JP2006352151A - 静電チャック及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 板状セラミックス体の一方の主面に一連の凹部が形成された静電チャックであって、ウェハWの均熱性に優れた静電チャックを提供する。また、上記静電チャックの製造方法を提供する。
【解決手段】 窒化物セラミック体からなる板状セラミックス体2の一方の主面をウェハWを載せる載置面8とし、上記載置面8に一連の凹部2aが形成された静電チャック1において、上記一連の凹部2aの底面に凹曲面部9を備え、上記一連の凹部2aの平均深さに対して上記一連の凹部2aの深さのバラツキが20%以下であり、上記一連の凹部2aの深さが10〜500μmであることを特徴とする。
【選択図】 図1

Description

本発明は、半導体や液晶の製造装置において半導体ウェハや液晶用ガラスなどのウェハを固定するのに使用する静電チャックに関するものである。
従来、半導体の製造工程において、シリコンウェハ等のウェハに精度良く成膜やエッチング等の処理を施すには、ウェハの平坦度を保ちながら保持する必要があり、このような保持手段として、機械式チャック、真空チャック、静電チャックが提案されている。
これらの保持手段の中で、静電気力によってウェハを保持する静電チャックは、成膜やエッチング等の各種処理に求められるウェハの平坦度を容易に実現することができ、また真空中で使用できるため、成膜装置やエッチング装置で多用されている。
図5(a)は、静電チャック51の平面図の一例であり、(b)は、そのX−X線の断面図である。板状セラミック体52の主面をウェハWを載せる載置面58とし、その内部には一対の静電吸着用電極56を埋設し、更にその下には抵抗発熱体57をそれぞれ埋設してある。板状セラミック体52の下面には、一対の静電吸着用電極56及び抵抗発熱体57とを電気的に接続する一対の給電端子54、55がそれぞれ固定されている。そして、載置面58と静電吸着用電極56の間には絶縁層52bが設けられている。また、載置面58にはHeやAr等の不活性ガスを導入するガス導入口53とこのガス導入口53に連通する一連の凹部52aが形成されている。そして、この静電チャック51の給電端子54に500Vの直流電圧を印加すると、ウェハWと載置面58の間に静電吸着力が発現し、ウェハWを載置面58に吸着固定することができる。また、抵抗発熱体57に接続した給電端子55に電圧を印加すると、抵抗発熱体57が加熱され、載置面58を加熱するとともにウェハWを加熱することができる。
ところで、半導体素子の集積度の向上に伴って、半導体素子の特性安定化、歩留まり向上、単位時間当たりの処理枚数の増加などが強く求められている。その為、エッチングや成膜処理の際にウェハWをできるだけ早く目的の温度にまで加熱し、ウェハW表面の全体の均熱性を高めることが求められている。そこで、ウェハWを載せる載置面58に、HeやAr等の不活性ガスを導入するガス導入口53と、このガス導入口53に連通する一連の凹部52aを形成し、載置面58上にウェハWを吸着した時、ウェハWと一連の凹部52aとで形成される空間に上記ガス導入口53から不活性ガスを充填することにより、ウェハWと載置面58との間の熱伝達特性を高め、ウェハWの均熱化を図るようになっていた。
例えば、特許文献1のように静電チャック51のウェハWを載せる載置面58にウェハW等と接触する多数の凸状体と一連の凹部52aを形成することにより、ウェハW等の被加熱物への熱の伝達が不活性ガスを介して行われるため、ウェハWを均一な温度とすることができる。
また、上記一連の凹部52aの形状加工法としては、特許文献2のように10〜300μmの硬質粒子を使いブラスト加工する方法がある。そして、上記ブラスト加工では、上記硬質粒子と板状セラミック体52の加工を施す面との衝突から静電気が発生する。そして、発生した静電気の除去を図るために、被加工物を載せる台車等をアースする方法や、特許文献3のように砥粒にイオン化しにくい物質をコーティングし、上記加工物との衝突によって静電気を帯びることがない方法などがある。
特開2002−237375号公報 特開平4−304941号公報 特開平9−216162号公報
ところが、特許文献1に記載の静電チャック51は、ドリルを用いて窒化アルミニウムから成る板状セラミック体52に一連の凹部52aを形成している。しかし、上記一連の凹部52aの形状は矩形で、上記一連の凹部52aの底面が平面であることから、不活性ガスを充填する際に不活性ガスと一連の凹部52aの底面との摩擦が大きく、不活性ガスの流動性が悪くなり、ウェハW全体の均熱性が悪くなるとの課題があった。
また、特許文献2のブラスト加工方法では一連の凹部52aの深さのバラツキが大きく、不活性ガスの充填量が一連の凹部52aごとに違うため、ウェハW全体の均熱性が悪くなるとの課題があった。
また、上記のブラスト加工ではノズルより噴射された砥粒が加工面に衝突する際に加工面との衝突摩擦により加工面である一連の凹部52aに静電気が発生する。そして、この静電気の電位が大きくなると、凹部52aの底面の静電気が被加工物である板状セラミック体52内の静電吸着電極56との間で放電現象を発生させ、絶縁層52bが破損する事があった。
また、特許文献3に記載の一連の凹部形成手段は、砥粒を繰り返し利用していくうちに、砥粒のコーティングした部分がはがれていき、砥粒が加工面と衝突した際にイオン化し、加工物の加工面に静電気を帯びてしまう。そして、その加工面に帯電した大きな電位の静電気は、凹部52aの底面から静電吸着用電極56の間で放電し、絶縁層52bが絶縁破壊する虞があった。
本発明は、窒化物セラミック体からなる円板状セラミックス体の一方の主面をウェハを載せる載置面とし、上記載置面に環状の凹部と放射状の凹部とからなる一連の凹部が形成された静電チャックにおいて、上記一連の凹部の底面の両側に曲率半径が100〜500μmの凹曲面部を備え、上記凹部の平均深さに対して上記凹部の深さのバラツキが20%以下であり、上記凹部の平均深さが10〜500μmであることを特徴とする。
また、窒化物セラミック体からなる円板状セラミックス体の一方の主面をウェハを載せる載置面とし、上記載置面に該載置面の中心から放射状に4等分割する線と、載置面を囲む円と、中心から載置面の直径の0.7倍の円とで囲まれるそれぞれの領域に一連の凹部が形成された静電チャックにおいて、上記一連の凹部の底面の両側に曲率半径が100〜500μmの凹曲面部を備え、上記凹部の平均深さに対して上記凹部の深さのバラツキが20%以下であり、上記凹部の平均深さが10〜500μmであることを特徴とする。
また、上記静電チャックに、抵抗発熱体を備えたことを特徴とする。
また、本発明は、ブラスト加工により上記凹部を形成する方法において、ブラスト加工を施す前の表面の表面粗さRaが1.0μm以下であることを特徴とする。
本発明によれば、窒化物セラミック体からなる円板状セラミックス体2の一方の主面に凹部2aが形成された静電チャック1であって、ウェハWの均熱性に優れた静電チャック1を提供することができ、また、凹部2aをブラスト加工によって形成する際に、静電チャック1の凹部2aの形成面に静電気が発生して絶縁層2bが絶縁破壊することを防止する静電チャック1の製造方法を提供することができる。
以下、本発明の実施の形態を説明する。
図1(a)は、本発明に係る静電チャック1の平面図の一例であり、(b)は、そのX−X線の断面図であり、(c)は、載置面8と凹部2aとの境界線に垂直な断面の拡大図である。板状セラミック体2の主面をウェハWを載せる載置面8とし、その内部には一対の静電吸着用電極6を埋設し、更にその下には抵抗発熱体7をそれぞれ埋設してある。板状セラミック体2の下面には、一対の静電吸着用電極6及び抵抗発熱体7とを電気的に接続する一対の給電端子4、5がそれぞれ固定されている。そして、載置面8と静電吸着用電極6との間には絶縁層2bが設けられている。また、載置面8にはHeやAr等の不活性ガスを導入するガス導入口3とこのガス導入口3に連通する一連の凹部2aが形成されている。そして、この静電チャック1の給電端子4に500Vの直流電圧を印加すると、ウェハWと載置面8の間に静電吸着力が発現し、ウェハWを載置面8に吸着固定することができる。また、抵抗発熱体7に接続した給電端子5に電圧を印加すると、抵抗発熱体7が加熱され、載置面8を加熱するとともにウェハWを加熱することができる。
本発明の静電チャック1は、各部の凹部2aの底面の両側に凹曲面部9を備えることにより、不活性ガスを充填する際に、不活性ガスと凹部2aの底面の摩擦が少なくなり、不活性ガスが凹部2aをスムーズに流れ、凹部2aの断面において全ての不活性ガスがムラ無くウェハW裏面と熱交換できることから、ウェハWの均熱性がよくなることが判明した。一連の凹部2aの底面の各部の凹曲面部9の大きさは、曲率半径Rが100〜500μmであることがより好ましい。
そして、一連の凹部2aの平均深さに対して各部の凹部2aの深さのバラツキが20%以下としたのは、各部の凹部2aの深さのバラツキを小さくすることによって、ウェハWと凹部2aとで形成される空間に充填される不活性ガスの量を一定にし、ウェハWの均熱性を高めることができるからである。また、一連の凹部2aの平均深さに対して各部の凹部2aの深さのバラツキは10%以下とすると更に好ましい。これは、一連の凹部2aの平均深さに対して各部の凹部2aの深さのバラツキを10%以下とすると、ウェハWの表面の温度差がより小さくなり好ましいからである。尚、載置面8が略円形である場合、載置面8の中心から放射状に4等分割する線と、載置面8を囲む円と、中心から載置面8の直径の0.7倍の円とで囲まれるそれぞれの領域で各2箇所の凹部2aの深さを測定し、合計16箇所の測定値を平均し平均深さとした。また、載置面8が四角形の場合、碁盤目状に16等分割しそれぞれ2箇所を測定し、合計32箇所の測定値の平均値を平均深さとした。なお、凹部2a深さhとは、載置面8と各部の凹部2aの境界線に垂直な断面において略中心の最大の深さhとした。
また、一連の凹部2aの平均深さを10〜500μmとしたのは、凹部2aの平均深さが10μm未満ではウェハWと一連の凹部2aとで形成される空間に充填される不活性ガスの量が少なくなり、ウェハWの均熱性が悪くなるからである。また、一連の凹部2aの平均深さが500μmを超えてしまうと一連の凹部2aの深さのコントロールが難しくなり、各部の凹部2aの深さのバラツキが20%以上と大きくなるからである。よって、一連の凹部2aの平均深さは10〜500μmの範囲とすることがよい。次に図2は本発明の静電チャック1の一連の凹部2aを加工するブラスト加工装置を示す概略断面図である。このブラスト加工装置のブラスト加工室10の内部にはノズル11と被加工物16を載せる台車14が設置され、ノズル11には砥粒供給管12と送気管13が連結されている。またブラスト加工室10の下部には、砥粒回収管15が設置してあり、砥粒回収管15はサイクロン集塵装置18に連結している。砥粒供給管12から供給される砥粒17と送気管13から送られる圧縮空気とからなる混合流体をノズル11から被加工物16に吹き付けることによりブラスト加工を行うように構成されている。尚、使用した砥粒17は、砥粒回収管15を介して空気輸送によりサイクロン集塵装置18に回収し、加工屑等の不純物を除去して再利用することができる。
図3は、ブラスト加工時のノズル11と被加工物16の関係を示す斜視図である。砥粒17と圧縮空気の混合流体を噴出するノズル11は、ブラスト加工を施す面20との距離を一定に保ち、被加工物16を載せた台車14はX軸方向に移動することができる。そして、ノズル11はY軸方向に移動できる。そして、前記混合流体を噴射しながらノズル11はY方向に移動し、被加工物16の表面を通過し、台車14がX軸方向に移動した後、ノズルは−Y方向に移動する。再び被加工物16を通過した後、台車14がX軸方向に移動する。そしてこれを繰り返し被加工物16の全面をブラスト加工できるように成っている。図4は、本発明に係るマスク30のパターンの形状である。ブラスト加工を施す面20に一連の凹部2aを形成するマスク30を貼り一連の凹部2aの形状を決める事ができる。
上記マスク30は、一連の凹部2aに対応した部分の厚みを小さくした樹脂製のシートで、感光性樹脂マスクなどを使用する。この感光性樹脂マスクは、載置面8の一連の凹部2aのパターンに合わせて作製したパターンフィルムを感光性樹脂層の上にセットし、蛍光灯やハロゲンランプなどで露光し作製することができる。
本発明の静電チャック1は、各部の凹部2aの深さのバラツキが小さく載置面8に載せたウェハWの表面温度差を小さくすることができる。
各部の凹部2aの深さのバラツキを小さくするには、板状セラミック体2のブラスト加工を施す前の表面をラップ盤にてラップ加工し(粗加工)、更にこのラップ面を研磨し(鏡面加工)、ブラスト加工を施す前の表面を表面粗さRa1.0μm以下とすることが好ましい。ブラスト加工を施す前の表面粗さをRa1.0μm以下とするのは、ブラスト加工を施す面20の凹凸を少なくし、ブラスト加工によって形成される各部の凹部2aの深さのバラツキを小さくできるからである。
そして、上記のブラスト装置で、送気管13に供給する圧縮空気の圧力を0.3〜0.6MPa、圧縮空気の水分の含有量を0.5〜5質量%、砥粒17の粒径を150〜500μm、被加工物16に対する上記ノズル11の移動速度を100〜300mm/秒としてブラスト加工を行って一連の凹部2aを形成する。
また、上記砥粒17としては例えば、アルミナ、炭化珪素、ガラスビーズなどがある。砥粒17の粒径とは、レーザー回折散乱法により測定した50%粒径である。レーザー回折散乱法とは、レーザー光を粒子に当てた時に、散乱される光の強度と散乱角度から、Mieの散乱理論より、粒径を求める方法である。
また、上記のノズル11より噴射された砥粒17が加工面に衝突する際に加工面との衝突摩擦により加工面である凹部2aに静電気が発生する。そして、この静電気の電位が大きくなると、凹部2aの底面の静電気が被加工物16である板状セラミック体2内の静電吸着電極6との間で放電現象が発生し、絶縁層2bが破損する虞があることから、上記静電気の発生を抑え放電現象を発生させること無くブラスト加工することが重要である。
ここで、圧縮空気の圧力を0.3〜0.6MPaとしたのは、圧力が0.3MPa未満だと凹部2aのブラスト加工量が小さくなり、凹部2aの深さ10〜500μmを形成するのに同じ部分を何度も繰り返し加工しなくてはならなくなる。すると、同じ部分を繰り返し加工した面は大きな電位の静電気が帯電し、凹部2aの底面から静電吸着用電極6の間で放電し、絶縁層2bが絶縁破壊する虞がある。また、圧力が0.6MPaを超えると、砥粒17を吹き付ける力が強いので、凹部2aの底面の表面粗さが粗くなり、凹部2aの底面にマイクロクラックが発生する。マイクロクラックが発生すると、マイクロクラックの先端から静電吸着用電極6の間に大きな電位の静電気が加わり放電し、絶縁層2bが破壊する虞がある。よって、圧縮空気の圧力は0.3〜0.6MPaの範囲とすることがよい。
また、圧縮空気の水分の含有量を0.5〜5質量%としたのは、水分の含有量が0.5質量%未満だと混合流体が乾燥しすぎて被加工物16に衝突した際、大きな電位の静電気が発生してしまうからである。また、圧縮空気の水分の含有量が5質量%を超えてしまっては砥粒17が圧縮空気と混合した際に、砥粒17同士が固まって塊になってしまうことがあり、その砥粒17の塊がブラスト加工を施す面20に噴射されると、凹部2aの表面粗さRmaxが15μm以上と大きくなり、凹部2aの底面にマイクロクラックが発生するからである。よって、圧縮空気の水分の含有量は0.5〜5質量%の範囲とすることがよく、凹部2aの表面粗さRmaxは5.5μm以下が好ましい。
砥粒17の粒径を150〜500μmとしたのは、砥粒17の粒径が150μm未満だと凹部2aのブラスト加工量が小さくなるからである。また、砥粒17の粒径が500μmを超えると凹部2aの表面粗さが粗くなり、凹部2aの底面にマイクロクラックが発生するからである。よって、砥粒17の粒径は150〜500μmの範囲とすることがよい。
ノズル11の移動速度を100〜300mm/秒にしたのは、移動速度が100mm/秒未満だと、ノズル11の移動速度が小さいため、砥粒17とブラスト加工を施す凹部2aの摩擦が大きくなり、凹部2aに大きな電位の静電気を帯電させるためである。また、ノズル11の移動速度が300mm/秒を超えると、凹部2aを形成する際のブラスト加工量が小さくなるからである。よって、ノズル11の移動速度は100〜300mm/秒の範囲とすることがよい。
また、ノズル11の口径としては、直径3〜15mmとすることが好ましい。これは、ノズル11の直径が5mm未満だと凹部2aの曲率半径Rが5μm以下となる虞があるとともに混合流体の噴出量が少なくなり、ブラスト加工量も小さくなり過ぎるからである。また、ノズル11の口径が15mmを超えてしまっては、噴射する混合流体が分散し、凹部2aの曲率半径Rが500μmを越える虞があるとともにブラスト加工量が小さくなるからである。更に好ましくは、ノズル11の口径を5〜15mmの範囲とすることがよい。
また、ノズル11から噴射する炭化珪素からなる砥粒17の量は100〜900g/分とすることが好ましい。これは、砥粒17の量が100g/分未満だと、圧縮空気と混合した際に、混合流体全体の水分の含有量が多くなり、砥粒17が塊になってしまい、凹部2aの表面粗さが荒くなるからである。また、砥粒17の量が900g/分を超えてしまっては、圧縮空気と混合した際に、混合流体全体の水分の含有量が少なくなり、混合流体が乾燥してしまうからである。そして、ブラスト加工を施す面20に衝突した際に、静電気が帯電しやすくなるためである。より好ましくは、砥粒17の量は100〜900g/分の範囲とすることがよい。
窒化アルミニウム粉末を板状に成形して成形体を作製した後、この成形体の上に、タングステンからなる静電吸着用電極を配置し、更にこの上に窒化アルミニウム粉末を充填し、再び成形した。そして、再び抵抗発熱体7を配設した後、窒化アルミニウム粉末を充填し成形し、内部電極を埋設した円盤状の成形体を作製した。次いで、この成形体を400℃で脱脂したあと、2000℃で窒素雰囲気で焼結することにより、円板状セラミック体を得た。
そして、上記のブラスト装置で、送気管13に供給する圧縮空気の圧力を0.2〜0.7MPa、圧縮空気の水分の含有量を0.4〜6質量%、砥粒の粒径を140〜600μm、被加工物16に対する上記ノズルの移動速度を90〜350mm/秒に変えてブラスト加工を行って凹部を形成した。
また、上記砥粒としては平均粒径180μmの炭化珪素製砥粒を用いた。
次に、凹部の深さと凹部の深さのバラツキがそれぞれ異なる静電チャックと凹部の底面に凹曲面部がある静電チャックの載置面に、それぞれ8インチのウェハWを吸着固定し、抵抗発熱体によって静電チャックを200℃に加熱した時のウェハWの表面における温度分布を測定する実験を行った。ウェハWの温度分布は、ウェハWの表面における任意の9点をサーモビュアにて測定し、その最大値と最小値の差を温度分布とした。その測定結果を表1に示す。
Figure 2006352151
この表1の測定結果から、試料No.1〜3のように、本発明の範囲外のものは、ウェハWの温度分布は2.5℃以上と均熱性が悪かった。また、試料No.9は凹部をドリル加工した静電チャックであり、凹部の底面に凹曲面部を備えてないものは3.2℃と均熱性が悪かった。
これに対し、試料No.4〜8のように凹部2aの底面に凹曲面部9を備え、凹部2aの深さが10〜500μmの範囲で、凹部2aの平均深さに対する凹部2aの深さバラツキが20%以下のものは、ウェハWの温度分布を1.7℃以下に均一にすることができ、優れていた。この結果から、凹部2aの底面に凹曲面部9を備え、凹部2aの深さが10〜500μmの範囲で、凹部2aの平均深さに対する凹部2aの深さバラツキが20%以下とすることがよいことが分かる。
また、試料No.4、5のように凹部2aの深さのバラツキが10%以下であるウェハWの表面の温度差が1.2〜1.4℃と小さく更に好ましい事が分かる。
ブラスト加工を施す前の表面の表面粗さ以外は同様にして作製したそれぞれの静電チャック1の凹部2aの深さを16点測定し、その凹部2aの平均深さに対する凹部2aの深さバラツキを測定した。尚、バラツキとは測定値の最大値と最小値の差を深さの平均で除した値とした。その測定結果を表2に示す。
Figure 2006352151
この表2の測定結果から、試料No.21、22のように、ブラスト加工を施す表面の表面粗さRaが3μm、2μmであるものは、凹部2aの深さバラツキが17%、15%とバラツキがやや大きいことがわかる。
これに対し、試料No.23、24はブラスト加工を施す面の表面粗さRaが1μm以下であることから凹部2aの深さバラツキが7%、10%と非常に小さく優れていることが分かった。
従って、ブラスト加工を施す面20をRaが1.0μm以下とすると、凹部2aの深さのバラツキがより小さい静電チャック1を作製できることが分かる。
圧縮空気の圧力、圧縮空気の水分の含有量、砥粒の粒径、ノズル11の移動速度をそれぞれの条件で加工し、加工後凹部2aの底面に帯電した静電気の電位を表面電位計にて測定するとともに絶縁層2bの状態を確認する実験を行った。この測定結果を表3に示す。
Figure 2006352151
この表3の測定結果から、試料No.32〜34、37〜39、42〜44、47〜49のように、圧縮空気の圧力を0.3〜0.6MPa、圧縮空気の水分の含有量を0.5〜5質量%、砥粒17の粒径を150〜500μm、ノズル11の移動速度を100〜300mm/秒の範囲のものはいずれも、加工面に帯電している静電気の電位が121〜452Vと小さく、絶縁層2bに絶縁破壊もしていない。これに対し、本発明の範囲外の試料No.31、36、41、46、50は、加工面に帯電している静電気の電位が747〜852Vと大きく、絶縁層が絶縁破壊している。
また、試料No.35、40、45のように本発明範囲外のもので、加工面に帯電している静電気の電位が110〜155Vと小さいものもあるが、いずれも凹部2aの底面の表面粗さRmaxが11.4〜15.0μmと大きく、マイクロクラックが発生している。これは、マイクロクラックの先端から静電吸着用電極6の間に静電気が加わり放電し、絶縁層2bが絶縁破壊している。従って、圧縮空気の圧力を0.3〜0.6MPa、圧縮空気の水分の含有量を0.5〜5質量%、砥粒17の粒径を150〜500μm、ノズル11の移動速度を100〜300mm/秒の条件にてブラスト加工を行うと、凹部2aを形成する際に、静電チャック1が絶縁破壊することを防止するのに有効だということが分る。また、同時に凹部2aの底面にマイクロクラックが発生するのも防止することができると分かる。
(a)は本発明に係る静電チャック1の平面図であり、(b)は(a)のX−X線の断面図であり、(c)は載置面8と凹部2aとの境界線に垂直な断面の拡大図である。 本発明の静電チャック1の製造方法を示す概略構成図である。 ブラスト加工時の各機器の動作を示している斜視図である。 本発明に係るマスク30の凹部2aのパターン形状である。 (a)は従来の静電チャックの平面図であり、(b)は(a)のX−X線断面図である。
符号の説明
1、51:静電チャック
2、52:板状セラミック
2a、52a:凹部
2b、52b:絶縁層
3、53:ガス導入口
4、5、54、55:給電端子
6、56:静電吸着用電極
7、57:抵抗発熱体
8、58:載置面
9:凹曲面部
10:ブラスト加工室
11:ノズル
12:砥粒供給管
13:送気管
14:台車
15:砥粒回収管
16:被加工物
17:砥粒
18:サイクロン集塵機装置
20:ブラスト加工を施す面
30:マスク
30a:マスクの膜厚が大きい部分
30b:マスクの膜厚が小さい部分
W:ウェハ

Claims (4)

  1. 窒化物セラミック体からなる円板状セラミックス体の一方の主面をウェハを載せる載置面とし、上記載置面に環状の凹部と放射状の凹部とからなる一連の凹部が形成された静電チャックにおいて、上記一連の凹部の底面の両側に曲率半径が100〜500μmの凹曲面部を備え、上記凹部の平均深さに対して上記凹部の深さのバラツキが20%以下であり、上記凹部の平均深さが10〜500μmであることを特徴とする静電チャック。
  2. 窒化物セラミック体からなる円板状セラミックス体の一方の主面をウェハを載せる載置面とし、上記載置面に該載置面の中心から放射状に4等分割する線と、載置面を囲む円と、中心から載置面の直径の0.7倍の円とで囲まれるそれぞれの領域に一連の凹部が形成された静電チャックにおいて、上記一連の凹部の底面の両側に曲率半径が100〜500μmの凹曲面部を備え、上記凹部の平均深さに対して上記凹部の深さのバラツキが20%以下であり、上記凹部の平均深さが10〜500μmであることを特徴とする静電チャック。
  3. 上記静電チャックに、抵抗発熱体を備えたことを特徴とする請求項1または2に記載の静電チャック。
  4. ブラスト加工により上記凹部を形成する方法において、ブラスト加工を施す前の表面の表面粗さRaが1.0μm以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の静電チャックの製造方法。
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