880に記載され、その全体が参考として本明細書中に援用される)もまた、本発明におけるなお別の増幅方法として使用され得る。この方法において、標的の配列に相補的な領域を有するRNAの複製配列が、RNAポリメラーゼの存在下でサンプルに添加される。このポリメラーゼは、次いで検出され得る複製配列をコピーする。
【0093】
等温増幅方法(ここで、制限エンドヌクレアーゼおよびリガーゼを使用して、制限部位の一方の鎖におけるヌクレオチド5’−[α−チオ]三リン酸を含む標的分子の増幅を達成する(Walkerら、1992、その全体が参考として本明細書中に援用される))もまた、本発明における核酸の増幅において有用であり得る。
【0094】
鎖置換増幅(Strand Displacement Amplification)(SDA)は、複数のラウンドの鎖置換および合成(すなわち、ニックトランスレーション)を含む核酸の等温増幅を実行する別の方法である。同様の方法(修復鎖反応(Repair Chain Reaction)(RCR)と呼ばれる)は、本発明において有用であり得る別の増幅方法であり、そして増幅のために標的化される領域全体にわたっていくつかのプローブをアニーリングする工程、続いて4塩基のうちの2塩基のみが存在する修復反応を包含する。他の2塩基は、容易な検出のためにビオチン化誘導体として添加され得る。同様のアプローチは、SDAにおいて使用される。
【0095】
配列はまた、周期的プローブ反応(cyclic probe reaction)(CPR)を使用して検出され得る。CPRにおいて、非標的DNAの3’配列および5’配列ならびに標的タンパク質特異的RNAの内部または「中間」配列を有するプローブは、サンプル中に存在するDNAにハイブリダイズされる。ハイブリダイゼーションに際して、反応物はRNaseHで処理され、そしてプローブの生成物は、消化後に遊離されるシグナルを生成することによって特有の産物として同定される。もともとの鋳型は、別のサイクリングプローブにアニーリングされ、そして反応が反復される。従って、CPRは、標的遺伝子特異的な発現した核酸に対するプローブのハイブリダイゼーションによって生成されるシグナルを増幅する工程を包含する。
【0096】
英国特許出願番号2 202 328号およびPCT国際特許出願公開番号PCT/US89/01025(これらの各々はその全体が本明細書中に参考として援用される)に記載されるなお他の増幅方法は、本発明に従って使用され得る。前者の出願において、「修飾された」プライマーが、PCR様の鋳型および酵素依存性合成において使用される。そのプライマーは、捕捉部分(例えば、ビオチン)および/または検出体部分(例えば、酵素)で標識することによって修飾され得る。後者の出願において、過剰の標識したプローブがサンプルに添加される。標的配列の存在下において、プローブが結合し、そして触媒的に切断される。切断後、標的配列は、過剰のプローブによって結合されるためにインタクトで遊離される。標識されたプローブの切断は、標的配列の存在をシグナルによって示す。
【0097】
他の核酸増幅手順には、転写に基づく増幅系(TAS)(Kwohら、1989;PCT国際特許出願公開番号WO 88/10315(その全体が本明細書中に参考として援用される))が挙げられ、これには、核酸配列に基づく増幅(NASBA)および3SRが含まれる。NASBAにおいて、核酸は、標準的なフェノール/クロロホルム抽出、サンプルの熱変性、溶解緩衝液を用いる処理、ならびにDNAもしくはRNAの単離のためのミニスピンカラムまたはRNAの塩化グアニジウム抽出によって増幅のために調製され得る。これらの増幅技術は、標的配列に特異的な配列を有するプライマーをアニーリングさせる工程を包含する。重合後、DNA/RNAハイブリッドはRNaseHで消化され、一方、二本鎖DNA分子は再度熱変性される。いずれの場合においても、一本鎖DNAは重合の前の第2の標的特異的プライマーの添加によって完全に二本鎖にされる。次いで、二本鎖DNA分子は、ポリメラーゼ(例えば、T7またはSP6)によって相乗的に転写される。等温サイクル反応において、RNAはDNAに逆転写され、そして再度ポリメラーゼ(例えば、T7またはSP6)を用いて転写される。得られる生成物は、短縮型または完全型のいずれにせよ、標的特異的配列を示す。
【0098】
欧州特許出願公開番号329,822(その全体が本明細書中に参考として援用される)は、一本鎖RNA(「ssRNA」)、ssDNA、および二本鎖DNA(dsDNA)(これらは、本発明に従って使用され得る)をサイクル的に合成する工程を包含する核酸増殖プロセスを開示する。ssRNAは、第1のプライマーオリゴヌクレオチド(これは、逆転写酵素(RNA依存性DNAポリメラーゼ)によって伸長される)のための最初の鋳型である。次いで、RNAは、得られるDNA:RNA二重鎖からリボヌクレアーゼH(RNaseH、DNAまたはRNAのいずれかとの二重鎖中のRNAに特異的なRNase)の作用によって除去される。得られたssDNAは、第2のプライマーのための第2の鋳型(これはまた、その鋳型に対するその相同性に対して5’側であるRNAポリメラーゼプロモーター(T7 RNAポリメラーゼによって例示される)の配列を含む)である。次いで、このプライマーは、DNAポリメラーゼ(E.coli DNAポリメラーゼIの大きな「クレノウ」フラグメントによって例示される)によって伸長させられ、プライマー間にもともとのRNAの配列と同一の配列を有し、そして一方の端にプロモーター配列をさらに有する、二本鎖DNA(「dsDNA」)分子として得られる。このプロモーター配列は、DNAの多くのRNAコピーを作製するために適切なRNAポリメラーゼによって使用され得る。次いで、これらのコピーはサイクルに再び入り得、非常に迅速な増幅をもたらす。酵素の適切な選択を用いて、この増殖は、各サイクルで酵素の添加なしに等温で行われ得る。このプロセスのサイクル性の性質のために、開始の配列は、DNAまたはRNAのいずれかの形態であるように選択され得る。
【0099】
PCT国際特許出願公開番号WO 89/06700(その全体が本明細書中で参考として援用される)は、プロモーター/プライマー配列の多くのRNAコピーの転写の前の、プロモーター/プライマー配列の標的一本鎖DNA(「ssDNA」)へのハイブリダイゼーションに基づく核酸配列増幅スキームを開示する。このスキームは、サイクル性ではない;すなわち、新しい鋳型は、得られたRNA転写物から産生されない。他の増幅方法には、「RACE」(Frohman、1990)および「片側(one−sided)PCR(Ohara、1989)」が挙げられ、これらは当業者に周知である。
【0100】
生じる「ジ−オリゴヌクレオチド」の配列を有し、それによってジ−オリゴヌクレオチドを増殖する核酸の存在下で2つ(または2より多い)のオリゴヌクレオチドの連結に基づく方法(WuおよびDean、1996、その全体が参考として本明細書中に援用される)もまた、本発明のDNA配列の増幅において使用され得る。
【0101】
(生物学的機能的等価物)
修飾および変化が、本発明のポリヌクレオチドおよびポリペプチドの構造においてなされ得、そしてなお、所望の特性を有するポリペプチドをコードする機能的分子を入手し得る。上述のように、特定のポリヌクレオチド配列に1以上の変異を導入することがしばしば所望される。いくつかの状況において、得られるコードされたポリペプチド配列はこの変異によって変更されるか、または他の場合において、このポリペプチドの配列は、コードするポリヌクレオチドにおける1以上の変異によっては変化しない。
【0102】
等価物または改善された第2世代の分子さえを作製するために、ポリペプチドのアミノ酸配列を変化させることが所望される場合、このアミノ酸の変化は、表1に従ってDNA配列をコードするコドンの1以上を変化させることによって達成され得る。
【0103】
例えば、特定のアミノ酸は、例えば、抗体の抗原結合領域または基質分子上のの結合部位のような構造を有するタンパク質構造中の他のアミノ酸に、容易に感知できる程度の相互作用的な結合能の損失なしで、置換され得る。タンパク質の相互作用的な能力および性質がタンパク質の生物学的機能的活性を規定するので、特定のアミノ酸配列置換は、タンパク質配列、および当然ながら、その根底にあるDNAコード配列においてなされ得、そしてそれにも関わらず、同様の特性を有するタンパク質が入手される。従って、種々の変化が、ペプチドの生物学的有用性または活性の感知できる程度の損失なしで、開示された組成物のペプチド配列またはそのペプチドをコードする対応するDNA配列においてなされ得ることが本発明者らによって意図される。
【0104】
【表1】
このような変化を作製するために、アミノ酸の疎水性親水性指標が考慮され得る。タンパク質に相互作用的な生物学的機能を付与する際の疎水性親水性アミノ酸指標の重要性は、一般的に当該分野において理解されている(KyteおよびDoolittle、1982、本明細書中に参考として援用される)。アミノ酸の相対的な疎水性親水性的性質は、得られるタンパク質の二次構造に寄与し、これは次には、そのタンパク質の他の分子(例えば、酵素、基質、レセプター、DNA、抗体、抗原など)との相互作用を規定することが受け入れられている。各アミノ酸は、その疎水性および電荷特性に基づいて疎水性親水性指標を割り当てられている(KyteおよびDoolittle、1982)。これらの値は以下である:イソロイシン(+4.5);バリン(+4.2);ロイシン(+3.8);フェニルアラニン(+2.8);システイン/シスチン(+2.5);メチオニン(+1.9);アラニン(+1.8);グリシン(−0.4);スレオニン(−0.7);セリン(−0.8);トリプトファン(−0.9);チロシン(−1.3);プロリン(−1.6);ヒスチジン(−3.2);グルタミン酸(−3.5);グルタミン(−3.5);アスパラギン酸(−3.5);アスパラギン(−3.5);リジン(−3.9);およびアルギニン(−4.5)。
【0105】
特定のアミノ酸が同様の疎水性親水性指標またはスコアを有する他のアミノ酸によって置換され得、そしてなお同様の生物学的活性を有するタンパク質を生じる(すなわち、生物学的に機能的に等価なタンパク質をなお入手する)ことが、当該分野において公知である。このような変化を作製する際に、その疎水性親水性指標が±2以内であるアミノ酸の置換が好ましく、その疎水性親水性指標が±1以内であるアミノ酸の置換が特に好ましく、そしてその疎水性親水性指標が±0.5以内であるアミノ酸の置換がなおより特に好ましい。同様なアミノ酸の置換が、親水性に基づいて有効になされ得ることもまた、当該分野で理解されている。米国特許第4,554,101号(その全体が本明細書中に参考として具体的に援用される)は、タンパク質の生物学的特性と相関するその隣接するアミノ酸の親水性によって支配される、そのタンパク質の最大局所的平均親水性に言及する。
【0106】
米国特許第4,554,101号に詳述されるように、以下の親水性値がアミノ酸残基に割り当てられた:アルギニン(+3.0);リジン(+3.0);アスパラギン酸(+3.0±1);グルタミン酸(+3.0±1);セリン(+0.3);アスパラギン(+0.2);グルタミン(+0.2);グリシン(0);スレオニン(−0.4);プロリン(−0.5±1);アラニン(−0.5);ヒスチジン(−0.5);システイン(−1.0);メチオニン(−1.3);バリン(−1.5);ロイシン(−1.8);イソロイシン(−1.8);チロシン(−2.3);フェニルアラニン(−2.5);トリプトファン(−3.4)。アミノ酸は、同様の親水性の値を有する別のアミノ酸に置換され得、そしてなお、生物学的に等価なタンパク質(特に、免疫学的に等価なタンパク質)を得ることが理解される。このような変化において、その親水性値が±2以内であるアミノ酸の置換が好ましく、その親水性値が±1以内であるアミノ酸の置換が特に好ましく、そしてその親水性値が±0.5以内であるアミノ酸の置換がなおより特に好ましい。
【0107】
上記に概説したように、従って、アミノ酸置換は、一般的にアミノ酸側鎖置換基の相対的な類似性(例えば、その疎水性、親水性、電荷、サイズ、など)に基づく。前述の種々の特徴を考慮する典型的な置換は当業者に周知であり、そして以下を含む:アルギニンおよびリジン;グルタミン酸およびアスパラギン酸;セリンおよびスレオニン;グルタミンおよびアスパラギン;およびバリン、ロイシン、およびイソロイシン。
【0108】
さらに、任意のポリヌクレオチドが、インビボでの安定性を増加させるためにさらに修飾され得る。可能な修飾には以下が挙げられるがこれらに限定されない:5’末端および/または3’末端での隣接配列の付加;バックボーンにおいて、ホスホジエステル(phosphodiesterase)結合よりはむしろホスホロチオエートまたは2’O−メチルの使用;ならびに/あるいは従来とは異なる塩基(例えば、イノシン、キューオシン、およびワイブトシン、ならびにアデニン、シチジン、グアニン、チミン、およびウリジンのアセチル、メチル、チオ、および他の修飾形態)の含有。
【0109】
(インビボポリヌクレオチド送達技術)
さらなる実施形態において、本発明の1以上のポリヌクレオチドを含む遺伝子構築物は、インビボで細胞に導入される。これは、種々のまたは周知のアプローチのいずれかを用いて達成され得、これらのいくつかは、例示の目的で以下に概説される。
【0110】
(1.アデノウイルス)
1以上の核酸配列のインビボ送達のための好ましい方法の1つは、アデノウイルス発現ベクターの使用を包含する。「アデノウイルス発現ベクター」は、(a)この構築物のパッケージングを支持するため、および(b)センス方向またはアンチセンス方向でその中にクローニングされたポリヌクレオチドを発現するため、に十分なアデノウイルス配列を含む構築物を含むことを意味する。当然のことながら、アンチセンス構築物の文脈において、発現は、遺伝子産物が合成されることを必要としない。
【0111】
発現ベクターは、アデノウイルスの遺伝子操作された形態を含む。アデノウイルスの遺伝的構成の知見(36kb、線状、二本鎖DNAウイルス)は、7kbまでの外来性配列でアデノウイルスDNAの大きな断片を置換することを可能にする(GrunhausおよびHorwitz、1992)。レトロウイルスとは対照的に、宿主細胞のアデノウイルス感染は、染色体への組込みを生じない。なぜなら、アデノウイルスDNAは、潜在的な遺伝毒性を有さないエピソーム性様式で複製し得るからである。また、アデノウイルスは構造的に安定であり、そして大規模な増幅後にゲノム再構成は検出されなかった。アデノウイルスは、細胞の細胞周期段階に関わりなく、実質的にすべての上皮細胞に感染し得る。今日まで、アデノウイルス感染は、穏やかな疾患(例えば、ヒトの急性呼吸器疾患)にのみに関連しているらしい。
【0112】
アデノウイルスは、その中程度のサイズのゲノム、操作の容易さ、高い力価、広範な標的−細胞範囲、および高い感染力のため、遺伝子移入ベクターとしての使用のために特に適している。ウイルスゲノムの両端は100〜200塩基対の逆方向反復(ITR)を含み、これらは、ウイルスDNA複製およびパッケージングに必要なシスエレメントである。ゲノムの初期(E)領域および後期(L)領域は、異なる転写単位を含み、これは、ウイルスDNA複製の開始によって分裂する。E1領域(E1AおよびE1B)は、ウイルスゲノムおよびいくつかの細胞遺伝子の転写の調節の原因であるタンパク質をコードする。E2領域(E2AおよびE2B)の発現は、ウイルスDNA複製のためのタンパク質の合成を生じる。これらのタンパク質は、DNA複製、後期遺伝子発現、および宿主細胞シャットオフに関与する(Renan、1990)。後期遺伝子の産物(ウイルスキャプシドタンパク質の大多数を含む)は、主要後期プロモーター(MLP)によって与えられる単一の一次転写物の有意なプロセシング後にのみ発現される。MLP(16.8 m.u.に位置する)は、感染の後期の間に特に効率的であり、そしてこのプロモーターに由来するすべてのmRNAは、5’−3成分リーダー(TPL)配列(この配列は、RNAを翻訳のために好ましいmRNAにする)を有する。
【0113】
現在の系では、組換えアデノウイルスが、シャトルベクターとプロウイルスベクターとの間の相同組換えから生成する。2つのプロウイルスベクター間の可能な組換えに起因して、野生型アデノウイルスは、このプロセスから生成され得る。従って、個々のプラークからウイルスの単一クローンを単離すること、およびそのゲノム構造を調べることが重要である。
【0114】
複製欠損である現在のアデノウイルスベクターの生成および増殖は、特有のペルパー細胞株(293と称される)に依存し、そのヘルパー細胞株は、Ad5DNAフラグメントによりヒト胚性腎臓細胞から形質転換され、そしてE1タンパク質を構成的に発現する(Grahamら、1977)。E3領域は、アデノウイルスゲノムから不必要であるので(JonesおよびShenk、1978)、293細胞の補助のよって、現在のアデノウイルスベクターは、E1もしくはD3のいずれかまたはその両方の領域に、外来DNAを保有する(GrahamおよびPrevec、1991)。本質的には、アデノウイルスは、DNAより約2kB多い容量を仮定すると、野生型ゲノムの約105%をパッケージし得る(Ghosh−Choudhuryら、1987)。E1およびE3領域で交換可能である約5.5kBのDNAと組合わせると、現在のアデノウイルスベクターの最大容量は、7.5kBより低いか、またはベクターの全長の約15%である。アデノウイルスのウイルス性のゲノムの80%より多くは、ベクター骨格内にあり、そしてベクター保有(borne)細胞毒性の供給源である。また、E1欠失ウイルスの複製欠損は、不完全である。例えば、ウイルス遺伝子発現のリーク(leakage)は、高い多重感染(MOI)で、現在利用可能なベクターで観察された(Mulligan、1993)。
【0115】
ヘルパー細胞株は、ヒト細胞(例えば、ヒト胚性腎臓細胞、筋細胞、造血細胞または他のヒト胚性間葉細胞または上皮細胞)に由来し得る。あるいは、ヘルパーT細胞は、ヒトアデノウイルスを許容性である他の哺乳動物種の細胞に由来し得る。このような細胞としては、例えば、Vero細胞または他のサル胚性間葉細胞または上皮細胞が挙げられる。上記のように、現在、好ましいヘルパー細胞株は、293である。
【0116】
最近、Racherら(1995)は、293細胞の培養およびアデノウイルスの増殖についての改良方法を開示した。1つのフォーマットにおいて、天然の細胞の凝集物は、100〜200mlの培地を含む1リットルのシリコン処理した攪拌フラスコ(Techne,Cambrige、UK)内に、個々の細胞を接種することによって増殖する。40rpmでの攪拌後、細胞生存度を、トリパンブルーで評価する。別のフォーマットにおいて、Fibra−Celマイクロキャリア(Bibby Sterlin、Stone,UK)(5g/l)を、以下のように使用する。5mlの培地に再懸濁された細胞接種材料を、250mlのErlenmeyerフラスコ中のキャリア(50ml)に添加し、そして時々攪拌しながら、1〜4時間、静止させておく。次いで培地を、50mlの新鮮な培地で置換し、そして振盪を開始する。ウイルス産生のために、細胞を、約80%のコンフルーエンスまで増殖させ、その後、培地を置換し(最終容量の25%まで)、そしてアデノウイルスを0.05のMOIで添加する。培養物を、一晩静止させ、その後容量を100%まで増やし、そしてさらに72時間の振盪を開始する。
【0117】
アデノウイルスベクターは、複製欠損または少なくとも条件付で複製欠損であるという必要性以外に、アデノウイルスの特性は、本発明の実施の成功に重要でないと考えられる。アデノウイルスは、42の異なる既知の血清型またはサブグループA〜Fの任意のアデノウイルスであり得る。サブグループCのアデノウイルス5型は、本発明において使用するための条件付複製欠損アデノウイルスベクターを得るために好ましい開始物質である。なぜならアデノウイルス5型は、大量の生化学的情報および遺伝学的情報が公知であるヒトアデノウイルスであり、そしてそれは、ベクターとしてアデノウイルスを使用するほとんどの構築物に歴史的に使用されてきたからである。
【0118】
上記のように、本発明による代表的なベクターは、複製欠損であり、そしてアデノウイルスE1領域を有さない。従って、目的の遺伝子をコードするポリヌクレオチドを、E1コード配列が除去された位置に導入することが最も簡便である。しかし、アデノウイルス配列内の構築物の挿入の位置は、本発明に重要ではない。目的の遺伝子をコードするポリヌクレオチドはまた、Karlssonら(1986)に記載されるように、E3置換ベクターに、欠失したE3領域の代わりに挿入され得るか、またはヘルパー細胞株またはヘルパーウイルスがE4欠損を補足するE4領域に挿入され得る。
【0119】
アデノウイルスは、容易に増殖し、かつ容易に操作され、そしてインビトロおよびインビボでの広い宿主範囲を示す。この群のウイルスは、高い力価(例えば、109〜1011プラーク形成ユニット/ml)で得られ得、そしてそれらは非常に感染性である。アデノウイルスの生活環は、宿主細胞ゲノムへの組込みを必要としない。アデノウイルスベクターによって送達された外来遺伝子は、エピソーム性であり、従って、宿主細胞に対して低い遺伝毒性を有する。副作用は、野生型アデノウイルスでのワクチン接種の研究において報告されていない(Couchら、1963;Topら、1971)。このことは、インビボ遺伝子トランスファーベクターとしてのそれらの安全かつ治療的な可能性を示す。
【0120】
アデノウイルスベクターを、真核生物遺伝子発現(Levreroら、1991;Gomez−Foixら、1992)およびワクチンの開発(GrunhausおよびHorwitz、1992;GrahamおよびPrevec,1992)に使用した。最近、動物研究は、組換えアデノウイルスは、遺伝子療法に使用され得ることを示唆した(Stratford−PerricaudetおよびPerricaudet、1991;Stratford−Perricaudetら、1990;Richら、1993)。異なる組織に組換えアデノウイルスを投与する際の研究としては、気管点滴注入法(Rosenfeldら、1991;Rosenfeldら、1992)、筋肉注射(Ragotら、1993)、末梢静脈内注射(HerzおよびGerard、1993)および脳における定位接種法(Le Gal La Salleら、1993)が挙げられる。
【0121】
(2.レトロウイルス)
レトロウイルスは、逆転写のプロセスによって感染された細胞においてそれらのRNAを2本鎖DNAに転換する能力によって特徴付けられる一本鎖RNAウイルスの群である(Coffin、1990)。次いで、生じるDNAを、プロウイルスとして細胞染色体に安定に組み込み、そしてウイルスタンパク質を合成させる。この組込みは、レシピエント細胞およびその子孫におけるウイルス遺伝子配列の保持を生じる。レトロウイルスゲノムは、カプシドタンパク質、ポリメラーゼ酵素、およびエンベロープ成分をそれぞれコードする3つの遺伝子(gag、polおよびenv)を含む。gag遺伝子の上流に見出された配列は、ビリオンへのゲノムのパッケージングのためのシグナルを含む。2つの長い末端反復(LTR)配列は、ウイルスゲノムの5’および3’末端に存在する。これらは、強力なプロモーター配列およびエンハンサー配列を含み、そしてまた宿主細胞ゲノムへの組込みに必要とされる(Coffin,1990)。
【0122】
レトロウイルスベクターを構築するために、1つ以上の目的のオリゴヌクレオチド配列またはポリヌクレオチド配列をコードする核酸が、特定のウイルス配列の代わりにウイルスゲノムに挿入され、複製欠損であるウイルスを作製する。ビリオンを作製するために、gag遺伝子、pol遺伝子、およびenv遺伝子を含むが、LTR成分およびパッケージング成分を含まないパッケージング細胞株が構築される(Mannら、1983)。レトロウイルスLTR配列およびパッケージング配列と一緒にcDNAを含む組換えプラスミドがこの細胞株に(例えば、リン酸カルシウム沈殿によって)導入される場合、パッケージング配列は、ウイルス粒子にパッケージングされる組換えプラスミドのRNAの転写を可能にし、次いで培養培地に分泌される(NicolasおよびRubenstein,1988;Temin,1986;Mannら、1983)。次いで、この組換えレトロウイルスを含む培地は、収集され、必要に応じて、濃縮され、そして遺伝子移入のために使用される。レトロウイルスベクターは、広範な細胞型に感染し得る。しかし、組み込みおよび安定な発現は、宿主細胞の分裂を必要とする(Paskindら、1975)。
【0123】
レトロウイルスベクターの特異的な標的化を可能にするように設計された新規な方法が最近、ラクトース残基のウイルスエンベロープへの化学的な付加によるレトロウイルスの化学的な変更に基づいて、開発された。この変更は、シアログリコタンパク質レセプターを介する肝細胞の特異的な感染を可能にし得る。
【0124】
組換えレトロウイルスの標的化のための異なる方法が、設計され、この方法においては、レトロウイルスエンベロープタンパク質に対するビオチン化抗体および特定の細胞レセプターに対するビオチン化抗体が使用された。この抗体は、ストレプトアビジンを使用することによってビオチン成分を介して結合された(Rouxら、1989)。主な組織適合性複合体の、クラスI型抗原およびクラスII型抗原に対する抗体を使用して、著者らは、インビトロでエコトロピックウイルスを伴なった細胞表面抗原を保持する種々のヒト細胞の感染を実証した(Rouxら、1989)。
【0125】
(3.アデノ随伴ウイルス)
AAV(Ridgeway,1988;HermonatおよびMuzycska,1984)は、パルボウイルス(parovirus)であり、アデノウイルスのストックの汚染物質として発見された。AAVは、いかなる疾患にも関連していない偏在する(抗体は、アメリカ人の集団の85%に存在する)ウイルスである。AAVはまた、AAVの複製がヘルパーウイルス(例えば、アデノウイルス)の存在に依存するので、デペンドウイルスとして分類される。5つの血清型が単離されている。そのうち、AAV−2は、最も特徴付けされている。AAVは、キャプシドタンパク質VP1、VP2およびVP3にキャプシド形成され、直径20nm〜24nmの正二十面体のビリオンを形成する、一本鎖の線状DNAを有する(MuzyczkaおよびMcLaughlin,1988)。
【0126】
このAAV DNAは、約4.7キロ塩基長である。このDNAは、2つのオープンリーディングフレームを含み、そして2つのITRに隣接される。AAVゲノム中には、2つの主な遺伝子(repおよびcap)が存在する。rep遺伝子は、ウイルスの複製を担うタンパク質をコードし、これに対し、capは、キャプシドタンパク質VP1−3をコードする。各々のITRは、T形状のヘアピン構造を形成する。これらの末端繰り返しは、染色体組み込みのために必須のAAVのcis成分のみである。従って、このAAVは、送達のための遺伝子のカセットで全てのウイルスコード配列が除去および置換されたベクターとして使用され得る。それらの地図位置に従って、3つのウイルスプロモーターが同定され、そしてp5、p19、およびp40と称されている。p5およびp19からの転写はrepタンパク質の産生を生じ、そしてp40からの転写はキャプシドタンパク質を産生する(HermonatおよびMuzyczka,1984)。
【0127】
発現ベクターとしてrAAVを使用する可能性を研究するために研究者を刺激するいくつかの因子が存在する。1つは、宿主染色体に組み込むために遺伝子を送達する必要が、驚くべきことに少ないことである。145bpのITR(AAVゲノムのわずか6%である)を有することが必要である。これは、4.5kbのDNA挿入物を作製する余地をベクター残す。これは、AAVが大きな遺伝子を送達するのを妨げ得る、能力を保有するが、本発明のアンチセンス構築物を送達するのに十分に適している。
【0128】
AAVはまた、その安全性に起因して、送達ビヒクルの優れた選択である。相対的に複雑な救援機構が存在する:野生型のアデノウイルス遺伝子だけでなく、AAV遺伝子もrAAVを動員する必要がある。同様に、AAVは、病原性ではなく、そしていかなる疾患にも関連しない。ウイルスコード配列の除去は、ウイルス遺伝子発現に対する免疫反応を最小化し、従って、rAAVは、炎症応答を招かない。
【0129】
(4.発現構築物としての他のウイルスベクター)
他のウイルスベクターを、宿主細胞へのオリゴヌクレオチド配列またはポリヌクレオチド配列の送達のための本発明における発現構築物として用いてもよい。ワクシニアウイルス(Ridgeway,1988;Couparら、1988)、レンチウイルス、ポリオウイルス、およびヘルペスウイルスのようなウイルス由来のベクターを用いてもよい。これらは、種々の哺乳動物細胞に、いくつかの魅力のある特性を提供する(Friedmann,1989;Ridgeway,1988;Couparら、1988;Horwichら、1990)。
【0130】
B型ヘルペス欠損ウイルスの最近の認識によると、新しい見識は、異なるウイルス配列の構造−機能の関連性を与えた。インビトロでの研究は、このウイルスが、そのゲノムの80%までの欠失にもかかわらず、ヘルパー依存パッケージングおよび逆転写についての能力を保持し得ることを示した(Horwichら、1990)。このことは、ゲノムの大部分が外来の遺伝物質と交換され得ることを示唆した。肝臓向性(hepatotropism)および持続(組込み)は、肝臓指向性遺伝子移入についての特に魅力的な特性であった。Changら、(1991)は、ポリメラーゼコード配列、表面コード配列、および前表面(pre−surface)コード配列に代えて、クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ(CAT)遺伝子をアヒルB型肝炎ウイルスゲノムに導入した。これを、野生型ウイルスと共に、トリ肝炎細胞株へと、同時トランスフェクトした。高力価の組換えウイルスを含む培養培地を用いて、初代仔ガモ肝細胞を感染させた。安定なCAT遺伝子発現を、トランスフェクション後の少なくとも24日間検出した(Changら、1991)。
【0131】
(5.非ウイルスベクター)
本発明のオリゴヌクレオチド配列またはポリヌクレオチド配列の発現をもたらすために、発現構築物は、細胞に送達されなければならない。この送達は、細胞株を形質転換するための実験手順の際のように、インビトロで達成され得るか、または特定の疾患状態の処置の際のように、インビボもしくはエキソビボで達成され得る。上記のように、送達のための1つの好ましい機構は、ウイルス感染を介する機構であり、ここで、発現構築物は、感染性ウイルス粒子の中にカプセル化される。
【0132】
一旦、発現構築物が、細胞の中に送達されると、所望のオリゴヌクレオチド配列またはポリヌクレオチド配列をコードする核酸は、異なる部位に配置され、そして異なる部位で発現し得る。特定の実施形態では、この構築物をコードする核酸は、細胞のゲノムの中に安定に組込まれ得る。この組込みは、相同組換えを介する特定の位置および特定の配向であってもよい(遺伝子置換)し、またはこれは無作為な非特異的な位置に組込まれてもよい(遺伝子増強)。なおさらなる実施形態では、核酸は、DNAの別個のエピソームセグメントとして、細胞の中で安定に維持され得る。このような核酸セグメント、または「エピソーム」は、宿主細胞周期から独立して、または宿主細胞周期に同調して維持および複製させるのに十分な配列をコードする。どのように発現構築物を細胞に送達させ、そして細胞の中のどこで核酸を維持するかは、用いられる発現構築物の型に依存する。
【0133】
本発明の特定の実施形態では、1つ以上のオリゴヌクレオチド配列またはポリヌクレオチド配列を含む発現構築物は、単に、裸の組換えDNAまたはプラスミドから構成されてもよい。この構築物の移入は、細胞膜を物理的または化学的に透過化処理する、上記の方法のいずれかにより行われ得る。このことは、特に、インビトロでの移入に適用可能であるが、これはインビボでの使用でも同様に適用され得る。Dubenskyら、(1984)は、ポリオーマウイルスDNAを、成体および新生仔マウスの肝臓および腎臓に、リン酸カルシウム沈殿物の形態で首尾良く注入した。これは、能動的ウイルス複製および急性感染を実証した。BenvenistyおよびReshef(1986)はまた、沈降リン酸カルシウムプラスミドの直接的腹腔内注入が、トランスフェクトした遺伝子の発現を生じることを実証した。目的の遺伝子をコードするDNAはまた、インビボで同じ様式で移入され得、遺伝子産物を発現することが想定される。
【0134】
細胞の中に裸のDNA発現構築物を移入するための本発明の別の実施形態では、粒子子銃(particle bombardment)を包含し得る。この方法は、DNAをコーティングした微粒子を、この粒子が細胞膜を貫き、そして細胞を殺すことなく細胞に侵入することが可能な高速まで加速させる能力に依存する(Kleinら、1987)。小さな粒子を加速させるためのいくつかの装置が、開発されている。このような装置の1つは、高電圧放電に依存して電流を発生させ、これは、次いで原動力を提供する(Yangら、1990)。用いられる微粒子は、タングステンビーズまたは金ビーズのような生物学的に不活性な物質からなっている。
【0135】
ラットおよびマウスの肝臓組織、皮膚組織、および筋肉組織を含む選択された器官は、インビボでボンバードされた(Yangら、1990;Zeleninら、1991)。このことは、銃と標的器官との間の任意の介在組織を除去する(すなわち、エキソビボ処置)ための、組織または細胞の外科的露出を必要とし得る。また、特定の遺伝子をコードするDNAは、この方法を介して送達され、そしてなお本発明により取りこまれ得る。
【0136】
(アンチセンスオリゴヌクレオチド)
遺伝子情報の流れの最終的結果は、タンパク質の合成である。DNAは、ポリメラーゼによってメッセンジャーRNAへと転写され、そしてリボソーム上で翻訳されて、フォールディングされた機能性タンパク質が生じる。従って、この経路に沿って、タンパク質合成が阻害され得るいくつかの段階が存在する。本明細書中に記載されるポリペプチドをコードするネイティブのDNAセグメントは、すべての哺乳動物DNA鎖のように、水素結合により結合された2つの鎖(センス鎖およびアンチセンス鎖)を有する。ポリペプチドをコードするメッセンジャーRNAは、センスDNA鎖と同じヌクレオチド配列を有するが、ただし、そのDNAのチミジンがウリジンに置き換わっている。従って、合成アンチセンスヌクレオチド配列は、mRNAに結合し、そしてそのmRNAによりコードされるタンパク質の発現を阻害する。
【0137】
従って、アンチセンスオリゴヌクレオチドにmRNAを標的とさせることは、タンパク質合成を妨げるための1つの機構であり、結果的に、強力かつ標的化された治療アプローチを示す。例えば、ポリガラクツウロナーゼの合成およびムスカリン2型アセチルコリンレセプターは、そのそれぞれのmRNA配列に対するアンチセンスオリゴヌクレオチドによって阻害される(米国特許第5,739,119号および米国特許第5,759,829号(各々その全体が、本明細書中に特に参考として援用される))。さらに、アンチセンス阻害の例が、核タンパク質サイクリン、多剤耐性遺伝子(MDG1)、ICAM−1、E−セレクチン、STK−1、線条体GABAAレセプターおよびヒトEGFを用いて示されている(Jaskulskiら、1988;VasanthakumarおよびAhmed、1989;Perisら、1998;米国特許第5,801,154号;同第5,789,573号;同第5,718,09号および同第5,610,288号(各々その全体が、本明細書中に特に参考として援用される))。種々の異常な細胞増殖(例えば、癌)を阻害しそして処置するために使用され得る、アンチセンス構築物もまた、記載されている(米国特許第5,747,470号;同第5,591,317号および同第5,783,683号(各々その全体が、本明細書中に特に参考として援用される))。
【0138】
従って、例示的実施形態において、本発明は、本明細書中に記載されるポリヌクレオチド配列に特異的に結合し得る任意の配列もしくはその相補体のすべてまたは一部を含む、オリゴヌクレオチド配列を提供する。1つの実施形態において、そのアンチセンスオリゴヌクレオチドは、DNAまたはその誘導体を含む。別の実施形態において、そのオリゴヌクレオチドは、RNAまたはその誘導体を含む。第3の実施形態において、そのオリゴヌクレオチドは、ホスホロチオエート改変骨格を含む、改変DNAである。第4の実施形態において、そのオリゴヌクレオチド配列は、ペプチド核酸またはその誘導体を含む。各場合において、好ましい組成物は、本明細書中に開示されるポリヌクレオチドのうちの1つ以上の部分に相補的な、より好ましくは実質的に相補的な、そしてさらにより好ましくは完全に相補的な、配列領域を含む。
【0139】
所定の遺伝子配列に特異的なアンチセンス組成物の選択は、選択された標的配列(すなわち、これらの例示的例においては、ラット配列およびヒト配列)の分析ならびに二次構造、Tm、結合エネルギー、相対的安定性の決定に基づき、そしてアンチセンス組成物は、二量体、ヘアピン、または宿主細胞において標的mRNAへの特異的結合を減少または妨げる他の二次構造をそれらが形成できない相対的能力に基づいて選択された。
【0140】
mRNAの非常に好ましい標的領域は、AUG翻訳開始コドンの領域またはその付近の領域、およびmRNAの5’領域と実質的に相補的な配列である。これらの二次構造分析および標的部位選択の考慮は、OLIGOプライマー分析ソフトウェアのバージョン4(Rychlik、1997)およびBLASTN 2.0.5アルゴリズムソフトウェア(Altschulら、1997)を使用して実施された。
【0141】
短いペプチドベクター(MPG(27残基)と称する)を使用するアンチセンス送達法の使用もまた意図される。このMPGペプチドは、HIV gp41の融合配列由来の疎水性ドメインと、SV40 T抗原の核局在化配列由来の親水性ドメインとを含む(Morrisら、1997)。このMPGペプチドのいくつかの分子がアンチセンスオリゴヌクレオチドをコートし、そして比較的高効率(90%)で1時間未満で培養哺乳動物細胞へと送達され得ることが示された。さらに、MPGとの相互作用は、ヌクレアーゼに対するそのオリゴヌクレオチドの安定性および形質膜を横切る能力の両方を強力に増加させる。
【0142】
(リボザイム)
タンパク質が伝統的に、核酸の触媒のために使用されているが、別の種類の高分子が、この試みにおいて有用であるとして出現した。リボザイムは、部位特異的様式で核酸を切断するRNA−タンパク質複合体である。リボザイムは、エンドヌクレアーゼ活性を保有する特異的触媒ドメインを有する(KimおよびCech、1987;Gerlachら、1987;ForsterおよびSymsons、1987)。例えば、多数のリボザイムが、高い程度の特異性でホスホエステル転移反応を促進し、しばしば、オリゴヌクレオチド基質中の数個のホスホエステルのうちの1つだけを切断する(Cechら、1981;MichelおよびWesthof、1990;Reinhold−HurekおよびShub、1992)。この特異性は、この基質が、化学反応の前にリボザイムの内部ガイド配列(「IGS」)との特異的塩基対形成相互作用を介して結合するという要件に帰せられている。
【0143】
リボザイム触媒は、主に、核酸に関与する配列特異的切断/連結反応の一部として観察されている(Joyce、1989;Cechら、1981)。例えば、米国特許第5,354,855号(特に本明細書中に参考として援用される)は、特定のリボザイムが、配列特異性が既知のリボヌクレアーゼの配列特異性よりも高くかつDNA制限酵素の配列特異性に近い、エンドヌクレアーゼとして作用し得ることを報告している。従って、遺伝子発現の配列特異的リボザイム媒介性阻害は、治療適用に特に適切であり得る(Scanlonら、1991;Sarverら、1990)。最近、リボザイムが適用されたいくつかの細胞株においてそのリボザイムが遺伝子変化を惹起したこと;その変化した遺伝子がオンコジーンであるH−ras,c−fosおよびHIVの遺伝子を含んだことが、報告された。この研究のほどんどは、特定のリボザイムにより切断される特定の変異体コドンに基づく、標的mRNAの改変に関した。
【0144】
天然に存在する酵素的RNAの6つの基本的変種が、現在公知である。各々が、生理学的条件下で、トランスで、RNAホスホジエステル結合の加水分解を触媒し得(従って、他のRNA分子を切断し得)る。一般に、酵素的核酸は、まず、標的RNAへの結合によって作用する。このような結合は、標的RNAを切断するように作用する分子の酵素的部分に近接して保持される、酵素的核酸の標的結合部分を介して生じる。従って、その酵素的核酸はまず、標的RNAを認識し、次いで相補的塩基対形成を介してその標的RNAに結合し、そして一旦正確な部位に結合すると、その標的RNAを酵素的に切断するように作用する。このような標的RNAの戦略的切断は、コードされるタンパク質を直接合成する能力を破壊する。酵素的核酸がそのRNA標的に結合しそして切断した後、その酵素的核酸は、別の標的を探索するためにそのRNAから離れ、そして繰り返し、新しい標的に結合しそして切断し得る。
【0145】
リボザイムの酵素特性は、多くの技術(例えば、アンチセンス技術(ここで、核酸分子は、翻訳を阻害するために核酸標的に簡単に結合する))に対して有利である。なぜなら、治療的処置に影響を与えるのに必要であるリボザイムの濃度は、アンチセンスオリゴヌクレオチの濃度よりも低いからである。この利点は、酵素学的に作用するリボザイムの能力に影響を与える。従って、単一のリボザイム分子は、標的RNAの多くの分子を切断し得る。さらに、このリボザイムは、高度に選択的なインヒビターであり、この阻害の特異性は、標的RNAに結合する塩基対形成の機構に依存するだけでなく、標的RNAの切断の機構にも依存する。切断部位付近の1個のミスマッチまたは塩基置換により、リボザイムの触媒活性が完全になくなり得る。アンチセンス分子内の同様のミスマッチでは、それらの作用は妨げられない(Woolfら、1992)。従って、リボザイムの作用の特異性は、同じRNA部位に結合するアンチセンスオリゴヌクレオチドの作用の特異性よりも高い。
【0146】
この酵素学的核酸分子は、ハンマーヘッド(hammerhead)モチーフ、ヘアピンモチーフ、δ型肝炎ウイルスモチーフ、I群イントロンモチーフまたはRNaseP RNAモチーフ(RNA誘導配列に関連する)あるいはNeurospora VS RNAモチーフにおいて形成され得る。ハンマーヘッドモチーフの例は、Rossiら(1992)に記載される。ヘアピンモチーフの例は、Hampelら(欧州特許出願公開番号EP 0360257)、HampelおよびTritz(1989)、Hampelら(1990)および米国特許第5,631,359号(本明細書中で特に参考として援用される)に記載される。δ型肝炎ウイルスモチーフの例は、PerrottaおよびBeen(1992)に記載される。RNaseモチーフの例は、Guerrier−Takadaら(1983)に記載される。Neurospora VS RNAリボザイムモチーフは、Collins(SavilleおよびCollins,1990;SavilleおよびCollins,1991;CollinsおよびOlive,1993)に記載される。そしてI群イントロンの例は、米国特許第4,987,071号に記載される(本明細書中で特に参考として援用される)。本発明の酵素学的核酸分子において重要であることは、1以上の標的遺伝子RNA領域に相補的である特定の基質結合部位を有すること、およびこの分子にRNA切断活性を付与する基質結合部位内にヌクレオチド配列を有することまたはこの基質結合部位を取り囲むヌクレオチド配列を有することだけである。従って、リボザイム構築物は、本明細書中に記載される特定のモチーフに限定する必要はない。
【0147】
特定の実施形態において、所望の標的のRNA(例えば、本明細書中において開示される配列の1つ)に対して高度の特異性を示す、酵素学的切断試薬を産生することが重要であり得る。好ましくは、この酵素学的核酸分子は、標的mRNAの高度に保存された配列領域に対して標的化される。このような酵素学的核酸分子は、必要とされる場合、特定の細胞に外因的に送達され得る。あるいは、このリボザイムは、特定の細胞に送達されるDNAベクターまたはRNAベクターから発現され得る。
【0148】
小さな酵素学的核酸モチーフ(例えば、ハンマーヘッド構造またはヘアピン王像のモチーフ)はまた、外因的送達のために使用され得る。これらの分子の単純な構造は、酵素学的核酸がmRNA構造の標的化領域に浸潤する能力を増大させる。あるいは、触媒RNA分子は、真核生物のプロモータより細胞内で発現され得る(例えば、Scanlonら、1991;Kashani−Sabetら、1992;Droupulicら、1992;Weerasingheら、1991;Ojwangら、1992;Chenら、1992;Sarverら、1990)。当業者は、任意のリボザイムが、適切なDNAベクター由来の真核生物細胞において発現されることを理解する。このようなリボザイムの活性は、第二リボザイムによる第一転写物からの解放によって増強され得る(国際特許出願公開番号WO 93/23569、および国際特許出願公開番号WO 94/02595(これらの両方は、参考として援用される);Ohkawaら、1992;Tairaら、1991;ならびにVenturaら、1993)。
【0149】
リボザイムは、直接的に添加されるか、またはリポザイム内にパッケージングされたカチオン性脂質と共に複合体化され(脂質複合体)、さもなければ、標的細胞に送達され得る。RNAまたはRNA複合体は、生体高分子中に取り込んだ状態または取り込んでない状態で、注射、エアロゾル吸入、注入ポンプまたはステントを介して、関連する組織(エキソビボ、またはインビボ)に局所的に投与され得る。
【0150】
リボザイムは、国際特許出願公開番号WO 93/23569および国際特許出願公開番号WO 94/02595(各々は、本明細書中で参考として援用される)に記載されるように設計され得、そして記載されるようにインビトロおよびインビボにおいて試験するために合成され得る。このようなリボザイムはまた、送達するために最適化され得る。特定の例が提供されるが、当業者は、他の種において等価なRNA標的が、必要な場合に利用され得ることを理解する。
【0151】
ハンマーヘッドリボザイムまたはヘアピンリボザイムを、コンピュータフォールディング(Jaegerら、1989)によって個々に分析し、リボザイム配列が、適切な2次構造に折り畳まれたかどうかを評価し得る。結合アーム(binding arm)と触媒中心との間で好ましくない分子内相互作用を有するこれらのリボザイムは、考慮から外される。種々の結合アームの長さが、活性を最適化するために選択され得る。一般に、各アームにおいて少なくとも5個以上の塩基が標的RNAに結合するか、さもなくばこの標的RNAと相互作用し得る。
【0152】
ハンマーヘッドモチーフまたはヘアピンモチーフのリボザイムは、mRNAメッセージの種々の部位に対してアニールするように設計され得、そして化学的に合成され得る。使用される合成の方法は、Usmanら(1987)およびScaringら、(1990)に記載されるように正常のRNA合成のための手順が使用され、そして一般的な核酸保護基および連結基(例えば、5’末端においてジメトキシトリチルおよび3’末端においてホスホルアミダイト)が使用される。平均的、段階的な連結収率は、代表的に、98%より高い。ヘアピンリボザイムは、2個の部分で合成され得、そして活性リボザイムを再構築するためにアニールされ得る(ChowriraおよびBurke、1992)。リボザイムは、大規模に改変され得、ヌクレアーゼ耐性基を用いて改変すること(例えば、2’−アミノ、2’−C−アリル、2’−フルオロ、2’−o−メチル、2’−H(概説のために、例えばUsmanおよびCedergren、1992を参照のこと))によって安定性が増大され得る。リボザイムは、一般的な方法を使用するゲル電気泳動または高圧液体クロマトグラフィーによって精製され得、そして水中に再懸濁され得る。
【0153】
リボザイムの活性は、リボザイムの結合アームの長さを変更することにより、または血清リボヌクレアーゼによる分解を防ぐ改変(国際特許出願番号WO 92/07065;Perraultら、1990;Piekenら、1991;UsmanおよびCedergen、1992;国際特許公開番号WO 93/15187;国際特許出願公開番号WO 91/0362;欧州特許出願公開番号92110298;米国特許第5,334,711号、および国際特許出願公開番号WO 94/13688(これには、酵素学的RNA分子の糖部分に対して成され得る、種々の化学的修飾が記載される)を参照のこと)、細胞中でのリボザイムの有効性を増強する改変、ならびにRNAの合成時間を短縮および化学的必要性を低下させるための幹(stem)II塩基の除去して、リボザイムを化学的に合成することによって最適化され得る。
【0154】
Sullivanら(国際特許出願公開番号WO 94/02595)は、酵素学的RNA分子の送達のための一般的な方法を記載する。リボザイムは、当業者に公知の種々の方法によって細胞に投与され得、これらには、リポソームへのカプセル化、イオン泳動法、あるいは、例えば、ヒドロゲル、シクロデキストリン、生分解性ナノカプセルおよび生体接着性ミクロスフィアのような他のビヒクルへの取り込みによる、が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの指針のために、リボザイムは、エキソビボで細胞または組織に、上記のビヒクルを使用してか、または使用せずに直接送達され得る。あるいは、RNA/ビヒクルの組合せは、直接的な吸入、直接的な注射、またはカテーテル、注入ポンプまたはステントの使用により、局所的に送達され得る。他の送達経路としては、血管内注射、筋内注射、皮下注射または関節注射、エアロゾル吸入、経口送達(錠形態またはピル形態)、局所送達、全身送達、眼送達、腹腔内送達および/またはくも膜下腔内送達が挙げられるが、これらに限定されない。リボザイム送達および投与のより詳細な記載は、国際特許公開番号WO 94/02595および国際特許出願公開番号WO 93/23569(各々は、本明細書中で参考として特に援用される)に提供される。
【0155】
高濃度のリボザイムを細胞内に蓄積する好ましい手段は、リボザイムコード配列をDNA発現ベクターに組み込むことである。リボザイム配列の転写は、真核生物RNAポリメラーゼI(pol I)、RNAポリメラーゼII(pol II)、またはRNAポリメラーゼIII(pol III)のためのプロモーターにより駆動される。pol IIプロモーターまたはpol IIIプロモーターからの転写物は、全ての細胞内で高レベルで発現される;所定の細胞型における所定のpol IIプロモーターのレベルは、近くに存在する遺伝子調節配列(エンハンサー、サイレンサーなど)の性質に依存する。原核生物のRNAポリメラーゼプロモーターもまた使用され得るが、但し、原核生物RNAポリメラーゼ酵素は、適切な細胞において発現される(Elroy−SteinおよびMoss、1990;GaoおよびHuang、1993;Lieberら、1993;Zhouら、1990)。このようなプロモーターから発現するリボザイムは、哺乳動物細胞において機能し得る(例えば、Kashani−Sabevら、1992;Ojwangら、1992;Chenら、1992;Yuら、1993;L’Huillierら、1992;Lisziewiczら、1993)。このような転写ユニットは、哺乳動物細胞内への導入のための種々のベクター(プラスミドDNAベクター、ウイルスDNAベクター(例えば、アデノウイルスベクターまたはアデノ随伴ベクター)、またはウイルスRNAベクター(例えば、レトロウイルス、セムリキフォレストウイルス、シンドビスウイルスベクター)が挙げられるがこれらに限定されない)に組み込まれ得る。
【0156】
リボザイムを診断道具として使用して、疾患細胞内の遺伝的変動および変異を試験し得る。これらをまた使用して、標的RNA分子のレベルを評価し得る。リボザイム活性と標的RNAの構造との間の緊密な関係は、標的RNAの塩基対形成および3次元構造を変える分子の任意の領域において変異の検出を可能にする。複数のリボザイムを使用することにより、インビトロならびに細胞および組織でのRNAの構造および機構に対して重要であるヌクレオチドの変化をマップし得る。リボザイムを用いる標的RNAの切断を使用して、遺伝子発現を阻害し得、そして疾患の進行における特定の遺伝子産物の役割(必須性)を規定し得る。この様式で、他の遺伝子標的が、その疾患の重要な媒介物として、規定され得る。これらの研究は、組合せ治療の可能性(例えば、異なる遺伝子を標的とする複数のリボザイム、公知の低分子インヒビターに結合したリボザイム、あるいはリボザイムおよび/または他の化学的分子もしくは生物学的分子と組み合わせた間欠性処置)を提供することにより、疾患の進行のより良好な処置をもたらす。リボザイムの他のインビトロでの他の使用は、当該分野で周知であり、そしてIL−5に関連する状態に関するmRNAの存在の検出を含む。このようなRNAは、標準的な方法を使用してリボザイムと共に処置した後に、切断産物の存在を決定することによって検出される。
【0157】
(ペプチド核酸)
特定の実施形態において、本発明者は、本発明の方法の実施において、ペプチド核酸(PNA)の使用を考慮した。PNAは、DNA模倣物であり、核酸塩基は、偽ペプチド骨格に結合される(GoodおよびNielsen、1997)。PNAは、RNAまたはDNAを伝統的に使用した複数の方法において利用され得る。時々、PNA配列は、対応するRNAまたはDNA配列よりも技術的により良く実施され、そしてRNAにもDNAにも固有でない有用性を有していた。産生方法、使用の特徴付け、および使用方法を含むPNAの総説は、Corey(1997)によって提供され、そして本明細書中で参考として援用される。このように、特定の実施形態において、ACE mRNA配列の1以上の部分に相補的であるPNA配列を調製し得、そしてこのようなPNA組成物は、ACE−特異的mRNAの翻訳を調節、変更、減少、または低下させるために使用され得、これにより、このようなPNA組成物が投与される宿主細胞におけるACE活性のレベルを変更する。
【0158】
PNAは、正常なDNAのホスホジエステル骨格を置換する2−アミノエチル−グリシン連結を有する(Nielsenら、1991;Hanveyら、1992;HyrupおよびNielsen,1996;Neilsen、1996)。この化学は、3つの重要な結果を有する。第1に、DNAまたはホスホロチオエートオリゴヌクレオチドと比較して、PNAは、中性の分子であり;第2に、PNAは、アキラル(立体選択的な合成を開発する必要がない)であり;そして第3に、PNA合成は、標準的なBocプロトコル(Dueholmら、1994)またはFmocプロトコル(Thomsonら、1995)を、固相ペプチド合成に使用する。一方、改良型Merrifield法を含む他の方法が使用される(Christensenら、1995)。
【0159】
PNAモノマーまたは既製のオリゴマーは、PerSeptive Biosystems(Framingham,MA)から市販されている。BocプロトコルまたはFmocプロトコルのいずれかによるPNAの合成は、手動プロトコルまたは自動プロトコルを使用して簡単に実施される(Nortonら、1995)。このマニュアルプロトコールは、それ自体で、化学的に修飾されたPNAの産生または密接に関係するPNAのファミリーの同時合成を導く。
【0160】
ペプチドの合成に関して、特定のPNA合成の成功は、選択した配列の特性に依存する。例えば、理論上、PNAは、ヌクレオチド塩基の任意の組合せを取り込み得るが、隣接するプリンの存在は、産生の際に、1以上の残基の欠失を導き得る。この困難性の見込みにおいて、隣接するプリンを有するPNAを産生する際に、非効率的に加えられているようである残基の連結を繰り返すべきであることを提案する。この後、ペプチド合成の間に観測されるのと類似する産物の収率および純度を提供する逆相高圧液体クロマトグラフィーによってPNAを精製するべきである(Nortonら、1995)。
【0161】
所与の適用のためのPNAの修飾が、固相合成の間にアミノ酸を連結することによって、または露出されたN末端アミンにカルボン酸基を含む化合物を付加することによって達成され得る。あるいは、PNAは、導入されたリジンまたはシステインに連結することによって合成した後に修飾され得る。PNAが修飾され得る簡便さにより、より良い溶解度または特定の機能的必要性の最適化を容易にする。一旦合成されると、PNAおよびそれらの誘導体の同定は、質量分析器によって確認され得る。いくつかの研究が、PNAの修飾物を産生および利用した(Nortonら、1995;Haaimaら、1996;Stetsenkoら、1996;Petersenら、1995;Ulmannら、1996;Kochら、1995;Orumら、1995;Footerら、1996;Griffithら、1995;Kremskyら、1996;Pardridgeら、1995;Boffaら、1995;Landsdorpら、1996;Gambacorti−Passeriniら、1996;Armitageら、1997;Seegerら、1997;Ruskowskiら、1997)。米国特許第5,700,922号は、PNA−DNA−PNAキメラ分子および診断におけるその分子の使用、生体中で修飾するタンパク質、ならびに治療に対して影響を受け易い状態の処置について議論する。
【0162】
負に荷電した連結を含有するDNAおよびRNAと比較して、PNA骨格は、中性である。この劇的な変更にも係らず、PNAは、Watson−Crick対形成によって相補的なDNAおよびRNAを認識し(Egholmら、1993)、Nielsenら(1991)による初期のモデル化を確認する。PNAは、3’〜5’の極性を欠き、そして平行様式または逆平行様式のいずれかで結合し得るが、逆平行様式が好ましい(Egholmら、1993)。
【0163】
DNAオリゴヌクレオチドとDNAおよびRNAとのハイブリダイゼーションは、負に荷電した相補鎖のリン酸骨格の間に静電気的な反発によって不安定化される。対照的に、PNA−DNAまたはPNA−RNAの二重鎖において電荷の反発がないことにより、融解温度(Tm)が上昇し、そして一価のカチオンまたは二価のカチオンの濃度へのTmの依存度が減少する(Nielsenら、1991)。ハイブリダイゼーションの増加した速度および親和性は重要である。なぜならば、これらは、緩和した二重鎖DNA内の相補配列の鎖侵入を実施するようなPNAの驚くべき能力の原因となるからである。さらに、逆方向反復での効果的なハイブリダイゼーションは、PNAが、二重鎖DNA内で効果的に二次構造を認識し得ることを示唆する。増強した認識はまた、表面上に固定化されたPNAで生じ、Wangらは、支持体に結合したPNAが、ハイブリダイゼーション事象を検出するために使用され得ることを示した(Wangら、1996)。
【0164】
相補的な配列に対するPNAの強固な結合がまた、類似の(同じではない)配列との結合を増加し、PNA認識の配列特異性を減少させることが予期される。しかし、DNAハイブリダイゼーションに関して、選択的認識は、オリゴマー長およびインキュベーション温度を平均化することにより達成され得る。さらに、PNAの選択的ハイブリダイゼーションは、DNA−DNAハイブリダイゼーションよりも低い塩基ミスマッチを許容するPNA−DNAハイブリダイゼーションによって促進される。例えば、16bpのPNA−DNA二重鎖内での1個のミスマッチは、15℃までTmを低下させ得る(Egholmら、1993)。高いレベルの識別は、点変異の分析に対して、数種のPNAに基づく戦略の開発を可能にする(Wangら、1996;Carlssonら、1996;Thiedeら、1996;WebbおよびHurskainen、1996;Perry−O’Keefeら、1996)。
【0165】
高い親和性結合は、PNAに対する分子認識および新規適用の開発のための明確な利点を提供する。例えば、11〜13個のヌクレオチドPNAは、テロメアーゼ(本質的なRNA鋳型を使用するテロメア末端を伸長するリボヌクレオ−タンパク質)の活性を阻害するが、アナログDNAオリゴマーは、阻害しない(Nortonら、1996)。
【0166】
中性PNAは、アナログDNAオリゴマーよりもより疎水性であり、そしてこのことは、特に、PNAが高いプリン含有量を有する場合、または二次構造を形成するような能力を有する場合に、このPNAを中性のpHで溶解するのをより困難にし得る。これらの溶解度は、1以上の正に電荷をPNA末端に付与することによって増加され得る(Nielsenら、1991)。
【0167】
Allfreyおよび共同実験者による発見は、鎖の侵入が染色体DNA内の配列において自然に起こることを示唆している(Boffaら、1995;Boffaら、1996)。これらの研究は、ヌクレオチドCAGの三塩基反復に対してPNAを標的化し、そして転写性活性DNAを精製(Boffaら、1995)し、そして転写を阻害(Boffaら、1996)するためのこの認識を使用した。この結果は、PNAが細胞内に送達され得た場合、このPNAが遺伝子発現の一般的な配列特異的調節因子となる能力を有することを示唆する。PNAのアンチセンスおよび抗遺伝子試薬の使用に関する研究および総説には、Nielsenら(1993b)、Hanveyら(1992)、およびGoodおよびNielsen(1997)が挙げられる。Koppelhusら(1997)は、HIV−1の逆転写を阻害するためにPNAを使用して、PNAが抗ウイルス治療に使用され得ることを示した。
【0168】
PNAのアンチセンス結合特性を特徴づけする方法は、Rose(1993)およびJensenら(1997)において議論される。Roseは、キャピラリーゲル電気泳動を使用して、相対的な結合速度論および化学量論を測定することで、PNAのそれらの相補的オリゴヌクレオチドとの結合を決定する。同じタイプの測定が、BIAcoreTM technologyを使用してJensenらによって成された。
【0169】
PNAの他の適用には、DNA鎖の侵入(Nielsenら、1991)、アンチセンス阻害(Hanveyら、1992)、変異分析(Orumら、1993)、転写の増強(Mollegaardら、1994)、核酸の精製(Orumら、1995)、転写活性遺伝子の単離(Boffaら、1995)、転写性活性結合因子の阻害(Vickersら、1995)、ゲノムの切断(Veselkovら、1996)、バイオセンサー(Wangら、1996)、インサイチュハイブリダイゼーション(Thistedら、1996)、およびサザンブロットの代替(Perry−O’Keefe、1996)における使用が挙げられる。
【0170】
(ポリペプチド組成物)
他の局面において、本発明は、ポリペプチド組成物を提供する。一般に、本発明のポリペプチドは、哺乳動物種由来の単離されたポリペプチド(もしくはエピトープ、改変体、またはその活性フラグメント)である。好ましくは、本明細書中に記載されるポリヌクレオチド配列または本明細書に記載されるポリヌクレオチド配列に対して穏やかにストリンジェントな条件下でハイブリダイズする配列によってコードされるポリペプチドである。あるいは、ポリペプチドは、本明細書中に開示されるアミノ酸配列由来の連続アミノ酸配列を含むポリペプチド、または本明細書中に開示される全体のアミノ酸配列を含むポリペプチドとして規定され得る。
【0171】
本発明において、ポリペプチド組成物はまた、本発明のポリペプチド(特に、配列番号786、787、791、793、795、797−799、806もしくは809に開示されるアミノ酸配列を有するポリペプチド)、あるいは活性フラグメント、または改変体もしくはその生物学的機能性等価物に対して産生される抗体と免疫学的に反応性である1以上のポリペプチドを含むと考えられる。
【0172】
同様に、本発明のポリペプチド組成物は、以下
【0173】
【化1】
に含まれる1以上の連続する核酸配列、あるいはその活性フラグメントまたは改変体、または中程度から高いストリンジェンシーな条件下で1以上のこれらの配列とハイブリダイズする1以上の核酸配列によってコードされる1以上のポリペプチドと免疫学的に反応性である抗体を誘発し得る1以上のポリペプチドを含むことが理解される。特に、例示的なポリペプチドとしては、配列番号786、787、787、791、793、795、797−799、806、809および827に開示されるアミノ酸配列が挙げられる。
【0174】
本明細書中で使用される場合、ポリペプチドの活性フラグメントは、ポリペプチドの全体または一部を含み、これは、従来の技術(例えば、突然変異誘発)により、または付加、失欠、もしくは置換によって改変されるか、活性フラグメントは、本明細書中に記載されるようなポリペプチドとして、実質的に同一の構造的機能性、抗原性などを示す。
【0175】
特定の例示的な実施形態において、本発明のポリペプチドは、本明細書中に記載されるように、肺癌タンパク質またはその改変体の少なくとも免疫原性部分を含む。上記のように、「肺腫瘍タンパク質」は、肺腫瘍細胞によって発現されるタンパク質である。肺腫瘍タンパク質であるタンパク質はまた、イムノアッセイ(例えば、ELISA)内で検出可能に、肺癌を有する患者由来の抗血清と反応する。上記のようなポリペプチドは、任意の長さであり得る。ネイティブなタンパク質および/または非相同的な配列由来のさらなる配列が存在し得、そしてこのような配列は、さらに免疫原性特性または抗原性特性を有し得るが、必要であるわけではない。
【0176】
本明細書中で使用される場合、「免疫原性部分」は、B細胞および/またはT細胞の表面抗原レセプターによって認識される(すなわち、特異的に結合される)タンパク質の一部である。一般に、このような免疫原性部分は、肺腫瘍タンパク質の少なくとも5個のアミノ酸残基、より好ましくは、少なくとも10個のアミノ酸残基、そしてさらにより好ましくは、少なくとも20個のアミノ酸残基、またはそれらの改変体を含む。特定の好ましい免疫原性部分は、N末端リーダー配列および/または膜貫通ドメインが欠失されているペプチドを含む。他の好ましい免疫原性部分は、成熟タンパク質と比較して、少ないN末端および/またはC末端失欠(例えば、1〜30個のアミノ酸、好ましくは、5〜15個のアミノ酸)を含む。
【0177】
免疫原性部分は、一般的にPaul,Fundamental Immunology,第3版、243−247(Raven Press,1993)およびそこに引用される参考文献に要約されるような周知技術を使用して、同定され得る。このような技術は、抗原特異的な抗体、抗血清および/あるいはT細胞株またはT細胞クローンと反応する能力についてポリペプチドをスクリーニングする工程を包含する。本明細書中で使用される場合、抗血清および抗体は、それらが抗原に特異的に結合する(すなわち、これらが、ELISAまたは他の免疫アッセイにおいてそのタンパク質と反応し、無関係なタンパク質とは検出可能に反応しない)場合、「抗原特異的」である。このような抗血清および抗体は、本明細書中に記載されるように、そして周知技術を使用して調製され得る。ネイティブの肺腫瘍タンパク質の免疫原性部分は、(例えば、ELISAおよび/またはT細胞反応性アッセイにおいて)その全長ポリペプチドの反応性よりも実質的に小さくないレベルで、このような抗血清および/またはT細胞と反応する部分である。このような免疫原性部分は、このようなアッセイにおいて、その全長ポリペプチドの反応性と類似またはそれより大きいレベルで反応し得る。このようなスクリーニングは、一般的に、当業者に周知の方法(例えば、HarlowおよびLane,Antibodies:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory,1988に記載のような技術)を使用して行われ得る。例えば、ポリペプチドを固体支持体に固定し、そして患者の血清を接触させて、その血清中の抗体をその固定されたポリペプチドに結合させ得る。次いで、結合されなかった血清を除去し、結合された抗体を、例えば、125I標識化プロテインAを使用して検出し得る。
【0178】
上記のように、組成物は、ネイティブの肺腫瘍タンパク質の改変体を含み得る。本明細書中で使用される場合、ポリペプチド「改変体」は、ネイティブの肺腫瘍タンパク質と、1以上の置換、欠失、付加および/または挿入において異なるポリペプチドであり、その結果、そのポリペプチドの免疫原性が、実質的には減少されない。言い換えると、抗原特異的な抗血清と反応する改変体の能力は、そのネイティブタンパク質と比較して、増強されても、または変化されなくてもよく、あるいは、そのネイティブタンパク質と比較して、50%未満、そしてより好ましくは、20%未満で減少されてもよい。このような改変体は、一般に、本明細書中に記載のように、上記ポリペプチド配列の1つを改変し、この改変ポリペプチドの抗原特異的な抗体または抗血清との反応性を評価することによって同定され得る。好ましい改変体は、1つ以上の部分(例えば、N末端リーダー配列または膜貫通ドメイン)が取り除かれた改変体を含む。他の好ましい改変体は、小さな部分(例えば、1〜30アミノ酸、好ましくは5〜15アミノ酸)が、成熟タンパク質のN末端および/またはC末端から取り除かれた改変体を含む。
【0179】
本発明によって含まれるポリペプチド改変体は、本明細書中に開示されたポリペプチドに対して、少なくとも約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、または約99%以上の同一性(上記のように決定された)を示すポリペプチド改変体を含む。
【0180】
好ましくは、改変体は、保存的置換を含む。「保存的置換」は、あるアミノ酸が、類似の特性を有する別のアミノ酸と置換されている置換であり、その結果、ペプチド化学の当業者は、そのポリペプチドの二次構造および疎水性親水性(hydropathic)性質が、実質的に変化されないことを予測する。アミノ酸置換は、一般に、残基の極性、電荷、溶解性、疎水性、親水性および/または両親媒性性質の類似性に基づいて作製され得る。例えば、負に荷電したアミノ酸としては、アスパラギン酸およびグルタミン酸;正に荷電したアミノ酸としては、リジンおよびアルギニン;および類似の親水性値を有する非荷電の極性頭部を有するアミノ酸としては、ロイシン、イソロイシンおよびバリン;グリシンおよびアラニン;アスパラギンおよびグルタミン;ならびにセリン、トレオニン、フェニルアラニンおよびチロシンが挙げられる。保存的変化を示し得るアミノ酸の他のグループとしては、(1)ala、pro、gly、glu、asp、gln、asn、ser、thr;(2)cys、ser、tyr、thr;(3)val、ile、leu、met、ala、phe;(4)lys、arg、his;および(5)phe、tyr、trp、hisが挙げられる。改変体はまた、またはあるいは、非保存的変化を含み得る。好ましい実施形態において、改変体ポリペプチドは、5または5より少ないアミノ酸の置換、欠失または付加によって、ネイティブの配列とは異なる。改変体はまた(またはあるいは)、例えば、ポリペプチドの免疫原性、二次構造および疎水性親水性性質に最小限の影響しか有さないアミノ酸の欠失または付加によって、改変され得る。
【0181】
上記のように、ポリペプチドは、タンパク質のN末端にシグナル(または、リーダー)配列を含み得、これは、翻訳と同時に、または翻訳後に、そのタンパク質の転移を指向する。このポリペプチドはまた、このポリペプチドの合成、精製または同定を容易にするために、またはこのポリペプチドの固体支持体への結合を増強するために、リンカー配列または他の配列(例えば、ポリHis)に結合体化され得る。例えば、ポリペプチドは、免疫グロブリンFc領域に結合体化され得る。
【0182】
ポリペプチドは、任意の種々の周知技術を使用して調製され得る。上記のようなDNA配列によってコードされる組換えポリペプチドは、当業者に公知の任意の種々の発現ベクターを使用して、DNA配列から容易に調製され得る。発現は、組換えポリペプチドをコードするDNA分子を含む発現ベクターで形質転換またはトランスフェクトされた、任意の適切な宿主細胞において達成され得る。適切な宿主細胞としては、原核生物細胞、酵母細胞、および高等真核生物細胞(例えば、哺乳動物細胞および植物細胞)が挙げられる。好ましくは、使用される宿主細胞は、E.coli、酵母または哺乳動物細胞株(例えば、COSまたはCHO)である。組換えタンパク質または組換えポリペプチドを培養培地中に分泌する適切な宿主/ベクター系からの上清は、市販のフィルターを使用して、最初に濃縮され得る。濃縮後、この濃縮物を、適切な精製マトリックス(例えば、アフィニティーマトリックスまたはイオン交換樹脂)に適用し得る。最終的に、1以上の逆相HPLC工程を使用して、組換えポリペプチドをさらに精製し得る。
【0183】
約100アミノ酸未満、そして一般に、約50アミノ酸未満のアミノ酸を有する部分および他の改変体もまた、当業者に周知の技術を使用して、合成手段によって生成され得る。例えば、このようなポリペプチドは、任意の市販の固相技術(例えば、Merrifield固相合成法(ここでは、アミノ酸が連続的に付加されて、アミノ酸鎖を成長させる))を使用して、合成され得る。Merrifield,J.Am.Chem.Soc.85:2149−2146,1963を参照のこと。ポリペプチドの自動合成のための装置は、Perkin Elmer/Applied BioSystems Division(Foster City,CA)のような供給者から市販され、そして製造業者の説明書に従って操作され得る。
【0184】
ある特定の実施形態において、ポリペプチドは、本明細書中に記載の複数のポリペプチドを含むか、または本明細書に記載の少なくとも1つのポリペプチドおよび関連しない配列(例えば、公知の腫瘍タンパク質)を含む融合タンパク質であり得る。例えば、融合パートナーは、Tヘルパーエピトープ(免疫学的融合パートナー)、好ましくはヒトによって認識されるTヘルパーエピトープを提供する際に補助し得るか、またはネイティブの組換えタンパク質より高い収量でタンパク質(発現エンハンサー)を発現する際に補助し得る。特定の好ましい融合パートナーは、免疫学的融合パートナーおよび発現増強融合パートナーの両方である。他の融合パートナーは、タンパク質の溶解性を増加するように、またはタンパク質が所望の細胞内コンパートメントに標的化されることを可能にするように選択され得る。なおさらなる融合パートナーには、親和性タグ(これは、タンパク質の精製を容易にする)が挙げられる。
【0185】
融合タンパク質は、一般に、標準的な技術(化学的結合体化を含む)を使用して調製され得る。好ましくは、融合タンパク質は、発現系において、組換えタンパク質として発現され、非融合タンパク質と比較して、増加したレベルの産生を可能にする。手短に言うと、このポリペプチド成分をコードするDNA配列を、別々にアセンブルし得、そして適切な発現ベクターに連結し得る。1つのポリペプチド成分をコードするDNA配列の3’末端は、ペプチドリンカーを用いてまたは用いずに、第2のポリペプチド成分をコードするDNA配列の5’末端に、これらの配列のリーディングフレームが同じ相にあるように連結される。このことが、両方の成分ポリペプチドの生物学的活性を保持する単一の融合タンパク質への翻訳を可能にする。
【0186】
ペプチドリンカー配列は、各ポリペプチドがその二次構造および三次構造へと折り畳まれるのを保証するために十分な距離で第一および第二のポリペプチド構成要素を隔てるために用いられ得る。このようなペプチドリンカー配列は、当該分野で周知の標準的な技術を用いて融合タンパク質中に組み込まれる。適切なペプチドリンカー配列は、以下の因子に基づいて選択され得る:(1)フレキシブルな伸長したコンホメーションを採る能力;(2)第一および第二のポリペプチド上の機能的なエピトープと相互作用し得る二次構造を採ることができないこと;および(3)ポリペプチドの機能的なエピトープと反応し得る疎水性または荷電した残基の無いこと。好ましいペプチドリンカー配列は、Gly、AsnおよびSer残基を含む。ThrおよびAlaのような中性に近い他のアミノ酸もまた、リンカー配列に用いられ得る。リンカーとして有用に用いられ得るアミノ酸配列は、Marateaら、Gene 40:39−46、1985;Murphyら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 83:8258−8262、1986;米国特許第4,935,233号および米国特許第4,751,180号に開示されるアミノ酸配列を含む。リンカー配列は、一般的に1から約50アミノ酸長であり得る。リンカー配列は、第一および第二のポリペプチドが、機能的ドメインを分離するため、および立体的な干渉を防ぐために用いられ得る非必須N末端アミノ酸領域を有する場合、必要とされない。
【0187】
連結されたDNA配列は、適切な転写または翻訳調節エレメントに作動可能に連結される。DNAの発現を担う調節エレメントは、第一のポリペプチドをコードするDNA配列の5’側にのみ位置する。同様に、翻訳および転写終結シグナルを終了するために必要とされる終止コドンは、第二のポリペプチドをコードするDNA配列の3’側にのみ存在する。
【0188】
融合タンパク質もまた提供される。このようなタンパク質は、関連しない免疫原性ポリペプチドと共に、本明細書中に記載されるようなポリペプチドを含む。好ましくは、免疫原性タンパク質は、リコール(recall)応答を惹起し得る。このようなタンパク質の例としては、破傷風タンパク質、結核タンパク質および肝炎タンパク質が挙げられる(例えば、Stouteら、New Engl.J.Med.、336:86−91(1997)を参照のこと)。
【0189】
好ましい実施形態において、免疫学的融合パートナーは、グラム陰性の細菌Haemophilus influenza Bの表面タンパク質である、プロテインD(WO 91/18926)に由来する。好ましくは、プロテインD誘導体は、ほぼ3分の1のタンパク質(例えば、最初のN末端100〜110アミノ酸)を含み、そしてプロテインD誘導体は、脂質化(lipidated)され得る。特定の好ましい実施形態において、リポタンパク質D融合パートナーの最初の109残基は、さらなる外因性T細胞エピトープを有するポリペプチドを提供するように、そしてE.coli中の発現レベルを増加する(従って、発現エンハンサーとして機能する)ように、N末端に含まれる。脂質テールは、抗原提示細胞への抗原の最適な提示を保証する。他の融合パートナーは、インフルエンザウイルス由来の非構造タンパク質、NS1(血球凝集素)を含む。代表的に、N末端の81アミノ酸が用いられるが、Tヘルパーエピトープを含む異なるフラグメントが用いられてもよい。
【0190】
別の実施形態において、免疫学的融合パートナーは、LYTAとして公知のタンパク質、またはその部分(好ましくはC末端部分)である。LYTAは、アミダーゼLYTA(LytA遺伝子によりコードされる;Gene 43:265〜292,1986)として公知のN−アセチル−L−アラニンアミダーゼを合成するStreptococcus pneumoniae由来である。LYTAは、ペプチドグリカン骨格中の特定の結合を特異的に分解する自己溶解素である。LYTAタンパク質のC末端ドメインは、コリンまたはいくつかのコリンアナログ(例えば、DEAE)への親和性についての原因である。この性質は、融合タンパク質の発現のために有用なE.coli C−LYTA発現プラスミドの開発のために開発された。アミノ酸末端でC−LYTAフラグメントを含むハイブリッドタンパク質の精製が、記載されている(Biotechnology 10:795〜798,1992を参照のこと)。好ましい実施形態において、LYTAの反復部分は、融合タンパク質に組み込まれ得る。反復部分は、残基178で開始するC末端領域中に見出される。特に好ましい反復部分は、残基188〜305を組み込む。
【0191】
一般に、本明細書に記載されるようなポリペプチド(融合タンパク質を含む)およびポリヌクレオチドが単離される。「単離された」ポリペプチドまたはポリヌクレオチドは、その元来の環境から取り出されたものである。例えば、天然に存在するタンパク質は、それが天然の系中で共存する物質のいくつかまたは全てから分離されている場合、単離されている。好ましくは、このようなポリペプチドは、少なくとも約90%純粋、より好ましくは少なくとも約95%純粋、そして最も好ましくは少なくとも約99%純粋である。ポリヌクレオチドは、例えば、それが天然の環境の一部でないベクターにクローニングされる場合、単離されていると考えられる。
【0192】
(結合剤)
本発明は、さらに肺腫瘍タンパク質に特異的に結合する因子(例えば、抗体およびその抗原結合フラグメント)を提供する。本明細書において用いる場合、抗体またはその抗原結合フラグメントは、肺腫瘍タンパク質と検出可能レベルで反応し(例えば、ELISAにおいて)、そして類似の条件下で無関係のタンパク質とは検出可能に反応しない場合、肺腫瘍タンパク質に「特異的に結合する」といわれる。本明細書において用いる場合、「結合(binding)」は、「複合体」が形成されるような2つの別々の分子間の非共有結合をいう。結合する能力は、例えば、複合体の形成についての結合定数を決定することにより評価され得る。結合定数は、複合体の濃度を成分濃度の積で割って得られる値である。一般に、2つの化合物は、複合体形成の結合定数が約103L/molを超える場合、本発明の文脈中で「結合している」といわれる。結合定数は、当該分野で周知の方法を用いて決定され得る。
【0193】
結合剤は、本明細書において提供される代表的アッセイを用いて、ガン(例えば、肺ガン)を有する患者と有さない患者の間でさらに区別され得る。言い換えれば、肺腫瘍タンパク質に結合する抗体または他の結合剤は、疾患を有する少なくとも約20%の患者においてはガンの存在を示すシグナルを生成し、そしてガンを有さない少なくとも約90%の個体においては疾患の存在しないことを示すネガティブなシグナルを生成する。結合剤がこの要件を満たすか否かを決定するために、ガンを有する患者およびガンを有さない(標準的臨床試験を用いて決定した場合)患者由来の生物学的サンプル(例えば、血液、血清、痰、尿、および/または腫瘍生検)は、この結合剤に結合するポリペプチドの存在について、本明細書に記載のようにアッセイされ得る。疾患を有するサンプルおよび疾患を有さないサンプルの、統計的に有意な数のサンプルをアッセイすべきであることが明白である。それぞれの結合剤は、上記の基準を満たすべきであるが;当業者は、結合剤が感受性を改善する組み合わせで用いられ得ることを認識する。
【0194】
上記の要件を満たす任意の因子が結合因子であり得る。例えば、結合剤はリボソーム(ペプチド成分を伴うかまたは伴わない)、RNA分子またはポリペプチドであり得る。好ましい実施形態において、結合剤は、抗体またはその抗原結合フラグメントである。抗体は、当業者に公知の任意の種々の技術により調製され得る。例えば、HarlowおよびLane、Antibodies:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory,1988を参照のこと。一般に、組換え抗体の産生を可能にするために、細胞培養技術(本明細書中に記載のモノクローナル抗体の産生を含む)によってか、または適切な細菌細胞宿主または哺乳動物細胞宿主への抗体遺伝子のトランスフェクションを介して、抗体は産生され得る。1つの技術では、ポリペプチドを含む免疫原は、任意の広範な種々の哺乳動物(例えば、マウス、ラット、ウサギ、ヒツジ、またはヤギ)にまず注射される。この工程で、本発明のポリペプチドは、改変なしの免疫原としてはたらき得る。あるいは、特に、相対的に短いポリペプチドについて、このポリペプチドがキャリアタンパク質(例えば、ウシ血清アルブミンまたはキーホールリンペットヘモシアニン)に結合する場合、優れた免疫応答が惹起され得る。この免疫原は、好ましくは所定のスケジュール(1回以上のブースター免疫を組み込む)に従って、動物宿主に注射され、そしてこの動物は、定期的に採血される。次いで、このポリペプチドに特異的なポリクローナル抗体は、例えば、安定な固体支持体に結合しているポリペプチドを用いるアフィニティークロマトグラフィーにより、このような抗血清から精製され得る。
【0195】
目的の抗原性ポリペプチドについて特異的なモノクローナル抗体は、例えば、KohlerおよびMilstein、Eur.J.Immunol.6:511−519、1976の技術、ならびにその改良型を使用して調製され得る。手短に言うと、これらの方法は、所望の特異性(すなわち、目的のポリペプチドとの反応性)を有する抗体を産生し得る不死化細胞株の調製を包含する。このような細胞株は、例えば、上記のように、免疫された動物から得られた脾臓細胞から産生され得る。次いで、脾臓細胞は、例えば、ミエローマ細胞融合パートナー(好ましくは、免疫された動物と同系のもの)との融合によって不死化される。種々の融合技術が使用され得る。例えば、脾臓細胞およびミエローマ細胞は、非イオン性界面活性剤と数分間組み合わせられ得、次いで、ハイブリッド細胞の増殖を支持するが、ミエローマ細胞の増殖を支持しない選択培地上で低密度でプレートされる。好ましい選択技術は、HAT(ヒポキサンチン、アミノプテリン、チミジン)選択を使用する。十分な時間(通常約1〜2週間)後、ハイブリッドのコロニーが観察される。単一コロニーが選択され、そしてそれらの培養上清が、ポリペプチドに対する結合活性について試験される。高い反応性および特異性を有するハイブリドーマが好ましい。
【0196】
モノクローナル抗体を、増殖しているハイブリドーマコロニーの上清から単離し得る。さらに、種々の技術(例えば、適切な脊椎動物宿主(例えば、マウス)の腹膜腔へのハイブリドーマ細胞株の注入)が、収量を増大させるために利用され得る。次いで、モノクローナル抗体を、腹水または血液から収集し得る。夾雑物を、通常の技術(例えば、クロマトグラフィー、ゲル濾過、沈殿、および抽出)によって抗体から除去し得る。本発明のポリペプチドを、例えば、アフィニティークロマトグラフィー工程における精製工程において使用し得る。
【0197】
特定の実施形態において、抗体の抗原結合フラグメントの使用が好ましくあり得る。このようなフラグメントは、標準的な技術を使用して調製され得るFabフラグメントを含む。手短に言うと、免疫グロブリンを、プロテインAビーズカラム上のアフィニティークロマトグラフィー(HarlowおよびLane、Antibodies:A Laboratory Manual、Cold Spring Harbor Laboratory、1988)によってウサギ血清から精製し得、そしてパパインによって消化して、FabフラグメントおよびFcフラグメントを産生し得る。FabフラグメントおよびFcフラグメントは、プロテインAビーズカラム上のアフィニティークロマトグラフィーによって分離され得る。
【0198】
本発明のモノクローナル抗体は、1つ以上の治療薬剤に結合され得る。この点において適切な薬剤は、放射性核種、分化誘導剤、薬物、毒素、およびその誘導体を含む。好ましい放射性核種には、90Y、123I、125I、131I、186Re、188Re、211At、および212Biが含まれる。好ましい薬物には、メトトレキセート、ならびにピリミジンアナログおよびプリンアナログが含まれる。好ましい分化誘導剤には、ホルボールエステルおよび酪酸が含まれる。好ましい毒素には、リシン、アブリン、ジフテリア毒素、コレラ毒素、ゲロニン(gelonin)、Pseudomonas体外毒素、Shigella毒素、およびアメリカヤマゴボウ抗ウイルスタンパク質が含まれる。
【0199】
治療剤は、直接的にかまたは間接的にかのいずれかで(例えば、リンカー基を介して)適切なモノクローナル抗体にカップリング(例えば、共有結合によって)され得る。薬剤と抗体との間の直接的な反応は、各々が互いに反応し得る置換基を有する場合に可能である。例えば、一方の求核基(例えば、アミノ基またはスルフヒドリル基)は、他方のカルボニル含有基(例えば、無水物もしくは酸ハロゲン化物)または良好な遊離基(例えば、ハロゲン化物)を含むアルキル基などと反応し得る。
【0200】
あるいは、リンカー基を介して治療剤と抗体とをカップリングさせることが所望され得る。リンカー基は、結合の可能性を妨げることを回避するために、抗体を薬剤から隔てるためのスペーサーとして機能し得る。リンカー基はまた、薬剤または抗体上の置換基の化学的反応性を増加させるために働き得、従ってカップリング効率を増大させる。化学的反応性の増大はまた、薬剤または薬剤上の官能基の使用を容易にし得、これはさもなければ可能ではない。
【0201】
種々の二官能性または多官能性試薬、ホモ官能性とヘテロ官能性との両方(例えば、Pierce Chemical Co.,Rockford,ILのカタログ中に記載されるもの)が、リンカー基として使用され得ることが当業者には明らかである。カップリングは、例えば、アミノ基、カルボキシル基、スルフヒドリル基、または酸化された炭水化物残基を介してもたらされ得る。このような方法論を記載する多数の参考文献(例えば、Rodwellらに対する米国特許第4,671,958号)が存在する。
【0202】
本発明の免疫結合体の抗体部分がないときに治療剤がより強力である場合、細胞中への内部移行の間に、またはその際に切断可能なリンカー基を使用することが望ましくあり得る。多数の異なる切断可能なリンカー基が記載されてきた。これらのリンカー基からの薬剤の細胞内放出についての機構は、ジスルフィド結合の還元(例えば、Spitlerへの米国特許第4,489,710号)、感光性結合の照射(例えば、Senterらへの米国特許第4,625,014号)、誘導体化されたアミノ酸側鎖の加水分解(例えば、Kohnらへの米国特許第4,638,045号)、血清補体媒介性加水分解(例えば、Rodwellらへの米国特許第4,671,958号)、および酸触媒加水分解(例えば、Blattlerらへの米国特許第4,569,789号)による切断を含む。
【0203】
1つより多い薬剤を抗体にカップリングさせることが望ましくあり得る。1つの実施形態において、複数の薬剤の分子が1つの抗体分子にカップリングされる。別の実施形態において、1つより多い型の薬剤が1つの抗体にカップリングされ得る。特定の実施形態に関わらず、1つより多い薬剤を有する免疫結合体は、種々の方法で調製され得る。例えば、1つより多い薬剤が、抗体分子に直接的にカップリングされ得るか、または付着のための複数の部位を提供するリンカーが使用され得る。あるいは、キャリアが使用され得る。
【0204】
キャリアは、種々の方法(直接的にかまたはリンカー基を介するかのいずれかの共有結合を含む)で薬剤を保有し得る。適切なキャリアには、アルブミンのようなタンパク質(例えば、Katoらへの米国特許第4,507,234号)、ペプチド、およびアミノデキストランのような多糖類(例えば、Shihらへの米国特許第4,699,784号)を含む。キャリアはまた、例えばリポソームベシクル内に、非共有結合によってかまたはカプセル化によって、薬剤を保有し得る(例えば、米国特許第4,429,008号および同第4,873、088号)。放射性核種薬剤に特異的なキャリアは、放射性ハロゲン化低分子およびキレート化合物を含む。例えば、米国特許第4,735,792号は、代表的な放射性ハロゲン化低分子およびそれらの合成を開示する。放射性核種キレートは、金属、または金属酸化物、放射性核種を結合するためのドナー原子として窒素原子および硫黄原子を含むキレート化合物から形成され得る。例えば、Davisonらへの米国特許第4,673,562号は、代表的なキレート化合物およびそれらの合成を開示する。
【0205】
抗体および免疫結合体についての投与の種々の経路が使用され得る。代表的には、投与は、静脈内、筋肉内、皮下、または切除した腫瘍の基底での投与である。抗体/免疫結合体の正確な用量は、使用される抗体、腫瘍上の抗原密度、および抗体のクリアランスの速度に依存して変化することは明白である。
【0206】
(T細胞)
免疫治療組成物はまた、あるいは、肺腫瘍タンパク質に特異的なT細胞を含み得る。このような細胞は、一般的に標準的手順を使用して、インビトロまたはエキソビボで調製され得る。例えば、T細胞は、市販の細胞分離システム(例えば、IsolexTMシステム(Nexell Therapeutics,Inc.(Irvine,CA;米国特許第5,240,856号;米国特許第5,215,926号;WO89/06280;WO91/16116およびWO92/07243もまた参照のこと)から入手可能)を使用して、哺乳動物(例えば、患者)の骨髄、末梢血あるいは骨髄または末梢血の画分中に存在し得る(または、これらから単離され得る)。あるいは、T細胞は、関連または無関連のヒト、非ヒト動物、細胞株または培養物から誘導され得る。
【0207】
T細胞は、肺腫瘍ポリペプチド、肺腫瘍ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドおよび/またはそのようなポリペプチドを発現する抗原提示細胞(APC)を用いて刺激され得る。このような刺激は、このポリペプチドに特異的であるT細胞の生成を可能にする条件下および十分な時間、行われる。好ましくは、肺腫瘍ポリペプチドまたはポリヌクレオチドは、送達ビヒクル(例えば、ミクロスフェア)中に存在して、特異的T細胞の生成を容易にする。
【0208】
T細胞は、このT細胞が、特異的に増殖するか、サイトカインを分泌するか、または肺腫瘍ポリペプチドで被覆されるかもしくはこのポリペプチドをコードする遺伝子を発現する標的細胞を殺傷する場合に、肺腫瘍ポリペプチドに特異的であるとみなされる。T細胞特異性は、種々の標準的技術のいずれかを使用して評価され得る。例えば、クロム放出アッセイまたは増殖アッセイにおいて、ネガティブコントロールと比較して、溶解および/または増殖における2倍を超える増加の刺激指標は、T細胞特異性を示す。このようなアッセイは、例えば、Chenら、Cancer Res.54:1065−1070,1994に記載されるように、実行され得る。あるいは、T細胞の増殖の検出は、種々の公知の技術によって達成され得る。例えば、T細胞増殖は、DNA合成の速度の増加を測定することによって検出され得る(例えば、トリチウム化チミジンでT細胞の培養物をパルス標識し、そしてDNAに取り込まれたトリチウム化チミジンの量を測定することによって)。3〜7日間の肺腫瘍ポリペプチド(100ng/ml〜100μg/ml、好ましくは、200ng/ml〜25μg/ml)との接触は、T細胞の増殖において少なくとも2倍の増加を生じるべきである。2〜3時間の上記のような接触は、標準的なサイトカインアッセイを使用して測定されるように、T細胞の活性化を生じるべきであり、ここで、サイトカイン(例えば、TNFまたはIFN−γ)放出のレベルの2倍の増加が、T細胞の活性化を示す(Coliganら、Current Protocols in Immunology,第1巻、Wiley Interscience(Greene 1998)を参照のこと)。肺腫瘍ポリペプチド、ポリヌクレオチドまたはポリペプチド発現APCに応答して活性化されたT細胞は、CD4+および/またはCD8+であり得る。肺腫瘍タンパク質特異的T細胞は、標準的な技術を使用して展開され得る。好ましい実施形態において、T細胞は、患者、関連するドナーまたは無関連のドナーに由来し、そして刺激および展開後にその患者に投与される。
【0209】
治療目的で、肺腫瘍ポリペプチド、ポリヌクレオチドまたはAPCに応答して増殖するCD4+T細胞またはCD8+T細胞は、インビトロまたはインビボのいずれかで大量に展開され得る。このようなT細胞のインビトロでの増殖は、種々の方法で達成され得る。例えば、T細胞は、T細胞増殖因子(例えば、インターロイキン−2)の添加を伴うか、または伴わずに、肺腫瘍ポリペプチド、またはこのようなポリペプチドの免疫原性部分に対応する短いペプチド、および/または肺腫瘍ポリペプチドを合成する刺激細胞に対して再曝露され得る。あるいは、肺腫瘍タンパク質の存在下で増殖する1つ以上のT細胞は、クローニングによって数の上で拡大され得る。細胞をクローニングするための方法は、当該分野で周知であり、そしてこれらとしては、限界希釈が挙げられる。
【0210】
(薬学的組成物)
さらなる実施形態において、本発明は、細胞または動物に、単独で、または1つ以上の他の様式の療法との組み合わせのいずれかで投与するための、1つ以上の薬学的に受容可能な溶液中に本明細書中に開示されるポリヌクレオチド、ポリペプチド、T細胞および/または抗体組成物の処方物に関する。
【0211】
所望ならば、本明細書に開示されるようなポリペプチドを発現する核酸セグメント、RNA、DNAまたはPNA組成物は、同様に、他の薬剤(例えば、他のタンパク質もしくはポリペプチドまたは種々の薬学的に活性な薬剤)と組み合わせて投与され得ることがまた理解される。事実、さらなる薬剤が、標的細胞または宿主組織との接触の際に有意な有害な効果を引き起こさなければ、また含まれ得る他の成分に実質的に制限はない。従って、これらの組成物は、特定の場合に必要とされる種々の他の薬剤とともに送達され得る。このような組成物は、宿主細胞または他の生物学的供給源から精製され得るか、あるいは本明細書中に記載されるように化学的に合成され得る。同様に、このような組成物は、置換されたか、または誘導体化されたRNAまたはDNA組成物をさらに含み得る。
【0212】
薬学的に受容可能な賦形剤およびキャリア溶液の処方は当業者に周知であり、これは、種々の処置レジメン(例えば、経口、非経口、静脈内、鼻腔内および筋肉内投与および処方が挙げられる)で、本明細書中に記載される特定の組成物の使用についての適切な用量および処置レジメンの開発である。
【0213】
(1.経口送達)
特定の適用において、本明細書に開示される薬学的組成物は、経口投与を介して動物に送達され得る。このように、これらの組成物は、不活性な希釈剤とともに処方され得るか、もしくは吸収可能な食用キャリアとともに処方され得るか、または、それらは、硬質シェルまたは軟質シェルのゼラチンカプセルに封入され得るか、またはそれらは、錠剤に圧縮され得るか、またはそれらは、治療食の食物と、直接混合され得る。
【0214】
活性な化合物は、賦形剤となお混合され得、そして経口摂取可能な錠剤、バッカル錠、トローチ、カプセル、エリキシル、懸濁液、シロップ、カシェ剤などの形態で使用され得る(Mathiowitzら、1997;Hwangら、1998;米国特許第5,641,515号;米国特許第5,580,579号および米国特許第5,792,451号(各々は、本明細書中で、その全体が参考として具体的に援用される))。錠剤、トローチ、丸剤、カプセルなどはまた、以下を含み得る:バインダー(例えば、カラヤゴム、アラビアゴム、コーンスターチ、またはゼラチン);賦形剤(例えば、リン酸二カルシウム);崩壊剤(例えば、コーンスターチ、ジャガイモデンプン、アルギン酸など);潤滑剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム);および甘味料(例えば、添加され得るスクロース、ラクトースまたはサッカリン)または香料(例えば、ペパーミント、ウインターグリーン油、またはチェリー香料)。投薬単位形態が、カプセルである場合、それは、上記のタイプの材料に加えて、脂質キャリアを含み得る。種々の他の材料は、コーティングとして存在し得るか、または投薬単位の物理的形態を改変するために存在し得る。例えば、錠剤、丸剤、またはカプセルは、シェラックか、糖か、または両方でコーティングされ得る。エリキシルのシロップは、活性化合物、甘味料としてのスクロース、防腐剤としてのメチルパラベンおよびプロピパラベン、色素および香料(例えば、チェリーまたはオレンジ味)を含み得る。もちろん、任意の投与単位形態を調製する際に使用される任意の材料は、薬学的に純粋であるべきであり、そして使用される量で実質的に無毒性であるべきである。さらに、活性化合物は、徐放性調製物または処方物に組み込まれ得る。
【0215】
代表的に、これらの処方物は、少なくとも約0.1%またはそれよりも多い活性化合物を含み得るが、活性成分の割合は、もちろん、変化し得、そして好都合に、全処方物の重量または体積の約1または2%と、約60%または70%以上のとの間であり得る。自然に、薬学的に有用な処方物の各々の中の活性化合物の量は、適切な投薬量が、化合物の任意の所定の単位用量において得られるような様式で、調製され得る。溶解度、バイオアベイラビリティー、生物学的半減期、投与の経路、製品の有効期限のような要因、および他の薬理学的考慮が、このような薬学的処方物を調製する分野の当業者によって意図され、そしてそのように、種々の投薬量および処置レジメンが、所望され得る。
【0216】
あるいは、経口投与について、本発明の処方物は、うがい薬、歯みがき剤、バッカル錠、経口スプレー、または舌下経口投与処方物の形態で、1つ以上の賦形剤と混合され得る。例えば、うがい薬は、活性成分を、必要とされる量で、適切な溶媒(例えば、ホウ酸ナトリウム溶液(Dobell溶液))に組み込むように調製される。あるいは、活性成分は、経口溶液(例えば、ホウ酸ナトリウム、グリセリンおよび炭酸水素カリウムを含む溶液)に組み込まれ得るか、または歯みがき剤に分散され得るか、または治療的有効量で、水、バインダー、研磨剤、香料、発泡剤、および湿潤剤を含み得る組成物に添加され得る。あるいは、これらの組成物は、舌下に置かれ得るか、そうでなければ口の中で溶解され得る錠剤形態または溶液形態に成形され得る。
【0217】
(2.注入送達)
特定の状況において、本明細書に記載される薬学的組成物を、米国特許第5,543,158号;米国特許第5,641,515号および米国特許第5,399,363号(各々は、その全体が、本明細書中で参考として具体的に援用される)に記載されるように、非経口的に、静脈内に、筋肉内に、または腹腔内にでさえ、送達することが所望される。遊離塩基としての活性化合物または薬理学的受容可能な塩の溶液は、水中で界面活性剤(例えば、ヒドロキシプロピルセルロース)と適切に混合されて、調製され得る。分散系はまた、グリセロール、液体ポリエチレングリコール、およびそれらの混合物中で、そしてオイル中で調製され得る。保存および使用の通常の条件下で、これらの調製物は、微生物の増殖を防止するために、防腐剤を含む。
【0218】
注入用途のために適切な薬学的形態は、滅菌水溶液または分散系および滅菌注射用溶液または分散系の即時調製のための滅菌散剤を含む(米国特許第5,466,468号(これは、本明細書中でその全体が参考として具体的に援用される))。全ての場合において、その形態は、滅菌でなけらばならず、そして容易な注射能力(syringability)が存在する程度に、流動性でなければならない。それは、製造および保存の条件下で安定でなければならず、そして微生物(例えば、細菌および真菌)の汚染作用に対して保存されなければならない。キャリアは、溶媒または、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、および液体ポリエチレングリコールなど)、それらの適切な混合物、および/もしくは植物油を含む分散媒体であり得る。適切な流動性は、例えば、コーティング(例えば、レシチン)の使用によって、分散系の場合には必要とされる粒子サイズの維持によって、そして界面活性剤に使用によって、維持され得る。微生物の作用の防止は、種々の抗菌剤および抗真菌剤(例えば、パラベン(paraben)、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸、チメロサールなど)によって促進され得る。多くの場合いおいて、等張剤(例えば、糖または塩化ナトリウム)を含むことが、望ましい。注射可能な組成物の長期にわたる吸収は、組成物中での吸収を遅延させる薬剤(例えば、モノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチン)の使用によって、もたらされ得る。
【0219】
水溶液中での非経口投与のために、例えば、必要ならばその溶液は、適切に緩衝化されるべきであり、そして液体希釈剤が、最初に、十分な生理食塩水またはグルコースで等張にされる。これらの特定の水溶液は、特に、静脈内投与、筋肉内投与、皮下投与、および腹腔内投与に適切である。これに関連して、使用され得る滅菌水性媒体は、本発明の知見を考慮して、当業者に公知である。例えば、一投与量は、1mlの等張のNaCl溶液に溶解され得、そして1000mlの皮下注入流体に添加され得るか、または注入予定部位で注入され得るかのいずれかである(例えば、「Remington’s Pharmaceutical Science」、第15版、1035〜1038頁および1570〜1580頁を参照のこと)。投薬量におけるいくらかの変化が、処置される患者の状態に依存して、必ず生じる。投与に責任のある人物は、いずれにしても、個々の被験体のための適切な用量を決定する。さらに、ヒト投与に対して、調製物は、FDA Office of Biologics standardsによって要求されるような、無菌性、発熱性、および一般的な安全性標準および純度標準を満たさなくてはならない。
【0220】
滅菌注入溶液は、適切な溶媒中の必要量の活性化合物を、上記に列挙される種々の他の成分と混合し、必要ならば、濾過滅菌して調製される。一般に、分散系は、種々の滅菌された活性成分を、基本的な分散媒体および上に列挙される成分からの必要とされる他の成分を含む滅菌ビヒクルに組み込むことによって調製される。滅菌注入溶液の調製のための滅菌散剤の場合において、調製の好ましい方法は、真空乾燥技術および凍結乾燥技術であり、これらは、活性成分の散剤および上記のその滅菌濾過された溶液からの任意のさらなる所望の成分を得る。
【0221】
本明細書中に開示される組成物は、中性形態または塩形態として処方され得る。薬学的に受容可能な塩は、酸付加塩(タンパク質の遊離アミノ基とともに形成される)を含み、そしてこれらの塩は、無機酸(例えば、塩酸、リン酸など)、または酢酸、シュウ酸、酒石酸、マンデル酸などの有機酸とともに形成される。遊離カルボキシル基とともに形成された塩もまた、無機塩基(例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、水酸化カルシウム、または水酸化鉄(III))、およびイソプロピルアミン、トリメチルアミン、ヒスチジン、プロカインなどの有機塩基から誘導され得る。処方の際に、溶液は、投薬処方と適合する様式でかつ治療的に有効な量で投与される。この処方物は、種々の投薬形態(例えば、注入溶液、薬物放出カプセルなど)で容易に投与される。
【0222】
本明細書中で使用される場合、「キャリア」は、任意および全ての溶媒、分散媒体、ビヒクル、コーティング、希釈剤、抗菌剤および抗真菌剤、等張剤および吸収を遅延させる薬剤、緩衝液、キャリア溶液、懸濁液、コロイドなどを含む。薬学的活性物質のためのこのような媒体および薬剤の使用は、当該分野で周知である。任意の従来の媒体または薬剤が、活性成分と不適合である限りを除いては、治療組成物におけるその使用が、企図される。補助的活性成分もまた、これらの組成物に組み込まれ得る。
【0223】
句「薬学的に受容可能な」とは、ヒトに投与される場合に、アレルギー反応または類似の厄介な反応を生成しない分子実体および組成物をいう。活性成分としてタンパク質を含む水性組成物の調製は、当該分野で十分に理解されている。代表的に、このような組成物は、注入可能物として、液体溶液または懸濁液のいずれかとして調製され;注入前に、液体中の溶液、液体中の懸濁液に適切な固体形態もまた、調製され得る。この調製物はまた、乳化され得る。
【0224】
(3.経鼻送達)
特定の実施形態において、薬学的組成物は、鼻腔内スプレー、吸入、および/または他のエアロゾル送達ビヒクルによって送達され得る。遺伝子、核酸およびペプチド組成物を、経鼻エアロゾルスプレーを介して肺に直接送達するための方法は、例えば、米国特許第5,756,353号および米国特許第5,804,212号(各々は、本明細書中で、その全体が、参考として特に援用される)に記載されている。同様に、鼻腔内微粒子樹脂(Takenagaら、1998)およびリゾホスファチジル−グリセロール化合物(米国特許第5,725,871号(本明細書中で、その全体が参考として特に援用される))を使用する薬物の送達はまた、薬学分野で周知である。同様に、ポリテトラフルオロエチレン支持マトリックスの形態での経粘膜薬物送達は、米国特許第5,780,045号(その全体が、参考として本明細書中で特に援用される)に記載される。
【0225】
(4.リポソーム媒介送達、ナノカプセル媒介送達、および微粒子媒介送達) 特定の実施形態において、本発明は、リポソーム、ナノカプセル、微粒子マイクロスフィア、脂質粒子などを、本発明の組成物の適切な宿主細胞への導入のために、使用することを、意図する。特に、本発明の組成物は、脂質粒子小胞、リポソーム、小胞、ナノスフィア、またはナノ粒子などのいずれかにカプセル化されて、送達のために処方され得る。
【0226】
このような処方物は、本明細書中に開示される核酸または構築物の薬学的に受容可能な処方物の導入のために好ましくあり得る。リポソームの形成および使用は、一般に、当業者に公知である(例えば、Couvreurら、1977;Couvreur、1988;Lasic、1998;これらは、細胞内細菌感染および細胞内細菌疾患に対する標的化抗生物質治療におけるリポソームおよびナノカプセルの使用を記載する)。近年、改善された血清安定性および循環半減期を有するリポソームが、開発された(GabizonおよびPapahadjopoulos,1988;AllenおよびChoun,1987;米国特許5,741,516(その全体が、参考として本明細書中で特に援用される))。さらに、潜在的な薬物キャリアとしての、リポソームおよびリポソーム様調製物の種々の方法は、総説されている(Takakura,1998;Chandranら,1997;Margalit,1995;米国特許5,567,434号;米国特許第5,552,157号;米国特許5,565,213号;米国特許5,738,868号および米国特許第5,795,587号(各々、その全体が、参考として本明細書中で特に援用される))。
【0227】
リポソームは、T細胞懸濁液、初代肝細胞培養物およびPC12細胞を含む他の手順によるトランスフェクションに通常耐性である多くの細胞型とともに、首尾よく使用されている(Renneisenら、1990;Mullerら、1990)。さらに、リポソームは、ウイルスベースの送達システムを代表するDNA長制限がない。リポソームは、遺伝子、薬物(HeathおよびMartin,1986;Heathら、Balazsovitsら、1989;FrestaおよびPuglisi,1996)、放射線治療剤(Pikulら、1987)、酵素(Imaizumiら、1990a;Imaizumiら、1990b)、ウイルス(FallerおよびBaltimore、1984)、転写因子およびアロステリックエフェクター(NicolauおよびGersonde、1979)を、種々の培養された細胞株および動物に導入するために効果的に使用されている。さらに、リポソーム媒介薬物送達の有効性を試験するいくつかの成功した臨床試験が、完了している(Lopez−Beresteinら、1985a;1985b;Coune、1988;Sculierら、1988)、さらに、いくつかの研究は、リポソームの使用は、全身送達後の、自己免疫応答、毒性または生殖腺局在化に関連しないことが示唆されている(MoriおよびFukatsu、1992)。
【0228】
リポソームは、水性媒体中に分散したリン脂質から形成され、そして多層の同心性二重層小胞(多層小胞(MLV)とも呼ばれる)を自発的に形成する。MLVは、一般的に、25nm〜4μmの直径を有する。MLVの超音波処理は、小さな単層小胞(SUV)の形成を生じる。この単層小胞は、そのコアに水溶液を含む200〜500Åの直径を有する。
【0229】
リポソームは、細胞膜との類似点を有し、そしてペプチド組成物のためのキャリアとして、本発明と組み合わせての使用が企図される。それらは、トラップされる水溶性物質および脂溶性物質の両方として(すなわち、それぞれ水性空間において、そして二重層自体内で)、広範に適切である。薬物保有リポソームは、リポソーム処方物を選択的に改変することによって、活性薬剤の部位特異的送達のためにさらに使用され得ることが可能である。
【0230】
Couvreurら(1977;1988)の教示に加えて、以下の情報が、リポソーム処方物を作製する際に利用され得る。リン脂質は、水中に分散される場合、水に対する脂質のモル比に依存して、リポソーム以外の種々の構造を形成し得る。低い比において、リポソームは、好ましい構造である。リポソームの物理的特徴は、pH、イオン強度、および二価のカチオンの存在に依存する。リポソームは、イオン性物質および極性物質に対する低い透過性を示し得る。しかし、高温において、リポソームは、それらの透過性を顕著に変える相転移を受ける。この相転移は、密にパッキングした秩序構造(ゲル状態として既知)から、ゆるくパッキングした秩序性の低い構造(流体状態として既知)への変化を含む。これは、特徴的な相転移温度で起こり、そしてイオン、糖および薬物に対する透過性の増加を生じる。
【0231】
温度に加えて、タンパク質への暴露は、リポソームの透過性を変更し得る。特定の可溶性タンパク質(例えば、シトクロムc)は、二重層に結合し、その二重層を変形させ、そしてその二重層を貫通し、それによって、透過性の変化を引き起こす。コレステロールは、リン脂質をより密にパッキングすることによって、明らかにタンパク質のこの貫通を阻止する。抗生物質およびインヒビターの送達のための最も有用なリポソーム処方物が、コレステロールを含みことが企図される。
【0232】
溶質をトラップする能力は、異なるタイプのリポソーム間で変化する。例えば、MLVは、溶質のトラッピングにおいて、中程度に効率的であるが、しかし、SUVは、極端に非効率である。SUVは、サイズ分布における均一性および再現性についての利点を提供するが、サイズとトラップ効率との間の妥協が、大きい単層小胞(LUV)によって提供される。これらは、エーテルエバポレーションによって調製され、そしてMLVより溶質のトラップが、3〜4培効率的である。
【0233】
リポソームの特徴に加えて、トラップ化合物における重要な決定因子は、化合物自体の物理化学的特性である。極性化合物は、水性空間にトラップされ、そして非極性化合物は、小胞の脂質二重層に結合する。極性化合物は、浸透を通してか、または二重層が壊れた場合に放出されるが、非極性化合物は、温度によって崩壊するか、またはリポタンパク質に暴露されるまで、二重層に残ったままである。両方のタイプは、相転移温度において、最大の流出速度を示す。
【0234】
リポソームは、以下の4つの異なる機構を介して細胞相互作用する:細網内皮系の食作用細胞(例えば、マクロファージおよび好中球)によるエンドサイトーシス;非特異的な弱い疎水性力または静電力によってか、または細胞表面成分との特異的な相互作用によってかのいずれかによる、細胞表面への吸着;リポソーム内容物の細胞質への刺激性放出を伴う、リポソームの脂質二重膜の形質膜への挿入による形質細胞膜との融合;およびリポソーム内容物の任意の会合がなく、リポソーム脂質の細胞膜または細胞内膜への移動、またはその逆による。どの機構が作用しているのか、そして1より多い機構が同時に作用しているのかを、決定することはしばしば困難である。
【0235】
静脈内注入されたリポソームの運命および動向は、それらの物理的特質(例えば、サイズ、流動性、および表面電荷)に依存する。それらは、それらの組成に依存して数時間〜数日の間、組織内で持続し得、そして血液の範囲で数分〜数時間の半減期を有する。より大きいリポソーム(MLVおよびLUV)は、細網内皮系の食作用細胞によって、急速に取り込まれるが、循環器系の生理学は、ほとんどの部位においてこのような大きな種の放出を制限する。それらは、大きな開口部または孔が、毛細管の内皮(例えば、肝臓および脾臓の洞様毛細血管)に存在する場所においてのみ出て行く。従って、これらの器官は、取り込みの主な部位である。一方で、SUVは、より広い組織分布を示すが、なおも肝臓および脾臓において、高度に失われる。一般に、このインビボ挙動は、リポソームの、それらの大きなサイズのアクセス可能な、これらの器官および組織のみへの潜在的な標的化を制限する。これらは、血液、肝臓、脾臓、骨髄およびリンパ器官を含む。
【0236】
標的化は、一般的には、本発明に関しては限定ではない。しかし、特定の標的化が所望される場合は、これを達成する方法が利用可能である。抗体は、リポソーム表面に結合するため、そしてその抗体およびその薬物内容物を特定の細胞型表面上に位置する特定の抗原性レセプターへと指向するために使用され得る。糖質決定基(細胞間の認識、相互作用および接着にて役割を果たす、糖タンパク質または糖脂質細胞表面成分)もまた、それらは特定の細胞型にリポソームを指向させることに能力を有するので、認識部位として使用され得る。たいてい、リポソーム調製物の静脈内注射が使用されることが意図されるが、他の投与経路も考えられる。
【0237】
あるいは、本発明は、本発明の組成物の薬学的に受容可能なナノカプセル処方物を提供し得る。ナノカプセルは、安定かつ再現可能な様式で、一般的に化合物を捕捉する(Henry−Michellandら、1987;Quintanar−Guerreroら、1988;Douglasら、1987)。過剰な細胞内ポリマー負荷に起因する副作用を回避するために、このような超微細粒子(約0.1μmの大きさ)が、インビボで分解され得るポリマーを使用して設計されるべきである。これらの要件を満たす生分解性ポリアルキル−シアノアクリル酸ナノ粒子が、本発明における使用のために意図される。このような粒子は、記載されるように(Couvreurら、1980;1988;zur Muhlenら、1998;Zambauxら、1998;Pinto−Alphandryら、1995および米国特許第5,145,684号(本明細書中にその全体が参考として特に援用される))、容易に作製され得る。
【0238】
(免疫原性組成物)
本発明の特定の好ましい実施形態において、免疫原性組成物またはワクチンが提供される。この免疫原性組成物は一般的に、免疫刺激剤と組み合わせて、1つ以上の薬学的組成物(例えば、上記のようなもの)を含む。免疫刺激剤は、外因性抗原に対する免疫応答(抗体媒介性および/または細胞媒介性)を促進または増強する任意の物質であり得る。免疫刺激剤の例としては、アジュバント、生分解性ミクロスフェア(例えば、ポリ乳酸ガラクトシド)およびリポソーム(その化合物が中に組み込まれる;例えば、Fullerton、米国特許第4,235,877号を参照のこと)が挙げられる。ワクチン調製物は、例えば、M.F.PowellおよびM.J.Newman編「Vaccine Design(the subunit and adjuvant approach)」Plenum Press(NY、1995)に一般的に記載されている。本発明の範囲内にある薬学的組成物および免疫原性組成物、またはワクチンはまた、生物学的に活性であっても不活性であってもよい、他の化合物を含み得る。例えば、他の腫瘍抗原の1つ以上の免疫原性部分が、その組成物中に、融合ポリペプチドへと組み込まれてかまたは別個の化合物としてかのいずれかで、存在し得る。
【0239】
例示的免疫原性組成物は、上記のようなポリペプチドのうちの1つ以上をコードするDNAを、そのポリペプチドがインサイチュで生成されるように含み得る。上記のように、そのDNAは、当業者に公知の種々の送達系(核酸発現系、細菌発現系およびウイルス発現系を含む)のいずれかに存在し得る。多数の遺伝子送達技術が当該分野で周知であり、例えば、Rolland、Crit.Rev.Therap.Drug Carrier Systems 15:143〜198、1998およびその中に引用される参考文献により記載される技術である。適切な核酸発現系は、患者における発現に必要なDNA配列(例えば、適切なプロモーターおよび終止コドン(terminating signal))を含む。細菌送達系は、その細胞表面上にそのポリペプチドの免疫原性部分を発現するかまたはそのようなエピトープを分泌する、細菌の投与を包含する。好ましい実施形態において、そのDNAは、ウイルス発現系(例えば、ワクシニアウイルスまたは他のポックスウイルス、レトロウイルス、またはアデノウイルス)を使用して導入され得、このウイルス発現系は、非病原性(欠損)複製コンピテントウイルスの使用を含み得る。適切な系は、例えば、以下に開示される:Fisher−Hochら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 86:317〜321、1989;Flexnerら、Ann.N.Y.Acad.Sci.569:86〜103、1989;Flexnerら、Vaccine 8:17〜21、1990;米国特許第4,603,112号、同第4,769,330号および同第5,017,487号;WO89/01973;米国特許第4,777,127号;GB 2,200,651:EP 0,345,242号;WO 91/02805;Berkner、Biotechniques 6:616〜627、1988;Rosenfeldら、Science 252:431〜434、1991;Kollsら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 91:215〜219、1994;Kass−Eislerら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:11498〜11502、1993;Guzmanら、Circulation 88:2838〜2848、1993;ならびにGuzmanら、Cir.Res.73:1202〜1207、1993。このような発現系にDNAを組み込む技術は、当業者に周知である。このDNAはまた、例えば、Ulmerら、Science 259:1745〜1749、1993に記載されそしてCohen、Science 259:1691〜1692、1993により概説されるように、「裸」でもあり得る。裸のDNAの取り込みは、生分解性ビーズ(これは、細胞に効率的に輸送される)上にそのDNAをコーティングすることによって増加され得る。免疫原性組成物がポリヌクレオチドおよびポリペプチド成分の両方を含み得ることは、明らかである。このような免疫原性組成物は、増強した免疫応答を提供し得る。
【0240】
免疫原性組成物が、本明細書中で提供されるポリヌクレオチドおよびポリペプチドの薬学的に受容可能な塩を含み得ることは、明らかである。このような塩は、薬学的に受容可能な非毒性塩基(有機塩基(例えば、一級アミンの塩、二級アミンの塩および三級アミンの塩、ならびに塩基性アミノ酸の塩)ならびに無機塩基(例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩、アンモニウム塩、カルシウム塩およびマグネシウム塩)を含む)から調製され得る。
【0241】
当業者に公知の任意の適切なキャリアが、本発明の免疫原性組成物にて使用され得るが、キャリアの型は、投与様式に依存して変化する。本発明の組成物は、適切な投与様式(例えば、局所投与、経口投与、経鼻投与、静脈内投与、頭蓋内投与、腹腔内投与、皮下投与、または筋肉内投与を含む)のために処方され得る。非経口投与(例えば、皮下注射)のために、そのキャリアは、好ましくは、水、生理食塩水、アルコール、脂肪、ろう、または緩衝剤を含む。経口投与のために、上記のキャリアのいずれか、または固体キャリア(例えば、マンニトール、ラクトース、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、サッカリンナトリウム、タルク、セルロース、グルコース、ショ糖、および/または炭酸マグネシウム)が使用され得る。生分解性ミクロスフェア(例えば、ポリ乳酸、ポリグリコール酸)もまた、本発明の薬学的組成物のためのキャリアとして使用され得る。適切な生分解性ミクロスフェアは、例えば、米国特許第4,897,268号;同第5,075,109号;同第5,928,647号;同第5,811,128号;同第5,820,883号;同第5,853,763号;同第5,814,344号および同第5,942,252号に開示される。米国特許第5,928,647号に記載される微粒子−タンパク質複合体を含むキャリアもまた使用され得、このようなキャリアは、宿主においてクラスI拘束細胞傷害性Tリンパ球応答を誘導し得る。
【0242】
このような組成物はまた、緩衝剤(例えば、中性の緩衝化生理食塩水またはリン酸緩衝化生理食塩水);糖質(例えば、グルコース、マンノース、スクロースまたはデキストラン);マンニトール;タンパク質;ポリペプチドまたはアミノ酸(例えば、グリシン);抗酸化剤;静菌剤;キレート剤(例えば、EDTAまたはグルタチオン);アジュバント(例えば、水酸化アルミニウム);処方物をレシピエントの血液に対して等張性、低張性または弱く高張性にする溶質;懸濁剤;濃化剤および/または保存剤を含み得る。あるいは、本発明の組成物は、凍結乾燥物として処方され得る。化合物はまた、周知の技術を使用してリポソーム内にカプセル化され得る。
【0243】
種々の任意の免疫刺激剤が、本発明の免疫原性組成物において使用され得る。例えば、アジュバントが含まれ得る。ほとんどのアジュバントは、抗原を迅速な異化作用から保護するように設計された物質(例えば、水酸化アルミニウムまたは鉱油)および免疫応答の刺激物(例えば、リピドA、Bortadella pertussis由来のタンパク質またはMycobacterium tuberculosis由来のタンパク質)を含む。適切なアジュバントは、例えば、フロイント不完全アジュバントおよびフロイント完全アジュバント(Difco Laboratories、Detroit、MI)ならびにMerck Adjuvant 65(Merck and Company,Inc.、Rahway、NJ);AS−2(SmithKline Beecham、Philadelphia、PA);アルミニウム塩(例えば、水酸化アルミニウムゲル(ミョウバン)またはリン酸アルミニウム;カルシウム塩、鉄塩または亜鉛塩;アシル化チロシンの不溶性懸濁物;アシル化糖;カチオン誘導体化多糖またはアニオン誘導体化多糖;ポリフォスファーゼン;生分解性ミクロスフェア;モノホスホリルリピドAおよびquil Aとして市販されている。サイトカイン(例えば、GM−CSF、あるいはインターロイキン−2、インターロイキン−7、またはインターロイキン−12)もまた、アジュバントとして使用され得る。
【0244】
本明細書中に提供される免疫原性組成物において、そのアジュバント組成物は、好ましくは、優勢にTh1型の免疫応答を誘導するように設計される。高レベルのTh1型サイトカイン(例えば、IFN−γ、TNFα、IL−2およびIL−12)は、投与される抗原に対する細胞媒介性応答の誘導を支持する傾向がある。対照的に、高レベルのTh2型サイトカイン(例えば、IL−4、IL−5、IL−6およびIL−10)は、体液性免疫応答の誘導を支持する傾向がある。本明細書中に提供されるような免疫原性組成物の適用の後、患者は、Th1型応答およびTh2型応答を含む免疫応答を支持する。応答が優勢にTh1型である好ましい実施形態において、Th1型サイトカインのレベルは、Th2型サイトカインのレベルより高い程度まで増加する。これらのサイトカインのレベルは、標準的アッセイを使用して容易に評価され得る。サイトカインのファミリーの概説については、MosmannおよびCoffman、Ann.Rev.Immunol.7:145〜173、1989を参照のこと。
【0245】
優勢なTh1型応答を惹起する際の使用に好ましいアジュバントとしては、例えば、モノホスホリルリピドA(好ましくは3−de−O−アシル化モノホスホリルリピドA(3D−MPL))とアルミニウム塩との組み合わせが挙げられる。MPLアジュバントは、Corixa Corporation(Seattle、WA;米国特許第4,436,727号;同第4,877,611号;同第4,866,034号および同第4,912,094号を参照のこと)から入手可能である。CpG含有オリゴヌクレオチド(そのCpGジヌクレオチドはメチル化されていない)もまた、優勢なTh1応答を誘導する。このようなオリゴヌクレオチドは周知であり、例えば、WO 96/02555、WO 99/33488ならびに米国特許第6,008,200号および同第5,856,462号に記載されている。免疫刺激性DNA配列もまた、例えば、Satoら、Science 273:352、1996により記載されている。別の好ましいアジュバントは、サポニン(好ましくはQS21(Aquila Biopharmaceuticals Inc.、Framingham、MA)であり、これは、単独でも他のアジュバントと組み合わせても使用され得る。例えば、増強された系は、モノホスホリルリピドAとサポニン誘導体との組み合わせ(例えば、WO 94/00153に記載されるような、QS21と3D−MPLとの組み合わせ)またはWO 96/33739に記載されるような、QS21がコレステロールでクエンチされている反応生成が低い(less reactogenic)組成物を含む。他の好ましい処方物は、水中油エマルジョンおよびトコフェロールを含む。水中油エマルジョン中にQS21、3D−MPLおよびトコフェロールを含む、特に強力なアジュバントエマルジョンが、WO 95/17210に記載されている。
【0246】
他の好ましいアジュバントとしては、Monthanide ISA 720(Seppic、フランス)、SAF(Chiron、California、米国)、ISCOMS(CSL)、MF−59(Chiron)、SBASシリーズのアジュバント(例えば、SBAS−2またはSBAS−4(SmithKline Beecham、Rixensart、ベルギーから入手可能)、Detox(Corixa、Hamilton、MT)、RC−529(Corixa、Hamilton、MT)、ならびに他のアミノアルキルグルコサミニド4−ホスフェート(AGP)(例えば、係属中の米国特許出願第08/853,826号および同第09/074,720号(その開示は、全体が本明細書中に参考として援用される)に記載されるもの)が挙げられる。
【0247】
本明細書中に提供される免疫原性組成物は、抗原、免疫応答エンハンサーおよび適切なキャリアもしくは賦形剤の組み合わせを生じる、周知の方法を使用して調製され得る。本明細書中に記載される組成物は、徐放性処方物(すなわち、投与後に化合物のゆっくりした放出をもたらす、カプセル、スポンジまたはゲル(例えば、多糖から構成される)のような処方物)の一部として投与され得る。このような処方物は、一般的に、周知の技術(例えば、Coombesら、Vaccine 14:1429〜1438、1996を参照のこと)を使用して調製され得、そしてたとえば、経口投与、直腸投与もしくは皮下移植または所望の標的部位への移植により投与され得る。徐放性処方物は、キャリアマトリックス中に分散されており、そして/または速度制御膜により囲まれた貯蔵物中に含まれる、ポリペプチド、ポリヌクレオチドもしくは抗体を含み得る。
【0248】
このような処方物内での使用のためのキャリアは、生体適合性であり、そしてまた、生分解性であり得;好ましくはその処方物は、比較的一定なレベルの活性成分放出を提供する。このようなキャリアとしては、ポリ(ラクチド−co−グリコリド)、ポリアクリレート、ラテックス、デンプン、セルロース、デキストランなどの微粒子が挙げられる。他の遅延性放出キャリアとしては、超分子バイオベクター(supramolecular biovector)が挙げられ、これは、非脂質親水性コア(例えば、架橋した多糖またはオリゴ糖)と、必要に応じて両親媒性化合物(例えば、リン脂質)を含む外層とを含む(例えば、米国特許第5,151,254号およびPCT出願WO94/20078、WO/94/23701およびWO 96/06638を参照のこと)。徐放性処方物中に含まれる活性化合物の量は、移植部位、放出の速度および予想持続期間、ならびに処置もしくは予防される状態の性質に依存する。
【0249】
種々の任意の送達ビヒクルが、腫瘍細胞を標的とする抗原特異的免疫応答の生成を促進するために、薬学的組成物および免疫原性組成物にて使用され得る。送達ビヒクルとしては、抗原提示細胞(APC)(例えば、樹状細胞、マクロファージ、B細胞、単球、ならびに有効なAPCであるように操作され得る他の細胞)が挙げられる。このような細胞は、抗原を提示するための能力を増加するように、T細胞応答の活性化および/もしくは維持を改善するように、それ自体が抗腫瘍効果を有するように、そして/または受容物と免疫学的に適合性(すなわち、一致したHLAハロタイプ)であるように、遺伝子改変され得るが、必ずしもその必要はない。APCは、一般的には、種々の生物学的流体ならびに器官(腫瘍組織および腫瘍周辺組織を含む)のいずれかから単離され得、そして自系細胞でも、同種異系細胞でも、同系細胞でも、または異種細胞でもよい。
【0250】
本発明の特定の好ましい実施形態は、抗原提示細胞として、樹状細胞またはその前駆体を使用する。樹状細胞は、非常に強力なAPCであり(BanchereauおよびSteinman、Nature 392:245〜251、1998)、そして、予防的抗腫瘍免疫または治療的抗腫瘍免疫応答を惹起するための生理学的アジュバントとして有効であることが示されている(TimmermanおよびLevy、Ann.Rev,Med.50:507〜529、1999を参照のこと)。一般的には、樹状細胞は、その代表的形状(インサイチュで星状であり、顕著な細胞質突起(樹状突起)がインビトロで見える)、高効率に抗原を取り込み、プロセッシングして提示する能力、ならびに未刺激T細胞応答を活性化する能力に基づいて同定され得る。樹状細胞は、当然、インビボまたはエキソビボで樹状細胞上に通常は見出されない特定の細胞表面レセプターもしくはリガンドを発現するように操作され得、そしてそのような改変樹状細胞が、本発明により意図される。樹状細胞の代替物として、分泌小胞抗原ロード樹状細胞(secreted vesicles antigen−loaded dendritic cells)(エキソソームと呼ばれる)が、ワクチンまたは免疫原性組成物内で使用され得る(Zitvogelら、Nature Med.4:594〜600、1998を参照のこと)。
【0251】
樹状細胞および前駆体が、末梢血、骨髄、腫瘍浸潤細胞、腫瘍周辺組織浸潤細胞、リンパ節、脾臓、皮膚、臍帯血、あるいは他の適切な任意の組織もしくは体液から入手され得る。例えば、樹状細胞は、サイトカイン(例えば、GM−CSF、IL−4、IL−13および/またはTNFα)の組み合わせを末梢血から収集した単球の培養物に添加することによって、エキソビボで分化され得る。あるいは、末梢血、臍帯血または骨髄から収集したCD34陽性細胞は、GM−CSF、IL−3、TNFα、CD40リガンド、LPS、flt3リガンドおよび/または樹状細胞の分化、成熟および増殖を誘導する他の化合物の組み合わせを、培養培地に添加することによって、樹状細胞へと分化され得る。
【0252】
樹状細胞は、「未熟」細胞および「成熟」細胞として簡便に分類されており、これにより、簡単な方法によって2つの十分に特徴づけられた表現型間を区別することが可能である。しかし、この命名法は、可能なすべての分化の中間段階を排除すると見なされるべきではない。未熟細胞は、抗原取り込みおよびプロセッシングについて高い能力を有するAPCとして特徴付けられ、これはFcγレセプターおよびマンノースレセプターの高発現と相関する。成熟表現型は、代表的には、これらのマーカーの比較的低い発現により、しかしT細胞活性化の原因である細胞表面分子(例えば、クラスI MHCおよびクラスII MHC、接着分子(例えば、CD54およびCD11)ならびに同時刺激性分子(例えば、CD40、CD80、CD86および4−1BB))の高発現により、特徴付けられる。
【0253】
APCは、一般的には、肺腫瘍タンパク質(あるいはその一部もしくは他の改変体)をコードするポリヌクレオチドで、その肺腫瘍ポリペプチドまたはその免疫原性部分が細胞表面上で発現されるように、トランスフェクトされ得る。このようなトランスフェクションは、エキソビボで生じ得、次いで、このようなトランスフェクトされた細胞を含む組成物は、本明細書中に記載されるような治療目的のために使用され得る。あるいは、樹状細胞または他の抗原提示細胞を標的とする遺伝子送達ビヒクルが患者に投与され得、インビボで生じるトランスフェクションをもたらす。例えば、樹状細胞のインビボおよびエキソビボでのトランスフェクションは、一般的には、当該分野で公知の任意の方法(例えば、WO 97/24447に記載される方法、あるいはMahviら、Immunology and cell Biology 75:456〜460、1997により記載される遺伝子銃アプローチ)を使用して実施され得る。樹状細胞の抗原ローディングは、樹状細胞または前駆細胞を肺腫瘍ポリペプチド、DNA(裸またはプラスミドベクター内)もしくはRNAとともに、または抗原を発現する組換え細菌もしくは組換えウイルス(例えば、ワクシニアウイルスベクター、鶏痘ウイルスベクター、アデノウイルスベクターもしくはレンチウイルスベクター)とともに、インキュベートすることによって達成され得る。ローディングの前に、そのポリペプチドは、T細胞の補助を提供する免疫学的パートナー(例えば、キャリア分子)に共有結合により結合体化され得る。あるいは、樹状細胞は、非結合体化免疫学的パートナーを用いて、別々にかまたはそのポリペプチドの存在下で、パルスされ得る。
【0254】
免疫原性組成物および薬学的組成物は、単位用量容器または複数用量容器(例えば、シールされたアンプルまたはバイアル)にて提供され得る。このような容器は、好ましくは、使用するまで処方物の滅菌性を保存するために密封シールされる。一般的には、処方物は、油状ビヒクルまたは水性ビヒクル中の懸濁物、溶液またはエマルジョンとして保存され得る。あるいは、免疫原性組成物または薬学的組成物は、滅菌した液体キャリアを使用直前に添加することのみ必要な、凍結乾燥状態で保存され得る。
【0255】
(癌治療)
本発明のさらなる局面において、本明細書中に記載される組成物は、癌(例えば、肺癌)の免疫治療に使用され得る。このような方法にて、組成物は代表的には、患者に投与される。本明細書中で使用される場合、「患者」とは、任意の温血動物(好ましくはヒト)をいう。患者は、癌に冒されていてもよいしまたはそうでなくてもよい。従って、上記薬学的組成物および免疫学的組成物は、癌の発症を予防するため、または癌に罹患した患者を処置するために、使用され得る。癌は、当該分野で一般的に認められた基準(悪性腫瘍の存在)を使用して診断され得る。薬学的組成物および免疫学的組成物は、原発性腫瘍の外科的除去および/もしくは処置(例えば、放射性治療もしくは従来の化学療法薬物の投与)の前あるいは後のいずれかに投与され得る。投与は、適切な任意の方法(静脈内経路、腹腔内経路、筋肉内経路、皮下経路、鼻内経路、皮内経路、肛門経路、膣経路、局所経路および経口経路による投与を含む)によってであり得る。
【0256】
特定の実施形態において、免疫療法は、能動免疫療法であり得、この能動免疫療法において、処置は、免疫応答改変剤(例えば、本明細書中に提供されるようなポリペプチドおよびポリヌクレオチド)の投与による、腫瘍に対して反応する内因性宿主免疫系のインビボ刺激に依存する。
【0257】
他の実施形態において、免疫療法は受動免疫療法であり得、この受動免疫療法において、処置は、抗腫瘍効果を直接または間接に媒介し得そしてインタクトな宿主免疫系に必ずしも依存しない腫瘍免疫反応性が確立された因子(例えば、エフェクター細胞または抗体)の送達を含む。エフェクター細胞の例としては、上記のようなT細胞、Tリンパ球(例えば、CD8+細胞傷害性Tリンパ球およびCD4+Tヘルパー腫瘍浸潤リンパ球)、キラー細胞(例えば、ナチュラルキラー細胞およびリンホカイン活性化キラー細胞)、B細胞および本明細書中に提供されるポリペプチドを発現する抗原提示細胞(例えば、樹状細胞およびマクロファージ)が挙げられる。本明細書中に列挙されるポリペプチドに特異的なT細胞レセプターおよび抗体レセプターは、クローニングされ得、発現され得、そして養子免疫療法のために他のベクターもしくはエフェクター細胞に移入され得る。本明細書中に提供されるポリペプチドはまた、抗体または抗イディオタイプ抗体(上記および米国特許第4,918,164号に記載されるような)を受動免疫療法のために生成するために使用され得る。
【0258】
エフェクター細胞は、一般的には、本明細書中に記載されるように、インビトロでの増殖による養子免疫療法に十分な量で得られ得る。インビボで抗原認識を保持しつつ、単一の抗原特異的エフェクター細胞から数十億個へと数が増殖するための培養条件は、当該分野で周知である。このようなインビトロ培養条件は、代表的には、しばしばサイトカイン(例えば、IL−2)および分裂中でないフィーダー細胞の存在下で、抗原による間欠性刺激を使用する。上記のように、本明細書中に提供されるような免疫反応性ポリペプチドは、免疫療法のために十分な数の細胞を生成するために、抗原特異的T細胞培養物を迅速に増殖するために使用され得る。詳細には、抗原提示細胞(例えば、樹状細胞、マクロファージ、単球、線維芽細胞および/またはB細胞)が、当該分野で周知の標準的技術を使用して、免疫反応性ポリペプチドでパルスされ得るか、または1つ以上のポリヌクレオチドでトランスフェクトされ得る。例えば、抗原提示細胞が、組換えウイルスまたは他の発現系における発現を増加するために適切なプロモーターを有するポリヌクレオチドでトランスフェクトされ得る。治療における使用のための培養エフェクター細胞は、インビボで増殖し得、そして広範に分布し得、そして長期に生存し得なければならない。研究により、培養エフェクター細胞が、インビボで増殖するように、そしてかなりの数で長期間生存するように、IL−2を補充した抗原による反復刺激によって誘導され得ることが示された(例えば、Cheeverら、Immunological Reviews 157:177、1997を参照のこと)。
【0259】
あるいは、本明細書中に列挙されるポリペプチドを発現するベクターは、患者から採取された抗原提示細胞に導入され得、そして同じ患者に移植し戻すためにエキソビボでクローン増殖され得る。トランスフェクトされた細胞は、当該分野で公知の任意の手段を使用して、好ましくは滅菌形態で、静脈投与、腔内投与、腹腔内投与または腫瘍内投与によって、その患者に再導入され得る。
【0260】
本明細書中に記載される治療組成物の投与の経路および頻度、ならびに投与量は、個体間で変化し、そして標準的技術を使用して容易に確立され得る。一般的には、その薬学的組成物および免疫原性組成物は、注射投与(例えば、皮内注射、筋肉内注射、静脈内注射または皮下注射)、鼻内投与(例えば、吸引)または経口投与により投与され得る。好ましくは、1用量と10用量との間が、52週間にわたって投与され得る。好ましくは、6用量が、1ヶ月間隔で投与され、そしてブースターワクチン接種が、その後定期的に与えられ得る。代替プロトコルが、個々の患者に適切であり得る。適切な用量は、上記のように投与される場合、抗腫瘍免疫応答を促進し得、かつ基礎(すなわち、未処置)レベルを少なくとも10〜50%超える、化合物の量である。このような応答は、患者における抗腫瘍抗体を測定することによってか、またはその患者の腫瘍細胞をインビトロで殺傷し得る細胞溶解性エフェクター細胞のワクチン依存性生成によって、モニターされ得る。このようなワクチンまたは免疫原性組成物はまた、ワクチン接種されていない患者と比較した場合、ワクチン接種された患者において改善した臨床成果(例えば、より頻繁な完全または部分的な寛解、あるいは疾患を伴わないより長期の生存)をもたらす免疫応答を生じ得る。一般的に、1つ以上のポリペプチドを含む組成物について、1用量中に存在する各ポリペプチドの量は、宿主1kgあたり約25μg〜5mgの範囲である。適切な用量の大きさは、患者の大きさとともに変化するが、代表的には、約0.1mL〜約5mLの範囲である。
【0261】
一般的に、適切な投薬量および処置レジメンは、治療的利益および/または予防的利益を提供するために十分な量で活性化合物を提供する。このような応答は、未処置の患者と比較した場合に、処置された患者において、改善された臨床成果(例えば、より頻出する完全または部分的な寛解、あるいは疾患を伴なわないより長い生存)を確立することによってモニターされ得る。肺腫瘍タンパク質に対する既存の免疫応答の増加は、一般的に、改善された臨床的成果に相関する。このような免疫応答は、一般的に、標準的な増殖アッセイ、細胞傷害性アッセイまたはサイトカインアッセイを用いて評価され得、これらのアッセイは、処置の前および後に患者から得たサンプルを用いて実行され得る。
【0262】
(癌の検出および診断)
一般的に、癌は、この患者から得た生物学的サンプル(例えば、血液、血清、痰尿および/または腫瘍生検材料)中の1以上の肺腫瘍タンパク質および/または、このようなタンパク質をコードするポリヌクレオチドの存在に基づいてその患者において検出され得る。言いかえると、このようなタンパク質は、肺癌のような癌の存在または不在を示すマーカーとして使用され得る。さらに、このようなタンパク質は、他の癌の検出のために有用であり得る。本明細書中で提供される結合因子は、一般的に、この生物学的サンプルにおいてこの因子に結合する抗原のレベルの検出を可能にする。ポリヌクレオチドプライマーおよびプローブは、腫瘍タンパク質をコードするmRNAのレベルを検出するために使用され得、これはまた、癌の存在または不在を示す。一般的に、肺腫瘍配列は、正常組織においてよりも少なくとも3倍高いレベルで腫瘍組織において存在するはずである。
【0263】
サンプルにおいてポリペプチドマーカーを検出するために結合因子を使用する、当業者に公知の種々のアッセイ形式が存在する。例えば、HarlowおよびLane、Antibodies:A Laboratory Manual、Cold Spring Harbor Laboratory、1988を参照のこと。一般的に、患者における癌の存在または不在は、(a)患者から得た生物学的サンプルを結合因子と接触させる工程;(b)この結合因子に結合するポリペプチドのレベルをサンプルにおいて検出する工程;および(c)ポリペプチドのレベルを予定の切断(cut−off)値と比較する工程、によって決定され得る。
【0264】
好ましい実施形態において、アッセイは、残りのサンプル由来のポリペプチドに結合してそれを除去するために、固体支持体に固定化された結合因子の使用を含む。次いで、結合ポリペプチドは、レポーター基を含みかつ結合因子/ポリペプチド複合体に特異的に結合する検出試薬を使用して検出され得る。このような検出試薬は、例えば、ポリペプチドまたは抗体に特異的に結合する結合因子あるいはこの結合因子(例えば、抗免疫グロブリン、プロテインG、プロテインAまたはレクチン)に特異的に結合する他の因子を含み得る。あるいは、競合アッセイが、利用され得、このアッセイにおいて、ポリペプチドは、レポーター基で標識され、そしてサンプルとの結合因子のインキュベーション後に、固定化された結合因子に結合することを可能にする。サンプルの成分が、結合因子への標識されたポリペプチドの結合を阻害する程度は、固定化された結合因子とのそのサンプルの反応性を示す。
【0265】
固体支持体は、腫瘍タンパク質が付着され得る、当業者に公知な任意の材料であり得る。例えば、固体支持体は、マイクロタイタープレート中の試験ウェルまたはニトロセルロース膜もしくは他の適切な膜であり得る。あるいは、この支持体は、ガラス、ファイバーガラス、ラテックスまたはプラスチック材料(例えば、ポリスチレンもしくはポリビニルクロリド)のようなビーズあるいはディスクであり得る。この支持体はまた、例えば、米国特許第5,359,681号に開示されるような、磁気粒子または光ファイバーセンサーであり得る。結合因子は、当業者に公知の種々の技術を使用して固体支持体上に固定化され得、これは、特許および科学文献において詳細に記載されている。本発明の文脈において、用語「固定化」は、吸着のような非共有結合的会合および共有結合的付着(これは、抗原と支持体上の官能基との間の直接的結合であり得るか、または架橋剤による結合であり得る)の両方をいう。マイクロタイタープレートにおけるウェルまたは膜に対する吸着による固定化が、好ましい。このような場合において、吸着は、適切な緩衝液中で、適切な長さの時間の間、結合因子と固体支持体とを接触することによって達成され得る。接触時間は、温度とともに変化するが、代表的には約1時間と約1日との間である。一般に、プラスチックマイクロタイタープレート(例えば、ポリスチレンまたはポリビニルクロリド)のウェルと約10ng〜約10μgの範囲、および好ましくは約100ng〜約1μgの範囲の量の結合因子とを接触させることは、結合因子の適切な量を固定化するために十分である。
【0266】
固体支持体に対する結合因子の共有結合的付着は、一般的に、この支持体および結合薬剤上の官能基(例えば、ヒドロキシル基またはアミノ基)の両方と反応する二官能性試薬を、この支持体とまず反応させることによって達成され得る。例えば、この結合因子を、ベンゾキノンを使用するか、または結合パートナーのアミンおよび活性な水素と支持体のアルデヒド基との縮合によって、適切なポリマーコーティングを有する支持体に対して共有結合的に付着し得る(例えば、Pierce Immunotechnology Catalog and Handbook、1991、A12〜A13を参照のこと)。
【0267】
特定の実施形態において、このアッセイは、2抗体サンドイッチアッセイである。本アッセイは、最初に、固体支持体(通常、マイクロタイタープレートのウェル)上で固定化されている抗体をサンプルと接触させて、サンプル内のポリペプチドを固定化抗体に結合させることによって実施され得る。次いで、非結合サンプルは固定化ポリペプチド−抗体複合体から除去され、そしてレポーター基を含む検出試薬(好ましくは、そのポリペプチド上の異なる部位に結合し得る第2の抗体)が添加される。次いで、固体支持体に結合したままである第2の抗体の量が、特定のレポーター基に関して適切な方法を用いて決定される。
【0268】
より詳細には、一旦抗体が上記のように支持体上に固定化されると、支持体上の残りのタンパク質結合部位は、通常ブロックされる。任意の適切なブロック剤(例えば、ウシ血清アルブミンまたはTween20TM(Sigma Chemical Co.,St.Louis,MO))は、当業者に公知である。固定化抗体は次いで、サンプルとインキュベートされ、そしてポリペプチドをこの抗体に結合させる。インキュベーションの前に、このサンプルは適切な希釈液(例えば、リン酸緩衝化生理食塩水(PBS))で希釈され得る。概して、適切な接触時間(すなわち、インキュベーション時間)は、肺癌を有する個体から得られたサンプル内のポリペプチドの存在を検出するのに十分な時間である。好ましくは、この接触時間は、結合ポリペプチドと非結合ポリペプチドとの間の平衡が少なくとも約95%で達成される結合レベルを達成するのに十分な時間である。当業者は、ある時間にわたって起こる結合レベルをアッセイすることによって、平衡に達するまでに必要な時間が容易に決定され得ることを認識する。室温では、一般に、約30分間のインキュベーション時間で十分である。
【0269】
次いで、非結合サンプルが、適切な緩衝液(例えば、0.1%Tween20TMを含むPBS)を用いて固体支持体を洗浄することによって除去される。レポーター基を含む第2の抗体が次いで、固体支持体に添加され得る。好ましいレポーター基は、上記で列挙された基が挙げられる。
【0270】
次いで、検出試薬が、結合されたポリペプチドを検出するのに十分な量の時間、固定化抗体−ポリペプチド複合体とインキュベートされる。適切な量の時間は、一般に、ある時間にわたって起こる結合のレベルをアッセイすることによって決定され得る。次いで、非結合の検出試薬は除去され、そして結合した検出試薬は、レポーター基を用いて検出される。レポーター基を検出するために使用される方法は、レポーター基の性質に依存する。放射性基について、一般的には、シンチレーション計数法またはオートラジオグラフィー法が適切である。分光法は、色素、発光基および蛍光基を検出するために使用され得る。ビチオンは、異なるレポーター基(一般に、放射性もしくは蛍光基または酵素)に結合されたアビジンを使用して検出され得る。酵素レポーター基は、一般に、基質の添加(一般には、特定の時間の間)、続いて反応産物の分光分析または他の分析により検出され得る。
【0271】
癌(例えば、肺癌)の存在または非存在を決定するために、固体支持体に結合したままのレポーター基から検出されるシグナルが、一般に、所定のカットオフ値と対応するシグナルと比較される。1つの好ましい実施形態において、癌の検出のためのこのカットオフ値は、固定化抗体を、癌を有さない患者由来のサンプルとインキュベートした際に得られた平均シグナル値である。概して、所定のカットオフ値を3標準偏差上回るシグナルを生じるサンプルが、癌に対して陽性とみなされる。代わりの好ましい実施形態において、このカットオフ値は、Sackettら、Clinical Epidemiology:A Basic Science for Clinical Medicine,Little Brown and Co.,1985,106〜7頁の方法に従って、レシーバーオペレーターカーブ(Receiver Operator Carve)を使用して決定される。簡単に言うと、本実施形態において、このカットオフ値は、診断試験結果について各可能なカットオフ値に対応する真の陽性割合(すなわち、感度)および偽陽性割合(100%−特異性)の対のプロットから決定され得る。プロット上の上方左手角に最も近いカットオフ値(すなわち、最大領域を囲む値)が、最も正確なカットオフ値であり、そして本方法によって決定されたカットオフ値より高いシグナルを生ずるサンプルが陽性と見なされ得る。あるいは、カットオフ値は、偽陽性割合を最小にするためにプロットに沿って左へシフトされ得るか、または偽陰性割合を最小にするために右へシフトされ得る。概して、本方法によって決定されたカットオフ値より高いシグナルを生ずるサンプルが、癌に対して陽性と見なされる。
【0272】
関連の実施形態において、このアッセイは、フロースルー試験形式またはストリップ試験形式で実行される(ここで、結合因子は、ニトロセルロースのような膜上で固定化される)。フロースルー試験では、サンプル内のポリペプチドは、サンプルが膜を通過するにつれて固定化結合因子に結合する。次いで、第2の標識化された結合因子が、この第2の結合因子を含む溶液がその膜を介して流れるにつれて、結合因子−ポリペプチド複合体と結合する。次いで、結合した第2の結合因子の検出は、上記のように実行され得る。ストリップ試験形式では、結合因子が結合される膜の一端をサンプルを含む溶液中に浸す。このサンプルは、膜に沿って、第2の結合因子を含む領域を通って、そして固定化抗体の領域まで移動する。固定化抗体の領域での第2の結合因子の濃度が、癌の存在を示す。代表的には、その部位での第2の結合因子の濃度は、視覚的に読みとられ得るパターン(例えば、線)を生成する。このようなパターンを示さないことは陰性の結果を示す。概して、この膜上に固定化される結合因子の量は、生物学的サンプルが、上記の形式において、2抗体サンドイッチアッセイにおいて陽性シグナルを生じるのに十分であるレベルのポリペプチドを含む場合、視覚的に識別可能なパターンを生じるように選択される。このようなアッセイにおいて使用するための好ましい結合因子は、抗体およびその抗原結合フラグメントである。好ましくは、膜上に固定化される抗体の量は、約25ng〜約1μgの範囲であり、そしてより好ましくは、約50ng〜約500ngの範囲である。このような試験は、代表的には、非常に少ない量の生物学的サンプルを用いて実行され得る。
【0273】
もちろん、本発明の腫瘍タンパク質または結合因子との使用に適する多数の他のアッセイ手順が存在する。上記の記載は、例示のみを意図する。例えば、上記のプロトコルは、生物学的サンプルにおいてこのようなポリペプチドに結合する抗体を検出するための肺腫瘍ポリペプチドを使用するように容易に改変され得ることが、当業者に容易に理解される。このような肺腫瘍タンパク質特異的抗体の検出は、癌の存在に相関し得る。
【0274】
癌はまた、あるいは癌は、生物学的サンプル中の肺腫瘍タンパク質と特異的に反応するT細胞の存在に基づいて検出され得る。特定の方法において、患者から単離されたCD4+ T細胞および/またはCD8+ T細胞を含む生物学的サンプルが、肺腫瘍ポリペプチド、このようなポリペプチドをコードするポリヌクレオチドおよび/またはこのようなポリペプチドの少なくとも免疫原性部分を発現するAPCとともにインキュベートされ、そしてそのT細胞の特異的活性化の存在または非存在が検出される。適切な生物学的サンプルとしては、単離されたT細胞が挙げられるが、これに限定されない。例えば、T細胞は、慣用的技術(例えば、末梢血リンパ球のFicoll/Hypaque密度勾配遠心分離)によって、患者から単離され得る。T細胞は、ポリペプチド(例えば、5〜25μg/ml)とともに、37℃で2〜9日間(代表的には4日間)、インビトロでインキュベートされ得る。T細胞サンプルの別のアリコートを、コントロールとして役立つように、肺腫瘍ポリペプチドの非存在下でインキュベーションすることが、所望され得る。CD4+T細胞について、活性化は、好ましくは、T細胞の増殖を評価することによって検出される。CD8+細胞について、活性化は、細胞溶解活性を評価することによって、好ましくは検出される。疾患に罹患していない患者においてよりも少なくとも2倍高いレベルの増殖、および/または少なくとも20%高いレベルの細胞溶解活性は、その患者における癌の存在を示す。
【0275】
上記のように、癌はまた、あるいは癌は、生物学的サンプル中の肺腫瘍タンパク質をコードするmRNAのレベルに基づいて検出され得る。例えば、少なくとも2つのオリゴヌクレオチドプライマーが、生物学的サンプル由来の肺腫瘍タンパク質cDNAの一部を増幅するために、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)に基づくアッセイにおいて使用され得、このオリゴヌクレオチドプライマーのうちの少なくとも1つは、肺腫瘍タンパク質をコードするポリヌクレオチドに特異的である(すなわち、ハイブリダイズする)。次いで、この増幅されたcDNAは、当該分野で周知の技術(例えば、ゲル電気泳動)を使用して、分離および検出される。同様に、肺腫瘍タンパク質をコードするポリヌクレオチドに特異的にハイブリダイズするオリゴヌクレオチドプローブが、生物学的サンプル中のこの腫瘍タンパク質をコードするポリヌクレオチドの存在を検出するために、ハイブリダイゼーションアッセイにおいて使用され得る。
【0276】
アッセイ条件下でのハイブリダイゼーションを可能にするために、オリゴヌクレオチドプライマーおよびプローブは、少なくとも10ヌクレオチドの長さ、好ましくは少なくとも20ヌクレオチドの長さの肺腫瘍タンパク質をコードするポリヌクレオチドの一部に対して、少なくとも約60%、好ましくは少なくとも約75%そしてより好ましくは少なくとも約90%の同一性を有する、オリゴヌクレオチド配列を含むべきである。好ましくは、オリゴヌクレオチドプライマーおよび/またはプローブは、上記のように、中程度にストリンジェントな条件下で、本明細書中に記載されるポリペプチドをコードするポリヌクレオチドにハイブリダイズする。本明細書中に記載される診断方法において有用に使用され得るオリゴヌクレオチドプライマーおよび/またはプローブは、好ましくは少なくとも10〜40ヌクレオチドの長さである。好ましい実施形態において、このオリゴヌクレオチドプライマーは、配列番号1、11〜13、15、20、23〜27、29、30、33、34、39、41、43〜46、51、52、57、58、60、62、65〜67、69〜71、74、76、79、80、84、86、89〜92、95、97、98、101、110、111、113〜119、121〜128、130〜134、136、138、139、141、143、146〜151、153、154、157〜160、162〜164、167〜178、180、181、183、186〜190、192、193、195〜220、224、226〜231、234、236、237、240、241、244〜246、248、254、255、261、262、266、270、275、280、282、283、288、289、290、292、295、301、303、304、309、311、341〜782、784、785、790、792、794、796、800〜804、807、808または810〜826に記載される配列を有するDNA分子のうちの、少なくとも10個連続するヌクレオチド、より好ましくは少なくとも15個連続するヌクレオチドを含む。PCRに基づくアッセイおよびハイブリダイゼーションアッセイの両方についての技術は、当該分野で周知である(例えば、Mullisら、Cold Spring Harbor Symp.Quant.Biol.51:263、1987;Erlich編、PCR Technology、Stockton Press、NY、1989を参照のこと)。
【0277】
1つの好ましいアッセイは、RT−PCRを使用し、RT−PCRにおいては、PCRが、逆転写と組み合わせて適用される。代表的には、RNAが、生検組織のような生物学的サンプルから抽出され、そしてcDNA分子を生成するように逆転写される。少なくとも1つの特異的プライマーを使用するPCR増幅は、例えば、ゲル電気泳動を使用して分離および可視化され得る、cDNA分子を生じる。増幅は、試験患者および癌に罹患していない個体から採取された、生物学的サンプルに対して実施され得る。この増幅反応は、2桁の大きさに及ぶcDNAのいくつかの希釈物に対して実施され得る。非癌性サンプルの同じ希釈物と比較して、試験患者サンプルのいくつかの希釈物における2倍以上の発現の増加は、代表的に陽性とみなされる。
【0278】
別の実施形態において、本明細書中に記載される組成物は、癌の進行をモニターするためのマーカーとして使用され得る。この実施形態において、癌の診断のための上記のようなアッセイが、経時的に実施され得、そして反応性ポリペプチドまたはポリヌクレオチドのレベルの変化が評価され得る。例えば、このアッセイは、6ヶ月〜1年の期間に24〜72時間ごとに実施され得、その後も必要ならば実施され得る。一般的に、癌は、検出されるポリペプチドまたはポリヌクレオチドのレベルが経時的に増加する患者において進行している。対照的には、この癌は、反応性ポリペプチドまたはヌクレオチドのレベルが一定のままであるかまたは時間とともに減少するかのいずれかである場合には、進行していない。
【0279】
特定のインビボ診断アッセイは、腫瘍に対して直接実施され得る。1つのこのようなアッセイは、腫瘍細胞を結合因子と接触させる工程を包含する。次いで、結合された結合因子が、レポーター基を介して直接的または間接的に検出され得る。このような結合因子はまた、組織学的適用において使用され得る。あるいは、ポリヌクレオチドプローブが、このような適用において使用され得る。
【0280】
上記のように、感度を改善するために、複数の肺腫瘍タンパク質マーカーが、所定のサンプルにおいてアッセイされ得る。本明細書中に提供される異なるタンパク質に特異的な結合因子が、単一のアッセイ中で混合され得ることは、明らかである。さらに、複数のプライマーまたはプローブが、同時に使用され得る。腫瘍タンパク質マーカーの選択は、最適な感度を生じる組み合わせを決定するための慣用的実験に基づき得る。さらに、またはあるいは、本明細書中に提供される腫瘍タンパク質についてのアッセイが、他の公知の腫瘍抗原についてのアッセイと組み合わせられ得る。
【0281】
(診断キット)
本発明は、上記の診断方法のうちのいずれかにおける使用のためのキットをさらに提供する。このようなキットは、代表的には、診断アッセイを実施するために必要な2つ以上の成分を含む。成分は、化合物、試薬、容器および/または装置であり得る。例えば、キット中の1つの容器が、肺腫瘍タンパク質に特異的に結合する、モノクローナル抗体またはそのフラグメントを含み得る。このような抗体またはフラグメントは、上記のように、支持体材料に結合して提供され得る。1つ以上のさらなる容器が、このアッセイにおいて使用される要素(例えば、試薬または緩衝液)を含み得る。このようなキットはまた、またはあるいは、抗体結合の直接検出または間接検出に適切な、レポーター基を含む上記のような検出試薬を含み得る。
【0282】
あるいは、生物学的サンプル中の肺腫瘍タンパク質をコードするmRNAレベルを検出するための、キットが設計され得る。このようなキットは、一般的に、上記のような、腫瘍タンパク質をコードするポリヌクレオチドにハイブリダイズする、少なくとも1つのオリゴヌクレオチドプローブまたはプライマーを含む。このようなオリゴヌクレオチドは、例えば、PCRまたはハイブリダイゼーションアッセイにおいて使用され得る。このようなキット中に存在し得るさらなる成分としては、肺腫瘍タンパク質をコードするポリヌクレオチドの検出を容易にするための、第2のオリゴヌクレオチドおよび/または診断試薬もしくは診断容器が挙げられる。
【0283】
以下の実施例は、例示として提供され、限定としては提供されない。
【0284】
(実施例1)
(肺腫瘍タンパク質cDNAの同定および特徴付け)
(A.慣用的なcDNAライブラリー基質を用いて肺腺癌ライブラリー由来のcDNA配列の単離)
ヒトの肺腺癌cDNA発現ライブラリーを、製造業者のプロトコールに従って、cDNA合成およびプラスミドクローニングキット(BRL Life Technologies,Gaithersburg,MD)のためのスーパースクリプトプラスミドシステムを用いて、患者組織(# 40031486)由来のポリA+RNAから構築した。詳細には、肺腺癌組織を、ポリトロン(polytron)(Kinematica,Switzerland)でホモジナイズし、そして全RNAを、製造業者により指示されるようにTrizol試薬(BRL Life Technologies)を用いて抽出した。次いで、ポリA+RNAを、Sambrookら、Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratories,Cold Spring Harbor,NY,1989に記載されるように、オリゴdTセルロースカラムを用いて精製した。第1のcDNA鎖を、NotI/Oligo−dT18プライマーを用いて合成した。二本鎖cDNAを合成し、BstX I/EcoRIアダプター(Invitrogen,San Diego,CA)を用いてライゲーションし、そしてNotIで切断した。cDNAサイズ分画カラム(BRL Life Technologies)でのサイズ分画後、このcDNAを、pCDNA3.1(Invitrogen)に連結し、そしてエレクトロポレーションによりElectroMax E.coli DH10B細胞(BRL Life Technologies)に形質転換した。3×106の独立したクローンの総数を生成した。
【0285】
同じ手順を用いて、正常なヒトcDNA発現ライブラリーを正常組織試料(肺、肝、膵、皮膚、腎、脳および静止PBMCを含む)のパネルから調製した。
【0286】
cDNAライブラリーの差し引きを、Haraら(Blood,84:189〜199、1994)によって記載されたように(いくつかの改変を伴い)、上記の肺腺癌cDNAライブラリーおよび正常組織cDNAライブラリーを用いて実行した。詳細には、肺腺癌特異的に差し引きされた(subtracted)cDNAライブラリーを以下の様に作製した。正常組織cDNAライブラリー(80μg)をBamHIおよびXhoIで消化し、次に、DNAポリメラーゼクレノウフラグメントで充填反応を行った。フェノール−クロロホルム抽出およびエタノール沈殿の後、そのDNAを133μlのH2Oに溶解し、熱変性し、そして133μl(133μg)の光プローブビオチン(Photoprobe biotin)(Vector Laboratories,Burlingame,CA),と混合した。製造者によって推奨されるように、得られた混合物に20分間、氷上で270Wの太陽灯を照射した。さらなる光プローブビオチン(67μl)を添加し、そしてビオチン化反応を繰り返した。ブタノールでの5回の抽出後、DNAをエタノール沈殿し、そして23μlのH2Oに溶解した。得られたDNAおよび以前の肺差し引きにおいて頻繁に修復された他の重複性cDNAクローンは、ドライバー(driver)DNAを形成した。
【0287】
トレーサーDNAを形成するために、10μg肺腺癌cDNAライブラリーをNotIおよびSpeIで消化し、フェノールクロロホルム抽出し、そして、Chroma spin−400カラム(Clontech,Palo Alto,CA)を通した。代表的には、5μgのcDNAを、サイジングカラムより回収した。エタノール沈殿の後、トレーサーDNAを、5μl H2Oに溶解した。そのトレーサーDNAは、15μlのドライバーDNAおよび20μlの2×ハイブリダイゼーション緩衝液(1.5M塩化ナトリウム/10mM EDTA/50mM HEPES pH 7.5/0.2%硫酸ドデシルナトリウム)と混合し、ミネラルオイルで重層して、そして、完全に熱変性した。そのサンプルを、68℃ウォーターバスに直ぐに移し、そして20時間インキュベートした(ロングハイブリダイゼーション[LH])。次いで、その反応混合溶液を、ストレプトアビジン処理に供して、続いてフェノール/クロロホルム抽出に供した。このプロセスを、3回以上繰り返した。サブトラクト(subtracted)DNAを沈殿させ、12μl H2Oに溶解し、8μlドライバーDNAおよび20μlの2×ハイブリダイゼーション緩衝液と混合し、そして68℃で2時間ハイブリダイゼーションに供した(ショートハイブリダイゼーション[SH])。ビオチン化した二本鎖DNAを除去した後、サブトラクトcDNAを、クロラムフェニコール耐性pBCSK+(Stratagene,La Jolla,CA)のNotI/SpeI部位に連結し、そしてエレクトロポレーションによってElectroMax E.Coli DH10B細胞を形質転換し、肺腺癌特異的サブトラクトcDNAライブラリーを作製した(LAT−S1と参照する)。同様に、LAT−S2は、さらなるドライバーとしてトレーサー中で過剰発現される23遺伝子を含めることによって作製した。
【0288】
第二の患者(#86〜66)由来の腺癌組織を使用して、第二のヒト肺腺癌cDNA発現ライブラリーを構築し、そして正常組織およびLAT−S1中で過剰発現されるさらなる遺伝子の同一のパネルを使用して、上記に記載されるように、2次肺腺癌特異的サブトラクトcDNAライブラリー(LAT2−S2として参照する)を調製するために使用した。
【0289】
肺腺癌および胃腺癌起源を有する二つの肺胸膜滲出のプールより、第三のヒト転移性肺腺癌ライブラリーを構築した。そのサブトラクトcDNAライブラリー(Mets−sub2)は、同一の正常組織のパネルを使用して、上記に記載されるように、作製した。しかし、Mets−sub3サブトラクトライブラリーは、ドライバーとして、さらに51遺伝子を含めることによって、構築した。これらの51遺伝子を、Mets−sub2で回収し、そのテスター中で、過剰発現されるハウスキーピング遺伝子を示した。結果として、Mets−sub3は、さらに複雑化し、そして正規化した。
【0290】
上記記載のLAT−S1から単離した16のcDNA、LAT−S2から単離した585のcDNAフラグメント、LAT2−S2から単離した568のcDNAクローン、Mets−sub2から単離した15のcDNAクローン、およびMets−sub3から単離した343のcDNAクローン(合計)をコロニーPCR増幅し、そして、肺腫瘍、正常肺、ならびに種々の他の正常および腫瘍組織におけるそれらのmRNA発現レベルをマイクロアレイ技術(Incyte,Palo Alto,CA)を使用して、決定した。手短には、そのPCR増幅産物をアレイ形式でスライド上にドットし、それぞれの産物は、そのアレイで、独特の部位を占めた。mRNAを試験される組織サンプルより抽出し、逆転写し、そして蛍光標識したcDNAプローブを作製した。そのマイクロアレイを、標識されたcDNAプローブでプローブし、そのスライドを走査し、蛍光強度を測定した。この強度は、ハイブリダイゼーション強度と相関する。73個の非重複性cDNAクローン(そのうち42個が、特有であることを見出した)が肺腫瘍での過剰発現を示し、試験された正常組織(肺、皮膚、リンパ節、結腸、肝臓、膵臓、胸部、心臓、骨髄、大腸、腎臓、胃、脳、小腸、膀胱および唾液腺)における発現が、検出不可能であるか、または肺腺癌腫瘍と比較して有意に低いレベルであるかのどちらかであった。これらのクローンを、Perkin Elmer/Applied Biosystems Division Automated Sequencer Model 373Aおよび/またはModel 377(Foster City,CA)を使用したDNA配列決定によってさらに特徴付けた。
【0291】
その配列を、EMBL GenBankデータベース(リリース96)を使用して、ジーンバンクの既知の配列と比較した。配列番号67に提供される配列に対して、有意な相同性を全く見出せず、以前に同定された発現配列タグ(EST)に対して、見かけ上相同性を全く有さなかった。配列番号60、62、65、66、69〜71、74、76、79、80、84、86、89〜92、95、97および98の配列が、以前に同定された発現配列タグ(EST)に対していくらかの相同性を有することを検出した。配列番号59、61、63、64、67、68、72、73、75、77、78、81〜83、85、87、88、93、94、96、99および100のcDNA配列が、以前に同定された遺伝子に対して、相同性を示した。配列番号96および100のクローンの全長cDNA配列を、それぞれ配列番号316および318に提供する。配列番号59、61、63、64、68、73、82、83、94、96および100のクローンのアミノ酸配列を、それぞれ、配列番号331、328、329、332、327、333、330、326、325、324および335に提供する。配列番号69(L552Sとして参照する)の配列によってコードされる推定アミノ酸配列を、配列番号786に提供する。
【0292】
さらなる研究が、L552S(配列番号790)についての伸長cDNA配列の単離、およびオープンリーディングフレームに導く。配列番号790のcDNA配列によってコードされるその推定アミノ酸配列を、配列番号791に提供する。L552Sのアイソフォームの決定されたcDNA配列を、配列番号792に提供し、対応する推定アミノ酸配列を、配列番号793に提供する。続く研究が、L552S(配列番号808)の全長cDNA配列の単離に導いた。その対応するアミノ酸配列を、配列番号809に提供する。L552Sのタンパク質配列に対する相同性は全く見出されなかった。しかし、全長cDNA配列のヌクレオチド533〜769は、以前に同定されたDNA配列に対する相同性を示すことを見出した。
【0293】
L552Sに関する全長クローニングの努力が、転移性の肺腺癌ライブラリー由来の3つのさらなるcDNA配列(配列番号810〜812)の単離に導いた。配列番号810の配列は、以前に同定されたヒトDNA配列に対していくらかの相同性を示すことを見出した。配列番号811の配列は、以前に同定されたDNA配列に対していくらかの相同性を示すことを見出した。配列番号812の配列は、以前に同定されたESTに対していくらかの相同性を示すことを見出した。
【0294】
配列番号84(L551Sとして参照する)の遺伝子は、リアルタイムRT−PCR分析によって決定し、原発性腺癌の2/9で過剰発現し、そして転移性の腺癌の2/2および扁平上皮細胞癌の1/2で、低いレベルで発現発現した。正常な胃における非常に低い発現を除き、正常な組織では、発現は全く観察されなかった。L551Sに関するさらなる研究が、それぞれ配列番号801および802に提供する5’および3’cDNAコンセンサス配列の単離に導いた。そのL551S 5’配列は、以前に同定された遺伝子STY8(配列番号803に提供するcDNA配列;配列番号805に提供する対応するアミノ酸配列)に対して、いくらかの相同性を示すことを見出し、それはマイトジェン活性化プロテインキナーゼホスファターゼである。しかし、L551Sの3’配列に対して全く相同性を見出されなかった。続いて、L551Sについての伸長cDNA配列(配列番号804)が、単離された。その対応するアミノ酸配列を、配列番号806に提供する。さらなる研究が、L551Sについての2つの独立性全長クローン(54298および54305として参照する)の単離に導いた。これらの2つのクローンは、STY8DNA配列と比較して5つのヌクレオチドの差異を有する。これらの2つの差異は、コードアミノ酸配列に影響しない単一ヌクレオチド多型である。他の3つのヌクレオチド差異は、2つのL551Sクローン間で共通しているが、STY8タンパク質配列とは異なったコードアミノ酸配列に導く。L551S全長クローン54305および54298について決定されたcDNA配列を、それぞれ配列番号825および826に提供し、L551Sのアミノ酸配列を、配列番号827に提供する。
【0295】
(B.PCRに基づいたcDNAライブラリーサブトラクションを使用した肺腺癌ライブラリー由来のcDNA配列の単離)
9つの正常ヒト組織cDNAのプール(皮膚、結腸、肺、食道、脳、腎臓、脾臓、膵臓および肝臓を含む)(Clontech,Palo Alto,CA)に対してサブトラクトされた2つのヒト肺原発性腺癌のプール由来のcDNAを含む、PCRに基づいたcDNAサブトラクションライブラリー由来のcDNAクローンを誘導し、そして第一ラウンドのPCR増幅に供した。このライブラリー(ALT−1として参照する)を、製造者のプロトコルに従って、第二ラウンドのPCR増幅に供した。肺腫瘍、正常肺、ならびに種々の他の正常および腫瘍組織の760のcDNAクローンの発現レベルを、上記記載のマイクロアレイ技術を使用して、調査した。全118クローン(その中の55が固有のクローンであった)が、肺腫瘍組織で過剰発現することを見出し、試験された正常な組織(肺、皮膚、リンパ節、結腸、肝臓、膵臓、胸部、心臓、骨髄、大腸、腎臓、胃、脳、小腸、膀胱および唾液腺)での発現は検出不能であるか、または有意に低いレベルであった。これらの配列をEMBLおよびGenBankデータベース(リリース96)を用いてジーンバンク中の既知の配列と比較した。配列番号44に提供される配列に対しては、有意な相同性(ESTを含む)が全く検出されなかった。配列番号1、11、13、15、20、23〜27、29、30、33、34、39、41、43、45、46、51および57の配列は、以前に同定された発現配列タグ(EST)に対していくらかの相同性を示すことが見出されなかった。配列番号2〜10、12、14、16〜19、21、22、28、31、32、35〜38、40、42、44、47〜50、52〜56および58のcDNA配列は、以前に同定された遺伝子に対する相同性を示した。配列番号18、22、31、35、36および42のクローンについての全長cDNA配列を、それぞれ配列番号320、319、323、321、317および322に提供し、対応するアミノ酸配列を、それぞれ配列番号337、336、340、338、334、および339に提供する。
【0296】
さらなる研究が、配列番号33(L801Pとして参照する)のクローンの伸長cDNA配列の単離に導いた。この伸長cDNA配列(配列番号796に提供する)は、3つの潜在的オープンリーディングフレーム(ORF)を含むことを見出した。これら3つのORFによってコードされる推定アミノ酸配列を、それぞれ配列番号797〜799に提供する。
【0297】
続く研究において、配列番号44(L844Pとして参照する)のクローンの全長cDNA配列を単離した(配列番号800に提供する)。この配列と公共のデータベース中の配列との比較は、その配列の5’末端の470塩基が、既知の遺伝子ジヒドロジオールデヒドロゲナーゼに対して相同性を示すことを開らかにし、従って、L844Pは、以前に同定されていない3’非翻訳領域の2007塩基対を有するジヒドロジオールデヒドロゲナーゼファミリーの新規の転写産物であることを示す。
【0298】
配列番号46(L840Pとして参照する)の配列によってコードされる推定アミノ酸配列を、配列番号787に提供する。L840Pについての伸長cDNA配列(それは、オープンリーディングフレームを含むことが決定されている)を配列番号794に提供する。配列番号794のcDNA配列によってコードされる推定アミノ酸を、配列番号795に提供する。配列番号54(L548Sとして参照する)のクローンに対する全長cDNA配列を配列番号788に提供し、その対応するアミノ酸配列を配列番号789に提供する。
【0299】
配列番号25および46(それぞれL839PおよびL840Pとして参照する)の遺伝子のノーザンブロット分析は、顕著に類似していた。両方の遺伝子は、3.6kbおよび1.6kbの2つのバンドとして、肺腺癌の1/2で発現した。L839Pの発現は、正常の肺または気管では全く観察されなかった。L840Pの発現は、正常な骨髄、休止PBMCまたは活性化PBMC、食道、または正常な肺で全く観察されなかった。類似した発現パターンを示すことから、L839PおよびL840Pは、同一の遺伝子由来であり得る。
【0300】
L773P(配列番号58)に関するさらなる研究は、配列番号807に提供する伸長コンセンサスcDNA配列の単離を生じた。
【0301】
さらなる肺腺癌cDNAクローンを以下のように単離した。cDNAライブラリーを2つの肺腺癌のプールより調製し、そして正常組織(肺、脳、肝臓、腎臓、膵臓、皮膚、心臓および脾臓を含む)のパネル由来のcDNAに対してサブトラクトした。そのサブトラクションをPCRに基づいたプロトコル(Clontech)(それはより大きいフラグメントを作製するために改変した)を使用して実行した。このプロトコル中で、テスターおよびドライバーの二本鎖cDNAを、6ヌクレオチド制限部位を認識する5つの制限酵素(MluI,MscI,PvuII,SalIおよびStuI)で別々に消化した。この消化は、Clontechプロトコルに従いRsaIで消化して生じる平均サイズ300bpよりむしろ、平均サイズ600bpのcDNAを生じた。制限消化したテスターcDNAの末端を埋めて、アダプター連結のために平滑末端を作製した。この改変は、サブトラクション効率に影響しなかった。次いで、2つのテスター集団を異なったアダプターで創出し、そしてドライバーライブラリーはアダプターなしのままにした。次いで、そのテスターおよびドライバーライブラリーを、過度のドライバーcDNAを使用してハイブリダイズした。最初のハイブリダイズ工程では、ドライバーは、2つのテスターcDNA集団のそれぞれと別々にハイブリダイズした。これは、(a)ハイブリダイズしていないテスターcDNA、(b)他のテスターcDNAにハイブリダイズするテスターcDNA、(c)ドライバーcDNAにハイブリダイズするテスターcDNAおよび(d)ハイブリダイズしていないドライバーcDNAの集団を生じた。次いで、その2つの別々のハイブリダイゼーション反応物を組み合わせ、そしてさらなる変性ドライバーcDNAの存在下で、再びハイブリダイズした。この第二のハイブリダイゼーションの後、集団(a)〜(d)に加えて、5番目の集団(e)を作製し、この5番目の集団(e)において1つのアダプターを有するテスターcDNAは、二番目のアダプターを有するテスターcDNAにハイブリダイズした。従って、二番目のハイブリダイゼーション工程は、差次的に発現される配列の濃縮を生じ、それをアダプター特異的プライマーでPCR増幅するための鋳型として使用し得た。
【0302】
次いで、その末端を埋め、そしてアダプター特異的プライマーを使用して、PCR増幅を行なった。集団(e)(それはドライバーcDNAにハイブリダイズしなかったテスターcDNAを含む)のみが、指数関数的に増加した。次いで、第二のPCR増幅工程を実行し、バックグラウンドを減少し、そして差次的に発現される配列をさらに濃縮した。
【0303】
57のcDNAクローンを、サブトラクトライブラリー(LAP1として参照する)より単離しそして配列決定した。これらのクローンのうちの16について決定されたcDNA配列を、配列番号101〜116に提供する。配列番号101および114の配列は、以前に同定された配列に対して有意な相同性を示さなかった。配列番号102〜109および112の配列は、以前に同定された配列に対していくらかの相同性を示し、一方、配列番号113、115および116の配列は、以前に単離されたESTに対していくらかの相同性を示した。
【0304】
(C.PCRに基づいたcDNAライブラリーサブトラクションを使用する小細胞肺癌ライブラリーからのcDNA配列の単離)
小細胞肺癌についてのサブトラクトcDNAライブラリー(SCL1として参照する)を、上記記載のPCRに基づく改変サブトラクションプロセスを基本的に使用して、調製した。小細胞肺癌由来のcDNAを正常細胞のパネル(正常な肺、脳、腎臓、肝臓、膵臓、皮膚、心臓、リンパ節および脾臓を含む)由来のcDNAに対してサブトラクトした。テスターおよびドライバーポリA+RNA両方を、SMART PCR cDNA合成キット(Clontech,Palo Alto,CA)を使用して、最初に増幅した。そのテスターおよびドライバーの2本鎖cDNAを、5つの制限酵素(DraI,MscI,PvuII,SmaI,およびStuI)で、別々に消化した。これらの制限酵素は、平滑末端切断部を作製し、そしてその消化は、平均600bpのインサートサイズを生じた。このセットの制限酵素での消化は、cDNA末端を埋めることによって平滑末端を作製することを必要とする工程を減少させる。これらの改変は、サブトラクション効率に影響しなかった。
【0305】
85のクローンを単離し、そして配列決定した。これらのクローンのうちの31について決定されたcDNA配列を、配列番号117〜147に提供する。配列番号122、124、126、127、130、131、133、136、139および147の配列は、以前に同定された配列に対して全く有意な相同性を示さなかった。配列番号120、129、135、137、140、142、144および145の配列は、以前に同定された遺伝子配列に対していくらかの相同性を示し、一方、配列番号114、118、119、121、123、125、128、132、134、138、141、143および147の配列は、以前に単離されたESTに対していくらかの相同性を示した。
【0306】
さらなる研究において、9つの正常組織(肺、脳、腎臓、肝臓、膵臓、皮膚、心臓、下垂体および脾臓)由来のポリA+RNAのプールに対してサブトラクトした単一の小細胞肺癌サンプル由来のポリA+RNAからさらに3つのcDNAライブラリーを作製した。最初のライブラリー(SCL2として参照する)について、そのサブトラクションは、テスターおよびドライバーをPvuII,StuI,MscIおよびDraIで消化したという点を除き、上記に記載されるように基本的にLAP1ライブラリーと同様に実行した。使用されたテスターおよびドライバーのcDNAの割合は、Clontechによって推奨される割合と同一であった。第二のライブラリー(SCL3として参照する)について、SCL2ライブラリーより同定された高度に重複したクローンのcDNAが、ドライバーcDNAに含まれるという点を除き、基本的にSCL2と同様にサブトラクションを実行した。SCL4ライブラリーの構築を、テスターに対してより高い割合のドライバーを使用するという点を除き、基本的にSCL3ライブラリーについて記載されるように実行した。
【0307】
それぞれのライブラリーを、DNA配列決定およびデータベース分析によって特徴付けた。SCL2ライブラリーより単離された35のクローンについて決定されたcDNA配列を、配列番号245〜279に提供し、SCL3ライブラリーから単離した21のクローンについて決定されたcDNA配列およびSCL4ライブラリーから単離された15のクローンについて、配列番号280〜300および配列番号301〜315にそれぞれ提供する。配列番号246、254、261、262、304、309および311の配列は、以前に同定された配列に対して全く有意な相同性を示さなかった。配列番号245、248、255、266、270、275、280、282、283、288〜290、292、295、301および303の配列は、以前に単離されたESTに対していくらかの相同性を示し、一方、配列番号247、249〜253、256〜260、263〜265、267〜269、271〜274、276〜279、281、284〜287、291、293、294、296〜300、302、305〜308、310および312〜315の配列は、以前に同定された遺伝子配列に対していくらかの相同性を示した。
【0308】
(D.PCRに基づいたcDNAライブラリーサブトラクションを使用した神経内分泌ライブラリーからのcDNA配列の単離)
PCRに基づいた改変サブトラクションプロセスを使用して、基本的にLAP1サブトラクトライブラリーについて上記に記載されるように、サブトラクトcDNAライブラリー(MLN1として参照する)を、9つの正常な組織のパネル(正常な肺、脳、腎臓、肝臓、膵臓、皮膚、心臓、リンパ節および脾臓を含む)でのサブトラクションによって、気管竜骨下(subcarinal)リンパ節に転移した肺神経内分泌癌から誘導した。
【0309】
91個体のクローンを単離して、配列決定した。これらのクローンのうちの58について決定したcDNA配列を、配列番号147〜222に提供する。配列番号150、151、154、157、158、159、160、163、174、175、178、186〜190、192、193、195〜200、208〜210、212〜215および220の配列は、以前に同定された配列に対して有意な相同性を全く示さなかった。配列番号152、155、156、161、165、166、176、179、182、184、185、191、194、221および222の配列は、以前に同定された遺伝子配列にいくらかの相同性を示し、一方、配列番号148、149、153、164、167〜173、177、180,、181、183、201〜207、211および216〜219の配列は、以前に単離されたESTに対していくらかの相同性を示した。
【0310】
MLN1ライブラリーより単離されたさらなる442のクローンの決定されたcDNA配列を、配列番号341〜782に提供する。
【0311】
(E.PCRに基づいたcDNAライブラリーサブトラクションを使用する扁平上皮細胞肺癌ライブラリー由来のcDNA配列の単離)
扁平上皮細胞肺癌についてのサブトラクトcDNAライブラリー(SQL1として参照する)を、テスターおよびドライバー二本鎖DNAを4つの制限酵素(DraI,MscI,PvuIIおよびStuI)を使用して別々に消化するという点を除き、上記に記載されるように基本的にPCRに基づいた改変サブトラクションプロセスを使用して、調製した。2つの扁平上皮細胞肺癌のプール由来のcDNAを、10正常組織のプール(正常の肺、脳、腎臓、肝臓、膵臓、皮膚、心臓、脾臓、食道および気管を含む)由来のcDNAに対してサブトラクトした。
【0312】
74のクローンを単離し、そして配列決定した。これらのクローンのうちの22についての決定されたcDNA配列を、配列番号223〜244に提供する。配列番号241の配列は、以前に同定された配列に対して全く有意な相同性を示さなかった。配列番号223、225、232、233、235、238、239、242および243の配列は、以前に同定された遺伝子配列に対していくらかの相同性を示し、一方、配列番号224、226〜231、234、236、237、240、241および244の配列は、以前に単離されたESTに対していくらかの相同性を示した。
【0313】
肺腫瘍組織より調製されたcDNAライブラリーの特徴付けの間に単離されたさらなる12のクローンの配列を、配列番号813〜824に提供する。ジーンバンクデータベースおよびGeneSeq DNAデータベースの配列と、これらの配列の比較は、以前に同定された配列に対する有意な相同性を全く示さなかった。
【0314】
(実施例2)
(ポリペプチドの合成)
ポリペプチドを、HPTU(O−ベンゾトリアゾール−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロリン酸)活性化を用いたFMOC化学を使用して、Perkin Elmer/Applied Biosystems Division 430Aペプチド合成機上で合成した。Gly−Cys−Gly配列を、固定表面に共役、結合する方法か、そのペプチドを標識する方法を提供するためにペプチドのアミノ末端に付着し得る。固体支持体からのそのペプチドの切断は、次の切断混合物を使用して、実行し得る:トリフルオロ酢酸:エタンジチオール:チオアニソール:水:フェノール(40:1:2:2:3)。2時間の切断後、そのペプチドは、冷メチル−t−ブチル−エーテルで沈殿し得る。次いで、そのペプチドペレットは、C18逆層HPLCによって精製する前に、0.1%トリフルオロ酢酸(TFA)を含む水で溶解し得、そして凍結乾燥し得る。水(0.1%TFAを含む)中の0%〜60%アセトニトリル(0.1%TFAを含む)の勾配を、そのペプチドを溶出するために使用し得る。純粋な画分の凍結乾燥の後、そのポリペプチドを、エレクトロスプレーまたは他の型の質量分析法を使用して、およびアミノ酸分析によって、特徴付け得る。
【0315】
(実施例3)
(肺癌抗原に対する抗体の調製)
肺癌抗原L773P(配列番号783)に対するポリクローナル抗体を、以下のように調製した。
【0316】
上記記載のように、E.coliで発現しそしてE.coliから精製された組換えタンパク質で、ウサギを免疫化した。最初の免疫化のために、ムラミルジペプチド(MDP)と合わせた抗原を400μg、皮下に注入(S.C.)した。動物は、不完全フロイントアジュバンド(IFA)と混合した抗原を200μg、S.C.の4週間後、追加免疫した。IFAと混合した抗原100μgの続く追加免疫を、高い抗体力価応答を誘導するために、必要に応じて、S.C.注入した。免疫化したウサギ由来の血清を、精製タンパク質を用いて、ELISAアッセイを使用して、L773P特異的応答性について試験し、そして免疫化したウサギ由来の血清はL733Pに対して強い応答性を示した。L733Pに対するポリクローナル抗体は、固体支持体に付着した精製タンパク質を使用して、高い力価のポリクローナル血清よりアフィニティー精製した。
【0317】
(実施例4)
(肺腫瘍特異的抗原のタンパク質発現)
全長L773P(配列番号783のアミノ酸2〜364)(6×Hisタグを有する)を、pPDM発現ベクターにサブクローニングし、そして標準的技術を使用して、BL21 CodonPlus宿主細胞またはBL21 pLysS宿主細胞のどちらかに形質転換した。高レベルの発現を、両方の場合で観察した。同様に、L773P(配列番号783のアミノ酸2〜71;L733PAとして参照する)のN末端部分(6×Hisタグを有する)を、ベクターpPDMにサブクローニングし、そしてBL21 CodonPlus宿主細胞に形質転換した。低レベルの発現を、N末端配列決定により観察した。L773PおよびL773PAについての発現構築物の配列を、配列番号784および785にそれぞれ提供する。
【0318】
前述から、本発明の特定の実施形態は、例示の目的で、本明細書中に記載されるが、種々の改変は、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、行なわれ得ることが理解される。従って、本発明は、添付された請求の範囲による場合を除いて、制限されない。
Claims (60)
- 肺腫瘍タンパク質の少なくとも免疫原性部分を含む単離されたポリペプチドであって、該腫瘍タンパク質は、以下:
(a)配列番号1、11〜13、15、20、23〜27、29、30、33、34、39、41、43〜46、51、52、57、58、60、62、65〜67、69〜71、74、76、79、80、84、86、89〜92、95、97、98、101、110、111、113〜119、121〜128、130〜134、136、138、139、141、143、146〜151、153、154、157〜160、162〜164、167〜178、180、181、183、186〜190、192、193、195〜220、224、226〜231、234、236、237、240、241、244〜246、248、254、255、261、262、266、270、275、280、282、283、288、289、290、292、295、301、303、304、309、311、341〜782、784、785、790、792、794、796、800、802、804、807、808および811〜826に挙げられる配列;
(b)中度にストリンジェントな条件下で、配列番号1、11〜13、15、20、23〜27、29、30、33、34、39、41、43〜46、51、52、57、58、60、62、65〜67、69〜71、74、76、79、80、84、86、89〜92、95、97、98、101、110、111、113〜119、121〜128、130〜134、136、138、139、141、143、146〜151、153、154、157〜160、162〜164、167〜178、180、181、183、186〜190、192、193、195〜220、224、226〜231、234、236、237、240、241、244〜246、248、254、255、261、262、266、270、275、280、282、283、288、289、290、292、295、301、303、304、309、311、341〜782、784、785、790、792、794、796、800、802、804、807、808および811〜826のいずれか1つに挙げられる配列にハイブリダイズする配列;ならびに
(c)(a)または(b)の配列の相補体、
からなる群より選択されたポリヌクレオチド配列によりコードされるアミノ酸配列を含む、ポリペプチド。 - 請求項1に記載の単離されたポリペプチドであって、該ポリペプチドは、配列番号1、11〜13、15、20、23〜27、29、30、33、34、39、41、43〜46、51、52、57、58、60、62、65〜67、69〜71、74、76、79、80、84、86、89〜92、95、97、98、101、110、111、113〜119、121〜128、130〜134、136、138、139、141、143、146〜151、153、154、157〜160、162〜164、167〜178、180、181、183、186〜190、192、193、195〜220、224、226〜231、234、236、237、240、241、244〜246、248、254、255、261、262、266、270、275、280、282、283、288、289、290、292、295、301、303、304、309、311、341〜782、784、785、790、792、794、796、800、802、804、807、808および811〜826のいずれか1つに挙げられるポリヌクレオチド配列、または該ポリヌクレオチド配列のいずれかの相補体によりコードされるアミノ酸配列を含む、ポリペプチド。
- 配列番号786、787、791、793、795、797〜799、806、809および827のいずれか1つに記載の配列を含む、単離されたポリペプチド。
- 肺腫瘍タンパク質の少なくとも15のアミノ酸残基をコードする単離されたポリヌクレオチドまたは、改変体が抗原特異的抗血清と反応する能力が実質的に低下しないように、1つ以上の置換、欠失、付加、および/または挿入で異なるその改変体であって、ここでこの腫瘍タンパク質は、配列番号1、11〜13、15、20、23〜27、29、30、33、34、39、41、43〜46、51、52、57、58、60、62、65〜67、69〜71、74、76、79、80、84、86、89〜92、95、97、98、101、110、111、113〜119、121〜128、130〜134、136、138、139、141、143、146〜151、153、154、157〜160、162〜164、167〜178、180、181、183、186〜190、192、193、195〜220、224、226〜231、234、236、237、240、241、244〜246、248、254、255、261、262、266、270、275、280、282、283、288、289、290、292、295、301、303、304、309、311、341〜782、784、785、790、792、794、796、800、802、804、807、808および811〜826のいずれか1つに挙げられた配列、または該配列のいずれかの相補体を含むポリヌクレオチドによりよりコードされるアミノ酸配列を含む、ポリヌクレオチド。
- 肺腫瘍タンパク質をコードする単離されたポリヌクレオチド、またはその改変体であり、ここで該腫瘍タンパク質は、配列番号1、11〜13、15、20、23〜27、29、30、33、34、39、41、43〜46、51、52、57、58、60、62、65〜67、69〜71、74、76、79、80、84、86、89〜92、95、97、98、101、110、111、113〜119、121〜128、130〜134、136、138、139、141、143、146〜151、153、154、157〜160、162〜164、167〜178、180、181、183、186〜190、192、193、195〜220、224、226〜231、234、236、237、240、241、244〜246、248、254、255、261、262、266、270、275、280、282、283、288、289、290、292、295、301、303、304、309、311、341〜782、784、785、790、792、794、796、800、802、804、807、808および811〜826のいずれか1つに挙げられた配列、または該配列のいずれかの相補体を含むポリヌクレオチドによりコードされるアミノ酸配列を含む、ポリヌクレオチド。
- 単離されたポリヌクレオチドであって、配列番号1、11〜13、15、20、23〜27、29、30、33、34、39、41、43〜46、51、52、57、58、60、62、65〜67、69〜71、74、76、79、80、84、86、89〜92、95、97、98、101、110、111、113〜119、121〜128、130〜134、136、138、139、141、143、146〜151、153、154、157〜160、162〜164、167〜178、180、181、183、186〜190、192、193、195〜220、224、226〜231、234、236、237、240、241、244〜246、248、254、255、261、262、266、270、275、280、282、283、288、289、290、292、295、301、303、304、309、311、341〜782、784、785、790、792、794、796、800、802、804、807、808および811〜826のいずれか1つに挙げられた配列を含む、ポリヌクレオチド。
- 単離されたポリヌクレオチドであって、中度にストリンジェントな条件下で、配列番号1、11〜13、15、20、23〜27、29、30、33、34、39、41、43〜46、51、52、57、58、60、62、65〜67、69〜71、74、76、79、80、84、86、89〜92、95、97、98、101、110、111、113〜119、121〜128、130〜134、136、138、139、141、143、146〜151、153、154、157〜160、162〜164、167〜178、180、181、183、186〜190、192、193、195〜220、224、226〜231、234、236、237、240、241、244〜246、248、254、255、261、262、266、270、275、280、282、283、288、289、290、292、295、301、303、304、309、311、341〜782、784、785、790、792、794、796、800、802、804、807、808および811〜826のいずれか1つに挙げられた配列にハイブリダイズする配列を含む、ポリヌクレオチド。
- 請求項4〜7のいずれか1項に記載されるポリヌクレオチドに相補的な単離されたポリヌクレオチド。
- 請求項4〜8のいずれか1項に記載されるポリヌクレオチドを含む発現ベクター。
- 請求項9に記載される発現ベクターで形質転換されたかまたはトランスフェクトされた、宿主細胞。
- 配列番号1、11〜13、15、20、23〜27、29、30、33、34、39、41、43〜46、51、52、57、58、60、62、65〜67、69〜71、74、76、79、80、84、86、89〜92、95、97、98、101、110、111、113〜119、121〜128、130〜134、136、138、139、141、143、146〜151、153、154、157〜160、162〜164、167〜178、180、181、183、186〜190、192、193、195〜220、224、226〜231、234、236、237、240、241、244〜246、248、254、255、261、262、266、270、275、280、282、283、288、289、290、292、295、301、303、304、309、311、341〜782、784、785、790、792、794、796、800、802、804、807、808および811〜826のいずれか1つに挙げられたポリヌクレオチド配列、または該ポリヌクレオチド配列のいずれかの相補体によりコードされるアミノ酸配列を含む肺腫瘍タンパク質に特異的に結合する、単離された抗体、またはその抗原結合フラグメント。
- 請求項1に記載される少なくとも1つのポリペプチドを含む、融合タンパク質。
- 請求項12に記載される融合タンパク質であって、ここで該融合タンパク質は、該融合タンパク質をコードするポリヌクレオチドでトランスフェクトされた宿主細胞における該融合タンパク質の発現を増大させる発現エンハンサーを含む、融合タンパク質。
- 請求項12に記載される融合タンパク質であって、該融合タンパク質は、請求項1のポリペプチド内に存在しないTヘルパーエピトープを含む、融合タンパク質。
- 請求項12に記載される融合タンパク質であって、該融合タンパク質は、アフィニティータグを含む、融合タンパク質。
- 請求項12に記載される融合タンパク質をコードする、単離されたポリヌクレオチド。
- 薬学的組成物であって、生理学に受容可能なキャリアならびに、以下からなる群より選択される少なくとも1つの成分を含む、薬学的組成物:
(a)請求項1に記載のポリペプチド:
(b)請求項4に記載のポリヌクレオチド;
(c)請求項11に記載の抗体;
(d)請求項12に記載の融合タンパク質;および
(e)請求項16に記載のポリヌクレオチド。 - 免疫原性組成物であって、免疫賦活剤ならびに、以下からなる群より選択される少なくとも1つの成分を含む、免疫原性組成物:
(a)請求項1に記載のポリペプチド;
(b)請求項4に記載のポリヌクレオチド;
(c)請求項11に記載の抗体;
(d)請求項12に記載の融合タンパク質;および
(e)請求項16に記載のポリヌクレオチド。 - 前記免疫賦活剤がアジュバントである、請求項18に記載の免疫原性組成物。
- 前記免疫賦活剤が優勢にI型反応を誘導する、請求項18に記載の免疫原性組成物。
- 患者における癌の発生を阻害するための方法であって、請求項17に記載の薬学的組成物の有効量を患者に投与する工程を包含する、方法。
- 患者における癌の発生を阻害するための方法であって、請求項18に記載の免疫原性組成物の有効量を患者に投与する工程を包含する、方法。
- 薬学的に受容可能なキャリアもしくは賦形剤と組み合わせて、請求項1に記載のポリペプチドを発現する抗原提示細胞を含む、薬学的組成物。
- 前記抗原提示細胞が樹状細胞またはマクロファージである、請求項23に記載の薬学的組成物。
- 肺腫瘍タンパク質の少なくとも免疫原性部分を含むポリペプチド、またはその改変体を発現する抗原提示細胞を含む免疫原性組成物であって、該腫瘍タンパク質は、免疫賦活剤と組み合わせて、以下からなる群から選択されるポリヌクレオチド配列によりコードされるアミノ酸配列を含む、免疫原性組成物:
(a)配列番号1、11〜13、15、20、23〜27、29、30、33、34、39、41、43〜46、51、52、57、58、60、62、65〜67、69〜71、74、76、79、80、84、86、89〜92、95、97、98、101、110、111、113〜119、121〜128、130〜134、136、138、139、141、143、146〜151、153、154、157〜160、162〜164、167〜178、180、181、183、186〜190、192、193、195〜220、224、226〜231、234、236、237、240、241、244〜246、248、254、255、261、262、266、270、275、280、282、283、288、289、290、292、295、301、303、304、309、311、341〜782、784、785、790、792、794、796、800〜804、807、808および810〜826に挙げられる配列;
(b)中度にストリンジェントな条件下で、配列番号1、11〜13、15、20、23〜27、29、30、33、34、39、41、43〜46、51、52、57、58、60、62、65〜67、69〜71、74、76、79、80、84、86、89〜92、95、97、98、101、110、111、113〜119、121〜128、130〜134、136、138、139、141、143、146〜151、153、154、157〜160、162〜164、167〜178、180、181、183、186〜190、192、193、195〜220、224、226〜231、234、236、237、240、241、244〜246、248、254、255、261、262、266、270、275、280、282、283、288、289、290、292、295、301、303、304、309、311、341〜782、784、785、790、792、794、796、800〜804、807、808および810〜826のいずれか1つに挙げられる配列にハイブリダイズする配列;ならびに
(c)(i)または(ii)の配列の相補体。 - 前記免疫賦活剤がアジュバントである、請求項25に記載の免疫原性組成物。
- 前記免疫賦活剤が優勢にI型反応を誘導する、請求項25に記載の免疫原性組成物。
- 前記抗原提示細胞が樹状細胞である、請求項25に記載の免疫原性組成物。
- 患者における癌の発生を阻害するための方法であって、肺腫瘍タンパク質の少なくとも免疫原性部分を含むポリペプチド、またはその改変体を発現する抗原提示細胞の有効量を患者に投与する工程を包含し、ここで該腫瘍タンパク質は、以下:
(a)配列番号1、11〜13、15、20、23〜27、29、30、33、34、39、41、43〜46、51、52、57、58、60、62、65〜67、69〜71、74、76、79、80、84、86、89〜92、95、97、98、101、110、111、113〜119、121〜128、130〜134、136、138、139、141、143、146〜151、153、154、157〜160、162〜164、167〜178、180、181、183、186〜190、192、193、195〜220、224、226〜231、234、236、237、240、241、244〜246、248、254、255、261、262、266、270、275、280、282、283、288、289、290、292、295、301、303、304、309、311、341〜782、784、785、790、792、794、796、800〜804、807、808および810〜826に挙げられる配列;
(b)配列番号1、11〜13、15、20、23〜27、29、30、33、34、39、41、43〜46、51、52、57、58、60、62、65〜67、69〜71、74、76、79、80、84、86、89〜92、95、97、98、101、110、111、113〜119、121〜128、130〜134、136、138、139、141、143、146〜151、153、154、157〜160、162〜164、167〜178、180、181、183、186〜190、192、193、195〜220、224、226〜231、234、236、237、240、241、244〜246、248、254、255、261、262、266、270、275、280、282、283、288、289、290、292、295、301、303、304、309、311、341〜782、784、785、790、792、794、796、800〜804、807、808および810〜826のいずれか1つに挙げられる配列に、中度にストリンジェントな条件下で、ハイブリダイズする配列;ならびに
(c)配列番号1、11〜13、15、20、23〜27、29、30、33、34、39、41、43〜46、51、52、57、58、60、62、65〜67、69〜71、74、76、79、80、84、86、89〜92、95、97、98、101、110、111、113〜119、121〜128、130〜134、136、138、139、141、143、146〜151、153、154、157〜160、162〜164、167〜178、180、181、183、186〜190、192、193、195〜220、224、226〜231、234、236、237、240、241、244〜246、248、254、255、261、262、266、270、275、280、282、283、288、289、290、292、295、301、303、304、309、311、341〜782、784、785、790、792、794、796、800〜804、807、808および810〜826のいずれか1つに挙げられるポリヌクレオチドによってコードされる(i)または(ii)の配列の相補体;
、からなる群より選択されるポリヌクレオチド配列によりコードされるアミノ酸配列を含み、これにより該患者における癌の発生を阻害する、方法 - 前記抗原提示細胞が樹状細胞である、請求項29に記載の方法。
- 前記癌が肺癌である、請求項21、22および29のいずれか1項に記載の方法。
- 生物学的サンプルから腫瘍細胞を取り出すための方法であって、該方法は、生物学的サンプルを、肺腫瘍タンパク質と特異的に反応するT細胞と接触させる工程を包含し、ここで該腫瘍タンパク質は、以下:
(i)配列番号1、11〜13、15、20、23〜27、29、30、33、34、39、41、43〜46、51、52、57、58、60、62、65〜67、69〜71、74、76、79、80、84、86、89〜92、95、97、98、101、110、111、113〜119、121〜128、130〜134、136、138、139、141、143、146〜151、153、154、157〜160、162〜164、167〜178、180、181、183、186〜190、192、193、195〜220、224、226〜231、234、236、237、240、241、244〜246、248、254、255、261、262、266、270、275、280、282、283、288、289、290、292、295、301、303、304、309、311、341〜782、784、785、790、792、794、796、800〜804、807、808および810〜826のいずれか1つに挙げられるポリヌクレオチド;ならびに
(ii)該ポリヌクレオチドの相補体;
からなる群より選択されるポリヌクレオチド配列によりコードされるアミノ酸配列を含み、ここで該接触させる工程は、該サンプルからの該抗原を発現する細胞の除去を可能にするのに十分な条件および時間で実施される、方法。 - 前記生物学的サンプルが血液またはその画分である、請求項32に記載の方法。
- 患者における癌の発生を阻害するための方法であって、請求項32に記載の方法に従って処置された生物学的サンプルを患者に投与する工程を包含する、方法。
- 肺腫瘍タンパク質に特異的なT細胞を刺激および/または増殖する方法であって、該方法は、T細胞を、以下からなる群より選択される少なくとも1つの成分と、T細胞の刺激および/または増殖を可能にするのに十分な条件および時間で接触させる工程を包含する、方法:
(a)肺腫瘍タンパク質の少なくとも免疫原性部分を含むポリペプチド、またはその改変体であって、該腫瘍タンパク質は、以下からなる群より選択されるポリヌクレオチド配列によりコードされるアミノ酸配列を含む:
(i)配列番号1、11〜13、15、20、23〜27、29、30、33、34、39、41、43〜46、51、52、57、58、60、62、65〜67、69〜71、74、76、79、80、84、86、89〜92、95、97、98、101、110、111、113〜119、121〜128、130〜134、136、138、139、141、143、146〜151、153、154、157〜160、162〜164、167〜178、180、181、183、186〜190、192、193、195〜220、224、226〜231、234、236、237、240、241、244〜246、248、254、255、261、262、266、270、275、280、282、283、288、289、290、292、295、301、303、304、309、311、341〜782、784、785、790、792、794、796、800〜804、807、808および810〜826に挙げられる配列;
(ii)配列番号1、11〜13、15、20、23〜27、29、30、33、34、39、41、43〜46、51、52、57、58、60、62、65〜67、69〜71、74、76、79、80、84、86、89〜92、95、97、98、101、110、111、113〜119、121〜128、130〜134、136、138、139、141、143、146〜151、153、154、157〜160、162〜164、167〜178、180、181、183、186〜190、192、193、195〜220、224、226〜231、234、236、237、240、241、244〜246、248、254、255、261、262、266、270、275、280、282、283、288、289、290、292、295、301、303、304、309、311、341〜782、784、785、790、792、794、796、800〜804、807、808および810〜826のいずれか1つに挙げられる配列に、中度にストリンジェントな条件下でハイブリダイズする配列;ならびに
(iii)(i)または(ii)の配列の相補体;
(b)(a)のポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;ならびに
(c)(a)のポリペプチドを発現する抗原提示細胞。 - 請求項35に記載の方法によって調製されたT細胞を含む、単離されたT細胞集団。
- 患者における癌の発生を阻害する方法であって、請求項36に記載のT細胞集団の有効量を患者に投与する工程を包含する、方法。
- 患者における癌の発生を阻害するための方法であって、以下の工程:
(a)T細胞が増殖するように、患者から単離されたCD4+T細胞および/またはCD8+T細胞を、以下の群からなる群より選択される少なくとも1つの成分とともにインキュベートする工程:
(i)肺腫瘍タンパク質の少なくとも免疫原性部分を含むポリペプチド、またはその改変体であって、ここで該腫瘍タンパク質は、以下からなる群より選択されるポリヌクレオチド配列によりコードされるアミノ酸配列を含む:
(1)配列番号1、11〜13、15、20、23〜27、29、30、33、34、39、41、43〜46、51、52、57、58、60、62、65〜67、69〜71、74、76、79、80、84、86、89〜92、95、97、98、101、110、111、113〜119、121〜128、130〜134、136、138、139、141、143、146〜151、153、154、157〜160、162〜164、167〜178、180、181、183、186〜190、192、193、195〜220、224、226〜231、234、236、237、240、241、244〜246、248、254、255、261、262、266、270、275、280、282、283、288、289、290、292、295、301、303、304、309、311、341〜782、784、785、790、792、794、796、800〜804、807、808および810〜826に挙げられる配列;
(2)配列番号1、11〜13、15、20、23〜27、29、30、33、34、39、41、43〜46、51、52、57、58、60、62、65〜67、69〜71、74、76、79、80、84、86、89〜92、95、97、98、101、110、111、113〜119、121〜128、130〜134、136、138、139、141、143、146〜151、153、154、157〜160、162〜164、167〜178、180、181、183、186〜190、192、193、195〜220、224、226〜231、234、236、237、240、241、244〜246、248、254、255、261、262、266、270、275、280、282、283、288、289、290、292、295、301、303、304、309、311、341〜782、784、785、790、792、794、796、800〜804、807、808および810〜826のいずれか1つに挙げられる配列に、中度にストリンジェントな条件下でハイブリダイズする配列;ならびに
(3)(1)または(2)の配列の相補体;
(ii)(i)のポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;ならびに
(iii)(i)のポリペプチドを発現する抗原提示細胞;ならびに
(b)該増殖したT細胞の有効量を該患者に投与し、そしてそれにより該患者における癌の発生を阻害する工程、
を包含する、方法。 - 患者における癌の発生を阻害するための方法であって、以下の工程:
(a)T細胞を増殖するように、患者から単離されたCD4+T細胞および/またはCD8+T細胞を、以下からなる群より選択される少なくとも1つの成分とともにインキュベートする工程:
(i)肺腫瘍タンパク質の少なくとも免疫原性部分を含むポリペプチド、またはその改変体であって、ここで該腫瘍タンパク質は、以下からなる群より選択されるポリヌクレオチド配列によりコードされるアミノ酸配列を含む:
(1)配列番号1、11〜13、15、20、23〜27、29、30、33、34、39、41、43〜46、51、52、57、58、60、62、65〜67、69〜71、74、76、79、80、84、86、89〜92、95、97、98、101、110、111、113〜119、121〜128、130〜134、136、138、139、141、143、146〜151、153、154、157〜160、162〜164、167〜178、180、181、183、186〜190、192、193、195〜220、224、226〜231、234、236、237、240、241、244〜246、248、254、255、261、262、266、270、275、280、282、283、288、289、290、292、295、301、303、304、309、311、341〜782、784、785、790、792、794、796、800〜804、807、808および810〜826に挙げられる配列;
(2)配列番号1、11〜13、15、20、23〜27、29、30、33、34、39、41、43〜46、51、52、57、58、60、62、65〜67、69〜71、74、76、79、80、84、86、89〜92、95、97、98、101、110、111、113〜119、121〜128、130〜134、136、138、139、141、143、146〜151、153、154、157〜160、162〜164、167〜178、180、181、183、186〜190、192、193、195〜220、224、226〜231、234、236、237、240、241、244〜246、248、254、255、261、262、266、270、275、280、282、283、288、289、290、292、295、301、303、304、309、311、341〜782、784、785、790、792、794、796、800〜804、807、808および810〜826のいずれか1つに挙げられる配列に、中度にストリンジェントな条件下でハイブリダイズする配列;ならびに
(3)(1)または(2)の配列の相補体;
(ii)(i)のポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;ならびに
(iii)(i)のポリペプチドを発現する抗原提示細胞;
(b)少なくとも1つの増殖した細胞をクローニングして、クローニングされたT細胞を提供する工程;ならびに
(c)該クローニングしたT細胞の有効量を該患者に投与し、そしてそれにより該患者における癌の発生を阻害する工程、
を包含する、方法。 - 患者における癌の存在または非存在を決定するための方法であって、以下の工程:
(a)患者から得られた生物学的サンプルを、肺腫瘍タンパク質に結合する結合因子と接触させる工程であって、ここで該腫瘍タンパク質は、配列番号1、11〜13、15、20、23〜27、29、30、33、34、39、41、43〜46、51、52、57、58、60、62、65〜67、69〜71、74、76、79、80、84、86、89〜92、95、97、98、101、110、111、113〜119、121〜128、130〜134、136、138、139、141、143、146〜151、153、154、157〜160、162〜164、167〜178、180、181、183、186〜190、192、193、195〜220、224、226〜231、234、236、237、240、241、244〜246、248、254、255、261、262、266、270、275、280、282、283、288、289、290、292、295、301、303、304、309、311、341〜782、784、785、790、792、794、796、800〜804、807、808および810〜826のいずれか1つに挙げられるポリヌクレオチド配列、または該ポリヌクレオチド配列のいずれかの相補体によりコードされるアミノ酸配列を含む、工程;
(b)該サンプル中において、該結合因子に結合するポリペプチド量を検出する工程;ならびに
(c)事前に決定されたカットオフ値に対して該ポリペプチドの量を比較し、そしてこれにより該患者における癌の存在または非存在を決定する工程、
を包含する、方法。 - 前記結合因子が抗体である、請求項40に記載の方法。
- 前記抗体がモノクローナル抗体である、請求項43に記載の方法。
- 前記癌が肺癌である、請求項40に記載の方法。
- 患者における癌の進行をモニタリングするための方法であって、以下の工程:
(a)第1時点で該患者から得た生物学的サンプルを、肺腫瘍タンパク質に結合する結合因子と接触する工程であって、ここで該腫瘍タンパク質は、配列番号1、11〜13、15、20、23〜27、29、30、33、34、39、41、43〜46、51、52、57、58、60、62、65〜67、69〜71、74、76、79、80、84、86、89〜92、95、97、98、101、110、111、113〜119、121〜128、130〜134、136、138、139、141、143、146〜151、153、154、157〜160、162〜164、167〜178、180、181、183、186〜190、192、193、195〜220、224、226〜231、234、236、237、240、241、244〜246、248、254、255、261、262、266、270、275、280、282、283、288、289、290、292、295、301、303、304、309、311、341〜782、784、785、790、792、794、796、800〜804、807、808および810〜826のいずれか1つに挙げられるポリヌクレオチド配列、または該ポリヌクレオチド配列のいずれかの相補体によりコードされるアミノ酸配列を含む、工程;
(b)該サンプル中において、該結合因子に結合するポリペプチドの量を検出する工程;
(c)引き続く時点で該患者から得た生物学的サンプルを用いて、該工程(a)および(b)を繰り返す工程;ならびに
(d)該工程(c)において検出されたポリペプチドの量を、該工程(b)において検出された量に対して比較し、そしてこれから、該患者における癌の進行をモニタリングする工程、
を包含する、方法。 - 前記結合因子が抗体である、請求項44に記載の方法。
- 前記抗体がモノクローナル抗体である、請求項45に記載の方法。
- 前記癌が肺癌である、請求項44に記載の方法。
- 患者における癌の存在または非存在を決定するための方法であって、以下の工程:
(a)患者から得られた生物学的サンプルを、肺腫瘍タンパク質をコードするポリヌクレオチドにハイブリダイズするオリゴヌクレオチドと接触させる工程であって、ここで該腫瘍タンパク質は、配列番号1、11〜13、15、20、23〜27、29、30、33、34、39、41、43〜46、51、52、57、58、60、62、65〜67、69〜71、74、76、79、80、84、86、89〜92、95、97、98、101、110、111、113〜119、121〜128、130〜134、136、138、139、141、143、146〜151、153、154、157〜160、162〜164、167〜178、180、181、183、186〜190、192、193、195〜220、224、226〜231、234、236、237、240、241、244〜246、248、254、255、261、262、266、270、275、280、282、283、288、289、290、292、295、301、303、304、309、311、341〜782、784、785、790、792、794、796、800〜804、807、808および810〜826のいずれか1つに挙げられるポリヌクレオチド配列、または該ポリヌクレオチド配列のいずれかの相補体によりコードされるアミノ酸配列を含む、工程;
(b)該サンプル中において、該オリゴヌクレオチドにハイブリダイズするポリヌクレオチドの量を検出する工程;ならびに
(c)該オリゴヌクレオチドにハイブリダイズするポリヌクレオチドの量を、事前決定されたカットオフ値と比較して、そしてこれから該患者における癌の存在または非存在を決定する、工程、
を包含する、方法。 - 前記オリゴヌクレオチドにハイブリダイズするポリヌクレオチドの量が、ポリメラーゼ連鎖反応を用いて決定される、請求項48に記載の方法。
- 前記オリゴヌクレオチドにハイブリダイズするポリヌクレオチドの量が、ハイブリダイゼーションアッセイを用いて決定される、請求項48に記載の方法。
- 患者における癌の進行をモニタリングするための方法であって、以下の工程:
(a)患者から得られた生物学的サンプルを、肺腫瘍タンパク質をコードするポリヌクレオチドにハイブリダイズするオリゴヌクレオチドと接触させる工程であって、ここで該腫瘍タンパク質が、配列番号1、11〜13、15、20、23〜27、29、30、33、34、39、41、43〜46、51、52、57、58、60、62、65〜67、69〜71、74、76、79、80、84、86、89〜92、95、97、98、101、110、111、113〜119、121〜128、130〜134、136、138、139、141、143、146〜151、153、154、157〜160、162〜164、167〜178、180、181、183、186〜190、192、193、195〜220、224、226〜231、234、236、237、240、241、244〜246、248、254、255、261、262、266、270、275、280、282、283、288、289、290、292、295、301、303、304、309、311、341〜782、784、785、790、792、794、796、800〜804、807、808および810〜826のいずれか1つに挙げられるポリヌクレオチド配列、または該ポリヌクレオチド配列のいずれかの相補体によりコードされるアミノ酸配列を含む、工程;
(b)該サンプル中において、該オリゴヌクレオチドにハイブリダイズするポリヌクレオチドの量を検出する工程;
(c)引き続く時点で該患者から得た生物学的サンプルを用いて、該工程(a)および工程(b)を反復する工程;ならびに
(d)該工程(c)において検出されたポリヌクレオチドの量を、該工程(b)において検出された量と比較し、そしてそれから該患者における癌の進行をモニタリングする工程、
を包含する、方法。 - 前記オリゴヌクレオチドにハイブリダイズするポリヌクレオチドの量が、ポリメラーゼ連鎖反応を用いて決定される、請求項51に記載の方法。
- 前記オリゴヌクレオチドにハイブリダイズするポリヌクレオチドの量が、ハイブリダイゼーションアッセイを用いて決定される、請求項51に記載の方法。
- 診断キットであって、以下:
(a)請求項11に記載の1つ以上の抗体;および
(b)レポーター基を含む検出試薬、
を備える、キット。 - 前記抗体が固体支持体上に固定されている、請求項54に記載のキット。
- 前記検出試薬が、抗免疫グロブリン、プロテインG、プロテインAまたはレクチンを含む、請求項54に記載のキット。
- 前記レポーター基が、放射性同位元素、蛍光基、発光基、酵素、ビオチンおよび色素粒子からなる群より選択される、請求項54に記載のキット。
- 肺腫瘍タンパク質をコードするポリヌクレオチドに対して、中度にストリンジェントな条件下でハイブリダイズする10〜40の連続するヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチドであって、ここで該腫瘍タンパク質は、配列番号1、11〜13、15、20、23〜27、29、30、33、34、39、41、43〜46、51、52、57、58、60、62、65〜67、69〜71、74、76、79、80、84、86、89〜92、95、97、98、101、110、111、113〜119、121〜128、130〜134、136、138、139、141、143、146〜151、153、154、157〜160、162〜164、167〜178、180、181、183、186〜190、192、193、195〜220、224、226〜231、234、236、237、240、241、244〜246、248、254、255、261、262、266、270、275、280、282、283、288、289、290、292、295、301、303、304、309、311、341〜782、784、785、790、792、794、796、800、802、804、807、808および811〜826のいずれか1つに挙げられるポリヌクレオチド配列、または該ポリヌクレオチドのいずれかの相補体によりコードされるアミノ酸配列を含む、オリゴヌクレオチド。
- 請求項58に記載のオリゴヌクレオチドであって、ここで、該オリゴヌクレオチドは、配列番号1、11〜13、15、20、23〜27、29、30、33、34、39、41、43〜46、51、52、57、58、60、62、65〜67、69〜71、74、76、79、80、84、86、89〜92、95、97、98、101、110、111、113〜119、121〜128、130〜134、136、138、139、141、143、146〜151、153、154、157〜160、162〜164、167〜178、180、181、183、186〜190、192、193、195〜220、224、226〜231、234、236、237、240、241、244〜246、248、254、255、261、262、266、270、275、280、282、283、288、289、290、292、295、301、303、304、309、311、341〜782、784、785、790、792、794、796、800、802、804、807、808および811〜826のいずれか1つに挙げられる10〜40の連続するヌクレオチドを含む、オリゴヌクレオチド。
- 診断キットであって、以下:
(a)請求項59に記載のオリゴヌクレオチド;および
(b)ポリメラーゼ連鎖反応またはハイブリダイゼーションアッセイにおける使用のための診断試薬、
を備える、キット。
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