JP2006352374A - 高速信号伝送のための信号出力回路と高速信号伝送のための方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 伝送用デジタルデータ信号が入力される入力手段と、
伝送路の特性に従って、前記各データ信号に対して、該データ信号と該データ信号に続く、該データ信号とは逆極性で、複数の伝送タイミングn(n≧2)ごとに段階的に変化する波形信号からなる補正パルス信号を生成する補正手段と、該補正手段で補正された前記データ信号を加算し、伝送路を形成する媒体に出力する出力手段とを有する信号出力回路。
【選択図】 図15
Description
高速伝送の信号は、伝送路の固有の特性により、周波数に依存した減衰特性を持っている。この減衰特性の原因は、伝送媒体の表皮効果に起因する抵抗損と、伝送媒体を囲む伝送媒質(誘電体)の誘電正接(tanδ)に起因する誘電損とである。以下減衰について詳述する。
図27は、代表的な伝送媒体であるプリント基板の配線を伝送する信号の、周波数に対する損失を示す。具体的には、プリント配線板の比誘電率εr=4.7とし、配線のパターン幅Wを100μm、200μm、400μmとしたときの抵抗損と、誘電正接tanδを0.22、0.01、0.005としたときの誘電損とを示す。
高速伝送路の損失の1つは導体の抵抗による抵抗損で、図26から理解できるように、周波数が高くなると、電流が線路表面に集中するために抵抗値が高くなり損失が増加する。抵抗損は周波数の平方根にほぼ比例する。
他の1つの損失は、線路を構成する誘電体による誘電損である。図26から分かるように、誘電損は誘電正接(tanδ)と周波数に比例して増加する。
図28は、幅Wが100μ、厚みが40μのプリント基板の配線で、tanδ=0.02、標準的な長さである100cmのマイクロストリップを使用し、業界の標準的である速度3.125Gbpsで動作させる条件下での、損失線路を伝播する波形を示す。
実線aは線路への入力波形であり、実線bは、線路からの出力波形であり、図28は両信号を重ねて表示した図である。図において、横軸は時間(nsec)、縦軸は、振幅の大きさを表す。論理値「1」は振幅「1」であり、論理値「0」は、振幅「−1」としている。また、信号は「non return to zero」信号である。
図中、入力信号aの点(1)までの論理値は「110010101110000」を表す。以下、1ビットごとの時間をタイミング時間という。
1 入力信号aが同一論理値を維持すると、応答波形bの徐々に振幅は大きくなる(点(1)参照)。
2 入力信号aが同一論理値を維持した後、異なる論理値に変化すると、最初の信号の振幅は、スレショールド(「振幅0」)付近の振幅で、振幅が小さい(点(2)参照)。
3 入力信号が同じパターンであっても、その信号より以前の信号の影響があるために、異なる出力になる(点(3)参照)。
図28において符号(3)付近におけるバースト信号の受信信号が、(3)のように徐々に上昇するのは、4ns付近において入力信号が4タイミング時間、マイナス値を取ったからである。
図29は、異なるデューティ比1/2と1/20の信号に対する時間応答を示す図で、デューティ比が小さいときには、アイパターンの開口(以下アイ開口という)が狭くなくことを示す図である。なお、Tw=0.4nsecで、長さl=100cmの伝送路を前提としている。デューティ比1/2の場合は、スレッショールド電圧0近辺で変化する。これに対し、デューティ比1/20の場合は、スレッショールド電圧を横切る領域が狭い。このように、デューティ比が小さい場合はアイパターンが非常に狭くなる。
従来から、アイパターンを広くするための技術として、次の5つの方法が知られていた。
(a)伝送媒体の表皮効果による抵抗を下げる
(b)伝送媒体を取り囲む伝送媒質の誘電損を下げる
(c)伝送信号のスペクトルが広がらないようにコード(符号)化する
(d)伝送媒体の周波数特性を受信側で補正するイコライザ回路を使う
(e)信号の変化時に振幅を増やすか変化していないときに振幅を下げるプリエンファシス方式
又、 (b)のためには、低誘電損材料を選択しなければならないが、一般的には、高価となる。
(c)の代表的なものは、IBMの開発した8B/10B変換であり、8ビットデータを10ビットデータに変換するものである。8B/10B変換により、変換前に比して、25%のオーバヘッドが生じ、2.5Gbpsは3.125Gbpsとなり、物理的な伝送速度が論理的伝送速度に対して1.25倍に増加する。
(d)の方法は、受信側に広帯域アナログ回路が必要である。
しかし、プリエンファシス技術を使っても、アイ開口が広がるものの依然として十分なものではなかった。
先行する信号の影響が除去されれば、アイ開口は広がり、高速かつ長距離伝送を可能になる。
上記補正について説明するために、図26のデータ伝送システムの送信側の信号出力回路10から線路に送出されるステップ信号Cとレシーバ回路12で受信されるその応答信号Dを考える。
図1は、前記ステップ信号Cと、その応答信号Dの波形の一例を、立ち上がり時点を重ねて示したものである。破線Cが信号出力回路10からのステップ信号で、実線Dは伝送線路を経てレシーバ回路12で受信された応答信号を表す。
図1において、横軸は正規化された時間軸(所定時間幅を1とする)であり、縦軸は正規化された電圧(ステップ電圧値を1とする)を示す。
なお時間t1,t2…は図においてt1,t2…とした。
最初の時間t1ではA1(=0.439)の電圧で、
次の時間t2では、A2(=0.596)の電圧で、
時間t3で、A3(=0.672)の電圧で、
時間t4で、A4(=0.717)の電圧で、
これ以降も、漸増を続ける。
この例では、時間t8付近まで漸増が続くものである。つまり、着目する時間においては、その8タイミング時間以前の信号が、その注目する時間の信号に影響を及ぼしている。
この補正により、例えば図4のような補正ステップ波形G′が生成される。つまり、図4で示す補正ステップ波形G′を図26で示す信号出力回路10から送出すると、レシーバ回路12では、最初の時間t1における電圧A1が一定に維持されることになる(応答信号H′)。
本発明は、この原理を用いて、パルス電圧を補正し、後記する補正パルス波形(一例として図13で示される)を生成し、信号出力回路からの出力信号を生成するものである。
上記の技術課題を解決するために、請求項1の発明は、伝送用デジタルデータ信号が入力される入力手段と、該データ信号を補正する補正手段と、該補正手段で補正された前記データ信号を加算し、伝送路を形成する媒体に出力する出力手段と、からなる出力回路において、前記補正手段が、前記伝送路の特性に従って、前記各データ信号に対して、該データ信号と該データ信号に続く、複数の伝送タイミングn(n≧2)ごとに段階的に変化する波形信号からなる補正パルス信号を生成する構成とした。
請求項6の発明は、請求項2の発明において、スイッチ回路をCMLで構成するものである。
請求項7の発明は、請求項1又は2の発明において、信号を伝送する媒体を伝送線路とするものである。
請求項8の発明は、請求項1又は2の発明において、信号を2値信号とするものである。
請求項9の発明は、請求項1の発明において、信号を3値以上の信号とするものである。
請求項10の発明は、請求項1又は2の発明において、伝送タイミングを1ビットレートとするものである。
請求項12の発明は、請求項1の発明において、補正手段が、前記波形信号の、複数の伝送タイミング毎の正規化振幅値を、被伝送信号の符号を含めた振幅に乗じ、前記出力手段は、それらの総和をとり、対応するタイミングにおける出力振幅とするものである。
請求項13の発明は、請求項12の発明において、前記複数の伝送タイミング毎の正規化振幅値と伝送するデジタルデータ信号の符号を含めた振幅との乗算を、前記振幅値をデジタル入力とし、被伝送信号の符号を含めた振幅を基準入力とする乗算型デジタル・アナログ変換器(DAコンバータ)とするものである。
請求項14の発明は、請求項12の発明において、複数の伝送タイミング毎の正規化振幅値が2値の場合、該振幅値と被伝送信号の符号を含めた振幅との乗算を、CMLスイッチ回路の差動入力を被伝送信号の符号を含めた振幅とし、前記正規化振幅値をCMLスイッチ回路の電流源の大きさとするものである。
請求項15の発明は、請求項14の発明において、被伝送信号の符号を与えるために、所定の極性の場合には入力と同一の論理を出力し、その反対の極性の場合には、反転論理を出力する手段を被伝送信号の入力と差動型電流スイッチの入力との間に挿入するものである。
請求項17の発明は、請求項16の発明において、補正ステップは、前記伝送路におけるステップ信号の波形の応答波形の第n伝送タイミングtn時の振幅(但しn≧2)を、第1伝送タイミングt1時の前記ステップ信号の応答波形の振幅に等しくする補正を、ステップ波形信号に対して行うものである。
請求項18の発明は、請求項16の発明において、補正ステップは、正規化されたステップ信号に対応する応答信号の第2番目の伝送タイミング時t2の振幅を、第1番目の伝送タイミングt1時の振幅に等しくするために、前記伝送タイミングt0時の正規化振幅1から、前記応答信号の2番目の伝送タイミングt2時の振幅(A2)と1番目の伝送タイミング時の振幅(A1)との差を前記伝送タイミングt1時の振幅(A1)で除したものを引いて求めるステップ(すなわち、1-(A2-A1)/A1)と、順次、以下、伝送タイミングtn-1時まで補正されたステップ信号に対応する応答信号の第n+1番目の伝送タイミング時tn+1の振幅を、第n番目の伝送タイミングtn時の振幅に等しくするために、
前記伝送タイミングtn-1時の前記補正されたステップ信号の振幅Bn-1から、n番目(但しn=2、3、・・・)の伝送タイミングtn時まで補正されたステップ信号の応答波形から求めたn+1番目の伝送タイミングtn+時の振幅(A′n+1)と伝送タイミングtn時の振幅(A′n)との差を前記n番目の伝送タイミングt1時の振幅(A′n)で除したものを引いて求める(すなわち、Bn-1−(A′n+1−A′n)/A′n)補正を行うステップから生成される信号を伝送する方法である。
順次、以下、n番目(但しn=2、3、・・・)の伝送タイミングtnにおける送出振幅(1に正規化)から求めたn+1番目の伝送タイミングtn+1における伝送された振幅(An+1)とn番目の伝送タイミングにおける伝送された振幅(An)との差を前記n番目の伝送タイミングt1における伝送された振幅(An)で除したものを引いて求めるステップ(すなわち、1-(An+1−An)/An)と、からなるものである。
従来技術を用いる場合、プリエンファシス技術を用いた場合に比較して、本発明による場合、アイ開口の度合いが著しく広くなり、ジッタ(アイパターンの時間軸方向のブレ)、ノイズが大幅に削減されていることが分かる。
本発明により、ジッタはほとんどなくなるため、レシーバの感度を上げれば、損失の大きな伝送系でも信号を受信することが可能となる。
したがって、従来技術に比べて、飛躍的に伝送距離を延ばすことが可能となる。
更に、従来技術においては、直流あるいは低デューティ比を回避するために、例えば、8B/10Bなどのエンコードを使っていたので、物理的な転送レートに対して実効転送レートは低くならざるを得なかった。 例えば、8B/10Bの例では、物理レートと実効レートとの比は、1.25であり、物理レートに対して80%のデータしか送ることができなかったが、本発明によれば、物理レートと実効レートとが一致するのであるから、効率的な伝送が可能となる。
従って、10mのDVI(digital video interface)で1.5GHzの伝送も可能になり、DVIの細線化が可能になる等、将来のデジタル製品等広い分野に応用される。
補正ステップ波形及び補正パルス波形を以下の手順で求める。ここで、補正ステップ波形とは、ステップ波形を本発明の方法により補正した波形であり、補正パルス波形とは、パルス波形を本発明の方法により補正した波形である。
補正ステップ波形を得るために、予め、損失、線路長、転送速度等の線路条件に基づいて実験および/あるいは理論解析を行い、対象となる伝送路におけるステップ波形信号の応答を求める。
例えば、前記の図1のようなステップ波形信号Cの応答波形Dを求める。図1は一例であって、線路条件により変る。
次に、時間軸のタイミング時間tnを信号の転送速度に基づいて決定する。即ち、時間幅t2ーt1=t3−t2=・・・=tnーtn-1は、転送速度(ビットレート)の1ビット幅に対応する。
なお、電圧は、正規化されているとする。ステップ電圧Vで正規化するとは、例えば、ステップ電圧Vの正規化電圧は、V/V=1であり、応答電圧Rの正規化電圧は、R/Vである。
更に、最初のタイミング時間t1(以下時間t1という)におけるステップ波形の補正電圧(以下、単に補正電圧という)を、
式:1−(A2−A1)/A1・・・(1)
によって求める。なお、この補正電圧を求める式は本発明の発明者が案出したものである。
伝送路の応答波形Dの時間t1における電圧は A1=0.439、時間t2における電圧はA2=0.596 であるから、上記式(1)に従って、時間t1におけるステップ補正電圧B1を求めると、B1=1−(A2−A1)/A1=1−(0.596−0.439)/0.439=1−0.358=0.642 と算出される。
A2’= 0.596+0.439×a=0.596−0.439×0.358=0.596−0.157=0.439
となり、A1=A2’である。
次に、第2次補正ステップ波形Gを求める。
この時の、第1次の補正ステップ波形による、時間t3における電圧値A3’は、時間t0から立ち上がるステップ信号Cの応答値0.672と、時間t1から立ち上がる0.439×b(但しb=−0.046のステップ信号による応答と、時間t2から立ち上がる0.596×a(但しa=0.642−1)のステップ信号による応答との和となるから、以下の通りである。
A3′= 0.672+0.596×a+0.439×b=0.672−0.596×0.358−0.672×0.046=0.459
そこで更に、時間t2におけるステップ補正波形の電圧B2を求めると、上記と同様に、
B2=0.642−(A’3−A’2)/A’2=0.642−(0.459−0.439)/0.439=0.596
と算出される。
時間t0〜時間t2の補正ステップ電圧をB0=1、B1=0.642 およびB2=0.596とすると、同様に、新たな振幅A4’は、A4’=0.449 となる。
以下同様にして、伝送タイミングtn-1時まで補正されたステップ信号に対応する応答信号の第n+1番目の伝送タイミング時tn+1の振幅を、第n番目の伝送タイミングtn時の振幅に等しくするために、
前記伝送タイミングtn-1時の前記補正されたステップ信号の振幅Bn-1から、n番目(但しn=2、3、・・・)の伝送タイミングtn時まで補正されたステップ信号の応答波形から求めたn+1番目の伝送タイミングtn+時の振幅(A′n+1)と伝送タイミングtn時の振幅(A′n)との差を前記n番目の伝送タイミングt1時の振幅(A′n)で除したものを引いて求める(すなわち、Bn-1−(A′n+1−A′n)/A′n)補正を行う。
このようにして、全体にわたって、平坦なステップ応答波形を得ることができる。
図4は、時間t20まで繰り返した例であり、補正ステップ波形G′を送出すると、ほぼ完全な平坦なステップ応答H′が得られることが分かる。
図5は、時間の経過とそのときの振幅を示す対応表で、記号により表したものである。
(1)は、t=0から立ち上がる振幅1のステップ波形の応答Anを表す。
(2)は、t=1から立ち下がる振幅a2(-0.358)のステップ波形の応答を表す。
(3)は、前記(1)と(2)の和であり、図2は(3)を示す図であり、第1補正ステップ波形である。
(4)は、t=2から立ち下がる振幅a3(-0.046)のステップ波形の応答を表す。
(5)は、前記(1)、(2)と(4)の和である。図3は(5)を示す図であり、第2補正ステップ波形である。
(6)は、t=3から立ち下がる振幅a4(-0.022)のステップ波形の応答を表す。
(7)は、前記(1)、(2)、(4)と(6)の和である。
図7は、さらに、a2、a3、a4に具体的な数値を代入して得た表である。
図から分かるように、第4次、第5次の補正ステップ信号を生成すれば、十分な特性が得られるものと考えられる。
次に、補正パルス波形の求め方を説明する。パルス波は、2つのステップ信号の合成で表現できることを利用する。即ち、時間t0のステップ信号と、時間t1における負方向のステップ信号とを合成して、単位パルス波が得られる。
上記の通り、単位パルス波形Iは、ステップ信号(図5のD)と1タイミング時間遅れた負方向のステップ信号との合成された信号であるから、単位パルス波形Iの応答信号Lは、ステップ信号Dの応答信号Jと、タイミング時間後れた負方向のステップ信号の応答信号Kの合成波形Lとなる。
同図に示されるように、1タイミング時間(t2)が過ぎても、応答電圧Kの電圧はすそ野を引いており、いつまでもゼロにならない。
応答信号Mを生成するためには、図11(a)に示す補正ステップ波形信号Pを生成する。この補正ステップ信号の作成は、上記の通りである。
また、応答信号Nを生成するには、図11(b)に示す補正ステップ信号Qを生成する。
前記補正ステップ信号P及びQを合成して、得られる波形が補正パルス波形Rである(図11(c))。
なお、これまで、理解のために典型的な例として、補正パルス波形Sが、時間t1以降、時間t0の信号と逆極性の振幅を有するものを取り上げ、説明した。しかし、本発明は、時間t0の信号と同極性の振幅を一部有する補正パルス波形を排除するものではない。補正パルス波形として、ビット間干渉を排除するように構成されるものは、本発明の技術的範囲に属する。
パルス波形Tがそのタイミング時間内でゼロに収束するので、それ以降の信号に影響を及ぼさない。したがって、被伝送信号のデータパターンの依存性がなくなり、アイ開口を狭める要因がなくなり、広いアイ開口を得ることができる。
次に前記補正パルスを使って、伝送されるデジタルデータ信号列から送出する信号波形の生成について説明する。
伝送されるデジタルデータ信号列の各データ信号に対して、該データ信号と該データ信号に続く、複数の伝送タイミングn(n≧2)ごとに段階的に変化する波形信号からなる補正パルス波形を対応させることにより、送出信号を生成する。
本例では、説明を簡単にするために、着目する時間の3タイミング時間前からの補正する例で説明する。なお、3タイミング時間前からの時間に限定するものではなく、2乃至20タイミング時間前から期間で補正できることは明らかである。
図13にその一例を示す。タイミング時間毎の補正パルス信号の振幅を、それぞれp1、p2、p3、p4とする。
同例では、 p1=1とし、p2=−0.358、p3=−0.041、p4=−0.027である。論理は、1,0(±1)の2値である。
(1)は伝送路へ伝送するシリアル信号であり、枠で囲まれた信号列の振幅は、(a0、a1、a2、a3)=(+1、+1、−1、−1)である。それ以前の信号(010)の振幅は(a-3、a-2、a-1)=(−1、1、−1)である。
(2)は、3タイミング時間前の信号a-3を補正パルス信号を示す。
(3)は、2タイミング時間前の信号a-3を補正パルス信号を示す。
(4)は、1タイミング時間前の信号a-3を補正パルス信号を示す。
(5)は、対象とする信号列の第1パルスの補正パルス信号を示す。
(6)は、対象とする信号列の第2パルスの補正パルス信号を示す。
(7)は、対象とする信号列の第3パルスの補正パルス信号を示す。
(8)は、対象とする信号列の第4パルスの補正パルス信号を示す。
(9)は、対象とする信号列から生成される補正パルス信号を表す。
最初の信号の振幅a0=+1は、3つ前の信号群の影響を受けるから(5)に示すように、
a0*p1+a-1*p2+a-2*p3+a-3*p4=(+1)*(+1)+(-1)*(−0.358)+(+1)*(-0.041)+(-1)*(-0.027)=1.344、と算出される。
同様に、次の論理値a1=+1は、(6)に示すように、
a1*p1+a0*p2+a-1*p3+a-2*p4=(+1)*(+1)+(+1)*(−0.358)+(−1)*(−0.041)+(+1)*(−0.027)=+0.656と算出される。
同様に、その次の論理値a2=−1は、(7)に示すように
a2*p1+a1*p2+a0*p3+a-1*p4=(-1)*(+1)+(+1)*(−0.358)+(+1)*(−0.041)+(−1)*(−0.027)=−1.372、と算出される。
同様に、その次の論理a3=−1は、(8)に示すように
a3*p1+a2*p2+a1*p3+a0*p4=(−1)*(+1)+(−1)*(-0.358)+(+1)*(−0.041)+(+1)*(−0.027)=−0.710である。
以上によれば、(9)に示すように、入力信号列(1100)=(a0、a1、a2、a3)=(+1、+1、−1、−1)に対して、補正された信号は、(+1.344、+0.56、−1.372、−0.710)となる。
図15は、上記の補正入力信号を生成するための補正回路の一例を示す。同図の回路は、差動型電流スイッチ(CML)を用いた例である。同回路は、差動型電流スイッチ(CML)群1とシフトレジスタ2から構成される。差動型電流スイッチ(CML)群1は、夫々電流源がI0、0.358I0、0.041I0、0.027I0と重み付けされたCML1乃至CML4から構成され、シフトレジスタ2は4段のフリップフロップFF1乃至FF4で構成される。信号はシフトレジスタ2から入力され、伝送路への出力は、CMLout3,4から出力される。
この回路によれば、FFのICにおけるフリップフロップFFの占有する面積は、FFの電流源の大きさにより変化するから、FF2以降のFFの占有面積は小さくなり、ICに有利である。
図16は、前記抵抗分流型で構成した回路例の一例である。図15と同様に、同回路は、差動型電流スイッチ(CML)群5とシフトレジスタ6から構成される。差動型電流スイッチ(CML)群5は電流源をI0としたCML11乃至CML14から構成され、シフトレジスタ6は4段のフリップフロップFF11乃至FF14で構成される。信号はシフトレジスタ6に入力され、伝送路への出力は、CMLout7,8から出力される。
CML11のトランジスタに結合する抵抗Rは、CMLに最初から接続されている抵抗であり、通常R=50Ωである。
これら抵抗R1乃至R4の大きさを決めるためには、鳳テブナン、ノートンの定理を使って、図17に示す変換を行う。(1)のFETのドレイン端子に接続される2つの抵抗R,R1を、(2)の抵抗R+R1の形に変形する。
更に、図15に示されるように、CML1とCML2の電流比が1:(−0.358)、CML1とCML3の電流比が1:(−0.046)、CML1とCML4の電流比が1:(−0.022)であること、インピーダンス整合のために抵抗R+R1乃至R+R4の並列抵抗値の合成抵抗値をRに一致させることにより、抵抗R1乃至R4の値を算出する。
CML1乃至CML6にそれぞれ接続される抵抗は、20、180、1.5k、2.7k、3.9k、6.8k(単位Ω)である。図19は、同回路のアイ開口度を示す図である。
伝送線路が切り替わるような場合、それぞれの線路の特性に適合した補正単位パルス波形生成回路を設ければよいことは明らかである。
又、DSP(Digital Signal Processing)技術によっても、本発明を実現することができる。
さらに、信号を3値以上の信号に対しても、本願発明が応用できる。例えば、4値論理の場合、1データで2ビットの情報を送信できるが、振幅の変化として、小さい振幅変化と大きい振幅変化が混在する。このため、従来技術による伝送の場合、図20のように、アイ開口は狭くなる。これに対し、本発明を用いれば、図21のように、アイ開口の曲線を細線にし開口を広げることができる。このように、3以上の多値論理信号にも本発明を応用することができる。
また、以上の実施例では、伝送タイミングを1ビットレートとして説明した。しかし、図22に示すように、伝送タイミングを、更に2分割して(即ち、tn、tn+0.5、tn+1、tn+1.5、tn+2、・・・と2分割して)、補正パルスを生成することができる。
図23は、1/2ビットレート毎に、前記説明した方法を用いた場合に、生成された補正ステップ波形Xと、その応答波形Yである。
図24は、この場合のアイパターンの一例である。細分割は、1/2に限らず、1/nと分割できることは勿論である。
図25は、伝送タイミングを3分割した場合のアイパターンを示す図である。更なる細分割をすると、アイパターンは更に矩形に近づく。
Claims (22)
- 伝送用デジタルデータ信号が入力される入力手段と、該データ信号を補正し、補正パルス信号を生成する補正手段と、該補正手段で補正された前記データ信号を加算し、伝送路を形成する媒体に出力する出力手段と、からなる出力回路であって、
前記補正手段は、前記伝送路の特性に従って、前記各データ信号に対して、該データ信号と該データ信号に続く、複数の伝送タイミングn(n≧2)ごとに段階的に変化する波形信号からなる補正パルス信号を生成することを特徴とする信号出力回路。 - 前記補正手段は、
前記伝送用デジタルデータ信号が伝送タイミングごとに入力される複数段m(m≧3)のシフトレジスタと、
該シフトレジスタの各段の出力がそれぞれ入力されるスイッチ回路群であって、スイッチ回路群は、前記データ信号に対し、該データ信号と該データ信号に続く、伝送タイミングごとに段階的に変化する波形信号とを、生成するスイッチ回路群と、を有し、
前記出力手段は、前記各スイッチの出力の和を出力する請求項1記載の信号出力回路。 - 前記補正手段は、前記伝送路におけるステップ信号の波形の応答波形の第n伝送タイミングtn時の振幅(但しn≧2)を、第1伝送タイミングt1時の前記ステップ信号の応答波形の振幅に等しくする補正を、ステップ波形信号に対して行う特性を有することを特徴とする請求項1乃至2記載の信号出力回路。
- 前記補正手段は、
正規化されたステップ信号に対応する応答信号の第2番目の伝送タイミング時t2の振幅を、第1番目の伝送タイミングt1時の振幅に等しくするために、
前記伝送タイミングt0時の正規化振幅1から、前記応答信号の2番目の伝送タイミングt2時の振幅(A2)と1番目の伝送タイミング時の振幅(A1)との差を前記伝送タイミングt1時の振幅(A1)で除したものを引いて求め(すなわち、1-(A2-A1)/A1)、
順次、以下、伝送タイミングtn-1時まで補正されたステップ信号に対応する応答信号の第n+1番目の伝送タイミング時tn+1の振幅を、第n番目の伝送タイミングtn時の振幅に等しくするために、
前記伝送タイミングtn-1時の前記補正されたステップ信号の振幅Bn-1から、n番目(但しn=2、3、・・・)の伝送タイミングtn時まで補正されたステップ信号の応答波形から求めたn+1番目の伝送タイミングtn+時の振幅(A′n+1)と伝送タイミングtn時の振幅(A′n)との差を前記n番目の伝送タイミングt1時の振幅(A′n)で除したものを引いて求める(すなわち、Bn-1−(A′n+1−A′n)/A′n)補正を行うことを特徴とする請求項3記載の信号出力回路。 - 前記複数の伝送タイミングの数nは、3乃至6であることを特徴とする請求項1乃至2記載の信号出力回路。
- 前記スイッチ回路をCMLとすることを特徴とする請求項2記載の信号出力回路。
- 信号を伝送する媒体を伝送線路とすることを特徴とする請求項1乃至2に記載の信号出力回路。
- 信号を2値信号とすることを特徴とする請求項1乃至2記載の信号出力回路。
- 信号を3値以上の信号とすることを特徴とする請求項1記載の信号出力回路。
- 前記伝送タイミングを1ビットレートとすることを特徴とする請求項1乃至2記載の信号出力回路。
- 前記伝送タイミングを、1ビットレートの時間間隔を少なくとも2つに分割とすることを特徴とする請求項1乃至2記載の信号出力回路。
- 前記補正手段は、前記波形信号の、複数の伝送タイミング毎の正規化振幅値を、被伝送信号の符号を含めた振幅に乗じ、
前記出力手段は、それらの総和をとり、対応するタイミングにおける出力振幅とすることを特徴とする、請求項1記載の信号出力回路。 - 前記複数の伝送タイミング毎の正規化振幅値と伝送するデジタルデータ信号の符号を含めた振幅との乗算を、前記振幅値をデジタル入力とし、被伝送信号の符号を含めた振幅を基準入力とする乗算型デジタル・アナログ変換器(DAコンバータ)とすることを特徴とする、請求項1 2に記載の信号出力回路。
- 前記複数の伝送タイミング毎の正規化振幅値が2値の場合、該振幅値と被伝送信号の符号を含めた振幅との乗算を、CMLスイッチ回路の差動入力を被伝送信号の符号を含めた振幅とし、前記正規化振幅値をCMLスイッチ回路の電流源の大きさとすることを特徴とする、請求項1 2に記載の信号出力回路。
- 被伝送信号の符号を与えるために、所定の極性の場合には入力と同一の論理を出力し、その反対の極性の場合には、反転論理を出力する手段を被伝送信号の入力と差動型電流スイッチの入力との間に挿入することを特徴とする請求項1 4に記載の信号出力回路。
- 伝送路に高速で信号を伝送する方法であって、
伝送用デジタルデータ信号が入力されるステップと、
前記伝送路の特性に従って、前記各データ信号に対して、該データ信号と該データ信号に続く、複数の伝送タイミングn(n≧2)ごとに段階的に変化する波形信号とからなる補正パルス信号を生成するステップと、
前記該補正ステップで補正された前記データ信号を加算し、伝送路を形成する媒体に出力するステップからなる信号を伝送する方法。 - 前記補正ステップは、前記伝送路におけるステップ信号の波形の応答波形の第n伝送タイミングtn時の振幅(但しn≧2)を、第1伝送タイミングt1時の前記ステップ信号の応答波形の振幅に等しくする補正を、ステップ波形信号に対して行うことを特徴とする信号を伝送する請求項16記載の方法。
- 前記補正ステップは、正規化されたステップ信号に対応する応答信号の第2番目の伝送タイミング時t2の振幅を、第1番目の伝送タイミングt1時の振幅に等しくするために、
前記伝送タイミングt0時の正規化振幅1から、前記応答信号の2番目の伝送タイミングt2時の振幅(A2)と1番目の伝送タイミング時の振幅(A1)との差を前記伝送タイミングt1時の振幅(A1)で除したものを引いて求めるステップ(すなわち、1-(A2-A1)/A1)と、
順次、以下、伝送タイミングtn-1時まで補正されたステップ信号に対応する応答信号の第n+1番目の伝送タイミング時tn+1の振幅を、第n番目の伝送タイミングtn時の振幅に等しくするために、
前記伝送タイミングtn-1時の前記補正されたステップ信号の振幅Bn-1から、n番目(但しn=2、3、・・・)の伝送タイミングtn時まで補正されたステップ信号の応答波形から求めたn+1番目の伝送タイミングtn+時の振幅(A′n+1)と伝送タイミングtn時の振幅(A′n)との差を前記n番目の伝送タイミングt1時の振幅(A′n)で除したものを引いて求める(すなわち、Bn-1−(A′n+1−A′n)/A′n)補正を行うステップからなる信号を伝送する請求項16記載の方法。 - 伝送用デジタルデータ信号が入力される入力手段と、該データ信号を補正する補正手段と、該補正手段で補正された前記データ信号を加算し、伝送路を形成する媒体に出力する出力手段と、を有する半導体装置であって、
前記補正手段は、前記伝送路の特性に従って、前記各データ信号に対して、該データ信号と該データ信号に続く、複数の伝送タイミングn(n≧2)ごとに段階的に変化する波形信号からなる信号を生成することを特徴とする半導体装置。 - 伝送用デジタルデータ信号が入力される入力手段と、前記伝送路の特性に従って、前記各データ信号に対して、該データ信号と該データ信号に続く、複数の伝送タイミングn(n≧2)ごとに段階的に変化する波形信号からなる補正パルス信号を生成する前記データ信号を補正する補正手段と、該補正手段で補正された前記データ信号を加算し出力する出力装置と、
前記出力回路から出力される信号を伝送する伝送路と、
前記出力回路から出力される信号を受信する受信装置とを有するシステム。 - 所定の伝送路を伝送するステップ波形の信号の応答波形を求めるステップと、
第2の伝送タイミングt2時に伝送された振幅を、第1の伝送タイミングt1時に伝送された振幅に等しくなるように、第2の伝送タイミングt2における送出信号の振幅を決定するステップと、
第n(n≧2)の伝送タイミングtnにおける振幅を第1番目の伝送された振幅に等しくなるように第n+1の伝送タイミングの振幅を決定するステップと、
上記ステップで生成された補正ステップ波形を所定の伝送タイミング遅延させて生成した遅延補正ステップ波形を、前記補正ステップ波形から減算して生成した補正パルス波形信号を生成するステップと、
伝送タイミングごとに、前記デジタルデータ信号に前記補正パルス波形信号を乗算するステップと、
前記乗算して生成した信号を合成するステップと、からなる補正パルス信号を生成する方法。 - 第2番目の伝送タイミングt2時に伝送された振幅を、第1の伝送タイミングt1時に伝送された振幅に等しくする前記方法として、
1番目の伝送タイミングt1時に送出振幅(1に正規化)から、2番目の伝送タイミングt2における伝送された振幅(A2)と1番目の伝送タイミングにおける伝送された振幅(A1)との差を前記1番目の伝送タイミングt1における伝送された振幅(A1)で除したものを引いて求める(すなわち、1-(A2-A1)/A1)ステップと、
順次、以下、n番目(但しn=2、3、・・・)の伝送タイミングtnにおける送出振幅(1に正規化)から求めたn+1番目の伝送タイミングtn+1における伝送された振幅(An+1)とn番目の伝送タイミングにおける伝送された振幅(An)との差を前記n番目の伝送タイミングt1における伝送された振幅(An)で除したものを引いて求めるステップ(すなわち、1-(An+1−An)/An)と、
からなることを特徴とする請求項21記載の方法。
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