JP2006352806A - 無線ネットワークシステム、呼出制御装置、および端末装置 - Google Patents

無線ネットワークシステム、呼出制御装置、および端末装置 Download PDF

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Abstract

【課題】 消費電力が限られた多数の端末が存在する無線ネットワーク環境において、柔軟で効率の良い新規な呼び出し方式を提供する。
【解決手段】 複数の端末装置(20)と、前記端末装置の中から所望の数の端末装置を呼び出すアクセスポイント(10)とを含む無線ネットワークシステムにおいて、アクセスポイントは、端末呼び出しの際に、エリア内の在圏端末数(n)および呼出誤り許容率(F)に応じてハッシュパラメータ(m,k)を設定し、呼び出しの対象となる端末の識別子に前記ハッシュパラメータに応じたハッシュ処理を適用してハッシュ値を計算し、前記ハッシュ値および前記ハッシュパラメータを含む呼出し信号を生成して、前記端末装置を呼び出す。
【選択図】図5

Description

本発明は、無線ネットワークシステムにおける呼出し制御技術に関し、特に、無線センサネットワークなど、消費電力が限られた多数の端末が存在する環境で、衝突を回避して、効率よく無線端末をシングルホップあるいはマルチホップ接続する呼び出し制御技術に関する。
ユビキタス社会における新しい通信基盤技術として、無線センサネットワークに対する期待が高まっている。無線センサネットワークは、通信機能を持った小型のセンサデバイス群でネットワークを構成し、センサが取得した情報を、無線回線を通じて自立分散的に収集するシステムである。
無線センサネットワークのように、一つのネットワーク内に膨大な数の端末が存在する環境で、従来の一斉呼び出し方式を用いると、様々な点での非効率性が指摘される。また、将来のセンサネットワークでは、複数の異なる端末アドレス規格に対応した柔軟な一斉呼出技術が必須になると思われるが、現在はそのような技術はまだ実現されていない。
一斉呼び出し方式は、端末を通常は休眠状態にしておいて消費電力を抑えたいときに用いられる方式である。従来の一斉呼出し方式には、大きく分けて、無線ローカルエリアネットワーク方式と広域セルラネットワーク方式の2つがある。近年では、IPプロトコルによる呼出し方式も提案されてきている。それぞれの一斉呼出しの方式は互いに異なるが、いずれの方式もマルチホップ環境に対応した方式ではない。それぞれの方式の特徴と欠点は、以下のとおりである。
(1)WirelessLAN方式
WirelessLAN(IEEE 802.11)のMAC方式には、インフラストラクチャ・ネットワークにおける休眠モード(Dormant Mode)の一部として一斉呼出方式が規定されている。この方式では、呼び出し信号を固定長のビット列(ビットマップ)で構成しており、端末が休眠モードに入る前に、ビットマップ中の特定のビットを予めアクセスポイントで予約しておく。アクセスポイントからのビーコンに含まれるビットマップの予約ビットがONになっていると、端末が起き上がる仕組みになっている。
しかし、この仕組みでは、ビットマップのビットフィールドのサイズ分の数の端末しか休眠モードに入ることができない。例えば、家庭内にある物品の全てに無線端末が取り付けられる無線センサネットワークのように、膨大な数の端末が存在する環境では、ビットマップ方式の呼び出しは非効率である。なぜなら、すべての休眠端末に対してビットマップ中のビットを予約/開放する作業が必要であり、それなりのサイズのビットマップが必要になるが、呼び出される端末の数が少ない環境では、使用されない予約されないビットが増え非効率になる。かといって、ビットマップのサイズを小さくすると、端末数が増えた場合に収容できない端末が発生する。このように、端末数の上限が規定できないような環境でビットマップ方式を用いるのは困難である。
(2)セルラ方式
W−CDMAシステムなど、セルラ方式で用いられている一斉呼出方式は、一回の呼び出しで一つの端末を呼出す仕組みとなっている。そのため、超多数の端末が存在する環境において複数の端末を呼出す場合は、必要な端末の数だけ繰り返して、呼び出しを行う必要があり、非効率である。
(3)IP Paging方式
MobileIPなど、移動環境でインターネットプロトコルを利用する際のページング方式として、IP Pagingが考えられている。特に、IPv6のアドレスがIPv4と比較して長く設定されていることに対応すべく、ハッシュ関数を使って呼出すことが提案されている(たとえば、非特許文献1参照)。
しかしながら、この方式では無線センサネットワークのように超多数のノードが存在する環境を想定しておらず、マルチホップによる接続環境も想定していない。仮にこのページング方式をそのまま超多数ノード環境に適応した場合、後述するFalse Positive(間違い呼び出し)問題により、結果的に多くのノードが誤認識して起動してしまう結果が予想される。
ところで、従来、主な通信方式に用いられるアドレスは固定長で定義されてきた。これは処理の容易さに起因するところが大きい。ところが近年、IDに関する新しい標準や規格が多数出現してきており、レイヤ毎、目的毎、標準毎に異なったID・アドレス体系が策定されるようになってきた。無線センサネットワークでも、このような様々なID・アドレス体系に対応できる柔軟な仕組みが必要となってくるはずであるが、現状の無線センサネットワーク通信に使用されているのは、固定長のMACアドレスであり、柔軟性に欠ける。
今後のMACレイヤは、上位レイヤの要求に応じた柔軟な機能と効率性が求められる。例えば、MACレイヤでの認証方式として公開鍵暗号方式の公開鍵をMACレイヤIDとして使う可能性も考えられる。この場合、公開鍵長によって暗号の強さを選択することができるが、現在のMACアドレスは固定長であり、そのまま適用すれば一旦長さを決めた時点で、暗号の強さも規定されてしまうという欠点がある。
また、レイヤ毎にユニークなID・アドレスを複数積み上げた通信プロトコルも、ID割り当ての観点では非効率である。例えば、IPv6アドレスは128ビット長を持ち、将来に渡っても全世界でユニークなIDを割り当てられるように設計されたが、これはMACアドレスについても同様で、Ethernet(登録商標)の48ビットアドレスも世界で一意となるように設計されている。どちらか一方のアドレスをレイヤにかかわらず共有して用いることができないのは大きな不利益点である。
P. Mutaf, C. Castelluccia, "Hash-Based Paging and Location Update Using Bloom Filters", Mobile Networks and Applications 9, 627-631, Kluwer Academic Publishers, 2004.
このように、将来の無線センサネットワークでは、様々なID・アドレス体系に対応できる柔軟な仕組みが必要であるが、現状の無線センサネットワーク通信に使用されているのは固定長のMACアドレスであり、柔軟性がない。
そこで、本発明は、消費電力が限られた多数の端末が存在する無線ネットワーク環境において、柔軟で効率の良い新規な呼び出し方式を提供することを課題とする。
上記課題を解決するために、本発明では、ブルームフィルタ(Bloom Filter)などのハッシュ技術を無線ネットワーク環境での端末呼び出しに適用することにより、多数の端末が存在する環境での効率的な呼び出し方法を実現する。
第1の側面では、無線ネットワークシステムで用いられる呼出し制御装置を提供する。呼出し制御装置は、
(a)無線ネットワークのエリア内に存在する所望の数の端末を呼び出す際に、前記エリア内の在圏端末数と呼出誤り許容率に応じて、ハッシュパラメータを設定するハッシュパラメータ設定部と、
(b)呼出し対象となる端末の各々の識別子に、前記ハッシュパラメータに応じたハッシュ処理を施して各端末のハッシュ値を計算するハッシュ計算部と、
(c)前記ハッシュ値と、前記ハッシュパラメータとを含む呼出し信号を生成する呼出し信号生成部と
を備える。
このような呼出し制御装置により、呼び出し環境に応じた柔軟で効率的な呼び出し制御が実現される。
第2の側面では、無線ネットワークシステムで用いられる端末装置を提供する。端末装置は、
(a)無線ネットワークシステム内のアクセスポイントから呼出し信号を受信する送受信部と、
(b)前記受信した呼出し信号に含まれるハッシュパラメータに基づいて、自己のハッシュ値を計算するハッシュ計算部と、
(c)前記計算したハッシュ値と、前記呼出し信号に含まれるハッシュ値とが一致するか否かを判断する判断部と、
を備え、送受信部は、前記ハッシュ値が一致する場合に、応答信号を送信する。
この端末装置の構成では、呼び出し信号に含まれるハッシュ値をチェックするだけで、今回の呼び出しの対象となっているか否かを判断することができ、呼出し信号受信時の動作を短縮できる。
第3の側面では、無線ネットワーク内の所望の端末装置を呼び出すための信号フォーマットを提供する。信号フォーマットは、
(a)前記ネットワークの在圏端末数および呼出誤り許容率に応じて設定されるハッシュパラメータを記録するパラメータフィールドと、
(b)前記ハッシュパラメータに基づいて、呼び出し対象となる端末装置の識別子をハッシュ処理して得られるハッシュ値を記録するハッシュ値フィールドと、
を有する。
この信号フォーマットでは、信号サイズを抑制しつつ、異なるID・アドレス体系の端末装置に対する一斉呼出しにも柔軟に対処できる。また、呼び出し環境に応じた効率的な呼び出しが可能になる。
異なるID・アドレス体系の端末を一斉に呼び出す場合も、簡単なビーコン信号で呼び出すことができる。
また、在圏端末数、呼出誤り許容率に応じて、ハッシュ処理のパラメータm、kを適宜変更して可変長の呼出し信号を生成するので、呼び出し効率が向上するとともに、間違い呼び出しの問題を解決することができる。
以下、本発明の良好な実施の形態について、添付図面を参照して説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る無線ネットワークシステムの構成である。無線ネットワークシステム1は、一つのアクセスポイント(AP)10が多数の端末(ST)20をカバーするエリア2を持っている。各端末20は自分宛のデータが到着したかを知るために、アクセスポイント10からのビーコンを一定間隔で聞いており、それ以外の時間は休眠状態(Dormant Mode)にあるものとする。アクセスポイント10は、たとえば有線ネットワークに接続されている。
図1で、破線の矢印で示すように、ビーコンに含まれる一斉呼出し信号を受信した端末20(ST2およびST3)は、実線の矢印で示すように、マルチホップまたはシングルホップで、アクセスポイント10に到達できることを表わしている。図1では、ビーコンが届く一斉呼出エリア2を一つのアクセスポイント10で示しているが、セルラシステムのように複数のアクセスポイントから構成することも可能である。
たとえば端末ST3が一斉呼出エリア2内へ新たに移動してきたものと仮定すると、まずアクセスポイント10のビーコンを受信し、ビーコンに含まれる位置登録エリアIDが新しければ、マルチホップ経路に位置する端末ST5、ST6,ST7,ST8を使って、位置登録メッセージ送信し、端末ST3自身のIDと、中継端末ST2〜ST8のIDを登録することが可能である。このシステムでは、各端末装置20とアクセスポイント10は、中継経路に関するツリー情報を有しているものとする。
図2は、本実施形態の無線ネットワークシステム1で用いる可変長のアドレス構成例を示す。近年、IDに関する新しい標準や規格が多数出現してきており、レイヤ毎、目的毎、標準毎に異なったID・アドレス体系が策定されるようになっている。一方、MACアドレスは従来から固定長が常識となっており、柔軟性よりも処理の効率性が重視されてきた。
今後の無線センサネットワーク通信には、様々な機能がMAC層レベルでも求められるようになるため、本実施形態のMACアドレスは、従来の固定長アドレスに加えて、“Type”、“Length”、“ID”を構成要素とした可変長の使用も考慮する。“Type”は、ID・アドレス体系の種類を示し、たとえばIPv6のインタフェース識別子である48ビットアドレス(IEEE 802アドレス)などである。“Length”はアドレス長さを示す。“ID”は端末に固有の識別子である。
本実施形態では、このような可変長のアドレスにブルームフィルタ(Bloom Filter)などのハッシュ技術を適用することによって、アドレス情報を現在の無線通信に最適な割合で圧縮して端末に呼び出しをかける。
図3は、本実施形態で採用するハッシュ技術の一例として、ブルームフィルタ(Bloom Filter)を説明するための図である。ブルームフィルタ(Bloom Filter)は、1970年代にBurton Bloomによって発明されたデータ問合せの為の汎用ハッシュデータ構造であり、従来からデータベース検索やスペルチェックなどに多く用いられてきた。ブルームフィルタの詳細については、B. Bloom., “Space/time tradeoffs in hash coding with allowable errors”, CACM, 13(7):422-426, 1970.に記載されている。近年になって、Bloom Filterのネットワークへの応用としては、P2Pネットワークにおけるデータキャッシュ、コンテンツデリバリネットワークのデータ配置、アドホックネットワークのソースルーティングヘッダ圧縮などに使われるようになってきた。
Bloom Filterは、図3に示すように、Bloom Filterに使うビット数mをあらかじめ決めておく。mビットの配列は、最初は全てゼロで初期化されている。図3の例では、12ビット(m=12)のフィルタである。k個のハッシュ関数を用意する。図3の例では、3個のハッシュ関数を用いる(k=3)。
あるn個からなる集S={x1,x2,...,xn}の要素xiを、k個のハッシュ関数によってk回ハッシュし、その結果であるハッシュ値に該当するビットを1にする。ハッシュ値は、m以下になるようにする。図3の例では、x1に対して3個のハッシュ関数H1、H2、H3でハッシュした結果得られるハッシュ値P1、P2,P3はそれぞれ2,5,9である。そこで、これらのハッシュ値に対応するビット、すなわち2ビット目、5ビット目、9ビット目を“1”にする。同様に、x2に対して同じ3つのハッシュ関数H1,H2、H3でハッシュし、ハッシュ値に対応するビット、図3の例では、5ビット目、7ビット目、11ビット目を“1”にする。このとき、最初のハッシュで5ビット目はすでに“1”になっているので、その状態を維持する。
もし、ある値yがこの集合の要素に含まれるかを確認したい場合は、yを同じk個のハッシュ関数を用いてハッシュし(図3では3回)、ハッシュ値に該当するビットが“1”であるかどうかを確認すればよい。図3の例では、y2は、全ての対応ビットが“1”であるため要素と判定できるが、y1は“0”が含まれているため、要素ではないと判定される。
次に、このようなBloom Filterを用いた複数端末の一斉呼び出しについて説明する。本発明の実施形態に係る一斉呼出方式は、Bloom Filterのパラメータm、kを適宜変更することにより、可変長アドレスを持った多数の端末が存在する環境でも効率よく呼び出しを行う方式である。
Bloom Filterを用い、エリア内に存在する端末数をn、使用するフィルタ長をm、False Positive(間違えて呼び出される確率)をFとする。F、すなわち呼出誤りに対する許容確率を決めることにより、最適なハッシュ関数の数kの値を次のようにして求めることができる。
まず、ハッシュ関数が一様にランダムである場合、F、m、kが以下の関係にあることは一般的に知られている(上記文献Bloom参照)。
Figure 2006352806
図4は、式(1)によるF、k、およびm/nの値の計算結果を示す。ここでm/nは、端末1台当たりに使用されるビット数である。そして、kの値は、以下の時に最適値となることがわかっている(上記文献Bloom参照)。
Figure 2006352806
式(2)により、在圏にある端末数nをアクセスポイント10で把握している場合、m/nの値と許容するFの水準をあらかじめ設定することにより、kの値を求めることができる。
このとき、Fの値は次のようになる。
Figure 2006352806
図4の例では、たとえばハッシュ関数の数k=8、端末当たりのビット数8とした場合に、100台のうち2.5台が間違って呼び出されるが、k=8、m/n=16に設定すると、間違い率は0.06%以下になることがわかる。
図5は、本発明の一実施形態による複数呼出しの際のフォーマット例である。これは、任意のm、k値が設定可能な可変長アドレスによるフォーマット例である。図1のネットワークで、アクセスポイント10から複数の端末装置20に対して呼び出しを行なうときに、このようなフォーマットの呼出し信号(ビーコン)を送信する。
本実施形態の第1のポイントは、アクセスポイント10から送出されるビーコン情報に対して上述したハッシュ技術を適用することにより、ビーコンの中に同時に複数の端末の可変長アドレスを埋め込むことである。
図5は、それぞれ異なるアドレス長の3つの端末装置のID1〜ID3を埋め込む例を示す。呼び出し信号(ビーコン)中に、バージョンフィールド31、Lengthフィールド32、種別フィールド33、m値フィールド34、k値フィールド35、ハッシュ値フィールド36を設定する。種別フィールド33は、複数の端末を一斉に呼び出すのか、あるいは特定の端末を呼び出すのかの呼び出し種別を記載するフィールドである。ハッシュ値フィールド36の中に、今回起動をかける対象である端末のID(たとえばID1〜ID3)情報を、そのType,Lengthも含めて、図3に示した手法で埋め込む。すなわち、端末ID1の値x1を、k個のハッシュ関数でk回ハッシュし、端末ID2の値x2と、端末ID3の値x3についても、同様の処理を行なう。ハッシュ結果は、ハッシュ値フィールド36にビット“1”を立てることで記述される。m、kの値は、m値フィールド34とk値フィールド35に書き込まれる。このように、複数の異なるアドレス長のID1〜ID3を、そのType,Lengthも含めてハッシュし、m値,k値と合わせて受信先(端末20)に送信する。
本実施形態の第2のポイントは、在圏の端末20の数(n個)により、mの値(ハッシュ長)とkの値(ハッシュ関数の数)を動的に設定できる点にある。このような構成の利点を以下に述べる。
Bloom Filterを用いた一斉呼び出しの際に最も問題となるのが、False Positive(誤り呼出し)の発生率である。仮にIPv6の128ビットアドレス空間をmとし、呼び出す端末数nが60台だとすれば、最適なkは2であり、Fは0.3701437134913305となり、4割近くの端末がヒットしてしまう可能性がある。上述した非特許文献1(Mutaf et al.)では、IPv6アドレス空間をハッシュ空間として用いる方法が提案されているが、この固定長方式ではスケーラビリティの問題が生じる可能性が高い。
そこで本方式では、mとkの値を可変とする呼び出し方式を用いる。つまり、在圏にある端末数mをアクセスポイント10で把握している場合、式(2)、(3)により、許容するFの水準をオペレータ側で指定することにより、m、kの値を任意に設定できる点に特徴を持つ。
次に、ある特定の端末20を明示的に呼出す際の方式について述べる。この方式は複数の端末の一斉呼び出しとは区別される。
ここでもBloom Filterを用いるが、ここでは、ビーコンを受信した端末20が、先頭のハッシュ値を見た時点で、自分宛か否かという判断を行える点に特徴がある。すなわち、受信端末20はビーコンの先頭部分を確認し、自分宛でなければすぐさま休眠状態に戻ることができるという利点がある。これは低速で通信を行う際の消費電力性に特に優れている方式である。
図6は、特定端末呼出しの際のフォーマット例である。ここでは呼び出したい特定の端末20のID1に、ハッシュ関数を1回適用したときの例を挙げている。呼び出し信号(ビーコン)は、m=4のハッシュ値フィールド41と、宛先端末のIDフィールド42と、ペイロード43を含む。この呼出信号を受信した端末20は、先頭の4ビットを受信した時点で、自身宛の信号かどうかを判別することができ、自身宛でない場合には、消費電力を抑えるために即座に休眠状態に戻る。
一方、マルチホップ接続環境では、中継端末に対しても起動をかける必要がある。以下で、マルチホップ呼出し方式を説明する。この方式の特徴は、呼び出し対象の端末20は特定の1つの端末装置であるが、Bloom Filterのハッシュに入れられる値は、中間経路に位置する中継端末の存在を含んだ値である。
図7は、マルチホップ呼出しの際のフォーマット例である。この例では、ID1が呼び出される特定の端末であり、ID2、ID3はID1の端末20がアクセスポイント10に到達する間に存在する中継端末のIDである。呼び出し信号の先頭8ビットはハッシュ値フィールド41であり、このハッシュ値にID1、ID2、ID3のハッシュ値が織り込まれている。この例では、各IDの値は、2回ハッシュされている。また、宛先端末がID1であることを示す宛先端末フィールド42とペイロード43を含む。
中継端末20(ID2)は、この信号を受け取ると、自己IDに対してk回ハッシュを行い、ハッシュ値がビーコンの先頭ビットに含まれるハッシュ値と符合するかを判断する。符合したならば、ID1からの信号を受信するまで起き上がって待つ動作に入る。ID1からの信号を中継した後は、再度休眠モードに入る。一定時間以上、ID1からの信号が送られてこない場合も休眠状態に戻って、消費電力を低減する。
もうひとつの中継端末20(ID3)も同様にハッシュを行い、ハッシュ値がビーコンに含まれるハッシュと符号する場合は、宛先端末フィールド42から、宛先端末がID1であることを知り、また、あらかじめ記憶している中継経路リストから、端末ID2を経由してID1からの信号が送られてくることを知る。ID2の端末と同様に、起き上がって待ち動作に入り、中継後に休眠モードに戻る。一定時間以上、信号を受信しない場合も、休眠モードに戻る。
図8は、上述した呼び出しの種類に応じた信号フォーマットをまとめた図である。図8(a)は、すべての呼び出し形態に共通する共通ヘッダ部分を示す。メッセージ本体に先立って、バージョン、アドレス長、ID・アドレス体系の種別、m値、k値が共通ヘッダに書き込まれている。図8(b)は、複数呼出しモードでのメッセージ本体のフォーマット、図8(c)は、シングルホップまたはマルチホップでの特定端末呼出しモードにおけるメッセージ本体のフォーマット例である。
図8(b)の複数呼出しモードでは、異なる種類、長さを有する複数のIDにハッシュをかけた可変長のハッシュ値と、ペイロードを含む。異なるサイズのIDを最適な数のハッシュ関数でハッシュ処理することによって、複数の端末に関するID情報を所定のビットに圧縮して、効率よく送信することができる。同時に、あらかじめ設定するF値を適切に選択することによって、呼出し誤りを許容範囲内に維持することができる。
図8(c)の特定端末宛の呼出しモードでは、ハッシュ値と、宛先(特定端末)IDと、ペイロードを含む。シングルホップの場合は、ハッシュ値に宛先端末のIDのみがハッシュされているが、マルチホップの場合は、ハッシュ値に、宛先端末と中継端末のIDがハッシュされて織り込まれている。上述したように、アクセスポイント10は、あらかじめ中継経路リストを有しているため、宛先端末が分かると、そこからの中継地点に位置する中継端末を知
ることができる。このように、マルチホップ接続の場合でも、効率よく呼出し信号を送信
このように、アクセスポイント10は、呼出しの方法に応じて、異なるフォーマットの呼出し信号(ビーコン)を生成して送信する。
図9は、図1の無線ネットワークシステム1において、ビーコンを受信した端末がシングルホップで応答する際の、衝突回避が可能な新規な方式を示す図である。ここでは、ほとんどの場合、各端末STのハッシュ値(各端末のID値にk個のハッシュ関数を適用した値)がそれぞれ異なることを利用して、端末からアクセスポイント10へ応答する際のバックオフ時間にハッシュ値を用いる。
ステップS51において、アクセスポイントから送信されたビーコンが2つの端末20(ST1およびST2)で受信される。このときのビーコンのメッセージ本体は、たとえば図8(b)のフォーマットを有し、ハッシュ値フィールドに端末ST1とST2のハッシュ値が織り込まれている。
ステップS52で、ST1は自己のハッシュ値に基づいてバックオフ時間を設定し、ステップS53で応答を返す。一方、ステップS54で、ST2は自己のハッシュ値に基づいてバックオフ時間を設定し、ステップS55において、端末ST1と異なるタイミングで応答を返す。これにより上り方向での衝突を回避することができる。各端末のハッシュ値が等しくなる確率はもともと低いが、アクセスポイント10の側では在圏の端末数を把握しているので、その数nに応じてmの値(ハッシュ長)を設定することで、衝突確率を制御できるという利点を有する。なお、各ステップは、必ずしもこの順序で行なわれる必要はなく、同時に行われても逆の順序でもよい。
図10は、末端端末20からアクセスポイント10までマルチホップ接続する際のタイミング推定の方法を示す。シングルホップと同様に、ステップS61でアクセスポイント10は宛先となる端末20のIDとハッシュ値を含むビーコンを送信する。シングルホップと異なる点は、ハッシュ値のなかに、宛先端末IDのハッシュ値だけでなく、中継端末IDのハッシュ値も織り込まれている点である。ステップS62で、末端端末が自己のIDのハッシュ値によりバックオフ時間を計算し、ステップS63で計算したバックオフ送信タイミングで応答信号を返す。
一方、ステップS64で中継端末がビーコンを受信し、このビーコンが末端端末に宛てられたものであることを認識する。中継端末は、ハッシュ値フィールドに埋め込まれた末端端末のハッシュ値から、末端端末からの応答信号のタイミングを推定する。ステップS65で、推定した末端端末の送信タイミングに応じて、待ち受け時間(Allowance Duration)とウェイクアップ時間(Wakeup Duration)を設定し、末端端末からの信号を待ち受ける。待ち受け時間は、末端端末IDのハッシュ値に基づいてどのくらい早く起動して受信を待つかをコントロールするパラメータである。ウェイクアップ時間は、どのぐらいの期間起き上がっているかをコントロールするパラメータである。
このように、本実施形態のマルチホップ接続では、中継端末が末端端末からの応答信号の送信タイミングを推定し、休眠状態から起き上がって待ち受ける時間を短縮できる点に特徴がある。なお、図9と同様に、ステッの順序はこの例に限定されず、中継端末が末端端末からの信号を受信する時点で起き上がっている限り、任意の順序をとってもよい。
また、中継端末は、他のパラメータとして最大送信回数を持ち、端末からの送信を最大何回まで繰り返して受信する状態に入るかを設定することができる。
図11は、アクセスポイント10における複数呼出しの処理手順を示すフローチャートである。S101で呼出し要求があると、アクセスポイント10は、在圏端末リスト15aを参照して在圏端末数nを取得し、呼び出すべき端末数、呼出端末IDを特定する(S103)。呼出し端末の数が適性であるかを確認し(S105)、多すぎる場合は呼出し回数を複数回に分ける処理を行う(S106)。呼び出すべき端末の数が多いと、1台あたりに与えられるビット数(m/n)が小さくなるので、端末数を分割することで、1回の処理におけるm/nの値を大きくして誤りを抑制する。そしてFalse Positive(間違い呼出し)の許容水準であるF値から、m、kの値を計算する(S107)。呼出し端末数が適正な場合は、そのままm、k値の計算を行ない、分割した場合には、分割回数分の計算をする(S109,S107)。その後、複数呼出のフラグをONにしたビーコンフレームを生成する(S111)。呼出しを分割した場合は、分割回数分、フレームを作成し(S113、S111)、ビーコンを送信する(S115)。このときのメッセージ本体部分のフレームフォーマットは、たとえば、図8(b)に示すのと同様である。
図12は、アクセスポイント10におけるシングルホップでの特定端末呼出しの際の処理フローを示す。S201で呼出し要求があると、アクセスポイント10は、在圏端末リスト15aを参照して在圏端末数nを取得し、呼び出すべき端末のIDを特定する(S203)。False Positiveの許容水準Fからm,kの値を算出し(S205)、特定呼出しフラグをONにした呼出しビーコンフレームを作成して(S207)、ビーコンを送信する(S209)。このときのフレームフォーマットは、たとえば、図8(c)に示す構成と同様である。
図13は、アクセスポイント10におけるマルチホップでの特定端末呼出しの際の処理フローを示す。S301で呼出し要求があると、アクセスポイント10は、在圏端末リスト15aを参照して在圏端末数nを取得し、中継経路リスト15cを参照して中継端末を決定し、呼び出すべき端末のIDを特定する(S303)。False Positiveの許容水準Fからm,kの値を算出し(S305)、マルチホップ呼出しフラグをONにした呼出しビーコンフレームを作成して(S307)、ビーコンを送信する(S309)。
図14は、複数呼出し時における端末20での処理フローを示す図である。端末20は通常は休眠モードにあり、アクセスポイント10に同期して一定間隔でビーコンを受信するために起き上がる(S401)。ビーコンを受信すると(S403)、そのメッセージ種別が複数呼出しか否かを判断する(S405)。複数呼出しでない場合は、別処理へ移行する(S406)。複数呼出しの場合は、端末装置20は、ビーコンの先頭に含まれるハッシュ値が自分のアドレスのハッシュ値と一致するか確認する(S407)。ハッシュ値と一致すれば、そのハッシュ値に対応するバックオフ時間を計算し(S409)、バックオフ時間の後に情報要求パケットを送信する(S411)。
情報を送信中に他の端末と衝突が起きた場合は(S413でYES)、自分のIDのハッシュ値分に一定範囲内のランダム値を加えて再度バックオフ処理を行い(S415)、再送信の最大回数を超えていなければ(S417でNO)、S411に戻って、再度送信を試みる。ビーコンを受信した時点で、もし自分のハッシュ値と一致しない場合は(S407でNO)休眠状態に戻り次のビーコンを待つ。
図15は、シングルホップでの特定端末呼出し時の端末20での処理フローである。端末20は、休眠状態からビーコンを受信すると、メッセージ種別を確認する(S501、S503、S505)。メッセージ種別が特定端末呼び出しでない場合は、別処理を移行し(S506)、特定端末呼び出しあれば、ビーコンのハッシュ値が自分のアドレスのハッシュ値と一致するか確認する(S507)。一致しなければ、その時点で休眠状態に戻る(S501)。自己のハッシュ値と一致すれば、次に自分のアドレスと一致するか確認する(S509)。アドレスが一致しない場合は、同じく休眠状態に戻って次のビーコンを待つ(S501)。
ハッシュ値とアドレスの双方が一致した場合、そのハッシュ値に対応するだけのバックオフ時間を計算し(S511)、バックオフ時間の後に情報要求パケットを送信する(S513)。情報を送信中に衝突が起きた場合(S515でYES)、今度は自分のIDのハッシュ値分に一定範囲内のランダム値を加えたバックオフ処理を行い(S517)、再送信の最大回数を超えていなければ(S519でNO)、S513に戻って、再度送信を試みる。
図16は、マルチホップでの特定端末呼び出し時の、末端端末(宛先端末)20での処理フローを示す。末端端末20は、休眠モードから定期的に起き上がってビーコンを受信すると(S601、S603)、そのメッセージ種別がマルチホップでの特定端末呼び出しか否かを判断する(S605)。マルチホップ呼出しでない場合は、別処理へ移行する(S606)。マルチホップ呼出しの場合は、端末装置20は、ビーコンの先頭に含まれるハッシュ値が自分のアドレスのハッシュ値と一致するか確認する(S607)。一致しなければ、その時点で休眠状態に戻って次のビーコンを待つ(S601)。自己のハッシュ値と一致すれば、次に自分のアドレスと一致するか確認する(S609)。アドレスが一致しない場合は、後述する中継端末としての処理へ移行する(S620)。
ハッシュ値とアドレスの双方が一致した場合、そのハッシュ値に対応するだけのバックオフ時間を計算し(S611)、さらに中継経路リストを参照して、中継先となる次ノードを検索し、バックオフ時間の後に情報要求パケットを次ノードに宛てて送信する(S613)。情報を送信中に衝突が起きた場合(S615でYES)、今度は自分のIDのハッシュ値分に一定範囲内のランダム値を加えたバックオフ処理を行い(S617)、再送信の最大回数を超えていなければ(S619でNO)、S613に戻って、再度送信を試みる。
図17は、マルチホップでの特定端末呼び出し時の、中継端末20での処理フローを示す。中継端末20は、休眠モードから定期的に起き上がってビーコンを受信すると(S701、S703)、そのメッセージ種別がマルチホップでの特定端末呼び出しか否かを判断する(S605)。マルチホップ呼出しでない場合は、別処理へ移行する(S706)。マルチホップ呼出しの場合は、中継装置20は、ビーコンの先頭に含まれるハッシュ値が自分のアドレスのハッシュ値と一致するか確認する(S707)。一致しなければ、その時点で休眠状態に戻って次のビーコンを待つ(S701)。自己のハッシュ値と一致すれば、次に自分のアドレスと一致するか確認する(S709)。アドレスが一致すると(S709でYES)、自己宛の呼び出しであると認識して、図16に示す末端端末としての処理を行なう(S710)。アドレスが一致しない場合は、中継経路リストを参照して、自己の配下にある末端端末のIDと一致するかを確認する(S711)。自己の配下にない場合は、休眠状態に戻り、自己の配下の端末に充てられたメッセージである場合は(S711でYES)、末端端末のハッシュ値のタイミングのガード区間分だけ早く起動して、ウェイクアップモードに入り、末端端末からの信号を待つ(S713)。受信があれば(S715でYES)、中継経路リストに沿って、次のノードへ中継する(S721)。受信が確認できない場合は、末端端末のハッシュ値に対応するバックオフ時間分だけ休眠し(S717)、再送信の最大回数を越えない限り(S719でNO)、S713に戻って、再度受信を試みる。
図18は、無線ネットワークシステム1で用いられるアクセスポイント10の概略ブロック図である。アクセスポイント10は、送受信部11、ハッシュパラメータ(m,k値)設定部12と、ハッシュ計算部13と、呼出し信号(ビーコンフレーム)生成部14と、記憶部15を有する。m,k値設定部12は、在圏端末リスト15aを参照してエリア内の端末数を把握し、式(1)、(2)に基づいて、ハッシュ長mと、適用するハッシュ関数の数kを設定する。ハッシュ計算部13は、設定されたパラメータに応じて、呼び出したい端末のID値に対してハッシュ計算を行い、各端末20のハッシュ値を算出する。ビーコンフレーム生成部14は、呼び出し対象が複数の端末20である場合は、各端末20のハッシュ値を所定のフィールドに織り込んだビーコンを生成し、送受信部11から送信する。呼び出し対象が特定の端末20である場合は、アドレス情報15bを参照して、ハッシュ値とともに宛先端末アドレスをビーコンに挿入する。また、中継経路リスト15cを参照して、シングルホップで接続できるか、マルチホップ接続にするかを判断し、マルチホップ接続の場合は、宛先端末20のハッシュ値とともに、中継端末のハッシュ値をビーコンの所定フィールドに織り込む。このようなアクセスポイント10は、呼び出しの態様に応じて、図11〜13に示す処理を行なう。
図19は、無線ネットワークシステム1で用いられる端末装置20の概略ブロック図である。端末装置20は、たとえば、物品等に添付または埋め込まれる双方向通信が可能な端末である。端末装置20は、送受信部21、モード切換部22、ハッシュ計算部23、判定部24、記憶部25、バックオフ処理部26、ウェイクアップタイミング調整部27を有する。記憶部25は、自己ID25aと、中継経路リスト25bを含む。判定部24は、ビーコン(呼出し信号)の種別判定24a、ハッシュ値判定24b、ID判定25cを行なう。
モード切換22は、休眠モードと起動モードとを切り換え、基本動作としては、通常は休眠モードにしておき、ビーコン受信のために一定間隔で起動モードに切り換える。ハッシュ計算部23は、送受信部21がビーコンを受信すると、ビーコン中に指定された個数(k個)のハッシュ関数を自己のID値に適用して、ハッシュ値を計算する。判定部24は、ビーコンの呼出し種別と、自己ハッシュ値が、ビーコン中に含まれるハッシュ値と一致するか否かについて判断する。一致しない場合は、モード切換部22に直ちに休眠モードに戻るように指示する。ハッシュ値が一致し、かつ、ビーコンの種別が複数端末呼出しである場合は、バックオフ処理部26で自己のハッシュ値に基づいてバックオフ時間を計算し、送受信部21から、バックオフ時間経過後に応答を送信する。
ビーコン種別が特定端末呼出しである場合は、IDフィールドをチェックして、そこに記載されたIDが自己のIDと一致するかを判断する。一致する場合は、自己宛の信号と判断し、シングルホップ接続の場合はアクセスポイント10に応答パケットを送信する。マルチホップ接続の場合は、中継経路リスト25bを参照して、次ノードへパケットを送信する。
一方、ハッシュ値は一致するが、ビーコンに記載されたIDが自己IDと異なる場合は、中継経路リスト25bを参照して、宛先端末が自己の配下(あるいはツリーの下流側)にある端末かどうかを確認する。配下の端末に宛てられたビーコンの場合は、自己を中継端末と認識して、配下の端末からの信号を待ち受ける。このとき、バックオフ処理部26で、ビーコンに埋め込まれた宛先端末のハッシュ値から宛先端末(末端端末)のバックオフ時間を計算し、ウェイクアップタイミング調整部27で、待ち受け時間(Allowance Duration)を含むウェイクアップ時間を設定する。モード切換部22は、設定されたウェイクアップ時間に休眠状態から起き上がるようにモードを切り換える。
このように、超多数の低電力端末をエリア内に含む無線ネットワークシステム1では、呼出し対象となる端末IDのハッシュ値をビーコンに折り込んで送信するため、異なるID・アドレス体系の端末を一斉に呼び出す場合も、簡単なビーコン信号で呼び出すことができる。
また、在圏端末数、呼び出す端末数に応じて、ハッシュ処理のパラメータm、kを適宜変更して可変長の呼出し信号を生成するので、呼び出し効率が向上する。
特に、ハッシュ関数を用いた場合に生じるFalse Positive(間違い呼び出し)という問題に対して、可変長の呼出信号を用いることによってFalse Positive問題にも対応することができる。
また、マルチホップ接続の場合は、中継端末のハッシュ値もビーコン中に併せて織り込むため、端末装置の呼び出しを、中間経路に位置する端末の起動も含めて、効率良く実現できる。
端末側では、ビーコン先頭のハッシュ値を見て、自己が起動対象となっているかどうかを確認し、必要のないときは即座に休眠モードに戻るので、省電力効果が高まる。
また、ビーコンに応じて応答信号を返す場合に、自己のハッシュ値に応じたバックオフ時間をおいて応答を返すので、衝突を回避することができる。
さらに、自己が中継端末であるときは、宛先端末のハッシュ値からウェイクアップ時間を推定し、その時間だけ起き上がって信号を待つので、省電力効果が高い。
上述した無線ネットワークは、家庭、オフィス、工場、倉庫、図書館、その他の公共施設など、任意の場所でのネットワークに適用できる。この場合、端末20はたとえば物品や本に添付されるタグ型の無線端末、製造過程であらかじめ商品内に組み込まれる埋め込み型の無線端末など、任意の形態をとることができる。
本発明の一実施形態に係る無線ネットワークシステムの構成図である。 本発明の実施形態で用いる可変長MACアドレスの構成例を示す図である。 本発明で用いるハッシュ技術の一例として、ブルームフィルタを用いたハッシュ処理を説明するための図である。 図3のブルームフィルタを用いた場合の、パラメータF,m、kの計算結果の例を示す図である。 任意のm、k値を設定可能とした可変長アドレスの複数呼出しフォーマットの一例を示す図である。 特定の端末をシングルホップで呼び出すときの呼出しフォーマット例を示す図である。 特定の端末をマルチホップで呼び出すときのマルチホップ呼出しフォーマットの例を示す図である。 実施形態で用いる信号フォーマット例を示す図である。 シングルホップでのバックオフ送信タイミングの推定による衝突回避を説明するための図である。 マルチホップでのバックオフ送信タイミングの推定による中継端末でのウェイクアップ時間の制御を説明するための図である。 アクセスポイントにおける複数呼出しの処理手順を示すフローチャートである。 アクセスポイントにおけるシングルホップでの特定端末呼出しの処理手順を示すフローチャートである。 アクセスポイントにおけるマルチホップでの特定端末呼出しの処理手順を示すフローチャートである。 複数呼出し時の末端端末での処理手順を示すフローチャートである。 シングルホップでの特定端末呼出し時の末端端末での処理手順を示すフローチャートである。 マルチホップでの特定端末呼出し時の末端端末での処理手順を示すフローチャートである。 マルチホップでの特定端末呼出し時の中継端末での処理手順を示すフローチャートである。 本発明の一実施形態に係るアクセスポイントの構成例を示すブロック図である。 本発明の一実施形態に係る端末装置の構成例を示すブロック図である。
符号の説明
1 無線ネットワークシステム
2 一斉呼出しエリア
10 アクセスポイント(呼出し制御装置)
11 送受信部
12 ハッシュパラメータ設定部(m、k値設定部)
13 ハッシュ計算部
14 呼出し信号生成部(ビーコンフレーム生成部)
15 記憶部
15a 在圏端末リスト
15b 端末アドレス情報
15c 中継経路リスト
20 端末装置
21 送受信部
22 モード切り替え部
23 ハッシュ計算部
24 ハッシュ値判定部
25 記憶部
25a 自己ID
25b 中継経路リスト
26 バックオフ処理部
27 ウェイクアップタイミング調整部27

Claims (16)

  1. 複数の端末装置と、
    前記端末装置の中から所望の数の端末装置を呼び出すアクセスポイントと、
    を含む無線ネットワークシステムであって、
    前記アクセスポイントは、前記呼び出しの際に、エリア内の在圏端末数および呼出誤り許容率に応じてハッシュパラメータを設定し、呼び出しの対象となる端末の識別子に前記ハッシュパラメータに応じたハッシュ処理を適用してハッシュ値を計算し、前記ハッシュ値および前記ハッシュパラメータを含む呼出し信号を生成して前記端末装置を呼び出す
    ことを特徴とする無線ネットワークシステム。
  2. 無線ネットワークのエリア内に存在する所望の数の端末を呼び出す際に、前記エリア内の在圏端末数と呼出誤り許容率に応じて、ハッシュパラメータを設定するハッシュパラメータ設定部と、
    呼出し対象となる端末の各々の識別子に、前記ハッシュパラメータに応じたハッシュ処理を施して各端末のハッシュ値を計算するハッシュ計算部と、
    前記ハッシュ値と、前記ハッシュパラメータとを含む呼出し信号を生成する呼出し信号生成部と
    を備えることを特徴とする呼出し制御装置。
  3. 前記呼出し信号生成部は、特定の1の端末を呼び出す場合は、当該端末のハッシュ値と前記識別子とを、前記呼出し信号に含めることを特徴とする請求項2に記載の呼出し制御装置。
  4. 前記ハッシュ値計算部は、特定の1の端末をマルチホップ接続で呼び出す場合は、当該1の端末のハッシュ値と、中継端末のハッシュ値とを計算し、
    前記呼出し信号生成部は、前記1の端末のハッシュ値、中継端末のハッシュ値、および前記1の端末の識別子を前記呼出し信号に含めることを特徴とする請求項2に記載の呼出し制御装置。
  5. 前記ハッシュパラメータは、ハッシュ長mであり、
    前記ハッシュパラメータ設定部は、前記在圏端末数が少ない場合は、前記m値を小さく設定し、在圏端末数が多い場合は、前記m値を大きく設定することを特徴とする請求項2に記載の呼出し制御装置。
  6. 前記ハッシュパラメータは、前記ハッシュ計算に適用するハッシュ関数の数kであり、
    前記ハッシュパラメータ設定部は、選択されたハッシュ長mおよび前記呼出誤り許容率Fに基づいて、前記ハッシュ関数の数kを決定することを特徴とする請求項2に記載の呼出し制御装置。
  7. 無線ネットワークシステムで用いられる端末装置であって、
    前記無線ネットワークシステム内のアクセスポイントから呼出し信号を受信する送受信部と、
    前記受信した呼出し信号に含まれるハッシュパラメータに基づいて、自己のハッシュ値を計算するハッシュ計算部と、
    前記計算したハッシュ値と、前記呼出し信号に含まれるハッシュ値とが一致するか否かを判断する判断部と、
    を備え、前記送受信部は、前記ハッシュ値が一致する場合に、応答信号を送信することを特徴とする端末装置。
  8. 前記端末装置の動作モードを切り換えるモード切換部をさらに有し、
    前記モード切換え部は、前記ハッシュ値が一致しない場合は、低消費電力モードに切り換えることを特徴とする請求項7に記載の端末装置。
  9. 前記判断部は、前記呼出し信号が特定端末の呼出し信号であり、かつ前記ハッシュ値が一致した場合に、自己の識別子が前記呼出し信号に含まれる宛先識別子と一致するか否かを判断し、
    前記送受信部は、前記識別子が一致した場合に応答信号を送信する
    ことを特徴とする請求項7に記載の端末装置。
  10. 前記自己のハッシュ値に応じたバックオフ時間を計算するバックオフ処理部をさらに備え、
    前記送受信部は、前記ハッシュ値が一致する場合に、前記バックオフ時間の後に前記応答信号を送信することを特徴とする請求項7または9に記載の端末装置。
  11. 前記前記判断部は、前記呼出し信号が特定端末の呼出し信号であり、かつ前記ハッシュ値が一致した場合に、自己の識別子が前記呼出し信号に含まれる宛先識別子と一致するか否かを判断し、前記識別子が一致しない場合に、自端末が中継端末となるか否かをさらに判断することを特徴とする請求項7に記載の端末装置。
  12. 前記端末装置が中継端末である場合に、前記送受信部は、前記宛先識別子を有する端末装置からの応答信号を中継することを特徴とする請求項11に記載の端末装置。
  13. 前記端末装置が中継端末である場合に、前記呼出し信号に含まれる宛先端末のハッシュ値に基づいて、当該ハッシュ値に応じたバックオフ時間を計算するバックオフ処理部と、
    前記宛先端末のバックオフ時間に基づいて、自端末の動作タイミングを調整するタイミング調整部と
    をさらに備えることを特徴とする請求項11に記載の端末装置。
  14. 無線ネットワーク内の所望の端末装置を呼び出すための信号フォーマットであって、
    前記ネットワークの在圏端末数および呼出誤り許容率に応じて設定されるハッシュパラメータを記録するパラメータフィールドと、
    前記ハッシュパラメータに基づいて、呼び出し対象となる端末装置の識別子をハッシュ処理して得られるハッシュ値を記録するハッシュ値フィールドと、
    を有する信号フォーマット。
  15. 前記端間装置に対する呼び出しの種別を記録する種別フィールド
    をさらに有することを特徴とする請求項14に記載の信号フォーマット。
  16. 前記呼び出しの種別が、特定の1の端末を対象とする特定端末呼び出しである場合に、
    前記1の端末の識別子を記録する識別子フィールド
    をさらに有することを特徴とする請求項14に記載の信号フォーマット。
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